第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社の企業グループの基本方針といたしましては、「我々は、技術の本質を謙虚に探索し、自然随順に即した応用で広く世界に貢献しよう」を“我々のロマン”として掲げ、「超精密とメカトロメーションの追求」を製品政策の基本とし、お客様のニーズに応えるユニークな製品づくりと、ご満足いただくための完璧な製品と、メンテナンスサービスの提供をめざしてまいりました。変化の激しいボーダレスなスピード経済の真っ只中で、市況に左右されない健全な経営基盤を確立するために、提案型営業の積極的展開による受注確保と特徴のあるオンリーワン製品・システムのスピーディな開発、当社製品を安心してお使いいただけるサービス体制の強化、そして徹底したコスト削減を図っております。

 

(2)経営環境及び対処すべき課題

2025年度のわが国経済は、原材料価格の高騰、中国経済の減速に加え、アメリカの貿易関税引き上げ、金融資本市場の変動等のリスクを引き続き注視する必要があり、依然として先行き不透明な状況が続いております。

そのような状況の中、セグメントにおける課題について以下の通り対処してまいります。

 

搬送機械事業

昨今の物流業界においては、EC業界を中心にBtoCのビジネスが急成長しており、物流ビジネスの範囲拡大、配送の小口化により人手不足が加速しております。しかしながら、EC業界で必須の仕分け作業は、重労働であることから人員確保が厳しく、自動化と省人化が急務となっております。当社としては、このような社会課題に対応すべく、小売業向けに自動化システムの提案と新規機器の開発を積極的かつ迅速に進めてまいります。

サービス事業においては、お客様のニーズに即した提案を行い、リニューアルや定期的な点検・メンテナンスによる、顧客満足度の向上に努めてまいります。

 

産業機械事業

ゲート市場において、昨今の相次ぐ自然災害により、老朽化した利水ダムの開閉装置更新需要や灌漑市場での省力化が伸長の兆しを見せており、2023年度と2024年度に実機による全国的なキャラバンを開催し、農業水利向けゲート開閉機などの実演を実施いたしました。お問い合わせも徐々に増えており、防災・減災および人手不足対策に寄与すべく、今後もさらなる需要の掘り起こしに努めてまいります。

省人化・省力化需要を見込む民需市場においては、脱炭素・カーボンニュートラルをはじめ、市場環境の変化への柔軟な対応が事業発展の鍵となります。引き続き、時代に即した製品開発・市場投入により社会に貢献してまいります。

 

精密機械事業

海外市場において、中国の景気減速は懸念材料であるものの、半導体関連やデータセンター関連の精密な製品に関わる需要は堅調に推移しております。関連した諸外国企業による東南アジア圏への工場建設も活発化しており、中国、さらには東南アジア圏での需要拡大を見据えた営業およびサービス活動の強化に引き続き取り組んでまいります。昨年北米に設立した合弁会社「Seibu America Corporation」においても、今後の成長を見込む医療、航空宇宙系市場を中心に、販路開拓および営業活動を展開し、顧客満足度の向上とさらなる成長を実現してまいります。

製造面においても、昨年9月末に完成した新工場でのDXの推進により、生産性効率の向上を図り、従来の生産台数の1.5倍を目指し、さらなる躍進に努めてまいります。

当社グループの経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標(KPI)は、売上高、営業利益、売上高営業利益率、ROEであります。また、激変する経営環境の中でも安定した企業経営を行うためには、財務基盤を強固なものにしておくことが重要であると考えており、自己資本比率や資金の流れを認識するためにキャッシュ・フローも重視しております。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

当社は、2024年度を初年度とし、2027年度までの4か年を対象にした新中期経営計画「Seibu Vision 2027」を策定いたしました。新中期経営計画では「大事なのは社会を輝かせる価値を創造し続ける会社であること。収益性・財務健全性に加え、成長性・株主資本効率に重きを置いた経営へ転換し、創業100周年(2027年度)後の未来を見据え、新しい事業に挑戦し、広く世界に貢献する」を掲げ、生産性向上マテハンソリューション、流体制御インフラの高度化、超精密加工ソリューションを通じて、労働人口減少・働き方改革関連法の施行による物流業界への影響、インフラ老朽化・脱炭素、ハイテク産業拡大といった社会課題へ価値を提供してまいります。

 

①「Seibu Vision 2027」スローガン

未来を輝かせ卓越の技術で人とつながる

 

