第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

 当社グループは、「感謝・感恩・感動の三感を源にして、縁ある方々の期待を超える感動の流れを生み出し、社会の進化と未来の環境に貢献し続ける」ことを経営理念として掲げております。

 この理念のもと、医療関連データベースをコアコンピタンスにした、ヘルスケア事業のサービスと製品を通して、日本の医療費の適正化と国民のQOL(Quality of Life)向上に貢献することを経営の基本方針としております。

 

(2) 経営戦略等

 当社グループは、保険者の保健事業支援を通じて生活者の健康増進・医療費の適正化に貢献するデータヘルス関連サービス、および自治体、大学、製薬会社等へ様々なデータソリューション提供を通じて創出したエビデンスを社会に還元するデータ利活用サービスを両輪に健康・医療の課題解決を行っております。これらのサービスを通じて、生活者の健康増進、行動変容を支援、ヘルスビッグデータを公益活用し、創出したエビデンスを社会に還元することを目指しております。

 

 日本における医療を取り巻く環境は、高齢化の進展に伴い、将来的に医療費の増大が強く懸念されており、その適正化は社会的な課題となっています。特に高齢者(65歳以上)人口の増加は、年金、医療、介護といった社会保障費全体の増大に繋がり、国の財政を圧迫する要因となっています。また、国民の死亡原因の過半数を三大生活習慣病が占めている現状は、依然として重要な健康上の課題であり続けています。これらの状況を踏まえ、医療費の抑制と国民の健康寿命の延伸に向けた取組みが、社会全体として求められています。

 このような経営環境のもと、当社グループでは社会保障制度の持続可能性向上を取り組むべき課題とし、既存事業であるデータヘルス関連サービス、データ利活用サービスそれぞれで価値を提供していきます。今後3年間で、データヘルス関連サービスの再成長・効率化と、データ利活用サービスの力強い成長による事業拡大による収益化を実現し、これら既存事業を安定した成長軌道に乗せるとともに新規事業等にも規律を持って投資を行うことで持続的な成長を目指します。

 その実現に向け、2026年3月期については、前期までの投資と構造改革を結実させ、前年対比で大きな売上成長・収益化を実現する年度と位置付けています。

 

 当社グループの主力であるデータヘルス関連サービスについては、多様化する自治体ニーズに応じたきめ細やかな営業、商品強化による売り上げ拡大と、AI活用による生産性の効率化に注力し、自治体におけるトップシェア拡大と事業構造の変革を行います。

 データ利活用サービスについては、営業等の体制・ソリューション等を拡充することで取引社数や単価は力強く伸長しており、引き続きデータベースの質ならびに量を充実させながら、ユニークなデータソリューションによる力強い成長を持続させ、さらなる売上規模拡大を進めます。

 また、中長期的な事業拡大に向けた仕込みとして、国内で蓄積されたソリューションの海外展開や地域、社会に向けたサービスの持続提供の検討など、既存のアセットを活用した規律ある新規投資を実施してまいります。

 

(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標

 当社グループは、各事業拡大のための投資をするなどで成長局面を迎えており、EBITDAを重要な経営指標と位置づけています。経営の効率性を高め、持続的な成長と企業価値の増大を図るため、その増大を目標に経営課題に取り組んでまいります。

 当連結会計年度のEBITDAは、前連結会計年度 98百万円のマイナス から95百万円のプラス となりました。

 

(※)EBITDA=経常利益+金融費用+減価償却費+のれん償却費+臨時に発生した一時費用

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① データヘルス関連サービスのサービスラインアップと提供体制の強化

 従来から行ってきたデータヘルス関連サービスの充実と、DeSCヘルスケア㈱を子会社化したシナジーとしてアプリケーションを活用した新たな保健事業の提供を行い、その提供体制を強化しコスト増加を抑えてまいります。

(イ)従来から行ってきたデータヘルス関連サービスの充実

 ニーズが多様化するデータヘルス計画への対応、保険者機能の強化をサポートするサービスの提供、保健事業と介護予防の一体的な実施に貢献するサービスの構築、多様化する都道府県ヘルスアップ事業への対応など、引き続き提供サービスを充実させてまいります。

