第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(会社の経営の基本方針)

 当社グループは、「フラットヤーン技術を大事にしながら 常に変革し続け 世のため人のために役立つ会社であろう」を経営理念とし、フラットヤーン関連技術というコアコンピタンスを活かし、顧客のニーズに的確に応えるような製品やサービスを創造し提供していくことを通じて、社会的価値を創造するとともに自らも成長していくことを基本方針といたしております。

 

(目標とする経営指標)

 2022年12月に策定した中期経営計画の概要及び達成状況は下記の通りです。

■対象期間

 2023年10月期~2025年10月期の3ヶ年

■メインスローガ

 飛躍に向けた原点回帰

 v(victory)字回復、そしてJ(Jump)字成長へ、「v for J」

■事業環境に対応するためのv字回復戦略

 (1)適正な価格の実現 + そのための製品競争力強化

 (2) 最適な生産・物流体制の構築

■成長軌道に乗るためのJump戦略

 (1) 技術を、磨く。

 (2)製品を、広げる。

 (3)市場を、創る。

 (4)社員の成長と幸福を、伸ばす。

 

■数値目標(2025年10月期)

                                           (金額単位:億円)

 

実績

目標

業績目標

合成樹脂加工製品事業

機械製品事業

合計

合成樹脂加工製品事業

機械製品事業

合計

 

売上高

263

56

319

266

64

330

 

経常利益

15

3

18

23

10

33

財務目標

ROE

6.0%

8%以上

D/Eレシオ

0.4

0.6

 

(中長期的な経営戦略)

 2025年12月に、新たな中期経営計画を策定しました。当計画は、「LINK THE LEAP ~ビジネスパートナーとつながる、社会とつながる、社員とつながる、そして未来とつながり飛躍する~」をスローガンに掲げ、①多様なビジネスパートナーとのつながりを通じて事業を強化する、②環境事業を拡大し社会とのつながりを深める、③社員と会社が一体となり、ともに成長する。そして、未来へと飛躍していくことを目指すものです。

■対象期間

2026年10月期~2028年10月期の3ヶ年

■メインスローガン

LINK THE LEAP

~ビジネスパートナーとつながる、社会とつながる、社員とつながる、そして未来とつながり飛躍する~

■基本方針

 (1)ビジネスパートナーとつながる

    取引先、協業先、共同研究先などと協働して、お客様のニーズに応える、高品質な製品を提供します。

    (戦略1)製品力の強化

    (戦略2)ものづくり力のアップ

 

 (2)社会とつながる

    環境に資する製品づくりを通じて社会に貢献します。

    (戦略)環境事業の拡大

 (3)社員とつながる

    社員の成長をサポートし、会社の発展につなげます。

    (戦略)社員と会社の成長

 

■数値目標(2028年10月期)

                                           (金額単位:億円)

業績目標

合成樹脂加工製品事業

機械製品事業

合計

 

売上高

330

70

400

 

経常利益

23

7

30

株主還元

DOE

3.5%

 

(会社の対処すべき課題)

国内外において経済が回復局面にある一方で、各国の通商政策の動向や中国経済の低迷など、引き続き不透明な事業環境が継続すると予想されます。

当社におきましては、「『ありがとう』と言われる、『いい製品』を創ろう!」をスローガンに掲げ、製品の企画、開発、製造、営業それぞれの力を結集して、お客様のニーズに沿った「いい製品」を創り出し、事業の拡大を目指してまいります。

 

[合成樹脂加工製品事業]

合成樹脂加工製品事業は、遮熱シートなど高機能シートの販売に注力するとともに、バルチップではインフラ分野への営業を強化、さらに米国子会社で生産を開始したメルタックも一層の拡販を目指してまいります。また製造設備が完成したブルーシート水平リサイクル「Re VALUE+」については、販売・回収先を増やして事業の拡大を進めてまいります。

 

[機械製品事業]

