第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

    文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

 (1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、企業理念「For the Future of Music ~音楽文化・音楽産業の発展のために、私たちは挑戦を続けます~」及びビジョン「次代を奏でるオンリーワン・エージェント」の下、音楽と、音楽を愛する全ての人の未来のために、当社グループだからこそできる、当社グループにしかできない、新しい時代のエージェントを目指すことを基本方針とし、音楽文化・音楽産業のより一層の発展、持続可能でより良い社会の実現に貢献してまいります。

 

 (2) 目標とする経営指標

当社グループが事業遂行上重視している経営指標は、①著作権管理事業の取扱高(※)、②著作権使用料徴収額シェア、③管理楽曲数、④取扱原盤数であります。2025年3月期の業績、現状の市場動向並びに中期業績計画を踏まえ、当該指標の一部について見直しを行いました。

特に著作権管理事業の取扱高を重要な指標としております。市場シェアや会社の成長性をみるために有効な指標であることが当該指標を重視している理由であり、著作権管理事業の取扱高の更なる拡大を経営目標としております。

(※)著作権管理事業の取扱高とは、音楽著作権の利用者から徴収した金額(権利者へ分配する金額と当社の管理手数料からなります)を示しております。

著作権管理事業の取扱高と売上高の関係については、取扱高から当社の管理手数料を差し引いた金額を権利者へ分配しており、当社は管理手数料部分のみを売上高として計上しております。

また、上記のほか、近い将来の目標であるプライム市場上場を見据え、財務上重視している経営指標として⑤売上高、⑥対前期売上高伸長率、⑦営業利益率、⑧経常利益を定めております。

 

 (3) 経営環境及び中長期的な会社の経営戦略

現在の音楽関連市場の事業環境は、一般社団法人日本レコード協会の調べによりますと、音楽ソフト(音楽ビデオ含む)の生産金額は前年同期比93%(2024年1月~12月)と音楽ビデオが低調だったことにより減少した一方、有料音楽配信売上金額は、前年同期比106%(2024年1月~12月)と11年連続の増加となりました。

このような状況を踏まえ、当社グループでは、2026年3月期からの中期業績計画において以下のとおり各経営指標の目標値を設定しております。

  ①著作権管理事業の取扱高 目標:伸長率10%以上

 ②著作権使用料徴収額シェア 目標:中期的に10%、長期的に50%

 ③管理楽曲数 目標:毎期10万曲以上増加

 ④取扱原盤数 目標:毎期23万原盤以上増加 

 ⑤売上高 目標:296億円以上

 ⑥対前期売上高伸長率 目標:10-20%

 ⑦営業利益率 目標:9%以上

 ⑧経常利益 目標:2年で合計25億円(プライム市場上場基準)

 

また、中長期的な成長戦略については以下のとおりです。

 

著作権管理事業においては、着実な成長継続のために、当面は近年参入した海外、第1区分(コンサートその他の催物における演奏等)及び第5区分(映画等の上映、遊技機等の上映・演奏、店舗内BGM)の確実な徴収、そして有力コンテンツの管理受託に努め、中長期的には第6区分(カラオケ演奏等、社交場における演奏等)に参入し、全支分権・利用形態の管理を目指します。

また、業界慣習に新風を吹き込むべく、当社の強みであり他の音楽著作権管理事業者にないデジタルコンテンツディストリビューション(DD)事業、音楽配信事業、その他(ビジネスサポート事業(キャスティング事業、システム開発・保守運用事業、ソリューション事業、エージェント事業等))の各事業をそれぞれ推進し、さらにこれらから生まれる新規事業を含めた音楽関係ビジネスに係る様々なサービスを提供する総合エージェントとして、中長期的な成長を目指してまいります。

 

(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題

当社グループは、企業理念「For the Future of Music ~音楽文化・音楽産業の発展のために、私たちは挑戦を続けます~」及びビジョン「次代を奏でるオンリーワン・エージェント」の下、持続的な企業価値向上を目指し、以下の6項目を重要課題として取り組んでまいります。

 

① 著作権管理事業における精度の高い使用料徴収・分配への取組

当社の基幹事業である著作権管理においては、著作権使用料を適切に徴収し著作権者に安定的に精度高く分配することが著作権管理事業者の使命であり、最も重要な課題であると認識しております。

