文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1)会社の経営方針
当社は、「個性をかき集めて、驚きの角度から世の中をアップデートしつづける。」というVision(あるべき姿)を実現するべく、常に変化する経営環境、市場動向に的確に対処し、企業価値のさらなる向上に向けて事業展開を進めております。
当社の属するDX市場は、生成AIやAIエージェントの急速な進化・普及により社会的影響が拡大し、産業構造そのものの変革が進みつつあります。こうした技術の進展は、AI活用を前提としたビジネスの広がりを促進すると同時に、クラウドインフラ需要の拡大など当社事業領域における成長機会を生み出しています。一方で、変化のスピードは加速しており、こうした社会・産業の構造変化を見越した柔軟かつ先見的な事業戦略の立案・実行が不可欠であると考えております。
当社はこうした認識のもと、持続的成長を支える経営基盤の強化に加え、「OSEKKAI × TECHNOLOGY」というブランドスローガンのもとでテクノロジーによる価値を創出し続けることが重要と認識しております。
(2)経営環境及び中長期的な会社の経営戦略
現在、生成AIやAIエージェントの進化・普及は、社会や産業の構造変革を促し、企業における業務の在り方を変化させようとしています。当社が事業を展開するIT分野では、生成AIやAIエージェントの急速な進化・普及により、技術のコモディティ化と民主化が加速し、企業は「新技術をいかにして業務や価値創出プロセスに組み込むか」という新たな経営課題に直面しています。また、システム開発分野においては、急速に進化する生成AIやAIエージェントへの対応が強く求められており、従来の「労働集約型システム開発」から「AI-Native(注1)なシステム開発」への抜本的な転換が急務となっております。
これらのAI分野における急速な発展に加え、企業のDX推進の拡大を背景として、パブリッククラウド(注2)サービス市場は引き続き成長を続けています。国内市場規模は、2024年の4兆1,423億円から、2029年には約2.1倍となる8兆8,164億円へ拡大すると予測されています。(出所:IDCJapan株式会社「国内パブリッククラウドサービス市場予測、2025年~2029年」)
また、当社が注力する宇宙産業は、国家主導から民間主導への転換期を迎え、新たな市場として急速に拡大しております。ロケットや人工衛星の開発・打ち上げといったハードウェア領域に加えて、それらを管理・制御する地上システムの構築や衛星データの利活用に伴うデータ基盤の構築等、ソフトウェアを中心とした産業領域が徐々に拡大しており、今後さらに拡大することが見込まれております。
また、当社が自社プロダクトである多面評価サービス「360(さんろくまる)」を展開するHRTech市場は、人的資本経営の重要性が高まる中で成長を続けております。さらに、連絡サービス「sigfy(シグフィー)」を展開する教育ICT市場は、教育現場における働き方改革の推進等を背景にDXの需要が高まっております。
このような環境の下、当社は、テクノロジーを軸に多角的に成長する企業グループへの転換を図ると共に、中長期的な高成長を実現する経営基盤を構築するため、次の4つのテーマに対して重点的に取り組んでまいります。
①AI-Nativeな開発プロセスへの全面移行と大幅な人員拡充
生成AIやAIエージェントの急速な進化・普及に対応し、AI-Nativeな開発プロセスへの全面移行を進めるため、AIコーディングツール等への積極的な投資を実行してまいります。これにより、開発プロセス全体の生産性を大幅に向上させるとともに、採用ペースの引き上げによる人員体制の拡充を並行して進め、開発キャパシティの大幅な強化を図ってまいります。
②宇宙産業関連ソフトウェア市場でのプレゼンス向上
今後、グローバル市場・国内市場ともに成長が期待される宇宙産業関連ソフトウェア市場へのアプローチをいち早く実施し、マーケットリーダーとしての地位確立を目指してまいります。そのためにも、宇宙関連ビジネスを推進する専任の事業推進体制を構築し、宇宙関連企業とのパートナーシップ、マーケティング投資等の強化に取り組んでまいります。
③教育・人材関連プロダクトの再構築
多面評価サービスとして展開している「360(さんろくまる)」については、既存市場におけるシェア拡大を図ると共に、用途開発を行うことで今後はさらに規模の大きな市場へ拡大することを目指しております。また、連絡サービス「sigfy(シグフィー)」は、教育現場における働き方改革の推進を背景に需要が高まる中、既存市場におけるシェア拡大を目指し、積極的なマーケティング投資や営業体制の強化に取り組んでまいります。
④積極的なM&Aの実施
当社が、テクノロジーを軸に多角的に成長する企業グループへの転換を図るためには、M&Aや戦略的提携による競争力の強化や新たな技術の獲得、事業ポートフォリオの多様化等に取り組むことが重要であると考えております。同業企業に対するロールアップ型M&Aによる事業規模拡大を軸に、九州エリアの非テクノロジー企業に対するM&Aを通じた新市場への拡大や異業種への進出を図ってまいります。
