第2【事業の状況】

 

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

   当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。

   なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1)経営方針

  当社は、経営の基本方針として

 

 

わが社は信用と技術を基本として
お客さまに喜んでいただける安全で良質な

社会基盤を創造することを通じて

社会の繁栄に貢献するとともに

持続的に成長し家族に誇れる
働きがいのある企業をめざします。

 

 

を経営理念に掲げています。

  これは“株主・お客さま・取引先・従業員など関係あるすべてのステークホルダー”から「価値ある企業」として支持され、将来にわたりその存在を主張する基本理念です。

 

(2)経営戦略等

  当社は、2024年4月に「中期経営計画2028「誇れる企業へ」~サステナブルな未来社会への挑戦~」を策定いたしました。

 

 [グループ中期経営計画の概要]

1.計画期間  2024年度~2028年度(5か年)

 2.取組方針  ~サステナブルな未来社会への挑戦~

                1.生産性と利益創出力の回復/強化

                2.成長領域における積極的な投資

                3.人的資本の更なる充実とESGの推進

                4.資本効率を意識した経営への転換

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標

  当社は、中期経営計画2028をTEKKEN10年ビジョンの実現に向けた今後の5年間の行動計画と位置づけており、持続的に成長する鉄建グループを目指し、利益創出力の回復/強化を実現するとともに、資本コストと株価を意識した経営を実践してまいります。最終年度となる2028年度及び中間の2026年度の定量目標は以下のとおりです。

 

財務KPI

・2028年度  ROE 8%以上、連結営業利益 80億円以上、配当性向 50%程度

・2026年度  ROE 7%以上、連結営業利益 50億円以上、配当性向 50%程度

非財務KPI(2028年度)

・2022年度比CO2排出量 Scope1+2 △32%、Scope3 △20%

・工事に起因する死亡・重大災害、第三者災害、重大な鉄道工事事故 5か年累計0件

・従業員エンゲージメントスコア 5か年継続向上

 

(4)経営環境

 当連結会計年度における国内経済は、デフレ脱却に向けて着実に前進する中で、雇用・所得環境の改善や持続的な経済成長を目指した政策等の効果により、景気は緩やかな回復傾向が続きました。一方で、米国の保護主義的な貿易政策による関税の引上げを始めとした強硬な外交姿勢の影響や物価上昇の継続が消費者心理に影響を与えるなど景気を下押しするリスクとなっており、金融資本市場の変動等の影響にも注意が必要な状況が続きました。

 建設業界におきましては、公共投資が安定して推移し、民間投資についても住宅建設がおおむね横ばいである一方、設備投資は企業収益の改善を背景に回復の兆しが見られました。しかしながら、業界の就業者数が年々減少していることに加え、業界全体の多くを占める高齢労働者の後継を確保するべく人材不足への早急な対応が今後の大きな課題となっております。また、国を挙げた適正な価格転嫁への取組が奏功し、市場価格を反映した適正な請負代金の設定が業界全体で浸透し始めているものの、建設コストは依然として上昇が続いており、労務・資材調達のための競争は激しさを増しております。

 

(5)事業上及び財務上の対処すべき課題

 今後の国内経済の見通しにつきましては、物価上昇の継続が個人消費に及ぼす影響や米国の通商政策による影響等が景気を下押しするリスクとなっているものの、政府の各種政策の効果と、賃上げと価格転嫁の循環や企業の設備投資拡大により、緩やかな回復が続くことが期待されます。ただし、金融資本市場の変動等の影響に引き続き十分注意する必要があります。

 建設業界におきましては、海外経済や建設コストの動向等、先行きに不透明感が残っているものの、好調な企業業績や政府の省エネ対策に係る政策等により、民間の設備投資需要は増加が見込まれます。また、防災や減災、国土強靭化のための建設事業予算は引き続き確保されており、公共投資も堅調に推移することが期待されます。一方で他産業と比べても、建設業界の高齢化は顕著であり、労働環境の改善による若年層の入職や定着、生産性の更なる向上や効率化等、早急に対処していく必要があります。

 当社グループは、持続的な成長と企業価値の向上を目指し、受注ポートフォリオを意識した選別受注、売上生産性の向上・現場業務の効率化を進めてまいります。主となる土木、建築事業では、利益の根幹である品質確保と安全の徹底はもちろんのこと、集中管理による原価低減に取り組み、利益創出力の強化を図ります。併せて、当社を支える「人的資本」については、社員の持続的な成長を図るため、タレントマネジメントシステムを運用し、経営戦略に沿った社員の育成・適正配置による人材強化を図ると共に、採用活動の推進による人材の確保、DE&Iやワークライフバランスの実現に向けた施策の実施による社員エンゲージメントの向上に資する取組を進めてまいります。

 2025年度はこれまでの取組実績を踏まえ、目まぐるしく変化する外部環境の中で成果を上げていく年として、引き続き「中期経営計画2028」に掲げる4つの基本方針を軸に活動を続け、収益基盤の強化、生産性向上と働き方改革の両立、ESG経営の推進による企業価値の向上、株主還元の充実を優先課題として捉え、グループ一丸となって積極的に取り組み、より持続可能な企業成長の実現を目指してまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりです。なお、将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1)ガバナンス

 当社グループは、サステナビリティ経営を推進し、社会的価値と経済的価値の両立をめざした方針及び施策を策定する機関として、提出会社社長を委員長とした経営層をメンバーとするサステナビリティ委員会を設置しています。サステナビリティ委員会は、当社グループのサステナビリティを巡る課題について、全社的かつ事業横断的に取り組み、基本方針及び戦略の策定、目標の進捗管理、施策の審議等を通じて、当社の社会的価値と企業価値の向上を図ります。サステナビリティを巡る課題については検討すべき事項が広範囲にわたることから、サステナビリティ委員会には専門委員会として、リスク管理委員会、技術戦略委員会、安全品質環境推進委員会、環境戦略委員会及び人材開発委員会を置き、取締役会はサステナビリティ経営を推進する組織体制を整え取組を進めています。

 

(2)戦略

①気候変動

 当社グループは、土木事業・建築事業・新規事業を対象に、気候変動に関連する中長期的なリスクと機会を特定しました。特定したリスクと機会に対しては、複数のシナリオ分析(右記参照)により、2030年と2050年において当社の事業に与える財務影響(大・中・小の3段階で評価)について検討しました。なお、財務影響の重要なものについては、対応策を策定し、年度毎に進捗状況を把握するとともに、社会の動向を踏まえ見直しを図っていきます。

