経営の基本方針としては、当社は、鉄鋼資源のリサイクルを通じ、省エネルギーと省資源に努め、環境の保全に貢献していく。
中期的な会社の経営戦略としては、当社は、鉄スクラップの高度利用を推進するとともに、需要家のニーズに応えるべく、製品の多様化と生産性・品質の向上を進めてきた。引き続き、鉄鋼資源のリサイクルが重要使命の一つであるとの認識に立ち、生産面においては、生産性と品質の向上をさらに進めるとともに一層のコストダウンをはかり、営業面では、機動的な販売・物流体制をとることで顧客満足度のさらなる向上に努めていく。また、将来に向けての経営基盤の一層の安定をはかるため、キャッシュ・フローを重視した経営を推進するなかで、不要資産の整理を徹底的に進めるなど、財務内容をより強固なものとするよう取り組んでいる。
目標とする経営指標としては、経済のグローバル化が進み、さらに競争の激しい時代を迎えて、投資を的確かつ機動的に行っていくことがますます重要となっている状況のなかで、当社は、キャッシュ・フローへの貢献度を個々の事業推進のための経営判断の指標と捉えることで、内部留保の一層の充実をはかり、将来の必要な投資を的確に実行できる、より強固な経営基盤の構築に努めていく。
今後の見通しについては、中国からの高水準の鉄鋼輸出や、米国に端を発する関税政策の国際的な応酬などが、海外鋼材市況へ悪影響を及ぼすことが懸念されることに加え、国内においても鋼材需要の回復には、いまだ時間を要するとみられることから、予断を許さない情勢が継続するものと思われる。
こうした情勢のもとでも、当社としては、他分野で広がる電炉鋼材へのニーズに応えるための製品ラインナップ拡充に努めるとともに、取引先の多様化を推進するなど、脱炭素・資源循環の意識の高まりから生じる当社製品への需要の確実な取り込みをはかっていく。さらに全社一丸となって、使用原単位の低減を一段と進めるなど、徹底したコストダウンをはかることで、競争力の一層の強化に努めていく。
近年、社会全体での脱炭素シフトが不可逆的なものとなり、鉄鋼業において電炉の存在が不可欠であるという認識が確かなものとなりつつある。こうした変化の中、当社においては、昨年7月に低CO2鋼材「ほぼゼロ」の販売を開始し、各業界より好評をもって迎えられたほか、8月に田原工場で酸洗コイルの生産を再開するなど、電炉製品拡大への先鞭をつけるにいたった。今後も、わが国の貴重な資源である鉄スクラップを、より付加価値の高い鉄鋼製品へと「アップサイクル」させるチャレンジを進め、「循環型社会」「脱炭素社会」の実現に積極的に貢献していく。
当社は日々、弛まぬコストダウンと品質向上への取り組みを強力に推進し、条鋼類・鋼板類ともに、多様化する需要家のニーズにお応えしながら、貴重な国内資源である鉄スクラップの高度利用を一段と加速することで、さらなる業績の向上を実現するため、全社一丸となって、ますます尽力する所存である。
文中における将来に関する事項は、当事業年度末(2025年3月31日現在)において当社が判断したものである。
当社は、顕在化しているサステナビリティ課題に対し、取り組むべき重要課題(マテリアリティ)について、「気候変動」「資源循環」「安全・環境・品質」「コーポレートガバナンス」の4つを特定している。 当社事業である電炉鋼材の生産・販売を拡大させることは、サプライチェーン全体でのCO2排出量の削減や、鉄スクラップの有効利用による再資源化の促進に寄与するものである。当社は、脱炭素社会の実現や循環型社会の構築といった社会からの要請が高い課題に対して、様々なステークホルダーとの協働を通じて積極的に取り組んでいく。

当社のマテリアリティマップ
当社のサステナビリティ課題に関わるリスク・機会とその対応策は、経営会議など社内執行会議体で審議され、重要課題については、取締役会へ付議・報告される。当社の取締役会は、取締役(監査等委員であるものを除く)2名、監査等委員である取締役3名(内、社外取締役2名)で構成され、そのうち2名は「ESG・安全環境」及び「人事組織」について深い専門性を有している。
気候変動を含む環境課題に関しては、事業全般において、ガバナンスの役割、環境負荷の低減並びに良好な環境確保をはかることを目的とした環境管理を総合的に推進するために、以下の通り環境管理体制を組織化し、環境基本方針に基づき、継続的な改善を推進している。なお、中央環境委員会・全社カーボンニュートラル推進委員会の委員長は代表取締役社長、各工場の環境委員会・カーボンニュートラル推進委員会の委員長は工場長が務めている。
