文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、山海嘉之が創出したサイバニクス技術を駆使して、社会が直面する様々な課題を解決するため、革新技術(イノベーション技術)の創出と基礎的研究開発から社会実装までを一貫した事業スキームとして事業展開します。即ち、革新技術の創生と新産業(サイバニクス産業)創出による市場開拓、これらの挑戦を通じた人材育成の3本柱を上向きにスパイラルを描くように同時展開する未来開拓型企業を目指しています。
(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、研究開発型企業として革新的製品の研究開発や臨床・実証研究及び各種認証取得を推進し、その製品の上市やサービス展開によって収益を確保することにより、持続的な成長を図ってまいります。
当社グループでは、経営上の重要な非財務指標として、HAL®等の稼働台数を活用しています。
当社グループの主たる収益源は、HAL®等のレンタル・保守に係る売上であり、レンタル・保守契約に係る売上は、レンタル期間にわたり収益が計上され、翌会計年度以降にわたる継続的な収益計上が見込まれるため、当社グループは、現在の業績や将来の見通しを把握することを目的として、HAL®等の稼働台数を取締役会へ報告しています。
最近5年間のHAL®等の稼働台数の推移は、本書「第一部 企業情報 第2 事業の状況 4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (6) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ④ 経営上の重要な非財務指標」に記載のとおりです。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当社が掲げる「テクノピアサポート社会」の実現と「サイバニクス産業」の創出の推進において、対処すべき課題は、次のように考えています。
① 革新技術・新産業創出のための研究・製品開発
「テクノピアサポート社会」の実現と「サイバニクス産業」の創出のためには、超少子高齢社会など、社会が直面する構造的課題の解決に資する革新技術の継続的な研究開発と、その社会実装の加速が不可欠です。
当社は、「人」と「サイバー・フィジカル空間」を融合するHCPS(Human-Cyber-Physical Space)融合、IoH/IoT(Internet of Humans/Things)、AIロボット、AI情報系等の最先端のサイバニクス技術の研究開発を推進しています。これらの技術は、人の内的情報(脳神経情報・生理情報など)に加えて、外的情報(行動情報・生活情報など)や環境情報を一元的に統合・解析する独自性の高いアプローチに基づいています。
当社は、内閣府「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第3期」における「超高齢社会における世代を超えた人々が直面する社会課題の解決に向けたHCPS融合人協調ロボティクスの社会実装技術開発」への参画をはじめとして、国内外の大学・研究機関、医療機関、行政機関、民間企業や、C-Startupを通じたスタートアップ企業との連携を強化し、装着型サイボーグHAL®にとどまらず、社会課題の解決に資する多様な製品・システムの開発と社会実装を継続的に推進してまいります。
② サイバニクス治療の臨床試験の推進
世界初の装着型サイボーグHAL®を利用した脳・神経・筋系の機能改善・機能再生を促進するサイバニクス治療のグローバルな標準治療化を実現するためには、本治療の有効性と安全性を国内外で証明し、対象疾患の拡大・保険適用を進めることが必要です。
日本においては、2015年11月にHAL®医療用下肢タイプが8つの神経・筋難病に対して新医療機器として承認された後、5年間の市販後調査により実臨床下における極めて高い有効性と安全性が確認された結果、2022年4月(令和4年度)診療報酬改定で増点を実現しました。さらに、HTLV-1関連脊髄症(HAM)等に関する医師主導治験を経て、2022年10月に適応拡大の承認を取得しています。また、脳卒中を対象とした新たな治験(HIT2016試験に基づく追加試験)の準備を進めており、最新の患者像や臨床ニーズに即した適応拡大を目指しています。
海外においても、ドイツの公的医療保険当局であるG-BA(ドイツ連邦共同委員会)が脊髄損傷に対する公的医療保険適用を前提とした臨床試験の実施を決定しており、現在、治験施設の選定等が進行中です。
さらに、HAL®腰タイプについても、パーキンソン病患者に対するパイロットスタディで良好な結果が得られたことを踏まえ、医療機器承認に向けた治験準備を進めてまいります。
③ サイバニクス技術の世界展開・国際連携強化
サイバニクス治療をはじめとするサイバニクス技術の世界的な普及に向けては、各国における医療機器承認の取得および適応疾患の拡大が、引き続き重要な課題です。
欧米においては、医療用HAL®下肢タイプの適応拡大が順調に進んでおり、米国では脊髄損傷に加えて、2020年に脳卒中や神経・筋難病への適応拡大承認を取得。2024年には脳性麻痺、HTLV-1関連脊髄症(HAM)、遺伝性痙性対麻痺への適応が新たに承認されました。また、HAL®下肢タイプの小型モデルについても世界で初めて米国での医療機器承認を取得し、同年12月には欧州の新MDR規制に基づく医療機器認証も獲得しています。さらに、東南アジアをはじめとするAPAC諸国においても、2019年以降、マレーシア、タイ、インドネシア、シンガポール、オーストラリアなど複数国において、幅広い疾患を対象とした医療機器承認を取得してきました。今後は、小型モデルの欧米以外各国での承認取得、中南米など新たな地域への展開、適応疾患の拡充に加え、Cyvis®などHAL®以外の製品の海外における認証取得などの対応を継続的に推進してまいります。
また、サイバニクス技術の円滑な社会実装を実現するためには、各国・地域の医学会やキーパーソン(KOL)との連携が不可欠です。当社は引き続き、サイバニクス分野における国際カンファレンスの開催、各国の先進医療機関や大学・研究機関とのパートナーシップ構築等を通じて、サイバニクス技術のグローバルでの普及を推進してまいります。
④ 包括的メディカル・ヘルスケアを実現する個人向け製品・サービス強化
平均寿命が延伸する中、生活習慣病や老化に伴う疾患の予防、要介護化及び重度化の防止を実現するには、家庭や職場など日常生活の場における予防・早期発見、医療機関での早期診断・治療、退院後の自立支援・再発予防を、医療分野と非医療分野が連携・融合し、包括的に扱う仕組みの構築が不可欠です。
当社はこの構想のもと、医療用HAL®の展開に加えて、障害や加齢に伴う身体機能の改善の促進、要介護状態の緩和、フレイルの予防等を目的として、HAL®自立支援用モデル(下肢・単関節・腰タイプ)を活用した「NeuroHALFIT®」プログラムを、全国各地のロボケアセンターおよび在宅型サービス(「自宅でNeuro HALFIT®」)として提供しています。今後、拠点拡大によるサービスへのアクセス向上に加えて、在宅型サービスにおけるサポートの充実など、多様なニーズに応じた個人向けサービスの利便性向上を図ってまいります。
また、一人ひとりに最適化された健康管理及び疾病の予防・診断・治療を支援するため、日常的にメディカル・ヘルスケアデータを収集・解析・AI処理する「Cyvis®(サイビス)」シリーズについても、医療機関向けの展開に加えて、家庭・職場など日常生活向けに展開可能な製品ラインアップの拡充を進めてまいります。
⑤ 事業推進体制の強化及び未来開拓型人材の育成
当社グループは、医療・福祉・生活・職場・生産といった多領域にまたがる社会課題に対し、人・AIロボット・AI情報系が融合するサイバニクス技術を基盤とした革新的なソリューションを提供しています。その事業領域は、従来の制度や産業の枠を越えた未踏の領域に位置しており、社会構造や制度設計にも深く関与しながら、実効性ある社会実装を推進するという、極めて高度かつ複雑なミッションを担っています。
当社の製品・サービスは、統合サイバニックシステムとして多分野を横断的に結びつけて提供されており、部門間の連携や統合的な運営を可能とする強固な組織体制の構築が重要です。今後、事業領域のさらなる拡大、製品・サービスの多様化、グローバルな展開の加速に柔軟かつ強靭に対応するため、組織体制の継続的な強化を進めてまいります。
また、こうした未開拓領域において事業を推進するには、単一分野にとどまらない専門知識と統合的な視野を兼ね備えた人材が不可欠です。たとえ専門領域外であっても、必要に応じてその分野を自ら切り拓き、強い情熱と倫理観をもって社会変革に挑戦し続ける「未来開拓型人材」の育成・登用を引き続き推進してまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)ガバナンス
