文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループは、市場に最適な仕組みや価値観= “style” を創造し続けるべく、「生活者中心の市場の創造」をビジョンに掲げ、1999年にコスメ・美容の総合サイト「@cosme」の運営を開始いたしました。今では、国内女性人口の3分の1を超える月間ユーザーにご利用いただくほど、多くの生活者に支持されてまいりました。
現在、当社グループは「@cosme」を中核に多様な事業を展開しており、メディアのみならずEC運営・店舗運営・人材サービスなどを含む化粧品業界に関する総合的なプラットフォームとして成長してまいりました。
しかしながら、目まぐるしく環境が変化するなか、事業運営基盤をより強化にしつつ、新たなユーザーニーズやクライアントの課題に幅広く応えていくことが、今後の継続的な発展に必要だと考えております。
当社グループが提供する総合的な化粧品業界特化型プラットフォームの質をより高め、さらに領域を広げることで国内外の事業成長を実現すべく、以下の課題に取り組んでおります。
① プラットフォームの強化と拡大
当社グループの最大の強みは、データを中心にメディア・EC・店舗が連携する独自のプラットフォームにあります。この価値をさらに高め、生活者とブランドをつなげ続けていくために、プラットフォームの強化と拡大を図ってまいります。
a. データ活用の深化
創業以来蓄積してきたデータを活用し、生活者やブランドに向けてよりパーソナライズされたサービスを提供することを目指しています。データをもとにしたコンサルティングサービスやAIクチコミ分析ツールで、各ブランドの課題解決を進めてまいります。
b. 顧客基盤の拡大
ユーザー向けには、EC・店舗におけるシナジーによって新規顧客の獲得と既存顧客のリピートを促進し、顧客基盤のさらなる拡大を図ってまいります。
ブランド向けには、データの活用を通じて、業種を問わず新たな顧客との取引を拡大してまいります。
c. プラットフォーム拡大に伴う戦略的な開発体制の強化
プラットフォームの拡大に伴い、メディア・EC・店舗のそれぞれの特性や優先度を踏まえた戦略的な開発リソースの最適配分が求められています。当社グループでは、横断的なシステム統合と運用の安定化に向けて、エンジニア人材のケイパビリティ強化と継続的なシステム投資を行い、基盤の高度化を推進してまいります。
d. 情報セキュリティ体制の強化
ユーザーからお預かりしている個人情報をはじめ、クチコミ・行動データ・ブランドに関する膨大な機密情報は、当社グループにとって重要な資産と位置付けております。これらの情報を適切に保護・管理することは、重大な責務であると認識しており、安全な取り扱いを徹底するため情報セキュリティ体制の強化を推進し、信頼性の高いプラットフォーム構築に引き続き努めています。
e. 技術革新と独自価値の共創
生成AIなどの先端技術の進化により、生活者の情報収集手段や経済活動が大きく変化しています。当社グループは、こうした変化に柔軟かつ迅速に対応することが重要だと考えています。
これまで培ってきた独自のプラットフォームを活かし、AIでは代替できないオンラインとオフラインを一気通貫した体験提供に注力するとともに、AIとの共創による新たな価値創造にも取り組んでまいります。
② より幅広いBEAUTY領域へ事業拡大
既存の化粧品領域に加え、今後はインナーケア・エイジングケアなど、より幅広いBEAUTY領域へも事業を拡大してまいります。
美容年齢や健康寿命の延伸を背景に、広義のBEAUTY市場での当社の提供価値や可能性はますます広がっていると実感しております。また、@cosme のプラットフォームには、美容や健康への感度が高いユーザーが数多く存在しており、メディア・EC・店舗を通じた効率的なエンゲージメントが可能です。こうした、ユーザー基盤や独自のプラットフォームを活用し、変化するユーザーのニーズに応えながらBEAUTY領域での提供価値のさらなる拡大を目指してまいります。
③ 海外戦略の再構築
これまで、中国をはじめとするアジア各国の経済成長に伴う美容関連市場の拡大を見込み、グローバル事業を積極的に展開してまいりましたが、地政学的リスクやパンデミックなど外部環境の影響を大きく受けました。今後は、収益改善を最優先課題とし、資金・人的リソースの配分を効率的に行いながら、中長期的な成長を見据えて事業の再構築を図ってまいります。
④ 経営基盤の強化
今後の事業拡大に向けて、企業としての持続可能な成長を支える人材・組織・ガバナンス体制の整備が不可欠です。従業員が能力を最大限に発揮できる環境づくりと、透明性・機動性の高い経営体制の両輪で、経営基盤の強化を進めてまいります。
a. 人的資本経営の推進
従業員が互いに挑戦と成長を促し合う企業文化の醸成を重視しています。ハンズアップ制度や多様で柔軟な働き方の導入を通じ、一人ひとりのパフォーマンスを最大化できる環境を整えることで、成長意欲の高い人材から選ばれ続ける企業を目指します。
b. ガバナンス強化
権限と責任を明確にした組織体制を構築することで、経営の効率化・迅速化を図ってまいります。また、グループ全体を横断した内部統制の強化を進めるとともに、今後の事業拡大を支える持続可能かつ安定した経営基盤の確立のため、ガバナンスの強化にも取り組んでまいります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
1. サステナビリティ全般
(1) 戦略
① アイスタイルが目指すサステナビリティ
アイスタイルは、「生活者中心の市場の創造」をビジョンとして掲げ、生活者視点で未来のあるべき姿を捉え、あらゆるステークホルダーと好循環を生み出すことで生活者を軸とした市場の創造を目指しています。そのため、創業時より“生活者と化粧品メーカー・ブランドを適切につなげること”に尽力してまいりました。
アイスタイルが起業した1999年は、マスメディアでの一方的な情報発信がまだ多かった時代でした。デジタルを活用した正しいコミュニケーションの在り方を目指して、生活者のニーズとメーカーのすれ違いを解消することをテーマに、生活者の声であるクチコミを集めて市場に反映する仕組みとして、コスメ・美容の総合サイト「@cosme」を立ち上げました。
生活者は、情報が増えすぎて何が正しく何を信用すべきか分からない。
ブランドは、情報接点が複雑化したため生活者に情報が伝えられない。
これらを解決するため、情報が氾濫するデジタル社会における不変的な価値として、中立的なプラットフォームを中長期で維持していくことがアイスタイルの目指すサステナビリティです。
そして、そのサステナビリティの中核を成すのが、中立な場である“プラットフォーム”、健全なコミュニケーションを促すステークホルダーとの“パートナーシップ”、これらを推し進める心臓部となる“人材”、活動の土台となる“ガバナンス”の4つです。これらの要素がアイスタイルの根幹を支える価値であるため、マテリアリティとして注力しています。
② マテリアリティ
