第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営の基本方針

当社グループは、それぞれの事業において、「迅速果断」な意思決定のもと、既成概念にとらわれない強靭な経営体制を築きます。これを実現するために、事業活動を通じて適正な利益を確保し、変化を恐れず常に前向きに挑戦し続ける経営の実践に努め、ステークホルダーの期待に応えるべく「健全で信頼される企業」として社会に貢献してまいります。

 

(2) 中期経営計画

① 第3次中期経営計画 総括

当社グループは、第3次中期経営計画(2023年3月期から2025年3月期)において、「新たな取り組みを試行しながら事業の持続的な成長を図る」、「独自技術を活かした新製品の開発を進める」、「上場会社としての社会的要請に応える」という3つの基本課題に基づいて、各分野における施策を推進してまいりました。

数値目標およびその結果につきましては、下表のとおりとなりました。

 

目標(2025年3月期)

実績(2025年3月期)

売上高

355億円

362億円

営業利益

42億円

43億円

ROIC

6.2%

6.0%

 

(注) 目標(2025年3月期)については、2024年12月26日付で修正した数値となります。

 

② 第4次中期経営計画 策定

当社は、2026年3月期から2028年3月期までの3年間を対象とした第4次中期経営計画を策定いたしました。

数値目標や取り組み等につきましては、下表のとおりです。

 

実績(2025年3月期)

目標(2028年3月期)

売上高

362億円

420億円

営業利益

43億円

55億円

ROE

6.5%

8.0%以上

 

 

(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、企業価値の向上を目指すにあたり、収益重視の観点から、これまで売上高・営業利益・ROICを指標としておりましたが、第4次中期経営計画策定に伴い、売上高・営業利益およびROEを経営上の目標の達成状況を判断するための指標としています。

 

(4) 経営環境および対処すべき課題

当連結会計年度におきましては、国内経済においては雇用・所得環境が改善する中で景気は緩やかながらも回復傾向にあり、今後もその動きが継続することが期待されています。その一方でウクライナ情勢や中東情勢等の地政学的リスクの高まりや、米国の政権交代による政策変更、長期化する原材料価格の高騰、中国を中心とした海外の景気減速の可能性等の影響により、世界経済は依然として先行き不透明な状況が続くと予想されております。

このような経営環境において、当社グループでは以下に掲げる課題・施策に取り組み、当社グループの持続的成長や企業価値向上を目指してまいります。

 

① 事業の持続的成長

高純度薬品事業の主力製品である半導体用高純度薬液は、高い品質と安定供給体制を強みとして競争力を築いてまいりました。この競争力を維持すべく、国内外の半導体メーカーにおいて投資計画が打ち出されている中、機を逃さず顧客のニーズに応じてさらなる販売拡大を実現してまいります。これに伴い、特定の国・地域や取引先に依存しない販売の多角化を図り、並行して需要量増加に伴う新たな生産拠点の検討も進めてまいります。また、研究開発部門においては、人的リソース・ファシリティの強化により、高機能な薬液の開発を推し進め、競合他社との差別化を図り、競争力を高めてまいります。

この他の注力領域として、需要の拡大が期待される通信関連用途のフッ化物など、成長分野に関わる製品の用途・販売拡大を目指してまいります。堅実に需要を拡大してきた原子力関連施設で用いられる濃縮ホウ酸においては、足元では中国への販売が中心となっていることから、カントリーリスクを勘案し、日本・欧州・北米等のエネルギー政策に対応した販売拡大を目指してまいります。

また、高純度薬品事業を物流や原料調達の面から支える運輸事業では、人材の確保・定着・育成への取り組みが喫緊の課題となっています。処遇の見直しや採用の多角化などを図ることで事業基盤を確固たるものとし、併せて収益性を重視した取り組みの推進やコンプライアンス体制の継続強化にも努めてまいります。

 

② 新規事業の創出

フッ素化学を基礎とする独自技術を活かした研究開発の推進により、2030年代半ばを目標に50~100億円規模の新規事業の創出に取り組んでまいります。半導体関連では顧客ニーズに応じた新規薬液開発を遂行し、開発中の細胞培養容器や無機フッ化物ナノ粒子のさらなる高機能化、用途開発などを推し進めてまいります。

