第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在(2025年3月31日)において当社グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは、次の使命を掲げております。

「創薬と医療技術の向上を支援し、人類を苦痛から解放する事を絶対的な使命とします。」

当社グループは、この使命の実現に向け、医薬品開発分野におきまして、網羅的に非臨床試験と臨床試験を受託できる研究機関として事業基盤の確立を図ってまいりました。半世紀を超えて長年培った研究実績や豊富な経験を活かして、最新の設備と確かな技術であらゆる疾患分野における医薬品開発のサポートを実施しております。

一方、科学技術の進展により、医薬品の開発環境は大きく変化します。このような新しい環境の変化にも迅速に対応し、世界に通用するビジネスモデルを構築して、当社の理念を共有でき優れた発想や卓越した才能を持つバイオベンチャーなどと共存共栄を図っていくTR事業にも積極的に取り組んでまいります。

社会貢献と企業価値の極大化を経営の基本方針として、株主、顧客、取引先、従業員等すべてのステークホルダーの期待に応えるべく努力を重ねてまいります。

 

(2)目標とする経営指標

当社グループは、企業価値を向上させるため、各事業の創出する利益を極大化することを重視し、営業利益、経常利益の増大および利益率の改善を経営目標にしています。また資本収益性の指標についてはROE(自己資本利益率)とROIC(投下資本利益率)を重視し、取締役会での報告事項としております。さらに、資本コストを意識した経営を実践すべく、資本コストを上回るROEとROICの維持・向上を図るとともに、財務健全性の維持と株主還元のバランスの最適化に努めています。2025年3月期の業績をもとにした資本コストは4.8%と試算しております。β値は直近5年間の週次データをもとに0.94と算出しています、2025年3月期のROE13.3%、ROIC10.4%は、いずれも資本コストを上回っています。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

当社は2022年10月に「統合報告書」を発行し、その中で当社の展望として「2028Vision」を掲げ、2028年度の財務KPI(目標)として「売上高500億円、経常利益200億円、売上高経常利益率40%、配当性向30~40%」としました。さらに2023年11月発行の「統合報告書2023」において、重視する資本収益性の指標としてROEとROICを加え、2028年度の財務KPIとして、「ROE10%以上」「ROIC10%以上」を設定しました。これは現在の基幹事業であるCRO事業が引き続き業績をけん引するという考えを基に作成しております。具体的には、第1の成長エンジンである実験用NHPを用いた非臨床事業、第2の成長エンジンである新日本科学PPDで実施している国際共同治験(Global Study)の受託による臨床事業の2つのエンジンが引き続き収益をけん引することを前提としていますが、中長期的には当社が独自に開発したSMARTによる経鼻医薬品が第3の成長エンジンになるように注力してまいります。簡単に真似のできないビジネスモデルによる成長エンジンを拡大および増加させることで持続的成長を推進する経営戦略を進めてまいります。

 

(4)経営環境

医薬品業界は、国内外において研究開発のスピードアップと費用の効率化ならびに規制当局への対応簡素化を期待してCRO(Contract Research Organization:医薬品開発業務受託機関)へのアウトソーシング(外部委託)の動きが引き続き活発化しております。加えて核酸医薬、次世代抗体医薬、ペプチド医薬、遺伝子治療、細胞治療、再生医療などの新規創薬モダリティ(治療手段)の研究開発が本格化してきています。当社はこれら新しいタイプの治療薬の開発で需要が高まっている実験用NHPにCROで世界唯一、自社グループ内における繁殖・供給体制を構築できている強みを持ち、実験用NHPにおける豊富な実績と知見をもとに、顧客の開発パートナーとして開発戦略に最適な非臨床試験をパッケージで提案、試験受託できることがグローバルベースでの高い評価につながっています。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

こうした中で、当社グループが対処すべき課題は次のとおりです。

① CRO事業の更なる強化

医薬品業界では、国内、海外問わず、ワクチン開発、治療薬開発が急速に進んでおります。また、昨今の医薬品開発において、低分子医薬から抗体医薬・核酸医薬、さらに再生医療・遺伝子治療へと創薬モダリティの多様化に伴う医薬品開発難度の上昇に起因する医薬品の研究開発費増加が進み、迅速かつ質の高いCROへのアウトソーシングのニーズが高まっております。こうした中、次のような観点からCRO事業の強化を図ってまいります。

サービス拡充という観点からは、ワクチン並びに感染症治療薬開発にCROとして参画するとともに、従来型の安全性試験に加え、候補化合物選定のための創薬スクリーニングから臨床試験に至るまで一貫して開発に必要な試験を受託することで、開発者側の視点に立ったより付加価値の高いサービスを提供することを目指します。東南アジアでの当社グループ施設の実験用NHP繁殖体制を強化すると共に、国内でも十分な規模の繁殖体制を確立させ、輸入リスクの軽減と品質向上を目指しております。

また、上述した創薬モダリティの多様化が進む中、新規安全性評価システム(New Approach Methodologies: NAMs)として期待されているMPS(Microphysiological System:生体模倣システム)の受託のための専用実験室も設置し、国内CROとして初めて受託サービスを開始しております。今後も常に業界の動きにいち早く対応した幅広いサービスを提供してまいります。

オペレーションの観点からは、作業工程におけるロボット化や自動化等のDX推進による内部業務プロセスの見直しと改善を進め、新たな時間的価値創出を目指すGENJIプロジェクトと名付けた社内活動などによる業務革新、コストの削減、試験の早期開始などに努めるとともに、年々需要が高まっている新規創薬モダリティ医薬品開発に不可欠な実験用NHPのサプライチェーンマネジメントについても、日本・中国・カンボジアのグループ関連施設における検疫・繁殖・育成能力をそれぞれ増強することにより、リスク分散を図りつつ今後の事業成長に必要な品質の高い実験動物を安定的に確保できる体制を構築していきます。また、非臨床事業の大型受注に対応できる体制構築を主目的として2022年12月に建設着手した鹿児島本社敷地内での新社屋・研究棟の建設は、計画通り2024年5月末に竣工、本格的に稼働を始めました。NHPを使用する実験室の増設も進めております。

人財育成という観点からは、若手研究員を中心にサイエンスレベル向上に注力してまいります。顧客に対してより効果的で効率的な試験を提示できる提案型CROを目指しており、国内外の複数の学会において研究成果の発表及び論文発表を行っております。

 

② 第3の収益エンジンとしてのTR事業の推進

TR事業では、当社グループの医薬品開発における機能、経験とネットワークに、独自の知的財産に基づく基盤技術を加えることで、創薬型の医薬品開発事業へとパラダイムシフトするという戦略に基づき、次の複数のプロジェクトに取り組んでまいります。

当社のTR事業が有する経鼻投与基盤技術(SMART:Simple MucoAdhesive Release Technology)の応用性評価を行うためのフィージビリティ試験や応用領域の拡大を図るための拡張技術研究に基づいて、経鼻吸収による全身作用を企図した複数の候補化合物の新規事業化をこれまで進めてまいりました。併せて、高い噴射性能と利便性を併せ持つ、独自の経鼻投与デバイスも開発し、さらなる改良を重ねております。未充足医薬品市場を確実に捉え、SMARTのフィージビリティ試験を繰り返すことによって、経鼻吸収による全身作用を企図した候補化合物について絞り込みを行った結果、経鼻神経変性疾患レスキュー薬を臨床開発段階へと進展させました。現在、その開発は、本剤の開発権をライセンスアウトした連結子会社のSNLD社が引き継いでおり、2024年1月に臨床第2相前期試験における患者様への投薬を完了しました。また、更なる利便性向上を企図した、TR-012001の改良開発品(TRN501)についても2024年8月に臨床第1相試験における日本人健康成人への投薬を完了し、データ解析と総括報告書の作成を進めており、国内外での学会発表を計画しています。

また、連結子会社のSatsuma社では、当社からライセンスを受け米国で開発した経鼻片頭痛薬「Atzumi™」(開発コード:STS101)が2025年4月30日(米国時間)にFDAの販売承認を取得しました。現在Satsuma社は、SMARTを応用した製品第一号としての上市を目指し、パートナー候補企業と契約締結に向けた活動を進めております。

さらに、経鼻ワクチンに関する研究については、呼吸器感染症の流行を抑制し得る新規経鼻ワクチンを世界に先駆けて開発することを目的として、2023年1月に近畿大学生物理工学部と共同研究契約を締結し、さら同年4月には近畿大学名誉教授・医学部客員教授の宮澤正顯(まさあき)氏をトップに擁し当社TR事業本部 経鼻粘膜ワクチン研究開発センターを立ち上げました。経鼻ワクチンの研究においては、ワクチンの効果を高めるためのアジュバント製剤に関する研究にも取り組んでおり、今後、その研究開発を推進するために、ワクチン開発会社や研究機関との更なる連携体制構築を目指してまいります。まず製剤研究とデバイスの改良をベースに非臨床POCの取得にのぞみ、事業化を目的とした早期の臨床試験入りを目指してまいります。

一方、Gemseki事業では、これまで推進してきたグローバルな創薬シーズ・技術のライセンス仲介事業を推進すると共に、同社を無限責任組合員としたファンドによる投資事業を活発化しております。当社との事業シナジー創出に向けた検討を進めるとともに、国内外の顧客に対し、当社グループが保有する豊富な創薬経験とグローバルネットワークを活用した開発支援サービスを幅広く提供してまいります。

 

③ SDGs/ESGへの取組みを通した非財務価値の向上

当社は「環境、生命、人材を大切にする会社であり続ける」の理念のもと、企業の持続的成長にサステナビリティ推進の取組みが重要であると強く認識し、持続可能な社会の実現に貢献しています。

当社グループ全体のサステナビリティの取組みを中長期的な視野で体系的に拡充し推進させていく目的から、当社取締役会の任意の諮問機関として「SDGs委員会」を設置し、毎月開催しています。SDGs委員会は独立社外取締役を委員長として、サステナビリティに関する重要な案件について審議・策定しています。取締役会ではSDGs委員会からの報告を基に、サステナビリティに関する基本方針や重要事項を決定の上、社内で取組みに関する監督が適切に図られるよう体制を整えています。

持続的な企業価値の向上に向けて、事業を通じた「社会課題の解決」及び「経営基盤の強化」の視点から、7つのマテリアリティを特定しています。マテリアリティの特定にあたっては、当社の将来ありたい姿を踏まえて、社会課題及び社会からの要請に対する、当社へのリスク・機会を検討の上、抽出しました。そのうえで、マテリアリティごとに非財務KPIを設定し非財務価値向上に取り組んでいます(https://ssl4.eir-parts.net/doc/2395/ir_material5/243035/00.pdf)。

 

 

マテリアリティ

主な機会

主なリスク

社会課題の解決

創薬と医療技術向上の支援

(医薬品アクセスの向上)

・新たな創薬モダリティの開発加速による非臨床試験の需要増加

・製薬企業のCROへのアウトソーシング化の加速

・顧客ニーズへの対応力不足による信用力の低下

・次世代の非臨床試験技術への対応の遅れによる競争力の低下

健康な人生の提供

(ウェルビーイングな暮らし)

