第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針

   (経営理念)

「わたしたちは、シキボウグループのものづくり技術・ものづくり文化で新しい価値を創造します。」-安心・安全・快適な暮らしと環境にやさしい社会の実現へ-という経営理念のもと、「繊維」「産業材」「不動産・サービス」の各事業分野において、他社には真似の出来ない独自の機能や技術力を活かした商品づくりを追求すると共に、顧客ニーズに沿った商品提案やサービスの向上に取り組んでおります。

 

   (長期ビジョン)

当社グループは、上記の経営理念のもと、これまで培ってきたものづくり技術・文化によって、環境や社会課題の解決に貢献してまいりました。更なる成長を続けるために、当社グループは、創立150年である2042年に向けた長期ビジョン「Mermaid 2042」を掲げております。

 

   「Mermaid 2042」

    あなたにもっと寄り添い、愛されるシキボウグループへ

・従業員にもっと寄り添い、笑顔あふれる心豊かな人生の実現に貢献します

・お客様にもっと寄り添い、まだ見ぬ世界を当たり前にする技術で貢献します

・地球にもっと寄り添い、持続可能な社会に貢献します

 

今回の新中期経営計画策定を進める中で、長期ビジョンを実現するための経営目標をより具体的な言葉とするために、私たちが「めざす姿」として、以下のとおり策定しました。

 

(めざす姿)

①従業員が自分のありたい姿を実現するために、仕事を通じて成長し、安心して働ける職場環境をめざします。

 ・働きやすい、職場環境・制度・組織風土の改善

 ・従業員の成長のための機会の創出

 ・多様な人材の確保・育成、機会均等

 ・健康増進・職場安全衛生

②繊維で培った技術やサービスを通じ、社会課題解決や、お客様の安心・安全・快適な暮らしの実現をめざします。

 ・安心・安全・快適な製品やサービスの提供

 ・技術を進化させ、社会のニーズに対応した新製品の開発・提供

 ・国内のみならず海外市場も含めた製品の提供

③環境や人権に配慮した製品・サービス、ものづくりで、持続可能な社会の実現をめざします。

 ・環境配慮型商品・サービスの開発・提供

 ・気候変動に対応した製品の開発・提供 

 ・公正で、持続可能な原材料調達や製品供給の実現

 ・資源循環型社会実現への貢献

 ・事業活動における気候変動対策とその緩和策の推進

 

 

(新中期経営計画「TG25-27」の概要)

「TG25-27」においては、「めざす姿」に基づき、長期ビジョン「Mermaid 2042」へのマイルストーンである、2030年に当社グループのめざす目標(売上高550億円、営業利益36億円)を掲げ、その目標をバックキャスティングすることで3ヵ年の経営戦略を策定いたしました。

これまでの「ACTION22-24」で進めてきた経営基盤の強化と次の成長に向けた取組みから、新中期経営計画では、「成長への変革(Transformation for Growth)」のステージと捉え、「TG25-27」と名付けました。「稼ぐ力の向上」や「新中核事業の成長・拡大」に取り組んでいくとともに、繊維で培った技術・経営資源をもとに新たなビジネスにチャレンジしてまいります。

 

〈 シキボウグループ注記経営計画「TG25-27」成長への変革 〉

 


 

 

<基本方針>

繊維で培った技術・経営資源をもとに、新たな価値を創造し更なる成長を実現する

① 稼ぐ力の向上

◆ 繊維事業、産業資材事業のグローバル販売強化

◆ 生産力・販売力強化

◆ 新たなビジネスへのチャレンジ(新規顧客・新規市場開拓)

② 新中核事業の成長・拡大

◆ 食品・化成品事業の食品分野の販売拡大

◆ 複合材料事業の航空・宇宙分野の取組み拡大

◆ 新たな成長の芽の育成・研究開発推進

③ 経営基盤の強化

◆ 資本コストを重視した事業の構造改革

◆ DXの推進による業務の効率化

◆ 資金効率の改善による財務基盤強化

◆ 人的資本経営の推進

④ サステナビリティ経営への取組み 

◆ GHG排出量削減

◆ サステナブル商材の販売拡大

◆ 人権への配慮

 

(2) 目標とする経営指標

シキボウグループは、持続的成長と中長期的な企業価値の向上、財務の健全性確保、資本の効率性向上を目的として、以下を経営指標としております。

 

(経営指標)

 

2025年3月期
 実績

2028年3月期
計画

有利子負債

256億円

260億円

D/Eレシオ

0.73倍

0.72倍

自己資本比率

41.1%

41.1%

総資産

856億円

875億円

ROA

1.2%

2.4%

ROE

2.6%

3.9%

ROIC

1.7%

2.9%

 

 

(3) 経営環境及び対処すべき課題

日本経済の見通しについては、雇用・所得環境の改善により、緩やかな回復傾向がみられる一方、アメリカの通商政策、国際情勢の不安定化、原材料やエネルギー価格を含む物価上昇等、不透明な状況は継続するものと思われます。

このような経営環境の中、当社グループでは、新中期経営計画「TG25-27」で掲げたセグメント別事業戦略をセグメント別の対処すべき課題と認識し、取組みを進めてまいります。

セグメント別の「対処すべき課題」は次のとおりです。なお、新中核事業の拡大により、新中期経営計画から産業材セグメントを産業資材セグメントと、機能材料セグメントに区分して開示することとしています。

 

 

① 繊維セグメント

・サステナブル素材の販売拡大 

・グローバル販売の拡大

・新規顧客・新規市場への販売拡大

・海外・国内生産拠点の連携と効率化 

・生産設備強化のための設備投資

② 産業資材セグメント

・国内生産体制の効率化と販売強化

・現有設備と技術を応用した新規分野の発掘と新商品の開発

・海外事業の販売拡大と収益力アップ

・空気清浄装置分野での生産体制の見直しとメンテナンス事業の拡大

③ 機能材料セグメント

<食品・化成品事業>

・新工場を活用した生産体制の再構築 

・新規素材(低粘度、脱臭、殺菌品)、ブレンド品の販売拡大

<複合材料事業>

・航空・宇宙分野の新規案件の生産立上げ

・エネルギーインフラ分野の新規量産品案件の受注

・航空・宇宙分野での業務提携の検討

④ 不動産・サービスセグメント

<不動産賃貸事業>

・グループ全体の遊休地の有効活用

・既存賃貸事業の活性化促進

<リネンサプライ事業>

・生産設備更新による効率化と増産体制の構築

・新規取引先の獲得

 

セグメント別の「対処すべき課題」に対する取組みは次のとおりです。

「繊維セグメント」では、製造コスト上昇により厳しい環境ではありますが、製販一体となった運営に加え、市況の回復、価格改定等により、業績は回復傾向となっております。今後はグローバル事業展開の加速化により海外販売の拡大を目指してまいります。さらに、「ビオグランデ®」、「彩生®」、「コットレジン®」等のサステナブル商材の販売を推進し、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

原糸販売事業は、連結子会社である新内外綿㈱との連携強化を図り、国内販売では、杢糸等の差別化糸を中心に別注販売を強化いたします。また、海外販売においても海外の連結子会社との連携により商圏拡大を図ってまいります。

