当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社は130年以上という長きにわたり、大きな社会変動を乗り越えて良質な製品とより良いサービスを提供してきました。この伝統と実績を受け継ぎ、「人を大切に、技を大切に」を経営理念とし、如何なる市場環境変化の時代においても、高収益体質企業を実現させ、長年蓄積してきた「人と技術」を通して、高品質の製品とサービスを提供し、価値創造企業へ向けて更なる挑戦を行うことを経営の基本方針としております。
(2)中期経営計画
当社グループでは、新中期経営計画(2024年度~2026年度)において、成長戦略の推進と新たな価値の創造に向け、サステナビリティ経営の推進をベースとした「事業拡大と体質強化」、「グローバル化の推進」、「新たな価値の創造」という3つの重点施策に取り組んでおります。
サステナビリティ経営の推進
サステナビリティ経営の実践には、環境、社会、経済のバランスが大切と認識しております。環境、社会、ガバナンスに関わる様々な要請を考慮しつつ、ありたい姿からバックキャスティングによる新たな価値の創出を通して、持続的な経済成長を目指してまいります。サステナビリティ経営の推進により、新たな価値の創出に注力します。
①事業拡大と体質強化
電子セラミック材料への戦略的投資継続による事業機会の獲得と、半導体向け材料の生産効率化および安定化追求により、事業拡大を目指します。また、基礎分野においては、生産スケールの最適化などによりコスト競争力を強化し、製品の価値を最大限に高め、確実に利益を出せる企業体質への改善に取り組んでまいります。さらに、固有技術の見える化や、デジタル・AI技術の導入による生産体制の向上にも取り組み、顧客の要求品質を満たす製品を安定かつ安全に生産する体制を構築してまいります。
②グローバル化の推進
海外拠点の組織力の強化と、拠点間の連携を高めることで、現地ニーズに合った製品の販売を促進し、新たなビジネスモデルを探求・発展させることによりグローバル化を推進してまいります。
③新たな価値の創造
積み重ねてきたコア技術・知的財産に加え、外部リソースを活用して技術プラットフォームを広げ、多様化・高度化する顧客ニーズに対応してまいります。また、カーボンニュートラルをはじめとする事業環境の変化を的確に捉え、社会課題の解決に繋がる製品開発にチャレンジしてまいります。
当社では、企業価値をさらに向上すべく、2030年のありたい姿として営業利益60億円、ROE8%(連結)を目標数値として設定しております。このありたい姿を実現するため、2027年3月期を最終年度とする中期経営計画において、営業利益33億円、ROE6%(連結)を目標数値として設定しております。持続的成長を可能とするため、中長期的な戦略や優先的に対処すべき事業上の課題につきましては、部門横断的に分析および検討を行っております。さらに、資本コストについて、取締役会を通じて定期的に検証する体制を有しており、その分析および検討の結果、構築された収益向上に向けた施策につきましては、中期経営計画等に反映し公表しております。中期経営計画等の各種施策により収益力を向上させ、事業構造の見直しや資産の効率化、キャッシュ創出強化を図ることで、企業価値およびPBRの向上を目指してまいります。
・決算説明資料、中期経営計画資料:下記URLをご参照ください。
https://www.nippon-chem.co.jp/ir/financial/presentations.html
・資本コスト経営の推進について:下記URLをご参照ください。
https://www.nippon-chem.co.jp/dcms_media/other/20250514_irrelease.pdf
「株主との対話の実施状況」
・株主との対話の実施状況について:下記URLをご参照ください。
https://www.nippon-chem.co.jp/ir/stockholder/dialogue.html
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
中期経営計画(2024~2026年度)の最終年度において売上高490億円、営業利益33億円を目標といたします。また、EBITDA80億円、ROE6%を重要経営指標に設定しております。
|
|
中期経営計画 最終年度(2026年度) |
|
|
目標値 |
売上高 |
490億円 |
|
営業利益 |
33億円 |
|
|
重要経営指標 |
EBITDA(※) |
80億円 |
|
ROE |
6% |
|
(※)EBITDA=営業利益+減価償却費
(4)経営環境並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
わが国経済は、社会経済活動の正常化が進み、緩やかに回復しつつあるものの、原燃料価格の高止まり、不安定な世界情勢、物価の上昇等により、依然として先行き不透明な状況が続いております。
このような状況のもと、当社グループは、中期経営計画に掲げる成長戦略の推進と新たな価値の創造に向け、サステナビリティ経営の推進をベースとした「事業拡大と体質強化」、「グローバル化の推進」、「新たな価値の創造」という3つの重点施策に、全社一丸となって取り組んでおります。
当社グループは『如何なる市場環境変化の時代においても、高収益体質企業を実現させ、長年蓄積してきた「人と技術」を通して、高品質の製品とサービスを提供し、価値創造企業へ向けて更なる挑戦を行う』を経営の基本方針に掲げております。
1.サステナビリティ基本方針
当社グループは「人を大切に、技を大切に」の企業理念に基づき、ステークホルダーとの対話と価値創造を通じて社会課題の解決を図り、地球規模まで視野に入れたあらゆる「人」の幸せと持続可能な社会の実現に取り組みます。
・事業活動を通じて、環境負荷を低減し、地球温暖化防止に取り組みます。
・環境に配慮した製品を提供し、低炭素社会、循環経済の実現を目指します。
・社会貢献活動を積極的に推進し、地域社会の活性化や信頼関係の醸成を目指します。
・人権・労働・安全・環境等、事業活動に適用されるすべての法令や規則を厳格に遵守します。
・社会課題の解決に貢献する製品の開発と販売を促進します。
・多様化する働き方やワークライフバランスを重視した職場環境の構築を進めます。
・サプライヤーから顧客にいたる強靭なサプライチェーンを構築します。
2.気候変動への対応
気候変動が経済・社会・環境に及ぼす影響は年々深刻さを増しております。世界規模で脱炭素社会の実現に向けた動きが加速しており、企業にも確実な対応が求められております。
当社グループは、2022年10月「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」へ賛同しました。
今後、TCFDの提言に沿った気候変動に対する取り組みを推進し、積極的な開示を進めてまいります。
(1)ガバナンス
当社グループは、企業理念に立脚して様々なステークホルダーと良好な関係を築き、信頼され必要とされる企業となるため、CSR(企業の社会的責任)活動から、企業活動を通じた価値創造により、全てのステークホルダーに貢献するサステナビリティ活動へ軸足を移し、スピード感を持った活動を推進することを目的にサステナビリティ推進委員会を設置しました。サステナビリティ推進委員会は、社長が委員長となり、委員は生産技術本部、研究開発本部、営業本部、経営戦略本部、事業推進本部を担当する執行役員と、その目的に照らし、委員長が適切と認めて選任したメンバーにより構成され、サステナビリティ基本方針を始めとしたサステナビリティに関する事項の審議を行います。サステナビリティ推進委員会の開催頻度は、原則年2回、また必要に応じて別途開催致します。
