第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 会社の経営の基本方針

当社は、経営理念のもとで、工作機械メーカーとして、高機能・高品質な製品を提供することによる価値の創造と、ステークホルダーへの適切な配分を考慮し、経営活動を行っています。

また、当社グループを取り巻く環境の大きな変化を踏まえ、社員と会社が共通のゴールに向かい、共に成長できる会社を志向し、会社の目指す姿や社員の指針となる「ミッション・ビジョン・バリュー」を新たに策定しました。全社一体となってさらなる成長をはかり、企業価値向上を実現します。

≪経営理念≫

高松機械は「社会に貢献」する。お客様には安全でメリットのある商品を、従業員には生活の安定と希望を、株主には適切な配当を提供するとともに、協力企業とも共存共栄の精神をもって、社会の発展に積極的に貢献する。

≪ミッション:私たちの使命、存在理由≫

・社会課題を解決する製品、技術、サービスの提供を通じて、日本、そして世界のモノづくりを支える。

≪ビジョン:私たちが目指す姿、将来像≫

・お客様や社会の課題を解決に導く、進化を続けるビジネスパートナー

・社員が地域や社会、家族に誇れる会社

≪バリュー:私たちの行動指針、判断基準≫

・課題やニーズに徹底的に向き合い、チャレンジし続けます。

・『稼ぐ機械』を提供し、お客様のモノづくりに貢献します。

・ともに働く仲間を尊重し、力を結集して、組織として最高のパフォーマンスを発揮します。

 

(2) 経営環境

日本経済の先行きについては、政府の経済政策や所得環境の改善を背景に個人消費が増加し、また、人手不足への対応として企業の設備投資が拡大する見込みから、緩やかに持ち直すと考えられます。一方で、米国の保護主義政策が進行することによって、世界経済の不透明感が高まることも懸念されます。

当社グループの主力分野である工作機械業界の先行きについては、日本工作機械工業会は2025年暦年業界受注見通しを1兆6,000億円(前年同期比7.7%増)としております。内需では、製造業界の生産設備の老朽化や生産性・環境対応性能の向上が新規需要の牽引要因となること、また、以前から課題となっていた自動車・半導体関連産業の設備投資に対する方向性が定まり、本格的な需要回復に繋がることが期待されております。外需では、景気の先行きを見極めようとする警戒感から慎重さは否めないものの、堅調に推移すると見込まれております。

 

(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社の目指す姿、ありたい姿を長期ビジョン『「自動化技術×複合加工技術」で、お客様のモノづくりを支え続けるグローバル・ソリューション・カンパニーへ!』として定めるとともに、2026年3月期を初年度とする3ヵ年の新中期経営計画「中期計画2027」を策定しました。中期計画2027では定量目標として、連結売上高、連結売上高営業利益率、連結ROEを取り上げ、最終年度である2028年3月期において、連結売上高180億円、連結営業利益率5%以上、連結ROE4.3%以上を目指しております。

 

(4) 中長期的な会社の経営戦略及び優先的に対処すべき課題

中期計画2027では、「経営基盤強化と成長戦略の実行による収益性の改善」を基本方針として掲げ、部門の枠を超えた協力体制のもと、2026年3月期の黒字化実現と中長期的な売上拡大に向けた「全社改革」に取り組みます。当社グループでは、利益重視の経営を推進し、業績改善をはかります。生販一体化した工作機械事業本部にて全社最適の視点から収益改善や効率化に取り組むことにより収益力を向上させるとともに、やりがいや働きがいのある職場・制度づくりの実現に向けた取り組みを進めていきます。

経営基盤強化におきましては、黒字化に向けた組織体制強化をはかり、6つの戦略を掲げております。主力である工作機械事業において、「全社バリューチェーン最適化」をベースとして「値決め(価格決定プロセスの再構築)」「営業体制強化」「データ一元管理化」「人的リソースの最適化」「コスト削減」に取り組むことで、黒字体質を構築します。

