文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、多岐にわたる技術と多様な製品群を擁し、小粒でも光る、ファインケミカル中心の中堅優良化学メーカーを目指しております。創業以来の「技術重視」の経営姿勢を堅持し、技術の向上を通じ、広く時代のニーズに応える製品を開発・提供することにより、豊かな社会づくりに貢献するよう努めてまいります。
当社グループは、2025年3月期を最終年度とした「TOHO Step Up Plan 2024」を終了しました。2026年3月期からは、2028年3月期を最終年度とする「TOHO Step Up Plan 2027」に取り組んでまいります。「TOHO Step Up Plan 2024」及び「TOHO Step Up Plan 2027」に掲げた数値目標と課題は、(3) 目標とする経営指標、(5) 対処すべき課題に記載のとおりです。「TOHO Step Up Plan 2027」では、計画期間の3年間を「持続可能な成長と価値創造のための変革期」と位置づけております。「TOHO Step Up Plan 2027」で掲げた重要課題への取り組みを着実に前進させ、急速に変化する事業環境下においても当社グループが力強く成長を続けるための地盤づくりを進めてまいります。
「TOHO Step Up Plan 2024」(2023年3月期~2025年3月期)では、継続的な事業規模の拡大と収益性の向上、財務の健全性確保、資本の効率的な活用、株主の皆様への還元を重視し、下記の指標を数値目標といたしました。
数値目標(連結)<最終年度(2025年3月期)>
「TOHO Step Up Plan 2027」(2026年3月期~2028年3月期)においても、継続的な事業規模の拡大と収益性の上、財務の健全性確保、資本の効率的な活用、株主の皆様への還元拡大を重視し、下記の指標を数値目標としております。
数値目標(連結)<最終年度(2028年3月期)>
石油化学業界においては、国内のエチレン生産設備の稼働率が、中国の増産の影響で低迷し、集約の検討が進むなど、事業環境の変化はかつてない激しさとなっております。新興国企業の安価品での攻勢による競争激化、国内労働市場のタイト化による採用難や人件費の高騰、金利の上昇、保護主義色を強める米国の政策動向等、懸念材料も多く、先行きは不透明な状況が続いております。
<「TOHO Step Up Plan 2024」を振り返って>
「TOHO Step Up Plan 2024」(2023年3月期~2025年3月期)の重要課題と対応状況につきましては以下のとおりです。
① 収益重視の経営の推進
製品別連結営業利益を重視することを標榜し、販売面では採算是正のための製品売価の見直しを進め、生産面では数々の製品で工程見直しなどの合理化によるコスト削減の成果を挙げることができました。しかしながら、採算意識については一層の改善の余地があると考えており、引き続き強化に取り組んでまいります。
② 電子情報材料分野の拡大で中核事業化へ
2023年度に半導体不況の影響を大きく受けましたが、その間、生産要員の教育、生産工程の合理化、適正在庫の確保、原材料の安定確保を目的とした冷蔵倉庫の新設など、需要回復時への備えを進めました。その結果、2024年度の需要回復局面では順調に販売が拡大し、当社グループの業績回復に大きく寄与いたしました。当社製品の供給能力増強に対する取引先からの期待に応えるべく、2024年11月に生産設備の増設を決定し、2026年末の完工に向けて準備を進めております。
2022年度は上海市のロックダウンや近接する他社の爆発火災事故の影響、2023年度は安全規制対応工事による生産の一時停止といった大きなマイナス要因が発生しましたが、2024年度は大きなトラブルもなく、上海拠点(同社と東邦化貿易(上海)有限公司の2社)で4億円を超える営業利益を計上いたしました。中国の景気低迷の長期化は、販売面ではマイナス影響がある一方、原料調達面では需給関係の緩和により原料を安価で調達できるプラス効果があります。同社の原料調達面での優位性や、大型の生産設備を有することによる生産性の高さを活かすため、国内工場からの生産移管を進めております。加圧反応設備はフル稼働になっていることから増設を決定し、2025年内の竣工に向けて準備を進めております。
(その他重要課題)
① 脱炭素化へ向けたサステナビリティ活動の取り組み強化
各工場で省エネ活動を推進し、生産の合理化や廃水削減、廃熱の回収・再利用等を進めました。また、当社の重要課題(マテリアリティ)の決定や、労働安全衛生マネジメントシステムの国際規格であるISO45001の取得、GHG排出量削減の数値目標及びスケジュールの設定などを行いました。環境負荷低減製品の開発においては、土木建築用薬剤等の製品開発が進展しております。
② 最適生産体制の一層の強化
千葉工場における電子情報材料事業のウエイトを高めるための生産移管や、東邦化学(上海)有限公司の活用を拡大するための生産移管など、グループ全体の競争力を高めるための最適生産体制の構築を進めました。品質面・技術面で差別化が難しい汎用製品については、新興国企業からの輸入品との競争激化の対策として、競争力の乏しい汎用製品の生産縮小や収益性の高い製品へのシフトを進めております。また、昨今の人手不足への対応として、生産設備の自動化も進めております。
③ 研究開発投資の選択と集中の徹底で高機能・高付加価値製品の開発を加速
当社の強みである多分野・多品種にわたる様々な技術の組み合わせによって課題の解決や新技術の開発を加速すべく、事業所や分野の枠を超えたワーキンググループを適宜組織し、重点テーマに研究エネルギーを集中して、取り組みを進めました。その結果、樹脂エマルション関連の新製品の生産技術確立やプラスチック用添加剤関連製品の開発等で成果を得ることができました。また、電子情報材料の先端製品や環境負荷低減製品をはじめとする高機能・高付加価値製品の開発も着実に進捗しております。
間接部門では新たなシステムの導入やアウトソーシングの活用、生産面では自動運転化の推進や生産合理化による各製品の工程時間短縮など、スリムな人員体制を実現するための省人化への取り組みを進めてまいりました。
<「TOHO Step Up Plan 2027」の内容・取り組みについて>
「TOHO Step Up Plan 2027」(2026年3月期~2028年3月期)におきましては、下記の重要課題に取り組んでまいります。
(最重要課題)
① 電子情報材料事業の拡大・中核事業化
・同事業への経営資源の集中的投入による事業拡大スピードの加速
・既存製品の生産合理化・コストダウン、先端製品の開発等による競争力の更なる向上
・同事業の成長によりスペシャリティーケミカルセグメントの営業利益15億円の達成
② 東邦化学(上海)有限公司を成長軌道に乗せ、海外市場開拓の取り組みを強化
・現在フル稼働の生産設備(加圧反応釜)の増設と既存設備の生産余力活用による売上・利益拡大
・同社の強みを活かすための国内工場からの生産移管の更なる推進
・東邦化貿易(上海)有限公司と一体となり海外市場開拓を加速
・上海拠点(東邦化学(上海)有限公司と東邦化貿易(上海)有限公司の2社)の営業利益5億円の達成