サステナビリティ関連のリスク及び機会に係る戦略の策定及びリスク管理は、経営戦略、事業創出(ビジネス・クリエーション)及び業務執行のマネジメントを統括する部門が管掌し、必要に応じて取締役会に付議・報告される体制となっています。当該業務執行体制は、全社のコーポレート・ガバナンス体制のもと、取締役会、 監査役会及び内部監査室により監督・監査されています。
(2)戦略
当社グループ、あるべき姿の未来に向けて、サイバニクス(人・AIロボット・情報系の融合)を駆使し、社会課題解決のための革新技術の創生、 新産業創出の推進、未来開拓に挑戦する人材の育成をスパイラルを描くように同時展開することで、好循環イノベーションを実現し、人とテクノロジーが共生する明るい未来社会(テクノピアサポート社会)を築いていくことをビジョンとして掲げております。これらのビジョンに沿って、サステナビリティに関する課題、対応するリスク及び機会、当社の主な取り組みについて整理しております。
(3)人的資本(人材の多様性を含む。)に関する戦略、指標及び目標
①戦略
当社の持続的な成長のためには、当社の理念に共感し高い意欲を持った優秀な人材の確保及び育成が重要と認識しており、当社のビジョンに共感する優秀な人材が、性別、人種、国籍、キャリア、障がいの有無などによる区別なく採用され無理なく働くことができる制度やシステムを整備しています。
具体的には、業務内容や従業員のニーズに応じた雇用形態(勤務時間の調整、国内外のリモートワーク含む)にも可能な限り柔軟に対応し、育児休業や介護休業など取得しやすいよう環境づくりを進めています。
人材の育成については、定期的なセミナーを開催しているほか、関連業務に関する外部セミナーへの参加を支援しています。また、専門性を高めるため、資格試験を奨励している他、アカデミアとの連携も推奨し働きながら博士号を取得している社員もいます。
②指標及び目標
多様性ある人材が活躍・成長する環境を維持し構築していくために、以下人材の確保及び育成に関する指標を用いています。なお、目標については、採用規模から職種別に適材を適時に採用・育成しているため、個別に設定はしていません。
|
|
役員に対する 女性比率 |
従業員数に対する 女性比率 |
|
|
(注) |
|
2023年3月期 |
0.00% |
15.85% |
7.32% |
3.66% |
28.05% |
|
2024年3月期 |
11.11% |
15.66% |
8.43% |
4.82% |
30.12% |
|
2025年3月期 |
|
|
|
|
|
(注) 専門資格は、博士、理学療法士、作業療法士、看護師、臨床心理士、弁護士、会計士、税理士の保有者です。
(4)気候関連のリスク及び機会
気候関連の情報について、当社の事業特性上、直接的な影響は限定的であり、現時点では重要ではないと判断しています。ただし、気候変動リスクはさまざまな分野の会計処理に影響を及ぼし、将来的に重要な影響を及ぼす可能性もあり、慎重な検討が必要と考えています。
(5)リスク管理
当社では、サステナビリティ関連のリスク及び機会に関して、各部門とコーポレート部門が連携して識別しており、重要性が高いリスク及び蓋然性のある機会については、経営戦略、事業創出(ビジネス・クリエーション)及び業務執行のマネジメントを統括する部門で、評価・検討し対応・管理しています。
当社グループの事業展開その他に関してリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を以下に記載しています。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しています。なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ではありますが、本株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討した上で、行われる必要があると考えています。
また、以下の記載は本株式への投資に関連するリスク全てを網羅するものではありませんので、この点にご留意ください。なお、当該記載事項は本書提出日現在における当社グループの認識を基礎とした記載であり、将来の環境変化等によって当該認識は変化する可能性があります。
1.当社グループの事業遂行上のリスク
(1) 当社グループの事業が新しい事業領域であることについて
当社グループの主力製品であるHAL®は、当社の代表取締役社長山海嘉之が開発した世界初の装着型サイボーグです。当社グループは、現状、日本、欧州、米国、APAC(アジア太平洋)、中近東において医療用HAL®を、国内においてHAL®福祉用(下肢タイプ)、HAL®自立支援用(下肢タイプ・単関節タイプ・腰タイプ)、HAL®腰タイプ介護支援用・作業支援用等を事業展開しています。当社グループの技術は、医療・介護福祉分野、生活・重作業分野、エンターテインメント分野等さまざまな領域に活用できると考えていますが、従来にない新しい事業領域であることによる不確実性が高く、市場が順調に成長する保証はなく、また当社グループ製品の市場への浸透が計画どおりに進まないあるいは収益性を確保することができない場合等には、当社グループの経営成績、財政状態及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 競争について
当社グループは、HAL®を中心として、医療、福祉、生活、職場、生産分野での事業展開を行っています。現在、国内外の企業により自律制御を用いた装着型ロボットの開発が行われていますが、人間の脳から発する生体電位信号を活用するサイバニック随意制御技術は当社グループ独自のものであり、差別化による当社グループ製品の優位な競争力は保たれていると認識しています。また、HAL®の知的財産については、当社グループと国立大学法人筑波大学が特許を共同保有しています。現在、国内外の様々な企業が装着型ロボットの研究や実用化を進めており、また、巨大なテクノロジー企業を含む多数の企業が商業用ロボットの分野に新規参入するなど、当社グループを取り巻く競争環境は変化しており、競合他社が当社グループと比べて、資本、人材、コスト構造の効率性、ブランド、製品の多様性等の点において、より競争優位性を有する可能性があります。HAL®のような先進的技術を用いた製品の開発、実証試験、安全規格認証や医療機器認証の取得及び保険適用等を含む商用化には多大な時間と費用を要する一方で、これが成功する保証はありません。上記のような事業環境において、他社が当社グループの製品よりも新しい技術やより有用な製品の開発に成功した場合には、当社グループの製品の優位な競争力が持続できず、当社グループの経営成績、財政状態及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 会社組織に関するリスク
当社は、2004年6月24日に設立されましたが、下記のようなベンチャー企業特有の課題があると認識しています。
① 経営面及び新技術の開発において創業者である代表取締役社長山海嘉之に多くを依存しています。今後何らかの要因により同氏の業務執行が困難となった場合には、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
② 優秀な研究開発人材を多数有していますが、当社グループが必要とする優秀な人材が退職した場合には、当社グループ製品開発のスピードに影響を及ぼす可能性があります。
③ 事業の拡大に伴い、営業・生産・管理部門の人員増強及び内部管理体制の一層の充実を図る方針ですが、優秀な人員の確保及び内部管理体制の充実が円滑に進まなかった場合、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 特定製品への依存リスク
当社グループの主力製品はHAL®であり、当連結会計年度において、それに関連する売上収益は当社グループの売上収益の大半を占めています。今後につきましても、当面の間HAL®が主な収益源になると予測していますが、各国の法規制、医療政策等の変更や、医療保険などの保険制度の整備の遅れ等が生じた場合には、当社グループの事業及び収益性に影響を及ぼす可能性があります。これらの要因に加え、HAL®の使用又はこれに関連した訴訟等の提起、HAL®に代替する新規技術や技術革新、より競争力のある同種製品の発表、関連する法規制等の変更、筑波大学との間のHAL®に関する特許権の独占的に使用する専用実施権の付与に関する関係の変化等、何らかの要因により、HAL®の持続的な市場拡大が見込めなくなった場合には、当社グループの経営成績、財政状態及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 医療機器承認について