②重点施策

・既存事業の収益力強化
・グローバル展開の加速
・新領域への挑戦
・バランスシート・マネジメント
・経営基盤の強化

 

③2027年度定量目標(連結)

 

2027年度

売上高

40,000百万円

営業利益

5,200百万円

売上高営業利益率

13.0%

ROE(自己資本利益率)

10.0%

 

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

当社グループでは、サステナビリティに関する「リスクと機会」を含む様々な観点からグループの置かれた状況を分析し、優先的に解決すべき課題をマテリアリティとして特定し、年度ごとに目標と活動計画を立案・実行することで、気候変動等への対応を意識した継続的なサステナビリティ経営に努めてまいりました。2022年度に策定した「SDGsへの取り組み/西部電機が取り組む5つのテーマ」を中心として戦略的なサステナビリティの推進を図ります。


 

 


 

 

(1) ガバナンス

当社グループはグループ全体で組織している中央環境管理委員会においてサステナビリティに関する「リスクと機会」を含むグループを取り巻く現状を把握し、これらを分析し重要度や緊急度などに応じて目標を定め、改善活動を行っています。この「リスクと機会」は上部組織であり取締役をメンバーとするリスク管理委員会において共有しています。活動の結果は取締役である「トップマネジメント」へ報告を行い、当該事業年度の総括と次年度の活動方針について指導・助言を受けています。これらを通じて改善活動が取締役のコミットメントのもと、人材や資材、費用、情報において事業プロセスと統合されていることを確かなものとしています。また、2021年度から取締役が統括管理するSDGs推進室を立ち上げ、ESGの観点で持続可能性を推進する活動を開始しております。具体的には中期経営計画及び年度事業計画に沿った「西部サステナビリティプラン」に基づき、担当部門とKPIを明確にした活動を進めることで、社会の一員としての責任を果たし、企業価値の向上に努めていきます。

 

(2) リスク管理

当社グループは抽出したサステナビリティに関する「リスクと機会」を改善活動の結果から、その妥当性を評価しています。また、社会情勢の急変、為替変動などの経済状況の変化、自社商品構成の変化、サプライチェーンや製造工程の変化、法改正、人的要因などにより新たに顕在化した事象などにより生じる「リスク及び機会」を各部署・各部門から集めて、中央環境管理委員会で審議のうえ、追加、修正、削除等を行い、当該年度のマテリアリティや環境改善目標決定の判断材料として使用します。サステナビリティに関連するリスクを把握・管理している中央環境管理委員会は、グループ全体のリスク管理を総括している全社リスク管理委員会の下部組織となっています。全社リスク管理委員会は取締役を中心として構成され、年に2回開催する委員会において、各組織と経営層の間でリスクについて情報を共有しています。

 

(3) 気候変動関連

① 戦略

当社グループは、会社がおかれている状況を把握するために「組織内外の課題」や「利害関係者の期待」などを年度ごとに中央環境管理委員会で審議し、これらに関連する「リスク及び機会」について見直し・追加・削除などを行っています。情勢変化をとらえビジネスや事業戦略、財務計画に及ぼす影響が大きい「リスク及び機会」をタイムリーに把握することで、リスクの低減や機会の獲得に向けた効果的な対策を検討しております。

 

② 指標及び目標

当社グループでは気候変動のリスクと機会に対応するために売上高1百万円当たりのGHG排出量(Scope1及びScope2)を評価指標と定め、2022年度実績から年1%削減を目標として毎年の活動を評価しており、実績は「環境活動報告書」に含まれる「年度環境活動結果」にまとめてグループ内で共有しています。また、新中期経営計画「Seibu Vision 2027」の達成に向けて、2024年度から段階的に再生可能エネルギーの導入と太陽光パネルの設置を進めており、初年度の2024年度はCO₂換算で約787トンのGHGを削減しました。今後段階的に再生可能エネルギーへの転換を進め、2027年度には本社・工場で使用する電力に起因するGHG排出量をゼロにします。

年度

2022年度

2023年度

2024年度

Scope1

535t-CO2

457t-CO2

469t-CO2

Scope2

2,836t-CO2

3,038t-CO2

2,959t-CO2

Scope1+Scope2

3,371t-CO2

3,496t-CO2

3,428t-CO2

売上高1百万円
当たり排出量
 (2022年度実績からの
削減率)

0.118t-CO2/百万円
 (―)