輸出衣料事業は、中東民族衣装用生地において中東市場の活況を受け、連結子会社である㈱シキボウ江南の生産能力を高めることで、さらなる販売数量拡大を図ります。また、中東民族衣装の関連衣料品の販売構築も進めてまいります。

ユニフォーム事業は、㈱シキボウ江南の生産効率化を進め、原価低減を目指すと共に、高付加価値商材の開発及び価格改定による収益改善も図ってまいります。

ニット製品事業は、海外の連結子会社であるシキボウベトナム有限会社と連携すると共に、バングラデシュやASEAN諸国の協力会社とも関係を強化し、国内外の商圏拡大をめざしてまいります。

生活資材事業では、主要取引先との取組みを強化し、サステナブル商材を中心とした差別化商材の開発及び販売拡大を推し進めてまいります。また、海外市場においても販売ルートの新規開拓を進めてまいります。メディカル分野では、海外の連結子会社である敷紡(上海)国際商貿有限公司やシキボウベトナム有限会社と連携し、海外における臭気対策剤「デオマジック®」の認知度を高め、販売拡大を推し進めてまいります。

 

「産業資材セグメント」では、ドライヤーカンバス事業における紙需要減少による国内製紙会社での一部の生産設備停止、フィルタークロス事業におけるクロス未使用型脱水機の普及や個別空調設備の普及等、厳しい環境が続くものと予想されますが、引き続きシェアの拡大、生産性の向上に取り組み、国内トップポジションを堅持してまいります。

ドライヤーカンバス事業においては、海外市場での販売拡大や段ボール製造用コルゲーターベルト「N-Dry®」の販売拡大等に取り組んでまいります。

フィルタークロス事業においては、緻密クロスやリサイクル原料を使用した環境配慮型商品の販売拡大、空気清浄装置分野では新規開発商品の販売拡大等に取り組み、売上・利益の拡大を図ってまいります。 

「機能材料セグメント」では、食品・化成品事業は、主力の食品用増粘安定剤(食品添加物)を配合するブレンド製品(粉体の混合)の生産能力増強と品質向上を目的として、連結子会社である㈱シキボウ堺の新工場が2025年1月に竣工し、生産増強体制が整いました。新工場では、生産能力が現有設備の約2.5倍に拡大するとともに、クリーン度の高い室内環境と製造ラインへの洗浄装置導入により、これまで取り扱いが難しかった食品用増粘安定剤以外の素材等にも製造範囲が広がるため、新たな市場開拓や新規案件の獲得を図ります。また、食品用増粘安定剤は、消費者の「健康志向」や食の多様化により、機能性や利便性を求める食品において需要増加が見込まれることから、当社も「脱臭」、「殺菌」等の付加価値のある商品開発を進め、販売拡大に努めます。

複合材料事業は、航空・宇宙分野で新たなアイテムの製造を受託しており、量産のための製造設備の導入に加え、人材教育を含めた生産体制と品質保証体制の構築を進めます。また、省エネルギーや軽量化が求められるエネルギーインフラ分野では、顧客ニーズに合致した繊維複合材料(FRP)部品等の開発を進め、新規量産品案件の受注を図ります。さらに、複合材料事業の業容の拡大に向けては、今後も市場の成長が見込まれる航空・宇宙分野を主体に、他社との業務提携等についても検討を進めてまいります。

「不動産・サービスセグメント」では、引き続き安定的収益基盤の維持拡充を目指します。不動産賃貸事業、リネンサプライ事業、物流事業を安定的に運営するほか、リネンサプライ事業では新規ホテルの獲得に努め、現在開催中の大阪・関西万博を契機とした更なるインバウンド増を見込み、リネン生産設備更新による効率化と増産体制の構築に取り組んでまいります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) サステナビリティ全般

 ① サステナビリティ基本方針

当社グループは、サステナビリティ経営を推進するにあたって、サステナビリティを巡る取組みについての基本方針を次のとおり定めております。

■サステナビリティ基本方針

シキボウグループは、 経営理念として 「シキボウグループのものづくり技術・ものづくり文化で新しい価値を創造します。―安心・安全・快適な暮らしと環境にやさしい社会の実現へ―」 を掲げています。

また、 2021年度には、創立150周年にあたる2042年をターゲットにした長期ビジョン「Mermaid 2042」を策定し、ありたい姿として「あなたにもっと寄り添い、愛されるシキボウグループへ ・従業員にもっと寄り添い、笑顔あふれる心豊かな人生の実現に貢献します ・お客様にもっと寄り添い、まだ見ぬ世界を当たり前にする技術で貢献します ・地球にもっと寄り添い、持続可能な社会に貢献します」を掲げています。

シキボウグループは、サステナビリティの姿勢を示した、この経営理念及び長期ビジョンのもと、あらゆるステークホルダーと連携し、持続可能な社会の実現と持続的な企業価値の向上を目指します。

シキボウグループの「ものづくり技術・ものづくり文化」によって生み出した、高品質で特長のある、地球にやさしい製品・サービスを通して、環境・社会課題の解決に取り組んでいきます。

 

② 当社グループのマテリアリティ(重要課題)

当社グループでは、当社グループへの影響度、ステークホルダーへの影響度を軸としたマテリアリティマップを作成し、当社グループが取り組むべきマテリアリティを次のとおり特定しております。各マテリアリティと重点活動項目について、具体的な対処方針と目標を定め、それらを事業戦略に組み込み、取組みを進めております。

 

 


 

③ ガバナンス

当社グループにおける損失の危険の管理に関する体制とその運用については、取締役会が「リスクマネジメント基本規程」に定め、これに基づき、リスクマネジメントの最高責任者を代表取締役社長執行役員とし、リスクマネジメントの実効性を高めるために「リスクマネジメント委員会」を設置しております。当委員会は、コーポレート部門担当執行役員を委員長、各部門長を委員とし、ESG(環境・社会・ガバナンス)関連リスクなど当社グループ全体のリスクマネジメントを統括しております。

また、2023年1月には、取締役会決議により「サステナビリティ推進委員会」を設置しました。当委員会は、当社グループ全体のサステナビリティ経営を推進する役割を担い、気候変動をはじめとした地球規模の環境問題への配慮、人権の尊重、従業員を含む全てのステークホルダーへの公正・適正な事業活動など、社会や企業のサステナビリティを巡る課題解決を事業機会と捉え、これに向けた取組みを推進しております。当委員会は、社長執行役員を委員長、各部門長を委員とし、取締役会長及び取締役監査等委員をオブザーバーとしております。

リスクマネジメント委員会とサステナビリティ推進委員会は密接に連携を取っており、両委員会で審議した主要事項を、それぞれ年間に2回以上取締役会に答申・報告し、取締役会は委員会からの答申・報告事項について審議・決議のうえ、 指示・監督を行います。

 

 


 

④ リスク管理

・リスクの識別・評価プロセス

当社グループでは、リスクマネジメント委員会が、気候関連リスクを含む当社グループ全体のリスクについて、経営・財務・事業などへの影響を考慮し、現状のリスクの再評価を行うとともに新規リスクの抽出・評価を行い、重要リスクの特定・見直しを行っております。また、重要リスクについてはリスク対策及びその対策実施のための管理項目・管理目標値を設定し、取締役会に報告、取締役会が管理・監督する体制を執っております。

・リスクの軽減プロセス

特定したリスクについては、そのリスクの軽減のために、リスクマネジメント委員会において対応方針を検討・決定の上、関係部署に周知し、その対応状況をモニタリングしております。