③ 高機能・高付加価値製品の開発を加速
・差別化できるテーマに研究開発エネルギーを重点配分
・電子情報材料の先端製品や環境負荷低減製品などの高機能・高付加価値製品の開発加速
・海外市場開拓に向けた製品開発の推進
④ 最適生産体制構築による生産性改善と業務効率化
・大型設備を擁し生産性が高い東邦化学(上海)有限公司と鹿島工場を最大限に活用
・最適生産体制の一層の強化と生産合理化施策の深堀り
・生産設備の自動運転化、DXおよびIT活用を更に進め、業務効率を改善
⑤ 資本効率・財務体質・PBRの改善
・最重要課題①~④による収益及び資産回転率の改善
・在庫水準の見直し、売上債権の回収期間見直し、政策保有株式の見直し等、使用総資産のスリム化
・既存設備の有効活用により新規設備投資は抑制
・株主還元の一層の充実化、当社の成長戦略等の積極的な情報発信
(その他の重要課題)
⑥ 人的資本強化の取り組み推進
・経営方針に掲げた「社員と共に歩む企業作り」に向け、人的資本重視の経営、風通しの良い職場づくり、チャレンジを促す経営を推進
・働き方改革や労働環境改善を進め、社員のエンゲージメント向上を促進
・経営方針に掲げた「利益性、生産性、効率(設備・人材)、スピード」に高い意識を持つ人材を育成し、企業の成長と従業員の幸福を両立
⑦ 脱炭素化へ向けたサステナビリティ活動の取り組み強化
・国内のScope1+2は、2030年度までにGHG排出量を2013年度対比35%削減
・国内のScope3は、排出量において最も大きな割合を占めるCategory1(原料)を削減
・国外は、各地域の規制や市場動向に合わせて目標を設定
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、取締役会及びコンプライアンス・リスク管理委員会においてサステナビリティ関連のリスク及び機会を監視・監督しており、サステナビリティ関連の取組状況を共有し、目標の設定やその達成状況の確認並びに更なる改善に向けた議論等を実施する体制となっております。
また、2024年12月25日には、「脱炭素化に向けた取り組み方針」の改定と目標を決議しております。
サステナビリティに関する課題については、気候変動対応、人的資本・多様性、サプライチェーン、品質管理、事業継続・最適生産等を中心に、各部門及び部署がそれぞれ中期経営計画の目標としてサステナビリティに関する課題を掲げております。これらの課題は経営企画部が進捗状況を管理するとともに、定期的に取締役会及びコンプライアンス・リスク管理委員会に報告され、レビュー・評価を実施しております。
コンプライアンス・リスク管理委員会では、サステナビリティに係るリスクの識別結果の評価や優先的に対応すべきリスクの絞り込み、サステナビリティ関連の機会の識別結果の評価及び優先順位付け等を実施しております。重要なリスク及び重要と認識された機会については、執行役員会での協議を経て取締役会において戦略、計画に反映させ、監督を行っております。
重要課題(マテリアリティ)の特定プロセス及び「リスクと機会」との関連性、各種社内方針及びSDGs等との関係については以下のとおりです。
<マテリアリティの特定プロセス>
Step1.課題の洗い出し
社会的な課題と企業理念、CSR憲章及びそれを補完すべく定めた各種方針に基づき、また国内外のCSR国際規格等(国連の持続可能な開発目標(SDGs)やISO26000など、国内外のCSR国際規格や各種ガイドライン)も参考にしながら、課題の洗い出しを行う。
Step2.マテリアリティの抽出
抽出された課題について、当社グループとステークホルダーの各視点から重要性を評価し、マテリアリティ分析マップに落とし込んでマテリアリティを抽出し、ESGの分類に分けて集約する。
〔マテリアリティ分析マップ〕※ (S)社会、(G)ガバナンス、(E)環境

〔抽出・集約されたマテリアリティ〕
① 製品を通じた豊かな社会づくりへの貢献
(生産合理化・最適生産体制構築、スピーディーな新製品開発、サプライヤー・ユーザーとの連携強化等)
② 人材の確保・育成及び幸福度の追求
(人事制度改革とエンゲージメント向上の推進、障がい者雇用の促進等)
③ レジリエントな組織と強固なガバナンス体制・リスク管理体制の構築
(サイバーセキュリティ対策の強化、コンプライアンス、リスクマネジメント、労働安全衛生・化学物質のリスク低減等)
④ 地球環境への配慮と保全
(GHG排出量・エネルギー使用量の削減、高効率な設備への更新、排水や廃棄物の削減、3Rの推進等)
Step3.マテリアリティの特定
抽出されたマテリアリティはコンプライアンス・リスク管理委員会に答申し、マテリアリティの該当性評価を実施し、最終的に取締役会において決議され、特定する。
当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は次のとおりです。
・人材育成方針「採算意識とスピードに対する意識を持ち、国内外の職場で活躍できる人材の育成を目指す」
各種教育制度のほか、社員一人一人に活躍の場を与えて、チャレンジ意欲を喚起する職場環境の整備や、報いるべき社員にしっかり報いるメリハリの利いた人事制度への改訂を目指すなど、社員の成長を促す環境づくりに注力し、企業も個人も成長できる企業風土の醸成を進めてまいります。
・社内環境整備方針「女性・外国人・中途採用者等を区別せず、公平な業績評価、管理職登用、適所適材の人員配置に努め、ダイバーシティ(多様性)やワーク・ライフ・バランスの向上を目指す」
上記社内環境整備方針に基づく各種取り組みに加え、職場の安全衛生の向上、労働災害の発生件数の大幅な削減の実現に向けた取り組みの一環として、2024年3月末にISO45001の認証を取得いたしました。また、2023年より全社員を対象としたエンゲージメント調査を実施し、人的資本たる社員の意識を詳細に把握するとともに、調査結果を踏まえ各種制度や施策の策定に反映しております。
人的資本に関する取り組みは、東邦化学グループが持続的な成長、発展できる企業を目指すうえでの最重要テーマの1つであるとの認識のもと、2024年12月に「人的資本に関する取り組み方針」を制定いたしました。この方針を基に、長期的視野に立ち、これまでの取り組みを更に推進してまいります。
当社グループは、「脱炭素化へ向けた取り組み方針」に基づき、長期目標として「カーボンニュートラルの実現」を掲げ、その実現に向けて共通認識とスピード感を持って、エネルギー使用量の削減や高効率な設備への更新等に取り組んでおります。なお、サステナビリティ活動に関しては、中期経営計画の中で重要課題に掲げて取り組み、進捗を管理しております。
(a) 人的資本・多様性
管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異についての実績は、
なお、女性活躍推進法 一般事業主行動計画に定められている管理職に占める女性労働者の割合に関する目標と実績は下記のとおりです。
目標:10.0%(目標設定期間 2026年6月まで)
実績: 5.6%(2024年度)
また、マテリアリティに基づく指標は下記のとおりです。
具体的な目標及び施策は以下のとおりです。
① 国内
・Scope1+2:2030年度までにGHG排出量を2013年度対比35%削減する。
