第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社経営の基本方針

当社の企業理念は、「溢れるほどの情熱をもって、革新しつづける」です。竹田iPホールディングスの社名には、長きにわたりご愛顧いただいております「竹田ブランド」を冠し、iPには「持続可能な社会に貢献すべく、溢れるほどの情熱(passion)をもって革新(innovation)しつづける」という決意を込めました。

iはイノベーション、Pはパッションの頭文字です。また、iPは小文字と大文字の組み合わせとしており、多様性が求められる現代において、「異なる立場の者が共に新たな価値を創造する、コ・クリエーション(共創)の実現」を表現しています。また、「竹田iPグループ サステナビリティに関する方針」を策定しており、優先的に取り組む11項目のマテリアリティ(重要課題)を選定し、その活動を具体化し、実行しております。

「顧客の課題解決を通じて広く社会に貢献すること」が当社の使命であり、持続可能な社会の実現と当社グループの持続的成長をめざすサステナビリティ経営を推進してまいります。

 

(2)経営環境

当社グループが身を置く印刷業界は、デジタル化の進展による紙媒体の縮小、競争の激化、価格の低迷という構図が長期にわたり継続していることに加えまして、原材料価格の高騰も重なり、市場全体として大変厳しい状況が続いております。日本国内における印刷製品出荷額は、1991年の8兆9,287億円をピークとして減少傾向にあり、2008年のリーマンショックや2011年の東日本大震災以降その傾向が一段と加速し、2022年の出荷額は5兆462億円まで落ち込んでおります。(出典:「日本印刷技術協会発行 印刷白書2024」)

また、新型コロナウイルス感染症の影響により急激に減少した社内報、カタログ、チラシなどの商業印刷物の回復が緩やかである一方、DX(デジタルトランスフォーメーション)の拡大や断続的に実施されている印刷用紙の値上げが広告宣伝媒体のデジタル化(紙離れ)を一層加速させており、以前の水準に回復することは困難な状況です。

一方、半導体分野に対する成長期待が世界的に高まっており、半導体関連マスク事業を国内外で展開する当社にとりましてはビジネス機会の拡大が期待されます。当連結会計年度における世界半導体市場では回復の兆しが見受けられ、当社グループにおける各種マスク需要は回復基調で推移しました。しかしながら、中国経済の低迷や世界的なEV市場の失速などの影響もあり、本格回復には至っておりません。

なお、全事業に共通する課題であります原材料価格の上昇や賃上げによる人件費の高騰に対しましては、販売価格への転嫁や生産性向上、経費削減による対応が求められております。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

当社は創業100周年(2024年1月)の節目となりました2023年度にホールディングス体制へ移行するとともに、事業ポートフォリオ改革を柔軟に行うための組織変更や各セグメントのミッションを明確化するためのセグメント区分の見直しなどを行いました。そして迎えた2024年度を「守りの経営から攻めの経営へ転換する第二の創業年」と位置づけ、既存事業の収益力強化は当然のこと、大胆な事業ポートフォリオの変革、成長分野への積極果敢な投資、攻めの経営を可能とするガバナンス体制への変革などを実行し、PBR1倍超の早期実現など、さらなる企業価値の向上を目指して、2024年度から2026年度までの3年間を対象とする中期経営計画を策定し、推進しております。

 

中長期に目指す姿

 

社会の課題解決を総合的に支援するパートナー

 

ビ ジ ョ ン

 

「社会から信頼され、必要とされる存在」になること

 

中期経営計画で目指すこと

 

1.顧客の課題解決を通じ、広く社会に貢献する

2.事業ポートフォリオを変革することにより既存事業の収益力を強化し、持続的成長を目指す

3.情報コミュニケーション・ソリューションセールス・半導体関連マスクに続く第4の柱を確立する(※)

4.経営基盤を継続的に強化する

 

(※)中期経営計画の公表に伴いまして、これまでの印刷セグメントを「情報コミュニケーションセグメント」、

物販セグメントを「ソリューションセールスセグメント」へ名称を変更いたしました。

 

中期経営計画では、財務戦略として①既存事業の収益力強化、②成長事業の育成、③株主還元の強化、非財務戦略として④気候変動対策、⑤経営基盤強化の5項目を基本方針として定め、各種施策を実行しております。

 

①既存事業の収益力強化

当社の祖業である印刷事業につきましては、ペーパーレスの進展、少子高齢化による内需の縮小により厳しい事業環境が継続し、かつ、縮小を避けられません。中期経営計画においては、M&Aも選択肢の一つとしつつ、事業ポートフォリオの大胆な見直しを断行し、収益力強化に努めます。

一方で、半導体分野に対する成長期待が高まってきております。当社グループの半導体関連マスク事業には積極的な投資を行います。

 

②成長事業の育成

本中期経営計画期間においては、情報コミュニケーションセグメントにおけるグローバルパッケージ事業をその候補としております。約13億円(中期経営計画公表時は約8億円)の投資を行い、2024年5月にTAKEDA PACKAGING (Thailand) CO., LTD.を設立し、本年9月の操業開始に向けた準備を進めております。

既に国内および中国に展開している事業会社とも連携して当社グループの中核となる事業に育成するとともに、海外展開を強化します。その他、成長事業と判断される領域には迅速な経営判断による積極果敢な投資を実行します。

 

③株主還元の強化

安定配当を継続しつつ、配当実施金額には下限を設け、中期経営計画の期間に渡り下限設定額を逓増させてまいります。さらに、今後の事業展開に要する内部留保を十分に確保できたと判断される場合は、自己株式の取得等も含めて、より積極的に株主還元を強化してまいります。

 

④気候変動対策

気候変動対策は企業の重要課題と認識し、その取り組みを考慮した事業活動を行います。2050年度でのカーボンニュートラルの実現を目指し、2030年度までに2020年度比でGHG排出量(Scope1および2)を30%削減します。

 

⑤経営基盤強化

人的資本経営を具現化するため、多様な人材活躍促進(ダイバーシティ)、人材育成、働きやすい職場環境の整備、組織風土改革を推進し、従業員エンゲージメントの向上により、企業価値の向上、持続的成長の実現につなげてまいります。多様な人材活躍促進の一環として、女性管理職比率10%以上を目指します。取締役会においては、その実効性を強化していくとともに、株主との価値共有を強化するため報酬制度の改革を行います。

 

事業ポートフォリオ改革及び事業戦略については、以下のとおりです。

 

(事業ポートフォリオ改革)

情報コミュニケーションセグメントでは印刷市場の縮小に対して、グローバルパッケージ事業、ロジスティクス(BPOサポート)事業、システム関連事業やプロモーション支援事業(イベント関連、動画・サイネージなど)を育成し、ワンストップで顧客のニーズを満たすべく事業を展開しております。中期経営計画期間においては、この取り組みを一層加速させ、セグメント内のポートフォリオを変革します。ロジスティクス(BPOサポート)事業、システム関連事業への積極的な投資配分やグローバルパッケージ事業の強化などにより、情報コミュニケーションセグメント全体に占める印刷事業(グローバルパッケージ事業を除く)の売上高のシェアは、中期経営計画期間中に9.6ポイント低下(2023年度58.3%→2026年度48.7%)する計画としています。2024年度実績は58.2%となりました。

また、半導体関連マスク事業への投資を強化することにより、連結全体の売上高に占める印刷事業(グローバルパッケージ事業を除く)のシェアは2023年度の28.0%から、中期経営計画最終年度の2026年度では22.8%程度、そして2029年度には13.0%程度になる計画としております。2024年度実績は28.0%となりました。

なお、事業ポートフォリオ改革についての進捗状況につきましては、2025年5月14日に公表しております「2025年3月期 決算補足資料」をご参照ください。

 

(事業戦略:情報コミュニケーションセグメント)

情報コミュニケーションセグメントでは、「印刷物の提供により、顧客の広告宣伝活動を支援するパートナー」から「ワンストップソリューションの提供により、顧客の課題解決を総合的に支援するパートナー」へビジネスモデルの転換を急ぎます。長期ビジョンとして「顧客の圧倒的支持を得るワンストップソリューションを提供し、ロイヤルカスタマー比率を高め続ける」を掲げ、顧客にとっての価値を創造あるいは増大させることにより、顧客との長期的な信頼関係を築き、顧客にとっての価値(顧客価値)を創造し、その価値に見合った収益に結びつけることで業績向上に努めております。