足元の受注環境は本格的な改善傾向に転じていないものの、様々なニーズに対する潜在的需要があると見込まれることから、営業力を強化し、引合拡大と成約率向上をはかることで、受注高の増加をはかっていきます。

また、組織体制を強化し、利益率の底上げをはかっていくことで、長期的な企業成長を支える経営基盤を構築していきます。

成長戦略の実行におきましては、4つの戦略「収益基盤の強化」「グローバル戦略再構築」「技術・研究開発の強化」「事業ポートフォリオ見直し」を遂行することで、さらなる発展と持続的な成長を実現する基盤を強化します。

事業ポートフォリオの見直しとして、IT関連製造装置事業では、アウトソーシングも活用することで既存取引先からの受注拡大をはかるとともに、新規開拓の推進、顧客ニーズへの柔軟な対応などに努めていくことで、売上高と利益の拡大をはかっていきます。

自動車部品加工事業では、安定生産と収益改善に努めつつも、事業撤退に向けた必要な対応を進めていきます。

先行きの不透明感は依然として払しょくされませんが、当社グループにおきましては、長期ビジョン『グローバル・ソリューション・カンパニー』の実現に向けて社員と会社が一体となって為すべきことにチャレンジを続け、企業価値の向上をはかっていきます。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) ガバナンス及びリスク管理

当社が経営理念として掲げる『高松機械は「社会に貢献」する』を達成するためには、SDGs、カーボンニュートラルなどのサステナビリティを巡る様々な社会課題に対し、企業活動を通じてその解決に貢献することが重要であると認識しております。

そこで当社では、業務を執行する経営陣がメンバーである経営会議にてサステナビリティ全般に関する協議を行うこととしております。経営会議では、サステナビリティを実現するために当社が取り組むべき重要課題(マテリアリティ)や取り組みの方針などを協議・決定するとともに、サステナビリティの取り組み状況を定期的にモニタリングし、取り組みの的確かつ迅速な実行をはかっております。

なお、重要課題(マテリアリティ)は取締役会においても協議され、社外役員の意見も踏まえたうえで決定しております。

また、当社グループでは、サステナビリティを含めた全社的なリスク管理をリスク管理委員会が主管となって推進し、リスクの分析及び評価並びに対策の立案を行っております。リスク管理委員会の活動は定期的に取締役会に報告されることで、取締役会においても適切に監督されるとともに、リスク低減をはかっております。

 

(2) 戦略

当社は、サステナビリティの実現に向け、サステナビリティ基本方針「TAKAMAZは、常に挑戦し続けるモノづくりを通じて、企業価値の向上と持続可能な社会の実現に貢献します。」を制定しており、また、サステナビリティを巡る課題に対しては、ESGが示す3つの観点(環境・社会・ガバナンス)から5つの重要課題(マテリアリティ)を定め、解決に取り組んでおります。

環境面(E)では、省エネ・省スペースな新製品開発に注力し、環境負荷の低い製品をお客様に提供するとともに、認証取得しているISO14001に基づき、CO2排出量の削減につながるエネルギー使用量の抑制など、環境方針と環境目標の達成をはかっております。

社会面(S)では、高い技術を誇る製品を安定供給するとともに、地域社会の一員として社会の期待に応えております。また、社員の成長や挑戦を支えるために、制度や職場環境の整備を進めております。

ガバナンス面(G)では、すべてのステークホルダーから信頼され、魅力ある企業となるべく、積極的なIT活用や情報セキュリティの向上も含めた最適な体制の構築と強化をはかっております。

これらの取り組みが、当社経営理念「社会に貢献する」と同じゴールに向かい、サステナビリティの実現に貢献するものと考えております。なお、5つの重要課題(マテリアリティ)につきましては、当社ホームページ(https://www.takamaz.co.jp/sustainability/policy/)に掲載しているサステナビリティ体系図をご参照ください。

また、当社は、人材の育成・能力の開発が企業経営の根幹であることを認識しております。当社経営理念・方針に基づき、社員の知識・技術・技能を向上させ、もって企業目的を達成するに足りうる企業人を育成することを目的として、年度初めに階層別・専門教育を計画し、社員のスキルアップに努めております。