取締役会は、サステナビリティ推進委員会で審議された重要事項についての報告や提言を受け、気候関連課題への対応方針および実行計画等についても指示・監督を行っております。サステナビリティ推進委員会のもとに、「サステナビリティ委員会」、「全社RC委員会」、「NBCP(日本化学事業継続計画)運営委員会」、「倫理委員会」の4つの委員会を配置し、サステナビリティ推進委員会はこれら4つの委員会の活動を統括・指導し、定例会議等を通じてマネジメント強化と推進に努めております。サステナビリティ委員会は、常務執行役員のもとで、全てのステークホルダーへの価値の提供や、気候変動や循環経済への対応等、サステナビリティに関する取り組みを進めております。全社RC委員会は、社長を委員長とし、環境・安全におけるレスポンシブル・ケア活動を推進し、法規制の遵守、環境保全、保安防災、労働安全衛生、製品安全、物流安全等のレベルの維持向上に努めております。NBCP(日本化学事業継続計画)運営委員会は、生産技術本部を担当する執行役員を委員長とし、顕在化した危機および潜在的な危機に対する方針や計画、訓練の継続的改善を推進しております。倫理委員会は、事業推進本部を担当する執行役員を委員長とし、日々の企業活動において遵守すべき行動指針の周知徹底を図るとともに、定期的に遵守状況の確認を行い、継続的な改善に努めております。
(2)戦略
シナリオ分析の概要
当社グループでは、TCFD提言にて例示されている気候変動がもたらすリスク・機会を元に、シナリオ分析を実施しました。
シナリオ分析においては、2℃以下シナリオを含む複数の温度帯のシナリオを選択、設定していく必要があるため、移行面で影響が顕在化する1.5℃シナリオと物理面での影響が顕在化する4℃シナリオの2つのシナリオを選択しました。
移行リスク・機会:脱炭素シナリオ(1.5℃)
移行リスク・機会については、1.5℃目標達成に向けて、低炭素経済への移行に関連した様々な規制等が導入される脱炭素シナリオに基づいて検討しました。
脱炭素シナリオ(1.5℃)においては、政府の環境規制強化にともなう炭素税導入や、再生可能エネルギー需要の増加による価格上昇等費用の増加、世界規模での地球温暖化対策が講じられることによる資源調達費用の増加が想定されます。一方で、当社グループの成長分野である電子セラミック材料、電池材料、半導体材料等をはじめとする各種機能性材料では、化学産業に求められる脱炭素イノベーションの高まりによる研究開発の推進、川下産業の環境貢献製品向け材料としての需要増加が想定されます。当社グループには、顧客ニーズに応える技術開発力、これを再現よく生産するための生産技術力があり、これらに磨きを掛けることで競合他社との差別化を図っています。この取り組みを継続することで、ビジネスチャンスが増え収益が向上していくものと考えています。
また、当社グループは化学品・機能品を基幹事業としており、生産工程で使用される燃料、電気、蒸気の消費によるCO2排出量削減を重要な課題と認識しています。全工場における生産活動の中で、省エネ活動、電化、再エネ活用、燃料及びプロセス変換に着目し、自社排出のCO2発生量の削減に取り組んでいます。
調達面のリスクに関しても、強靭な原料調達体制の確立を推進し、サプライチェーンを切らさずにお客様へ安定品質の製品提供を継続していきます。
物理的リスク・機会:温暖化進行シナリオ(4℃)
物理的リスク・機会では、異常気象による自然災害の発生にともなう、事業活動の停止やサプライチェーンの断絶が大きなリスクとなります。
自然災害は、発生の予測が難しく、一度発生すれば、当社グループの製造拠点が被災し、化学物質の漏洩等甚大な被害をもたらす可能性があります。
設備損傷や化学物質漏洩による操業停止等を回避するためには、災害対策に関する設備投資が必要となり、投資による製造コスト上昇も想定され、温暖化進行シナリオ(4℃)では、この傾向はさらに強まることが想定されます。
当社グループは気候変動リスクを含む大災害に対応できるよう、専門の委員会を設置しBCP(事業継続計画)体制を全社ベ一スで策定、緊急時においても事業活動への影響を最小限にとどめるよう備えています。引き続き、BCP体制の継続的改善を推進してまいります。
(3)リスク管理
当社グループのリスク管理についての審議及び決定機関はサステナビリティ推進委員会としております。また、リスク対応は、サステナビリティ推進委員会の指示を受けて、各本部長の指示により、各部長、各工場長が行うこととしております。
気候変動に関するリスク・機会も重要な課題の一つと位置付けており、サステナビリティ委員会を中心に協議、検討しております。サステナビリティ委員会では、気候変動によって受ける影響を把握・評価し、TCFDの枠組みに基づいたシナリオ分析を行い、気候変動リスク・機会を特定しています。気候変動リスク管理の状況や特定した重大な気候変動リスクに関しては、サステナビリティ推進委員会への報告・提言を行ってまいります。
また、気候変動リスクの定量的な把握を行うために、2024年4月よりインターナルカーボンプライシング(ICP)制度を導入しました。低炭素・脱炭素設備の設備投資計画において、ICP(3,000円/MT-CO2換算)を適用して費用換算し、投資判断指標の一つとして運用しています。
(4)指標及び目標
2023年度の当社グループの温室効果ガス排出量は、
3.サステナビリティの主な取組み
当社グループにおいて、2024年度の取組みについてご報告致します。
・マテリアリティの見直しとKPIの再設定
・新たに環境貢献製品1つを認定
・本社棟屋上への太陽光パネルの設置
・経団連生物多様性宣言イニシアチブへの賛同
・CDP2024の「気候変動」および「水セキュリティ」において「B」スコアを獲得
・EcoVadis2024においてブロンズメダルを獲得
詳細は、インターネット上の当社ウェブサイトをご参照ください。
4.人的資本
企業理念「人を大切に、技を大切に」が表すように、当社にとって「人」は日本化学らしいサステナビリティ経営を遂行し、発展させていくために大切な「財産」と認識しており、それを担うことができる多くの人材を育成していくことが重要と考えております。そのために、中期経営計画(2024-2026)に掲げる方針「成長戦略の推進と新たな価値の創造」に基づき、「事業拡大と体質強化」、「グローバル化の推進」、「新たな価値の創造」の3つの重点施策を実行できる人材の育成を目指し、人材戦略として3つの方針「多様な人材の確保」、「人材の育成」、「職場環境の整備」を掲げました。また、個の育成に留まらず、組織全体を育成するという当社独自の考えの下で、会社全体をレベルアップさせ、サステナブルな企業体質を築いていきたいと考えております。
(1)ガバナンス
人材戦略に関しては、取締役会で決定した経営戦略を経て、経営トップである代表取締役社長をはじめとする執行役員で構成された経営会議にて、具体的な課題や施策(重要な組織の新設と改編、人事制度の改革等)に関する検討と決裁、進捗状況の確認を実施しております。また、定期的に経営会議から取締役会に報告し、取締役会は報告を受けた内容に関してモニタリングし、監督しております。