a. 信頼されるプラットフォーム
「@cosme」は、情報であるクチコミを扱うサイトであるため、生活者やメーカーから信頼を得ることが必要であると認識しています。生活者の声を正しく・効率的に市場へ届けるためには、健全で中立なコミュニティの運営、情報セキュリティ、それらを支えるITなどが不可欠です。これからも安心してご利用いただけるプラットフォームの構築を目指します。
b. パートナーシップによる共創
ビューティー領域において、生活者やブランドをはじめとした多くのステークホルダーと共に、事業を通じてサステナビリティへの意識醸成や循環型社会に向けた取り組み等を共創することによって、サステナブルな社会に向けて貢献します。
c. 人材のエンパワーメント
企業の心臓部である人材の重要性は、少子高齢化が進む日本社会において今まで以上に増しています。人が成長するためには、成長したいと思える意欲・働き方の選択肢が充実したワークライフバランスの整った環境が必要です。その上でアイスタイルでしか築けないキャリア(複数事業によるシナジー)で成長を加速させ、最終的には業界を牽引するような新しい価値を創出するリーダーの育成を目指しています。結果として、これらの取り組みが企業価値の向上に繋がるものと考え、人の成長にコミットしてまいります。
d. ガバナンスの充実
経営の健全性、透明性及び客観性の向上を目的とするコーポレート・ガバナンスの強化は、アイスタイル が環境変化の著しいIT業界に属する点からも、重要な経営課題であると認識しております。また、企業だけでなくメディアやプラットフォームとしての健全性にも注力しています。
アイスタイルはこれからも生活者の声を市場に反映するだけでなく、メディア・EC・店舗などを通じて様々な出会い方をアップデートすることで、化粧品業界の発展や持続可能な社会に貢献してまいります。
(2) ガバナンス・リスク管理
アイスタイルはサステナビリティの推進を経営課題の1つとして捉え、代表取締役社長直下に全社横断の組織であるSUSTAINABILITY推進委員会を設置し、取締役副会長CFOを責任者として任命しています。同委員会にて全社的なサステナビリティに関する活動の推進・管理を行っております。
SUSTAINABILITY推進委員会および各事業部の責任者で都度開催される定例会にて、サステナビリティに関する機会とリスクを把握し、適宜評価・管理を行ったうえで経営課題となり得るものをグループ経営会議を経て取締役会に報告しております。
(3) 指標及び目標
「人的資本、多様性に関する事項」については2.の(1)戦略と指標及び(2)目標、「気候変動対応」については3.の(4)指標及び(5)目標を参照。なお、他マテリアリティに関する指標等は精査中です。
2. 人的資本、多様性に関する事項
(1) 戦略と指標
当社では、これからも事業を成長させ企業価値を高めるためには、人の成長を促し、成長意欲の高い人々から選ばれる企業であることが不可欠と考えております。「Beautyの世界をアップデートしながら、多くの人を幸せにしよう」というミッションの達成に向けて、1)従業員自らのチャレンジを促進させ、2)個人の活躍を後押しし、3)働き方の多様性・柔軟性を高めることで、4)化粧品業界を牽引するリーダーの育成に注力してまいります。前述の重要なテーマを以下の4つに分け、課題や対策、これらの進捗を表す指標を整理してまいりました。
① 成長を感じチャレンジしたいカルチャーの醸成
人が成長するためには、従業員本人のチャレンジする意欲と、それを促す環境が必要であると考えています。本取り組みにおける実態を把握するべく、従業員に対して“そう思う”から“思わない”までの5段階評価に分けた意識調査を前連結会計年度に引き続き実施しました。



今年度は、リーダー層のマネジメント価値観のアップデート、一人ひとりに成長とチャレンジを問う目標・評価制度、チャレンジ意欲を行動につなげるポジションハンズアップ制度をアクションの柱として推進しました。これにより、2025年4月に実施した意識調査の結果においても、会社がチャレンジする環境を提供していると捉えている社員の割合増加につながりました。
KPIであるグラフ(a)~(c)の項目において、引き続き肯定回答が大勢を占めているものの、前年度と比べて取り組むべき課題も見つかりました。さらに明確化するために従業員の属性に分けて当該調査の結果を精査したところ、階層間と男女間において意識差があることが判明しました。(a)と(c)においては階層間で差異があり、役職者の方が全体より高い傾向となっています。男女間については、当社における連結での女性管理職比率は63%(単体では55%)と他企業に比べて高い水準であるものの、特に(c)の上位職へのキャリア志向において女性の肯定回答が男性に比べて15pt低く、また(a)のチャレンジ意欲についても同様に10ptの差がありました。これは男女間賃金差異の要因ともなっており、一般社員・マネージャー(課長相当)・部長・本部長等のステージ毎に分けた場合、賃金格差は90~95%に収まってはいるものの、部長以上の上位管理職では男性比率が高くなる傾向があり、その結果が全体の差異として表れております。男女間での意識の差については、当社の環境によるものだけでなく女性を取り巻く社会環境にも要因があると考えていますが、当社では性別やライフステージを問わず、より挑戦したい、働きがいを求めたい気持ちを後押しするため、積極的に支援を進めていく所存です。
そのためのアクションとして、「人の成長にコミットする」育成方針に則り、引き続き、新目標・評価制度や1on1による対話、ハンズアップやローテーション異動のほか、チャレンジ意欲の醸成に向けて、ハンズアップ者などのインタビュー、社内の業務やプロジェクトの発表、アワードなどによる取り組みの紹介などを通じ、社内における様々な役割・ポジションの認知向上、チャレンジを応援するカルチャーの醸成などに取り組んでまいります。
また、成長意欲の高い人々に選ばれ続けるには、大前提として従業員が「働きがい」や「やりがい」を感じ、これからも当社で活躍したい、成長したいという意欲につながることが重要と考えているため、当該事項を指標化するべく前年度より以下の質問(d)を追加しました。

こちらは、前年度よりも肯定回答が6pt減少した結果となりました。働きやすさ、会社への共感、戦略の納得性などが高まっていることも相まって、「個人」としての働きがい・やりがいは、個人が自身のキャリアやビジョン、成長実感を得ることで生まれると考えています。そこで、今年度はマネジメントのテーマを「VISION」と掲げ、個人のVISIONと会社やチームのVISIONを重ねる対話を促進し、さらに、自組織の上司とは異なるメンターとの1on1「イクサポ」(成長の対話のための育成サポーター制度)などに注力してまいります。
② 働きがいを後押しするライフステージに合わせた働き方支援
ますます多様化する社会において、性別・年齢・人種・障がいの有無に関わらず、誰しもが個性を発揮して活躍できる場を提供することが必要不可欠であると考えています。