また新たに、独自のフッ素技術を融合したフロー合成法の確立に取り組み、これを活かした高付加価値製品の開発にも注力いたします。加えて次世代テーマの創出・育成に向けては、マテリアルズ・インフォマティクスの活用といった研究開発手法の拡充、アカデミアとの連携強化、研究開発拠点のさらなる増設の検討などの施策にも取り組んでまいります。

さらに、研究開発成果を着実に事業に結びつけるため、マーケティングの視点における営業部門との連携強化、生産移管プロセス効率化の視点における生産部門との連携強化など、事業確立に向けた取り組みを推進いたします。

 

③ 資本コストと株価を意識した経営の実現

第4次中期経営計画期間においては、企業価値の一層の向上を目指し、事業戦略および財務・資本戦略の着実な遂行により、2028年3月期に想定株主資本コストを上回るROE8.0%以上の達成を目指します。

その達成に向けて、高純度薬品事業の伸長による利益成長を実現し、損益状況に応じた適切な財務体質を実現するべく、適切な株主還元を実施いたします。

 

④ 経営基盤の強化

真の成長に向けた変革を支える基盤として、人的資本に関する取り組み、サステナビリティへの取り組み、デジタル化に向けた取り組みを推進いたします。

人的資本については、組織・人の変革を加速させるため、自律型人材の育成や組織力の強化を目指します。

サステナビリティに関しては、基本方針に基づき、事業活動を通じて持続可能な社会の実現と企業価値の向上を目指すため、5つのマテリアリティの実現と、気候変動への対応に尽力してまいります。

デジタル化においては、効率化から価値創造に向けて、定常業務の自動化といった事業プロセスの最適化などに取り組んでまいります。さらなる経営基盤の強化に向け、中期経営計画に掲げる各施策の取り組みを着実に遂行してまいります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

文中の将来に関する事項は、当社グループが有価証券報告書提出日現在において合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性があります。

 

サステナビリティ基本方針

私たちは、経営理念の実践とともに、「人々が幸せになれる製品を生み出し、その結果として、より企業価値の高い企業を目指していきたい」という思いを込めたスローガン『Beyond the Chemical ~化学を超えて 化学の向こうへ~』のもと、事業活動を通じて持続可能な社会の実現と企業価値の向上に努めます。

 

(1) サステナビリティ管理体制

① ガバナンス

サステナビリティに関する諸課題への取り組みは、当社の中長期的な企業価値向上のための重要な経営課題であることから、取締役会が適切に監督を行うための体制を構築しています。

2023年4月に常勤取締役および各部門の責任者を委員としたサステナビリティ委員会を設置し、サステナビリティ基本方針を制定いたしました。サステナビリティ委員会では気候変動への対応を含む、サステナビリティに関する取り組みについて情報を集約し、組織横断的なリスクおよび機会について審議・検討を実施し、その結果を取締役会へ報告・提言をいたします。取締役会は、サステナビリティ委員会からの報告や外部環境の認識に基づき、サステナビリティに関する戦略・方向性の検討および取り組みの選定・監督を行う体制となっています。

 


 

 

② 戦略

 マテリアリティの特定

持続可能な社会の実現と持続的な企業の成長にむけて、当社の経営や社内にとっての重要度の視点から取り組むべき優先課題を選定し、重要性や影響度よりマテリアリティを特定しました。当社が取り組むべきマテリアリティは次のとおりです。当社は、サステナビリティ委員会を中心に、それぞれのマテリアリティについてのレビュー、対応策や計画の策定を含め活動を進めています。

マテリアリティ

E/S/G

課題設定

事業を通じた貢献

E/S

社会課題解決に貢献する製品の創出・提供

製品の品質と安全の確保による顧客満足度の向上

気候変動への対応と環境保全

気候変動の適応・緩和

大気・水・土壌環境の保全

水リスクへの対応

働きがいのある安全な環境の構築

従業員のwell-being

人的資本の強化

労働安全衛生・保安防災

人権の尊重

事業における人権の尊重

企業価値を高めるガバナンスの強化

コンプライアンス・腐敗防止

コーポレート・ガバナンスの強化

企業情報の適切な開示

 

