当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは「技術と人柄」を社是としております。優れた「技術」は「人柄」という礎に努力と知恵の積重ねで確立されてゆき、更にその「技術」を研鑚するなかで「人柄」が醸成される相互作用をなすものであります。さらに、このハーモニーを磨きあげることにより会社発展があり、社会に貢献するものであります。
この社是に基づき、技術革新を通じて企業価値を高め、社員の幸福と取引先の繁栄を実現すること、全社員参加の経営に徹し創造性豊かな人材の育成と実直な人柄を身に付けた企業人を育むことを、経営の基本方針としております。
(2)経営環境
当社グループは、心なし研削盤(センタレスグラインダ)及び内面研削盤(インターナルグラインダ)と、その周辺装置の製造・販売を主たる業務としております。当社グループが所属する工作機械業界全体の市場規模は1兆5千億円程でありますが、当社は競合他社が着手しにくい難しい研削にも挑戦し続けることで、他社に対し技術面で優位に立ち、お客様に選んでいただけるトップメーカを目指してまいりました。日本国内で培った研削技術を礎に、アメリカや中国をはじめ、世界28か国以上のお客様に納入し、2005年には米国Caterpillar社から、日本企業としては異例のグローバルサプライヤに選定されました。また、2020年6月には、経済産業省認定のグローバルニッチトップ企業に選定され、世界市場においても、ものづくり企業のサプライチェーンを支える重要な役割を果たせるよう邁進しております。
一方で、生産体制の面では、本社のある山形県で受注生産を行っており、輸出時には、各国の規制や情勢等に応じた厳格な輸出管理を行っております。特に、当社製品が図らずも国際的な平和及び安全の維持を脅かす活動に巻き込まれることがないように、専門部署に専属の担当者を置き管理体制の強化に努めております。
当社グループの主力製品である心なし研削盤は、円筒形の加工物の中心を支持することなく外周を研削することができ、自動車部品やモータのシャフト等、高い精度が要求される部品を効率良く大量に加工することが可能です。今日では、HV車・EV車の割合が増加する等、変化している自動車業界の需要を的確に把握しつつ、自動車業界以外でも需要の掘り起こしを行い、培ってきた研削技術・技能を生かして高度化する様々な要求に応えられる製品開発を進めてまいります。
(3)目標とする経営指標
当社グループは、売上高及び営業利益、経常利益や当期純利益の成長率を重要な指標として考えております。また、売上高営業利益率、売上高経常利益率、売上高当期純利益率等を意識した経営を行い、効率性を計る指標でありますROEやROAについても、現在の水準から更なる向上を図るべく努力してまいる所存であります。市場の動向やお客様の設備投資の動向により大きな影響を受けることから、毎年事業環境等を総合的に勘案してその年の目標を決定しており、2026年8月期は売上高5,467百万円、営業利益381百万円、経常利益668百万円、親会社株主に帰属する当期純利益452百万円を目標としております。
(4)中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、「世界最高峰の研削技術・技能を極める」「妥協のない品質と顧客満足を追求する」「一歩先行くものづくりで地球環境を守る」をビジョンに掲げ、競合他社との差別化を図り、お客様から信頼されるオンリーワン企業となるべく、日々邁進しております。理想の真円を意味する「限りなき円」を追求し、他社には真似のできない精度を実現すること、お客様に信頼される研削盤を開発・製造することを通じて身の回りにある様々な工業製品を高効率化、高性能化することでエネルギーロスの少ない持続可能な社会の発展に貢献してまいります。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、創業以来、工作機械の開発・設計・製造・販売に専心してまいりました。近年は、多様化する社会のニーズにフレキシブルに対応することが強く求められており、中長期的に持続的な成長と安定した収益を確保するため、以下の課題に対処してまいります。
1.技術・研究開発力の強化
医療機器分野や航空機分野等、自動車産業以外の分野におきましても、革新的な技術・研究開発に注力してまいります。
2.海外市場への展開
アメリカ、タイ、中国の三拠点に現地法人を設立しており、海外市場におけるそれぞれの需要動向を見極めながら、安定的なビジネス展開を図ってまいります。
併せて、人財の持つこれまでに蓄積されてきた知識・技能等の人的資本を十分に活用し、知的財産の保護や創造等を戦略的に行い、製品やサービスの差別化と高付加価値化を図り、経営基盤の盤石化と企業価値の向上に努めてまいります。