印刷事業では設備の最適化を図りつつ、よりセキュアな環境を構築して付加価値の高い印刷物を提供します。グローバルパッケージ事業では、2024年5月にタイにTAKEDA PACKAGING (Thailand) CO., LTD.を設立し、グループ横断的な取り組みにより事業拡大を行います。ロジスティクス(BPOサポート)事業、システム関連事業を成長事業として位置づけ、人的資本・製造資本両面から、これまで以上に積極的な投資を行います。人への投資を強化し、より自由な発想による事業展開を推進し、次の事業の柱ともなり得る成長事業のシーズを育成します。

 

(事業戦略:ソリューションセールスセグメント)

ソリューションセールスセグメントでは、印刷関連総合商社のリーディングカンパニーとして、国内25か所に拠点を有し、国内全域をカバーできる体制となっています。印刷業界は厳しい状況ですが、光文堂は独立系ではシェアトップクラスであり、さらに市場シェアを拡大させる余地は大きいと考えています。

既存事業においては、高品質な自社ブランドの資材や機械設備を開発し、顧客の生産性向上に寄与することで、当社の企業価値向上を目指してまいります。また、新事業の開発も積極的に検討を進め、M&Aによるさらなる商圏や新事業の発掘も視野に入れ、中期経営計画の業績目標を達成いたします。

 

(事業戦略:半導体関連マスクセグメント)

半導体関連マスクセグメントでは、「進化する先駆者」として「ものづくりへの挑戦」を実践し、当社グループの成長ドライバーを担います。竹田東京プロセスサービス㈱が国内およびタイに、㈱プロセス・ラボ・ミクロンは国内、中国、ベトナムに事業展開をしており、東アジア~東南アジアをカバーする商圏を確立しています。この商圏を活かすため、グループシナジーの最大化を追求しています。㈱プロセス・ラボ・ミクロンにおいては、2023年度までに本社工場の建替えおよび設備増強、九州工場のリニューアルなどで総額約20億円の投資を実行、生産力の強化を図っており、本中期経営計画期間にフル稼働いたします。

中期経営計画期間においては20億円の研究開発投資を実行し、当社グループの技術力を半導体分野・情報通信分野・自動車分野・医療分野といった成長分野へ注力してまいります。

 

(4)目標とする経営指標

中期経営計画における経営指標として、財務指標としては連結売上高350億円以上、営業利益16億円以上、営業利益率4.5%以上、ROE7.0%以上、海外売上比率12%以上といたしました。PBRは、将来的な1倍以上の実現を目指しつつ、現在の水準を踏まえ、0.7倍以上といたしました。

また、株主還元の強化を重点施策の一つと位置づけており、これまでの安定的な株主還元を堅持しつつ、より高水準の配当を目指し、配当実施金額に下限を設けるとともに、中期経営計画の期間に渡り下限設定額を逓増(2024年度 30円、2025年度 33円、2026年度 37円)させる方針といたしました。目標指標として連結配当性向30%以上を定め、1株当たりの配当予想は2024年度 33円、2025年度 37円、2026年度 47円の計画といたしました。また、十分な内部留保を確保できた場合は、自己株式の取得なども含め、株主コストを意識した株主還元を一層強化してまいります。

非財務指標としては、GHG排出量を2030年度までに2020年度比で30%以上の削減、女性管理職比率10%以上、女性取締役を2名以上としております。

 

中期経営計画(2024年度~2026年度)における経営指標(目標)

項目

目標

(ご参考)2024年度 実績

財 務

連結売上高

350億円以上

341億98百万円

連結営業利益(率)

16億円以上(4.5%以上)

13億75百万円(4.0%)

ROE

7.0%以上

7.0%

PBR

0.7倍以上

0.43倍

海外売上比率

12%以上

10.0%

連結配当性向

30%以上

(安定配当を継続しつつ、下限を設定)

24.6%(注)1 年間配当金37円

(当初予想33円に4円増配)

 

 

項目

目標

(ご参考)2024年度 実績

非財務

GHG排出量

2030年度までに2020年度比30%以上削減

2020年度比で26.4%削減

女性管理職比率

10%以上

7.8%

女性取締役

2名以上

1名 (注)2

(注)1.繰延税金資産の追加計上により法人税等調整額(△は利益)を△209百万円を追加計上し、当期純利益が増加しました。この増加分は会計上の取り扱いに起因し、現預金の増加も伴わないため、配当算定対象から除いております。なお、当該影響額を控除した当期純利益で再計算した配当性向は29.6%となります。

2.2025年6月25日開催の第87回定時株主総会において、新たに女性取締役1名を選任し2名といたしております。

 

中期経営計画の初年度であります2024年度(2025年3月期)の連結業績につきましては、売上高は341億98百万円(前期比8.0%増)となりました。このうち、海外売上高は34億16百万円(前期比16.9%増)となり、海外売上比率は10.0%(前期は9.2%)となりました。利益面では、営業利益13億75百万円(前期比67.8%増)、経常利益14億78百万円(前期比58.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は12億48百万円(前期比46.7%増)となりました。この結果により、中期経営計画の初年度目標を達成するとともに、公表しておりました2年目(2026年3月期)の目標(売上高340億円、営業利益13億円)につきましても、1年前倒しにて達成いたしました。

 

今後につきましては、本計画の戦略や施策、最終年度となる2026年度(2027年3月期)の計画に修正はありません。2025年度(2026年3月期)の業績予想につきましては、前期実績と今後の業況を勘案し、売上高345億円、営業利益14億50百万円、経常利益15億50百万円、親会社株主に帰属する当期純利益10億円を予想しております。

親会社株主に帰属する当期純利益が事業構造改革の関連費用の計上と上記の注記内容(前期における一過性の増益要因)による影響により、前期実績(12億48百万円)から19.9%減少するため、配当性向は目標の30%以上を確保いたしますが、ROEは前期を下回る予想です。PBRは本計画に掲げる収益力の強化、積極的な事業投資、株主還元の強化、資本政策を推進するとともに、株価向上に資する積極的なIR活動を行い、継続的な向上に努めてまいります。

 

項目

2025年度(2026年3月期)見通し(予想)

連結売上高

345億円

連結営業利益(率)

14億50百万円(4.2%)

連結経常利益

15億50百万円

親会社株主に帰属する

当期純利益

10億円

ROE

5.6%

PBR

0.65倍

配当/株

37円

配当下限/株

33円

配当性向

31.0%

(注)業績予想等につきましては、現時点における入手可能な情報に基づいて算出しておりますが、今後の様々な要因により予想と異なる結果となる可能性があります。

 

中期経営計画の詳細につきましては、当社ホームページをご参照ください。

https://www.takedaip-hd.co.jp/ir/library/management_plan/

 

(5)優先的に対処すべき事業上および財務上の課題

上記の経営方針、経営環境、中期経営計画などを踏まえまして、当社グループが優先的に対処すべき課題は以下のとおりです。

 

① ビジネスモデルの転換

顧客にとっての価値(顧客価値)を創造する、または増大させる課題解決(ソリューション)提案を強化することにより、その価値に見合った収益に結びつけることが当社グループの業績拡大には必須であり、最重要課題です。

情報コミュニケーションでは、印刷物の提供により、顧客の広告宣伝活動を支援する従来型のビジネスモデルから領域を広げ、印刷物に限らない多種多様なソリューションを複合的かつ効果的に組み合わせたワンストップソリューションの提供により、顧客の課題解決を総合的に支援するパートナーへ、ビジネスモデルの転換を急ぎます。

そのためには、顧客の置かれている状況やビジネスモデルを深く理解することが最も重要であり、顧客との接触機会を増やし、常に顧客の立場に立って考えます。また、これらの取り組みを通じまして、年間を通して継続受注できるベース案件を増やし、事業の閑散リスクを低減させ、安定した収益構造を構築してまいります。

 

② 低コスト生産体制の構築

顧客にとっての価値が創造できても、価格競争力がなければビジネスにはつながりません。紙媒体の縮小という社会の変化に対応し、生産性向上による適正利益を確保するため、全体最適での設備集約を進めてまいります。

また、労務費や物流費、原材料やエネルギー価格等の高騰には販売価格への転嫁だけでなく、品質を維持しつつコスト削減を実現するVA提案を積極的に行ってまいります。

 