 

③ リスク管理

当社はサステナビリティ課題に係る事業へのリスクについて、サステナビリティ委員会を開催し、当社グループにおける各種リスクに対して、リスクの認識、対応策の審議および進捗状況のモニタリングを行い、取締役会へ報告を行っています。

なお、サステナビリティ課題に係るリスクについては、「3 事業等のリスク」に記載しています。

 

 

(2) 人的資本への対応

① 戦略

人材の多様性の確保を含む人材育成方針

当社は、持続的成長のためには「人」が原動力であると認識しています。

そのため性別、国籍、キャリア等に拘ることなく多様性のある人材の採用を行い、様々な考え方、経験、価値観等を取り入れ一人ひとりの強みや個性を伸ばし、自ら考え行動できる責任感のある自律型人材の育成に取り組みます。

 

  社内環境整備に関する方針

当社は、社員一人ひとりがやりがいを持って健康に働ける社内環境を整備する事によって、個々のパフォーマンスの更なる向上を図る事が、当社の持続的な成長と中長期的な企業価値向上に繋がるものと考えます。

社員一人ひとりが心身共に健康で働く意欲にあふれ、公私ともに充実した生活を送ることができるよう職場環境の提供や多角的な人事施策の整備に、継続的に取り組みます。

 

② 指標と目標

上記の方針に関する主な指標と目標は以下のとおりです。

なお、当社においては活動目標の達成を目指し、具体的な取り組みが行われているものの、連結グループに関する全ての会社では行われていないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、次の指標に関する目標および実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。

テーマ

KPI

2026年3月期目標

2025年3月期実績

従業員のwell-being

有給休暇取得率

80以上の継続

89

男性育児休業取得率

50以上

120

定年退職後の再雇用率

80以上の継続

100

人的資本の強化

平均年間賃金差異(男女別)

90以上

87%※

 

※正規雇用の基本給・賞与合計の男女の賃金差異(男性を100%とした場合)

 

(3) 気候変動への対応

① 戦略

気候変動が当社事業にどのように影響を与えると考えられるか、主なリスクおよび機会の検討を行いました。

 

想定する世界観

2℃シナリオ

原材料コストが高まる半面、半導体関連製品の増加が期待され、機会の側面も広がる。

4℃シナリオ

脱炭素の機運は弱まり、原材料やエネルギーコストは上昇し自然災害リスクも高まる。

 

 

 

2℃の世界

4℃の世界

再生エネルギー

・多種多様な再エネ調達手段を基に再エネ

 導入促進

・再エネ調達手段が少なく、導入に遅れが生じる

 (コストも高止まり)

市場

・スマートシティ化の推進に伴い、半導体

 需要が増加

・ZEVの普及拡大により半導体及び蓄電池

 の需要が増加

・スマートシティ化は進まず、従来通りの都市形

 態が維持されるため、半導体の需要は大きな変

 化なし

・EVは成り行きで増加し、それに伴う半導体及び

 蓄電池の需要は大きな変化なし

政府

・炭素税の導入、リサイクル規制等を厳格

 化

・省エネ・再エネ政策は積極的に推進せず

 (炭素税は未導入)

工場

・省エネ電源の確保等により工場の低炭素

 化を実現

・異常気象により工場が操業停止

・水リスクの高い地域では操業に影響

 

 

 

評価項目

主なリスク

主な機会

対応策

大分類

小分類

 

 

 

 

 

 

 

移行

政策/規制

炭素価格と炭素税

炭素税の導入

低炭素製品の販売機会の増加

消費量に見合った最新の

コージェネに更新

各国の炭素排出

目標/政策

排出目標強化による対応コストの増加

半導体の需要拡大に伴う販売機会の増加

業界/市場

原材料コストの変動

原材料価格の上昇

・原料調達先の分散化

・各種省エネ設備導入

・生産設備の集約による

効率向上

顧客行動の変化

顧客からの要請の高まり

排出削減対応による販売機会の増加

技 術

低炭素・次世代技術の開発・普及

技術投資の失敗

環境配慮型製品等の需要増加

ZEVを中心に需要拡大する半導体および次世代電池向け製品を販売

 