具体的施策:生産合理化・最適化の一層の推進、エネルギーの無駄取り、廃熱や廃溶剤等の再利用、省エネ設備への更新、事業ポートフォリオの見直し、クリーンエネルギーの導入検討等を進める。
・Scope3:特に最も大きな排出量の割合を占めるCategory1(原料)の削減に取り組む。
具体的施策:カーボンフットプリントの管理システム導入、既存原料からグリーン原料・バイオマス原料・より低排出な原料への置き換えを検討する。
② 国外
・各地域の規制や市場動向に合わせた目標設定を行う。
GHG排出量の実績は以下のとおりです。
① 国内連結
・組織範囲
東邦化学工業株式会社及び国内連結子会社
・算定範囲
Scope1、Scope2
② 当社単体
・組織範囲
東邦化学工業株式会社(単体)
・算定範囲
Scope1、Scope2、Scope3 Category1~7
なお、Scope3 Category8・13・14・15については排出活動が存在しないことから、また、Scope3 Category9・10・ 11・12は算定に必要なデータ収集が困難であることから算定しておりません。
サプライチェーン排出量算定について
・準拠ガイドライン
「GHGプロトコル」及び環境省・経産省発行「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン(Ver.2.6)」に基づき算定しております。
・排出原単位
「サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位データベース(Ver.3.3)」及び 「IDEA(Ver.2.3)」を使用しております。
当社グループの経営活動において財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
当社グループは、このようなリスクに対処する体制等を「リスク管理規程」に定めるとともに、リスクを横断的に管理する組織として、代表取締役社長が委員長を務めるコンプライアンス・リスク管理委員会を設置し、リスク発生の回避及びリスク発生時の影響の極小化に努めております。
なお、文中の将来に関する事項については、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループが生産する製品の種類は多く、さまざまな分野や用途で使用されており、特定の製品の売上・利益が変動することで業績が左右されるリスクは抑えられております。しかしながら、主要製品分野の業界の需要が低迷した場合、売上高が減少し、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
また、景気の悪化によって取引先の信用リスクが顕在化し、回収不能が発生した場合には、貸倒引当金や貸倒損失の計上等、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
① 原材料価格の変動によるリスク
当社グループの製品は、石油化学製品、油脂、化成品等を主な原料としており、その仕入価格は特に原油価格の変動の影響を強く受けております。原材料価格が高騰し、製品価格への転嫁が困難な場合や遅れた場合には、売上原価が増加し、利益が減少するなど、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
② 原材料の調達リスク
当社グループは、主要な原材料については、リスク管理の観点からも可能な限り複数の取引先から購入を行っております。また、安全在庫の確保や原材料メーカーとの協力体制強化に努め、一部の重要な原材料については自製化の研究も進めております。しかし、原材料メーカーの被災・事故・倒産等による生産活動停止、サプライチェーンや物流の混乱・寸断等により、原材料の入手が困難になる可能性があります。そのような場合には、生産活動の停滞に伴う売上高の減少や、原材料価格の高騰による売上原価の増加により、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、工場の操業停止によるマイナス影響を最小限にするため、安全教育の徹底のほか、すべての設備について日常点検と、シャットダウンしての定期的な点検を行い、耐震補強工事や津波・高潮対策工事も順次実施しております。さらに、汎用設備で生産可能な製品については順次複数工場での生産を可能とし、リスクの分散を図っております。しかし、一部の製品については専用設備でしか生産できず、しかも専用設備が単独の工場にしかないものもあります。これらの製品については、大規模地震等により工場の操業を停止する事象が発生した場合には、生産能力が著しく低下し、顧客への供給に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの国内生産能力の大部分は千葉県、神奈川県、茨城県の関東3県に位置しているため、関東広域にわたって甚大な被害を及ぼす災害が起こった場合は、それらの生産機能が同時に停止する可能性もあります。加えて、災害に伴いサプライチェーンや物流の混乱・寸断が発生した場合には、(2)②に記載の原材料の調達への影響のほか、顧客への出荷活動に悪影響を及ぼす可能性があります。それらの結果、売上高の減少等により、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
当社グループは、危険物及び化学製品の取り扱いについて、事故発生の未然防止のため、すべての製造設備の定期的な点検の実施、安全教育の徹底、安全装置及び消火設備の充実等、安全操業体制の強化に日々取り組んでおります。しかしながら、万一、当社グループの工場において火災・爆発・化学物質の流出等の事故が発生し、当社グループの事業活動及び地域社会に大きな影響を及ぼした場合、社会的信用の失墜、補償等を含む事故への対応費用、生産活動の停止による機会損失等により、売上高の減少やコストの増加等、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
当社グループは、新型コロナウイルス感染症に対しては、従業員とその家族の安全と健康を最優先にした対策を徹底し、生産・販売・在庫・物流状況の把握などの施策を通じて影響の最小化を図ってまいりました。中国・上海市にある連結子会社2社については、2022年度に上海市のロックダウンによる影響を受けましたが、国内においては、事業活動に大きな影響が及ぶ事態は避けられました。しかしながら、今後新たな感染症が当社グループの従業員に発生し、拡大した場合、一時的な操業の停止等の結果、売上高が減少するなど、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
不測の事態によりシステム障害が発生し長期化した場合には、事業活動の停止や対応費用の発生などにより、売上高の減少やコストの増加等、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。また、情報の漏洩、滅失又は毀損が発生した場合には、社会的信用の失墜、ノウハウの流出又は逸失による競争力の低下、損害賠償責任の発生、対応費用の発生などにより、売上高の減少やコストの増加等、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
