第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1) 経営方針

当社グループは、「AIを用いた社会課題解決を通じて、幸せな社会を実現する」をミッションに掲げ、高いAI技術力・ビジネス適用力を活かしその課題を解決することを目指しております。

創業来、当社グループはAIプラットフォーム事業を基盤とし、これまで様々な顧客企業との協働・提携を通じて、産業・社会課題の発見とその革新を実現してきました。そして、それらを汎用的なサービス・プロダクトへ昇華するAIプロダクト事業を発展させることで、より広範な社会課題の解決に向け取り組んでいます。この2つの事業の両輪を回していくことが、当社グループのビジネスモデル「AIぐるぐるモデル」の核心であり、これを経営方針の中心に据えて事業を展開しています。

 


 

(2) 経営環境及び事業対象市場

2000年以降のインターネットの普及によるビッグデータの蓄積と、2012年頃から本格化した深層学習技術に代表されるアルゴリズムの発展、そして2022年からの大規模言語モデル(LLM)をはじめとした生成AIの目覚ましい技術革新により、AIサービスは着実に幅広い産業で利用され、新規サービスとして実装段階に至るまで発展を遂げてまいりました。

特に当社が注力してプロダクト・サービス提供を行っている生成AIの市場は、国内市場だけで2030年には1兆7,774億円、グローバルでは2,110億ドルに達するとの試算もあり、今後の大きな拡大が見込める市場として勃興してきました。

 2025年は「AIエージェント元年」と呼ばれ、足許のLLMの進化により生成AIやAIエージェントの業務への利活用に向けた開発が加速しており、今後もAI需要が高まっていくことを見込んでおります。また、各企業においても生成AIやAIエージェントへの有用性の実感が高まり、業務効率化や競争力強化のための投資意欲も向上しており、当社としましても良好な事業環境が継続している状況となっております。

 

 

(3) 経営戦略等

当社グループでは、上記の経営環境への認識をふまえ、当社が創業以来続けてきた、個々のお客様の課題を汎用的な課題に昇華させ、より多くのお客様の課題を解決するサービスを創り出す「AIぐるぐるモデル」がさらに発展を遂げました。AIエージェントと連携するAIプロダクトの創出を加速させることが可能となり、顧客の業務自体を代行可能なAIエージェントを提供する「業務代行型AIエージェントサービスカンパニー」へと進化しています。

 

今後当社としましては、企業がAIや生成AIを業務の中で当たり前に利活用していく中で、企業自らが生産性をあげていく世界を実現していくことを目指し、以下4つを中長期的な戦略方針として掲げてまいります。

 

①exaBase 生成AIでAIエージェントを駆動・管理できる仕組みの構築

exaBase 生成AIをexaBase Studioと連動させ、AIエージェントを動かす司令塔としていく

 

②AIプロダクト群のAIエージェント化

当社の各種AIプロダクトにおけるAIエージェント対応に向けた開発強化

exaBase Studioを活用し、誰もが容易にAIエージェントを作成できる世界を実現

 

③exaBase Studioとのデータ連携におけるセキュリティ強化

最新のLLMsや内製化したAIエージェントを最大限使いこなすための強固なセキュリティを構築

 

④戦略的パートナーシップの構築

事業成長をスピーディにしていくために業務提携・JV組成を今後も積極的に実施

 

 (4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、より高い成長性及び収益性を確保する観点から、連結売上高は最低20%成長を維持及び連結営業利益の継続的な黒字を重要な経営指標と捉えています。

 

 

(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① 更なる新規プロダクトの創出と拡大

当社グループの戦略は、AIプラットフォーム事業により顧客企業へのAI導入を通じて蓄積した知見をもとに、より広範に提供可能なAIプロダクトを開発・提供していくことにあります。今後も継続的に新たなAIプロダクトを創出し、より多くの顧客へ提供していくことが必要と考えています。

 

② 内部管理体制の強化

当社グループは一層の事業拡大を見込む成長段階にあり、事業の拡大・成長に応じた内部管理体制の強化が重要な課題であると認識しています。経営の公正性・透明性を確保すべく、コーポレート・ガバナンスを強化し、適切な内部統制システムの構築を図ってまいります。

 

③ 情報管理体制の強化

当社グループはサービス提供やシステム運用の遂行過程において、機密情報や個人情報を取り扱う可能性があり、その情報管理を強化していくことが重要であると考えています。現在、情報管理規程等に基づき管理を徹底していますが、今後も社内教育・研修実施やシステム整備などを継続して行ってまいります。

 

④ グループ経営体制の確立

当社グループは近年の事業成長及び事業領域の拡大とともに、事業子会社の設立、協業先との合弁会社の設立、競争力強化を目的とした企業買収等を行ってきたことでグループ会社数が増加しています。当社グループはこれに対応して、グループガバナンスの強化と経営資源配置の最適化を実現するグループ経営方針の設定及びその持続的な遂行を担保する体制の確立を進めてまいります。

 

⑤ サステナビリティへの取組み

当社グループは、事業を通じた社会課題解決のためには、社内外のステークホルダーの期待に応え成長を継続していくこと、またそのための環境を構築することが不可欠であると考えています。このためステークホルダーの観点と、当社グループの持続的な成長基盤への重要性の観点から事業環境下の諸課題を検討し、そこから当社グループとステークホルダーの両者にとって特に重要と考えられる課題を特定し、以下の5つを当社のマテリアリティとして定義しました。

1.多様な人材の活躍

2.幅広い産業分野への事業展開

3.技術的優位性の確保と向上

4.強固なセキュリティによる安全なサービスの提供

5.ガバナンス・リスク管理体制

当社グループはこれらのマテリアリティに基づく企業活動を通じ、サステナビリティの推進と持続的な企業価値の向上に取り組んでまいります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

当社グループは「AIを用いた社会課題解決を通じて、幸せな社会を実現する」をミッションとし、当社のすべての活動の基本としております。

また、当該ミッション及び中長期的な成長持続の実現のために、サステナビリティに関わるリスク及び機会の把握に努め、損失の低減と同時に社会課題解決につながるビジネスモデルの創出を図っていくことが重要であると認識しております。

そこで、広範なサステナビリティに関する課題のうち、当社グループにとって特に重要となるマテリアリティ及びその解決のために当社グループが取り組むべき課題を以下のとおり特定したうえで、サステナビリティ推進体制を構築し、サステナビリティに関する取組みを実施しております。