意識調査の質問(e)においては、継続的に肯定回答が90%を超えており、もともと女性従業員比率が高く、働き方の選択肢を幅広く提供してきた結果だと考えております。一方で、前述した女性の上位職志向が男性に比べて低い事に対しては、本テーマにおけるマネジメント層の働き方改革や、より明確なロールモデルの提示等で併せて改善してまいります。
さらに、働き方の選択肢を増やすため、オフィスへの出社とリモート勤務のハイブリッドを基本としておりますが、家族の転勤や介護などの止むを得ない事情で出社が困難である社員を対象に、フルリモートでの勤務形態を2024年9月より正式に制度化しました。この取り組みによりリテンションが向上し、退職することなく継続的に活躍できる環境を実現しました。
また、障がい者など多様な人材が活躍する部門では、全社と連携してワークシェアを推進し、オフィス業務から店舗運営支援まで幅広くグループ内の20部門にわたる90の業務を担当することで、事業成長の一翼を担っております。さらに、当連結会計年度から活動をサテライトオフィスだけでなく、本社オフィスにも拡張し、ダイバシティを推進してまいります。
③ 異なる分野・業種における共創
リアルとネット、ユーザー視点とブランド視点といった多面的観点を部門間の横連携や複数領域での経験を通じて養うことが当社の強みであり、提供できるキャリアの特徴です。

当該質問(f)に対する肯定回答を50%以上とする目標を掲げて2年、全社横断のプロジェクト、ハンズアップによる異動やローテーション、事業間のオープンな情報共有などの施策を積極的に進めてまいりました。その結果、肯定回答が60%超となり、目標を1年前倒しで大幅に達成いたしました。今後、この連携実感を事業の成果に結びつけるべく、他部門と交わることで気づきを得て、新しいシナジーを生み出す当社独自の価値を創造する人材の育成を推進してまいります。
④ 新しい価値観で未来を牽引するリーダーの育成
「Beautyの世界をアップデートしながら、多くの人を幸せにしよう」をミッションに据え、化粧品業界が培ってきた資産と、当社で生まれた革新性を融合させることで、新しい可能性を切り拓き業界の未来を牽引するリーダーの育成を目指しています。これを加速するために、マネジメント改革に引き続きトライしています。
今年度においては、目標・評価制度を刷新し、メンバーの成長と一人ひとりの視点から変革のタネを見つけていくために対話を重視したマネジメントに取り組み、前年度に続き外部講師を招いた講演会とリーダー全員で取り組むワークショップである「マネジメントデイ」を実施しました。また、気づきの機会提供として、組織リーダーを中心に課題図書をもとにした意見交換の場である「ラウンドテーブルディスカッション」を実施し、年8回の当該プログラムに100名を超えるリーダーが継続的に参加しています。さらに、他者から気づき、自身をアップデートさせていく経験を増やすため、前述の「イクサポ」を導入しました。次年度からはこの取り組みを全社に広げていきます。
新たに100名以上の従業員が加わったことで、会社のカルチャーへの理解がまだ浅いこともあり、一部の調査結果において微減項目があるものの、全体としては上記①~④の取り組みを通じて、働きがいや成長意欲、チャレンジできる環境づくりには、従業員が肯定的に捉えていると考えています。引き続き、これらをさらに伸ばす施策を進めていくことを方針として取り組んでまいります。
(2) 目標
当社の人的資本経営におけるチャレンジとして、質問(f)の「複数部門間の横連携が推進されていると思うか」に対して、2027年までに肯定回答を50%以上にする目標を設定しました。25期、26期とリーダー間の学びの共有や交流の場を積極的につくり、社内での情報共有や部署間横断の共通プロジェクトなどの参加、リーダーの間の関係構築などを通じて複数レイヤーで相互理解が進んできた成果として、2025年4月の意識調査では60%以上と大きく伸張し前倒しての達成となりました。これは当社の事業成長に向けてよい状況であると考えています。今後も事業成長に伴う人員増を見込んでいるため、新たな従業員に対してもオンボーディングに尽力し、高水準が維持できるよう取り組んでまいります。
新たな目標として、成長意欲の高い人に選ばれ続けるという人材戦略に沿って、「働きがい・やりがい感じている」の肯定割合70%を設定し、個人のパフォーマンスが最大限発揮されていく組織を目指してまいります。
当社のバリューとして掲げている「共創」イノベーションを起こすことで、「Beautyの世界をアップデートする」というミッションの達成を目指してまいります。
<人的資本経営の概要一覧>
(3) ガバナンス・リスク管理
経営陣・執行役員・人事責任者・SUSTAINABILITY推進委員会のメンバーで構成される「人材委員会」を隔週で開催し、人材に関する全社方針や戦略を決定するなど中長期視点での人的資本の強化を図っております。
また、定常的な活動の推進・管理は、サステナビリティ全般のガバナンス・リスク管理に記載の通り、人事関連部署とSUSTAINABILITY推進委員会で定期的にて行っております。
3. 気候変動対応
当社グループでは、TCFDのフレームワークに則り、気候変動が当社事業に与える将来的な影響をリスク・機会の観点から精査した結果、他ESG課題と比べてリスクが相対的に低いものと見込んでおります。そのため、マテリアリティとして特定しておりませんが、当社事業ならびに生活者、ひいては当社が属する化粧品業界全体に影響を及ぼす社会課題であるため、カーボンニュートラルな社会を目指して全社横断で気候変動対応を進めております。
(1) ガバナンス
取締役副会長CFOを推進責任者に据えるSUSTAINABILITY推進委員会にて、気候変動対応における推進及び管理を行っております。同委員会を中心に関連事業部と連携・協議して方針を決定し、適宜必要に応じて取締役会に関連議題を上程しております。
(2) 戦略
当社事業に対する気候変動のリスク・機会を精査するにあたり、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が策定するSSP1-1.9及びSSP5-8.5シナリオを参照した上で、1.5℃以内の気温上昇に留める将来予測と、4℃以上の気温上昇となる場合を想定して分析を行いました。詳細は以下のとおりです。
(3) リスク管理
現在・将来に渡って事業継続に影響を及ぼし得る要素について、その影響度合いと発生可能性をSUSTAINABILITY推進委員会が分析した上で取締役会へ上程し、リスク・機会として特定しております。今後はシナリオ分析をさらに進めることで、時間軸を整理した上で利益影響額を精査してまいります。
(4) 指標
カーボンニュートラルな社会を目指し、当社の事業活動における温室効果ガスの排出量を測定しております。24期からScope1・2に加えて、Scope3(サプライチェーンにおける排出量)の算出も開始しております。