(2)戦略
組織の発展につながる人材の拡充を実現するためには、様々な能力を持つ人材の確保と社員一人ひとりの成長が重要です。社員の自律的なキャリア形成を後押しする体系的な教育体制を整えております。
また、社員の自発的行動を促し、組織全体を育成するという当社独自の観点からコーチング・プログラムを展開しております。
さらに、多様な働き方やワークライフバランスを重視した職場環境の整備を進めるとともに、健康経営や労働安全衛生の推進にも取り組んでまいります。
①多様な人材の確保
変化の激しい事業環境に対応していくためには、多様な視点や経験を活かすことが必要です。≪女性活躍推進≫≪キャリア採用推進≫≪外国人採用推進≫を実施し、サステナブルな企業体質を目指します。
≪女性活躍推進≫
女性活躍推進においては、女性が仕事と生活を両立しながら活躍することを推進しており、女性活躍機会の拡大は、今後の当社の成長戦略には欠かせません。しかし、当社人事制度における総合職及び管理職に占める女性社員の比率は2025年3月末9.9%で、依然少ない状況であり、女性社員を増やしていくこと、並びに女性社員の育児離職を防ぐことが重要な課題であると認識しております。女性管理職比率の向上を目指し、新卒採用(大卒以上)の女性比率を2026年度の目標として30%以上とする取組みを推進しております。
≪キャリア採用推進≫
多様な価値観や高度な専門性を持った即戦力となる人材を確保するため、キャリア採用を積極的に実施しております。採用者全体(大卒以上)に占めるキャリア採用の割合を2026年度の目標として20%以上とする取組みを推進しております。
≪外国人採用推進≫
外国人の雇用については海外子会社を中心に採用をより一層進めます。
②人材の育成
社員教育は、会社の成長を支える大切な要素の一つです。「成長戦略の推進と新たな価値の創造」の実現に向けて、社員一人ひとりが最新の知識やスキルを身につけ、業務遂行上必要な知識・技術・技能を修得し、能力向上を図るため≪体系的教育制度≫を設けております。また、「未来に続く日本化学」の実現に向け「何が必要で、それはどうしたらできるのか」を一人ひとりが考えて動くことのできる組織づくりを目指すため、≪コーチング・プログラム≫を実施し、社員の自発的行動を促進してまいります。
≪体系的教育制度≫
日常の業務活動を通じて、それぞれに必要な知識・技術・技能の向上を図る職場内教育(OJT)に加え、新入社員から幹部職までの階層別研修や、職層にかかわらず業務を遂行するうえで必要となるスキルアップ・プログラムやグローバル人材育成プログラム等に注力し、教育機会の拡充を図っております。当社は、以下に掲げる「教育基本方針」のもと、下記の「教育体系図」・「階層別教育体系図」に示す通り、教育の機会を提供しております。また、個人の育成では、多様な教育・研修の場を提供しているほか、化学系資格取得支援として公害防止管理者や危険物取扱責任者等の資格取得について積極的にサポートしております。その結果、化学系資格取得者の割合は徐々に増加しております。さらに、グローバル人材の育成としてオンライン語学研修制度や海外トレイニー制度を導入しております。管理職上級者に対しては、次世代の経営人材育成のため教育制度の充実化を図ってまいります。
(当社の教育基本方針)
・教育は、会社の方針に沿って、計画的・組織的かつ継続的に行う。
・能力育成は、社員各自が向上意欲に燃え、自己啓発に努めることによって、その成果が期待されるものであり、会社は機会をとらえて必要な施設及び援助を行う。
・指導的立場にある者は、能力育成の環境を醸成するとともに、常に率先垂範して自己啓発に努めなければならない。
(教育体系図)
日本化学工業 階層別教育 体系図
|
対象 |
教育名 |
教育内容 |
必須能力 |
獲得スキル・知識・技能 |
||
|
管理職上級 |
部長・工場長 |
経営幹部教育 |
会社を経営していくために、経営幹部として必要な知識、技術、技能を修得することを目的とし、役員および管理職上級者を対象として行う。 |
リーダーシップ |
|
目標達成マネジメント/(創造型)問題解決/活力ある職場づくり/リーダーシップ/経営戦略構築 |
|
管理職 |
シニアマネジャー マネジャー |
管理者教育 |
管理者として、組織運営上必要な管理に関する知識、技術、技能を修得することを目的とし、管理職を対象として行う。 |
共通 専門 能力 |
マネジメントの原理原則/組織活性化/意思決定/問題解決能力/部下指導 |
|
|
10~15年 |
指導職層 |
監督者教育 |
監督者として、職場における指導、監督に関する知識、技術、技能を修得することを目的とし、総合職及び専任職の指導職層を対象として行う。 |
|
プロジェクトマネジメント/(潜在型)問題解決力/論理的思考力/表現・説得力/後輩指導力/仕事管理力(段取り)/業務改善/(顕在型)課題解決力 |
|
|
5~10年 |
一般職層 |
一般社員教育 |
会社の現状、業界の動向、その他業務遂行上必要な基礎的知識を深め、従業員としての自己啓発を図ることを目的として、総合職及び専任職の一般職層を対象として行う。 |
自律 行動 |
|
プロフェッショナル意識(コスト・協調・規律・行動意識)/企画・発想力 |
|
1~2年 |
若手 |
新人社員教育 |
新入社員に対し、会社の概要、業務上必要な基礎知識等を修得させて、社員としての自覚と誇り、仕事への意欲を持たせると共に、速やかに会社になじませることを目的として行う。 |
基本 動作 |
ビジネスマナー |
基礎知識/自立心、客観的視点/報告・連絡・相談/モチベーション/コミュニケーションスキル |
|
採用時 |
新入社員 |
|
心構え ビジネスマナー |
|||
≪コーチング・プログラム≫
当社では、人材育成の一環として「未来への種まきプロジェクト」と称したコーチング・プログラム(「対話」を通して企業課題への解決策を模索する組織力向上プログラム)を2021年度から毎年実施しております。このプログラムでは、組織を越えたコミュニケーションの機会を意識的に増やすことにより、社員一人ひとりが自立し、考え、動くことで組織全体が育成されていくことを目指します。2024年度までに累計約195名(全社員対比29.3%)が受講しております。また、このプログラムで育成されたインターナル・コーチは2024年度までに累計20名となり、自職場内外を問わず組織の活性化を図り、組織力の強化に努めております。
③職場環境の整備
社員がやりがいを持ち、互いに尊重しあい、心理的に安心して働ける職場の実現を目指し、「働き方改革」の一環として≪ワークライフバランスの充実≫≪健康経営の推進≫≪労働安全衛生の推進≫を実施してまいります。
≪ワークライフバランスの充実≫
多様化する働き方やワークライフバランスを重視し、働きやすさの向上につながる職場環境の整備として以下の施策を実施しております。
イ.自己申告制度
職場環境の整備を目的の一つとした自己申告制度を年に1回実施しております。職場環境の整備につながる申告に対しては各部門の責任者である執行役員が当該社員との面談等を通じて、職場の環境改善に取り組んでおります。また、総合職層には仕事の難易度、仕事の量、仕事の適性、自己の能力発揮度、趣味、やりがいについて5段階で評価してもらい、仕事の満足度を測定しております。さらに、女性ならではの視点から女性が長く働きやすい職場環境を作るために会社に取り組んで欲しいことを提案する機会を設けております。今後は、この制度は維持しながらも、社員のエンゲージメント向上を図るため、エンゲージメントスコアの測定と運用の導入を検討してまいります。