 


 

(1) サステナビリティ推進のための体制及び具体的な取組状況

① ガバナンス

<取締役会>

取締役会は、サステナビリティ重要課題であるマテリアリティの特定を行い、サステナビリティに関するリスク及び機会について監視し、管理するための統制及び枠組みを定めたサステナビリティ基本方針の決定を行います。マテリアリティ及びその解決のために当社が取り組むべき課題の特定は、以下のプロセスを経て行っております。

(ⅰ)事業環境下の諸課題を各種国際規格や主要なESG評価項目などを参考に検討、抽出

(ⅱ)ステークホルダー視点での重要性及び当社が社会や環境に与えうるインパクト、それらの当社にとっての重要性の二つの軸で事業活動を整理

(ⅲ)取締役会での議論を経て、マテリアリティを特定する

 

<経営会議>

代表取締役社長を議長とする経営会議が、取締役会が決定したサステナビリティ基本方針に基づき、当社グループ全体におけるサステナビリティに関する活動を統括します。

経営会議の指揮命令のもと、マテリアリティに関するリスク・機会の識別及び管理その他のサステナビリティに関する活動は、マテリアリティに関連する各領域を担当するグループ執行役員、部門執行役員及び技術専門役員を中心に、または必要に応じ各領域に関する委員会を組成して、これを行います。
 また、サステナビリティに関する活動を円滑に進めるため、コーポレート管掌部門に事務局を置きます。事務局は、サステナビリティ活動に関する報告を取締役会へ行うとともに、サステナビリティに関する情報開示を行います。

 

 

なお、取締役会及び経営会議については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要 ② 企業統治の体制の概要及び当該体制を採用する理由」の「a 取締役会」及び「c 経営会議」をご参照ください。

 


 

② リスク管理

当社グループは、グループ全体のリスクマネジメントを統括・推進する主体を当社経営会議としたうえで、特に事業上の重要性の高いリスクマネジメントを所管する組織としてリスク管理委員会を設置し、定常的なリスクマネジメント及び危機発生時の対処のための体制を整備しております。かかるリスク管理体制の詳細については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要」の「② 企業統治の体制の概要及び当該体制を採用する理由」及び「③ 企業統治に関するその他の事項 a 内部統制システムの整備の状況」ご参照ください。

マテリアリティをはじめとするサステナビリティ関連のリスク及び機会の識別、評価及び管理についても、基本的にはかかるリスク管理体制に基づき行われます。また、特にマテリアリティに関するリスク・機会の識別及び管理については、マテリアリティに関連する各領域を担当するグループ執行役員及び技術専門役員が中心となってこれらを行い、経営会議がかかる活動を指揮命令するとともに全体を統括することとしております。

 

③ 戦略並びに、指標及び目標

当社グループでは、前述のガバナンス及びリスク管理に基づき、当社グループにとって特に重要となるマテリアリティ及びその解決のために当社グループが取り組むべき課題を特定した上で、それぞれ以下のとおり取組みを進めております。なお、それぞれのマテリアリティに関する指標・目標について、<多様な人材の活躍>に係る指標・目標を除き、定量的な指標・目標の算定・設定が困難であるため、現時点では具体的な指標・目標を設定しておりませんが、各種取組みの継続又は現状以上の数値達成を目指して活動しております。

 

 

<多様な人材の活躍>

当社は、国籍、年齢、性別等にかかわらず、社会課題解決への強い想いを持ち、高度な能力を有する多様な人材、社名の由来でもある“10の18乗の魔法使い(ウィザード)”が集まり、お互いを高めあう組織を目指しており、このような人事・組織に関する基本的な方針及び考え方を示したCredoとDE&I Statementを制定し、これらに基づく取組みを推進しています。

なお、当該取組みの具体的内容については、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2) 人的資本に関する戦略並びに、指標及び目標」をご参照ください。

 

<幅広い産業分野の事業展開>

当社は、AIプラットフォーム事業において、マルチセクター・マルチモーダルでの事業展開を推し進め、多様な産業・社会課題を発見し、その革新を実現することを目指しております。また、それらを通じて得られた知見をもとに、ユースケース・アルゴリズムを蓄積・改善し、AIを用いたプロダクトの開発・提供を行うことで、より広範な社会課題を解決することを目指しております。

さらに、特定のセクターにおけるプロダクトの開発及び社会実装を強化・推進していくことを目的として、当社の特定の事業の分社化等を実施しております。

なお、当社グループの事業展開の具体的内容については、「第1 企業の概況 3 事業の内容」及び「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。

 

<技術的優位性の確保と向上>

当社は、技術的卓越性の可視化と権利化を通じて競争優位性を高めるべく、様々な事業領域において培ったノウハウを集積し、権利化すべきものについては積極的かつ戦略的に特許出願を行っております。

日本特許については、2025年3月末時点において、累計出願数270件、登録済特許136件を有しており、外国特許についても、国際特許を出願しポートフォリオを強化しつつ、年々保有件数を増加させており、今後も積極的かつ戦略的に特許出願を行っていきます。

 

<強固なセキュリティによる安全なサービスの提供>

当社がAIプラットフォーム事業において顧客に提供するAIモデルの学習対象となる情報の中には、当該顧客の経営戦略上極めて重要かつ機密性が高い情報が含まれる場合があります。また、当社グループが提供するサービスでは、ユーザーの個人情報及びユーザーが保有する第三者の個人情報を取り扱っております。

当社は、そういった重要かつ機密性の高い情報の取り扱いに万全を期し、顧客に安全性の高いサービスを提供することを通じて、顧客企業の発展に寄与し収益機会を維持拡大すべく、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)に関する国際規格の認証を取得しており、当該規格に基づき情報セキュリティ管理策を講じるとともに、当該管理策の有効性を定期的にレビューし、必要に応じて見直しと継続的な改善を行っております。

 

<ガバナンス・リスク管理体制>

当社は、事業の持続可能性を高めるべく、取締役会並びに、監査役及び監査役会といった法定の機関に加え、経営会議やリスク管理委員会を始めとした、目的に応じた様々な機関・組織を設置し、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うための体制を強化しております。

なお、当社グループのガバナンス・リスク管理体制の具体的内容については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要」をご参照ください。

 

 

