第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下の通りであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

第14次中期経営計画 2年目の総括

(1)経営方針

 当社は、普遍的なミッションである「経営理念」、現在の存在意義を明確にした「パーパス」、2030年という未来における当社のありたい姿を表現した「NFC VISION 2030」、これらを経営戦略の策定や経営の意思決定の拠りどころとなる基本方針と位置付けています。また、基本的な価値観や倫理観を共有し、これを業務に反映させていく為に「社員行動指針」と「倫理綱領」を制定しています。

 このように、「経営理念」を最上位の価値観、倫理観とし、現在、何をするべきなのかを「パーパス」で、2030年という未来に向けたありたい姿を「NFC VISION 2030」で表現し、第14次中期経営計画(2023-2026年度)の達成に向けて取り組んでおります。

 

(2)定量目標の達成状況と今後の見通し

 

 

第13次中期経営計画

第14次中期経営計画

2018年度

2022年度

2023年度

2024年度

2025年度

2026年度

実績

実績

実績

実績

予想

当初目標

見直し(*)

売上高(億円)

280.8

368.4

335.3

356.6

342.0

410.0

380.0

営業利益(億円)

32.0

50.6

42.0

49.0

50.0

57.0

58.0

EBITDA(億円)

43.1

60.1

55.0

62.5

64.9

77.9

75.1

ROIC

6.1%

7.9%

6.3%

7.1%

7.2%

8.0%

8.0%

設備投資

5年間で109億円

17.7億円

24.7億円

58.0億円

4年間で120億円

4年間で160億円

売上高研究開発費比率

2.4%

2.4%

2.7%

2.7%

2.9%

2.7%

2.7%

 

 *中期経営計画の見直し後数値(2025年4月30日公表)

 

 

 第14次中期経営計画2年度(2024年度)は、売上高356.6億円、営業利益49億円、償却前営業利益(EBITDA)62.5億円、投下資本利益率(ROIC)は7.1%となりました。設備投資額は、2年度は24.7億円となりました。売上高研究開発費比率は2.7%となりました。

 

(3)各事業セグメント毎の達成状況                                単位:億円

 

 

2023年度実績

2024年度予想

(2024年10月30日公表)

2024年度実績

売上高

営業利益

EBITDA

売上高

営業利益

EBITDA

売上高

営業利益

EBITDA

機能性製品

262.0

36.0

48.1

289.4

41.8

54.4

284.4

43.1

55.8

 

ビューティケア

79.4

21.9

24.4

92.0

24.6

27.7

89.4

24.2

27.3

 

ヘルスケア

58.3

4.5

11.9

59.4

8.0

15.7

60.5

10.2

17.9

 

ファインケミカル

52.0

6.4

8.4

58.0

5.5

7.2

56.1

5.1

7.0

 

トレーディング

72.3

3.2

3.3

80.0

3.7

3.8

78.4

3.6

3.7

環境衛生製品

(ハイジーン)

70.8

4.9

5.4

74.2

6.0

6.6

69.9

5.2

5.8

その他

2.5

1.1

1.4

2.4

0.7

1.0

2.3

0.6

0.9

連結合計

335.3

42.0

55.0

366.0

48.5

62.1

356.6

49.0

62.5

 

(機能性製品)

-ビューティケア分野-

 化粧品原料(「化粧品用リン脂質素材」、「化粧品用機能性油剤」、「生理活性物質」)をグローバルで展開しています。持続可能なパーム油の為の円卓会議認証制度を受けたRSPO製品や、遺伝子組換え作物を使用しないNon-GMO製品、自然由来指数ISO16128を高めたサステナブル製品開発と拡販に注力した結果、海外顧客への販売が大幅に増加しました。一方で、化粧用リン脂質素材と生理活性物質の需要が減少しました。

-ヘルスケア分野-

 医薬品用リン脂質では、ギリアド・サイエンシズ社向けは計画通りに進捗しました。また、他海外顧客向け医薬品用高純度リン脂質の販売が増加しました。一方で、子会社の薬理・安全性試験の受注が減少しました。

-ファインケミカル分野-

 工業用ウールグリース誘導体では、海外向けコレステロールの在庫調整を第3四半期に完了し、販売価格の是正などもあり、収益性が改善しましたが、コーティング剤では、海外向け販売が減少しました。一方で、過去から収益を下支えしてきた品目の採算性を見直す「選択と集中」には目途が立ち、ペロブスカイト型太陽電池用素材は社会実装に向けて量産化を目指す生産スケールアップ検討を進めました。

 

(環境衛生製品)

-ハイジーン分野-

 感染症対策商品では、季節性インフルエンザなど感染症の流行はありましたが、コロナ禍後の消費者意識の変化もあり販売が伸び悩みました。また、物流費の上昇、原材料価格の高止まりなどもあり、厳しい事業環境が続く中、原価低減や販売価格の改定などに取り組みました。

 

(4)資本政策と株主還元

 

第13次中期経営計画期間

第14次中期経営計画

2020年度

2021年度

2022年度

2023年度

2024年度

2025年度

2026年度

実績

実績

実績

実績

実績

予想

当初目標

見直し(*)

DOE(%)

2.1

3.0

3.0

3.5

3.5

4.3

(目安)

3.5

(目安)

4.3

(目安)

1株当たり配当額

35円

54円

57円

70円

74円

94円

80円

100円

総還元性向(%)

30

45

79

77

43

平均50%以上

政策保有株式比率(%)

28

24

25

24

21

17%以下

*中期経営計画の見直し後数値(2025年4月30日公表)

 

■2024年度 政策保有株式売却実績 4.5億円

 

■配当総額 16.6億円

 

■自社株式取得実績なし

 

■配当9期連続増配見通し

 

 

 

※DOE

連結純資産配当率(年間配当総額÷連結純資産、若しくは配当性向×ROE)

総還元性向

(配当総額+自己株式取得額)÷親会社株主に帰属する当期純利益

政策保有株式比率

「保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式」の「貸借対照表計上額の合計額」が連結純資産に占める比率

 

 

第14次中期経営計画 3年目(2025年度)の概要

(1)基本方針

 長期ビジョン「NFC VISION2030」で描いた2030年度のありたい姿の達成に向け、2025年度は「成長基盤強化」、「サステナビリティ」、「ガバナンス強化」の3つを事業活動の基本方針とします。