③ 事業ポートフォリオの改革

紙媒体への依存度低減、半導体関連マスク事業と海外事業の拡大により、事業ポートフォリオ改革を進めます。M&Aも選択肢の一つとしつつ、事業ポートフォリオの大胆な見直しを断行し、収益力強化に努めます。半導体分野に対する成長期待が高まっており、半導体関連マスク事業には積極的な投資を行うほか、新事業の開発を含め、成長領域には積極果敢な投資を実行します。また、紙器・パッケージを国内外に供給するグローバルパッケージ事業を成長事業として位置づけ、日本・中国・タイの事業会社と連携し中核事業に育成します。

 

④ 半導体関連マスク事業の強化

印刷市場の縮小に対応する強固な事業ポートフォリオを実現するため、半導体関連マスク事業は国内外で事業の強化を図り、当社グループを牽引できるレベルまで高めることが課題です。

その実現に向けて、竹田東京プロセスサービス㈱、㈱プロセス・ラボ・ミクロンの国内2社、そして中国と東南アジアに展開する海外3社が連携し、グループ全体最適とシナジーの最大化をめざします。会社の垣根を越えた人事交流や情報共有による課題解決、新製品開発を組織的に取り組みます。

 

⑤ 気候変動対策

当社グループでは気候変動対策は企業の重要課題と認識し、生産設備の統廃合、省エネルギー活動の促進、太陽光発電システムの導入、事業活動プロセスの革新、再生可能エネルギー・グリーン電力の活用などを推進し、2050年度でのカーボンニュートラルの実現を目指し、2030年度までに2020年度比でGHG排出量(Scope1および2)を30%削減します。

 

⑥ 人的資本経営の推進

当社グループは「企業価値向上」と「社員の幸せ」の両立を目指し、「人的資本への投資を強化し、人材の多様性確保と育成を推進。働きがいのある職場環境の整備を組織的・戦略的に進め、持続的成長を実現する強固な組織文化を築く」とする人的資本経営の基本方針を定めております。

多様な人材活躍促進(ダイバーシティ)、人材育成、働きやすい職場環境の整備、組織風土改革を推進し、社員エンゲージメントの向上を図り、従業員満足度を向上させることでモチベーションやパフォーマンスを高め、顧客満足度向上と企業価値向上につなげる人的資本経営を推進します。また、多様な人材活躍促進の一環として、女性管理職比率10%以上を目指します。

 

⑦ コーポレート・ガバナンスの強化

取締役会の監督機能の強化と取締役の減員を継続し、積極果敢な経営判断をスピーディーに行える体制を構築してまいります。具体的な取り組みとして、取締役会における社外取締役の割合を過半数とすること、女性取締役を2名以上確保してまいります。女性取締役の任用により多様性を確保し、取締役会を企業価値向上に資する、より深度ある議論の場として醸成してまいります。さらに取締役会の機能を継続的に向上させるため、実効性評価の仕組みを導入しております。役員報酬については、投資家とのより一層の価値共有を推進するため、業績連動型の色彩を強めた報酬制度へ移行してまいります。また、海外事業の拡大に伴い、海外拠点には管理能力を備えた日本人管理者を配置し、定期的な教育を実施するとともに、当社および外部専門家に適宜相談を行い、現地の法令や会計基準等に準拠するグローバルガバナンス体制を確立してまいります。

 

⑧ 株主還元の強化

安定的な株主還元を堅持しつつ、より高水準の配当を目指し、資本コストを意識した株主還元政策を実行してまいります。2024年度~2026年度を対象期間とする中期経営計画におきましては、安定配当を継続しつつ、配当実施金額には下限を設け、下限設定額を逓増させてまいります。さらに、今後の事業展開に要する内部留保を十分に確保できたと判断される場合は、自己株式の取得等も含めて、より積極的に株主還元を強化してまいります。

 

⑨ 情報セキュリティの強化

近年、サイバー攻撃等の脅威が増大しており、システム障害による事業停止や情報漏洩による社会的信用の低下は業績に大きな影響を与えます。当社グループは、顧客から機密情報や個人情報をお預かりして事業を行っているため、情報セキュリティの強化は継続的に追求する課題です。具体的な取り組みとしては、情報セキュリティ強化に向けた設備投資に加えて、ISO27001およびプライバシーマークにおける関連規程の適切な運用、定期的な内部監査、標的型攻撃メールの訓練等による社員のリテラシー向上に努めるなど、情報セキュリティの強化を図っております。

 

⑩ DXの推進

当社グループは、社会課題・顧客課題の解決を目的としてDX戦略を推進します。目的達成のため、「社員一人ひとりが輝けるためのDX」、「人材の育成」、「生み出す価値の変革」を推進してまいります。社員一人ひとりが輝けるためのDX推進では、デジタルツールの導入やレガシーシステムの見直しにより、業務効率の向上や場所や時間にとらわれない働き方を実現するDXを推進し、ウェルビーイングの実現を目指します。人材の育成では、EラーニングなどによるIT基礎教育、情報セキュリティ教育などで、全社員のデジタルリテラシーを向上していきます。生み出す価値の変革では、DX推進により、顧客に新たな価値を提供します。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理

当社グループにとってのサステナビリティとは、社会的課題を解決に導く経営基盤を強化し、事業活動を通じて社会課題の解決を目指すものであり、当社グループの持続的成長が、持続可能な社会の実現に貢献できるような世界を目指すことであります。この実現に向けて当社グループでは、サステナビリティ方針を定めております。当社グループにおけるサステナビリティの方針は、「経営の基本方針」である社是(熱意・和合・奉仕)、「当社が存在する意義」である基本理念、「信頼される企業であり続けるために」との想いで定めた行動規範(「責任ある行動をしよう」「お客様に感謝しよう」「仲良く朗らかに元気よく働こう」「社運発展のためお互いに協力しよう」「よき家庭の一員となろう」)を実践することにあると考えています。当社グループの役員・社員は、この行動規範を常に携帯し、行動の基礎としております。

リスク及び機会を監視し管理するため、当社グループでは、経営管理担当役員を委員長とするリスク管理委員会を設置し、リスク管理規程等に基づき、サステナビリティ関連を含むリスクを特定し、責任部署を定めグループ全体の

リスクを網羅的・統括的に管理する体制を確保しています。リスク管理委員会で協議・検討された事項は、必要に応じ取締役会に附議または報告されます。取締役会は、リスク管理委員会の協議・検討プロセスを監督し、必要に応じて具体的な対応を求めています。また、当社グループの取り組みを活性化させるために、11個のマテリアリティ(重要課題)を決定しています。これらマテリアリティへの取り組みにつきましては当社ホームページを参照ください(https://www.takedaip-hd.co.jp/sustainability/promotionsystem/)。

また、全社統括直轄のサステナビリティ推進室は、取締役会にサステナビリティ関連の報告・提言を行い、取締役会は、サステナビリティ推進室に対し、指示・監督を行います。サステナビリティ推進室は、各部門やリスク管理委員会と連携し、当社グループのサステナビリティ推進に向けた体制の整備、取り組みを進めております。

0102010_001.png

 

(2)重要なサステナビリティ項目

サステナビリティ経営を実践する上で、「気候変動リスク」、「人的資本に関する取組」は優先的に取り組むべき課題と認識しております。重要なサステナビリティ項目に関する考え方及び取組は以下の通りです。

 

①気候変動リスク

中長期的な課題として、カーボンプライシングの導入による操業コストの増加や温室効果ガス(GHG)排出規制の強化による対応コストの増加などの移行リスクが生じる可能性が見込まれます。また、異常気象の激甚化による操業停止や気候変動による材料調達コストの増加などの物理的リスクが生じる可能性も見込まれます。

当社はGHG排出量の削減に向けて、2023年6月16日開催の取締役会にて竹田iPグループGHG排出量削減中長期目標を決議し、2030年度までに2020年度比30%以上の削減、2050年度までに排出量実質ゼロを目指すこととし、国内主要グループ会社各社のGHG排出量削減目標を定めました。GHG排出量の実績につきましては、四半期毎にサステナビリティ推進室が当社取締役会に報告するとともに、リスク管理委員会を通じてグループ各社に展開し、排出量の可視化に努め、目標達成に取り組んでおります。

当連結会計年度におきましては、(株)プロセス・ラボ・ミクロンにおいて、オンサイトPPAモデルによる太陽光発電設備を川越テクノロジーセンターに設置し、2024年6月1日より稼働を開始いたしました。また、竹田東京プロセスサービス(株)の湘南藤沢センターでは、照明器具の全面LED化を実施し、さらに北陸センターにおいても生産エリアのLED化を進めました。