(ロ)アプリケーションの活用による保健事業の提供対象の拡大

 DeSCヘルスケア㈱が持つヘルスケアエンターテインメントアプリ「kencom」を自治体の保健事業として提供し、これまで行ってきた壮年期世代の生活習慣病重症化予防に加え、より若い世代の健康的な生活習慣の定着に向けた事業に幅を広げ、全国展開を目指してまいります。

 

② データ利活用サービスの成長

 データヘルス関連サービスで保険者から利用許諾を得たヘルスビッグデータを活用し、医療費の適正化等、公益性のあるデータ利活用サービスの取組みを加速してまいります。

 今後は、営業体制の強化や協業先との取組みを推進しながら、アカデミア・製薬企業をはじめとするステークホルダーの皆様に利用いただく機会を拡大してまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループは、すべてのステークホルダーの要望や期待に誠実に応えられるよう努力しながら、ヘルスケア事業活動を通じて、企業としての持続的な成長を目指すとともに、自社の強みを活かしたサービスから社会に還元するサイクルの創出により、医療費の適正化を始め、様々な社会課題の解決に向け取り組み、社会の持続可能な発展に貢献してまいります。

 また、管理体制の強化によってヘルスケア事業における情報・データを活用したサービスを安定的に提供し、取引実績の積み上げとともにステークホルダーからの信頼を高めることで、より一層の受注増加ならびに事業成長の機会があると考えております。

 

(1)ガバナンスおよびリスク管理

 当社グループ(当社およびDeSCヘルスケア㈱の2社。㈱DPPヘルスパートナーズは小規模なため除外)は、ヘルスケア事業を行う企業として、個人情報保護に対する安全管理は当社グループの最重要課題であるとともに社会的使命と認識し、事業活動の中でお預かりしました個人情報の取り扱いについて、個人情報に係る事故を起こさないことを目標に万全の管理体制を構築し、個人情報事故ゼロを継続しております。

 なお、個人情報保護のための情報セキュリティについて、重要なサステナビリティ項目としております。情報セキュリティ体制の維持およびリスク管理を行うため、当社代表取締役社長を委員長とする情報セキュリティ管理委員会を設置し定期的に開催し、議論した事項は当社経営審議会に報告し、経営上重要な事項は経営審議会においても議論した上で、特に重要性の高い事項については取締役会に報告する体制としております。

 

(2)人的資本と多様性

 当社(DeSCヘルスケア㈱の従業員の多くは親会社から受け入れた出向者であるため除外。㈱DPPヘルスパートナーズは小規模なため除外)は、持続的成長および企業価値向上実現のために、「人的資本と多様性」は重要な経営課題であると考えております。

①多様な人材が活躍できる環境づくり

 多様な働き方と子育て支援を目的として、男性社員の育児休業取得の推進、フレックスタイム勤務制度の導入を実施し、勤務時の服装の自由化およびコロナ禍より限定的な実施を継続している在宅勤務制度の本格的導入に向けた準備を進めております。

 また、長時間労働抑制のために、客観的な労働時間の把握に向けたシステム化および早期のアラートの制度化を行うとともに、管理職への社内の意識啓発や、各部署の管理職への問題点のヒヤリングならびに業務改善案の検討、業務改善を実施しております。

 女性の登用につきましては、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(以下、「女性活躍推進法」という)の趣旨に則り、積極的に進めておりますが、過去の傾向から管理職への登用には課題があると考えており、管理職に対するキャリアプラン支援など実効性のある施策に中長期的に取り組みます。

 また、インターンシップ受け入れを実施することにより、当社の魅力を広くアピールし、多様な人材確保に繋げる目的として、インターンシップ実施計画の立案を進めております。

 なお、女性活躍推進法ならびに次世代育成支援対策推進法に基づき、2024年3月18日に提出した一般事業主行動計画は次のとおりであり、2027年3月の目標達成を目指しております。

 