 

(2)事業活動の方針

 各セグメント毎の活動方針は以下の通りです。

(機能性製品)

-ビューティケア分野-

 欧米ブランドによるサステナブル素材の需要拡大や今後の化粧品人口の増加によるグローバル市場の拡大を見据え、海外顧客へのマーケティング活動を強化いたします。戦略品目である機能性油剤や化粧品用リン脂質を中心に、グローバル市場への販売拡大に努めます。さらに、昨年に開設した「The Design & Creation Lab.」では、顧客、同業他社等とのオープンイノベーション活動を推進し、テーマの獲得と売上拡大に繋げます。サステナブル対応はこれまで通り注力し、新たな基準にも積極的に対応する組織づくりを推進してまいります。

-ヘルスケア分野-

 医薬品用リン脂質は、ギリアド・サイエンシズ社向けの安定供給体制を維持しつつ、医薬品用高純度リン脂質、リポソーム、リピッドナノパーティクルなど製剤化技術での差別化で顧客を獲得していきます。また、新プラントへの生産集約によりコスト競争力強化を図ります。さらに、湘南ラボを中心に、大学、国内外の企業とのオープンイノベーションを行うことで、新たな価値を届け続けるための活動を推進いたします。

-ファインケミカル分野-

 戦略品目であるペロブスカイト型太陽電池用素材については、今後の社会実装を見据えた研究開発と量産化技術の確立に注力いたします。また、次世代のコア事業の育成にも取り組んでまいります。サステナブル社会に貢献できるテーマを見定めて、その用途拡大を推進してまいります。

 

(環境衛生製品)

-ハイジーン分野-

 濃縮タイプ等のサステナブル製品開発の加速と日本精化グループの相互資源を活用したシナジー強化に注力致します。また、成長が見込まれる病院・介護施設向け製品での顧客獲得やフードビジネス分野での差別化製品の拡販による顧客獲得を目指します。

 

(3)経営目標数値

 

 

2023年度

2024年度

2025年度

実績

実績

予想

前年比増減率

売上高(億円)

335.3

356.6

342.0

△4.1%

営業利益(億円)

42.0

49.0

50.0

2.1%

営業利益率(%)

12.5

13.7

14.6

EBITDA(億円)

55.0

62.5

64.9

3.8%

EBITDAマージン(%)

16.4

17.5

19.0

経常利益(億円)

44.5

52.1

52.0

△0.2%

親会社株主に帰属する

当期純利益(億円)

33.3

38.7

40.0

3.3%

1株当たり当期純利益(円)

146.4

172.1

177.8

 

 

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社は「サステナブル社会の実現と当社の持続的な成長の両立を目指す」ことを当社サステナビリティ基本方針と定めました。この基本方針を着実に実行する為に、「サステナビリティ推進委員会」を設置し、具体的な取り組みとKPIを定めております。

(1)サステナビリティ

① ガバナンス

 当社は上席執行役員管理本部長を委員長とし、各部門及びグループ会社より選出された委員で構成されたサステナビリティ推進委員会を設置しております。サステナビリティ推進委員会では、マテリアリティ(重要課題)を特定し、推進活動計画立案、活動の進捗管理を行っております。推進活動計画については年に一度、サステナビリティ推進委員会で協議し、代表取締役執行役員社長を委員長として、常勤取締役と執行役員で構成されるサステナブル経営委員会で審議された後、取締役会で承認しております。サステナブル経営委員会は、各委員会及び各推進委員会の役割を明確化して業務執行機能を充実させることで、コーポレート・ガバナンス体制を強化することに加えて、重要性が高まるサステナビリティ課題への対応を推進する為に、4つの推進委員会を統括、指導する目的で2024年度に設置いたしました。活動の進捗については、原則四半期ごとにサステナビリティ推進委員会で状況を確認して、その結果をサステナブル経営委員会に報告しております。取締役会では半期ごとに報告を受け、活動状況を監督しております。また、マテリアリティ(重要課題)の達成状況は、取締役及び執行役員の業績報酬に反映する仕組みとしております。

② リスク管理

 リスクマネジメントシステム(以下、「RMS」といいます。)に関する組織を2024年度に再編成しリスクマネジメントの基本方針並びに計画、実施、RMSの改善その他RMSに関する討議と決定を全社RMS委員会が行う体制から、RMS推進委員会で協議し、当社の代表取締役執行役員が委員長を務めるサステナブル経営委員会で審議し、取締役会で承認する体制へ変更しております。RMS事務局は、各部門で特定された優先リスクを基に、「事業活動への影響度」と「発生頻度」を評価軸としたリスクマップを作成して重大リスクを起案し、RMS推進委員会で協議した後、サステナブル経営委員会に報告しております。サステナブル経営委員会で審議された全社重大リスクは、取締役会で承認されます。サステナビリティに関する事項については、リスク管理をサステナビリティ推進委員会に付託しており、サステナビリティ推進委員会において「ステークホルダーにとっての重要度」と「当社グループにとっての重要度」からマテリアリティ(重要課題)を特定しております。リスクの影響度が大きいと評価された項目については当社としてとるべき対応策を策定し推進活動計画を作成しております。また、策定した計画及び活動の進捗管理を実施し、サステナブル経営委員会に報告いたします。サステナブル経営委員会では現在の取組み状況等を踏まえて、経営計画や事業戦略が審議され取締役会で承認されます。

 

 

(2)その他の項目

 当社グループは多種多様な製品を製造しており、製品の製造過程では化石由来原材料及び燃料を使用しております。気候変動によるリスク及び機会は経営上の重要課題との認識のもと、2021年12月には気候関連財務情報開示タスクフォース(以下、「TCFD」といいます。)提言への賛同を表明しました。気候変動が及ぼす事業への影響についてシナリオ分析に基づいたリスクと機会を評価し、影響の重要性を認識して経営施策に反映することによって、戦略のレジリエンスを強化すると共にステークホルダーとの信頼関係強化につなげてまいります。

