第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)経営方針

当社グループの経営理念は「仕濾過事」(ろかじにつかふる)であります。この経営理念には、当社の創業者である山崎正彦のフィルタビジネスを通じて社会に貢献するという意思が込められており、当社グループは、この不変のDNAを通じ、フィルタビジネスを通じて「環境」、「空気」、「健康」をテーマに持続可能な社会の実現のための課題解決に取り組み、コーポレートサステナビリティの更なる強化に努めるとともに、企業価値の最大化を図ってまいります。

 

(2)当社グループを取り巻く経営環境

当社グループの主力事業である建機用フィルタ事業においては、新車の販売台数は前年度と同水準で推移する見通しである一方で、交換需要は引き続き堅調に推移することが見込まれます。

また、地政学リスクを背景とした資材価格やエネルギーコストの高騰については依然として終息のめどが立たず、先行き不透明な状況が継続しており、米国の関税政策の影響による建機市場の需要減退が懸念されますが、当社グループのサプライチェーンにおける米国向け製品の関税の影響は僅少であり、影響額については販売価格の改定等により当社の負担を最小化することが可能であると見込んでおります。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略及び会社の対処すべき課題

① 新たな価値創造の取り組み

当社は、新たな価値創造の取り組みとして、主力事業である建機用フィルタ事業においては、多様なアプローチによるシェア拡大、高付加価値製品の導入、アフターマーケット活動の進化に取り組み、更なる事業規模の拡大と収益性の改善に取り組んでまいります。

また、ナノファイバー技術による先端素材を建機用フィルタ事業やエアフィルタ事業により積極的に展開し、新規事業分野への進出等を図り、より付加価値の高いビジネスを創出し、長期的持続的な成長性を実現し、企業価値向上を図ってまいります。

(注)中期経営計画

 (https://www.yamashin-filter.co.jp/ja/ir/library/Mid-term.html)

 

② 資本コストを意識した経営の強化

当社は、総合的な企業価値指標である「MAVY」の持続的な拡大を経営の基本としており、「MAVY」を、財務情報、非財務情報、株主還元情報の3つに区分し、それぞれ定量目標を開示しております。

2028年3月期の定量目標として、財務情報としては、MAVY's 2%以上、ROIC10%以上、WACC7.3%以下、非財務情報としては、FTSE4.0、CDP Aスコア取得、株主還元情報としては、DOE10%以上、配当性向80%以上を目標として中期経営計画書に開示しております。

このように、定量目標の開示により、投資家との対話を推進するとともに、社内における各部門や従業員の取り組むべき課題や目標を明確にすることで、資本コストを意識した経営の強化と、企業価値の向上を図ってまいります。

(注)中期経営計画

 (https://www.yamashin-filter.co.jp/ja/ir/library/Mid-term.html)

 

③ ESG経営の推進

当社は持続可能な環境・社会を実現するための取り組みとして、気候変動に対する取り組み及び人的資本への積極的な投資を掲げております。具体的には、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」に賛同を表明し、企業や自治体の環境への取り組みを評価する国際環境非営利団体CDPが行う「CDP気候変動」Aスコアを取得しておりますが、FTSE RussellのESGスコア4.0を目標にした取り組みも強化してまいります。

また、人的資本への投資としては、「多様な価値観を持つ人的資本」への投資を図ることを通じ、従業員等にとり「ウェル・ビーイング」な社会を実現すべく努めてまいります。

更に、当社はコーポレート・ガバナンス及び経営課題に関する事項等について幅広く議論し、コーポレート・ガバナンス機能の継続的な充実を図ることを目的とした取締役会の諮問機関として、ガバナンス委員会を設置しております。同委員会は、取締役会の経営の監督機能の実効性の評価、課題に対する取締役会への助言、改善提案、報告、執行役員への通知といった活動を行っております。同委員会は透明性及び客観性を確保するため、委員は独立社外取締役で構成されております。

加えて、グループ会社が行う業務執行に関するリスクの監視・牽制機能(モニタリング)、内部監査で実施される評価業務の支援を目的とした社内委員会として、代表取締役社長の諮問機関である業務監理委員会を設置しております。この内部統制組織の拡充強化を通じ、当社連結グループ全体のガバナンス及びコンプライアンスの更なる改善を図ってまいります。当社はこのようなガバナンス委員会及び業務監理委員会の活動を通じ、より一層牽制機能の強化等による業務執行の適切な監督を行うことで経営の透明性と質の向上を図り、アカウンタビリティ(説明責任)をより明確に果たし、コーポレート・ガバナンスの強化に努めてまいります。

(注)サステナビリティレポート

 (https://www.yamashin-filter.co.jp/ja/sustainability/data.html)

(注)統合報告書

 (https://www.yamashin-filter.co.jp/ja/ir/library/integratedreport.html)

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

<サステナビリティ方針>

当社は、経営理念「仕濾過事」(ろかじにつかふる)を当社グループのサステナビリティ方針として掲げております。サステナブルな社会の実現に向けて、フィルタビジネスで培った強みを生かし「環境」「空気」「健康」に関する社会課題の解決に貢献してまいります。

 