(3)目標とする経営指標
当社は、更なる事業の拡大及び収益性の向上を特に表す指標として、売上高成長率並びに営業利益成長率を重視しております。また、これらの売上高成長率並びに営業利益成長率を高めるための指標として、①エンジニア一人当たり売上高、②顧客平均単価、③取引顧客数の3つの指標も重視しており、中長期的な事業拡大と収益性向上により企業価値の向上と株主価値の向上を図ってまいります。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
1.新技術への対応
生成AIやAIエージェントの急速な進化・普及は、産業構造の変革を促し、当社が属するIT業界でもシステム開発工程の効率化や自動化を加速させています。このような事業環境の下で当社が継続的に事業を拡大していくためには、これらの技術を基盤としたAI-Nativeなシステム開発プロセスへ全面的に移行することが重要であると認識しており、今後も最新技術への適時対応と新サービスの開発に継続的に取り組んでまいります。
2.優秀人材の確保と育成
IT人材が不足していることに加え、技術が急速に進化する中、新しい技術への高い関心と常に学び続ける姿勢を有する人材の確保が、当社の成長に欠かせない重要課題であると認識しております。当社では、通常の採用活動に加え社員紹介制度のリファラル採用の強化や、新卒・中途入社者向けのOJT教育や勉強会などを積極的に実施しています。また、クライアントのDX事業と自社運営のプロダクトを両輪で展開し、特定技術に偏らないことは、好奇心旺盛なエンジニア人材を獲得する上で当社の独自性を形成しております。
人材の確保と同時に、社員の能力開発・向上のための研修参加、資格取得費用の会社負担、認定資格取得時の報奨金制度など、人事評価制度の継続的改善運用を通じて、社員の能力を最大限に発揮させる仕組みと、能力向上を促進するカルチャーを確立してまいります。また、奨学金返済を支援する制度を設け、経済的・心理的な不安を軽減することで、社員が安心して働ける環境づくりを進めております。
また、働き方の多様性に対応するため、リモートワーク、コアタイムなしのフルフレックス、時短勤務制度などを積極的に推進するとともに、一定の出社を推奨し、対面で効率的なコミュニケーションや仕事の垣根を越えた人材の交流も重視しております。さらに、女性活躍推進の取り組みが評価され、厚生労働大臣より「えるぼし認定」の3つ星を取得するなど、誰もが働きやすい職場環境を整えることで、次世代を担う優秀な人材の育成、定着に繋げてまいります。
3.サービスの高付加価値化、利益率の向上
当社は、成長戦略を着実に実行し、売上高の安定的な高成長を実現するとともに、営業利益率の向上を図ることが重要な課題だと認識しております。そのため、エンジニア人材の採用力を強化し増員を進めるとともに、多様なお客さまの課題に最適なソリューションを提供できる体制を整備し、セールス・マーケティング人材の拡充を通じて受注機会の拡大と単価向上を図ってまいります。また、開発プロセスの継続的な改善、社内における技術の共有や教育訓練等を推進し、より強固な開発体制の構築に努め、IT技術を通じた社会課題の解決を実現してまいります。
4.競争優位性の確保
当社が今後も成長を持続していくためには、他社との差別化を実現し、サービスの優位性を高めるための機能強化・拡充が必要不可欠であると認識しております。当社は、特定の分野や技術に固執することなく、AI、IoT、クラウド、量子コンピュータといった最先端技術から、Web、モバイル、ビッグデータ解析、UI/UX設計など幅広い技術を組み合わせ、最適なソリューションを提供することを重視しています。また、アジャイル開発やマイクロサービス等の開発手法を活用することで、顧客ニーズの多様化や変化に柔軟に対応できることが当社の強みと認識しております。今後も当社ならではの付加価値を高めるサービスの展開に取り組んでまいります。
5.コーポレート・ガバナンス体制及び内部管理体制の強化
当社は、今後も事業のさらなる拡大と持続的成長を見込んでおり、それに対応した内部管理体制の強化が重要な課題であると認識しております。経営の公正性・透明性を確保すべく、コーポレート・ガバナンスの充実を図るとともに、適切な内部統制システムの整備・運用を推進してまいります。
6.健全な財務基盤の構築
財務基盤の健全性を維持しながら、優秀な人材の採用及び育成、事業開発及び研究開発活動、さらにはM&Aなど将来の事業拡大に向けた投資資金需要に対応するため、事業資金を安定的に確保することが必要不可欠であると考えております。今後の資金調達手段としては、主に金融機関からの借入、エクイティファイナンスを検討し、持続的な成長を支える健全な財務運営を図ってまいります。
(注1)AI-Native
既存の業務プロセスに「AIを後から導入する」のではなく、「最初からAI活用を前提に事業や組織を設計・運営する」状態を指します。これにより、業務効率性や新サービスの開発スピードで大きな優位性を持つ可能性が生まれます。