職場環境につきましても、社員と会社がともに成長できる環境を目指し、仕事や育児・介護の両立に向けた支援制度、有給休暇取得率の向上をはじめとした働き方改革の実現など、社員が働きやすさと働きがいを感じられるように整備を進めております。

 

(3) 指標及び目標

当社では、性別、国籍、年齢等の属性によらず、能力や適性など総合的に判断する公正・公平な評価基準のもとで優秀な人材の採用及び管理職登用を行っております。能力と意欲のある人材を適材適所に配置しておりますので、具体的な指標及び目標は定めておりません。

なお、管理職に占める女性労働者の割合及び労働者の男女の賃金の差異についての実績は、「第1 企業の概況  5  従業員の状況  (4) 管理職に占める女性労働者の割合及び労働者の男女の賃金の差異」に記載のとおりであります。

 

3 【事業等のリスク】

当社グループの経営成績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスク要因については以下のものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経済情勢に関する影響

当社グループの主たる事業である工作機械事業は、民間設備投資動向に大きく影響を受けますので、国内外の景気動向や経済情勢の変動により、工作機械の需要は拡大縮小の波を繰り返します。当社グループの主要製品であるCNC旋盤(コンピュータにより制御されたNC旋盤)は、一般的に金属加工の機械を作る機械(マザーマシン)として広く製造業で使用されておりますが、特に当社製品の販売先は自動車関連業界が半分以上を占めております。そのため、自動車関連業界における設備投資動向等が、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

IT関連製造装置事業は、シリコンサイクルやクリスタルサイクルと呼ばれる周期的な好不況の波の影響で需要の変動が激しいことにより、また自動車部品加工事業は、世界における自動車需要の縮小や部品メーカー間の競争激化等の影響によりまして、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(2) 他社との競合に関する影響

当社グループが属する工作機械業界は、数多くのメーカーが存在し、競合の激しい業界であります。当社グループは単なる標準品でなく、ユーザニーズに合わせて、それぞれに最適な加工を実現できる自動化システムを提案することで他社との差別化をはかっておりますが、特に需要の縮小期においては過当競争となり、同業他社との価格競争が激化することで、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(3) 原材料等の調達及び価格に関する影響

当社グループは、2社購買の推進や長納期品の先行発注など、サプライヤーとの連携強化のもと、適正な調達活動の実施と適正な在庫の維持管理に努めております。しかし、一部においては取引先の変更や代替品への切り替えが困難なものもあり、当該原材料等において取引先からの供給が中断した場合や製品需要の急増などによる供給不足が発生した場合には、生産に著しい影響を受け、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

また、原油価格の高騰や新興国の経済成長等を要因として原材料等の価格が予想以上に急騰した場合もしくは長期にわたって高騰が続いた場合には製造コストの増大により、当社グループの利益が減少する可能性があります。

 

(4) 海外展開に関する影響

当社グループは主にアジア、ヨーロッパ及び北米で海外の事業活動を展開しており、当連結会計年度における海外売上高比率は35.5%であります。当社グループの主力製品である工作機械の需要は、中長期的視野では特に海外の成長が見込まれていることから、海外シェア拡大のための施策を推進しております。そのため、それらの地域における予期できない法律・規制、税制の変更、ストライキ等の労働争議、テロ、戦争、感染症や自然災害の発生による社会的混乱、急激な経済情勢の悪化、その他事業活動に対する不利な政治的又は経済的要因が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

また、当社の輸出取引は主に円建で行われており、為替相場の変動による損益への影響は軽微でありますが、円高が進行した場合には現地販売価格が他国製品と比較して相対的に高くなる結果、価格競争力低下や販売価格の値下げにより、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(5) ディーラに関する影響

当社グループの製品は、ディーラを通じてユーザに販売しておりますので、経営状態や環境の変化によってディーラからの代金回収が滞ったり、回収不能となったりした場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

