第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針・経営戦略等

当社は、1954年(昭和29年)の設立以来「技術革新」をコンセプトとし、事業活動を通して社会に貢献したいとする経営理念のもと、つねに患者さんのQOL(クオリティ・オブ・ライフ)の向上や医療現場の課題などのユーザーニーズに応える製品開発を推進しております。製品競争力・市場シェアともに世界トップを目指し、「地産地消」のコンセプトのもと、グローバルに事業展開を行っております。当社グループは、医療現場におけるニーズ、シーズを積極的に捉えながら、現場の要望に応える商品開発を行いつつ、製造工程の改善によって製品の生産能力を高め、品質の安定とコスト競争力のある製品を提供することによってグローバル市場でシェアを獲得し、販売を拡大することを基本戦略としてまいりました。また、医療、医薬、医薬用包装材料(ファーマパッケージング)の3事業にまたがる当社内の独自技術やその他の経営資源を有効に活用して、ユーザー目線に立ったより安全性の高い価値ある製品の開発に取り組んでおります。ますます先行きが不透明な今の状況においても、製品競争力、市場シェアともに世界トップを目指し、「地産地消」のコンセプトのもとにグローバルで存在感のある企業グループへ発展し、全世界的に総合医療メーカーとしての供給責任を果たしてまいります。

医療関連事業(国内)につきましては、各領域において新規販路の開拓を推進し、シェア拡大を図ります。製品ラインナップの整理による生産効率の向上、安定生産・安定供給体制の強化にも取り組みます。また、医療従事者の働き方改革やオンライン診療・服薬指導に資するシステムの提案を通じて、医療DXを推進し、地域医療への貢献を目指します。

後発医薬品事業につきましては、安定供給を使命とし、患者さん目線を基本理念に、品質確保と安定供給に真摯に取り組みます。重点卸との連携を強化し、医療機関・調剤薬局での活動を通じて、患者さんへの貢献を継続します。

医療関連事業(海外)につきましては、学術活動や技術営業を通じて基幹商品の価値とサービスを高め、患者さん・医療従事者への付加価値を創出し、収益性の向上を図ります。

商品戦略

商品別販売組織の強化と新規治療分野への展開により、売上高拡大と付加価値の向上を目指します。

バスキュラー商品:新年度より組織体制を明確化・強化。

感染対策商品(イオンレス®次亜塩素酸水):現地生産体制を拡大し、販売強化を推進。

地域戦略

米州:新たな透析治療領域の提案により、ワンストップソリューションの提供を強化し、市場シェアの拡大を図ります。

アジアパシフィック:ブランド強化と付加価値商品の販売への転換を推進。

中南米・アジア:自社透析センターでの高品質な治療提供とショールーム化による差別化を継続。

グローバル:製品開発からサービス提供までのエコシステムを確立・強化し、世界の医療サービス向上に貢献。

その他

〇市場動向と変化

新型コロナウイルス感染症の影響により透析市場は一時的に縮小しましたが、当社は安定生産体制の構築や新製品投入を進めてまいりました。2026年3月期は、ダイアライザのラインナップ拡充や高機能透析装置のフルモデルチェンジ、米国大手透析プロバイダーとの契約更新など、飛躍の年となる見込みです。

〇NephroFlow™

透析装置の情報管理システム「NephroFlow™」を販売開始。クラウド型で装置間通信を可能とし、業務の安定化を支援。世界各地への展開を進め、QOL向上と透析センターの経営健全化に寄与します。

〇バスキュラー事業

将来性のある分野として本格展開を開始。2026年3月期には、国内で高評価を得ているスコアリングバルーンの導入、米国での臨床担当者増員、KOLとのネットワーク構築を進め、成長を加速します。

〇アフリカ事業

人口12億人を擁する有望市場として、7か国9拠点を展開。2026年3月期にはエジプト新拠点開設、ケニア拠点の法人化を予定。EMEA地域としての統括体制を強化し、欧州リソースの活用を進めます。

 

医薬関連事業につきましては、供給不安への対応として、近江工場およびベトナム工場の新製造サイトから抗菌薬の早期出荷を進めます。基礎的医薬品や安定確保医薬品の製造に注力し、先発メーカーとの連携による海外展開も視野に入れた体制を構築します。

 

ファーマパッケージング事業につきましては、バイオ医薬品対応の高機能容器の供給体制を整備し、シェア確立を目指します。地産地消を基本理念とし、低コスト・高品質な製品供給体制を構築。「One Stop Solution」として、研究開発から投与までを支える製品群を提供します。

再生医療等製品につきましては、条件及び期限付承認に基づく使用成績比較調査を通じて本承認取得を目指し、国内外での適応拡大に取り組みます。

 

(2) 目標とする経営指標

当社は、2030年度に連結売上高1兆円の達成を目指し、製品開発および成長投資を積極的に継続してまいりました。今後も事業の価値を高め成長に挑戦しますが一方、円安の継続、世界的なインフレーション、物流費の高騰など、外部環境の変化に対応するためには、財務基盤の強化と利益体質への転換も不可欠です。

そのために、営業利益率の向上、フリーキャッシュ・フローの改善、債務償還年数の短縮を図ります。

具体的には、以下の3点に重点を置き、2027年度までに以下の経営指標の達成を目指します。

・海外では市場シェアの拡大、国内では収益基盤の強化により、売上高成長と利益率改善の両立を図ります。

・利益確保に加え、運転資本の改善と投資額の適正化を通じてキャッシュ・フロー重視の経営を推進し、財務健全化を加速します。

・投資に伴うリスクマネジメントを強化し、経営資源投入の選択と集中を実行します。

成長性

売上高成長率 年平均6%以上

収益性

営業利益率 7%以上

財務健全性

純有利子負債/EBITDA倍率 4倍未満

資産効率

ROE(自己資本利益率) 10%以上

 

また、2030年度に向けた新中期経営計画における経営方針と重点課題は、次のとおりであります。

経営方針

未来に向けて、世界の人々の健康を支える商品・技術・事業の創造と革新を通じて社会に貢献し、自己実現を図る。

重点課題

① 売上単価の向上と営業利益率9%以上の実現

② 全商品における改良・品揃え・DX化による競争力強化

③ 生産の自動化、全自動検査・全数全自動化の推進

④ 事務・物流・生産のDX化による効率化と省力化

⑤ 成果に応じた専門職への適切な評価と処遇

⑥ 意欲ある人材にチャンスを与える企業文化の継続

⑦ 危機管理の徹底と自然災害・人災への備え

⑧ PDCAの情報共有の徹底

⑨ 「三方良し」「地産地消」の理念の堅持

優先順位は、売上高より営業利益、営業利益より全自動化、全自動化より危機管理、危機管理よりコンプライアンス。

強化項目

① ダイアライザを中心とした透析商品の安定供給

② バスキュラー商品の生産性向上とグローバル展開

③ 赤字商品の黒字化

④ 開発商品の早期事業化と市場導入の促進

⑤ 全商品における品揃え・システム化・DX化の推進と、技術営業力強化による競争力向上

 

当社グループは、引き続きユーザー目線に立った新商品・新技術の開発を進め、技術革新を通じて社会に貢献する事業展開を継続し、医療関連・医薬関連・ファーマパッケージングの各事業において着実な成長を目指します。

 