●気候変動

① ガバナンス

 サステナビリティ推進委員会では、気候変動に関する課題について、シナリオ分析に基づいて特定したリスクと機会を識別し重要度評価、推進活動計画立案、活動の進捗管理を行っております。また活動の進捗については、その結果を2024年度より代表取締役執行役員社長が委員長を務めるサステナブル経営委員会及び取締役会に報告し、取締役会においては活動状況を監督しております。気候変動に関する外部動向や情報については、TCFDコンソーシアムや関係省庁のホームページから入手し、サステナブル経営委員会及び取締役会に情報共有しております。温室効果ガス削減を推進するため、2030年度までにスコープ1、2に該当する二酸化炭素排出量を2013年度比で38%削減することを目標としておりましたが、2024年度より新たにグループ会社の日精バイリスを加えて2018年度比で41.5%削減することを新たな目標とし、取締役会で承認し公表しております。また、二酸化炭素排出量削減を含むマテリアリティ(重要課題)の達成状況は、取締役及び執行役員の業績報酬に反映する仕組みとしております。

② 戦略

 気候変動が事業に及ぼす影響について、当社(機能性製品事業)とグループ会社のアルボース(環境衛生製品事業)及び日精バイリス(薬理・安全性試験事業)を加え、2030年及び2050年を検討の時間軸に設定し、気候変動対策が進んでパリ協定の目標が実現した「1.5℃の世界」及び、新たな気候変動対策が取られずに温室効果ガスが増加した「4℃の世界」で、「低炭素経済への移行に関連したリスクと機会」「気候変動に伴う物理的影響に関連したリスクと機会」についてシナリオ分析を行いました。事業インパクトの評価では、1.5℃シナリオにおいて、炭素税に代表される排出削減に向けた政策や規制と天然由来原材料の調達懸念によるビジネスリスクが大きく、一方でペロブスカイト太陽電池用素材の販売に機会があることが分かりました。4℃シナリオにおいては、天然由来原材料の調達懸念のビジネスリスクが大きく、一方で1.5℃シナリオと同様にペロブスカイト太陽電池用素材の販売に機会があることが分かりました。原油価格変動による原材料価格への影響は、今年度のシナリオ分析結果ではリスクが小さくなりましたが、当社ビジネスへの影響を考慮し今後も動向を注視してまいります。温室効果ガス排出量については、二酸化炭素排出係数の低い燃料への転換や老朽化設備の更新による省エネ化、社用車のハイブリッド車やEVへの転換、製造工程の見直し等によるスコープ1の削減も検討してまいります。また当社とアルボースでは、2023年度までに購入電力の全てを再生可能エネルギーに切り替えることによりスコープ2の削減を行いました。今後、他のグループ会社においても切り替えを拡大し、継続することによりスコープ2の削減を進めてまいります。スコープ3についても、化石由来原材料から天然由来原材料への切り替えや二酸化炭素排出量の少ない鉄道輸送の利用、バイオマスボトルの採用などにより二酸化炭素排出量の削減に取り組んでおります。

 

■気候変動リスクと機会への対応

機能:機能性製品事業 環境:環境衛生製品事業 薬理:薬理・安全性試験事業

 

シナリオ

リスク及び機会項目

対象事業

事業への影響/対応策

財務影響度

期間

1.5℃

炭素税・炭素価格

機能・環境・薬理

・炭素税の導入により炭素価格や電力価格が上昇、グローバルで排出権等の取組が拡大し、調達、製造、販売、輸送等における対応コストが増加する可能性がある。

[対応策]

・照明のLED化を計画的に進める。

・グループ会社の購入電力の再生可能エネルギーへの切り替えを進める。

・老朽化設備の更新による省エネ化を進める。

・フローリアクター導入や酵素利用による製品生産、既存の製品の製造工程の改良、及び新製品開発を進める。

・社用車のハイブリッド車やEVへの変更により、二酸化炭素排出量を削減する。

・輸送の合理化や鉄道輸送により、コストと二酸化炭素排出量を削減する。

・カーボンニュートラル天然ガスやe-methaneの熱源を利用する。

・二酸化炭素を排出しないエネルギー使用熱源設備を導入する。

・二酸化炭素回収と分離技術を導入する。

[対応済み]

・日本精化とアルボースは2023年までに購入電力の全てを再生可能エネルギーに切り替えることで二酸化炭素排出量を削減した。

・ボイラー燃料を重油から都市ガスへ転換し、二酸化炭素排出量を削減した。

リスク

長期

各国の炭素排出目標/政策

環境

・バージンプラスチックに課税が適用され、再生プラスチックやバイオプラスチック、省資源型容器の利用やリサイクルの取り組みが活発化し、研究開発コストや調達・製造コストが増加する可能性がある。

[対応策]

・濃縮化製品により容器本数を削減する。

・減容ボトルをパウチへ移行する。

・バイオプラスチック容器を導入する。

・バージンプラスチックの購入量を減らし、再生プラスチックの購入を進める。

リスク

長期

1.5

4.0℃

研究開発とイノベーションによる新製品や新サービスの開発

機能

・世界的な太陽光発電設備容量の増加に伴い原材料の需要も増加する可能性がある。

[対応策]

・ペロブスカイト太陽電池用素材開発を進め、生産体制と拡販体制を確立する。

機会

中期

平均気温の上昇/降水・気温パターンの変化

機能

・平均気温の上昇により、ウールの需要が減少する。また、干ばつが多発、長期化することによる飼料不足、飼料価格の高騰、暑さによる羊の出生率の低下等の要因で原毛生産量が減少する。その結果ウールグリースの購入可能量が減少し、調達価格が上昇する可能性がある。

[対応策]

・藻類由来油脂や未使用バイオマス利用を検討する。

・製品副生成物のリサイクル活用を拡大する。

・製品販売数量を減らすことで、ウールグリースの必要購入量を削減する。

リスク

長期

4.0℃

機能

・生産量の減少と労働生産性の低下が起こり、菜種油価格が高騰する可能性がある。

[対応策]

・藻類由来油脂や未使用バイオマス利用を検討する。

・供給先を複数化する。

リスク

長期

 

財務影響度  小:1億円未満 中:1億円~5億円未満 大:5億円以上

期間     中期:2030年度まで 長期:2050年度まで

 