・超高齢化社会に伴う社会保障費増加による健康寿命の延伸、未病ニーズの拡大

・リアルワールドデータ(RWD)の利活用による新規市場の獲得

・ウェルネスプログラムにおける消費者ニーズ とのミスマッチ

・RWDの利活用システムの開発・整備や制度変更への対応の遅れによる市場獲得の失敗

美しい地球環境の保全

・カーボンニュートラル実現に寄与する地熱発電(再生可能エネルギー)の事業機会の拡大

・異常気象に適応できる事業体制の強化

・気候災害の激甚化による被害の発生

・環境規制強化による対応費用の増加

経営基盤の強化

働く楽しさを実感できる

組織づくり

・優秀な人材の獲得の機会

・働きがいのある職場環境の整備を通じた社員の生産性、モチベーションの向上

・人材獲得競争激化によるコストの増加

・職場環境の整備不足による優秀な人材の流出、生産性・モチベーションの低下

DX/RPA*推進による

ビジネスの進化

・業務生産性、顧客とのコミュニケーション  レベルの向上

・単純作業から解放された社員のモチベーションの向上

・DX対応失敗又は遅れによる競争力の低下

・ニッチなニーズ対応に伴う費用の増加

ステークホルダー

エンゲージメントの向上

・ステークホルダーとの関係強化による新規事業機会の獲得、信用度の向上

・持続可能な調達体制の構築による災害時等に おけるレジリエンス(回復力)の向上

・事業活動、サプライチェーンの広域化による、モニタリングコストの増加

・事業環境の変化に適切に対応出来ない場合に 発生する事業遅延や信用力の低下

企業理念を実現する

ガバナンスの構築

・強固なガバナンス体制を確立することによる 安定的な事業基盤の構築

・ESGを中心とした社外評価の向上

・内部統制の脆弱性による事業継続リスクの  発生、予期せぬ損失の発生

・コンプライアンス違反による企業信頼度低下

*Robotic Process Automationの略。ソフトウェアロボットやAIを活用し、人が行っていた定型的な業務を自動化すること

 

 

④ 優秀な人材の確保と育成

当社グループの事業継続及び拡大にあたっては、各分野における専門的な知識・技能を有する技術系研究員等の人材を多数確保する必要があります。また、クラウド化、AIなどのデジタル技術の発展やオンライン化によるビッグデータの獲得・活用など、IT技術が急速に浸透している中、変化する経営環境に適応するためのマネジメント能力を備えた人材を必要としています。当社グループの競争力を強化する上で最も強く求められるのは、顧客から高く評価される質の高いサービスの提供であり、これを実現するためには優秀な人材の確保とレベルアップが必要であります。

こうした人材の確保や教育研修のために、当社では新卒採用を強化し、社内教育機関の「SNBLアカデミー」を中心として、職種、職位に応じた研修を最重要課題として取り組んでおります。また、女性が社員の過半数を占める当社では、女性活躍に注力しており、産休・育休からの復帰も100%の状況となる中、引き続き女性の管理職登用数の増加に努めてまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

(1)サステナビリティ共通

「環境、生命、人材を大切にする会社であり続ける」と掲げた企業理念を経営判断の根底としています。企業の持続的成長にサステナビリティ推進の取組みが重要であると強く認識し、持続可能な社会の実現に貢献します。当社の使命である「創薬と医療技術の向上を支援し、人類を苦痛から解放する」ことを念頭に、事業活動を通して経済的価値および社会的価値を創出する会社を目指すことを2028Vision「ステークホルダーに寄り添い、幸せの連鎖を創造する」として掲げています。

サステナビリティの推進にあたっては「新日本科学サステナビリティ基本方針」を基軸とし、社員一丸となって取組みを進めています。

 

<新日本科学サステナビリティ基本方針>

1.マテリアリティの特定と事業を通じた環境・社会課題の解決

自社の財務的影響に加えて、環境・社会的影響を考慮したダブルマテリアリティの考え方に基づき、事業を通じて環境・社会課題の解決に貢献することで、持続的な企業価値の向上を目指します。

 

2.ステークホルダーとの双方向の対話を通じた信頼の獲得

積極的かつ公平な情報開示に努め、ステークホルダーとの双方向の対話を通じて、社会からの要請に応えていくことで、信頼される企業を目指します。

 

3.サステナビリティの社内浸透

社員へのサステナビリティ教育を促進し、社員一人ひとりがサステナビリティ推進を実践しています。

 

 

① ガバナンス

当社グループは、各事業活動の意思決定にサステナビリティに関するリスク・機会を組み込んでいます。グループ全体のサステナビリティへの取組みを中長期的な視野で体系的に拡充し推進させていく目的から、当社取締役会の任意の諮問機関としてSDGs委員会を設置しています。

SDGs委員会は毎月開催され、取締役会の監督・助言のもと、サステナビリティに関するリスク・機会やマテリアリティ(重要課題)の特定、サステナビリティに関する方針および戦略、非財務KPI・目標の設定等について審議しています。

取締役会ではSDGs委員会からの報告を基に、サステナビリティに関する基本方針や重要事項を決定の上、社内の取組みに関する監督が適切に図られるように体制を整えています。また、取締役会にて決定した方針や戦略は、各組織の目標に落とし込まれ、活動の結果が取締役会にフィードバックされる仕組みを構築しています。

 

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② 戦略

2028Visionの達成に向け、当社グループが対処すべき経営上の重要課題を「マテリアリティ」と定義しています。マテリアリティの特定プロセスに従って、2022年に「事業を通じた社会課題の解決」と「社会要請に応える経営基盤の強化」の両観点から7つのマテリアリティを特定しています。2028Visionの達成を目指すことはマテリアリティと関連性の深いSDGsの達成にも貢献するものです。

 

 

 

<マテリアリティの特定プロセス>

STEP1 社会課題・社会要請の把握と集約

 各種ガイドライン(SDGs、GRIガイドライン等)や、ESG評価機関の指標、日本政府のガイドラインなどを参考に、事業を通じて解決する「社会課題」および経営基盤の強化に向けた「社会要請」を洗い出し、類似項目の整理や当社への関連性を加味し30項目に集約。

STEP2 重要なステークホルダーの特定

 各事業部を交えて当社の重要なステークホルダーを特定するとともに、ステークホルダーからの期待・要請を整理。

STEP3 優先度の高い課題・要請の抽出

 当社の将来ありたい姿を踏まえて、30項目の「社会課題」および「社会要請」に対する、当社へのリスク・機会を検討の上、優先度の高い課題・要請をマテリアリティ候補として抽出。

STEP4 マテリアリティと機会・リスク・KPIの特定

 抽出したマテリアリティ候補について、機会・リスク・目指す姿を整理の上、重要な7項目をマテリアリティとして特定。

 

<特定した7つのマテリアリティ>

事業を通じた社会課題の解決

マテリアリティ

社会課題

当社の取組み

創薬と医療技術向上の支援

(医薬品アクセスの向上)

製薬企業の研究開発パートナーと成り得るCROの不足

 

世界的な実験用NHPの不足に伴う医薬品開発の遅れ

 

ドラッグラグによる地域間における医薬品アクセス格差

他社では実施困難な技術および評価系を保有し、自社グループ内での実験用NHPの繁殖・供給体制を構築することで、顧客のニーズに迅速に対応できる体制を整えています。

 

世界約50か国に拠点を持つPPDグループとJVを組み、国際共同治験を実施することでドラッグラグの解消に貢献しています。

健康な人生の提供

(ウェルビーイングな

暮らし)

高齢化社会に伴う社会保障費の増加

ウェルビーイングをコンセプトとした2つのホテル事業を通して、ウェルビーイング体験を提供しています。

美しい地球環境の保全

気候変動における世界的な対応の遅れ

 

自然資本喪失に伴う経済的損失の拡大

 

絶滅危惧種ニホンウナギの生態系サービス損失の恐れ

地熱発電所および温泉発電所を運営し、再生可能エネルギーの普及に貢献しています。

 

当社保有の約100万坪(330ha、指宿市)の森林を保全しています。

 

シラスウナギの人工種苗研究に成功し、ニホンウナギの大量生産にむけた準備を進めています。

社会要請に応える経営基盤の強化

働く楽しさを実感できる

組織づくり

人的資本への投資

 

 

社員の働きがい向上による生産性の向上

 

社員の健康管理と積極的な疾患予防体制の構築

当社独自の人財育成機関であるSNBLアカデミーを設立し、新入社員から管理職候補社員まで幅広い層に向けた育成プログラムを展開しています。

 

LGBTQ+の理解を深め、性別に関係なく誰もが働きやすく活躍できる職場を構築しています。

 

医師でもある代表取締役社長自身が最高健康責任者(CHO)を兼務し社員の健康管理を実践しています。

DX/RPA推進によるビジネスの進化

DX実現による2025年の崖の克服

 

DXを実現する人材の育成

全社横断的にDX人材育成に取り組んでいます。

 

紙原本での品質管理が主流であるCRO業務において、紙記録から電磁的記録への変更、業務工程の見直しにより紙の使用枚数削減を目的としたプロジェクトを実施しています。

ステークホルダー

エンゲージメントの向上

ステークホルダーとの信頼関係・パートナーシップの構築

 

サプライチェーン全体でのサステナビリティの強化

 

株主・投資家との双方向のコミュニケーションの促進

お客様からのフィードバックを活かし、顧客満足度の向上に取り組んでいます。

 

ビジネスパートナー行動規範を策定し、サプライチェーン全体でサステナビリティの実践に取り組んでいます。

 

IR広報ブログ、統合報告書、ESGデータブックの発行を通して、当社の取組みを分かりやすい形で発信しています。

企業理念を実現する

ガバナンスの構築

コンプライアンスの強化

 

透明性の高い経営の実現

監査役会、会計監査人の機関を設置し、1/3以上の独立社外取締役を選任することで取締役会の監査・監督機能を強化しています。

 

e-learning形式のコンプライアンス研修を毎月実施することで、社員のコンプライアンス意識の向上を図っています。

 

 

③ リスク管理

2022年に特定した7つのマテリアリティごとの機会とリスクを整理し、2023年に7つのマテリアリティごとにサブマテリアリティ、指標および目標を設定しました。

 

<マテリアリティごとの主な機会とリスク>

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<サブマテリアリティ、指標および目標>

マテリアリティごとのサブマテリアリティ、指標および目標の詳細については、「④指標と目標」を参照してください。

 

<リスクマネジメント>

事業活動に関する社内外の様々な不確実性を適切に管理し、経営戦略や事業目的を遂行していく上で、リスクマネジメントが不可欠なものと認識しています。リスクマネジメントにおいては、当社および各ステークホルダーの損失を最小化することを目的に、事業領域および全社共通領域の2つの観点から、経営に著しく影響を及ぼす可能性があると判断された主要なリスクを特定する体制を整えています。リスクが発現した場合には、被害の最小化と速やかな回復を図る措置を講じ、問題の早期解決にあたります。

リスクマネジメントの遂行体制としては、取締役会がリスクマネジメントに関する経営者の職務の執行が有効かつ効率的に行われているか監督・助言する役割と責任を担っています。

経営に著しく影響を及ぼす可能性があると判断された主要なリスクについては、経営会議においてリスクマネジメント方針を策定し、その方針が執行役員会議を通して、全社に共有されます。各担当部門においては、規制・ガイドラインの整備、研修の実施、マニュアルの作成・配布等を行うことで、リスクが発現した場合の被害の最小化と速やかな回復を図る体制を整えています。

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<気候変動分野のリスク管理>

気候変動分野のリスク管理については、「(2)気候変動対応」を参照してください。

 

<人的資本分野のリスク管理>

人的資本分野のリスク管理については、「(3)人的資本経営」を参照してください。

 

<動物福祉に係るリスク管理>

「動物福祉への考え方と取組み」を制定し、当社WEBサイト上の専用ページに開示しています。(https://www.snbl.co.jp/esg/policies/)

国際的に普及している動物実験の基本理念である「3Rの原則;Replacement(代替法の利用)、Reduction(動物利用数の削減)、Refinement(苦痛の軽減)」に則り、動物の生理、生態、習性などを十分に配慮した適正な動物の飼育・管理を行っています。さらに動物に対する感謝の念をもって科学上の利用に努めています。