本集計結果について、Scope2は店舗事業の拡大に伴い増加いたしました。また、Scope3の主要な排出源としては、当社EC及び店舗にて販売する化粧品等が含まれるカテゴリー1と、当社の来店客による店舗と自宅間の移動で使用される電車等のカテゴリー9となります。今期の結果においても事業拡大に伴い増加している一方、これらの排出量削減は直接的には難しいものの、カテゴリー1に関しては当社のステークホルダーである化粧品メーカーとの対話にて、削減を目指してまいります。また、カテゴリー9は、事業規模の拡大に伴い今後も増加していくものと見込まれるため、経済合理性を考慮しつつ、温室効果ガスを吸収するカーボンニュートラルな施策を一層検討してまいります。
(5) 目標
目標値については、Scope2を31期(2030年)までに現在の半分以下となる300t-CO²を目指す方針であります。背景として、本社オフィスは既に再生可能エネルギーに切り替わっているものの、当社店舗については出店先であるショッピングセンターとの対話が必要となり、当社だけでは対応が困難であるため中期視点での目標として設定しております。しかしながら、長期視点ではネットゼロを目指す方向性に変わりないため、ステークホルダーと共にカーボンニュートラルな社会の実現に向けて対策を推進してまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ですが、当社の株式に関する投資判断は、本項以外の記載内容も併せて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えています。なお、文中における将来に関する事項は、本有価証券報告書の提出日現在において当社グループが判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。
1.事業環境について
(1) インターネット市場について
当社グループは、インターネットを利用した美容分野に関する各種事業を展開しております。インターネット市場は、今後も中長期的には成長が継続するものと考えておりますが、インターネットの利用に関する新たな法的規制等の導入やその他予期せぬ要因によって、インターネット利用者の順調な発展が今後阻害され、当該市場の動向に大きな変化が生じた場合には、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 技術革新への対応について
インターネット関連分野においては活発な技術革新が行われており、当社グループとしても、技術革新に応じたシステム拡充及び事業戦略の修正等を迅速に行う必要があるものと考えております。システム部門を中心に、AIやIoT等をはじめとする新しい技術動向を注視しており、迅速にシステム開発を行える体制を敷いております。しかしながら、予期しない技術革新等があった場合、その対応に係る追加のシステム開発費用が発生する可能性があります。また、システム開発等の適切な対応に支障が生じた場合には、各事業における競争力低下及びユーザーの流出等を招く可能性があり、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 美容関連市場について
当社グループは、美容関連市場を事業領域として事業を展開しております。その中でも、主たる事業領域である化粧品関連市場は、その広告宣伝活動や消費動向等について、比較的景気変動等の影響を受けにくい特徴があるものと認識しておりますが、今後において、生活者の生活様式の変化など当該市場の動向に大きな変化が生じた場合には、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
2.事業展開について
(1) BeautyPlatform「@cosme」について
当社グループは、コスメ・美容の総合サイト「@cosme」を基盤としたBeautyPlatformの収益構造の強化に向けてBtoBサービス、BtoCサービスの拡充を図っております。しかしながら、かかる取り組みがサービス利用者のニーズを捉えられず、サービス利用者が減少した場合には、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) サイト運営の健全性等について
@cosmeでは、登録会員が化粧品等の使用感や商品の評価(クチコミ)を自由に投稿することが可能ですが、サイト運営に関して、利用規約、ガイドラインを策定し、サイト上に明示することによって、登録会員の適切な利用を促すよう努めております。また、クチコミは、同一登録会員による1商品に対する投稿が1度に限られる旨ガイドラインにて取り決めるとともに、外部委託を含む投稿内容の全件監視体制を構築しており、登録会員の実際の商品評価に基づかない恣意的な投稿、一部当社グループとしてサイト運営上容認できない、誹謗中傷、いやがらせ、知的財産権の侵害及び社会道徳・公序良俗に反する内容等の不適切な投稿等を発見した場合には、当該投稿を削除するなど、一定の規制を実施することにより、健全なサイト運営を維持しております。しかしながら、サイト内の不適切な投稿について、当社グループが十分に対応できず、サイトの健全性を維持できなかった場合には、ユーザーの支持低下等が生じる可能性があり、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 出店政策、新業態開発について
当社グループでは、「@cosme TOKYO」と同様の旗艦店及び小売店舗「@cosme STORE」等の出店を当社の財政状態及び経営成績や事業環境を鑑みて、収益性の向上に資すると判断されたものに関して行う予定です。しかし、市場環境が急激に変化する場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、経済環境の著しい変化等により、店舗の必要性が低下し、事業計画における店舗の収益計画に対して大きな乖離が発生した場合等には、店舗において使用する固定資産に関して減損損失を計上する必要があり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 在庫について
当社グループでは、適切な在庫管理と販売予測により、品切れによる販売機会ロス削減と過剰在庫の防止を行っておりますが、販売予測を誤った場合には在庫不足または過剰在庫となり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 新規事業展開について
当社グループでは、現在展開している化粧品市場に加え、インナーケアやエイジングケア等を含む、より幅広い美容関連市場への進出を中長期で目指しております。しかしながら、顧客のニーズを満たす美容サービス・商品等の提供ができなかった場合や、市場環境の変化により計画通りに事業展開できなかった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 海外事業展開について
