文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
当社は「つくろう。世界が愛するカルチャーを。」を企業ミッションとしております。日本発のエンターテインメント・カルチャーを作り出し世界中のユーザーに広めていくことにより、日本のユニークな強みであるアニメ、ゲームといった文化に関わるクリエイターの活動の場を増やしていくことを目指しております。
当社はこれまで「VTuberビジネスの確立」「IPビジネスへの進化」「クリエイター経済圏の拡大」の三段階からなる事業戦略を基盤とし、ライブ配信を中心としたコンテンツ供給、VTuber IPの多面的なコマース展開、さらにはゲームやメタバース領域への進出を通じて、事業規模とブランド価値の拡大を実現してまいりました。今後は、2030年3月期において売上高1,000億円、営業利益250億円以上を達成することを中期経営目標とし、さらなる事業拡大とグローバルな成長を支える経営基盤の強化に取り組んでまいります。
この中期目標に向けて、当社は、①共創によるコンテンツ供給の強化、②グローバル収益基盤の確立、③新規事業領域の収益拡大、④人的資本の高度活用、という4つの成長ドライバーを軸に、段階的かつ戦略的な投資を進めております。
①共創によるコンテンツ供給の強化
ライブ配信、音楽、ゲーム、アートなどの多様な表現領域でトップタレントを輩出し、コミュニティの拡大と当社のブランド価値の継続的な向上を目指します。制作体制の高度化と効率化を進めるとともに、他社の大型メディアコンテンツとの協業を通じて、ブランドの認知をさらに拡大してまいります。こうした取り組みは、表現技術への研究開発投資や、アニメなどの長期制作コンテンツに対する共同制作の仕組み構築によって支えられています。
②グローバル収益基盤の確立
北米やアジアをはじめとする大消費市場において、現地でのグッズ生産・流通体制の構築に加え、各地域のニーズに即したライセンス商品の展開を推進してまいります。これらを実現するため、海外イベントの拡充によるマーケティング活動の強化、現地拠点の運営体制の整備、地域別のサプライチェーン・マネジメントの強化を進めるとともに、必要に応じて資本業務提携やM&Aの活用も視野に入れ、グローバル展開を支える強固なインフラの構築を検討してまいります。
③新規事業領域の収益拡大
既に事業拡大が進展しているトレーディング・カードゲーム(TCG)に加え、ゲーム/ホロアースといったデジタルコンテンツ・サービスの事業規模を拡大し、収益の多角化を推進してまいります。TCGでは、年間を通じた大会運営や海外言語版のグローバル展開を通じて、ゲームプレイヤー数の拡大を推進し、安定的な収益基盤の確立を図ってまいります。ゲーム分野では外部開発パートナーとの連携を強化しつつ、自社で開発を進めるホロアースにおいても、ユーザー体験価値の拡張と長期的な経済圏の形成を目指しております。
④人的資本の高度活用
人材の最適配置と育成により、組織全体のパフォーマンスを最大化し、持続的な成長を支える経営基盤を強化してまいります。これには、管理部門の体制整備による全社オペレーションの高度化も含まれており、成長を下支えする組織的対応力の向上を進める想定です。
これらの成長戦略の実現に向けて、2030年3月期までの5年間で累計500億円程度を上限とする成長投資およびM&Aの実施枠を想定しています。これらは、海外展開の加速、制作機能の強化、生産・物流の最適化、事業ポートフォリオの拡張、そして経営基盤の強化といった、中長期的な企業価値の向上を意図したものです。M&Aについても、戦略性と実効性を重視し、投資効果を慎重に見極めながら機動的に実施してまいります。
今後も、VTuberという新たな文化の担い手として、タレント、クリエイター、ファン、企業をつなぐプラットフォームとしての価値を高め、継続的な成長と企業価値向上を目指してまいります。
当社はこれまで、VTuberのファン規模を示す代表的な指標として「YouTubeチャンネル登録数」を重視してまいりましたが、近年ではタレントの活動領域がYouTube以外の配信プラットフォームやリアルイベント・音楽・ゲームなどへ多様化していることから、同指標を経営目標としては用いない方針といたしました。
今後は、中期経営目標に掲げる「売上高」および「営業利益」の水準を、企業価値向上に向けた主要な客観的指標として位置付けております。売上高は多様な事業活動の成果を示す指標であり、営業利益は成長投資の回収や経営効率の改善状況を示すものと捉えています。
また、補足的な指標として「サービス別売上高」も引き続き参照し、事業ポートフォリオの構造や成長領域の変化を多面的に把握してまいります。
当社が展開するVTuber事業は、VTuberを起点として、ライブ配信、ライブコンサート、イベント、商品展開、企業タイアップなど多岐にわたる分野に広がっております。近年では、VTuber市場自体がアニメ市場と類似した構造を持ちながらも、圧倒的なコンテンツ供給量とファンとの双方向性を武器に、これまでにないスピードでファンベースを拡大しており、文化としての浸透も急速に進んでいます。当社では、2025年3月期通年において27,000本超の動画コンテンツを供給するなど、日々の継続的な発信が大規模なファンコミュニティの形成とエンゲージメント向上に寄与しています。
より広義には、国内のアニメコンテンツ市場は2023年度時点で1.6兆円、海外展開を含むグローバル市場では約3.3兆円規模となっており(注1)、当社が取り組む領域もこの拡大市場の一角を担う存在として成長余地を有していると考えております。さらに、映像、音楽、ゲーム、商品などを含む広義のグローバルコンテンツ市場全体では、2023年時点で約123兆円規模にのぼる(注2)とされ、当社としてはこれらの成長分野と接続しながら、多面的な展開を進めてまいります。
実際に、国内VTuber市場は2024年度時点で約1,050億円規模に達すると推定されており(注3)、2021年度から2024年度までの年平均成長率(CAGR)は約50%と、引き続き高い成長を示しております。VTuber市場は商品展開や企業タイアップ、イベントなどの周辺分野における収益拡大が引き続き見込まれていることに加え、VTuberという表現形式がグッズや音楽、アニメ、ゲームなど他のエンターテインメント分野と親和性高く連動していることも今後この成長を後押ししていくと考えられます。