IACUC(Institutional Animal Care and Use Committee:動物実験委員会)を設置し、定期的に関連法令、基準、指針、ガイドラインなどへの適合性について、施設および実験の実施状況を調査しています。

職員には、業務に従事する前に動物福祉に関する法令や動物の健康管理、取扱いの教育訓練の受講を義務付け、定期的な継続研修を実施しています。

第三者評価として、2011年に国際的な認証機関であるAAALAC Internationalによる認証を取得しています。現在、当社グループの動物飼育施設はいずれも定期的に訪問調査を受け、認証を更新しています。

 

 

<AAALAC Internationalについて>

AAALAC International(国際実験動物ケア評価認証協会)は、動物のケアと使用プログラムに関して「実験動物の管理と使用に関する指針(the Guide)」等の指針に基づく評価認証を行う、唯一の国際的な第三者機関であり、現在、52の国と地域で1,140以上の組織が同機関の認証を受けています。

 

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④ 指標および目標

 

<サブマテリアリティ、指標および目標>

1.創薬と医療技術向上の支援(医薬品アクセスの向上)

サブマテリアリティ

指標

目標

非臨床試験における時間価値の創出

・非臨床試験のリードタイム短縮

・FY 3/2026:最短6週間での最終報告書草案の提出

ダントツのCROに向けたサイエンス力の向上

・学会/論文発表会

 

・資格の取得

・FY 3/2029:学会発表40回/論文発表13報

・FY 3/2029:DABTの取得人数10名

アンメットメディカルニーズへの

貢献

・当社の経鼻製剤投与プラットフォーム技術を活用した経鼻剤の承認件数

・FY 3/2031:2件以上

バイオベンチャーのサポート

・Gemseki事業での組成ファンド数

・FY 3/2029:3本

* Diplomate of the America Board of Toxicology

 

2.健康な人生の提供(ウェルビーイングな暮らし)

サブマテリアリティ

指標

目標

ウェルビーイングの実現

・従業員満足度調査

 

・従業員エンゲージメント調査

・実績管理

 

・実績管理

おもてなしマインドの向上

・顧客満足度調査

・実績管理

 

3.美しい地球環境の保全

サブマテリアリティ

指標

目標

カーボンニュートラルの実現

・Scope1&2&3

 

・SNBLカーボンニュートラル指標

 

・CO₂環境効率

 

・再生可能エネルギー生産量

・実績管理

 

・FY 3/2031:ネットゼロ

 

・FY 3/2031:50%改善(FY2020基準)

 

・FY 3/2029:3,000万kWh

サーキュラーエコノミーへの移行

・水環境効率

 

・水資源の再利用率

・実績管理

 

・実績管理

ネイチャーポジティブへの移行

・完全養殖ウナギの生産数

・FY 3/2027:年間10万尾

* 新日本科学単体

 

4.働く楽しさを実感できる組織づくり

サブマテリアリティ

指標

目標

ダイバーシティ・エクイティ&

インクルージョンの推進

・管理職に占める女性の割合

 

・社員の育児休暇取得率

・FY 3/2029:30%以上

 

・FY 3/2029:100%の継続

人的資本経営の推進

・一人当たりの研修時間数

 

・読書週間の浸透※1

・実績管理

 

・実績管理

健康経営の推進

・SNBL健康経営推進指標(10項目)

・FY 3/2027:各指標の目標達成※2

社員と会社の共成長

・従業員満足度調査

 

・従業員エンゲージメント調査

・実績管理

 

・実績管理

*1 年間読書量7冊以上の社員割合

*2 当社ウェブサイト参照 (https://ssl4.eir-parts.net/doc/2395/ir_material5/238989/00.pdf)

 

5.DX/RPA推進によるビジネスの進化

サブマテリアリティ

指標

目標

試験データのデジタル化

・紙資源の削減枚数

・FY 3/2024:120万枚削減

(FY 3/2022基準)

 

 

 

 

6.ステークホルダーエンゲージメントの向上

サブマテリアリティ

指標

目標

顧客利益の最大化

・顧客満足度調査

・実績管理

取引先との成長の共有

・評価された主要サプライヤーの

割合

・実績管理

株主価値の向上

・投資家ミーティング件数

・実績管理

 

7.企業理念を実現するガバナンスの構築

サブマテリアリティ

指標

目標

取締役会の機能向上

・取締役および監査役の取締役会

出席率

・実績管理(80%以上を維持)

公正な事業活動の推進

・コーポレートガバナンス・コードへの適合

・実績管理(100%以上を維持)

コンプライアンスの遵守

・コンプライアンス行動指針研修の実施回数

・実績管理

 

 

(2)気候変動

① ガバナンス

各事業活動の意思決定にサステナビリティに関するリスク・機会を組み込んでいます。グループ全体のサステナビリティへの取組みを中長期的な視野で体系的に拡充し推進させていく目的から、当社取締役会の任意の諮問機関としてSDGs委員会を設置し、毎月開催しています。

環境に関するリスク・機会については、SDGs委員会の下部組織である環境委員会で議論しています。環境委員会の委員長はサステナビリティ担当役員が務めており、気候変動分野における取組み状況や課題、投資判断などを、持続的成長に欠かせない重要なテーマと位置付けて審議しています。審議内容はSDGs委員会に報告されるとともに、SDGs委員会から必要に応じて取締役会へも報告されています。

非財務目標の一つとしてGHG排出量目標を設定すると同時に、事業年度毎に予実管理を行っています。集計した各拠点における環境パフォーマンスデータを分析し、PDCA管理に活用しています。

 

② 戦略

環境関連リスクおよび機会の特定/評価は、当社取締役会の任意の諮問機関であるSDGs委員会の下部組織である環境委員会が中心となって実施しています。環境委員会の委員長はサステナビリティ担当役員が務めています。

 

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<気候変動のシナリオ定義>

IPCC(国連気候変動に関する政府間パネル)第6次報告書で報告された2つのSSP(共通社会経済経路:Shared Socio-economic Pathways)シナリオの中で、SSP3-7.0(4シナリオ)およびSSP1-1.9(1.5シナリオ)を参考にシナリオを作成しています。 その結果、移行リスクと物理的リスクとして以下のリスク・機会を特定しています。

 

<移行リスク>

・2030年に炭素税(130USD/t-CO2)導入による費用の増加

・SBT取得失敗による顧客からの受注の減少

・既存の化石燃料から低炭素エネルギーへシフトするためのインフラ整備コストの増加

・ESG対応に消極的と評価されることによる投資家を中心としたステークホルダーからの評価の低下

 

<移行機会>

・SBT取得など積極的に気候変動課題に対応することで顧客からの受注獲得

・ESG対応に積極的に取組むことでステークホルダーからの評価の向上

 

<物理的リスク>

・平均気温の上昇による農作物の収量低下に伴う、原料調達コストの増加

・降水や気象パターンの変化による井水の水質の悪化

・海面の上昇による操業の一時停止、移転リスク

・気象災害の激甚化による操業の一時停止リスク

・気象災害の激甚化により一定期間、物流やインフラが遮断されるリスク

・サプライヤーの被災による原材料の調達が一時的に停止するリスク

 

③リスク管理

環境関連のリスク・機会は年に1度の頻度で評価しています。取締役会の諮問機関であるSDGs委員会の下部組織である環境委員会が中心となり、各事業および拠点の責任者と共に評価しています。特定されたリスク・機会の影響度はリスクマップに落とし込むことで評価しています。リスクマップは事業への影響度とリスクマネジメントレベルの2軸で策定しています。

特定した機会・リスクを各事業・拠点毎に定量・定性的に評価しています。環境委員会と各事業および拠点の責任者で年に1回の頻度で評価内容を見直しています。本評価は当社の全事業、全拠点を対象として実施しています。

 

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④ 指標と目標

2021年10月にパリ協定目標に即し、2030年までに国内単体の自社事業活動におけるScope1およびScope2排出量をネットゼロとする「カーボンニュートラル目標」を宣言しました。

なお、温室効果ガス削減目標については、2025年度中にSBT(Science based targets,科学的根拠に基づいた温室効果ガス排出量削減目標)認証の取得を目指しています。

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<当社グループのScope1、2排出量>

※この有価証券報告書提出日においては、掲載されている情報は2024年3月期の実績となります。

 

対象範囲

単位

2023年3月期

2024年3月期

Scope1

連結ベース

t-CO2

5,389

5,452

Scope2(マーケットベース)

連結ベース

t-CO2

9,234

11,895

Scope1&2

連結ベース

t-CO2

14,623

17,347

算定方法:温室効果ガス排出量=購入電力量×調整後排出係数+Σ(燃料使用量×排出係数)

利用した排出原単位:地球温暖化対策の推進に関する法律に基づく算定・報告・公表制度における算定方法・排出係数一覧

 

<当社のScope3排出量>

※この有価証券報告書提出日においては、掲載されている情報は2024年3月期の実績となります。現時点において当社単体の実績値をもとに記載しております。将来的には連結ベースでの開示に向けて、情報収集体制やガバナンスの整備を進めております。

 

対象範囲

単位

2024年3月期

Cat.1 購入した製品・サービス

単体ベース

t-CO2

14,480

Cat.2 資本財

単体ベース

t-CO2

7,411

Cat.3 Scope1、2に含まれない燃料及びエネルギー関連活動

単体ベース

t-CO2

2,072

Cat.4 輸送、配送(上流)

単体ベース

t-CO2

400

Cat.5 事業から出る廃棄物

単体ベース

t-CO2

23

Cat.6 出張

単体ベース

t-CO2

169

Cat.7 雇用者の通勤

単体ベース

t-CO2

560

Cat.8 リース資産(上流)

単体ベース

t-CO2

0

Cat.9 輸送、配送(下流)

単体ベース

t-CO2

0

Cat.10 販売した製品の加工

単体ベース

t-CO2

0

Cat.11 販売した製品の使用

単体ベース

t-CO2

0

Cat.12 販売した製品の廃棄

単体ベース

t-CO2

0

Cat.13 リース資産(下流)

単体ベース

t-CO2

1,830

Cat.14 フランチャイズ

単体ベース

t-CO2

0

Cat.15 投資

単体ベース

t-CO2

0

Scope3 総量

単体ベース

t-CO2

26,945

 

(3)人的資本経営

① ガバナンス

人財こそが企業価値向上の源泉であり、他社との差別化を実現する基盤であると位置づけています。マテリアリティの一つとして「働く楽しさを実感できる組織づくり」を掲げ、総務人事本部長を責任者とする人財戦略の推進体制を構築。人財に関する主要な施策は経営会議において定期的に討議・決議されています。

また、健康経営の推進においては、医師資格を持つ代表取締役社長(CEO)が最高健康責任者(CHO)を兼務し、専任部署である健康管理課および総務人事本部を中心に健康増進施策を展開しています。健康経営に関する重要事項や従業員の健康データに関する報告は、常勤役員を含む課長級以上の管理職が出席する「経営理念会議」において毎月共有されており、必要な施策を迅速に講じる体制を整えています。

 

② 戦略

「人材」を社会の財産である「人財」とするために、人財戦略Vision「社員と会社が共に成長し、幸せの連鎖を創造する組織」を掲げています。従業員の個性を尊重し、社員の生きがい・働きがいを向上させることで、社員一人ひとりの夢の実現を応援しています。また、社員一人ひとりが会社の一員として連帯感を持ち、それぞれの適性を活かして能力を発揮し、弱みを補完でき感謝し合う組織を構築しています。

当社の理念に共感する多様な人財が集まり、当社で働くことを通して自己実現を達成するとともに、幅広いステークホルダーの皆様への価値を創出する、この好循環を推し進めていきます。

 