そのようなリスクがある中、2023年2月、当社のサーバーが第三者による不正アクセスを受けたことを確認し、専門家による調査の結果、当社が保有するデータの一部が外部に流出したことが確認されました。現在までに、情報の不正利用等の二次被害に関する報告はありませんが、当社としては引き続き、影響を最小限に食い止めるべく、本事案への対応を最優先課題として取り組んでおります。また、二度とこのような事態を起こさぬよう、情報セキュリティの強化に全力で取り組んでおります。
当社グループは、独自性を有する技術力の強化による製品の差別化、生産性の改善による価格競争力の向上、品質管理の厳格化や納期厳守等による顧客からの信頼獲得等、競争優位性の維持・向上に努めております。また、当社グループが生産する製品の種類は多く、さまざまな分野や用途で使用されており、特定の製品の売上・利益が変動することで業績が左右されるリスクは抑えられております。しかしながら、海外安価品の流入等による価格競争の激化、新興国企業の台頭、競合他社の急速な技術力アップ、当社が製品を販売している化学品メーカーにおける当該製品の自製化等、環境の変化により、当社グループの競争力が低下する可能性があります。
また、当社グループの新技術・新製品の開発期間が長期化し、顧客のニーズに適時・適切に対応できない場合や、生産性の改善が進まない場合にも、当社グループの競争力が相対的に低下する可能性があります。それらの結果、売上高の減少や利益率の低下による利益の減少等、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
東邦化学(上海)有限公司は、2014年4月に商業生産を開始し、黒字化実現に当初想定以上の時間を要しましたが、2019年度に操業開始以来初の営業損益黒字化を、2020年度には初の経常損益黒字化を達成しました。しかしながら、2021年度はコロナ禍に加え、中国国務院の生産停止指示による約3ヵ月間の生産停止、2022年度は上海市のロックダウンや近接する他社の爆発火災事故、2023年度は安全規制対応工事実施による生産設備の稼働の一時停止といったマイナス要因が発生し、2021年度から2023年度にかけての営業損益は赤字または少額の利益にとどまりました。2024年度は大きなトラブルがなかったため、同社で3億円を超える営業利益、上海拠点(同社と東邦化貿易(上海)有限公司の2社)では4億円を超える営業利益を計上しました。
現在、中国を中心とした海外市場の開拓、開発案件の早期実績化、国内工場からの製造移管、現在フル稼働の加圧反応設備の増設と既存設備の生産余力活用等に注力しておりますが、投資額に見合う業績の拡大を果たせない場合、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。また、同社の業績の悪化や保有資産時価の著しい下落等が生じた場合、同社の固定資産に減損損失が発生し、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
当社グループは製品の一部を中国で生産しており、中国を中心に、アジア、欧米などの海外市場に向けて販売しております。中国において、政治・経済情勢の悪化、予期しない法律・規則の変更、人材の採用・確保の困難、テロ・戦争・労働争議その他の社会的混乱の発生、治安の悪化、感染症の流行等のリスクが顕在化した場合、中国に所在する連結子会社3社の生産活動や販売活動に悪影響を及ぼし、売上高の減少やコストの増加等、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。特に足許の懸念材料としては、中国国内の環境面や安全面での規制強化が進むことや、世界経済のブロック化により貿易が停滞すること、台湾情勢の緊迫化等により日中関係が悪化することなどが、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性のあるものとして挙げられます。
当社グループの在外連結子会社の財務諸表は、連結財務諸表作成のため円換算しておりますが、その円換算額は為替相場の動向に左右されます。在外連結子会社3社はすべて中国に所在しているため、日本円と中国元との間の為替相場に大幅な変動が生じた場合は、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
当社グループには2025年3月末時点で28,582百万円の借入金・社債・リース債務を含む有利子負債があります。借入金に係る金利変動リスクに対しては金利スワップの活用等によりリスクの低減を図っておりますが、市場金利が上昇した場合、支払金利が増加し、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。また、当社グループと金融機関との取引関係は長期間にわたり安定的に推移しておりますが、金融市場の変動や当社の信用状態の変化によって、当社グループが必要とする金額の資金調達を金融機関から適時に行うことができない場合、当社グループの資金繰りに大きな影響を与える可能性があります。
当社グループでは、工場における生産活動に関し、品質マネジメントシステムの国際規格であるISO9001の認証を取得し、各種製品の製造及び品質管理を行っております。また製造物責任賠償保険にも加入しております。しかしながら、将来的にすべての製品に欠陥がなく、不良品が発生しない保証はありませんし、この保険が、最終的に負担する賠償額をすべてカバーできるとも限りません。このような保険金額を上回る損害賠償や、大規模なクレームを引き起こす欠陥は、多額のコスト発生による利益の減少や、当社グループの評価・信用の悪化に伴う売上減少等により、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
当社グループは、研究開発活動で得た当社グループ独自の技術・ノウハウについて、特許出願や営業秘密の外部流出防止策徹底により知的財産の保護を行っております。しかしながら、「(4)情報セキュリティに関するリスク」にも記載のとおり、2023年2月、当社のサーバーが第三者による不正アクセスを受けたことを確認し、専門家による調査の結果、当社が保有するデータの一部が外部に流出したことが確認されました。当社から流出した当社独自の技術・ノウハウが不正利用され、当社グループの競争力が低下した場合、売上高の減少等により、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。また、新たな技術・製品の開発に当たっては、他社の知的財産権を十分に調査解析した上で、独自の技術・製品を開発しておりますが、当社グループが第三者の知的財産権を侵害したとして係争が生じた場合、売上高の減少やコストの増加等により、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
