文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループは、一世紀を超える歴史の中で培った技術と経験を生かし、つねに時代が求める新しい技術・製品を提供することで先端産業を支え、人・社会・地球環境にとってより豊かで持続可能な未来の創造に貢献し続けることを企業理念としております。IT関連の超精密加工用研磨材を主とした研磨材事業、医薬および機能化学合成製品等の中間体の受託生産を柱とした化学工業品事業、インナーウエアを中心とする製品に重点を置いた生活衣料事業などに積極的に経営資源を投入し、安定した収益体質の構築を目指しております。
また、健全な企業経営・会計慣行を維持し、透明性の高いキャッシュ・フロー経営を実践しております。
当社グループは、持続的成長と中長期的な企業価値向上を目的として、利益目標(営業利益、当期純利益)およびROEを、また財務体質の強化を図るため自己資本比率を、それぞれ経営指標としております。
当社グループは、持株会社である富士紡ホールディングス株式会社と事業子会社から構成され、超精密加工用研磨材・機能性不織布を扱う研磨材事業、ファインケミカル中間体の受託製造を行う化学工業品事業、紡績・テキスタイル・アパレルを中心とする生活衣料事業、車両・自動車部品等の輸出やプラスチック成形の技術開発などのその他の事業を展開しています。
研磨材事業は、半導体デバイス用途(CMP)、シリコンウエハー用途、ハードディスク用途、液晶ガラス用途など、様々なITデバイスをその製造工程でポリシングする超精密加工用研磨材を主要製品としており、世界中のITデバイス関連企業に販売しております。最先端プロセス、次世代プロセスのITデバイス製造に対応可能な研磨材の開発を、最新の研究機器・検査機器・製造設備を用いて、ユーザーと共同で進めております。当連結会計年度は、半導体市場の緩やかな回復を受けて、超精密加工用研磨材の半導体デバイス用途(CMP)は、生成AIの普及によるHBMなどのメモリや最先端ロジック向け半導体の需要の増加とそれに伴う一部ユーザーの在庫水準の引き上げにより受注が増加しました。シリコンウエハー用途は、汎用品用途の需要は弱いものの、先端品用途の需要は堅調で一定水準の売上を確保しました。ハードディスク用途はデータセンター向けの需要が戻り、液晶ガラス用途では期後半からTV需要の増加によってパネルの消費も加速しており、受注も回復しました。
化学工業品事業は、長年培った有機合成のノウハウを活かし、大手化学メーカーからの医薬原料、農薬、電材、機能性化学品など有機合成品の中間体の受託製造を行っております。国内有数の化学工業品受託工場を保有し、多種多様な反応に対応できる生産設備で、優れた品質管理と確実な納期対応、高レベルの環境対応、徹底した安全管理のもと、高品質と多品種・小ロットのスピード生産体制で顧客のニーズに応えております。当連結会計年度は、機能性材料、医薬中間体および農薬中間体などの受託製造は、農薬関連で世界的な在庫調整が継続しているものの、半導体を含む電子材料市場の緩やかな拡大と在庫調整の一巡により需要が回復し、受注が堅調に推移しました。また、新規製品への取り組みが奏功し、工場の稼働は改善しました。
生活衣料事業は、インナーウエアを中心とする繊維製品および原糸や染色加工など高機能繊維素材の製造・加工・販売を行っております。繊維製品では、原糸紡績から製品縫製までグループ内で一貫して携わる体制で産み出す高品質を武器に、多くのユーザーから支持されている「B.V.D.」や、ハイエンド商品を展開する「アサメリー」「エアメリー」などのブランドで、メンズ・レディースに幅広く展開する製品を、様々な販売チャネルで消費者に提供しております。繊維素材では、長年培ってきた紡績・加工技術を駆使して開発した高機能素材を、ファッション衣料用途から産業資材用途まで、ユーザーニーズに合わせて提供しております。当連結会計年度は、繊維素材は、物流費やエネルギーコストの高騰に加え、円安の影響を受けたことにより、厳しい環境が続きました。繊維製品は、量販店の店舗減少や消費者の節約志向の高まりにより苦戦しました。一方、ネット販売では、SNSや検索広告などのWebマーケティングを強化し、ネット専用製品を拡充することで、効果的な商品訴求を図りました。また、高品質な日本製品が評価され、海外向け販売は好調に推移しました。しかし、円安の進行に伴う原材料や資材の価格高騰が続いているため、利益面では粗利率が低下しました。
その他の事業は、デジタルカメラ・医療機器・自動車用部品の射出成形を行う化成品事業、プラスチック用射出成形金型の設計・制作を行う金型事業、中米カリブ海地域へ向けて自動車の輸出を行う自動車事業などで構成されています。化成品部門では、デジタルカメラや医療機器、自動車に欠かせない高精度のプラスチック射出成形技術で、金型部門では、自動車用部品を中心に幅広いサイズの成形機に対応できる金型の設計・制作・メンテナンスで、激しいユーザーニーズの変化に対応しております。当連結会計年度は、化成品部門は、医療機器用部品およびデジタルカメラ用部品の受注が堅調となり、前年比で増収となりました。金型部門は、自動車メーカーの品質不正問題、大手企業の経営統合の動きやEV化シフトの遅れにより、依然として不透明な状況が続いています。また、事務機器用金型が開発案件の端境期にあることや、車載コネクタやスマートフォン向けホットランナーの需要が低調であることから、厳しい状況が続きました。