女性活躍推進法、次世代育成支援推進法に基づく一般事業主行動計画

(計画期間 2024年4月1日~2027年3月31日

指標

目標

対策

当期実績

男性社員の育児休業取得率の増加

75%以上

子どもが生まれる男性社員への育児休業取得を促進するための措置を実施する。
また、「産後パパ育休」や「パパ・ママ育休プラス」の制度の全労働者に対する周知を行う。

当期の男性社員の育児休業取得率は100%となっております。

時間外・休日労働の削減

20削減

時間外・休日労働が月間80時間を超過する社員が発生しないよう社内への意識啓発、各部署の管理職への問題点のヒヤリングと業務改善案の検討を実施する。

時間外・休日労働の月間80時間を超過する社員時間は発生しておらず、時間の合計も前期に比べて34%削減しております。

管理職(課長級以上)に占める女性労働者割合の増加

30%以上

2025年3月までに、経営層や管理職を対象に女性活躍に関する意見交換を実施する。
2026年3月までに、女性管理職に対するヒヤリングの実施およびロールモデルとして社員へ紹介を行う。
2026年3月までに、管理職候補の女性社員へ働き方やキャリアプランに関する面談を実施する。

経営層や管理職を対象に女性活躍に関する意見交換を実施しました。

若年者のインターンシップ受け入れを実施

2名以上受け入れ実施

2026年4月の新卒採用へ向けてインターンシップ実施計画を立案する。

実施計画を立案し大学に働きかけを行いました。

 

②人材育成

 各職場におけるOJTを随時実施するだけでなく、サービスの品質向上のための年間計画に基づいた教育訓練およびコンプライアンスと情報セキュリティの教育を定期的に行っております。

 また、従業員のスキルアップのために、予算編成時に教育計画を作成し、実績を管理する体制を構築しておりますが、十分とは言えない状況となっているため、今後は全社的に教育体制の見直しに取り組んでまいります。

 

(3)環境保護

 当社は、IT技術を活用したサービスを提供しており環境負荷が少ない業態ですが、営業車両を全車ハイブリッド車に買い替え、可能な限り事務所の照明をLEDに変更し窓に遮熱フィルムを貼ることを進めております。また、提供サービスも直接面談からWeb面談へ切り替えを推進するなど、より環境負荷を低減できるよう努めております。

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。当社グループはこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の予防および発生した場合の迅速な対応に努める方針であります。

なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日(2025年6月27日)現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。

 

① 競合他社の参入と価格競争

当社グループが提供するヘルスケア事業の市場は、今後拡大を続けていくと想定しておりますが、当社グループのビジネスモデルと一部重複するビジネスモデルを掲げる競合企業が存在しております。

当社グループは、長年にわたり培ってきた医療関連データベース、レセプト分析技術、業務提携先の強みを活かした新たなサービスの創出等により、他社との差別化を図り継続的な事業成長に努めておりますが、競合他社により当社グループの優位性が失われた場合は、価格競争が激化し、当社グループの経営成績および今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクへの対応策としまして、当社グループではお客様のニーズを汲み取った既存・新規サービスの運用・改善・開発を行うほか、当社のノウハウと業務提携先の強みを活かした新たなサービスの創出により、競合他社とのさらなる差別化を図り、優位性の保持に努めております。

 

② 医療費適正化における国や自治体の方針変更や関連法令等の改正

当社グループが主に提供しているデータヘルス関連サービスにおいては、医療費適正化を目指す国の方針のもと保険者努力支援制度等による補助金等の支援を国から自治体に行っております。今後支援制度の内容の変更、補助金の減額または廃止等が行われた場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

また、データ利活用サービスにおいては、匿名加工情報の取り扱いにおいて個人情報保護法を遵守して推進しております。今後関連法令の制定、変更が行われた場合、当社グループの事業運営に影響を与える可能性があります。

当該リスクへの対応策としまして、当社グループでは国や自治体の方針に合わせた商品の見直し等を行うことで対応してまいります。

 

③ 個人情報保護

当社グループは、サービス提供などにおいて、多くの個人情報を取り扱っております。今後不正や事故などにより個人情報の漏洩が発生した場合、損害賠償や信用力の失墜により、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクへの対応策としまして、当社および、連結子会社であるDeSCヘルスケア㈱は、「プライバシーマーク」認証を取得し、更新審査等を通じて個人情報を保護する体制の維持に努めております。

さらに、ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)の認証を取得し、個人情報を含めた様々な情報保護の仕組みを社内に構築した上で個人情報の適正な管理にも努めております。