③ リスク管理

 サステナビリティに関する事項については、リスク管理をサステナビリティ推進委員会に付託されております。気候変動リスクは「環境」要素のマテリアリティ(重要課題)の1つとして特定しており、以下の評価軸を基にリスクと機会を抽出、評価し重要度を決定します。リスクと機会の影響度が大きいと評価された項目については、当社グループとしてとるべき対応策を策定し推進活動計画を策定しております。また、策定した計画及び活動の進捗管理を実施し、サステナブル経営委員会に報告しております。サステナブル経営委員会では取組み状況等を踏まえて経営計画や事業戦略が審議され取締役会で承認されます。

 

■気候変動リスクと機会に関する評価軸

・当社グループに影響を与えると考えられる気候変動に関するリスクと機会を、TCFD最終報告書を参考に抽出

・抽出したリスクと機会を、当社グループの事業活動、顧客、サプライヤー等への影響度及び発生可能性の観点から評価

・各項目の影響度について、シナリオ分析に基づいた定性及び定量両面の視点から評価し、相対的重要度を確定

 

④ 指標及び目標

 当社グループが排出する温室効果ガスは、エネルギー起源による二酸化炭素が主であり、スコープ1・2*については、2021年10月に政府がまとめた地球温暖化対策計画において、2030年度の我が国の温室効果ガスを2013年度から46%削減するという全体目標の内、産業部門の削減目標がエネルギー起源二酸化炭素として38%であることから、2030年度までに当社の二酸化炭素排出量を2013年度比で38%削減する目標を立て、二酸化炭素排出量を削減する取り組みを始めました。その後グループ会社のアルボースと日精バイリスを算出対象に加えて、2024年度から基準年を全体の二酸化炭素排出量が算出できる2018年度とし、2030年度までに2018年度比で41.5%削減する目標を立て、二酸化炭素排出量の削減に取り組んでおります。さらに2050年にはカーボンニュートラルを達成することを目指してまいります。また、二酸化炭素排出量削減を含むマテリアリティ(重要課題)の達成状況は、取締役及び執行役員の業績報酬に反映する仕組みとしております。当社グループは、二酸化炭素排出量削減活動として、ボイラーの燃料である重油の都市ガスへの変更や、製造条件の効率化、照明のLED化、購入電力の再生可能エネルギーへの切替え等を実施してまいりました。照明のLED化と再生可能エネルギーへの切替えは、今後さらに拡大するよう検討してまいります。また、サプライチェーン全体での二酸化炭素排出量削減に取り組むため、2023年度よりスコープ3*の算定を開始しております。2024年度の当社とアルボース、日精バイリス3社のスコープ3(カテゴリー1~8)排出量の合計は113千t-COeであり、カテゴリー1(購入した製品・サービス)の割合がスコープ3全体の88%と大部分を占めております。2024年度では日精バイリスが算定に加わったため、カテゴリー1の割合が2023年度に比べて増加しました。カテゴリー1の約14%は日精バイリス商事部門の第三者商品取引に由来しております。

■二酸化炭素排出量推移

当社とアルボース、日精バイリスの合計値(t-COe/年度)

 

 

2013

2018

2021

2022

2023

2024

スコープ1

13,514

15,116

15,028

13,689

12,055

10,825

スコープ2

5,071

6,762

6,487

1,157

580

594

合計

18,585

21,878

21,515

14,846

12,635

11,419

 *スコープ1:事業者自らの燃料の燃焼による温室効果ガスの直接排出

スコープ2:他社から供給された電気、熱の使用に伴う温室効果ガスの間接排出

スコープ3:スコープ1、スコープ2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出)

 

■2024年度スコープ3排出量

*排出量は当社とアルボースの合計値

**排出量は当社とアルボース、日精バイリスの合計値

 

カテゴリー

2023年度 *

2024年度 **

排出量

(t-COe)

排出割合

(%)

排出量

(t-COe)

排出割合

(%)

1.購入した製品・サービス

78,548

85

99,464

88

2.資本財の建設・建造

8,087

9

6,929

6

3.スコープ1、2に含まれないエネルギー及びエネルギー関連活動

2,083

2

2,317

2

4.輸送、配送(上流)

2,485

3

2,607

2

5.事業から出る廃棄物

653

<1

687

<1

6.出張

270

<1

323

<1

7.雇用者の通勤

688

<1

761

<1

8.リース資産(上流)

0

0

0

0

9.~13.

算定困難の為

未実施

算定困難の為未実施

14.フランチャイズ

非該当

非該当

15.投資

非該当

非該当

合計

92,814

113,088

 

[算定方法]

 GHGプロトコル及び環境省・経済産業省の「サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位データベースVer3.4」に基づき算出

 気候変動の詳細については、以下のTCFDレポート2025をご参照ください

https://www.nipponseika.co.jp/sustainability/report/

 

(3)人的資本

 当社は、経営理念の一つに「日本精化は社員の自己実現に貢献する」を掲げています。また、NFC VISION 2030では「いろんな人が活躍できる会社になろう」「働きやすい仕組みで仕事の効率化を図ろう」「働きがいを人と会社の成長に繋げよう」をゴールに掲げています。このように、経営資本の1つである「人」の重要性を十分に認識したうえで、「人的資本」の最大化に向けて「人財育成」と「社内環境整備」の2つの側面から継続的に取り組んでいます。尚、当社グループでは、連結グループに属する各社において「人的資本」の最大化に向けて取り組んでおりますが、企業規模、業種その他により連結グループ全体を統一した取り組みや指標のデータ管理を行っておりませんので、「(3)人的資本」につきましては、提出会社である日本精化株式会社の状況のみを記載しております。

●人財育成方針

 「事業戦略の実現」、「イノベーションの創出」に貢献できる人財ポートフォリオを描き、それに向けて組織における知や経験の多様性を図る。また、従業員一人ひとりが成長を実感し、自身の自己実現に向けてチャレンジを続けるカルチャーを醸成する

●社内環境整備方針

 「従業員一人ひとりが、日本精化の一員であることに誇りを持ち、働くことを通じて「笑顔」になれる会社」を目指し、職場メンバーの多様な価値観に寄り添い、お互いのワークとライフの質の向上に貢献する

①エンゲージメント

 当事業年度より、人的資本最大化への取り組みの状況を評価するためエンゲージメント調査を実施しております。これらの結果をもとにPDCAサイクルをまわし続けることで企業価値の最大化に向け、人的資本の最大化を図ってまいります。