(3) 経営環境および対処すべき課題

医療機器および医薬品業界は、人々の生命や健康に直接係わる事業を展開していることから、メーカーにあっては高品質の製品を安定的に供給することが最大の使命です。昨今の世界的なインフレトレンドは製造コストの急騰を招来し、適正価格での供給を困難にしております。また国内の薬価制度や中国の集中購買制度に代表される医療費抑制策は世界的な潮流となっています。受注の増加に対応するとともに生産効率を向上させることで、如何にコスト競争力を確保して行くかがグループ横断的な課題です。

供給面については、国内のジェネリック医薬品業界が供給不安問題を依然抱えているほか、輸出ビジネスにおいては紛争やパンデミックによる物流リスクが払拭できません。適時適切に製品を供給するとともに製品在庫を含めたコスト面においても費用対効果に優れたサプライチェーンマネジメントの構築が喫緊の課題です。

 

最後に品質の向上と確保ですが、引き続き品質最優先の社内風土づくりの推進、ハード、ソフト両面における品質保証システムの継続的改善に取り組んでまいります。各事業における具体的な内容は以下の通りです。

医療関連の国内事業におきましては、メディカル営業部門では、各領域において、市場ニーズ・シーズに応えられる製品の開発及び積極的な市場展開、販売強化を行い、業績拡大の取り組みを継続してまいります。また、昨今の原材料や人件費、物流費用等の高騰に対しては、製品の原材料の見直し、生産性の向上、物流の効率化など、徹底したコスト削減をすると共に、継続的な安定生産、安定供給を果たして行く為にも適正価格販売を推進してまいります。さらに、医療従事者の働き方改革をDXで支えるニプロ総合医療ネットワークシステムを普及してまいります。医薬営業部門では、毎年の薬価改定と原材料の高騰により後発医薬品業界はもちろん、製薬業界全体が非常に厳しい経営環境となるなか、適正価格販売により薬価維持に努め、適正利益を確保しつつ設備投資を行い、安定供給に努めてまいります。

医療関連の海外事業におきましては、これまで築いたグローバル製造・販売組織全体をエコシステムとして捉え、さらにリーガルマニュファクチャラーの活動と協働しながら品質と安全性、効率化によるコストダウンによって医療社会への貢献度を高める責務があると認識しております。

医薬関連事業におきましては、国内では昨今、多くの医薬品の供給不安が続く環境にあり、医薬品の安定供給を対処すべき課題と捉えています。

この課題に対応するために、新規の生産サイトの設立や既存サイトの生産体制の強化に取り組んでまいります。

このような取り組みを進めるためにはコストを要しますが、新薬の受託製造案件の獲得や、基礎的医薬品や安定確保医薬品といった医療上の必要性の高い医薬品の生産に注力することにより、必要な利益を確保いたします。また、安定供給を行うために必要な設備投資については、厚生労働省等からの補助金を活用しながら進めてまいります。さらに、BCPの観点からは、災害時にも医薬品の安定供給を継続させるために複数の生産サイトでの製造を行うことや、海外での生産も視野に入れます。

高成長を続ける海外市場への展開という課題に対しては、先発医薬品メーカーと提携することによって、海外に通用する工場を設立し、新規受託品目の欧米市場への出荷を目指してまいります。

ファーマパッケージング事業におきましては、バイオ医薬品やワクチンを中心とした注射剤の開発が全世界規模で今後ますます拡大することが予想されますので、それらに対応した製品の開発と供給を行うことが第一の課題となります。日本国内におきましては今後ますます高齢化が進むと同時に医療従事者の減少が深刻な問題となってまいります。それに伴い在宅医療化が進んでいくことになると、注射剤の自己投与システム等、安全で正確な薬剤投与が医療従事者以外に求められることとなります。これらの製品を患者さん目線、あるいは医療従事者の目線で開発し、供給していくことがさらなる課題となります。同グループ内に医療機器、医薬品の製造販売の機能を有し、医療従事者の皆様や患者さんと医薬品メーカーの間に立って医薬品容器を含めた様々なニーズを吸収し、各事業のノウハウを駆使してそれらを満足する製品の提供ができるのは当社を置いて他にありません。その責任を十分に果たすため、各国でますます増大する医療費抑制のニーズにこたえるためにも、より機能的で品質の良い製品をより安く提供していくことも我々の対処するべきもう一つの課題となります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

(1) サステナビリティ経営

当社グループは、「未来に向かって、世界の人々の健康を支え、医療ニーズに応える商品、技術および事業の創造革新を行い、社会に貢献し、自己実現を図る」という経営理念に基づき、真にグローバルな総合医療メーカーとして、サステナビリティ経営の推進に取り組んでおります。

当社グループのサステナビリティ経営に関する考え方および取り組みは、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

ガバナンス

当社グループは、事業を通じたあらゆる社会的課題の解決に向け、サステナビリティ経営の推進に取り組むべく、体制強化を図っており、代表取締役社長 佐野嘉彦が当社グループにおけるサステナビリティ経営に関する総括責任者となっており、経営判断の最高責任者として、気候変動関連事項を取締役会などの機関決定において責任を有しております。

また、サステナビリティ経営に関する取り組みの最高サステナビリティ責任者(以下「CSO」という。)を任命し、推進体制の強化を図っております。現在のCSOはニプロ株式会社専務取締役管理統括経営企画本部長 余語岳仁が担当しております。CSOは、当社グループのサステナビリティ経営の課題に対応するサステナビリティ委員会の委員長を担い、各事業部門におけるサステナビリティ経営に関する活動を統括管理しております。

サステナビリティ委員会は、さらに「環境委員会」、「ソーシャル委員会」、「ガバナンス委員会」に区分され、ESGの取り組みの管理・推進を行っております。

管理・推進状況については四半期に一度以上の頻度で取締役会の審議事項として上程され、戦略の審議および指導、KPI設定およびその進捗管理などを審議し、その内容は各委員会を通じて各事業部に還元される体制としております。


 

リスク管理

当社グループでは、「コンプライアンス推進管理規程」、「防災管理規程」を策定し、事業に大きな影響を与えうる経営上のリスクを的確に把握し、適切な企業経営に努めております。また、想定されるリスクが一定額を超過する場合には都度取締役会に上程され、迅速にリスク管理の経営意思決定を行っております。

 

(2) 気候変動への対応

当社グループは、気候変動を事業継続に大きな影響を及ぼす重要な課題であると認識しております。気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に賛同し、TCFDのフレームワークに沿った情報開示の拡充を進めております。

ガバナンス

気候変動に関するガバナンスについては、サステナビリティ経営で掲げるガバナンスに包括されております。詳細については「(1)サステナビリティ経営 ガバナンス」をご参照ください。

戦略

当社グループにおける気候変動の影響は、今後社会がカーボンニュートラルに向け変遷する過程で生じる政治的な影響や新技術の確立、市場ニーズの変化などによる「移行」に関わるものと、地球温暖化が進行することによって生じる異常気象の多発やそれに伴う災害の発生、平均気温上昇などの「物理的変化」によるものに大別されます。

当社グループは総合医療メーカーであり、これらの影響を各事業部門の観点から分析し、リスク・機会についてそれぞれ特定を行い事業戦略に組み込んでおります。

・気候関連リスク

分類

リスク項目

事業への影響

影響度・時期

対策

移行リスク

(1.5℃

シナリオ)