(1)ガバナンス

当社は、2021年度に代表取締役社長の諮問機関として、「YSS(Yamashin Sustainable Solutions)委員会」を設置しました。当委員会は、経営企画室長及び執行役員が委員長を務め、全ての執行役員を含む計約20名が出席しています。SDGs推進やESGの取り組みについてYSS委員会で月1回議論し、その内容を取締役会や経営会議へ報告しております。

 

 

(2)戦略

① マテリアリティ特定

当社は、社是「仕濾過事」及び「ヤマシンフィルタの価値創造」のもと、当社グループのマテリアリティ(重要課題)を特定しております。2024年11月には中期経営計画 “Fly to the next stage!”を策定し、戦略の一つに「ESG経営の推進」を掲げ、非財務KPIとして2028年3月期までに「FTSEスコア4.0以上」「CDP 気候変動スコアA取得」を設定しました。当社は引き続きマテリアリティを主軸にサステナビリティの取り組みを推進し、サステナビリティレポートなどの開示文書やCDPを通じたサステナビリティ情報の透明性向上を目指してまいります。

 

マテリアリティ

コミットメント

 

 

 

環境

気候変動への対策

気候変動対策・脱炭素社会への貢献

・世界全体で求められるカーボンニュートラルの実現に向け、製品と生産の両面で気候変動対策に資するビジネスモデルを実現する

・再生可能エネルギー由来電力導入率

付加価値を有する製品の設計

 

フィルタ技術による環境負荷低減と循環型社会への貢献

・資源循環と環境負荷低減に着目し、バリューチェーンを通じて経済効率と環境効率の高いビジネスモデルを実現する

環境配慮型製品の創出

資源循環・環境負荷低減への取り組み

・水使用量の削減

・廃棄物排出削減

 

空気・健康

人々の健康で安全な暮らしへの貢献

大気汚染による健康被害の抑止~安心・安全な暮らしへの貢献

・フィルタ技術で、大気汚染やPM2.5による健康被害から人々を守る

・フィルタ技術で、室内の空気の質をより高める

・フィルタ技術の高度化・高機能化により、感染症による疾病から人々を守る

健康リスク低減製品の提供

 

 

 

 

 

 

 

 

人・仕事

フィルタ技術の革新と新たな社会課題への貢献

技術の研鑽と応用~社会が求めるフィルタ技術の追求

・独自の技術を応用し、新たな価値を創り出す

・独自の技術を研鑽し、世の中にないフィルタを生み出す

・新製品の開発

・特許取得数

・社会課題解決のための客先交流の実施

・研修への参加

働きがいのある職場づくり

 

 

働きがい、活躍する人材~「仕濾過事」の実践

・お客様、仲間、家族に感謝し感謝される、働きがいのある仕事をする

・多様な人材が力を発揮できることを目指し、ワークライフバランス、ダイバーシティ、人材育成、労働安全に配慮した職場づくりを行う

・経営理念「仕濾過事」の社員への浸透

・テレワーク実施率

・ダイバーシティ&インクルージョンデータ

・社員1人当たりの研修時間

・重大労働災害0件

多様な人材がその能力を発揮できる職場づくり

人権マネジメントの推進

人権デュー・ディリジェンスの推進~社会から信頼される企業へ

・バリューチェーン全体で人権を尊重し、企業としての責任を果たす

・バリューチェーン全体を通じた人権デュー・ディリジェンスを推進する

・人権尊重のための体制整備

・主要サプライヤーへの人権含むESGに関する調査実施率

 

 

 

② 気候変動に関する戦略

当社は、TCFDの分類に合わせ、当社グループにとっての気候変動に関連するリスク及び機会を特定し、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の「4℃シナリオ※1」や、IEA(国際エネルギー機関)による「1.5℃~2℃シナリオ※2」を踏まえ、シナリオ分析を行いました。リスクと機会の詳細は、「サステナビリティレポート2023」P.14をご覧ください。

※1 4℃シナリオ:IPCC RCP8.5、IEA STEPS

※2 1.5℃/2℃シナリオ:IPCC RCP1.9/RCP2.6、IEA SDS/NZE2050

 

③ 人材育成・多様性に関する戦略

1.多様性の確保についての考え方

当社は、全ての従業員が国籍、年齢、性別、文化、宗教等の違いにとらわれず、お互いの経験や能力、考え方などを尊重する、ダイバーシティ・マネジメントを経営の基本としております。またこの経営方針に基づき多様な社員の活躍を促し、経営基盤となる「人材」の育成強化を図ることにより外部環境の変化に迅速かつ柔軟に対応できる組織風土の構築強化に努めてまいります。

 

2.多様性の確保に向けた人材育成方針・社内環境整備方針

当社は、2015年10月より残業ゼロの取組を開始し、そのために必要な業務インフラ投資を行ってまいりました。その結果、2017年度より残業を原則行わない業務体制が確立いたしました。また、2021年度からはリモートワークを採り入れたハイブリッドの働き方改革を実践しており、ライフワークバランスの改善を継続して進めております。こうした、職場環境の整備は、社員の仕事と育児や介護の両立支援、キャリア形成のための学習機会の増加等を通じ、当社経営の生産性や効率性の向上につながることから、更なる働き方改革の取組を進めウェル・ビーイングな風土の構築に努めてまいります。

 

