第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社は、「事業は人なり而して人の和なり」「より良い品をより安くより多く」を社是とし、「株主重視」・「顧客重視」・「社員の生活向上」の理念に基づき、市場のニーズに的確に対応した高機能製品を提供する「抄紙用具の高度専門企業」として成長・発展することを目指して経営活動を展開しております。

なお、本項における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

■IK VISION2030

当社グループは、長期ビジョンとしての全社員が目指す「2030年に実現する未来(IK VISION2030)」を2022年に決定し、この長期ビジョンで示した進むべき方向性を達成するために、3回の連続する中期経営計画に基づき活動を進めております。

 

IK VISION2030

サステナブルな社会に貢献し、イチカワを支える役職員、取引先、株主及び周辺の地域社会がそれぞれ高い満足度を持つ会社となる。

“NE-24”

2022年度-2024年度

“NE-27”

2025年度-2027年度

“NE-30”

2028年度-2030年度

「会社を創り直す」3年

「新領域への挑戦」の3年

「CX確立」の3年

 

 

■第7次中期経営計画「"New Enterprise2024"」(略称:“NE-24”)の総括

IK VISION2030を達成するための第1段階の位置付けとして2022年にスタートした第7次中期経営計画(略称:“NE-24”)は、“NE-24”では、まず「会社を創り直す」3年と位置付け、製造コスト削減に注力し、データとデジタル技術を活用したDX戦略や製品競争力を強化する新製品・新製法等の開発に取組んでまいりました。

“NE-24”(2022年4月1日~2025年3月31日)

当初目標

実績

・1株当たり連結当期純利益(EPS):150円

・連結売上高:120億円以上

・連結売上高営業利益率:5.0%以上

・1株当たり連結当期純利益(EPS):181.51

・連結売上高:139億円

・連結売上高営業利益率:7.7

 

想定を大幅に超える円安もあり目標は達成いたしましたが、エネルギー価格及び原材料価格の高騰、紙のデジタル化による国内の洋紙の構造的な需要縮小や板紙等の需要の減少傾向もあり、“NE-24”で計画した施策効果の全ては発現できませんでした。

次期中期経営計画においても、国内市場は需要減少による競争激化を見込んでおります。一方、グローバル市場はアジア地域を中心に拡大は続くと見込まれるものの、競争は一層激しくなると思われます。

引き続き、製造コスト削減に注力するとともに、当社グループの強みを一層深化させ、事業基盤の強化に努めてまいります。

 

■第8次中期経営計画(略称:“NE-27”)

当社グループは、2025年度を起点とする新たな3ヶ年の中期経営計画「"New Enterprise2027"」(略称:“NE-27”)を策定いたしました。

前中期経営計画“NE-24”の経営目標を達成するために、諸施策を実行してまいりましたが、十分な成果に至らなかったことを真摯に受け止め、“NE-27”では「収益力の向上」、「グローバル市場での成長」、「事業基盤の強化」、「SDGsを含めた社会への貢献」を目的として「新領域への挑戦の3年」のスローガンを掲げ、新たな経営方針の下、活動を進めてまいります。

“NE-27”(2025年4月1日~2028年3月31日)

スローガン

「新領域への挑戦」の3年

経営方針

「高品質且つ革新的な製品及びサービス」を「グローバル競争力のあるコスト」で提供し、「国内及び世界中の顧客の信頼」を獲得することにより社会へ貢献する。

一. 顧客第一:お客様の喜びを最優先し、品質とコストの両立を徹底的に追求する。

一. 社員成長:達成可能な高い目標を設定し、社員一人ひとりの成長を促進する。

一. 迅速行動:失敗を恐れず、スピード・行動・執念(SKS)をもって目標を達成する。

経営目標

(“NE-27”最終年度)

・連結売上高:142億円以上

・連結売上高営業利益率:8.2%以上

・ROE:4.2%以上

 

当社グループが製造している抄紙用具(抄紙用フエルト・シュープレス用ベルト・トランスファー用ベルト)が使用される取引先の抄紙機のプレスパート工程は、製造される紙の品質を決定づける、また、全工程を通じたエネルギーコストに与える影響が大きく、紙を製造する上で品質面・コスト面ともに一番重要な工程で、当社グループは、取引先のプレスパート工程の能力が最大限に発揮される製品の組み合わせをご提案し、開発・製造・販売ができる国内唯一、海外でも数社しかないメーカ-です。