財務上の課題として、販売先との数量、価格等に関する長期的納入契約を締結していないことにより、景気変動の影響を受けやすいことがあげられます。急激な景気変動や外部環境の変化に対応するため、機械1台ごとの原価管理を徹底し、継続的に原価低減活動を行うなど収益力の強化を行うと共に、製品品質の向上やアフターサービスの充実など、お客様に信頼される人づくりを通じて経営基盤の強化と安定的な収益確保に努めてまいります。
当社グループは、サステナビリティを環境保全、社会課題解決、経済成長の3つの側面から、持続可能な社会の実現を目指すことと捉えております。当社の研削盤と研削技術は、内燃機関の燃費向上やエネルギーロスの少ない家庭用電化製品、低侵襲で患者に優しい医療などの社会課題の解決に貢献しております。引き続き、時代のニーズに応える新たな技術を開発するためには、人材育成とその環境整備が不可欠であると考えております。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)ガバナンス及びリスク管理
当社グループは、サステナビリティへの取り組みを、企業体質の強化や新たな収益機会の創出につながる重要な経営課題と認識しております。当社グループにおいて、サステナビリティに関する機会及びリスクについては、リスク管理委員会及び管理部が中心となり識別した上で評価し、グループ全体のリスクを網羅的かつ統括的に管理しております。評価の結果、脅威もしくは脅威となりうるリスクについては、取締役会に報告することとしております。各部門においてリスクの発生の可能性が生じた場合、あるいは発生した場合は直ちに管理部へ報告することとしております。これらのリスクに対して、中長期的な企業価値向上の観点から、取締役会等において積極的に議論し、対応が必要と判断されたサステナビリティ課題については、重要度に応じて、内部監査室、各職制会議及び管理部門を中心に具体的な対策を実行しております。
(2)戦略
ガバナンス及びリスク管理を通して識別された当社グループにおける重要なサステナビリティ項目は、人的資本及び多様性への対応です。当社は「技術と人柄」を社是に掲げ、技術の研鑽と人柄の醸成を通じた社会貢献と人格育成を経営理念としております。この理念に基づき、サステナビリティの実現に向けて、組織の強化と人材の育成に力を注いでおります。
<人材採用・育成方針>
当社は、新規採用と即戦力となる中途採用を並行して推進し、性別や国籍に関係なく、女性活躍とグローバル化を重視して、中長期の経営計画と事業展開に合致する多様な人材を積極的に採用しております。また、意欲と優れた能力のある社員が平等に管理職に登用されるような人事評価を実施しております。さらに、新卒採用者に対しては、内定時からメンター制度を導入し、定着率の向上と安心して成長できる環境を構築しております。四半期ごとに上司との面談を行い、キャリアプランの進捗状況を共有し、必要に応じて能力開発計画を見直し、OJTを実施しております。
<環境整備方針>
社員がいきいきと働ける環境を整備することが、一人ひとりのモチベーションとパフォーマンスを向上させると考えております。そのために、生産部門を含めたフレックスタイム制度の導入、不妊治療や未就学児の看護、長期にわたる私傷病からの職場復帰などを目的とした独自の有給休暇制度等を創設しております。また、ハラスメント防止条項を明文化し、各種制度の利用を促進する企業文化を醸成しております。
(3)指標及び目標
人材採用および育成について、当社は組織が小規模であり母集団が限られているため、年齢、国籍、性別等の区分での数値目標の設定は行っておりませんが、女性・外国人・中途採用者の管理職への登用等で特に制限は設けておらず、多様性の確保に取り組んでおります。
近年は、女性や中途採用者及び外国籍社員等を管理職や管理職候補へ登用しており、その数は増加傾向にあります。また、女性監査役を1名選任しております。
今後も多様な人材を採用し、社員がその能力を最大限発揮できるような教育と育成を行い、期待される役割に応じた能力と実績に基づく公正な評価と登用を進めてまいります。
環境整備について、当社は、産後パパ育休の施行に伴い、男性社員の育児休業取得率を2026年8月末までに50%以上にすることを目指しております。当事業年度の男性社員の育児休業取得状況は、配偶者が出産した男性社員が4名、育児休業を取得した男性社員が5名で、育児休業取得率は125%(注)であり、平均取得日数は69.2日となりました。
また、仕事とプライベートの両立が図られるよう、年次有給休暇の取得率を2026年8月末までに70%以上にすることを目標にしております。当期は年次有給休暇の取得を奨励する日を設ける等の施策もあり、取得率は80.5%でした。
これらの取り組みが一過性のものとならないよう、引き続き社内において周知と理解を深め、代替要員の確保、業務体制の見直し、複数担当制の導入、多能工化など、労働環境の改善や社員の能力開発に努めてまいります。
(注)過年度に配偶者が出産した社員が当事業年度に育児休業を取得することがあるため、取得率が100%を超えることがあります。