また、ディーラは、当社グループの競合製品も取り扱っております。当社では主要ディーラを集めて、新製品の発表や市場ニーズの情報収集、その他販売に関する諸問題を討議する全国ディーラ会議を毎年開催し、主要ディーラとの良好な関係の継続に努めておりますが、主要ディーラの経営方針や環境の変化によって競合製品の取り扱いが優先された場合や、当社製品の取り扱いを行わなくなった場合等には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(6) 品質に関する影響

当社はISO9001を認証取得しており、その品質マネジメントシステムを活用して生産及び仕入における品質管理の徹底をはかっております。しかし、生産したすべての製品について欠陥が生じないという保証はなく、また、今後発売する新製品に予期せぬ不具合が発生する等の影響により、製造物責任法に基づく損害賠償責任が生じる可能性があります。当社グループは製造物責任による損害賠償については保険に加入しておりますが、賠償額全額を保険でカバーできる保証はありません。現時点までに製造物責任に関する訴訟は生じておりませんが、当該賠償の発生によって社会的評価及び企業イメージが低下することで、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(7) 知的財産権に関する影響

当社グループは、特許権等の知的財産権の重要性を強く認識しており、積極的な特許等の申請を推進し、多くの特許等を取得しております。しかし、第三者による当社所有権利の侵害により、ブランドイメージの低下や営業活動が阻害される恐れがあります。

また、過失により第三者が所有する権利を侵害した場合には提訴される可能性があります。このため、損害賠償責任や当該特許等の使用に対する対価の支払義務の発生、又は当該特許等の使用ができないことによる事業展開の制約等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(8) 自然災害等の発生による影響

当社グループの主力事業である工作機械の生産は石川県白山市の本社工場及びあさひ工場にて行っており、自動車部品の加工及びIT関連製造装置の製造についても、それぞれ同市内の第3工場及び開発センターにて行っております。当社では、緊急時対応手順の策定、十分なデータバックアップ体制の構築、従業員安否確認システムの導入など、事業継続計画の整備に努めておりますが、白山市周辺地域において地震・津波等の大規模な自然災害等が発生した場合、本社機能の停止又は建物や設備の損壊もしくは停電となることで生産に著しい影響を及ぼし、正常な事業活動が行えなくなる可能性があります。

また、当社が直接被害を被らない場合でもインフラ復旧の遅れや電力の使用制限、サプライヤーから必要な原材料、部品等の供給が滞るなどの影響を受け、本社機能及び生産に著しい影響を受ける場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

 

(9) 人材のリスク

当社グループが企業成長を進め、安定的な経営体制を確立するためには、人的資本の充実が必須であります。そのため、新卒の定期採用並びに中途採用による人員の確保、OJT及び社外研修等による社員教育を行って人的資本の充実をはかっております。しかし、業績拡大や事業発展のために当社グループが求める人材を十分に確保できなかった場合や退職者が著しく増加した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(10) 当社株式等の大規模買付行為に関する対応策(買収防衛策)について

当社は、第47回定時株主総会(2008年6月26日開催)において「当社株式等の大規模買付行為に関する対応策(買収防衛策)」の承認を得られ、発効しております。有効期間は3年であり、継続に当たっては定時株主総会の承認を得ることと定めておりますが、第62回定時株主総会(2023年6月29日開催)において、所要の変更を行ったうえで、同総会にて当該買収防衛策の継続に関する議案を付議し、株主の皆様のご承認を得られたことで継続しております。

議決権割合を20%以上とすることを目的とした当社株式等の買付行為もしくは結果として20%以上となる当社株式等の買付行為を行う者が現れた場合において、買収防衛策のルールに基づき、第三者委員会の勧告を最大限尊重の上、当社取締役会で対抗措置の発動・不発動を決定いたしますが、対抗措置を発動した場合に発生する費用等によりまして、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(11) 棚卸資産の評価に関するリスク