その上で、情報セキュリティ管理委員会を設置し、情報セキュリティ体制の維持およびリスク管理を行っております。

 

④ ㈱ディー・エヌ・エーとの資本業務提携契約

当社は2022年6月29日付で㈱ディー・エヌ・エーとの間で資本業務提携契約を締結し、両社は事業運営の独立性を相互に尊重し、ヘルスケア事業について協業を進めております。一方で、㈱ディー・エヌ・エーは、2025年3月末現在、当社株式の発行済株式総数(自己株式控除後)の51.49%を保有する親会社であります。そのため、今後、㈱ディー・エヌ・エーの経営方針に変更があった場合、㈱ディー・エヌ・エーによる当社議決権の行使が当社の事業運営ならびに財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 継続企業の前提に関する重要事象等

 当社グループは、当連結会計年度において減損損失を計上したことにより、当連結会計年度末における純資産額が2億21百万円まで減少し、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しております。この状況を改善するべく、2025年3月期において「事業の効率化の推進」「拠点統合による固定費の削減」の事業構造の改善に取り組みました。これらの取組みに加え、当該減損損失の計上に伴い、今後の償却負担が大幅に軽減される見込みであり、収益構造の改善は確実なものと見込んでおります。また、当社グループの収益の柱であるデータヘルス関連サービスとデータ利活用サービスが着実に成長を続けていることから、黒字化および利益成長を実現し、短期および中長期的な財政状態の改善を見込んでおります。

 資金面においては、金融機関5行ならびに親会社である㈱ディー・エヌ・エーからの資金借入枠を確保しており、当面の運転資金および投資資金において、資金繰りに重要な懸念はないと判断しております。

 以上より、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような状況が存在しておりますが、重要な不確実性は認められないことから、「継続企業の前提に関する注記」は不要と判断しております。

 

⑥ 人材の確保

現在、情報産業界においては優秀な人材の確保が難しい状況であり、当社グループが必要な人材獲得を目標どおりできない場合、また、優秀な従業員が退職するなどの事態が発生した場合には、製品開発の遅れや売上計画の未達、残業時間の増加や人材の採用などに伴う経費の増加により、当社グループの経営成績および今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、積極的な採用活動を継続するほか、一人ひとりが個々の能力を発揮し、多様な人材が活躍できる柔軟で働きやすい職場環境の整備を進めるとともに待遇の改善に継続的に取り組み、従業員の定着率向上に努めております。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社および連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー

(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

2025年3月期は、決算期変更により2024年7月1日から2025年3月31日までの9カ月決算となっております。前連結会計年度と会計期間が異なることから、以下の経営成績に関する説明において、増減額および前期比(%)を記載せず説明しております。

 

当連結会計年度における国内経済は、雇用環境の改善、個人消費や民間企業設備投資の増加などを背景に、景気は緩やかな回復基調が続きました。しかしながら、資源価格や原材料価格の高騰、継続的な物価上昇や世界情勢の緊迫化など、先行きは依然として不透明な状況です。

当社グループの主要顧客である自治体の国民健康保険、後期高齢者医療広域連合などの保険者の財政は厳しい状況が継続していると推測されます。一方で、保険財政の改善のための保険者による予防・健康づくりの推進および医療費適正化に向けての取組みは継続されております。

このような状況下で、データヘルス関連サービスでは、第3期データヘルス計画にかかる受注の反動減により、当連結会計年度の売上高は前年同期(2023年7月-2024年3月の9カ月間)比で減少したものの、一昨年度に比べると19%増の水準となり、中期的な取引拡大に向けて、昨年度過去最高となった顧客数を活かし営業活動を積極的に進めております。主に健康保険組合向けに提案していたヘルスケアエンターテインメントアプリ「kencom」については、自治体向けにも提案を推進しており、前連結会計年度に開始した岡山市と弘前市に加え、当連結会計年度は、新たに愛媛県、鹿児島県、宮城県、一宮市、高石市、津山市など、多数の自治体への提供を開始しており、これら案件含め来年度以降、さらなる売上増に繋げていきます。