以下において、当社グループの事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしも事業上のリスクには該当しない事項についても、投資判断上あるいは当社の事業活動を理解する上で重要と考えられる事項については、投資家に対する情報開示の観点から積極的に開示しております。
なお、将来に関する部分の記載は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
①製品検収時期の変動による業績への影響について
当社の生産体制は受注生産によっており、顧客からの高精度・高能率の要求を満たすため、顧客工場及び自社工場での検収前の調整試運転等に時間を要することや、仕様変更を要求されることがあります。これらの要因により、当該製品には受注から顧客の検収までの期間が長期間となるものもあり、予定した検収時期に変動が生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、受注前にお客様の要求を仕様書に取りまとめ、要求の難易度を考慮し実現可能な納期を設定するようにしております。また、仕様変更等により進捗に遅れが生じる可能性が発生した場合は、生産計画を見直して計画に遅れが生じないようにしております。
②キャンセルの発生による業績変動について
当社の生産体制は受注生産によっており、顧客の仕様内容に基づき製造を行いますが、予期せず顧客からのキャンセルが発生した場合、製品や製造工程のキャンセルができず、製造原価の一部費用負担が発生するなど、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、キャンセルが発生した場合、即時に他への転用を試み、併せて、当該売買契約書記載のキャンセル条項に従い、当該発生費用の請求を行い負担の軽減を図ります。
③特定の取引先等への依存について
(a) 仕入先への依存について
当社は、鋳物・スピンドル等原材料や部品の一部を特定の仕入先に依存していることから、仕入先の受注状況や経営戦略の状況により、供給量の減少や供給が滞った場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、新規仕入先の開拓や既存仕入先の協力を得て原材料の取り扱いの種類を増やしてもらうなど、複数の仕入先から原材料の供給を受けられる体制の構築を進めております。また、特定の仕入先に依存している部品については、新規仕入先の開拓のほか、自社の部品加工工場であるみはらし工場で、コスト低減、納期短縮も含めた内製化に取り組んでおります。
(b) 業種別販売割合について
当社の業種別販売割合については、自動車業界向けの割合が多く、また、販売先との数量、価格等に関する長期納入契約は締結しておりません。そのため、同業種の設備投資の動向、又は受注動向や経営戦略の状況によっては、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、既存のお客様と良好な関係を維持しつつ、新興国市場、医療機器業界や航空宇宙業界等をターゲットに研削盤のニーズ調査を行い、これまで培ってきた技術を基に新しい研削盤や研削工程を提案することで、新たな業種や販売先の開拓を進めております。
④心なし研削盤への依存について
当社グループでは、創業以来の主力製品である心なし研削盤に対する販売依存度が高く、心なし研削盤の需要が激減した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、2000年に内面研削盤を製品ラインナップに加え、今日では安定した売上を上げており、引き続き販売強化に努めてまいります。また、内製品である高周波スピンドルの外販や研削盤の前後工程の取込み、医療機器の開発販売など、心なし研削盤への依存からの脱却を目指した研究・開発・拡販に取り組んでおります。なお、詳細は後述の「研究開発活動」に記載のとおりであります。
⑤原材料価格等の推移について
当社は仕入先に対し、当社製品の仕様にあった部品を発注し、原材料等として仕入れております。素材市況の変動、加工費用相場の変動により、原材料等の仕入価格が変動する可能性がありますが、その場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、需給環境が変化しても必要な原材料等が安定的に確保できるよう、部品・原材料の在庫量を適正な水準に保つことに加え、仕入先との関係を強化しつつ、新規仕入先の開拓によりサプライチェーンを強化し、最適な価格の維持に努めております。
⑥輸出規制について