“NE-27”では、国内市場において収益を確保するための施策を推進するとともに、競争の激しい海外市場で成長していくために収益力向上を図ってまいります。また、社内の資源を活用するだけでなく、外部機関を積極的に活用し、研究開発力・製品開発力を強化してまいります。

なお、当社グループは、SDGs活動を経営の最重要課題として位置付けており、企業活動を通じて環境負荷の低減にも取組んでまいります。

 

当社グループは、革新的な挑戦を続け、株主の皆様、お取引先、従業員、地域社会などのステークホルダーに対する社会的責任を果たし、社会とともに成長する企業を目指し日々努力を重ねていきますとともに、その基盤構築のために、内部統制の一層の充実を図り、企業価値の増大に邁進してまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

(1) サステナビリティ全般に関する考え方

解決すべき社会課題の中で、特に気候変動は深刻さを増しています。

当社グループは、環境保全活動を経営の重要課題と位置付け、企業活動を通じて環境負荷の低減に取り組むことにより、SDGsの達成に貢献し、地域社会と共に持続的に成長していくことを目指しております。

なお、本項における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

 ①ガバナンス

当社グループは、環境行動指針などの方針や環境保全活動の基本目標を検討・立案・審議する環境・省エネ対策連絡会議を設置し、環境保全活動を推進しております。

環境・省エネ対策連絡会議で審議された内容は、年1回取締役会へ報告され、具体的な経営施策へ反映されます。

また、当社グループでは早くから環境マネジメントシステム「EMS」を導入して対策に取り組み、柏工場は2000年3月、岩間工場は2019年5月、本社は2025年3月にISO14001認証を取得し、戦略的な方向性及び当社の状況を両立するような「環境方針」及び「環境目標」を掲げております。具体的には、電気・ガスの使用量を抑制する“省エネルギー”、排出量を削減する“省資源”、産業廃棄物を減らす“リサイクル”の3つの項目を主要テーマとし、化学薬品の使用削減なども含めて積極的に活動を展開しております。

 

 ②リスク管理

当社グループは、全般的なリスクの洗い出し、評価、対策等の管理についてリスク管理規程に定めており、職制により適切に予防及び対策を実施しております。リスク管理の状況につきましては、執行役員会において定期的に有効性を評価し、必要に応じて是正措置を行っております。

なお、特定の気候変動に関するリスク及び機会は、環境マネジメントシステムの中で課題化し、取り組んでおります。必要に応じて執行役員会へ報告を行い、全社リスクとしての統合管理を図っております。

 

 ③戦略

「地球温暖化対策長期ビジョン2050」〜カーボンニュートラル産業の構築実現〜(2021年1月20日 日本製紙連合会)にて打ち出されている「2050 年までにカーボンニュートラル産業の構築実現を目指す」をプレスパートの専門企業として、協働し実現してまいります。

環境に優しい紙づくりへ貢献するため、プレス工程で使用される抄紙用フエルト、抄紙用ベルトの機能を向上し、お取引先の抄紙工程のCO2削減に貢献してまいります。

さらに、省エネ活動の推進や生産性向上施策を推進し、環境リスクへの対応を積極的に展開してまいります。

今後も、地域社会との関係性を再点検し、持続的な社会の実現へ貢献してまいります。

また、当社グループにおける、人財の多様性の確保を含む人財の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は次のとおりです。

 1)当社グループの人事戦略を遂行することで経営目標達成に導くフロー概念図


 

 

2)社員個々の「能力」獲得に向けて

 当社グループは、社員個々の「能力」獲得に向けて、下記の「人財育成方針」の下、各種施策を進めております。

<人財育成方針>

・変化が激しく不確実性が高い環境下において、当社が持続的に発展していくためには、多様性のある課題解決型の組織に変容することが不可欠と考え、社員一人ひとりが自らのキャリアを自律的に捉え自身のありたい姿を描き、そのためのプランを会社と社員双方向で共有しながら人財の育成を図ってまいります。