HAL®を中心とした当社グループの製品について、医療機器として販売するためには、各国又は地域における法規制に基づき、一定の治験・審査等を経た上で当局の承認を得ることが必要になります。当社グループは、EU、日本、米国等において医療用HAL®の医療機器としての承認・認証を得ていますが、それ以外の国又は地域において、HAL®又はその他の当社グループ製品について医療機器としての承認を受けられる予めの保証はなく、また承認を受けられるとしてもその時期は各国・地域毎に異なる可能性があります。また、承認後に当該国又は地域における法規制や制度に変更等が生じた場合には、既に得られた承認が更新できるとは限らず、また取り消される可能性もあります。このような場合において、当社グループの経営成績、財政状態及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 保険収載について
当社グループは、HAL®を中心とした当社グループ製品を使用したサイバニクス治療が多くの国又は地域で公的及び民間の医療保険に収載され、HAL®を導入する医療機関が保険金の支払いを受けることができることが、HAL®が普及・浸透するための重要な要素であり、当社グループの事業展開における大きな課題であると認識しています。しかしながら、保険制度は各国又は地域により異なるほか、保険収載に際して適用疾患の範囲や保険金支払いの程度等は各国又は地域の公的保険機関や民間保険会社等によりそれぞれ決定されるため、その状況如何によって当社グループの経営成績、財政状態及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
(7) スタートアップとの資本業務提携について
当社グループは、国内外のスタートアップと戦略的な資本出資及び業務提携を行っていくことが、当社グループのサイバニクス産業創出を加速するための大きな課題であると認識しており、積極的に推進しています。しかしながら、出資及び提携等を行うに際して、出資及び提携による効果を事前に完全に予測することは困難であり、かかる出資及び提携等が円滑に行われる保証はありません。戦略的な資本提携及び業務提携が、当初見込みどおりの期間で予想どおりの効果を得られるという保証はなく、出資及び提携等による効果を当社グループが適切に活用できない可能性があります。また出資先の経営状況により、株式評価を変更する必要が生じる可能性があります。これらの事情により、当社グループの経営成績、財政状態及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 事業活動全般に関するリスク
当社グループは、国内外で事業活動を展開していますが、全ての国・地域において下記のようなリスクがあると認識しています。
・政治状況、経済状況等の地政学リスク
・感染症等の拡大や災害等のリスク
・法制度、税制等が変更されるリスク
また、海外での事業活動においては、下記のようなリスクがあると認識しています。
・商習慣等が異なるリスク
・大規模なストライキ等、労働環境が混乱するリスク
・文化的な違い等による、現地採用人材、事業運営等の管理が困難となるリスク
・日本への送金等が困難となるリスク
・為替に関するリスク
これらのリスクは当社グループの経営成績、財政状態及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 製品の不具合による顧客の損失について
当社グループは、ISO13485(医療機器の品質マネジメントの国際標準規格)に基づいて製品品質の更なる向上に継続的に取り組んでいますが、将来にわたって製品に欠陥がなく、製造物賠償責任請求及びリコール等に伴う費用が発生しないという保証はありません。万が一、製品の欠陥により損害が生じた場合は、製造物責任請求についてはその全部又は一部について製造物責任(PL)保険の対象となりますが、当社グループ及び製品の社会的信用が低下することにより、当社グループの経営成績、財政状態及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
(10) 知的財産権について
① 当社グループのHAL®は人間の生体電位信号を活用する独自の技術を利用するものですが、HAL®に利用されるこのような技術について、当社単独保有の特許を除き、原則として全ての国内特許は当社と筑波大学の共同保有となっています。さらに、当社グループは筑波大学と特許権に関する独占的実施許諾契約を締結することで特許技術を当社グループのみで独占的に利用しています。この契約は当社グループが事業活動を行う上で重要な事項であり、許諾を受けた知的財産権の権利期間の満了日まで効力を有するものの、本契約に違反した場合、合併や重要資産の買収がなされた場合や当社事業の重要部分が譲渡された場合など何らかの理由によりこの契約の継続が困難となった場合には、当社グループの経営成績、財政状態及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
② 当社グループの事業に関連した特許権等の知的財産権について、現時点において、第三者との間で訴訟やクレームといった問題が発生したという事実はなく、当社グループの事業に関し他者が保有する特許権への侵害等の知的財産権侵害に関する問題の発生により、当社グループの事業に重大な支障を及ぼす可能性は低いものと認識しています。また、技術調査等を継続して行っていくことで知的財産権侵害問題の発生を回避するよう努めています。しかしながら、当社グループのような研究開発型の企業にとって、知的財産権侵害問題の発生を完全に回避することは困難です。今後、当社グループが第三者との間の法的紛争等に巻き込まれた場合、弁護士や弁理士と協議の上、その内容によって個別具体的に対応策を検討していく方針ですが、当該第三者の主張の適否にかかわらず、解決に時間及び多額の費用を要する可能性があり、また、当社グループの技術に関しては、細心の注意を払って管理していますが、第三者が当社グループの技術を侵害した場合であっても、解決に時間及び多額の費用を要する可能性があります。その場合には当社グループの事業戦略、経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(11) 法的なリスクについて
当社グループの事業は、以下の事項を含め、各国又は地域における各種法令、規則その他の規制の適用を受けており、これらの法規制等による制約に服しています。例えば、当社グループの様々な事業活動において、国内外を問わず、当社グループが関与する技術・製品・サービス等についての知的財産権や製造物責任、また薬事、商取引、輸出入規制、関税を含む税務、贈賄や腐敗防止に関する法規制、競争法、労働法、消費者関連法、個人情報保護法、環境法、外為法その他事業に関連して様々な法規制等の適用を受けており、またこれらの法規制等や慣行を巡って予期しない課題が提起される場合があります。特に、当社グループが現在取り扱っている製品の一部は、日本では薬機法により定められた医療機器として厚生労働省による製造販売承認を取得しており、日本以外の各国又は地域においても同様の規制当局による承認等が必要であるとともに監督当局による監督に服します。この承認審査は、製品の有効性、安全性等の確認を目的として行われるものであり、審査の結果、製造の承認が取得できなかったり、承認の時期が遅れたりする可能性があります。さらに、承認の取得後、製品を販売している間においても、当該製品の有効性、安全性に問題が生じた場合には、承認が取り消されることもあります。上記のほか、当社グループが、当社グループの事業に適用のある法規制等に違反した場合、民事、行政、刑事上の制裁を課される可能性があり、また当社グループの社会的信用に影響する可能性があります。これらの場合には当社グループの事業、経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(12) 個人情報に関するリスク
当社グループではHAL®の利用者の個人情報を取得しています。当社グループでは、当該情報に接することができる者を制限するとともに、全役職員との間で守秘義務契約書を締結しています。また、当社グループは、個人情報保護規程を制定するとともに、個人情報保護管理者を任命する等、個人情報の管理には十分留意し、現在まで顧客情報の流出等による問題は発生していません。しかしながら、今後、顧客情報の流出等の問題が発生した場合、当社グループへの損害賠償請求や当社グループの社会的信用の低下等により、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(13) 平和倫理委員会について
当社グループは、当社グループの先進技術が人の殺傷や兵器利用を目的に利用されることを防止するため、平和倫理委員会を設置しています。平和倫理委員会は、代表取締役社長及び全ての社外役員により構成され、審議事項の判定は、出席委員の3分の2以上の賛成をもって行うものとしており、当社グループの企業行動規範で定める「医療、介護福祉、災害復旧」の事業領域に含まれないおそれがある事業領域へ参入する際に、その参入により、当社グループの先進技術が人の殺傷や兵器利用を目的に利用される可能性の有無について審議・検証し、判定の結果を取締役会へ報告します。