省エネ政策、再エネ等の補助政策

設備投資および研究開発コストの減少

評 判

投資家の評判変化

投資家からの評判低下

投資家からの評判上昇

顧客の評判変化

企業や製品に対する顧客評判低下

環境配慮型製品の販売機会の増加

 

 

 

 

 

物理

慢 性

平均気温の上昇

外気温の上昇に伴う電力使用量の増加および労働環境の悪化

・再生可能エネルギーや

太陽光発電の導入           

・取水量の削減、

排水の有効利用      

・電気設備を10m以上へ

移設

・重要設備に防潮堤を設

 置

・電気配線の経路の止水

・非常用発電機の設置

水ストレス

水不足による事業への影響

海面上昇

海面上昇による事業への影響

降水・気象パターンの変化

大雨・強風による事業への影響

急 性

異常気象の激甚化

激甚災害による事業への影響

 

 

② リスク管理

当社では、サステナビリティ委員会において、気候変動に伴うリスクの認識、対応策の審議、進捗のモニタリングを行い、その上で取締役会に報告されます。気候変動の影響は中長期的な時間軸で発現することから、関係各部門が取り組みを実行し、定期的に委員会へ進捗を報告いたします。また、サステナビリティ課題を全社横断的な取り組みに落とし込むために、各部門の実務者レベルの社員により組織されたサステナビリティワーキンググループにおいて議論を行っております。

 

③ 指標と目標

当社は、気候関連のリスク・機会を評価するにあたり、温室効果ガス(CO2)排出量のうちScope1、Scope2排出量を指標として設定しております。政府が目標として「2050年のカーボンニュートラルを達成すること」を掲げており、当社でも、2050年のカーボンニュートラル達成を目指してまいります。

 

2030年      GHG排出量(Scope1・2)を2013年度(25,718t)比で46%(11,830t)削減する。
2050年      GHG排出量(Scope1・2)のカーボンニュートラルを実現する。
2025年3月期実績 GHG排出量(Scope1・2):21,110t(2013年度比で18%削減)

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

これらのリスクは必ずしも当社グループの事業等に関するリスクを全て網羅したものではなく、当連結会計年度末現在では想定していないリスクや重要性が低いと考えられるリスクも、当社グループの財政状態や経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

また当社は、リスクマネジメントの基本方針等を「リスクマネジメント規程」に定め、それに基づき、代表取締役社長を委員長とするリスクマネジメント委員会において、事業を取り巻くさまざまなリスクに対して的確な管理を行うことに努めております。

 

① 原材料の調達リスクについて

当社グループの原材料等の一部は、特定の地域に在る供給源に依存しており、その供給が逼迫または中断した場合には、当社生産活動の遅れや停止に繋がり、製品の供給に支障が出る可能性があります。当社では調達リスクを軽減するために複数の地域・サプライヤーからの購入、継続的な新規供給源の開発に取り組んでおります。また原材料価格の高騰は、売上原価が増加となるため、当社グループの財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。速やかな販売価格への転嫁等により影響を極力回避すべく取り組みを行っております。

 

② 特定事業への高い依存について

当社グループの売上高において、高純度薬品事業の半導体関連の占める割合が高く、循環的な市況変動が大きい半導体業界の動向により当社業績は左右されます。予期できない程の変動があり、得意先である電子・電気・通信機器業界の半導体需要ならびに設備投資の下降、同業他社との価格競争激化による販売価格の下落等により、当社グループの財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。継続的な製品競争力の強化や他事業分野の製品開発および製品販売の伸張によって影響を回避すべく努めております。

 

③ 生産・事業活動に係るリスク(災害、事故、感染症)について

当社グループは、災害や事故に伴う生産活動の中断により生じる影響を最小限に抑えるため、日常的な製造設備の保守点検、安全防災設備・機器の導入、自衛消防組織の確立、安全防災訓練実施やマニュアルづくり等、設備保全、安全確保に努めています。しかし、突発的な自然災害発生や不慮の事故発生により、製造設備の損壊、原材料の調達困難、電力・物流等の社会インフラの機能不全、経済状況悪化に伴う需要動向の変化等が発生し、生産活動を制限あるいは中断した場合には、当社グループの財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。万一の被災時における事業の継続あるいは復旧に備え、事業継続計画を策定し、また保険の付保による損害軽減策を講じています。

