第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1) 経営方針

当社の基幹事業であるタウンニュースの事業コンセプトは、『地域に密着したアドコミ(アドバタイジング+コミュニケーション)を確立する』ことであります。地域の生活者にとっては広告も街のニュースであるという考えのもと、広告を通じて地域とのコミュニケーションをはかり、地域社会に貢献し、地域とともに発展していくことを経営の基本方針としております。

 

(2) 経営戦略等

当社は、神奈川県下で地域密着型の地域情報紙の発行を主たる事業として展開し、成長してまいりました。今後は、以下の施策に取り組み中長期的な経営戦略を実践し、地域の「総合情報企業」として事業規模の拡大、業績の向上を図ってまいります。

①  既存発行版の深耕と媒体価値の向上

タウンニュースは2025年6月末時点で神奈川県内全域に33地区、東京都(町田市、八王子市、多摩市)に3地区、計36地区36版の紙面を発行しております。今後も既存発行版の深耕を進め、地域のお客様の声に根差した提案型営業を通し、広告の受注機会拡大と業績のさらなる伸長に努めてまいります。
 また、タウンニュースは行政区単位を基本とした発行体制を敷き、地区ごとにきめ細かくそれぞれ内容の異なる紙面を発行しておりますが、発行エリア内の読者の最大の関心事と身近なニュースや話題をきめ細かく丁寧にすくい上げ、さらに読まれる紙面を作ることで他媒体との差別化をより一層進め、媒体価値を高めてまいります。

②  紙面以外の広告需要の開拓・創出

地域の広告需要は多様化とクロスメディア化が進んでいます。地域の方々と接触する機会の拡大強化は、そのニーズを的確に探るもっとも有効な手段と考えられることから、これを推進し、編集室の枠を越えた企画特集の実行やタウンニュース紙以外の新媒体の発行、各種出版・印刷物、物販の受注拡大を進めてまいります。また、これに加え、イベントプロモーションの企画運営やWeb広告事業・動画制作、電波媒体とのコラボレーションなど、既存の枠組みや紙媒体にとらわれない「地域の情報をビジネスに換える」戦略的展開を図ってまいります。

③  発行エリアの拡大

2015年6月に東京都八王子市、多摩市の2地区版の紙面を創刊しましたが、過去の創刊実績を踏まえこれらエリアへの浸透状況や各種経営環境を総合的に判断の上、順次紙面の発行エリアを拡大させていく計画であります。

④ デジタルメディアとのシナジー

当社ではタウンニュースの情報をデジタル化し、最新の記事や広告がパソコンやスマートフォン等でも読める情報サービス「Web版タウンニュース」を展開しております。これにより読者には居住エリア外の情報を提供できるほか、県外など紙面の未配布エリアや日刊紙を購読していないタウンニュース未読層への情報提供も可能になっております。さらに、紙面に掲載されたニュースや情報を定期的に無料で配信する「メール版タウンニュース」並びに「タウンニュースfor LINE」の普及や、Web版限定記事、「デジタル編集室」による独自記事など、デジタルによる情報発信の充実化を図り読者拡大にも努めてまいります。
 また、当社全発行エリア内の政治家のデータベースとしての「政治の村」、当社発行エリア内のご近所情報サイトとして「RareA(レアリア)」を開設しており、引き続きコンテンツの充実と事業拡大を図ってまいります。あわせて、当社の持つ地域情報のキュレーションサイトへの配信を積極的に行い、当社の認知度とブランド力の向上を進めます。
 今後は当社が持つ情報インフラを活用した新たなサービスの開発も含めたデジタルメディアのコンテンツのさらなる充実を図り、紙面の付加価値を向上させるとともに、紙面とデジタルメディアのシナジーが発揮できるよう努めてまいります。

