第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 会社の経営の基本方針

当社は、創業以来「知識・技術・創意」という知的要素である「技」を高め、お客様には「誠意」~どんな困難な局面においても意欲・忍耐・信念を失わない「心」~で対応する「心技の融和」を企業理念とし、社会に貢献する企業を目指して企業経営を推進しております。

また、当社は、先進的なアプリケーション開発技術と、多様な運用ノウハウを駆使し、顧客への総合的かつプロフェッショナルなサービスの提供に努めます。そして、常に時代を見る眼と、みずみずしい感性を持ち、世のトレンド、環境にフレキシブルな対応ができるよう、新技術の獲得には他社より一歩先んじて取り組んでおります。

これら企業理念及び経営理念をベースとした独自の価値を提供し、様々なステークホルダーに選ばれる企業を目指し、中長期的(10年)な企業のあり方を示す経営ビジョンを「独立系情報サービス企業として、持続的な企業価値向上と社会への貢献」と定めております。

独立系情報サービス企業として株式上場を維持し、お客様、株主、従業員など全てのステークホルダーの期待に応え、社会への貢献を果たします。そして、創業50年を経て、次の100年を目指す企業として持続的な成長を実現してまいります。

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループは、経営の基本方針であります企業理念及び経営理念をベースとした中長期的(10年)な企業のあり方を示す経営ビジョンの財務目標・KPIsとして、売上高300億円以上、営業利益30億円以上、1株あたり当期純利益200円以上、時価総額450億円以上、社員数1,200人以上を掲げております。

顧客の視点に立った経営を基本に、品質と生産性の向上により顧客満足度を高めると共に、収益性及び資本効率性を重視した経営の効率化を進め、企業価値の向上と事業の拡大を目指しております。

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略

当社グループは、中長期的な経営方針である経営ビジョンの方針のもと、新中期経営計画「Growing Value 2026」を2024年4月よりスタートさせました。新中期経営計画では「提供価値を高め、お客様に必要とされる企業」を目指し、その企業像を実現するための基本方針として、「当社の提供価値である品質・効率性・専門性・ノウハウを組み合わせたサービスの質を高め、カスタマーサクセスへの貢献を目指す」と定め、この基本方針に沿った以下5つの基本戦略ごとの取組を推進しております。

 

①  価値提供モデルへの転換

両利きの経営を推進し、カスタマーファーストの考えのもと、人的リソース依存から脱却し、クロスキャット独自の強みを追求して付加価値を高めてまいります。

②  アセットベースビジネスの拡大

公共や銀行、クレジットなど、様々なプロジェクトで蓄積されるノウハウや技術等のナレッジをアセット化し、活用・再利用することで知識集約型企業への転換を図ります。

③  顧客基盤の強化

エンドユーザー比率の拡大に向けて、既存顧客への積極的な情報提供や提案活動、アライアンス先との共創活動、「CC-Dash」のフル活用したクロスセル・アップセル活動などを通じて、エンドユーザーコミュニティの拡充を図ります。

④  人材・組織力強化

当社の価値の源泉である社員に対して積極的に人的投資を行い、IT人材の強化を図るとともに、自発的貢献意欲の醸成、組織風土や職場状況の改善などのエンゲージメント施策を推進します。

⑤  各社の強みや特徴を活かしたグループ経営の展開

クロスキャットグループ各社の連携によるグループシナジーを追求することで、グループの提供価値と効率性を高め、グループ全体の収益性を向上させてまいります。

 

(4) 経営環境及び対処すべき課題

わが国経済は、国内では雇用や所得環境の改善を背景に緩やかな回復基調が持続しているものの、米国の通商政策の懸念や不安定な国際情勢に伴う原材料や燃料価格の高騰、円安による物価の上昇等により、景気の先行きは依然として不透明な状況が予想されております。

当社が属する情報サービス産業を取り巻く環境は、IT人材の不足等の供給面に課題を残しつつも、クラウド、生成AIなどをはじめとする先端IT技術を活用したDXの推進など、社会課題解決に向けたIT投資が引き続き堅調に推移していくと考えております。

 

このような経営環境下、当社グループは、長期的な経営方針である経営ビジョンのもと、中期経営計画の達成に向け、以下の対処すべき課題に取り組んでまいります。

 

