当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)経営方針
当社グループは企業理念を「時空を超えてヒトやモノをつなぎ、豊かな社会を創造する」としています。大手通信事業者が求めるキャリアグレード(短時間の停止も許されない公共的社会インフラを支える技術や品質)の製品・サービスを提供するとともに、グローバルスタンダードであるインターネット技術をベースにした先進的なコミュニケーション・サービスを提供していきます。
(2)経営戦略等
当社グループは、NTTの技術者を中心に創業され、電話公衆網で必要とされる技術・品質レベルを理解し、かつ短時間の停止も許されない信頼性を実現する技術力を持っています。また、ネットワークやコミュニケーションの最新技術を同時に活用し、クラウドサービスとして提供することが可能です。従来得意としている、グローバルスタンダードな海外製品を、日本国内の制度やシステムに適応させ、多種多様なソリューションとして提供するなど、当社グループの特性を活かしたビジネスモデルを展開しています。
当社グループの事業は単一セグメントで、いずれもコミュニケーションに関する最先端の技術を提供する事業を行っています。この事業には2つの事業領域があり、2つに分けて管理しています。一つ目は、「ボイスコミュニケーション事業」、二つ目は「コミュニケーションDX事業」です。
ボイスコミュニケーション事業において、当社グループのコア製品であるSBC(Session Border Controller)を始めとして、当社グループのネットワーク技術をベースとした音声技術製品群は、大手通信事業者様の電話通信網で引き続き重要な役割を果たしており、安定した稼働を保証する保守サービスを提供することが、求められています。大手通信事業者は、IP化された電話通信システムの更改・機能強化を進めており、当社グループのソフトウェアSBC「NX-B5000」は、今後も販売、保守サービスにおける需要が見込まれます。また、企業向け電話システム市場においても、働き方改革、DX推進の進展によりクラウドPBX(クラウド型社内電話交換システム)サービスの契約数が伸びています。そのほかには、コンプライアンスの強化の観点から、コンタクトセンターにおける通話録音や音声認識の引き合いも増加傾向にあり、それに伴い、老朽化した通話録音装置のリプレイスに関する案件の獲得も増加しています。
今後は、当社グループのソフトウェアIP-PBX「NX-C1000 for Enterprise」やソフトウェアSBC「NX-B5000 for Enterprise」をベースに開発した当社グループの「U-cube voice」や「U-cube friends」等のクラウドサービスを、パートナー事業者を通して一層拡大していきます。あわせてクラウドサービスを提供する事業者や、クラウドサービスを開始する事業者に対して、当社グループのソフトウェアPBXやソフトウェアSBCを提供し、同事業者がサービスメニューを速やかに立ち上げ瞬時に拡充し、販売を拡大できるというビジネスモデル「Enablerサービス」の推進にも注力します。
こうした取り組みの一環として、クラウドサービス事業者間の連携を強化することを目的に、パートナー各社を組織化し情報交流、技術交流を進める場、「NextGen CaMP」を設立しており、現在はエヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社始め、18社に加盟頂いています。
コミュニケーションDX事業においては、海外のトレンドに目を向け、国内への導入展開をする取り組みを進めています。一つ目の取り組みは、長年取り組んできたAIによる音声認識を活用し、工事現場での安全ミーティングの質を高めるためのシステムである工事KY(工事危険予知)ソリューションの高度化などがあります。二つ目の取り組みは業務プロセスにおいて、分析・設計・実行・監視、改善を行うBPM(ビジネス・プロセス・マネジメント)システムとクラウド技術を活用して、「業務の効率化・最適化」を推進する事業です。三つ目の取り組みは、特殊電話詐欺対策として、「電話を取らない」のではなく、発信者の正当性を証明する仕組みを構築し、必要な電話や重要な通話を安心して受けられるようにするシステム等、様々な事業アイディアの創出です。今後もこうした新規性のある構想に積極的にチャレンジしていく予定です。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループの中長期的な見通しにつきましては、経営環境の変化に柔軟に対応し、より現実的な数値目標を設定すべく、毎年、直前事業年度の業績等を踏まえて次年度以降の中期経営計画の見直しを行っております。
事業の成長とともにキャッシュを生むことが重要であるとの経営判断に基づき、2028年3月期(通期)の連結売上損益として、売上高 50億円、営業利益 4億円、EBITDA 7億円を計画しています。利益率の高いサブスク型ビジネスが収益の安定基盤となることで、当社グループ事業の成長を見込んでいます。
(4)経営環境
当社は、経営基盤のさらなる強化と企業価値向上を図るため、2025年2月17日付で東京証券取引所グロース市場からスタンダード市場へ上場市場区分を変更するとともに、名古屋証券取引所メイン市場への重複上場に至りました。これにより、さらなる幅広い投資家層への認知拡大と流動性の向上を目指し、経営環境の変化に柔軟に対応できる体制を整えています。
当社グループの主要事業であるボイスコミュニケーションサービス分野においては、国内大手通信事業者、海外からのサービス事業者(例えば、ZOOM等)、新規参入のサービス事業者による新サービスの市場への導入や価格競争があり、市場は活性化しています。また、コロナ禍をきっかけに、リモートワークは多くの人にとって一般的な働き方のひとつとなり、オンライン会議も日常的な打ち合わせの手段として定着しました。
こうした中、当社グループが創業以来事業の中心としてきた音声通信ネットワーク技術、IPによるボイスコミュニケーション、電話の通信技術の変革は、大きな節目を迎えました。日本の固定電話通信サービスのネットワークである公衆交換電話網をインターネット技術によって置き換えるという大事業を完了させました。これにより、音声通信の効率は劇的に改善し、またその結果として国内の音声通話料金は大幅に低下致しました。当社グループの事業機会は益々拡大していくものと認識しています。
一方、これらの市場の変化は、同時に販売形態の変化を伴うことがあります。1件あたり数億円の大きなプロジェクトでハードウェアとソフトウェア・ライセンスを通信会社へ一括販売するワンタイム型のビジネスが減少傾向にあり、顧客自らハードウェアを持たないクラウドサービス、サブスク型のビジネスへ移行するという売上構造のシフトです。これは売上の観点から見ると、大型プロジェクト一括での売上が減少となり、そのギャップを埋めることが過去数年の課題となっていました。そのギャップを埋めるため、保守サービスの増加や、クラウドサービスの拡大、パートナーとのより深い共同事業を行うための新たなビジネスモデルであるEnablerサービスの導入等により、安定した収益を生む構造への転換が進んでいます。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループが今後優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は以下のとおりです。
① 人材の確保と働き方の改革