⑤ 地域プロデュース事業およびPPP(公民連携)事業の展開

創業以来長年にわたる地域の隅々に分け入る本紙業務の中で、日々蓄積される多様な情報や人的ネットワーク等は当社の最も重要な経営資源の1つであり、これらのリソースを最大限に活かしきることは、当社の成長戦略にとって不可欠な要素です。行政や市民、地元事業者らとの協同による多種多様な地域プロデュース(まちおこし・まちづくり)事業や公共施設の指定管理業務に代表されるPPP(公民連携)事業はそれを体現する事業例であり、こうした取組を今後の非紙面事業の柱と位置づけ強力に展開してまいります。

 

(3) 経営環境

当社の属するフリーペーパー業界は、デジタルメディア化がより一層進み、媒体の選別化や価格競争が恒常化するなど、特に紙媒体においては未だ厳しい経営環境が続いております。

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の問題

こうした状況の下、当社の対処すべき課題は以下のとおりです。

①  有能な人材の確保・育成

少子化が進むなか、質の高い新卒社員や即戦力となる中途採用者を確実に確保することは大変重要です。当社としては、自社の会社説明会開催のほか合同企業説明会への参加、各大学・専門学校への訪問、インターンシップ生の積極的な受入れのほか、タウンニュース紙面、ホームページ、求人専門サイト等においても、幅広く採用活動を展開させてまいります。同時にこれらの採用者を早期に着実に戦力化するため、教育・研修にもより一層力を入れていきます。こうした動きを総合的且つ戦略的に推進するため「未来戦略HR室」を設置し、人材の確保・育成に資する各種施策の拡充に努めてまいります。

また、総労働時間の抑制をはじめとする各種働き方改革を恒常的に進め、求職者等に選ばれる企業づくりに努めてまいります。

② 新聞購読率低下への対応

昨今、新聞の購読率の低下が顕著であり、新聞折込の形で配布している当社としても、その影響を看過できない状況が現出しております。引き続き、新聞購読者層や折込状況の把握に努めながら、各種施設等への配架をはじめとする新聞折込を補う配布方法の開発・開拓を進めるとともに、「Web版タウンニュース」や「政治の村」「RareA(レアリア)」「メール版タウンニュース」「タウンニュースfor LINE」などデジタルメディアとの複合的情報発信を推進してまいります。

③ 紙代等コスト上昇への対応

昨今の世界的な資源高やウクライナ・中東情勢等の影響、保護主義の台頭などにより輸入品価格が上昇し、あらゆる物の値段が上がっております。

紙媒体を主力事業とする当社にとって、とりわけ用紙代の価格上昇は業績に与える影響が大きく、看過することはできません。こうしたリスクに対し、最適用紙選定に向けた取り組みを恒常的かつ機動的に行っていくとともに、紙面以外のデジタル配信の更なる展開を進めてまいります。

 

(5) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社は、基幹事業であるタウンニュース事業と当該事業で培った情報収集力や地域からの信頼・ネットワークなどのリソースを活かした、地域の需要を受注するプロモーション事業を一層拡大するとともに、経営効率を高め、売上規模と利益率の向上を目指しております。第2次「中期経営計画(第45期~第47期)」に掲げました戦略や課題、数値目標を着実に達成できるよう事業活動を展開してまいります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、以下のとおりであります。

なお、本記載における将来見通しに関する事項は、当会計年度末時点において当社が合理的に判断したものであります。

当社は創業以来、地域に密着した情報発信を通じ、地域社会の利便性向上や企業・団体の発展に寄与してまいりました。近年は「地域情報紙も発行する総合情報企業へ」という中期経営計画の基本ビジョンのもと、広告・プロモーション、デジタル関連事業、地域プロデュース、指定管理業務など複合的な事業展開を進め、地域社会の持続的な発展への貢献を企業の使命と位置付けております。

さらに、持続的な成長と企業価値向上の実現には、良質なガバナンス、人的資本の最大化、環境対応への着実な取組が不可欠であると認識しており、引き続きESG要素を踏まえた経営基盤の強化に努めております。

 