さらに、データ利活用サービスは、顧客からの当社グループのソリューションへの引き合いは強く、当連結会計年度は前年同期(2023年7月-2024年3月の9カ月間)比で売上高は45%増加しており、来年度以降も引き続き力強い成長を見込んでいます。なお、2025年3月末までの直近12カ月の取引社数は69社(うち製薬会社等 32社)となり、前年同期実績の50社(うち製薬会社等 28社)から順調に増加するとともに、顧客あたり取引額についても前年同期比で14%増加しております。

これらの結果、当連結会計年度において当社グループの売上高は、38億53百万円(前連結会計年度は50億7百万円)となりました。

損益面では、のれん償却費をはじめとする過去投資分の償却負担が大きく、営業損失は5億16百万円(前連結会計年度は7億89百万円の営業損失)、経常損失は5億3百万円(前連結会計年度は7億73百万円の経常損失)となりました。

親会社株主に帰属する当期純損失は29億64百万円(前連結会計年度は8億7百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。これは、連結子会社であるDeSCヘルスケア㈱の株式取得時に計上したのれんおよび同社が保有する固定資産について24億40百万円の減損損失を計上したほか、効率的な事業運営のための拠点統合費用ならびに人員適正化のための費用を事業構造改善費用として特別損失に計上したことによるものです。

なお、当社グループの収益力を図る客観的な指標としているEBITDA(注)は、95百万円のプラス(前連結会計年度は98百万円のマイナス)となりました。

 

(注)EBITDA=経常利益+金融費用+減価償却費+のれん償却費+臨時に発生した一時の費用

 

(イ)財政状態

(資産の状況)

 資産合計の当連結会計年度末の残高は、前連結会計年度末に比べて5億64百万円減少し、60億95百万円となりました。

このうち、流動資産は売掛金及び契約資産が20億41百万円増加したほか、現金及び預金が2億円減少したことで17億85百万円増加し、当連結会計年度末の残高は41億8百万円となりました。

 また、固定資産はDeSCヘルスケア㈱子会社化によるのれんならびに同社が保有する固定資産が減損損失の計上により減少したため、23億50百万円減少し、当連結会計年度末の残高は19億86百万円となりました。

 

(負債の状況)

 負債合計の当連結会計年度末の残高は、前連結会計年度末に比べて24億29百万円増加し、58億73百万円となりました。

このうち、流動負債は金融機関からの短期借入金が18億50百万円増加したことなどにより、19億13百万円増加し、当連結会計年度末の残高は33億18百万円となりました。

また、固定負債は親会社からの長期借入金が6億円増加したことなどにより5億16百万円増加し、当連結会計年度末の残高は25億54百万円となりました。

(純資産の状況)

当連結会計年度末の純資産の残高は、親会社株主に帰属する当期純損失29億64百万円などにより前連結会計年度末に比べて29億94百万円減少し、2億21百万円となり、自己資本比率は2.5%となりました。

 

(ロ)経営成績

(売上高)

 当社グループの当連結会計年度の売上高は、データヘルス関連サービスでは第3期データヘルス計画にかかる受注の反動減により前年同期(2023年7月-2024年3月の9カ月間)比で減少したものの、一昨年度に比べると19%増の水準となり、データ利活用サービスは前年同期(2023年7月-2024年3月の9カ月間)比で売上高は45%増加しており、38億53百万円(前連結会計年度は50億7百万円)となりました。

(売上総利益)

 売上総利益は、減収による影響の一方で、売上原価は前年同期(2023年7月-2024年3月の9カ月間)比で削減したことにより12億14百万円(前連結会計年度は14億87百万円)となりました。なお、売上高総利益率は31.5%となりました。

(営業損益)

 営業損益は、販売費及び一般管理費が営業体制の強化やのれんの償却費1億91百万円などにより増加し、5億16百万円の営業損失(前連結会計年度は7億89百万円の営業損失)となりました。売上高営業利益率は、△13.4%となりました。

(経常損益)

 経常損益は、賃貸不動産の受取家賃ならびに賃貸収入原価の発生などにより、5億3百万円の経常損失(前連結会計年度は7億73百万円の経常損失)となりました。売上高経常利益率は、△13.1%となりました。

(親会社株主に帰属する当期純損益)