 

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②人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針

 当社グループが持続的に成長をしていくためには人材の育成が不可欠です。物事に前向きに取り組み、自ら考え行動し問題を解決できる社員や、困難な状況にあっても最後までやり遂げ目標を達成できる社員を育成するために、年代や職責に応じた階層別研修のほか、職種別の専門研修を充実させています。ほかにも、職種ごとの人材育成ロードマップを定めることで、社員自らがめざすキャリアを実現するための「道しるべ」となっており、高い専門性が必要となる業務経験や、必須となる資格を明確に定めています。将来を見据えた人材配置や計画的な人事ローテーションにより、若い年代からさまざまな経験を積ませることで、個人の能力向上や強みを見いだしながら人材の育成を推進しています。

 

 主な取り組みは以下のとおりです。

a.人材育成への取り組み

 当社では、安全や技術力の向上と同様に社員の成長を重点課題と考えており、会社が持続的に成長していくためには人材の育成が不可欠です。そのため近年は特に人材育成に力を入れており、社員のスキルアップの状況を上司と部下で確認できるツールである「人材育成シート」を活用し、半期ごとに実施している目標管理面談の際に相互に現状のスキルレベルを確認するとともに、さらなる向上を促すことで社員の能力向上に繋がる制度として運用しています。また、社員がめざすべき方向性を示した「人材育成ロードマップ」について必要に応じて見直し改訂を行っています。

b.タレントマネジメントシステムの導入

 当社はTEKKEN10年ビジョンを定め、「時代のニーズに応え、持続的に成長する鉄建グループ」を目指しています。ビジョンの実現には、経営戦略と連動した中長期人材戦略が重要であると考え、これまで「次世代の経営を担う人材の育成」、「社員のキャリアデザインの仕組みづくり」、「社員が持続的に活躍できる仕組み」、「社員能力の把握と戦略的配置」に取り組んできました。合わせて必要な人材の質と量を計画的に確保する必要があり、2025年度より「タレントマネジメントシステム」を導入しました。これにより、社員のスキルや育成状況、面談記録などの様々な人事情報を一元化し、組織の現状把握(年齢・性別・等級の構成等)からデータドリブンな人材育成、異動配置の実現、社員自身のスキルレベル把握により、明確なキャリアデザインにつなげ、さらにパフォーマンスの向上につなげていきます。

c.研修制度

 将来を担う人材を育成するため、入社年次に応じた階層別研修を実施しています。新入社員研修、新入社員フォロー研修、2年目、3年目、4年目、5年目(土木・機電・建築・建築設備職のみ)、6年目(建築・建築設備職)、7年目研修といった、社員の早期育成を目的とした研修を行うとともに、DX研修やサステナビリティ研修など時世に応じたプログラムも取り入れています。また、これらの研修は当社保有の研修施設「建設技術総合センター」にて実施し、屋内研修に加え屋外研修で実践に近い教育を行うことで、経験に基づいた安全や技術に関する知識を学ぶことができます。中堅層以降も、新任主席研修、新任主席1級研修、新任管理職研修、管理職5年目研修、評価者研修を実施し、若年層から中堅、管理職の全ての階層に学びの機会を設けた研修体系となっています。

 研修制度の主な取り組みは以下の通りです。

(a) 自律型人材の育成

 入社7年目までに受講する階層別研修に事前学習や確認テストの実施を加え、さらに研修コンテンツの一部WEB化やライブラリ整理を行い、反復学習が可能な「自律学習プログラム」を導入することで実効性を高める研修を展開しています。8年目以降は専門領域に特化した研修を充実させることで、各部門のスペシャリストを早期に育成します。また、新たにビジネススキル向上を目的とした外部研修や社員個々のタイミングで受講ができる自己啓発e-ラーニングを導入し、社員自らが主体的に学び成長する「自律型人材」を育成しています。

(b) 研修後OJT教育

 研修後に上司との面談を実施したうえで、職場OJT方針(目標)を設定することとし、研修3か月後に行動変容についてアンケートやレポート等を用いて確認を行った後、研修実施部署に状況をフィードバックし研修の効果を測定する仕組みとしており、研修効果の定着を図っています。

(c) 現場所長の早期育成研修

 土木・建築部門では、若年層社員を早期に所長へ登用することを目的とし、概ね30歳以降の選抜社員を対象に、原価管理やマネジメントを一定期間かけて習得する「所長候補者研修」を導入しています。

(d) マネジメント研修

 中堅から管理職層においては、技術力・専門力の向上と合わせリーダーシップやマネジメント能力を高める必要があり、7年目研修、新任主席層研修、新任主席1級研修、新任管理職層研修、管理職5年目研修においてマネジメント研修を行っています。

(e) 人材開発委員会の定期的な開催

 経営戦略と連動した人事戦略を推進するために、経営幹部と職種毎の人材育成部門で組織する人材開発委員会を定期的に開催しています。同委員会では、人材育成・開発に関する現状とめざす姿のギャップを把握した上で、課題解決に向けた具体的な対応策や方針についてスピード感を持って検討し対応を行っています。

(f) DX推進人材育成

 DXを推進するには全社員のDXに対する理解とITリテラシーの向上が必要不可欠です。また、その中でもDXを推進する立場にある人材については、より専門性の高い知識や考え方を身に付けておくことが重要です。全社員がDXに対する理解を深めるための研修に加え、選抜された社員を対象に、業務アプリの開発や、データ分析を行うための基本操作、論理的思考を学ぶ研修を実施しています。

 