当社の製品は、高精度・高能率の研削が可能なことから、当社グループが販売する製品及び部品の一部が、「外国為替及び外国貿易法」の規制の対象となります。そのため、特定の地域を仕向先とする場合、経済産業大臣の許可又は承認を受ける必要がありますが、同法の改正若しくは関連する新法の成立等により規制が改正された場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は輸出貿易管理室を設置し、同法の改正や安全保障貿易管理の運用等に疑義がある場合は、経済産業省への問い合わせ、安全保障貿易情報センター等から情報を収集するなどして、同法を遵守した安全保障貿易管理を行っております。
また、海外子会社に対しては、所属国の法令遵守を基本とし、当社の基本方針及び日本国の法令に対しても遵守が必要であることを、教育や監査を通して伝えることで、グループ全体として安全保障貿易管理の重要性の浸透を図っております。
⑦製造物責任について
製品について予期し得ない欠陥が生じ、製造物責任が問われる可能性があります。また、当社グループでは、予め販売先より指示された仕向先に合わせた仕様にて販売をしておりますが、当該仕向先に関する当社グループの理解が不十分なために不適切な販売が行われることや、当初の仕向先を経て別の仕向先に転用される際に必要な仕様変更を行わないことにより、当社グループに対する損害賠償請求が行われる可能性があり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、製造物責任賠償に関する保険に加入しており、業務の結果に起因して賠償責任を負担した場合の損害を、保険でカバーできるようにしております。また、お客様の製品に対する要求事項をISO等国際的な品質管理基準に則った当社品質管理システムに従い仕様書に取りまとめ、生産開始前にお客様の承認を得ることとしております。更に技術部、設計部、輸出貿易管理室など関連する部署が情報を共有することで専門的な見地から要求事項と製品に齟齬がないか確認を行っております。
⑧外国貿易による影響について
(a)国際情勢全般に関するリスクについて
当社グループにおいては、直接及び間接輸出を含めると、2025年8月期の製品及び部品の74.2%は国外に納入されております。そのため、仕向先国において、以下のようなリスクが内在します。
(ⅰ)予期しない法律又は規制の制定・変更(安全保障その他の理由による輸出入の規制等)
(ⅱ)不利な政治又は経済要因
(ⅲ)テロ、戦争その他の要因による社会混乱
これらが発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、仕向地の社会情勢や政治動向などについて、外務省の海外安全ホームページや海外子会社などから常に情報を収集し、都度対策を行っております。有事の際には、人的被害の回避を優先しつつ、必要があればリスク管理規程に基づき社長を長とする対策本部を設置し、リスクの回避や最小化に向け解決を図ることとしております。
(b)為替相場の変動について
2025年8月期の当社グループの売上高の46.9%は外貨建取引であります。また、当社グループの費用支払いを外貨建で行うこともあることから、継続して外貨建資産を保有しておりますが、為替相場の変動により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、外貨建資産の管理に関して、為替相場、金利動向等を総合的に勘案する方針であり、保有する外貨建資産あるいは外貨建取引に関して必要に応じて為替予約等によるリスクヘッジを行う方針であります。
⑨人材の確保・育成・活用について
当社製品は、高精度・高能率の研削性能を確保するため、製造工程に特定の熟練技能者の関与が不可欠な部分があります。複数人の退職者、特に熟練技能者が退職した場合、人材確保、後継者育成が追いつかないことが懸念され、当社製品の納期遅延、さらに当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、65歳以上の熟練技能者の就業の場としてミクロンテクニカルサービス株式会社を設立し、技能伝承の機会を確保し、若手社員に対して高度技能の伝承を目的とした教育訓練を実施しております。併せて、中長期的な視点に立って採用を行うとともに、福利厚生制度の充実や働きやすい労働環境の整備を行い、社員の定着率向上を図っております。
⑩知的財産について
当社グループが現在販売している製品、あるいは今後販売する製品が第三者の知的財産権に抵触する可能性を的確・適切に判断できない可能性があります。また、当社グループが認識していない特許権等が成立することにより、当該第三者より損害賠償等の訴えを起こされる可能性があります。そのような場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、知的財産の保護と事業戦略及び技術戦略を一体とした知財戦略を実施する目的で知的財産戦略室を設置しており、他社と差別化できる技術とノウハウを蓄積し自社が保有する技術等について特許権を取得する等により保護を図っております。また、他社の知的財産権に対する侵害がないよう、専門部署による確認の強化と、弁理士や顧問弁護士等と連携を図りながらリスク管理に取組んでおります。