当社としても、こうした市場環境を踏まえ、トレーディング・カードゲームや音楽配信、アニメーション作品への参画、自社および協業によるゲーム開発など、周辺領域とのシナジーを活かした事業展開を強化しており、これらは今後の成長を牽引する中核的要素と位置付けています。
また、日本政府が推進する「新たなクール・ジャパン戦略」では、日本発コンテンツの海外市場規模を2033年までに20兆円へ拡大することが掲げられており、コンテンツ産業全体が輸出産業としてより重視される中、VTuber産業も国策的な支援の恩恵を受ける可能性があります。
一方で、インディーズVTuberの増加や海外VTuberの活躍など、グローバルにおけるVTuber文化の裾野も広がりを見せておりますが、当社が長年培ってきた制作能力と、クリエイター・ファンによる大規模な共創コミュニティは、引き続き当社の持続的な成長を支える競争優位性として機能していると認識しております。
今後は、国内外における商品・サービスの提供体制をより一層強化していくとともに、各国の税制、物価、為替動向などグローバル展開に伴う不確実性についても注視しながら、継続的な成長に向けた戦略を推進してまいります。
(注)1.出所:一般社団法人日本動画協会「アニメ産業レポート 2024」2023年のアニメ関連市場規模
2.出所:内閣官房『第23回新しい資本主義実現会議の基礎資料』にて記載の2019年のコンテンツ産業の世界市場規模
3.出所:矢野経済研究所「2024年 VTuber市場の徹底研究 ~市場調査編~」
VTuberの人気はアニメルック・アバターや関連するグループ又はユニットの魅力の影響を大きく受けるため、魅力あるVTuberを継続的に開発することは当社の経営課題であります。当社は、コンテンツを共創するクリエイターにとっても意義深い活動の機会を継続的に提供するために、当社ブランドの認知及び一層の価値向上に努めております。
VTuberの活動はアニメルック・アバターを用いて活動するコンテンツ・クリエイターの創作活動に依存しているため、能力のあるコンテンツ・クリエイターの発掘、及びその能力を一層開花させるための育成は当社の課題であります。
当社では定期的なオーディションの実施により新しいコンテンツ・クリエイターの発掘ができるよう努めている他、採用後も社内外のクリエイター・企画チームを活用し、継続的なグッズ企画・衣装企画・ライブ企画等の多様な活動支援によってコンテンツ・クリエイターの個性をより発揮できるような環境を構築しております。
当社は魅力あるVTuberの継続的な開発と育成を主軸に、動画配信プラットフォーム上でのサービス展開のみに留まらない、多面的な事業展開を推進しております。そのため、より大きな市場を捉えるために複数の先行投資を実施しております。具体的には、より付加価値の高いコンテンツ開発と集客力の向上に向けた、3Dモデリング、3Dアニメーションに関する人材投資、大型モーション・キャプチャー・スタジオの取得、統合IDサービスの開発及びユーザーの体験価値の向上に向けたゲーム・メタバースサービスの開発等を行っております。
また、マーチャンダイジングやライセンス/タイアップといった収益性の高いコマース領域では更なる事業拡大を計画しており、トレーディングカードゲーム等のシリーズ商品の企画や海外地域でのライセンシー拡充による現地商流への商品・サービスの配荷拡大等を推進しております。
当社の成長には多様な専門性を持った優秀な人材を採用し、組織体制を整備していくことが重要であると考えております。積極的な採用活動を行っていくとともに、従業員が中長期的に働きやすい職場環境や人事制度を整備してまいります。
当社はコンテンツ・クリエイターの活動について、モーション・キャプチャー技術を駆使した自社開発のアプリケーション等で支えており、今後の継続的な技術改善が視聴者に新しいエンターテインメント体験を届けるために重要であると考えております。
高度なスタジオ配信を可能にするアプリケーションのアップデートや豊かな表現を可能にする3Dモデリング技術の向上等、継続的な改善を進めてまいります。
当社は多数のVTuberを擁しており、それぞれのコンテンツ・クリエイターの裁量で日常的に膨大な数の視聴者との双方向コミュニケーションがライブ配信を通して行われております。
継続的な創作活動や視聴者とのコミュニケーションが維持されるよう、誹謗中傷対策などのコミュニティ健全化の施策は重要であると考えております。
外部専門家と連携しての誹謗中傷対策等、コンテンツ・クリエイター保護のための施策を継続的に実施してまいります。
当社は、これまで金融機関からの借入に大きく依存せず、資金需要は自己資金及び営業活動によるキャッシュ・フローを源泉とした財務基盤を維持していることから、先述の「事業拡大と収益性向上を両立した事業運営」の他には、優先的に対処すべき財務上の課題はありませんが、上記事業上の課題に対する対処及び継続的な成長に資する設備投資を実行できるよう、内部留保の確保と株主還元の適切なバランスを検討し、既存事業の営業キャッシュ・フローの改善等に対処するなど、財務体質のさらなる強化に努めてまいります。
当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
当社は、ミッション「つくろう。世界が愛するカルチャーを。」の実現に向けた事業活動を行っておりますが、企業の社会的責任を果たすための取り組みとして、サステナビリティに関する課題に向き合い、持続可能なカルチャーとエコシステムの構築も議論しています。この一環として、サステナビリティに関するテーマを統合した監督体制やリスク管理プロセスの整備を進め、重要課題の特定に取り組んでおります。
当社では、代表取締役社長がサステナビリティに関する事項の監視・管理を行うとともに、経営者として経営判断における最終責任を有しております。サステナビリティに関連する重要課題及びリスクと機会の識別・特定、重要課題に対する基本方針の策定は経営企画室を中心とした横断チームにて行われ、管掌役員より毎月行われる取締役会に上程されます。取締役会は、上程された内容を協議の上承認を行います。なお、取締役会は、議長である代表取締役社長及び社内外取締役の計8名により構成されており、サステナビリティに関する意思決定に加えて、決定された方針に基づいた対応の進捗管理の監督を行っています。取締役メンバーはそれぞれ、事業経営・業界や海外市場動向、技術開発等の当社の事業領域に関するテーマに精通しており、多角的にサステナビリティに関するリスクと機会に係る判断を行っています。