指標

目標数値

2024年度

トータルエンゲージメント(注)1

毎年度3.5以上

3.51

(注)1 外部の調査専門会社が提供するエンゲージメント調査サービスによる評価指標で、「一人ひとりが、今の仕事や職場・会社で働くことに意味や価値を感じ、自ら貢献する意思をもって働いているか」について、当社全社員を対象とした調査結果を点数化(5点満点で3.5が基準)したものであります。

 

②多様性

 NFC VISION 2030には「多様性を活かしたイノベーションで、未来の「キレイ」をお手伝い」を掲げ、性別・年齢・経験・価値観などさまざまな多様性を活かすことができる組織の実現を目指しています。

指標

目標数値

2024年度

2023年度

2022年度

従業員に占める女性の割合

2027年度までに女性従業員比率20以上

全社    19.3

正社員  18.6%

全社    18.3%

正社員  17.7%

全社    16.6%

正社員  15.4%

正社員に占める管理職及び管理職候補の女性の割合

(注)1

2027年度までに管理職及び管理職候補の女性比率15以上

9.0

7.9%

7.0%

正社員採用者に占める女性の割合

37.0

38.9%

18.6%

正社員採用者に占める中途採用者の割合

74.1

83.3%

81.4%

障がい者雇用率(注)2

2025年度末までに障がい者雇用率2.5以上

2.73

2.57%

1.22%

(注)1 「管理職」とは「課長級以上の役職(役員を除く)」にある労働者、「管理職候補」とは「係長級(初級管理者)」にある労働者をいいます。

2 「障害者の雇用の促進等に関する法律」による「障害者雇用率制度」により算出しております。

 

③人財育成

 従業員一人ひとりの成長が、当社の持続的発展につながるとの認識に基づき、階層別集合研修や従業員自身の自己実現に向けた自主的な学びのサポートなどにより従業員一人ひとりが主体的なキャリア形成の実現や組織の活性化に繋げています。

[階層別集合研修]

 階層別集合研修では、それぞれの階層ごとの期待役割への理解を深め、行動変容を促すことを目的としたカリキュラムにより、従業員一人ひとりの成長と組織力の更なる向上に繋げています。

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指標

目標数値

2024年度

2023年度

2022年度

1人当たり教育訓練費

前年度水準以上

60,289

68,670円

46,272円

管理職に占める女性の割合

(注)1

2030年代30以上

4.7

1.8%

0.0%

仕事へのエンゲージメント

(注)2

毎年度3.5以上

3.50

実施なし

実施なし

(注)1 「管理職」とは「課長級以上の役職(役員を除く)」にある労働者をいいます。

2 外部の調査専門会社が提供するエンゲージメント調査サービスによる評価指標で、「一人ひとりが、仕事や自分の特徴を理解し、現在の仕事の中で活かしたり、新たに活かす機会をつくり出したりしているか」について、当社全社員を対象とした調査結果を点数化(5点満点で3.5が基準)したものであります。

 

④働きやすさ

 従業員の多様な価値観に寄り添いワークライフバランスの向上を図るため、フレックスタイムや在宅勤務などの柔軟な働き方の推進と休暇取得の促進など長時間労働の抑制に取り組むとともに、育児・介護などと両立しながら働く従業員の支援に向けた取り組みを推進しています。

指標

目標数値

2024年度

2023年度

2022年度

1人あたり年間総実労働時間

毎年度2,000時間以内

1,948.83時間

1,979.58時間

1,979.38時間

正社員の有給休暇取得率

毎年度70以上

85.2

82.6%

80.2%

男女別育児休業取得率

(注)1、2

2025年度末までに育児休業取得率70以上(男性の取得率50%以上)

全体   90.0

男性  100.0%

女性   50.0%

全体   66.7%

男性   50.0%

女性  133.3%

全体   35.3%

男性   28.6%

女性   66.7%

(注)1 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

2 2022年度に出産した女性従業員のうち育児休業開始が2023年度になった者がいたことにより2022年度が66.7%、2023年度が133.3%となっております。また、2024年度に出産した女性従業員のうち、翌年度から育児休業予定となっている者がいるため50.0%となっております。

 

⑤安全安心

 従業員が持てる能力を十分に発揮するためには安全安心な職場であることが必要であると認識しています。また、従業員がその能力を存分に発揮できるようにオフィスの改装や生産職場の安全対策や熱中症対策の強化など設備面での充実はもちろんのこと、継続的な働きかけによるコンプライアンス意識の醸成に努めるとともに、管理監督者への定期的なハラスメント教育の実施などを通して安全・安心、快適な職場環境の整備に努めています。

指標

目標数値

2024年度

2023年度

2022年度

コンプライアンス研修受講率

毎年度100

(全員参加)

100.0

100.0%

99.7%

ストレスチェック受検率

毎年度90以上

94.1

97.3%

93.3%

職場の心理的安全性(注)1

毎年度3.5以上

3.45

実施なし

実施なし

(注)1 外部の調査専門会社が提供するエンゲージメント調査サービスによる評価指標で、「職場にはお互いを尊重し、協力し合う雰囲気やなんでも言い合える安心感がある」などについて、当社全社員を対象とした調査結果を点数化(5点満点で3.5が基準)したものであります。

 

(4)知的財産

 当社では、コーポレート・ガバナンス強化の取組みとして、2024年4月にサステナブル経営委員会を新設し、サステナブル経営委員会の下に、知的財産推進委員会を設置しております。

 同推進委員会の構成メンバーは、各研究部門の知財担当者の他に、全社の事業戦略部門も参画しており、全社を横断するガバナンス体制を構築しています。

 特許・商標出願に当たっては、同推進委員会と各研究開発部門が連携して戦略の立案と実行を行っております。

 当社の知的財産の基本方針としましては、積極的な特許出願により当社の製品や技術の権利を保護することはもちろんのこと、他者の知的財産権も尊重することを重要な観点としております。

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。ただし投資家の判断に影響を及ぼす可能性のあるリスクは、これらに限定されるものではありません。

当社グループでは、持続的な成長を実現するため、事業目的の達成を阻害する恐れのある様々なリスクを早期に発見し、適切に対応するとともにリスクが顕在化した際の迅速な対応を図るとともに、機会とリスクの双方の観点からの検討を必要とするリスクに対応するためリスク管理体制の整備・充実に努めております。リスク管理体制の詳細は、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1)サステナビリティ ②リスク管理」に記載しております。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経済の動向に関するリスク