(2) 人的資本に関する戦略並びに、指標及び目標

① 戦略

<基本的な考え方>

当社は、「AIを用いた社会課題解決を通じて、幸せな社会を実現する」というミッションの達成には、社会課題の解決のためにAI技術によって解くべき課題を発見・設定し、個々の課題から社会一般汎用的な課題を見出し、それを解決するサービス・プロダクトを創り出すことが必要不可欠であると考えています。

そのため、国籍、年齢、性別等にかかわらず、社会課題解決への強い想いを持ち、高度な能力を有する多様な人材、社名の由来でもある“10の18乗の魔法使い(ウィザード)”が集まり、お互いを高めあう組織を目指しています。

当社は、このような人事・組織に関する基本的な方針及び考え方を示したCredoとDE&I Statementを制定し、これらに基づく取組みを推進しています。

 


 

 


 

Credoの各項目は、社会課題に気づき(Cultivate Collective Awareness)、課題に対しチームで挑むことで(Mission-Driven Teamwork)、社会課題解決の過程を自社や従業員自身の成長にもつなげていく(Elevate Your Craft)という、当社の社会課題探索と解決の考え方に対応しています。また、難易度の高い課題に挑み続け、期待を超えた成果を生み出すという、当社及び従業員のありたい姿(Tackle the Biggest-Challenges,Above and Beyond Expectations)を表しています。

 

また当社は、Credoの実践を企業価値につなげるため、多様な人材一人一人が能力を最大化できる環境を作り、組織全体としてのパフォーマンスを向上することを目的としてDE&I Statementを定め、DE&Iを実現するための重要な取組みとして、機会の提供、支援の提供、ベースとなる文化の醸成、オープンな環境の整備の4点を推進しています。

 

 


 


 

 また当社は、2025年度に事業部を大きく再編し、AIプロダクト事業本部、AIプラットフォーム事業本部、AIオペレーションズ事業本部の3つに統合しました。これにより、新規プロダクト開発から営業までを担う体制を構築するとともに、プロダクト間のシナジーを高めています。あわせてDE&I Statementに基づく取組みとして、機会提供、支援制度、文化醸成、オープンな環境整備の4点を特に重視しています。

 

<戦略推進のための取組み>

当社では、採用、育成及びタレントマネジメント並びに、社内のインナーコミュニケーション及びDE&I(Diversity, Equity & Inclusion)の浸透を重点施策として、以下の取組みを行っています。

当社は、これらの取組みを通じて、新たな社会課題領域に挑戦し、それを解決するサービス・プロダクトを連続的に生み出せる組織を作っていきます。

 

・採用

当社グループでは、ミッションへの共感と多様なスキルをもつ人材の確保を優先し、当社グループで従業員数が587名、当社では277名となっています。若手採用にも注力しており、2024年度に新卒社員15名、2025年度に新卒社員27名を迎えました。年次や職種にとらわれずチャレンジできる環境と定期的な社内公募制度を整え、成長機会の提供に尽力しています。

 

・育成及びタレントマネジメント

当社は自社プロダクト「exaBase DXアセスメント&ラーニング」により社員のスキル・マインド・知識を可視化し、それぞれに合ったラーニングコンテンツを提供しています。特に、新卒にはオンボーディング体制の強化を図り、エンジニアは実践的なハッカソンによる開発経験、ビジネスメンバーは自社プロダクト、生成AIの活用方法などを学びます。また、新たに導入した育成カルテや月次研修を通じて、個別の成長状況に合わせたフィードバックを行い、早期戦力化を目指しています。さらに事業部との連携を強化するため、ヒューマンリソースビジネスパートナー(HRBP)職を設定し、組織強化と人材合理配置を推進しています。「業務こそが人材を成長させる」という方針のもと、挑戦的なアサインメントを積極的に実施しています。

 

・インナーコミュニケーション及びDE&Iの浸透

国籍や年齢、性別にかかわらず多様なバックグラウンドのメンバーが活躍できる環境整備を継続しています。特に女性従業員の比率は25.9%(このうち正規雇用は19.9%、パート・有期雇用は61.7%)と、引き続き向上余地を認識しつつも改善傾向にあります。外国籍エンジニア比率は大きな変化はないものの、組織内の多様性維持を注力方針としています。2024年度から本格的に始動したDE&Iコミュニティでは、71.4%という「男性の育児休業取得率向上」をはじめ、「育児休業からの復職・両立支援」や「LGBTQへの理解促進」といったテーマでボトムアップ型の活動を加速させています。社内コミュニケーションは日英両言語化を継続し、マネジメント向け研修の多言語対応も進めています。

 

② 指標及び目標

当社では、これらの活動の成果を以下の指標によって測定、評価しています。

 

<社会課題解決に強い想いを持つ人材の採用、活躍>

当社では四半期ごとに実施する従業員エンゲージメント調査を継続し、コンディションサーベイを見直してeNPSとワークエンゲージメントを重視しています。2025年3月末に実施したサーベイでは、eNPSが前回の-2.8%から+2.0%へ改善し、プラス圏に転じました。ワークエンゲージメントは前回の4.4から4.5へ微増し、好調を維持しています。事業紹介イベントや新プロダクトのアナウンスなどが好影響を与えていると考えられ、今後も部署横断のコミュニケーションを継続していきます。

 

<スキルの多様性の確保>

エンジニアの比率を概ね50%程度とし、女性従業員や外国籍エンジニアの比率向上に取り組んでいます。具体的に、女性従業員比率は25.9%に、外国籍エンジニアの比率は昨年度から大きな変化はないものの、40%前後を維持しています。管理職や執行役員における女性・外国籍比率については今後も改善を期する必要があると考えており、これらの指標を、技術革新や事業環境の変化に応じて柔軟に見直しを行う動的KPIとして運用していきます。

 

<労働環境の整備>

ポストコロナにおいて、週1日から週3日程度の出社を推奨し、プロダクト・サービスの成長やイノベーションを促進すべく対面コミュニケーションを強化しています。東京オフィスは広めのワークスペースを維持しつつ、大阪など他拠点にも環境を整備し、多様な働き方をサポートしています。また、「福利厚生ハンドブック」を公開し、各種補助などを一元的に紹介することで、社員が必要な施策を活用しやすい仕組みを構築しています。

 