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d.安全を担う人づくり

 当社では、入社5年次の全ての社員を対象に、現場実務に即した「安全に対する基礎知識の習得」を目的とした安全基礎研修を実施しています。6か月間の研修では、通信教育や現場パトロールへの参加、安全会議への出席、外部講習の受講、レポートの提出などを行い、若手社員の安全レベルの向上に取り組んでいます。2024年度の研修は68名(通期)が受講しました。2021年度から通算287名の社員がこの研修を受講しています。

e.建設技術総合センターでの教育訓練

 千葉県成田市にある建設技術総合センターには、約150mの複線軌道(実習線)や、対面式の駅のホーム、踏切、さらに工事状況再現エリア、軌道変状再現エリアなど、実物と同じ鉄道設備を設置しています。この施設では、実際の鉄道施設と同じ設備で研修・訓練を行うことができ、机上の知識だけでは得られない安全のノウハウを体感習得し、万が一の際に対応できる能力を磨くことができます。また、屋内研修設備として、当社がこれまでに起こした事故から得た教訓を風化させることなく、次代へ引き継ぐために「事故の情報展示館」と「川崎駅構内列車脱線事故の展示室」を設置しています。ここでは当社グループの社員教育だけでなく、鉄道工事に携わる他の建設会社や鉄道事業者、設計コンサルタント会社の方々などを対象にさまざまな研修を行っています。

f.作業所安全教育

 2022年5月より、社員の安全知識の向上、安全教育の習慣化、作業所のコミュニケーションの活性化を図ることを目的に、作業所長を実施者とした作業所全社員を対象とした「安全教育の日」を設け、作業所における安全風土の醸成をめざし、自主的な議論の場を月1回実施しています。また、若手社員を対象とした、安全教育も月3回実施し、安全知識、意識の向上を図り、目の前の業務をこなすことだけを覚えさせるのではなく、「安全」について、継続的な教育を実施し、安全教育の浸透、教える側の成長を促し、鉄建建設の安全文化として根付くことにより、「究極の安全」をめざしていきます。なお、2024年度においては「死亡・重大災害:1件」、「重大な鉄道工事事故:2件」でした。2025年度においては「死亡・重大災害:0件」、「重大な鉄道工事事故:0件」を目標値としています。

 

③社内環境の整備に関する方針

 当社グループは、適材適所の人材配置により、一人ひとりの従業員が適性を生かし、主体性を発揮できる「自己実現企業」をめざし、豊かで幸福な家庭生活が築けるよう努めます。私たちは、一人ひとりのプライバシーを尊重し、個人情報の適正管理や公正で明るい職場づくりに努め、従業員それぞれの能力を十分に発揮できる環境を実現します。

 主な取り組みは以下のとおりです。

a.DE&Iの推進

(a) キャリア継続形成

 当社では、女性のさらなる活躍を推進するため、2022年3月に女性活躍推進ワーキンググループを立ち上げ、さまざまな課題の解決に取り組んできました。2024年6月からは、男性社員にも対象を広げ、「社員のキャリアの継続と形成支援ワーキング」として新たにスタートしました。キャリア継続においては、既に制度化されているテレワークやフレックスタイム制度など、柔軟な働き方の推進に取り組んでいます。キャリア形成においては、社員が自らキャリアプランを立案することを通じて、主体的にキャリアに関与する意識の醸成を図っています。

(b) 女性活躍推進企業認定「えるぼし」の取得

 当社は女性の活躍推進状況が優良な企業として、厚生労働大臣より2022年5月には最高位である「えるぼし認定3段階」を取得しています。

(c) 両立支援

 社員が育児や介護などをしながらでも、安心して働き続けられるような各種両立支援制度の拡充に取り組んでいます。

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(d) 育児休業取得率の向上

 育児休業取得促進に向けた取り組みを積極的に行っており、育児休業を1か月まで有給としているほか、対象の子が2歳になるまで特別な事由がなくとも育児休業を取得できるなど、法定を上回る制度を導入しています。また、「育児休業意向確認面談制度」を導入し、育児期社員への制度周知、上司による育児休業取得意向の確認、フォロー体制整備のための情報共有など、一連の流れを制度化しました。男性社員の育児休業取得率は年々上昇し、2024年度は100%を達成しました。

(e) 次世代認定マーク「くるみん」の取得

 2023年7月に次世代育成支援対策推進法に基づく「子育てサポート企業」として、次世代認定マーク「くるみん」を取得しました。現在、上位認定である「プラチナくるみん」を申請中です。

(f) 仕事と介護の両立

 介護に必要な知識や仕事と介護の両立方法、事前の準備といった内容を学ぶためのシステムを導入しています。本システムは、社員ごとの介護リスクを診断し、その結果に応じたe-ラーニングやメールマガジンにより学習できる仕組みです。また、介護の初動時のフローチャートや介護要因のトップである認知症の早期発見・早期対応のためのガイドブックを作成し、社員へ公開しています。

(g) 外国籍社員の活躍

 お互いに違いを尊重し理解するため、外国籍社員が配属している部署に対して、個人や職場でできることをまとめたハンドブックを配付し、働きやすい環境づくりに取り組んでいます。

 2024年8月には外国籍社員を対象にした研修や外国籍社員の悩みや文化・風土の違いなど課題を共有し今後のキャリアを考える意見交換会を開催しました。

 

b.エンゲージメント向上に向けた取組

(a) フレックスタイム制度

 社員の仕事と生活との調和を図り、業務の効率的な遂行を目的として2019年度より「フレックスタイム制度」を導入しています。フレックスタイム制度を活用し、フレキシブルな働き方を推進することにより社員の働きやすい環境づくりに努めています。

(b) 若年層社員の定着支援

 全社員を対象とした年2回の目標管理面談の他に階層別研修時には若年層社員に対し、面談を実施しています。面談では面談実施者が社員の業務状況や希望勤務地、課題等を把握し、アドバイスやサポートを行うことで、若年層社員の自己実現やキャリア形成の支援、エンゲージメントの向上につなげています。

(c) 健康経営

 当社は、社員の健康を重要な経営資源と位置付け、健康経営を積極的に推進しており、2025年3月、健康経営の取り組みが優良と認められ、「健康経営優良法人 2025(大規模法人部門)」に6年連続で認定されています。

 具体的な取り組みとして、

・健康診断の充実

 健康診断及び人間ドックの早期受診を推奨し、社員の健康状態を把握・管理しています。また、健康診断結果に基づくフォローアップ体制を強化し、再検査・精密検査の受診勧奨及び疾病の早期発見・早期治療を推進しています。さらに社員が安心して健康診断を受けられるよう、会社として費用の一部を補助する制度を導入しています。

・メンタルヘルスケア

 ストレスチェックの実施や専門家によるチャット相談の利用など、メンタルヘルスケアの充実を図っており、社員が安心して働ける環境づくりに努めています。

・健康増進プログラム

 健康セミナーやイベントの開催など、社員の健康増進を支援する取り組みを行っています。

・ワークライフバランスの推進

 フレックスタイム制度やテレワークの導入により、社員が仕事と生活のバランスを取りやすい環境を整備しています。また、支援制度をまとめ、わかりやすく解説したガイドブックを作成し、社員に発信しています。

