文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、社会に存在する意義である「パーパス」を「化学技術でより良い生活環境の実現に貢献し続ける」こととし、この決意のもと企業活動において全構成員が共有すべき基本的・普遍的な価値観を表すものとして、基本理念と行動基準を定めております。
<基本理念>
・「社会」、「生命」、「環境」に貢献する。
・株主、顧客・取引先、地域社会、従業員を大切にする。
・遵法精神を重んじ、透明な経営を行う。
<行動基準>
・社会から信頼される事業活動を行うため、社会規範、法令、会社の諸規定を遵守し、高い倫理観と良識を持って行動する。
・ものづくりに際しては、地球環境との調和を図り、常に安全確保に万全を期し、無事故・無災害に努める。
・相互協力、相互理解により人権を尊重し、風通しのよい働きやすい職場をつくる。
・企業活動の透明性を保つため、企業市民としてコミュニケーションを重視し、企業情報を適時、的確に開示する。
(2) 目標とする経営指標、経営環境及び対処すべき課題
当社グループは、長期ビジョン「Vision 2030」とそれに基づく中期経営計画(2021~2023年度)「Vision 2030 StageⅠ」に取り組んでおります。
1.長期ビジョン「Vision 2030」
当社グループは、創立100周年を機に、10年先の2030年にありたい姿を描き、2030年に向けた長期ビジョン「Vision 2030」として「独創・加速・グローバル。化学の力で暮らしを変える。」を制定し、以下の経営目標や取組方針などの実現を目指します。
(1) 経営目標(2030年)
・連結売上高 2,000億円超、 連結営業利益率 15%以上、 ROE 10%以上
・株主還元 安定的な株主還元の継続
(2) 基本的な取組方針
・当社グループが企業理念の下に、長年にわたり培ってきた3つの強みを価値創造のコアとして「Vision 2030」の達成に取り組んでいきます。
<3つの強み>
「社会、生命、環境にやさしい、安全・安心の“品質力”」
「多彩な人材が支える、最先端の“技術開発力”」
「高いコンプライアンス意識に基づく“経営推進力”」
・原燃料価格の高騰、地政学リスクの高まり、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)、カーボンニュートラル、急速なデジタル化等、当社グループを取り巻く事業環境の不確実性が一段と増す中で、サステナブルな社会の実現に向けて貢献するとともに、その事業活動を通じて企業価値の向上を両立します。
・ESG・SDGs視点での経営への取り組みを継続的に推進し、経営基盤を更に強化し、この強固な経営基盤の上で、無機化学・有機化学の各事業方針に基づき「Vision 2030」達成に向け当社グループが一丸となって取り組みます。
(3) 事業方針と重点施策
1) 無機化学事業
事業方針:「酸化チタンで培った技術をベースとした新たなる価値を創造し、環境ならびに情報化社会を支えてサステナブルな社会の実現に貢献する。」
重点施策:・酸化チタンの光学的特性を多様化させて、新たな価値創造を実現
・ICT普及や自動車EV化などの社会課題解決に機能性材料で貢献
・生産構造改革により環境負荷低減と生産効率化とを両立
2) 有機化学事業
事業方針:「顧客の価値向上に直結する独自製品を世界中に供給し、人々の食、健康、生命を支えてサステナブルな社会の実現に貢献する。」
重点施策:・バリューチェーンを意識した開発・商業化の推進
・自社技術の錬磨・進化による価値創造加速と成長路線復活
・主力製品の世界一低コスト製造と顧客への安定供給
2. 中期経営計画(2021~2023年度) 「Vision 2030 StageⅠ」
(1) 基本方針
本中計は、長期ビジョン「Vision 2030」からバックキャストした3段階の最初の中期経営計画「Vision 2030 StageⅠ」として、特に、ESG・SDGs視点での経営の取り組み強化を推進することにより、サステナブルな企業価値創造を目指すことを基本方針としております。
(2) 重点施策
全社及び各事業レベルの取り組むべき重点施策は次の通りで、毎年事業計画を見直し、最終年度の業績目標の達成に向け取り組みます。
全社
□ ESG・SDGs視点でのサステナブルな経営の取り組みの強化
□ マテリアリティの特定と各マテリアリティに関連する取り組みの強化