(1)ガバナンス

当社は、迅速な意思決定と業務執行の実効性確保を目的として、監理役員体制の強化および月例の取締役会・経営会議による重要案件審議を行っております。その内容を部署長全体会議の場でフィードバックするとともに戦略の共有化を図り、各部・各支社に浸透させております。編集長を兼務していた支社長の統括専任化を継続して、編集・営業現場の管理機能の強化にも取組んでおります。

監査役においては毎回取締役会に出席するとともに取締役及び執行役員の業務執行について監査しております。

また、内部監査室による独立した監査体制のもと、監査役との連携を通じて継続的な内部統制強化を図るとともに、取締役会への報告を通じたガバナンスの透明性向上に努めております。

 

(2)戦略

  当社は、以下の重点戦略を掲げ、サステナビリティ経営の推進を図っております。

① 地域社会と連動した社会課題解決への取組

気候変動や災害リスクといった環境課題に対し、特集記事や地域イベント、シンポジウムなどを通じて「情報による危機管理の喚起」に注力して社会的課題の解決に貢献していきます。さらに、防災用品の提供、若年層(小中学生)向けの教育企画(SDGs特別号等)を継続実施により、地域レジリエンス向上に資する情報発信を展開しています。加えて、地域社会(横浜市)で展開している「脱炭素取組宣言」に賛同して温室効果ガス削減ならびにコスト削減の両立に向けた取組を全社的に推進しています。

② 人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略

当社は人的資本の拡充、ダイバーシティの推進および働き方・ワークライフバランスの強化を、持続可能な経営の要であると位置付け、一体的に推進しています。これにより、人材流動・定着不安といったリスクへの対応と、多様な人材の創造力や組織の強靱性といった機会の獲得を両立させています。

この観点から、経営企画室と人事機能を統合し「未来戦略HR室」を新設。予算・事業戦略の立案・推進と人的資本の創造・育成推進に向けた組織を一元化し、経営効率のいっそうの向上を図っています。具体施策としては、新入社員研修・OJT・フォローアップ研修の強化、評価を成長と改善に結びつける、育児・介護支援制度の整備、有休取得の促進、時短勤務など柔軟な働き方の導入、多様な人材(女性、若手、シニア層など)が能力を発揮できる職場環境の整備があります。

これらを通じて、質の高い人的資本と柔軟な働き方を両立させ、持続的な企業成長を支える基盤を構築していきます。

 

(3)リスク管理

当社における低炭素社会への移行に伴うリスクとしては、新たな環境関連規制による事業コストの増加、資源価格の高騰に伴う紙代等の原材料コスト上昇、読者やクライアントの行動変化に起因する広告出稿の低下などを認識しております。

また物理的リスクとしては、地球温暖化に伴う異常気象や感染症の流行などが売上に影響を及ぼす可能性を認識しています。一方で、気候変動対応に伴う環境変化や消費行動の変化に対応した新たなソリューションやサービスの展開は大きな機会にもなり得ると考えております。

さらに、生産性の低下は、持続可能な事業活動に影響を及ぼすリスク要因であるとの認識のもと、健康経営を推進し、社員の健康保持・増進に関しても会社として積極的に施策を展開することが重要と考えております。

当社は市場環境の変化に対して積極的に対応し、上記に掲げたリスクの適切な回避と機会の獲得を目指す取組みを、経営会議および取締役会における議論を踏まえ推進しています。

このほか「コンプライアンス規程」に基づき、選任された役員で構成する「コンプライアンス委員会」においても、多様なリスクを審議し、リスクマネジメント体制の強化を図っております。

当社のリスク内容につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しております。

 

(4)指標及び目標

前述のとおり、当社はサステナビリティにおける最重要課題を人的資本の強化と位置付けております。「(2) 戦略」において記載しました、人材の育成及び社内環境整備に関する方針、さらには女性活躍推進について、次のとおり目標及び指標を定めています。
当該指標は以下の通りです。