また、新たな感染症等が拡大し、従業員の感染、原材料調達の遅延、生産活動の停止などにより事業活動に支障が生じた場合、または顧客および取引先の事業活動の停止や生産計画の見直し等により、当社製品の需要が減少した場合には、当社グループの財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 法的規制リスクについて

当社グループは、事業活動において、安全保障貿易管理、商品の品質、安全、環境関連、化学物質関連、また会計基準や税法、労務関連、取引関連等の様々な法規制の適用を受けております。これらの法規制については遵守するよう体制を整備し、社会的良識に沿った企業行動を行っております。現行の法規制の変更や新たな法規制等が追加された場合には、当社グループの従来の事業活動が制限され、売上高の減少やあるいはその対応のために新たな投資が必要となりコストが増加する等、当社グループの財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

⑤ 情報セキュリティに関するリスクについて

当社グループは、事業活動において、顧客および取引先、株主、役職員等のすべての個人情報および研究開発、生産などに関する機密情報の適切な管理に努めております。また、事業活動に関わる情報を財産と考え、継続的に情報セキュリティ体制の構築・強化を図っております。しかしながら、年々高度化しているサイバー攻撃やその他の不測の事態による情報セキュリティ事故、地震等の自然災害の発生による情報システムの停止または一時的な混乱に伴う事業への影響が発生した場合、当社グループの社会的信用の失墜、訴訟の提起、社会的制裁等により、当社グループの財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 製造物責任リスクについて

当社グループの製品は、高度な技術や複雑な技術を利用したものが増えており、また、原材料等を外部の供給者から調達していることにより、品質保証へのコントロールは複雑化しています。当社グループでは、生産、出荷の各段階で当社の品質基準に適合していることを厳密に確認しています。しかし、すべての製品について欠陥がなく問題が発生しないという保証は無いため、万一の事故に備え、生産物賠償責任保険を付保しています。しかし、予期せぬ重大な事故や品質面での重大な欠陥が発生した場合には、社会的信用の失墜を招き、賠償金など発生する損失の全てを保険によって補填できない可能性があり、当社グループの財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 海外活動リスクについて

当社グループは、フッ化物製造事業を中心に、シンガポール、中国に事業展開していますが、各国において以下のようなリスクがあります。当該リスクに対しては、現地法人や商社を通じての情報収集を行いその回避に努めていますが、こうしたリスクが顕在化した場合には、当社グループの財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

a)予期しえない法律・規制・不利な影響を及ぼす租税制度の変更

b)不利な政治的要因の発生

c)テロ、戦争等による社会的混乱

d)人材確保の困難化、労使関係の悪化

e)自然災害・感染症の拡大

 

⑧ 為替変動リスクについて

当社グループは、海外への輸出を円貨建てで決済する一方、原材料等の一部を海外からの輸入品により調達しており、その代金決済を外貨建てで行っています。為替予約取引等により為替変動リスクをヘッジする措置を講じているものの、それら外貨に対する円相場の急激な変動が生じた場合には、当社グループの財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。海外子会社の経営成績は、連結財務諸表作成のために円換算されていることから、換算時の為替レートにより、円換算後の計上額が影響を受ける可能性があります。

 

⑨ 人材採用および確保のリスクについて

当社グループは、製品やサービスの提供を継続し企業価値向上のためには、多様な人材を採用し、確保し続けることが必要であると認識しております。人材の採用および技術継承等が順調に進まなかった場合や、経験豊富な人材や業務・プラント運転操作等のノウハウを持った人材が社外に流出した場合には、当社グループの財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

⑩ 知的財産権侵害リスクについて

当社グループは、独自開発した技術による事業展開を基本として、必要な知的財産権の取得を推進しております。一方、当社グループが事業展開している分野については、第三者の知的財産権を常に調査監視して、第三者の有効な知的財産権は、代替技術の開発または技術的な回避策を講じることにより使用しない、当該第三者から使用する権利を得るなどの対策をとり、権利侵害の防止に努めております。さらに、調査監視にあたる人員を拡充するなど、体制の強化にも取り組んでいます。しかし、知的財産権侵害問題の発生を完全に回避することは困難であり、当社グループが第三者との間の法的紛争に巻き込まれた場合には、解決に多大な時間および費用を要する可能性があり、当社グループの財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