機械製品事業は、当連結会計年度に金属箔スリッターの初号機を販売しており、さらなる受注拡大に注力してまいります。また、成長が期待される二次電池やプラスチックリサイクルに関連する新たな需要を取り込んでいくとともに、「Re VALUE+」の開発で培った技術を応用した機器の販売も進めてまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。

 

(1)基本的な考え方

 当社グループは、「フラットヤーン技術を大事にしながら 常に変革し続け 世のため人のために役立つ会社であろう」という経営理念のもと、自らの事業領域を明確に定め、製品開発、原材料調達、製造、製品供給の各段階で関係する皆様及び地域社会や地球環境を含むすべてのステークホルダーの皆様に「役立つ」ことを目指して、持続可能な事業活動を続けてまいります。

 

(2)ガバナンス

当社グループは、サステナビリティ関連のリスク及び機会の監視に責任を負うガバナンス機関として、取締役会及び経営会議を設置しています。経営会議は四半期ごとに開催され、課長クラス以上の社員が参加し、事業の最前線で得られた情報をもとにサステナビリティ関連のリスク及び機会を審議します。取締役会は、事業支援部門から定期的に報告を受け、課題への取り組みや目標の進捗をモニタリングし、監督します。取締役会は、サステナビリティ関連のリスク及び機会に関する戦略の監督に必要なスキル・知識を有するメンバーで構成されております。サステナビリティ関連のリスク及び機会に関する情報は、必要に応じて経営会議から取締役会に報告され、取締役会は企業戦略やリスク管理方針に反映させています。

 

(3)リスク管理

サステナビリティに関連するリスクや機会については、各事業にて社内外の様々な事象の詳細な把握を行うとともに、それが当社グループの経営にどのような影響を及ぼすか分析し、経営会議にて情報共有・議論を行ったうえで対応策を立案しております。また実施中の対応策については、継続して進捗状況の管理を行ってまいります。さらに必要に応じて取締役会に報告し、全社的な方針決定に反映しております。

 

このような当社グループのサステナビリティに関するリスク管理プロセスを通じて識別された重要なサステナビリティ項目は、以下の通りであります。

   「環境問題・気候変動への対応」

当社グループは、化石燃料由来の原料を使用しており、最終ユーザーが不適切な廃棄を行うと環境に大きな負荷をかける恐れがあります。半面、気候変動の影響等で自然災害の被害が増加しつつある中で、当社が供給する防災関連製品はその被害を軽減し、気候変動への適応を進めることができます。

以上の点から、当社グループの行動が環境問題・気候変動に与える影響及び気候変動対策に係る政策・規制が当社グループの事業に及ぼす影響は、多様な経路をたどり、当社事業の将来を左右する最大の要因であると認識しております。

 

   「人材育成及び多様性確保への対応」

「社員と会社の成長」を方針に掲げ、人材育成と多様性の推進を図っております。生産年齢人口がより減少し働き手の確保が難しくなる環境下で当社グループの安定的な中長期的成長のためには、人材育成及び多様性確保が重要と考えております。

 

(4)環境問題・気候変動への対応

①戦略

当社グループの主要製品の素材であるプラスチックは、性状安定性、耐久性、経済性などの長所があり、当面はこれに代わる素材の開発は困難であると考えております。また当社製品は、災害の防止・軽減や、被災地の復旧の際に使用されるものも多く、気候変動への適応に資するものであります。当社グループは、海洋ゴミ問題や化石燃料の消費といった負の側面を軽減しながら、プラスチック製品の使用を継続することが、経済・社会的に最善の選択肢であると判断しております。

そのための具体的な取組として、自社製品におけるプラスチックリサイクルの推進及びリサイクル機器の開発・普及を事業の重点課題に据えて、その実現に注力しております。

 

②指標及び目標

当社グループは、気候変動への対応(温暖化ガス排出量の削減)、自社製品におけるプラスチックリサイクルの推進(循環経済への移行)、リサイクル機器の開発・普及(環境関連製品開発)及び防災減災対策の4つの施策を通じて環境問題・気候変動への対応を進めてまいりました。