 当社グループの事業活動は、マクロ経済や市場の動向、国内外の景気変動等の影響を受けるおそれがあります。景気が減速・後退する場合、個人消費や設備投資の低下等をもたらし、当社グループが提供する製品・サービスに対する需要が減少するなど、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(2)競合との競争に関するリスク

 当社グループの事業領域は、類似した製品・サービスを供給する競合の影響を受ける可能性があります。当社グループが市場ニーズに対応した製品・サービスの導入ができなかった場合や、競合の価格と対等な価格を設定できない場合、また、競合の価格と対等な価格を設定することで、その製品・サービスの販売が損失をもたらす場合など、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。当社グループは、事業ポートフォリオ分析を通じ、市場ニーズに対応した新製品・サービスの早期導入、独自技術を活かした事業領域拡大、競争力強化に向けた設備増強やコスト低減等に取り組む一方、成長性・将来性の乏しい事業からは撤退を図り、当社グループの事業競争力の保持に努めております。

 

(3)大口顧客への依存に関するリスク

  当社グループには、継続的な販売先となっている大口顧客があります。これらの顧客との取引条件の変更、契約解除、顧客の製品の需要減退、あるいは顧客の経営状況の悪化が生じた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。このようなリスクを低減する為に、新規顧客開拓等、特定顧客の動向に左右されない事業基盤の確立に取り組んでおります。

 

(4)原材料の購入価格、調達に関するリスク

 当社グループでは、主な原材料として動植物系油脂を使用しています。急激な価格変動が生じた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。対応可能な購入価格の上昇に対しては、コスト低減や販売価格への転嫁等により業績への影響を最小限に留めるよう努めております。また、調達に関しても、購入先での事故や自然災害の発生、テロ、戦争、感染症のまん延等の社会的混乱や、需要急増等の要因で、原材料供給不足や物流の停滞が生じた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。購入先と緊密な関係を築き、複数の購買先から調達するなど安定調達に努め、リスクの低減に取り組んでおります。

 

(5)製品の生産・販売に関するリスク

 当社グループで販売している製品は、外部への生産委託を含め、厳格な品質基準に基づき生産を行っていますが、万一、製品の品質に起因する事故やクレームが発生した場合、製品回収等で多額のコストが発生するだけでなく、信頼が損なわれ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、製品の生産・販売において、自然災害の発生、テロ、戦争、感染症のまん延等の社会的混乱により物流の停滞が生じた場合、販売機会損失等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。当社グループは、各種法令を遵守した製造プロセスを構築するとともに品質管理、品質保証体制の整備・強化に努め、また、製品の安定供給に向けて、適切な製品在庫量を確保するとともに、外部のバックアップ生産・購入を含めたBCP(事業継続計画)の定期的な見直しを行い、リスクの低減に取り組んでおります。

 

(6)人材確保に関するリスク

 当社グループの将来的な成長には事業遂行に必要な人材を採用し、確保し続ける必要があります。今後、日本国内における労働力人口の減少、働き方ニーズの多様化等、雇用環境の変化により人材確保が計画通りに進まなかった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。当社グループは、多様な人材が活躍できる風土作り、人事制度の導入や働く環境の整備等と合わせ、中長期視点での新卒採用や即戦力となるキャリア採用を実施するなど人材の確保に努め、リスクの低減に取り組んでおります。

 

(7)為替相場の変動に関するリスク

 当社グループの取引には外貨による輸出・輸入が含まれております。為替相場の変動により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、当社グループの海外子会社の財務諸表は、外貨建てで作成され連結財務諸表作成時に円換算されるため、現地通貨ベースでの業績に大きな変動がない場合でも、為替相場の変動が当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。全てのリスクをヘッジすることはできませんが、当社グループでは、為替予約等により為替相場の変動リスクを最小限に留めるよう努めております。

 

(8)海外事業展開に関するリスク

 当社グループは、日本国内だけでなく、海外においても生産及び販売活動を行っており、今後も成長が期待される海外市場での事業拡大を戦略の一つとしております。海外における事業展開では、以下に示すようなリスクがあり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

 法規制、租税制度の変更

 為替相場の変動

 労働環境の変化

 契約条項等、日本との商慣習の相違

 テロ、戦争、感染症のまん延等による社会的混乱

 その他の政治的及び社会的要因、経済の動向

 

(9)環境保全・気候変動対応に関するリスク

 近年、気候変動抑制に向けて、世界的規模で再生可能エネルギーの拡大等による環境負荷低減や地球温暖化対策・エネルギー政策の見直し等に関連する法規制の整備・厳格化が進んでおり、気候変動問題への企業の取組みがステークホルダーの評価や、市場・消費者の製品・サービスを選択する判断に影響する傾向が強まっております。また、今後、温室効果ガス排出削減に向けた法規制強化・再生可能エネルギーへの転換・カーボンプライシング(炭素税、国内排出量取引等)等による低炭素化・脱炭素化に向けた政策に対する取組みにおいて、対応コストが増加する場合や、法規制への未対応により製品・サービスの需要減少や顧客を喪失する場合など、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。当社グループでは、事業活動に関わる各国の環境関連法規制の遵守は当然として、気候変動等の環境問題への対応を経営の重要課題と捉え、TCFD提言に沿った取組みや、サプライチェーン全体で環境保全と環境負荷低減に努める取組みなど、更なるリスクの低減に向けて取り組んでまいります。

 

(10) 法的規制の強化、法令変更・改正等に関するリスク

  当社グループは事業の遂行にあたり、日本のみならず各国・各地域の各種法令、行政による許認可や規制の適用を受けております。法令・規則の新設・変更・解釈において年々厳格化が進んでおり、当社グループがこれらの法規制等に違反したと当局にみなされた場合、当社グループが行政処分、刑事処分又は損害賠償訴訟の対象となり、また、当社グループの社会的評価に悪影響が生じ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。当社グループは、コンプライアンスを経営の重要課題と位置付け、当社グループの経営理念、企業行動規範・企業行動基準等を倫理綱領において明確化し、役員・社員に対して配布し、教育・研修するなどコンプライアンスの徹底に努めております。