ロ.人事制度委員会による制度見直し
社員の代表である労働組合本部と総務人事部による人事制度委員会を年3回以上開催し、社員のエンゲージメント向上につながる制度の見直しを実施しております。委員会で取り上げ、改訂又は新規導入されたものとしては、リフレッシュ休暇利用回数と入社初年度の年休付与日数の増加、積立年休の限度日数を50日に引き上げ、男性の10日間の育児休暇(有給)の導入、時間単位年休の導入、定年退職時の慰労目的の旅行補助制度の導入等があります。
ハ.賃金改定・賞与(一時金)に関する委員会の開催
社員の代表である労働組合本部と総務人事部による賃金改定・賞与(一時金)に関する委員会を開催し、賃金改定を実施しております。賃上げに関しては、組合の要求に対して10年連続満額回答をしており、2024年の5.96%に引き続き、2025年は6.3%(組合員平均)の賃上げを実施しました。
ニ.各種離職防止制度の導入
育児離職や介護離職を防ぐ施策として人事制度委員会を通じた職場環境の整備に取り組んでおります。その結果、育児短時間勤務制度、所定外労働の制限、時間外労働の制限(1か月24時間 1年150時間)、深夜業の免除は法定以上の期間に改善され、他にも子どもの看護休暇・介護休暇の有給化、育児のための時差通勤、学級閉鎖時の有給利用等の制度が整備されました。
≪健康経営の推進≫
社員が心身ともに健康で、その能力を十分に発揮できる職場は、組織力を向上させることができます。社員がチームワークを重視し、主体的かつ創造的な行動をとることで企業の活力や生産性が向上し、家庭生活の充実にも繋がります。こうした考えに基づき、健康を重視した経営を推進します。そのため日本化学工業健康保険組合と総務人事部及び安全衛生委員会とのコラボヘルスにより、体と心の健康推進のための施策を下記の通り立案しております。
・生活習慣病対策として生活習慣病検診
・特定保健指導実施率の向上(目標100%)
・人間ドック補助
・全女性社員への乳がん・子宮がん検診補助
・歯科健診
・健康管理委員会による健康増進のための中期的な計画の立案と実行
・外部健康相談窓口の設置
・メンタルヘルス対策としてストレスチェックの実施と改善活動
・ラインケア及びセルフケア研修
・ハラスメントに関する研修
・ハラスメントに関する内部相談窓口と外部相談窓口を設置
≪労働安全衛生の推進≫
職場の「安全」は最重要課題です。労働災害ゼロを実現するために、潜在的な危険有害性の低減を図るよう取り組んでおります。安全衛生委員会を事業所ごとに月1回開催し、経営者・社員・協力会社が一体となって、安全衛生活動を積極的に推進し、安全で安心できる職場環境の構築に努めていきます。
(3)リスク管理
人的資本のリスクと機会は、サステナビリティ推進委員会がリスクを管理し、取締役会にその内容を報告・提言します。取締役会はそれを受け、サステナビリティ対応について指示・監督を行います。多様化する働き方やワークライフバランスを重視した職場環境の整備を進めるとともに、社員とその家族の安全・健康を第一に考えた対応を積極的に進めることでリスク低減に努めてまいります。
(4)指標と目標
人的資本に関する戦略において記載した、方針及び施策に係る指標については、連結グループにおける記載が困難である事から、当社単体での記載となっております。
|
人材戦略方針 |
項目 |
目標 |
2024年度 実績 |
2023年度 実績 |
|
|
方針1 多様な人材の確保 |
女性活躍推進 |
(注)1. |
|
|
22% |
|
キャリア採用推進 |
(注)2. |
|
|
10% |
|
|
方針2 人材の育成 |
体系的教育制度 |
|
|
|
25%/年 |
|
|
|
|
- |
||
|
コーチング・プログラム |
社内インターナル・ コーチ育成 |
延べ |
延べ |
延べ15名 |
|
|
方針3 職場環境の整備 |
健康経営の推進 |
|
|
|
88% |
|
|
|
|
81% |
||
|
ワークライフバランスの充実 |
|
|
|
93% |
|
|
労働安全衛生 |
人事制度委員会の 開催 |
|
|
6回/年 |
|
|
当社社員休業災害 発生率 |
|
|
2件 |
||
(注)1.新卒採用(大学以上)に占める女性採用の割合
2.採用者全体(大学以上)に占めるキャリア採用の割合
3.当社人事制度における総合職及び管理職で受講した者の比率
4.当社研究開発本部及び生産技術本部に所属する当社人事制度における総合職以上の技術者が技術系推奨公的資格を新たに取得した人数
当社グループを取り巻くリスクは一層多様化・複雑化しておりますが、当社グループでは、事業を取り巻くさまざまなリスクを認識・評価し、適切にリスクを統制しております。
当社グループの経営成績等の状況に重要な影響を与える可能性がある主要なリスクは、以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項及び記載したリスクは、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであり、記載は将来発生し得るすべてを、必ずしも網羅したものではありません。
①経済変動に係るリスク
当社グループは、基礎化学品からスペシャリティケミカルに渡る多種多様な製品を扱い、グローバルかつ幅広い用途に事業を展開しています。そのため、当社グループの製品及び商品が販売されている国又は地域の経済状況が大幅に変化した場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
また、最終用途が自動車、電子部品である製品を多く取り扱っており、これら業界の生産動向に大きな変化が生じた場合にも、同様の影響を与える可能性があります。
リスク対策:当社グループを取り巻く経済状況や業界動向の変化を把握するために常に情報収集を行い、変化に応じた生産、在庫調整等により、これらの影響の低減を図っております。
②国内外の事業継続に係るリスク
当社グループの国内外における事業展開エリアでの経済成長鈍化、政情不安、労働問題、インフラ障害、テロ・戦争勃発による社会的混乱、予期しない法的規制、異常気象、天候不順等による自然災害、感染症等が発生した場合、当社グループの財政状況、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
また、大規模な災害・事故、地政学リスクの顕在化・発生・拡大等に起因して、生産・販売・研究開発の停止・制限により事業活動の継続に重大な影響が発生した場合、当社グループの財政状況、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
リスク対策:国内外における拠点での情報収集と共有を行い、当社グループが直面するリスクを洗い出し、優先的に対処すべきリスクに対しては戦略の立案、見直しを行っております。
また、万が一の災害発生に備え、設備の保全強化、被害拡大防止のための防災訓練の実施、BCP復旧計画の策定と実行性を高めるための見直しを年一回実施し、気候変動リスクを含む大災害等の緊急時においても事業活動への影響を最小限にとどめるよう備えています。