 

(2) 気候変動への対応(TCFD提言の枠組みに沿った情報開示)

当社グループでは、気候変動が当社グループやステークホルダーにもたらす影響の大きさを認識し、「気候変動対策及びその緩和」をマテリアリティ(重要課題)の一つとして特定しております。2023年には、TCFD提言への賛同を表明し、同提言に則った取組みと開示を進めています。

① ガバナンス

気候変動に関するガバナンスは、「(1)サステナビリティ全般 ③ガバナンス」に記載のとおりです。

 

② 戦略

2024年度は、対象範囲を前年度の繊維事業から全事業へと拡大し、TCFD提言で示された各リスク・機会の項目を参考に、気候変動が及ぼすリスク・機会に関して、1.5℃~2℃未満シナリオ及び4℃シナリオにおいて分析を行いました。

1.5℃~2℃未満シナリオにおいては、脱炭素社会への移行に伴い、炭素税の導入や再生可能エネルギーへの転換などの施策・規制が進むことによる事業への影響を想定しております。4℃シナリオにおいては、脱炭素社会への移行が進まず、異常気象の激甚化による洪水被害などの物理的な面での影響を想定しております。

 

1.5℃~2℃未満シナリオ

4℃シナリオ

社会像

2100年までの平均気温上昇を2℃未満に抑えるため、脱炭素社会を実現する施策・規制が実施される世界

2100年までの平均気温が約4℃上昇することにより、気候変動による異常気象の激甚化が進行し、物理的影響が生じやすい世界

参照シナリオ

・IPCC SSP1-1.9
・IEA WEO2024 Net Zero Emissions by
  2050 Scenario

・IPCC SSP5-8.5

対象

全事業

 

 

 

(A)リスク及び機会の影響度と対応策

気候変動シナリオをもとに、当社グループの全事業に与えるリスク・機会に関して、以下の項目を抽出しました。抽出したリスク・機会の項目が、事業に与える影響を定性・定量評価し、その対応策を検討し、リスクの最小化及び機会の最大化に努めております。

当社グループとしては、気候変動リスクの時間軸を短期(~1年)、中期(1年~3年)、長期(3年~26年)とし、リスク・機会が当社グループに与える影響度合としては、財務影響額(大:損益15億円以上、中:損益15億円未満5千万円以上、小:損益5千万円未満)に、人的被害、レピュテーションリスク等を加味して総合的に判断しております。

 


 

(B)主要なリスク及び機会の影響度と対応策

洗い出したリスク及び機会に関しては、それぞれにおいて影響度合いを評価しておりますが、特に影響が大きい主要項目については、より掘り下げた分析を行い、その対応策を検討しております。

 

 

(a)移行リスク:炭素税等の導入・強化

■リスク・機会の認識

1.5℃~2℃未満シナリオにおいては、CO2排出規制強化が進み、自社Scope1、2に対しての炭素税等(カーボンプライシング)の負担増加が想定されます。当リスクについて、以下のとおり財務影響額を試算しました。

財務影響額試算

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(A)2024年と同水準の場合

[財務影響額算定における前提条件]

 

 

 2030年時点:約15億円

 2030年、2050年のGHG排出量を(A)2024年度と同水準と

 2050年時点:約27億円

 した場合と(B)削減目標を達成した場合の2パターンで算定

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(B)削減目標達成の場合

 ■排出量  2024年:71.5千t-CO2e 

 

 

 2030年時点:約11億円

      2030年目標:53.8千t-CO2e、2050年目標:0t-CO2e 

 2050年時点:0円

 ■炭素税  2030年:$140/t-CO2e、2050年:$250/t-CO2e 

 

 

 

           為替レート:$1=150円

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「IEA WEO2024 Net Zero Emissions by 2050 Scenario」参照

 

 

 

 

 

対応策

将来の炭素税リスクに対応すべく、自家消費型太陽光発電設備の設置等による再生可能エネルギーの導入拡大、省エネルギー・生産効率向上施策の推進、原燃料の低炭素化等のGHG排出量削減の取組みを進めていきます。

また、省エネルギーに貢献する製品・加工技術の開発や提供等、多様な視点から取組みを進めていきます。

 

(b)移行リスク:プラスチック製品や梱包材の調達・製造・販売コストの増加

■リスク・機会の認識

1.5℃~2℃未満シナリオにおいては、プラスチック廃棄物削減に向けた規制強化が進み、プラスチックの使用制限やリサイクル義務化の導入・強化により、プラスチックを使用した製品や梱包材の調達・製造・販売に関するコスト増加や市場制約が想定されます。

■対応策

プラスチック製品に対する規制強化に対応するため、環境に配慮した原材料の活用や廃棄時の環境負荷低減に貢献する商材の開発、展開を推進しています。具体的にはリサイクルプラスチックやバイオプラスチック(バイオマスプラスチック・生分解性プラスチック等)を活用した製品の開発、展開を進め、資源循環の促進や廃棄時の環境負荷低減に取り組んでおります。また、製品の軽量化を進め、プラスチック消費量の削減にも取り組んでおります。

プラスチックフィルム等の梱包材についても、リサイクル可能な素材の採用や軽量化を進め、取引先との連携による梱包方法の効率化及び簡素化にも取り組んでおります。

 

(c)移行リスク:ステークホルダーからの気候変動対策と情報開示の要求

■リスク・機会の認識

1.5℃~2℃シナリオにおいては、企業が気候変動に伴うリスク・機会をいかに認識し、対応しているかが一層重視されるようになり、当社グループの企業価値評価に反映されることが想定されます。

■対応策

気候変動対策として、GHG排出量削減目標達成に向け、再生可能エネルギーの導入拡大、省エネルギー・生産効率向上施策の推進、原燃料の低炭素化等の取組みを着実に進めていきます。

また、TCFD提言の枠組みに沿った情報開示の充実、その他気候変動に関する取組みについての情報開示の拡大を進めていきます。併せて、各種イニシアチブへも積極的に参加していきます。

 

 

(d)物理リスク:洪水による設備損壊、操業停止

■リスク・機会の認識

 4℃シナリオにおける環境下においては、異常気象の激甚化により、洪水発生確率が最大になることが想定されます。本年度は対象範囲を全事業に拡大し、国内及び海外の主要生産拠点におけるリスク評価を実施しました。その結果、国内では、㈱シキボウ江南、シキボウリネン㈱本社工場及び岩出第二工場、Jリネンサービス㈱の4拠点、海外では、㈱マーメイドテキスタイルインダストリーインドネシア、湖州敷島福紡織品有限公司の2拠点に浸水リスクがあることが判明しました。浸水により、工場の在庫及び償却資産への被害、工場の操業停止による売上機会損失が想定されます。当リスクについて、以下のとおり財務影響額を試算しました。

財務影響額試算

 

 

 

 

 

 

 

 

約36億円

・国内拠点のリスク評価は、「浸水ナビ」(国土交通省)を使用し検証

 

(国内22億円、
海外14億円)

・海外拠点のリスク評価は、「Aqueduct」(WRI)を使用し検証

 

・財務影響額は、在庫及び償却資産への被害額を算定

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■対応策

 気候変動による物理リスクに対して、ハザードマップを活用した洪水リスクの調査や被害予想額の算定を実施し、リスク回避、軽減のために次のような対応策を実施しております。