(d) 社員と役員との意見交換会

 当社は2014年度から、経営幹部が建設現場を訪れる特別安全パトロールに合わせて社員と役員との意見交換会を開催しており、現場の意見を聞き、問題点や課題を共有したうえで改善策を議論しています。社員からの意見や要望は、労働時間や福利厚生、人材育成などに関する改善の方向性を示す重要な情報です。経営幹部がこれらの意見に耳を傾け、具体的な対策を検討することで、社員の働きやすさや満足度の向上につながります。

 出された意見は集約され、その結果を全社員に公開することで、透明性と信頼性を確保します。社員が自身の意見が反映されたことを知ることで、組織内の意見交換と改善プロセスに対する参加意欲が高まります。意見交換会と結果の公開により、社員の参加意欲と意識向上を促し、組織全体の改善と発展に寄与していきます。

(e) エンゲージメント調査の実施

 当社は、「中期経営計画2028」に掲げているとおり、社員一人ひとりが持続的に成長し、家族に誇れる働きがいのある企業をめざしています。その一環として、社員の業務へのやりがいや自己の成長実感の測定など、現状把握とより良い職場環境づくりに役立てるため、2024年度に初めて従業員エンゲージメント調査を実施しました。2025年度以降も調査を実施し、組織状態の把握と改善を行いながら従業員エンゲージメントの継続的な向上を図ります。

 詳細は、「統合報告書2024 社員の持続的な成長と働きやすい職場づくり」をご参照ください。

 

(3)リスク管理

 当社グループは、環境戦略委員会事務局が中心となり、各部門と連携して「環境戦略委員会」で気候変動に関連するリスクと機会について議論し、評価しています。その対応策については、「環境戦略委員会」で実施状況を検証し、改善します。「環境戦略委員会」で検証した気候変動に関連する主要なリスクについては、「リスク管理委員会」において、他のリスクと共に審議し、重要な事項については取締役会に報告または付議し審議します。

 

(4)指標及び目標

 当社グループは、地球環境をよりよき状態で次世代に引き継ぐために、地球的視野に立った活動を継続的に行うという企業活動指針のもと、地球環境の維持向上という重要な経営課題に向き合い、社会的価値と経済的価値の創造を両立させる取り組みを進めています。これを踏まえ、GHG(温室効果ガス。主にCO2)の排出量及び削減目標を重要な指標及び目標としています。2022年度のScope1+2排出量は43,942t-CO2、Scope3排出量は901,538t-CO2を基準年として2030年のCO2排出量削減(総量)目標(Scope1+2排出量を基準年比△42%、Scope3排出量を基準年比△25%)及び2050年の目標(カーボンニュートラルの実現)を設定し、事業活動におけるCO2排出削減の取組みを推進しています。2024年度のScope1+2排出量は29,847t-CO2(基準年比△32%)、Scope3排出量は1,234,742t-CO2(基準年比137%)でした。今後もより多くのGHG排出量削減に向け様々な施策を行っていきます。

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 また、人的資本については、上記において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いています。当社においては、当該指標に関するデータ管理とともに、具体的な取組みが行われているものの、必ずしも連結グループに属するすべての会社では行われておらず連結グループにおける記載をすることは困難な状況です。このため、以下に示す目標及び実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しています。

項目

2024年度 目標値

2024年度 実績値

2025年度 目標値

社員一人当たりの研修時間

42時間

44時間

42時間

女性管理職比率

4.7%

4.9

4.9

男性育休取得率

85.0%

124.1

100.0

えるぼし認定3段階

認定維持

認定維持

認定維持

くるみん認定

認定維持

認定維持

プラチナくるみん取得

障がい者雇用率

2.6%

2.6

2.6

健康経営優良法人の認定

認定維持

認定維持

認定維持

4週8閉所実施率

土木:95.0%

建築:75.0%

土木:92.6%

建築:76.8%

土木:95.0%

建築:75.0%

 

 

3【事業等のリスク】

     有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

    なお、文中における将来予測は、当連結会計年度末(2025年3月31日)現在において判断したものです。

 

(1)災害、事故の発生

施工中の防災及び事故防止には万全を期していますが、予期しない原因などにより工事事故や労働災害が発生する可能性があります。この場合、損害賠償や指名停止などによる受注機会の減少により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2)自然災害によるリスク

地震・洪水・台風等の自然災害により事業活動の停止や施工中物件の復旧に多額の費用と時間を要する等の直接的な影響を受ける可能性があります。さらに、電力・水道・燃料の使用制限をはじめとしたインフラ機能の低下、仕入先の被災による材料調達の停滞等の間接的な影響も受ける可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3)品質上のトラブル、重大な瑕疵の発生

品質管理には万全を期していますが、重大な瑕疵による損害賠償が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4)資材・労務費等の高騰による工事原価の増加

請負契約後、原材料価格・労務費等が高騰した際、それを請負金額に反映できない場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(5)公共事業投資額の予想を上回る減少

当社グループの売上高のうち重要な部分を占める建設事業は、公共事業の投資額に大きな影響を受けます。公共投資は変動があるため、それをカバーするべく技術を中心とした体制の構築、建築部門の営業力・収益力の強化等の施策を講じています。しかし、予想を上回る減少となった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(6)当社保有資産の価値下落

当社グループでは建設事業・不動産事業と関連して販売用不動産や有価証券等を保有しており、これらの資産価値が景気変動等により著しく下落した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(7)金利の上昇

当社グループは金利上昇を見込んだ経営を行っていますが、請負業という建設事業の特性により、立替金が少なからず発生し、一定水準の有利子負債が必要となります。よって、金利が著しく上昇した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(8)繰延税金資産

当社グループでは、今後の課税所得等に関する予測に基づき繰延税金資産を計上しておりますが、将来の課税所得見積額の変更等により一部回収が困難であると判断した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(9)法令等違反

当社グループの事業は、建設業法、建築基準法、宅地建物取引業法、独占禁止法等により法的規制を受けています。これら法律の改廃、法的規制の新設、適用基準の変更や万一これらの法令に抵触する事象が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(10)サイバー攻撃

マルウェア等のサイバー攻撃によるデータの破壊や改ざん、情報漏洩等の被害があった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(11)海外事業に伴うリスク

海外での工事においては、戦争・テロ・紛争の発生、その国の経済状況・政治状況の変動、予期しない法律・規制の変更及び為替相場の大幅な変動等が生じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(12)取引先の信用不安

当社グループの主たる事業である建設事業においては、工事一件あたりの取引金額が大きいため、お客さまや協力会社の業績が悪化し信用不安に陥った場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)感染症の世界的な流行