1)気候変動への対応:製品のライフサイクルにわたる温暖化ガス排出量の削減を目指します。

2)循環経済への移行:リサイクル原料を用いた製品の開発・販売及びその普及を図るためのリサイクルの仕組みの構築を進めます。

3)環境関連製品開発:リサイクル原料を使用したプラスチック製品及び高品位なプラスチックリサイクルを可能にする機器を開発・販売し、社会全体でのプラスチックリサイクルの普及を進めます。リサイクルを通じて、プラスチック製品製造及び廃棄に伴う温暖化ガス排出量及び天然資源の使用量削減に貢献します。

4)防災減災対策  :自然災害による被害を防止・軽減する製品の普及及び災害発生時の迅速かつ安定的な供給を行い、気候変動による被害の軽減に貢献します。

 

(目標値)

 

2025年10月期実績

2025年10月期目標

水平リサイクルシステム「Re VALUE+」による再生ブルーシートのリサイクル率

 1)気候変動対応、2)循環経済移行、3)環境関連製品

25%以上(達成)

25%以上

エコマーク認定商品販売量

1)気候変動対応、2)循環経済移行、3)環境関連製品

233%増(未達) ※

300%増 ※

高品位樹脂再生プロセス「GXライン」再生ペレット製造装置の販売額

 2)循環経済移行、3)環境関連製品

15%減(未達) ※

30%増 ※

地方公共団体・建設業協会との、防災製品安定供給に関する防災協定締結件数(累計)

 4)防災・減災

27件(達成)

26件

    ※ 2022年10月期比

 

目標未達の要因は、製品の開発や供給体制については進捗しているものの、顧客の需要の多寡や既存製品からの切り替えの進み方によるものです。

当社といたしましては、サステナビリティに関する方針は踏襲しつつ、既存目標の達成状況やリサイクルに関する技術の進展状況も踏まえ、新たな目標を設定いたしました。

シートの水平リサイクルについては、「Re VALUE+」のリサイクル率25%以上という目標を達成したため、今後は当該製品の普及を進めることに軸足を移します。

エコマーク認定製品については、引き続き普及を進めます。

他社のプラスチックリサイクルを促進するリサイクル機器の販売については、再生ペレット製造装置の前工程である洗浄設備の開発に成功したことから、洗浄設備などの付帯機器も含めたリサイクル関連機器の販売額を目標指標とします。

地方公共団体等との防災協定については、引き続き締結件数の拡大を進めてまいりますが、それに加えて、既存締結先への情報提供など質的な協力の強化にも注力することとし、数値目標の設定は取りやめます。

以上を踏まえた新たな目標値は下記の通りです。

(目標値)

 

2028年10月期目標

水平リサイクルシステム「Re VALUE+」による再生シートの販売額

 気候変動対応、循環経済移行、環境関連製品

10億円

エコマーク認定製品販売量

気候変動対応、循環経済移行、環境関連製品

300%増 ※

リサイクル関連機器の販売額

 循環経済移行、環境関連製品

200%増 ※

    ※ 2025年10月期比

 

(5)人材育成及び多様性確保への対応

① 戦略

当社グループは、2025年12月に策定した新中期経営計画「LINK THE LEAP」の中で、4つの基本戦略の1つに「社員と会社の成長」を掲げ、立場や属性にかかわらず全ての社員が働きやすい職場を作り、多様な社員が能力を発揮することで、社員と会社の成長を目指します。

また当社は、今後生産年齢人口が減少し働き手の確保が難しくなる中で、アーリータイム制度(勤務時間の繰上げ)の導入をはじめ、時間有給休暇制度、育児介護による時短勤務、企業主導型保育所の運営など、性別にかかわらず多様な働き方を選択できる環境を整備しております。

さらに性別や出身国にかかわらず能力を発揮できる職場づくりを進め、多様な人材に働く場を提供していくことが社員、ひいては社会に「役立つ」ことと認識し、様々な取り組みを進めております。