  ・防災・減災対策の情報収集強化

 ・海外拠点や外注先も含めた生産拠点の分散化の検討

 ・生産拠点における水害対策の強化検討

 ・保険への加入

 今後は、洪水発生時の被害軽減と迅速な事業復旧のために、BCP対策の更なる強化を進めていきます。

 

(e)機会:CO2排出量削減等に貢献する商材の販売機会の増加

■リスク・機会の認識

 脱炭素社会への移行が加速する中で、CO2排出量削減や資源循環に貢献する商材の需要が増大することが想定されます。また、環境規制の強化や企業のサプライチェーン全体での脱炭素化要求の高まりにより、環境配慮型商材を提供することが、競争優位性の向上につながる可能性があります。

■対応策

 当社グループでは、環境負荷の少ない原材料を用いることや、製造・使用・廃棄時のCO2排出・エネルギー消費の削減等により、環境負荷低減に貢献する環境配慮型商材の開発及び販売拡大に取り組んでおります。

 繊維事業では、栽培時の環境負荷低減(一般品と比べ水消費・CO2排出量・エネルギー使用量を削減)に貢献する「オーガニックコットン」やマイクロプラスチックによる海洋汚染を軽減する生分解性ポリエステル「ビオグランデ®」を使用した商材を開発し、販売しております。また、コットン廃材や廃棄衣類を再利用したバイオマス原料を配合したプラスチックペレット「コットレジン®」を開発し、プラスチックが使用される幅広い用途への展開を想定し、取組みを進めております。

 産業資材事業の主力商材の一つである「フィルタークロス」は、家庭や工場からの排水の懸濁・有害物質を除去するための水処理用として、また大気中のダスト集塵用として、長年、水や大気の環境改善に貢献してきました。同商材の主原料はプラスチックですが、リサイクルポリエステルを使用したフィルタークロスを開発し、販売しております。

 化成品事業の主力商材の一つである「タマリンドシードガム」は、タマリンド(亜熱帯から熱帯にかけて広く生息するマメ科の高木)の種子を原料とする食品用増粘安定剤です。果肉を食用に加工した際に残る種子を粉砕し、精製して製造するアップサイクル商材です。また、同商材の製造工場では、太陽光発電設備の設置や製造プロセスの改善による低炭素化を進めております。

 今後も、規制動向や市場ニーズを踏まえながら、上記の商材を含む多様な環境配慮型商材の開発及び販売拡大と生産体制の整備を進めていきます。

 

 

③ リスク管理

  気候変動に関するリスク管理は、「(1)サステナビリティ全般 ④リスク管理」に記載のとおりです。

 

④ 指標及び目標

 当社グループでは、気候関連問題が経営に及ぼす影響を評価・管理するため、GHG排出量を指標と捉え、GHGプロトコルに基づき算定を実施しております。GHG排出量の削減目標については、当社グループ全体を対象とし、2030年度に2013年度の基準排出量(Scope1、2) 99.6千t-CO2eから46%以上の削減を目標として、その削減に取り組んでいきます。2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、「GHG排出量削減ロードマップ」に従い、排出量削減の取組みを強化していきます。

  また、中期経営計画(2025年度~2027年度)「TG25-27」においては、環境配慮型商材の売上高目標を定め、その開発及び販売拡大に取り組んでおります。

 

(A)気候関連のリスクと機会を評価するために用いる指標及び目標

指標

目標水準

 

 

 

 

 

 

 

 

 

GHG排出量Scope1、Scope2

2030年度:GHG排出量46%以上削減(2013年度基準)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(B)GHG排出量の実績

  排出量実績と2030年度の目標値

データ年度

2013年度

2024年度

2030年度

 

 

Scope1

42.5

33.6

GHG排出量

Scope2

57.1

37.8

(千t-CO2e)

Scope1+2

99.6

71.5

53.8(△46%)

 

 

Scope3

127.9

 

   ※Scope2算定基準:国内拠点はマーケット基準、海外拠点はロケーション基準の排出係数を適用

   ※Scope3算定対象:国内全拠点、Scope3算定カテゴリ:1,2,3,4,5,6,7,11,12,13

 

 

(C)GHG排出量削減ロードマップ

 


 

(3) 人的資本

当社グループでは、「雇用(働きやすさ)」をマテリアリティ(重要課題)の一つとして特定しており、重点活動項目として「ダイバーシティと機会均等」、「労働安全衛生活動の推進」、「人材育成と技術の伝承」、「人権の尊重」を挙げております。

当社グループは、安心・安全・快適な暮らしと環境にやさしい社会を実現させるための新しい価値を創造する「シキボウグループのものづくり技術及びものづくり文化」の基盤が、人材にあることを確認するとともに、人材の活用及び職場環境の整備を通じて、ものづくり技術とものづくり文化の発展に取り組むために、人材育成及び社内環境整備のためのシキボウグループ人的資本方針を定めております。

 

① 戦略

 当社グループにおける人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、以下のとおりです。

■シキボウグループ人的資本方針

人材育成及び社内環境整備の体制

責任者 コーポレート部門担当執行役員

担当部署 コーポレート部門総務人事部

目標の設定・計画の実施

経営戦略との整合性を念頭に組織の強み及び解決すべき課題を定期に分析・検討し人材の活用及び職場環境の整備の目標を設定します。設定された目標を実現するための計画を策定し、これに取り組みます。

評価・レビュー

定期的な取締役会によるレビューを通じ、目標及び取組みの結果の見直しをします。

 

・人材育成方針

1.多様な人材の活用

様々な価値観・背景をもつ人材がもたらす相乗効果によってシキボウグループのものづくり技術及びものづくり文化がさらに発展していくという信念のもと、国籍、性別、年齢、障がいの有無、雇用・就労形態、性自認や性的指向等を問わず、意欲と能力のある人材の活躍推進を図るとともに、子育て、介護、病気等、様々な事情を抱えても十分に能力が発揮できるよう、職場風土の醸成や役員・従業員の意識改革に取り組みます。

2.人材の育成

労働力人口が減少していくなか、企業が競争力を高め、持続的成長を実現していくために、従業員がその個性や能力を活かし活躍できるように努めます。従業員の育成にあたっては、OJT、OFF-JT、多様な教育機関が提供する社外での学び直し等を効果的に組み合わせ、それらを通じて従業員が自律的なキャリア形成と能力開発・スキルアップに取り組みます。

・職場環境の整備

1.安全衛生

従業員の安全衛生もまた経営理念として第一に考慮するべき経営課題であり、職場の安全衛生を維持・向上させるため安全衛生管理体制の充実に取り組みます。人はミスをするとの前提に立ち、ミスをしても安全が確保される環境及びミスを防ぐ環境が整備されるよう取り組みます。各職場で得られた安全衛生に関する知見はシキボウグループの重要な資産として、グループ全体で共有し、安全衛生の向上に取り組みます。

2.ハラスメントの防止、メンタルヘルス

ハラスメントのない職場にするため、ハラスメント防止研修を実施するとともに、万が一ハラスメントが起こった場合に備え従業員が利用しやすい対応体制を整備運用し、ハラスメントを許さない企業風土の醸成に取り組みます。