□ DXの推進と業務効率化による働き方改革
□ コンプライアンス経営の継続・強化
□ リスクマネジメントの強化
□ トップラインの拡大
□ 新事業・新製品創出力の強化
□ 「Vision 2030」に向けた社内の構造・意識改革への継続的な取り組み
□ 資本コスト経営の徹底~キャッシュ・コンバージョン・サイクル全体の改善など~
無機化学事業
□ 高機能・高付加価値品の販売比率向上
□ 電子部品材料と導電性材料の拡販戦略の実行
□ 更なる成長ドライバとなる新製品の開発加速
□ 主原料鉱石の有利調達の実現
□ 廃棄物低減や製造及び業務プロセス改善による四日市工場のコスト削減の推進
□ 製造拠点の最適化に向けたマスタープランの始動
□ 温暖化ガス削減に向けたロードマップ作成
有機化学事業
□ 主力農薬原体の世界一低コスト製造と安定供給により当社世界市場占有率の拡大
□ 次期主力農薬の製造コスト低減と需要拡大
□ バイオラショナル分野の開発・商品化とIPM*深化
□ 農薬の販社複数起用など戦略的・革新的な営業施策の実行
□ 世界各国での農薬登録の取得・維持
□ 他社M&Aや提携推進による事業規模拡大
□ 化学合成技術の錬磨と伝承の基盤強化
□ 動物用医薬品のグローバル展開
*IPM(Integrated Pest Management 総合的病害虫・雑草管理)
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、2020年の創立100周年を機に長期ビジョン「Vision 2030」を策定しました。
この第1ステージである中期経営計画「Vision 2030 Stage I」では、その取り組みの土台として「SDGs視点でのサステナブルな経営の取り組みの推進・強化」を位置づけ、この活動を実質的に実行していく目的で、2021年11月に「サステナブル推進委員会」を設立し、多岐にわたる具体的な施策を積極的に推進しております。
長期ビジョン「Vision 2030」と併せて定義したパーパス「化学技術でより良い生活環境の実現に貢献し続ける」のもとで、事業活動を通じて社会課題を解決することで、持続可能な地球環境・社会の実現に貢献し、新たな企業価値を創造し続けます。
サステナビリティに係わる具体的な取り組みは、社長直轄のサステナブル推進委員会の傘下にある各チームにて遂行しております。
・気候変動対策チーム・・・カーボンニュートラルに向けたCO2排出量の削減やTCFDに係る情報開示を推進
・人権デューデリジェンス推進チーム・・・当社グループのみならず、サプライチェーンを含めた人権リスクについて、PDCAを推進
・人的資本経営推進チーム・・・当社グループ全体の価値創造の源泉である人的資本の拡充や健康経営を推進
・統合報告書制作チーム・・・財務、非財務に係る当社グループの取り組み状況の的確な開示を推進
・DX推進チーム・・・業務効率化による働き方改革や、既存ビジネスの強化と新規ビジネスの創出を推進
各チームのメンバーは、取締役や執行役員をリーダー・サブリーダーにおき、当社関係部門、並びに関係会社も含めたメンバーで構成されております。
各チームの取り組みや施策については、1年に2回以上開催されるサステナブル推進委員会にて審議・報告され、承認事項は、取締役会に諮って決議されます。また、全チームを含めたサステナブル推進委員会の活動進捗状況は、3カ月ごとに取締役会に報告され、取締役会において監督を行っております。
○気候変動
2022年度は、売上高の約半分を占め、CO2の排出量が多い無機化学事業を対象としてシナリオ分析を行い、主な気候変動リスク・機会を外部情報に基づいて整理し、それぞれのリスク・機会に関する将来予想データを収集しました。
これに基づいて、脱炭素社会への移行に伴うリスク・機会と気候変動に起因する物理的リスク・機会について1.5~2℃/4℃シナリオのそれぞれで検討し、当社グループの事業に2050年までに影響を与え得る重要なリスクと機会を分析しました。
現在は引き続き農薬事業に対象を拡大して、シナリオ分析を実施しております。
表)リスク重要度評価及びシナリオ分析から特定した事業リスク・機会(無機化学事業)
短期:0-5年、中期:5-10年、長期:10年以上
*1.5℃シナリオ:2030年の炭素価格130ドル/tCO2、2050年の炭素価格250ドル/tCO2と想定(IEA Net Zero By 2050 参照)
〇人的資本、多様性