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<働きやすい環境の整備>

すべての従業員がその能力を最大限に発揮し、意欲的に働くことができる環境の整備を重要な経営課題と捉えています。働きやすさと働きがいの両立を図るため、ライフステージやライフスタイル、個々の事情に応じた柔軟な働き方の実現に向け、制度と職場風土の両面から取り組んでいます。

具体的には、在宅勤務制度、フレックスタイム制度、短時間勤務制度を整備し、育児・介護との両立を支援するとともに、配偶者の転勤に伴う勤務地変更への対応や時差出勤制度などにも柔軟に対応しています。

柔軟な働き方を支える制度

テレワーク勤務

フレックスタイム制度

時差出勤

時間単位での有給休暇

事業所併設託児所

保育料補助制度

ランチョンセッションの定期開催

 

キャリア支援制度

複線型人事

職種の転換

勤務地の限定

再雇用(アルムナイ制度)

資格の取得支援

学位取得/海外留学に向けた社内奨学金

昇格要件の公開

 

<成果にバランスする報酬制度>

「労働対価の原則」「生活保障の原則」「市場競争力のある水準」「内部および外部の公平性」の観点を踏まえ、財務状況に応じた競争力ある賃金の実現を目指しています。性別、ジェンダーアイデンティティ、人種等による差別のない処遇を徹底し、同一労働同一賃金を実践しています。すべての従業員は、上司との定期的な1on1面談を通じて活動目標の進捗確認や軌道修正を行い、四半期ごとに評価フィードバックを受けています。面談では、成果の総括、強み・課題、評価結果をもとに、次期の目標設定やキャリア形成に向けた方針を話し合い、その評価は報酬へと適切に反映されています。

 

<企業理念の浸透>

「感謝と尊敬」の精神に基づく組織文化の醸成と、企業理念の浸透を重要な人財戦略と位置づけています。毎週月曜日には、社長自らが社員に向けたビデオメッセージを配信し、毎月1回は常勤役員・部長クラスが「経営理念会議」に出席するなど、トップ自らが理念の共有と浸透をリードしています。2001年からは「出来事・気づき・教訓・宣言」の4項目を日々記録する「My理念実践(四行日記)」に全社員が取り組んでおり、月ごとにマッチングされたメンター社員からのフィードバックを通じて、理念の体得と内省を促進しています。感謝の気持ちを可視化する社内アプリ「Thanks Gift」を活用したコイン贈呈を推奨し、毎月5,000枚を超えるコインが社員間で贈られるなど、理念に根ざした組織風土が日常的に育まれています。

 

<独自の人財育成>

2002年に独自の社内教育機関「SNBLアカデミー」を設置し、専属スタッフ4名を配置しています。SNBLアカデミーでは、新入社員から管理職・経営職候補まで幅広い人材を育成する複数のプログラムを展開しています。経営トップである社長自身も複数の社内教育プログラムを自ら主導し、社員と直接議論・対話する時間を大切にしています。社長と社員の距離感が縮まり、成長を応援してくれる最も身近な存在の一人が社長であることを実感できるのは、当社の人財育成の大きな特徴です。

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次世代経営人財の育成に向けては、グループ全体の人財を見渡し、将来を見据えて次世代経営人財を計画的に発掘・育成する選抜型研修制度を構築することで、人財パイプラインの構築に取り組んでいます。2013年から将来を見据えた次世代経営者を継続して発掘・育成するために、各階層の候補者を社長自らが育成する選抜型研修を提供しています。経営者候補、管理職候補、チームリーダー候補の3つの階層を対象にそれぞれ選抜的研修を提供しており、各階層の人財プールの構築を図っています。

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<健康経営の推進>

 ヘルスリテラシーの高い社員育成のための仕組みの一つとして『健康づくり支援制度』を導入し、健康意識向上への動機づけや健康風土に繋げています。「定期健康診断結果で所見が無かった社員」、「定期健康診断結果に基づき、生活習慣改善に3か月以上取り組んだ社員」、「定期健康診断結果に基づき、再検査や精密検査などの二次健診を受け、適切な対応を行っている社員」に対して、実績を確認できた翌月に健康支援費を支給しています。また、1年間を通じて、全社員の模範となるような素晴らしい健康づくりを行った社員をMVPとして選定・表彰し、その取組内容を全社員に紹介しています。

 女性のための健康管理として、2010年度から「子宮頸がん・乳がん検診」を任意健診として、30歳以上の女性社員を対象として実施し、子宮がん・乳がんの早期発見・早期治療に努めています。2023年度からは対象年齢枠を広げ、30歳未満の若い女性社員の子宮頸がん検診も導入しています。さらに、各拠点で社内保健師にて、「女性ホルモンの働き」、「女性の月経周期」、「月経前症候群」、「女性特有の疾病」、「おりものについて」、「健康で美しくなるポイント」等の内容に関して、ヘルスアップセミナーを開催しています。

 

<ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)の推進>

多様な人財がそれぞれの力を最大限に発揮できる組織づくりを推進しており、ジェンダー平等な職場環境の実現に向けた取組みを強化しています。

性別を問わず管理職を志向できるよう、管理職向け研修を拡充するとともに、社員が早期からキャリアを意識できる環境を整備しています。新入社員には、入社時研修でDE&Iに関する理解を促し、女性が活躍する職場が経営成果にもつながるという意識の醸成を図っています。女性管理職の登用に向けては、候補者を早期に社内で発掘し、計画的な人財プールの構築を進めています。昇進・登用にあたっては、ライフイベント等により一時的な業務制約があっても、それを理由に不利にならないよう配慮し、能力を重視した公正な選抜を行っています。採用、昇格・昇進、業務配置についても、本人の意向と適性を踏まえ、性別に関係なく適材適所を実現しています。

また、指導的立場への登用についてもジェンダーによる差が生じないよう、行動計画に基づいた取組みを実施しています。たとえば、会社説明会や採用面談では女性管理職がロールモデルとして登壇し、キャリアパスの具体的なイメージを示すことで、入社後の活躍を早期からイメージできるよう工夫しています。

人財育成に関しては、マネジメント研修の専任部門である「SNBLアカデミー」を設置し、随時研修受講が可能な体制を構築しています。無意識の偏見への理解を深めるため、「アンコンシャスバイアス研修」も導入しています。さらに、女性社員の声を組織運営に反映する仕組みとして、2014年より「働くなでしこ委員会」を設置し、これまでに50件を超える職場改善を実現しています。

 

男女間賃金格差の解消にも取り組んでいます。当社においては、同一労働に対する賃金の差はなく、格差は主に以下の要因によるものです。

1. 女性の方が育児休業や短時間勤務の取得期間が長く、総労働時間に差が生じていること

2. 女性管理職比率が相対的に低いこと

なお、当社の女性社員比率は近年50%前後で安定しており、雇用率は男女で同等です。管理職における男女間の賃金差異(男性の賃金を100%としたときの女性の賃金)は90%以上で、育休取得者や年齢構成を踏まえると実質的な格差はほぼ解消しています。

男女賃金格差是正の一環として、育児休業から早期復職する社員への保育料補助や、看病による欠勤時の支援金など、子育てと仕事の両立を支援する制度も整備しています。加えて、2029年3月までに女性管理職比率30%の達成を目標に掲げ、取組みを継続しています。

 

また、当社の総務人事担当役員が2023年度より鹿児島市の「女性活躍アドバイザー」に3期連続で就任し、地域社会や関連企業・サプライチェーンにおけるDE&I推進にも積極的に貢献しています。「出産育児とキャリア」をテーマとした大学での講演や、地域の企業担当者を対象とした「管理職育成 女性活躍セミナー」への登壇などを通じ、当社の知見と取組みを外部へ広げています。

 

③ リスク管理

人財・組織に関するリスクの早期把握と適切な対応を図るため、毎年「従業員満足度調査」および「従業員エンゲージメント調査」を実施し、組織の健全性を継続的に把握しています。調査結果は、経営会議および執行役員会議において報告・討議され、必要な改善策は各事業活動に反映することで、組織運営上のリスク低減につなげています。

ジェンダー関連の取組みにおいては、女性活躍やダイバーシティ推進の実績を、管理職および担当役員の評価指標の一つとして位置づけ、マネジメントにおける責任の明確化と推進力の強化を図っています。

また、「残業時間」や「1on1面談の実施状況」などの主要指標については、常勤役員を含む課長級以上の管理職が出席する「経営理念会議」において毎月詳細に報告されており、必要に応じて迅速な対応が可能な体制を構築しています。

 

④ 指標と目標

 サステナビリティ関連指標は、現時点において当社単体の実績値をもとに記載しております。将来的には連結ベースでの開示に向けて、情報収集体制やガバナンスの整備を進めております。なお、連結範囲での実績開示が可能となった指標については、順次開示対象を拡大していく方針です。

 

<人的資本経営に関する主要な指標>

※この有価証券報告書提出日においては、掲載されている情報は2024年3月期の実績となります。

 

対象範囲

単位

2023年3月期

2024年3月期

従業員一人当たりの平均研修時間*1

連結ベース

時間

--

60.3

単体ベース

時間

--

51.9

読書習慣の浸透*2

単体ベース

%

45.2

38.1

従業員満足度調査

単体ベース

点数

4.2

4.2

従業員エンゲージメント調査

単体ベース

%

26.4

23.5

*1 全従業員に受講機会が与えられている社内研修のみで算定

*2 年間読書量7冊以上の社員割合

 

<健康経営に関する主要な指標>

※この有価証券報告書提出日においては、掲載されている情報は2024年3月期の実績となります。

 

対象範囲

単位

2023年3月期

2024年3月期

目標:

2027年3月期

メタボ率

単体ベース

%

13.1

11.3

10.0

糖尿病リスク

単体ベース

%

10.6

8.0

7.0

高血圧リスク

単体ベース

%

10.0

8.5

7.0

脂質リスク

単体ベース

%

27.3

24.4

20.0

運動習慣割合

単体ベース

%

24.0

25.5

28.0

二次健診受診率

単体ベース

%

76.0

83.9

90.0

健診受診率

単体ベース

%

100.0

100.0

100.0

ストレスチェック受検率

単体ベース

%

100.0

100.0

100.0

高ストレス者割合

単体ベース

%

11.9

11.6

8.0

喫煙率

単体ベース

11.0

9.0

7.0

 

<ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)の指標>

女性活躍の推進をダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの最重要課題と認識し、2028年度までの目標値を設定の上、その達成に向けた各種施策を実施しています。

(ⅰ)管理職に占める女性の割合を30%以上(既に係長職は40%以上が女性)

(ⅱ)女性の育児休業取得率 100%、男性の育児休業取得率 100%

 

※この有価証券報告書提出日においては、掲載されている情報は2024年3月期の実績となります。

 

対象範囲

単位

2023年3月期

2024年3月期

男女報酬比

単体ベース

%

74.5

77.8

女性管理職数

単体ベース

39

43

(管理職に占める女性の割合)

(%)

(24.4)

(25.2)

女性の上級管理職数

単体ベース

6

7

(上級管理職に占める女性の割合)

(%)

(20.0)

(29.2)

女性の初級管理職数

単体ベース

10

8

(初級管理職に占める女性の割合)

(%)

(17.5)

(14.3)

新規管理職登用社員数

単体ベース

7

5

(女性の新規管理職登用数)

()

(2)

(1)

新規雇用者数

単体ベース

91

179

(うち女性従業員数)

()

(50)

(96)

 

3【事業等のリスク】

 当社の戦略・事業その他を遂行する上でのリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項は以下の通りであります。以下に記載したリスクは、当社の全てのリスクを網羅したものではなく、記載以外のリスクも存在し、投資家の判断に影響を及ぼす可能性があります。主なリスクは、「各事業領域におけるリスク」と「事業共通のリスク」に分類しています。

 なお、本文中における将来に関する事項は、特段の記載がない当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)各事業領域におけるリスク