 この使命を果たすべく、AIをはじめとする先進技術の導入により、業務の効率化とサービス品質の向上を推進し、これまで培ってきた研究・開発の成果を基に、システムの実用化を進めています。

 さらに、2021年に開始した海外における著作権管理業務や、2022年から参入した演奏権(第1区分及び第5区分)の管理業務においては、国内外の関係団体や利用者団体等との連携を強化し、安定した事業スキームの構築に取り組んでいます。これにより、より精度の高い使用料の徴収と分配を実現してまいります。

 

事業基盤の継続的な拡大

当社グループの成長のためには、管理楽曲数や取扱原盤数等の事業基盤の継続的な拡大が重要課題であると認識しております。著作権管理事業やデジタルコンテンツディストリビューション(DD)事業のみならずその他ビジネスサポート事業など、グループで展開する各事業をより発展させ、ネットワークを相互に活用し、営業効率を最大化させながら、権利者に対して複合的な提案を行い、管理楽曲数や取扱原盤数の増加に取り組んでまいります。

 

③ 演奏権 第6区分(社交場・カラオケ演奏等)管理への進出

 当社設立以来の重要課題である演奏権管理において、2022年4月1日より、カラオケ演奏等及び社交場における演奏等を除く利用区分(主としてコンサート、映画上映等)に参入いたしましたが、当社が唯一未参入の区分である残る第6区分への参入を引き続き重要課題と認識しております。

  権利者・利用者団体等のご理解ご協力を得ながら可及的速やかに参入し、著作権エージェントとしてフルラインサービスの提供が可能な体制の構築を目指してまいります。

 

④ 各種業務及びサービスを支えるシステム整備とDX推進

 当社グループは、ビジネス・プロセスのシステム化による「安定的な業務品質の担保」を重要課題と認識しております。

 AI技術や様々なデータ活用による業務効率化やコスト低減、さらには営業施策としてのシステム活用等、多方面にわたりシステムの観点からのアプローチも継続し、グループ全体のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進してまいります。

 また、各種の利用実績確認など、これまで以上に膨大なシステムデータの解析・処理が必要となる業務領域についても、AI等を活用した品質向上施策の更なる精度向上と他業務への展開を図り、次代に合わせた事業展開を推進してまいります。

 

⑤ 内部管理体制の強化

 当社グループは、内部管理体制の強化を経営上の重要課題の一つとして認識しております。

 グループ各社との連携の下、内部統制機能の一層の充実とガバナンス体制の確立に努め、リスク管理の徹底を図ることで、株主の皆様をはじめ各ステークホルダーの皆様との良好な信頼関係を保ちながら、社会的責任を果たしてまいります。

 

⑥ 人材確保・育成の強化

当社グループの成長の源泉は人材であり、人材の確保と育成が重要課題であると認識しております。

より人材の流動性が高まっている昨今においては優秀人材のリテンションにも力を入れる必要性を認識しながら、職場環境の改善やワークライフバランスの実現、ストレス対策等、従業員の健康や生活スタイルを尊重することによる従業員エンゲージメントの向上施策に取り組むとともに、多様な人材が集まり活躍することができる人事制度、研修制度の整備と改善により、継続的な専門人材の育成を行ってまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

当社グループのサステナビリティに関する活動は、当社サステナビリティポリシーに基づき、経営会議にて審議し、取締役会が監督を行っております。

 

<NexToneグループ サステナビリティポリシー>

当社グループは次代を奏でるオンリーワン・エージェントとして、音楽著作権の管理と利用促進を推進する事業や権利者・クリエイターをサポートする事業を継続的に拡大し、適正な徴収・分配・支援を行うことで、豊かな社会の実現、音楽文化・音楽産業のより一層の発展、持続可能でより良い社会の実現に貢献します。

 

サステナビリティに関する考え方や取組については全常勤役員と全執行役員をメンバーとする「経営会議」において協議・決定し、取締役会へ報告を行います。

取締役会は報告を受け、当社グループのサステナビリティ課題への対応方針及び実行計画等についての議論・監督を行います。

決定内容は全部門長をメンバーとする「部門長会議」を通じ全社員へ周知徹底を図ります。

 