2030年までに国内外の社会で起こるとみられる、気候変動や食糧問題をはじめとする数々の変化を前提に、当社の存在意義(パーパス)「化学技術でより良い生活環境の実現に貢献し続ける」のもと、サステナブルな社会の実現に向けて貢献するとともに、その事業活動を通じて企業価値の向上を両立させるためには、当社グループの価値創造のコアがドライビングフォースとして機能し続けることが必要です。
それら価値創造のコアとその拡充に必要と考えられる経営戦略・人事施策を、当社では図のように特定・関連付けております。

また、経営戦略の達成には、これまでの延長線にない将来動向を踏まえ新たな挑戦による改革・変革を評価する文化と仕組みが必要であることから、当社の目指すべき人材像を「ものごとの基本を理解し、実践した上で“変える”ために、“変わる”ことのできる人」と規定し、当該人材像を基礎とした人事制度・評価制度とすることで、従業員一人ひとりの能力の発揮・成果が業績に反映され、働くことの意義や価値を認識・向上でき、会社と共に個人も成長できるようにすることを目指しております。

特に人材育成においては、目指すべき人材像の具体化として以下の5つを掲げ、その実現のための研修教育体系を整えております。
1.プロフェッショナルとしての責任感を持ち、高い成果を生み出す人材
2.変化に対し、敏感・柔軟で、難局を乗り越える力のある人材
3.会社の進むべき道、取組むべき課題を捉え、推進する人材
4.常に1段上、1歩前を目指し、進化し続ける人材
5.ステークホルダーと協働し、仕事を通じて共に成長できる人材
今後も「Vision 2030」の達成に向け、当該人材を育成するための施策、また当該人材が定着するための環境整備を推進すると共に、当社事業及びその事業環境の変化に応じ、必要なタイミングで戦略・施策の見直しや追加を実施します。
当社グループは、16のマテリアリティ(重要課題)の中から、8つの最重要課題「気候変動・環境負荷低減」「技術開発力」「サプライチェーンマネジメント」「労働安全衛生・保安防災」「ダイバーシティ&インクルージョン」「BCP、リスクマネジメント」「コーポレート・ガバナンス」「DXの推進、業務効率化による働き方改革」を特定しております。
当社グループとして特に「気候変動対策の推進」や「人的資本経営の推進」は喫緊の重要課題であることを認識し、サステナブル推進委員会のもとに気候変動対策チーム並びに人的資本経営推進チームを設置しております。
各チームでは、気候変動リスクや人的資本経営に係るリスクの検討を行い、その結果をサステナブル推進委員会で評価・管理し、必要に応じて企業リスク管理委員会への報告を行っております。
○気候変動
当社国内グループはCO2排出量(Scope1+Scope2)の削減目標を下記の通りに設定しました。今後も引き続きカーボンニュートラルに向けた排出量削減に取り組むことにより、気候変動影響の緩和と適応を推進してまいります。目標と2021年度までの進捗は、以下の通りです。なお、Scope3については計測方法を検討し、開示に向けた議論を行っております。
表)当社国内グループの温室効果ガス(GHG)排出量[千t-CO2]
GHG排出量はGHGプロトコルに基づき算定
当社の主力生産拠点である四日市工場では、石炭火力によるコージェネレーションシステムにより、最適なエネルギーコストを実現し生産活動を行ってきました。しかしながら、気候変動による異常気象が顕在化してきていることから、四日市工場を主軸に当社国内グループ全体で、段階的にCO2排出量を削減し、カーボンニュートラルに挑戦するロードマップを策定しました。

〇人的資本、多様性
価値創造のコアに関連するものとして特定した項目について、その指標と目標を以下のように設定しております。
(1)リスクマネジメント体制
当社グループは、リスク管理の基本方針とその管理体制を「リスク管理規程」において定め、企業リスク管理委員会を組織し、事業を取り巻くさまざまなリスクに対して適切な管理とリスクの未然防止を図っております。企業リスク管理委員会は、代表取締役社長を委員長とし、当社の各事業本部長から構成されております。
当社グループの企業リスク管理委員会は、年2回及び必要に応じて臨時に開催され、リスクアセスメントの取り纏めと対策を優先するリスク(優先重要リスク)等の選定、リスク対策計画の審議、リスク対策の実施状況の確認などを行い、その審議内容は取締役会へ報告されております。
なお、「重要課題(マテリアリティ)」「気候変動リスク」「人権に関わるリスク」等についてはサステナブル推進委員会が管轄し、企業リスク管理委員会と連携を取りながら対策の推進を図っております。