目標1:管理職(課長以上)に占める女性社員の割合・・・20%以上

目標2:育児休業の取得率・・・女性100%、男性1名以上

(注)管理職に占める女性労働者の割合、女性労働者の育児休業取得率、男性労働者の育児休業取得率についての実績は、「第1 企業の状況 5 従業員の状況 (3)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異」に記載しております。

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1) タウンニュースの発行遅延や不発行

① 不慮の災害や伝染病などによる発行遅延や不発行

タウンニュースは広告の申込みから紙面発行まで最短の場合3日で間に合うシステムを構築しております。 

広告の受注から紙面の発行までの間などに回復困難なサーバートラブルが発生した場合や、配布エリア全体に影響を及ぼすほどの風水害や大地震、大規模な鉄道事故や停電、大火、伝染病などが発生し復旧に時間がかかった場合には、紙面の発行が遅延あるいは困難なケースもあり得ます。

かかる事態が発生した場合、広告主や読者に対して当社が信用を失うばかりか、広告収入が減少する恐れもあり、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

この対策として、当社は無停電電源装置の導入やサーバーの外部委託への切り替え、テレワーク・サテライトワークの実施など考えられる範囲で紙面製作上起こり得るトラブルを想定し、その回避策を講じております。

② 印刷委託や配布委託に関する事故

当社は、広告の申込みから紙面掲載まで限られた期間でタウンニュースを製作しており、その紙面の印刷と折込を、それぞれ仕入印刷業者と折込配送委託業者に完全委託しております。そのためこれらの委託業者において突発的な事故や労働争議、伝染病など、当社の予測し得ない状況が発生し、タウンニュースの発行が遅延あるいは不可能になった場合には、広告主や読者に対して当社が信用を失うばかりか、広告収入が減少する恐れもあり、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。また、当社に関わるリスク同様に印刷委託や配布委託業者へのサイバー攻撃などのシステムリスクも認識しております。

 

(2) 経済情勢・市場環境の変動

①  景況の悪化と大口顧客の方針転換等による広告収入の減少

当社は、神奈川県と東京都多摩南部地区をメインに地域密着型のビジネスを展開しておりますが、少子高齢化社会がますます進展するなか、これらエリアの地域経済が悪化するとタウンニュースの広告需要が減少する可能性があります。これは、一般的に企業の広告費の支出が景気の状況に応じて調整される傾向にあるためです。また、大口顧客の販促方針の転換等により出稿が大幅に減少する可能性があります。 

この対策として、当社では特定の業種や企業規模に偏らない広範囲で重層的な顧客基盤の拡大等に努めるとともに、大口顧客に対しては経験豊富な社員や特別チームが様々な提案営業を進めるなどの体制を作っています。

 

② 用紙代の高騰

当社が発行するタウンニュースの用紙代は、仕入原価の中で比較的高い割合を占めております。さまざまな要因により用紙の価格が高騰した場合、紙媒体の発行を主たる事業としている当社にあっては、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

この対策として、タウンニュースの用紙につきましては、品質、価格、環境保護、安定供給を念頭に国内、国外を問わず選定にあたっております。また、デジタル配信の強化を進めることで、地域情報を発信する使命を果たしていくよう努めていきます。

 

(3) 人材確保について

当社事業の成長性及び競争上の優位性は、とりわけ編集記者の確保に大きく依存します。当社の編集記者は、地域新聞の記者としての業務と同時に営業業務を担っており、記者としては読者に簡潔で分かりやすい記事を短時間に取材し執筆できる能力が、また、営業面では紙面に掲載される広告を受注するための企画・提案力が要求されています。しかし、何らかの理由により、かかる能力を有する人材の確保に支障をきたす恐れや優秀な人材が流出することも考えられます。このような事態が生じた場合、当社の競争力に影響を与え、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