・会社は各種委員会活動やプロジェクト活動を通じてチャレンジの機会を提供し、社員は様々な経験を積むことで「成長」を実感するという好循環を繰り返すことで、当社グループの業績向上及び持続的な価値向上へと繋がっていくループづくりを行ってまいります。

<社内教育>

1 部署別教育(OJTを含む)

・職場毎に必要な専門知識や業務経験を難易度別に設定した能力要件表を用いて、個人毎に教育計画を立案、日常業務における知識習得とその実践を通じて、業務遂行能力を高めてまいります。

 

2 階層別教育(OFF-JT 座学 自己啓発)

・社員を階層別に分け、それぞれの階層で求められる能力・スキルを習得できる機会の提供を行っています。また、2022年7月より管理職を対象に導入したジョブ型人事制度を推進させるため、社員一人ひとりが主体的に自身のキャリアを描き、学んでいく姿勢が必須であるとの認識から、会社が用意した教育を受け身で受講するだけではなく、自身の目標や意欲に基づき学んでいくという環境を整備し、その効果測定を実施しながら、それぞれの職位に相応しい人財の育成に努めてまいります。

<外部派遣教育>

1 次世代経営層育成

・2023年度より、経験豊富な人事コンサルタントを招聘し、将来の経営層候補である中堅管理職向けにマネジメント研修を実施しています。

・「女性マネジメント層育成」を目的として、明治大学「女性のためのスマートキャリアプログラム」に2022年度より毎年1名ずつ社員を派遣しておりますが、2025年度より毎年複数名の派遣に拡大することに致しました。

・また、男女参画型の女性活躍推進研修も実施してまいります。

 

2 専門人財育成

・当社の海外売上高比率は50%を超えており、海外で働く機会も増えてきていることから、海外派遣要員の養成を目的として、海外語学研修(期間:半年)を行っています。

・2022年度より、「DX推進のための高度専門人財育成」として、サイバー大学に社員を数名派遣し、データーサイエンティスト等の育成を進めています。

<社員支援制度>

1 自己啓発支援

・個人のキャリア形成のために必要な自己啓発(e-ラーニング、通信教育、スクール(ビジネス・語学))や各種資格取得に関する支援(費用負担・奨励金支給)を充実させています。

 

 

当社グループの人財投資に関しては、特に2021年度よりその重要性を再度認識し、積極的な外部派遣や社内研修等を通じて、社員の総合的な力量向上に努めております。結果として、事業を俯瞰して観る力の向上や他社又は他部門との交流により様々な理論や成果を実感することで、各々に新たな気づきが生まれそれを実際の業務に活かせる機会となっています。引き続き積極的な取り組みを継続してまいります。

 

3)社員個々が「能力」を発揮できる職場環境整備に向けて

<社内環境整備方針>

「目指す姿」

・何事も「自分ごと」として捉え主体的に行動することで、挑戦意欲が高く且つ、心理的安全性の高い職場の構築

・全体最適の組織運営

<重点課題>(マテリアリティ項目)

・社員一人ひとりの業績や役割を反映させる人事考課とそれに見合う人事制度を再構築してまいります。

・失敗を恐れず、社員がのびのびと働ける職場環境を整備してまいります。

・制度と設備両面から快適な職場環境を整備してまいります。

・社会の変化に伴い多様化する働き方に対して、社内環境および制度を整備してまいります。

・労働安全衛生・健康経営

 社員およびその家族を含めた健康維持のために、各事業所・イチカワ健康保険組合・各産業医・臨床心理士が一体となって健康施策を推進してまいります。

 各事業所にある安全衛生委員会は職場の環境整備と社員向け情報発信および教育を通じて、労働災害ゼロを目指してまいります。

 

 

当社グループは、変化の激しい現代社会において、会社が持続的な企業価値向上を実現していくためには、そこで働く社員の意識改革が必要であると考えております。そのためには、時代にそぐわない悪しき社風や伝統から脱却し、新しい価値観を踏まえて、社員が変わっていくことで会社を変えていくことを目指しております。その入り口としては、「挑戦意欲が高く心理的安全性の高い職場の構築」のために、社内のコミュニケーション力向上施策の一つとして、2023年度に1on1ミーティングを導入するとともに、実施効果を維持・向上させるために1on1ミーティングスキル研修を定期的に行いながら、上司と部下双方向での情報や意見の交換を推進してまいります。又、2024年度に導入した「タレントマネジメントシステム」を活用し、人財に関するあらゆる情報を集約・蓄積してデータべ-ス化を行い計画的な人財育成体制の構築に繋げると共に教育面での進捗管理を行い、多様な人財を有する挑戦意欲の高い課題解決型の組織へと変容して行くことを目指します。