炭素価格の上昇

炭素税導入・強化により工場や事業所のエネルギーコスト・原材料のコストが増加する

大・中期

操業に伴う温室効果ガス(以下、「GHG」)排出量の多い生産拠点のGHG排出量削減に向けて、省エネルギー対策の実施および再生可能エネルギーの使用を推進する

環境意識の高まりによる顧客行動の変化

環境配慮製品の供給要望が高まった際に、代替素材への移行が困難な場合の販売機会の喪失/需要減少によって売上高が減少する

中・長期

既存製品の小型・軽量化や製造過程の効率化によるGHG排出量削減を進めており、一部製品では品質確保のうえでの包装材簡素化や包装材の低炭素素材への切り替えなどを実施。今後も環境配慮素材を取り入れた製品の開発や製品包装材における低炭素素材の利用も検討を進める

物理的リスク

(4℃シナリオ)

異常気象による災害の発生

異常気象に伴う災害発生が増加した際、生産設備の被災・物流の混乱・材料供給の停滞等が要因で供給量が減少する

大・長期

異常気象を想定したBCPの策定・維持・管理を実施。様々な災害リスクへの体制を加味したうえで生産拠点の建設や各拠点での災害対策(自家発電設備の保有、燃料・食料の備蓄、原材料の在庫確保等)を行っている

 

・気候関連機会

分類

機会項目

事業への影響

影響度・時期

対策

資源の効率

効率的な物流プロセスによる間接費の削減

物量と物流プロセスのコントロール強化によるコスト削減や、輸送効率・品質向上の機会につながる

中・中期

国内外での物流経路や運賃の見直し、物流拠点の適正配置、在庫量の適正化を行う

在庫量適正化は保管料や輸送費の削減のみならず、廃棄処分量の削減にも寄与する

製品および

サービス

消費者の需要に対応する供給量増加

気候変動に伴う新たな感染症の発生や長期的な疾患動向の変化に起因する消費者の感染予防への関心/需要の高まりに対応する製品の提供機会が増加する

大・長期

関連製品の需要拡大時に医療現場への供給責任を果たすべく、迅速な増産体制の構築、および必要と判断した品目の在庫水準をその他製品より厚く設定して世界的な需要拡大に対応した製品の供給を行う

製品および

サービス

環境意識の高まりに対応する製品群の需要増加

移動に伴うGHGを排出しない在宅療法の需要が高まり、在宅療法関連製品の売上増加につながる

小・長期

顧客の声を収集しながら、研究開発を推進する

 

 

 

リスク管理

気候変動に関するリスク管理については、サステナビリティ経営で掲げるリスク管理に包括されております。詳細については「(1)サステナビリティ経営 リスク管理」をご参照ください。

指標と目標

当社グループは、GHG排出量(単位:t-CO2)を、気候変動に関するリスクを評価・管理するための指標として定めております。また、GHG排出量の削減を推進するために、2045年までにScope1・2においてネットゼロ達成を目指し、その中間目標として2030年までにScope1・2において2021年比37.8%削減を目指しております。直近の主な削減事例としては、ニプロファーマ株式会社(日本)の大館工場において、化石燃料の代わりに、間伐材チップを燃焼する「バイオマスボイラー」から生成する蒸気を生産工程で活用しております。また、Scope1・2の排出量削減には再生可能エネルギーや非化石証書などを活用しております。なお、GHG排出量については第三者保証を取得しております。

また、気候変動に関するその他の取り組みは以下のとおりであります。

サプライチェーン管理

当社グループは、多数の国・地域で製造・販売を行っており、グローバルなサプライチェーンを展開しております。ビジネスのグローバル化に伴い、当社だけでなく、取引先との協働および管理体制の構築が不可欠となり、取引先への働きかけを実施しております。気候変動についてはサプライチェーン全体でのGHG削減に向けて、取引先由来のGHG排出量(Scope3)の算定に注力しており、今後は取引先との協働も進めていく予定です。「パートナーシップ構築宣言」と「サプライヤーさまへのお願い」を制定し、環境・人権課題等も踏まえたサプライチェーン全体での付加価値向上に邁進いたします。

リサイクル

当社グループの製品は、様々な資源を使い生み出されています。限りある資源を効率的に活用するとともに、持続可能な循環型社会の実現が求められております。廃棄物の環境に及ぼす影響を最小化するために、当グループでは製造過程で生じる産業廃棄物を焼却炉で燃やす際に発生する熱を発電や温水などに再利用するほか、産業廃棄物の減量化を図っており、包材のリサイクル率から向上させるべく検討を開始しております。

 

(3) 人的資本・多様性

戦略

ニプログループでは、「意欲:willingness」を社是としており、すべての活動に「意欲」をもって取り組むことを従業員の行動の基本としております。意欲ある、すべての人材にチャンスを与える社風を守るため、あらゆる背景を持った従業員ひとりひとりが自己実現を図ることのできるよう、環境を整備していくことを目標として、実践しております。

① 人材育成方針

意欲ある人材を登用していくため、2017年に刷新した人事制度においては、昇進・昇格の基準を明確化し、能力によっては年齢にかかわらず課長、部長に登用できる仕組みを構築し、従業員全体の意欲向上に効果を発揮しております。また、自らのニプログループにおけるキャリア形成を見据えたうえで人事異動に手を上げることのできる社内公募制度も、今後さらに拡充していきます。

ボーダーレス時代において、80億人の世界市場に果断に向かっていくには、日本語以外の言語能力を獲得することが必要不可欠になっています。そのため、選抜された従業員に対しては英語を中心とした言語教育プログラムを提供し、語学力を高める機会を創出しています。

また、体系的な各種階層別研修、キャリア研修、自己啓発支援制度等に加え、昨年度に引き続き、エンゲージメントの向上および心理的安全性の高い職場環境整備を目指すため、「マネジメント強化」を重点課題と位置づけ、全ての管理職に対する360度フィードバックを継続して実施するとともに、選抜型のリーダートレーニングプログラムを導入しました。更に若手社員のフォロー強化として成長促進やサポートに繋がる取り組みも新たに導入するなど、引き続き、全レイヤーの従業員が活き活きと働ける組織づくりを目指してまいります。

 

② 社内環境整備方針

ニプログループでは働く人の行動指針として、FISH哲学を推進しています。FISH哲学とは「態度を選ぶ」「仕事を楽しむ」「注意を向ける」「人を喜ばせる」という4つの基本マインドであり、その考え方を意識することで「意欲的に働こう」という気持ちを湧き立たせ、さらに周りの人間も巻き込んで働きやすい活気のある職場環境にしようという考え方です。このFISH哲学はニプログループで全社的に推進されており、社内イベントとして各事業所・工場などのFISH活動を紹介・表彰する「FISHフェスティバル・FISHアワード」が開催されています。こうした取り組みにより、さらなるFISH哲学の浸透と、従業員のコミュニケーションの円滑化、職場環境の向上を図っています。

2023年3月に竣工した新本社屋においては、FISH哲学を意識した『出会う 繋がる 創造する』というコンセプトを掲げ、共創スペース、リラクゼーションルームなど、従業員のコミュニケーションをさらに活性化させる仕掛けをふんだんに用意いたしました。