この平和倫理委員会の審議・検証の結果が、短期的には当社グループの業績向上に必ずしも資さない可能性があります。
2.大学教授等兼任に関するリスク
(1) 筑波大学教授等の兼任について
当社代表取締役社長である山海嘉之は筑波大学の教授職並びに内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム (以下「SIP」)のプログラムディレクター(以下「PD」)を兼業しています。当該兼業に伴う①代表取締役社長及び大学教授並びにSIPのPDを兼ねていることによる当社グループと筑波大学並びに内閣府のSIPの研究推進法人である国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下「NEDO」)との間における利益相反防止体制、②代表取締役社長兼務への支障の有無については、それぞれ以下のとおりです。
① 利益相反防止体制
大学並びにNEDOとの取引や共同研究契約の締結など利益相反に係る意思決定は全て取締役会決議を行っており、当該決議に際しては、有価証券報告書提出日現在、山海嘉之を含む筑波大学関係者を除いた取締役4名(うち社外取締役3名)並びに内閣府関係者である山海嘉之を除いた取締役5名(うち社外取締役4名)によって意思決定を行うことにより、利益相反を防止する体制を構築しています。
また、2025年6月25日開催予定の定時株主総会の議案(決議事項)として、「取締役5名選任の件」を提案しており、当該議案が可決されますと、山海嘉之を含む筑波大学関係者を除いた取締役3名(うち社外取締役2名)並びに内閣府関係者である山海嘉之を除いた取締役4名(うち社外取締役3名)によって意思決定が行われます。
② 代表取締役社長業務への支障の有無
サイバニクス研究にかかる当社グループと筑波大学並びに内閣府SIPでの業務は一体的且つ不可分であり、純粋な筑波大学職員としての職務(授業、大学教授としての学内会議への出席等)並びにSIPのPDとしての職務(企画・マネジメント等)が、当社代表取締役社長固有の業務(取締役会出席、稟議決裁、投資家対応等)に与える影響は限定的であり、代表取締役社長としての職務執行が十分に可能な状態にあります。
しかしながら、山海嘉之が当社代表取締役社長としての立場よりも大学教授並びにSIPのPDの立場を優先した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
3.先端機器事業全般に関する事項
(1) 開発事業全般に関するリスク
先端技術開発の分野では、世界各国の企業が技術革新の質とスピードを競い合っています。また、先端技術の基礎研究、開発から製造及び販売に至る過程では、各国における諸規制に従ってこれを推進していくことから、長期間にわたり多額の資金を投入することになります。このため、研究開発には多くの不確実性が伴い、当社グループの現在及び将来における開発品についてもこのようなリスクが内在しています。また、当社グループは、事業計画に基づき、事業領域を拡大してまいりますが、事業領域が計画通り拡大する保証はなく、また適用された保険等の制度が将来的に見直されたり、変更されたりするリスクが存在しています。このようなリスクが顕在化した場合は、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 新規開発品の創出に関するリスク
当社グループは、研究開発型企業として積極的に新規開発品の探索及び創出を図っており、既に事業化されているHAL®下肢タイプ(医療用・福祉用・自立支援用)や単関節タイプ及び腰タイプ(作業支援用・介護支援用・自立支援用)、人工知能AI搭載型の搬送ロボットや除菌・清掃ロボットに加えて、複数の新規開発製品をリリースすることを重要な事業戦略としています。
しかしながら、これらの新規開発品の探索及び創出が確実にできる保証はありません。このため、何らかの理由により、新規開発品の探索及び創出活動に支障が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 研究開発に内在する進捗遅延に関するリスク
当社グループは、研究開発型企業グループとして筑波大学との共同研究関係を中心として外部との協力関係を構築することで効率的な研究開発の推進を図っています。しかしながら、研究開発活動が計画通り進む保証はなく、当初計画したとおりの研究開発による結果が得られない場合、各種試験の開始又は完了に遅延が生じた場合あるいは医療機器としての製造販売承認の取得が遅れる又は制限される可能性などは否定できません。当社グループは、このような事態を極力回避すべく、各開発品の進捗管理及び評価を適時に行い、各開発品の優先順位付け、投下する経営資源の強弱の変更あるいは一時中断の決定などの対応を図っています。
このように、当社グループは研究開発費が大きく増加するリスクを低減していますが、研究開発が計画どおりに推移しない場合には、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
4.B種類株式の導入について
(1) 本スキームの概要
当社グループは、「テクノロジーは人や社会に役立ってこそ意味がある」という基本理念のもとで、HAL®を中心とした先進技術を平和的な目的の場で活用しており、人の身体能力を改善・補助・拡張・再生するサイバニクス技術を平和目的に利用することは、到来した超高齢社会のニーズと合致し、当社グループの長期的な企業価値の向上に繋がるものです。一方で、当該技術は、人の殺傷や兵器利用を目的とした軍事産業への転用など、平和的な目的以外の目的で利用される可能性があります。そこで、当社は、資本市場から資金調達を行いつつ、先進技術の平和的な目的での利用を確保するため、上場する普通株式とは異なる種類のB種類株式を発行しています(当社のB種類株式を用いたスキームを、以下「本スキーム」といいます。)。
当社グループの将来ビジョンである、超少子高齢化という社会が直面する課題を解決しつつ、サイバニクス産業という新しい産業分野を開拓するためには、サイバニクス技術の研究開発と事業経営を一貫して推進する必要があります。当社代表取締役社長である山海嘉之は、このサイバニクス技術を創出し、現在もサイバニクス研究の中心的な存在であり、更にその革新的な技術を社会に還元するための事業推進者でもあります。このため、当社グループの企業価値向上(株主共同利益)には、当面の間、山海嘉之が経営に安定して関与し続けることが必要であると考えており、これを実現可能とする本スキームは、株主共同利益の観点で必要性の高いスキームであると認識しています。
具体的には、当社は、上場する普通株式と比較して、剰余金の配当及び残余財産の分配については同一の権利を有しますが、単元株式数について異なるB種類株式を設けています。普通株式の単元株式数を100株とし、B種類株式の単元株式数を10株とすることにより、B種類株式を有する株主(以下「B種類株主」といいます。)が有する議決権の数は、同数の普通株式を有する株主(以下「普通株主」といいます。)に比べて、10倍となります。B種類株主は、山海嘉之、山海嘉之が代表理事を務める一般財団法人山海健康財団及び一般財団法人山海科学技術振興財団(以下「本財団法人」と総称します。)のみであり、山海嘉之は、当連結会計年度末時点において普通株式及びB種類株式の発行済株式総数の約38%にあたる普通株式3,042,000株及びB種類株式77,696,000株を有し、その有する議決権の数は、当社の総株主の議決権の数の約85%となります。
普通株式及びB種類株式並びに本スキームの概要は、以下のとおりです。
(i)株式の概要
|
|
普通株式 |
B種類株式 |
|
剰余金の配当・残余財産 の分配 |
同順位・同額 |
|
|
単元株式数 |
100株 (100株につき1個の議決権) |
10株 (10株につき1個の議決権) |
|
譲渡制限 |
制限なし |
取締役会の承認が必要 (B種類株主間の譲渡には不要) |
|
種類株主総会の決議を要しない旨の定款の定め |
あり |
なし |
|
取得請求権 |
なし |
あり (B種類株式1株を 普通株式1株に転換) |
|
取得条項 |
なし |
あり (B種類株式1株につき 普通株式1株を交付) |
|
株式の分割・株式の 併合等 |
同時・同一の割合 |
|
|
上場 |
上場 |
非上場 |
(ⅱ)単元株式数の相違
普通株式とB種類株式は、剰余金の配当及び残余財産の分配は同順位かつ同額で受領する権利を有しますが、単元株式数については、普通株式は100株、B種類株式は10株と異なります。これにより、例えば、B種類株式100株を有するB種類株主は株主総会において10個の議決権を有するのに対し、同数(100株)の普通株式を有する普通株主は株主総会において1個の議決権を有することとなり、B種類株主は、普通株主に比べて同数の株式につき10倍の議決権を有することとなります。なお、当連結会計年度末時点における当社の普通株式の発行済株式の数は137,445,809株、B種類株式の発行済株式の数は77,700,000株であり、山海嘉之は、普通株式及びB種類株式の発行済株式総数の約38%にあたる普通株式3,042,000株及びB種類株式77,696,000株を有し、その有する議決権の数は、当社の総株主の議決権の数の約85%を有するため、取締役の選任及び組織再編を含む株主総会の決議事項を自らの議決権行使により可決させることができます。