⑪ 気候変動リスクについて

当社グループは、温室効果ガス排出量(Scope1・2)を指標として、CO2排出量の抑制につながる省エネ・省資源対策を中心に取り組んでおります。しかし、温暖化ガス排出量取引が本格的に導入された場合や炭素税が適用された場合には、直接的なコストが増加する可能性があります。また、それらを原因とした原燃料価格や電力価格の上昇および、再生可能エネルギーやバイオマス原料・燃料の使用割合を増やす必要が生じた場合には、それに伴うコストが増加する可能性があります。さらに、気候変動に対する当社グループの対応遅れによるステークホルダーからの信用失墜による売上高の減少等、当社グループの財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑫ 訴訟リスクについて

当社グループは、事業を遂行するうえで、コンプライアンスの重要性を認識し、法令および社会的ルールの遵守の徹底を図っておりますが、取引先や第三者から訴訟等が提起され、または規制当局より法的手続がとられるリスクを有しています。重要な訴訟などが提起された場合には、当社グループの財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要ならびに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

(1) 経営成績

当連結会計年度における国内経済は、雇用・所得環境の改善による個人消費の増加やインバウンド需要の増加などを背景に、緩やかな景気回復の動きが見られたものの、原材料価格やエネルギー価格の高止まりによる消費への影響懸念、為替相場の変動、トランプ政権による他国への関税措置の影響等、依然として先行きが不透明な状況が続いています。

このような環境のもと、当社グループは、顧客のニーズに基づいた多種多様なフッ化物製品の供給を行うとともに、特殊貨物輸送で培った独自のノウハウに基づいた化学品の物流を担う事業展開を行ってきました。

当連結会計年度の業績におきましては、一部の半導体市況の回復により、半導体部門の出荷量が前期と比較して増加したことに加え、エネルギー部門や一般製品部門の出荷量も増加した結果、売上高は362億88百万円(前期比19.2%増)となりました。

利益面におきましては、売上高の増加を受け、営業利益は43億38百万円(同59.4%増)、経常利益は41億61百万円(同35.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は28億92百万円(同56.7%増)となりました。

 

当社グループは、2023年3月期から2025年3月期までの3年間において、第3次中期経営計画を策定しており、売上高・営業利益およびROICを経営上の目標を達成するための客観的な指標として掲げています。2025年3月期の修正数値目標(2024年12月26日公表)と比較して、売上高については、高純度薬品事業および運輸事業ともに販売が想定を上回り、修正数値目標の355億円を達成しました。営業利益およびROICについては、主要原材料の無水フッ酸価格は、想定を上回る水準で推移したものの、高純度薬品事業の一般製品部門等の販売が利益に寄与し、営業利益は修正目標値の42億円を達成しましたが、ROICは6.0%となり、修正数値目標の6.2%を下回りました。

 

(経営成績に重要な影響を与える要因についての分析)

経営成績に重要な影響を与える要因については、「3 事業等のリスク」に記載している原材料の調達リスクにおいて、高純度薬品事業における主要原材料である無水フッ酸を主に中国より調達しています。当連結会計年度の無水フッ酸価格については、中国での市況価格の上昇に加え、円安の影響により、前連結会計年度と比較して上昇しました。原材料価格の上昇については、販売価格への転嫁を行うなど収益面での影響を最小限とするよう取り組みを進めています。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。

① 高純度薬品

高純度薬品事業のうち、主力の半導体部門の売上高は、一部の半導体市況の回復により、出荷量が増加した結果、209億92百万円(前期比14.5%増)となりました。加えて、エネルギー部門や一般製品部門の出荷量が増加したことにより、高純度薬品事業の売上高は315億35百万円(同21.2%増)となりました。

利益面では、売上高の増加を受け、営業利益は35億46百万円(同63.6%増)となりました。

 