 

①  業容の拡大

IoT(Internet of Things)の発展で世の中のあらゆる事象のデータを取得し、取得したデータから新たな価値を創造できるビッグデータやAIは、社会に欠かせない技術となってきており、経営やビジネスの競争優位の獲得に向けたIT投資の戦略性が高まっております。情報サービス業界では、企業のIT投資意欲は高いものの、当社グループが業容を拡大していくには、他社との競争において優位に立つ必要があります。当社は、多様なDX(デジタルトランスフォーメーション)ニーズに対応する専門部署を社長直轄の組織とし、先端技術を活かしたDXへの取組みを一層推進しております。

また、当社は、長年にわたり金融・保険・公共など、非常に公益性の高い分野にシステム開発を提供しており、お客様と信頼関係を構築しております。お客様の課題を先取りし、当社の提供価値である品質・効率性・専門性・ノウハウを活かした積極的な提案活動を行い、柔軟な資源配分を行うことで顧客内シェアの拡大を図ってまいります。

グループとして、子会社であるクロスユーアイエス・クロスアクティブ・クロスリード各社の得意領域と特徴を活かし、グループ経営のシナジー創出はもとより、事業提携やM&Aについても戦略的検討を継続してまいります。

 

②  収益力の向上

収益力を向上させるためには、提供サービスの付加価値を高め、1人当たり売上高及び利益を高めていくことが重要となります。

当社は長年、社会のインフラでもある金融・官公庁・製造など様々な組織のシステム開発や保守を担当してきました。社内には多くのナレッジ・ノウハウなどが蓄積されており、これは当社の強みとなる知的財産であると考えています。この知的財産をベースにサービスモデルを変革するとともに、ブランディングの強化により従業員・社会の認知を高め、新規の事業領域の拡大を図ってまいります。

合わせて不採算プロジェクトの未然防止と作業品質の確保のため、長年運用実績のあるQMS(Quality Management System)と国際的なソフトウェア開発プロセスの能力成熟度モデルであるCMMIのノウハウを活かし、PMO(Project Management Office)による監視強化と併せて高いレベルでの品質管理活動を実践してまいります。

 

③  人材の育成と確保

情報技術の進化は目覚ましく、当社に求められる技術水準も高く、新たな技術習得も企業成長のために必要です。また当社が属する情報サービス業界ではIT人材が不足しており、最も重要な経営資源である技術者の安定的確保とスキルの向上は、継続的な経営課題といえます。そのため、スペシャリスト採用やリファラル採用などの様々な手法を通じて、新卒採用、キャリア採用ともに力を入れる一方で、M&Aも選択肢とし、人材の確保に努めます。迎え入れた人材が戦力として活躍できるよう、最新技術習得とプロジェクトマネジメントスキルの習得を中心とした社内・外部研修による人材育成に努めております。

人事制度では2025年4月に人事制度を見直しました。中核人材が力を存分に発揮し、活躍の度合いに応じた処遇を受けられることを重視するとともに、従業員自身が適性に合ったコースを選択できるようにコースを細分化し、処遇格差も見直しました。

 

④ サステナビリティへの取組み

国連が提唱する「持続可能な2030年までの開発目標(SDGs)」の達成を社会的責務と捉えており、当社においてもサステナビリティへの取組みは重要な課題であります。

クロスキャットグループは、サステナビリティ基本方針として「ITソリューションサービスの提供を通じて、お取引先の環境課題をお取引先と一緒に解決する」社会課題解決型ビジネスに取り組むIT企業グループを目指しております。当基本方針に従い、マテリアリティを特定し、年度ごとにKPIの達成を目指すことで、本業を通して社会課題の解決に貢献し、一層のサステナビリティへの取組みを推進してまいります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) ガバナンス

当社グループは「経営理念」などに基づき、社会課題「地球温暖化及び気候変動による環境変化」に着目し、解決に取り組んでおります。当社グループでは、当社代表取締役社長が気候変動問題に関するすべての責任者となっております。

社外取締役を除く取締役及びグループ会社の社長で構成されるサステナビリティ委員会において、気候変動をはじめとする社会課題に関する重要案件の審議・決定を行うとともに、それに気候変動対応を含む環境、サステナビリティへの取り組み状況の評価・管理を行います。