なお、今後につきましては、持続可能性の観点から企業価値を向上させるため、経営層と各部署をつなぎ、実効性のあるサステナビリティ戦略の推進を担うサステナビリティ委員会の設置に向けて体制整備を進める計画です。
当社ミッションである「つくろう。世界が愛するカルチャーを。」の実現に際して、当社が直面している事業環境や課題、将来想定される社会や環境課題および主なステークホルダーを考慮に入れ、マテリアリティ(重要課題)の特定を進行しております。
具体的には、「事業活動を通じて創出したい価値」を特定することで、その実現に向けた「価値を創出するための仕組み」が持続可能な形で機能し続けるために、「強化すべき経営基盤」にそれぞれ取り組んでいくことが重要であると考えており、今後投資者の投資判断に重要なサステナビリティ項目の開示に取り組んでまいります。
サステナビリティに関するリスク管理については、リスク・コンプライアンス委員会が全社横断的な視点に立ち、持続可能な事業活動に向けた取組を行っています。リスク管理は発見・分析・評価・対応の4つのステップで構成されています。当社では、横断チームにおいて、事業全体に係るサステナビリティ情報を収集し、発見・分析・評価のステップを通してリスクと機会の識別・特定を行っています。取締役会にて承認された重要課題に関しては、企業の全体的なリスク管理を行うリスク・コンプライアンス委員会とともに各リスクオーナーによって対応が行われます。対応状況は横断チームによる進捗管理が行われます。
当社は、気候変動要因を踏まえた事業計画の策定が重要であると認識し、気候変動を起因とした社会的・物理的変化が当社事業に与える影響について分析を進めております。これらの取り組みは、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)が提唱するアプローチ及び開示フレームワークを参照しています。
当社は、当社における気候変動に係るリスク及び機会を網羅的に把握するため、売上を構成する事業全体(配信/コンテンツ、ライブ/イベント、マーチャンダイジング、ライセンス/タイアップ)を分析の対象とし、TCFD提言のフレームワークに基づき気候変動が事業活動に与える影響について分析を進めております。今後、シナリオ分析によって考えうるリスクの洗い出しを行い、潜在的な機会の洗い出し及びリスク重要評価の実施を計画しており、投資者の投資判断に重要なリスク及び機会の特定、指標や目標の開示について、検討しております。なお、これらの情報は、当事業年度末時点における状況を反映したものであり、今後、社内外の環境変化や新たな知見の獲得に伴い、内容が変更される可能性があります。
当社は、「インターネット上の誹謗中傷による人権侵害」が当社の事業に関わる包括的な課題として捉えております。
当社は、「インターネット上の誹謗中傷による人権侵害」に係るリスク管理のうえ対応する戦略の策定を進めております。実効性のある戦略策定に伴い、リスク・機会の特定、重要性の評価及び優先順位付けの他、経営層及び現場の組織体制の検討を行う予定です。
なお、足元では、グローバルでの誹謗中傷行為に関する理解の醸成と抑制に向けて、誹謗中傷対策に関する声明文を発表したほか、“新しい時代の「推し活動」へ”をキャッチコピーとした自社独自のサポーターガイドラインを日本語・英語・インドネシア語で展開しております。 また、クリエイターが活動しやすい社会環境をつくり、その自由なかつ安全な活動を促進することを目的とした一般社団法人クリエイターエコノミー協会や、インターネットの悪用を抑え自由なインターネット環境を護ることを目的とした一般社団法人セーファーインターネット協会といった業界団体と連携し、活動の領域を広げております。クリエイターエコノミー協会での取り組みにおいては、2024年5月に、UUUM株式会社、ANYCOLOR株式会社及び当社で協働し、「誹謗中傷対策検討分科会」を設置し、明確な悪意がある加害者への事前対策を目的に活動報告を定期的に行っています。「誹謗中傷対策検討分科会」及び分科会での当社の報告につきましては、クリエイターエコノミー協会HPをご参照ください。
URL:https://creator-economy.jp/n/nbf4017850d1d
また、報告年度末における、より具体的な取組内容につきましては、当社HPでの「誹謗中傷等の権利侵害行為における対策活動のご報告」をご参照ください。
URL:https://cover-corp.com/news/detail/20250109-01
今後も、当社のミッション達成及び社会全体の発展を目指し、明確な悪意のあるインターネット上の誹謗中傷による人権侵害の根本的解決に尽力してまいります。
当社では課題の解決に向けた目標指標はまだ策定されておりませんが、結果指標として誹謗中傷に対する法的措置の回数を集計しております。実績として、2024年4月~2025年3月においては、殺害予告や書き込みによる権利侵害行為に対する法的措置を含めて203件の対応をしてまいりました。(ご参考:昨年度合計116件)
当社は、創業以来、法的措置への対応体制の強化に努めており、現在は法務知財・危機管理本部内に法的対応を専門とするチームを設置し、当社代理人弁護士とともに対策を実施しております。法的措置の件数は、当社の対応能力を示す指標の一つであり、数値の増加は当社の対応能力の向上が反映されていると認識しております。今後も、タレントが安全かつ自由に才能を発揮できる舞台を提供するため、法務体制のさらなる強化を目指し、人員の増員や関連投資の増額を含む具体的な目標設定を検討してまいります。
当社は、社員に対して「世界に向かって挑戦していく人材」であることを求めています。VTuber事業を主軸とし、メタバース開発など新時代の事業を展開する当社には、当社の理念に共感し、情熱を持って取り組む人材が集まっています。当社は、これらの人材が持つそれぞれのスキルや経験を掛け合わせ、同じ目的のためにイノベーションを起こすことができる環境を整備するとともに、社員の高いエンゲージメントを醸成し、長期的に定着して価値を創造し続けることができる職場づくりに注力しています。