 

4)多様性の継続的な拡大に向けて

<人財多様性推進の目的>

変化が激しく不確実性が高い環境下において、持続的に企業価値を向上させるためには、同じ属性の画一的な社員集団では、限界があるため。

多様性は課題解決力向上のための必要条件であります。

①社会と共に成長するために:

・国際基準の人権感覚や環境重視の意識等を更に醸成してまいります。

②世界一の品質を実現するために:

・データおよびデジタル技術の力を使うことで、仕事のやり方を変えて、新たな価値が提供できるような会社に変えてまいります。

・それぞれの属性に縛られず、個の力を最大限に発揮できる心理的安全性のある職場環境を整備してまいります。  

③新事業の探索のために:

・従来にない発想と固有技術の化学反応による新事業探索を進めてまいります。

・「人々の生活を豊かにする」ためには、様々な生活者としての視点が求められ、多様な観点、価値観、経験値を持つ人、属性に囚われず活躍できる環境を提供してまいります。

 

 

 

 ④指標及び目標

 1)気候関連リスク・機会の管理に用いる指標

当社グループは、気候関連リスク・機会を管理するための指標については定めておりません。今後、必要な場合は指標の策定を検討してまいります。

2)温室効果ガス(CO2)の排出量推移

 

2013年度

2022年度

2023年度

2024年度

2030年度排出目標

2013年度比マイナス46%

Scope1 (t)

3,737

4,370

4,033

4,010

Scope2 (t)

5,556

0

0

0

合 計

9,293

4,370

4,033

4,010

前年比削減率 (%)

49.6

7.7

0.6

2013年度比削減率 (%)

基準年

53.0

56.6

56.8

 

a. Scope1(燃料の使用、生産プロセスで排出)

省エネ活動によるエネルギー使用量の削減

・生産工程の効率化

・高効率機器設備への更新(本社空調設備、柏工場ガスコージェネレーション設備)

・グリーン熱証書等の都市ガスの検討

b. Scope2(購入電気・熱の使用に伴う間接排出)

・2022年4月 CO2排出量ゼロ達成

・太陽光発電設備の稼働(岩間工場・柏工場)

・全事業所の購入電力にCO2フリー電力100%切替完了

c. Scope3(その他の間接排出量)

・購入した原材料、製品、製品輸送、当社事業から排出される廃棄物等に起因する温室効果ガス排出に関しては、関連事業者と協働して、削減策の取り組みを継続中。

 

3) 人財の多様性の確保を含む人財の育成に関する方針及び社内環境整備に関する指標

  上記「③戦略」において記載した、人財の多様性の確保を含む人財の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は次のとおりであります。

 a.社員個々の「能力」獲得に向けて

 

2020年度

2021年度

2022年度

2023年度

2024年度

人財開発・育成の総費用 (千円)

6,261

12,975

14,035

24,646

20,371

一人当たり研修投資額 (千円)

11

23

25

44

37

TOEIC700点以上社員数(累積)()

5

5

5

7

8

DX専門人財の育成実績(累積)()

0

0

2

2

3

ITパスポート保有者数(累積)()

0

6

18

89

112

統計検定4級合格者数(累積)()

0

0

0

125

161

 

 

 b.社員個々が「能力」を発揮できる職場環境整備に向けて

<快適な職場環境に関する数値目標>

当社グループは、2018年度より「企業風土改革」を念頭においた現状把握の手段として、「モラールサーベイ(従業員意識調査)」を2年毎に実施してまいりました。

 

 

大切にしたい企業風土

 

 

 

 

 

 

2018年度

2020年度

2022年度

2024年度

 

左表は、モラールサーベイにおいて、社員が「大切にしたい」及び「改善すべき」風土を3項目選択し、その集計結果からの各々上位3項目となります。当該項目をKPIとして設定し、改善施策を進めてまいります。

チャレンジ

46.7%

38.7%

37.1%

39.3%

 