(2)リスク管理

当社グループではリスク管理をサステナビリティポリシーの実現や内部統制のための重要な手段として認識しております。

社会情勢やステークホルダーからの要請を把握し、経営会議において、当社のサステナビリティポリシーや中長期的な経営戦略との整合を図りながら、当社グループにおけるリスク管理の観点からも重要課題(マテリアリティ)を特定・見直し、対応策の策定・実行を行い、取締役会へ報告します。

取締役会では、リスクへの対応状況を定期的にモニタリングします。

次代を奏でるオンリーワン・エージェントとして、権利者から選ばれ、利用者から支持され、音楽文化・音楽産業のより一層の発展、持続可能でより良い社会の実現に貢献するため、以下のマテリアリティを特定し、特定したマテリアリティに対しては今後継続的に取り組んでいく予定です。

 

<マテリアリティ>

① DXの推進 

IT技術の活用により、当社及び取引先の業務の効率化を図ることにより、省エネ・省資源・省スペースを促進し、取引先も含めた環境負荷の低減に寄与する。

② 音楽文化・音楽産業の持続的な発展

音楽著作物の利用において、権利者と利用者に安心と利便性を提供し、創造のサイクルに貢献することで、音楽文化と音楽産業の発展をサポートする。

③ 人材の育成・活用

著作権やシステムなど各部門の専門人材を育成・活用するとともに、ダイバーシティの促進、人権・労働環境への配慮等により働きがいのある職場を作る。

④ 信頼性の高いシステム

システムリスクを念頭に置き、著作権の権利処理システム等のシステムを常にリニューアルし、高い信頼性を確保・維持する。

⑤ ガバナンスの強化

ガバナンスを強化し、透明性を高め、成長に向けた投資とリスク管理のバランスをとりつつ、持続的な企業価値向上を図る。

 

 

(3)戦略

当社グループは、事業内容や経営環境、企業価値への影響等を踏まえ、当社グループにとって人的資本に関する戦略を重要な戦略と位置付けております。

また、事業活動におけるサステナブルな取組を推進しており、2025年5月より、音楽・各種イベントに関連する新規事業としてリユース型のお祝い花を提供するサービス「BLONIA」を開始いたしました。

 

当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、以下のとおりであります。

 

① 人材育成方針 

当社グループは、次代を奏でるオンリーワン・エージェントとして、権利者・利用者双方のニーズに応え続け、音楽文化・音楽産業のより一層の発展に貢献できる人材を育成していきます。

 

<取組例>

・社員の能力を適正、公正に評価し、処遇に結びつけるとともに、個々の成長と当社グループ全体の成長を目的とした人事評価制度の実施

・専門性の高いスキルをもった人材を育成(ビジネス研修、外部講座受講、社内勉強会などの機会提供の他、資格取得支援制度の制定)

・新任管理職研修、階層別研修の実施

・デジタルスキル強化(社内研修の充実)

・従業員エンゲージメント調査や従業員アンケートを実施し、調査結果を踏まえた昇給率や固定残業時間の見直し、副業制度やジョブローテーション制度の導入 等

 

② 社内環境整備方針

当社グループは、社員の安全と心身の健康を守るとともに、働き甲斐のある職場環境の確保に取り組みます。

 

<取組例>

・定年延長(65歳まで)、積立有給制度、時短勤務制度(子が中学卒業まで)、在宅勤務制度等をはじめとした就業支援制度の充実と各種制度を利用しやすい職場環境の提供

・ウイルス感染症対策に係る予防接種補助や健康診断受診推奨による受診率100%を目標とするなど社員の健康増進の取組

・企業年金制度導入 等

 

(4)指標及び目標

当社グループが重要戦略と認識している人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績は以下のとおりであります。

 

指標

目標

単体実績

(2025年3月期)

連結実績

(2025年3月期)

管理職に占める女性労働者の割合

2026年度 30以上

21.1%

22.5

労働者の男女の賃金の差異(※1)

2026年度 75以上

69.6%

69.9

男性労働者の育児休業取得率

75以上

100.0%

66.7%(※2)