当社は、個性豊かな人材の能力を調和させ、組織全体として世界に向かって挑戦し成長し続けるため、「組織としての統一感の醸成」「スキル・適性能力の成長」に注力しています。具体的な施策例としては以下のとおりであります。
多様な社員が持つ情熱を組織全体として統一し、共通の目標や行動指針に基づいて活動することを目的に、毎月の全社会議にて企業ミッションを共有するほか、バリューに沿った人事評価、アワード制度を導入しています。また、業務内容や経歴にかかわらず幅広い等級共通の研修プログラムを提供することで、組織として共通の価値観やスキルの醸成に取り組んでいます。
当社では、世界に通用するスキル取得のため体系化された研修体制を構築しています。社内リソースを活用したコンテンツ提供に加え、各職種の専門性に応じた外部研修・セミナーへの参加を促進する制度を導入しております。また、スキルだけなく、個々の志向・適性に応じたキャリアパスを推進し、専門性に特化したキャリアコース(P等級)とマネジメントに特化したキャリアコース(M等級)を用意しております。
世界中のユーザーが楽しむコンテンツの提供を支える多様な人材の確保と長期的な定着を目的に、「社員の社外活動の推奨」「海外人材を意識した環境整備」「適切なワークライフバランスの提供」に注力しています。また、当社では、社内環境整備の効果測定のため、エンゲージメントサーベイを実施しています。サーベイの結果を指標にするとともに、当社社員にとってより良い環境整備施策の検討を行っております。「社員の社外活動の推奨」「海外人材を意識した環境整備」「適切なワークライフバランスの提供」に関する取り組みについては以下のとおりであります。
当社は、多様な社員がバックグラウンドやスキル、興味を活かしながら、共通のビジョンを持って活動することで、イノベーションが創出されると考えています。社員が当社に入社した後も、当社以外の組織や活動での経験を通して、新たな知識やスキル、人脈を得ることは、個々の成長や当社の発展はもちろんのこと、働きがいに繋がると捉えています。このような考えのもと、当社では副業・兼業を推奨しており、社内規程を整備するなど、社員が多様な経験を積むことができる環境づくりに取り組んでいます。
世界基準のコンテンツ提供のため、当社では海外人材の積極採用を行っています。海外人材が日本企業で働く際には、文化や慣習の違い、故郷との物理的距離などがモチベーションの低下につながる場合があることを認識しています。このような課題に対応するため、当社では、海外社員をはじめ、帰省が難しい社員に対し、休暇期間を超えて帰省先でのリモートワークを認める制度を設けるなど、職場環境整備に取り組んでいます。なお、海外人材を意識した職場環境の検討は、多くの気付きをもたらし、取り組みを推進することで結果的に国籍を問わず多様なバックグラウンドを持つ人材にとって働きやすい職場環境の構築につながっています。
当社では、副業や兼業を行う社員や、時差が生じる地域からリモートワークを行う社員など、多様な働き方を実践する社員が多く在籍しています。また、当社社員の年齢の中央値は30代であり、ライフステージの変化を迎えるタイミングにある社員も多く含まれています。こうした背景を踏まえ、当社では、社員一人ひとりが最もパフォーマンスを発揮できる時間帯で業務に従事できる環境を整備することが、社員のやりがい向上につながると考えています。具体的には、各部門別に設定されたコアタイム以外の出勤時間を社員が選択できる制度を導入し、ワークライフバランスの確保を支援しています。加えて、全社員を対象に育児休業の取得を奨励するなど、ライフステージに応じた柔軟な働き方を推進することで、社員が安心して働ける環境づくりに取り組んでいます。
当社では、上記「(3)①人材育成方針」及び「(3)②社内環境整備方針」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。なお、社内外の環境変化や新たな知見の獲得・進捗状況に伴い、内容が変更される可能性があります。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。
また、顕在化可能性又は影響度が「小」と記載されたリスクについても、現に当該リスクが発生し又は当社の事業、業績及び財政状態等に重大な影響を及ぼす可能性を否定するものではなく、発生時期の記載と異なる時期に当該リスクが発生する可能性を否定するものではありません。
当社は、これらのリスク発生可能性を十分に認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ではありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討したうえで行われる必要があると考えております。
当社はYouTube等の動画配信プラットフォームを通じて視聴者にライブ配信コンテンツを提供しております。これらの動画配信プラットフォーム事業者の動向及び事業戦略並びに当社との関係の変化等により、当社のライブ配信コンテンツ提供の継続が困難になった場合、又は経済条件に大幅な変更があった場合には、当該プラットフォーム経由で当社のコンテンツを消費していた顧客層からの収益の減少を通じて当社の事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社では、ライブ配信のみに依存せず、マーチャンダイジング、イベント、ライセンスアウトといった収益機会の多様化が進んでいる他、コンテンツ・クリエイターの活動もYouTube以外を含む複数の動画配信プラットフォーム上で行われており、また開発中の自社プラットフォームでの活動も予定されていることから、単一のプラットフォームのみに依存することの無い体制となっております。
当社は動画配信プラットフォーム上でのVTuberによるライブ配信、関連グッズ及びコンテンツの販売等を主な収益としております。近年のインターネット上での動画メディア視聴の世界的な広がり、また、アニメ、ゲーム等のコンテンツ消費の国際的な拡大などを背景として、当社コンテンツの視聴者数や当社の売上高も順調に拡大を続けており、今後も当面はこの傾向は継続するものと認識しております。