 当社グループでは、棚卸資産は取得原価と正味売却価額のいずれか低い方の金額で評価しており、営業循環過程から外れた滞留在庫については、収益性の低下の事実を反映するために、滞留期間に応じて規則的に帳簿価額を切下げることとしております。規則的な帳簿価額の切下げは過去の販売・使用実績や処分実績に基づき実施しておりますが、棚卸資産の滞留状況と過去の実績に大きな変化が生じた場合には、業績に影響を与える可能性があります。

 

(12) その他のリスク

当社グループは工作機械事業において、積極的な海外展開、ユーザニーズを捉えた新製品の開発、原価低減等によるコストの削減等を推進するとともに、長年培ってきたノウハウを活かせる分野に資本を投下し、新たな収益の柱作りを推進することで、安定的な収益を確保できる体質の確立を進めてきております。しかし、当社グループが事業を遂行していく限り、前述した影響以外にも、法律や規制等の新設・改正、金融・株式市場、戦争・テロ、仕入先・外注先の供給体制等によりまして、場合によっては当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営成績

当連結会計年度におけるわが国経済は、景気回復に一部足踏みが見られるものの緩やかな回復基調にありました。しかしながら、物価上昇、通商政策などアメリカの動向、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等の不確実性も存在し、先行きは依然として不透明な状況で推移しました。

当社グループの主力分野である工作機械業界においては、2024年度の業界受注総額は前年同期比3.9%増の1兆5,097億円となりました。外需は中国やインドなどアジア地域の需要を中心に回復が見られ、外需受注額は前年同期比7.0%増の1兆655億円となりましたが、内需は半導体関連を中心に需要回復の兆しが見えつつあったものの、自動車業界の需要が戻らず全体的には推進力に乏しい状況となり、内需受注額は前年同期比2.9%減の4,441億円となりました。

当社グループの経営成績を示すと、次のとおりであります。

① 売上高、売上原価、販売費及び一般管理費及び営業損益

当連結会計年度の売上高は前連結会計年度に比べ2億91百万円減少し138億93百万円となりました。

売上原価は、前連結会計年度に比べ3億64百万円減少し106億33百万円となりました。これは売上高の減少に伴うものであり、これにより売上高に対する比率は76.5%となりました。

販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ1億53百万円減少し34億19百万円となりました。これは主に旅費及び交通費の減少等によるものであり、売上高に対する比率は24.6%となりました。

また、研究開発費は前連結会計年度に比べ0百万円増加1億49百万円となり、売上高に対する比率は1.1%となりました。開発部門は研究開発費の効率化をはかりながら、各部門と緊密な連携を取り、当社グループの戦略製品開発や技術開発を行っております。

以上の結果、営業利益は前連結会計年度に比べ2億26百万円増加し1億60百万円の営業損失となりました。なお、営業利益率は△1.2%となりました。

 

② 営業外損益及び経常損益

営業外収益は、前連結会計年度に比べ20百万円増加し、1億28百万円となりました。これは主に為替差益が増加したことによるものです。

営業外費用は、前連結会計年度に比べ2億58百万円減少し、71百万円となりました。これは主に持分法による投資損失が減少したことによるものです。

以上の結果、経常利益は前連結会計年度に比べ5億5百万円増加し、1億3百万円の経常損失となりました。

 

③ 特別損益、親会社株主に帰属する当期純損益及びROE

特別利益は、6百万円と前連結会計年度に比べ38百万円の減少となりました。これは主に固定資産売却益が減少したことによるものです。

特別損失は、1百万円と前連結会計年度に比べ77百万円の減少となりました。これは主に減損損失が減少したことによるものです。

以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ79百万円減少し6億45百万円の親会社株主に帰属する当期純損失となりました。また、1株当たり当期純損失は59.95円、ROEは△3.9%となりました。

 

④ 経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等

経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 及び (4) 中長期的な会社の経営戦略及び優先的に対処すべき課題」に記載のとおりであります。

 