当社グループの属する情報通信分野においては、高度化する技術への対応、高度な専門知識を持った技術者の不足等の難題を抱えており、有能な人材の採用と育成、働き方の改革は大きな経営課題となっています。当社グループでは、かねてより柔軟な働き方に対応した制度の導入や生産性を向上させるため、自社のソリューションを活用してきました。このため遠隔地へ転居しても、勤務を継続することや育児・介護を行いつつ仕事も進められる環境が整い、能力ある人材が無理なく仕事を継続できるようになっております。多様な働き方が許容され、必要に応じてテレワークが選択可能である働き方の改革は、優秀な人材の確保に役立ち、当社グループの重要な強みとなっています。当社グループは、引き続きワークスタイルの変革を推進し、優秀な人材の採用・育成を進めていきます。
② 収益力の向上
売上の拡大と安定した利益の確保を図るため、いわゆるサブスク型の事業・サービスを強化することが重要であると考えており、安定した収益源である保守サービスやクラウドサービスを成長させることに注力しています。株主でもある事業パートナーとの連携により、さらなる売上成長を目指していきます。
また、収益確保の上で課題である新規プロジェクトの採算管理、スケジュール管理の見直しを進め、着実に収益を上げることができる体制が構築されてきています。今後もさらに改善を進め、プロジェクトの進捗管理に努め、無駄なコストを削減し、DXの推進によって効率アップに取り組んでいきます。
③ 新製品の企画開発
先期に開発完了し、市場導入したコミュニケーション・プラットフォーム・サービスであるCPaaS(Communications Platform as a Service)は、従来、輸入していた製品サービスを自社開発のソフトウェア、クラウドサービスとして置き換え、音声通話、ショートメッセージ(SMS)、オンラインチャット等、様々なコミュニケーションツールをシームレスに使用できる統合的な基盤です。この基盤を利用し新たなサービスを開発し提供しています。
当社グループはAI音声認識分野において産学連携を進めており、人材交流や共同研究を通じて、基礎技術の蓄積を図っています。こうして培った技術を安全管理に応用し、工事現場での安全ミーティングの音声収録・評価システム「工事KY(工事危険予知)」を製品化しています。
これらの技術や取り組みを広く認知いただくためには、広報活動を通じて、当社グループの提供するソリューション・サービスをわかりやすくステークホルダーの方々へ伝えていくことが重要であると考えています。ニュース・リリースやビデオ映像による事業紹介等、情報発信の取り組みを、今後さらに充実させていきます。
④ 品質向上に向けた活動
当社グループの創業以来培ってきた通信事業者向けソフトウェア開発においては、通信事業者の厳しいサービス運用基準への適合が要求されます。これらのソフトウェアをクラウド上で提供するクラウドサービスにおいても、品質の確保は必須であり、事業を継続していく上で当社グループの重要課題であると認識しています。より高いレベルでの品質確保のため独立かつ客観的な立場で判断ができる品質管理担当を設け、全ての開発プロジェクトに品質プロセスを適用し品質の担保に努めています。
当社グループは「時空を超えてヒトやモノをつなぎ、豊かな社会を創造する」という企業理念の下、社会の発展に貢献できるビジネス展開や、自社の制度改革などを実践してまいりました。
環境・社会・ガバナンスの3つの観点から成る以下の取り組みを、今後も社員一人ひとりが意識し継続していくことで「SDGs」の達成に貢献できると考えています。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)ガバナンス
当社グループは、環境・社会・ガバナンスの3つの観点から重要性の高い課題について方針を定め、管理・報告する組織を決定し、リスクに対しては適切な回避策を策定する一方、マーケットの変化に対応していく等、新たな成長機会の獲得を目指すための取り組みを行っています。活動内容については、当社の課題管理担当組織より定期的に経営会議に報告し、さらに執行役員から取締役会に報告することで、取締役会の監督が適切に図られるよう体制をとっています。
(2)戦略
<環境>
① 環境対策推進のためのパートナーシップのプログラムへの参加
② グリーン調達を意識した取引(スマホやPCのリサイクル品の販売など)
③ 企業のDX化を推進するために当社のクラウドサービスを提供することで、働く場所や、時間、デバイスを自由に選択できる職場環境づくりに貢献
④ ビジネスプロセス、例えば、契約締結やFAX受信などのDX化によってペーパーレス、CO2削減を推進
<社会>
① コミュニケーション基盤となる共通プラットフォームの提供
② 字幕電話サービスの提供
③ フレックス勤務やリモートワークを活用し多様な働き方を選択できる働き方改革を実施
<ガバナンス>
① 商用システムにおける製品バグを起因とする運用停止時間の低減
② クラウドサービスにおける高稼働率の実現
③ 社内勉強会開催
④ 社内DXの推進
(3)リスク管理
<環境>
① 気候変動に影響する炭素排出量削減への取り組み
環境負荷軽減が配慮されたサーバーやネットワーク機器を利用するなどの購買管理を実施する。
② 自然災害の発生による事業の中断を回避するための取り組み
働く場所を限定せず、いつでもどこでも働ける環境を整え、災害の被害を逃れた社員で事業継続をするためのリソースを確保できる体制を整備している。サービス提供については、基本はクラウド上でデータを管理しており、ロケーションの拠点冗長については中長期的な成長戦略を踏まえて決定する。
<社会>
① イノベーション促進への取り組み
ボイスコミュニケーション技術を活用し、新たなソリューションを見出すための研究開発や製品開発に取り組み、豊かな社会の創造を目指す。
② IT技術者の人材確保
採用パートナーとの連携強化、社内事業部門のマネジメントラインとの連携(スクラム採用体制)、カムバック制度や社員(リファラル採用の推進)による採用力の強化を図る。
③ 労働管理への取り組み
問題を放置することによる人材流出や採用活動の停滞が発生しないような取り組みを実施する。
④ 多様な人材の確保
少子高齢化の進行による人材不足が懸念される中、多様な(シニア、国籍、性別、生活環境などを問わず)人材が働きやすい職場環境をつくる。
⑤ 人的資本の開発
採用方針の策定や社員育成プランの企画を行い人的資本の開発を行う。
<ガバナンス>
① 企業行動
コンプライアンスを意識し、企業の社会的信頼への取り組みを実施する。
② 製品の安全性と品質管理への取り組み
製品やサービスの品質を向上させるため、品質保証を専門とする専任組織を設け管理・教育を行う。
③ プライバシーとデータセキュリティに関する取り組み
ISO27001/27017に則り、プライバシー情報や秘密情報の漏洩を防止するための対策を講じ実施する。また専任組織を設けて管理・教育を行う。
④ 持続可能性と社会的価値の重視
責任ある投資判断(ソフトウェア開発、事業買収など)、市場拡大戦略、製品・サービスの優位性をもって成長を支える堅実な基盤を構築しつつ、持続的な発展及び社会的責任を果たしステークホルダーの信頼を確保する。
(4)指標及び目標
<環境>
① 取引先と環境負荷軽減の取り組み連携



<社会>
① ボイスコミュニケーション技術を活かしたサービス提供
② 働き方改革の推進






<ガバナンス>
① 従業員が倫理観をもって働ける環境作り
② 製品・サービスの品質維持、向上
③ 中長期的な成長戦略