何らかの感染症の流行が世界的な規模で拡大した場合、個人消費の低下、企業収益の悪化などが想定されます。感染症の流行が内外経済を下振れさせるリスクや金融市場の変動への影響が懸念され、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(注)土木工事・建築工事を一括し、「建設事業」として記載しております。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

  ①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度、当社グループは「中期経営計画2028「誇れる企業へ」~サステナブルな未来社会への挑戦~」の初年度として、1.生産性と利益創出力の回復/強化、2.成長領域における積極的な投資、3.人的資本の更なる充実とESGの推進、4.資本効率を意識した経営への転換、を基本方針として、資本コストと株価を意識した経営の実践により、生産性と利益創出力の回復・強化、成長領域への積極的な投資を通じて、企業価値の向上に取り組んでまいりました。土木工事では、羽田アクセス線建設や新宿駅東西デッキ等、将来への布石となる案件を受注する等、成果を上げることができました。建築工事では意識的に大型工事を受注し、生産性向上に努めると共に物流倉庫では資材の海外調達により原価を低減する等、利益回復を図ってまいりました。ま、事業戦略・基盤戦略を進める中で、自社専用の生成AIの活用や新基幹システムの運用開始等のDXによる業務変革や効率化の推進、持続可能な社会実現に向けた環境負荷低減の取組等、企業価値の向上に寄与することができました。

 当連結会計年度における当社グループの経営成績等の状況の概要は次のとおりです。

 

a.財政状態

 当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ13,831百万円増加(6.5%増)し225,102百万円となりました。主な要因は、受取手形・完成工事未収入金等の増加11,053百万円、兼業事業支出金の増加5,002百万円、現金預金の減少2,077百万円です。負債合計は、前連結会計年度末に比べ15,845百万円増加(11.4%増)し154,986百万円となりました。主な要因は、短期借入金の増加14,926百万円、長期借入金の増加6,746百万円、支払手形・工事未払金等の減少10,302百万円です。純資産合計は、前連結会計年度末に比べ2,014百万円減少(2.8%減)し70,116百万円となりました。主な要因は、その他有価証券評価差額金の減少1,520百万円、自己株式の増加585百万円です。

 以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末の34.0%に対して3.0ポイント減少の31.0%となりました。

 

b.経営成績

 当連結会計年度の経営成績は、前連結会計年度と比較すると、売上高は1,528百万円増加(0.8%増)し185,114百万円となりました。売上高の増加は、主に完成工事高の増加によるものです。土木工事は2,943百万円(3.2%減)、建築工事が2,872百万円(3.3%増)、工事施工高の増加等に伴い増加しています。

 売上総利益は、前連結会計年度比2,933百万円増加(24.6%増)し14,864百万円となりました。これは、大型工事における価格転嫁交渉が奏功したことや資材の海外調達によって原価が低減したことなどによる完成工事総利益の増加が主な要因です。DX関連費用及び福利厚生費の増加等により、販売費及び一般管理費が前連結会計年度比431百万円増加(3.9%増)し、営業利益は前連結会計年度比2,501百万円増加(261.1%増)の3,459百万円となりました。営業外収支は為替差損の計上、支払利息の増加等があったものの、経常利益は前連結会計年度比747百万円増加(32.8%増)の3,026百万円となりました。

 投資有価証券売却益2,611百万円、固定資産売却益73百万円の特別利益が計上された一方で、貸倒引当金繰入額326百万円、投資有価証券評価損300百万円など合計778百万円の特別損失が計上され、税金等調整前当期純利益は前連結会計年度比1,295百万円減少(20.7%減)の4,961百万円となりました。

 税金等調整前当期純利益の減少に伴い、税金費用が前連結会計年度比462百万円減少(23.3%減)の1,525百万円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度比831百万円減少(19.5%減)の3,429百万円となりました。

 

 セグメントの業績は次のとおりです。(セグメントごとの業績については、セグメント間の内部売上高等を含めて記載しています。)

 

    (土木工事)

 土木工事については、売上高89,047百万円(前連結会計年度比3.2%減)、セグメント利益3,497百万円(前連結会計年度比5.5%減)となりました。

    (建築工事)

 建築工事については、売上高91,137百万円(前連結会計年度比3.6%増)、セグメント損失997百万円(前連結会計年度はセグメント損失3,224百万円)となりました。

    (不動産事業)

 不動産事業については、売上高4,769百万円(前連結会計年度比33.7%増)、セグメント利益648百万円(前連結会計年度比162.7%増)となりました。

    (付帯事業)

 付帯事業については、売上高3,384百万円(前連結会計年度比9.7%増)、セグメント利益140百万円(前連結会計年度比146.9%増)となりました。

    (その他)

 その他については、売上高244百万円(前連結会計年度比27.1%増)、セグメント利益195百万円(前連結会計年度比8.2%増)となりました。

 

  ②キャッシュ・フローの状況

   営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益4,961百万円、その他の負債の増加3,673百万円などの増加要因があったものの、売上債権の増加10,970百万円、仕入債務の減少10,302百万円などの減少要因があり、20,285百万円の資金減少(前連結会計年度は3,973百万円の資金増加)となりました。

   投資活動によるキャッシュ・フローは、関係会社株式の取得による支出800百万円、有形固定資産の取得による支出486百万円などの減少要因があったものの、投資有価証券の売却による収入2,682百万円などの増加要因により、615百万円の資金増加(前連結会計年度は4,288百万円の資金減少)となりました。

   財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の増加2,222百万円、配当金の支払額1,484百万円などの減少要因があったものの、借入金(短期及び長期)の増加21,673百万円などの増加要因により、17,932百万円の資金増加(前連結会計年度は1,145百万円の資金増加)となりました。

   以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ2,077百万円減少(11.2%減)の16,529百万円となりました。

 

  ③生産、受注及び販売の実績

 当社グループでは生産実績を定義することが困難であるため「生産実績」は記載していません。

 なお、参考に提出会社個別の事業の状況を「提出会社の受注工事高及び完成工事高の状況」に記載しています。

 a.受注実績

セグメントの名称

 

前連結会計年度(百万円)

(自2023年4月1日

至2024年3月31日)

 

 

当連結会計年度(百万円)

(自2024年4月1日

至2025年3月31日)

 

  土木工事

100,949

91,422(9.4%減)

  建築工事

89,098

91,854(3.1%増)

合 計

190,048

183,276(3.6%減)