(ⅲ)B種類株主の変更を抑制するための仕組み
B種類株式は、当社グループの先進技術の平和的な目的での利用を確保するために発行されたものです。そこで、B種類株式が本書提出日におけるB種類株主又は当社以外の者に譲渡されることを防止するため、定款上、①B種類株主以外の者がB種類株式を譲渡により取得するには、取締役会の承認を要する旨、及び、②B種類株主以外の者によるB種類株式の取得について譲渡承認請求(会社法第136条又は第137条に定める承認の請求をいいます。)がなされた場合及びB種類株主が死亡した日から90日が経過した場合(ただし、他のB種類株主に相続又は遺贈されたB種類株式及び当該90日以内に他のB種類株主に譲渡されたB種類株式を除く。)には、当該請求がなされたB種類株式又は当該死亡したB種類株主が有していたB種類株式の全部を普通株式に転換(当社がB種類株式を取得し、B種類株式1株と引換えに、B種類株主に対して、普通株式1株を交付することをいいます。以下同じです。)する旨が定められています。
本書提出日における当社のB種類株主は、山海嘉之及び本財団法人であり、それぞれが有するB種類株式は、山海嘉之が77,696,000株、本財団法人が4,000株です。山海嘉之は、本スキームの継続性を確保するため、その時点で有するB種類株式の一部を本財団法人へ無償で譲渡することを予定しています。また、本財団法人は、B種類株式を継続して保有する予定であるとのことです。
なお、B種類株主である本財団法人は、当社グループの先進技術の平和的な目的での利用を確保し、当社グループの企業価値が毀損されることを防止するため、いずれも以下の内容の議決権行使ガイドラインを定めています。
財団法人は、その所有する当社が発行するB種類株式について、株主総会及び種類株主総会において議決権を行使するにあたり、次の各号に規定する決議事項について、それぞれ当該各号に規定する場合には、反対の議決権を行使するものとする。なお、財団法人は、議決権行使ガイドラインの内容を変更する場合には、理事会の決議による承認を得るものとし、財団法人が定める方法により変更内容を公表する。
a.取締役の選解任に係る決議については、当該取締役の選解任によって、当社グループにおける先進技術の平和的利用が妨げられ、又は当社グループの企業価値が毀損される形での経営が行われると判断される場合
b.その他の決議については、当該決議が可決されると、当社グループにおける先進技術の平和的利用が妨げられ、又は当社グループの企業価値が毀損されると判断される場合
(ⅳ)ブレークスルー条項
当社は、極めて小さい出資割合で会社を支配するような状況が生じた場合には本スキームの解消が可能となるようにするため、当社の発行する株式につき公開買付けが実施された結果、公開買付者の所有する当社の株式の数が当社の発行済株式(自己株式を除きます。)の総数に対して占める割合が4分の3以上となった場合には、B種類株式の全部を普通株式に転換する旨のブレークスルー条項(注)を定款に定めています。
(注)「ブレークスルー条項」とは、発行済株式総数のうち一定割合の株式を取得した者が現れた場合にスキームを解消させる条項をいいます。
(ⅴ)サンセット条項
B種類株式は、上記(ⅲ)のとおり、山海嘉之は、本スキームの継続性を確保するため、その時点で有するB種類株式の一部を本財団法人へ無償で譲渡し、本財団法人はB種類株式を継続して保有する予定であり、本スキームは、当社グループの先端的なロボット技術の開発を行った山海嘉之が当社の取締役を退任し、又は死亡した後も継続することが予定されています。しかし、山海嘉之が取締役を退任した後も本財団法人がB種類株主として当社議決権を行使することが、普通株主を含む当社株主の意思と合致しない可能性があるため、山海嘉之が取締役を退任(但し、重任その他退任と同時若しくは直後に選任される場合を除く。)した場合は、当該退任の日(当該退任と同日を含む。)から1年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までに、また直前の株主意思確認手続の日の後5年以内に終了する事業年度のうち最終のものの終了後3か月以内に普通株式及びB種類株主全体の意思を確認するための株主意思確認手続を実施することとしています。具体的には、B種類株式の単元株式数を100株とみなして計算される普通株主及びB種類株主の議決権の3分の1以上を有する株主の意思が確認でき、意思を確認した当該株主の議決権の3分の2以上に当たる多数が賛成した場合には、B種類株式の全部を普通株式に転換する旨のサンセット条項(注)を定款に定めています。
(注)「サンセット条項」とは、議決権種類株式導入の目的が終了した場合又はこれらの事由が生じたとみなすことのできる場合に、スキームを解消させる条項をいいます。
(ⅵ)普通株主を構成員とする種類株主総会の排除
当社は、会社法第322条第1項各号に掲げる行為をする場合には、法令又は定款に別段の定めがある場合を除き、普通株主を構成員とする種類株主総会の決議を要しない旨を定款に定めています。
但し、種類株主総会を排除しても普通株主が不当に害されないようにするため、会社法第322条第1項各号に掲げる行為のうち、①株式の併合、株式の分割、株式無償割当て、新株予約権無償割当て、株式及び新株予約権の株主割当、株式移転(他の株式会社と共同して株式移転をする場合を除きます。)並びに単元株式数の変更については、同時に同一の割合で(株式移転については同一の割合で)行う旨を定款に定めており、また、②当社が消滅会社となる合併、完全子会社となる株式交換又は株式移転(他の株式会社と共同して株式移転をする場合に限ります。)にかかる議案が全ての当事会社の株主総会(株主総会の決議を要しない場合は取締役会)で承認された場合には、B種類株式の全部を普通株式に転換する旨の取得条項を定款に定めています。
(2) 本スキームのリスク
B種類株式は、当社グループの先進技術の平和的な目的での利用を確保するために発行されたものですが、本スキーム導入により想定されるリスクには、以下のものが含まれます。これらのリスクが顕在化した場合、当社の普通株式を保有する株主の権利や利益に影響を及ぼす可能性があります。
① B種類株主の議決権行使による強い影響力に関するリスク
当連結会計年度末において、山海嘉之は、普通株式及びB種類株式の発行済株式総数の約38%にあたる普通株式3,042,000株及びB種類株式77,696,000株を有し、その有する議決権の数は、当社の総株主の議決権の数の約85%を有することとなり、当社の事業運営に強い影響力を有することとなります。これにより、普通株主による議決権行使による当社に対する影響力は限定的となります。また、B種類株主の議決権行使は、特に当社グループの先進技術の平和的な目的での利用を確保するために行使される場合、普通株主の利益と相反する可能性があります。
② 当社株式の買付けを妨げるリスク
本スキームの導入により、B種類株主は、普通株主に比べて同数の株式につき10倍の議決権を有することとなり、より少ない数のB種類株式でより多くの議決権を有することが可能です。当社定款にはブレークスルー条項及びサンセット条項が定められていますが、ブレークスルー条項及びサンセット条項によりB種類株式の全部が普通株式に転換するのは、それぞれ、公開買付者が普通株式及びB種類株式の発行済株式総数の4分の3以上を所有することとなった場合及び株主意思確認手続(上記(1)(ⅴ)に記載)において3分の2以上の多数の株主が普通株式への転換に賛成した場合に限られます。よって、本スキームは、普通株主にとって利益となるような当社株式の買付けを妨げる可能性があります。
③ 普通株式を構成員とする種類株主総会の排除に関するリスク
当社は、会社法第322条第1項各号に掲げる行為をする場合(法令又は定款に別段の定めがある場合を除きます。)であっても、普通株主を構成員とする種類株主総会の決議を要せず当該行為を行うことができるため、普通株主の意思が当社の意思決定に反映されない可能性があります。
④ B種類株式の転換に関するリスク
B種類株式には普通株式を対価とする取得請求権及び取得条項が付されているため、今後、B種類株式が普通株式に転換することにより、上場している普通株式の発行済株式の数が増加し、普通株式の市場価格に影響を与える可能性があります。
5.その他のリスク
(1) 配当政策について
当社グループは、早期の営業黒字化を目指し、内部留保による財務体質の強化及び研究開発活動への再投資を優先する方針です。一方で、株主への利益還元についても重要な経営課題として捉え、財政状態及び経営成績を勘案しつつ配当の実施を検討してまいります。しかしながら、利益計画が想定通りに進捗せず、今後も安定的に利益を計上できない状態が続いた場合には、配当による株主還元が困難となる可能性があります。