③為替レートの変動に係るリスク
当社グループは、製品の一部を海外に輸出し、原材料の一部を海外から輸入しております。そのため、為替レートに大幅な変動があった場合は、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
リスク対策:為替変動の影響を最小限に抑えるため、一部取引については将来の為替レートを事前に固定することで、リスクを軽減しております。
④原材料調達及び価格変動に係るリスク
当社グループが使用する原材料においては、地政学的リスク、環境問題等の発生により、サプライヤーが生産停止・操業停止した場合、需給のタイト化による調達リスク、相場上昇による仕入価格変動リスク等を抱えております。この場合、需給タイト化、納入遅延、仕入価格上昇等により、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
リスク対策:複数購買化を推進し、新規サプライヤーの探索と評価体制を構築することで、調達リスクと仕入価格変動リスクを低減しております。
⑤在庫に係るリスク
当社グループは、顧客の需要予測をもとに適正在庫を保有しながら販売を行っている製品や商品があります。しかしながら、実際の受注が需要予測を下回った場合には、大量の在庫を抱える可能性があり、在庫の削減が進まなければ廃棄処分や評価損が発生する可能性があります。また、棚卸資産の再調達価格(原材料)又は正味売却価額(仕掛品、製品、仕入品)の下落に起因して、多額の棚卸資産評価損を計上する可能性があります。この場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
リスク対策:適正な在庫量を保つため、顧客の需要動向と景気動向から生産量と購買量をマネジメントしています。また、定期的に在庫量と在庫回転数を管理評価し、適正在庫量を見直すと共に、収益性の低下による簿価切下げについて懸念のある一部原料については、原材料価格が製品価格に連動する価格決定フォーミュラを導入しております。なお、長期滞留の恐れのある棚卸資産については、調達先や調達方法・調達時期を見直して、リードタイムの短縮を図っております。
⑥固定資産の減損に係るリスク
当社グループは、さまざまな有形固定資産及び無形固定資産を有しております。事業環境の急激な変化に伴う生産設備の遊休化や稼動率の低下等により、保有資産から得られる将来キャッシュ・フロー見込額が減少した場合には、固定資産の減損会計の適用による減損損失が発生し、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
リスク対策:設備投資の計画段階から、将来の収益計画や投資額の回収見込みを意識して取り組み、重要な生産設備の新設、改造及び処分については、取締役会の承認を経て、減損リスクの極小化に努めています。投資判断についてはハードルレート(WACC)を設定しており、年一回資本コストと合わせて見直しを実施しております。また、大型投資案件については投資後の回収状況をチェックする体制を整えております。
⑦法的規制等に係るリスク
当社グループは、化学品の製造及び販売を主たる事業としており、それに関連した各種の法的規制を受けております。これらの法的規制の大幅な変更等があった場合は、生産活動に支障をきたし、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
リスク対策:化学品の法的規制の動向に関し、複数の情報源から最新情報を入手して適切に対応しております。
⑧研究開発に係るリスク
当社グループでは、既存製品の改良や新規製品の開発を積極的に行っております。これらの研究開発には、多くの人的、財務的資源及び長い期間を必要とします。しかし、開発期間中の市場環境の変化や技術の進歩等により、開発テーマの中止・変更を余儀なくされる場合があり、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
リスク対策:研究開発テーマの選択及びその後の管理の徹底、他企業や大学・研究機関との連携やアウトソーシング等による研究開発の迅速化を図っています。
また、顧客との面談、やり取り等を通じて顧客の最新状況を確認しており、研究テーマ戦略については、半年毎の審議会にて審査、軌道修正が行われております。研究開発に係る技術の知的財産化によりリスク低減に努めています。
⑨知的財産に係るリスク
当社グループは、研究開発や製品製造において独自の技術を有しており、その保護のため、知的財産権の取得を積極的に行っており、第三者の知的財産の尊重にも努めております。当社グループの知的財産が第三者により侵害を受けた場合、また第三者から知的財産権の侵害を訴えられた場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
リスク対策:知的財産権保護のための体制を整え、第三者の知的財産権を侵害しないよう、先行する技術の調査を行っております。また、社員教育を通して知的財産に対する意識の向上を推進しております。これらに加え、各案件において秘密保持契約書等を締結することで当社開発品の秘密情報を保護しております。
⑩情報セキュリティーに係るリスク
当社グループでは、サイバー攻撃や不正アクセス等により、情報の流出やネットワーク障害等の問題が発生した場合、競争力の低下、事業活動の停滞及び信用の低下等により、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
リスク対策:当社グループで使用する情報システムに、様々なセキュリティを施すことで、防衛策を強化しております。
⑪気候変動に係るリスク
気候変動1.5℃シナリオにおいては、政府の環境規制強化にともなう炭素税導入や、再生可能エネルギー需要の増加による価格上昇等費用の増加、世界規模での地球温暖化対策が講じられることによる資源調達費用の増加が想定されます。
また、気候変動4℃シナリオにおいては、異常気象による自然災害の発生に伴う事業活動の停止やサプライチェーンの断絶が大きなリスクとなります。自然災害は、発生の予測が難しく、一度発生すれば、当社の製造拠点が被災し、化学物質の漏洩等甚大な被害をもたらす可能性があります。設備損傷や化学物質漏洩による操業停止等を回避するためには、災害対策に関する設備投資が必要となり、投資による製造コスト上昇も想定されます。
GHGの削減が計画通り行われない場合、炭素税や排出権などのコスト負担が増え、さらに顧客や社会からの評判が落ちて事業存続が難しくなる可能性もあり、これら想定されるリスクの発生により、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
リスク対策:気候変動リスクに係る大災害に対応できるよう、専門の委員会を設置することで、BCP(事業継続計画)体制を構築し、緊急時においても事業活動への影響を最小限にとどめるよう備えています。また、GHGの排出量を算定・把握し、削減計画を立てて削減に取り組んでおります。
⑫コンプライアンスに係るリスク
当社グループは、グローバルな事業展開を行っており、国内外における法令や企業倫理等の社会的規範に抵触し、刑事罰、行政処分、損害賠償責任等の法的責任の追及や、社会的制裁を受ける懸念があります。この様な事象が発生した場合、当社に対する信頼やブランド価値の低下により当社の財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