サステナビリティ・ガバナンス

当社の環境管理体制図
気候関連課題を含む環境問題に関するガバナンスの役割
●取締役会・経営会議:取締役会・経営会議には取締役及び執行役員が出席し、中央環境委員会及び全社カーボンニュートラル推進委員会で特定された、気候変動を含む環境課題に関するリスク・機会についての対応を監督し、対応すべきリスク・機会の優先度や、その対応策の適切性の確認、目標の承認などを実施する。また、国内4工場(田原工場、岡山工場、九州工場、宇都宮工場)における具体的な環境マネジメントの施策について最終決定を下す権限を有している。
なお、取締役会は、取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するため、取締役会決議に基づき、業務を執行するとともに、業務の執行の状況等につき取締役会に報告を行うこととし、取締役及び執行役員相互の職務執行を監督する体制を整備している。経営会議は、原則毎月開催され、年次・四半期及び月次の各決算につき、予算の進捗状況を把握し、業務の管理を行うとともに、各部門が実施すべき具体的な施策を決定し、業務執行の効率化を図っている。
●代表取締役社長:取締役会・経営会議の議長であり、中央環境委員会及び全社カーボンニュートラル推進委員会の委員長を務める。特定されたリスク・機会のレビュー、策定された長期環境ビジョン「Tokyo Steel EcoVision 2050」の実現に向けた短期・中長期目標・アクションプランの進捗状況についての監督を行う。当社の代表取締役社長は、気候変動を含む環境課題の担当者として5年間以上の経験を有するほか、2012年より当社の取締役として企業経営・ESG・財務会計・法務等に関する幅広い知識・スキルを有している。
●中央環境委員会・全社カーボンニュートラル推進委員会:委員長(代表取締役社長)、国内4工場(田原工場、岡山工場、九州工場、宇都宮工場)の工場長及び総務担当役員等で構成される。両委員会において、戦略の前提となるリスク・機会のレビュー、特定されたリスク・機会に基づいて策定した戦略、短期・中長期目標、アクションプランについて議論を行う。また、中央環境委員会は、環境管理に関わる経営方針及び年度計画、社内基準の制定・改廃、監督官庁・関係団体の施策動向、環境調査解析及び措置などについて掌握・審議・推進する任務を負っている。全社カーボンニュートラル推進委員会は、年度のエネルギー使用実績と目標の対比の把握と評価、省エネルギーに関する設備導入・改善の取り組み状況報告、省エネ法(「地球温暖化対策の推進に関する法律」を含む)の定期報告書の審査、法令改正に関する情報確認などについての任務を負っている。
●環境委員会・カーボンニュートラル推進委員会:本社及び国内4工場(田原工場、岡山工場、九州工場、宇都宮工場)において特定されたリスク・機会に基づいたアクションプランの実施に向けた議論及び実施された施策のフィードバックを行う。本社及び国内4工場にて開催される環境委員会は、拠点毎の環境管理を具体的に推進する任務を負っている。国内4工場にて開催されるカーボンニュートラル推進委員会は、全社カーボンニュートラル推進委員会で策定された取り組み方針に準じた拠点毎の取り組み計画の策定、取り組み計画の進捗確認及び評価、エネルギー使用実績と目標の対比の把握と評価、省エネルギーに関する設備導入・改善の取り組み状況報告、エネルギー管理標準の作成、エネルギーフローの作成などについての任務を負っている。
(2)戦略
日本の2050年カーボンニュートラルを実現するためには、鉄鋼業において、わが国全体のCO2排出量の約14%を占める145百万トンを削減する必要がある。また、増加を続けるわが国の鉄スクラップは、2050年には国内の鋼材需要の大部分を満たす数量に達すると期待される。膨大なCO2排出量の削減、貴重な資源である鉄スクラップの国内での資源循環という社会が直面する二つのテーマに向き合い、2050年の「脱炭素社会」「循環型社会」を実現すべく、電炉トップメーカーとして鉄鋼製品の新分野にチャレンジし続けてきた当社だからこそできる社会への貢献として、長期環境ビジョン「Tokyo Steel EcoVision 2050」を策定している。