(3)リスク管理

上記マテリアリティ特定では、GRIサステナビリティ・レポーティング・スタンダードで示された下記プロセスに則り、当社グループのマテリアリティを選定いたしました。

 

特定プロセス

STEP1:課題の整理

・ ガイドラインやフレームワーク等の項目を参考に、当社グループにおける事業領域や主要な取り組みとの関連性を踏まえ、重要課題の候補を抽出

・ これらの課題に対して、社会発展のために当社が貢献できること(プラスのインパクト)及び当社が果たすべき基本的な社会的責任(マイナスのインパクト)の両方の視点から重要課題候補をテーマごとに整理

・ これらの候補に対し、経営幹部を対象とした勉強会にて認識を深化

  参照にしたガイドライン、フレームワーク等:GRIスタンダード、ISO26000、SDGs、FTSE・MSCI等のESG評価項目

 

STEP2:課題の重要度評価と仮案策定

・ STEP1で整理した重要課題候補について、「ステークホルダーへの影響度」と「当社グループにとっての重要度」の2軸で重要度を評価。経営幹部へのアンケートを踏まえ、各重要課題にさらに重み付け

・ マテリアリティ及びコミットメント案の作成

 

 

STEP3:妥当性の確認とマテリアリティの組織承認

・ マテリアリティとコミットメント案の作成検討に当たり、YSS委員会における社外有識者との意見交換や社内ディスカッションを約半年以上にわたり実施

・ 特定したマテリアリティとそれらに対するコミットメント案は、経営会議に報告・承認

 

気候変動に関するリスク管理プロセスとしては、TCFDにて整理された移行リスク・物理リスクや機会の区分に従い、該当しうる項目を洗い出しました。リスクや機会の評価に当たり、発生頻度、影響期間、影響の大きさ、コアビジネスへの影響、顕在化する可能性、顕在化する時期の計6項目をもとに定量的評価を実施いたしました。これらの結果を踏まえ、売上高等を考慮した財務的影響額について審議・確定しております。

特定したリスクは気候変動に関連する戦略方針に沿って対策を検討し、リスクの回避・緩和・管理を行ってまいります。これらの対策はYSS委員会で発案し、組織的決定が必要なものは取締役会や経営会議において審議・決定しております。すぐに運用可能なものは各部門を代表する執行役員による事業運営への織り込みを図ることで展開してまいります。

 

 

区分

 

リスク・機会内容

 

時間軸

事業への

影響度

1.5℃

4℃

 

 

 

移行リスク

 

政策及び規制

炭素税導入により、自社排出量への課税による対応コスト増大

長期

温室効果ガス排出量が一番多いアルミニウム、鋼鉄を主原材料としているフィルタ製品への欧州への国境炭素税課税による対応コスト増大

中期

技術

既存フィルタろ材の原材料の置換(石油由来プラスチックから非石油由来のものへ)による原材料コスト増大

長期

市場

気候変動の対策として推進される自動車産業によるEV化の加速などに伴う、フィルタ製品の主原材料の一つであるアルミニウムの価格の高騰

長期

評判

マイニング関連企業等、顧客側の取引条件の強化による、CO2排出量削減が望めない製品への需要減少

長期

 

物理リスク

急性

(台風等)

サイクロン、台風等によるサプライチェーンの分断や操業停止による生産能力の低下

短期

慢性

(気象変化、平均気温の上昇、海面上昇)

気温上昇による工場内の労働環境の悪化、サプライチェーンへの影響への対応コスト増大

 

長期

 

 

 

機会

製品及びサービス

建機用ロングライフフィルタの製造・販売機会拡大

長期

NanoWHELP®製造・販売機会拡大

中期

気温上昇に伴う感染症対策関連事業であるマスク事業の機会拡大

長期

排ガス規制に対応した建機用高性能フィルタ製品の製造・販売拡大

短期

評判

サステナブルFITs等の資金調達機会拡大による施設投資の増大

長期

 

 

(4)指標と目標

① 気候変動に関する目標

2023年度の当社グループにおけるScope1(自社での直接排出)、Scope2(電力使用等による間接排出)、Scope3(バリューチェーン上の排出)排出量は、合計74.1千t-CO2でした。Scope1, 2排出量は2.93千t-CO2となり、2022年度比17.1%の削減を達成いたしました。

当社は、2024年にSBTイニシアチブへコミットメントレターを提出しました。当社グループは今後、SBTの考え方に基づき、Scope1,2において1.5℃水準、Scope3においてWB2℃水準での認定を目指してまいります。

なお、再生可能エネルギー導入率、エネルギー使用量、Scope1,2,3のデータは「サステナビリティレポート2024」 P.16~17、独立第三者の保証報告書については同レポートP. 39をご覧ください。

 

② 人材育成・多様性に関する目標

1.女性の管理職への登用

現在当社の連結での女性比率は53.4%、女性管理職比率は20.9%(ともに2025年3月末現在)と高水準なものの、当社の女性管理職比率は5.5%、子会社の株式会社アクシーでは6.3%と低いことが課題であります。この状況の改善を図るべく、当社のマテリアリティ(サステナビリティ重要課題)の一つとして、「多様な人材がその能力を発揮できる職場づくり」を特定しており、女性活躍推進の中長期目標として以下を設定いたしました。