(5)人的資本・多様性についての取り組み
<基本指針>
人的資本の活用にあたって、当社グループでは、社員との良好な信頼関係の構築が重要であると考えており、組織全体の成長を実現するため、従業員が高いパフォーマンスを発揮できる環境整備と社員教育の充実を図るとともに適材適所への配置と有機的な組織づくりを進めております。
<人材の育成および社内環境整備に関する方針および取り組み>
① 多様性のある人材の確保と活躍推進
・働く場所に依存しないリモートワークと対面コミュニケーションを両立させた生産性の高い働き方を推進
リモートワークの比率について75.0%程度を目標とし、2024年度は77.8%の実績を得ています。
・コアタイムのないフレックスタイム制度の導入
この制度により所謂業務と業務の間の「中抜け」を認め、更に社員の平均有給取得日数の実績は13日となっており、社員のワークライフバランスを保っております。
・中学校就学前の子を養育する社員に対する短時間勤務制度を整備
・定年制度を廃止し、多様な価値観・ライフスタイルに対応
・性別、年齢、国籍、障害の有無、価値観などの多様性を尊重し、幅広いバックグラウンドを持つ人材の採用
・多種多様な人材を尊重し、誰もが能力を最大限に発揮できる環境づくり
② 人材の育成とキャリア支援
・若手社員向けに年間8名程度の「ストレッチアサインメント」を導入し、高い目標への挑戦を支援
・エンジニアを営業部門に配置、管理系スタッフを開発部門に兼務するなど、部門間を超えた人材交流を実施
・業務に関連するテーマについて各社員が主体となり講師を務める社内勉強会『ビジネスビレッジ』を定期的に開催
社員の意見やフィードバックを活用し、組織全体の成果向上を目指す取り組みを実施しています。月に1回程度を目標値とし、2024年度は12回実施しました。
・多角的な視点と経験を獲得できる機会を提供し、組織の柔軟性と競争力を強化
・女性活躍推進法に基づく継続的な対応
・キャリア形成支援およびワークライフバランスの改善による活躍支援
・多様な人材の確保・育成を実現し、企業の持続的成長と社会的責任を両立
・適正な勤務時間の確保のため、定期的なモニタリングを実施・管理
・メンタルヘルス対策として、外部カウンセリング窓口の設置や管理職向けの研修を実施
・健康診断やストレスチェックを定期的に実施し、早期発見と対応の実施
女性活躍推進に関する取り組み
|
指標 |
目標 |
実績(当連結会計年度末) |
|
|
|
|
|
当社グループの正規雇用者に占める 女性の割合 |
|
|
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
当社グループの事業展開上、リスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また必ずしも事業上のリスクに該当しない事項であっても、投資判断上あるいは当社グループの事業活動を理解する上で重要と考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から記載しております。当社グループではこれらのリスクの発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ですが、すべてのリスク予測及びそれらに対する回避を保証するものではありません。また以下の記載は、当社株式への投資に関連するリスクを全て網羅するものではありませんので、この点にご留意ください。
(1)市場環境の変化について
当社グループの主要事業である通信サービス分野においては、大手通信事業者、各種サービス事業者による価格競争や商品及びサービスの差別化、新たな事業者の参入による市場競争は激しさを増しており、各社の製品開発や技術革新に向けた取り組みは、一層加速しています。こうした中、当社グループが創業以来培ってきたボイスコミュニケーションの市場は電話でのコミュニケーションに限定しない、各種サービスと音声の連携の動きがますます広がっており、当社グループの事業機会は拡大しているものと認識しております。しかしながら、環境変化に当社グループが追随することができなかった場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(2)新規事業について
当社グループは、将来的な事業拡大に向け、当社グループの技術や製品を活用した新規事業及び新サービスの開発に積極的に取り組んでおります。新規事業等の展開にあたっては、人材の採用、研究開発費や設備費への先行投資や、広告宣伝費等に追加的な支出が発生し、利益率が低下する可能性があります。また事業方針の変更や事業の見直し、事業からの撤退等何らかの問題が発生する可能性も想定されます。
新規事業の拡大・成長が当初の予測どおりに進まない場合、それまでの投資負担等により当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
そして、これらの新規事業には不確定要因が多く、事業推進の過程において急激な市場・技術動向の変化、当社グループの経営方針や取引先企業との関係の転換等により、事業計画の変更を余儀なくされる可能性があります。
また、新規事業及び新サービスの展開に先立ち、製品開発やシステム構築を行う必要がありますが、これらの対応が人員不足等の原因により計画どおりに進捗せず、収益化が遅れる可能性があります。これらの場合は、それまでの投資負担等により当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(3)投資活動について
当社グループは将来に向けて社会と技術の変化に対応すべく、M&A等(買収、合併、事業の譲渡・譲受、事業投資)の投資活動は効果的な手段の一つと考えております。
これら投資活動の実施に当たっては十分に検討を行いますが、その想定したとおりに事業を展開できない場合、投資を十分に回収できないリスクや投資活動に伴い発生したのれん等の減損損失が発生するなどのリスク等が存在しており、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(4)知的財産権について
当社グループにとって知的財産権の保護は重要な課題であるとの認識に基づき、特許等知的財産権の出願・登録を積極的に行っております。なお、当連結会計年度末における当社グループが保有する特許は10件、出願中の特許は2件となっております。
第三者の知的財産権を侵害するリスクを最小限にするため、当社グループにおける知的財産分野の体制及び人員の強化を図り、最善の努力を行っております。しかしながら、当社グループの技術は広範囲に及ぶ一方、情報通信産業における知的所有権の調査・確認作業は繁雑であり、かつ今後に向けてどのような知的財産権が成立するかを把握することはきわめて困難であるため、現在、または将来に向けて当社グループが利用または提供する技術が、第三者の知的財産権を侵害しているという主張が当社グループに対してなされる可能性があります。そのような事態が発生した場合は、訴訟費用や損害賠償金の支払い等の発生により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(5)ソフトウェア資産の減損損失の可能性について
当社グループは通信システムに関わるソフトウェアを開発しており、現時点で適正と考えられるソフトウェア資産を計上しております。しかしながら今後、事業環境の変化により保有するソフトウェアの収益性が著しく低下し投資額を回収できなくなった場合には、減損損失が発生し当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(6)プロジェクトの納期変動リスクについて