 (注) 当社グループにおいては土木工事・建築工事以外は受注生産を行っていません。

 

 b.売上実績

セグメントの名称

 

前連結会計年度(百万円)

(自2023年4月1日

至2024年3月31日)

 

 

当連結会計年度(百万円)

(自2024年4月1日

至2025年3月31日)

 

  土木工事

91,991

89,047  (3.2%減)

  建築工事

87,965

90,837  (3.3%増)

  不動産事業

3,331

4,536 (36.2%増)

  付帯事業

106

448(322.6%増)

報告セグメント計

183,393

184,870  (0.8%増)

  その他

192

244 (27.1%増)

合 計

183,586

185,114  (0.8%増)

 (注)セグメント間の取引については相殺消去しています。

 

(2)提出会社の受注工事高及び完成工事高の状況

 ①受注工事高、完成工事高及び次期繰越工事高

期 別

区 分

前期繰越工事高

(百万円)

当期受注工事高

(百万円)

(百万円)

当期完成工事高

(百万円)

次期繰越工事高

(百万円)

第83期

(自2023年4月1日

 至2024年3月31日)

土木工事

153,661

99,926

253,587

91,244

162,342

建築工事

112,454

89,098

201,552

87,965

113,587

266,115

189,024

455,139

179,209

275,930

第84期

(自2024年4月1日

 至2025年3月31日)

土木工事

162,342

87,997

250,340

87,571

162,768

建築工事

113,587

93,004

206,591

91,137

115,454

275,930

181,002

456,932

178,709

278,222

(注)前事業年度以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額に増減のあるものについては、当事業年度受注工事高にその増減額を含みます。したがって、当事業年度売上高にもかかる増減額が含まれます。また、前事業年度以前に外貨建で受注した工事で、当事業年度中の為替相場の変動により請負金額に増減のあるものについても同様に処理しています。

 

②受注工事高の受注方法別比率

 工事の受注方法は、特命と競争に大別されます。

期別

区分

特命(%)

競争(%)

計(%)

第83期

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

土木工事

28.9

71.1

100.0

建築工事

72.6

27.4

100.0

第84期

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

土木工事

31.9

68.1

100.0

建築工事

32.3

67.7

100.0

 (注) 百分比は請負金額比です。

 

③完成工事高

期別

区分

官公庁(百万円)

民間(百万円)

計(百万円)

第83期

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

土木工事

46,687

44,556

91,244

建築工事

5,453

82,511

87,965

52,141

127,067

179,209

第84期

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

土木工事

46,485

41,085

87,571

建築工事

7,759

83,377

91,137

54,245

124,463

178,709

(注)1.完成工事のうち主なものは、次のとおりです。

第83期

東日本旅客鉄道(株)

新宿駅中央盛土部改良他2

東日本旅客鉄道(株)

飯田橋駅改良

東日本旅客鉄道(株)

(仮称)新潟現業事務所新築

防衛省

稚内(3)局舎新設等建築工事

東京都

三河島水再生センター第二浅草系沈砂池棟建設その2工事

福岡県田川市

田川市立田川西中学校校舎棟新築工事

東日本高速道路(株)

北陸自動車道 栄橋床版取替工事

エヌ・ティ・ティ都市開発(株)

(仮称)品川区西大井二丁目賃貸住宅新築工事

積水ハウス(株)

(仮称)グランドメゾン荒戸二丁目計画新築工事

バングラデシュ人民共和国

クロスボーダー道路網整備事業(カルナ橋)

 

第84期

東日本旅客鉄道(株)

新橋駅改良(Ⅲ期)

東日本旅客鉄道(株)

青森駅東口開発計画 本体工事

東日本旅客鉄道(株)

総武線津田沼・幕張本郷間藤崎こ線橋新設他

国土交通省

令和2-5年度吉野川水系有瀬地区排水トンネル工事

東京都

北区王子五丁目地内から同区昭和町三丁目地先管配水本管(1000mm・800mm)用トンネル築造及びトンネル内配管工事

中日本高速道路(株)

東海環状自動車道 御望山トンネル工事

西日本高速道路(株)

新名神高速道路 池田高架橋(上り線) (PC上部工)設計・工事(建設工事その1)

東京モノレール(株)

羽田空港第1ターミナル駅リニューアル工事

ヒューリック(株)

(仮称)相模原市南橋本物流開発計画新築工事

京阪電鉄不動産(株)

(仮称)京阪南3西3オフィスビル計画新築工事

 

   2.完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高及びその割合は次のとおりです。

第83期

 東日本旅客鉄道(株) 40,034百万円 22.3%

第84期

 東日本旅客鉄道(株) 39,264百万円 22.0%

 

④手持工事高

2025年3月31日現在

 

区分

官公庁(百万円)

民間(百万円)

計(百万円)

土木工事

73,912

88,856

162,768

建築工事

31,042

84,412

115,454

104,954

173,268

278,222

(注)手持工事のうち主なものは、次のとおりです。

東日本旅客鉄道(株)

新宿駅東西デッキ新設他(Ⅰ期)

2029年1月

完成予定

東日本旅客鉄道(株)

原当麻駅構内24k570m付近こ道橋新設その他工事

2029年2月

完成予定

東日本旅客鉄道(株)

長野新幹線車両センター信通機器室外再建他

2027年1月

完成予定

防衛省

北熊本(6)庁舎新設等建築工事

2028年4月

完成予定

東日本高速道路(株)

道東自動車道 占冠PA工事

2029年6月

完成予定

東日本高速道路(株)

八戸自動車道 櫛引馬淵川橋耐震補強工事

2028年6月

完成予定

中日本高速道路(株)

名神高速道路(特定更新等)多賀地区道路改良工事(下り線)

2027年7月

完成予定

藤枝駅前一丁目9街区市街地再開発組合

藤枝駅一丁目9街区第一種市街地再開発事業に係る施設建築物新築工事

2027年6月

完成予定

(株)東精エンジニアリング

(仮称)東精エンジニアリング名古屋工場 新築工事

2025年7月

完成予定

(株)サンケイビル

(仮称)仙台泉物流施設建設工事

2025年10月

完成予定

 

(3)経営者の視点による経営成績等の状況による分析・検討内容

   経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

   なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

 ①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

  a.経営成績等

   1)財政状態

    (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況に記載のとおりです。

 