・ 5か年目標:2028年度末までに、単体で従業員に占める女性比率を35%とし、連結で2023年4月時点の女性比率(51.7%)及び女性管理職比率(24.7%)の水準以上を維持する。

・ 10か年目標:2033年度末までに、上記5か年目標で掲げた各比率の水準以上とする。

 

2.外国人・中途採用者の管理職への登用

当社は年齢・性別・国籍及び中途採用の有無にかかわらず適材適所を前提に、能力と実績に応じて中核人材の管理職の登用を進めております。

外国人管理職比率は、2025年3月末現在は0%でありますが、2028年度末には5%を目標としております。中途採用者管理職比率は、2025年3月末現在では78.2%であり、今後も積極的に登用を進めてまいります。

 

 

3 【事業等のリスク】

当社グループの事業その他に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしも事業上の重要なリスクとは考えていない事項についても、投資者の投資判断上あるいは当社グループの事業を理解する上で重要と考えられる事項については、積極的な情報開示の観点から記載しております。

当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針であります。

なお、以下の記載内容及び将来に関する事項は、当連結会計年度末日現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 特定市場の依存度について

当社グループの事業活動は、2025年3月期において、建機用フィルタ事業向け売上高が約8割を占めており、中長期の事業展開も当該売上高の割合が高く推移するものと計画しております。当社グループは、景気停滞、公共投資低迷などの原因による建設機械メーカー各社の業績が悪化した場合、又は当社グループの強みである作動油フィルタに対する建設機械の構造革新や油圧動力に替わる新たな技術革新などが起きた場合には、建機用フィルタの売上高が減少し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 他社との競合について

当社グループ製品の主要市場である油圧ショベル市場は、中長期的には、新興国での市場の拡大を予測しております。

新興国市場においては、模倣品や廉価品の台頭が予想され、当社グループでは、継続して大手建設機械メーカーを中心に純正部品として建機用フィルタ及び関連部品を安定供給することに努めます。しかしながら、今後、新興国において競合他社の模倣品・廉価品の販売が伸長した場合には、建機用フィルタの売上高が減少し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 為替レートの変動について

当社グループは、生産拠点を日本、フィリピン及びベトナムに擁し、販売拠点を日本、アメリカ、ベルギー、タイ及び中国に擁しております。

当社グループの原材料調達、物流、販売等の営業活動、海外事業等による外貨建資産及び負債は、為替レート変動の影響を受ける恐れがあり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 公的規制等について

当社グループの事業活動は、各国の政策動向やその国固有の規制等の影響を受けており、今後、当社グループが事業展開するにあたって、新たな関税、通貨規制、税制度等が導入された場合には、これらの対応コストの発生により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 調達・生産・物流について

当社グループの製品原価に占める部品・資材の割合は大きく、その調達は素材市況の変動に影響を受けます。部品・資材価格の高騰は、当社グループの材料費を増加させ、製造原価の増加をもたらします。

また、部品・資材の品薄や調達先の倒産あるいは生産打ち切りにより、当社グループにおいて適時の調達・生産が困難になり、生産効率が低下する可能性があります。当社グループでは、材料費の増加については他の原価低減や販売価格の見直しによって対応し、また適時の調達・生産の問題については関係部門の連携を密にすることによって、これらの影響を最小限に抑えることに努めております。しかしながら、予想を大きく上回る素材価格の高騰や供給の逼迫が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

さらに、当社グループは、生産拠点における部品・資材の輸入調達を行っているとともに、当社及び販売子会社を通じて海外顧客への輸出販売を行っております。そのため、物流を取り巻く外部環境の変化に伴うコンテナ船の需要変動により、輸送リードタイムの長期化、海上輸送費の高騰や、物流コストの高騰が継続した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 生産計画と適正在庫について

当社グループの事業活動は、2025年3月期において、建機用フィルタ事業向け売上高が約8割を占めており、その殆どがOEM(注)製品であります。当社グループの建設機械市場向け製品の販売は、最終顧客に接する販売代理店への直接販売は行わず、建設機械メーカーを経由して販売する方法を採用しており、建設機械メーカーの生産計画及び部品の販売計画が当社の生産計画に影響を及ぼす構造になっております。

当社グループは、建設機械メーカーと定期的に情報交換するなど市場動向、生産計画及び部品の販売計画等の最新情報を入手し、在庫が適正水準を維持できるように常に監視・分析しておりますが、建設機械メーカーからの急な発注数量の変更や納期の調整などにより、在庫を過剰に保有する可能性があり、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(注) 製造委託者のブランドで製品製造を行うこと。

 

(7) 製品の品質について

当社グループは、グループ内において品質管理体制を整え、厳格な品質基準に基づく製品の製造をしております。しかしながら、当社グループが顧客に納入した製品について、顧客の要求規格及び仕様等を充足しなかった場合又は不適合が生じた場合には、重大な品質クレームを引き起こす可能性があります。

大規模なクレームの発生や製造物責任賠償につながるような製品の欠陥は、多額のコストが発生することに加えて、当社グループの評判や当社グループと顧客の関係に重大な影響を与え、それにより販売が縮小し、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 自然災害等について