当社グループは、2021年度から2025年度を計画期間とする中期経営計画『増強21-25』を実行しています。本中期経営計画では、未来のありたい姿から導出した2025年像と現状の延長線上の2025年像とのギャップを特定し、中期的に取り組む施策を着実に実施します。加えて事業ポートフォリオの積極的な見直しと持続可能で儲かるビジネスへの転換を段階的に図ることにより、“圧倒的なニッチナンバーワン企業” をめざします。計画期間5年間の前半3年を「高収益体質への転換と種まき」ステージ、後半2年を「非連続的成長の実現」ステージと位置づけ、収益機会の増加と提供価値の強化を施策の両輪として、『稼ぐ力』を強化いたします。同時にDX(デジタルトランスフォーメーション)の継続・深化にも取り組み、各事業の成長基盤を連続的・非連続的に「増強」していきます。さらに、社会の要請であるサステナブルな社会を創るための施策、人材確保や働き方改革への取り組みもこれまで以上に進めてまいります。
主力の研磨材事業では、2025年の半導体市場は、世界的なAI関連投資の盛り上がりを背景に、最先端ロジック向け半導体やメモリ需要が一層拡大すると予測されています。特にAI関連では、データセンター向けの持続的な投資や、それに関連したデバイスの増加によって半導体の需要が高まっており、当社においても半導体生産の集積地である台湾に研究開発施設の建設を着実に進め、ユーザーからの要望にも迅速に応える体制を整えることで将来の売上拡大をめざしています。一方で、EVやスマートフォン向けの半導体需要は依然低調であり、各用途の動向は複雑な状況にあります。これら市場の変動に対応するため、市場環境や成長に応じた生産体制の整備に加え、米国新政権の関税政策の影響を見極めていく必要があります。化学工業品事業では、化学業界全体の需要回復や半導体を中心とした電子材料市況の好転により、受注が増加傾向にあります。機能性材料の需要拡大に対応するため、柳井工場と武生工場の連携を強化し、2026年の稼働をめざした新プラントの建設も進行中です。生活衣料事業では、円安の進展により物価水準が高止まりし、厳しい事業状況が続いています。そのような中、繊維製品のうちB.V.D.製品は、ECサイトやSNSなどの多様なメディアを活用し、認知度を高めることで商品の販売力を向上させる取り組みを行っています。また、アングル製品は、好調な海外向けの販路拡大に取り組みます。その他の事業では、化成品部門は、医療機器用途向けの更なる需要拡大に対応し、生産体制を整えることで、重点3事業に続く第4の柱事業としての育成に向けた基盤整備を進めています。金型部門は、当面厳しい状況が続きますが、2025年度後半から回復の見通しとなります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、サステナビリティを事業戦略の中核に組み入れた「サステナビリティ経営」を実践しております。当社グループのサステナビリティ経営は、「儲ける」こと、成長性・収益性と社会貢献、誠実さに立脚した公正で透明性のあるSDGs経営をバランス良く実行していくことでサステナビリティを実現していくところに特徴があります。
企業は、財務面で収益を上げなければ株主への配当を実施することができず持続的成長は達成されません。また、社会の公器という点に焦点を当て、適正な企業統治のもと、社会からより信頼される企業としてステークホルダーと強固な信頼関係を構築することが重要となります。当社グループは、企業理念に掲げる「人・社会・地球環境にとってより豊かで持続可能な未来の創造に貢献し続ける」ことを実現するため、サステナビリティ経営を実践し、持続的な企業価値向上を目指してまいります。
現在、世界は気候変動問題をはじめとする多くの深刻な社会課題に直面しており、その解決の担い手として、企業に対する社会の期待も高まっています。こうしたなか、当社は中期経営計画「増強21-25」の始動にあわせ、SDGsに関連する重要課題への対応を通じたサステナビリティ経営を富士紡グループ全体で横断的に推進するため、2021年4月1日に「ESG推進委員会」を設置しました。
「ESG推進委員会」は、社長を委員長として、環境(Environment)分科会、社会(Social)分科会、ガバナンス(Governance)分科会の3つの分科会で構成されています。当社グループがサステナビリティの課題に適切に対応するとともに、サステナビリティへの対応が中長期的な企業価値の向上につながるよう提言を行うこととしています。サステナビリティ推進に関わる各種検討課題に各分科会で取り組み、重要度に応じてESG推進委員会、経営会議、取締役会に諮る体制となっています。したがって、取締役会は経営全般にわたる重要な方針・施策を最終決定するとともに、経営会議、ESG推進委員会等の管理監督を行っています。
研磨材事業、化学工業品事業、生活衣料事業、その他の事業でそれぞれ求められるサステナビリティに関する課題は異なりますが、リスクと機会の観点から積極的に対応してまいります。
■富士紡グループのサステナビリティ推進体制

当社グループが認識している重要なサステナビリティ課題である、(1)気候変動への対応および(2)人的資本についての考え方及び取組みは、以下のとおりであります。
当社グループは、低炭素化社会実現に向けた気候変動対応を経営上の重要課題と認識し、2021年11月に気候変動に関する情報開示の指針となるTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース・Task Force on Climate-related Financial Disclosures)提言に賛同を表明しました。気候変動に関連するリスクと機会への対応について、TCFD提言に沿った情報開示を進め、将来の事業における財務的な影響を想定し、管理しています。以下のとおり、TCFD提言に沿って、気候変動に関連する重要情報を開示します。
当社グループは、重要な環境関連目標や取り組みは社長が委員長を務める「ESG 推進委員会」で決定しております。年2回開催される「ESG推進委員会」において、気候変動に関するリスクや機会を特定し、気候変動課題をESG推進委員会の分科会の一つである「環境分科会」で取り組み、重要度に応じてESG推進委員会、経営会議、取締役会に諮る体制でマネジメントを行っております。