<技術とツールの導入>

当社は自社プロダクト「exaBase 生成AI」のほか、「exaBase ロープレ」や「exaBase 面談要約」などを開発し、社内外での活用シーンを広げています。日常的に利用しながらプロダクトチームへフィードバックを行い、生産性とユーザー体験の向上を目指しています。さらに、BIツールと連携したコンディションサーベイのリアルタイム分析や、コメントの生成AI分析によるマネジメント支援も継続強化しており、組織の変化に迅速かつ的確に対応できるよう進化しています。

 

③ 規模と構成

前述のとおり、当社グループの従業員数は587名、当社は277名です。エンジニア比率50%を軸に、女性従業員比率25.9%、外国籍エンジニア比率は40%前後を目安に組織運営を行っています。eNPSは+2.0%、ワークエンゲージメントは4.5に改善しており、社員の事業理解や会社ビジョンへの共感が高まっている状況です。

 

④ 今後の展望

「AIエージェント元年」と位置づけ、当社がクライアント・ユーザー企業を先導できるよう、実際の業務プロセスに最新のAI技術を取り入れています。人材育成においては、一人ひとりが新しいテクノロジーをキャッチアップし、Elevate Your Craftを体現できるよう「資格取得支援制度」や「特定資格取得報奨金」などの施策を充実させました。

また、新設したDE&Iコミュニティでは、育児休業やLGBTQなど多様なテーマに対応し、社員のボトムアップによる活動を推進しています。男性の育児休業取得率71.4%などの成果も出ており、適切な制度とカルチャーの両面から多様な人材が活躍できる環境を整備しています。

エンゲージメント調査では、引き続きeNPSとワークエンゲージメントのスコア向上を目指し、リアルタイムの分析や生成AIによるフィードバックを活用します。挑戦的なアサインメントとオープンなポジション公募制度によって、年次や職種を超えた成長機会を提供し、持続的に社会課題解決のサービス・プロダクトを創出できる人材と組織の発展を図ります。当社は今後も「AIを用いた社会課題解決」を実践する企業として、世界中の人々の幸せと社会の発展に貢献するべく、人的資本のさらなる強化に取り組んでいきます。

 

 

3 【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状況、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。また、必ずしも事業上のリスクに該当しない事項についても、投資者の投資判断において重要であると考えられる事項については積極的に開示しています。

当社グループは、これらのリスクの発生可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の迅速な対応に努める方針ですが、当社の株式に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載内容もあわせて、慎重に検討したうえで行われる必要があると考えています。

当社グループのリスク管理を統合管理する主体は経営会議とし、統括する責任者を社長としてリスク管理にあたっています。当社のリスク管理体制については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要」の「② 企業統治の体制の概要及び当該体制を採用する理由」及び「③ 企業統治に関するその他の事項 a 内部統制システムの整備の状況」をご参照ください。

本項に記載している将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生する可能性のあるリスクの全てを網羅していることを保証するものではありません。

 

(1) 事業に関するリスク

① AI関連市場の成長性

当社グループの事業領域であるAI関連市場は、技術革新や各産業分野におけるAIの利活用の拡大・DX(デジタルトランスフォーメーション)の取組みの加速、生成AIの普及などの影響を受け、市場成長率は好調に推移しており、今後もさらなる市場規模の拡大を続けることが予想されます。しかしながら、今後の市場成長率は、AI技術に対する新たな法規制・政策の導入、関連市場の動向、景気変動によるユーザー企業のAI関連投資の縮小などの外的要因による影響を受けるため、これらの影響による市場成長率の鈍化により、当社グループの事業、財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。

 

② 技術革新

AI技術の有用性・重要性はいまや世界的に認識されており、全世界の研究機関、企業、大学等によりAIの研究開発が進んでおります。そのためAIの技術革新の速度は極めて速く、AI関連市場のさらなる成長や最新技術の取り入れによるビジネス拡大の機会につながる一方で、技術革新のスピードや新たなビジネスモデルの出現による市場環境の変化に当社グループが対応できない場合には、当社グループの事業、財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。

 

③ 競合の動向

当社グループの事業領域であるAI関連市場においては、多数の既存事業者が存在するほか、今後も業種にかかわらず大手企業から高度に専門化した新興企業まで、様々な事業者による新規参入が見込まれます。当社グループでは独自開発のAI技術と様々な業界や業務に関する知見を組み合わせたAIプロダクト・サービスを主軸とすることで圧倒的な競争優位性を保持しており、AI関連事業者の増大が直ちに競争上の脅威となるものではありませんが、当社グループより優れた技術開発力、営業力、ブランド又は知名度を有する他の事業者の動向によっては、当社グループの期待通りに顧客を獲得・維持できないことも考えられます。

当社グループとしては、他の事業者と差別化を図ったAIプロダクト・サービスを開発・提供できるよう引き続き邁進しますが、競争環境の激化等により、当社グループの事業、財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。

 

④ 新規事業

当社グループの開発するAIプロダクト・サービスは、商品特性から幅広い産業に対して提供することが可能であり、今後も積極的かつ継続的に新プロダクト・サービス及び新規事業に取り組んでまいります。これによりシステム投資や人件費等、追加的な支出が発生し、利益率が低下する可能性があります。また、新サービス及び新規事業の導入・拡大・成長が当初の予測どおりに進まない場合、当社グループの事業、財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。

 

⑤ 合弁事業、出資・買収による事業拡大について

当社グループでは、「exaBase」を冠する各種プロダクト・サービスの機能の拡充を早期に図ってまいりたいと考えています。従いまして、自社内での開発に向けての人員採用、技術基盤の強化、補完機能の拡充は当然ながら、適切なパートナーとの合弁事業などを通じた連携や、出資・買収を含めた様々な可能性についても探索しつつ、収益性、財務健全性及び当社の経営ポリシーに鑑みて案件を精査しています。

合弁事業の展開においては、パートナーとなる対象企業の業績や財政状態等についての詳細な調査をすることに加え、当該合弁事業にかかる事業計画や相互の役割の定義、ガバナンス体制等について事前に合意することによって可能な限りリスクを回避するように努めていきますが、合弁事業開始後に双方の経営方針に相違が生じ、意図していたシナジー効果が得られないといった可能性も否定できません。この場合においても、投資資金の回収が困難となる可能性や当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