当社グループは、開発・生産・販売等の拠点を海外に設けグローバルに事業を展開しております。また、生産の拠点については日本、フィリピン及びベトナムに設けており、2025年3月期において、建機用フィルタ事業における生産の約6割(販売価格ベース)をフィリピンに集約しております。これらの拠点において、地震・水害等の自然災害、戦争・テロ又は第三者による当社グループに対する非難・妨害などが発生するリスクがあります。当社グループでは、一定規模の災害等を想定した、リスク対応施策を講じておりますが、こうした自然災害等により、短期間で復旧不可能な莫大な損害を被り、部品・資材の調達、生産活動、製品の販売及びサービス活動に遅延や中断が発生した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 情報管理について

当社グループの事業活動において、顧客情報に接することがあり、また営業上・技術上の機密情報を保有しております。これらの各種情報の取り扱い及び機密保持には細心の注意を払っており、不正なアクセス、改ざん、破壊、漏えい及び紛失などから守るために管理体制を構築するとともに、合理的な技術的対策を実施するなど、適切な安全措置を講じております。

しかしながら、万が一、情報漏えい等の事故が起きた場合には、当社グループの評価・信用に悪影響を与えるなどのリスクがあり、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10) 知的財産権について

当社グループが開発した独自技術等は、特許権等の取得により、知的財産権の保護を行っております。しかしながら、特定の地域では当社グループの知的財産権が完全に保護されない場合があり、第三者が当社の製品と類似した製品を製造、販売することにより、当社グループが損害を受ける可能性があります。

また、製品開発においては、第三者が保有する権利をチェックすること等によって、第三者の知的財産権を含む権利侵害を行わないように努めております。しかしながら、当社グループが第三者から知的財産権等の帰属や侵害に関する主張や請求を受ける可能性は完全には否定できず、それに伴い当社グループが損害賠償請求や差止請求を受けた場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11) 係争・紛争について

当社グループの事業活動にあたっては、内部統制を強化し、法令遵守、社会道徳遵守を含めたコンプライアンスの強化、各種リスクの低減に努めると共に、必要に応じて弁護士等の外部専門家の助言等を受けております。

しかしながら、事業活動にあたっては、法令などの違反の有無にかかわらず訴訟を提起される可能性があり、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

なお、本報告書提出日現在において係争・紛争は発生しておりません。

 

(12) M&A・業務提携について

当社グループは、今後の業容拡大等においてM&A及び業務提携戦略は重要かつ有効であると認識しております。

M&Aや業務提携を行う場合においては、対象会社を慎重に検討し、対象会社の財務内容や契約関係等について詳細なデュー・デリジェンス(Due diligence)(注)を行うことによって、極力リスクを回避するように努める方針としておりますが、事前に買収・提携成立後に偶発債務の判明等、不測の事態が発生する可能性を完全には防止できません。また、のれんが発生する場合はその償却額を超過する収益力が安定的に確保できることを前提としておりますが、買収後の事業環境の変化等により買収当初の事業計画遂行に支障が生じた場合は、当該のれんに係る減損損失等の損失が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(注)M&Aなどの取引に際して行われる、対象企業の法務・財務・ビジネス・人事・環境などを含めた総合的な資産評価に係る調査活動

 

(13)感染拡大に関するリスク

当社グループは佐賀県、大阪府及びフィリピン、ベトナムの各生産拠点において厳重な対策を実施した上で、生産活動を含む事業活動を継続し、顧客に対する製品供給体制を維持しておりますが、感染症の感染拡大の影響により、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

① 財政状態及び経営成績の状況

1.経営成績

当社グループは、2024年11月に公表した中期経営計画 “Fly to the next stage!”(2025年3月期から2028年3月期)において、①新たな価値創造の取り組み、②資本コストを意識した経営の強化、③ESG経営の推進に取り組んでおります。

主力事業である建機用フィルタ事業においては、建機の新車需要は各市場において前年度を下回る一方で、交換需要の増加等により、当連結会計年度においては全体で大幅な増収増益となり、連結業績は創業以来の過去最高益を達成いたしました。

当社グループは、建機用フィルタビジネスにおける更なるシェア拡大と収益性の改善に取り組んでおり、主要得意先に対して、環境負荷低減に貢献するナノファイバーを使用したロングライフのフィルタ製品の供給を本格的に開始いたしました。また、北米市場のシェア拡大についても着実に進展しており、建機用フィルタ事業の更なる成長と資本効率の改善が着実に進展しております。

エアフィルタ事業においては、主力製品であるビル空調用フィルタの交換需要の減少や、基幹システムの導入に伴う販売管理費の増加により、減収減益となりました。当社グループは、ロングライフ、低圧損、高捕集率のナノファイバー製エアフィルタ(製品名NanoWHELP(ナノウェルプ))の供給の拡大に向けた取り組みを強化するとともに、今後、国内市場のみならず、健康や環境被害を排除するための規制の強化がEUから各国に広がり始めている欧州市場をはじめとした海外市場の開拓にも積極的に取り組んでまいります。

また、新たな市場開拓の取り組みとして、Yamashin Nano FilterTM の持つ素材の可能性を活かし、新規事業領域における製品開発を継続しております。具体的には、実績のあるアパレル分野に加え、耐熱性、導電性の特性を活かし、断熱材市場やスマートテキスタイル市場への進出を視野に入れ、研究開発を継続してまいります。