当社は長期環境ビジョン「Tokyo Steel EcoVision 2050」のもと、「脱炭素社会」「循環型社会」の実現を柱とし、脱炭素・循環型鋼材である電炉鋼材の供給拡大に取り組むことで、日本のCO2排出量の大幅な削減と、貴重な鉄スクラップの国内での更なる有効利用をはかっていく。
なお、当社が取り組むべき重要課題(マテリアリティ)として特定している「安全・環境・品質」「コーポレートガバナンス」については、投資判断における重要性が低いとの判断から、「戦略」の開示を行っていない。今後の取り組みとしては、近年、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)に基づく生物多様性に関する企業情報の開示必要性が高まっていることから、国内4工場(田原工場・岡山工場・九州工場・宇都宮工場)における自然への依存度・影響度の分析や、自然リスク・機会の特定、対応策の検討などを進め、有価証券報告書での開示充実化をはかっていく。また、「コーポレートガバナンス」については、有価証券報告書「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」において詳細な開示を実施している。

長期環境ビジョン「Tokyo Steel EcoVision 2050」
気候関連リスク・機会を踏まえた当社戦略への影響
(3)リスク管理
気候関連リスク・機会の特定・評価については全社の統合リスクマネジメントに組み込まれている。気候関連リスク・機会の評価にあたっては、当社の直接操業及び上下流バリューチェーンに気候変動が及ぼす影響を勘案する必要性が極めて高いことから、これらの短期的、中期的、長期的それぞれのリスク・機会の検討を対象として含めている。当社は、気候問題による経営へのインパクトを重要なリスク・機会として捉えており、その特定・評価に当たっては、いずれも代表取締役社長を最高責任者とする、取締役会及び中央環境委員会・全社カーボンニュートラル推進委員会といった、経営レベルの機関が最終的な判断までのプロセスを担っている。具体的な気候関連リスク・機会の特定プロセスとしては、まず国内4工場(田原工場・岡山工場・九州工場・宇都宮工場)において、それぞれの環境委員会・カーボンニュートラル推進委員会が開催され、自工場におけるバリューチェーンを俯瞰した短期的、中期的、長期的な気候関連リスク・機会についての検討が行われ、四半期に1回以上の頻度で開催される中央環境委員会・全社カーボンニュートラル推進委員会に対して報告される。さらに、中央環境委員会・全社カーボンニュートラル推進委員会において検討された気候関連リスク・機会は、業務執行の最高責任者である代表取締役社長を議長とする取締役会に直接報告され、最終的な全社の気候関連リスク・機会が特定・評価されるプロセスとなっている。こうして特定・評価されたリスク・機会に対しては、それぞれの関連部署にてアクションプランが策定され、中央環境委員会・全社カーボンニュートラル推進委員会にてレビュー・審議され、最終的には取締役会で決議され、各事業部門で実行されている。
・気候関連リスク・機会
気候関連リスク・機会の想定タイムスケジュールは、短期(1~5年)、中期(5~10年)、長期(10~25年)を目安に判断している
シナリオ分析
気候変動による影響は年々拡大しており、企業経営おける大きなリスクと認識している。また、脱炭素社会への移行過程で生じる規制強化や市場ニーズの変化等は企業にとってのリスクになり得ると同時に、新しいビジネス機会を創出させる可能性を含んでいる。TCFD提言では、将来の様々な気温上昇パターンを想定した複数のシナリオを分析し、自社へのリスク・機会を特定・評価し、対応策を検討・公表することを求めている。当社では、この提言を受け、当社の長期環境ビジョン「Tokyo Steel EcoVision 2050」の期間である2030年~2050年について、気候変動に関する1.5 ~2℃未満シナリオ、4℃シナリオの分析を実施し、現時点の当社の環境戦略に一定のレジリエンス(強靭性/対応力)があることを確認した。
●シナリオ分析プロセス
① 気候関連リスク・機会の抽出:
当社バリューチェーンで考えられる気候変動によるリスク・機会を抽出。
② 重要なリスク・機会の特定:
①で抽出したリスク・機会の中から当社の経営に対する影響が大きいと考えられる項目と関連する要素/指標を設定。