3.労働関係法令の遵守

シキボウグループの各職場において国や地域を問わず労働関係法令が遵守されるよう体制の整備運用に取り組みます。

シキボウグループにおける労働法規の遵守に関する相談のための窓口を整備し、法令等の違反の早期発見及び是正をいたします。

4.公正な人事・処遇制度

多様な就労形態に対応するために、従業員の仕事内容や、成果、組織への貢献度、将来の役割への期待等を十分に考慮した、公正な人事・処遇制度の整備運用に取り組みます。

5.働き方改革

労働時間の削減と同時にアウトプットの最大化を目指し、従業員一人あたりの仕事の付加価値を高めることで労働生産性の向上とシキボウグループの成長につながるよう整備運用に取り組みます。

また、仕事と子育て、介護、病気等の両立に向けて、より柔軟な働き方が可能となるような制度の整備・拡充等、誰もが働きやすく、働きがいのある職場環境の整備に取り組みます。

6.健康経営

シキボウグループで働くすべての人が、心身ともに健康であることが、職場の活性化、ひいては、企業価値の向上につながるとの信念のもと、従業員の健康の向上に向けての制度の整備運用に取り組みます。

7.従業員との対話

従業員がいきいきと充実して働くことができる職場環境は、会社と従業員との協働により実現ができるとの信念のもと、従業員との対話を通じて職場環境の改善に関する制度の整備運用に取り組みます。

 

この方針は、シキボウグループで働く全ての人に周知するとともに、一般にも公開します。

この方針は、社内外の環境の変化及び取締役会のレビューの結果を踏まえ定期的に見直します。

 

 

② 指標及び目標

当社グループでは、上記「①戦略」において記載した人的資本方針にもとづいて、目標を設定して取組みを進めていきます。

なお、連結グループ各社の事業内容などが多岐にわたり、グループ全体での同一の目標設定が難しいことから、現段階では単体のみの指標及び目標として、当社では女性活躍推進法における行動計画を策定し、次の目標に向けて取り組んでおります。

 

目標1 採用活動においては人物本位の選考とし、女性の積極的な採用を進める

 

当社では総合職採用における女性の割合は、2022年38.1%、2023年26.0%、2024年11.5%となっております。今後、女性の積極的な採用を進めていきます。

目標2 女性管理職の割合5%以上

 

当社では管理職に占める女性従業員の割合を5%とする目標を掲げ、2025年3月時点での実績は5.7%となっております。

当社においては、女性活躍推進の一環として、女性従業員を対象にした研修を2019年から毎年実施しております。社内ネットワークの構築、自らのキャリア形成、職場課題について考え、行動することで、それぞれの成長を促すとともに、リーダー層の育成を図っております。これらの取組みをはじめ、すべての人材が活躍できる環境づくりをグループ全体に進めていきます。

目標3 男性の育児休業(育児休職)取得率50%以上

 

当社では男性の育児休業取得率を50%以上とする目標を掲げ、2023年40.0%、2024年50.0%、2025年80.0%となっております。

今後も男性の働き方の見直しや該当者の上司への通知などを進めていきます。

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 当社グループのリスクマネジメント体制

当社グループでは、当社グループにおける損失の危険の管理に関する体制とその運用を「リスクマネジメント基本規程」に定め、リスクマネジメントの最高責任者を代表取締役社長執行役員とし、リスクマネジメントの実効性を高めるために、当社コーポレート部門担当執行役員を委員長とする「リスクマネジメント委員会」を設置し、基本方針の決定、リスクアセスメントの実施、優先リスクの選定、リスク対策計画の承認及び対策結果の確認、レビューの実施などリスクに対して適切な管理を行い、リスク発生の未然防止、リスクが顕在化した場合は、被害の拡大防止などを図っております。また、グループ全体のリスクを識別し、重要リスクについてはリスク対策及びその対策実施のための管理項目・管理目標値を設定し、取締役会に報告、取締役会が管理・監督する体制を執っております。

 

(2) 個別リスク

① 市況変動に関するリスク

当社グループは、繊維事業・産業材事業・不動産・サービス事業を行っており、様々な市場に向けて、製品及びサービスを提供しております。当社グループにおいて、市場の変化に的確に対応し、競争力の維持拡大に努めてまいりますが、急激な世界経済情勢の変化等により景気が悪化、市況が変動した場合、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 原材料・燃料価格の変動・調達に関するリスク

当社グループは、製品の主・副原料として合成繊維及び燃料として重油等の石油化学製品を用いているため、原油価格に急激な変動や自然災害等により調達が困難になる場合、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 為替相場の変動に関するリスク

当社グループは、原材料及び製品を海外から輸入しております。為替相場の変動によるリスクをヘッジする目的で為替予約を行っておりますが、リスクヘッジにより為替相場変動の影響を緩和することは可能であっても、影響を完全に排除することは不可能であります。また、在外子会社等の財務諸表項目の円換算において、為替相場変動の影響があります。為替相場の大幅な変動があった場合には、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 金利変動に関するリスク

当社グループは、有利子負債による資金調達を実施しております。有利子負債の圧縮に努め、また、金融機関からの借入については、金利スワップ取引により、金利変動リスクの圧縮に努めております。しかしながら、金利市場に急激な変化が生じた場合には、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 固定資産の減損に関するリスク

当社グループは、土地をはじめとする生産設備などの有形固定資産や無形固定資産を保有しております。それぞれの資産の時価の下落、事業環境の著しい変化、収益性の低下などにより、固定資産の減損損失の計上を余儀なくされた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 規制、コンプライアンスに関するリスク

当社グループは、国内外において様々な法規制の適用を受けております。法令遵守と企業倫理遂行の立場を明確にするため、行動規範、行動指針及び行動基準を定め、全グループ役員・従業員への浸透を図っております。また、コンプライアンス活動を統括する組織として、代表取締役社長執行役員を委員長とし当社の取締役・執行役員・幹部社員及び当社グループ子会社各社の代表者を委員とする「コンプライアンス委員会」を設置しております。定期的な活動としては、「コンプライアンス本委員会」及び子会社各社の実務担当者を対象とした「コンプライアンス小委員会」を開催し、グループ全体のコンプライアンス体制の整備・運用の状況をチェックするとともに、法令・社内規程を周知徹底するための教育訓練等を行っております。しかしながら、法規制等の変更により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 情報セキュリティに関するリスク

当社グループは、事業上の機密情報、顧客情報、個人情報等を保有しております。これらの情報の取扱に関するルール等を整備し、情報セキュリティの強化・確保を図っておりますが、高度化する社外からの脅威によってウイルス感染、サイバー攻撃等で事業運営に影響が出た場合、社会的信用の失墜などにより当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ 気候変動に関するリスク

気候変動の影響については自然災害の増加等を引き起こすことはもちろん、CO2をはじめとする温室効果ガス(GHG)排出に対する政策、法規制及び炭素税導入により、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。一方、気候変動に関する政策等の強化により、省エネ・温室効果ガス排出削減に貢献する技術や製品・サービスの需要が拡大することが予想され、当社グループのビジネス機会が増加する可能性があります。気候変動のサステナビリティに関する取組みについては、第2[事業の状況]2[サステナビリティに関する考え方及び取組](2)気候変動への対応(TCFD提言の枠組みに沿った情報開示)に記載しております。

 