この対策として、当社では会社説明会の開催や仕事体験会の実施、インターンシップ生の受入れなど、より有能な新卒社員の安定的な採用や即戦力となる中途入社社員の採用を推進し、人材の確保をはかるとともに、各職位においては、編集記者研修、編集長研修、支社長研修等を、また、能力別研修においては、取材・原稿研修、営業研修等を、さらに、市場環境の変化に対応するため、都度テーマに応じた研修等を実施するなど対策を講じております。これらの取り組みを戦略的に推進するため「未来戦略HR室」を設置し、人材の確保・育成に資する各種施策の拡充に努めてまいります。

 

(4) 報道記事、広告内容の適切性と法規制

① 報道記事内容の適切性と法規制

タウンニュースは、地域情報紙として身近な街のニュースを掲載しています。報道にあたっては、読者に事実を正確に伝え、社会正義の実現を目指すと同時に不偏不党、公平性を第一義に紙面を編集、発行しております。

しかし、発行した紙面に万一事実と異なる記事が掲載されたり、誤解を招く内容が掲載されたりした場合、訴訟事案に発展する恐れがあります。また、公職選挙法等の法令に抵触する恐れのある内容が掲載された場合には、当社の社会的信用が失墜し固定化した顧客が離れ、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

この対策として、記者行動指針、行動規範を定めるとともに、原稿のチェックには万全の体制を敷き、マニュアルを整備し研修を実施するなどして正確で且つ偏りのない報道に努めております。

② 広告内容の適切性と法規制

フリーペーパーであるタウンニュースの発行業務に関しては、特段の法規制はありません。しかし、タウンニュースに掲載する広告の方法や内容などに関しては、広告主、当社ともに不当景品類及び不当表示防止法、不正競争防止法などの法令や各業界団体の自主規制等の制約を受ける場合があります。万一かかる法令・規制に抵触する広告を掲載した場合、当社が社会的信用を失い、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。また、今後、広告主または、広告主が属する業界団体の広告活動、広告の掲載方法などに関する法令・規制・制度の導入や強化、法令等の解釈の変更等がなされた場合には、当社の広告受注・編集業務に間接的に影響を与える場合があり、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

この対策として、広告掲載規程を整備し社内教育を実施するとともに原稿のチェック体制を磐石にするなど、法令・規制違反の未然防止に努めております。

 

(5) 競合の状況

フリーペーパー業界は、細分化したニーズや地域性に応じた広告が手軽に掲載できることなどから、多種にわたる紙(誌)面が存在しています。タウンニュースの発行地域においても多種多様の競合紙があり、地域によっては熾烈な受注競争が行われています。こうした中で、当社が優位性を維持できなかった場合、あるいは競争の激化に伴い広告収入が著しく減少した場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

この対策として、当社は超地域密着の地域情報紙として地域との強い関係性を背景に、単なる広告媒体としてではなく、地域の総合メディアとしてサービスの多様化、企画・提案力、さらに広告申込みから発行までの迅速な対応など、一層の強化に努めています。また、長年の基幹事業で培われた情報収集力や地域からの信頼といったリソースを活用して、PPP(公民連携)事業やトータルプロモーション事業、地域プロデュース事業など紙面にとどまらない事業展開を進めることで、競争上の優位性の確立と持続的な成長基盤の構築を目指しております。

 

(6) 新規発行エリアの黒字化までの期間

タウンニュースを新規エリアに創刊し、継続して発行し続けるためには、紙面の印刷経費、配布に関する折込経費、営業や編集に関する人件費、製作に関する人件費などを負担する必要があります。従って、紙面創刊以後において、これらの経費以上の広告収入を獲得するまでの期間、当該発行地域単独では黒字化しない場合があります。新規発行エリアの街の特性自体が、当社のこれまでの営業上のノウハウが通用せず広告の受注が拡大しなかった場合赤字期間の短縮が進まず、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