これらの施策に加え、日常的な省エネ活動の取り組みにより、全体として消費電力の抑制を図っております。

当社国内連結グループ合計の温室効果ガス(GHG)排出量の実績および削減量(Scope1、Scope2)は以下の通りであります。

 

単位

2020年度

2022年度

2023年度

2024年度

(当期)

Scope1、Scope2

排出量合計

t-CO₂

13,008

10,425

9,395

9,578

削減量(2020年度比)

△2,583

△3,613

△3,430

削減率(2020年度比)

△19.9

△27.8

△26.4

 

②人的資本に関する取組

a.基本方針

当社グループは、「企業価値向上」と「社員の幸せ」の両立を目指し、「竹田iPグループ人的資本に関する方針」を定め、人的資本への投資を強化し人材の多様性確保と育成を推進するとともに、働きがいのある職場環境の整備を組織的・戦略的に進め、持続的成長を実現する強固な組織づくりを推進しています。

「竹田iPグループ人的資本に関する方針」につきましては当社ホームページを参照ください。
https://www.takedaip-hd.co.jp/sustainability/human_capital_policy/

 

b.課題と取組

日本国内では少子高齢化が進み、労働力人口の減少が予測されています。当社グループにおいても、将来的に必要な人材の確保が難しくなる可能性があり、特に団塊ジュニア世代を中心とした人員構成の高齢化に対応するため、中堅・若年層の育成や多様な人材の確保が重要な課題となっています。

さらに、企業として競争力を維持・強化していくためには、多様性を尊重し、誰もが能力を発揮できる組織づくりが不可欠です。

こうした背景を踏まえ、当社グループでは「全社員総活躍プロジェクト」チームを中心に、性別・年齢・国籍・障がいの有無を問わず、多様な人材が働きやすく成長できる環境の整備を進めています。

2024年9月には、当社グループで初となる従業員エンゲージメントサーベイを実施し、社員の満足度や組織課題を可視化しました。これを基に、組織開発や人材育成施策の改善に取り組んでいます。

人材育成においては、社員一人ひとりの自律的なキャリア形成を支援するため、「能力開発」と「キャリア開発」の両面から体系的な教育体制を整備。階層別研修や外部キャリアコンサルタントによるキャリア面談などを実施しています。また、社員が自身や周囲の課題解決に主体的に取り組むことを「自己研鑽」と位置づけ、その活動に充てる時間を確保できるよう、「ソリューション休暇」という特別休暇制度も新設しました。

あわせて、社員が安心して働き続けられる職場環境づくりにも注力しています。柔軟な勤務制度の導入やノー残業デーの実施、ハラスメント防止研修、メンタルヘルス相談窓口の設置など、ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた取り組みを継続しています。これらの取り組みが評価され、女性活躍推進に関する「プラチナくるみん」「えるぼし」の認定を受けているほか、2025年3月には、前年に引き続き、竹田iPホールディングス(株)および竹田印刷(株)が健康経営優良法人の認定を取得しました。

障がい者雇用においては、竹田印刷(株)では、障がい者アーティストの雇用拡大や障がい者サポーター養成講座の実施などを通じ、障がい者の活躍の場の拡大と支援体制の強化を推進しています。また、竹田iPホールディングス(株)では、テレワークなど多様な働き方ができる制度や、資格取得奨励制度によるキャリア支援などが評価され、2025年2月に障害者雇用優良中小企業主認定制度「もにす認定」を取得しました。

福利厚生においては、社員の経営への参画意識を高めるため、2023年10月より、当社グループ社員を対象に、従業員持株会を通じて譲渡制限付株式を付与する制度を導入しています。

今後も当社グループは、多様な働き方やキャリア形成を支援し、学びと成長の機会を提供することで、社員の活躍を促進し、持続的な企業価値の向上を目指してまいります。

なお、これらの取り組みにつきましては竹田印刷(株)ホームページを参照ください。
https://www.takeda-prn.co.jp/sustainability/takeup/

 

c.指標及び目標

当社グループでは、人的資本に関する取組について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。なお、国内の主要事業会社においては、関連する指標のデータ管理とともに具体的な取組みが行なわれているものの、連結グループに属する全ての会社では行なわれてはいないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、指標に関する目標及び実績は、当社および主要事業会社4社の5社による集計値を記載しております。

指標

2025年度末目標

2022年度実績

2023年度実績

2024年度実績

(当連結会計年度)

1.管理職に占める女性従業員の割合

10.0以上

7.9%

8.1%

7.8

2.男性従業員の育児休業取得率

 (注)1

70.0以上

33.3%

100%

100

3.年次有給休暇の取得率

75.0以上

69.7%

76.0%

71.3

4.労働者の月ごとの平均残業時間

17時間以下

19.6時間

15.7時間

15.3時間

(注)1.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものであります。

 

なお、2.男性従業員の育児休業取得率、4.労働者の月ごとの平均残業時間の指標における実績は、昨年度に引き続き目標を達成しました。今後も同水準の維持・向上に努めるとともに、未達成項目である1.女性管理職比率、3.年次有給休暇の取得率の向上を目指し、社員の能力開発と自立的成長・挑戦を支援するとともに、社員一人ひとりが、お互いの価値観や多様性を尊重しながら「仲良く朗らかに元気よく」働ける環境を整備し、企業の持続的な成長につなげてまいります。

 

3【事業等のリスク】

(1)当社グループにおけるリスク管理体制について

当社グループでは、グループ全体における事業リスクを管理するため、各部署やグループ各社の担当責任者を構成員とするリスク管理委員会を設置しております。リスク管理規程に基づき、個々のリスク(コンプライアンス、経営戦略、業務運営、環境、災害、人的資本、情報セキュリティなど)に対処する責任部署を定めるとともに、グループ全体のリスクを網羅的・統括的に管理する体制としております。各部署やグループ各社は担当業務に関するリスクの抽出を行い、優先的に対応すべきリスクと対応策を検討し、内部統制推進部署(同委員会事務局)へ報告しております。内部統制推進部署は報告されたリスクを総括し、同委員会へ報告しております。なお、経営上の重大なリスクへの対応方針その他リスク管理の観点から重要な事項については、取締役会へ報告しております。

 

(2)主要なリスクについて

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに重要な影響を与える可能性があると認識しているリスクは、以下のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項につきましては、当連結会計年度末において当社グループが判断しているものです。

 

① 印刷関連市場(紙媒体)の縮小

当社グループの事業は、印刷事業および印刷機械・印刷資材の販売など、国内向け印刷関連市場が中心です。デジタル化の進展やメディアの多様化が進む中で、印刷関連市場(紙媒体)は長期にわたり縮小し続けており、今後もその傾向が継続することが想定されます。印刷関連市場(紙媒体)の縮小が想定を超えて急激に進んだ場合には、操業度の低下により労務費や減価償却費などの固定費負担が高まるなど、業績に大きな影響を与える可能性があります。

印刷関連市場(紙媒体)の縮小は長期にわたり継続的に続いており、かつ近年ではDX(デジタルトランスフォーメーション)の拡大や断続的に実施されている印刷用紙の値上げによりその動きがさらに加速しているため、最優先で解消するべきリスクとして認識しております。

当社グループとしては、半導体関連マスク事業の強化や新事業開発の強化により、紙媒体への依存度が高い従来型ビジネスモデルからの転換を急ぐとともに、生産設備(その種類・能力と配置)の最適化により、市場縮小による受注減少に柔軟に対応できる低コスト生産体制の整備を進めております。

 

② 事業の繁閑

当社グループの事業は、国内向け印刷関連市場が中心で、かつカタログ等の商業印刷を主力としていることから、顧客の事業年度に合わせた仕事(4月、1月のタイミングで更新される印刷物や期末の予算消化案件)が多く、下期に売上・利益が偏重する傾向があります。連結ベースで、下期が年間に占める割合は、過去10会計年度の平均で、売上高で53%、営業利益で73%となっており、同時期に何らかのビジネス阻害要因が発生した場合は、業績に大きな影響を与える可能性があります。2011年3月に発生した東日本大震災、そして2020年3月期末の新型コロナウイルス感染拡大による広告宣伝活動の自粛は、業績に相当程度影響を与えました。