気候変動をはじめとする環境リスクやサステナビリティに関する意思決定機関としてサステナビリティ委員会(議長:代表取締役社長)を年2回定期的に開催します。サステナビリティ委員会で挙がった気候変動に関わる重要なリスクや気候変動問題を含む社会課題については、コンプライアンス委員会と連携し、少なくとも年に1回、必要であれば適宜取締役会に報告される監督体制を構築しております。

 

(2) 戦略

当社グループにおける人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は下記のとおりとなります。

 

○ 人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針

当社グループは、企業理念である「心技の融和」のもと、持続可能な社会を実現するために、常に時代を見る眼で先進的な「技術」を自ら磨き続けることと、みずみずしい感性で、どんな困難な局面においても「心」を失わない多様な人材を育成しております。今後も引き続き、ITソリューションサービスの提供を通じて、豊かな社会の発展に貢献してまいります。

 

○ 社内環境整備に関する方針

当社グループは、企業が競争力を維持し続けるために、働く社員の心身の健康が最大の経営基盤であると考えております。社員一人ひとりの人権を尊重し、国籍・人種・性別等を問わない多様な人材が活躍できる環境整備を推進することで雇用を維持し、企業の持続的な成長に繋げてまいります。

※詳しくは、当社HPの健康経営宣言に記載しております。

(https://www.xcat.co.jp/ja/sustainability/social/health.html)

 

また、当社グループは、これらの方針をもとに、中長期的な視点で、企業の価値創造に重大な影響を与えるサステナビリティに関する課題の抽出を行いました。そして、ステークホルダーの視点、企業の視点での重要性から優先付けを行い、3つのカテゴリーでマテリアリティ(重要項目)を特定しております。

① 人と

・多様な人材の育成 

・働きやすい職場環境の整備

② 社会と

・社会課題解決型事業の推進

・法規制の遵守、倫理的な行動の徹底

③ 地球環境と

・エネルギー(電力)使用量の低減

・リサイクル推進、廃棄物削減

 

 

サステナビリティ委員会において、ステークホルダーの視点、当社の事業視点において重要度を評価し、「重要度マトリックス」を作成しました。


 

(3) リスク管理

環境マネジメント体制構築のため、環境に関する事柄全般を検討する横断的な組織としてサステナビリティ委員会を設置し、グループ全体としての環境保全活動を推進しています。

サステナビリティに関する事項を所管する経営企画部は、社内の関係部署の協力を仰ぎながら、リスクと機会の特定を主導し、状況の把握を行います。さらに年1回以上、対応策を検討し、サステナビリティ委員会に報告・提言します。

また特定した気候変動の影響について、サステナビリティ委員会が必要に応じてコンプライアンス委員会への連携を行うことで気候変動の影響を全社リスクに統合する役割を担っています。

サステナビリティ委員会は、経営企画部から報告・提言された気候変動の影響と対応について選定と審議を行い、年に1回以上、評価・分析を行います。

リスク評価については、その他のサステナビリティ委員会で審議・調整した事項と共に少なくとも年1回以上取締役会に報告されます。

 

取締役会はサステナビリティ委員会から気候変動に関するリスク管理の状況と対応について報告を受け、監督を行います。

リスク管理プロセス

担当する会議体・組織

評価の範囲

当社グループ

識別・評価・絞込み

サステナビリティ委員会

リスク対応

各企業

モニタリング・報告

サステナビリティ委員会

 

 

 

(4) 指標及び目標

当社グループでは、上記「(2) 戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針を踏まえた各カテゴリーのマテリアリティ(重要項目)に対する非財務のKPIを設定して、取組みを推進しております。当社においては、具体的な取組みは行われているものの、連結グループすべての会社では行われていないため、連結グループにおける記載が困難であります。

このため、次の指標に関する目標及び実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。

指標

目標

実績(%)

女性管理職比率

2026年度期初まで15

15.2

男性の育児休業取得率

2025年度まで30以上

83.3

年次有給休暇取得率

2025年度まで70以上

73.5

労働者の男女の賃金の差異

― (注)1

82.6(注)2

 