⑨ 自然災害(感染症を含む)、事故、労働災害発生に関するリスク

当社グループは、国内外に事業所・工場などの施設を有しております。重要な事業活動の継続のため、BCP(Business Continuity Plan)を策定しておりますが、地震、水害等の大規模な自然災害、未知の感染症によるパンデミックの発生は、当社グループの従業員及び施設に直接的な被害を及ぼし、生産活動の停止だけでなく、原材料等の調達、流通の混乱等による間接的な被害をもたらし、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループでは、従業員の安全管理については、日々安全管理を徹底するとともに、事故・労働災害を未然に防ぐため様々な対策を実施しておりますが、事業活動に伴う事故災害により、人的損害あるいは重大な物的損害が発生した場合は、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。 

 

⑩ 人材の確保に関するリスク

当社グループが持続的成長していくには、優秀な人材の確保が重要な経営資源の1つであると認識しております。少子化などにより人材採用の競争は激化しており、グローバルに活躍できる人材、高度な専門性を有した人材などを採用・育成できない場合は、将来の当社グループの事業運営に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑪ 政治、地政学変動に関するリスク

当社グループは、インドネシア、中国、台湾、ベトナム等においても生産を行っております。そのため、社会情勢等の変化、各国における各種法令・規制の変更等により、事業運営にも大きく影響いたします。

加えてロシアによるウクライナ侵攻をめぐる国際情勢の変化により、原材料及びエネルギー価格の高騰、物流の混乱が生じる事態は、事業運営に大きく影響いたします。

そのような状況が生じた場合は、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

なお、上記以外にも様々なリスクが考えられ、ここに記載したものがすべてのリスクではありません。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度の当社グループに関する財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下のとおりであります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営成績

当連結会計年度におけるわが国経済は、物価上昇継続等の影響により、一部に足踏みが残るものの、雇用・所得環境の改善もあり、経済活動は総じて緩やかな回復基調で推移いたしました。一方、ウクライナ情勢や中東情勢悪化の長期化、アメリカの通商政策、原材料やエネルギー価格の高止まり等、景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。

このような経営環境のもと、当社グループは、中期経営計画「ACTION22-24」において、長期ビジョンの実現に向けた成長スピードをさらに加速させることとし、最終年度となる本年度も新たに創ること、新たに取り組むことに挑戦いたしました。

「経営基盤の強化」としては、新中核事業と位置付ける化成品事業において主力の食品用増粘安定剤の販売拡大に向けた㈱シキボウ堺の新工場が2025年1月に竣工し、生産増強体制が整いました。また、リネンサプライ事業では、2023年12月に竣工したシキボウリネン㈱岩出第一事業所の新工場はインバウンドによる需要増への体制が整い、フル稼働しております。海外市場の開拓については、台湾、ベトナムの拠点整備を進めました。

以上の結果、売上高は390億87百万円(前連結会計年度比1.0%増)、営業利益は13億46百万円(同5.8%減)、経常利益は設備投資等の資金調達に伴うアレンジメントフィーの発生や為替差益の減少等により10億47百万円(同20.8%減)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、当期は特別利益として政策保有株式の売却益を計上したことにより、9億14百万円(同14.2%増)となりました。

 セグメント別の概況は、次のとおりです。

 

   (繊維セグメント)

原糸販売事業は、海外販売は堅調に推移しましたが、国内産地の需要低迷と原料価格の高騰により、苦戦いたしました。

輸出衣料事業は、中東市場の好況及び円安を背景に、中東民族衣装用生地販売が好調に推移した結果、前期比で大幅な増収となり、利益に大きく貢献いたしました。

ユニフォーム事業は、本年度は価格改定が順調に進みました。第3四半期以降は顧客における在庫調整の影響が緩和され、通気性・吸水性・速乾性を極めた機能素材「アゼック®」等を用いた企業別注ユニフォームや、環境対策素材を中心とした高付加価値商品の販売好調により、利益は大きく改善いたしました。

ニット製品事業は、不採算アイテムの撤退を含む取引の見直し等により減収となりました。

生活資材事業は、リビング分野では顧客の在庫調整により市況が振るわず苦戦いたしましたが、官需物件や高付加価値商品の販売等により、利益は改善いたしました。リネン資材分野では、病院・介護施設向けリネンの受注が進み、堅調に推移いたしました。

以上の結果、当連結会計年度の売上高は201億84百万円(前連結会計年度比1.4%増)、営業利益は2億42百万円(前連結会計年度は2億77百万円の営業損失)となりました。

 

 

   (産業材セグメント)

産業資材部門では、ドライヤーカンバス事業は、カンバスの国内販売、輸出に加えてコルゲーターベルト販売が堅調に推移いたしました。フィルタークロス事業は、官公需は堅調に推移いたしましたが、民需は一部業種向けの需要が低調に推移し、製造原価上昇も相まって苦戦いたしました。さらに空気清浄装置分野では、大口の機器販売の減少等により減収となりました。

機能材料部門では、化成品事業は中国向けの化学品需要が堅調に推移し、それに加えて食品用増粘安定剤が好調に推移した結果、増収となりましたが、原材料やエネルギー価格の高騰、設備投資による減価償却費が利益を押し下げました。複合材料事業は、航空機用途向け部品については顧客の在庫調整の影響を受けておりますが、新規案件を受注できたことにより堅調に推移いたしました。しかしながら利益については、製造原価の上昇により縮小いたしました。

以上の結果、当連結会計年度の売上高は134億68百万円(前連結会計年度比0.2%減)、営業利益は1億89百万円(同65.9%減)となりました。

 

   (不動産・サービスセグメント)

不動産賃貸事業は堅調に推移いたしました。リネンサプライ事業は、エネルギー価格及び人件費の上昇による影響を受けましたが、インバウンド需要増によるホテルの稼働率向上に加えて、生産設備更新による生産効率向上もあり、利益に貢献いたしました。

以上の結果、当連結会計年度の売上高は61億円(前連結会計年度比3.5%増)、営業利益は19億80百万円(同0.1%増)となりました。

 

(2) 財政状態

  (資産)

流動資産の当連結会計年度末の合計は257億94百万円となり、前連結会計年度末に比べ12億2百万円の増加となりました。これは主に、現金及び預金、未収消費税等の増加によるものであります。

 固定資産の当連結会計年度末の合計は598億16百万円となり、前連結会計年度末に比べ11億8百万円の増加となりました。これは主に、有形固定資産に含まれる建物及び構築物、機械装置及び運搬具の増加によるものであります。

 その結果、当連結会計年度末の総資産は、856億11百万円となり、前連結会計年度末に比べ23億11百万円の増加となりました。

 

   (負債)

 流動負債の当連結会計年度末の合計は172億11百万円となり、前連結会計年度末に比べ16億90百万円の減少となりました。これは主に、有利子負債の減少によるものであります。

 固定負債の当連結会計年度末の合計は331億61百万円となり、前連結会計年度末に比べ28億44百万円の増加となりました。これは主に、有利子負債の増加によるものであります。

 その結果、当連結会計年度末の負債は、503億72百万円となり、前連結会計年度末に比べ11億53百万円の増加となりました。

 

   (純資産)

 当連結会計年度末の純資産は、352億38百万円となり、前連結会計年度末に比べ11億57百万円の増加となりました。これは主に、新株予約権の行使に伴う資本金、資本剰余金の増加によるものであります。