有給休暇消化率(※3)

2026年度 60以上

48.5%

38.3

 

(※)1.男女間賃金格差算出において、平均給与等の算出対象から休職者及び臨時従業員(週20時間未満勤務者)を除外しております。

2.一部のグループ会社においては独自にフレックス制度や、在宅勤務等の柔軟な勤務制度を採用するなど、各社が育児・仕事の両立が可能な働き方を推奨しております。

3. 有給休暇取得日数には、前事業年度有給休暇の繰越分を取得した分も含めております。

 

3 【事業等のリスク】

 当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。

 また、必ずしも事業上のリスクに該当しない事項についても、投資家の投資判断において重要であると考えられる事項については積極的に開示しております。

なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社が判断したものであり、将来において発生の可能性がある全てのリスクを網羅するものではありません。

 

 1.事業内容に関わるリスク

(1) 「著作権管理事業」の市場構造に関するリスクについて

 当社グループの中核をなす音楽著作権管理事業の市場規模は、過去10年以上、年間の「著作権使用料徴収額」が1,200億円前後で推移していたところ、コロナ禍には一時落ち込んだものの、2024年3月期には1,400億円を超え、拡大基調がみられております。当該市場は、2001年10月に「著作権等管理事業法」が施行され、広く民間に著作権管理業務に関する門戸が開放され、当社のシェアも上昇してまいりましたが、現在に至るまでJASRACが大半のシェアを保有する状態が続いております。

当社グループといたしましては、競合が行っていないデジタルコンテンツディストリビューション(DD)事業等の利用促進・マネタイズ事業を推進し、更なる差別化戦略の遂行により、市場シェアを高めてまいります。

しかしながら、エンタテインメント業界の構造の変化等により、当社グループが属する市場の規模が想定したほど拡大しない場合、あるいは、当社グループの差別化戦略が奏功せず、業界ポジションの向上につながらなかった場合には、当社グループの経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

 (2) 法的規制について

当社グループが事業を展開するにあたり、主に「著作権等管理事業法」、「著作権法」、「著作権法施行令」、「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」及び「個人情報の保護に関する法律」等の規制対象となります。

特に当社は「著作権等管理事業法」に基づき、著作権等管理事業者として文化庁長官の登録を受けており(2001年10月11日登録・登録番号01005)、以下のような義務を負っております。
①対委託者 管理委託契約約款の説明、管理委託契約約款の公示、財務諸表等の備え付け等
②対利用者 使用料規程の公示、利用の許諾の拒否の制限、情報の提供
③対文化庁長官 各種届出(事業の変更・廃業等、管理委託契約約款、使用料規程)

当社グループでは、これらの法令を遵守して業務を行っており、事業の継続に支障をきたす要因は発生しておりません。しかしながら、これらの法令等が改正され規制が強化された場合、新たに当社の事業活動を規制する法令等が制定された場合、あるいは今後何らかの理由により、「著作権等管理事業法」第21条(登録の取消等)に抵触し、著作権等管理事業者の登録が取り消しになった場合には、事業への制約や追加的な対応が生じることにより、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

  (3) 音楽配信市場に関するリスクについて

当社グループが事業を展開する音楽配信市場は、通信会社の方針やサービスへの依存度が高く、技術革新や配信プラットフォームによる消費行動の変化、国内外有力企業によるストリーミング市場の競争激化等、様々な要因により市場規模が想定通り推移しない可能性があります。また、海外プラットフォームにおける市場シェアが伸長していることもあり、為替変動を注視する必要があります。

それら外部環境の変化による悪影響を受けた場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(4) 投資に関するリスクについて

当社グループは今後も成長を続けるために、新規事業への挑戦や、人材の採用、システム投資、M&A等の戦略的な投資が重要であると認識しております。

出資や買収等の投資においては、対象となる企業の財務や税務、法務等の契約関係及び事業の状況等について事前に社内外の専門家と精査し、価値評価に関しては第三者評価機関の見解等も踏まえ、可能な限りリスクの低減に努めてまいります。しかしながら、投資後に、事業環境に急激な変化が生じた場合やその他予期し得ない理由により当初の計画通りに事業が進展しない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 減損に関するリスクについて