当社グループとしては、顧客にワンストップソリューションを提供するビジネスモデルを確立し、年間を通して安定的に継続受注できるベース案件を増やすことで事業の閑散リスクを低減してまいります。

 

③ 受注単価の低下

印刷業界においては、長期にわたり縮小し続けている紙媒体需要に対して供給能力過剰の状態が続いており、それに伴い受注単価は下落または低位安定の状態が続いております。今後印刷関連市場(紙媒体)の縮小が想定を超えて急激に進んだ場合には、価格の下落がさらに進む可能性があります。

当社グループとしては、生産性の向上や仕入コストの削減を図るほか、社員が持つ知識・ノウハウ、そしてITの活用による価格競争力の向上、生産設備(その種類・能力と配置)の最適化による低コスト生産体制の構築、新事業開発の強化などの各種対策を行うことにより対応しております。

 

④ 原材料等の価格高騰

印刷用紙、インク、印刷用の版など、当社グループが使用する原材料等は、世界情勢の変化、市況やエネルギー価格、為替レート、物流経費などにより変動します。特に主要材料である印刷用紙は原材料全体に占める割合は大きく、価格変動による影響が最も大きくなります。また、製紙メーカーの減産による市場流通量の減少も価格高騰に影響を与えます。印刷用紙や資材以外にも、電気・ガスなどのエネルギー価格の高騰も生産活動に影響を与えます。

原材料等の高騰に対しては、販売価格への転嫁や生産性向上などのコスト低減や経費削減で吸収すべく対応しますが、対応しきれない場合は、上記のとおり業績に影響を及ぼす可能性があります。販売価格への転嫁につきましては顧客との交渉を行っておりますが、顧客における広告宣伝予算には限りがあり、交渉結果次第では印刷部数や頁数の減少による売上減少、ひいては紙媒体以外の広告宣伝媒体へのシフト(紙離れ)を助長する可能性があります。当社グループとしては、①印刷関連市場(紙媒体)の縮小に記載のとおり、紙媒体への依存度が高い従来型ビジネスモデルからの転換を急ぎ、事業ポートフォリオ改革を進めることでその影響を低減することをめざしております。

 

⑤ 大口顧客の動向

当社グループには、依存度の高い大口顧客がいくつかあります。継続的な取引関係は当社グループの強みである一方、それら大口顧客の属する業界の好不調、ビジネスモデルや取引方針の変更、企業統合等により取引額が大きく変動する可能性があります。

印刷事業をコア事業とする情報コミュニケーションセグメントはその特性として、幅広い業界・業種に顧客を持っており、新規顧客開拓先においても同様に業界・業種を問いません。また、デジタルマーケティングを活用して、当社グループが拠点を構えていない遠隔地の顧客とも商談機会を得ることが可能となりました。これらの特性やデジタル技術を活かした新規顧客開拓活動を行いまして、将来のロイヤルカスタマーを継続して獲得することにより、特定顧客の動向に左右されない事業基盤の確立をめざしております。

 

⑥ 人材の確保・育成

当社グループが持続的に事業を発展させるためには、営業、製造、開発、管理等、それぞれの分野に精通したプロフェッショナル人材や管理能力に優れたマネジメント人材を継続的に確保、育成していくことが必要となります。また、今後拡大が期待される海外事業をより一層強化するためには、優秀な現地人材を採用するとともに、事業戦略に沿ったグローバル人材の確保も必要となります。しかしながら、優秀な人材の獲得は競争が厳しく、特に国内においては少子高齢化に伴う労働人口の減少もあり、優秀な人材の獲得や育成が計画通りに進まない場合や優秀な人材が流出した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

その対策として、新卒採用や中途採用を積極的に進めるとともに、「竹田iPグループ 人権方針」および「竹田iPグループ 人的資本に関する方針」を制定し、人材育成の充実を図るほか、多様な社員が活躍できる職場環境の整備を進めております。また、グローバル人材の確保におきましては、外国人留学生を採用し、日本と海外を結ぶ現地管理者として育成するほか、現地人材の採用を積極的に進めてまいります。

 

⑦ 最高経営責任者(CEO)の後継者育成

当社では経営者の育成を進めておりますが、最高経営責任者(CEO)の計画的な育成には至っておらず、重大な経営課題のひとつと認識しております。最高経営責任者(CEO)が業務執行できなくなった場合や後継者候補の育成が適切に進まなかった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社では取締役会の任意の諮問機関として、取締役会が選定する3名以上の取締役で構成し、その過半数を独立社外取締役とする指名・報酬諮問委員会を設置しております。今後は指名・報酬諮問委員会を通じて後継者候補の育成計画を立案し、実行してまいりたいと考えております。

 

⑧ 新規事業に関わるリスク

印刷物(紙媒体)の需要の縮小と、価格の低下・低位での推移が今後も継続することが想定されております。市場環境の悪化や競争の想定以上の激化、M&Aの失敗などにより、情報コミュニケーション・ソリューションセールスに次いで柱となるべき新規事業が思うように育たない場合、会社業績が伸び悩む可能性があります。

当社グループとしては、半導体関連マスク事業の強化や新事業開発の強化により、紙媒体への依存度が高い従来型ビジネスモデルからの転換を急いでおります。その取り組みにより、半導体関連マスク事業では2013年の株式会社プロセス・ラボ・ミクロン、2016年の東京プロセスサービス株式会社(現 竹田東京プロセスサービス株式会社)の子会社化を実現し、近年では両社の海外事業進出をサポートしております。今後も既存事業との関連性が高く、実現性が高い事業領域への事業拡大について、M&Aの検討を含め積極的に進めてまいります。

 

⑨ 売掛債権の未回収

当社グループでは、与信管理と債権の回収管理を重視し貸倒れの極少化に努めておりますが、景況や産業構造の変化に伴い、顧客の倒産などによる貸倒れが生じるリスクは常にあるものと認識しております。貸倒れが一定規模以上で発生した場合には、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、新規顧客とは取引開始時にて信用調査を行い、さらにその後も定期的に信用調査を行い、与信限度額の設定・見直しを行っております。また、既存顧客との取引状況を毎月確認しており、信用状況に変化が生じた場合は、ファクタリングなどの債権保証サービスの活用や取引停止などの対策を速やかに講じております。

 

⑩ 情報セキュリティ

当社グループでは、多くの顧客情報および顧客からの受注案件にかかる顧客の機密情報を取り扱っております。予期せぬ事情により情報の流出、不正使用など情報セキュリティにかかるインシデントが発生する恐れがあります。また、標的型攻撃メール等によるウイルス感染のリスクが高まっており、情報システムが一定期間機能不全に陥る事態も想定する必要があります。これらインシデントや情報セキュリティ対応のために多額の費用が発生し、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼすほか、社会的信用を失う可能性があります。

その対策として、プライバシーマークやISO27001の認証取得を通じた諸規程の整備と運用、メール誤配信防止のチェックシステムの活用、専用ルームの設置や警備会社との提携、専用のデータセンターの利用、入退室のセキュリティシステムの導入、自社制作のガイドライン「ITセキュリティハンドブック」を活用した社員教育を行うほか、インシデント費用の発生に備えてサイバー保険に加入するなど、万全を期しています。

 

⑪ 気候変動のリスク

気候変動による影響が深刻化しており、世界が低炭素社会に移行する際の「移行リスク」として、温室効果ガス排出規制などの法規制への対応にて、設備投資や技術開発に関する追加費用が発生する可能性があります。さらに、これらの法規制に対応した製品・サービスへの顧客ニーズの高まりに対応する必要が生じ、要求水準を満たさない場合は販売機会の損失につながる恐れがあります。また、気候変動に伴う自然災害の発生による「物理的リスク」として、工場における生産停止やサプライチェーンの寸断による製品供給が停滞する可能性があります。これらのリスクが顕在化した場合には、当社グループの活動や経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

気候変動リスクへの対応としては、当社グループでは「竹田iPグループ サステナビリティに関する方針」および「竹田iPグループ 環境方針」にて今後の取り組む課題として「カーボンニュートラルの実現に向けた取り組み」を明文化するとともに、長期的な視点でリスクや課題を分析し、対策を進めてまいります。

 

⑫ 災害の発生

地震や水害などの大規模な災害が発生した際には、電力の供給停止や物流網の寸断など、社会的インフラに重大な被害が及ぶ可能性があります。原材料の仕入先や協力工場を含めた生産・流通体制が維持できない場合には、当社グループの活動に大きな影響を与える可能性があります。