0.109t-CO2/百万円
 (7.6%削減)

0.103t-CO2/百万円
 (12.7%削減)

 

(注) 1.Scope1:事業者自らによるGHGの直接排出

2.Scope2:他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出

 

 

(4) 人的資本、多様性等

当社においては、具体的な取組や関連する指標のデータ管理が行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われてはいないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、戦略、指標及び目標は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。

 

① 戦略

急速なデジタル化の進展やカーボンニュートラルなどの流れを受けて、世の中に大きな変化の波が押し寄せています。新たな成長の息吹がそこに発生し、そのチャンスをいかに掴むか、変化の波に対応した取り組みが必要です。変化に柔軟に対応していくためには、多様な価値観を持った人財の活躍が求められます。当社の強みを活かし持続的かつ安定的な成長を実現するために、『多様な価値観や個性を持った従業員がお互いを認め、尊重し合い、誰もが心身ともに健康でその能力を十分に発揮できる「働きがい」のある職場環境を目指します』を基本方針とし、下記3項目を最重要テーマとして位置付けています。

a.多様な人材の活躍推進

女性や経験・知識を持つ中途採用者など、多様な人財の採用を積極的かつ継続的に実施しています。特に支店・営業所・サービスセンタにおける採用強化を課題と捉え、2024年4月より東京に人事課東京グループを新設しました。また、2022年10月に女性活躍推進委員会を設立し、『女性がやりがいを持ってイキイキと働ける職場づくり』をコンセプトに、「人財育成」「組織改革」「ルール改定」等の観点から職場の課題解決に向けた取り組みを実施していきます。女性活躍推進の取り組みは 、性別に関係なく誰もが働きやすい職場環境を実現することに繋がると考えています。誰もが自由に働き方やキャリアを選択でき、その選択が尊重される環境を追求することによって、多様な人財の活躍を推進し、当社全体の組織力向上を目指します。その実現に向けて2024年度は、全社における意識改革やアンコンシャスバイアスの理解を目的として、全役員・管理職を対象に「女性のキャリア形成支援」等、全女性社員を対象に「キャリアアップのメリット」や「キャリアデザイン」等についての研修を実施しました。

b.働きやすい環境づくり

当社においては、多様な価値観や個性を持った従業員がお互いを認め、尊重し合い、誰もが心身ともに健康でその能力を十分に発揮できる働きがいのある職場環境を目指しています。その実現に向けて2024年度においても、ハラスメント教育を年次別研修に組み込み、継続して実施しています。また、入社3年未満の社員に対して、問題や悩みの早期解決を目的として、人事課員によるフォローアップ面談を3か月に1回程度行い、安心して働くことができる職場づくりに繋がる取り組みを継続して実施しています。

c.キャリア形成の仕組みづくり

2022年度に当社の求める人財像「周囲から信頼される人財」を策定し、新たな教育体系図を作成しました。当社の社是に「ゆるぎなき信頼が明日を拓く」とある通り、当社の求める人財像には、この「信頼」という言葉が大きなキーワードになります。当社で働く一人ひとりが「周囲から信頼される人財」となるために、社員が自律的にキャリアを形成できる仕組みとして、年次別研修、役職別研修、次世代経営層研修、次世代管理職研修、専門教育等を実施しております。2024年度はDX教育等の専門教育を新たに実施し、今後も継続して実施していきます。また、当社を取り巻く環境変化や課題に迅速且つ柔軟に対応できる体制の構築と、経営に携わる人材登用の機会を拡大することにより中長期的な経営人材の育成を図ることを目的とし、2024年度に執行役員制度を導入しました。なお、人財を育て、当社で活躍してもらうためのスキル管理を目的として、2023年度にタレントマネジメントシステムを導入するなど、人的資本の拡充に向けて取り組みを継続しています。

 

② 指標及び目標

当社は、多様な人財の活躍による組織力向上、働きがいのある職場環境の実現及び人財育成による人的資本の拡充を目標としており、新中期経営計画「Seibu Vision 2027」においても、新規採用者に占める女性比率及び女性管理職人数(2023年度比)を指標として定めております。

 

2023年度(実績)

2024年度(実績)

2027年度(目標)

新規採用者に占める女性比率

9.1

12.5

15.0

女性管理職人数

3

3

2023年度比 1.5倍以上

5名以上)

 

 

 

3 【事業等のリスク】

当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性のある主なリスクは以下のようなものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