この対策として、当社は今後、新しい地域に紙面を創刊する場合、新規開拓能力に卓越した優秀な人材を投入するとともに、これまで培ってきた営業上のノウハウをフルに活かし赤字期間の短縮を進めていきます。また、全ての行政区を面的に且つ隣接しながら隙間なく紙面を発行することにより広告受注の機会が増大することから、当面黒字化が見込めない発行地区であっても戦略上一定の期間継続して紙面を発行していく必要性があります。

 

(7) デジタルメディアによる紙媒体への影響

パソコンやスマートフォン等を利用したデジタルメディアにおける広告市場は拡大しております。当社といたしましても「Web版タウンニュース」や「政治の村」、さらにはご近所情報サイト「RareA(レアリア)」、「メール版タウンニュース」、「タウンニュースfor LINE」などをWeb上で公開しております。 

しかし、今後これらデジタルメディアの相対的媒体価値が高まる中、タウンニュース紙の読者が減少し広告が著しく減少することになった場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

この対策として、超地域密着の強みを活かした比類ない紙面づくりにより紙面価値を確保するとともに、デジタルメディアにおける広告需要の取り込みや非メディア事業の強力な推進を図ることで「総合情報企業」の確立に向けた構造改革を進めてまいります。

 

(8) 顧客情報や個人情報の管理

当社は営業活動及び取材活動を通して個人情報を入手する場合があります。これらの情報が漏洩した場合には、社会的信用が失墜するばかりか、損害賠償を請求される恐れもあり、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

この対策として、当社は関連規程やマニュアルを作成し、これを適正に管理するなど、必要な措置を講じております。

 

(9) 知的財産権等の侵害

当社は地域情報紙発行に関わる諸活動の中で、使用許諾を受けている以外の第三者の知的財産権などを侵害してしまう恐れがあります。偶発的な過失その他により著作権、肖像権など第三者の知的財産権を侵害してしまった場合、社会的信用が失墜するばかりか、損害賠償を請求される恐れもあり、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

この対策として、規程を整備し、必要と考えられる社員教育を実施するなど、防止策を講じております。

 

(10)感染症などへの対応について

感染症あるいは伝染病等については、事態の悪化に伴い更なる感染拡大が進行した場合、従業員の感染による職場の閉鎖や紙面の発行停止、サプライチェーンの停滞などによる発行遅延など、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。また近年重篤化リスクの高い熱中症についても法令に則り、社内はもちろんのこと社会的課題のひとつとして捉えて、適切な情報喚起に努めていきます。

この対策として、当社はお客様、お取引先、従業員の安全と罹患予防を最優先に考え、従業員の体調管理の徹底、勤務体制の柔軟な見直し、テレワークやサテライトワークの実施、Web会議の導入などの柔軟な取組を実施して対応しております。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

当事業年度におけるわが国経済は個人消費の回復基調が継続し、堅調なインバウンド需要や設備投資の持ち直しなどを背景に、景気は緩やかな回復を示しました。一方で、物価上昇の長期化や人手不足の深刻化に加え、海外経済の減速懸念や地政学的リスクの継続に起因するエネルギー価格の不安定化など、先行きは依然として不透明な状況が続いております。

このような経営環境のもと、当社では第2次中期経営計画(2024年度~2026年度)の初年度にあたる当事業年度において、基本ビジョン「『地域情報紙を発行する会社』から『地域情報紙も発行する総合情報企業』へ」を実現すべく、さまざまな事業に取り組んでまいりました。

コア事業である紙面関連事業では、日々の地域ニュースや身近な話題に加え、「こどもタウンニュース」の定期発行、「SDGs」「介護」「防災・安全」など地域課題に即した企画や各種周年記念号、地元プロスポーツチーム応援特別号など、本紙にとどまらない多様な紙メディアの展開により、地域コミュニティの再生・活性化と広告収益の安定的確保に努めてきました。一方、地域における人口減少をはじめとした社会構造の変化に対応し、発行版の再編や、発行部数の見直しを適宜実施いたしました。