今後も当社グループは、総合フィルタメーカーとして「環境」「空気」「健康」をテーマに持続可能な社会・経済活動に貢献する企業として社会的責任を果たしてまいります。

 

以上の結果、当連結会計年度の売上高は201億4百万円(前年同期比11.5%増)となり、営業利益は26億30百万円(前年同期比86.4%増)、経常利益は26億69百万円(前年同期比88.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は17億23百万円(前年同期比119.1%増)となりました。

 

2.連結業績

当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)業績について

 (単位:百万円)

 

2024年3月期

2025年3月期

増減額

増減率

外部売上高

18,024

20,104

2,079

11.5%

営業利益

(利益率)

1,411

(7.8%)

2,630

(13.1%)

1,218

86.4%

経常利益

(利益率)

1,415

(7.9%)

2,669

(13.3%)

1,254

88.6%

親会社株主に帰属する

当期純利益(利益率)

786

(4.4%)

1,723

(8.6%)

936

119.1%

 

売上高については、建機用フィルタ事業において13.7%の増収、エアフィルタ事業において1.0%の減収となったことから、全体では11.5%の増収となりました。

営業利益については、建機用フィルタ事業において、収益性の高い補給品売上高の大幅な増加等により93.5%の増益となりました。エアフィルタ事業においては、基幹システムの導入に伴う販売管理費の増加により17.3%の減益となり、連結では86.4%の増益となりました。

経常利益については、為替差損の減少等により88.6%の増益となりました。

親会社株主に帰属する当期純利益については、119.1%の増益となりました。

なお、当社は、グループ経営の効率化及び競争力強化を目的とし、中国及び北米拠点における事業構造改革を実施しており、事業構造改革費用として232百万円を、また当社の得意先に供給した製品不具合に関する対応費用として19百万円をそれぞれ特別損失に計上しております。

 

3.事業セグメント別の売上高と営業利益

 

(建機用フィルタ事業)(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)業績について

(単位:百万円)

 

2024年3月期

2025年3月期

増減額

増減率

外部売上高

15,382

17,489

2,106

13.7%

営業利益

(利益率)

1,320

(8.6%)

2,554

(14.6%)

1,234

93.5%

 

売上高については、補給品売上高の販売数量の増加により13.7%の増収となりました。

営業利益については、収益性の高い補給品売上高の大幅な増加等により93.5%の増益となりました。

 

(エアフィルタ事業)(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)業績について

(単位:百万円)

 

2024年3月期

2025年3月期

増減額

増減率

外部売上高

2,642

2,615

△26

△1.0%

営業利益
(利益率)

91

(3.5%)

75

(2.9%)

△15

△17.3%

 

売上高については、交換需要の減少等により、1.0%の減収となりました。

営業利益については、基幹システムの導入に伴う販売管理費の増加により、17.3%の減益となりました。

 

4.財政状態

当連結会計年度末における当社グループの財政状態については、総資産は266億42百万円(前連結会計年度末比2.7%増)となり、負債は40億22百万円(前連結会計年度末比13.4%減)となり、純資産は226億19百万円(前連結会計年度末比6.2%増)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末より9億36百万円増加し、57億62百万円となりました。

 

 

③ 生産、受注及び販売の実績

当社グループはフィルタ製品の製造・販売を主たる事業としており、事業品目別に記載しております。

a 生産実績

当連結会計年度における生産実績を示すと、次のとおりであります。なお、生産実績については、品目の共通原材料及び共通部品が含まれるため、品目ごとに金額を記載しておりません。

 

事業品目の名称

生産高(千円)

前年同期比(%)

建機用フィルタ事業

10,971,096

123.1

エアフィルタ事業

2,616,485

99.7

合計

13,587,582

117.8

 

(注) 1.金額は販売価格によっております。

2.産業用フィルタ及びプロセス用フィルタについては建機用フィルタ事業に含めております。

 

b 受注状況

当連結会計年度の受注状況を事業品目ごとに示すと、次のとおりであります。

 

事業品目の名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

建機用フィルタ

16,810,884

118.2

3,679,568

124.7

産業用フィルタ

773,609

115.9

244,311

136.3

プロセス用フィルタ

711,537

100.3

131,854

109.8

エアフィルタ

2,581,823

96.9

220,289

86.9

合計

20,877,855

114.3

4,276,024

122.1

 

(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

c 販売実績

当連結会計年度の販売実績を事業品目ごとに示すと、次のとおりであります。

 

事業品目の名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

 至 2025年3月31日)

販売高(千円)

前年同期比(%)

建機用フィルタ

16,080,965

114.8

産業用フィルタ

708,547

109.3

プロセス用フィルタ

699,742

96.4

エアフィルタ

2,615,122

99.0

合計

20,104,378

111.5

 

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

   2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

CATAPILLAR INC.