③ シナリオの設定・事業への影響評価:
既存シナリオを参照し、②で特定した重要なリスク・機会及び関連する要素/指標の推移等の情報を整理し、当社が受ける将来的な影響を定量的に評価。「1.5 ~2℃未満シナリオ」及び「4℃シナリオ」を設定し、各シナリオでの想定に対する影響を比較・評価。
④ 当社対応方針・戦略の策定:
③で評価された当社への影響に対し、シナリオ別に当社の対応方針・戦略を検討。
●設定シナリオ
●想定されるシナリオと当社への影響及び対応戦略
①1.5℃~2℃未満シナリオ及び当社への影響
・カーボンプライシングの導入
・燃料価格の動向
・エネルギーミックス
・脱炭素・循環型鋼材の需要
②4℃シナリオ及び当社への影響
・物理リスク(慢性・急性)
●評価結果/今後の方向性
今回のシナリオ分析の結果から、長期環境ビジョン「Tokyo Steel EcoVision 2050」を通じて当社が目指すこれからの「あるべき姿」や、その実現に向けて掲げた目標・取組みの方向性は適切であることが確認できた。また、当社の現時点における環境戦略に一定のレジリエンス(強靭性/対応力)があることも明確となった。
(4)指標及び目標
2021年6月、当社は長期環境ビジョン「Tokyo Steel EcoVision 2050」の改定を行い、2030年及び2050年の目標を引き上げると共に、2050年のカーボンニュートラル実現を目指している。また、当社は生産量の目標として、2030年粗鋼生産量600万t、2050年粗鋼生産量1,000万tと設定している。中間となる2030 年の予想CO2排出量は約120万tであり、基準年の2013年度比でほぼ横ばいとなっている一方、鋼材1tあたりのCO2排出量は約0.21tCO2と大幅な削減を見込んでいる。さらに、鋼材1tあたりのCO2排出量の多い高炉製品を当社製品が代替することで、2030年に約840万t、2050年に約1,300万tのCO2を社会全体から削減可能と予想している。国内4工場(田原工場・岡山工場・九州工場・宇都宮工場)においては、製造プロセスから排出されるCO2の原単位を毎年1%以上削減するという目標のもと、脱炭素投資の積極的な実施や既存プロセスの見直し、エネルギー効率向上等の取り組みを全社的に推進している。
なお、当社が取り組むべき重要課題(マテリアリティ)として特定している「安全・環境・品質」「コーポレートガバナンス」については、投資判断における重要性が低いとの判断から、「指標及び目標」の開示は行っていない。今後の取り組みとしては、近年、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)に基づく生物多様性に関する企業情報開示の必要性が高まっていることから、国内4工場(田原工場・岡山工場・九州工場・宇都宮工場)における自然への依存度・影響度の分析や、自然リスク・機会の特定、対応策の検討などを進め、有価証券報告書での開示充実化をはかっていく。また、「コーポレートガバナンス」については、有価証券報告書「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」において詳細な開示を実施している。
※2024年度の鋼材1t当たりのCO2排出原単位(スコープ1・2)については、有価証券報告書提出日において集計作業が完了していないため、2023年度の実績を記載している。
指標の定義等
人材の育成及び社内環境整備の方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績
当社は、未来の地球のためのチャレンジとして、「Tokyo Steel EcoVision 2050」を公表し、環境にやさしい電炉鋼材を社会に普及させ、循環型社会の実現と低炭素社会の構築をはかっている。このビジョンを実現するために求める人物像を「3つのC」(Challenge,Communication,Change)に置き替え、採用・人材育成、個人の能力を最大限に生かせる職場づくりを人的資本に関する重要な取り組みと捉え、持続可能な社会への貢献と企業価値の向上を目指していく。
① Challenge
社会に貢献するという強い使命感をもち、困難にも果敢に挑戦することのできる人物。
② Communication