事業分野

想定するリスク

リスクが顕在化した場合の主な影響

CRO事業

◆非臨床事業

①実験動物を安定的に調達できないリスク

②非臨床試験において、実験動物(特にNHP)を用いた試験の優位性が低下するリスク

③試験施設における感染症等の発生のリスク

④動物福祉に関する法令、指針、基準に反した行動が行われるリスク

◆非臨床事業

①実験動物の不足による、試験計画の見直し、試験数の減少

②競合他社との差別化が十分に図れないことによる、当社の市場優位性の低下

③感染症の発生による、試験計画の見直し、試験の一時的中断

④法令による処罰、訴訟の提起、社会的制裁を受け、お客様からの信頼の失墜

◆臨床事業

①被験者に健康被害が生じるリスク

◆臨床事業

①治験の中断・中止

主な対策

◆非臨床事業

①当社はCROとして唯一、自社グループ内における実験用NHPの繁殖供給体制を確立しており、安定的な調達体制を整えています。

②現状、NHPはヒトとの遺伝子類似性が9割以上もあることから、非臨床試験における優位性は高いとされており、特に抗体医薬品、核酸医薬品や遺伝子治療薬等のバイオ医薬品の非臨床試験における当該需要は拡大する傾向にあるものと考えております。一方で、Microphysiological systems(MPS)をはじめとした動物や人由来の細胞や組織を用いたin vitro試験についても、動物実験の一部を代替する目的で研究が進んでおり、当社においても新規にMPSの受託を開始しています。

③GLP基準に基づく研究施設は、試験従事者等の入退出管理を含めて、安全管理・衛生管理には万全の態勢を構築しております。また、当社グループの在外企業においては、所在する各国における関連法律・制度による諸規制を受けておりますが、いずれも国内と同様に、安全管理・衛生管理には万全の態勢を構築しております。

④当社はGLP基準に適合した業務遂行を行うと共に、実験動物を用いるに際しては「動物の愛護及び管理に関する法律」、「実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準」等の適用法令及び動物実験に関する指針を遵守し、実験動物の適正な管理を行うと共に、実験動物の苦痛の軽減に努め、試験に用いる実験動物数の削減につながる代替法の開発にも注力しております。

◆臨床試験

①医薬品の開発元であるクライアントとしっかりと連携しながら、GCP基準に準拠した業務遂行を行っております。医薬品の安全性情報について、国内チームだけでなく、グローバル(PPD)の部門とも協働しながら、世界中の医薬品に関する情報を集積し、分析・評価し、適切な安全対策をとることによって、健康被害が生じるリスクの軽減に努めております。

 

 

 

事業分野

想定するリスク

リスクが顕在化した場合の主な影響

TR事業

①開発パイプラインの期待された有効性有用性の確認ができず、研究開発が中止となるリスク

②被験者に健康被害が生じるリスク

①、②費やした多額の費用の回収不能

②治験の中断、中止

主な対策

①現在の開発パイプラインは、既に医薬品として承認された有効成分を用いた新製剤です。そのため、有効成分自身の有効性は担保されています。一方で、新製剤としての有効性については、GCP及び治験薬GMP基準に準拠した業務遂行を行うと共に、当社の非臨床事業と連携して、適切な評価動物の選択や評価方法の選択を含めた非臨床試験の実施による事前評価も行っております。

②有効成分を含む既存承認薬の使用実績から、有効成分自身に関する健康被害リスクを予測することができるため、それに基づいた対策を講じております。一方で、新製剤としての健康被害リスクに対しては、GCP及び治験薬GMP基準に準拠した業務遂行を行うと共に、適切な非臨床試験による評価や想定する製品ライフサイクルを踏まえたリスク管理にも努めております。

 

事業分野

想定するリスク

リスクが顕在化した場合の主な影響

メディポリス事業

◆ホスピタリティ事業

①景気動向や海外情勢の影響を受けるリスク

②食品の衛生事故が発生するリスク

◆ホスピタリティ事業

①個人消費の低迷や観光需要(訪日外国客の減少など)による稼働率の低下

②一時的な営業停止、営業許可の取消、お客様からの信頼の失墜

◆発電事業

①生産井の蒸気量が減衰するリスク

②還元井の熱水還元能力が低下するリスク

③発電設備・蒸気熱水処理設備の故障リスク

◆発電事業

①、②、③発電量の減少、発電停止

主な対策

◆ホスピタリティ事業

①国内外それぞれに対してマーケティングを強化し、それぞれに適したアプローチを行うことで、継続的な顧客集客ができる体制を構築しております。また、パンデミックのような有事の際は、グループ企業である強みを活かし、人の移動によって人件費のコントロールを行うことでコストの最小化を図る体制を整えております。

②衛生管理マニュアルを作成、衛生管理責任者を設置し、常にチェックをしております。また、毎月の糞便検査により、感染拡大を未然に防ぐ手段を講じております。感染が発覚した際は、感染者は再検査で陰性になるまで自宅待機としており、該当者が触れた部位に関してはハイクロソフト水で除菌を行っております。

◆発電事業

①現在のところ、生産井から噴気する蒸気量の減衰は確認されておりません。今後も随時蒸気量をモニタリングし、減衰が確認された場合には、補充井掘削等の必要蒸気量を供給するための対策を検討および実施してまいります。

②熱水還元能力が低下する主要因としては、熱水に含まれるスケールが析出し、還元井内部を閉塞させていることが考えられます。当社では、定期的に還元井内部のスケール除去工事を実施することで長期的に熱水還元が継続出来るよう努めております。

③日常点検や発電設備を停止して行う年次点検を基にした予防保全を実施しております。

 

(2)事業共通のリスク

事業分野

想定するリスク

リスクが顕在化した場合の主な影響

人権

①当社の事業活動により、サプライチェーンの取引先を含めて、直接または間接的に人権に影響を及ぼすリスク

①企業に対する社会からの要請に十分に応えられないことによる企業価値の低下

主な対策

①当社は、「人権尊重に関するポリシー」を制定しております。「ビジネスと人権に関する指導原則」の理念に賛同し、「国際人権章典」および「労働における基本的原則および権利に関する国際労働機関(ILO)宣言」等の人権に関する国際規範ならびに国内の関連法令などに加え、当社企業理念である「環境・生命・人材を大切にする会社であり続ける」に則った独自の倫理綱領を軸として、役職員、取引先、地域コミュニティ等の全ステークホルダーに対して人権を尊重した事業活動を推進してまいります。

 

事業分野

想定するリスク

リスクが顕在化した場合の主な影響

環境

①気候変動による物理的リスク

②脱炭素社会への移行リスク

③環境対応の不足、遅れによるレピュテーションリスク

①温暖化による自然災害の激甚化等による一時操業停止

②対応費用や炭素税などによるコストの上昇

③企業に対する社会からの要請に十分に応えられないことによる企業価値の低下

主な対策

2020年10月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への賛同を表明し、気候変動に関連する当社のリスクおよび機会を継続的にモニタリングし、TCFD提言に沿った情報開示の拡充に取り組んでおります。

https://snbl.com/esg/tcfd/

(※TCFD提言に沿った情報開示は毎年夏頃に見直し・更新しております)

 

事業分野

想定するリスク

リスクが顕在化した場合の主な影響

サプライチェーン

①自然災害や感染症、地政学リスクの影響等によりサプライチェーンが分断するリスク

①原材料の調達が困難となることによる事業活動の一時制限や中断

主な対策

①これらサプライチェーンに係るリスクに備え、サプライヤー行動規範の制定、損害保険の加入、事業継続計画(BCP)の策定、備蓄機能の強化、サプライヤーとの情報共有体制の構築など、安定的なサービス提供のための体制を整備しております。

 

事業分野

想定するリスク

リスクが顕在化した場合の主な影響

法的規制・

コンプライアンス

①法令違反や社会の要請に反した行動が行われるリスク

①法令による処罰、訴訟の提起、社会的制裁を受け、お客様からの信頼の失墜

主な対策

①企業理念である「環境、生命、人材を大切にする会社であり続ける」に基づいた倫理綱領を制定し、ステークホルダーに対して新日本科学グループの一員として希求される行動規範を「コンプライアンス行動指針」としてまとめ、全役職員に理念手帳を配布し指針の周知徹底を図っております。また、コンプライアンスに関する最新情報や事例について、毎月e-learningによる社内研修を実施しております。

 

 

 

 

 

 

 

事業分野

想定するリスク

リスクが顕在化した場合の主な影響

財務・税務

①外国為替相場の変動による円換算後の価値が変動するリスク

②市場金利の変動による支払利息が変動するリスク

①特に米ドルに対する円高進行が経営成績に悪影響を及ぼす可能性

②市場金利の上昇に伴う支払利息の増加により金融収支が悪化する可能性

主な対策

①必要に応じて為替予約を利用するなどして為替変動リスクを低減しております。

②長期借入金の大半を固定金利による調達とすることで、金利変動リスクの低減を図っております。

 

事業分野

想定するリスク

リスクが顕在化した場合の主な影響

情報セキュリティ

①サイバー攻撃、情報セキュリティ事故、情報漏洩等に関するリスク

①個人情報や重要な営業機密の情報漏洩によるお客様の信頼の失墜や損害賠償の発生、サイバー攻撃による業務の一時停止

主な対策

①秘密情報を厳重に管理すると共に、役職員に対しては、個別に秘密情報の保全を義務付ける機密保持契約を締結し、在籍中、退職後を問わず、厳重に機密保持が遵守されるように注力しております。

セキュリティインシデントを想定した訓練を定期的に実施するとともに、社内ネットワークへのウイルス拡散を防止するため、パソコン毎にセキュリティソフトウェア製品を導入しております。加えて、ランサムウェア等による情報漏洩対策として、パソコン毎にEDR(Endpoint Detection and Response)製品を導入しております。

クラウドサービスの利用拡大に対処すべく、当社のセキュリティモデルを従来の境界型セキュリティモデルからゼロトラストセキュリティモデルへ転換し、認証と認可(アクセス権限のポリシー)がより厳密に適用可能な状態下でクラウドサービスを利用しております。

 

事業分野

想定するリスク

リスクが顕在化した場合の主な影響

知的財産権

①第三者に当社の知的財産権を侵害され、事業活動に不利益が生じるリスク

②当社の事業活動が第三者の知的財産権に抵触するとして指摘を受けるリスク

①当社技術の保護及び不利益回復のための、警告状の送付、侵害行為の差止請求、損害賠償請求等の訴訟提起等の対応を要する可能性

②係争によるレピュテーション低下や事業戦略・事業計画の見直し、事業活動の一時制限や中断の可能性

主な対策

当社は、「知的財産に関するポリシー」を策定し、その権利を確実に保全することで企業価値の向上に努めております。

有価証券報告書提出日現在、当社グループの開発に関連した特許権等の知的財産権について、第三者との間で訴訟やクレームが発生したという事実はありませんが、このような問題を未然に防止するため、事業展開に際しては顧問弁理士・弁護士への相談や特許事務所を活用して知的財産権の侵害等に関する事前調査を実施しております。

 

 

 

事業分野

想定するリスク

リスクが顕在化した場合の主な影響

情報技術

①DXの取組みが進まず、競合劣後となるリスク

②DX人財の確保・育成が進まないリスク

①業務生産性の向上や付加価値の創出が進まないことによる市場競争力の低下

②DX推進の取組みの遅延

主な対策

①当社は、持続的な企業価値の向上にはDXによるビジネスモデルの深化が不可欠であると認識し、既存ビジネスモデルの深化と新規ビジネスモデルの創出の両面に取り組んでいます。 主力事業である非臨床事業では、顧客体験価値の向上(Front-End革新)と時間価値の創出(Back-End革新)を同時に実現するDXに取り組んでいます。財務会計や管理会計といった領域におけるDXにも積極的に取り組んでおり、DXを通して、データ連携によるプロセスの自動化・簡素化、専門性を更に高めるナレッジの共有や各事業へのサポート体制の構築を目指しています。AIに専門性を持つチームを立上げ、併せてプロジェクトマネジメントスキルをもつ人材を主要プロジェクトに投入することで、DXプロジェクトの着実な遂行を行っています。