⑪業績の季節変動
当社グループでは、お客様の設備投資需要や製造に係る工期との兼ね合い等から期末月に製品売上高の計上が集中する傾向にあります。
当社は、先行手配等により生産計画の前倒しや新たな業種・販売先の開拓を進めること等の対策により、製品売上高の計上時期の平準化に努めてまいります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、米国の通商政策等による影響が一部にみられるものの、緩やかな回復が続きました。しかしながら、継続している物価上昇や金融資本市場の変動等の影響も重なり、依然として先行き不透明な状況が続きました。
当工作機械業界におきましては、内需は依然として勢いを欠いており、横這い基調が続いております。外需は米国関税政策の状況を見極める動きがあり、慎重姿勢もありましたが、相互関税新税率が決まったことでその影響が和らぐ中、総じて堅調に推移しております。
このような経営環境の中におきまして、当社グループは市場及びお客様の期待に合致した製品づくりの追求を行いながら、全社的なコスト削減の実施に取り組んでまいりました。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
(流動資産)
当連結会計年度末の流動資産は、前連結会計年度末に比べて469百万円増加し、11,054百万円となりました。これは主に、受取手形及び売掛金が348百万円、仕掛品が338百万円それぞれ減少したものの、現金及び預金が1,181百万円増加したことによるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末の固定資産は、前連結会計年度末に比べて25百万円減少し、4,510百万円となりました。これは主に、投資有価証券が76百万円増加したものの、有形固定資産が92百万円減少したことによるものであります。
(流動負債)
当連結会計年度末の流動負債は、前連結会計年度末に比べて25百万円減少し、1,473百万円となりました。これは主に、未払法人税等が176百万円増加したものの、買掛金が167百万円、契約負債が53百万円それぞれ減少したことによるものであります。
(固定負債)
当連結会計年度末の固定負債は、前連結会計年度末に比べて22百万円増加し、457百万円となりました。これは主に、役員株式給付引当金が27百万円増加したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べて448百万円増加し、13,633百万円となりました。これは主に、自己株式の取得等により360百万円減少したものの、利益剰余金が737百万円増加したことによるものであります。
b.経営成績
当連結会計年度の売上高につきましては5,782百万円(前期比23.1%増)となりました。利益につきましては、営業利益で612百万円(前期比59.9%増)、経常利益で1,119百万円(前期比46.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は782百万円(前期比61.7%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、7,792百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,279百万円増加となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は1,742百万円となりました。
これは主に、税金等調整前当期純利益が1,110百万円、売上債権の減少が417百万円、棚卸資産の減少が370百万円あったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は143百万円となりました。
これは主に、投資有価証券の償還による収入が49百万円あったものの、有形固定資産の取得による支出が193百万円あったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は386百万円となりました。
これは主に、自己株式の取得による支出が364百万円あったことによるものであります。
③生産、受注及び販売の状況
当社グループは単一セグメントであるため、品目別に記載しております。
a.生産実績
|
品目 |
当連結会計年度 (自 2024年9月1日 至 2025年8月31日) |
前期比(%)
|
|
研削盤(千円) |
2,324,913 |
84.4 |
(注)金額は製品製造原価で表示しております。
b.受注状況
当連結会計年度の受注状況を品目別に示すと、次のとおりであります。
|
品目 |
受注高 |
前期比(%) |
受注残高 |
前期比(%) |
|
研削盤(千円) |
4,510,165 |