取締役会は、ESG推進委員会等から気候変動課題に関わる経営全般にわたる重要な方針・施策の報告を受け、最終決定するとともにその進捗を管理監督しております。
当社グループは、気候変動関連リスクを含む全社的なリスク情報を把握し、管理する体制を構築し、整備することに取り組んでおります。リスクマネジメント体制においては、リスク管理委員会を設置し、リスク情報を収集・分析して、リスクが顕在化した場合の対策を講じています。
また、ESG推進委員会においても、気候変動関連リスクおよび機会を発生可能性および金額的重要性の観点から特定し、その対策を講じておりますが、リスクに対する具体的な取り組みにおいては、「環境分科会」が各事業会社と協働して、対策を検討・実行しております。
重要度に応じて、リスク管理委員会とESG推進委員会が、取締役会や経営会議に報告する等して、気候変動に係るリスクマネジメントに取り組んでおります。
■富士紡グループ気候変動対応に関する体制図(ガバナンスおよびリスク管理)

気候変動関連のリスクと機会
当社グループでは、気候変動関連のリスクと機会は、中長期にわたり事業活動に影響を与える可能性があると認識しております。外部環境の変化や様々な状況下におけるリスクや機会を考慮するため、1.5℃~2℃未満シナリオ、4℃シナリオの複数の将来シナリオを想定し、2050年時点における当社グループの主要3事業(研磨材事業、化学工業品事業、生活衣料事業)において、重要な財務への影響を与える可能性のあるリスクと機会の洗い出しを行いました。
1.5℃~2℃未満の世界では、温室効果ガス削減のための規制が強化され、低・脱炭素化が進むことに伴う事業への影響、移行リスクが高まることが考えられるのに対し、4℃の世界では、規制などの移行リスクの影響は小さいものの異常気象などの物理的リスクが高まることが考えられます。
当社グループにおける気候変動に関連する主要なリスク・機会を、1.5℃~2℃未満シナリオ、4℃シナリオを前提として分析し、リスク低減および機会活用にむけた対策を整理しました。発現時期については、短期・中期・長期と時間軸を設け、影響度については、利益に対する影響の大きさにより大中小の3段階で表現しております。
<リスク>
<機会>
当社グループを取り巻く外部環境の変化に応じて、重要なリスクと機会の見直しを適宜行い、戦略に反映させてまいります。
当社グループの温室効果ガス排出量については、当社ホームページをご参照ください。
なお、2024年度の排出量は現在算定中であり、2025年9月に公表予定です。
今後も生産拡大によるエネルギー使用量の増加が見込まれますが、再生可能エネルギーへの転換を積極的に推進し、さらなる温室効果ガスの排出削減に取り組みます。今後は温室効果ガス削減目標を設定し、一層の環境に配慮した事業活動を継続することにより脱・低炭素型社会実現への貢献と企業価値向上を図ってまいります。
当社グループは、「個を尊ぶ、和を育む~労働環境の指針」をビジョンとして掲げ、「社員一人ひとりに公平な機会と公正な評価を与え、切磋琢磨して共に向上し合える環境を創造するとともに、個を尊重することで、競争力とチームワークが育つ職場を創ること」を、人的資本にかかる基本方針として取り組んでおります。当社グループにおける、人財の多様性の確保を含む人財の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、以下のとおりであります。
当社グループは、持続可能な社会を実現するため、事業活動を通じて進める重要な取り組みの一つとして、「多様性を受容し、個々の能力を最大限発揮できる環境づくり」を掲げ、性別・年齢・国籍・障がいなどの有無にとらわれない多様性を尊重し、安心して能力を発揮できるよう、職場環境の整備を進めております。
事業構造の高度化を進めてゆくなかで、多様性を尊重し、能力発揮機会の提供と労働環境の整備を推進することが、持続的な成長と企業価値の向上に資すると考えております。
多様性確保に向けた、具体的な社内環境整備として、以下に取り組んでおります。
ア. 柔軟な働き方の推進とワークライフバランスの向上
・男女を問わない育児・介護の両立支援
・フレックスタイム制度
・在宅勤務
・定年後再雇用制度
・障がい者雇用
・休暇取得の積極的推進
イ. 女性活躍推進
雇用、昇進、報酬等について公平で平等な機会を確保しており、教育訓練や次世代育成の機会は男女の区別なく与えられています。また、育児・介護両立支援のための休職制度などの充実によって、女性のスキルアップやキャリアを中断させない取り組みなど、さらなる女性活躍推進の取り組みを進めております。
当社グループは、長期の目指すべき姿として「圧倒的なニッチナンバーワン企業」を掲げております。この実現に向け、従業員こそが企業の財産という認識のもと、その育成に取り組んでおります。
具体的な人財の育成方針として、「1.課題解決型人財を育成する」「2.グローバル人財を育成する」「3.次世代リーダーを育成する」ことを掲げております。
人的資本は企業価値の中核として考えており、人財への投資は会社の持続的成長を高めるうえで基盤となるものであることから、当社グループでは個人の知識やスキル、能力を引き出したり高めたりするための教育や研修機会を積極的に設けています。社員一人ひとりの能力を高め、「持続可能な働き方」を実現していきます。
教育研修制度の拡充にも努めており、当社グループでは様々な研修制度によって従業員の成長を支援しています。研修制度には教育訓練や次世代育成が含まれ、職場の安全教育、環境教育、自己啓発などメンタルヘルス教育も実施しております。人財育成や業務に関わる研修だけでなく、職場環境や従業員の健康にも配慮し教育の機会を増やしております。