 親会社株主に帰属する当期純損益は、連結子会社であるDeSCヘルスケア㈱の株式取得時に計上したのれんおよび同社が保有する固定資産について24億40百万円の減損損失を計上したほか、効率的な事業運営のための拠点統合費用ならびに人員適正化のための費用を事業構造改善費用として特別損失に計上しました。これらの結果、29億64百万円の親会社株主に帰属する当期純損失(前連結会計年度は8億7百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ2億円減少し、当連結会計年度末には12億24百万円となりました。

 

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果使用した資金は、18億76百万円(前連結会計年度は1億20百万円の獲得)となりました。

これは、主に税金等調整前当期純損失29億65百万円、減損損失24億40百万円、売上債権及び契約資産の増加20億41百万円、減価償却費3億86百万円などによるものです。

なお、当社は事業の特性上、3月末に売掛金の残高が大きくなるという特徴があります。当連結会計年度は9カ月決算となっている影響で4月以降の売掛金回収が含まれていないことから大きなマイナスとなっております。当連結会計年度末における売掛金残高は18億72百万円であり、4月以降売掛金を回収することで営業活動によるキャッシュ・フローは大幅に改善する予定です。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、6億73百万円(前連結会計年度は7億89百万円の使用)となりました。

これは、主にヘルスケア事業に使用するプログラム開発等による無形固定資産の取得によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果得られた資金は、23億49百万円(前連結会計年度は10億15百万円の獲得)となりました。

これは、主に金融機関および親会社からの借入による運転資金の調達によるものです。

 

③生産、受注及び販売の実績

(イ)生産実績

  当社グループの事業は提供するサービスの性格上、生産実績の記載に馴染まないため、当該記載を省略しております。

 

 

(ロ)受注実績

  当連結会計年度の受注保険者数および受注保険者数残高の実績は、次のとおりであります。

サービスの名称

受注顧客数

(件)

前年同期比

(%)

受注顧客数

残高

(件)

前年同期比

(%)

データヘルス関連サービス

167

352

データ利活用サービス

73

19

合計

240

371

(注)当連結会計年度は決算期変更により2024年7月から2025年3月までの9カ月決算となっているため、前年同期との比較分析は行っておりません。また、データヘルス関連サービスの受注の多くは4月~6月に集中するため、当連結会計年度においては決算期変更の影響で受注顧客数残高が受注顧客数を上回っております。

 

(ハ)販売実績

  当連結会計年度の販売実績をサービスの区分ごとに示すと、次のとおりであります。

(単位:千円)

サービスの名称

当連結会計年度

(自  2024年7月1日

至  2025年3月31日)

前年同期比

(%)

データヘルス関連サービス

2,338,949

データ利活用サービス

1,317,799

その他

196,482

合計

3,853,230

(注)当連結会計年度は決算期変更により9カ月決算となっているため、前年同期との比較分析は行っておりません。

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

  経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 また、当連結会計年度は決算期変更により9カ月決算となっているため、前年同期との比較分析は行っておりません。

 

①財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(イ)財政状態の分析

 当連結会計年度の財政状態の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

(ロ)経営成績の分析

 当連結会計年度における売上高は38億53百万円となりました。当連結会計年度における売上高の概要は次のとおりと認識しております。

a.会計期間変更の影響

 先述のとおり、決算期変更のため当連結会計年度は9カ月決算となっております。この会計期間の差により売上高が減少しております。

b.第3期データヘルス計画作成支援業務受注の影響

 当社グループの主要顧客である市町村国保の保険者では、2023年度が第3期データヘルス計画の策定年度にあたり、前連結会計年度において当該計画の作成支援業務のニーズが多くありました。前連結会計年度にデータヘルス計画作成支援業務の受注によって大きく売上高を伸ばしましたが、当連結会計年度においては当該業務のニーズはなくなったため当社グループの受注も減少することとなりました。なお、当連結会計年度においては中期的な取引拡大に向けて積極的な営業活動を進めたほか、「kencom」の自治体からの受注実績を着実に積み上げており、これらを次期以降の売上拡大に繋げていきます。

c.データ利活用サービスの拡大

 データ利活用サービスについては、当社グループのソリューションへの引き合いは強く、売上高、取引社数、取引単価すべてで前年同期比増加となりました。サービスの立ち上げより高い成長を維持しており、当社グループの新たな事業の柱として今後も売上拡大に注力していきます。