当社グループでは、海外事業において化粧品等の商品卸・EC販売に加え、店舗運営や美容系ポータルサイトの展開など中長期での本格的な市場進出を目指しております。しかし、各国の法令、制度・規制、政治・社会情勢、文化、宗教、ユーザー嗜好、商慣習の違い等をはじめとする潜在的リスクに対処出来ないこと等により事業を推進していくことが困難となった場合には、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、海外事業の現地通貨建ての項目は、換算時の為替レートによる為替変動リスクを受ける可能性があり、当初想定した為替レートと実勢レートに著しい乖離が生じた場合には、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 業務提携・M&Aについて
当社グループでは、中長期での事業規模の拡大と収益源の多様化を進めるため、当社グループのサービスと親和性の高い企業との業務・資本提携やM&Aを通じた事業の拡大に適宜取り組んでおります。しかしながら、被買収企業との融合又は提携先との関係構築・強化が予定通り進捗しない場合、統合又は提携により当初想定した事業のシナジー効果等が得られない場合、何らかの理由により当該業務提携が解消された場合など、投資に要した資金、時間その他の負担に見合った利益を回収できない可能性があり、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループでは、会計基準に従ってかかるのれんを今後一定の期間にわたり償却いたしますが、事業環境や競合状況の変化等により期待する成果が得られないと判断される場合には、当該のれんについて減損損失を計上する必要があり、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 競合について
当社グループが運営する@cosmeは、女性ユーザーを中心に支持を得ているものと認識しております。当社グループは、@cosmeの収益構造強化を進めるとともに、インターネットを利用した美容分野での事業展開を図っていく方針でありますが、当該各事業分野に大手企業が参入するなどし、競争が激化した場合には、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
3.コンプライアンスについて
(1) 法的規制について
当社グループの運営する各種サービスにおいて、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律、不正アクセス行為の禁止等に関する法律、特定電子メールの送信の適正化等に関する法律、特定商取引に関する法律、不当景品類及び不当表示防止法、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律、個人情報の保護に関する法律等をはじめとする日本国内の各種法令及び当社グループの海外拠点における諸外国の法制度・法令に関して、インターネットの利用や関連するサービス及びインターネット関連事業を営む事業者を規制対象として、新たな法令等の制定や既存法令等の解釈変更等がなされた場合には、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 個人情報の保護について
当社グループは、サービスの提供に際して、登録会員の個人情報(名前、メールアドレス、性別、住所、職業、生年月日、肌質、髪質、クチコミ履歴、購入履歴等)を取得していることから、「個人情報の保護に関する法律」が定める個人情報取扱事業者としての義務を課されております。当社グループでは、個人情報の保護の徹底を図るべく、プライバシーポリシーを定め、当方針の遵守を徹底するよう努めるとともに、個人情報の取扱いに関する社内教育を行うなど、管理運用面についても、慎重を期しております。
しかしながら、当社グループが保有する個人情報等について、漏洩、改ざん、不正使用、外部からの不正アクセス、その他想定外の事態が発生する可能性が完全に排除されているとはいえず、これらの事態が発生した場合、適切な対応を行うための相当なコストの負担、当社グループへの損害賠償請求、当社グループの信用の低下等によって、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 知的財産権について
当社グループは、主として新規事業開始前に第三者の特許権、商標権等の知的財産権の登録・使用状況を外部の弁理士等を通じて調査するとともに、必要に応じて当社グループの知的財産権の登録等について国内及び海外で申請することで、知的財産権に関わるリスクが発生しないよう随時対応しております。しかしながら、当該調査をしても第三者の特許権、商標権等の知的財産権の登録・使用状況が明確に判明せず、当社グループが、結果として第三者の保有する特許権、商標権等の知的財産権を使用したこと等により、第三者の当該知的財産権を侵害した場合には、当該第三者から損害賠償請求等を受ける可能性があり、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは、ユーザーが投稿したクチコミを、広告又は販促物等に使用することを目的として第三者に有償で提供する場合があります。この場合において、当社グループでは、当該クチコミについて弁護士その他の専門家の意見をふまえて、会員登録時に、投稿したクチコミを当社が利用することを定めた利用規約への同意を得ておりますが、当該クチコミの利用において、権利処理に関連した投稿者本人からのクレーム等に起因する風評問題等が発生した場合には、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 内部管理体制について
当社グループは、企業価値の持続的な向上を図るためにはコーポレート・ガバナンスが有効に機能することが不可欠であるとの認識のもと、業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保、さらに健全な倫理観に基づく法令遵守の徹底が必要であると認識しております。当社グループでは、役職員等の内部関係者の不正行為等が発生しないよう、コンプライアンス規程を制定し、当社グループの役職員等が遵守すべき法令、ルールを定めており、内部監査等により遵守状況の確認を行っております。しかしながら、法令等に抵触する事態や内部関係者による不正行為が発生するといった事態が生じた場合、事業の急速な拡大により内部管理体制の構築が追いつかないという事態が生じる場合には、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 訴訟発生について