② 運輸

運輸事業につきましては、運送関連等の取扱量が前連結会計年度を上回った結果、売上高は46億36百万円(前期比9.0%増)となりました。

利益面では、売上高の増加を受け、営業利益は7億94百万円(同44.8%増)となりました。

 

 

③ その他

その他事業につきましては、保険代理業収入等が前連結会計年度を下回った結果、売上高は1億16百万円(前期比33.2%減)となり、営業利益は18百万円(同2.6%減)となりました。

 

生産、受注及び販売の実績は、次のとおりです。

① 生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

当連結会計年度
(自 2024年4月1日
 至 2025年3月31日)

前年同期比(%)

高純度薬品(百万円)

27,188

122.2

運輸(百万円)

報告セグメント計(百万円)

27,188

122.2

その他(百万円)

合計(百万円)

27,188

122.2

 

(注) 金額は販売価格によっています。

 

② 商品仕入実績

当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

当連結会計年度
(自 2024年4月1日
 至 2025年3月31日)

前年同期比(%)

高純度薬品(百万円)

752

169.2

運輸(百万円)

18

160.7

報告セグメント計(百万円)

771

169.0

その他(百万円)

30

55.6

合計(百万円)

802

156.9

 

(注) 金額は仕入価格によっています。

 

③ 受注状況

主として見込み生産を行っているため、該当事項はありません。

 

 

④ 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

当連結会計年度
(自 2024年4月1日
 至 2025年3月31日)

前年同期比(%)

高純度薬品

 

 

 

半導体(百万円)

20,992

114.5

 

エネルギー(百万円)

2,051

178.1

 

電子材料(百万円)

843

142.3

 

一般製品(百万円)

3,613

175.4

 

工業用フッ酸(百万円)

718

103.2

 

仕入商品(百万円)

3,317

104.4

 

合計(百万円)

31,535

121.2

運輸(百万円)

4,636

109.0

報告セグメント計(百万円)

36,172

119.5

その他(百万円)

116

66.8

合計(百万円)

36,288

119.2

 

(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しています。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりです。

相手先

前連結会計年度
(自 2023年4月1日
 至 2024年3月31日)

当連結会計年度
(自 2024年4月1日
 至 2025年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

関東化学株式会社

2,683

8.8

3,722

10.3

 

 

 

(2) 財政状態

当連結会計年度末の資産合計は、607億25百万円となり、前連結会計年度末に比べ21億7百万円増加しました。主な要因は、流動資産、有形固定資産が増加したことによるものです。

 

セグメントごとの資産は、次のとおりです。

① 高純度薬品

高純度薬品事業につきましては、当連結会計年度末の資産合計は、507億9百万円となり、前連結会計年度と比べ21億10百万円増加しました。主な要因は、現金及び預金、有形固定資産が増加したことによるものです。

 

② 運輸

運輸事業につきましては、当連結会計年度末の資産合計は、101億20百万円となり、前連結会計年度末と比べ29百万円増加しました。主な要因は、売掛金、建設仮勘定が増加したことによるものです。

 

③ その他

その他事業につきましては、当連結会計年度末の資産合計は、2億84百万円となり、前連結会計年度と比べ15百万円増加しました。主な要因は、現金及び預金が増加したことによるものです。

 

当連結会計年度末の負債合計は、157億32百万円となり、前連結会計年度末に比べ16億15百万円増加しました。主な要因は、未払法人税等、長期借入金が増加したことによるものです。

 
 当連結会計年度末の純資産合計は、449億92百万円となり、前連結会計年度末に比べ4億91百万円増加しました。主な要因は、自己株式が増加(純資産の減少)したものの、利益剰余金、為替換算調整勘定が増加したことによるものです。

 

(3) キャッシュ・フロー

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて3億56百万円増加し、当連結会計年度末は162億3百万円となりました。
 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は、71億15百万円(前期比5億72百万円の収入増加)となりました。

主な内訳は、税金等調整前当期純利益42億24百万円、減価償却費の計上28億12百万円、減損損失の計上1億90百万円、持分法による投資損失の計上3億93百万円、持分変動利益の計上2億63百万円、売上債権の増加2億1百万円、仕入債務の増加4億61百万円、法人税等の支払額4億22百万円によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、43億24百万円(前期比15億6百万円の支出減少)となりました。