セグメントごとの経営成績を示すと、次のとおりであります。

① 工作機械事業

当連結会計年度の経営成績は、受注高が107億29百万円(前年同期比18.8%減)、受注残高が45億90百万円(同25.8%減)、売上高が123億27百万円(同2.3%減)、営業損失が2億円(前年同期は4億14百万円の営業損失)となりました。

受注高の地域別内訳は、アジア向けが増加した一方で、国内向け、北米向け及びヨーロッパ向けが減少した結果、内需が60億77百万円(前年同期比29.5%減)、外需が46億52百万円(同1.4%増)となりました。

売上高の地域別内訳は、国内向けが減少した一方で、アジア向けを中心に海外向けが増加した結果、内需が74億1百万円(同13.9%減)、外需が49億26百万円(同22.3%増)、外需比率が40.0%(前年同期は31.9%)となりました。

当連結会計年度における主な取り組みとして、当社グループの主力受注先である自動車関連における設備投資需要の回復が遅れているなど厳しい受注環境にある中、工作機械に対する潜在的需要の掘り起こしや自動車関連以外の市場開拓に向けた積極的な営業活動を行ってきました。

JIMTOF2024(東京)、IMTS2024(アメリカ)、AMB2024(ドイツ)、METALEX2024(タイ)など、国内外の主要な展示会では、新製品であるXTLシリーズ、新たに両端加工オプションを追加した「XYT-51」、稼ぐロボットシステム「ServoROT」などを展示してその性能や特徴をPRし、引合・受注の確保をはかってきました。

また、ディーラ主催展示会への参加、営業キャラバンの実施、海外プライベートショーの開催などにより、ターゲットユーザのニーズを満たす提案営業を推進してきました。

2024年4月より販売開始したびんの色選別を自動化する資源ごみAI自動選別機「AI・B-sort」は、引合増加・受注獲得に向け、積極的なPR・営業活動に取り組んできました。新規事業への挑戦として拡販活動を継続し、リサイクル市場の開拓をはかっていきます。

製品面では、XTLシリーズ3機種を開発しました。EVシフトという市場の潮流に対応し、自動車や産業機械に使用されるシャフト部品などをターゲットとした製品になります。シリーズのハイエンドモデルである「XTL-8MYS」は背面主軸を搭載し、一台で完品加工まで行えるため、工場スペースや人手不足に悩むユーザニーズに応えることができます。また、構想段階からXTLシリーズとして同時開発するという新しい開発プロセスを取り入れたことで、より一層お客様に貢献できる製品開発に繋がりました。

生産面では、今後の自動車関連の需要回復に備えた生産能力向上や効率的な生産の実現に努めてきました。顧客ニーズの早期把握による精緻な生産計画の策定、全社的な部品調達・社内供給体制の見直し、社員のスキル向上などに取り組んでいます。また、新たに荒加工用の横型マシニングセンタを導入し、先行導入した同型マシニングセンタとの連動した稼働によって、生産性向上や作業性の改善を実現しました。

 

② IT関連製造装置事業

当連結会計年度の経営成績は、受注高が11億82百万円(前年同期比4.6%減)、受注残高が3億31百万円(同37.7%減)、売上高が13億83百万円(同7.7%増)、営業利益が31百万円(同47.1%減)となりました。

既存案件の受注確保や新規開拓に取り組んできたものの、半導体業界の生産調整が影響し、受注高は減少しました。一方で売上高は、既存案件に対する最適な生産対応に努めてきたことや新規案件開拓の成果により、堅調に推移しました。

利益面では、取引内容の見直しやコスト低減活動の成果が上がっているものの、製品構成比の影響、新規案件による利益圧迫などが影響し、営業利益は減少しました。

 

③ 自動車部品加工事業

当連結会計年度の経営成績は、売上高が1億82百万円(前年同期比35.4%減)、営業利益が8百万円(前年同期は19百万円の営業損失)となりました。

売上面では、海外自動車メーカー向けの販売不振による生産数減少が大きく影響しました。一方で利益面では、赤字であった海外連結子会社TP MACHINE PARTS CO.,LTD.を解散したこと、不採算案件の取引を停止したこと、取引条件の交渉を行ったことなど、採算性改善の取り組みが奏功し、営業黒字に転換しました。