 その結果、自己資本比率は前連結会計年度末に比べ0.2ポイント増加し、41.1%となりました。

 

(3) キャッシュ・フロー

   (営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において営業活動による資金は、21億7百万円の増加(前連結会計年度は35億49百万円の増加)となりました。主な要因は、税金等調整前当期純利益12億37百万円、減価償却費20億21百万円によるものであります。

 

   (投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において投資活動による資金は、27億65百万円の減少(前連結会計年度は27億3百万円の減少)となりました。主な要因は、有形固定資産の取得29億42百万円による減少であります。

 

   (財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において財務活動による資金は、10億73百万円の増加(前連結会計年度は5億9百万円の減少)となりました。主な要因は、外部借入調達及び社債発行78億37百万円による増加、新株予約権の行使による株式の発行9億63百万円による増加、外部借入返済及び社債償還66億32百万円による減少、配当金の支払い8億96百万円による減少であります。

 

その結果、資金は5億13百万円の増加(前連結会計年度は3億81百万円の増加)となり、期末残高は58億16百万円(前連結会計年度は53億3百万円)となりました。

 

(キャッシュ・フローの指標)

当社グループのキャッシュ・フロー指標トレンドの推移は以下のとおりであります。

 

2023年3月

2024年3月

2025年3月

自己資本比率(%)

40.6

40.9

41.1

時価ベースの自己資本比率(%)

14.2

16.1

14.8

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

22.4

7.2

12.7

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

5.2

16.3

8.2

 

(注) 自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

※各指標は、いずれも連結ベースの財務諸表により算出しております。

株式時価総額は、自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。

キャッシュ・フローは、営業キャッシュフローを利用しております。

有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を払っている全ての負債を対象としております。

 

(4) 生産、受注及び販売

 ① 生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前連結会計年度比
(%)

繊維

18,590

△0.5

産業材

11,322

2.9

不動産・サービス

合計

29,912

0.8

 

(注) 1 金額は外注加工(材料費部分を含む)を含んでおります。

2 金額は製造原価により算出しております。

 

 

② 受注状況

  該当事項はありません。

 

③ 販売実績

    当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前連結会計年度比
(%)

繊維

20,179

1.4

産業材

13,468

△0.2

不動産・サービス

5,439

2.9

合計

39,087

1.0

 

(注) 上記金額は、セグメント間取引の相殺消去後の金額であります。

 

(5) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

  ① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは、第5[経理の状況]1[連結財務諸表等](1)[連結財務諸表]「注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営成績の分析

(売上高、営業利益)

当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ4億5百万円増加の390億87百万円、また、営業利益は前連結会計年度に比べ82百万円減少の13億46百万円となりました。

なお、セグメント別の詳細につきましては、「(1)経営成績」に記載のとおりであります。

(単位:百万円)

 

売上高

営業利益

2025年3月期業績予想

2025年3月期実績

増減

2025年3月期業績予想

2025年3月期実績

増減

繊維

21,500

20,184

△1,315

100

242

142

産業材

13,800

13,468

△331

500

189

△310

不動産・サービス

6,000

6,100

100

1,900

1,980

80

調整

△600

△667

△67

△900

△1,066

△166

連結合計

40,700

39,087

△1,612

1,600

1,346

△253

 

 

当社グループは、2025年3月期の業績予想を売上高407億円、営業利益16億円と予想して活動してまいりましたが、売上高については、繊維セグメントにおけるユニフォーム事業の上期における顧客の在庫調整、生活資材事業のリビング分野における市況低迷の影響により、減収となりました。営業利益については、繊維セグメントにおける輸出衣料事業の好調やユニフォーム事業の価格改定が進んだことによる利益貢献はありましたが、㈱シキボウ堺の新工場建設による先行費用や、基幹システム更新のための情報システム投資費用の増加により、苦戦いたしました。

 

また、中期経営計画比では、次のとおりとなりました。

 

 2025年3月期 中期経営計画・実績対比

                                   (単位:億円)

 

売上高

営業利益

経常利益

親会社株主に
 帰属する
 当期純利益

 

 

中期経営計画値(A)

420

25

22

15

 

実績値(B)

390

13

10

9

 

差異(B-A)

△29

△11

△11

△5

 

達成率(%)

93.1

53.9

47.6

61.0

 

 

 

売上高については、繊維セグメントは輸出衣料事業の大幅増収の一方で、ニット製品事業、生活資材事業が苦戦し、産業材セグメントは化成品事業の増収、不動産・サービスセグメントはリネンサプライ事業が好調であったものの、ゴルフ場事業の株式譲渡の減収により、計画値は未達となりました。

 

 2025年3月期 セグメント別 売上高の中期経営計画・実績対比

                                  (単位:億円)

 

2025年3月期

2025年3月期

差 異

(A)計画

(B)実績

(B)-(A)/達成率

繊 維

230

201

△29

87.8%

産業材

132

134

+2

102.0%

不動産・サービス

64

61

△3

95.3%

調 整

△ 6

△ 6

△0

連結合計

420

390

△29

93.1%

 

 

営業利益については、繊維セグメントは価格改定が進んだものの、売上高減少により未達となりました。産業材セグメントは原材料やエネルギー価格の高騰が進む中、価格改定が進まず、大幅な未達となりました。また、基幹システム更新のデジタル投資等を含む全社費用が利益を押し下げ、計画値は未達となりました。

 

 2025年3月期 セグメント別 営業利益の中期経営計画・実績対比

                                  (単位:億円)

 

2025年3月期

2025年3月期

差 異

(A)計画

(B)実績

(B)-(A)/達成率

繊 維

5

2

△2

48.5%

産業材

8

1

△6

23.7%

不動産・サービス

19

19

+0

104.3%

調 整

△7

△10

△3

連結合計

25

13

△11

53.9%

 

 

 

[営業利益の増減要因]

 


 

(経常利益)

当連結会計年度の営業外収益は、為替差益が68百万円減少したこと等により、前連結会計年度に比べ79百万円減少の1億45百万円となりました。また、営業外費用は、設備投資等の資金調達に伴うアレンジメントフィーを81百万円計上したこと等により、前連結会計年度に比べ1億13百万円増加の4億44百万円となりました。

この結果、当連結会計年度の経常利益は、前連結会計年度に比べ2億74百万円減少の10億47百万円となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度の特別利益は、政策保有株式の売却益を3億5百万円計上したこと等により3億15百万円となりました。特別損失は、貸倒引当金を92百万円計上したこと等により1億26百万円となりました。

また、法人税等合計は、前連結会計年度に比べ1億60百万円減少の3億23百万円、非支配株主に帰属する当期純損失は、前連結会計年度に比べ0百万円減少の△0百万円となりました。

この結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ1億13百万円増加の9億14百万円となりました。

 

  財政状態の分析

当連結会計年度の財政状態の分析につきましては、「(2)財政状態」に記載のとおりであります。

 

キャッシュ・フローの分析

当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(3)キャッシュ・フロー」に記載のとおりであります。

 

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、第2[事業の状況]3[事業等のリスク]に記載のとおりであります。

 

 

当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、以下のとおりであります。

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入のほか、製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。また、投資を目的とした資金需要は、設備投資によるものであります。

当社グループは、財務の健全性や資本効率の向上を追求しながら、株主への適正な利益還元を実施するとともに、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