当社グループは各事業においてシステムへの投資を継続的に行っております。また、のれんに関しては、イーライセンスとJRCが合併・事業統合し当社が発足した際に計上しており、顧客関連資産に関してはレコチョクの株式を取得し連結子会社とした際に計上しております。

これらのソフトウェア及びのれん等は、無形固定資産に計上しておりますが、これらの資産が生み出す将来キャッシュ・フローの状況等によっては、減損損失の認識の必要性が生じる可能性があり、その場合には当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 2.事業体制に関わるリスク

(1) システムリスクについて

当社グループの事業は、コンピューターシステム及びインターネットを活用しており、何らかの原因による当社サーバー等への一時的な過負荷や、役職員の過誤等によるシステム障害が発生する可能性があります。

また、ユーザーにより良いサービスを提供するため、システムの稼働率を高水準で維持しつつ、一方で、サービスの監視体制やバックアップ等の対応策をとっておりますが、急激なアクセスの増大によりサーバーが一時的に作動不能となった場合及びサーバーハードウェアに不具合が発生した場合には、安定したサービスが提供できなくなる可能性があります。

これらの場合、一定期間の収益低下、ユーザーからの信用低下及びブランドイメージの毀損等により、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(2) 情報セキュリティについて

当社は、第三者による当社サーバー等への侵入に対して、ファイアウォールや対策機器等によるシステム的な対応を行うとともに、従業員等への定期的な情報セキュリティ教育も行っております。そのほかにも、子会社である株式会社NexToneシステムズにおいては、ISMS(ISO27001)認証を取得し、専門のエンジニアによる情報セキュリティ対策を強化するほか、レコチョクにおいても、対応状況に応じて外部の情報セキュリティベンダーによるチェック体制を確立し、より強固な情報セキュリティ環境を整備しております。

しかしながら、悪意をもった第三者によるサイバー攻撃等により顧客情報及び顧客の有する重要な情報を不正に入手されるといった機密性が脅かされる可能性や、顧客が利用するサービスの改ざん等のデータの完全性が脅かされる可能性及びサービス自体が提供できなくなるなどのシステムの可用性が脅かされる可能性は否定できません。

また、当社グループでは、各種事業を行う上で、著作権者及び音楽利用者、音楽配信サービス利用者、インディーズアーティスト等の個人情報を取り扱う場合があります。そのため、レコチョクにおいてプライバシーマークを取得しているほか、当社グループでは、個人情報の取扱を社内規程に定めるとともに、社員研修の実施等により、セキュリティへの意識や情報リテラシーの向上に努めております。しかしながら、個人情報の流出が発生する可能性は否定できません。

このような事態が生じた場合には、当社に対する法的責任の発生、企業イメージの悪化等により、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。


 

 

(3) 大規模災害や事故等の発生に伴う影響について

大地震等の自然災害や事故の発生により、当社の各種サービスの提供が困難になったり、システム障害等が発生する可能性があります。

当社グループでは、自然災害や事故等に備えた業務マニュアルの整備、システムの定期的バックアップ、稼働状況の常時監視等によりトラブルの事前防止を図るとともに、複数のデータセンターでのデータ管理による可用性の強化に努めておりますが、当社所在地近辺において、大地震等の自然災害や事故等が発生した場合、当社グループの設備損壊や電力供給の制限等、事業継続に支障をきたす事象が発生し、当社グループの経営成績及び収益性に影響が生じる可能性があります。

 

 (4)訴訟及び損害賠償リスクについて

 システム障害等により当社のサービスが適切に提供できなかった場合、あるいは、知的財産権の侵害や情報漏洩などの各種の法令違反が発生した場合、新たに訴訟を提起されたり、損害賠償責任が発生し、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況の概要は、以下のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当社グループが事業を展開する音楽関連市場は、一般社団法人日本レコード協会の調べによりますと、音楽ソフト(音楽ビデオ含む)の生産金額は前年同期比93%(2024年1月~12月)と音楽ビデオが低調だったことにより減少した一方、有料音楽配信売上金額は前年同期比106%(2024年1月~12月)と、堅調に推移しております。音楽配信売上の内訳をみると、ダウンロードは縮小傾向にあるもののサブスクリプション型や広告収入型の音楽配信サービス等のストリーミング配信市場が引き続き拡大しております。