 

生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。

① 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

台数(台)

金額(百万円)

前年同期比(%)

工作機械事業

561

8,318

△11.1

IT関連製造装置事業

自動車部品加工事業

合計

561

8,318

△11.1

 

(注) 工作機械事業におきましては、旋盤に限定して表示しております。

 

 

② 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高

受注残高

台数
(台)

金額
(百万円)

前年同期比
(%)

台数
(台)

金額
(百万円)

前年同期比
(%)

工作機械事業

808

10,729

△18.8

348

4,590

△25.8

IT関連製造装置事業

1,182

△4.6

331

△37.7

自動車部品加工事業

合計

808

11,912

△17.6

348

4,922

△26.8

 

 

③ 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

台数(台)

金額(百万円)

前年同期比(%)

工作機械事業

(318)

(4,926)

(+22.3)

899

12,327

△2.3

IT関連製造装置事業

1,383

+7.7

自動車部品加工事業

()

()

(△100.0)

182

△35.4

合計

(318)

(4,926)

(+21.9)

899

13,893

△2.1

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 ( )内の数字は海外販売台数及び海外販売高であり、内数であります。

3 最近2連結会計年度における主要な相手先別の販売実績及びそれぞれの総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

ユアサ商事株式会社

1,872

13.2

 

4 当連結会計年度のユアサ商事株式会社については、当該割合が100分の10未満のため、記載を省略しております。

 

(2) 財政状態

当連結会計年度末の総資産は219億4百万円前連結会計年度末に比べ4億9百万円の減少となりました。

区分別にみますと、流動資産は134億4百万円となり、前連結会計年度末に比べて5億32百万円減少しました。その主な要因としては、現金及び預金が20億20百万円増加したものの、電子記録債権が13億99百万円、売掛金が7億37百万円、棚卸資産が4億62百万円減少したことによるものです。

固定資産は84億99百万円となり、前連結会計年度末に比べて1億23百万円増加しました。その主な要因としては、建物及び構築物(純額)が1億85百万円、繰延税金資産が98百万円、投資有価証券が52百万円減少したものの、退職給付に係る資産が5億37百万円増加したことによるものです。

次に当連結会計年度末の負債は56億22百万円前連結会計年度末に比べて72百万円の減少となりました。

区分別にみますと、流動負債は37億88百万円となり、前連結会計年度末に比べて13億17百万円減少しました。その主な要因としては、短期借入金が2億円増加したものの、電子記録債務が14億23百万円減少したことによるものです。

固定負債は18億33百万円となり、前連結会計年度末に比べて12億44百万円増加しました。その主な要因としては、長期借入金が5億82百万円、繰延税金負債が4億69百万円、退職給付に係る負債が2億3百万円増加したことによるものです。

当連結会計年度末の純資産は162億82百万円前連結会計年度末に比べて3億36百万円減少しました。その主な要因としては、為替換算調整勘定が2億85百万円、退職給付に係る調整累計額が1億46百万円増加したものの、利益剰余金が7億52百万円減少したことによるものです。なお、自己資本比率は74.3%となりました。

 

 

セグメントごとの資産は、次のとおりであります。

① 工作機械事業

工作機械事業の総資産は151億38百万円で前連結会計年度末に比べて26億77百万円の減少となりました。その主な要因としては、電子記録債権の減少によるものです。

 

② IT関連製造装置事業

IT関連製造装置事業の総資産は13億78百万円で前連結会計年度末に比べて1億1百万円の減少となりました。その主な要因としては、売掛金の減少によるものです。

 

③ 自動車部品加工事業

自動車部品加工事業の総資産は3億31百万円で前連結会計年度末に比べて32百万円の減少となりました。その主な要因としては、電子記録債権の減少によるものです。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