(注)1.労働者の男女の賃金の差異の目標については、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)に基づいた公表をしておらず、記載を省略しております。

2.労働者の男女の賃金の差異の雇用区分別の内訳は下記のとおりです。

正規雇用労働者

83.3%

パート・有期労働者

71.8%

 

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

また、これらのリスクの管理体制等については、「第4提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載しております。

 

(特に重要なリスク)

(1) IT投資環境リスク

顧客のIT投資は経済情勢や景気動向の影響を受ける傾向にあり、日本経済が低迷又は悪化した場合には、顧客のIT投資が減少するおそれがあり、その場合には当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 主要取引先への依存リスク

主要取引先である大手メーカー系、インテグレーター系のお客様の発注方針が大きく変更された場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) システム開発リスク

システム開発においては、工程毎に見積りを行っており、QMS(Quality Management System)とCMMI(Capability Maturity Model Integration)による品質管理やPMO(Project Management Office)によるプロジェクト監視に努めておりますが、予測できない要因により開発工程での品質問題や工期問題の発生及びシステムの運用段階になってから不具合等が発見される場合があります。このような状況により不採算プロジェクトが発生した場合は、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 技術者確保のリスク

当社グループでは、人材の採用を積極的に行っており、社内教育による人材育成とビジネスパートナーである協力会社との連携により技術者の確保に努めておりますが、労働市場の流動化と技術革新の多様化により必要な技術者が確保できない場合、事業展開が制約され計画を達成できない可能性があります。

 

(5) 情報セキュリティリスク

情報サービス企業として様々な情報資産を保有しており、ISMS(Information Security Management System)に則った情報管理・取扱と意識浸透の教育に努めておりますが、万一漏洩等の事故が発生した場合、社会的信用を低下させ、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) コンプライアンスリスク

当社グループでは、コンプライアンス教育を実施し、法令や社内規程等の遵守に努めておりますが、コンプライアンス上のリスクを完全に回避できない可能性があり、法令などに抵触する事態が発生した場合や、取引契約に関する問題が発生した場合、社会的信用の低下、顧客からの損害賠償請求等により業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(重要なリスク)

(1) 安全衛生管理リスク

当社グループでは、適正な労務管理に努めておりますが、システム開発プロジェクトにおいては、当初計画にない想定外の出来事が発生し、品質や納期を厳守するため長時間労働や過重労働が発生することがあります。当社グループでは、日頃より従業員の健康問題に繋がるこのような事象の発生を撲滅すべくプロジェクト監視しております。しかしながら、やむを得ない要因によりこのような事象が発生した場合には、システム開発での労働生産性の低下等により業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 技術革新に関するリスク

情報サービス業界では、大幅な技術環境の変化が生じることがあります。当社グループでは多様な技術動向の調査に努めておりますが、予想を超える技術革新への対応が遅れた場合、業績、財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 価格競争に関するリスク

顧客のIT投資に対する要求はますます厳しさを増しており、価格面、品質面から常に同業他社との競争にさらされております。このような市場環境の中で、システム設計からマルチベンダー環境での開発、運用・保守までの全工程を単独で提供できる強みを活かし、より付加価値の高いサービスを提供することにより、単なるコストダウンのみの価格競争の影響を最小限にとどめるよう努めておりますが、見込みを超えた何らかの外的要因による価格低下圧力を受けた場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 企業買収におけるリスク

新しい法制度の整備や企業構造及び企業文化の変化等により、企業買収が活性化する中で当社グループが企業買収を実施又は、被買収企業になる場合があります。企業買収の相手先や内容によっては、当社グループの社風や文化の差異の程度によってシナジーの創出に時間を要し、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 不良債権リスク

当社グループは、社内規定に基づいて締結した顧客との契約をベースに売上債権を管理しております。また、顧客毎に与信管理を実施のうえ与信金額を設定し、債権の滞留及び回収状況を定期的に把握し、貸倒引当金を計上しております。しかしながら、経済情勢の変化により経営基盤の脆弱な企業などにおいて、急速に経営状況が悪化するなど予測不能な事態が生じた場合には、売上債権の回収に支障をきたし、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、国内では雇用や所得環境の改善を背景に緩やかな回復基調が持続しているものの、米国の通商政策の懸念や不安定な国際情勢に伴う原材料や燃料価格の高騰、円安による物価の上昇等により、景気の先行きは依然として不透明な状況が予想されております。