しかしながら、関連する法規制、景気動向、個人の嗜好等の変化等により、関連市場の成長が鈍化し、それに伴い、当社コンテンツの視聴者数の減少が起きる等、当社のビジネスモデルを長期的に維持できない場合や、これらの変化に対応した新しいビジネスモデルを十分に構築できない場合には、顧客数の減少を背景とした売上高成長の鈍化等を通じて当社の事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社では事業展開を行う領域の多面化、及び地域の多様化を行うことにより、当該リスクの軽減を企図しております。
当社のサービスの一部であるタイアップ広告の受注高は企業の広告出稿予算の変化等の影響を受けることが予想され、景気変動等の要因によって企業の広告出稿予算が増減した場合には、当社の事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社ではタイアップ広告以外にも、自社所有IPに基づく商品販売等収益源の多角化を行うことにより、当該リスクの軽減を企図しております。
当社が提供するサービスを規制する主な法律として「個人情報の保護に関する法律」、「特定商取引に関する法律」、「下請代金支払遅延等防止法」、及び「不当景品類及び不当表示防止法」等があります。
当社は、これらの規制に準拠したサービス運営を実施しており、今後も法令順守体制の強化や社内教育の実施などを行ってまいりますが、新たな法規制の制定や改正が行われ、当社が運営するサービスが新たな法規制の対象となる場合、当社の事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、視聴者層の拡大に向けて英語及びインドネシア語をメインにライブ配信を行うVTuberグループ「hololive English」、「HOLOSTARS English」及び「hololive Indonesia」を展開しております。
外国語圏の視聴者に向けたサービスの提供にあたっては、文化・ユーザーの嗜好・商習慣の違い、為替変動、法制度・税制度を含む各種規制、経済的及び政治的不安等の様々な潜在的リスク、事業展開に必要な人材の確保の困難性、及び展開言語地域において競争力を有する競合他社との競争リスク等が存在します。当社がこのようなリスクに対処できない場合、当社の事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社では現地文化や法令規制等に精通した外部専門家との協働や展開地域の多角化により当該リスクの軽減を企図しております。
現在、VTuber事業を含む動画配信関連事業を展開する競合企業は国内外に複数存在しております。
当社は、今後とも優れたIPの開発や技術的改善等により市場における優位性を維持しつつ競争力を向上させていく方針ですが、これらの取り組みが予想通りの成果を上げられない場合や、より競争力のある競合他社の出現により、当社が提供するコンテンツの視聴者離れ等につながる場合、又は魅力的なコンテンツ・クリエイターの継続的な確保が難しくなる場合には、当社の事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社の業績は、当社所属のVTuberの人気及びコンテンツ供給頻度に一定程度依存しております。
当社は平時から、当社所属のVTuberに関するスキャンダル、炎上、誹謗中傷等に対処し、健康的な活動をサポートする技術的、組織的体制の拡充等を通じて対策を図っておりますが、VTuberの活動内容や頻度はアニメルック・アバターを用いて活動するコンテンツ・クリエイターの動向に依存しており、不適切なコンテンツの配信、スキャンダル、炎上、誹謗中傷、その他健康上の理由等により、当社所属コンテンツ・クリエイターが視聴者からの継続的な支持を得ることができなくなった場合、活動頻度が著しく低下した場合、又は活動の継続が困難になった場合等には、関連するIP、コンテンツ又は商品等の付加価値の低下を通じて当社のレピュテーション、事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
個別のコンテンツ・クリエイターを見た場合、これらのリスクは高くない頻度で顕在化する可能性がありますが、当社では健全なコンテンツ配信を推進し、スキャンダル、炎上、誹謗中傷等に対処し、コンテンツ・クリエイターの健康的な活動をサポートする技術的、組織的体制の拡充、関連する業界団体との連携、及び多様な人気VTuberによるプロダクション全体としてのコンテンツ供給の安定化等により対策を図っております。
当社は所属するコンテンツ・クリエイターによる公序良俗の違反や知的財産権の侵害が発生することを未然に防止するために、ガイドライン等の拡充やコンテンツ・クリエイターの指導に努めております。また、そのような事象若しくはその兆候が発生した場合には、速やかにそれを認識し対処を行うための配信動画のモニタリング等の管理体制の整備にも努めております。しかしながら、日々のコンテンツ配信の中で予期せぬ事象が発生した場合には、当社や所属コンテンツ・クリエイターのレピュテーションの低下や紛争につながる等、当社の事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は事業活動を通して、顧客や取引先の個人情報及び機密情報を入手することがあり、また、営業上の機密情報を保有しております。情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)認証を取得し社内で運用する他、従業員研修の実施等、これらの情報管理には万全な方策を講じておりますが、万一当社の従業員や業務の委託会社等が情報を漏洩又は誤用した場合には、当社が企業としての社会的信用を喪失し、当社の財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は当社が運営する事業に関する知的財産権の取得に努め、当社が使用する商標・技術・コンテンツ等についての保護を図っておりますが、模倣品の流通、海賊版の制作等により当社の知的財産権が第三者の侵害から保護されない場合、又は知的財産権の保護のために多額の費用が発生する場合には、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社が使用する技術、コンテンツについて、知的財産権の侵害を主張され、当該主張に対する防御又は紛争の解決のための費用又は損失が発生し、当社の事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、法令及び契約などの遵守のため、リスク・コンプライアンス管理規程を定めて社内教育やコンプライアンス体制の充実に努めております。