このような状況の中、当社グループは中期業績計画の達成に向け、著作権管理事業、デジタルコンテンツディストリビューション(DD)事業、音楽配信事業を中心に、以下のような取組を行ってまいりました。

・公平・公正かつ透明性の高い著作権使用料の徴収・分配

・著作物利用に対する迅速かつ柔軟な対応

・海外徴収の精度向上

・演奏権の取扱高増加

・DX推進による業務効率化

・経営効率化のための子会社における不採算サービスの解消を含む事業構成見直し

各事業間シナジーを活かした複合的な提案による管理楽曲数及び取扱原盤数の増加

・楽曲・コンテンツの更なる利用促進

・権利者へのきめ細やかなサービスの提供

これらの取組を通じ、事業基盤となる管理楽曲や取扱原盤を着実に積み上げ、さらに、新規事業の立ち上げにも取り組んでまいりました。

 

当連結会計年度の当社グループの経営成績につきましては、既存事業が安定的に推移したことに加え、前期において第3四半期から連結していたレコチョクグループの損益計算書を、今期は通期で連結したことにより、売上高が大幅に増加いたしました。利益面では、レコチョクグループにおける成長分野や新規事業への先行投資を継続しつつも、既存事業の増収に伴い増益となりました。

以上の結果、売上高は19,412百万円(前年同期比144.5%)、営業利益は1,005百万円(前年同期比154.9%)、経常利益は1,028百万円(前年同期比157.4%)、親会社株主に帰属する当期純利益は692百万円(前年同期比130.3%)と増収増益となりました。

なお、当連結会計年度において、企業結合に係る暫定的な会計処理の確定を行っており、前連結会計年度に係る各数値については、暫定的な会計処理の確定の内容を反映させております。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 

 

  a. 著作権管理事業

楽曲の著作権に関わる2つの事業、当社の基幹事業である音楽著作権管理事業と、子会社の株式会社エムシージェイピーで展開している音楽出版事業を「著作権管理事業」として設定しております。著作権者からの委託を受け、音楽著作物の利用の許諾と音楽著作権使用料の徴収・分配を行うほか、音楽出版社に向けた業務代行サービス等を提供しております。

音楽著作物の利用時期と当社著作権管理事業の売上計上時期にはおおよそ1~2四半期のタイムラグが生じるため、当連結会計年度の音楽著作権使用料の対象となる利用時期は主に2023年10月~2024年12月となります。

 

(利用時期と計上時期のイメージ)

利用区分

利用時期

第1四半期計上

第2四半期計上

第3四半期計上

第4四半期計上

録音権

1月~3月

4月~6月

7月~9月

10月~12月

インタラクティブ配信

1月~3月

4月~6月

7月~9月

10月~12月

放送

10月~12月

1月~3月

4月~6月

7月~9月

 

(注)表中の「利用区分」は主要な区分のみを記載しております。

 

当該期間のインタラクティブ配信にかかる使用料徴収額はストリーミング音楽配信市場と動画配信サービス市場の引き続きの拡大により前年同期比117.5%となりました。録音権にかかる使用料徴収額は、アイドル系楽曲の音楽ソフト等における利用が好調に推移し前年同期比129.6%となり、放送・有線放送にかかる使用料徴収額は当社管理楽曲の番組利用や管理楽曲数の順調な増加等により大幅増となり前年同期比124.6%となりました。また、海外地域における使用料徴収の精度向上と効率化に向け、米国の著作権管理事業者との徴収代行契約の締結に加え、全世界のYouTube動画視聴における使用料の直接徴収を開始いたしました。

徴収額全体では前年同期比122.5%となり、当社発足以来9期連続の増加となりました。

当連結会計年度末における当社管理楽曲数及び期中の新規管理楽曲数は以下のとおりです。

 

(著作権管理事業)

2024年3月期

2025年3月期

管理楽曲数(曲)

526,123

691,490

期中新規楽曲数(曲)

148,028

167,229

 

 

以上の結果、売上高は1,524百万円(前年同期比123.3%)、セグメント利益は692百万円(前年同期比132.2%)となり、増収増益となりました。

 