当社グループでは、発生時期が予測できないこれらの災害リスクに対しては、生産拠点の分散化と、製造設備など主要設備に防火・耐震対策を施すとともに、BCP(事業継続計画)を策定するなどの対策を講じております。

 

⑬ 感染症の世界的蔓延(パンデミック)

新型インフルエンザなど、人類が免疫を持っておらず、治療薬やワクチンが存在しないような感染症の世界的蔓延(パンデミック)が発生した場合は、当社グループ従業員の感染による操業停止および出荷遅延が生じる可能性があります。また、顧客における操業停止や販売促進活動の自粛による受注減少、仕入先や協力工場からの供給が停滞するなど、当社グループの活動や経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは社員および家族の健康と安全に配慮しつつ、顧客への製品やサービスの提供に影響を及ぼすことがないよう、感染予防と事業継続に取り組んでまいりました。今後は、今回のコロナ禍で得られた経験や知見も活用して感染防止対策のレベルアップを図るとともに、新たな生活様式や市場の変化に対して柔軟に対応することにより、経営成績等への影響を極小化する体制構築に努めてまいります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。

 

① 財政状態および経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善が進むなか、個人消費の回復やインバウンド需要の増加などにより、景気は緩やかな回復基調で推移しました。一方で、継続する物価上昇、金融政策の見直し、中国の景気低迷、ウクライナ情勢の長期化や中東情勢の緊迫化に加えまして、米国の関税政策による景気の下振れリスクが懸念されるなど、依然として先行きは不透明な状況となっております。

 

当社グループが事業活動を展開する国内の印刷市場では、ペーパーレス化の進展による市場の縮小、競争の激化、価格の低迷という構図が長期にわたり継続し、大変厳しい状況が続いております。また、エネルギー価格や物流費、人件費の高騰のほか、断続的に実施される印刷用紙の値上げが広告宣伝媒体のデジタル化(紙離れ)を一層加速させ、社内報、カタログ、チラシ等の商業印刷物が減少を続けており、以前の水準に回復することは困難な状況です。その一方で、半導体関連マスクにおきましては、世界的な半導体分野に対する成長期待が高まっており、さらなる市場拡大による成長が期待されております。

 

このような状況において、当社は2024年度を「守りの経営から攻めの経営へ転換する第二の創業年」、そして中長期に目指す姿を「社会の課題解決を総合的に支援するパートナー」として位置づけ、2024年度から2026年度までの3年間を対象とする中期経営計画「Takeda iP Create a Value Project」を推進しております。中期経営計画では、既存事業の収益力強化、大胆な事業ポートフォリオの変革、成長分野への積極投資、株主還元の強化、攻めの経営を可能とするガバナンス体制への変革などを実行し、PBR1倍超の早期実現など、さらなる企業価値の向上を目指しております。また、国内印刷市場の縮小に対応するため、海外事業を強化しております。

さらに、人的資本経営の更なる充実を図るため、当社と竹田印刷㈱にて「健康経営優良法人2024(中小規模法人部門)」の認証を取得するなど、従業員が能力を最大限に発揮できるよう心身の健康を保持増進するとともに、創造性や生産性の高い職場環境を実現する健康経営を進めております。

 

こうした取り組みの結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a. 財政状態

当連結会計年度末の資産の部は、受取手形及び売掛金、建物及び構築物、リース資産、投資有価証券などが減少いたしましたが、現金及び預金、機械装置及び運搬具、土地、建設仮勘定などの増加により、前連結会計年度末に比べ0百万円減少し、314億88百万円となりました。

負債の部は、電子記録債務などが増加いたしましたが、短期借入金、リース債務、繰延税金負債、退職給付に係る負債などの減少により、前連結会計年度末に比べ9億58百万円減少し、131億43百万円となりました。

純資産の部は、その他有価証券評価差額金などが減少いたしましたが、利益剰余金などの増加により、前連結会計年度末に比べ9億58百万円増の183億45百万円となり、自己資本比率は57.8%となりました。

 

b. 経営成績

当社グループの当連結会計年度における売上高は341億98百万円(前期比8.0%増)となりました。このうち、海外売上高は34億16百万円(前期比16.9%増)となり、海外売上比率は10.0%(前期は9.2%)となりました。利益面では、営業利益13億75百万円(前期比67.8%増)、経常利益14億78百万円(前期比58.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は12億48百万円(前期比46.7%増)となりました。

この結果により、中期経営計画の初年度目標を達成するとともに、公表しておりました2年目(2026年3月期)の目標(売上高340億円、営業利益13億円)につきましても、1年前倒しにて達成いたしました。

 

セグメント別の状況は、以下のとおりです。

当連結会計年度より、事業内容を明確に表現するため、セグメント名称を「印刷」から「情報コミュニケーション」、「物販」から「ソリューションセールス」へ変更しております。当該変更は名称変更のみであり、セグメント情報に与える影響はありません。なお、半導体関連マスク、不動産賃貸に変更はありません。

 

(情報コミュニケーション)

情報コミュニケーションでは、印刷物に限らない様々なソリューションを複合的かつ効果的に組み合わせたワンストップソリューションの提供により、顧客の課題解決を総合的に支援しております。その事業内容は、商業印刷を中心とする印刷事業、紙器・パッケージを世界へ供給するグローバルパッケージ事業、BPO(事務局、ロジスティクス)・DX・マーケティングを支援するロジスティクス(BPOサポート)事業、WEBサイト・システム・アプリなどの開発と運営を行うシステム関連事業、イベント受託・通販受託・物品製造販売・動画サイネージなどによるプロモーション支援事業で構成しております。これらの取り組みを強力に推進し、顧客にとっての価値(顧客価値)を創造し、その価値に見合った収益に結びつけることで業績向上に努めております。また、次世代を担う人材の採用と育成により、これまでの概念や思考に捉われない自由な発想で、新規顧客の開拓や新たな製品・サービスを提供し、印刷事業への依存度を低減する事業ポートフォリオ改革を進めております。

印刷事業では品質管理と情報セキュリティ管理を徹底し、紙媒体需要を着実に取り込みました。また、人件費の高騰に対する販売価格への転嫁が浸透し、業績が回復しました。グローバルパッケージ事業は国内外で好調に推移し、昨年設立しましたTAKEDA PACKAGING (Thailand) CO., LTD.では、本年9月の操業開始に向けた準備を進めております。ロジスティクス(BPOサポート)事業では、受発注管理システムのプラットフォーム「TS-BASE」にて新規成約の獲得を図るほか、キャンペーン事務局代行などのBPO受託を取り込みました。プロモーション支援事業のイベント受託では、顧客企業からの受託に加えまして、産官学連携のまちづくりプロジェクト「池袋ミステリータウン」に引き続き協賛し、通販受託におきましても堅調に推移しました。

 

上記の結果、情報コミュニケーションセグメントの売上高は166億7百万円(前期比4.5%増)、営業利益は5億94百万円(前期比69.9%増)となりました。

 

(ソリューションセールス)

ソリューションセールスでは、国内印刷市場の縮小により厳しい市場環境にありますが、印刷関連総合商社のリーディングカンパニーとして、日本全国に展開する拠点を活用し、顧客ニーズの発掘ときめ細かなフォローの徹底によるシェア拡大を図っております。

昨年3月に徳島営業所を設立し、四国地方にて営業活動を開始しました。また、2025年1月に印刷機材の総合展示会「Print Doors 2025(第61回光文堂 新春機材展)」を開催したほか、全国各地でのイベント出展による広告宣伝活動を積極的に行うとともに、新規顧客の開拓やものづくり補助金制度を活用した販売促進活動を強化しました。その結果、資材販売は堅調、機械販売は大型機械の販売もあり好調に推移したため、増収となりました。利益面では増収効果のほか、利益率の高い自社ブランド製品の販売を相応に確保したため、増益となりました。

 

上記の結果、ソリューションセールスセグメントの売上高は118億49百万円(前期比12.2%増)、営業利益は2億59百万円(前期比55.7%増)となりました。

 

(半導体関連マスク)

半導体関連マスクでは、竹田東京プロセスサービス㈱と㈱プロセス・ラボ・ミクロンの国内2社、そして中国と東南アジアに展開する海外3社が連携し、会社の垣根を越えた人事交流や情報共有による課題解決、新製品開発を組織的に取り組み、グループ全体最適とシナジーの最大化を目指しております。