① 顧客の経営成績及び景気動向

当社グループには設備機械関連の製品があります。よって顧客の経営成績及び顧客の属する業界の景気動向が、当社グループの受注、売上に影響する可能性があります。また零細企業との取引もあり、これらの企業は好不況の影響を受けやすい面があります。

② 価格競争

当社グループの属する業界は、競合会社の多い業界であります。顧客ニーズに応えるために競合他社にはないオンリーワン製品の開発に注力しておりますものの、他社と競合する場合は価格競争となることがあります。これが販売価格の低下を引き起こす可能性があります。

③ 公共投資の影響

当社グループには、公共投資関連向けの製品があります。これらの製品の受注、売上は、政府や地方公共団体の政策に影響を受ける可能性があります。また下半期に売上が集中するために、生産も上期、下期のアンバランスが生じております。よって売上は年度当初の立ち上がりが遅い等の影響を受けます。

④ 海外環境

当社グループは、海外への輸出(特にアジア)を行っております。よって為替相場、輸出相手国の景気動向、政情不安及び自然災害等が、当社グループの海外向けの受注、売上に影響する可能性があります。

⑤ 原材料価格の変動

当社グループの製品の殆どが鉄鋼、鋳物等の金属部品を原材料としております。わが国の金属の調達は海外依存度が高いために、海外の景気や為替の変動、政情不安等の社会的混乱によって、原材料価格が変動する懸念を有しており、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

⑥ 新製品開発力

当社グループは、お客様のニーズに対応した、オンリーワン製品、システムの開発を行っております。開発のための経営資源は、企業規模から一定の制約がありますので、開発テーマは重点を絞らざるを得ません。このため新たに開発した製品・システムが市場ニーズに的確にマッチしない場合は、業績が低下する可能性があります。

また、お客様のニーズは常に変化しており、その変化のスピードに対応できる新製品開発力が必要となります。

⑦ 仕込生産品

当社グループは、顧客納期の対応のため仕込生産を行っております。これは、市場の情勢や売上計画を基に決定しております。仕込生産は最低限で行っておりますが、万が一市場の情勢の変化や顧客の都合等で売上の減少により、仕込生産品の別の製品への流用が出来ず使用が見込めない場合は、仕込生産品が不良資産となる可能性があります。

⑧ 品質のコントロール

当社グループの製品は、高度な技術を利用したものであります。また原材料等は外部から多品種かつ大量に調達を行っております。よって品質のコントロールは複雑化しております。万が一当社グループの製品に欠陥が生じた場合は、当社グループがその欠陥によって生じた損害を補償するとともに、当社グループの製品の信頼度や売上に影響を及ぼす可能性があります。

⑨ コンピュータートラブル

当社グループの生産・販売並びに会計システムは、コンピューターシステムを使用しております。停電の時のために無停電電源装置の導入、サーバー故障の時のためのバックアップ等のトラブル対策は行っておりますが、万が一予想外のトラブルが発生した場合、当社業務活動に影響を及ぼす可能性があります。

⑩ 知的財産権

当社グループは、製品技術やデザインまたその製造過程等に知的財産権を利用しております。また必要な場合は、第三者から知的財産権の取得や借用を行う場合があります。これらの権利の保護、取得、維持がうまく行かなかった場合は、当社グループの製品の生産や販売に影響を及ぼす可能性があります。

⑪ 退職給付債務

当社グループは、数理計算によって算出される退職給付債務を負担しています。これは前提条件や年金資産の期待収益から算出されており、前提条件が変更されたり、期待収益が実際の結果と異なった場合は、その影響は将来的にも蓄積され、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑫ 事故災害

当社グループは、火災等の事故や災害を防止するために設備の点検、消火組織及び設備の充実、自衛消防隊をはじめとする各種の安全活動を行っております。しかしこれらの対策にも拘わらず事故や災害は発生する可能性があります。発生した場合の対策として災害保険に加入していますものの、生産力低下による売上高の減少や、設備の代替や修復のために多額の資金を要するなどの当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

⑬ 株式等の有価証券の時価下落

当社グループは、株式等の有価証券を保有しております。これらの有価証券の時価が著しく下落した場合は、評価損となり当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

⑭ 環境問題

当社グループは、環境に関する法令を遵守し、今後も違反しないよう設備の充実や社員教育を行っております。しかしながら将来的に環境に関する規制が一層厳しくなり、現行法令の改正や新たな法令の制定が行われた場合は、その対策のための費用が発生し当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 経営成績