当社グループは、「脱炭素化に向けた取り組み方針」を定め、将来的なカーボンニュートラルの実現に向けてGHG排出量の削減目標を設定し、GHG排出量の抑制につながる省エネ・省資源対策を中心に取り組んでおります。しかしながら、各国政府により温暖化ガス排出量取引が本格的に導入された場合や炭素税が適用された場合には、直接的なコストが増加する可能性があるほか、それらを原因とした原燃料価格や電力価格の上昇も危惧されます。加えて、再生可能エネルギーやバイオマス原料・燃料の使用割合を増やす必要が生じた場合には、それに伴ってコストが増加する可能性があります。また、当社グループは、環境負荷低減製品の開発にも注力しておりますが、化石燃料由来品の使用見直し等、顧客ニーズに極端な変化が生じた場合、既存事業に大きなマイナス影響が生じる可能性があります。さらに、気候変動に対する当社グループの取り組みが不十分とみなされた場合には、社会的信用が低下し、売上高の減少等により当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
当社グループは、各種許認可のほか、商取引、安全、環境、労働、租税などに関する様々な法規制の適用を受けております。当社グループでは、すべての法律、規制の遵守にとどまらず、ビジネスを実践する上で遵守すべき行動原則として「東邦化学工業グループ行動規範」を制定し、この行動規範の啓蒙・教育を含め、コンプライアンス体制の構築に努めております。しかし、規制の強化や変更により事業活動が制限される場合や対応コストが発生する場合は、売上高の減少やコストの増加等により当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
当社グループは、国内外の事業活動に関連して、訴訟、係争、その他の法律的手続きの対象となるリスクがあり、将来重要な訴訟等が提起された場合には、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
当社グループは、人材戦略を事業活動における最重要課題の一つとして捉えており、今後の事業展開には適切な人材の確保・育成が必要と認識しております。多様な人材の積極的な採用や育成を通じた最適な人材の確保、生産工程の省人化等による人的資源の有効活用に努めておりますが、適切な人材を十分に確保できなかった場合、当社グループの事業遂行に制約を受け、または機会損失が生じるなど、売上高の減少により当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度における我が国経済は、賃上げが個人消費を下支えし、設備投資にも持ち直しの動きが見られることから、緩やかな回復基調で推移しております。一方、世界経済においては、米国の保護主義的な通商政策による影響や中国経済の回復の遅れ、地政学リスクの高まりなど数多くの懸念材料があり、先行きは不透明な状況が続いております。
化学業界におきましては、半導体市況が底打ちし、半導体市場向け製品の販売が回復基調に転じるなどの好材料はあるものの、石油化学製品を中心に中国の景気低迷による影響が長期化しており、厳しい状況が続いております。
このような経営環境下、当社グループの当連結会計年度の売上高は、国内と海外との原料調達価格差が拡大する中、香粧原料の大口ユーザー向け販売が、安価な輸入品への調達切り替えにより大幅減となった一方、半導体市況の回復に伴う電子情報産業用の微細加工用樹脂の大幅な増収、加えて石油添加剤、石油樹脂、アクリレート等の販売回復により、前期比3,016百万円、6.0%増収の53,613百万円となりました。
損益面につきましては、増収による収益効果に加え、売上構成の変化等に伴い利益率が改善したことや、連結子会社である東邦化学(上海)有限公司が3億円を超える営業利益を計上し、赤字であった前期から大幅に業績を改善したことなどにより、営業利益は前期比1,044百万円増益の1,815百万円、経常利益は前期比1,009百万円増益の1,753百万円となりました。また、投資有価証券売却益の発生等もあり、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比997百万円増益の1,543百万円となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりです。
(界面活性剤)
香粧原料は、一般洗浄剤の大口ユーザー向け販売の減少により約15億円の大幅な減収となりました。プラスチック用添加剤は、帯電防止剤等の販売が回復し増収となりました。土木建築用薬剤は、建設市場の停滞等によりコンクリート用関連薬剤の国内販売が低調で減収となりました。農薬助剤は、海外向けの販売が回復し増収となりました。繊維助剤は、海外での販売数量が前期比減少したものの、製品売価の上昇により増収となりました。紙パルプ用薬剤は、海外での販売はやや伸長したものの、国内での販売が振るわず減収となりました。
その結果、当セグメント全体の売上高は、前期比1,266百万円、4.6%減収の26,307百万円となり、セグメント利益は、売上構成の変化等に伴う利益率の改善により前期比309百万円増益の737百万円となりました。
(樹脂)
石油樹脂は、原料不足による減産は続いているものの、前期と比べると状況は改善しており、減産幅が縮小したことから増収となりました。合成樹脂は、断熱フォーム用ウレタン樹脂等の需要回復により増収となりました。樹脂エマルションは、販売数量は減少したものの製品売価の上昇により増収となりました。アクリレートは、国内・海外ともに需要がやや回復し増収となりました。
その結果、当セグメント全体の売上高は、前期比854百万円、21.5%増収の4,818百万円となり、セグメント利益は、前期比93百万円増益の93百万円となりました。
(化成品)
合成ゴム・ABS樹脂用ロジン系乳化重合剤は、国内・海外ともに需要がやや回復し増収となりました。石油添加剤は、海外向けの販売が伸長し増収となりました。金属加工油剤は、水溶性切削油剤等の需要回復により増収となりました。
その結果、当セグメント全体の売上高は、前期比639百万円、10.8%増収の6,574百万円となり、セグメント利益は、前期比69百万円増益の79百万円となりました。
(スペシャリティーケミカル)
溶剤は、販売数量は前期比やや減少したものの、製品売価の上昇により増収となりました。電子情報産業用の微細加工用樹脂は、半導体市況の回復に伴い大幅な増収となりました。
その結果、当セグメント全体の売上高は、前期比2,771百万円、21.3%増収の15,768百万円となり、セグメント利益は、前期比546百万円増益の954百万円となりました。
なお、上記の各セグメント利益の前期比の数値は、(セグメント情報等)「報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産、負債その他の項目の金額に関する情報及び収益の分解情報」の表における「報告セグメント」の比較情報です。
加えて、報告セグメントに含まれないその他の事業セグメント(環境調査測定・分析業務等)の営業利益が9百万円、各セグメントに帰属しない調整額(棚卸資産の調整額等)が△58百万円(前期は△80百万円)あります。
当連結会計年度末の総資産は、67,862百万円と前期比2,074百万円の減少となりました。その内訳は、流動資産が1,182百万円減少の36,943百万円、固定資産が891百万円減少の30,919百万円です。