 当社グループが属する情報サービス産業を取り巻く環境は、IT人材の不足等の供給面に課題を残しつつも、クラウド、生成AIなどをはじめとする先端IT技術を活用したDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進など、社会課題解決に向けたIT投資が引き続き堅調に推移していくと考えております。

 

このような事業環境下、当社グループは、中長期的な経営方針である経営ビジョンを「独立系情報サービス企業として、持続的な企業価値向上と社会への貢献」と定め、この経営ビジョンのもと、2024年4月より新中期経営計画「Growing Value 2026」をスタートさせました。新中期経営計画では、当社の強みを明確化し、提供価値である品質・効率性・専門性・ノウハウを組み合わせたサービスの質を高め、カスタマーサクセスへの貢献を目指すことを基本方針とし、この基本方針に沿った5つの基本戦略である「価値提供モデルへの転換」、「アセットベースビジネスの拡大」、「顧客基盤の強化」、「人材・組織力の強化」、「各社の強みや特徴を活かしたグループ経営の展開」を策定しており、新中期経営計画の目標達成に向け、基本戦略ごとの取り組みを推進しております。

 

 これらの結果、当連結会計年度におきまして売上高は16,194百万円(前年同期比8.5%増)と前年同期を上回りました。また、主要事業の受注高増加により高い稼働率を維持できたことや生産性の向上により、原価率が0.3ポイント改善し、売上総利益は3,846百万円(前年同期比9.5%増)となりました。

 分野別の業績は次のとおりです。

 

  (SI分野)

 SI(システムインテグレーション)分野は、クレジットや金融、公共、製造、通信、流通など幅広い業種を対象に、システムの設計、開発、運用・保守などにおいて、長年にわたり培ってきた技術やノウハウを活かした高品質なSIサービスを提供しております。当期の業績については、クレジット向けが前期の大型開発案件の反動減により前年同期比17.0%減となりましたが、金融向けにて銀行業務システムの保守サービス等が好調に推移し前年同期比6.1%増となりました。また、官公庁・自治体・公共企業向けにおいても、行政の推進するデジタル化に関連した受注の拡大が業績に大きく寄与し、前年同期比43.2%増となった結果、売上高は13,988百万円(前年同期比6.2%増)、売上総利益は3,313百万円(前年同期比8.7%増)となりました。

 

  (DX分野)

 DX(デジタルトランスフォーメーション)分野は、クラウド・生成AIなどの先端技術を利用したサービスの提供をはじめ、長年にわたり当社が強みとするデータ利活用のための支援サービスや基盤構築、独自開発システムなどの提供により、業務効率化や生産性向上など様々なお客様のDX化に貢献しております。当期の業績については、独自開発システム関連のサービスが堅調に推移するとともに、データ利活用の需要拡大を背景としたクラウド関連サービスが大きく伸長し、売上高は2,206百万円(前年同期比25.6%増)、売上総利益は533百万円(前年同期比15.4%増)となりました。

 

 

 

2024年3月期

2025年3月期

前年同期比
増減率

SI分野

売上高(百万円)

13,174

13,988

6.2%

売上総利益(百万円)

3,049

3,313

8.7%

DX分野

売上高(百万円)

1,757

2,206

25.6%

売上総利益(百万円)

462

533

15.4%

合計

売上高(百万円)

14,931

16,194

8.5%

売上総利益(百万円)

3,511

3,846

9.5%

 

 

その他の利益面では人材の育成と確保に向けた取り組みの一環として積極的な賃上げや新卒社員の積極採用、教育施策の拡充等、人的資本への投資が増加したものの、販管費抑制の効果などもあり、営業利益は1,836百万円(前年同期比20.7%増)、経常利益は1,898百万円(前年同期比20.9%増)となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度において特別利益に計上した投資有価証券売却益の反動があったものの、増収や賃上げ促進税制適用による税負担の軽減等により、1,316百万円(前年同期比0.4%増)と前年同期並みとなりました。

以上により、売上高及び各利益におきまして4期連続して過去最高を更新いたしました。

 