(2)リスクマネジメントのプロセス
①リスクアセスメント
当社グループでは、定期的に、各部門の事業構造の変化やグローバルな社会情勢等の当社を取り巻く外部環境の変化を考慮して、リスクの洗い出しと各リスクの影響度と発生可能性の評価を実施しております。これらリスクアセスメントの結果は、企業リスク管理委員会での審議を経て、リスクマップに一覧化しております。
②リスク対策計画の立案、推進及びモニタリング
リスクアセスメントの結果に基づき、各リスクに対する責任者や対策部門が選定されます。選定された責任者や部門は、リスクの回避・軽減・移転及びその他必要な措置を検討し、対策計画を立案します。この計画の進捗は、別に設定されたモニタリング責任者又は部署によりモニタリングされ、その結果に応じて対策計画の見直しや対策の改善が図られます。

(3)当社グループのリスク
当社グループでは、各リスクの対策優先度に基づき、優先重要リスクや重要リスクなどにリスクを区分しております。当社にとって、最も優先度が高いリスクについては、「優先重要リスク」として企業リスク管理委員会の審議を経てリスク対策計画が作成され、その進捗についても企業リスク管理委員会による管理を行っております。
① リスクマップ

(注) 1 当社グループの事業活動に影響を与える可能性のあるリスクを記載しておりますが、これらのリスクは必ずしもすべてのリスクを網羅したものではなく、想定していないリスクや重要性が低いと考えられるリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。
2 当社では、リスクを「当社に物理的、経済的もしくは信用上の損失又は不利益を生じさせるすべての可能性」と定義しております。
3 当社では、リスクの大きさ(影響度と発生可能性)については、リスクに対する評価者の認識を揃えるため、リスクシナリオを設定した上で損害額を評価しております。ここでのリスクシナリオは、ワーストシナリオ(発生する可能性がある最大の脅威)を採用しております。
4 リスクの評価は当連結会計年度の期中を通じて行ったものです。
② リスクと対策
・優先重要リスク
(注)(★)は優先重要リスクを意味します
・重要リスク(抜粋)
当連結会計年度の世界経済は、長期化するロシア・ウクライナ戦争やそれに伴う燃料・資源価格の高騰に加え、世界的なインフレの加速や各国の金融引き締め政策などにより、景気の先行き不透明な状況が継続しました。当社グループの主力事業を取り巻く環境は、無機化学事業においては、酸化チタンの自動車向け販売が低調であった他、海外向け販売がアジアでの市況軟化の影響を受けました。機能性材料では電子部品用材料が期の前半は堅調に推移したものの、期末にかけて需要が落ち込みました。有機化学事業においては、主力の農薬について、引き続き南米を中心に穀物生産が活況で、大豆やトウモロコシの作付面積のさらなる増加などで市場が拡大し、当社グループも殺菌剤や除草剤を中心に、米州や欧州などで販売が大きく増加しました。
このような状況下、当社グループは、2030年に向けた長期ビジョン「Vision 2030」として「独創・加速・グローバル。化学の力で暮らしを変える。」を掲げ、2021年度から2023年度の3か年の中期経営計画「Vision 2030 StageⅠ」に取り組む中で、ESG、SDGs視点での経営強化や目標の具体化などを推進することにより、サステナブルな企業価値創造を目指しております。
この結果、当連結会計年度の連結業績は、売上高1,312億円(前期比202億円増)、営業利益86億円(前期比29億円減)、営業外では為替差益を計上するなどで経常利益103億円(前期比29億円減)、親会社株主に帰属する当期純利益69億円(前期比47億円減)となりました。
事業の種類別セグメントの状況は次のとおりであります。
(無機化学事業)
酸化チタンは、半導体などの部材不足による自動車生産調整に加え、輸出では中国での景気悪化による需要減退などがありましたが、価格改定の浸透や為替相場が円安で推移したことにより、売上高は494億円(前期比34億円増)となりました。機能性材料は、電子部品用材料の車載用の販売などが期の前半に順調に推移したことにより、売上高は150億円(前期比11億円増)となりました。
損益面では原燃料価格の高騰を受け、販売価格への転嫁に取り組んだものの、それを大幅に上回るコスト上昇や国内外での需要低迷による販売数量の減少などで、減益となりました。