出資・買収においては、対象となる企業の財務や税務、法務などの契約関係及び事業の状況等について事前に社内外の専門家と詳細なデューデリジェンスを実施し、価値評価に関しては第三者評価機関の見解も踏まえ、可能な限りリスクの低減に努めてまいります。しかしながら、出資・買収後に、事業環境に急激な変化が生じた場合やその他予期し得ない理由により当初の計画通りに事業が進展しない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、出資・買収後に予期せぬ偶発債務の発生や未認識債務が判明するリスクを完全に取り除くことは困難であり、かかるリスクが顕在化した場合には当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

買収に伴いのれんを計上した場合、対象会社の業績の悪化等により減損の兆候が生じ、その将来的な効果である回収可能価額がのれんの帳簿価額を下回る場合には、のれんの減損処理を行う可能性があり、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

買収を実施する際は自己資金、金融機関からの借入、社債及びエクイティファイナンス等で調達していくことを基本方針としております。当社が資金需要に応じて適時かつ適切な条件で買収資金を調達できる保証はなく、必要な資金調達ができなかった場合、又は当社にとって不利な条件での資金調達をせざるを得ない場合や、新たなファイナンスによる負担や株式価値の希薄化及び自己資本の変動のほか、新たに借入金を利用した場合、市場金利の変動の状況によっては、借入金利息の負担の増大等により、当社グループの業績・財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 業績の季節変動

わが国においては、商習慣上3月を期末月とする企業が多く、当社グループの一部サービスは企業向けに事業転換・事業創出を支援するものであることから、当社グループの顧客企業は新年度である4月に向けて、3月末までに当社グループのサービス提供を求める例が多くみられます。そのため、当社グループの売上高は、当社グループの第4四半期(1月から3月まで)、特に3月に偏在する傾向があり、特定の四半期業績のみをもって当社グループの通期業績見通しを判断することは困難です。

 

⑦ 特定の顧客企業における投資行動の変化等のリスク

当社グループは、多数の顧客企業との取引がある一方で、特定の顧客企業とも良好な取引関係を継続していることが強みです。それら顧客企業におけるIT投資行動の変化や経営方針の変更、事業環境の急変、特定業種における規制・制度変更等によっては、当社グループの経営成績や営業活動に影響を与える可能性があります。

 

⑧ システム障害

当社グループが提供している AI サービスの大半は、サービスの基盤を大手クラウド環境に展開しております。したがって、自然災害や事故によりクラウド環境が大規模に毀損した場合には、サービスの提供が困難となります。サイバー攻撃等により当社サービス基盤への攻撃を受けた場合には、システム障害により事業遂行が困難になることや、事業上の重要機密が漏洩する可能性があります。また、予想外の急激なアクセス増加等による一時的な過負荷やその他予期せぬ事象によるサーバーダウン等により、当社グループのサービスが停止する可能性があります。これまで当社グループにおいて、そのような事象は発生しておりませんが、今後このようなシステム障害等が発生し、サービスの安定的な提供が行えないような事態が発生した場合には、当社グループの事業、財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。

 

⑨ 知的財産権におけるリスク

当社グループのビジネス上、当社グループの開発した独自の方法や技術及び当社グループが開発し又はライセンスを受けている特許その他知的財産権の保護は重要であります。当社グループは、運営するコンテンツ及びサービスに関する知的財産権の獲得に努めておりますが、当社グループの知的財産権が十分に保護されない場合には、当社グループの事業、財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループによる第三者の知的財産権侵害の可能性につきましては、可能な範囲で調査を行っておりますが、当社グループの事業領域に関する第三者の知的財産権の完全な把握は困難であり、当社グループが認識せずに第三者の知的財産権を侵害してしまう可能性は否定できません。かかる場合のロイヤリティの支払や損害賠償請求等により、あるいは当社グループの知的財産が侵害された場合において、当社グループの事業、財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。

さらに、生成AIに関連する技術やサービスに関し、知的財産権の権利関係やいかなる場合に知的財産権の侵害となるかについて、国内外で法的な議論やガイドラインの整備が進展しているものの、依然として統一的な法解釈が確立されておらず、法的な整備が十分とはいえない状況にあります。そこで、当社グループでは、生成AIにおける知的財産権に関する最新の議論を踏まえながら、ガイドライン等を策定し周知・教育に努めております。

しかしながら、生成AIに関連する技術やサービスの提供に際して、当社グループ又は当該技術・サービスの利用者が認識せずに第三者の知的財産権を侵害してしまう可能性は否定できず、かかる場合に、当社グループの事業、財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑩ 法的規制

現在、当社グループが営むAI関連事業については、日本国内において直接的かつ実効性の高い規制法令はありませんが、2025年5月に「人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律」が成立し、AI技術の研究開発と活用の推進、透明性の確保等に関する基本的な方針が示されています。また、欧州連合(EU)においてはAIの開発・提供・利用に関する包括的な規制法(AI Act)が2024年8月に発効し、2025年2月から禁止AI、2025年8月から汎用AI、2026年8月からハイリスクAIを含む残りの大部分に関する規定が段階的に適用される予定です。これらの法令は現時点では当社グループの事業活動に直接的な制約を課すものではありませんが、今後の法解釈や運用の変更等により影響が生じる可能性があります。

なお、当社グループがAI・生成AIを用いてコンテンツ及びサービスを展開する領域においては、医薬関連の「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」、採用関連の「職業安定法」や金融関連の「銀行法」(電子決済等代行業に対する規制)などの特定の事業に対する法的規制のほか、「不当景品類及び不当表示防止法」「特定商取引に関する法律」「個人情報の保護に関する法律」などの一般的な法的規制を受けております。

当社グループでは、これらの法令を遵守するために、コンプライアンス体制の整備等を含む管理体制充実に取り組んでおります。しかしながら、将来において、当社グループが提供するコンテンツ及びサービスが法的規制に抵触する可能性を完全に否定することはできません。

また、昨今AIに関する法規制が活発に議論される中、今後法的規制が変更されたり、AIに関する法令その他新たな法令等の制定や法解釈の変更がなされることにより、当社グループの事業が制約され、これらにより当社グループの事業、財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。

 

⑪ AI倫理・AIガバナンス

当社グループは、人間の尊厳を守り、国際的に認められた人権を尊重し、持続可能ですべての人が希望を持てる社会を作るという基本的な価値観に従って、AIシステムを開発し運用しなければならないと認識しております。 