(注2)パブリッククラウド
広く一般のユーザーや企業向けにクラウドコンピューティング環境をインターネット経由で提供するサービスのことをいいます。
当社のサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次の通りです。なお、特に記載のない限り、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものです。
人口問題や気候変動、災害リスクの高まりなど、社会を取り巻く環境の変化に加えて、IT、特に生成AIやAIエージェントの急速な進化・普及によって、企業活動から個人の消費・生活スタイルに至るまで社会トレンドがめまぐるしく変化する中で、企業が対応しなければならない社会課題やニーズは複雑化・多様化しています。
このような環境の下、当社は、生成AIやAIエージェントの急速な進化・普及による社会の変化の局面を更なる成長の機会と捉え、サステナブルな社会の実現に向けて、テクノロジーカンパニーとして様々な技術を積極的に活用し、DXの推進を通じて社会課題の解決・地球環境の保護に貢献することでクライアントとともに成長する、長期的な視点でのサステナビリティ経営を推進していきます。
取締役会は、サステナビリティを巡る課題について議論し、監督を行う責任と権限を有しております。広範なサステナビリティに関する課題に積極的かつ適切に対応するため、重要課題であるマテリアリティの特定、サステナビリティ関連のリスク及び機会を識別し、管理するための統制について審議し、方針等の決定を行ってまいります。
更に、サステナビリティ経営の推進に向けて、本社機能の最適化による経営基盤の整備について、人権・労働、コンプライアンス、リスクマネジメントの領域ごとに、衛生委員会及びリスク・コンプライアンス委員会にて協議・推進を行い、取締役会がこれらの活動を監督し、監査役会は、独立した立場から意見を行うこととしております。また、必要に応じて外部有識者の知見を得ながら、今後の外部環境の変化に対応し、全社的なサステナビリティ経営を推進してまいります。
当社は、テクノロジーカンパニーとして様々な技術の活用を通じて、クライアントのDXを推進することで社会課題の解決に貢献し、事業を拡大してきました。当社が属するIT業界では、技術革新が絶え間なく行われております。このような事業環境の下で当社が継続的に事業を拡大していくためには、新技術を素早く取り入れていく必要があると認識しており、新技術及び新サービスの開発に継続的に取り組んでおります。
今後、より一層のDX推進を行うために、株主・クライアント・従業員をはじめとするすべてのステークホルダーとともに、DX推進による社会課題の解決や持続可能な社会の構築に一層貢献することが重要と考えております。
当社は、上記事項の達成に向け、事業活動の中心は「人」であると考え、求める人材像を以下のように定め、一人一人の成長と組織の成長が連動し相乗効果を発揮することを目指しております。
「自立」:自立した姿勢で、常に前向きに物事に取り組み、最後までやり遂げる人材
「個性」:自らの強みや可能性を信じ、本質を追求し周りに影響を与える人材
「協働」:相互に繋がり、お互い助け合うことができる人材
① 人材育成
当社の競争力の源泉は、変化の激しいIT業界において、技術トレンドや社会ニーズを継続的にキャッチアップすることで築いた「新技術に取り組む土壌」、その新技術と既存技術を複合的に連携させる「技術結合力」、そしてそれを多様な業界へ展開する「展開力」によって構成されております。

これらの優位性を維持・向上し続けるため、創業当初より、新卒・中途入社者向けのOJT教育や勉強会などを実施し、社員への新技術探求を奨励する仕組みを整備してきました。加えて、技術や業務に関する情報を文章とした可視化・共有するドキュメント文化を推進するため、ナレッジ共有システムを導入・活用し、個々の経験や知見を組織全体の資産として蓄積しております。こうした取り組みにより、社員が常に新しい分野や新技術に目を向け、積極的にチャレンジする文化を醸成してまいりました。さらに、生成AIやAIエージェントの急速な進化・普及を好機と捉え、エンジニアにとどまらず、社員全員がこれらの新技術、新サービスを積極的に活用し、AI-Nativeなシステム開発による効率化や業務の自動化などの取り組みを全社一丸となって推進しております。こうして得た新技術を、より多くの業界・業種のクライアントのDX推進に結びつける「展開力」を強化するために、技術に精通したセールス・マーケティング人材の育成も並行して推進してまいります。
② 個性の尊重
当社は、「個性をかき集めて、驚きの角度から世の中をアップデートしつづける」をVision(あるべき姿)として掲げております。これに基づき、年齢や性別、国籍等を問わず、多様な人材が様々な視点や価値観から議論を重ねることで、クライアントや社会が抱える多様な課題に対する最適なソリューションを提供しつづける企業でありたいと考えております。