現場第一主義

25.5%

26.9%

32.5%

36.7%

 

個性尊重

23.9%

29.0%

28.7%

36.5%

 

 

 

 

 

 

 

改善すべき企業風土

 

 

2018年度

2020年度

2022年度

2024年度

 

責任回避

28.9%

32.2%

31.7%

32.6%

 

現状維持

17.9%

18.7%

21.8%

20.9%

 

事なかれ主義

19.4%

20.2%

19.0%

18.7%

 

 

 

<労働安全衛生・健康経営に関する数値目標>

 社員の心身の健康を測定する一般的なガイドラインとして、下記3つをKPIに設定しておりますが、今後は「がん検診受診率」「人間ドック受診率」などに加え、全社的な禁煙活動を強化するために「イチカワ禁煙宣言」の告知等による当該項目のKPIを設定し、健康面での改善施策を進めてまいります。

 

 

健康診断に関する状況

 

 

 

 

 

2020年度

2021年度

2022年度

2023年度

2024年度

受診率

100%

100%

100%

100%

100%

特定健診の実施率

98.4%

98.7%

98.6%

98.9%

98.6%

特定保健指導の実施率

33.0%

23.5%

41.2%

44.0%

31.7%

 

 

ストレスチェックに関する状況

 

 

 

 

 

2020年度

2021年度

2022年度

2023年度

2024年度

受検率

98.7%

99.6%

99.1%

98.4%

98.1%

高ストレス者比率

16.6%

17.6%

19.0%

20.2%

22.5%

 

 

喫煙率

 

 

 

 

 

 

2020年度

2021年度

2022年度

2023年度

2024年度

喫煙率(40歳以上)

33.1%

33.0%

33.6%

33.7%

31.3%

 

 

 

<その他の働き方の制度整備の状況>

当社グループは、社員の子育てや介護への対応、仕事とプライベートなどワークライフバランスの取れた日常生活を送るための制度整備を進めてまいりました。今後も社会の変容に応じた制度整備を進めてまいります。

 

 

導入年度

制度

2018

テレワーク勤務制度、フレックスタイム制度

2019

メンター制度、カジュアルフライデー制度、在宅勤務手当、外勤手当、時差出勤制度

2024

年間休日日数の増加、インターバル勤務制度

2025

フレックスタイム制度を育児介護時短勤務者に適用

通院休暇の増加

 

 

c.多様性の継続的な拡大に向けて

多様性に関する状況

 

 

 

 

 

2020年度

2021年度

2022年度

2023年度

2024年度

経験者採用実績

2名

5名

4名

2名

3

女性総合職比率

22%

23%

24%

23%

26%

女性管理職数

2名

2名

2名

3名

3

障がい者雇用率

2.5%

3.1%

3.1%

3.1%

3.2%

 

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、本項における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

① 紙・板紙の生産動向

当社グループは、抄紙用具の専門企業として、国内外の製紙会社に製品を販売しておりますが、数量・金額ともに大きなウエイトを占める主要な販売先は国内製紙会社であります。したがって、主力製品の抄紙用フエルトや抄紙用ベルトの需要は、国内紙パルプ業界の紙・板紙の生産動向に大きく影響を受けております。紙媒体からデジタル化への変化が加速し、国内の新聞用紙及び印刷情報用紙需要が減少するリスクがあります。海外市場におきましては、価格競争の激化等といった事業環境の変化により収益性が低下するリスクがあります。

当社グループは、当該リスクに対し、国内外のお客様が求める高い水準のニーズに応えるため、自社製品を最適な組み合わせでご提案、ご提供できるよう全社一丸となって取り組んでまいります。また、お客様の抄紙機プレスパートの能力を最大化し、その提供を通じて、「省エネルギー、環境にやさしい紙づくり」に貢献いたします。

 

② 原材料

当社グループの主要原材料は石油関連素材であり、原油価格の高騰及び石油化学工業の生産動向等により原料コストや調達面で影響を受ける可能性があります。

当社グループは、当該リスクに対し、原材料の市場変動に柔軟に対応するため代替原料の検討や原料調達先の見直し等を国内外を問わず進めております。また、主原料に限らず、副資材においても、同様の取り組みを進めてまいります。

 