当社グループでは、プロジェクトごとに売上規模や利益率が異なり、その売上計上時期によって業績が大きく変動します。想定外の仕様の変更など顧客側の都合等により契約上、当初予定されていた期間内に、顧客による検収を受けることができない場合、またシステムの不具合等の要因によりサービスの納品時期がずれ込んだ場合、当社グループの四半期ごとの業績が大きく変動する可能性があります。
(7)人材の確保について
当社グループの事業領域は情報通信分野における先端技術を必要とすることから、高度な専門知識と経験を有する人材の確保が経営上の重視すべき事項となっております。また、当社グループの人員は現段階では事業規模に対して適正と考えておりますが、効率性重視の観点から各組織に配置されている従業員数は最小単位となっており、業務によっては特定個人の属人性に依存している部分もあります。人材の確保や社内の情報・ノウハウ共有には十分な措置を講じておりますが、必要な人材を必要な時期に常に確保・維持できる保証はなく、人材に急な欠員が生じた場合、当社グループの事業活動に支障が生じ、業績に影響を及ぼす可能性があります。
(8)資金調達について
当社グループの中長期的な継続成長のために必要な重点事業分野については、新製品のための研究開発投資やM&A等による事業拡大のための投資活動、ソフトウェア及びハードウェア等のシステム投資等を継続する予定であり、そのための資金需要に対応していく必要があります。これらの資金需要に対し、環境変化によって十分な資金調達を行えない場合には事業機会を逸し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(9)大規模自然災害・感染症拡大等について
当社グループは大規模な自然災害や感染症が拡大した場合においても、平常時よりテレワークを推進することで事業継続が可能な体制整備を進めておりますが、当社グループや取引先の事業活動の停滞や、社会的な生産・物流の停滞に伴う調達への支障が生じるおそれがあり、これらが当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当社グループをとりまく情報通信分野は、様々な環境下の中で、ライフスタイルにあった働き方やコミュニケーションの手法を選択できるよう、企業による前向きな設備投資が進んでおり、クラウドサービスへの移行、DX(デジタル・トランスフォーメーション)の推進による需要が増加しています。国内のICTサービス市場規模は、今後さらに拡大化されることが見込まれます。
こうした状況の下、当社グループ活躍の場はさらに広がるものと期待して、以下のとおり事業を展開してまいりました。
a.財政状態
(資産)
当連結会計年度末における総資産は、3,536,496千円となり、前連結会計年度と比べ258,657千円の増加となりました。増加の主な要因は、現金及び預金が547,785千円、投資その他の資産「その他」に含まれる長期前払費用が9,552千円増加したことによるものであります。減少の主な要因は、売掛金が232,974千円、製品が15,750千円、流動資産「その他」に含まれる前払費用が13,342千円、のれんが9,096千円、ソフトウエア資産が40,917千円(新規開発及び取得等により253,128千円増加、減価償却により261,561千円、減損損失により32,484千円減少)減少したことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債の総額は、1,363,743千円となり、前連結会計年度と比べ45,839千円の増加となりました。増加の主な要因は、前受金が94,609千円、株主優待引当金が22,526千円、流動負債「その他」に含まれる未払消費税等が20,145千円増加したことによるものであります。減少の主な要因は、買掛金が34,898千円、賞与引当金が25,785千円、未払法人税等が31,343千円減少したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は2,172,752千円となり、前連結会計年度と比べ212,818千円の増加となりました。増加の主な要因は、譲渡制限付株式報酬としての新株発行により資本金及び資本剰余金がそれぞれ18,575千円、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が204,883千円増加したことによるものであります。減少の主な要因は、配当金の支払により利益剰余金が30,666千円減少したことによるものであります。
b.経営成績
当社グループの経営成績については、ボイスコミュニケーション事業において、企業向けの専用ハードウェア電話交換システム(PBX)の生産終了などを背景に、クラウドPBXやソフトウェアPBXの需要が拡大しています。これにより、官公庁、保険会社、金融機関などへの導入実績も順調に伸びています。また、企業のクラウド化ニーズに対応する形で、当社グループのクラウドPBXサービス「U-cube voice」などが多くの企業に継続的に利用されており、安定した収益基盤となっています。さらに、当社グループが提供するコミュニケーション・プラットフォーム「U-cube CPaaS」や、音声認識AIを活用した録音・分析システムに対する需要も高まっています。これらの製品・サービスは、自治体や大手通信事業者との協業を通じて導入が進んでいます。加えて、PSTNマイグレーション(公衆交換電話網のIP化)対応や、双方向番号ポータビリティ制度(異なる通信事業者間での番号継続利用)への対応支援も実施しました。コミュニケーションDX事業においては、政府系外郭団体に対してコールセンターシステムを提供するとともに、業務改善に向けたコンサルティングサービスも実施しています。また、当社グループの通話録音ソフト「LA-6000」は、AIによる音声認識に対応し、NTTテクノクロス社の製品と連携することで、米国BPO事業者や国内大手企業への導入が進んでいます。さらに、安全管理ソリューション「U-cube cogni 工事KY」は、KY(危険予知)活動をデータで分析できるツールとして、複数の企業で活用されています。BSSソリューション分野では、モバイル通信の制御やユーザー管理システムの運用支援に加えて、企業のクラウドDX化を支援するコンサルティングも継続的に提供しています。加えて、日本通信株式会社が推進するフルMVNO※プロジェクトでは、当社グループの「NX-B5000」がゲートウェイ機能として採用され、技術支援を行いました。当社のセキュリティ診断技術も高く評価されており、通信事業者との取引実績は着実に拡大しています。その結果、売上高は、3,620,794千円(前連結会計年度比2.8%の増加)となりました。
損益面につきましては、増収と外注費などのコスト削減により売上総利益は、1,417,607千円(前連結会計年度比8.6%の増加)、営業利益は、262,271千円(前連結会計年度比44.6%の増加)、経常利益は、250,401千円(前連結会計年度比44.1%の増加)、親会社株主に帰属する当期純利益は、204,883千円(前連結会計年度比22.7%の増加)となりました。