かかる認識の下、当社グループでは、AIシステムの開発や運用を行う事業者として基本的な行動規範となる「AI基本ポリシー」を策定しております。そして、「AI基本ポリシー」に基づき、G7広島サミットで提唱された「広島AIプロセス」や総務省及び経済産業省が策定した「AI事業者ガイドライン」をはじめとする指針やガイドラインに対応するため、「AI倫理ハンドブック」を策定し、当社グループ内に展開・運用しております。さらに、リスク管理委員会によって、当社グループの開発・提供するAIプロダクト・サービスの適切性について定期的にレビューしております。

加えて、法律や公共政策、AI技術等の様々な分野の専門家による「AIの適切性に関する有識者委員会」を設立し、上記当社グループの取組みへの評価・助言を受けることによって、その適切性を担保しております。

しかしながら、AI倫理やAIガバナンスを巡る社会的な要請は急速に変化し続けており、このような変化に当社グループが適応できない場合が生じる可能性があります。また、AIの出力について完全にコントロールすることは難しく、当社グループが開発・提供したAIプロダクト・サービスが、または当社グループのAIプロダクト・サービスを通して、お使いいただいているお客様が、意図せず社会規範・倫理を逸脱するような結果を引き起こす可能性も完全には否定できません。このような場合には、当社の社会的信用が低下し、ひいては当社グループの事業、財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。

 

⑫ のれん及び顧客関連資産の減損リスク

当社グループは、企業買収の際に生じたのれん及び顧客関連資産を計上し、一定期間で償却を行っております。当該のれん及び顧客関連資産については将来の収益力を適切に反映しているものと判断しておりますが、事業環境の変化等により期待する成果が得られなかった場合には、当該のれん及び顧客関連資産について減損損失を計上し、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

⑬ 無形固定資産(ソフトウエア)の減損リスク

当社グループは、自社利用のソフトウエアのうち第三者提供目的(クラウドサービス)のソフトウエアについて、将来の収益獲得が確実と認められるものに限り無形固定資産として資産計上しており、一定期間で償却を行っております。

ソフトウエアの開発に際しては、市場環境等を慎重に見極めておりますが、市場や競合状況の急激な変化などにより、今後利用が見込めなくなった場合や、収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった場合には、除却あるいは減損の対象となる可能性があります。

このような場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

 

(2) 経営管理体制に関するリスク

① 人材の採用及び育成

当社グループは、事業の拡大に伴い、積極的に優秀な機械学習領域等のアルゴリズムを開発するエンジニアや、自社サービスのインフラやアプリケーション等のソフトウエア開発を行うエンジニア、また顧客企業のデジタル・AI戦略やAIのビジネス活用を促す事業開発を担当する人材の採用・育成を進めております。しかしながら、事業規模の拡大に応じた当社グループ内における人材育成、外部からの優秀な人材の採用等が計画どおりに進まず、必要な人材を確保することができない場合には、当社グループの事業、財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。

 

② 特定の人物の影響力

当社グループの創業者である代表取締役社長CEO 春田真は、経営戦略、事業戦略等当社グループの業務に関して専門的な知識・技術を有し、重要な役割を果たしています。当社グループでは、取締役会等において役員及び従業員への情報共有や権限移譲を進めるなど組織体制の強化を図りながら経営体制の整備を進めており、経営に対するリスクを最小限にしております。しかしながら、春田が当社グループを退職した場合、当社グループの事業、財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。

 

③ 内部管理体制

当社グループは、企業価値の持続的な増大を図るために、コーポレート・ガバナンスが有効に機能するとともに、人材、資本、サービス、情報資産の適正かつ効率的な活用をすることが不可欠であるとの認識のもと、業務の適正性及び財務報告を含む報告の信頼性の確保、さらに健全な倫理観に基づく誠実性及び法令遵守の徹底が必要と認識しております。そのためにも、当社グループでは内部管理体制の充実に努めております。しかしながら、今後の事業の急速な拡大等により、十分な内部管理体制の構築が追いつかない状況が生じる場合には、適切な業務運営が困難となり、当社グループの事業、財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。

 

④ コンプライアンス体制

当社グループは、企業価値の持続的な増大を図るために、コンプライアンス体制が有効に機能することが重要であると考えており、コンプライアンスに関する社内規程を策定するとともに、役員及び従業員を対象として定期的に社内研修を実施し、コンプライアンスの重要性の周知徹底を図っております。しかしながら、これらの取組みにもかかわらずコンプライアンス上のリスクを完全に解消することは困難であり、今後の当社グループの事業運営に関して法令等に抵触する事態が発生した場合、当社グループの事業、財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。

 

⑤ 情報管理

当社グループのAIが学習対象とする情報の中には、顧客の経営戦略上極めて重要かつ機密性が高い情報が含まれる場合があります。また、当社グループが提供するサービスでは、ユーザーの個人情報及びユーザーが保有する第三者の個人情報、顧客の機密情報を取り扱っております。これらの情報の取扱いについては、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)認証を取得し、情報管理に関する諸規程の整備及び適切な運用に努めておりますが、従業員及び委託先関係者の故意・過失、事故、災害、悪意をもった第三者による不正アクセス、その他予期せぬ要因等により情報の漏洩、不正使用又は不適切な取扱が発生した場合、損害賠償責任やセキュリティシステム改修のための多額の費用負担を負う可能性及び当局による行政処分等の対象となる可能性があるほか、顧客からの信用を失うことにより取引関係が悪化する可能性があり、当社グループの事業、財政状態及び業績に重大な影響を与える可能性があります。

 

 

⑥ 損失の継続計上及び営業活動によるキャッシュ・フローのマイナス計上

当社グループは、AIプロダクト事業及びその他サービス事業への先行投資等により、2025年3月期まで連続して親会社株主に帰属する当期純損失を計上しております。これは、新規サービス開発のためのシステム投資や人件費が先行して発生していること等によるものです。

一方で、営業利益については創業来初となる通期黒字を達成し、着実に収益力を高めております。また、当社グループの事業領域であるAI関連市場の市場成長率は好調に推移しており、今後もさらなる市場規模の拡大を前提としております。

しかしながら、今後売上成長のための先行投資が想定以上に発生する場合や、売上成長が想定通りに達成できなかった場合、投資した金額が回収できない等により当社グループの事業、財政状態及び業績並びに、資金繰りに影響を与える可能性があります。

 