③ 為替相場

当社グループの海外売上高比率は前連結会計年度59.2%、当連結会計年度は60.5%となっており、為替変動のリスクを負っています。外貨建売掛金に対しては、先物為替予約により短期的な為替変動による影響を最小限にとどめる措置を講じていますが、中長期的に大幅な為替変動が発生した場合には、当社グループの業績、財務状況に影響する可能性があります。

また、在外連結子会社の現地通貨建の資産、負債及び収益、費用は決算時の為替レートにより、円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。

当社グループは、当該リスクに対し、米ドルやユーロ等の主要通貨については、為替予約により短期的な影響を最小限にするとともに、海外メーカーから生産設備等を購入する際に支払う一時金を想定し、外貨売上高の収入の一部は外貨預金として保有しております。

 

④ 金利

当社グループは、2025年3月末時点で、926百万円の有利子負債があり、中長期的に金利が大幅に上昇した場合には、当社グループの業績に影響する可能性があります。

当社グループは、当該リスクに対し、変化の激しい資金調達環境を注視してまいります。

 

⑤ 株価

当社グループは、2025年3月末時点で、主要な得意先や取引金融機関の株式など市場性のある株式を中心として投資有価証券を5,682百万円保有しており、これらの株価変動のリスクを負っています。同時点では4,017百万円の評価益を有しておりますが、今後の株価の動向次第でこの数字は変動します。

当社グループは当該リスクに対し、毎年、取締役会にて個別銘柄ごとに、保有目的、取引状況、当社のROEに与える影響、保有に伴う便益やリスクが資本コストに見合っているか等を精査し、検証を行っております。その結果、保有意義が乏しいと判断された銘柄につきましては、当社事業への影響を考慮し、先方との協議を十分に重ねたうえで縮減してまいります。

 

⑥ 自然災害等

地震・風水害など不測の自然災害が発生し、生産設備や交通手段等のインフラが大きな被害をうけた場合に、製造が休止あるいは遅滞することで、事業の遂行に多大な影響が及び、業績が確保できない可能性があります。

当社グループは当該リスクに対し、全社員が迅速かつ的確に対応し、人的被害並びに業務への影響を最小限にとどめるため、被害直後の復旧対応事項に関する手順を「事業継続計画書」に定めております。

 

   ⑦ その他のリスク

世界的な景気の減速により、当社の事業活動に係る生産体制、物流体制、営業活動等に支障が生じた場合、当社グループの業績に大きく影響を及ぼす可能性があります。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況は以下のとおりです。

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、個人消費の回復やインバウンド需要の拡大、雇用・所得環境の改善等により景気の緩やかな回復基調が見られる一方、米国の関税政策、ウクライナ情勢の長期化、中東情勢の緊迫等不安定な国際情勢の中でエネルギー価格及び原材料価格の高騰や継続的な物価上昇等依然として先行きが不透明な状況が続いております。

 当社グループの主要取引先であります紙パルプ業界の動向について、国内では、紙のデジタル化が引き続き進んでいることから、新聞用紙及び印刷情報用紙の需要は縮小しております。加えて、板紙等の需要も減少傾向が見られ、厳しい状況が続いております。一方海外では、アジア地域において通販市場の拡大に伴い板紙及び衛生用紙の需要はあるものの、新聞用紙及び印刷情報用紙は国内と同様に需要の減少傾向が続くと見込んでおります。

 当社では、早くから市場規模の大きな主要地域に進出し、グローバルな販売体制網構築による販売力強化でシェア拡大を目指してまいりました。コスト競争力を強化するべく抄紙用フエルトの生産体制の最適化に努めておりますが、品質面で世界的に評価されている衛生用紙向けベルトの積極的な拡販を指向し、ベルトの生産体制の見直しにも着手いたしました。

このような状況の中、国内抄紙用フエルトは需要減により販売数量は減少したものの、海外抄紙用フエルト及びベルトの増販に加え、為替が円安に推移した影響により、連結売上高は13,947百万円前期比2.5%増)、連結営業利益は1,072百万円前期比3.8%減)、連結経常利益は1,216百万円前期比4.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は782百万円(前期比23.2%減)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

<抄紙用具関連事業>

(日本)

内需につきましては、抄紙用フエルトはコスト上昇分を製品価格へ転嫁したものの、需要の減少により販売数量が減少いたしました。輸出につきましては、受注活動を推進したことにより販売数量及び金額が増加いたしました。