この結果、無機化学事業の売上高は644億円(前期比46億円増)、営業利益は10億円(前期比50億円減)となりました。
(有機化学事業)
農薬は、米州については、ブラジルで旺盛な穀物生産を背景に殺菌剤の販売が大きく増加した他、北米では除草剤の販売が好調に推移しました。欧州では、流通在庫の調整などにより殺虫剤の販売が低迷したものの、殺菌剤や除草剤の需要が拡大し、増収となりました。アジア地域では、殺虫剤の販売が減少したものの、拡販活動が順調に進んだことで殺菌剤の販売が好調に推移し、増収となりました。国内販売も殺菌剤の販売が堅調だったことなどにより、増収となりました。
農薬以外では、動物用医薬品などのヘルスケア事業の売上高が前期を上回りました。
この結果、有機化学事業の売上高は、637億円(前期比154億円増)、営業利益は106億円(前期比28億円増)となりました。
(その他の事業)
売上高は29億円(前期比2億円増)、営業利益は2億円(前期比2億円減)となりました。
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末比161億円増加の2,019億円となりました。これは、売掛金が63億円、棚卸資産が172億円、投資有価証券が6億円、その他流動資産が21億円それぞれ増加しましたが、現金及び預金が94億円減少したことなどによるものです。
負債は、前連結会計年度末比105億円増加の1,044億円となりました。これは、支払手形及び買掛金が60億円、長短借入金・社債が60億円それぞれ増加しましたが、未払法人税等が8億円、退職給付に係る負債が8億円それぞれ減少したことなどによるものです。
純資産は、利益剰余金が55億円、為替換算調整勘定が16億円それぞれ増加しましたが、自己株式の取得20億円があったことなどにより、前連結会計年度末比55億円増加の974億円となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ94億円減少し、176億円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは60億円の支出(前期比225億円の減少)となりました。これは、税金等調整前当期純利益94億円、減価償却費及びその他の償却費53億円、仕入債務の増加50億円などの資金増加要因がありましたが、売上債権の増加54億円、棚卸資産の増加159億円、法人税等の支払20億円などの資金減少要因があったことなどによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、50億円の支出(前期比7億円の減少)となりました。これは、固定資産の取得などによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、10億円の収入(前期比126億円の増加)となりました。これは、長短借入金・社債の純増60億円、リース債務及び割賦債務の返済15億円、配当金の支払14億円、自己株式の取得による支出20億円などがあったことによるものです。
当社グループは、事業の収益力を高めることで経営環境の変化に耐え得る強固な財務基盤の構築を目指しております。具体的には、安定した期間利益を計上し、着実に自己資本比率を高めるとともに、高いキャッシュ・フローの創出力を通じた有利子負債の削減を進めております。
当社グループの資金需要の主なものは、原料費、労務費、委託費など製品の製造にかかわる製造費用の他、販売費や農薬を中心とした研究開発費を含む一般管理費など事業活動に必要な運転資金に加えて、装置産業である酸化チタンを製造するための設備の新設や維持更新を中心とした設備資金であります。
原料鉱石価格の高止まりや設備投資、研究開発による高い資金需要が引き続き想定されることから、今後の資金調達については、手元資金や営業活動によるキャッシュ・フローから創出するとともに、金融機関からより安定的で低コストの借入を実施していきます。さらに突発的な資金需要に備え、主要金融機関との間で100億円のコミットメントライン契約を締結し、手元流動性を確保しております。
当社の企業集団のキャッシュ・フロー指標を示すと、次のとおりであります。
(注)1 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値より算出しております。