1,815,426

10.1

2,249,473

11.2

 

 

 

(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り及び予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 

(2) 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

(3) 経営成績の分析

当連結会計年度において、売上高は201億4百万円(前年同期比11.5%増)となり、営業利益は26億30百万円(前年同期比86.4%増)、経常利益は26億69百万円(前年同期比88.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は17億23百万円(前年同期比119.1%増)となりました。

経営成績に重要な影響を与えた要因は、次のとおりであります。

 

① 売上高

当連結会計年度の売上高は、建機用フィルタ事業において13.7%の増収、エアフィルタ事業において1.0%の減収となったことから、全体では11.5%の増収となりました。

② 販売費及び一般管理費

当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、63億2百万円(前年同期比2.5%増)となり、前年同期に比べ1億56百万円増加しました。これは主に決算賞与の支給に伴い人件費が増加したことなどによるものであります。

③ 営業外損益

当連結会計年度の営業外収益は、89百万円(前年同期比30.1%減)となりました。これは主に前連結会計年度にあった2021年9月に竣工した佐賀新工場の立地促進補助金収入が当連結会計年度にはなかったことにより補助金収入が減少したことによるものであります。

営業外費用は、49百万円(前年同期比59.8%減)となりました。これは主に為替差損の計上が前連結会計年度に比べ減少したことよるものであります。

④ 特別損益

当連結会計年度の特別利益は、1億37百万円(前年同期比1,386.6%増)となりました。これは主に前期に計上した品質保証損失引当金の戻入及び保険金収入の計上によるものであります。

特別損失は、2億85百万円(前年同期比0.2%減)となりました。これは主に事業構造改革費用の計上によるものであります。

 

 

(4) 財政状態の分析

(流動資産)

当連結会計年度末における流動資産の残高は、前連結会計年度末比9億46百万円増加(前連結会計年度末比7.0%増)し、144億34百万円となりました。その主な要因は、現金及び預金が9億49百万円増加(前連結会計年度末比18.7%増)、受取手形及び売掛金が4億18百万円増加(前連結会計年度末比12.0%増)、その他が1億49百万円増加(前連結会計年度末比75.0%増)した一方で、電子記録債権が4億92百万円減少(前連結会計年度末比37.0%減)したことによるものであります。

 

(固定資産)

当連結会計年度末における固定資産の残高は、前連結会計年度末比2億47百万円減少(前連結会計年度末比2.0%減)し、122億8百万円となりました。その主な要因は、機械装置及び運搬具が1億52百万円減少(前連結会計年度末比12.2%減)、繰延税金資産が1億74百万円減少(前連結会計年度末比28.2%減)したことによるものであります。

 

(流動負債)

当連結会計年度末における流動負債の残高は、前連結会計年度末比4億38百万円減少(前連結会計年度末比11.5%減)し、33億89百万円となりました。その主な要因は、短期借入金が2億25百万円減少(前連結会計年度末比100.0%減)、1年内返済予定の長期借入金が83百万円減少(前連結会計年度末比20.8%減)、品質保証対応損失引当金が1億12百万円減少(前連結会計年度末比92.2%減)したことによるものであります。

 

(固定負債)

当連結会計年度末における固定負債の残高は、前連結会計年度末比1億82百万円減少(前連結会計年度末比22.4%減)し、6億33百万円となりました。その主な要因は、長期借入金が3億19百万円減少(前連結会計年度末比100.0%減)、その他が62百万円減少(前連結会計年度末比30.0%減)した一方で、資産除去債務が1億99百万円増加したことによるものであります。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産の残高は、前連結会計年度末比13億20百万円増加(前連結会計年度末比6.2%増)し、226億19百万円となりました。その主な要因は、利益剰余金が11億56百万円増加(前連結会計年度末比14.6%増)した一方で、自己株式が1億33百万円減少(前連結会計年度末日は2億32百万円)したことによるものであります。

 

 

(5) キャッシュ・フローの状況の分析

① キャッシュ・フロー

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末より9億36百万円増加し、57億62百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は、27億62百万円(前年同期は得られた資金26億32百万円)となりました。

その主な内訳は、税金等調整前当期純利益25億22百万円によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、5億29百万円(前年同期は使用した資金5億41百万円)となりました。

その主な内訳は、有形固定資産の取得による支出4億24百万円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は、12億98百万円(前年同期は使用した資金14億65百万円)となりました。

その主な内訳は、配当金の支払5億66百万円、長期借入金の返済4億3百万円、短期借入金の返済2億25百万円によるものであります。

 

② 資金需要

資金需要の主なものは、製品製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用に係る運転資金と設備投資資金であります。これらの運転資金及び設備投資資金については、主に自己資金を充当しております。

 

(6) 経営戦略の現状と見通し

当社グループの経営戦略の現状と見通しにつきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

(7) 経営者の問題認識と今後の方針

当社グループの経営者の問題認識と今後の方針につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

(8) 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループの経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

5 【重要な契約等】

該当事項はありません。

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループの研究開発活動は、顧客の多様な仕様に対応した製品において、品質の確保はもとより、求められるスピードに応える信頼性と顧客満足の実現を目指して推進しております。

特に、当社グループではフィルタ製品の心臓部であるフィルタエレメントに使用される「ろ材」の独自開発に注力しており、多種多様な用途に対応可能なフィルタ製品を、顧客ニーズに即応する形で開発しております。