従業員の健康保持・増進に取り組むことは、従業員の活力向上や生産性の向上等の組織の活性化をもたらし、ひいては業績向上や企業価値向上へ繋がることが期待されます。健康経営を経営的視点から考え、戦略的に実践するため、健康経営の目的となる「健康経営宣言」と、健康経営を推進するための体制を策定しました。 本宣言および推進体制のもと、従業員の健康保持・増進に資する施策を進めることで、一人ひとりが健全な状態で安心していきいきと働ける社内環境の整備を進めております。2024年に引き続き2025年3月には、経済産業省及び日本健康会議主催の「健康経営優良法人2025(大規模法人部門)」に認定されました。
当社グループは、従業員の安全衛生の徹底に取り組んでおります。2010年に安全対策プロジェクトを発足し、2011年4月に安全衛生管理規程を制定しました。全社的な安全衛生管理体制の整備や強化と全事業場を対象とした安全に関する定期的査察・指導を行い、労災ゼロ活動を推進しております。
当社グループは、人的資本にかかる戦略を実践するにあたり、人的資本にかかる指標を管理・モニタリングしております。
(注) 1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
2 目標及びその達成時期は、中期経営計画「増強21-25」策定時(2021年3月末時点)に設定したものであり、2025年3月末時点で既に目標を達成している項目もあります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等の状況に与える影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため記載しておりません。
当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識し、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針であります。
研磨材事業においては、ユーザーに直結した製品作りとBCPの観点から、一部研磨材を台湾で生産しています。生活衣料事業の「B.V.D.」ブランドのインナーウエアは、競争力のある製品作りとコスト削減による収益向上のため、タイ国他での生産を拡大し海外生産比率が9割を超えており、日本国内の他、台湾、香港にて販売しております。自動車関連および機械類の輸出は中米カリブ海諸国向けであります。
各々の国において、予期しない政治及び経済体制の変化、テロ等社会的混乱などが生じた場合には、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに悪影響を与える可能性があります。
生活衣料事業においては、中国・タイ等で生産を行うなど、アジア地域における海外事業の拡大を図っており、為替リスクは日本サイドが負っております。また、研磨材事業においては、営業収入に占める輸出比率が高いことから、主として米ドルに対する円高は、値下げ要求につながる可能性があります。
当社グループは、為替リスクに対して為替予約及び外貨建輸出入取引のバランス調整等を行い、可能な限りリスクヘッジを図り、為替相場の短期的変動による悪影響を最小限に止める努力をしておりますが、中長期的変動により、計画された調達・製造・販売が実行できないなど、為替相場の変動は財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに悪影響を与える可能性があります。
生活衣料事業における主力ブランド「B.V.D.」について、FTLジャパン㈱と、商標の使用権、日本国内・台湾における製造権及び独占的販売権、中国・香港・マカオ・シンガポール・タイにおける製造権及び非独占的販売権の契約を締結しております。当社とFTLジャパン㈱は良好な協力関係にありますが、予期しない事態による契約の非更新は、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに悪影響を与える可能性があります。
研磨材事業において重要な割合を占めるCMP(半導体)・シリコンウエハー・ハードディスク・液晶ガラス・一般工業品用途の研磨材製品の需要は、主たる販売先となっているIT業界の景気状況の影響を受けるため、日本・北米・アジア・欧州等の主要市場におけるIT業界の景気停滞及びそれに伴う需要の減少が起こる場合は、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに悪影響を与える可能性があります。
化学工業品事業、化成品事業及び金型事業は、特定の顧客・製品への依存度が高く、受託先の動向、商品のライフサイクルの短さや景気状況の影響などに伴い、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに悪影響を受ける可能性があります。
開発した新製品については基本的に特許を取得する方針ですが、特許等によりその製造方法が開示され、生産ノウハウが競合他社に漏洩する可能性があるもの等については、出願を控える場合があります。そのため、競合他社が当該特許を出願した場合、特許が受理される可能性があり、そのような事態に備え「先使用権による通常実施権」を主張できるよう努めておりますが、その解決に時間と費用を要することが予想されます。
また、独自の技術、ノウハウの全てを知的財産により完全に保護することは不可能と予測され、知的財産を使用して第三者が類似商品を製造すること等を効果的に防止できない可能性があります。その場合、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに悪影響を与える可能性があるとともに、取引先との関係の悪化を招く可能性があります。