そのため、事業活動において「人」が最も重要な要素であると認識し、社員の自己実現を促進するためのワークショップ等を行っており、社員一人ひとりが個性を尊重し、組織として最大限の価値発揮ができる風土を醸成しております。これらの取り組みの結果、社員それぞれの得意分野に関する自発的な勉強会が開催されるなど、個々の能力開発に繋がる機会が創出されております。また、採用においても特定のスキルや属性だけではなく、熱意や好奇心といった個性にも注目し選考を行うことにより、上記企業カルチャーの実現を目指しております。
③ 働きやすい環境づくり
働き方に対する多様なニーズに対応すべく、サステナビリティ経営の根幹となる人材の確保・定着を図るために、当社ではリモートワークやコアタイムなしのフルフレックス、時短勤務制度の導入や育休取得の推進などにより、個人のワークライフバランスの実現を積極的に支援しております。また、一定の出社を推奨し、対面でのコミュニケーションや仕事の垣根を越えた人材の交流も重視しております。
さらに、奨学金返済を支援する制度を設け、経済的・心理的な不安を軽減することで、社員が安心して働ける環境づくりを進めております。
また、社員の心理的安全性を担保するため、内部通報制度の整備、ハラスメントに関する定期研修の実施に加え、社員からの相談に迅速かつ適切に対応するための相談窓口を社内・社外に設置しております。
加えて、女性活躍推進の取り組みが評価され、厚生労働大臣より「えるぼし認定」の3つ星を取得いたしました。今後も、性別や属性を問わず、すべての社員が活躍できる働きやすい職場環境を整えることで、次世代を担う優秀な人材の育成、定着に繋げてまいります。
④ 情報管理体制への配慮
当社は、クラウドやAIを活用しサービスを提供しています。これらのサービスは特性上、サイバー攻撃やプライバシー侵害に関する脅威への対策が重要であると認識しております。
サステナビリティ経営を推進するため、当社は、ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)認証及びプライバシーマーク認証を取得し、各種情報の管理体制を整備するとともに、情報管理に関する社内規則等の整備や情報セキュリティ研修を定期的に実施しております。
昨今における外部からの不正アクセス、システム運用における人的過失、従業員の故意等による機密情報や個人情報の漏洩、消失、改竄又は不正利用等の、組織を取り巻くセキュリティリスクの拡大に対応すべく、外部専門家の助言により知見を深めるなど、常に情報管理体制のアップデートを行ってまいります。
当社は、サステナビリティに関するリスクを含めた全社的な視点でのリスクマネジメントについて、取締役会の直轄組織としてリスク・コンプライアンス委員会を設置し、リスクマネジメントに向けた具体的なアクションプランの検討や、リスク発生時に迅速に対応を行う体制を整備しています。優先的に対応すべきリスクの特定に関しては、当社に与える財務的影響、当社の事業活動が社会・環境に与える影響及び発生可能性を踏まえて行われ、当委員会を通じたリスク対応状況の内容は取締役会へ報告されます。
当社におけるリスク管理の詳細については、「
前述の戦略に基づく人材育成の方針及び環境の整備に沿った当社の取り組みに関する指標と実績は以下の通りです。なお、本報告書提出日現在において、当該指標についての目標は設定しておりません。
※ 女性の育休取得率の「―」については、女性の対象者がいないため算出できないことを示しております。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下の通りであります。
当社は、これらリスク要因を認識した上で、その発生自体の回避、あるいは発生した場合の対応に努める方針でありますが、これらはすべてのリスクを網羅したものではなく、予見しがたいリスク要因も存在するため、投資判断については、本項以外の記載内容もあわせて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
1.事業環境に関するリスク
2.事業運営に関するリスク
3.その他
(注1)IaaS
Infrastructure as a Serviceの略で、仮想サーバやストレージなどの「インフラ」をインターネット経由で提供します。
(注2)PaaS
Platform as a Serviceの略で、アプリケーションの開発・実行環境などの「プラットフォーム」をインターネット経由で提供します。
(注3)SaaS
Software as a Serviceの略で、業務アプリケーションなどの「ソフトウェア」をインターネット経由で提供します。
当社の財政状況、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次の通りであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
① 財政状態の状況
(資産)