短期運転資金につきましては自己資金及び金融機関からの短期借入金での調達によるものであり、設備投資や長期運転資金の調達につきましては金融機関からの長期借入金及び私募債での調達によるものであります。

なお、当連結会計年度末における借入金、社債及びリース債務の有利子負債の残高は268億20百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は58億16百万円となっております。

 

5 【重要な契約等】

ローン契約に付される財務上の特約

当社の借入金のうち、以下の契約については、財務上の特約が付されており、これに抵触した場合は、期限の利益を喪失する可能性があります。

 

(1)コミットメントライン契約

会社名

契約締結日

相手方の属性

当連結会計年度末の債務残高
(百万円)

コミットメント期限

担保の内容

当社

2020年9月16日

都市銀行、信託銀行、
地方銀行、系統金融機関、
その他 計15行

5,600

2025年9月25日

無担保

 

 

(2)金銭消費貸借契約

会社名

契約締結日

相手方の属性

当連結会計年度末の債務残高
(百万円)

弁済期限

担保の内容

当社

2008年10月28日

都市銀行

3,107

2029年3月21日

土地、建物、預金(質権)

 

 

上記契約についての財務上の特約の内容は、以下のとおりです。

①各年度の決算期の末尾における単体の貸借対照表における純資産の部の金額を前年同期比75%以上に維持する。

②各年度の決算期における単体の損益計算書に示される経常損益が2期連続して損失とならないようにする。

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループでは、中期経営計画「TG25-27」において“繊維で培った技術・経営資源をもとに、新たな価値を創造し更なる成長を実現する”とし、基本方針にある「新中核事業の成長・拡大」では、新たな成長の芽の育成・研究開発推進を掲げており、既存事業の発展と新規事業の育成を推進すべく、積極的に研究開発を進めております。

 

(繊維セグメント)

繊維セグメントでは、紡績糸の開発は富山工場、㈱ナイガイテキスタイルで行い、織・編・加工並びに各種繊維製品の研究開発は㈱シキボウ江南内にある当社開発技術部で行っております。

抗ウイルス加工「フルテクト®」については、様々な繊維製品に対応した加工開発を進めております。㈱シキボウ江南は、NITE(ナイト)「独立行政法人製品評価技術基盤機構」より、JNLA「産業標準化法試験事業者登録制度」におけるJIS L1902抗菌性試験、ならびにJIS L1922繊維製品の抗ウイルス性試験を行う試験事業所として2022年6月に認定されており、抗菌性試験や抗ウイルス性試験を行っております。

消臭剤「デオマジック®」については、臭気対策として大手製紙工場、畜産現場、産業廃棄物処理場やバイオマス発電所で採用されており、使用済み紙おむつのマテリアルリサイクルに関わる消臭技術の開発にも共同で取り組んでおります。

また、女性従業員で構成するフェムテックプロジェクトチームと連携し、女性の快適性を追求して開発した経血対応の防臭加工「フェミュー®」や防汚加工「ノアード®」も好評を得ております。更なる快適性を追求し開発を進めてまいります。

環境配慮型素材としては、サーキュラーエコノミーの実現に向けた取組みとして、バイオプラスチックペレット「コットレジン®」の開発を進めております。「コットレジン®」は、廃棄されるコットンの繊維製品や端材を微粉末化し、リサイクルセルロースマイクロファイバーとしてプラスチックに混練することにより、従来のプラスチックよりも強度が向上したバイオマス素材配合プラスチックです。2025年3月に㈱シキボウ江南にコットンの繊維製品・端材を微粉末化する設備を導入し量産化が可能となりました。2024年10月に幕張メッセ、2025年5月にインテックス大阪で開催された「サステナブルマテリアル展」にも出展し、自動車部品、建材、電化製品、日用品などの用途向けにバイオマス素材配合プラスチックとして様々な業界から反響をいただき、取組みを進めております。あいちサーキュラーエコノミー推進プロジェクトチームにも参画し、産官学連携・共創により新たな循環の創出に取り組んでおり、加えてプラスチック成型メーカーなど異業種との取組みにより製品開発や販促を進めてまいります。

繊維セグメントの当連結会計年度の研究開発費は、190百万円であります。

 

(産業材セグメント)

産業資材部門では、研究開発は敷島カンバス㈱の研究開発部で行っております。

ドライヤーカンバス事業では、製造工程で生じる端材の再資源化プロセスの確立を進め、資源循環させたリサイクル原料を配合した原糸を開発中です。また、石油由来である主原料のPET使用量と使用済み製品の廃棄量の削減両方にメリットがある軽量カンバスの開発と実用化を進めております。

コルゲーターベルト分野では、乾燥効率のアップ、使用期間の延長や騒音の低減が期待出来るニードルベルト「N-Dry®10」の採用実績が増えつつあり、今後更なる拡販に向け、量産対応と生産効率アップに向けた開発を進めてまいります。

フィルタークロス事業では、近年 微細な粒子の捕捉に対するニーズが高まっており、当社では極細繊維を使用し高密度に織り上げた「脱水機用緻密クロス」を開発、販売を開始しました。また環境配慮商品として、ケミカルリサイクルPETとマテリアルリサイクルPETの組合せによりリサイクル率が50%以上となるベルトプレス用クロスや、マテリアルリサイクルPPを使用したフィルタークロスを開発し、エコマーク認定の申請準備を開始しております。

空気清浄装置分野では、顧客ニーズへの対応取り組みとして小型オイルミスト除去装置の改良・販売や自動巻取型防虫フィルター装置の開発を強化してまいります。

製造業各社からのニーズに応えるべく、既存製品の改良・新製品の開発に努めるとともに、リサイクル製品の開発など、地球環境へ配慮した製品開発を強化してまいります。

機能材料部門では、化成品事業については㈱シキボウ堺を拠点に、複合材料事業については中央研究所を拠点に開発を行っております。

化成品事業では、食品用増粘安定剤(食品添加物)の用途拡大に向けた研究開発を進めております。食物繊維素材として利用されるサイリウムシードガムは、主に整腸機能などの健康食品として利用されており、アレルゲン物質を含まないゲル化剤として、高齢者向けの嚥下剤としての使用や、加工食品などの用途では保水機能を活かした離水防止剤として利用できるように開発を進めております。また増粘多糖類の脱臭品では、これまでに豆由来の臭気を低減した商品を開発し、冷菓や飲料用途向けに採用を頂いていることから、新たな豆類でも臭気物質を分離する研究を行い、商品開発に取り組みます。

複合材料事業では、航空・宇宙分野やエネルギーインフラ分野などに向けて繊維強化複合材料の研究開発を行っております。航空・宇宙分野では、航空機エンジンの熱効率向上や軽量化を目的に、セラミック繊維を用いた複合材料用基材(CМC基材)の開発に取り組むとともに、軽量化が求められる構造物では特殊繊維を用いた部材の開発などを進めております。また、エネルギーインフラ分野では、耐熱性を有する樹脂や加工方法の開発を進めております。当事業では、国内の企業に限らず、海外のユーザー企業、大学や研究機関との連携も強めながら、各用途に最適な材料の開発に取り組んでまいります。

産業材セグメントの当連結会計年度の研究開発費は201百万円であります。

 

以上の結果、当連結会計年度の研究開発費は392百万円であります。