当社グループでは、コンプライアンス規程を制定し、役職員に対して当該規程を遵守させることで、法令違反等の発生リスクの低減に努めております。しかしながら、当社グループ及び役職員の法令違反等の有無に関わらず、ユーザーや取引先、第三者との間で予期せぬトラブルが発生し、訴訟に発展する可能性があります。提起された訴訟の内容及び結果によっては、多大な訴訟対応費用の発生や企業ブランドイメージの悪化等により、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性もあります。
4.その他
(1) システム投資等について
インターネットにおける技術・サービス等の急激な変化や、当社グループの計画を上回る急激な会員数・購買数・サイト閲覧件数の増加があった場合、システム投資の時期・内容・規模について変更せざるを得なくなる可能性があります。このような事態が生じた場合には、システム投資、減価償却費負担の増加や減損損失の計上が想定され、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) システム障害及びセキュリティ対策について
当社グループが展開する事業は、インターネット環境を基盤としたメディアサービスに加え、ECサイト運営および実店舗でのサービス提供も含まれており、これらの事業活動においては、サーバーや各種機器、通信回線等を活用しております。サービスの安定供給を確保するため、クラウドサービスへの移行や、地震対応可能な耐震構造を備えたデータセンターの利用を進めております。また、システム面では、ファイアウォールソフトの導入による外部からの不正アクセスや不正購入の遮断、OSレベルでのセキュリティ設定など、二重の防護策を講じて、さらに、定期的な脆弱性の点検を通じて、不正アクセスやウイルス感染への対策を継続的に実施しております。
しかしながら、電力供給の停止、通信回線の遮断、ソフトウェアまたはハードウェアの不具合、自然災害、その他当社グループの想定を超えるシステム障害が発生した場合や、外部からの不正侵入などの犯罪行為が行われた場合には、メディアサービス、ECサイト、店舗運営を含む各種サービスの提供に支障をきたす可能性があり、これに伴う信用低下や損害賠償等により、当社グループの事業展開、財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 特定人物への依存について
当社の代表取締役会長である吉松徹郎は創業者であり、当社設立以来、最高経営責任者として代表取締役を務めております。同氏は、インターネット業界を中心とする人的ネットワーク等を通じて現在の事業基盤を構築してきた経緯から、インターネット関連業界に精通しており、同業界に事業基盤を有する当社グループの経営方針や事業戦略の決定及びその遂行に重要な役割を果たしております。当社グループにおいては、取締役会や経営会議等における役員及び幹部社員の情報共有や経営組織の強化や、代表取締役を他に1名追加して経営と業務執行の分担、次世代育成を推進する人材委員会の設立など、同氏に過度に依存しない経営体制の整備を進めておりますが、何らかの理由により同氏が当社グループの業務を継続することが困難になった場合には、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 人員の獲得及び育成について
当社グループは、経営計画及び事業方針のもと、適宜事業拡大や新規事業の展開を行っており、その都度、必要に応じて人材の確保が必要であると考えております。特に、事業基盤を拡大・成長させていくための高度なマネジメント能力やシステム技術分野のスキルを有する人材確保に努めるとともに、教育体制の整備を進め人材の定着を図るよう努めていく方針であります。しかしながら、当社グループの求める人材が十分に確保・育成できなかった場合や人材の流出が進んだ場合には、経常的な業務運営及び新規事業の拡大等に支障が生じる可能性があり、そのような事態が生じた場合には、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 投資について
当社グループは、日本国内外における美容関連及びインターネット関連の企業に対して投資を実施しております。投資先企業は非上場企業が中心であることから、その将来性において不確定要素を多数抱えており、市場環境等の外部要因だけでなく、経営管理体制等の内部要因により業績が悪化するなど、投資先企業の今後の業績の如何によっては、当社グループ保有の投資有価証券等の減損損失等を計上する必要があり、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 新株予約権等の行使による株式価値の希薄化について
当社グループでは、新株予約権等を発行しております。現在付与している新株予約権等について行使が行われた場合には、保有株式の価値が希薄化する可能性があります。
(7) 災害・有事等について
当社グループの主要な拠点である日本や、中国・香港等を中心とした東アジアにおいて大規模な自然災害・疫病の蔓延・国際紛争等が発生した場合には、サービスの提供等が停止する可能性もあり、当社の信頼性やブランドイメージを毀損するだけでなく、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループにおいては、これらの有事の場合に備え、事業継続計画等の対応策を策定しておりますが、物的、人的損害が甚大である場合には、当社グループの業務継続自体が困難又は不可能となる可能性があります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要ならびに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。会計方針の選択・適用、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の相対的な開示には、経営者が過去の実績等を勘案し、実態に即した合理的な見積り・判断をしております。
特に、当社グループの主要資産であるソフトウエアに関しては、管理系のものを除き、急速なインターネット業界の成長を勘案して、償却年数を2年(有税償却)としております。
(2) 経営成績
(業績等の概要)
当社グループは、2024年8月に発表しました中期事業方針に基づき、リテール事業(EC・店舗)の拡大を通じてユーザーとの接点やデータを増やし、それらをマーケティング支援事業(BtoBサービス)でマネタイズすることで、中期事業目標である連結売上高1,000億円、連結営業利益80億円の達成を目指しております。
今期2025年6月期は中期事業方針の初年度として、マーケティング支援事業におけるソリューションの拡充やデータドリブンソリューション等の新サービス開発、リテール事業での更なる店舗網の拡大とプラットフォーム連携によるECの成長を図ってまいりました。なお、グローバル事業におきましては、期初計画外の香港旗艦店「@cosme HONG KONG」のオープン前費用を計上したため、来期以降での黒字化を見込んでおります。
当連結会計年度における業績は以下の通りです。