しかしながら、今後当社が事業活動を行うなかで、顧客、取引先又はその他第三者との間で予期せぬトラブルが発生し、訴訟に発展する可能性があり、係る訴訟の内容及び結果によっては、当社の財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、多大な訴訟対応費用の発生や当社の社会的信用の毀損によって、当社の事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社はUGCコミュニティの強化及びファン層の拡大・維持を企図して、新規事業としてメタバースサービスの開発を行っております。同サービスにより、3D仮想空間の中でVTuberとファンが直接交流できる機会等を提供できるようになる予定であります。
同新規事業は、そのリスク等について企画及び開発段階から十分な検討を行うことによりリスク低減を図る方針であります。
しかしながら、同新規事業の展開においては、不確定要素が多く存在することから、当社の想定通りに進捗しない、期待するシナジーが得られない又は法的若しくは事業上の新たなリスク要因が発生する等の可能性があり、当社の事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社は配信コンテンツの拡充及び制作リソースの拡充を企図して、2023年4月より新しい配信用スタジオの稼働を開始しております。稼働開始後は十分な人員を確保したうえで、投資回収を図っていく想定でおりますが、人的リソースの不足や、稼働管理の不備等により期待した機能を達成できない可能性があり、減損損失の発生等による当社の事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社が今後とも企業規模を拡大し、より良いサービスを提供していくためには、個性豊かなコンテンツ・クリエイター、専門性の高い技術者等の他、コーポレート部門等においても当社の理念に共感し高い意欲を持った優秀な人材を確保することが必要不可欠であります。
当社は、規模拡大やサービス向上に必要な人材確保のために、今後もより一層積極的な採用活動を行っていく予定ではありますが、人材獲得競争の激化や市場ニーズの変化等により、想定通りの採用が進まない等優秀な人材の獲得が困難となる場合や、現在在職する人材の社外への流出が生じた場合には、当社の事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社の事業においては、当社及び当社が提供するサービスの認知度、ブランドイメージや社会的信用の維持及び向上に努めておりますが、当社によるプロモーション活動が奏功する保証はありません。
また、当社サービスの欠陥や個人情報及び機密情報の流出等並びに当社や当社が提供するサービスに関する風評被害の発生等により、ブランドイメージや社会的信用が低下し、当社の事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社は2016年6月に設立され、未だ社歴が浅く成長途上にあり、今後の事業運営及び事業拡大に対応するため、当社の事業体制及び内部管理体制について一層の充実を図る必要があると認識しております。事業規模に適した事業体制及び内部管理体制の構築に遅れが生じた場合、当社の事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社は2016年6月に設立されており、設立後の経過期間は9年程度と社歴の浅い会社であります。また、当社は急速な成長過程にあり、業績は新規IPの公表や大型イベントの実施等に関連した季節性にも依存するため、過年度の経営成績は期間業績比較を行うための十分な材料とはならず、過年度の業績のみでは今後の業績を判断する情報としては不十分な可能性があります。
当社の業績は消費者の長期休暇期間や大型イベントの実施時期等に関連した売上高の季節性に依存するため、特定の四半期業績のみをもって当社の通期業績見通しを判断することは困難であります。
当社は、株主に対する利益還元と同時に、財務体質の強化及び競争力の確保を経営の重要課題と位置づけております。現時点では、当社は成長過程にあると考えており、内部留保の充実を図り、事業拡大と事業の効率化のための投資に充当していくことが株主に対する最大の利益還元に繋がると考えております。このことから、創業以来配当は実施しておらず、今後においても当面の間は内部留保の充実を図る方針であります。将来的には、各事業年度の経営成績を勘案しながら株主への利益還元を検討していく方針ですが、現時点においては配当実施の可能性及びその実施時期等については未定であります。
当社は取締役及び従業員に対し、長期的な企業価値向上に対するインセンティブとして新株予約権を付与している他、今後も優秀な人材確保のため新株予約権その他のエクイティ・インセンティブプランを発行する可能性があります。これらの新株予約権が権利行使された場合等には、当社株式が新たに発行又は交付されることにより、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があるとともに、係る株式が一度に大量に市場へ流出することとなった場合などには、適切な株価形成に影響を及ぼす可能性があります。本書提出日現在でこれらの新株予約権に係る潜在株式数は1,443,000株であり、発行済株式総数及び潜在株式数の合計67,093,100株の2.1%に相当します。
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
当事業年度末における資産合計は、前事業年度末より10,346百万円増加し、33,060百万円となりました。これは主に、現金及び預金の増加2,831百万円、商品の増加2,129百万円、売掛金の増加1,919百万円及びソフトウエア勘定を中心とした無形固定資産の増加1,625百万円によるものであります。
当事業年度末における負債合計は、前事業年度末より4,542百万円増加し、16,112百万円となりました。これは主に、前受金の増加2,849百万円、買掛金の増加411百万円、未払法人税等の増加373百万円及び諸外国間接税引当金の増加350百万円によるものであります。