デジタル事業においては、非新聞購読者層に向けて身近な情報を複合的に発信する取り組みの一環として「タウンニュース for LINE」、「メール版タウンニュース」の読者拡大に努めたほか、Web版限定記事の充実化、キュレーションサイトへの記事配信強化などを進めました。また横浜に続き川崎・相模原両市に専任記者を配した「デジタル編集室」を新設、このほか自治会・町内会活動の活性化を目的としたデジタル化に関する連携協定を横浜市との間で締結するなど、デジタルの分野においても地域密着の深化を図ってきました。加えて、記者レポート広告、タイアップ広告などのデジタル広告の商材化を一層強化するとともに、近年続く各種コストの高騰を踏まえ、Web掲載料金の適正化にも取り組みました。

非紙面事業においては、自治体実施の各種プロポーザルで顕著な実績を積み重ねたほか、「秦野市文化会館」および「茅ヶ崎公園体験学習センター(愛称:うみかぜテラス)」に続く第3弾として、「小田原市民ホール(愛称:小田原三の丸ホール)」の指定管理業務を受託し、本年4月より事業を開始することができました。このほか、地域における多様なニーズに対応すべく、記念誌や自費出版物、防犯・防災をはじめとする各種グッズの開発・販売、ホームページ・動画制作などの企画提案にも引き続き取り組んでまいりました。

こうした各種施策を進めてきた結果、指定管理事業の新規受託をはじめとするPPP(公民連携)関連事業やプロポーザル案件、デジタル事業などの非紙面売上が堅調だった一方、秦野市文化会館の通年休館に伴う収入減や紙面広告の出稿が鈍化傾向だったこと、また、「地域情報紙も発行する総合情報企業へ」の構造改革に想定以上の時間を要したことなどから売上高は前年実績を下回ることとなりました。利益面においては、売上の減少に加え売上原価および諸経費の削減に努めたものの、従業員の処遇改善を目的とした賃金上昇に伴い人件費が増加したことなどを要因として、営業利益・経常利益・当期純利益のいずれも前事業年度を下回る結果となりました。

以上、当事業年度の業績は、売上高3,677百万円(前年同期比1.6%減)、営業利益462百万円(同19.8%減)、経常利益587百万円(同14.4%減)、当期純利益389百万円(同21.0%減)となりました。

 

 当事業年度における財政状態は、次のとおりであります。

(資産)

事業年度末の資産合計につきましては、前事業年度末に比べ351百万円増加し5,792百万円(前年同期比6.5%増)となりました。これは主に、現金及び預金が351百万円、投資有価証券が80百万円、ソフトウェア仮勘定が37百万円、長期預金が12百万円増加したこと等によるものであります。

 

(負債)

負債合計につきましては、前事業年度末に比べ43百万円増加し、683百万円(前年同期比6.8%増)となりました。これは主に、未払費用が30百万円、未払法人税等が19百万円減少したものの、未払消費税が43百万円増加したこと等によるものであります。

 

(純資産)

純資産合計につきましては、前事業年度末に比べ307百万円増加し、5,108百万円(前年同期比6.4%増)となりました。これは主に、利益剰余金が284百万円、その他有価証券評価差額金が23百万円増加したことによるものであります。

 

② キャッシュ・フローの状況

当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ531百万円増加し、1,222百万円となりました。

当事業年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によって得られた資金は、400百万円(前年同期比28百万円減)となりました。これは主に、税引前当期純利益(577百万円)、減価償却費(46百万円)、その他の流動負債の増加(45百万円)等の増加要因が投資有価証券売却益(46百万円)、受取利息及び受取配当金(44百万円)、不動産賃貸料(28百万円)等の減少要因を上回ったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動で得られた資金は、235百万円(前年同期は361百万円の支出)となりました。これは主に、定期預金の預入による支出(439百万円)、投資有価証券の取得による支出(219百万円)、有価証券の取得による支出(100百万円)等の要因を、定期預金の払戻による収入(606百万円)、有価証券の償還による収入(200百万円)、投資有価証券の償還による収入(100百万円)等の要因が上回ったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は、104百万円(前年同期比11百万円増)となりました。これは配当金の支払額(104百万円)であります。  