2 有利子負債にはリース債務等を含んでおります。
3 各指標は以下の算式により計算しております。
※自己資本比率:自己資本/総資産
※時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
(株式時価総額は期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。)
※債務償還年数:有利子負債/営業活動によるキャッシュ・フロー
※インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業活動によるキャッシュ・フロー/利払い
4 2023年3月期は、営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスであるため、債務償還年数及びインタレスト・カバレッジ・レシオを記載しておりません。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。
なお、連結決算日における資産及び負債の連結貸借対照表上の金額及び連結会計年度における収益及び費用の連結損益計算書の金額の算定には、将来に関する判断、見積りを行う必要があり、当社グループは過去の実績や状況等を勘案し、合理的に判断しておりますが、今後の環境、条件等の変動により、当社グループの連結財務諸表に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループとしては、以下に記載する会計上の見積りは当社グループにとって重要であると判断しております。
① 投資の減損
当社グループは、取引関係維持のために販売先や金融機関の株式を保有しております。これらの株式には、価格変動性の高い公開会社の株式と株価の決定が困難な非公開会社の株式が含まれております。公開会社の株式への投資の場合、期末における時価が取得原価に比べ50%以上下落した場合には減損処理を行い、30~50%程度下落した場合には、回収可能性を考慮して必要と認められた額について減損処理を行っております。また、非公開会社の株式への投資の場合、それらの会社の純資産額が取得原価に比べ50%以上下落した場合には減損処理を行い、30~50%程度下落した場合には、回収可能性を考慮して必要と認められた額について減損処理を行っております。
② 繰延税金資産
当社グループは、回収可能性がないと判断される繰延税金資産に対して評価性引当額を設定し、適切な繰延税金資産を計上しております。評価性引当額の算定においては、将来の課税所得と実現性の高いタックスプランニングに基づいて検討を行っております。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は、販売価格によっております。
当社グループは、主として見込み生産を行っております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
なお、当連結会計年度において、長瀬産業株式会社に対する販売割合は、10%未満であるため、記載を省略しております。
経営上の重要な契約等は、次のとおりであります。
当社グループは「『社会』、『生命』、『環境』に貢献する。」という基本理念に基づき、無機化学、有機化学の各分野における新製品の開発や生産技術の向上に取り組むとともに、世界的な関心が高まる環境、エネルギー、バイオ、IT、食料等の各領域において、無機、有機の垣根にこだわることなく、新規事業の探索にも取り組んでおります。当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、
セグメントごとの研究開発は、次のとおりであります。
(無機化学事業)
長年に亘る酸化チタン事業で蓄積されてきた技術をベースに、高機能・高付加価値品の開発に力を入れて取り組んでおります。
高付加価値品に関しては、板状チタン酸は“シルクのような質感”と“光輝感”を両立した世界唯一の色彩を有する顔料で、本顔料をSILKIAブランドとして市場投入するべく、安定製造方法の確立と表面改質に取り組んでおります。艶消し材料は、既存品に対して耐候性や艶ムラが少なくなることを特徴に、塗料分野向けの技術データ採取に取り組んでおります。また、硫化ビスマス黒色顔料は、特異な反射特性(可視光吸収、赤外線反射)と漆黒度が高いことを特徴に各種展示会に出展して好感触を得ており、工業化も含めて商品化検討を加速させております。