 

 上記のとおり、データヘルス関連サービスで売上が伸び悩んだ一方でデータ利活用サービスは売上増加となりましたが、コスト面ではのれん償却費をはじめとする過去投資分の償却負担が大きく、営業損失は5億16百万円(前連結会計年度は7億89百万円の営業損失)、経常損失は5億3百万円(前連結会計年度は7億73百万円の経常損失)となりました。売上高経常利益率は△13.1%であり、期首の計画値を下回りました。

 なお、親会社株主に帰属する当期純損失は、連結子会社であるDeSCヘルスケア㈱の株式取得時に計上したのれんおよび同社が保有する固定資産について24億40百万円の減損損失を計上したほか、事業構造改善費用などを計上したことにより29億64百万円(前連結会計年度は8億7百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

(イ)キャッシュ・フローの状況の分析

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析につきましては「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

(ロ)資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの主な資金需要は事業運営上必要な人件費および業務委託費などの運転資金ならびに研究開発投資に必要な人件費および外注費などであります。

 当社グループの当連結会計年度末の現金及び預金は12億24百万円、有利子負債は48億10百万円であります。

 当社グループは、自治体との契約が中心となるため、自治体の年度末である3月末までを契約期間とする業務が多く、営業収入の入金が第1四半期に集中いたします。このため、期末の有利子負債残高が大きくなりますが、4月以降の入金で返済を行い、第1四半期末時点では有利子負債残高が減少する特徴があります。

 なお、運転資金の外部調達については、複数の取引銀行と当座貸越契約を締結しているほか、当社の親会社である㈱ディー・エヌ・エーとDeSCヘルスケア㈱が極度貸付契約を締結しており、機動的な資金確保が可能であります。また、これらの当座貸越契約ならびに極度貸付契約の借入枠については十分な金額を確保しております。

 なお、将来大規模な投資資金などの資金需要が発生した場合には、エクイティファイナンス等による調達手段を検討してまいります。

 株主還元については、財務体質の強化および積極的な事業展開に備えるため必要な内部留保を確保しつつ、配当性向30%程度を目安として業績に対応した配当を行うことを基本方針としております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりまして、見積りや仮定によることが必要になります。経営者は、過去の実績や状況および現在入手可能な情報を総合的に勘案し、その時点で最も合理的と考えられる見積りや仮定を継続的に採用しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。

 当社グループが採用しております会計方針のうち、重要となる事項につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

 

5【重要な契約等】

(1) DeSCヘルスケア㈱と当社はデータヘルス関連サービスにおける業務提携契約を締結しております。

契約締結日  2020年4月2日

契約期間    2020年4月1日から2023年3月31日まで。以降一方当事者から期間満了の3カ月前までに別段の意思表示がない限り1年間自動延長され、以降も同様とします。

(2) DeSCヘルスケア㈱と当社は医療ビッグデータのデータベース共有に関する契約を締結しております。

契約締結日  2021年8月6日

契約期間    2021年5月1日から2022年3月31日まで。以降一方当事者から期間満了の3カ月前までに別段の意思表示がない限り1年間自動延長され、以降も同様とします。

 

 

6【研究開発活動】

 当社グループは、日本の医療費削減と国民の健康に貢献するためのサービスと製品の研究開発を進めております。

 現在の研究開発は、医療関連データベースの開発およびメンテナンス、ヘルスケア事業の機能開発を当社で行っております。また、自社で使用するシステムの開発は、当社ならびに連結子会社の開発部門で行っております。

  当社グループの研究開発活動の結果はその内容により、ソフトウエアまたは研究開発費に分けて計上されます。

 当連結会計年度の研究開発活動の総額は6億6百万円で、ヘルスケア事業における収益獲得のための機能開発、サービスを提供している既存システムの効率化および機能強化に重点を置き、ソフトウエアおよびソフトウエア仮勘定に5億68百万円を計上しております。

 また、新サービスの開発をはじめ、既存サービスの改良などを行い、研究開発費は37百万円となりました。

 なお、研究開発スタッフはグループ全体で50名であり、これは総従業員数の13.6%にあたります。