当社グループは、創業100周年を迎える2027年をゴールとした新中期経営計画「Seibu Vision 2027」を策定し、本年度スタートいたしました。スローガンに「未来を輝かせ卓越の技術で人とつながる」を掲げ、「収益性・財務健全性に加え、成長性・株主資本効率に重きを置いた経営へ転換し、新しい事業に挑戦し、広く世界に貢献する」を目標とし、生産性向上マテハンソリューション、流体制御インフラの高度化、超精密加工ソリューションを通じて、労働人口減少・2024年問題、インフラ老朽化・脱炭素、ハイテク産業拡大といった社会課題へ価値を提供してまいります。

当連結会計年度におけるわが国経済は、円安や価格転嫁による企業収益の改善や設備投資の増加、雇用や所得環境の改善を背景に、景気は緩やかな回復基調となりました。一方、中東情勢の長期化を受け原材料・エネルギーコストが高止まるなか、米国の関税措置や米中貿易摩擦の激化など景気減速リスクに注視する必要があり、世界経済は依然として先行き不透明な状況が続いております。

当社グループの事業環境といたしましては、物流業界等の人手不足による省人化、省力化、業務効率化ニーズや国土強靭化によるインフラ設備などの需要は堅調に推移しており、中国、ASEAN地域を中心とした外需におきましても、底堅い需要水準を保っております。このような環境の中、当社グループにおきましては、原材料費や輸送費増などの価格転嫁や生産性向上、コスト削減などの対策を推進し、事業活動を継続してまいりました。

その結果、当社グループの連結業績は、受注高はすべての報告セグメントにおいて前連結会計年度を上回ったことにより363億5百万円(前期比15.2%増)となり、これまで最高であった2022年度を上回る過去最高額となりました。売上高は、主に精密機械事業が増加し333億5千2百万円(前期比4.4%増)と前連結会計年度を上回る過去最高額となりました。損益においては、経営基盤強化を目的とした人的資本への投資で人件費が増加した一方、原材料・資源価格の高騰等を背景とした価格転嫁の影響やコストダウンを進めたことにより、営業利益は31億9千2百万円(前期比14.7%増)、経常利益は32億7千1百万円(前期比13.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は23億5千万円(前期比18.9%増)といずれも過去2番目の記録となりました。

セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。

 

搬送機械事業

搬送機械事業では、物流業界で2024年問題の課題解決や半導体関連の需要増を背景に自動化や省人化ニーズが高まっている中、既存顧客からのリピート受注、自動倉庫や生産・物流分野等に、ピッキングシステムや新商品を使ったソリューションを提案するとともにサービス・メンテナンスにも注力し、拡販を図ってまいりました。その結果、受注高は自動車部品や半導体関連業界、食品物流センター、ハウスメーカー向けの物件など幅広い業界の成約があり139億2千3百万円(前期比15.9%増)、売上高は電気機器業界や流通業界向けの物件などがあり112億2千万円(前期比1.0%減)となりました。

 

産業機械事業

産業機械事業では、民間需要の掘り起こしやゲート分野を中心とした既存市場におけるシェアアップ、サービス・メンテナンス及び前年度好評を得た全国キャラバン活動による既存ゲート設備の電動化の提案に注力してまいりました。その結果、受注高は上下水道向けや防衛省向け等があり69億3千2百万円(前期比3.7%増)、売上高は上下水道向けやサービス・メンテナンスが増加し66億4千7百万円(前期比1.0%増)となりました。

 

精密機械事業

精密機械事業では、中国経済の低迷が懸念されたものの半導体市場向けやデータセンター向け、電気自動車関連において、当社のモノづくりにこだわった超精密な性能が永年安定する製品への需要が引き続き高水準に推移し、受注高は150億4千2百万円(前期比21.9%増)、売上高は新工場建設により生産能力が向上し150億6千6百万円(前期比11.0%増)となりました。

 

その他の事業

その他の事業では、機械機器部品・立体駐車装置の販売、営繕工事等を行っており、受注高は4億7百万円(前期比12.0%減)、売上高は4億1千8百万円(前期比10.0%減)となりました。

 

生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。

① 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

生産高(百万円)

前期比(%)

搬送機械事業

10,937

△4.4

産業機械事業

6,732

1.6

精密機械事業

15,161

9.7

その他の事業

418

△10.0

合計

33,249

2.8

 