受注状況について、ボイスコミュニケーション事業においては、クラウドサービスや保守サービスといった安定収益基盤となるサブスク型ビジネスが堅調に推移しております。また、自社ソフトウェアやシステム構築案件においても新規受注を着実に獲得しております。コミュニケーションDX事業においては、企業のDX推進を支援するシステム開発案件の継続的な新規受注に加え、クラウドサービスの受注も順調に推移しております。さらに、モバイル事業者向けの保守サービスについても、安定的に受注残を積み上げております。その結果、受注残高は2,088,042千円(前連結会計年度比20.3%の増加)となりました。
※MVNO:Mobile Virtual Network Operatorの略で、日本語では仮想移動体通信事業者と訳されます。携帯電話会社から通信網の一部を借り受け、サービスを提供している事業者をMVNOと呼びます。「フルMVNO」とは、MVNOの中でも自社でコアネットワークの一部を 保有して運用することによりSIMカードを発行できる事業者のことを指します。これにより独自のサービスや料金体系を設定できるメリットがあります。
|
区分 |
第 23 期 (2024年3月期) |
第 24 期 (当連結会計年度) (2025年3月期) |
増減 |
増減率(%) |
|
|
売上高 |
(千円) |
3,522,737 |
3,620,794 |
98,056 |
2.8 |
|
売上総利益 |
(千円) |
1,305,309 |
1,417,607 |
112,297 |
8.6 |
|
営業利益 |
(千円) |
181,391 |
262,271 |
80,880 |
44.6 |
|
経常利益 |
(千円) |
173,759 |
250,401 |
76,641 |
44.1 |
|
親会社株主に帰属する当期純利益 |
(千円) |
166,920 |
204,883 |
37,962 |
22.7 |
|
受注残高 |
(千円) |
1,735,795 |
2,088,042 |
352,247 |
20.3 |
当連結会計年度における事業区分別の概況は、以下のとおりです。
|
事業区分の名称 |
第23期 (2024年3月期) |
第24期 (当連結会計年度) (2025年3月期) |
増 減 |
増減率(%) |
|
ボイスコミュニケーション事業(千円) |
2,693,320 |
2,523,298 |
△170,022 |
△6.3 |
|
コミュニケーションDX事業(千円) |
829,417 |
1,097,496 |
268,079 |
32.3 |
〔ボイスコミュニケーション事業〕
ボイスコミュニケーション事業は、あらゆるビジネスユーザーの音声通信をサポートするソリューションやサービスを、大手通信事業者(メガキャリア)、当社の大株主でもある事業パートナーやSIerなどの販売パートナーを通じて提供しています。当連結会計年度の状況は以下のとおりです。
1.音声通信のDX(デジタルトランスフォーメーション)関連事業
クラウド化が進む市場において、当社グループのソリューション・サービスは、大手通信事業者(メガキャリア)のコアシステムや、多くの企業におけるクラウド型音声通信サービスとして広く採用されています。
●「NX-B5000」シリーズ:音声通信のためのソフトウェア・ゲートウェイであるSBCです。異なる機器や通信事業者間の接続機能と実績が高く評価され、電話系ソリューションのDX化に貢献、一般企業や官公庁への導入が拡大しています。
・保険会社にてコンタクトセンターソリューションとAIシステムとの接続用途として導入されました。
●「NX-C1000 for Enterprise」:企業の電話を、スマートフォンやPCなど多様なデバイスでの受発信を可能にするソフトウェア音声通話交換システムであり、拠点間や外出先との内線電話交換機能を備えています。
・大手金融機関や保険会社で当社の実績が高く評価され、これらのシステムが導入されました。
●クラウドPBXサービス「U-cube voice」:旧来の専用ハードウェア型PBX(内線電話交換システム)の生産終了に伴うリプレイス需要により、クラウドPBXサービスへの移行が進み、売上が伸長しています。クラウドPBXサービスは、大手通信事業者(メガキャリア)や通信系SIerを通して、多くの企業に継続的に利用され、収益の安定に貢献しています。
・Enablerサービス(事業基盤となるクラウドサービスそのものを提供):自社でクラウドサービス事業を展開したい企業向けにクラウドサービス自体を提供し、パートナーのブランドでの事業展開を支援しています。導入時の環境構築や運用サポートも提供しています。都築電気株式会社の「TCloud for Voice」もそのひとつです。
●コミュニケーション・プラットフォーム「U-cube CPaaS」:音声を始めとした様々なコミュニケーション機能を、APIを利用して、ほかのアプリケーションやシステムと簡単に連携させるための基盤を提供するサービスです。例えば、音声通信、SMS送信やプッシュ通知などの機能が含まれています。
・株式会社電話放送局の自動音声応答サービスとの連携により、販売実績を順調に伸ばしています。背景には、人材不足に伴う企業の業務効率化に向けたニーズがあり、音声通話を含む通信ネットワークのIP化が推進されていることが挙げられます。
2.PSTNマイグレーション関連事業
働く場所やデバイスの多様化に伴い、IP電話サービスがあらゆるところに浸透し、異なるネットワーク同士を接続する音声通信ゲートウェイ「NX-B5000 for Enterprise」の需要が引き続き堅調です。
●「NX-B5000 for Enterprise」:
・通信事業者向けに開発された高い信頼性、品質、安定性が評価され、IP化を進める企業やクラウドPBXサービス事業者など、多様な音声通信ネットワークのソフトウェア・ゲートウェイとして広く採用されています。
・大株主である事業パートナーとの協業案件も進んでいます。
●双方向番号ポータビリティ制度への対応:
・固定電話の契約先を変更しても、これまでの電話番号を引き続き利用できる制度です。通信事業者は、自社システムをこの制度に対応させる必要があり、制度開始に伴う開発や導入支援を実施しました。
●クラウド事業者との連携による新サービス創出:
・「NX-B5000」の強みを活かし、クラウド事業者と大手通信事業者(メガキャリア)のサービス連携によるコンタクトセンター向け新サービスを創出し、グループ会社への導入を皮切りに拡販が期待されています。エンタープライズユーザーやコンタクトセンターのIP化が進む中、様々なクラウドサービスや通信事業者のソリューションを「つなぐ」ことで、新たなサービスの創出を支援し、今後の需要拡大を見込んでいます。
3.音声認識&AIサービス関連事業
通話録音をはじめ、AIを活用したIVRソリューションやシステムなどを提供しています。
●「U-cube rec」:通話録音データをクラウド上で安全に管理でき、導入時の特別な設備や専門管理者が不要です。
・株式会社NTTドコモ向けに、通話録音データ管理システム「U-cube rec」を継続的に提供しています。
・大手通信事業者向けに、通話録音の自動テキスト化を実現する機能を提供しています。
●大型コンタクトセンターの通話録音システム更改:
・既存システムの安定稼働が高く評価され、リプレイス案件を受注し実施しました。今回の更改を契機に、同社が保有する他システムへの展開も期待されます。
●音声認識AIを活用した通話録音システム開発:
・大手電機通信メーカーと共同提案した官公署向け通話録音・AI音声認識テキスト化システムにおいて、当社の通話録音システムを提案・導入することができました。これにより分析・活用・管理の効率化に貢献しています。AIとの組み合わせによる大規模な音声認識テキスト分析のニーズは急速に増加しており、有望な市場と認識しています。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は、2,523,298千円(前連結会計年度比6.3%の減少)となりました。一時的に高額な売上を生むワンタイム型ビジネスの減少を、サブスク型ビジネスが安定した収益基盤として補い、堅実に推移しています。
〔コミュニケーションDX事業〕
特定のマーケットに特化した業務特化型ソリューションを展開しています。当連結会計年度の状況は以下のとおりです。
1.DX/AIソリューション関連事業
業務のDX化が加速する中、電話システム機能の拡充、コールセンター支援、スマートフォンアプリケーション開発などを実施し、以下のソリューションを提供しています。
●「U-cube connect」:音声認識後のデータ利活用に加え、SMS送信、FAX送受信機能、マルチチャネル対応IVRサービスを提供し、企業の顧客接点強化と業務効率化を支援しています。
●「U-cube cogni」:音声認識後のデータを活用した業務効率化や新たな価値創造を支援しています。通話音声や録音音声などを、AI音声認識によってテキストに変換するサブスク型のサービスです。
・安全管理ソリューション「U-cube cogni 工事KY」が、複数の企業に導入されています。近年、設備工事や建設現場などで行うKY(危険予知)活動のDX化が進み、当該サービスはこのKY活動の状況をデータとして分析できるサービスとして活用されています。
●法人向けの業務改善コンサルティング、システム導入支援、CTI連携によるコールセンターソリューション提供:
・一般社団法人建設技能人材機構に、既存電話システムとオムニチャネルコミュニケーションサービス(音声通話とSMSやオンライン会議システム等の連携)、CTI連携によるコールセンターソリューションを提供しました。簡易な問い合わせに対する受付からSMS送信での情報提供の自動化、スーパーバイザーによるモニタリングや対応履歴の高度な管理・共有を実現し、顧客対応品質の向上と業務効率化に貢献しています。また、これらの導入実績に基づき、業務改善のためのコンサルティングを行い、必要となる業務改善を提案・提供しています。
●通話録音ソフトウェア・システム「LA-6000」:録音データの収集、蓄積、管理までを可能にする通話録音システムです。特に最近では、音声をAIで認識しテキストへ変換するニーズが急増しており、そのためのデータ取り込み機能として、キャプチャーサーバーとしての利用が増加しています。
・NTTテクノクロス株式会社のコールセンター向けAI音声認識システムとの連携が進展し、米国BPO事業者への導入を初め、大手企業のコンタクトセンターへの導入が進んでいます。
2.BSS(Business Support System)ソリューション関連事業
顧客管理や料金請求、契約処理など、MVNO(Mobile Virtual Network Operator)の業務運営を支えるシステムを提供しています。特に通信業界では、複雑なサービス提供が必要でありその収益管理に欠かせない仕組みとなります。
●モバイル事業者向け運用支援:
・前年度に引き続き、ユーザー制御、サービス制御、接続先毎の帯域制御システムの安定稼働を維持するための運用支援を提供しています。
・モバイル通信制御システムのバージョンアップ対応やセキュリティコンサルティングなどを提供しています。
●企業向けクラウドDXコンサルティング:
・モバイル事業者向け業務システムの構築経験を活かし、企業の業務のクラウドDX化に向けたコンサルティングを実施しています。
●モバイル事業者向け「NX-B5000」導入と技術支援:
・日本通信株式会社の日本初のフルMVNOプロジェクトにおいて、異なる通信事業者間をつなぐ音声通信のためのソフトウェア・ゲートウェイとして「NX-B5000」を導入し、技術支援を実施しました。日本のモバイルビジネスの進化を技術力で後押ししています。
●通信事業者向けセキュリティ診断:
・海外を含む複数の通信事業者との取引実績で培った高い診断スキルにより、セキュリティ診断に関する技術提供を行い、診断先より高い評価を得ています。
●関連するサブスク型ビジネスである保守サービスも堅調に推移しています。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は、1,097,496千円(前連結会計年度比32.3%の増加)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較して547,785千円増加し1,809,821千円となりました。当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりです。
a.営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動により獲得した資金は852,293千円(前連結会計年度は、484,283千円の獲得)となりました。主な増加要因は、税金等調整前当期純利益217,917千円、減価償却費271,326千円、のれん償却額9,096千円、役員賞与引当金の増加10,134千円、株主優待引当金の増加22,526千円、減損損失32,484千円、売上債権の減少232,974千円、棚卸資産の減少6,933千円、前受金の増加94,609千円、未払消費税等の増加20,145千円等によるものであります。主な減少要因は、賞与引当金の減少25,785千円、仕入債務の減少34,898千円、「その他」に含まれる前払費用の増加31,668千円等によるものであります。
b.投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動により使用した資金は265,298千円(前連結会計年度は、380,764千円の使用)となりました。減少要因は、有形固定資産の取得による支出7,110千円、無形固定資産の取得による支出258,188千円によるものであります。
c.財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動により使用した資金は39,209千円(前連結会計年度は、49,183千円の使用)となりました。増加要因は、長期借入れによる収入200,000千円によるものであります。主な減少要因は、長期借入金の返済による支出199,047千円、配当金の支払額30,444千円、上場関連費用の支出8,615千円等によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループは、音声を中心とする通信技術に関するソリューション提供を行う単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しております。
a.生産実績
当社グループは、ソフトウェアの開発・販売を主たる事業としており、生産という概念は薄く、かつ受注形態が多岐にわたり生産実績の把握が困難であるため、生産実績の記載を省略しております。
b.受注実績
当連結会計年度の受注実績を事業区分別に示すと、次のとおりであります。
|
事業区分の名称 |
受注高 |
前年同期比(%) |
受注残高 |
前年同期比(%) |
|
ボイスコミュニケーション事業(千円) |
2,557,978 |
102.3 |
1,259,022 |
102.8 |
|
コミュニケーションDX事業(千円) |
1,415,063 |