当事業年度末における純資産合計は、前事業年度末より5,803百万円増加し、16,947百万円となりました。これは主に、利益剰余金が5,559百万円増加したことによるものであります。
②経営成績の状況
当事業年度における国内外の経済環境は、エンターテインメント需要の回復が見られた一方で、物価上昇や為替変動などに起因する先行き不透明感が継続しました。
こうした環境下において、当社はミッションとして「つくろう。世界が愛するカルチャーを。」を掲げ、日本発のエンターテインメント・カルチャーを創出し、世界中のユーザーに届けることで、日本が持つアニメやゲームといったユニークな文化に関わるクリエイターの活躍の場を広げることを目指してまいりました。
当事業年度は、所属タレントの多様なメディアでの露出増加に加え、イベント出演のグローバル化、マーチャンダイジング商品の多様化、ライセンス・タイアップ案件のスケール拡大などが進展し、国内外における事業規模は着実に拡大しました。
サービス分野別の業績は、以下のとおりです。
配信/コンテンツ分野においては、所属タレントによる大型配信企画のヒットが継続したほか、2023年以降にデビューした国内外のタレントが着実に人気を獲得し、ファン層の拡大が進みました。また、アニメ主題歌の担当など音楽を軸とした露出が増加し、新たな層へのリーチも広がりました。その結果、同分野の売上高は9,323百万円(前期比21.9%増)となりました。
ライブ/イベント分野においては、英語圏向けVTuberグループ「ホロライブEnglish」による北米地域での2ndライブコンサートや、ホロライブプロダクション初のワールドツアーを実施するなど、海外市場における実績を着実に積み上げました。加えて、国内外の人気タレントによる大型会場でのソロライブも多数成功し、リアルイベントを通じたファンエンゲージメントの強化とコンテンツのモメンタム創出に貢献しました。年度末には、例年開催している「hololive SUPER EXPO」および「hololive fes.」において過去最大の動員数を記録することができました。これらの結果、同分野の売上高は7,793百万円(前期比39.1%増)となりました。
マーチャンダイジング分野においては、2024年9月に販売を開始したトレーディングカードゲーム『hololive OFFICIAL CARD GAME』が想定を大きく上回る販売実績を記録しました。これに加え、小売店販路の拡充やグッズ展開の多様化といった取り組みにより、広範なユーザー層へのリーチに成功しました。その結果、同分野の売上高は20,539百万円(前期比64.6%増)となりました。
ライセンス/タイアップ分野においては、営業体制の強化により、国内外の取引代理店数および案件数が順調に拡大しました。これに伴い、法人取引における認知向上と商機の拡大が進み、ゲーム・玩具・食品・日用品など多岐にわたる業種との取引が進展しました。その結果、同分野の売上高は5,744百万円(前期比29.4%増)となりました。
以上の結果、当事業年度における売上高は43,401百万円(前期比43.9%増)、営業利益は8,001百万円(前期比44.5%増)、経常利益は7,962百万円(前期比41.6%増)、当期純利益は5,559百万円(前期比34.4%増)となりました。
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前事業年度末に比べ2,831百万円増加し、11,498百万円となりました。
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
当事業年度において営業活動により獲得した資金は5,285百万円(前事業年度は4,765百万円の獲得)となりました。これは主に、増加要因として、税引前当期純利益7,448百万円及び前受金の増加による収入2,849百万円があった一方で、減少要因として、棚卸資産の増加額2,129百万円及び売上債権の増加額1,919百万円があったことによるものであります。
当事業年度において投資活動により支出した資金は2,696百万円(前事業年度は3,893百万円の支出)となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出1,852百万円及び有形固定資産の取得による支出623百万円によるものであります。
当事業年度において財務活動により獲得した資金は244百万円(前事業年度は0百万円の支出)となりました。これは主に、新株予約権の行使による株式の発行による収入244百万円によるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
当社は生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
当事業年度の仕入実績は、次のとおりであります。
(注)当社はVTuber事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。
当社は概ね受注から役務提供までの期間が短いため、受注実績に関する記載を省略しております。
当事業年度における販売実績を主要サービスごとに示すと次のとおりであります。
(注)1.当社はVTuber事業の単一セグメントであるため、上記ではサービス別の販売実績を記載しております。
2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は以下のとおりであります。
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において判断したものであります。
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
財務諸表の作成において適用する会計基準等につきましては、「第5 経理の状況 1財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項」の(重要な会計方針)、(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