(2) 資金繰り及び資金調達等に関するリスク
当社グループでは、研究開発活動の進捗に伴い多額の研究開発費が先行して計上され、継続的な営業損失が生じています。今後も事業の進捗に伴って運転資金、研究開発投資、設備投資及びM&A等の資金需要の増加が予想されます。今後も継続的に財務基盤の強化を図ってまいりますが、収益確保又は資金調達の状況によっては、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) マイナスの利益剰余金を計上していることについて
当社グループは、これまで研究開発活動を重点的に推進してきたことから、多額の研究開発費用が先行して計上され、当社個別決算上マイナスの利益剰余金を計上しています。当社グループは、早期の黒字化を目指しており、その後も安定的な利益計上による強固な財務基盤の確立を目指していますが、当社グループの事業が計画通り進展せず、マイナスの利益剰余金が計画通りに解消できない可能性があり、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 税務上の繰越欠損金について
当社グループは研究開発型企業として先行的に開発投資を行ってきたため、本書提出日現在において、税務上の繰越欠損金を有しています。今後の税制改正により欠損金の繰越控除制度が見直され、欠損金の繰越控除制限が強化された場合、研究開発に投下した資本の一部を回収する機会を喪失する等、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 為替相場の変動について
当社グループの連結決算においては、海外グループ会社決算を現地通貨から邦貨換算して当社の連結財務諸表に反映するため、為替変動による影響を受けるリスクがあります。従いまして、今後、大幅な為替変動が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、経営成績等)の概要及び経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものです。
(1)重要性がある会計方針及び見積り
当社の連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号)第312条の規定により、国際会計基準(以下、「IFRS」)に準拠して作成しています。この連結財務諸表の作成にあたって、採用している重要な会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針」及び「4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載のとおりです。
(2)経営成績の分析
(%表示は対前期増減率)
|
|
売上収益 |
営業利益 |
税引前利益 |
親会社の所有者に 帰属する当期利益 |
||||
|
|
百万円 |
% |
百万円 |
% |
百万円 |
% |
百万円 |
% |
|
2025年3月期 |
4,384 |
0.7 |
△926 |
- |
△879 |
- |
△577 |
- |
|
2024年3月期 |
4,354 |
32.4 |
△2,018 |
- |
△1,141 |
- |
△1,476 |
- |
当社グループは、社会が直面する様々な課題を解決するため、「人」+「サイバー・フィジカル空間」(HCPS:Human-Cyber-Physical Space)を融合する「サイバニクス(人・AIロボット・情報系の融合複合)技術」を駆使して、「テクノピアサポート社会」の実現、ロボット産業・IT産業につづく新産業「サイバニクス産業」の創出による未来開拓を推進しています。
当社が目指す「テクノピアサポート社会」とは、人とテクノロジーが共生・協調し相互に支援し合うことにより、世代を超えた人々の自立度・自由度を高め、生活・心身等の諸問題を解決できる安心安全な社会です。当社グループは、人間の機能改善・再生・拡張・支援が可能なサイバニクス技術の社会実装を事業として推進することにより、「テクノピアサポート社会」の実現と「サイバニクス産業」の創出を進めています。
事業推進の状況
《医療:サイバニクス治療》
当社グループは、世界初の装着型サイボーグHAL®を利用した脳・神経・筋系の機能改善・機能再生を促進するサイバニクス治療を、グローバルな標準治療として普及させる取り組みを進めています。
(日本)
医療用HAL®「下肢タイプ」(両脚モデル)については、有効な治療法が確立されていない緩徐進行性の神経筋難病疾患を対象として、サイバニクス治療の普及に取り組んでいます。使用成績調査で極めて高い有効性と安全性を示す結果が得られたことを踏まえ、「他に有効な治療方法が確立していない緩徐進行性の神経・筋難病疾患の患者に対して、既承認薬も含め前例のない顕著な機能改善効果が確認された」(日本神経治療学会提案の医療技術評価提案書より抜粋) として令和4年度診療報酬改定以降、診療報酬点数が増点されています。
脊髄疾患に関しては、ウィルス性のHTLV-1関連脊髄症(HAM)および遺伝性の痙性対麻痺の2疾患について、2022年10月に適応拡大の承認を取得し、2023年10月から保険適用されています。また、外傷性の脊髄疾患である脊髄損傷については、当局と適応拡大の承認申請について協議しています。
脳卒中に関しては、医療用HAL®「下肢タイプ」(単脚モデル)の医師主導治験(HIT2016試験)の結果を踏まえて、最新の患者像や臨床ニーズを捉えた追加試験(治験)の実施について準備を進めています。
医療用HAL®下肢タイプの小型モデルは、2025年1月に既承認の対象疾患に対する医療機器として承認を取得しました。小型モデルの承認取得により、従来モデル(目安身長150cm以上を対象)の使用が困難であった目安身長100cm~150cmの患者に対してもサイバニクス治療が可能となりました。米国、欧州と合わせた主要3拠点において小型モデルが医療機器として承認・認証されたことを受け、今後、世界各国における小型モデルの医療機器化を推進し、事業を展開してまいります。
HAL®「腰タイプ」については、パイロットスタディにおいて、パーキンソン病患者の運動機能改善に良好な結果が得られたことから、医療機器承認取得に向けた治験実施の準備を進めています。
(米国)
個人向けの医療サービス事業として、子会社のRISEヘルスケアグループ(RHG)社はカリフォルニア州南部を中心に事業を展開しています。当社のHAL®によるサイバニクス治療は現在4拠点で展開しています。
2024年5月には、米国食品医薬品局(FDA)より、世界に先駆けて医療用HAL®の小型モデルの市販承認と脳性麻痺(対象年齢は12歳以上)への適応拡大の承認を取得しました。また、日本で承認済みのHTLV−1関連脊髄症(HAM)、遺伝性痙性対麻痺への適応疾患の拡大についても併せて承認を取得しました。
米国でのサイバニクス治療の実績蓄積と、医療用HAL®の小型モデルの承認及び対象疾患の拡大を踏まえ、個人向けの医療サービス事業と医療用HAL®の製品レンタル事業の両輪で今後の事業を展開してまいります。
(EMEA:欧州や中東)
主要各国でのサイバニクス治療の普及が進んでおり、イタリアでは、医療介護サービスを専門とする大手社会協同組合Coopselios社に対して、2024年7月までにHAL®シリーズ35台の導入が完了し、今後更に増台を計画しています。2024年10月には、サイバニクス分野の国際的な連携強化を目的としたイベント「Cybernicx Future」がトルコ・イスタンブールにて開催されました。トルコでは、医療ツーリズムの発展とともに、サイバニクス技術に対する関心が急速に高まっており、現在同国内4施設で40台のHAL®が稼働しています。また2024年11月には、独立行政法人国際協力機構(JICA)が実施するウクライナ緊急復旧・復興プロジェクト向けにHAL®シリーズ等のサイバニクス製品を受注しました。ウクライナの首都キーウの医療施設への導入に向けた納品が2025年3月に完了しており、戦禍により障害を負った方などの治療に役立てられることが期待されます。
ドイツにおいては、公的医療保険の当局であるG-BA(ドイツ連邦共同委員会)が、脊髄損傷に対する公的医療保険適用を前提とした臨床試験の実施を決定しており、治験協力機関の選定が完了し、現在、治験実施施設の選定等の準備が進行しています。
2024年12月には、医療用HAL®の小型モデルが欧州新医療機器規則(MDR)に適合した医療機器認証を取得しており、欧州においても小型モデルを含めたサイバニクス治療の展開を推進してまいります。
(APAC:アジア太平洋)
当社グループのマレーシア法人CYBERDYNE MALAYSIA社を拠点として、東南アジア及びインド・オーストラリア・台湾においてサイバニクス治療の普及を進めています。