製品生産に対し規制される法律として、水質汚濁防止法、大気汚染防止法、騒音規制法等があります。当社グループとして規制値をクリアするため、対応装置等を設置しておりますが、今後これらの規制が強化された場合や他の物質が付加された場合、更なる設備投資が必要となり、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに悪影響を与える可能性があります。
また、当社グループは個人情報取扱事業者に該当しており、個人情報保護法による規制を受けることとなります。個人情報保護については、法律の遵守だけでなく、情報漏洩による被害防止を行う必要があります。当社グループは外部からの不正アクセス、ウイルス感染の防御、内部管理体制の強化等の対策を行っておりますが、万一個人情報が漏洩した場合には、当社グループの信頼の失墜につながり、今後の営業活動に影響を及ぼす可能性があるとともに、事後対応等に関するコストが発生し、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに悪影響を与える可能性があります。
当社グループは製造物責任賠償保険に加入しておりますが、最終的に負担する賠償額を完全にカバーできるという保証はありません。大規模な製造物責任賠償につながるような品質問題が発生する可能性が皆無ではなく、この場合、当社グループの評価に重要な影響を及ぼし、売上の低下、収益の悪化などにより、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに悪影響を与える可能性があります。
当社グループは、操業の中断による悪影響を最小限に抑えるため、定期的な防災点検及び設備保全を行っております。しかしながら、自然災害・停電などによる影響を完全に防止または軽減できる保証はなく、操業に影響する事象が発生した場合には、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに悪影響を与える可能性があります。
また、災害などによりサプライヤーまたはサブサプライヤーの操業がストップし、原材料または基礎原料の供給が途絶えた場合には、当社グループの生産活動が阻害されることにより、業績に大きく影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの主要製品は、顧客が製品を製造する際の消耗部材や中間体、原材料、部品等と、インナーウエア等の最終消費財に大別されます。前者は、新型コロナウイルス等の感染症の拡大により、都市ロックダウン等の影響で顧客が生産を縮小・停止した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、後者は、主要な顧客である百貨店や量販店などが営業を縮小、停止した場合、売上高をはじめとした業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、リスク管理・運営に関する基本事項を定めた「リスク運営規則」および「危機管理規則」に基づき、社長を委員長とする危機管理委員会を設置し、リスクが発生した場合または発生が予見される場合にその影響を限定し、その損失を最小限にとどめ、通常機能を回復させるための対策を実施しています。具体的には、在宅勤務や国内外への出張制限、オフィスや生産現場でのソーシャルディスタンスの確保など、感染防止のための対策を実施しています。
当社グループは、土地や建物、製造設備等の有形固定資産、のれんやソフトウエア等の無形固定資産を保有しております。
主力の研磨材事業や化学工業品事業、第4の柱事業として基盤整備を進めている化成品事業において生産能力の増強などを目的とした設備投資を積極的に行う一方、生活衣料事業では事業環境の変化に対応するため、体質改善に向けた構造改革を進めております。そのため、生活衣料事業において不採算分野からの縮小撤退を行った場合には、減損損失を計上する可能性があります。
当連結会計年度の連結貸借対照表に計上されている有形固定資産及び無形固定資産37,850百万円のうち、生活衣料事業における有形固定資産及び無形固定資産は2,114百万円であります。
また、買収によって発生したのれんは、事業収益の著しい低下などに伴い、回収可能価額が大きく下落し帳簿価額を下回った場合には、減損損失を計上する可能性があります。
減損損失の認識及び測定にあたっては慎重に検討しておりますが、減損処理を行った場合、当社グループの財政状態、経営成績に悪影響を与える可能性があります。
気候変動に関するリスクは、中長期にわたり当社グループの事業活動に重要な影響を与える可能性があると認識しております。異常気象の激甚化に伴う操業停止や温暖化による原材料調達コストの上昇が生じ、当社グループの業績に、大きな影響を及ぼす可能性があります。さらに、温室効果ガス削減のための規制が強化され、炭素税の導入や低・脱炭素化を進めるための投資や費用の発生により、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに悪影響を与える可能性があります。
当社グループでは、気候変動といった将来の不確実性に対処することは、持続的な企業価値向上ならびに持続可能な地球環境の実現に資するものであると考え、TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures:気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に沿った情報開示を進め環境負荷の軽減に取り組むとともに、将来生じると予想される、気候変動に関するリスクを低減するための対策を実施しています。