機能性材料に関しては、電気自動車や第5世代通信(5G)用に需要が期待される次世代の積層セラミックコンデンサー(MLCC)用の高純度酸化チタンの開発に注力しております。微粒子で分散性に優れた開発品を含め種々の粒子径サイズ品をラインナップすることで、顧客の汎用から最先端用途までの要求に応えるべく改良を進めております。また、有機/無機の材料合成技術を活かして開発した酸化チタンの溶剤分散体は、“酸化チタンの特徴である高屈折率”と“微粒子化による透明性”を両立させており、次世代の光学材料用途向けに顧客が要望する改良に取り組んでおります。
一方、新たな無機事業の創出を目的としている新規事業開発関連は、銅ナノ粒子が既存品より低温で成膜することを特徴にして、市場投入に向けて工業化などの検討を行っております。また、再生可能エネルギーへの取り組みとして、有機薄膜太陽電池材料の開発にも注力しております。さらに、蓄熱材料(ハスクレイ)は、低温排熱利用分野において実証実験で有効性が確認されており、顧客からの問合せも増えており、今後の展開が期待されております。
当事業における研究開発費は、
(有機化学事業)
農薬については、自社開発原体を中心に新規製剤や新規混合剤の開発の他、農薬登録国や適用作物の拡大などに向けた研究開発に注力して取り組んでおります。
近年開発したチョウ・蛾類を始め広いスペクトラムを持つ殺虫剤シクラニリプロールは、2017年に韓国、2018年には日本、米国、カナダでの販売に続いて、アジア及び中南米を中心に開発を進めてきており、2021年にブラジル、メキシコでの販売を開始しました。2023年にはインドでも登録認可され、同年の販売開始を目指しております。人畜・作物安全性に優れるトウモロコシ用除草剤トルピラレートは、各国での単剤認可/販売以降、混合剤開発も行い2021年に米国、日本で上市しました。引き続き、単剤・混合剤ともに中南米、インド、東南アジア及びCISで開発を進めております。
さらに、国内の食の安全・安心志向の高まりや、抵抗性発達のために有効な既存化学農薬が不足しているなどの市場ニーズに対応するため、微生物殺菌剤、接触型忌避剤及び天敵昆虫などのバイオラショナル製品群の開発にも注力しております。2019年より食品添加物を有効成分とするコナジラミ忌避剤ベミデタッチを販売開始し、難防除の植物ウイルス病を低減できる剤として好評を得ております。さらに、2023年よりイネの高温ストレス耐性を促すバイオスティミュラント・ライスフルの販売も開始しました。当社は、近未来の植物防疫の姿を見据え、これら一連のバイオラショナル製品と、安全性が高く環境負荷に配慮した当社創製化学農薬群を組み合わせて、独自のIPMやICMプログラムを確立していきます。また、従来の化学農薬のコンセプトである農薬用途以外に、生活環境での防疫や環境保全においても当社製品を含む有機化学技術の普及拡大を目指しております。
当社の農薬事業は、自社の創生・開発の新農薬をベースとしておりますが、環境変化の激しい昨今、他社開発剤の導入や他社との共同開発にも積極的に取り組んでおり、2010年以降、海外企業から導入した水稲除草剤を国内で開発・上市したほか、2015年には韓国FarmHannong社と非選択性除草剤チアフェナシルを全世界で共同開発する契約を同企業と締結しました。2020年に本剤の米国登録取得し、2021年に米国で本剤の販売を開始しました。2023年6月にカナダでも同剤の登録認可を見込んでおり、認可後速やかに同国で販売開始する予定です。ブラジルでは同剤の混合剤の開発も進めており、2023年中の同剤の登録認可を見込んでおります。加えて、アルゼンチンでも本剤の登録申請を済ませており、さらに東南アジア、中南米各国でも本剤の開発、登録作業を進めております。
農薬以外では、ヘルスケア事業(医薬・動物用医薬品関連)についても、特色ある商品開発を進めております。動物用医薬品では、長年にわたる研究開発で培った技術とシーズ化合物を活かし、フザプラジブナトリウムを、イヌ膵炎急性期用抗炎症剤『ブレンダ』として発売しております。本薬剤は米国でも2023年度初頭より商業化しております。さらに、皮膚系疾患や他の炎症性疾患の治療薬において、後続するパイプラインの整備を推進中であります。
また、人体用医薬原薬「セビメリン塩酸塩」の製造受託事業においてもその拡大に取り組んでおります。
当事業における研究開発費は、
なお、当連結会計年度におけるセグメントに帰属しない全社共通の研究開発費の金額は