また、従業員が心身共に健康でウェルビーイングに過ごせる状態を目指して、一人ひとりの業務状況・就業環境・健康状態・キャリア意向・スキル・会社への意見等を受け止め、環境改善やキャリア形成支援に繋げていくためのウェルビーイングレポート調査を導入しました。今後も、従業員に寄り添い、意欲をもった従業員一人ひとりが、長くその力を発揮し続けられるよう、必要な環境を整備してまいります。

 

③ 健康経営方針

ニプロでは、「世界の人々の健康を支える」という経営理念のもと、人々の健康寿命の延伸を企業目標の一つとして掲げております。この目標の達成に向けては、従業員自身の健康保持・増進も極めて重要であるとの認識のもと、健康経営の推進に取り組んでおります。当社では、CHO(最高健康責任者)の指揮のもと、専任部署を設置するとともに、健康経営推進委員会を組織しており、同委員会には、各事業部から選出されたメンバーも参画し、多様な健康課題に対する施策の企画・実施を行っています。中でも、重点課題として位置付けている「禁煙」「メンタルヘルス」「職場の活性化」に関しては、敷地内の全面禁煙化の推進や、禁煙チャレンジイベントの実施、従業員の健康リテラシー向上を目的とした研修・セミナーの開催、さらにはオンラインリワークプログラムの導入など、包括的な取り組みを展開しております。

指標と目標

当社グループでは、上記「戦略」において記載した、人的資本に関する方針及び戦略について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は次のとおりであります。

なお、当社においては関連する指標のデータ管理とともに具体的な取り組みが行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われていないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、指標に関する目標及び実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。

指標

目標

2022年度

2023年度

2024年度

達成年度

従業員ワークエンゲージメント(注)1

55.0

51.1

48.3

48.8

2027年度

従業員10年定着率(注)2

80.0

70.1%

70.1%

65.2

2030年度

女性管理職比率(注)3

10.0

4.8%

5.5%

6.3

2027年度

従業員喫煙率(注)4

15.0

21.6%

22.5%

21.7

2027年度

 

(注) 1 従業員ワークエンゲージメントは、従業員個人の仕事に対するポジティブな心理状態を表し、偏差値で示しております。なお、本調査における製造業全体の平均値は48.7、最も数値の高い企業で51.8となっております。2023年度調査対象範囲に変更が発生しています。

2 従業員10年定着率は、同一年度入社者(新卒・中途含む)のうち10年後に在籍している割合を示しております。

3 管理職全体に占める女性の割合を示しております。

4 年に一度実施している生活習慣のアンケート結果を元に算出しております。

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 原材料の調達に関するリスク

当社グループは数々の供給者から事業に使用する材料、部品などを仕入れており、重要な部材の中には一社からしか入手できないものや、供給者が限定されるものがあります。当社グループは、継続して市場に製品を供給し続けるため、材料・部品の長期安定供給を受けるための努力を行っておりますが、受け続けられるかどうかは、当社グループが制御できないものを含め、需要の急増に伴う供給不足、供給先からの供給遅延および供給停止等、多くの要因による影響を受けます。また、当社グループの製品には、プラスチックなどの石油化学製品を原料とするものがあり、石油化学製品等原材料の価格高騰により調達コストが増加する場合があります。このような事態が発生し、当社グループの生産活動に影響を及ぼし、顧客への製品の納入や品質確保に支障をきたす場合には、経営成績や財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは様々な品種や産地などの原材料を分散調達することによって、安定した数量を確保し、主要製品の生産場所の複数化を進めてまいります。

(2) 販売価格の変動に関するリスク

当社グループの販売する製品には、国内においては診療報酬、薬価および保険医療材料の償還価格の引下げの影響を受ける製品があります。また、世界的にも医療費抑制策は浸透されており、これらに起因して市場における企業間競争が激化し、販売価格が想定を超えて下落し、当社グループの経営成績および財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは生産能力の拡充、安定供給体制を確保することによって、製造コストの抜本的な削減を実現し、利益の確保に努めてまいります。

(3) 医療行政の変更に関するリスク

当社グループの属する業界は、医療制度に密接に関連しており、医療保険制度や医薬品医療機器等法(旧薬事法)などの行政機関の規制を受けております。今後、医療行政において予測できない大改革が行われ、その環境変化に対応できない場合には、当社グループの経営成績や財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは積極的な研究開発活動のもと、新商品、新技術の開発を進め、医療業界における環境変化にも対応してまいります。

(4) 訴訟に関するリスク

当社グループの事業または製品が、他人の特許等の存在を知らないで使用したことによる知的財産権侵害などを理由とした訴訟の対象とされる可能性があるほか、当社グループの製品によって損害を与え、このために訴訟等を提起される可能性もあり、その訴訟等の内容によっては、多額の損害賠償を要求され、当社グループの経営成績および財政状態に重要な影響を与える可能性があります。

(5) 知的財産に関するリスク

当社グループは自社が製造する製品に関する特許および商標を多数保有し、権利を多数取得しており、また第三者の特許や独占権の侵害、技術に関して締結したライセンス契約についても違反などを回避すべく万全を期しておりますが、意図せぬ第三者からの損害賠償を請求され、当社グループの抗弁が退けられた場合には、経営成績や財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは当社製品に採用される技術を特許出願により確実に保護するとともに、他社による権利侵害が持続しないように対処しております。また、技術開発・製品設計プロセスの複数段階で調査を実施し、第三者の知的財産を侵害しないよう努めております。

(6) 製品の安全性に関するリスク

当社グループは医療機器および医薬品の設計、開発、製造段階で、製品の安全性の確保について全力を上げて取り組んでおりますが、使用時の偶発的な不具合や副作用などにより、他者に損害を与え賠償責任を請求されるリスクがあります。

従いまして、これらのリスクに対応すべく、賠償責任や製造物責任についての保険契約を締結しておりますが、万一保険範囲を超える請求が認められた場合には、経営成績および財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

当社グループでは独自の品質基準を設け製品の品質・安全性の向上に取り組むとともに、関連法規の遵守に努めております。

(7) 為替変動に関するリスク

当社グループでは海外子会社を含め、主に米ドルおよびユーロ等の外貨建取引を行っており、当連結会計年度における海外売上高の割合51.2%となっております。従って、為替レートの変動により、当社グループの経営成績および財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは一部の外貨建輸出債権を対象とした為替予約によるリスクヘッジを実施し影響を最小限にするよう取り組んでおります。

(8) 資金調達に関するリスク

当社グループは、事業資金・投融資資金を金融機関からの借入または社債・コマーシャルペーパーの発行等により調達しております。金融市場の混乱や、金融機関が貸出を圧縮した場合、また、格付会社による当社の信用格付の大幅な引下げ等の事態が生じた場合、当社グループは、必要な資金を必要な時期に、希望する条件で調達できない等、資金調達が制約されるとともに、調達コストが増加する可能性があり、当社グループの経営成績および財政状態に悪影響を与える可能性があります。また、金融機関からの借入の一部には、財務制限条項が付されているものがあり、当該条項に抵触し、期限の利益を喪失した場合等には、当社グループの資金繰り等に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは事業資金の効率的かつ安定的な調達を図るため、複数の金融機関とコミットメントライン契約を締結することで、資金調達の確保に努めております。