   2)経営成績

    (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況に記載のとおりです。

 

  b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 公共投資が安定して推移し、民間投資についても住宅建設がおおむね横ばいである一方、設備投資は企業収益の改善を背景に回復の兆しが見られました。また、国を挙げた適正な価格転嫁への取組が奏功し、市場価格を反映した適正な請負代金の設定が業界全体で浸透し始めているものの、建設コストは依然として上昇が続いており、労務・資材調達のための競争は激しさを増しております。

 このような環境の中、当社は、受注ポートフォリオを意識した選別受注を徹底し、集中管理による原価低減に取り組み、利益創出力の強化を図ります。また、引き続き当社の得意分野である鉄道分野の事業展開を図るとともに、道路分野や官公庁建築への注力や各セグメントにおけるJR東日本グループとの連携により、シェア拡大を目指します。

 なお、ICT技術等の活用による建設DXの推進や業務の効率化による生産性の向上、労働時間削減や職場環境の改善がこれまで以上に求められるなど、施工環境にも大きな変化が起きていると認識しています。

 

   〔今後の市場環境〕

    ・社会基盤(高速道路、トンネル、橋梁、河川施設等)の更新・修繕工事拡大や激甚災害への対応

    ・ECI、設計施工等、提案型案件の拡大

    (鉄道分野)

    ・ポストコロナにおける利用者減少を前提にした事業構造の変化

    ・大規模ターミナル開発、羽田空港アクセス新線の推進

    ・老朽設備の大規模修繕、大規模地震を想定した耐震補強等の推進

 

   〔今後の施工環境〕

    ・労働基準法改正に伴う労働時間上限規制への対応

    ・BIM、IoT、AI等の利用拡大

    ・2050年カーボンニュートラル実現に向けた環境配慮の高まり

    (鉄道分野)

    ・鉄道改良、老朽施設取替など営業線近接工事の効率化

    ・生産性の向上を意識した技術開発の推進

 

 当社グループにおきましては「中期経営計画2028「誇れる企業へ」~サステナブルな未来社会への挑戦~」の初年度として、資本コストと株価を意識した経営の実践により、生産性と利益創出力の回復・強化、成長領域への積極的な投資を通じて、企業価値の向上に取り組んでまいりました。土木工事では、羽田アクセス線建設や新宿駅東西デッキ等、将来への布石となる案件を受注する等、成果を上げることができました。建築工事では意識的に大型工事を受注し、生産性向上に努めると共に物流倉庫では資材の海外調達により原価を低減する等、利益回復を図ってまいりました。また、事業戦略・基盤戦略を進める中で、自社専用の生成AIの活用や新基幹システムの運用開始等のDXによる業務変革や効率化の推進、持続可能な社会実現に向けた環境負荷低減の取組等、企業価値の向上に寄与することができました。

 

  c.経営方針、経営戦略、経営上の達成状況を判断するための客観的な指標等

   第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標に記載のとおりです。

 

  d.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析検討内容

   (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況に記載のとおりです。

 

 ②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

  a.キャッシュ・フローの状況

   (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況に記載のとおりです。

 

  b.資金需要

 当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは、土木事業と建築事業により構成される建設事業に関わる資機材及び外注業者に支払われる工事代金、各事業の一般管理費等があります。また、設備資金需要としては、不動産投資に加え、情報処理の為の無形固定資産があります。

 

  c.財政施策

 当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用及び金融機関からの借入により資金調達を行っています。

 当社グループの主要な事業である建設事業の資金の調達にあたっては、担当部署が各部署からの報告に基づき適時資金計画を作成・更新し、適正に管理しています。

 また、顧客からの工事代金については、社内規程に従って、取引先ごとの期日管理及び残高管理を行うとともに、主な取引先の信用状況を適宜把握する体制としています。

 

 ③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表の作成にあたっては、過去の実績や現在の状況に応じ合理的と考えられる見積りによっている部分があり、見積り特有の不確実性のために、実際の結果が見積りと異なることがあります。

 重要な会計方針については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載されているとおりです。

 完成工事高の計上は、履行義務の充足に係る進捗率の合理的な見積りができる工事については履行義務を充足するにつれて、一定の期間にわたり収益を認識しています。当該収益の認識にあたり適切に見積りをおこなっていますが、見積り特有の不確実性のために、実際の結果が見積りと異なることがあります。

 また、貸倒引当金の計上に当たっては、工事収支の見積金額や、現地事情等に基づき合理的に算定しておりますが、見積り特有の不確実性のために、実際の結果が見積りと異なることがあります。

 なお、詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載されているとおりです。

 

5【重要な契約等】

 特記事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 当社の研究開発においては、工事の生産性向上、安全性、品質の向上を図り、長期的な安定受注を図るという技術戦略に基づき、年々テーマ数を増やすとともに、持続可能な社会の実現に向けたサステナブル推進に関するテーマなど多くの研究開発に挑戦し取り組んでいます。

 本年度はICT技術の活用・建設DX推進により生産性向上に資するシステムの開発、CO2排出量削減、施工の効率化・省力化や鉄道・大規模更新工事を見据えた新たな施工技術の開発を進め、当社の技術力のさらなる向上に努めます。また、保有工法のブラッシュアップにより他社との差別化を図っていきます。

 当連結会計年度の研究開発費は1,101百万円(土木工事1,031百万円・建築工事70百万円)で、主な研究開発活動及びその成果は次のとおりです。なお、研究開発活動には、子会社である株式会社ジェイテックとの共同研究開発活動が含まれています。

 

 (1)土木分野

①建設DX推進への取り組み

~非GNSS環境下でも重機の動きと出来形を1cm単位でリアルタイム検出~

建設業界では、深刻な労働力不足を背景に、生産性向上と労働環境の改善が急務となっています。特に、重機の遠隔操作や自動化技術の普及が進む中で、マシンガイダンス技術の重要性はますます高まっています。このような課題に対応するため、当社はCalTa株式会社、株式会社マップフォーと共同で、可搬式LiDARと独自開発の自動検出システムを組み合わせたマシンガイダンス技術を開発しました。

本技術は、現場に設置した独自開発の自動検出システムと可搬式LiDARを組み合わせ、重機の位置や動き、掘削などの出来形をリアルタイムで検出・解析するものです。このシステムは、可搬式LiDARが取得した点群データを処理して、重機の動きや掘削形状を自動検出し、端末上でリアルタイムに可視化します。これにより、重機へのLiDAR設置や大がかりな改修を行うことなく、非GNSS環境下 (トンネル、地下空間、屋内などのGNSS信号を受信できない環境)でも、現場状況の正確な把握が可能になります。