流動資産は1,332,809千円となり、前事業年度末に比べ115,390千円増加しました。これは主に、仕掛品が29,306千円減少した一方で、売掛金が104,595千円、流動資産その他が35,485千円増加したことによるものであります。
固定資産は237,022千円となり、前事業年度末に比べ16,520千円増加しました。これは主に、投資有価証券が24,000千円増加したことによるものであります。
(負債)
流動負債は404,341千円となり、前事業年度末に比べ37,884千円減少しました。これは主に1年内返済予定の長期借入金が43,349千円減少したことによるものであります。
固定負債は28,834千円となり、前事業年度末に比べ192千円増加しました。
(純資産)
純資産は1,136,655千円となり、前事業年度末に比べ169,563千円増加しました。これは主に繰越利益剰余金が193,948千円増加したことによるものであります。
② 経営成績の状況
当事業年度(自2024年7月1日至2025年6月30日)における我が国の経済は、雇用・所得環境の改善や各種政策の効果が一定の成果を上げた一方、世界的な金融引締めの長期化や地政学的リスク、米国関税政策の不透明感等により、依然として先行きが見通しづらい状況が続いております。さらに、円安基調が継続する中での物価上昇が家計や企業収益に与える影響も懸念材料となっており、全体としては回復力の強さとリスク要因が混在する経済環境が継続いたしました。
当社を取り巻く国内IT市場においては、企業の業務効率化や競争力強化を目的としたデジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組みが継続的に拡大しており、クラウド導入やデータ活用に関する需要は引き続き堅調に推移しました。また、生成系AIの技術革新と社会実装の加速、IoTを活用したデータ収集・解析技術の高度化等を背景に、企業のデジタル投資が一層活発化する傾向が見られました。
当社が事業を展開する国内パブリッククラウド市場においては、Amazon Web ServicesやMicrosoft等の大手クラウドベンダーによる大規模な国内投資やAI基盤強化の動きが進展したことにより、市場全体として高い成長を維持しております。とりわけ生成系AIを活用した業務自動化や新サービス創出に対する企業の関心が高まっており、AI関連ソリューションへのニーズは急速に拡大しております。
このような経営環境のもと、当社においてはクラウドインフラを活用したシステム開発や、AI・IoTを駆使したデータ収集・分析サービスの提供が順調に推移し、クロステクノロジーサービスの売上が通期を通じて大幅に伸長いたしました。また、自社プロダクトである360度評価ツール「360(さんろくまる)」及び学校向け連絡サービス「sigfy(シグフィー)」についても、導入企業・自治体数の増加や大型案件の受注により、いずれも前期を大きく上回る売上を計上いたしました。さらに、重点施策として掲げた採用活動も、年間を通じて概ね計画通りに進捗しております。
これらの結果、当事業年度の業績は、売上高は1,952,131千円(前期比8.5%増)、売上総利益は772,776千円(前期比16.0%増)、営業利益は270,761千円(前期比30.7%増)、経常利益は272,906千円(前期比29.0%増)、当期純利益は193,948千円(前期比25.1%増)となりました。
なお、当社はDX事業の単一セグメントのため、セグメントごとの記載はしておりませんが、サービス別の売上高の概要は以下の通りであります。
① クロステクノロジーサービス
クラウド環境の構築、システム開発、IoTを活用したデータ収集、AIによるデータ分析等、多様なデジタルテクノロジーを駆使し、クライアントの課題に対して最適な技術での解決を目指すサービスです。
大手インフラ等の大口顧客に対する顧客深耕が進捗し、顧客平均単価が上昇したこと等により、売上高は1,059,492千円となりました。
② MSP
システム及びクラウド環境の保守運用並びにパブリッククラウド(AWS)の再販売を行うサービスです。
円安に伴うクラウド利用量の抑制、大口顧客に対するクラウド利用コストの最適化提案等の影響により、売上高は744,309千円となりました。
③ その他(自社プロダクト等)
クライアントの要望に応じて開発したシステムの中から、汎用性の高いものをサービス化して提供しています。現在は、360度評価ツール「360(さんろくまる)」と、主に学校や保育園向けの連絡網サービス「sigfy」を展開しています。
案件大型化による顧客平均単価の伸長及び顧客数の増加等の結果により、売上高は148,329千円となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前事業年度から8,809千円増加し、785,172千円となりました。当事業年度末における各キャッシュ・フローの状況と、その主な要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは134,959千円(前年同期は56,675千円)となり、前年同期比で78,283千円の収入の増加となりました。