常に公正で誠実な姿勢を大切にし、周囲と強い信頼関係を築きあげ、ものごとを成し遂げられる人物。
③ Change
変化を敏感に察知し、おそれることなく変化に向き合うことで、常に自らの成長を望む人物。
(戦略)
当社は人的資本に関し、下記の取り組みを行っている。
(指標及び目標)
「第1 企業情報 5 従業員の状況(2)」に掲げるとおり、管理職に占める女性従業員の割合が低い水準で推移していることから、女性従業員に占める女性管理職の比率を男性従業員に占める男性管理職の比率と同等の水準とすることを目標設定し、今後女性従業員に占める女性管理職の比率の向上を図るため、社内研修制度の充実をはかり優秀な社員を育成することで、女性管理職比率を高めていく。
なお、2025年3月期現在の男性従業員に占める男性管理職の比率は6%であった。人材育成のなかで能力・適正に応じて管理職に登用することを方針としているため、現時点では具体的な数値目標を設定していないが、今後指標・目標の設定については引き続き検討していく。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがある。なお、文中における将来に関する事項は、当事業年度末(2025年3月31日現在)において当社が判断したものである。
当社の属する普通鋼電炉業界の特色は市況産業であることである。したがって、製品の販売価格及び主原料である鉄スクラップ価格については、国内外の経済情勢、市場動向の変化等、当社を取り巻く外部環境の変化に大きく影響を受ける可能性がある。
当社としては、営業部門と生産部門の連携を一層強化して、このような市況変動に迅速かつ柔軟に対応できる体制の構築に努めるとともに、需要に見合った生産を徹底し、収益の維持・向上を達成することで対処していく。
当社の当事業年度における輸出は主としてアジア向けであり、今後の同地域の経済情勢又は保護主義的な政策等により、受注環境が変化する可能性がある。
また、主原料である鉄スクラップについても、アジア地域の鉄鋼需要の拡大により、日本からの輸出が増加することにより、当社の調達価格並びに入荷量に影響を及ぼす可能性がある。
加えて、アジア域内の生産設備の拡張による供給余力が、日本への製品輸出の増加を伴い、日本国内の競争の激化を招く可能性がある。
当社としては、電炉鋼材の特性を活かした製品の開発や、顧客ニーズに応える製品品質の実現により差別化をはかるとともに、主原料として国内の鉄スクラップを使用する利点を生かしつつ、徹底したコストダウンを推し進めることで、競争力の維持・向上に努めていく。
当社は、輸出取引に伴う外貨建取引の為替変動によるリスクを回避する目的で、先物為替予約を利用することがある。しかし、間接的な影響を含め、為替変動による影響をすべて排除することは困難であり、当社の業績に影響を及ぼす可能性がある。
当社は、現時点の規制に従って業務を遂行している。将来における法律、規則、政策等の変更並びにそれらによって発生する事態が、当社の業務遂行や業績等に影響を及ぼす可能性がある。
当社は、災害等が発生した場合に製造ラインの中断による影響を最小にするため、全工場において定期的な災害防止検査と設備点検を行っている。しかしながら、生産施設で発生する災害、停電その他の中断事象による損害を完全に防止または軽減できる保証はない。
当社は、同一製品を複数の拠点で生産すること等により、災害等による生産中断を極力回避できるよう努めている。
(6) 気候変動の及ぼす影響
気候変動に起因する自然災害が深刻化した場合、洪水・高潮等による生産設備の故障や、サプライチェーンの寸断による操業停止等の損失が発生する可能性がある。また、炭素税や排出権取引制度といった温室効果ガスの排出規制が導入された場合、原材料価格や電力料金等の操業コストが高騰し、収益性が低下する可能性がある。
当社は気候変動問題を経営上の重要な課題として捉えており、2021年6月に改定した長期環境ビジョン「Tokyo Steel EcoVision 2050」の中で、CO2排出原単位を、2030年時点で2013年比の60%を削減し、2050年では実質ゼロとする目標を掲げている。また、2019年5月には「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」の提言に賛同を表明している。今後も気候変動が及ぼすリスクおよび機会の分析と対応を行い、有価証券報告書や統合報告書、ホームページなどにおいて継続的な情報開示を行っていく。