流動資産の主な増減要因は、現金及び預金が854百万円の減少、受取手形が586百万円の増加、売掛金が1,127百万円の減少、商品及び製品が622百万円の増加、その他(流動資産)が未収入金の減少を主因に437百万円の減少です。
固定資産の主な増減要因は、有形固定資産が110百万円の増加、無形固定資産が92百万円の減少、投資その他の資産が909百万円の減少です。
一方、負債合計は46,785百万円と前期末比3,991百万円の減少となりました。主な増減要因は、流動負債で、支払手形及び買掛金が967百万円の減少、短期借入金が279百万円の減少、1年内償還予定の社債が500百万円の増加、未払法人税等が340百万円の増加、その他(流動負債)が未払消費税等や設備関係支払手形の減少を主因に1,065百万円の減少、固定負債で、社債が800百万円の減少、長期借入金が788百万円の減少、リース債務が218百万円の減少、退職給付に係る負債が644百万円の減少です。
純資産は、21,077百万円と前期末比1,916百万円の増加となりました。主な増減要因は、利益剰余金が、配当金の支払いと親会社株主に帰属する当期純利益との差額の1,186百万円の増加、その他の包括利益累計額が、その他有価証券評価差額金の減少と為替換算調整勘定及び退職給付に係る調整累計額の増加により720百万円の増加です。
その結果、自己資本比率は30.9%となりました。
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、営業活動により3,296百万円の増加、投資活動により2,550百万円の減少、財務活動により1,861百万円の減少となり、その結果、前連結会計年度末に比べ854百万円減少し、当連結会計年度末には5,704百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは3,296百万円の収入(前期比105百万円の収入減)となりました。収入の主な要因は、税金等調整前当期純利益1,972百万円、減価償却費2,839百万円、退職給付に係る負債の増加額214百万円、売上債権の減少額773百万円等であり、支出の主な要因は、投資有価証券売却益270百万円、棚卸資産の増加額509百万円、仕入債務の減少額1,124百万円、法人税等の支払額246百万円等であります。
投資活動によるキャッシュ・フローは2,550百万円の支出(前期比622百万円の支出増)となりました。収入の主な要因は、投資有価証券の売却による収入421百万円等であり、支出の主な要因は、有形固定資産の取得による支出2,846百万円等であります。
財務活動によるキャッシュ・フローは1,861百万円の支出(前期比961百万円の支出増)となりました。収入の主な要因は、長期借入金の純増額381百万円、セール・アンド・リースバックによる収入329百万円等であり、支出の主な要因は、短期借入金の純減額1,519百万円、社債の償還による支出300百万円、リース債務の返済による支出394百万円、配当金の支払額357百万円等であります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は、製造原価によっております。
受注生産は、行っておりません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 主要な相手先別の販売実績は、総販売実績に対する割合が10%未満のため、記載を省略しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(当社グループの当連結会計年度の経営成績等の状況について)
売上高は、香粧原料の大口ユーザー向け販売が大幅減となった一方、半導体市況の回復に伴う電子情報産業用の微細加工用樹脂の大幅な増収や、石油添加剤、石油樹脂、アクリレート等の販売回復により、前期比3,016百万円、6.0%増収の53,613百万円となりました。
セグメント別の売上構成は、界面活性剤49.1%(前期は54.5%)、樹脂9.0%(同7.8%)、化成品12.3%(同11.7%)、スペシャリティーケミカル29.4%(同25.7%)、その他0.2%(同0.2%)となっております。
売上総利益は、増収による収益効果に加え、売上高総利益率が15.2%と前期比1.7%改善したことにより、前期比1,338百万円増益の8,174百万円となりました。
販売費及び一般管理費は、人件費や倉敷料等の増加により293百万円増加しました。その結果、営業利益は前期比1,044百万円増益の1,815百万円となりました。
営業外損益は、支払利息等により62百万円のマイナス(前期は27百万円のマイナス)となり、経常利益は前期比1,009百万円増益の1,753百万円となりました。特別損益は、投資有価証券売却益等により218百万円のプラス(前期は20百万円のマイナス)となり、税金等調整前当期純利益は前期比1,249百万円増益の1,972百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比997百万円増益の1,543百万円となりました。
(当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因について)
外部要因として、お取引先の業界の景況と原材料価格の動向、内部要因として東邦化学(上海)有限公司の業績の動向が挙げられます。
当社のお取引先は、幅広い業界に亘っており、各業界の景況並びにそこでのお取引先の業績の状況が販売実績に影響します。2024年3月期は半導体不況の影響により電子情報材料関連製品の販売が低調となりましたが、当連結会計年度は、半導体市況の回復に伴って同製品の販売が伸長いたしました。
東邦化学(上海)有限公司につきましては、2023年3月期は上海市のロックダウンや近接する他社の爆発火災事故の影響、2024年3月期は安全規制対応工事による生産の一時停止といった大きなマイナス要因が発生しましたが、当連結会計年度は大きなトラブルがなく、上海拠点(同社と東邦化貿易(上海)有限公司の2社)で4億円を超える営業利益を計上いたしました。
その他、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性のあるリスクについては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりです。
(当社グループの資本の財源及び資金の流動性について)
当社グループの事業運営に必要な資本の財源及び流動性については、自己資金のほか借入金等の有利子負債を活用し、全体のバランスをみながら安定的に確保することを基本方針としております。このうち有利子負債の調達に関しましては、短期運転資金については、短期借入金、受取手形割引等により、設備投資資金や長期運転資金については、長期借入金や社債及びリースにより、資金調達をしております。
今後の重要な資本的支出の予定は、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除去等の計画」に記載のとおりですが、その資金調達に関しましても、上記方針に則り調達を実施する予定です。