これは主に、仕入債務の減少による支出の増加64,721千円、契約負債の減少による収入の減少34,823千円による資金の減少があった一方で、税引前当期純利益の増加61,423千円、棚卸資産の減少による収入の増加56,528千円、その他の営業活動による収入の増加54,113千円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは△32,061千円(前年同期は△104,672千円)となり、前年同期比で72,611千円の支出の減少となりました。
これは主に、有形固定資産の取得による支出の減少54,903千円、敷金の差入による支出の減少19,724千円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは△94,088千円(前年同期は△23,590千円)となり、前年同期比で70,498千円の支出の増加となりました。
これは主に、自己株式の取得による支出の増加28,815千円、自己株式取得のための預託金の増加による支出の増加26,268千円によるものです。
④ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当社の事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
b. 受注実績
当社の事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
c. 販売実績
当事業年度における販売実績をサービス区分別に示すと、次の通りであります。なお、当社は、DX事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
(注)最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は以下の通りであります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討は次の通りであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたりまして、採用した会計方針及びその運用方法並びに見積りの評価については、当社が現在入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果は様々な要因により大きく異なる可能性があります。
② 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(売上高)
当事業年度においては、DX市場が拡大している中、お客さまのDX化をともに考えるコンサルティング、システムの設計、開発、運用までの一貫したソリューションを行うことにより、売上高を順調に伸ばすことができました。特に、クラウドインフラを活用したシステム開発やAI、IoTを駆使したデータ収集・分析サービスの需要拡大を背景に、大手企業に対する顧客深耕が進み、取引単価が上昇したことにより売上が増加し、売上高は1,952,131千円(前期比8.5%増)となりました。
(売上原価、売上総利益)
当事業年度における売上原価は、エンジニアの採用加速に伴う人件費の増加により、1,179,354千円(前期比4.2%増)となりました。以上の結果、売上総利益は772,776千円(前期比16.0%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当事業年度における販売費及び一般管理費は、事業拡大に伴う体制強化にかかる費用等の増加により、502,015千円(前期比9.3%増)となりました。以上の結果、営業利益は270,761千円(前期比30.7%増)となりました。
(営業外収益・営業外費用、経常利益)
当事業年度の営業外収益は、為替差益等により、2,711千円(前期比45.7%減)となりました。営業外費用については、支払利息等により、566千円(前期比9.6%減)となりました。以上の結果、経常利益は272,906千円(前期比29.0%増)となりました。
(特別利益・特別損失、当期純利益)
当事業年度は特別利益、特別損失は発生しておりません。また、当事業年度の法人税等合計は78,957千円(前期比39.8%増)となりました。以上の結果、当期純利益は193,948千円(前期比25.1%増)となりました。
③ 資本の財源及び資金の流動性
当社のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載の通りであります。当社の資金需要は、事業規模拡大に向けた、主に人件費や採用費などの投資資金であります。財政状態等を勘案しながら必要に応じて金融機関からの借入による資金調達を行いますが、翌年度における借入計画はありません。
なお、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は785,172千円であります。
当事業年度の研究開発費の総額は、