当社グループは、長期の目指すべき姿として、「圧倒的なニッチナンバーワン企業」を掲げており、多様な人財がその能力を発揮できる環境を整備するとともに、多様な価値観、専門性を有した人財、すなわち女性人財やグローバル人財をも含めた高度な人財を確保することが重要と考えております。しかしながら、少子高齢化により人財獲得競争が激化し、事業運営に必要な人財確保が困難となり人財の育成を推進することができない場合には、事業活動の遂行に支障が生じ、当社グループの持続的な成長の阻害要因となる可能性があります。
そのため、当社グループでは、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)人的資本」で記載のとおり、人財の多様性を受容して「個を尊ぶ、和を育む」企業風土を創造し、ビジネススキルの習得や人間力形成といった人財育成に取り組み、様々な就業ニーズに対応できる環境整備を進めております。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益の改善や個人消費の持ち直しが見られ、景気は緩やかな回復基調となりました。しかしながら、米国新政権の関税政策変更、中東やウクライナに関連する地政学リスク、さらには円安傾向が続いた為替や原材料価格の高騰に伴う物価上昇など、依然として不透明な状況が続いています。
このような経営環境の下、当社グループは、2021年から2025年の5年間を計画期間とする中期経営計画『増強21-25』の基本戦略として、「事業ポートフォリオの改革」と「各事業の増強」に取り組んでいます。計画4年目となる当期においては、事業の柱である研磨材事業は、半導体市場の緩やかな回復を背景に、特にAI関連向け先端半導体の需要増加に支えられ増加基調を維持しました。また、化学工業品事業では、一部の機能性材料が堅調に推移したことに加え、電子材料を中心とした厳しい市況が底を打ち、回復傾向を示したため、全体として受注が増加しました。生活衣料事業は、国内での販売が減少傾向にあるものの、海外市場での需要が高まり、海外向け衣料品の売上は堅調に推移しました。
この結果、当連結会計年度の売上高は前年同期比6,804百万円(18.8%)増収の42,912百万円、営業利益は3,658百万円(129.8%)増益の6,476百万円、経常利益は3,398百万円(103.7%)増益の6,675百万円となりました。これに特別損益、法人税等を加減した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前年同期比2,359百万円(111.4%)増益の4,477百万円となりました。
セグメント別の経営成績は以下のとおりであります。
2023年前半に底を打った世界の半導体市場は、2024年に入り緩やかな回復が続いています。このような中、超精密加工用研磨材の半導体デバイス用途(CMP)は、生成AIの普及によるHBMなどのメモリや最先端ロジック向け半導体の需要の増加とそれに伴う一部ユーザーの在庫水準の引き上げにより受注が増加しました。シリコンウエハー用途は、汎用品用途の需要は弱いものの、先端品用途の需要は堅調で一定水準の売上を確保しました。ハードディスク用途はデータセンター向けの需要が戻り、液晶ガラス用途では期後半からTV需要の増加によってパネルの消費も加速しており、受注も回復しました。
この結果、売上高は前年同期比5,891百万円(43.9%)増収の19,307百万円となり、営業利益は3,641百万円(334.8%)増益の4,729百万円となりました。
機能性材料、医薬中間体および農薬中間体などの受託製造は、農薬関連で世界的な在庫調整が継続しているものの、半導体を含む電子材料市場の緩やかな拡大と在庫調整の一巡により需要が回復し、受注が堅調に推移しました。また、新規製品への取り組みが奏功し、工場の稼働は改善しました。
この結果、売上高は前年同期比955百万円(7.6%)増収の13,474百万円となり、営業利益は328百万円(37.0%)増益の1,217百万円となりました。
繊維素材は、物流費やエネルギーコストの高騰に加え、円安の影響を受けたことにより、厳しい環境が続きました。繊維製品は、量販店の店舗減少や消費者の節約志向の高まりにより苦戦しました。一方、ネット販売では、SNSや検索広告などのWebマーケティングを強化し、ネット専用製品を拡充することで、効果的な商品訴求を図りました。また、高品質な日本製品が評価され、海外向け販売は好調に推移しました。しかし、円安の進行に伴う原材料や資材の価格高騰が続いているため、利益面では粗利率が低下しました。
この結果、売上高は前年同期比14百万円(0.2%)増収の6,967百万円となり、営業利益は195百万円(25.0%)減益の586百万円となりました。
化成品部門は、医療機器用部品およびデジタルカメラ用部品の受注が堅調となり、前年比で増収となりました。金型部門は、自動車メーカーの品質不正問題、大手企業の経営統合の動きやEV化シフトの遅れにより、依然として不透明な状況が続いています。また、事務機器用金型が開発案件の端境期にあることや、車載コネクタやスマートフォン向けホットランナーの需要が低調であることから、厳しい状況が続きました。
この結果、売上高は前年同期比57百万円(1.8%)減収の3,162百万円となり、営業利益は116百万円(197.8%)減益の57百万円の損失となりました。
資産合計は前連結会計年度末に比べて4,096百万円増加の66,608百万円となりました。
流動資産は1,362百万円増加の25,052百万円となりましたが、これは現金及び預金や棚卸資産が減少しましたが、売上債権が増加したことなどによります。
固定資産は2,733百万円増加の41,556百万円となりましたが、これは研磨材事業や化学工業品事業における設備投資により有形固定資産が増加したことによります。
負債合計は前連結会計年度末に比べて609百万円増加の19,148百万円となりました。