(7) 繰延税金資産に関するリスク
当社は、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上している。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性がある。
(8) 固定資産の減損処理に関するリスク
当社は、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上している。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性がある。
当期においては、中国からの鋼材輸出が過去最高に迫る水準に達したことや、国内においては建築案件の工期遅れの影響などをうけ、鋼材市況は軟調に推移した。
このような状況のなか、当社においては、主原料である鉄スクラップ価格は前年を下回った一方で、製品の出荷数量、出荷価格がともに低下し、加えて生産量の減少により固定費コストなどが上昇したことから、営業利益・経常利益、当期純利益のいずれも前期の利益を下回った。
売上高は326,775百万円(前年実績367,242百万円)となった。営業利益は30,105百万円(前年実績38,066百万円)、経常利益は31,612百万円(前年実績39,719百万円)となり、当期純利益は、21,203百万円(前年実績27,958百万円)となった。
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前期末に比べ16,108百万円減少し、当期末の資金残高は96,111百万円となった。なお、営業活動によるキャッシュ・フローに投資活動によるキャッシュ・フローを合算したフリーキャッシュ・フローは、2,288百万円の支出である。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は19,588百万円(前期53,376百万円)となった。これは、主として税引前当期純利益が29,708百万円であったことと、仕入債務の減少額が17,366百万円であったこと等によるものである。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は21,876百万円(前期18,202百万円)となった。これは、有形固定資産取得による支出が22,362百万円であったこと等によるものである。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は13,766百万円(前期8,140百万円)となった。これは、自己株式取得による支出が8,358百万円あったこと及び配当金の支払いによる支出が5,408百万円であったことによるものである。
資本の財源及び資金の流動性について、装置産業と市況産業に属する当社は、業績が景気変動に大きく左右されるなかで、最新の生産技術を保持し生産性と競争力を向上させるための設備投資を、自己資金を活用し、自己の判断で的確なタイミングで実施することを原則としている。
また、株主還元については、将来に資する設備投資を推進し、生産性と競争力を一層向上させることで、高い利益水準を達成しつつ、これをもって、配当や自己株式取得による株主還元を実施してきたが、この方針をより明確にすることとし、当社の今後の利益配分については、原則として、総還元性向を25%~30%とすることを目指していく。
このような方針のもと、将来に向けたより強固な経営基盤の構築のため、当社では、キャッシュ・フローへの貢献度を個々の事業推進のための経営判断の指標としている。
輸出は受注生産を行っており、その受注実績は次のとおりである。
(注) 販売価格は、出荷時点で決定されるため、受注高及び受注残高とも金額による表示は困難であるので数量表示によっている。
(注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりである。
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されている。この財務諸表の作成にあたり、見積りが必要となる事項については、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っている。詳細については、本報告書「第5 経理の状況 2 財務諸表 注記事項 重要な会計方針 及び 重要な会計上の見積り」に記載している。