②DX人財の育成に向けては、社内従業員を対象として、DX人材育成研修を実施しており、社内公募で募ったメンバーに対してe-learning形式のDX研修を実施しています。(※本研修の対象者は全社員)また、社内でDX推進プロジェクトを推進する際は、適宜、参画メンバーを幅広く社内公募で募って推進しています。加えて、AIに専門性を持つ部門の立上げとDXプロジェクトの遂行を通じ、社内のDXに対する意識とナレッジを高めています。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における売上高は32,413百万円と前連結会計年度に比べて5,963百万円(22.5%)の増加となっております。

営業利益は2,985百万円と前連結会計年度に比べて1,177百万円(28.3%)の減少、経常利益は6,450百万円と前連結会計年度に比べて565百万円(8.1%)の減少となり、親会社株主に帰属する当期純利益は固定資産除売却損232百万円、投資有価証券評価損169百万円、減損損失78百万円を計上したこと等から、4,924百万円と前連結会計年度に比べて606百万円(11.0%)の減少となりました。

 

当社グループのセグメント別業績は次のとおりであります。

(a) CRO事業

売上高は31,595百万円と前連結会計年度に比べて5,711百万円(22.1%)の増加となり、営業利益は、7,257百万円と前連結会計年度に比べて234百万円(3.3%)の増加となりました。

 

(b) トランスレーショナルリサーチ事業(TR事業)

売上高は54百万円と前連結会計年度に比べて14百万円(37.5%)の増加となり、営業損失は3,680百万円(前連結会計年度:営業損失2,469百万円)となりました。

 

(c) メディポリス事業

売上高は564百万円と前連結会計年度に比べて4百万円(0.7%)の減少となり、営業損失は422百万円(前連結会計年度:営業損失254百万円)となりました。

 

(d) 米国不動産事業

売上高は45百万円、営業損失は60百万円(前連結会計年度:営業損失20百万円)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は前連結会計年度末に比べて1,569百万円(15.3%)増加して、11,843百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果獲得した資金は7,035百万円と前連結会計年度に比べて4,928百万円(233.9%)の増加となりました。

主な内訳は、税金等調整前当期純利益6,013百万円、減価償却費2,496百万円、持分法による投資利益3,513百万円、売上債権の増加額870百万円、前受金の増加額1,399百万円、利息及び配当金の受取額2,474百万円及び法人税等の支払額2,013百万円であります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は11,691百万円と前連結会計年度に比べて4,783百万円(69.2%)支出が増加となりました。

主な内訳は、有形固定資産の取得による支出10,853百万円及び投資有価証券の取得による支出925百万円があったこと等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果獲得した資金は5,914百万円と前連結会計年度に比べて595百万円(11.2%)の増加となりました。

主な内訳は、短期借入金の純増減額2,916百万円、長期借入れによる収入が14,000百万円あったことに対し、長期借入金の返済による支出8,826百万円を行ったこと、及び配当金の支払額を2,100百万円行ったためであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

(a) 生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前期比(%)

CRO事業

37,512,536

130.9

トランスレーショナルリサーチ事業

54,161

464.1

メディポリス事業

470,398

98.5

米国不動産事業

45,980

報告セグメント 計

38,083,076

130.6

その他事業

1,317,178

140.7

合計

39,400,254

131.0

(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 金額は、販売価格によっております。

 

(b) 受注実績

 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前期比(%)

受注残高(千円)

前期比(%)

CRO事業

31,842,294

112.2

34,464,895

102.8

トランスレーショナル

リサーチ事業

63,341

542.8

9,180

メディポリス事業

470,398

98.5

米国不動産事業

45,980

報告セグメント 計

32,422,014

112.3

34,474,075

102.8

その他事業

678,616

31.7

1,215,737

140.4

合計

33,100,630

109.5

35,689,813

103.7

(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 金額は、販売価格によっております。

 

(c) 販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前期比(%)

CRO事業

31,514,523

122.8

トランスレーショナルリサーチ事業

54,161

464.1

メディポリス事業

470,398

98.5

米国不動産事業

45,980

報告セグメント 計

32,085,063

122.7

その他事業

328,743

109.4

合計

32,413,807

122.5

(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 金額は、販売価格によっております。

3 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績に対する割合は、当該割合が10%未満であるため記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は、次のとおりであります。

(a) 概要

医薬品業界は、国内外において研究開発のスピードアップと費用の効率化並びに規制当局への対応簡素化を期待してCROへのアウトソーシングの動きが引き続き活発化しています。加えて核酸医薬、次世代抗体医薬、ペプチド医薬、遺伝子治療、細胞治療、再生医療などの新規創薬モダリティ(治療手段)の研究開発が本格化してきています。このようなトレンドを受け、新規創薬モダリティの研究開発支援で高い実績をもつ当社は、“オンリーワンのダントツのCRO”としてクライアントから第一に指名される存在になることを目指しており、顧客ニーズを満たす迅速な対応とサービスの向上並びに継続的な品質の向上に注力しております。

(b) CRO事業

CRO事業は、細胞・実験動物等を用いる非臨床試験(または前臨床試験)を受託する非臨床事業と、臨床試験を受託する臨床事業から構成されます。

当社の非臨床事業は、業界では国内最大手であり、実験用NHPを用いた数多くの試験実績から世界的に第2グループの一角と認識されています。2025年3月期の非臨床事業は順調に推移しました。非臨床事業業績の先行指標である受注高の2020年3月期から当連結会計年度までの5年平均成長率(CAGR)は19%となっています。当社がこれまで実施してきた以下の取組みが成果を表してきております。

 

・CROとして世界で唯一構築できている「自社グループ内における実験用NHP繁殖・供給体制」が新たな創薬モダリティの研究開発の本格化等により重要性を増しています。加えて海外でのNHPの入手困難な環境が当社にプラスに働き受注に繋がっています。また、2023年3月期より本格的に国内でのNHP繁殖体制を強化し、輸入リスクの軽減と品質向上を目指しております。当連結会計年度には計画どおり繁殖施設を増築し、既に稼働しております。

・生体試料中の医薬品等開発候補品(被験物質)やバイオマーカーの濃度分析をバイオアナリシスと呼びます。当社は新たな創薬モダリティの有効性・安全性評価に必要な最新鋭装置を導入し、被験物質測定系やバイオマーカー評価系を早い時期から構築してきたことが、上記「自社グループ内における実験用NHP繁殖・供給体制」構築と相乗効果を発揮し、バイオアナリシスの受注増に繋がっております。

・これらの取組みを高く評価いただいた複数の製薬企業とプリファード契約(予め選定したCROに優先的に委託する契約)を締結し、受注増に繋がっております。当連結会計年度は、海外営業人員を増加させ、営業活動を強化しております。海外受注の増加に対応するため、安全性研究所に海外顧客専任チーム(Global Study Team: GST)を2024年11月に新たに組成しました。

・国内大手製薬企業との創薬段階における包括的研究受託契約も顧客数が順調に推移しており、複数の企業から創薬初期段階からの開発研究を受注しております。

・2022年12月から鹿児島本社で進めてきた新社屋研究棟建設(地上8階建・2棟)が2024年5月末に竣工し、6月18日に落成式を行いました。新棟はバイオアナリシス実験室の拡張をはじめ非臨床事業における大型受注に対応できる体制を構築するうえで重要な役割を担っており、2024年9月から本格運用を開始しました。新社屋研究棟には、新規安全性評価システム(New Approach Methodologies: NAMs)として期待されているMPS (Microphysiological System:生体模倣システム)の受託のための専用実験室も設置しております。なお、当社は2025年4月に国内CROとして初めてMPSの受託サービスを開始しております。

 

上記取組みの結果、当連結会計年度における非臨床事業の受注高は32,109百万円と過去最高となり、前年度から4,697百万円(17.1%)の増加となりました。当連結会計年度末の受注残高は34,394百万円となりました(2024年3月末比1,182百万円増)。

臨床事業は、米国に本拠を置くグローバル臨床CROであるPPD, Inc.(以下、PPD社)との合弁会社、株式会社新日本科学PPD(以下、新日本科学PPD)において主に国際共同治験の受託事業を展開しており、2025年4月に設立10年を迎えました。PPD社は、2021年12月に世界的な大手医療機器企業であるThermo Fisher Scientific Inc.グループに加わったことにより、受注シナジーを高めることを目指しております。新日本科学PPDは、PPD社が受託した国際共同治験における日本エリアの実施を主力事業としており、グローバル企業でありながら、当社がこれまで長年培ってきた経営・教育ノウハウを取り入れ定着率の高い職場環境を整えることで、ハイレベルな受注残高を背景に、設立以来高い成長率を実現してきております。

新日本科学PPDの2024年度の売上高は21,898百万円と過去最高を更新し、前年度比3,157百万円(16.8%)増加となりました。営業利益も、10,618百万円と過去最高を更新し、前年度比1,965百万円(22.7%)の増加となりました。新日本科学PPDの当連結会計年度の「持分法による投資利益」は3,272百万円(前年度は2,631百万円)と大幅に増加し過去最高となり、当社の2つ目の成長エンジンとなっています。

CRO事業全体の当連結会計年度の売上高は、31,595百万円と前年度比5,711百万円(22.1%)増加し、過去最高を更新しました。同事業の営業利益は7,257百万円と前年度比234百万円(3.3%)増益、売上高営業利益率は23.0%になっております。

(c) トランスレーショナルリサーチ事業(TR事業)

トランスレーショナルリサーチ事業(TR:Translational Research、以下、TR事業)とは、自社研究開発のほか、国内外の大学、バイオベンチャー、研究機関などにおいて基礎研究から生まれる有望なシーズや新技術を発掘し、付加価値を高めて事業化又は株式上場、あるいはM&Aにつなげる研究開発型の事業です。

1997年以来、TR事業の主軸として探求してきた独自開発の経鼻製剤投与基盤技術(SMART)は、担体組成をベースとした、粉体製剤技術と投与デバイス(医療機器)を組み合わせたプラットフォーム技術です。鼻粘膜での薬物滞留を向上させることで薬剤の速やかで高い吸収を可能にしており、加えて注射に比べて投与が簡易であり、製剤の室温保存も可能という強みがあります。

経鼻製剤投与の事業化は、Satsuma社が経鼻片頭痛薬の臨床試験を終了し、2024年10月30日にFDAに対し新薬承認の再申請を行い、2025年4月30日(米国時間)にFDAより経鼻片頭痛薬「Atzumi™」(開発コード:STS101)に関して販売承認を取得しております。加えて、パーキンソン病のオフ症状治療のための点鼻レボドパ粉体経鼻薬(開発コード:TR-012001)の開発は、当社連結子会社の株式会社SNLD(以下、SNLD社)で進めています。Satsuma社の経鼻片頭痛薬「Atzumi™」は、片頭痛に対して豊富な効果実績を有するジヒドロエルゴタミンを有効成分とし、臨床試験では速やかで持続的な吸収と高い安全性が確認され、使い勝手と携帯性に優れた経鼻剤です。Satsuma社が実施したSTS101の臨床第3相長期安全性試験(試験名ASCEND)の成果に基づく論文は、中枢神経疾患の薬物療法に関して権威のある国際医学専門誌CNS Drugsに掲載されました。この論文の筆頭著者は、米国頭痛学会フェローで、頭痛領域では国際的に著名なStewart J.Tepper博士です。Tepper博士からは、Satsuma社のプレスリリースに「STS101は安全性と忍容性が高く、患者さんが長期にわたって使用しやすいことがデータで実証されたことをうれしく思います。これは、既存の治療法では十分な頭痛緩和効果が得られなかった片頭痛患者と、新しい治療法を求めている治療医の両者にとって非常に重要な情報です。ここ数年でいくつかの新しい薬剤が導入されましたが、経口投与では迅速な緩和が得られない多くの患者さんに新しい非経口治療の選択肢が極めて必要となります」とのコメントをいただいております。