175.4 |
829,019 |
162.1 |
|
合計(千円) |
3,973,041 |
120.2 |
2,088,042 |
120.3 |
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績を事業区分別に示すと、次のとおりであります。
|
事業区分の名称 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
ボイスコミュニケーション事業(千円) |
2,523,298 |
93.7 |
|
コミュニケーションDX事業(千円) |
1,097,496 |
132.3 |
|
合計(千円) |
3,620,794 |
102.8 |
(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先
|
前連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
||
|
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
|
エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社 |
383,936 |
10.9 |
347,217 |
9.6 |
|
一般社団法人建設技能人材機構 |
281,865 |
8.0 |
432,842 |
12.0 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は、以下のとおりであります。
a.財政状態
(資産)
当連結会計年度末における総資産は、3,536,496千円となりました。流動資産は2,753,732千円となり、主な内訳は、現金及び預金が1,809,821千円、売掛金が734,367千円、製品が5,401千円、仕掛品が9,359千円、原材料及び貯蔵品が125,427千円であります。
固定資産は、782,764千円となり、主な内訳は、有形固定資産が49,981千円、ソフトウェア資産が611,006千円、差入保証金が44,518千円、繰延税金資産が61,778千円であります。
(負債)
当連結会計年度末における負債の総額は、1,363,743千円となりました。流動負債は、1,049,945千円となり、主な内訳は、買掛金が267,841千円、1年内返済予定の長期借入金が186,951千円、前受金が324,874千円であります。
固定負債は、313,798千円となり、主な内訳は、長期借入金が288,819千円であります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は、2,172,752千円となりました。主な内訳は、資本金が1,145,667千円、資本剰余金が705,315千円、利益剰余金が319,421千円であります。
b.経営成績
経営成績の状況に関する分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
c.経営成績に重要な影響を与える要因について
Ⅰ ソフトウェア資産の減損損失の可能性について
当社グループは通信システムに関わるソフトウェアを開発しており、現時点で適正と考えられるソフトウェア資産を計上しております。しかしながら今後、事業環境の変化により保有するソフトウェアの収益性が著しく低下し投資額を回収できなくなった場合には、減損損失が発生し当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
Ⅱ プロジェクトの納期変動リスクについて
当社グループでは、プロジェクトごとに売上規模や利益率が異なり、その売上計上時期によって業績が大きく変動します。想定外の仕様の変更など顧客側の都合等により契約上、当初予定されていた期間内に、顧客による検収を受けることができない場合、またシステムの不具合等の要因によりサービスの納品時期がずれ込んだ場合、当社グループの四半期ごとの業績が大きく変動する可能性があります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
キャッシュ・フローの状況に関する分析・検討内容につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.資本の財源及び資金の流動性
Ⅰ 資金需要
当社グループの資金需要は主に大きく分けて運転資金需要と設備資金需要の2つがあります。
運転資金需要のうち主なものは営業活動に必要な運転資金(材料・外注費及び人件費等)、受注獲得のための引合費用等の販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。また、設備資金需要としましては、主に通信システムに関わるソフトウェアの開発費(外注費及び人件費等)によるものであります。
Ⅱ 財務政策
当社グループの財務政策は、資産構成や投資内容に最適な資金調達を行うことを基本方針としており、その運転資金及び設備資金について現状では自己資金又は長期を中心とする金融機関からの借入によって対応しております。今後も、調達手段の選択においては、資本コスト、資金調達環境及び条件、自己資本比率、手許流動性の水準などを総合的に勘案し、長期的な企業価値向上に最も資すると考える方法により対応してまいります。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に当たりまして、決算日における財政状態及び報告期間における経営成績に影響を与える見積り・予測を必要としております。当社グループは、過去の実績や状況を踏まえ、合理的と判断される前提に基づき、継続してこの見積り・予測の評価を実施しておりますが、不確実性が伴うため、当初の見積り・予測数値と実際の数値に乖離が生じる可能性があります。
当社グループでは特に以下の会計方針を重要と認識しており、連結財務諸表作成において必要となる見積り・予測に影響を与える可能性があると考えております。
a.市場販売目的ソフトウェアの減価償却方法
市場販売目的のソフトウェアについては、見込販売収益に基づく償却額と残存見込販売有効期間(3年)に基づく均等償却額とのいずれか大きい金額を計上する方法により減価償却額を算出しております。
主要な仮定である見込販売収益は、各ソフトウェアの製品カテゴリー別に、顧客単位で積み上げられた販売計画を基礎としております。
なお、販売実績収益又は将来の販売見込収益が当初見込みと比べて大きく乖離した場合、追加の費用計上が必要となる場合があります。
また、今後、事業環境の変化により保有する市場販売目的ソフトウェアの収益性が著しく低下し投資額を回収できなくなった場合には、一時費用が発生し当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
b.繰延税金資産
当社グループの連結財務諸表に計上されている資産及び負債の金額と課税所得計算上の資産及び負債の金額との間に生じる一時差異に係る税効果については、当該差異の解消時に適用される法定実効税率を使用して、繰延税金資産を計上しております。将来の税金の回収可能予想額は、当社グループの将来の課税所得の見込額に基づき算出されておりますが、将来の課税見込額の変動により、繰延税金資産が変動する可能性があります。
c.自社利用のソフトウェア及びソフトウェア仮勘定