 

(11)知的財産権に関するリスク

 当社グループは、自らの知的財産権を適切に保護、活用するとともに、第三者の知的財産権を尊重し、不当に侵害しないとする行動規範のもと、知的財産権に係る情報調査、特許権等の知的財産権の取得、知的財産権に係る適切な契約の締結等に取り組んでおります。しかしながら、出願する特許に対して権利が付与されない場合もあり、知的財産権による保護が得られない可能性があります。また、知的財産権により保護されている第三者の技術を利用したい場合に、その技術が利用できない、又は、不利な条件で利用せざるを得ない場合もあります。加えて、第三者により当社グループの知的財産権が侵害されて損失を生じるおそれや、当社グループの製品が第三者の知的財産権を侵害しているとの主張にもとづき係争に発展し、当社グループに不利な判断がなされるなど、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(12)情報セキュリティー、ITシステムに関するリスク

 当社グループは、事業活動を行うにあたり、当社グループ自身の情報はもとより、取引先や顧客の企業情報や個人情報等に接する機会を有しております。近年、社会のデジタル化が進む中、サイバー攻撃の脅威が急速に高まっており、その対策が脆弱であった場合、個人情報・秘密情報の漏えいや、サーバダウン等による事業停止を引き起こす可能性があります。また、プライバシー保護の要請や各国の政策により、個人情報・データ保護規制の動きが近年強まっており、こうした法規制への違反が発生した場合、罰金や損害賠償等の費用負担が生じる可能性もあり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。当社グループは、ITシステム及び個人情報保護に関する規程を整備し、厳格な情報管理を行うとともに基幹システム等のIT基盤の刷新、インシデント発生時に適切に対処する体制を構築することでリスクの低減に取り組んでおります。

 

(13)内部統制に関するリスク

 当社グループは、内部統制システムを整備・運用し、教育・啓蒙活動を通じて浸透を図っていますが、当社グループの内部統制システムが様々な要因により機能せず、不測の事態が生じる可能性があります。その結果、社会的信用の失墜により事業に悪影響が生じる、あるいは行政処分、刑事処分又は損害賠償訴訟の対象となり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。当社グループは、内部統制システムの運用状況に対するモニタリングを定期的に行い、内部統制システムが有効に機能していることを検証し、継続的に整備・運用の改善を図ることでリスクの低減に取り組んでおります。

 

(14)事故・自然災害等に関するリスク

 火災等の重大事故や大規模地震・台風等の自然災害が発生した場合、また、感染症のまん延、その他制御不能な事態が発生した場合、サプライチェーンが寸断されるなどの支障をきたし、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。当社グループは、事故・災害等による影響を最小限に留める為に、リスク発生の可能性や結果の重大性に応じた製造設備の定期点検や従業員の教育・訓練等の保安・事故発生防止活動に努めるなどリスクの低減に取り組んでおります。

 

(15)資産の減損に関するリスク

 当社グループが保有する資産について、経営環境の著しい悪化等による収益性の低下や市場価格の下落等により、減損損失が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

 (1)重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しています。その作成においては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性の存在により、これらの見積りと異なる場合があります。

 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載していますが、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に影響を及ぼすと考えています。

1) 貸倒引当金の計上基準

 当社グループでは、債権の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を繰入計上しています。将来、顧客の財務状況等が悪化し支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上又は貸倒損失が発生する可能性があります。

2) 棚卸資産の評価基準

 当社グループの販売する製品の価格は、市場相場変動の影響を受ける傾向にあるので、その評価基準として主に総平均法による原価法(収益性の低下による簿価切下げの方法)を採用しています。

3) 投資有価証券の減損処理

 当社グループは、金融機関や、製造・販売等に係る取引会社及び関係会社の株式を保有しています。これらの株式は、株式市場の価格変動リスクや、経営状態・財務状況の悪化による価値下落リスクを負っているため、合理的な基準に基づき、投資有価証券の減損処理を行っています。

4) 繰延税金資産の回収可能性

 当社グループは、繰延税金資産の回収可能性の評価に際し、将来の課税所得を合理的に見積っています。繰延税金資産の回収可能性は、将来の課税所得の見積りに依存するので、課税所得の見積額が減少した場合は繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

 

(2)経営成績

 当連結会計年度におけるわが国経済は、好調な企業収益を支えに、年度後半では米国の関税引き上げへの警戒感はあったものの、企業の設備投資は堅調に推移しております。また、雇用・所得環境も改善傾向が継続しており、景気は緩やかな回復が続いております。一方、海外経済は、今後、米国の関税引き上げにより米国・中国経済の悪化が景気の下押し圧力となる影響が懸念されます。また、未だに収束の道筋が見えないロシアのウクライナ侵攻や中東紛争などの地政学リスクもあり、先行き不透明な状況が続いております。

 このような事業環境のなかで、当社グループは経営基盤の更なる強化に取組むとともに、収益拡大への貢献が期

待できる品目への選択と集中を推進してまいりました。

 この結果、当連結会計年度の売上高は356億6千3百万円(前期比6.4%増)となりました。また、利益面は営業利益48億9千5百万円(同16.6%増)、経常利益52億1千万円(同17.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は38億7千万円(同16.3%増)となりました。

 

 

 セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

(機能性製品)

 当セグメントにおきましては、売上高は284億4千3百万円(前期比8.6%増)となりました。セグメント利益(営業利益)は43億1千4百万円(同19.7%増)となりました。

(参考)

 

 

(単位:百万円)

 

2024年3月期

2025年3月期

対前年度

対前年度

 

通期

通期

増減額

増減率

ビューティケア

7,936

8,936

999

12.6%

ヘルスケア

5,829

6,051

222

3.8%

ファインケミカル

5,202

5,613

410

7.9%

トレーディング

7,229

7,843

614

8.5%

売上高 合計

26,195

28,443

2,247

8.6%

ビューティケア

2,193

2,416

223

10.2%

ヘルスケア

449

1,022

574

128.0%

ファインケミカル

640

513

△ 126

△ 19.7%

トレーディング

321

360

39

12.2%

営業利益 合計

3,603

4,314

710

19.7%

(ビューティケア)