(9) 投資価値に関するリスク

当社グループの資産には、株式などへの投資が含まれており、これらは各証券の発行者との良好な事業関係を築くことや、新製品の開発、新規事業機会に関する有益な情報を収集することなどを目的としておりますが、これらの投資が株式市場などの下落や発行者の状況あるいはこうした投資についての会計処理方法の変更などにより投資価値が大幅に減少した場合には、経営成績や財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

なお、当連結会計年度末現在の投資有価証券の連結貸借対照表計上額は15,287百万円となっております。

(10) M&Aおよび業務提携等に関するリスク

当社グループは、M&Aや業務提携等を通じた事業基盤の強化に取り組んでおります。これらを実行するにあたっては、対象企業の入念な調査、検討を行いますが、未認識債務の判明等や事業の展開等が計画どおりに進まない場合、当社グループの経営成績や財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは対象企業の経営計画に対する精緻な精査、経営状況および市場環境に対するモニタリングに努めております。

(11) 個人情報の管理に関するリスク

当社グループが保有する個人情報の保護については厳重な方策を講じて機密を守っておりますが、万一不測の事故および事件により個人情報が外部に漏洩することになった場合には、当社グループの信用や得意先を失い、経営成績や財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは情報管理に係る規則を定め厳格な運用を行うとともに、必要と思われるシステム対策を講じております。

(12) 感染症の流行に関するリスク

当社グループは、大規模な感染症の流行により、経済活動が制限され、サプライチェーンの分断、工場の生産停止、急激な需要の減少等が発生した場合、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは感染拡大防止への対策として、マスク、消毒液等必要な感染拡大防止用品の備蓄や、時差出勤、在宅勤務等の実施、リモートワークツール等の積極的な活用により、業務を継続できる環境を確保しております。

(13) その他のリスク

当社グループが事業展開している地域や事業所で予期せぬ火災、地震、テロ、戦争、疫病、環境問題、法規制等の変更や政治的・経済的変動等が発生した場合、生産、販売、物流、サービスの提供などが遅延したり停止したりする可能性があり、これらの遅延や停止期間が長期化した場合には、経営成績および財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における経済情勢は、欧米のインフレの鈍化と金利低下、貿易摩擦の激化による中国経済の先行き懸念、ウクライナや中東を巡る地政学的リスクを内包しながらの遷移となりました。わが国経済においては、雇用情勢や所得環境の改善、インバウンド需要の拡大等を背景に、緩やかな回復が見られました。他方で製造コストの高騰や政策金利の引き上げに加え、トランプ政権による関税政策への懸念など、先行きは不透明感な状況が続きました。

このような環境の下、当社グループは患者さんや医療従事者の方の目線に立脚し、医療関連、医薬関連、ファーマパッケージング、それぞれの事業で培った技術やソリューションを最適な形態で提供することを通じ、世界中の人々の「健康でありたい」という願いの実現に注力してまいりました。

当連結会計年度の連結売上高は、医療関連、医薬関連、ファーマパッケージング、いずれの事業においても増収となりました。国内市場では、販売価格の適正化に加え、顧客ニーズにきめ細やかに対応したことで出荷量が伸長しました。また新規製造ラインの稼働が生産量、引いては販売の増加に寄与しました。海外市場においては、重点市場に対し積極的なプロモーションを展開、旺盛な需要を取り込んだことから、各地域における販売は堅調に推移しました。これらにより、連結売上高は前期比9.9%増加6,445億86百万円となりました。

生産活動においては、原材料や労務費単価の上昇が継続する中、生産効率の改善や操業度の向上を通じて、単位当たり製造コストの低減に取り組みました。併せて、市場の需要を見据えた生産能力の増強にも引き続き尽力しました。加えてジェネリック医薬品については、安定供給体制の強化に向け製品在庫の確保に努めたほか、販売子会社の統合を控えた準備活動を推進しました。これらに関して未実現利益の控除処理や関連費用の計上が発生しております。

また、販売費及び一般管理費においては、運送費の高騰による影響に加え、海外事業拡大に伴う販売拠点の人員増強や関連費用の発生、医薬品製造工場に係る操業準備費用の計上等により増加しました。

以上から、営業利益は前期比19.1%増加265億98百万円となりました。事業別では、ファーマパッケージング事業の下半期における市中在庫の過剰による需要の急減速があったものの、積極的な海外展開が奏功した医療関連事業のほか、増産体制構築の下、低コスト生産を促進した医薬関連事業が大きく収益を牽引しました。

これに対し経常利益は、前期において25億55百万円為替差益が発生したのに対し、当連結会計年度は53億81百万円為替差損を計上しました。このほか支払利息の増加や持分法による投資損失が拡大したことから、前期比44.6%減少108億17百万円で推移しました。特別項目においては、保険金の受領や投資有価証券の売却益が発生した一方、ファーマパッケージング事業においては市況の急変を受け、各生産拠点の事業性再評価を実施しました。その結果、複数の海外工場について減損損失や製造所整理に伴う費用の計上をすることとしました。また法人税等については、減損損失等、税効果を認識できない取引が多かったことから、法人税等の実効税率が大幅な上昇となりました。これらを踏まえ、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期比54.0%減少となる51億13百万円となりました。

なお、当期におけるセグメント別の概況は以下のとおりであります。

 

<医療関連事業>
(国内事業)

メディカル営業部門におきましては、注射針類、輸液関連製品、バスキュラー関連製品、SD関連製品が好調に進捗しました。これに対し透析関連製品は、血液透析濾過器の一部製品を出荷制限した影響から低調な推移となりました。なお、該当品については、出荷制限の解除に向けた増産体制を現在構築しております。

医薬営業部門におきましては、昨年12月に追補収載された新製品について、シェア拡大に向けた販売促進に努めたこと、長期収載品の選定療養による販売増や一部商品に係る薬価の引き上げが増収に寄与したものの、全体的な薬価改定の影響、およびジェネリック医薬品事業再編に伴う品目整理等の影響により低調な推移となりました。また供給問題は依然、解消しておらず厳しい対応が続いております。安定供給への取り組みを加速し、限定出荷品の解除対象を更に拡大してまいります。また引き続きMR(医薬情報担当者)による得意先への丁寧な説明と真摯な対応を通じ、ニプロへの信頼および存在感の向上につなげてまいります。

 

(国際事業)

国際事業におきましては、各国の腎臓医学会への参加を精力的に進めるとともにKOL(キー・オピニオン・リーダー)と連携し、高機能ダイアライザを始め、透析器械を含む幅広い透析関連製品のPRに注力しました。併せて主要代理店および病院施設に対して学術活動および技術営業活動に専心、高付加価値(バリューソリューション)製品の拡大を積極的に推し進めました。

・販売活動

透析関連製品については、米国における大手透析プロバイダーとの大型契約の履行に加え、カナダ・中南米・欧州・アジア・インドにおける高性能ダイアライザの上市と増販に尽力しました。またインドネシアではシングルユース市場の拡大、フィリピンではリユース回数制限を伴った保険償還価格の上昇が追い風となったほか、タイにおいては啓蒙活動によりシングルユース施設が増加しました。これらを含めダイアライザおよび透析器械の販売は全世界で堅調に推移しました。透析装置の開発においては、新型個人用透析装置「DIAMAX WOW」を中南米エルサルバドルで上市しました。また、透析情報管理システム「NephroFlow」は、インド国内で販売を開始し、テランガーナ州政府病院グループ85施設で採用となりました。引き続き、トレーサビリティシステム「GTS」の拡大を進め、AI分析を活用することで、患者さんのQOL向上に貢献してまいります。