また、当社グループの研究開発体制においては、当社が「ろ材」および構成部品の研究・開発を一手に担い、製品の基盤技術の強化と競争力の向上に努めております。

当社グループは、建機用フィルタについては、油圧ショベルの作動油回路用フィルタ製品に加え、燃料用フィルタやエンジンオイル用フィルタ製品などの開発にも積極的に取り組み、合わせてICT(情報通信技術)やIoT(Internet of Things)による高機能化や高付加価値化を進め、新サービスを展開するための技術開発を行っております。産業用フィルタについては作動油・潤滑油用フィルタなどの市場分野において、また、プロセス用フィルタについては洗浄・飲料用フィルタなどの市場分野において、既存製品で蓄積したノウハウを活用した製品開発を行っております。

また、フィルタ「ろ材」の独自開発においては、使用される状況や捕獲したゴミに応じて最適な性能を発揮するために、ろ材構造や材質に対する研究活動を行っております。具体的には、ガラス繊維を中心に、異なる繊維形状(太さや密度)を組み合わせた多層「ろ材」開発などを通じ、既に様々な当社製品に展開されております。今後は、より高度な市場の要求や課題解決を可能にする「ろ材」開発を積極的に推進してまいります。

更には、現在ではフィルタ開発のみならず、油圧回路内を循環する作動油の汚染度をリアルタイムに測定できるセンサ開発とフィルタの目詰まりを把握する圧力センサ開発を進めております。作動油の汚染度情報をリアルタイムに把握することは、油圧機器の故障予防・予知の観点からも非常に重要であり、またフィルタの目詰まり状況を把握し、寿命を予測することで適切なフィルタ交換時期をユーザーへ提供することが可能となり、純正品を使用するメリットをユーザーへ訴求できるものと考えております。具体的な取り組みとして、主要得意先各社へ当社製品の理解を深める機会として、当社開発センターにおいて、汚染度センサ、圧力センサを搭載した建設機械を実際に稼働させ、デモンストレーションを行うWeb見学会を当事業年度より開催しております。今後も主要得意先建機メーカーに対して、当社製品の付加価値を訴求する様々な取組みを実施してまいります。

また、当社グループは、従来のガラス繊維に代わる新しい「ろ材」として、「ナノファイバー」の開発を継続しております。「ナノファイバー」は、天然素材のガラス繊維に比し繊維径がきわめて細く、また繊維長の調整が可能であることから、ろ材として非常に優れた特性を有する素材であり、これを次世代ろ材に使用することで、①不純物のより効果的なろ過、②油圧システム内の作動油の循環効率の向上及び③フィルタの交換サイクルの長期化によるコスト低減、産業廃棄物の低減を通じた環境負荷低減に貢献することが可能となります。「ナノファイバー」による「ろ材」は建設機械用フィルタ事業においては、主要得意先である建機メーカー各社への採用が開始されております。

また、環境配慮型製品として化石燃料由来の樹脂からバイオマス由来の樹脂を用いてのナノファイバー紡糸にも着手しており、次世代建設機械用作動油フィルタとして低圧損、ロングライフ化を有する「ろ材」として開発を進めております。

エアフィルタ事業においては、ロングライフ、低圧損、高捕集率のナノファイバー製エアフィルタ(製品名:NanoWHELP)の、オフィスビルや商業施設、ホテル、病院、工場等への採用が進展しております。当社製品であるNanoWHELPは、企業に求められる温室効果ガスの削減のための有用な手段の一つとして、CO2の削減効果と同時に光熱費の低減に寄与する製品であることから、供給の拡大に向けた取り組みを強化するとともに、今後、国内市場のみならず、健康や環境被害を排除するための規制の強化がEUから各国に広がり始めている欧州市場をはじめとした海外市場の開拓にも積極的に取り組んでまいります。

更には、接着剤を使わない製法を生かして既存のガラス繊維に置き換わるナノファイバーを利用したオイルミスト用フィルタの開発を行い、HEPAレベルのオイルミストの除去ができる「ろ材」を開発し、製品化が実現いたしました。本製品は従来のガラス繊維HEPAフィルタとは異なり有機フッ素化合物 (以下「PFAS」)を使用しない「PFAS FREE」の製品であり、今後市場から要求が高まる健康や環境被害の排除、PFAS使用製品の製造や販売の規制の強化に対応することが可能な製品であります。今後、こうした市場環境の変化に対応し、より付加価値の高い低圧損、高捕集効率なエアフィルタの製品化を進めてまいります。

新たな領域への展開としまして、これまで「ろ材」としての高空隙特性と極細繊維の特徴に新たな機能を組み合わせた新素材の開発に着手しております。代表例としましてはナノファイバー製法の材料選択度の自由度を生かした耐熱素材の開発と、今後将来性の見込まれるウェアラブルセンサー等への組み込みが可能な導電性繊維の開発を行っており、今後、アパレル市場やスマートテキスタイル市場等への進出を見据えた活動を継続してまいります。

当社グループでは、当社独自製造技術に基づく「ナノファイバー」の製品化に向けた研究開発を今後進めることにより、既存事業の更なる高付加価値化及び競合他社との差別化を図るとともに、環境配慮型素材開発、新素材技術の活用による新規事業領域への進出にも積極的に取組んでまいります。

これらの結果、当連結会計年度における研究開発費は427百万円となりました。