これに加え為替影響により、売上高は8,876百万円前期比4.5%増)、セグメント利益(営業利益)は2,723百万円前期比13.2%増)となりました。

(北米)

抄紙用フエルト及びベルトは、前年度における大手顧客の一部工場閉鎖及び生産集約の影響もあり販売数量が減少いたしました。

これにより売上高は1,653百万円前期比9.8%減)、セグメント利益(営業利益)は26百万円前期比53.6%減)となりました。

(欧州)

抄紙用フエルトは、家庭紙向け製品の拡販により販売数量が増加し、抄紙用ベルトも受注増により販売数量が増加いたしました。

これにより売上高は2,288百万円前期比3.2%増)、セグメント利益(営業利益)は138百万円前期比9.3%増)となりました。

(中国)

抄紙用ベルトは、新規顧客からの受注増により、販売数量は増加いたしました。

これにより、売上高は348百万円前期比41.0%増)、セグメント利益(営業利益)は69百万円前期比9.1%増)となりました。

(タイ)

抄紙用フエルト及びベルトは、新規顧客からの受注増により販売数量が増加いたしました。

これに加え為替影響により、売上高は335百万円前期比11.4%増)、セグメント利益(営業利益)は20百万円前期比42.6%増)となりました。

 

<工業用事業>

工業用フエルトは、需要回復遅れにより輸出向けの販売数量が減少いたしました。

この結果、売上高は444百万円前期比13.0%減)、セグメント利益(営業利益)は7百万円前期比87.4%減)となりました。

 

当連結会計年度末の総資産につきましては、前連結会計年度末に比べ224百万円増加し、29,466百万円となりました。これは主として建設仮勘定が412百万円、投資有価証券が402百万円増加した一方、現金及び預金が314百万円減少したことによるものであります。

負債につきましては、前連結会計年度末に比べ686百万円減少し、7,201百万円となりました。これは主として退職給付に係る負債が516百万円減少したことによるものであります。

純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ910百万円増加し、22,265百万円となりました。これは主として利益剰余金が445百万円、その他有価証券評価差額金が305百万円、退職給付に係る調整累計額が390百万円増加したことによるものであります。

 

 ② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は前連結会計年度末に比べ322百万円減少し、6,367百万円(前年度末比4.8%減)となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの増減要因は以下の通りであります。

<営業活動によるキャッシュ・フロー>

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益1,203百万円の計上非資金費用である減価償却費973百万円の計上法人税等の支払による支出550百万円などにより1,401百万円の収入前期比591百万円の支出増)となりました。

<投資活動によるキャッシュ・フロー>

投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出900百万円、無形固定資産の取得による支出174百万円などにより1,119百万円の支出前期比598百万円の支出増)となりました。

<財務活動によるキャッシュ・フロー>

財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払による支出336百万円、自己株式の取得による支出251百万円などにより622百万円の支出前期比50百万円の支出減)となりました

 

 ③ 生産、受注及び販売の実績

 1) 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

抄紙用具
関連事業

日本

7,222

106.3

北米

欧州

中国

タイ

工業用事業

288

103.9

合計

7,511

106.2

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

   2 金額は、製造原価によっております。

 

 2) 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

抄紙用具
関連事業

日本

8,588

98.9

3,134

93.4

北米

1,762

117.0

845

119.0

欧州

2,410

105.4

1,480

108.6

中国

118

32.6

116

51.0

タイ

301

87.5

73

73.9

工業用事業

464

102.1

276

101.5

合計

13,645

100.0

5,928

98.3

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 受注生産品以外に仕入商品があります。

 

 3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

抄紙用具関連事業

日本

8,876

104.5

北米

1,653

90.2

欧州

2,288

103.2

中国

348

141.0

タイ

335

111.4

工業用事業

444

87.0

合計

13,947

102.5

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容等

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 ① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