ホスピタル関連製品は、米国の対中関税政策により、非中国産である当社のディスポーザブルシリンジおよび注射針の販売が引き続き好調でした。また静脈留置針については、需要増に伴い、タイ、インドネシア、ブラジルの製造拠点で増産を進めております。高付加価値品であるディスポーザブル加圧式医薬品注入器は増産効果および品種拡大により、欧州・中南米・インドで販売が伸長しました。植込みポート用医薬品注入器具や針刺し事故防止機構付静脈留置針などの関連製品も順次投入しております。OEM(他社のブランド商品を製造する事業)関連では採血関連製品、糖尿関連製品、いずれも順調に推移し、販売数の増加につながりました。

バスキュラー関連製品は、各国における販促活動が功を奏し、主要製品の血管内イメージングカテーテルの販売が続伸、NIRS-IVUS装置は設置国数が30か国を超えました。末梢スコアリングバルーンAperta NSE PTAは米国での品種追加の申請を実施、2025年度第1四半期の承認取得を見込んでおります。同製品の欧州向けのMDR認可も2025年度第3四半期に計画しており、更なる製品拡充による事業拡大に取り組んでまいります。

感染対策関連製品に関しては、中南米を中心に、KOLと連携し自社セミナーを実施、加えて感染症対策学会への出展と販売促進に努めました。新たに中南米ホンジュラス、コスタリカにおける販売を開始し、販売地域は既に10か国となりました。製造に関しては、中国の合肥工場において本年2月から次亜塩素酸水の希釈化作業を開始、インドネシア、タイ、ブラジルの工場でも生産準備を鋭意進めております。

このほか、自社透析センター事業は引き続き世界各国で展開しており、当第4四半期においてはタイに1施設を開設しました。新興国を中心に質の高い治療を提供できる環境を整え、地域医療に貢献してまいります。

・生産、ロジスティクス等の活動

生産拠点については、ベトナム工場の増改築工事が2024年末に完工、ダイアライザ生産設備の導入に向けたファシリティ工事が進行中です。大館工場では2025年度第1四半期にダイアライザ4号ラインの稼働を予定、さらに米国での地産地消プロジェクトを推進するなど、医療機器の供給能力を拡大し、品質・供給の安定を第一に生産活動を推進してまいります。

ロジスティクス面では、昨年比では比較的落ち着いているものの欧州線では不安定な状況が継続しています。安定供給を確実にするため、中国で新たな倉庫運用に向けた取り組みを加速しております。またグローバルQMS(品質マネジメントシステム)の構築と推進に加え、リーガルマニュファクチャラーとしての位置づけを明確にすべく全社的なタスクフォースを発足させました。

この結果、当事業の売上高は5,050億78百万円(前期比11.3%増)、セグメント利益(営業利益)は466億32百万円(前期比10.2%増)となりました。

 

<医薬関連事業>

医薬関連事業におきましては、生産数量の増加が収益拡大に大きく寄与しました。注射剤については、ニプロファーマ伊勢工場(製造子会社)における新規受託品が堅調であったことに加え、昨年操業したシリンジ棟での基礎的医薬品の大幅増産を通じ、当該工場の製品出荷数は前年同期比で47%増となりました。また同社大館工場では抗菌薬やシリンジ製剤の増産体制を構築したことで生産数量が22%増となったほか、ニプロファーマ・ベトナム・リミテッドにおいても生産効率向上の結果、生産数量が前期比13%伸長しました。

 

経口剤においては長期収載品が減少した一方で、ニプロファーマ鏡石工場での新規受託品の出荷開始や、全星薬品工業(製造子会社)において、2023年に導入した包装設備が本格稼働に至ったため、経口剤全体としての出荷数量は前期比7%増加しました。

この結果、当事業の売上高は791億25百万円(前期比6.5%増)、セグメント利益(営業利益)は106億25百万円(前期比139.7%増)となりました。

 

<ファーマパッケージング事業>

ファーマパッケージング事業におきましては、国内外で引き続き滅菌済シリンジの生産体制を整備するとともに、グローバル規模での生産効率改善や海外各地でのプロモーション活動を行いました。

日本市場においては、ガラス関連製品に加え、溶解液注入針やインジェクションセット、プラスチックパーツ等の販売が増収に寄与しました。併せて製薬会社向けのシングルユース品の開発と販売促進、価格競争力に優れた製品の技術営業を強化した結果、日本市場では前期比で大きく増収増益となりました。

海外市場においては、アフターコロナの在庫調整期間が長引いており、ガラス管と医療用包装容器の需要低下が依然厳しい状況です。他方で滅菌済シリンジは前年対比で増収基調を維持していることから、当該品を中心にバイオ製剤向けのガラス製容器や滅菌済Ready to use品(顧客である製薬会社において、薬剤充填時に洗浄・滅菌作業が省力化できるタイプの商品)の販促を重点的に進めております。既存品需要の回復に備え、次世代の需要を見越したガラス関連品のトレーサビリティシステムなど、付加価値の高い新商品の開発、さらには投与デバイス、調製デバイスの海外導出にも注力してまいります。

この結果、当事業の売上高は592億62百万円(前期比2.1%増)、セグメント損失(営業損失)は2億72百万円(前年同期は24億52百万円のセグメント利益(営業利益))となりました。

 

<その他事業>

その他事業におきましては、不動産賃貸等による売上高が11億19百万円(前期比37.1%増)、セグメント利益(営業利益)は2億45百万円(前期比205.2%増)となりました。

 

また、財政状態の状況は次のとおりであります。

(資産)

当連結会計年度末の資産合計は、1兆1,705億64百万円(前期比5.5%増)で、前連結会計年度末に比べて607億42百万円の増加となりました。このうち流動資産は502億52百万円の増加、固定資産は104億90百万円の増加となりました。流動資産の増加の主な要因は、商品及び製品204億65百万円増加したことによるものであり、固定資産の増加の主な要因は、機械装置及び運搬具(純額)139億75百万円増加したことによるものであります。

(負債)

当連結会計年度末の負債合計は、8,589億42百万円(前期比2.3%増)で、前連結会計年度末に比べて189億10百万円の増加となりました。このうち流動負債は159億29百万円の減少、固定負債は348億39百万円の増加となりました。流動負債の減少の主な要因は、コマーシャル・ペーパー200億円減少したことによるものであり、固定負債の増加の主な要因は、社債210億円増加したことによるものであります。

(純資産)

当連結会計年度末の純資産合計は、3,116億21百万円(前期比15.5%増)で、前連結会計年度末に比べて418億32百万円の増加となりました。このうち株主資本は4億60百万円の増加、その他の包括利益累計額は193億15百万円の増加となりました。

 

経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物の期末残高1,016億61百万円と前連結会計年度末に比べ50億78百万円(前期比5.3%増)の増加となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は、684億61百万円(前期比6.1%減)となりました。収入の主な項目は、減価償却費625億4百万円税金等調整前当期純利益190億87百万円であり、支出の主な項目は、棚卸資産の増加額173億37百万円であります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、718億76百万円(前期比17.5%減)となりました。支出の主な項目は、固定資産の取得による支出765億94百万円であり、収入の主な科目は、投資有価証券の売却による収入137億26百万円であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果得られた資金は、53億76百万円(前期比75.7%減)となりました。収入の主な項目は、長期借入れによる収入886億12百万円であり、支出の主な項目は長期借入金の返済による支出903億78百万円であります。