75.4 |
3,032,071 |
70.4 |
(注)金額は販売価格によっております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績を品目別に示すと、次のとおりであります。
|
品目 |
当連結会計年度 (自 2024年9月1日 至 2025年8月31日) |
前期比(%) |
|
研削盤(千円) |
4,592,419 |
128.5 |
|
部品(千円) |
1,128,863 |
104.6 |
|
その他(千円) |
61,090 |
136.6 |
|
合計(千円) |
5,782,372 |
123.1 |
(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2023年9月1日 至 2024年8月31日) |
当連結会計年度 (自 2024年9月1日 至 2025年8月31日) |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
Tecnologia Modificada, S.A. de C.V. |
- |
- |
669,389 |
11.6 |
|
CATERPILLAR ENGINE SYSTEMS INC. |
901,222 |
19.2 |
625,488 |
10.8 |
2.前連結会計年度のTecnologia Modificada, S.A. de C.V.に対する販売実績は、総販売実績の10%未満のため、記載を省略しております。
3.当社の販売実績は、研削盤3,755,289千円、部品820,885千円、その他48,762千円であります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況の分析
当連結会計年度の経営者の視点による経営成績等の状況の分析は、次のとおりであります。なお、将来に関する事項については、本有価証券報告書提出日現在において判断したものであり、不確実性を内在しており、あるいはリスクを含んでいるため、将来生じる実際の結果と大きく異なる可能性もあります。
①財政状態の分析
当連結会計年度末における財政状態は、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 a.財政状態」のとおりであります。
当社グループの自己資本比率は当連結会計年度末時点で87.4%となっており、現状、財政状態につきましては大きな懸念はないものと認識しております。来期以降も、企業体質の強化と将来の事業展開のために内部留保の充実を図るとともに、研究開発や設備への投資及び安定的な配当等により、企業価値の向上に努めてまいります。
②経営成績の分析
売上高については、内需は依然として勢いを欠いているものの、外需は総じて堅調に推移していたことから、研削盤の売上高は、前連結会計年度比28.5%増の4,592百万円、部品の売上高は前連結会計年度比4.6%増の1,128百万円の売上高となりました。その他の売上は、主に国内向けのテスト売上ですが、前連結会計年度比36.6%増の61百万円の売上高となりました。この結果、売上高は前連結会計年度比23.1%増の5,782百万円となりました。
売上総利益は2,090百万円となり、売上総利益率36.2%となりました。
③キャッシュ・フロー(資本の財源及び資金の流動性)の分析
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローは、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」のとおりであります。
なお、当連結会計年度は有形固定資産の他、無形固定資産に対して総額193百万円の設備投資を行っておりますが、その資金の調達源は主に自己資金となっております。また、来期以降も設備投資等を行ってまいりますが、その資金の調達源を自己資金とした場合においても、現状、キャッシュ・フローについて大きな懸念はないものと認識しております。
④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要となるものについては、過去の実績や状況に応じて合理的に仮定を設定し、算定しておりますが、実際の結果はこれらの見積りとは異なる場合があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
該当事項はありません。
当社グループの主要製品は、心なし研削盤であります。当社は創業以来60年余にわたり研削盤の専業メーカとして自動車業界、電子情報機器業界、家庭電化機器業界、工具業界、軸受業界、医療用工具など各産業界における基幹製品に対応して、それらの各種部品加工システムを提供し、今日の産業、社会の高度発展に大きく貢献しております。特にこれまで当社グループの永年にわたる研究開発活動の結果、高い信頼性と競争力をもった製品を揃え、業界トップクラスのシェアを確保するに至っております。