主な内訳は、有形固定資産の取得による支出41億65百万円、投資有価証券の取得による支出1億52百万円によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は、28億28百万円(前期比26億86百万円の支出増加)となりました。

主な内訳は、長期借入れによる収入15億円、長期借入金の返済による支出10億53百万円、自己株式の取得による支出10億45百万円、配当金の支払額21億77百万円によるものです。

借入金については、適切な資金確保および健全な財務体質を維持することを目指し、成長維持に必要な設備投資・投融資資金の調達、適正な手元資金水準を鑑み、当連結会計年度においては、短期借入金と長期借入金合わせて4億46百万円の増加となりました。

 

(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)

当社グループは事業活動を遂行するための適切な資金確保および健全な財務体質を維持することを目指し、安定的な資金調達手段の確保に努めています。成長を維持するために将来必要な運転資金および設備投資・投融資資金は、主として営業活動によるキャッシュ・フローと金融機関からの借入により調達しています。

資金の流動性については、事業規模に応じた適正な手元資金の水準を維持することとしています。

2023年3月期から2025年3月期までの第3次中期経営計画においては、経営資源配分の基本方針として「資本効率・収益性・持続的成長に向けた長期視点等を意識した、成長投資や株主還元をバランス良く実施する」と定めており、2025年3月期においては、高純度薬品事業の半導体部門に関連する設備投資を中心に、資本的支出(有形固定資産および無形固定資産の増加額)は、39億24百万円となりました。

また、株主還元については、2023年5月9日付「株主還元方針の策定に関するお知らせ」にて開示したとおり、成長投資と株主還元のバランスに加え、資本効率の改善を図るため、2024年3月期および2025年3月期の2期間において、総還元性向100%を目標として設定しました。2025年3月期の株主還元については、24万株の自己株式の取得および1株当たり中間配当85円、期末配当85円、合わせて年間170円の配当を行った結果、総還元性向は107.0%となりました。

 

(4) 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益および費用の報告額に影響を及ぼす見積りおよび仮定を用いていますが、これらの見積りおよび仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積りおよび仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しています。

 

5 【重要な契約等】

該当事項はありません。

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループにおいては、高純度薬品事業において研究開発活動を行っています。研究開発活動の基本方針はフッ化物業界という特異な分野でありながら、多様化、高度化し、広範囲にわたる顧客ニーズに応える製品を研究開発し提供することです。

この目的達成のため次の事項を主眼として開発のスピードアップを図り、顧客ニーズ、時期に合致するよう努力しています。

(1) 効率的に研究開発に取り組める環境

(2) 高純度・高品質製品の開発

(3) 高機能・高付加価値製品の開発

(4) 顧客ニーズに合致した製品の開発

(5) 開発品の製法の効率化

(6) 高度先進技術への対応

研究開発スタッフは、グループ全員で32名にのぼり、これは総従業員の約5%に当たります。

当連結会計年度における主な研究内容は次のとおりです。なお、当連結会計年度の研究開発費の総額(人件費を含む)は597百万円です。

 

 高純度薬品

主として高性能半導体の製造に使われる薬液、高精細ディスプレイに使われる材料、第5世代移動通信システム(5G)に使われる材料、リチウムイオン二次電池などの蓄電デバイスに使われる材料などを中心とした研究開発活動を行っています。最近は、フッ素化合物のナノ粒子化技術を用いた高精細ディスプレイ用反射防止材料、歯科材料などの用途開発、フッ素化技術を利用した高性能細胞培養容器の開発、自動車へ搭載されるリチウムイオン二次電池を高性能化する添加剤の開発、ナトリウムイオン二次電池や全固体電池などの次世代二次電池用の材料研究、高精細LCDやパブリックインフォメーションディスプレイなどに用いられるミニLEDの演色性を高めるLED用蛍光体および蛍光体製造材料の開発、第5世代移動通信システム(5G)における伝送損失を低減させる低誘電率・低誘電正接材料の開発など、研究テーマ毎にグループを形成して研究開発活動に従事しています。