リスク対策:社内でのコンプライアンス教育を徹底し、全社員が法令遵守の重要性を理解するよう推進しており、定期的に内部監査を実施しコンプライアンス状況をチェックする体制を整えております。また、有識者からのアドバイス等を活用し、関係する法令への対応とその進捗管理を行う体制を整えております。
海外各拠点においては、現地の法令や規制の変更を適宜調査し、最新の情報の把握と情報共有を推進しております。必要に応じて現地のビジネスパートナーや法律専門家との協力により、現地の法令や規制に迅速に対応できる体制を整えております。
⑬事業基盤に係るリスク
当社グループが事業を継続し、成長するためには、人材確保と経営戦略に連動した人材戦略が必要です。生産労働人口の減少や特定領域における人材ニーズの高まり等により、必要な人材を確保できないといったリスクや社員のエンゲージメント低下による離職の増加といったリスクにより当社の財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの企業活動は、様々なステークホルダーからの理解の下に成り立っており、社会の評価基準の多様化や、当社グループからの情報開示の不足、当社への理解が進まないことにより、企業価値の毀損等が発生した場合、当社の財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
リスク対策:多様な人材の確保のために女性活躍推進、キャリア採用推進、外国人採用推進を進めるとともにワークライフバランスを充実させ、健康経営や労働安全衛生を推進し、心理的に安心して働ける職場環境を構築することで離職低下につなげてまいります。
また、決算説明会、IR・SR面談等により、株主、機関投資家との積極的なコミュニケーションを図り、企業の経営理念や長期的なビジョンを共有し、理解を深めてもらうよう努めております。統合報告書、ホームページ、外部評価機関等を通して財務・非財務情報の積極的な開示も積極的に行っております。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次の通りであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、社会経済活動の正常化が進み、緩やかに回復しつつあるものの、原燃料価格の高止まり、不安定な世界情勢、物価の上昇等により、依然として先行き不透明な状況が続いております。
このような状況のもと、当社グループは、中期経営計画に掲げる成長戦略の推進と新たな価値の創造に向け、サステナビリティ経営の推進をベースとした「事業拡大と体質強化」、「グローバル化の推進」、「新たな価値の創造」という3つの重点施策に、全社一丸となって取り組んでまいりました。
「事業拡大と体質強化」
成長分野におきましては、電子部品業界では足元で需要回復の遅れが見られる中、デジタル化の進展を背景に、中長期的には継続的な成長が期待されております。そのような成長への期待を受け、積層セラミックコンデンサ(MLCC)の誘電体として使用されるチタン酸バリウムへの設備能力増強に取り組んでおり、2025年上期中に完成予定です。一方で、半導体ドーパント材料である高純度ホスフィンガスへの投資については、需要鈍化と資材コスト上昇を受けて計画を見直しております。
基礎分野におきましては、国内生産の強みを活かし、技術と品質の向上に努めることで製品価値を高め、安定した利益を確保できる体質へとシフトしております。
「グローバル化の推進」
海外拠点のネットワークを最大限に活用し、グローバルな販売体制の強化に取り組んでおります。足元では地政学的変化に伴い、リスク分散と新市場探索の必要性の高まりから、持続可能なサプライチェーンの構築と新たな事業機会の獲得に注力しております。また、アジア地域を中心とした販売体制の強化を目的とし、2024年6月に台湾に現地法人を設立し、営業を開始いたしました。
「新たな価値の創造」
基盤技術やノウハウをベースに、多様化・複雑化する社会課題の解決につながる新たな価値の創造を追求しております。研究開発の効率化・早期化を目指し、外部の知識や技術を積極的に取り入れるオープンイノベーションを活用しております。さらに、研究テーマの選定においては環境貢献指標を設け、環境への貢献度の高いテーマを優先的に推進しております。
さらに、事業の効率化を図るため、連結子会社である東邦顔料工業株式会社の解散及び清算を決定しました。なお、同社主力事業の当社への移管は2025年度中の完了を見込んでおります。また、書店事業については撤退を行いました。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下の通りとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産は、前年同期に比べ13億9千8百万円減少し、751億5百万円となりました。
当連結会計年度末の負債は、前年同期に比べ27億4千6百万円減少し、287億9百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産は、前年同期に比べ13億4千7百万円増加し、463億9千5百万円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の売上高は、388億4千3百万円(前年同期比3億4百万円増)となり、営業利益は33億4千2百万円(同10億7千8百万円増)となり、経常利益は31億9千9百万円(同8億1千6百万円増)となりました。
この経常利益に投資有価証券売却益4億8千7百万円の特別利益を加え、固定資産除却損3億5千4百万円、減損損失3千3百万円の特別損失及び法人税等4億9千3百万円を差引き、更に法人税等調整額2億4千6百万円を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は25億5千9百万円(同9億6千8百万円増)となりました。
セグメントの業績は次の通りであります。
(化学品事業)
化学品事業は、クロム製品、シリカ製品、燐製品等の化学品の製造・販売を行っております。当社の燐製品は、燐酸、燐酸塩、無水燐酸等であり、工業薬品の原料としてばかりでなく、食品の添加剤、医薬原料、分析試薬、金属表面処理、近年では電材用途でご使用いただく等、数多くの分野に利用されています。クロム製品は、国内唯一のクロム化合物メーカーとして世界屈指の技術と設備を用いて製造され、国内の大部分の需要を賄っているばかりでなく、東南アジアをはじめ多くの国々に輸出されており、めっき、耐火レンガ、顔料等に用いられています。シリカ製品は、1902年(明治35年)に日本で初めて珪酸ソーダの試作に成功して以来、たゆまぬ研究と設備の拡充に努め、これまで世の中のニーズに合ったシリカ製品を数多く販売してまいりました。当社の製品は、古紙の脱インク、土壌硬化材、食品のろ過材原料等に用いられています。
化学品事業の売上高は182億8千5百万円(同5億7百万円増)、セグメント利益は15億4千2百万円(同4億7千2百万円増)となりました。
(機能品事業)