① 営業活動によるキャッシュ・フローは、14億47百万円の資金流入(前連結会計年度は2億33百万円の資金流出)となりました。その主な要因としては、仕入債務の減少や退職給付に係る資産の増加等があったものの、売上債権の減少、棚卸資産の減少、減価償却費の計上等があったことによるものです。

 

② 投資活動によるキャッシュ・フローは、20百万円の資金流出(前連結会計年度は4億29百万円の資金流出)となりました。その主な要因としては、有形固定資産の取得による支出等があったことによるものです。

 

③ 財務活動によるキャッシュ・フローは、6億51百万円の資金流入(前連結会計年度は2億83百万円の資金流出)となりました。その主な要因としては、配当金の支払等があったものの、長期借入れによる収入があったことによるものです。

 

これらの結果、当連結会計年度における現金及び現金同等物は21億84百万円の増加(前連結会計年度は8億46百万円の減少)となり、当連結会計年度末残高は41億75百万円(前連結会計年度末残高は19億91百万円)となりました。

 

当社グループの事業活動に必要な資金については、営業活動から得たキャッシュ・フローによることを基本とし、必要に応じて金融機関からの借入等により資金調達を行っております。また、資金調達に際しては、低コストかつ中長期にわたる安定的な資金の確保を重視して取り組んでおります。当連結会計年度末の現金及び預金の総額は53億55百万円、また借入金は短期、長期あわせて16億58百万円であります。当社グループは、取引先金融機関との現在の健全かつ緊密な関係を維持していくことで、当社グループが将来必要とする運転資金及び設備資金を調達することが可能であると考えております。

 

(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するに当たって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

5 【重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

セグメント別の研究開発活動を示すと、次のとおりであります。

(1) 工作機械事業

工作機械事業においては、あらゆるユーザニーズに対応可能な製品の提供を目指して、研究開発活動を実施しております。この点、当社の主力製品であるCNC精密旋盤のみならず、コレットチャックやローダ等の周辺装置群の開
発を含めて、省力化や自動化といったユーザニーズを充足することに努めております。また近年では、カーボンニュートラル、SDGs及びサステナビリティといった時代のニーズを捉えながら、製品の発展、進化をはかっております。

当連結会計年度においては、XTLシリーズの開発に取り組み、3機種を発表いたしました。

XTLシリーズは、EVシフトという市場の潮流に対応し、自動車や産業機械に使用されるシャフト部品などをターゲットとした製品になります。ベーシックモデルである「XTL-8」、ミーリングの回転工具機能を追加し、複合加工もできる「XTL-8MY」、ワークの裏側を加工する背面主軸を搭載したハイエンドモデルの「XTL-8MYS」の3機種になります。特に「XTL-8MYS」は、一台で完品加工まで行えるため、工場スペースや人手不足に悩むユーザニーズに応えることができます。

構想段階からXTLシリーズとして同時開発するという新しい開発プロセスを取り入れ、より一層お客様に貢献できる製品開発に取り組みました。

当社が進める研究開発活動や製品開発の成果は、その技術や性能等が認められ、各種外部団体からの表彰も受けております。当連結会計年度では、2022年4月に販売開始した「XWG-3」が第54回機械工業デザイン賞IDEA(アイディア)にて「日本デザイン学会賞」を、2023年11月に販売開始した「XWT-8」が精密工学会ものづくり賞にて「優秀賞」を、2022年4月に販売開始した「XTS-6」がいしかわエコデザイン2024にて「銀賞」を受賞しました。このように、様々な外部の組織や団体から表彰されるような、新しい技術、製品の開発に、これからも注力していくとともに、付加価値の高さを提案営業にてお客様にPRし、多様化するニーズを満たしていくことで、顧客満足度を向上させていきます。

その他、新製品の開発、将来的視野に立った産学官連携による基礎研究、IoTやAI等のデジタル技術の活用のみならず、当社が得意とする自動化システムの研究開発などに取り組んできました。

なお、当連結会計年度に支出した研究開発費の総額は、149百万円であります。

 

(2) IT関連製造装置事業

該当事項はありません。

 

(3) 自動車部品加工事業

該当事項はありません。