なお、当連結会計年度末における借入金・社債・リース債務を含む有利子負債の残高は28,582百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は5,704百万円となっております。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、営業活動によるキャッシュ・フローが3,296百万円のプラスとなりました。一方で、投資活動によるキャッシュ・フローが2,550百万円のマイナスとなりましたので、フリーキャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの合計)は746百万円のプラスとなりました。財務活動によるキャッシュ・フローは1,861百万円のマイナスとなりました。その結果、現金及び現金同等物は854百万円の減少となっております。
(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
(注1)
・自己資本比率:自己資本÷総資産
・時価ベース自己資本比率:株式時価総額÷総資産
・キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債÷キャッシュ・フロー
・インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー÷支払利息
(注2)
・各指標は、連結ベースの財務数値より算出しております。
・株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
・キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
・有利子負債は連結貸借対照表に計上されている社債・借入金の合計額を対象としております。
・支払利息は連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
(経営方針・経営戦略・経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等について)
当社グループは、2023年3月期を初年度とする「TOHO Step Up Plan 2024」において、売上高、営業利益、売上高営業利益率、純資産額、自己資本比率、自己資本利益率(ROE)、1株当たり配当額の7つの指標を数値目標といたしました。
各指標の2025年3月期の目標値(「TOHO Step Up Plan 2024」で掲げた目標値)と実績は下記のとおりです。
2025年3月期の実績は、売上高53,613百万円、営業利益1,815百万円、売上高営業利益率3.4%、ROE7.7%となり、いずれも「TOHO Step Up Plan 2024」で掲げた目標値を下回りました。計画未達の大きな要因としては、中国の景気停滞により、新興国企業が日本市場等に対する安価品での攻勢を強めるなど、競争環境が激化したことや、2023年の半導体不況の影響によって電子情報材料事業の拡大が計画比遅れたことが挙げられます。一方、2025年3月末の純資産額は21,077百万円、自己資本比率は30.9%となり、目標値を上回りました。また、株主の皆さまへの収益還元を重視し、当連結会計年度の1株当たり配当額は、目標値と同額の20円といたしました。事業規模の拡大と収益性の向上に関しては不本意な結果に終わり、未だ成長軌道に乗るには至っておりませんが、水面下では次期中期経営計画で成果が期待できる体制づくりを進め、成長基盤の構築に向けて大きく前進いたしました。その成果の早期実績化を目指し、2026年3月期からの新たな中期経営計画では、当社グループの事業規模拡大及び収益力強化に向けた取り組みを全力で実施してまいります。
当社グループの新たな中期経営計画「TOHO Step Up Plan 2027」(2026年3月期~2028年3月期、以下「本中計」という。)においても、「TOHO Step Up Plan 2024」と同様、売上高、営業利益、売上高営業利益率、純資産額、自己資本比率、自己資本利益率(ROE)、1株当たり配当額の7つの指標を数値目標としております。
本中計の最終年度である2028年3月期の各指標の目標値は下記のとおりです。
本中計の最終年度である2027年度(2028年3月期)は当社の創業90周年にあたります。創業80周年の2017年度には連結営業利益で過去最高の約24億円を計上しましたが、創業90周年ではこれを上回る連結営業利益30億円の達成を計画しております。更に創業100周年を視野に入れ、本中計最終年度の3年後の2030年度には連結営業利益45億円を数値目標に掲げ、持続的な成長に向けて企業基盤を一層強化し、更なる成長加速を目指してまいります。
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。
連結財務諸表の作成に際し、当連結会計年度末日における報告数値に影響を与える見積りは、過去の実績や当社グループを取り巻く環境等に応じて合理的と考えられる方法により計上しておりますが、見積り特有の不確実性があるために、実際の結果は異なる場合があります。
当社は、特に以下の会計上の見積りが当社の財務諸表に重要な影響を与えるものと考えております。
当社グループは、棚卸資産の評価基準及び評価方法として移動平均法に基づく原価法(収益性の低下による簿価切下げの方法)を採用しております。
当社グループの保有する棚卸資産は、経済環境の影響を受けて価格が大きく変動する傾向にあるため、市場価格が下落した場合には、棚卸資産の簿価を切り下げ、売上原価を増加させることになります。
当社グループは、投資有価証券の期末における時価が、取得原価に比べ50%以上下落した場合には全て減損処理を行い、30~50%程度下落した場合には、当社グループの規定に基づき回復可能性を考慮して必要と認められた額について減損処理を行います。
将来の市況悪化又は投資先の業績不振により、現在の簿価に反映されていない損失又は簿価の回収不能額が生じた場合、評価損の計上が必要となる可能性があります。
当社グループは、債権の貸倒の損失に備えるため、貸倒引当金を計上しております。一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。一般債権の貸倒実績率については、過去3期の貸倒実績に基づき算出しております。顧客の財政状態が悪化し、支払能力が低下した場合等、追加引当が必要となる可能性があります。
当社グループは、退職給付費用及び債務について、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出しております。これらの前提条件には、割引率、将来の報酬水準、退職率及び死亡率などがあります。それぞれの前提条件は、現時点で十分に合理的と考えられる方法で計算されております。退職給付費用及び債務の計算に影響を与える最も重要な前提条件は、割引率です。当連結会計年度の退職給付費用の計算に適用した割引率は2.1%です。割引率は、現在利用可能かつ退職給付債務の満期までの期間において利用可能であると見込まれる高格付けの債券の利回りなどを考慮して決定しています。