流動負債は742百万円増加の12,499百万円、固定負債は132百万円減少の6,649百万円となりました。これは、長短借入金や設備関係支払手形などのその他流動負債が減少しましたが、仕入債務や未払法人税等が増加したことなどによります。
純資産合計は前連結会計年度末に比べて3,486百万円増加し、47,460百万円となりました。
これは、剰余金の配当による減少が1,304百万円あった一方で、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による増加が4,477百万円あったことなどによります。
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローにつきましては、売上債権の増加や法人税等の支払などがありましたが、税金等調整前当期純利益や減価償却費の計上などにより8,656百万円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローにつきましては、主として固定資産の取得による支出により、6,543百万円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローにつきましては、短期借入金の減少や配当金の支払などにより、2,360百万円の支出となりました。
この結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べて197百万円減少の8,048百万円となりました。
なお、キャッシュ・フロー関連指標の推移は次のとおりであります。
キャッシュ・フロー関連指標の推移
(注) 自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
1 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
2 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
3 営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については消去しておりません。
2 上記金額は有償受給取引における原材料等の仕入価格を含めた販売価格によるものであります。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間の取引については消去しておりません。
2 上記金額は有償受給取引における原材料等の仕入価格を含めた販売価格によるものであります。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間の取引については消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
流動資産は前連結会計年度末に比べて1,362百万円増加の25,052百万円となりました。これは現金及び預金や棚卸資産が減少しましたが、研磨材事業の回復により売上債権が増加したことなどによります。
固定資産は前連結会計年度末に比べて2,733百万円増加の41,556百万円となりました。有形固定資産は、研磨材事業及び化学工業品事業において設備投資を実施したことなどにより増加しました。無形固定資産については、のれんの償却により減少しました。
資産合計は前連結会計年度末に比べて4,096百万円増加の66,608百万円となりました。
セグメント別では、研磨材事業は2,763百万円増加の25,026百万円、化学工業品事業は2,335百万円増加の14,089百万円、生活衣料事業は41百万円減少の5,870百万円、その他の事業は501百万円減少の5,022百万円、各報告セグメントに配分していない全社資産などの調整額は458百万円減少の16,599百万円となりました。
流動負債は前連結会計年度末に比べて742百万円増加の12,499百万円となりました。これは短期借入金やその他に含まれる設備投資に係る負債が減少しましたが、仕入債務や未払法人税等が増加したことなどによります。
固定負債は前連結会計年度末に比べて132百万円減少の6,649百万円となりました。これは、長期借入金や退職給付に係る負債が減少したことなどによります。
負債合計は前連結会計年度末に比べて609百万円増加の19,148百万円となりました。
株主資本は剰余金の配当による減少が1,304百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が4,477百万円計上されたことなどにより、3,195百万円増加しました。
その他の包括利益累計額は、その他有価証券評価差額金や為替換算調整勘定の増加などにより、290百万円増加しました。
純資産合計は前連結会計年度末に比べて3,486百万円増加し、47,460百万円となりました。
当連結会計年度の売上高は前年同期比6,804百万円(18.8%)増収の42,912百万円、営業利益は3,658百万円(129.8%)増益の6,476百万円となりました。
半導体デバイス用途(CMP)は、生成AIの普及によるHBMなどのメモリや最先端ロジック向け半導体の需要の増加とそれに伴う一部ユーザーの在庫水準の引き上げにより受注が増加しました。シリコンウエハー用途は、汎用品用途の需要は弱いものの、先端品用途の需要は堅調で一定水準の売上を確保したことに加え、海外市場での需要が高まりました。液晶ガラス用途は、期後半からTV需要の増加によってパネルの消費も進み、ハードディスク用途もデータセンター向け需要が戻りつつあり、売上が増加しました。
機能性材料、医薬中間体および農薬中間体などの受託製造は、農薬関連で世界的な在庫調整が継続しているものの、半導体を含む電子材料市場の緩やかな拡大と在庫調整の一巡により需要が回復し、一部の機能性材料を中心に受注が堅調に推移しました。また、新規製品への取り組みが奏功し、工場の稼働は改善しました。