今後は、本技術を活用して建設現場の遠隔施工を促進し、労働力不足が深刻化する中で建設現場の生産性向上や労働環境改善に貢献してまいります。

②鉄道工事の安定的受注に向けた技術開発

~鉄道高架橋のプレキャスト化に向けた開発~

従来の鉄筋コンクリート高架橋の施工において課題とされていた、大規模な足場・支保工の設置や熟練技能者による複雑な配筋作業に対応すべく、当社はプレキャスト化を推進する新たな施工技術を開発し、実プロジェクトへの適用を実現いたしました。

本技術では、「鋼管拘束型鉄筋継手」および「閉合鉄筋継手」という二種類の新しい継手構造を高架橋に導入し、足場不要、省力化、高効率な施工を実現しております。

 「鋼管拘束型鉄筋継手」は、あらかじめ基礎部に設置した鋼管内に無収縮モルタルを充填し、柱部材の鉄筋を挿入することで、基礎と柱を一体化する工法です。特殊材料を使用せず、後工程が不要なため、短時間での施工が可能です。

「閉合鉄筋継手」は、柱側面と梁端部に配置されたコの字型鉄筋を重ねて接合する工法で、梁部材の鉛直方向からの架設が可能となります。また、柱上部に設置したブラケットにより、足場や支保工を用いずに施工できます。

これらの技術は、昨年度に実現場で適用され、足場不要の施工方法、施工誤差の吸収性、施工時間の短縮といった効果を確認しております。

今後は、工法のさらなる普及・展開を図るとともに、施工効率の向上やコストダウンに向けた継続的な改良を進めてまいります。

③サステナブル推進に関する技術開発

~山岳トンネル・シールドトンネルにおけるCO2排出量削減への取組み~

当社は、持続可能な社会の実現に向け、環境保全に寄与するさまざまな技術開発に取り組んでいます。

その一環として、山岳トンネル工事におけるCO2排出量削減を目的に、地山掘削後の一次支保に使用する吹付けコンクリートに着目した研究開発を進めています。これまでに、CO2排出原単位の低い高炉セメントB種を用いた一般吹付けコンクリートを、比較的温暖な地域のトンネル現場に適用し、CO2排出量の大幅な削減を実現しました。さらに、吹付けコンクリートの強度発現に課題のある寒冷地域においても、検討・実験を重ねることで、現場での適用に成功しています。今後は、その他の材料や部材においても、CO2排出量の更なる削減を目指し、研究を推進してまいります。

また、シールドトンネルにおいては、従来のセメントコンクリートに比べ、最大80%のCO2排出量削減が可能なジオポリマーコンクリート「セメノン®」を、国内で初めてシールドセグメントに適用しました。加えて、セメノン®は、従来コンクリートと比べて約15倍の耐酸性、約5倍の透水抵抗性、約1.2倍の耐摩耗性を有しており、下水道関連施設などの酸性環境下においても、長寿命化と維持管理費の低減が可能です。

 当社は、これらの技術を積極的に提案・展開することで、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

 

 (2)建築分野

①大型物流倉庫・工場への対応

~柱(RC)梁(S)の混合構法(MIRACR[ミラクル]構法)の適用拡大~

 建築物における構造合理性に優れた架構形式として、高い軸力保持能力と剛性を有する鉄筋コンクリート(RC)造柱と、ロングスパンに対応可能な鉄骨(S)造梁を組み合わせた「柱RC梁Sの混合構法」が物流倉庫を中心に適用されています。この度、当社保有技術である柱RC梁Sの混合構法(MIRACR構法)の適用拡大を目指して、構法を改定しました。本技術は、鉄筋コンクリート(RC)造柱と鉄骨(S)造梁からなる混合構造において、梁端部柱面に支圧板を配置し、中板および三角スチフナを配置するとともに、周囲をふさぎ板で囲んだRC柱S梁接合部を構築するための構法です。中板には、開口付きと開口なしの場合があります。従来の梁貫通形式に比べて、柱主筋と梁フランジの干渉を避けることが容易にでき、梁段差がある場合には、梁仕口部に設置したFBPプレートを介して、接合部内の中板、三角スチフナを配置することにより梁段差を吸収できる納まりとすることで様々な梁段差にも対応可能であり、接合部の合理的な設計が可能となっています。今後も大型物流倉庫や工場への適用を目指していきます。

②建築物の耐震対策への取組み

~FMS合金を用いたレンズダンパーの適用~

 建築物の耐震対策として、地震による建物の揺れを吸収するダンパーを設置して、構造安全性を確保する制震構法があります。当社では、これまで、低降伏点鋼材(LY材)のパネル中央部の両面を凹レンズ形状にしたレンズダンパーを生産施設(工場)へ展開してきました。また、レンズダンパーで用いる鋼材として、これまでのLY材に加えて、疲労特性に優れた新材料として注目されている「FMS合金(Fe-Mn-Si 系合金)」を採用し、2022年に構造性能評価を取得しています。FMS合金は、一般流通材として入手可能となった材料であり、優れた疲労特性を有しています。この度、FMS合金を用いたレンズダンパーを鉄骨造10階の事務所ビルに提案して、採用されました。今後、発生が予想されている南海トラフ地震のような長時間の揺れを伴う巨大地震への対応として有効な制震ダンパーとして、BCP対応を含めて、適用を目指していきます。

③既存ホーム上家の省力化架設の開発

~基礎のプレキャスト化により工期短縮を図る~

 既存駅の線路上空に新たに建築物を構築する際に、既存のホーム上家(屋根)が新設の梁と支障する場合があり、既存ホーム上家撤去前に支障物を避けた高さで、仮設の上家を設ける事例が多く見られます。仮設上家は夜間の限られた時間帯での施工となり、更に、添架設備の盛替えなど、工期増大の一因となっています。そこで、既存上家を新設の梁と支障しない高さまで、添架設備を含めて一括で下げることで、仮設上家の設置や添架設備の移転回数を減らして、既存上家を省力化して架設する工法を東日本旅客鉄道株式会社と共同で開発しました。今回、開発した工法は、既存の上家の鉄骨柱の四隅に等辺山形鋼材による仮柱を設置して、当該部分の鉄骨柱を切断して、油圧ジャッキ等を用いて既存上家全体を下げる工法で、仮設上家施工が省略可能となり、大幅な工期短縮が図れます。今後は実プロジェクトへの適用を目指しています。

 

 (3)不動産事業、付帯事業及びその他

 研究開発活動は特段行われていません。