パーキンソン病のオフ症状治療を目的とした経鼻レボドパ薬(TR-012001)について、SNLD社は国内の患者12例を対象とした探索的第2相試験の成績を、2025年4月開催の第77回米国神経学会で発表しました。また、改良開発品(TRN501)は2024年8月に第1相試験の投薬を完了し、現在データ解析と総括報告書の作成を進めています。

もう1つの経鼻製剤開発プロジェクトとして、経鼻粘膜免疫作用を期待した経鼻粉体ワクチンの研究を行っております。当社が開発する経鼻ワクチンは、ウイルス感染そのものを起こさせない(これを「遮断免疫」と言います)効果が期待できる有用性の高いワクチンとなります。本プロジェクト(「粉体噴射型IgA産生誘導経鼻ワクチンシステムの開発」)は、国立研究開発法人 日本医療研究開発機構(AMED)内に設置した先進的研究開発戦略センター(SCARDA)の支援対象として採択され、約1億円の補助金を獲得しております。現在はインフルエンザを対象としたProof Of Concept(以下、POC)取得に向けて製剤化研究と非臨床試験を進めています。

1999年以来の米国拠点でのCRO・TR事業の実績と、日米のアカデミア・投資家等とのネットワークを活用し、「SNBL Global Gateway(SGG)」プロジェクトを展開しています。本プロジェクトでは、研究、人材育成、ビジネスインキュベーション、情報発信を通じてグローバルなビジネス創出を推進しています。2024年9月にはSBIグループと共同で、北米のスタートアップ企業を対象としたファンドを設立し、日米ベンチャー企業の市場進出を支援しております。2025年1月にはJ.P.Morgan Healthcare Conference期間中にレセプションを開催し、日米のバイオテック・投資家との連携を強化しました。今後も両社の強みを生かし、事業拡大を図ってまいります。

こうした中、TR事業の当連結会計年度の売上高は、54百万円(前年度:39百万円)となり、Satsuma社の経費2,323百万円が計上(前年度:1,344百万円)されたこともあり、営業損失は3,680百万円(前年度:営業損失2,469百万円)となりました。

 

(d) メディポリス事業

当社は、鹿児島県指宿市の高台に103万坪(3,400,000㎡)の広大な敷地「メディポリス指宿」を保有しており、この自然資本を活用したメディポリス事業を社会的利益創出事業として展開しています。社会的利益創出事業は、「環境、生命、人材を大切にする会社であり続ける」と掲げた企業理念を体現するものであり、経済的利益のみならず、社会や環境課題といった視点からの社会的利益を一体的に創出しています。具体的には、再生可能エネルギーを活用した発電事業や人々のウェルビーイング、つまり全人的な健康の実現をメインコンセプトとしたホテル宿泊施設の運営(ホスピタリティ事業)などを行っております。

発電事業は、2015年2月より1,500キロワット級のバイナリー型地熱発電所を運営しております。地熱発電はCO2排出量がほぼゼロであり、日中夜間を通じて天候に左右されず、年間を通して安定的な発電が可能なベースロード電源として期待されています。また、新規発電プロジェクトとして、ホテルで浴用や床暖房に使用している泉源の余剰蒸気を活用した温泉発電所(年間発電量は400万kWh)が2025年4月に稼働を開始しました。

ホスピタリティ事業は、お客様のニーズに合わせる形でホテル施設を稼働しております。ホスピタリティ事業を行っている意義は主に2点あります。1つは企業価値向上という視点で、人々のウェルビーイングに貢献することです。もう1つは新日本科学における顧客へのおもてなしマインド向上に貢献することです。ホスピタリティ事業を通して、新日本科学グループとしてのおもてなしマインドを一層強化し、それを主力のCRO事業にも還元していくことは、当社が世界で戦っていくうえで重要な役割を果たしています。

メディポリス事業の当連結会計年度の売上高は、564百万円と前年度比4百万円(0.7%)減少となりました。営業損益は、発電事業において発電機の点検・修繕により発電停止が生じたこと等により422百万円の営業損失(前年度営業損失:254百万円)となりました。

 

(e) 財政状態の分析

当連結会計年度における前連結会計年度末からの財政状態の変動は、以下のとおりとなりました。

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ16,114百万円(21.1%)増加し、92,416百万円となりました。流動資産は、「現金及び預金」が1,757百万円(17.1%)増加したことにより、前連結会計年度末に比べ2,102百万円(6.8%)増加して32,939百万円となりました。

固定資産は、設備投資の増加に伴い「有形固定資産」が8,474百万円(32.2%)増加したことや「投資有価証券」が4,526百万円(29.7%)増加したことなどから、前連結会計年度末に比べ14,012百万円(30.8%)増加して59,476百万円となりました。

負債は、前連結会計年度末に比べ10,189百万円(24.2%)増加し、52,330百万円となりました。

「短期借入金」が3,951百万円(50.5%)増加したこと、「前受金」が1,399百万円(14.7%)増加したこと、並びに「長期借入金」が4,123百万円(22.7%)増加したことなどによるものであります。

純資産は、前連結会計年度に比べ5,924百万円(17.3%)増加し、40,085百万円となりました。

「利益剰余金」が2,871百万円(16.7%)増加したこと、「その他有価証券評価差額金」が2,387百万円(65.5%)増加したことによるものであります。

(f) 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループは、医薬品開発に係わるGLPやGCPといった法的規制に対する適合性の調査等で高い評価を受けております。しかしながら、クライアントの創薬開発競争が激化し国際化、高度化及び大型化していく中で、当社グループは、サービスの質を継続的に高めていくと共に、グローバル化し複雑化していく顧客ニーズに対し的確に対応しつつ成長を維持していくために、設備、人材面での投資が不可欠となっております。人材の育成には時間を要する部分があり、また施設に対する投資も規模の経済性の観点からも先行的に行う必要が生じます。

とりわけ、日本よりもはるかに巨大な市場を有する欧米等の海外クライアントからのニーズに迅速かつ的確に対応していくためには、海外の規格や法的規制に対応可能な体制を整えることが戦略的に重要であると考えております。海外の規格や基準に適合性をもつためには、十分なる準備や適合性に関する調査への対応が必要であります。

従って、事業のグローバルな競争力の向上と事業規模拡大のためには、これらに継続的に取り組む必要があり、その結果、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

(g) 戦略的現状と見通し

CRO事業は、中長期的な視点で国内外の顧客からの要望に対して、確実に応えられる体制構築に取り組んでおります。抗体医薬、核酸医薬、遺伝子治療、再生医療などの新規創薬モダリティ分野の研究支援では、最新装置の導入及び評価系の構築などの投資へも積極的に取り組んでおり、他施設では実施困難な案件を受託できております。また、新型コロナウイルスに対するワクチンあるいは治療薬の研究・開発についても、当社のリードタイム短縮などの取組みを顧客に評価いただき、多くの案件を受託しております。

TR事業は、当社独自の経鼻投与基盤技術(SMART)を用いた既存薬剤の投与経路変更による医薬品開発など、パートナー企業とのアライアンス構築を進めており、特に国外の製薬企業との、複数の候補薬剤ライセンスアウト・共同開発交渉を継続します。また、米国で経鼻片頭痛治療薬「Atzumi™」(開発コード:STS101)の販売承認を取得したSatsuma社に対し、パートナリングに向けた支援をしてまいります。当社連結子会社であるSNLD社では、当社TR事業本部が業務委託契約を結び、ハンズオンで開発をサポートしています。パーキンソン病のオフ症状治療のための経鼻レスキュー薬TR-012001の第2相前期臨床試験は2024年1月に終了しました。更なる利便性向上を企図した、TR-012001の改良開発品(TRN501)についても2024年8月に臨床第1相試験における日本人健康成人への投薬を完了し、データ解析と総括報告書の作成を進めており、国内外での学会発表を計画しています。経鼻粘膜免疫作用を期待したワクチンの研究開発については、経鼻粘膜ワクチン研究開発センターを主体として活動推進してまいります。また、Gemseki事業部において、創薬シーズ・技術に関するライセンス仲介事業をグローバルベースで積極的に展開すると共に、子会社Gemsekiインベストメント社において投資事業を推進してまいります。

メディポリス事業では、従来の地熱発電所に加えて、既存の泉源を活用した温泉発電所の稼働開始に向けた準備を進めております。ホテル事業は、サービスの質のさらなる向上に加え、積極的なインバウンドの受け入れ体制強化にも注力し、より強固なブランディングを通して集客力の強化を行ってまいります。その他、メディポリス指宿の資源を最大限活用すべく、地熱由来の電力を使用したグリーン水素製造を含む様々な取組みを検討しております。

(h) 経営者の問題認識と今後の方針について

当社グループの経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するよう努めておりますが、ここ数年の世界的な新薬開発における国際化、大型化、高度化等の動向や製薬企業のコスト意識の高まりから製薬業界の経営環境は大きく変化することが考えられ、経営施策を機動的かつ柔軟に展開していくことが要求されております。

CRO事業においては、戦略的に取り組んできた欧米顧客からの引き合いが活発化しています。確立していた実験用NHPのサプライチェーンが功を奏し、新しいタイプの医薬品開発で需要が高まっているNHP試験を他社よりもリードタイムを短く、確実に実施できる点が、差別化のポイントとなっています。さらに、サービスを受けた顧客からは、品質の高さと柔軟性についても高い評価を受けています。今後もサプライチェーンマネジメントの強化施策を実施してまいります。その一環として、カンボジアの当社グループ施設の繁殖体制強化とともに、日本国内での繁殖育成の取組みも強化しております。今後も効率的かつ効果的に各種試験を適切なタイミングで行えるオンリーワンの事業価値を継続して提供してまいります。新たな取組みとしては、新しい安全性評価のアプローチであるNAMs(New Approach Methodologies)のひとつとして近年、注目を集めているMPS(Microphysiological System、生体模倣システム:生体組織や臓器の機能や構造を模倣したシステム)を、国内CROとして受託開始しており、新技術についても製薬企業のニーズをしっかり把握してまいります。

TR事業では、SMARTを用いた医薬品がFDAから販売承認を得たことから、Satsuma社の事業は投資回収を進めます。同時に、SMARTを活用して開発中のパーキンソン病の治療薬やインフルエンザの予防ワクチンの開発については、その事業化の可能性を見極めながら開発に取り組んでまいります。

2024年7月には、当社が米国ワシントン州に保有する施設を活用しバイオベンチャーのインキュベーション事業を行うSNBL Global Gateway (SGG)を開設しています。米国を拠点に日本と米国のバイオベンチャーを研究開発と資金の両面で支援することで、長期的には現在当社の主力であるCRO事業への貢献だけでなく、将来SGG事業を当社の収益の柱の一つとなるよう、成長させたいと考えています。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

(a) 資金需要

当社グループの資金需要は、主に設備投資等の投資及び運転資金等となっております。設備投資等の投資を行うにあたっては、案件ごとに投資の回収可能性や収益向上の点から検討を行い、重要なものについては取締役会での決議を経て決定するなど、社内の所定の手続に従って決定しております。計画については、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画(1)重要な設備の新設等」に記載のとおりです。