 

1)人材育成

・課長クラス以上の経営会議への参画

各事業部門の事業の状況や、サステナビリティを含む当社の課題等を情報共有・議論するため四半期ごとに開催している経営会議に、課長クラス以上が参加することとし、管理職の経営意識の醸成に努めております。

また「未来の萩原工業に必要なコトはナンダ!」をテーマとした課長職によるプレゼンテーションを実施し、成長の機会を与えております。

・連結子会社への人事異動

国内外の連結子会社へ若手社員を経営幹部として異動させ、事業経営の経験値及び経営能力の向上を図る場を設けております。

・展示会等への参加・出展

若手社員を国内外の展示会に積極的に派遣して、現場の雰囲気を体感し、本物に触れる経験を積ませる。このようなコンセプトで見聞知識と経験値を高める機会を提供しております。

また当社が展示会等に出展する場合、若手社員を中心としたプロジェクトチームを編成し、予算管理、設営からお客様対応まで、幅広く経験する機会を提供しております。

 

2)社内環境整備

・工場勤務時間の柔軟化

通常定時の工場勤務、土日休みの交替勤務及び変則交替勤務など、過去の固定的な働き方にこだわらず、環境変化に対応した工場勤務の柔軟化に取り組んでおります。

・70歳まで働ける人事制度の整備

将来的な生産年齢人口の減少に対応し、安定的な人材確保を図るため、現在65歳までとしている定年を70歳まで引き上げる制度の整備を進めてまいります。これにより、ものづくり技術の伝承を強化し、シニア層の働く場の提供を進めてまいります。

・企業主導型保育所の運営

岡山県倉敷市において企業主導型保育所を運営し、社員が仕事と子育てを両立できる環境整備に努めております。

・健康経営の推進

会社敷地内の全面禁煙や社員食堂のヘルシーメニューの提供、女性の健康保持・増進に向けた取り組みや健康診断再受診率の向上など、社員が健康に働ける環境づくりを推進しております。

・障がい者雇用の推進

職場環境の改善に加えて、個々の社員の障がいの状況をきめ細かく見極めて、障がいを持つ社員の働く場を拡大しております。

 

② 指標及び目標

前記の戦略を通じて個々の社員の能力を最大限発揮できる環境を整備するとともに、それが優秀な人材の採用にも結び付くものと考えております。さらに人材全体としての能力を最大化するためには、個々人の属性に囚われない公平な採用を行う必要があります。

当社の事業環境を踏まえると、海外での事業展開が成長戦略の大きな柱であると認識しております。そのためには、多様な人材の確保が必要と考えており、国籍や出身国にとらわれない実力本位の採用を行うことを通じて、当社の人材多様性を向上させております。

当社の採用方針としては、大卒採用数に占める外国人比率(※)が、複数年平均で県内大学の留学生比率を恒常的に下回らないことを目安にしながら、国籍等の偏りを排除した採用を心がけております。この採用方針を中長期的に継続していくことにより、海外での事業展開に必要な多様な人材が確保されるものと考えております。

 

[提出会社]

指標

実績

目標値

2023年10月期

2024年10月期

2025年10月期

3ヶ年平均

大卒採用に占める外国人比率(%)

8.3

11.1

0.0

7.1

5.0

(※)2022年度岡山県内の大学学生数:43,296人(出所:学校基本調査)及び

2022年度岡山県内大学の留学生数:2,205人(出所:岡山県内 外国人留学生の受入に関する調査)より当社が独自に算出。

 

国内連結子会社では海外事業の比率が低いこと、海外連結子会社は採用環境が異なることから、指標及び目標値の設定は行っておりません。

なお当社では女性活躍の場を拡大するため、前項記載の取組に加えてさらなる改善策を講じ、それと並行して性別による待遇やキャリアパスの差異を解消していく予定です。現在、女性でも安心・安全に働ける製造工場を目指し、ものづくり現場を希望する女性を積極的に採用しており、女性ならではの視点で製造工場の改善を進めております。