また、委託権利者や管理楽曲が順調に増加し、他管理事業者からの移管として2025年4月から当社が新たに著作権管理を受託する9,871楽曲(うち、新規移管による純増5,738楽曲、委託範囲拡大4,133楽曲)の移管も実施いたしました。移管楽曲の中には著名アーティストの楽曲も数多く含まれております。これらは今後の当社事業基盤の強化につながり、業績のプラス要因となることが見込まれます。

 

 

 b. デジタルコンテンツディストリビューション(DD)事業

当社、レコチョク及び株式会社エッグス(以下、「エッグス」)で行う、国内外の音楽配信プラットフォームに向けた、原盤(音源・映像)供給サービスを「DD事業」として設定しております。

当連結会計年度におけるDD事業は、ストリーミング音楽配信市場と動画配信サービス市場の伸長を背景に、取扱原盤の増加に加え、当社の強みであるアニメ・ゲーム関連及びVTuber等のネットクリエイター関連の原盤が日本及び海外で多く使用されたこと等により、売上高は前年同期比128.1%と大幅増収となりました。一方で、レコチョクにおけるDD業務のサービス開始の遅延により、システム開発等の投資が継続して発生いたしました。

当連結会計年度末における取扱原盤数及び期中新規原盤数は以下のとおりです。なお、前期よりレコチョク及びエッグスの取扱原盤数も合算しております。

 

(DD事業)

2024年3月期

2025年3月期

取扱原盤数(原盤)

1,263,352

1,470,294

期中新規原盤数(原盤)

201,490

206,942

 

 

以上の結果、売上高は9,688百万円(前年同期比128.1%)、セグメント利益はレコチョクにおけるシステム開発等の先行投資を吸収し962百万円(前年同期比122.5%)となり、増収増益となりました。

 

c.音楽配信事業

レコチョクにおける基幹事業である音楽配信(個人向け・法人向け)を「音楽配信事業」として設定しております。音楽配信(個人向け)は単曲販売のダウンロード及び定額制販売のストリーミングを提供し、音楽配信(法人向け)は店舗、カラオケボックスや結婚式場向けの映像・BGM配信サービス等を行っております。

当連結会計年度における音楽配信事業は、個人向け主力サービスである「dヒッツ」のサービス料金を2024年12月より改定したことが奏功し、安定的に推移いたしました。また、店舗向け映像・BGM配信サービスの契約店舗数拡大や結婚式場向けBGM配信サービスの導入式場数拡大等にも取り組みました。

以上の結果、売上高は7,585百万円(前年同期比190.7%)、セグメント利益は1,337百万円(前年同期比236.6%)となり、前期においてはレコチョクグループの損益計算書を第3四半期から連結していたため、当期との連結期間の相違による影響により、前年同期比で大幅な増収増益となりました。

 

d. その他

上記「著作権管理事業」、「デジタルコンテンツディストリビューション(DD)事業」、「音楽配信事業」に含まれない各種の事業を「その他」としております。

「その他」に含まれる事業といたしましては、キャスティング事業、当社子会社である株式会社NexToneシステムズにおけるシステム開発・保守運用事業、レコチョクにおけるレコード会社・音楽プロダクション向けソリューション事業、及びエッグスにおけるインディーズアーティスト向け活動支援のエージェント事業等となります。

当連結会計年度では、キャスティング事業において、人気グループのコンサートや人気ミュージカルのライブビューイング等を実施いたしました。

また、レコチョクのソリューション事業において、音楽業界向けのシステム受託開発等への投資を行いました。

一方で、ソリューション事業における既存サービスの拡大やエッグスのエージェント事業における新規サービス開始が計画より遅延いたしました。

以上の結果、売上高は1,497百万円(前年同期比114.5%)と増収となりましたが、サービス遅延の影響により、セグメント損失は425百万円(前年同期は80百万円の損失)となりました。

 

財政状態は、次のとおりであります。

 

(資産)