(3) その他のリスク

① 大規模な自然災害等

当社グループは、有事に備えた危機管理体制の整備に努め対策を講じていますが、台風、地震、津波、感染症等の自然災害等が想定を大きく上回る規模で発生した場合、当社グループ又は当社グループの取引先の事業活動に影響を及ぼし、当社グループの事業、財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。

 

② 訴訟等

現時点において、当社グループにおいて係属中の訴訟はありません。しかしながら、将来において当社の取締役、従業員の法令違反等の有無にかかわらず、予期せぬトラブルや訴訟等が発生する可能性は否定できません。かかる訴訟が発生した場合には、その内容や金額によって、当社グループの業績、財政状態及び事業展開に影響を与える可能性があります。

 

③ 為替変動

 当社グループが提供するコンテンツ・サービスや業務には、一部海外のサービスやプラットフォームを利用しているため、為替変動の影響を受けます。現時点において、その影響は軽微ですが、将来の為替変動によって、当社グループの業績、財政状態及び事業展開に影響を与える可能性があります。

 

④ 新株予約権の行使による株式価値の希薄化

当社では、当社グループの役員及び従業員に対するインセンティブを目的とし、新株予約権を付与しており、2025年3月末における発行済株式総数に対する潜在株式数の割合は5.0%となっております。これらの新株予約権が行使された場合には、当社の株式が発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。

 

⑤ 配当政策

当社は株主に対する利益還元を重要な経営課題として認識しています。しかしながら、当社グループは現在、成長過程にあると考えており、将来の事業展開及び経営体質の強化のための投資等に充当し、より一層の事業拡大を目指すことが、株主に対する最大の利益還元につながると考えております。将来的には、収益力の強化や事業基盤の整備を実施しつつ、内部留保の充実状況及び当社グループを取り巻く事業環境を勘案したうえで、株主に対して安定的かつ継続的な利益還元を実施する方針ですが、現時点において配当実施の可能性及びその実施時期等については未定です。

 

⑥ 資金使途

上場時に実施した公募増資による調達資金については、プロダクト開発投資、採用費、マーケティング費用、借入金の返済、運転資金及び研究開発費に充当する予定です。

しかしながら、急激に変化する事業環境により柔軟に対応するため、現時点における計画以外の使途にも充当される可能性があります。また、計画に沿って資金を使用した場合でも想定通りの投資効果を上げられない場合、当社グループの経営成績並びに財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 繰越欠損金

当社グループは、税務上の繰越欠損金を有しております。これは法人税負担の軽減効果があり、今後当該繰越欠損金の繰越期間の使用制限範囲内において納税額の減少をさせることにより、キャッシュ・フロー改善に寄与することが見込まれます。

しかしながら、当社グループの業績が順調に推移することで繰越欠損金を上回る課税所得が発生した場合、及び当社グループの業績の下振れ等により繰越期限の失効する繰越欠損金が発生した場合は、課税所得からの控除が受けられなくなり、通常の税率にもとづく法人税等の納税負担が発生することで、当社グループの業績及び資金繰りに影響を及ぼす可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

(経営成績)

売上高

当連結会計年度における売上高は9,811百万円(前期比+17.0%)となりました。これは主に、AIプロダクト事業において、当社サービスの利用数が増加したことによるものです。

 

売上原価、売上総利益

当連結会計年度における売上原価は4,143百万円(前期比+12.1%)となりました。これは主に、売上原価となる人件費等及びシステム利用料が増加したことによるものです。

以上の結果、当連結会計年度の売上総利益は5,667百万円(前期比+20.9%)、売上総利益率は57.8%となりました。

 

販売費及び一般管理費、営業損益

当連結会計年度の販売費及び一般管理費は5,644百万円(前期比+13.0%)となりました。これは主に、販管費となる人件費等およびシステム利用料が増加したことによるものです。

以上の結果、当連結会計年度の営業利益は23百万円(前年度は305百万円の営業損失)となりました。

 

営業外損益、経常損益

当連結会計年度の営業外収益は11百万円(前期比+87.2%)、営業外費用は32百万円(前期比+7.6%)となりました。

以上の結果、当連結会計年度の経常利益は2百万円(前年度は330百万円の経常損失)となりました。

 

特別損益、親会社株主に帰属する当期純損益

当連結会計年度の税金等調整前当期純損失は2,505百万円(前年度は692百万円の税金等調整前当期純損失)となりました。

特別利益として、71百万円を計上しました。これは主に、2024年12月1日に連結子会社の株式会社VisionWizの株式100%を株式会社コドモンに譲渡したことによるものです。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記情報(企業結合等関係)」をご参照ください。

特別損失として、2,579百万円計上しました。第2四半期連結会計期間において当社が保有する投資有価証券の一部について、帳簿価額に比べて実質価額が下落したことによる投資有価証券評価損を140百万円計上しました。また、第3四半期連結会計期間及び当第4四半期連結会計期間において、減損損失を2,434百万円計上しました。これは、当社が保有するソフトウエア資産等及び株式会社スタジアムのグループ化の際に生じたのれん等について、収益性が低下した資産グループの帳簿価額を回収可能価額まで減額したことによるものです。

以上の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損失は、2,576百万円(前年度は610百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。

 

 

(セグメント業績)

セグメント別の業績は次のとおりです。セグメント利益は営業利益ベースの数値であり、連結損益計算書の営業利益と調整を行っております。

 

AIプロダクト事業

当連結会計年度においては、既存プロダクトの販売拡大に加え、AIプラットフォーム事業によって得られた知見をもとに、生成AI等の活用をはじめとしたサービス開発にも取り組んでまいりました。

DX AIプロダクト群では、企業のDX人材の発掘・育成のための「exaBase DXアセスメント&ラーニング」の導入社数が2025年3月時点で2,047社(306,655人)となり、引き続き増加しました。「exaBase 生成AI」は導入社数が2025年3月時点で827社(83,047人)を突破するなど、好調に推移しました。

ソーシャルAIプロダクト群では、「CareWiz トルト」のマーケティング活動が軌道に乗り、商談獲得が堅調に推移しました。

その中で、これらの需要に応えるための組織拡大に伴う人員増加や当社サービスの提供数増加により、売上原価及び販管費それぞれの人件費等及びシステム利用料が増加しました。加えて、売上原価では、プロダクトの開発に伴うソフトウエアの減価償却費が増加しました。