(注) 金額は、販売価格によっております。

 

② 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

受注高(百万円)

前期比(%)

受注残高(百万円)

前期比(%)

搬送機械事業

13,923

15.9

11,889

29.4

産業機械事業

6,932

3.7

2,351

13.8

精密機械事業

15,042

21.9

4,444

△0.5

その他の事業

407

△12.0

75

△12.5

合計

36,305

15.2

18,760

18.7

 

 

③ 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(百万円)

前期比(%)

搬送機械事業

11,220

△1.0

産業機械事業

6,647

1.0

精密機械事業

15,066

11.0

その他の事業

418

△10.0

合計

33,352

4.4

 

(注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

㈱兼松ケージーケイ

3,224

10.1

3,742

11.2

SHENZHEN SPEED IMP.& EXP.CO.,LTD.

2,676

8.4

3,350

10.0

 

 

 

(2) 財政状態

資産

当連結会計年度末における流動資産は、前連結会計年度末より34億8千万円減少し、234億9百万円となりました。その主な要因といたしましては、受取手形、売掛金及び契約資産が7億4千3百万円増加したものの、現金及び預金が34億9千9百万円、電子記録債権が5億1千2百万円、原材料及び貯蔵品が2億3千万円減少したこと等によるものであります。固定資産は、前連結会計年度末より2億3千6百万円減少し、230億1百万円となりました。その主な要因といたしましては、建物及び構築物が20億8千7百万円増加したものの、投資有価証券が12億1千万円、建設仮勘定が8億2千8百万円、機械装置及び運搬具が2億6千1百万円減少したこと等によるものであります。

この結果、当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ37億1千6百万円減少し、464億1千1百万円となりました。

 

負債

当連結会計年度末における流動負債は、前連結会計年度末より35億3千3百万円減少し、117億8千8百万円となりました。その主な要因といたしましては、契約負債が3億5千2百万円、未払法人税等が1億8千7百万円増加したものの、電子記録債務が32億9百万円、流動負債のその他が8億4千6百万円減少したこと等によるものであります。固定負債は、前連結会計年度末より4億2千9百万円減少し、38億2千8百万円となりました。その主な要因といたしましては、再評価に係る繰延税金負債が4千3百万円、退職給付に係る負債が2千1百万円増加しましたものの、繰延税金負債が4億円、製品保証引当金が1億5百万円減少したこと等によるものであります。

この結果、当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ39億6千2百万円減少し、156億1千6百万円となりました。

 

純資産

当連結会計年度末における株主資本は、前連結会計年度末より14億1千7百万円増加し、243億4千1百万円となりました。その主な要因といたしましては、利益剰余金が14億1千1百万円増加したこと等によるものであります。その他の包括利益累計額は、前連結会計年度末より11億7千1百万円減少し、64億5千3百万円となりました。その主な要因といたしましては、その他有価証券評価差額金が9億8千8百万円、退職給付に係る調整累計額が1億2千7百万円減少したこと等によるものであります。

この結果、当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ2億4千6百万円増加し、307億9千4百万円となりました。

 

(3) キャッシュ・フロー

① キャッシュ・フローの概況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ34億9千9百万円減少し、83億5千6百万円となりました。

各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果、増加した資金は5億4千1百万円(前連結会計年度は37億1千2百万円の増加)となりました。その主な要因といたしましては、仕入債務の減少32億7千9百万円、法人税等の支払額7億3千万円がありましたものの、税金等調整前当期純利益32億9千8百万円や減価償却費9億8千3百万円、契約負債の増加3億5千2百万円があったこと等によるものであります。なお、仕入債務の減少は取引先への支払方法の見直しの影響等によります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果、減少した資金は30億6千3百万円(前連結会計年度は22億6百万円の減少)となりました。その主な要因といたしましては、有形固定資産の取得による支出24億1千1百万円、無形固定資産の取得による支出2億9千4百万円、関係会社株式の取得による支出2億3千2百万円があったこと等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果、減少した資金は9億7千6百万円(前連結会計年度は6億4千万円の減少)となりました。その主な要因といたしましては、配当金の支払9億3千8百万円を行ったこと等によるものであります。

 

② 資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、製品製造のための材料費、労務費、経費、販売費及び一般管理費等の営業費用並びに当社グループの設備新設、改修等に係る投資が主な資金需要であり、これらの必要資金は、利益の計上、減価償却費等により生み出される内部留保により賄い、必要に応じてレバレッジを活用することを基本方針としております。