(b) 資金の源泉

営業キャッシュ・フローからの収入で賄いきれないものについて、借入により調達しております。また、設備投資の一部についてファイナンス・リースを利用しております。なお、当連結会計年度末における現金及び現金同等物等の残高は11,843百万円となっております。

(c) 有利子負債

 当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債残高は34,606百万円となっております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積に用いた仮定

 当社の連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号。

以下「連結財務諸表規則」) に基づいて作成しております。

 なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 4.会計方針に関する事項」に記載しております。

 

5【重要な契約等】

該当事項はありません。

 

 

6【研究開発活動】

当連結会計年度の研究開発活動は、科学技術の急速な進展により医薬品の開発環境が大きく変化している中、新しい環境にも迅速に対応した質の高い開発支援ができるよう、当社グループの各セグメントにおいて最先端と思われる技術を開発利用しております。

当連結会計年度における研究開発費は、2,217,685千円(セグメント間取引消去58,399千円除く)であり、各セグメント別の研究開発活動は、次のとおりであります。

(1) CRO事業

当社の安全性研究所及び薬物代謝分析センターをはじめとする研究施設では、質の高い試験成績を迅速に委託者に提供できるよう、基礎データの蓄積や解析を行うだけではなく、評価方法の妥当性を検証するための事前検討や新技術獲得のための基礎研究や技術改良に日々取り組んでおります。また、いずれの施設も動物福祉に積極的に取り組み、国際的な認証団体であるAAALAC Internationalにより適合施設として認証されております。さらに、海外グローバル製薬企業からの注目度が上がるなか、きめ細やかで迅速且つ確実な顧客対応を行うため、2023年1月にGlobal Services and Communications Division(GSC 統括部)を新設しました。以降、グローバル対応力のさらなる強化を目指し海外試験受託に熟練したチーム(Global Study Team: GST)を戦略的に育成するほか、米国ではシアトルのほか、ボストンやサンディエゴなど、数か所に営業拠点を置いて、北米営業担当役員も配置し、顧客とのコミュニケーションを強化しています。

医薬品開発の主流は、低分子化合物から抗体や核酸、ペプチドに代表されるバイオ医薬品、iPS細胞に代表される再生医療あるいは遺伝子治療に移行しております。当社は、これらの業界の動きに対応するため、種々の評価系や試験系の検討を実施しております。例えば、抗体医薬ではこれまで日本では受託できる機関がなかった組織交差反応性試験を立ち上げ受託実績を積み上げました。さらに、既存技術より高感度にバイオマーカーを測定できる高感度免疫分析装置SMC×PROやElispotを用いた受託では、高品質な測定結果について製薬企業より評価頂いております。抗体医薬は実験用NHPのみに反応性がみられるものが殆どであり、日本で唯一の実験用NHPを用いた生殖発生毒性試験を実施できる施設として、次世代への影響を評価する試験実績を増やしております。

近年新たながん治療として注目されているがん免疫療法の分野におきましても、その有効性評価が可能な細胞機能解析装置であるフローサイトメーターの最上位機種LSRFortessa X-20を、国内CROでいち早く立ち上げました。当該機種は、非臨床分野のみならず、臨床分野にも応用可能な高性能機種です。

遺伝子治療の領域では、PCR装置を用いた評価系が必須となっております。当社では他社に先駆けてPCR検査エリアの設置と処理能力の増強を図りました。その上で、第二世代のdigital droplet PCRを2020年に導入し、実績を積み上げております。また、2024年5月末に竣工した新社屋研究棟には新たにPCR検査エリアを新設し、処理能力のさらなる増強を図っています。

血漿あるいは血清中の薬物の濃度測定には、液体クロマトグラフ質量分析計(LC-MS/MS)が使用されますが、最上位機種であるSCIEX Triple Quad7500を導入し立ち上げました。当該機種はこれまでにない感度で微量分析物の定量を実現可能です。核酸医薬品や生体内に含まれる微量な物質の血漿あるいは血清中濃度の測定が可能であり、非臨床分野のみならず、臨床分野にも応用可能な高性能機種です。近年、様々なモダリティの医薬品に関する分析が増えていることから、低分子および新モダリティ医薬品のどちらも分析可能な高分解能機種であるOrbitrap Exploris 240を導入しました。近年開発が盛んな抗体-薬物複合体(ADC)は抗体と薬物の結合比や代謝物の分析が求められますが、本装置の導入により分析が可能となりました。

また、実験用NHPの感染実験が実施可能な施設を活用し、各種ウイルスに対するワクチンなどに関して企業や大学との共同研究を行っており、フェレットやマウスを用いた感染実験も確立しております。

これまでの安全性研究所における収益の柱であった安全性評価に加え、近年では医薬品の有効性評価に関わる業績が向上しております。特に当社は実験用NHPを用いた非臨床試験では国内でトップクラスの業績を有しており、これまで培ってきた実績を基礎に実験用NHPを主体とした各種病態モデルを確立し、臨床への外挿性が高い有効性評価手法が国内外の製薬企業より評価を頂いております。それら病態モデルの中でも、臨床でiPS細胞の適用が進められている加齢性黄斑変性症の薬効試験は国内でも少数の試験施設でしか受託体制は整っていないため、当該モデルの確立後から既に複数試験の受託をしております。引き続き、時代に応じて変化する創薬ニーズに対応した新しい病態モデルの確立も積極的に進めております。

有効性評価の実績には、業界に先駆けて導入を進めた各種イメージング機器を用いた非臨床試験数の増加も寄与しております。当社で導入しているMRI、CT、及び血管造影装置はすべて臨床でも使用している機器となります。そのうち近年更新したMRIでは脳活動の機能的評価も可能となりました。すなわち、実験用NHPなどの大動物を用いてヒトと近似の病態モデルを作出し、ヒトと同じ機器を用いて動物を傷つけることなく薬物の評価を継時的にできる技術が高く評価されております。従来、非臨床試験ではイメージングを用いた有効性評価及び安全性評価は一般的ではありませんでしたが、新薬創出の難易度が高まり、動物福祉のさらなる向上が求められている製薬業界において、イメージングを用いた新しい評価系へのニーズは国内外の製薬企業を問わず今後も増加することが予想されます。

これらの研究活動には、外部アカデミア等との共同研究も含まれております。すなわち、京都大学iPS細胞研究所とは再生医療分野の安全性研究について、岐阜薬科大学とは寄附講座を開設した上で眼科疾患を中心とした病態モデル作出について、九州大学とは共同研究講座を開設した上でがん免疫研究について協働しております。これらの研究成果については海外や国内の学会等において発表するほか、国内外の学術雑誌へ論文として掲載しております。

当社は、新たな受託サービス構築を目的として、「再生医療・遺伝子治療の産業化に向けた基盤技術開発事業(AMED)」へ参画しMicrophysiological System(MPS)の社会実装へ向け活動してまいりました。MPSとは,MEMS(micro electro mechanical systems)技術を用いて作製された微小な空間に,生体(in vivo)に近い培養環境を再構築したin vitro培養系のことです。ヒト由来の細胞を使用することで、動物実験では評価が難しい副作用等を評価することを目的として開発が進んでいます。当社の新社屋研究棟にはMPS受託のための専用実験室も設置しており、2025年4月には国内CROとして初めて、受託サービスを開始しております。

以上の活動における研究開発費は、407,926千円であります。

(2) トランスレーショナルリサーチ(TR)事業

TR事業本部はCRO事業と異なる研究開発機関で、その経鼻投与基盤技術(SMART)は、当社が独自に発見した担体をベースにした粉体製剤技術と独自設計の投与デバイス(医療用具)を組み合わせたプラットフォーム技術であり、鼻粘膜からの速やかな薬物吸収に基づく即効性を特徴としており、加えて注射に比べて投与が簡易で製剤の室温保存も可能という強みがあります。このSMARTを各種薬物に応用した研究を進めながら、製剤改良や同基盤技術に付加すべきオプション技術の研究にも鋭意取り組んでおります。経鼻吸収研究開発は、本事業の根幹であり、すでに5種類以上の応用実績を有し、早期に市場への投入が期待されます。特に、完全子会社であるSNLD社では、国内で実施した探索的臨床第2相試験の成績を2025年4月に第77回米国神経学会(American Academy of Neurology: AAN)年次総会にて、5月には日本神経学会にて発表しており、さらに複数の国内外の学会での発表を計画しています。患者様への与薬は少数ながら薬効を確認でき、さらにPOC取得に向けて前進しております。次のステップの開発を行うにあたり、諸条件の精査を進めております。

経鼻ワクチンプロジェクトでは、遮断免疫作用を有する新規経鼻ワクチンの研究が進んでいます。ワクチンメーカーや研究機関との連携体制を構築しながら、当社の独自基盤技術を確立して新規経鼻ワクチンの研究開発に寄与することを目指します。令和5年度「ワクチン・新規モダリティ研究開発事業」につき、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(Japan Agency for Medical Research and Development:AMED)の主要機関である先進的研究開発戦略センター(Strategic Center of Biomedical Advanced Vaccine Research and Development for Preparedness and Response:SCARDA)より日本発のワクチン創出のための公募があり、当事業本部「経鼻粘膜ワクチン研究開発センター」より応募した「粉体噴射型 IgA 産生誘導経鼻ワクチンシステムの開発」が採択され、非臨床POCの取得まで助成を受けております。非臨床研究の範疇で、製剤化研究と共に粘膜免疫誘導効果を検証中です。

以上、TR事業本部では、経鼻パーキンソン病治療薬と経鼻ワクチンの開発を2つの基幹プロジェクトに据えております。

一方、血液脳関門(Blood Brain Barrier)の存在により、静脈注射でも脳内に送達できない薬物について、鼻から脳へと薬物を送達させる技術(Nose-to-Brain送達技術)の研究開発活動にも注力しております。中枢神経系疾患に関する医薬へのアンメットメディカルニーズは非常に高く、治療薬の開発は製薬企業における重点領域となっています。アカデミアとも連携し、分子イメージング法なども活用しながら、血中から脳へと移行し難い有効成分が、注射よりも高効率に脳へと移行することを確認しており、2023年のJournal of Controlled Releaseへの論文発表に引き続き、2024年11月には核医学と放射性医薬品科学の分野で重要な科学雑誌Nuclear Medicine and Biology, 138-139に発表しております

さらに、自社開発候補化合物を拡充し、SMARTの応用性を探索中です。経鼻投与デバイスについては、高い噴射性能に加えて、使用目的に応じた使い勝手の更なる向上や、製造コストの更なる低減を達成しつつあり、安定した供給が可能な体制づくりを目指します。

当社よりスピンアウトした経鼻片頭痛薬の開発会社であるSatsuma Pharmaceuticals, Inc.(米国 ノースキャロライナ州)は、2025年4月30日(米国時間)にFDAより経鼻片頭痛薬「Atzumi™」(開発コード:STS101)に関して販売承認を取得しており、米国での販売を視野にパートナリング契約締結に向けた活動を進めております。Atzumi™は当社のSMARTを用いて開発された経鼻治療薬の承認第1号となります。

当事業本部は、引き続き、これらの開発・技術支援及び知財管理をしております。一方で、TR事業本部内に設置した基礎研究室において、遺伝子情報をwet(実験)とdry(大容量ICT)の両環境で扱い、特定の疾患で発現遺伝子の量的変化を解析し、マーカーの同定や治療法の特定、特許出願に取り組んでおります。現在、神奈川がんセンター等のアカデミアと共同研究を進めております。また、MPS(Microphysiological System、生体模倣システム:生体組織や臓器の機能や構造を模倣したシステム)を用いた解析研究を開始しました。

以上の活動における研究開発費は、1,813,699千円であります。

(3) その他

その他の研究開発費は、54,459千円であります。