世界半導体市場では回復の兆しが見受けられ、当社グループにおける各種マスク需要は回復基調で推移しました。しかしながら、中国経済の低迷や世界的なEV市場の失速などの影響もあり、本格回復には至りませんでした。分野別ではAIサーバー関連やスマートフォン、通信デバイス向けが好調に推移しましたが、自動車メーカーの品質不正問題に起因する生産停止やEV需要の減速により、自動車分野の出荷が低迷しました。海外では、市場低迷が続く中国におきましても堅実に業績を確保するとともに、タイでは受注が伸長し、ベトナムでは前期並みの業績を確保しました。

 

上記の結果、半導体関連マスクセグメントの売上高は60億81百万円(前期比10.3%増)、営業利益は4億41百万円(前期比128.1%増)となりました。

 

(不動産賃貸)

当社グループが保有する土地・建物などの有効活用を目的として、連結子会社や外部顧客に対する不動産賃貸事業を行っております。当連結会計年度の売上高は7億75百万円(前期比4.1%減)、営業利益は4億47百万円(前期比5.8%減)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ6億70百万円増加し、66億86百万円となりました。当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、退職給付に係る負債の減少1億90百万円、法人税等の支払額3億59百万円などに対し、税金等調整前当期純利益13億19百万円、減価償却費9億19百万円、売上債権の減少7億16百万円などがあったため、28億16百万円の収入(前期は12億49百万円の収入)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の払戻による収入2億円、補助金の受取額4億90百万円、差入保証金の回収による収入4億7百万円などに対し、定期預金の預入による支出2億円、有形固定資産の取得による支出16億円、差入保証金の差入による支出4億18百万円などがあったため、12億74百万円の支出(前期は6億27百万円の支出)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入2億円などに対し、短期借入金の減少3億10百万円、リース債務の返済による支出3億6百万円、長期借入金の返済による支出2億92百万円、配当金の支払額2億15百万円などがあったため、9億21百万円の支出(前期は6億円の支出)となりました。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

(1)生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前期比(%)

情報コミュニケーション

16,988

4.6

ソリューションセールス

半導体関連マスク

6,528

9.5

不動産賃貸

合計

23,516

5.9

(注)生産実績は、販売価額により表示しております。

 

(2)受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前期比

(%)

受注残高(百万円)

前期比

(%)

情報コミュニケーション

16,836

23.4

2,326

10.9

ソリューションセールス

11,900

5.9

1,008

5.3

半導体関連マスク

6,102

10.9

166

15.2

不動産賃貸

合計

34,840

14.6

3,500

9.5

 

(3)販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前期比(%)

情報コミュニケーション

16,607

4.5

ソリューションセールス

11,849

12.2

半導体関連マスク

6,081

10.3

不動産賃貸

775

△4.1

消去

△1,115

△0.4

合計

34,198

8.0

(注)販売実績は、販売価額により表示しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a. 経営成績

当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度(以下「前期」)に比べ25億28百万円増加し、341億98百万円(前期比8.0%増)となりました。賃上げによる人件費の高騰に対する販売価格への転嫁が浸透し、不動産賃貸以外の主要となる3つのセグメントにおいて増収となりました。また、当社では国内印刷市場の縮小に対応するため、海外事業を強化しており、海外売上高は34億16百万円(前期比16.9%増)、海外売上比率は10.0%(前期は9.2%)となりました。2024年5月に設立しましたTAKEDA PACKAGING (Thailand) CO., LTD.では、本年9月の操業開始に向けた準備を進めており、中期経営計画の経営指標であります海外売上比率12%以上の達成が視野に入ってきており、海外事業の拡充が着実に進んでいると認識しております。

売上原価は増収や賃上げによる影響もあり、前期に比べ17億87百万円増加し、268億87百万円(前期比7.1%増)となりましたが、売上原価率は前期の79.3%から78.6%へ改善しました。販売費及び一般管理費は賃上げの影響もあり、前期に比べ1億84百万円増加し、59億35百万円(前期比3.2%増)となりましたが、販管比率は前期の18.2%から17.4%へ改善しました。この結果、営業利益は前期と比べ5億55百万円増加し、13億75百万円(前期比67.8%増)となりました。

営業外収益は、前期と比べ13百万円減少し、1億47百万円(前期比8.4%減)となりました。営業外費用は、前期と比べ4百万円減少し、44百万円(前期比8.6%減)となりました。この結果、経常利益は前期と比べ5億46百万円増加し、14億78百万円(前期比58.6%増)となりました。営業外収益、営業外費用に特筆すべき事項はありません。

特別利益は、㈱プロセス・ラボ・ミクロンにおける本社工場の建替えおよび設備増強、九州工場のリニューアルなどの設備投資に対する国庫補助金等による補助金収入4億90百万円などを計上したため、前期と比べ2億47百万円増加し、5億47百万円(前期比82.3%増)となりました。特別損失は、前出の補助金により取得した固定資産の圧縮記帳に係る固定資産圧縮損4億64百万円、海外子会社のPROCESS LAB.MICRON VIETNAM CO.,LTD.における業務上横領に関連する特別調査費用等62百万円、当社元名誉会長各務芳樹氏のお別れの会関連費用26百万円、将来発生が見込まれる解体撤去費用引当金繰入額1億13百万円などを計上したため、前期に比べ5億28百万円増加し、7億7百万円(前期比295.7%増)となりました。

法人税等合計は、繰延税金資産の追加計上などにより、法人税等調整額(△は利益)を△2億80百万円計上したため、前期と比べ1億31百万円減少し、65百万円(前期比66.7%減)となりました。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期と比べ3億97百万円増加し、12億48百万円(前期比46.7%増)となりました。

 

b. 経営成績等に重要な影響を与えた要因

国内の印刷市場では、ペーパーレス化の進展による市場の縮小、競争の激化、価格の低迷という構図が長期にわたり継続し、大変厳しい状況が続いております。また、エネルギー価格や物流費、人件費の高騰のほか、断続的に実施される印刷用紙の値上げが広告宣伝媒体のデジタル化(紙離れ)を一層加速させ、主力製品であります社内報、カタログ、チラシ等の商業印刷物が減少を続けており、以前の水準に回復することは困難な状況です。

その一方で、半導体関連マスクにおきましては、世界的な半導体分野に対する成長期待が高まっており、さらなる市場拡大による成長が期待されております。2024年度における世界半導体市場では回復の兆しが見受けられ、当社グループにおける各種マスク需要は回復基調で推移しました。しかしながら、中国経済の低迷や世界的なEV市場の失速などの影響もあり、本格回復には至りませんでした。

このような大変厳しい状況下において、業績が伸長した要因は、賃上げによる人件費の高騰に対する販売価格への転嫁が浸透したことに加えまして、これまで取り組んでまいりました事業構造改革の成果と認識しております。さらに、2024年5月14日に公表しました2024年度から2026年度までの3年間を対象とする中期経営計画に掲げております既存事業の収益力強化、大胆な事業ポートフォリオの変革、成長分野への積極投資、株主還元の強化、攻めの経営を可能とするガバナンス体制への変革などの各種施策を着実に実行していることも要因であると認識しております。中期経営計画の初年度である2024年度は好調に推移しましたが、今後もPBR1倍超の早期実現など、さらなる企業価値の向上を目指します。

 

セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりです。

 

(情報コミュニケーション)

情報コミュニケーションでは、印刷物の提供により顧客の広告宣伝活動を支援する従来型のビジネスモデルから領域を広げ、印刷物に限らない多種多様なソリューションを複合的かつ効果的に組み合わせたワンストップソリューションの提供により、顧客の課題解決を総合的に支援するパートナーへ、ビジネスモデルの転換を進めています。多様化する製品やサービスの収益性や成長性を見極め、さらなる事業強化と成長分野への積極投資を行っております。また、全体最適での生産設備の見直しによる低コスト生産体制の構築、ビジネスモデルにマッチした製造体制の再構築を進めています。労務費や物流費、原材料やエネルギー価格等の高騰には販売価格への転嫁だけでなく、品質を維持しつつコスト削減を実現するVA提案を積極的に行ってまいります。