それらを踏まえた指標や目標のあり方についても今後も引き続き検討してまいります。

 

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 気候変動に伴うリスク

 気候変動の直接的影響として自然災害の増加や海面上昇による物的被害や事業継続が困難な状況の発生などのリスクがあります。それに加えて、気候変動緩和策の進捗により、原材料の調達難や炭素税などによるコスト増加が生じる可能性があります。

 これらのリスクに対して、次項のように災害対策を講じるとともに、柔軟な原材料調達を可能にする態勢整備や温暖化ガスの排出を最小限にするような事業活動へのシフトを通じて、影響を最小化してまいります。

 また当社グループの製品には、防災関連用途など気候変動への適応に貢献するものも多く、事業機会の一つであると認識して当該事業分野を強化してまいります。

 

(2) 自然災害等のリスク

 地震、暴風、落雷、洪水、火災等の各種災害により、社員及び家族への身体的被害、事業資産への物的被害等により、事業活動レベルの低下または停止に至る可能性があります。

 これらのリスクに対して、被害の発生及び発生時の損失を最小限におさえるべく、設備の防災対策、防災訓練の実施、連絡体制の整備、損害保険の付保等、事業BCPを策定しリスクの管理に努めております。

 

(3) 法制度・規制に関するリスク

 当社グループの事業活動が国内外の法令や規制に抵触した場合、多額の課徴金や事業停止を余儀なくされる可能性があります。

 これらのリスクに対して、法務部門を始め関係部署や外部の専門家にて法令等に関する情報収集を行うとともに、行動規範などを通じて法令遵守を徹底しております。特に近年、人権問題や輸出管理など新たなリスク要因が発生しており、法規制等の動向を注視しつつ、ルールの逸脱のないよう努めてまいります。

 

(4) 製造物責任に関するリスク

 当社グループは日本国内及び事業展開する各国において認められている品質管理基準に従って製品を製造しておりますが、予期せぬ製品の設計・製造に起因する不具合が発生した場合、製造物賠償責任請求等により損失が発生するリスクがあります。

 これらのリスクに対して、製品の品質確保を徹底することに加え、製造物賠償責任保険への加入により不具合等発生時の損失を抑制する対策を講じております。

 

(5) プラスチックを巡る環境変化に関するリスク

 プラスチックは性状安定性や耐久性、経済性等に優れた素材ではありますが、海への廃棄プラスチックの流出問題や、化石燃料を主要原料とすることなど、地球環境に対してマイナス影響を及ぼしうるとの評価になりつつあります。その結果、プラスチック製品を製造・販売することの風評リスクや、将来的にはプラスチックの使用が制限される可能性もあります。

 当社グループでは、当面はプラスチックに代わる素材の実用化は困難と考えており、プラスチックの使用を継続しながらそのマイナス影響を最小化することを基本方針としております。具体的には、生産ロスの再利用を徹底するとともに、使用後の製品を同等の製品に再生産する「水平リサイクル」の拡大を目指し、技術開発や回収の仕組みの検討を行っております。

 

(6) 原材料等の市況変動及び調達リスク

 当社グループの合成樹脂加工製品事業は主にポリエチレン・ポリプロピレン樹脂を原材料として使用し、製造の際に熱源や動力源として電力を使用しております。これら原材料の価格は、原油・ナフサといった国際商品市況や為替相場の影響を受け、また電力料金も化石燃料等の影響を受けるもので、原材料価格や電力料金の変動が業績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、機械製品事業におきましては、半導体などの部品の調達網に混乱が生じた場合、代替品調達によるコスト増や売上遅延のため、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、特定の原材料等への依存を減らすよう技術開発を進めるとともに、原材料等価格変動を製品価格に転嫁できるよう製品の競争力を高めることなどを通じて、原材料に関するリスクを抑制しております。

 