 

③ 生産、受注及び販売の状況
a.生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

対前期増減率(%)

医療関連

257,454

19.5

医薬関連

164,490

0.5

ファーマパッケージング

52,224

6.6

合計

474,168

10.8

 

(注) 1 金額は、製造原価によって算出しております。

2 上記金額は、セグメント間取引の相殺消去後の数値であります。

 

b.受注実績

当社グループは、見込生産形態を採っておりますので、該当事項はありません。

 

c.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

対前期増減率(%)

医療関連

505,078

11.3

医薬関連

79,125

6.5

ファーマパッケージング

59,262

2.1

その他

1,119

37.1

合計

644,586

9.9

 

(注) 上記金額は、セグメント間取引の相殺消去後の数値であります。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(売上高)

売上高は前連結会計年度に比べ578億円増加し、6,445億86百万円(前期比9.9%増)となりました。これは主に、国内販売が前期比3.2%、海外販売が17.0%とそれぞれ増加したことによるものです。この結果、各セグメントの外部顧客に対する売上高の連結売上高に占める割合は、医療関連事業が78.3%、医薬関連事業が12.3%、ファーマパッケージング事業が9.2%、その他が0.2%となりました。

(営業利益)

営業利益は前連結会計年度に比べ42億63百万円増加し、265億98百万円(前期比19.1%増)となりました。これは主に、売上高の増加に加え、ROEを基準とする業績連動賞与の支給額の影響によるものであります。

(経常利益)

営業外収益は前連結会計年度に比べ33億97百万円減少し、55億42百万円(前期比38.0%減)、営業外費用は前連結会計年度に比べ95億58百万円増加し、213億23百万円(前期比81.2%増)となりました。この結果、経常利益は前連結会計年度に比べ86億92百万円減少し、108億17百万円(前期比44.6%減)となりました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

親会社株主に帰属する当期純利益は、法人税、住民税及び事業税および法人税等調整額を計上したことにより、51億13百万円(前期比54.0%減)となりました。

なお、財政状態の分析内容及びセグメントごとの経営成績の分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

③ 当社グループの資本の財源および資金の流動性

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資、子会社株式の取得等によるものであります。なお、当社グループの設備投資額(有形固定資産)は,2025年3月期の実績は740億円、2026年3月期は707億円を予定しております。

次期以降の配当に関しましても業績連動の利益配当方針は維持しつつも、長期的な視点に立った安定的な配当を継続する方針で現在検討をおこなっております。

当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。短期運転資金は自己資金および金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。また、複数の金融機関とコミットメントライン契約を締結することで、資金の流動性を確保しております。

 

④ 重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益および費用の報告額に影響を及ぼす見積りおよび仮定を用いておりますが、これらの見積りおよび仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

 

5 【重要な契約等】

当社グループは、財務上の特約が付された金銭消費貸借契約を締結いたしました。契約に関する内容等は、以下のとおりであります。なお、「企業内容等の開示に関する内閣府令及び特定有価証券の内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」(令和5年内閣府令第81号。以下、「改正府令」という。)の第3条第4号に従い、改正府令にて新たに開示が求められている「企業・株主間のガバナンスに関する合意」、「企業・株主間の株主保有株式の処分・買増し等に関する合意」及び「ローン契約に付される財務上の特約」について、改正府令の施行日(2024年4月1日)前に締結された契約については、記載を省略しております。

 

(1) 提出会社

契約締結日

2024年5月28日

相手方の属性

金融機関

期末残高

10,300百万円

弁済期限日

2029年5月31日

担保の内容

特約の内容

・決算期及び中間期にて、連結で2024年3月期純資産額75%以上を維持。

・決算期及び中間期にて、単体で2024年3月期純資産額75%以上を維持。

・決算期にて、連結で2期連続経常赤字とならないこと。

・決算期にて、単体で2期連続経常赤字とならないこと。

 

 

契約締結日

2024年7月29日

相手方の属性

金融機関

期末残高

5,000百万円

弁済期限日

2029年7月31日

担保の内容

特約の内容

・決算期及び中間期にて、連結で2024年3月期純資産額75%以上を維持。

・決算期及び中間期にて、単体で2024年3月期純資産額75%以上を維持。

・決算期にて、連結で2期連続経常赤字とならないこと。

・決算期にて、単体で2期連続経常赤字とならないこと。

 

 

契約締結日

2024年7月29日

相手方の属性

金融機関

期末残高

7,920百万円

弁済期限日

2029年7月31日

担保の内容

特約の内容

・決算期にて、連結で直前決算期の純資産額75%以上を維持。

・決算期にて、連結で2期連続経常赤字とならないこと。

 

 

契約締結日

2024年8月30日

相手方の属性

金融機関

期末残高

15,300百万円

弁済期限日

2029年8月31日

担保の内容

特約の内容

・決算期及び中間期にて、連結で2024年3月期純資産額75%以上を維持。

・決算期及び中間期にて、単体で2024年3月期純資産額75%以上を維持。

・決算期にて、連結で2期連続経常赤字とならないこと。

・決算期にて、単体で2期連続経常赤字とならないこと。

 

 

 

契約締結日

2024年12月26日

相手方の属性

金融機関

期末残高

5,700百万円

弁済期限日

2029年12月28日

担保の内容

特約の内容

・決算期及び中間期にて、連結で2024年3月期純資産額75%以上を維持。

・決算期及び中間期にて、単体で2024年3月期純資産額75%以上を維持。

・決算期にて、連結で2期連続経常赤字とならないこと。

・決算期にて、単体で2期連続経常赤字とならないこと。

 

 

(2) 連結子会社

連結子会社の名称

ニプロファーマ株式会社

住所

大阪府摂津市千里丘新町3番26号

代表者氏名

代表取締役社長 西田 健一

契約締結日

2025年1月15日

相手方の属性

金融機関

期末残高

8,600百万円

弁済期限日

2032年1月16日

担保の内容

特約の内容

・毎期、2024年3月期純資産額75%以上を維持。

・2期連続経常赤字とならないこと。

・債務履行完了までニプロ株式会社の子会社であること。

 

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループは、滋賀県草津市のニプロ・ライフサイエンスサイト内にて、医療機器および医薬品の研究開発業務を当社が中核となり推進しております。

医療関連事業におきましては、新しい研究テーマの模索を実現するため、関連部門、医療現場、各学会などを活用し、次世代に向けた便利で、使用しやすい医療機器の開発を進め、QOL(クオリティ・オブ・ライフ)向上を目指し、医療製品の安定供給に努め、新規医療製品が生まれ育つよう取り組んでまいります。

一方、医薬関連事業におきましては、薬剤費の削減や医療の質の向上に対するニーズに応えるべく、様々な疾患領域や剤形における先発医薬品を対象に、高品質なジェネリック医薬品の開発に努めております。さらに、患者さんにとって飲みやすさに配慮した口腔内崩壊錠や医療現場での取り扱いの容易さに配慮したキット製剤など、付加価値のある製品の開発にも注力しております。

当連結会計年度における研究開発費の総額は21,666百万円であり、セグメントごとの研究開発活動は次のとおりであります。

 