当事業年度の配信/コンテンツ分野におきましては、所属タレントによる大型配信企画のヒットが継続したほか、2023年以降にデビューした国内外のタレントが着実に人気を獲得し、ファン層の拡大が進みました。また、アニメ主題歌の担当など音楽を軸とした露出が増加し、新たな層へのリーチも広がりました。
ライブ/イベント分野におきましては、英語圏向けVTuberグループ「ホロライブEnglish」による北米地域での2ndライブコンサートや、ホロライブプロダクション初のワールドツアーを実施するなど、海外市場における実績を着実に積み上げました。加えて、国内外の人気タレントによる大型会場でのソロライブも多数成功し、リアルイベントを通じたファンエンゲージメントの強化とコンテンツのモメンタム創出に貢献しました。年度末には、例年開催している「hololive SUPER EXPO」および「hololive fes.」において過去最大の動員数を記録することができました。
マーチャンダイジング分野におきましては、2024年9月に販売を開始したトレーディングカードゲーム『hololive OFFICIAL CARD GAME』が想定を大きく上回る販売実績を記録しました。これに加え、小売店販路の拡充やグッズ展開の多様化といった取り組みにより、広範なユーザー層へのリーチに成功しました。
ライセンス/タイアップ分野におきましては、営業体制の強化により、国内外の取引代理店数および案件数が順調に拡大しました。これに伴い、法人取引における認知向上と商機の拡大が進み、ゲーム・玩具・食品・日用品など多岐にわたる業種との取引が進展しました。
これらの結果、当事業年度の売上高は、43,401百万円(前期比43.9%増)となりました。
当事業年度の売上原価は、21,596百万円(同33.5%増)となりました。
主な要因は、マーチャンダイジング分野における販売拡大に伴う仕入や外注費の増加、売上高の増加に伴う演者報酬の増加及びライブやイベントの開催に伴う費用の増加によるものであります。
この結果、売上総利益は21,805百万円(同55.9%増)となりました。
当事業年度の販売費及び一般管理費は、13,803百万円(同63.3%増)となりました。
主な要因は、グッズ販売に関する諸経費の増加及び、事業規模拡大に伴う人件費や外注費の増加によるものであります。
この結果、営業利益は、8,001百万円(同44.5%増)となりました。
当事業年度の営業外収益は、75百万円(同35.2%減)となりました。これは主に、受取和解金66百万円を計上したことによるものであります。
当事業年度の営業外費用は、114百万円(同275.1%増)となりました。これは主に、支払和解金69百万円、為替差損43百万円を計上したことによるものであります。
この結果、経常利益は、7,962百万円(同41.6%増)となりました。
当事業年度の特別損失は514百万円となりました。これは主に、諸外国間接税引当金繰入額350百万円、固定資産除却損153百万円を計上したことによるものであります。
法人税等(法人税、住民税及び事業税並びに法人税等調整額)1,888百万円を計上した結果、当期純利益は5,559百万円(同34.4%増)となりました。
なお、財政状態の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態の状況」に、キャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
事業年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社の運転資金需要のうち主要なものは、所属VTuberへの報酬やグッズ制作原価等の売上原価の他、人件費や地代家賃、グッズ販売に伴う倉庫費用や決済手数料等の販売費及び一般管理費といった営業費用であります。
投資を目的とした資金需要は、配信用スタジオの設備更新や新規事業・新規サービスの開発費用等であります。
当社は、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としており、短期運転資金及び設備投資資金共に自己資金での運用を基本としておりますが、資金繰りが悪化する傾向が見受けられる場合には、金融機関による借入やエクイティファイナンスによる外部からの資金調達についても資金需要の額や用途、当該タイミングにおける金利及び資本コストを比較したうえで実施することを想定しております。
なお、第9期事業年度末(2025年3月31日)における現金及び現金同等物の残高は11,498百万円となっております。
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、当社の経営成績に影響を与えるおそれがあるリスクが存在していることを認識しております。
これらリスク要因の発生を回避するためにも、運営する事業の強化、人員増強、財務基盤の安定化等、継続的な経営基盤の強化が必要であるものと認識し、実行に努めております。
経営者の問題意識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な経営指標等」に記載のとおり、主な経営指標としてYouTubeチャンネル登録数、売上高、サービス別売上高を経営上重要な指標として位置付けております。
当社ではYouTube等の動画配信プラットフォームを通じて、所属VTuberによる高頻度なライブ配信、3Dモーション・キャプチャー・スタジオを用いたバーチャルライブ・コンサート、IPアセットを用いたアニメーション・コンテンツ等の供給を行うことに加え、二次創作ガイドラインを定めたうえでファンによる二次創作活動を幅広く奨励しております。
この結果、当社のVTuberは幅広いファンからの支持を得ていると認識しており、当社が保有するホロライブプロダクションのYouTubeチャンネル登録数は延べ9,714万登録を超えました。こうした大きなファンベースの存在が魅力的な演者や国内外の主要なクリエイターとの継続的な共創を可能としております。
(単位:人)
(単位:百万円)
当社では、主に配信やメタバースに関する新規技術の開発を行う専門の部署を設けており、当該部署において研究開発活動を行っております。
当事業年度におけるこれらの研究開発費の総額は
なお、当社はVTuber事業の単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載を行っておりません。