 化粧品用機能性油剤は、サステナブル対応により海外向け販売が大幅に増加し、国内向け販売も堅調に推移しました。一方で、化粧品用リン脂質素材や生理活性物質の販売が減少しましたが、ビューティケア分野全体では増収増益となりました。

(ヘルスケア)

 医薬品用リン脂質は、ギリアド・サイエンシズ社向けは計画通り進捗、また、他海外顧客向け医薬品用高純度リン脂質の販売が増加しました。一方で、子会社の薬理・安全性試験の受注が減少しましたが、ヘルスケア分野全体では増収、大幅な増益となりました。

(ファインケミカル)

 工業用ウールグリース誘導体は、第3四半期に在庫調整が完了し、販売価格の是正などもあり収益性が改善し、前年同期比で増収増益となりましたが、コーティング剤の海外向け販売減少により、ファインケミカル分野全体では増収減益となりました。

 

(環境衛生製品)

 当セグメントにおきましては、原価低減や販売価格の改定などに取り組んだ結果、売上高は69億9千3百万円(前期比1.3%減)となりました。セグメント利益(営業利益)は5億1千9百万円(同6.5%増)となりました。

(その他)

 その他の事業の売上高は2億2千6百万円(前期比10.5%減)、セグメント利益(営業利益)は6千1百万円(同42.1%減)となりました。

 

 生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。

① 生産実績

 当社グループのセグメントは業種・業態が多種多様でありますので生産実績を記載しておりません。

② 受注実績

 当社グループは受注生産を行わず、全て見込み生産によっております。

 

③ 販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前期比(%)

機能性製品

28,443,575

8.6

環境衛生製品

6,993,933

△1.3

その他

226,227

△10.5

合計

35,663,736

6.4

(注)1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

株式会社マツモト交商

5,305,340

15.8

5,322,256

14.9

 

(3)財政状態

 当連結会計年度の総資産は前連結会計年度(以下「前期」という。)に比べ3億4千5百万円増加し、597億9千6百万円となりました。これは主として、有価証券の増加などにより流動資産が1億8千2百万円増加し、建物及び構築物の増加などにより固定資産が1億6千2百万円増加したことによるものであります。

 当連結会計年度の負債は前期に比べ11億6千4百万円減少し、107億2千6百万円となりました。これは主として、未払法人税等の減少などにより流動負債が20億2千1百万円減少した一方、長期借入金の増加などにより固定負債が8億5千6百万円増加したことによるものであります。

 当連結会計年度の純資産は前期に比べ15億1千万円増加し、490億6千9百万円となりました。これは主として、親会社株主に帰属する当期純利益の計上38億7千万円及び配当金の支払16億1千9百万円などにより株主資本が22億7千4百万円増加した一方、その他有価証券評価差額金の減少などによりその他の包括利益累計額が7億6千1百万円減少したことなどによるものであります。

 

(4)キャッシュ・フロー

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前期に比べ17億1百万円増加し、126億3千8百万円となりました。なお、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と主な内訳は以下のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、前期に比べ21億9千万円収入が減少し、40億8千7百万円の収入となりました。その主な内訳は、税金等調整前当期純利益53億8千万円及び減価償却費13億7千5百万円の計上による資金の増加、法人税等の支払による資金の減少21億8千3百万円によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、前期に比べ11億3千4百万円支出が増加し、17億6千8百万円の支出となりました。その主な内訳は、有形固定資産の取得による資金の減少22億8千2百万円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、前期に比べ19億4千3百万円支出が減少し、6億2百万円の支出となりました。その主な内訳は、配当金の支払による資金の減少16億1千9百万円によるものであります。

(当社グループの資本の財源及び資金の流動性)

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料の購入費用のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資によるものであります。

当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、自己資金及び金融機関からの長期借入を基本としております。

 なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は11億2千5百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は126億3千8百万円となっております。

 

5【重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 研究開発部門では、顧客情報等に基づき、迅速かつ効率的に研究開発、商品開発を行っております。

 当連結会計年度の研究開発費は967百万円、連結売上高の2.7%であります。

(1)機能性製品

 ビューティケア分野では、化粧品用リン脂質素材、機能性油剤、生理活性物質などの製品開発、有用性評価を行っております。引き続き、世界的に高まっているサステナブルの要請に対応し、NON-GMO(非遺伝子組換)製品、RSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)認証製品、COSMOS認証製品、自然由来指数(ISO16128、国際的な自然及びオーガニックに係る指数基準)を高めた製品などを開発・上市致しました。また、既存製品も含めた化粧品用リン脂質素材のヘアケアやメイク分野向け等の新分野・新用途提案や「顧客の用事(対処すべき課題)」に対応したソリューションの開発、化粧品処方の提案なども積極的に推進しております。さらに、昨年4月に開設したオープンラボ(The Design & Creation Lab.)も活用し、顧客、同業他社、大学等とのオープンイノベーション活動、共同研究も推進しております。

 ヘルスケア分野では、高純度リン脂質及び高純度コレステロールに代表される製品やその製品を用いたリポソーム製剤・リピッドナノパーティクル製剤に関する技術サービス(受託研究/受託開発製造)の提供を行っております。製造・受託事業に加え、一昨年開設した湘南ヘルスイノベーションパーク内の湘南ラボを中心に、大学、国内外の企業とのオープンイノベーションを行うことで、新たな価値を届け続ける為の活動を推進しております。

 ファインケミカル分野では、次世代太陽電池(ペロブスカイト太陽電池)向け正孔輸送材料の研究開発・量産化技術などに注力しております。機能性コーティング剤分野では、防曇などの機能性コーティング剤の開発・上市を進めております。

 

(2)環境衛生製品

 感染予防対策製品や食品工場・給食、医療・介護施設で使用される業務用洗浄剤などの開発を行っております。近年は食器洗浄機用洗浄剤の濃縮化、手指衛生関連製品へのバイオマスボトル採用やRSPO認証製品の拡大によりCO2削減、労働環境改善、石油プラスチック削減などSDGsに配慮した製品開発に注力し、多くの分野で新製品及び改良品の商品化を推進しております。

また、一般社団法人大阪工研協会「工業技術賞」への応募や、日本薬学会において「POEラノリンの皮膚刺激緩和効果」を発表するなど、技術広報につながる活動も積極的に進めております。

 

(3)その他

 該当事項はありません。