また、2000年には、新たに開発した内面研削盤を当社の製品ラインナップに追加し、主に自動車業界へ超精密穴加工システムの提供を行っております。これは業界のニーズに応え、主に心なし研削の加工対象となる軸部品と一体になる穴を有する相手部品を対象とした加工技術を、より高度化した研究開発の成果であります。
近年では、自動車の電動化が進み電動アクチュエータに使用されるねじのニーズが増大しており、当社が開発した量産ねじ溝研削加工向け心なし研削盤「MPC-500ⅡTH-RDT-CNC型機」に関心が集まっております。この心なし研削盤に関して、2020年2月に「心なし研削盤による高精度・高能率ねじ加工」で「第54回機械振興賞機械振興協会会長賞」を、2020年3月に「心なし研削盤による革新的高精度・高能率ねじ研削方法の開発」技術者が「ものづくり日本大賞東北経済産業局長賞」を受賞しており、一般的なねじ研削盤より短時間かつ高精度な加工が可能になった点などが評価されました。
これら技術の独自性と自立性やシェアなどが考慮され、経済産業省より「2020年版グローバルニッチトップ企業100選」に選定いただきました。
(研究開発活動の基盤整備)
当社は、研究開発やテスト研削を専門に担当する部署を設置しており、市場およびお客様からの応用技術の改良・技術支援要請などに的確に応えられる体制を整えております。
当社グループの研究開発活動は、常にお客様のニーズを満たす製品・技術・システムの開発を目指しており、要請に的確に応えられる体制を整えるとともに、中・長期の事業戦略に基づき、当社技術力の総合的な結集・蓄積を図っております。また、お客様のニーズに沿った先行技術の確立を図るべく、基礎研究にも鋭意取組んでおります。
なお、当連結会計年度の研究開発費は、
(研究開発活動の状況)
2014年10月に、内面研削盤用の自社製高周波スピンドルMIS-150P/0.5型を開発し販売を開始して以来、商品構成の充実を図り、現在では、15万回転スピンドル、18万回転スピンドルに加え、クーラントスルータイプでは、9万回転スピンドル、12万回転スピンドル、15万回転スピンドルを販売するに至りました。これらのスピンドルは内面研削盤
の精度をつかさどる重要ユニットであり、主に自動車エンジンの燃料供給装置製造用設備をターゲットにして内製化したものです。今後、これら製品を自動車ブレーキシステム及び一般工作機械向けとして販売をすすめるにあたり、内面研削盤の加工精度向上やコストダウン、さらに国内外で迅速なアフターサービスを行う体制を整えることで製品の差別化が図られると考えております。
当社研削盤のユーザであるお客様の部品加工の現場においては、少子高齢化時代を迎え、機械オペレータの高齢化や技能の伝承が課題となっており、その解決のためにIoTや人工知能(AI)などの活用が求められております。心なし研削盤での知見を用い、内面研削盤をベースとした、加工物の内径と外径を同時に加工する内外径同時内面研削盤の開発を行っております。それにより、加工時間の大幅な短縮を実現しつつ、自社で開発した動力計を搭載することで加工位置制御による品質向上と研削負荷の可視化を実現し、治工具選定の判断や最適な加工条件の設定などこれまで熟練の作業者の経験に依存していた部分の形式知化に取り組んでおります。
また、自動車業界では、HVやPHVを含む自動車の電動化への対応が急務となる中、部品構成が大きく変動しております。そのような環境の中、自動車業界以外の分野として航空機の部品に使用されるファスナー業界への参入に取組んでおります。ファスナー業界においては、難削材で高硬度の加工物を高能率、高精度かつ安定して量産することが求められており、実機評価やテスト研削を通じて研削条件や段取方法についての知見を蓄積し、これを応用することで同業界における導入拡大を図っております。また、近年半導体関係向け接続コネクタに代表される極細部品の高精度加工の需要が増加しており、極細の加工物の寸法ばらつきの低減や真円度向上を目的とした研削条件の確立と機械構造の最適化に取り組んでおります。当社は引き続き、競争力の維持・強化を目的に、技術開発を推進してまいります。
研削盤以外の研究開発においては、研削技術の要素技術開発として取り組んだ超音波振動技術を応用した医療機器の開発を進めております。2020年7月には、山形大学医学部と医工連携を図り開発した電動式骨手術器械、製品名「ZAOSONiC」のOEMを開始しました。2021年7月には、第二種医療機器製造販売業許可を取得、同年8月には指定管理医療機器製造販売認証の取得に至り、電動式骨手術器械の自社ブランド製品「μSONiC-MkⅡ」の販売も開始しました。併せて、これら手術機器の販売促進を目的に医療用手術訓練用モデル(鼻及び耳)を製品化いたしました。今後も医療分野のニーズの掘り起こしを行い、本分野の事業拡大へ向けた技術及び製品の研究開発を進めてまいります。