 

③ 生産、受注及び販売の状況

当社は単一セグメントであるため、生産、受注及び販売の状況については、主要な事業部門であるタウンニュース事業について記載しております。

(1) 生産実績

当事業年度の主要な事業部門の生産実績を示すと、次のとおりであります。

 

事業部門

当事業年度

(自 2024年7月1日

至 2025年6月30日

(千円)

前年同期比(%)

タウンニュース事業部門

1,206,802

△3.3

 

(注) 金額は売上原価によっております。

 

(2) 受注状況

該当事項はありません。

 

(3) 販売実績

当事業年度の主要な事業部門の販売実績を示すと、次のとおりであります。

 

事業部門

当事業年度

(自 2024年7月1日

至 2025年6月30日

(千円)

前年同期比(%)

タウンニュース事業部門

3,677,022

△1.6

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態の分析

財政状態の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。当社の自己資本比率は、当事業年度末において88.2%となっており、現状、財政状態につきましては大きな懸念はないものと認識しております。当事業年度末において、当社は無借金経営であり、今後もその健全な財務状態を基盤として、将来の事業展開のための設備投資や安定配当の継続など、企業価値の向上に努めてまいります。

 

b.経営成績の分析

(売上高)

売上高につきましては、前事業年度に比べ59百万円減少し、3,677百万円(前年同期比1.6%減)となりました。主な要因等については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

(売上原価、販売費及び一般管理費)

売上原価は前事業年度に比べ41百万円減少し、1,206百万円(同3.3%減)となりました。これは、折り込み部数の適正化を図ったことによるものです。
 販売費及び一般管理費は、前事業年度に比べ96百万円増加し、2,007百万円(同5.1%増)となりました。これは、主に給与や賞与等人件費、保守管理費が増加したことによるものであります。

 

(営業利益)

営業利益は、前事業年度に比べ114百万円減少し、462百万円(同19.8%減)となりました。売上高の減少に加えて販売費及び一般管理費が増加し、前年を下回りました

 

(営業外収益、営業外費用)

営業外収益は、前事業年度に比べ17百万円増加し、132百万円(同15.4%増)となりました。これは投資有価証券売却益46百万円、受取配当金42百万円などを計上したことによるものであります

営業外費用は、主に不動産賃貸費用7百万円などを計上し、7百万円(同41.4%増)となりました

 

(経常利益)

経常利益は、前事業年度に比べ98百万円減少し、587百万円(同14.4%減)となりました。

 

(特別利益、特別損失)

特別損失に、関係会社株式評価損9百万円を計上しております。

 

(税引前当期純利益)

税引前当期純利益は、前事業年度に比べ113百万円減少し、577百万円(同16.4%減)となりました。

 

(当期純利益)

当期純利益は、前事業年度に比べ103百万円減少し、389百万円(同21.0%減)となりました。

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当事業年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

当社の資本の財源及び資金の流動性については、経営活動に必要な資金の調達を自己資金にて賄っており、借入等の予定はありません。余裕資金の運用は定期預金を中心とした安全で流動性の高い金融資産であり、流動性を確保しております。 

 

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成しております。重要な会計方針につきましては、「第5経理の状況1.財務諸表等」の注記事項(重要な会計方針)に記載しております。財務諸表の作成にあたり、見積りが必要となる事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。これらの見積りについては、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は異なる場合があります。

 

財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

(繰延税金資産)

当社は、繰延税金資産の回収可能性の判断について、将来の課税所得等の前提条件に基づき算出しております。従って、税制改正や経営環境の変化等により当初見込んでいた課税所得が得られなかった場合、繰延税金資産の計上額が変動する可能性があります。

 

5 【重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。