市況産業に属する当社の業績は、景気変動に大きく左右されることがある。当社としては、会計上の見積りにあたり、期末時点で入手可能な情報を基に、以下の検証を行っている。
(繰延税金資産)
当社は、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上している。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性がある。
当事業年度の売上高は、326,775百万円(前期367,242百万円)となった。一方、売上原価は、268,751百万円(前期301,930百万円)となった。
販売費及び一般管理費は、27,917百万円(前期27,245百万円)であり、営業利益は30,105百万円(前期38,066百万円)となった。
営業外収益は、受取配当金681百万円等により1,593百万円(前期1,734百万円)となった。また、営業外費用は、86百万円(前期81百万円)となった。以上から、経常利益は31,612百万円(前期39,719百万円)となった。
特別利益は、8百万円(前期1,059百万円)となった。特別損失は、1,912百万円(前期1,009百万円)となった。これに、法人税、住民税及び事業税8,002百万円及び法人税等調整額503百万円を計上した結果、当期純利益は21,203百万円(前期27,958百万円)となった。
営業活動によるキャッシュ・フローは、前事業年度比で33,788百万円減少し、19,588百万円の収入となった。これは、主として税引前当期純利益が29,708百万円であったことと、仕入債務の減少額が17,366百万円であったこと等によるものである。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前事業年度比で3,674百万円減少し、21,876百万円の支出となった。これは有形固定資産の取得による支出が22,362百万円であったこと等によるものである。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前事業年度比で5,626百万円減少し、13,766百万円の支出となった。これは、主として自己株式の取得による支出が8,358百万円であったこと及び配当金の支払額が5,408百万円であったこと等によるものである。
これらの結果、現金及び現金同等物の期末残高は、前事業年度比で16,108百万円減少し、96,111百万円となった。
当事業年度末の流動資産合計の残高は、前事業年度比で31,543百万円減少し、164,153百万円となった。また、固定資産合計の残高は、前事業年度比で13,913百万円増加し、128,820百万円となった。以上により、資産合計の残高は、前事業年度比で17,630百万円減少し、292,973百万円となった。
流動負債合計の残高は、前事業年度比で23,447百万円減少し、66,107百万円となった。一方、固定負債合計の残高は、前事業年度比で194百万円減少し、16,947百万円となった。以上により負債合計の残高は、前事業年度比で23,641百万円減少し、83,055百万円となった。
純資産合計の残高は、前事業年度比で6,011百万円増加し、209,918百万円となった。これらにより、当事業年度末の自己資本比率は、71.7%となった。
該当事項なし。
当社は、顧客ニーズに応えられる製品の多様化をはかるとともに、生産効率の向上と品質の向上を主目的とした生産技術の研究開発に取り組んでいる。
また、脱炭素社会・循環型社会の構築が企業としての社会的使命となっているなかで、資源リサイクル産業の一員として、省資源、省エネルギー及び環境保全のための研究も積極的に推進している。これらの研究開発は、技術部を中心に活動を行っている。技術部では、高付加価値の電気炉鋼材の開発を行うとともに、製造ラインへの技術指導から顧客への品質説明まで一貫して行うことで、多様なニーズに、より迅速に対応できるよう取り組んでいる。
当事業年度においては、品種及び鋼種の拡大、品質向上のための設備改良、エネルギー効率の向上等の研究に注力してきた。
研究開発費の総額は