経営指標の進捗については、収益性指標である売上高経常利益率は主要事業の増収に伴い前年同期から1.2ポイント上がり11.7%となりました。売上高当期純利益率及び資本効率性指標であるROE(自己資本当期純利益率)は前年同期に投資有価証券売却益を特別利益として計上した反動により、それぞれ前年同期から0.7ポイント下げ8.1%、前年同期から1.7ポイント下げ24.1%となりました。

 

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末の9,466百万円に対して1,060百万円増加し、10,526百万円となりました。これは主として、現金及び預金が343百万円、売掛金が867百万円、投資有価証券が98百万円増加した一方で、有形固定資産及び無形固定資産が合計で162百万円減少したことによるものです。

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末の4,382百万円に対して289百万円増加し、4,672百万円となりました。これは主として、短期借入金が300百万円、賞与引当金39百万円、退職給付に係る負債31百万円増加の一方で、未払法人税等が70百万円減少したことによるものです。

当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末の5,083百万円に対して770百万円増加し、5,853百万円となりました。これは主として、資本剰余金の増加14百万円、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による増加1,316百万円、剰余金の配当による減少398百万円、自己株式の買付け等による減少223百万円、その他の包括利益累計額の増加50百万円があったことによるものです。

以上の結果、当連結会計年度末の自己資本比率は、前連結会計年度末の53.7%に対して1.9ポイント上がり55.6%となりました。

 

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ343百万円増加し、当連結会計年度末には2,683百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は、692百万円(前年同期は1,223百万円の獲得)となりました。収入の主な内訳は、税金等調整前当期純利益1,872百万円、減価償却費153百万円であり、支出の主な内訳は、売上債権の増加額868百万円、法人税等の支払額649百万円であります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、28百万円(前年同期は94百万円の獲得)となりました。収入の主な内訳は、敷金及び保証金の回収による収入48百万円であり、支出の主な内訳は、有形固定資産の取得による支出45百万円、無形固定資産の取得による支出34百万円であります.

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は、319百万円(前年同期は963百万円の使用)となりました。収入の内訳は、短期借入金の純増額300百万円であり、支出の内訳は、配当金の支払額396百万円、自己株式の取得による支出223百万円であります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

当社グループは、情報サービス事業並びにこれらの付帯事業の単一事業であり、開示対象となるセグメントはありません。

 

a. 生産実績

当連結会計年度における生産実績は、次のとおりであります。

当連結会計年度

(自  2024年4月1日

至  2025年3月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

12,348,398

8.1

 

(注)金額は、製造原価によっております。

 

b. 受注実績

当連結会計年度における受注実績は、次のとおりであります。

当連結会計年度

(自  2024年4月1日

至  2025年3月31日)

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

15,584,908

△2.0

6,999,648

△8.0

 

(注)金額は、販売価格によっております。

 

c. 販売実績

当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。

当連結会計年度

(自  2024年4月1日

至  2025年3月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

16,194,800

8.5

 

(注)主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合

 

相手先

前連結会計年度

(自  2023年4月1日

至  2024年3月31日)

当連結会計年度

(自  2024年4月1日

至  2025年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

富士通株式会社

2,933,741

19.6

3,060,466

18.9

株式会社NTTデータ

1,980,851

13.3

2,067,332

12.8

国税庁

1,067,917

7.2

1,938,076

12.0

 

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

当社グループのキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

b.資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、売上原価の主な構成要素でありますソフトウェア開発に伴う労務費及び外注費、その開発を支えるパソコンやソフトウェア等の設備投資資金、有利子負債の返済及び利息の支払い等があります。また、株主還元については、財務の健全性等に留意しつつ、配当政策に基づき実施してまいります。

当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は1,504百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は2,683百万円となっております。

なお、安定的な運転資金の調達方法として、金融機関との間で当座貸越契約を締結しており、当連結会計年度末における当該契約の借入未実行残高は1,800百万円となっております。

当社グループは、健全な財務体質、継続的な営業活動によるキャッシュ・フロー創出能力により、今後も事業成長を確保することを目的とした手元流動性を高めるための資金調達や、個別投資案件への資金調達は可能であると考えております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

 

5 【重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

当連結会計年度における研究開発費は、5百万円となっております。