売上高におきましては、国内で展開しているマーケティング支援事業及びリテール事業が業績を牽引し、前年同期比で22.6%の増収となりました。特に、リテール事業のEC・店舗がともに成長したことで、前年同期比26.9%の増収を記録しました。
営業利益におきましては、売上高と同様にマーケティング支援事業及びリテール事業が増益に貢献し、全社的な人件費やシステム関連費用の増加を吸収して、63.1%の増益となりました。
以上の結果、当連結会計年度の業績は以下のとおりとなりました。
売上高 68,768百万円(前年同期 56,085百万円 / 前年同期比 22.6%増)
営業利益 3,164百万円(前年同期 1,940百万円 / 前年同期比 63.1%増)
経常利益 3,310百万円(前年同期 1,721百万円 / 前年同期比 92.3%増)
税金等調整前当期純利益 3,194百万円(前年同期 1,589百万円 / 前年同期比 101.1%増)
親会社株主に帰属する当期純利益 2,327百万円(前年同期 1,214百万円 / 前年同期比 91.6%増)
① マーケティング支援事業
当セグメントには、当社が運営するコスメ・美容の総合サイト「@cosme(アットコスメ)」を基盤とした、化粧品ブランド向けの広告ソリューションやデータドリブンソリューションが属しております。
売上高におきましては、ECと店舗を活用した販売促進施策の好調も背景に、大手化粧品ブランドだけでなく中堅・新興ブランドとの取引が引き続き拡大し、前年同期比15.7%の増収となりました。
営業利益におきましては、グループ内(主にリテール事業)からの@cosme商標に関するライセンス料による利益計上(セグメント間取引)に加えて、限界利益率の高い事業モデルが効率的な利益拡大につながり、74.5%の増益となりました。
以上の結果、当連結会計年度の業績は以下のとおりとなりました。
売上高 9,651百万円(前年同期 8,344百万円 / 前年同期比 15.7%増)
営業利益 2,822百万円(前年同期 1,617百万円 / 前年同期比 74.5%増)
② リテール事業
当セグメントには、化粧品ECサイト「@cosme SHOPPING(アットコスメショッピング)」、化粧品専門店 「@cosme STORE(アットコスメストア)」等の国内における小売業を中心としたサービスが属しております。
売上高におきまして、ECでは、引き続きプラットフォーム連携による新規顧客の獲得や、販売イベントである2024年12月の「@cosme BEAUTY DAY」及び2025年6月の「@cosme SPECIAL WEEK」などの成功により、前年同期比27.6%の増収となりました。店舗では、既存店改装等による延床面積の拡大に伴い、ネットとリアルを融合した体験が生活者にさらに浸透したことやインバウンド需要の増加もあり、26.5%の増収となりました。結果として、セグメント全体では26.9%の増収にて着地しました。
営業利益におきましては、マーケティング支援事業に対するライセンス料の支払い(セグメント間取引)があったものの、増収寄与により、18.2%の増益となりました。
以上の結果、当連結会計年度の業績は以下のとおりとなりました。
売上高 53,463百万円(前年同期 42,145百万円 / 前年同期比 26.9%増)
営業利益 3,115百万円(前年同期 2,636百万円 / 前年同期比 18.2%増)
③ グローバル事業
当セグメントには、日本国外で展開するEC・卸売、店舗、メディア等のサービスが属しております。
売上高におきましては、中国越境ECの復調に加え、韓国事業における日本進出支援が引き続き成長した結果、セグメント全体で前年同期比6.1%の増収となりました。
営業利益におきましては、香港旗艦店のオープン前費用129百万円を計上したものの、利益率の高いBtoBサービスの増収によって韓国事業が黒字化し、前年同期比で赤字幅を縮小しての着地となりました。
以上の結果、当連結会計年度の業績は以下のとおりとなりました。
売上高 4,174百万円(前年同期 3,935百万円 / 前年同期比 6.1%増)
営業利益 △176百万円(前年同期 △209百万円)
④ その他事業
当セグメントには、美容部員を派遣する人材派遣事業と、ユーザー向けのBtoC課金サービス、創業間もない企業も含め幅広い成長ステージの企業に投資する投資育成事業等が属しております。
売上高におきましては、BtoC課金サービスの1つである「BLOOMBOX」が2024年12月で終了した影響を受け、前年同期比10.9%の減収となりました。
営業利益におきましては、前述のとおり「BLOOMBOX」の終了によって、25.4%の減益となりました。
以上の結果、当連結会計年度の業績は以下のとおりとなりました。
売上高 1,480百万円(前年同期 1,661百万円 / 前年同期比 10.9%減)
営業利益 188百万円(前年同期 252百万円 / 前年同期比 25.4%減)
(3) 生産、受注及び販売の状況
当社グループは生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
当社グループは概ね受注から役務提供までの期間が短いため、受注状況に関する記載を省略しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(4)財政状態
資産、負債及び純資産の状況
当連結会計年度末における資産の額は、前連結会計年度末に比べ6,460百万円増加し、34,601百万円となりました。
当連結会計年度末における流動資産の額は、前連結会計年度末に比べ4,556百万円増加し、21,041百万円となりました。これは主に、現金及び預金が1,462百万円、受取手形、売掛金及び契約資産が889百万円、商品が2,198百万円増加したこと等によるものであります。
当連結会計年度末における固定資産の額は、前連結会計年度末に比べ1,904百万円増加し、13,560百万円となりました。これは主に、有形固定資産が1,826百万円増加したこと等によるものであります。
当連結会計年度末における負債の額は、前連結会計年度末に比べ1,641百万円増加し、17,594百万円となりました。
当連結会計年度末における流動負債の額は、前連結会計年度末に比べ4,455百万円増加し、12,692百万円となりました。これは主に、1年内償還予定の転換社債型新株予約権付社債が1,500百万円、支払手形及び買掛金が699百万円、未払金が565百万円、短期借入金が550百万円増加したこと等によるものであります。
当連結会計年度末における固定負債の額は、前連結会計年度末に比べ2,814百万円減少し、4,902百万円となりました。これは主に、リース債務が837百万円増加したものの、転換社債型新株予約権付社債が4,000百万円減少したこと等によるものであります。
当連結会計年度末における純資産の額は、前連結会計年度末に比べ4,820百万円増加し、17,007百万円となりました。
これは主に、利益剰余金が5,138百万円増加したこと等によるものであります。