この結果、売上高は2,988百万円(前期比+82.3%)、売上総利益は2,231百万円(前期比+119.2%)、売上総利益率は73.8%(前期比+11.7pt)、営業利益は648百万円(前年度は34百万円の営業損失)となりました。

 

AIプラットフォーム事業

当連結会計年度においては、引き続きAIプロジェクトによるイノベーション創出を多数の大手企業と取り組んでまいりました。また、AIプラットフォーム事業発のプロダクトとしてのexaBase ロープレやexaBase 面談要約、連結子会社である株式会社ExaMDにおける認知症向けプロダクトへの開発先行投資、exaBase Studioを中心とした案件ポートフォリオの組み換えなどを推進し、AIプラットフォーム事業のビジネスモデル変革に着手しました。それに伴い、システム開発案件への一時的なリソース増強を行い、人件費等やシステム利用料などのコストが増加しました。

この結果、売上高は5,122百万円(前期比-4.5%)、売上総利益は2,948百万円(前期比-2.8%)、売上総利益率は55.5%(前期比-1.1pt)、営業利益は1,405百万円(前期比-12.6%)となりました。

 

その他サービス事業

当セグメントは、AIプロダクト事業及びAIプラットフォーム事業のモデルには現時点で該当しないサービス等から構成されます。前第1四半期連結会計期間に子会社化した株式会社スタジアムの事業・業績などが含まれます。なお、当社グループは株式会社スタジアムを前期の第2四半期連結会計期間から新規に連結しており、当連結会計年度より業績が通期寄与します。
 当連結会計年度においては、既存の営業代行事業に加え、AIによる電話品質の可視化・向上にむけた新規プロダクトであるDr.Telについて複数企業からの受注、また、大手企業での導入が始まるなど、Sales Techサービスを加速しました。

この結果、売上高は1,699百万円(前期比+23.0%)、売上総利益は772百万円(前期比+13.7%)、売上総利益率は43.7%(前期比-5.5pt)、営業利益は96百万円(前期比+96.9%)となりました。

 

 

(財政状態)

資産

当連結会計年度末における資産合計は7,024百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,907百万円減少いたしました。これは主に、減損損失の計上により固定資産が2,434百万円減少し、また、現金及び預金が480百万円減少したことによるものであります。

 

負債

当連結会計年度末における負債合計は4,484百万円となり、前連結会計年度末に比べ463百万円減少いたしました。これは主に、未払金が310百万円、長期借入金が300百万円減少した一方、未払法人税等が181百万円増加したことによるものであります。

 

純資産

当連結会計年度末における純資産合計は2,539百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,443百万円減少いたしました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純損失2,576百万円を計上したことによるものであります。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ480百万円減少し、3,008百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とその要因は以下のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは621百万円の収入(前連結会計年度は197百万円の支出)となりました。これは主に、ソフトウエア資産やのれん、顧客関連資産に係る減価償却費875百万円等の増加要因があった一方で、未払金及び未払費用の減少325百万円、売上債権の増加46百万円等の減少要因があったことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは880百万円の支出(前連結会計年度は2,953百万円の支出)となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出869百万円等によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは221百万円の支出(前連結会計年度は1,409百万円の収入)となりました。これは主に、新株予約権の行使による株式の発行による収入78百万円等の増加があった一方で、長期借入金返済による支出300百万円等があったことによるものです。

 

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a 生産実績

当社グループが提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。

 

b 受注実績

当社グループが提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。

 

c 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)

金額(百万円)

前年同期比(%)

AIプロダクト事業

2,988

182.3

AIプラットフォーム事業

5,122

95.5

その他サービス事業

1,699

123.0

合計

9,811

117.0

 

(注) セグメント間の取引については、相殺消去しております。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものです。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産及び負債又は損益の状況に影響を与える見積りを用いております。これらの見積りについては、連結財務諸表作成時に入手可能な情報及び合理的な基準に基づき判断しておりますが、見積りには不確実性を伴うため、実際の結果はこれらと異なることがあります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。

 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

経営成績、財政状態、キャッシュ・フローの分析については、前記「(1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおりです。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、当社プロダクト・サービスを新規開発、拡大していくための開発人員及び営業人員の人件費・採用費及び顧客獲得のための広告宣伝費です。これらの資金需要に対しては、自己資金、金融機関からの借入、社債及びエクイティファイナンス等で調達していくことを基本方針としています。

 

④ 経営成績に重要な要因を与える要因について

経営成績、財政状態、キャッシュ・フローの分析については、前記「(1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおりです。

 

⑤ 経営者の問題意識と今後の方針に関して

経営者の問題意識と今後の方針については、前記「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりです。

 

 

5 【重要な契約等】

当連結会計年度において、新たに締結した重要な契約等は次のとおりであります。

 

(株式譲渡契約)

当社は、2024年11月20日開催の取締役会において、株式会社VisionWizの株式100%を株式会社コドモンに譲渡することを決議し、同年12月1日付けで株式譲渡契約を締結、また同日に株式譲渡を完了しました。これに伴い、株式会社VisionWizを当社の連結の範囲から除外しております。

詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりです。

 

(資本業務提携及び第三者割当による自己株式の処分)

当社は、2025年5月28日開催の取締役会において、エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社との間で資本業務提携を行うこと及び同社に対する第三者割当による自己株式の処分を行うことを決議し、同日資本業務提携契約を締結いたしました。

詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(後発事象)」に記載のとおりです。

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループは、AIによる社会課題の解決を目指して、AI技術を活用した各種のプロダクトの研究開発に取り組んでおります。研究体制はAIプロダクト事業部、AIプラットフォーム事業部、その他サービス事業及び技術統括部にて取り組んでおります。当連結会計年度において計上された研究開発費の総額は178百万円であり、全社共通部門での計上額0百万円を含んでおります。なお、セグメント別の詳細は以下のとおりです。

 

(1) AIプロダクト事業

主として既存プロダクトに関連する研究開発を行いました。当連結会計年度における研究開発費の金額は64百万円であります。

 

(2) AIプラットフォーム事業

主として医療・ヘルスケア分野の研究開発を行いました。当連結会計年度における研究開発費の金額は70百万円であります。

 

(3) その他サービス事業

主として既存プロダクトに関連する研究開発を行いました。当連結会計年度における研究開発費の金額は43百万円であります。