なお、一部の連結子会社は、退職給付債務の算定にあたり簡便法を採用しております。
退職給付費用及び債務の計算の前提条件と実際の結果に差異が生じた場合や、前提条件自体が変更になった場合、退職給付債務及び将来の退職給付費用に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、繰延税金資産について回収可能性を十分に検討し、回収可能と判断した額を計上しております。回収可能性の判断においては、将来の収益力に基づく課税所得の見積りにより、当連結会計年度末における将来減算一時差異等のうち、将来の税金負担額を軽減することができる範囲内で繰延税金資産を計上しております。課税所得の見積りは、取締役会の承認を得た事業計画を基礎としております。
事業計画における主要な仮定は、原料価格、製品の販売数量及び販売価格であります。当該仮定に変動が生じ、課税所得の見積額が変動した場合は、繰延税金資産の回収可能性の評価を見直す可能性があります。また、税制や税率が変更された場合、繰延税金資産の回収可能性の評価に影響が及ぶ可能性があります。
当社グループは、固定資産のうち、収益性の低下等により投資額の回収が見込めなくなった資産又は資産グループについて、帳簿価格を回収可能価額まで減損し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。減損損失を判定するに当たりましては、販売・生産拠点を基礎としてグルーピングを行い、減損の兆候を判定しております。
減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、経営環境の変化による収益性の変動等により、想定していた投資回収が見込めなくなり、減損の必要性を認識した場合、減損処理を実施し、減損損失が発生する可能性があります。
該当事項はありません。
当連結会計年度の研究開発活動は、当社追浜研究所、千葉研究所の2つの研究開発機関で行っております。
当連結会計年度は、15%に相当する要員を研究開発に充て、界面活性剤、樹脂、化成品及びスペシャリティーケミカルを含む機能性化学薬品の研究開発を推進しております。
これに要した研究開発費の総額は
なお、研究開発費はセグメント別に関連づけられないものもあるため、セグメント別の研究開発費の金額は記載しておりません。
主な研究開発
当セグメントは、香粧原料、プラスチック用添加剤、土木建築用薬剤、農薬助剤、繊維助剤、紙パルプ用薬剤などの多岐用途に渡ります。
高機能・高付加価値製品の開発を進め、香粧原料分野ではスキンケアポリマー等の化粧品用原料の製品開発、土木建築用薬剤分野では低炭素、低環境負荷建設材料向け薬剤の製品開発、プラスチック用添加剤分野は耐久性ポリマー型プラスチック添加剤の製品開発を主に行っております。
香粧原料は家庭用洗剤原料の開発品が引続き販売に結びついております。またスキンケアへの需要が高まり開発した新製品が新たに採用に結びつきました。
プラスチック用添加剤では樹脂製造工程における作業環境負荷を低減した樹脂用添加剤が採用に結びつきました。
土木建築用薬剤は開発した環境負荷低減に配慮した建設材料向け薬剤が引続き販売に結びついております。新たに開発した外壁材向け薬剤、生産負荷が軽減される新たな高濃度開発品が採用に結びつきました。コンクリートの施工性向上に貢献する新製品として状態改良剤が採用に結びつきました。
農薬助剤は国内外向け殺虫剤用助剤が引き続き販売に結びついております。また、東南アジア向けに開発した助剤が、現地の農薬製剤に対する環境負荷低減思考や、食糧増産による農薬需要の堅調な伸びに伴い販売量を伸ばしております。
繊維助剤は海外向け開発製品が引続き販売に結びついております。また東南アジア、南アジア向け染色助剤、精練剤原料の開発に注力し新たに採用に結びつきました。
紙パルプ用薬剤はパルプ製造工程用消泡剤が採用に結びついております。また東南アジア向け開発に注力しパルプ製造及び水処理工程消泡剤が採用に結びつきました。
その他、インキ顔料用薬剤、水処理関係薬剤の開発を進めております。
今後も国内外の顧客要求に合わせた新製品の開発と生産性向上に取り組んでまいります。
(2) 樹脂
当セグメントは、合成樹脂、樹脂エマルション及びアクリレートに関する研究開発に取り組んでおります。
合成樹脂では、特に地球温暖化防止に寄与する樹脂の開発に注力しております。その結果、顧客の要求に合わせて前期までに研究開発したウレタンフォーム断熱材の原料及び顧客の要求に合わせて研究完成した親水性ウレタン樹脂が引き続き販売に結びついております。さらに、今期は顧客の要求に合わせて研究開発した高密度ウレタン樹脂が販売に結びつきました。今後の需要確保と国内外の顧客の要求、地球温暖化防止に寄与する新製品の研究開発と既存樹脂の生産性向上に取り組んでまいります。
樹脂エマルジョンでは、酸変性ポリエチレンや酸変性ポリプロピレンの水系製品の開発に注力しております。その結果、顧客要求に合わせて前期までに研究完成したガラス繊維用集束剤は引き続き販売に結びついております。さらに、今期は顧客要求に合わせて研究完成した床ワックス用添加剤が販売に結びつきました。今後の需要確保と国内外の顧客の要求に合わせた新製品の研究開発と既存製品の生産性向上に取り組んでまいります。
アクリレートでは前期までに研究完成したプリント配線基板向け感光性材料が、引き続き販売に結びついております。今期は、顧客の要求に合わせて研究開発したプリント配線基板向け感光性材料が、販売に結びつきました。今後の需要確保と生産性の向上及び顧客の要求に合わせた新製品の研究開発に取り組んでまいります。
当セグメントは石油添加剤、金属加工油剤に関する研究開発に取り組んでおります。
石油添加剤では、解乳化剤、流動点降下剤、粘度指数向上剤などの様々な薬剤の開発に注力しております。その結果、顧客の要求に合わせて前期までに研究完成した原油薬剤が引き続き販売に結びついております。また、既存製品の生産性向上にも取り組んでおります。今後の需要確保と顧客の要求に合わせた新製品の研究開発と既存製品の生産性向上に取り組んでまいります。
金属加工油剤では、顧客の要求に合わせて研究完成した水溶性切削油が販売に結びついております。今後の需要確保と顧客の要求に合わせた研究開発と既存製品の生産性向上に取り組んでまいります。
(4) スペシャリティーケミカル
当セグメントは溶剤、電子情報産業用の感光性微細加工用樹脂の研究開発に取り組んでおります。
溶剤では、汎用溶剤、高純度溶剤、ブレーキ液基剤など様々な用途で用いられる溶剤の研究開発と生産合理化に取り組んでおります。引き続き、顧客の要求や市場のニーズに合わせた研究開発(高純度溶剤の開発)に取り組んでまいります。
電子情報産業用の感光性微細加工用樹脂では、汎用の樹脂から更なる高機能を求められる次世代向け樹脂の研究開発に幅広く取り組んでおります。その結果、顧客の新しい要求に合わせて前期までに研究完成した感光性微細加工用樹脂は引き続き販売に結びついております。また、顧客の新しい要求に合わせて研究開発した次世代半導体向け感光性微細加工用樹脂が販売に結びつきました。今後の需要確保と顧客の新しい要求に合わせた新製品の研究開発と顧客の更なる需要拡大に備えた生産体制強化並びに既存製品の生産性向上に取り組んでまいります。