(5)キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ1,412百万円増加し、7,199百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と要因は以下の通りであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動の結果得られた資金は、3,139百万円(前年同期は3,336百万円の収入)であります。
この主な要因は、棚卸資産の増加額2,221百万円、売上債権の増加額910百万円があったものの、税金等調整前当期純利益3,194百万円の計上、仕入債務の増加額712百万円、非資金取引である減価償却費1,886百万円の計上、株式報酬費用343百万円の計上、のれん償却額202百万円の計上等があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果使用された資金は、2,658百万円(前年同期は4,569百万円の支出)であります。
この主な要因は、有形固定資産の取得による支出1,219百万円、無形固定資産の取得による支出1,348百万円等があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果得られた資金は、1,012百万円(前年同期は160百万円の収入)であります。
この主な要因は、長期借入金の返済による支出1,088百万円、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出334百万円、リース債務の返済による支出258百万円があったものの、長期借入れによる収入2,200百万円、短期借入金の純増加額550百万円等があったことによるものであります。
(参考) キャッシュ・フロー関連指標の推移
(注)1. いずれも連結ベースの財務数値により計算しています。
2. 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式総数(自己株式数を除く)により算出しております。
3. キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しています。
4. 有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象と
しております。なお、転換社債型新株予約権付社債については、無利息のため有利子負債には含めて
おりません。
5. 2021年6月期、2022年6月期は営業利益がマイナスであるため、インタレスト・カバレッジ・レシオ (倍)を、記載しておりません。
(6)資本の財源及び資金の流動性
当社グループの所要資金は、大きく分けて、ソフトウエア開発、店舗の出店に伴う設備投資、出資・貸付等の投融資資金と経常運転資金となっております。
これらの所要資金は、自己資金及び金融機関からの長期借入れにより調達することとしているほか、発行済みの新株予約権の行使による払込金も充当しており、投資及び事業資金は確保されていると認識しております。
資金の流動性については、グループCMSにより国内グループ各社における余剰資金の有効活用に努め、更に金融機関との間で当座貸越契約を締結すること等により、急な資金需要や新型コロナウイルス等の不測の事態に備えております。今後につきましても、事業の業績拡大期には先行して運転資金が増大するビジネスであること、事業拡大に伴いソフトウエア投資の増加が見込まれること等を考慮して、充分な流動性を維持していく考えです。
なお、当連結会計年度においては、事業拡大による運転資金の増加に伴い、2024年9月に取引金融機関4行から合計2,200百万円の長期借入れを実施しております。また、第1回無担保転換社債型新株予約権付社債が行使され、株式へと転換されたことにより、有利子負債が減少し、財務体質が強固になっております。
(1) 企業・株主間のガバナンスに関する合意
当社は、当社の株主であるAmazon.com, Inc.(以下「アマゾン」といいます。)との間で、アマゾンによる議決権の行使に制限を定める旨の合意を含む契約であるVoting Agreement(以下「本契約」といいます。)を締結いたしました。
① 本契約を締結した年月日
2025年5月13日
② 本契約の相手方の名称及び住所
名称 Amazon.com, Inc.
住所 410 Terry Avenue North, Seattle, Washington, USA 98109
③ 本合意の内容
アマゾンは、本契約の有効期間中、その保有株式に係る議決権を行使する場合には、当社の代表取締役会長CEOである吉松徹郎及び株式会社ワイを含む同氏の関係者以外の株主による議決権行使状況に比例して当該議決権を行使すること、及び一定の類型の公開買付けへの応募において第24回新株予約権の譲渡制限が免除されることを合意しております。
④ 合意の目的及び取締役会における検討状況その他の当社における当該合意に係る意思決定に至る過程
当社は、アマゾンから、当社とアマゾンとの間の継続的な関係維持の一環として本契約を締結したいとの要望を受け、検討した結果、本契約の締結によって、アマゾンによる第1回無担保転換社債型新株予約権付社債の転換又は第24回新株予約権の(将来的に可能性のある)行使による当社の少数株主の有する議決権に対する希釈化の影響が緩和され得ることから、当社の少数株主の利益に資する提案であるとの判断に至り、2025年5月13日付で本契約を締結いたしました。
⑤ 本合意が当社の企業統治に及ぼす影響
本契約の締結によって、アマゾンによる第1回無担保転換社債型新株予約権付社債の転換又は第24回新株予約権の(将来的に可能性のある)行使による当社の少数株主の有する議決権に対する希釈化の影響を緩和され得ることから、本合意による企業統治への影響は軽微と考えております。
なお、2024年4月1日前に締結された企業・株主間のガバナンスに関する合意については、「企業内容等の開示に関する内閣府令及び特定有価証券の内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」附則第3条第4項により記載を省略しております。
(2)企業・株主間の株主保有株式の処分・買増し等
2024年4月1日前に締結された企業・株主間の株主保有株式の処分・買増し等に関する合意については、「企業内容等の開示に関する内閣府令及び特定有価証券の内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」附則第3条第4項により記載を省略しております。
中期事業方針「データの可能性拡大」に基づき、ブランドのマーケティングを支援するデータドリブンな新規サービスの立ち上げに向け、統合データ基盤(CDP)の整備及びAIを活用した次世代クチコミ分析ツールの開発に着手いたしました。
なお、当連結会計年度における当社グループが支出した研究開発費の総額は