マレーシアにおいては、政府系の従業員社会保障機構(PERKESO)との事業連携が更に強化され、PERKESOの被保険者に対してHAL®によるサイバニクス治療が普及しています。2024年5月にはマレーシア人的資源省大臣をはじめとするマレーシア政府関係者と、サイバニクス技術のマレーシア展開に向けたトップレベル会談を当社本社にて開催し、大臣より、東南アジア最大級の医療複合施設である「国立神経ロボット・サイバニクス・リハビリテーションセンター」に、HAL®50セット(65台)をはじめとするサイバニクス製品の大型導入の意向が表明されました。2024年12月に、当社はPERKESOと、最大5年間、USD 約4.6Million(約7億円 *150円/ドル換算)の導入契約を締結し、順次導入を進めています。
台湾展開に向けては、2025年3月、台湾バイオテクノロジー開発センター(Development Center for Biotechnology)、天主教輔仁大学、天主教輔仁大学附属病院、筑波大学サイバニクス研究センターとの間で戦略的パートナーシップを締結し、日台におけるサイバニクス医療健康イノベーションを推進してまいります。
《介護・自立支援》
当社グループは、主に高齢者の自立度の改善や重度化防止及び加齢により身体機能が低下するフレイル予防や自立維持に向けて、歩行運動に対応した「下肢タイプ」、肘・膝・足首の関節運動に対応した「単関節タイプ」、体幹運動に対応した「腰タイプ」など様々な種類のHAL®自立支援用を展開しています。
(施設型サービスの展開)
HAL®を使用した脳・神経・筋系の機能改善を促すプログラム「Neuro HALFIT®」を提供するロボケア事業は、個人向けの医療ヘルスケアサービス事業のハブ拠点として、当社グループ並びに各地域の事業パートナーとの協働により全国18箇所で展開しており、今後、更なる拠点拡大を計画しています。
(個人向け在宅サービス)
「自宅でNeuro HALFIT®」は、個人のお客様にHAL®をレンタルし、自宅で「Neuro HALFIT®」に取り組んでいただく在宅型プログラムです。サイバーダインのクラウドとデータ連動し、身体動作を指令する生体電位信号や姿勢情報等を可視化するHALモニターによって、装着者自身が視覚的にもフィードバックを得ることができます。セラピストやトレーナーなどの専門スタッフによるオンラインサポートを提供する他、訪問型のサービス事業者とも連携して、自宅での機器のセットアップからプログラム実施までの対面サポートも推進しています。
《予防・早期発見》
当社は、一人ひとりに最適化された健康管理や疾病の予防・診断・治療プログラムを提供するため、日常的にメディカル・ヘルスケアデータを収集・解析・AI処理する「Cyvis®(サイビス)」シリーズの開発および製品化を進めています。本シリーズを構成する「小型ホルター心電計 医療用バイタルセンサ Cyvis® M100」は、2024年11月に医療機器認証を取得しました。Cyvis®は心活動データに加えて体表面温度や加速度等も計測が可能であり、医療機関だけでなく、福祉施設入居者、労働者等に対する運用検証も進めています。今後、SpO2等、計測項目の段階的な拡充を予定しています。また、その他のメディカル・ヘルスケアデータを収集可能な新たなデバイスの開発と製品化を推進しています。
《生活・職場分野》
(介護支援用途)
2021年以降の英国ハンプシャー州における介護施設等での「HAL®腰タイプ介護・自立支援用」の運用をモデルケースとして、英国の他のエリアや欧州各国への展開を進めています。
(作業支援、除菌・清掃用途)
世界最高水準のSLAM技術による高速自律走行を実現した次世代型清掃ロボット「CL02」は、エレベーター自動昇降やクラウド連携等によるビルのスマート化と管理コスト削減を実現すべく、ゼネコン等と協力してオフィスビルを中心に導入を進めています。また、モビリティ用途を拡張して、工場内での搬送ロボットとしても稼働しています。
研究・製品開発の状況
造影剤不要・非侵襲で末梢の血管や血液の高解像度3Dイメージングをリアルタイムに実現するLED光源方式(当社保有特許)の光音響イメージング装置「Acoustic X」は、次世代の医療用画像診断装置としての医療機器化を進めています。また、海外の著名な医療機関や研究施設においても、様々な適用に向けて研究が進められています。
また、当社は、2023年度より内閣府「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第3期/人協調型ロボティクスの拡大に向けた基盤技術・ルールの整備」において、テーマ6「超高齢社会における世代を超えた人々が直面する社会課題の解決に向けたHCPS融合人協調ロボティクスの社会実装技術開発」に採択されており、1)住宅、施設、職場等様々な生活空間への適用、2)人情報(生理・身体・行動認知・ 心理等)と統合されたHCPS融合マスター・リモート制御技術(サイバニック化マスター・リモート技術)の活用、3) HCPS融合人協調ロボティクスを通じた人情報の非侵襲での取得・活用、4)高齢者や交通弱者の自立度・自由度を向上させる当課題の他の関連技術との連動等、社会実装へ向けた取り組みを継続して進めています。
川崎市の殿町国際戦略拠点(キングスカイフロント)においては、HAL®と再生医療や薬剤との複合によるサイバニクス治療の体系化や、医療・バイオ系技術とAI・ロボット・情報系の融合技術などの展開を推進するサイバニクス・メディカル・イノベーションベースA棟が稼働しており、今後の事業シナジーを想定したライフサイエンス企業の入居や、再生医療・創薬のC-Startupパートナー等との連携を進めています。
川崎市の殿町国際戦略拠点(キングスカイフロント)においては、HAL®と再生医療や薬剤との複合によるサイバニクス治療の体系化や、医療・バイオ系技術とAI・ロボット・情報系の融合技術などの展開を推進するサイバニクス・メディカル・イノベーションベースA棟が竣工し、今後の事業シナジーを想定したライフサイエンス企業の入居や、再生医療・創薬のC-Startupパートナー等との連携を進めています。
製品稼働状況について
医療用HAL®下肢タイプは、主にAPAC向けレンタルの増加により、2025年3月末時点で臨床試験用も含め国内外あわせて527台(内、国内レンタル契約103台)が稼働中です。HAL®単関節タイプは、医療用の増加により、 2025年3月末時点で697台が稼働中です。HAL®福祉用等の下肢タイプは、2025年3月末時点の稼働台数は367台となっています。また、HAL®腰タイプ介護・自立支援用は、2025年3月末時点で1,098台が稼働中です。HAL®腰タイプ作業支援用は、2025年3月末時点の稼働台数は422台となっています。また、清掃ロボット及び搬送ロボットは、2025年3月末時点において178台が稼働中です。
以上の結果、当連結会計年度の経営成績は、売上収益は、国内及び海外の製品レンタル等並びに治療サービス等の増加により4,384百万円(前年同期比0.7%増加)を計上しました。売上総利益は2,373百万円(同0.8%減少)となりました。
研究開発費は前年度に引き続き新製品の自社開発及び受託研究事業の実施により1,065百万円(同21.4%増加)を計上、その他の販売費及び一般管理費は広告宣伝費及び消耗品の購入の削減などにより2,804百万円(同13.8%減少)を計上しました。
その他の収益は、受託研究事業収入などにより765百万円(同80.4%増加)を計上、その他の費用は海外子会社であるLeyLine社に係るのれんの減損損失等の計上などにより195百万円(同72.4%減少)を計上した結果、営業損失は926百万円(前年同期は営業損失2,018百万円)を計上しました。
また、金融収益は投資有価証券評価益などにより539百万円、CEJファンドに係る損益△172百万円、法人所得税費用は繰延税金費用などにより174百万円等を計上した結果、親会社の所有者に帰属する当期損失は577百万円(前年同期は親会社の所有者に帰属する当期損失1,476百万円)を計上しています。
なお、当社は独自技術を持ったスタートアップ企業との業務提携や資本提携を行なっており、当該非上場株式についてIFRS第9号「金融商品」に基づき公正価値を算定しています。当連結会計年度において、公正価値を算定した結果、投資有価証券評価益507百万円を「金融収益」及び「CEJファンドに係る損益」に、投資有価証券評価損998百万円を「金融費用」及び「CEJファンドに係る損益」に含めて計上しました。また、当該評価に関する繰延税金費用95百万円を「法人所得税費用」として計上、CEJファンドの外部投資家持分への振替額453百万円を計上した結果、「当期利益」に与える影響額は△132百万円となります。
(3)財政状態の分析
① 資産
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末比1,452百万円減少し、48,547百万円となりました。これは主として、現金及び現金同等物が1,669百万円、その他の金融資産(非流動)が519百万円、営業債権及びその他の債権が126百万円増加したものの、その他の金融資産(流動)が3,471百万円、のれんが368百万円、使用権資産が120百万円減少したことによるものです。