当連結会計年度におきましては、確固たる経営基盤の構築を見据え、既存設備の老朽化更新や生産能力増強、外注品の内製化等の設備投資を継続的に実施いたしましたが、投資活動によるキャッシュフローの減少等により、当連結会計年度末における当社グループの資金の残高は83億5千6百万円と、前期末比34億9千9百万円減少いたしました。

また、当面の設備投資などは自己資金で賄い、必要に応じてレバレッジの活用を予定してます。設備の新設等の詳細につきましては、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりであります。

 

(4) 経営指標

「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(3)中長期的な会社の経営戦略」に記載の通り、当社では経営の主たる指標として売上高、営業利益、売上高営業利益率及びROE(自己資本利益率)を使用しております。

 

 

第91期

2024年3月

第92期

2025年3月

売上高

(百万円)

31,945

33,352

営業利益

(百万円)

2,782

3,192

売上高営業利益率

(%)

8.7

9.6

ROE(自己資本利益率)

(%)

6.7

7.7

 

 

(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

 

5 【重要な契約等】

業務・資本提携

契約会社名

相手方の名称

契約品目

契約内容

 

契約期間

 

西部電機株式会社

株式会社豊田自動織機

搬送機械

設計及び製造の受託

2012年2月から

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループは、「超精密とメカトロメーション」に直結する、オンリーワン製品・システムの開発に注力しております。当連結会計年度の技術開発の主なものは次のとおりであります。

研究開発は、各セグメント毎で行われており、研究開発スタッフは34名で、これは総従業員の5.3%にあたります。

当連結会計年度における研究開発費は、728百万円であり、各セグメントにおける研究開発の成果と研究開発費は次のとおりであります。

 

搬送機械事業

協働ロボットを活用した「出荷段ボールケース自動パレタイズシステム」を開発しました。今回、お客様より『搬送装置を人手作業と同じエリアに設置し、破損ゼロでケースを移載したい』とのご要望を受け、開発がスタートしました。生産直後の段ボールケースの蓋はとてもはがれやすいため、吸着ハンドの開発に困難を極めましたが、これまでの知見を活かし、吸着場所や個数、パットの材質やサイズなど試行錯誤を重ねた末、吸着ミスとケース破損ゼロを達成しました。さらに、エアーの消費量も初期計画値より、50%以上削減することができました。今回のシステムで省人化、軽労化、省エネおよび品質向上が実現できたことで、お客様よりご好評を頂いており、別の工場へ導入するお話も頂いております。今後もお客様のニーズに応え、ご満足頂ける商品開発を進めてまいります。

当事業における当連結会計年度の研究開発費は139百万円であります。

 

産業機械事業

農業用水路の手動操作水門開閉装置更新のため、新製品である「Semflex-LR10W(電動ギヤラック式水門開閉装置)」、「SBS+S(Seibu Backup System +Solar)」を開発しました。当製品は、水位計と「Semflex-LR10W」を連携することで昼夜天候を問わず自動で水門の開閉を行うよう構成し、お客様のご要望である管理者の負担軽減と安全性確保を実現しました。また、設置場所は商用電源の供給が難しいことから、ソーラーパネルによる発電をバッテリーに蓄電して電源を供給する「SBS+S」が初めて採用されました。当製品はお客様より高い評価を頂き、防災・減災・人手不足対策にも寄与していることから有力な引き合いも着実に増加しています。

当事業における当連結会計年度の研究開発費は216百万円であります。

 

精密機械事業

大型ワイヤ放電加工機「MM75UP」の販売を開始しました。本機は、従来機種「MM75B」のピッチ加工精度±2μmに対し、製品設計段階でのシミュレーションおよび解析技術であるCAE解析を行うことで、機械構造の見直しを実施し、大型機でありながらピッチ加工精度±1μmを実現しました。また、同時にラインアップに加わった「M75HP」は、すでに発売中のHPシリーズとの共通化を図ることで生産性を向上し、高いコストパフォーマンスを実現しています。今回『精密機』と『超精密機』の2カテゴリーに新たな商品ラインアップが加わり、多様化するお客様のニーズに対し、より最適な機種選定が可能となります。今後も、より高精度で使いやすい製品の開発に取り組んでまいります。

当事業における当連結会計年度の研究開発費は371百万円であります。