(7) 地政学リスク

 紛争の発生等地政学リスクの顕在化により、原材料価格の高騰や物流網の混乱が生じ、コスト増大や原材料・製品等の納入遅延などが発生する可能性があります。またこのような事態の結果、世界的な景気の低迷が生じ当社製品の需要が縮小する状況も想定され、その結果、当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。

 これらのリスクに対して、適正な在庫の保持やコスト増加分の販売価格への転嫁等により原材料価格高騰や物流混乱の影響を最小化するよう努めておりますが、最終的に業績への影響が発生する可能性があります。

 

(8) 子会社の収益変動リスク

 当社グループでは多様な製品を製造・販売することにより、製品ごとの需要や収益性の変動リスクを軽減する事業構造になっております。ただし個々の子会社においては、取り扱う製品の需要変動や販売地域の経済情勢などにより、収益が変動するリスクがあります。

 このようなリスクに対して、グループ内の生産体制や販売体制では全体最適を追求しつつ、各子会社の事業活動に支障のないよう資金繰り等のリスクに対応する支援を行うとともに、子会社ごとの事業価値を正確に見積もることにより適切な経営管理を行っております。

 

(9) 情報セキュリティに関するリスク

 サイバー攻撃等により当社グループのシステムで障害が発生した場合、事業継続に重大な影響が生じる可能性があります。また、情報漏洩が発生した場合、損害賠償責任が生じ、さらに会社の信用を喪失する恐れがあります。

 これらのリスクに対しIT BCPのもと、適切な情報システムの整備・運用を行うとともに、社員への情報セキュリティ教育の実施により、情報システムに関連する事故発生の防止と、万が一事故が発生した場合の損害の軽減を図っております。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 (1)財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国の経済は、雇用・所得環境の改善等を背景に緩やかな回復基調にありましたが、米国の通商政策の影響や、国内物価上昇が個人消費に及ぼす影響などによる景気の下振れリスクを抱え、先行きの不透明感が払拭できない経済環境が続きました。

このような状況のもと、当社グループにおきましては、原材料価格転嫁等に伴う需要の減少、機械製品の需要先のニーズの変化、国際紛争等に起因する海上輸送の混乱などのリスクに直面しましたが、生産体制の効率化や、環境分野などの新たな需要の取り込みを進め、収益確保に努めてまいりました。

その結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高319億36百万円(前期比3.6%減)、営業利益14億67百万円(同30.0%減)、経常利益18億16百万円(同17.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益17億94百万円(同18.2%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益が増益となった理由は、笠岡工場建設に伴い交付決定された補助金8億円を特別利益に計上したためであります。

 

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

 [合成樹脂加工製品事業]

合成樹脂加工製品事業におきましては、建築・土木関連の需要減でシート、土のう等の製品販売の低迷が続いたほか、コンクリート補強繊維「バルチップ」も海外での価格競争の影響を受け、売上が伸び悩みました。一方、記録的な暑さの影響で遮熱用農業資材向け原糸、遮熱シートは大きく増加しました。また、人工芝用原糸も海外製から国内製へのシフトが進み好調に推移しました。北米向けの包装資材用「メルタック」及びラミクロスは、トランプ関税の影響で需要が弱含みました。

インドネシア子会社「ハギハラ・ウエストジャワ・インダストリーズ社」におきましては、主要生産品目であるバルチップの販売減により減収となりました。国内子会社「東洋平成ポリマー株式会社」におきましては、引き続き飲料水用フィルムの大口需要により増収となりました。

利益面では、利益率の高いバルチップの売上減に加え、新型設備稼働に伴う減価償却費の増加や基幹システム更新による費用の増加が、減益要因となりました。

その結果、売上高は262億93百万円と前期に比べ4億50百万円(同1.7%減)の減収となり、営業利益は11億63百万円と前期に比べ5億1百万円(同30.1%減)の減益となりました。

 

 [機械製品事業]