② 負債
当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末比569百万円減少し、8,954百万円となりました。これは主として、繰延税金負債が162百万円増加したものの、CEJファンドにおける外部投資家持分が568百万円、リース負債(非流動)114百万円減少したことによるものです。
③ 資本
当連結会計年度末における資本は、前連結会計年度末比883百万円減少し、39,593百万円となりました。これは主として、利益剰余金が706百万円減少したことによるものです。
(4)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ1,669百万円増加し6,824百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、430百万円の資金流出(前連結会計年度は850百万円の資金流出)となりました。これは主に、減価償却費及び償却費592百万円、金融費用303百万円を計上したものの、税引前損失879百万円、金融収益539百万円、営業債権及びその他の債権の増加額126百万円を計上したことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、2,325百万円の資金流入(前連結会計年度は2,075百万円の資金流出)となりました。これは主に、投資の取得による支出19,484百万円、投資有価証券の取得による支出915百万円を計上したものの、投資の償還による収入23,000百万円、投資有価証券の売却による収入264百万円を計上したもののことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、216百万円の資金流出(前連結会計年度は160百万円の資金流入)となりました。これは主に、リース負債の返済による支出161百万円を計上したことによるものです。
(5)生産、受注及び販売の状況
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績は、次のとおりです。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
|
|
生産高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
|
ロボット関連事業 |
321 |
128.6 |
|
合計 |
321 |
128.6 |
(注)1.単一セグメントであるため、セグメント別の生産実績は記載していません。
2.金額は、製造原価及び自社製作資産により表示しています。
② 受注実績
当連結会計年度における受注実績は、次のとおりです。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
|||
|
受注高 (百万円) |
前年同期比 (%) |
受注残高 (百万円) |
前年同期比 (%) |
|
|
ロボット関連事業 |
5,477 |
136.0 |
723 |
240.6 |
|
合計 |
5,477 |
136.0 |
723 |
240.6 |
(注)1.単一セグメントであるため、セグメント別の受注実績は記載していません。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績は、次のとおりです。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
|
|
販売高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
|
ロボット関連事業 |
4,384 |
100.7 |
|
合計 |
4,384 |
100.7 |
(注)1.単一セグメントであるため、セグメント別の販売実績は記載していません。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
||
|
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
|
Pertubuhan Kaselamatan Social |
308 |
7.1 |
475 |
10.8 |
|
Petroliam Nasional Berhad |
440 |
10.1 |
336 |
7.7 |
(6)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 経営成績に重要な影響を与える要因について
本書「第一部 企業情報 第2 事業の状況 3.事業等のリスク」に記載のとおりです。
② 資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、現在、運転資金及び開発投資等の資金需要に対しましては、自己資金を充当することを基本としています。当連結会計年度末時点において、事業活動の維持に必要な手元資金を保有しており、充分な流動性を確保していると考えています。
③ 経営者の問題意識と今後の方針について
当社の経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案し、社会貢献を前提として企業価値を最大限に高めるべく努めています。具体的には本書「第一部 企業情報 第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりです。
④ 経営上の重要な非財務指標
当社グループでは、経営上の重要な非財務指標として、HAL®等の稼働台数を活用しています。
当社グループの主たる収益源は、HAL®等のレンタル・保守に係る売上であり、レンタル・保守契約に係る売上は、レンタル期間にわたり収益が計上され、翌会計年度以降にわたる継続的な収益計上が見込まれるため、当社グループは、現在の業績や将来の見通しを把握することを目的として、HAL®等の稼働台数を取締役会へ報告しています。
(単位:台)
|
稼働台数 |
2021年3月末 |
|
2022年3月末 |
|
2023年3月末 |
|
2024年3月末 |
|
2025年3月末 |
|
HAL®医療用 (下肢タイプ) |
351 |
|
368 |
|
442 |
|
474 |
|
527 |
|
HAL®福祉用等 (下肢タイプ) |
342 |
|
341 |
|
351 |
|
364 |
|
367 |
|
HAL®単関節タイプ |
391 |
|
492 |
|
584 |
|
620 |
|
697 |
|
HAL®腰タイプ 自立支援用及び 介護支援用 |
1,074 |
|
1,143 |
|
1,138 |
|
1,016 |
|
1,098 |
|
HAL®腰タイプ 作業支援用 |
459 |
|
417 |
|
419 |
|
394 |
|
422 |
|
清掃ロボット及び 搬送ロボット |
141 |
|
147 |
|
164 |
|
172 |
|
178 |
|
合計 |
2,758 |
|
2,908 |
|
3,098 |
|
3,040 |
|
3,289 |
(1)特許等の独占的実施許諾に関する契約
|
相手先の名称 |
相手先の所在地 |
契約 締結日 |
契約期間 |
契約内容 |
|
国立大学法人 筑波大学 |
茨城県つくば市 |
2012年 3月14日 |
契約締結日から許諾特許の最終特許期間満了日まで |
ロボットスーツの製品に関する許諾特許及び本技術を実施する独占的実施権 |
(注)1.特許経費として許諾特許維持のために必要な経費を負担することになっています。
2.実施料として正味販売価格の1%に相当する金額又は保証額を支払うことになっています。
(2)共同研究契約
|
相手先の名称 |
相手先の所在地 |
契約 締結日 |
契約期間 |
契約内容 |
|
国立大学法人 筑波大学 |
茨城県つくば市 |
2011年 4月1日 |
2011年4月1日から 2026年3月31日まで |
ロボットスーツを始めとするサイバニクス分野に属する技術の実用化、高機能化に関する研究開発 |
当社グループは、単一セグメントであるため、セグメント別の研究開発活動を記載していません。
当社グループは研究開発型のテクノロジー企業として、設立以来、サイバニクス技術を用いて人や社会の役に立つ製品・サービスを研究・開発しており、当連結会計年度の研究開発費の総額は
研究開発に関しては、社会が直面する少子・超高齢化に伴う様々な課題に対処できる技術開発として、サイバニクス技術を駆使して、(1)次世代サイバニクス技術、(2)ロボット医療技術、(3)生活支援ロボット技術までを広く包括できる人支援技術を研究開発しています。基礎研究レベルから社会実装に至るまでの人とロボットと情報系が融合複合したトータルシステムの研究開発に注力しています。