 当連結会計年度末における資産は、前連結会計年度末に比べて1,596百万円増加し、14,831百万円となりました。これは主に、著作権管理事業、DD事業、音楽配信事業が堅調に推移したことに伴う現金及び預金の増加1,582百万円のほか、音楽配信事業が堅調に推移したことによる売掛金の増加144百万円、レコチョクにおける移転補償金に係る未収入金が221百万円増加した一方で、レコチョクにおけるソフトウェアの減損及び保有する投資有価証券の売却等による固定資産の減少332百万円によるものであります。

 

 (負債)

当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末に比べて1,036百万円増加し、9,116百万円となりました。これは主に、著作権管理事業が堅調に推移したことに伴い、著作権者への分配に係る未払金の増加556百万円に加え、DD事業及び音楽配信事業が堅調に推移したことによる買掛金の増加462百万円によるものであります。

 

 (純資産)

当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べて560百万円増加し、5,715百万円となりました。これは主に、利益剰余金の増加692百万円のほか、非支配株主持分の減少146百万円によるものであります。

利益剰余金の増加は、親会社株主に帰属する当期純利益692百万円によるものであります。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、前連結会計年度末と比較して1,582百万円増加し、9,629百万円となりました。

 

各キャッシュ・フローの状況とその原因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、2,152百万円前連結会計年度1,375百万円)となりました。これは主に、業績が好調に推移したことにより税金等調整前当期純利益が895百万円と増加したこと及び減価償却費647百万円、減損損失247百万円の計上のほか、著作権管理事業及び音楽配信事業において権利者への分配が増加したことに伴う未払金の増加532百万円、買掛金の増加462百万円等により資金が積み上がった一方で、レコチョクにおける本社移転に伴う移転補償金に係る未収入金の増加221百万円や法人税等の支払額が269百万円あったことで資金が減少したことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、△569百万円(前連結会計年度は695百万円)となりました。前連結会計年度は、株式会社レコチョクを新規連結したことに伴う同社の現預金の取り込みによる増加があった一方で、当連結会計年度においては、レコチョクにおいて投資有価証券の売却に伴う収入110百万円のほか、各事業において使用しているシステムの継続的な改修及び新機能追加等に伴う無形固定資産の取得による支出739百万円に加えて、レコチョクの本社移転に伴う旧本社ビルの敷金返金による収入203百万円及び新本社ビルにおける有形固定資産の取得による支出98百万円等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、発生しておりません(前連結会計年度は△65百万円)。

 

 

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

b. 受注実績

当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

c. 販売実績

当連結会計年度における販売(売上)実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

著作権管理事業

1,366

121.7

DD事業

9,429

126.7

音楽配信事業

7,585

190.7

その他

1,031

115.9

合計

19,412

144.5

 

(注)1.セグメント間取引については相殺消去しております。

2.主な相手先別の売上実績及び当該売上実績の総売上実績に対する割合は次のとおりであります。

 

相手先

第24期連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

第25期連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

株式会社NTTドコモ

2,646

19.7

5,309

27.3

Google LLC

3,158

23.5

4,342

22.4

iTunes株式会社

1,512

11.3

1,687

8.7

Spotify AB

1,255

9.3

1,628

8.4

 

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。連結財務諸表の作成にあたり、資産及び負債又は損益の状況に影響を与える会計上の見積りは、過去の実績等の連結財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき合理的に判断しておりますが、見積りの不確実性により、実際の結果がこれら見積りと異なる場合があります。

 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

 ② 経営成績及び財政状態の分析

   経営成績及び財政状態の分析内容については、「(1)経営成績等の状況の概要」をご参照ください。

 

 ③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

   当社グループの財務政策は、安定的な運用を行うことを基本方針としております。

   運転資金及び将来の事業拡大を目的にした投資資金の財源につきまして、自己資金を財源としております。

 

 ④ 経営成績に重要な影響を与える要因について

 経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」の記載のとおりであります。

 

 ⑤ 経営者の問題意識と今後の方針について

 経営者の問題意識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の記載のとおり認識しております。それらの課題に対応するため、経営者は常に市場ニーズや内部環境及び外部環境の変化に関する情報の入手及び分析を積極的に実施し、現在及び将来における内部環境及び外部環境を認識したうえで、当社グループの経営資源を最適に配分し、最適な解決策を実施していく方針であります。

 

5 【重要な契約等】

  該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

 該当事項はありません。