自社利用のソフトウェア及びソフトウェア仮勘定については、将来の収益獲得又は費用削減が確実と認められる場合は無形固定資産に計上しております。なお、減損の兆候が識別され、将来の収益獲得見込額に基づき算定された割引前将来キャッシュ・フローと帳簿価額を比較し、減損損失を認識すべきであると判定された自社利用のソフトウェア及びソフトウェア仮勘定については、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。
開発プロジェクトにおける将来の収益獲得見込額を判断するにあたり用いた主要な仮定は、新規及び既存顧客への販売計画であり、過去の販売実績等の経営環境の変化等を考慮して算定しております。
また、今後、事業環境の変化により保有する自社利用のソフトウェア及びソフトウェア仮勘定の収益性が著しく低下した場合等、将来の収益獲得見込額が著しく減少する要因が生じたことにより、開発したソフトウェアが事業の用に供されない場合、またはその一部について投資額の回収が見込まれない場合には、損失の計上が必要となり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
④ 経営上の目標の達成状況について
当連結会計年度の業績は、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」で述べたとおりとなりました。
また、現ステージにおいては事業の成長を持続することが重要であるとの経営判断に基づき、CAGR(年平均成長率)を重要な指標と位置付けておりますが、当連結会計年度においては2.8ポイント増加いたしました。引き続き、目標とする経営指標を達成できるよう改善に取り組んでまいります。
|
契約会社名 |
相手方の名称 |
契約の名称 |
契約内容 |
契約期間 |
|
株式会社ネクストジェン |
株式会社協和エクシオ (現エクシオグループ株式会社) |
資本・業務提携契約 |
2017年2月に締結した資本業務提携関係を強化・拡充し、今後さらに両社の協業体制を向上させることを目的とした資本業務提携 筆頭株主である限りにおいて取締役(監査等委員である者を除く)1名を指名することができる |
2019年12月20日から 2022年12月19日まで (以後1年ごとの自動更新) |
|
株式会社ネクストジェン |
株式会社タカコム |
資本・業務提携契約 |
多様なサービスの提供、広範な顧客層の開拓による営業基盤の強化、新技術の開発による競争力の向上を目的とした資本業務提携 |
2019年12月20日から 2022年12月19日まで (以後1年ごとの自動更新) |
|
株式会社LignApps (連結子会社) |
NECネッツエスアイ株式会社 |
業務提携契約 |
DX実現のためのCPaaS事業における両社の協業による付加価値の高いサービス、アプリケーションの共同開発や相互流通による拡販が進み、新規顧客や新たなマーケットの開拓を目的とした資本業務提携 |
2019年3月25日から 2024年3月24日まで (以後1年ごとの自動更新) |
|
株式会社ネクストジェン |
都築電気株式会社 |
資本・業務提携契約 |
クラウドサービスの関連分野において、事業の加速・推進のための投資を実行し、事業基盤強化及び事業の拡大・成長に役立てることを目的とした資本業務提携 |
2021年12月24日から 2024年12月23日まで (以後1年ごとの自動更新) |
|
株式会社ネクストジェン |
NECネッツエスアイ株式会社 |
資本・業務提携契約 |
開発したアプリケーションをパートナー会社間で相互利用・販売できるマーケットプレイスの仕組みを構築することを目的とした資本業務提携 |
2022年12月23日から いずれかの当事者が契約を解除するまで |
|
株式会社ネクストジェン |
岩崎通信機株式会社 |
資本・業務提携契約 |
オンプレミス型製品に加えてCPaaSを使用したクラウドサービスの展開を行うにあたり、スピードアップを図ることを目的とした資本業務提携 |
2022年12月23日から 2025年12月22日まで (以後1年ごとの自動更新) |
当社グループは、めまぐるしく進化を続ける通信業界において、常に市場の動向やニーズをとらえて新たな製品・サービスを生み出す活動を行う必要があります。研究開発費は、当社グループが持続的な成長を遂げるための重要な投資であると考えます。プロジェクト計画を作成し、完成要件を明確にした上で研究開発を実施します。
・市場、業界の事例やニーズなどの情報を収集し研究
・新たな製品、サービスの検討・試作の開発
・実現性の検証実験
・既存製品の改良
・海外製品の導入に伴う研究開発
当連結会計年度における研究開発費は
(1)AI・音声認識に関する研究開発
・工事KY(危険予知)のテキスト分析や文脈評価を向上させるために、生成AIをはじめとするAI技術を活用した研究開発。音声認識の課題として、高性能なものを利用すると大量に負荷がかかる為、組み込む部品を検討し、コスト削減策を図る。さらに、音声認識の結果をより自然な形に仕上げるため、句読点の付与やフレーズ分割を行う処理を検討。
(2)自動応答に関する研究開発
・自動受付システムの企画を立案し、それに基づいて新しい製品やサービスを開発するための研究開発。様々な業界で必要とされる電話受付業務の自動化に加え、受付業務から派生するマルチチャネル(電話、メール、チャットなど)での自動応答ソリューションを企画検討。
(3)WebRTC※に関する研究開発
・U-cubeクラウドサービスでリアルタイム通信技術であるWebRTCを活用するため、国内の電話網含めた音声系システムとの接続に関する技術調査および研究開発。U-cubeサービスで利用できる通信アプリの開発が容易になるだけではなく、対応する端末の選択肢が増加し、WebRTCを利用したシステムと従来の音声サービスとの相互接続を実現可能に。
※WebRTC(Web Real-Time Communication)は、インターネットを通じて音声やビデオの通話、データのやり取りができる技術。特別なソフトをインストールしなくてもブラウザだけで簡単に通話やビデオ会議が可能。
(4)運用自動化に向けた研究開発
・新DX基盤システム導入に伴い、課金データ収集や請求データ登録などの周辺システムとの連携が課題となるため、その解決に向けたMVP(Minimum Viable Product)の研究開発。従来の手作業を完全に自動化し、ミスの削減と処理時間の95%短縮を実現。
(5)U-cube connectのAIコールセンター向け機能の研究開発
・U-cube connectにおいてコールセンターのDX化に必要なAIを活用した自動応答、外部ツールと連携したデータ分析およびCRM等と連携した情報管理を実現するための研究開発。これによりU-cube connectの外部連携を含む活用がこれまで以上に柔軟に実現可能に。
(6)工事KY(危険予知)の高度分析機能対応のための研究開発
・音声をテキスト化した工事KY(危険予知)データに高度なAI分析を適用するための基盤を検討する研究開発。
(7)LA-6000 RHEL9対応 研究開発
・LA-6000のRHEL9.6対応に向けた研究開発。事前調査としてRHEL9.4で開発・テストを実施し、周辺モジュールの対応状況や課題を整理したうえで、実用開発に備えたパイロット版を作成。
(8)ASH新エンジン対応などに関する研究開発
・音声通話を音声認識や要約などのAIエンジンに連携し、その結果をリアルタイムでユーザーに提供するシステム「ASH」に、Googleの音声認識技術(GCP STT)を新たに導入するための研究開発。技術調査とプロトタイプの開発を実施。