機能品事業は、ホスフィン誘導体、農薬、電池材料、電子セラミック材料、回路材料、高純度電子材料等の製造・販売を行っています。ホスフィン誘導体は、様々な化成品や樹脂を合成する際の触媒、量子ドットの原料等に利用されています。電池材料は、リチウムイオン二次電池用正極活物質として、コバルト酸リチウムを製造しています。最近では独自の製造方法技術により微粉化も成功しており、さまざまな用途から高い評価を得ています。電子セラミック材料は、積層セラミックコンデンサの誘電体であるチタン酸バリウムと、誘電体材料である高純度炭酸バリウムから構成されております。長年にわたりバリウム原料を扱ってきた強みを活かし、蓚酸塩法、アルコキシド法等の製法でチタン酸バリウムを製造販売しています。次世代高速通信(5G)関連やIoT関連及び自動車向けで長期的な需要の拡大が見込まれます。回路材料は、主にACF(異方性導電フィルム)やACP(異方性導電接着剤)用の導電粒子と、導電粒子を使用した異方性導電接着剤を製造しています。高純度電子材料は、主に半導体向けの高純度ホスフィンガス、高純度赤燐で、半導体市場の拡大に伴い、需要の増大が見込まれます。
機能品事業の売上高は188億7千6百万円(同1億8千4百万円減)、セグメント利益は12億1千3百万円(同6億2千3百万円増)となりました。
(賃貸事業)
賃貸事業は、大阪府大阪市西淀川区と福島県郡山市において、病院・小売業等への土地・建屋の賃貸を行っております。
賃貸事業の売上高は、9億1千7百万円(同1百万円増)、セグメント利益は5億4千5百万円(同1千6百万円増)となりました。
(その他)
報告セグメントに含まれない事業セグメントは書籍等の販売、環境測定、当社の原材料、製品等の分析業務を行っています。
報告セグメントに含まれない事業セグメントの売上高は、7億6千3百万円(同2千万円減)、セグメント利益は3千1百万円(同1千7百万円減)となりました。
なお、書店事業につきましては撤退を行いました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは63億6千7百万円の収入(前年同期は61億5千2百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益32億9千9百万円、減価償却費35億8千2百万円、売上債権の減少額31億円、棚卸資産の増加額10億5千6百万円、仕入債務の減少額6億7百万円、未払消費税等の減少額5億7千2百万円、法人税等の支払額10億2百万円を加減したことによるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは固定資産の取得による支出等があり、50億7千万円の支出(前年同期は44億1千4百万円の支出)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは借入金の返済による支出や配当金の支払等により、24億1千9百万円の支出(前年同期は8億7千万円の支出)となりました。
この結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前年同期に比べ11億2百万円減少し、76億2千8百万円となりました。
また、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの合計額から、配当金の支払額を控除したフリーキャッシュ・フローは、5億8千5百万円の収入(前年同期は11億2千2百万円の収入)となりました。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
化学品事業(百万円) |
15,310 |
110.6 |
|
機能品事業(百万円) |
19,534 |
99.7 |
|
賃貸事業(百万円) |
- |
- |
|
報告セグメント計(百万円) |
34,844 |
104.2 |
|
その他(百万円) |
- |
- |
|
合計(百万円) |
34,844 |
104.2 |
(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替後の数値によっております。
b.商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
化学品事業(百万円) |
4,114 |
117.1 |
|
機能品事業(百万円) |
166 |
133.0 |
|
賃貸事業(百万円) |
- |
- |
|
報告セグメント計(百万円) |
4,280 |
117.6 |
|
その他(百万円) |
363 |
91.3 |
|
合計(百万円) |
4,644 |
115.0 |
c.受注実績
当社グループ(当社及び連結子会社)は主として見込み生産を行っているため、受注実績を記載しておりません。
d.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
化学品事業(百万円) |
18,285 |
102.9 |
|
機能品事業(百万円) |
18,876 |
99.0 |
|
賃貸事業(百万円) |
917 |
100.2 |
|
報告セグメント計(百万円) |
38,079 |
100.9 |
|
その他(百万円) |
763 |
97.4 |
|
合計(百万円) |
38,843 |
100.8 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次の通りであります。
前連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(単位:百万円)
|
相手先 |
売上高 |
割合(%) |
|
TDK株式会社 |
6,859 |
17.8 |
当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
(単位:百万円)
|
相手先 |
売上高 |
割合(%) |
|
TDK株式会社 |
5,531 |
14.2 |
|
小西安株式会社 |
4,592 |
11.8 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成に際しては、経営者による会計方針の選択と適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、見積りに当たって過去の実績や状況等を勘案し合理的な判断を行っていますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表の作成に際して採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
また、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載のとおりであります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前年同期に比べ13億9千8百万円減少し、純資産は、13億4千7百万円増加しております。
増減の主なものは次の通りであります。
流動資産では、現金及び預金が8億1千3百万円減少、売掛金が30億4千7百万円減少、商品及び製品が8億3千7百万円増加、原材料及び貯蔵品が1億3千5百万円増加しております。