(1) 医療関連事業

主に当社の総合研究所および酵素センターが中心となって、以下の研究開発を行っております。

① 汎用医療機器商品

難治性腹水治療で使用される大容量貯留バッグを備えた腹水濾過濃縮再静注法(CART)回路「FilCone®ライン」および急性血液浄化療法で使用される医療従事者の使いやすさを考慮し、空気に触れる事なく圧力を測定できるエアレスチャンバー付き急性血液浄化回路「マルチライン®」さらにバスキュラーアクセスカテーテルの脱血不良及び逆接続時の再循環率を低減した次世代のダブルルーメンカテーテル「UKバイディス®」を開発しました。

麻酔関連製品においては、内部洗浄が容易であり、造影剤中にも耐えられる長期的使用注入用植込みポート「R3ポート®ダイナジェクト®」およびライン、プライミング作業が簡素化し、ボタンの押し込みが軽い仕様とした「ニプロシュアフューザー® PCAセットRQ」さらに体内植込ポートに穿刺し、薬剤、麻酔剤、造影剤などを注入する際に使用し、片手操作で誤穿刺防止機構が作動する皮下埋込ポート用ヒューバー針「ウイングキャッチ®ニードル」や、製薬向け製品では、グロブリン製剤を投与する時に使用する翼状針付き専用セットで、針を安全カバー内に収納することが出来る「ニプロSQW®ニードル(安全タイプ)」を開発しました。

透析関連製品においては、透析時の漏血を検知する漏血検知器「かんち君®α」、透析装置への接続作業を容易にし、治療開始までの時間を短縮できる透析用血液回路「SurdialX PRO用回路」も開発しました。

検査関連製品においては、生活習慣病検査を薬局に行うために指先より微量血液を採取し、検査施設まで運搬出来る微量採血容器「ネオビットミニ」も開発しました。

② インターベンション関連商品

冠動脈治療用デバイスのデリバリーをサポートするガイドエクステンションカテーテル「ガイドプラス」の第3世代製品を開発しました。および先端チップに特殊な樹脂に造影剤を高濃度で混錬させることにより、柔らかいチップのままで高い造影性を有するカテーテルを開発しました。さらに、ニプロDCAは冠動脈用のデバルキングデバイスであり、カテーテルの細径化等の改良要望に応じて、次世代品「アテロカット MK2」も開発しました。

透析シャント治療用の超高耐圧型PTAカテーテル「VASOPEN」の品種追加として、0.018GW対応の特殊型PTAや、破砕片を確実に把持し、体内で大きく拡張するティアドロップ型バスケットを採用し、チップレスで収納時の細径化を達成したTUL(経尿道的結石粉砕術)に用いられる尿管結石除去用カテーテルも開発しました。

③ 人工臓器関連商品

成人用フィルタ内蔵型人工肺や、人工心肺用動静脈カニューレの太径サイズ、また、小児用細径チューブ用の酸素飽和度計センサを開発しました。

④ 診断薬・検査薬・酵素商品

市販されているインフルエンザおよび新型コロナウイルス感染症の同時検査キットを開発しました。また、クリニックや動物病院で使用可能なポイントオブケア用の検査システムや、有機溶剤健康診断検査薬の新規項目追加対応として、マンデル酸ならびにフェニルグリオキシル酸検査キットも開発しました。

さらに、自社検査薬用の酵素数種を内製化のため開発し、原料の安定調達を確保しました。

 

⑤ 医薬包装関連商品

培養用・調整用・貯蔵用等として使用するバイオ医薬品用バッグ「Usetm」や、2m以上のバッグ製袋とΦ120の大型ヘルールを溶着する技術を確立した大容量のパウダーバッグ、さらに、3種類のチューブ接続部と本体部を別設計し、シングルユースシステムに使用する無菌接続コネクター「Rectasept」等を開発しました。

また、製薬メーカー向け皮下投与セットに含まれるフィルタ付きツートックも開発しました。

⑥ 整形外科関連商品

グループ会社と共同開発した人工股関節の販売を開始しました。今後は米国でのFDA承認を取得し、日米双方での販売を計画しております。また、弾力性が好評で、骨再生に優れたリン酸オクタカルシウムを利用した世界初の人工骨「ブリクタ」を2024年10月に販売を開始しました。さらに大型タイプの品種追加も予定しています。さらに、大腿骨骨折治療用の人工骨頭については、2025年2月にPMDAの承認を取得し、販売開始の準備を進めております。

⑦ 細胞治療商品

ステミラック注製造時における末梢血および骨髄液の採取・運搬に使用するセルトリーは、空路輸送時の減圧環境に耐えるキャップ気密性を持たせた改良品を開発しました。

また、再生医療用の培養液として、間葉系幹細胞(MSC)用の無血清培地の改良を行い、細胞増殖性を血清培地同等以上に向上させ、培地の微粒子数を低減させた培地を完成しました。

⑧ その他の活動

「医療研修施設iMEP」は10周年を迎え、特別企画として滋賀県内在住の小中学生を対象とした医療体験会を開催しました。また、ベルギーiMEPでは、国際学会Vascular Access Societyから依頼を受け、透析シャント経皮的血管拡張術(PTA)のハンズオン研修会を実施しました。さらに、透析シャント経皮的血管拡張術(PTA)や透析シャント作製術カダバ研修等、幅広い研修プログラムを展開しております。

この結果、当事業に係る研究開発費は12,538百万円であります。

 

(2) 医薬関連事業

主に当社の医薬品研究所が中心となって、以下の研究開発を行っております。

① 注射剤

通常のバイアル製剤、バッグ製剤などに加え、医療現場での利便性向上を目的としたキット製剤の開発も積極的に進めております。前立腺癌や閉経前乳癌などの治療に用いるリュープロレリン酢酸塩のダブルチャンバー型プレフィルドシリンジ(1箇月製剤)(先発:「リュープリン」武田薬品工業)を既に販売しておりますが、このような開発難易度が高い徐放性注射剤などの分野に注力して、開発を進めております。

今期は、2成分3品目の液バイアル製剤と1成分1品目のプレフィルドシリンジ製剤のジェネリック医薬品を上市し、1成分1品目の液バイアル製剤の製造販売承認を取得いたしました。

② 経口剤

一般的な経口剤(錠剤、顆粒剤など)に加え、高難度な徐放性製剤の開発にも取り組んでおります。一方、医療現場での利便性を向上させるため、錠剤に成分名を印刷するなど、個包装やアルミピロー包装といった包装仕様にも工夫を凝らした製品も提供しております。

今期は、3成分5品目のジェネリック医薬品を上市し、2成分3品目の製造販売承認を取得いたしました。

③ 外用剤

粘着剤や軟膏剤の自社技術を活用し、高品質なジェネリック医薬品の開発を進めております。また、「皮膚に貼る注射剤」という今までにない新しい概念の経皮吸収製剤であるマイクロニードル製剤の開発に取り組んでおります。

④ バイオ後続品

わが国では、急速に市場が拡大しているバイオ医薬品ですが、一般的に高薬価であるため、医療費削減の観点から、より低薬価であるバイオ後続品の必要性が高まっております。このような状況を踏まえて、弊社でも共同開発や自社単独開発を含め、様々な形態で製品開発を推進しております。

この結果、当事業に係る研究開発費は9,128百万円であります。