  1)経営成績等

  a.売上高

当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に対し2.5%増加13,947百万円となりました。国内売上高は、紙のデジタル化に伴う紙需要の減少によりフエルト販売数量は減少し、前連結会計年度に対し0.8%減少5,506百万円となりました。海外売上高は、フエルト及びベルトの増販に加え、為替が円安に推移したことにより、前連結会計年度に対し4.8%増加8,440百万円となり、海外売上高比率は60.5%となりました。

  b.売上原価、販売費及び一般管理費

当連結会計年度の売上原価は、ベルトの需要増に伴い生産体制を見直し、生産量が増加したことにより、前連結会計年度に対し265百万円増加7,931百万円となりました。販売費及び一般管理費は、海外売上高の増加に伴う輸送費等の増加により、前連結会計年度に対し121百万円増加4,942百万円となりました。

  c.営業外損益

当連結会計年度の営業外収益は、前連結会計年度に対し11百万円減少214百万円となりました。営業外費用は前連結会計年度に対し102百万円減少70百万円となりました。

  d.親会社株主に帰属する当期純利益

当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に対し236百万円減少782百万円となりました。また、1株当たり当期純利益金額は、前連結会計年度に対して46.25円減少し181.51円となりました。

 

  2)経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループは、2022年度から2024年度までの3年間を対象とする第7次中期経営計画(略称:“NE-24”)を策定し、事業活動を推進してまいりました。最終に当たる当連結会計年度の目標に対する実績は下記のとおりとなりました。

 

中期経営計画

 2025年3月期 計画

2025年3月期 実績

連結売上高

13,500百万円

13,947百万円

連結売上高営業利益率

6.6%

7.7

1株当たり当期純利益

122円76銭

181円51銭

 

第7次中期経営計画策定時と当連結会計年度を比較して、国内需要の減少による国内売上高の減少や原油価格の高騰による売上原価の増加などがある一方、為替は円安ドル高が進み海外売上高が増加するなど環境は大きく変わりました。当連結会計年度末においては、米国の関税政策の動向により世界経済が大きな影響を受ける情勢にあることや、中東地域での紛争などの地政学リスク、為替相場の見通しが不透明であることなど、今後は厳しい経営環境が続いていく見通しであります。

このような見通しの中、当社グループは、2025年度から2027年度までの3ヶ年を対象とする第8次中期経営計画(略称:“NE-27”)を策定いたしました。前中期経営計画 “NE-24” の経営目標を達成するために、諸施策を実行してまいりましたが、十分な成果に至らなかったことを真摯に受け止め、“NE-27” では「収益力の向上」、「グローバル市場での成長」、「事業基盤の強化」、「SDGsを含めた社会への貢献」を目的として「新領域への挑戦の3年」のスローガンを掲げ、新たな経営方針の下、活動を進めてまいります。

 

 

 ② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループは、製品売上等の営業活動により多くのキャッシュ・フローを得ており、現在及び将来にわたって必要な営業活動及び設備投資などに備えるために、自己資金のほか金融機関からの借入により資金調達を図っております。グループ会社の資金については必要に応じて当社より融資しております。また、グループ会社の金融機関からの借入について当社が債務保証を行っております。

 

これら営業活動及び財務活動により調達した資金については、事業運営上必要な流動性を確保することに努め、機動的かつ効率的に使用することで金融負債の縮小化を図っております。また、当社グループは、流動性を確保するため取引金融機関と当座貸越契約を締結しており、高水準で推移している現預金と併せ、中期経営計画で掲げた戦略投資を機動的に実施することが可能となっています。
 今後とも入出金の厳格な管理により「営業活動によるキャッシュ・フロー」の拡大を目指し、財務体質の向上に努めてまいります。

 

 ③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

5 【重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

当社グループの研究開発活動は、抄紙用具関連事業及び工業用事業ともに、優位化製品、新製品の開発及び技術開発を主体とし、また、環境に配慮したテーマをより多く取り上げて活動しております。
 抄紙用具関連事業の研究開発活動については、最新の市場動向や抄紙技術にお応えするため、新素材の応用、新樹脂、新加工法の開発及び基盤技術開発を主体に行っており、また、大学等との共同研究を通じた基盤技術力強化にも取組んでおります。

当連結会計年度につきましては、コストダウンにつながる抄紙用ベルトの製法改良・生産効率の改善や、製品競争力の強化を目的とした市場ニーズを先取りする抄紙用フエルトの新製品開発を中心に取組みました。
 なお、当連結会計年度中に支出した研究開発費の総額は324百万円です。