繊維素材は、物流費やエネルギーコストの高騰に加え、円安の影響を受けたことにより、厳しい環境が続きました。繊維製品は、量販店の店舗減少や消費者の節約志向の高まりにより苦戦しました。一方、ネット販売では、SNSや検索広告などのWebマーケティングを強化し、ネット専用製品を拡充することで、効果的な商品訴求を図りました。また、高品質な日本製品が評価され、海外向け販売は好調に推移しました。しかし、円安の進行に伴う原材料や資材の価格高騰が続いているため、利益面では粗利率が低下しました。
その他の事業では、化成品部門は、医療機器用部品およびデジタルカメラ用部品の受注が堅調となり、前年比で増収となりました。金型部門は、自動車メーカーの品質不正問題、大手企業の経営統合の動きやEV化シフトの遅れにより、依然として不透明な状況が続いています。また、事務機器用金型が開発案件の端境期にあることや、車載コネクタやスマートフォン向けホットランナーの需要が低調であることから、厳しい状況が続きました。利益については、次世代事業の開発費の増加やのれん償却費等の発生もあり、減益となりました。
セグメント別の売上高・営業利益については「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」に記載のとおりであります。
営業外収益は、前年同期比233百万円(34.1%)減少の449百万円となりました。これは、前連結会計年度に化学工業品事業において工場増設による補助金が発生したことなどによります。営業外費用は固定資産賃貸費用や為替差損が増加したことにより、前年同期比26百万円(12.0%)増加の250百万円となりました。この結果、経常利益は前年同期比3,398百万円(103.7%)増益の6,675百万円となりました。
特別利益は固定資産売却益や有価証券売却益などを計上し、214百万円となりました。特別損失は固定資産処分損109百万円や減損損失141百万円などを計上し、251百万円となりました。
これから法人税等を差し引いた結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前年同期比2,359百万円(111.4%)増益の4,477百万円となりました。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、IT業界の景気状況や競合他社の状況、法的規制などがあります。詳細については「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当社グループは、2021年度から2025年度を計画期間とする中期経営計画『増強21-25』を策定し、2021年4月よりこれを実行しています。中期経営計画『増強21-25』では、2025年度の連結業績目標を売上高600億円、営業利益100億円、営業利益率16.7%、ROE10%以上、ROIC10%以上、自己資本比率65%以上としております。
営業活動によるキャッシュ・フローは、8,656百万円の収入となりました(前年同期比3,669百万円収入増)。法人税等の支払768百万円、売上債権の増加1,399百万円などがありましたが、税金等調整前当期純利益が6,638百万円、減価償却費が3,382百万円計上されたことなどによります。
投資活動によるキャッシュ・フローは6,543百万円の支出となりました(前年同期比3,449百万円支出増)。これは主として研磨材事業や化学工業事業を中心とした設備投資を実施したことなどによります。
財務活動によるキャッシュ・フローは2,360百万円の支出となりました(前年同期比573百万円支出増)。これは、配当金1,299百万円の支払や、長短借入金1,007百万円返済したことなどによります。
資本の財源及び資金の流動性につきましては、主として営業活動によるキャッシュ・フロー及び銀行等金融機関からの借入により資金を調達しております。また、複数の金融機関とコミットメントライン契約を締結し、流動性を補完しております。当社グループの運転資金需要の主なものは、商品・原材料の仕入、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資資金需要の主なものは、設備投資、M&A等であります。なお、重要な設備投資の予定につきましては、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画 (1)重要な設備の新設等」に記載のとおりであります。
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成にあたり、特に以下の事項は経営成績等に重要な影響を及ぼすと考えております。その他の重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損損失の認識及び測定にあたっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。
当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
技術受入契約
(注) 上記契約については、売上高に基づきロイヤルティを支払っております。
当連結会計年度の研究開発活動は、研磨材事業等の分野で、製造・販売・研究一体体制の下、新規製品開発のための研究開発活動、製品品質の改良等を長期的視野にたって推進しております。
当連結会計年度は、研究開発費として
超精密加工用研磨材関連では、半導体デバイス、シリコンウエハー、液晶ガラス、ハードディスク等研磨材の開発を推進しております。
研究開発費の金額は、
機能性繊維の開発を推進しております。
研究開発費の金額は、
印刷方式による圧電センサー及びその回路形成、アルゴリズムの開発、新素材の成形方法の開発を推進しております。
研究開発費の金額は、