今後も紙媒体需要の取り込みを継続してまいりますが、当社が持つ制作体制、情報セキュリティ体制、システム構築力を駆使し、ロジスティクスや各種BPO受託、WEB・システムや動画などのデジタル媒体を強化いたします。また、顧客におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進をビジネスチャンスとして捉えております。物流の課題をワンストップで解決する受発注管理システムのプラットフォーム「TS-BASE」には多くの引き合いをいただいており、サービスメニューの充実を継続しております。これらの取り組みによりセグメント内における事業ポートフォリオ改革を進め、今後も顧客の課題解決を支援してまいります。

また、国内外で紙器・パッケージを製造販売するグローバルパッケージ事業を成長事業として位置づけ、2024年5月にタイに新会社(TAKEDA PACKAGING(Thailand) CO., LTD.)を設立いたしました。当社グループの顧客では、東南アジア地域への事業拡大が進められており、顧客のグローバル生産体制に対応し、顧客ニーズに応えるための供給体制を整え、パッケージ事業の拡大を図ってまいります。他の事業会社とも連携して中核事業に育成するとともに、海外事業を強化します。

 

(ソリューションセールス)

ソリューションセールスでは、印刷関連総合商社のリーディングカンパニーとして、顧客ニーズの発掘ときめ細かなフォローの徹底によるシェア向上のほか、異業種を含めた新規顧客の開拓、利益率の高い自社ブランド製品の販売強化、それを支える人材育成などによる総合力で他社との差別化を図り、売上高と利益を確保してまいります。

厳しい市場環境にありますが、全国各地でのイベント出展による広告宣伝活動を積極的に行い、新規顧客の開拓やものづくり補助金制度を活用した取り込みを強化しました。また、2024年3月には新たに徳島営業所を開設し、四国地方における営業活動を開始いたしました。

一方、国内印刷市場の縮小による顧客における経営環境の悪化に加えて、新型コロナウイルス感染症の影響による関連倒産が世界的にも不安視されており、今後も与信管理面でも慎重な取引が求められる状況は続いております。

顧客のビジネススタイルや市場環境の変化に対応し、営業スタイルも変革してまいります。従来からの訪問による売り込み型の営業だけではなく、顧客の事業内容を熟知し、最適な製品やサービスを提案する、顧客にとってのナンバーワンのビジネスパートナーを目指しております。今後も常に良質な情報発信を行い、顧客に選ばれ、頼りにされるサプライヤーとしての地位を確立してまいります。

 

(半導体関連マスク)

半導体関連マスクでは、世界半導体市場において回復の兆しが見受けられましたが、本格回復には至りませんでした。分野別ではAIサーバー関連やスマートフォン、通信デバイス向けが好調に推移する一方で、自動車メーカーの品質不正問題に起因する生産停止やEV需要の減速により自動車分野の出荷が低迷するなど、市場全体としての本格回復にはもう暫く時間を要するものと予想しております。

海外では、市場低迷が続く中国におきましても堅実に業績を確保するとともに、タイでは受注が伸長し、ベトナムでは前期並みの業績を確保するなど明るい材料はありますが、米国の関税政策による景気の下振れリスクが懸念されるなど、先行きは不透明な状況となっております。

この環境下にて、当社グループでは市場が再び成長サイクルに入る機会に備えて生産体制を強化しております。2023年4月1日付けで当社の半導体関連マスク事業と東京プロセスサービス㈱が統合して誕生した竹田東京プロセスサービス㈱では、統合から2年が経過し事業活動が軌道に乗りつつあり、今後は生産性と収益性のさらなる向上を目指してまいります。㈱プロセス・ラボ・ミクロンでは、本社工場の竣工と生産設備の更新を行い、高精細化に対応した微細開口メタルマスクの製造を開始しました。これらの設備投資により生産性を向上させたため、中部テクノロジーセンターを閉鎖し、生産活動を他の工場へ移管するなど、低コスト生産体制の構築を進めております。

印刷事業ではマイナス要因となる「デジタル化の進展」が、本事業では逆に追い風となります。リスク分散の意味合いにおきましても、半導体関連マスクではグループ全体最適とシナジーの最大化を図るとともに、海外事業を強化してまいります。

 

c. 中長期的な目標に照らした経営成績の分析・評価

「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(3)中長期的な会社の経営戦略」にて、2024年5月14日に公表いたしました、2024年度から2026年度までの3年間を対象とする中期経営計画の概要、「(4)目標とする経営指標」にて目標とする経営指標を記載しております。また、中期経営計画の初年度であります2024年度(2025年3月期)における実績値と進捗状況、今後の見通しについて評価・分析を行いご報告しております。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容ならびに資本の財源および資金の流動性に係る情報

当連結会計年度におけるフリー・キャッシュ・フローは15億42百万円となり、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は66億86百万円となりました。この金額は、運転資金、設備投資に必要な資金、将来の柱となる事業の開発あるいは取得に必要な資金として適正な水準であると考えておりますが、必要に応じて躊躇なく借入などのアクションを取り、タイミングを逃すことなく成長分野やM&A等への事業投資、株主還元の強化、人的資本やDX戦略への投資にも積極的に取り組んでまいります。

その施策の一つとして、今後の積極的な事業展開に必要な資金需要に対し、機動的かつ安定的な資金調達手段を確保することで財政基盤の強化並びに安定性向上を図ることを目的として、株式会社三菱UFJ銀行との間でコミットメントライン契約を締結しております。株式会社三菱UFJ銀行とは契約極度額15億円を個別相対方式、無担保・無保証にて締結しております。なお、当連結会計年度末における借入実行残高はございません。

 

③ 重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成しております。その作成に当たっては、決算日における資産・負債及び当連結会計年度における収益・費用の報告金額、並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会社方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」をご参照ください。

 

5【重要な契約等】

(1)業務委託契約

契約会社名

相手方の名称

契約

契約の内容

契約期間

東海プリントメディア株式会社

(連結子会社)

株式会社読売新聞東京本社

業務委託契約

新聞印刷等業務の受託

2024年4月1日から1年間

(注)上記業務委託契約は、2025年4月1日から1年間更新されております。

 

(2)不動産売買契約

当社は、2024年3月18日開催の取締役会において、竹田iPグループ本社移転を目的とする固定資産の取得を決議し、2024年5月27日に当該固定資産の取得に関する不動産売買契約を締結いたしました。

 

1.取得の目的

竹田iPグループ本社移転を目的とし、取得することといたしました。

 

2.取得資産の内容

(1) 固定資産の種類 土地及び建物

(2) 所在地     名古屋市中区

(3) 土地面積    3,546.46㎡

(4) 取得価額    2,910百万円

(5) 契約締結日   2024年5月27日

(6) 物件引渡日   2026年7月31日(予定)

 

6【研究開発活動】

当連結会計年度におけるセグメント別の研究開発活動は次のとおりです。同期間において、当社グループが支出した研究開発費は165百万円です。なお、研究開発費には、特定のセグメントに関連付けられない研究費用4百万円が含まれております。

 

(情報コミュニケーション)

印刷事業においては、印刷機械を使って顧客のニーズに合った製品を作りますので、印刷技術そのものではなく、生産技術に関する研究開発が中心です。具体的には、カラーマネジメントシステムの精度向上、製造工程の改良、抗菌印刷の用途開発等に取り組みました。また、デジタルマーケティング手法の確立等において、デジタル技術への対応に取り組みました。

当連結会計年度の情報コミュニケーションセグメントにおける研究開発費は70百万円です。

 

(ソリューションセールス)

デジタル化の進展に伴い構造改革が求められる印刷業界において、変化し続ける顧客ニーズに応える製品の研究開発を行い、提供することを基本方針としております。具体的には、品質向上に貢献する製品の開発、生産性向上に貢献する製品の開発、環境に配慮した製品の開発、様々なニーズや用途に対応し付加価値を高める加工機の開発等に取り組みました。

当連結会計年度のソリューションセールスセグメントにおける研究開発費は33百万円です。

 

(半導体関連マスク)

半導体関連マスク事業では、歩留まり向上・原価低減に向けた工程改善、顧客の製造工程の改善支援、薄膜コート開発、次世代商材開発に向けた新素材の評価・解析等に取り組みました。

当連結会計年度の半導体関連マスクセグメントにおける研究開発費は56百万円です。

 

(不動産賃貸)

不動産賃貸事業では、当社グループの事業構造改革を推進するため、戦略的な不動産ビジネスの開発に向けた調査及び情報収集等に取り組みました。

当連結会計年度の不動産賃貸セグメントにおける研究開発費は0百万円です。