固定資産では、有形固定資産が12億7千8百万円増加、無形固定資産が3千2百万円減少、投資有価証券が13億4千9百万円減少、退職給付に係る資産が12億6千3百万円増加しております。
流動負債では、支払手形及び買掛金が5億9千8百万円減少、短期借入金が14億1千8百万円増加、未払法人税等が5億2千8百万円減少、未払消費税等が4億4千7百万円減少しております。
固定負債では、長期借入金が28億7千5百万円減少、退職給付に係る負債が1百万円増加、繰延税金負債が1億4千5百万円増加しております。
株主資本では、利益剰余金が18億4千4百万円増加しております。
その他の包括利益累計額では、その他有価証券評価差額金が9億7千7百万円減少、退職給付に係る調整累計額が6億5千1百万円増加しております。
2)経営成績
経営成績につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 b.経営成績」に記載しています。
3)キャッシュ・フローの状況
キャッシュ・フローの状況の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
b.経営成績に重要な影響を与える要因
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2「事業の状況」 3「事業等のリスク」」に記載しています。
c.当社グループの資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料の購入費用のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、主に生産設備投資によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としており、短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。また、短期運転資金の一部は、コミットメントライン契約を取引先金融機関と締結しており、機動的な資金調達を図っております。
d.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
「第2「事業の状況」 1「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載しています。
e.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(化学品事業)
クロム製品はめっき向けが好調に推移したことにより、売上高は増加しました。シリカ製品は需要の減少や、原燃料価格の上昇に伴う価格改定による買い控えが見られ、低調に推移したことにより、売上高は減少しました。燐製品は堅調に推移したことにより、売上高は前年同期並みとなりました。この結果、化学品事業の売上高は、182億8千5百万円(同5億7百万円増)となりました。
(機能品事業)
ホスフィン誘導体は海外向け触媒が大幅に落ち込んだものの、量子ドット向け及び有機合成用触媒原料が大幅に伸びたことにより、売上高は大きく増加しました。農薬原体は堅調に推移したことにより、売上高は前年同期並みとなりました。電池材料は原燃料高を起因とする販売価格の改定により、売上高は増加しました。電子セラミック材料は車載向けが大幅に落ち込んだものの、通信向けで需要の回復傾向が継続したことにより、売上高は前年同期並みとなりました。回路材料は異方導電材料向けが大幅に伸びたものの、接着剤向けが大幅に落ち込んだことにより、売上高は大きく減少しました。高純度電子材料は、半導体向けの一部製品の需要が低調に推移したことにより、売上高は減少しました。この結果、機能品事業の売上高は、188億7千6百万円(同1億8千4百万円減)となりました。
(賃貸事業)
賃貸事業は、堅調に推移したことにより、売上高は前年同期並みとなりました。この結果、賃貸事業の売上高は、9億1千7百万円(同1百万円増)となりました。
(その他)
書店事業は、事業撤退に伴い、売上高は大幅に減少しました。この結果、報告セグメントに含まれない事業セグメントの売上高は、7億6千3百万円(同2千万円減)となりました。
経営上の重要な契約等は以下のとおりであります。
シンジケートローン契約
|
契約形態 |
コミットメントライン契約 |
|
組成金額 |
113億2千6百万円 |
|
契約締結日 |
2025年3月26日 |
|
コミットメント期限 |
2028年3月31日 |
|
アレンジャー兼エージェント |
株式会社三菱UFJ銀行 |
|
参加金融機関 |
株式会社三菱UFJ銀行、株式会社三井住友銀行、農林中央金庫、 株式会社群馬銀行、株式会社東邦銀行 |
|
担保・保証 |
無担保・無保証 |
|
財務制限条項等 |
①2025年3月に終了する決算期以降の各年度の決算期の末日における連結の貸借対照表における純資産の部の金額を、当該決算期の直前の決算期の末日又は2024年3月に終了する決算期の末日における純資産の部の金額のいずれか大きい方の75%の金額以上にそれぞれ維持すること。 ②2026年3月に終了する決算期及びその直前の2025年3月に終了する決算期以降の各年度の決算期に係る連結の損益計算書上の経常損益に関して、それぞれ2期連続して経常損失を計上しないこと。 |
|
借入残高 |
62億2千9百万円(当連結会計年度末現在) |
研究開発活動は、当社が長年培ってきた技術やノウハウをベースとして、「快適性の追求」「エネルギーマネジメント」「健康(命)を守る」の3つの価値を社会に提供すべく、研究開発を行っております。
また、大学研究機関との連携を積極的に活用し、オープンイノベーションによる新規事業の開発を行っております。
なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は、
主な研究開発活動
(化学品事業)
化学品事業では、優位な技術を活用して、各種のシリカ製品、燐製品、クロム製品、バリウム製品、リチウム製品などユーザーニーズに対応する各種機能を付与した製品の開発や基礎研究を進めております。シリカ製品関係では、土木関連向けや環境関連向けの材料開発を進めております。燐製品では高機能性を有する各種の燐酸塩、電子工業向けの高純度薬品などの開発を行っております。
なお、当連結会計年度の化学品事業に係る研究開発費は、
(機能品事業)
電子セラミック材料関係では、積層セラミックコンデンサ材料のチタン酸バリウムを中心に小型軽量化、高機能化が進む電子部品の要望に応えるべく、高性能な誘電材料の開発を進めております。
電池材料関係では、リチウムイオン二次電池用正極材、小型全固体電池材料の開発を行っております。
回路材料関係では、異方性導電接続に使用する金属被覆粉体と導電ペーストの開発を行っております。
有機化学品関係では、新しい有機材料の研究開発に積極的に取り組んでおります。ホスフィンガスを出発原料とするアルキルホスフィン誘導体、ホスホニウム塩系イオン液体、各種不斉反応に用いられるキラルホスフィンリガンド、クロスカップリング反応で常用されるBuchwaldリガンド群、ライフサイエンス向け量子ドットの開発を進めており、今後の市場拡大が期待されます。
その他では、負熱膨張材料、CO2吸収材料等の開発も行っております。
なお、当連結会計年度の機能品事業に係る研究開発費は、
(賃貸事業)
該当事項はありません。
(その他)
該当事項はありません。