機械製品事業におきましては、主力のスリッター関連製品は、自動化・省人化した工業用スリッター及び車載用二次電池関連のスリッターが大きく落ち込みました。一方で、株式会社IHI物流産業システムより技術譲渡を受けた金属箔スリッターは、初号機を納入して高い評価をいただいた結果、追加受注も獲得しました。

押出関連機器は、ペットボトルの水平リサイクルで用いられる高度濾過用スクリーンチェンジャーは市場が飽和状態に近く、また、主な需要先であるフィルムメーカーも投資姿勢に陰りがあり、売上が落ち込みました。しかしながら、プラスチックリサイクルの前工程で必要な洗浄装置は、ブルーシートのリサイクルで自社開発した製品で初号機を受注するなど、市場開拓を進めております。

その結果、売上高は56億42百万円と前期に比べ7億31百万円(同11.5%減)の減収となり、営業利益は3億4百万円と前期に比べ1億28百万円(同29.6%減)の減益となりました。

 

 

 

 (2)キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1百万円増加し、48億61百万円となりました。

当連結会計年度における活動ごとのキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益26億16百万円、減価償却費21億11百万円及び売上債権の減少額14億3百万円を主とする資金の増加と法人税等の支払額4億73百万円及び仕入債務の減少額6億23百万円を主とする資金の減少により、44億86百万円(前連結会計年度比70百万円の収入増加)の資金の増加となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、生産設備の新増設、更新及び合理化投資等の有形固定資産の取得による支出24億47百万円により、27億73百万円(同3億78百万円の支出減少)の資金の減少となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、主に長期借入金の返済による支出8億39百万円及び配当金の支払額9億10百万円等により、16億84百万円(同46百万円の支出減少)の資金の減少となりました。

 

 

(3)生産、受注及び販売の実績

① 生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

合成樹脂加工製品事業

17,716,955

107.9

機械製品事業

4,895,081

78.8

合計

22,612,037

99.9

 (注)金額は販売価格によっております。

 

② 受注実績

 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

合成樹脂加工製品事業

原糸

2,444,931

116.3

243,653

94.3

梱包袋

779,039

42.6

1,489

3.8

3,223,971

82.0

245,142

82.3

機械製品事業

5,739,002

132.9

4,985,368

102.0

合計

8,962,974

108.7

5,230,511

100.8

 (注)1.金額は販売価格によっております。

2.合成樹脂加工製品事業においてクロス、シート及び土のうは主として見込み生産のため記載を省略しております。

 

③ 販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

合成樹脂加工製品事業

26,293,924

98.3

機械製品事業

5,642,561

88.5

合計

31,936,485

96.4

 

 

(4)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

① 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表はわが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には経営者による会計方針の採用や、資産・負債、収益・費用の計上及び開示に関する経営者の見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案して合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1.(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

② 財政状態

当連結会計年度末の資産残高は427億34百万円となり、前連結会計年度末に比べ1億51百万円増加しました。その内訳は、流動資産が211億36百万円で8億12百万円減少し、固定資産は215億98百万円で9億63百万円増加しております。

流動資産では、現金及び預金が2億56百万円増加し、受取手形及び売掛金が12億31百万円、電子記録債権1億24百万円、仕掛品が3億33百万円それぞれ減少しております。固定資産では、機械装置及び運搬具が20億92百万円増加した一方、建設仮勘定が19億96百万円減少しております。

負債残高は117億69百万円となり、前連結会計年度末に比べ17億14百万円減少しました。主な要因は、支払手形及び買掛金が2億21百万円、電子記録債務が1億66百万円、長期借入金が8億8百万円それぞれ減少しております。

純資産の残高は309億65百万円で、前連結会計年度に比べ18億66百万円増加しました。主な要因は、当連結会計年度での親会社株主に帰属する当期純利益の計上、為替換算調整勘定が2億56百万円、退職給付に係る調整累計額が5億21百万円それぞれ増加しております。

 

 

 

③ 経営成績の分析

・売上高

 当連結会計年度における売上高は、319億36百万円(前連結会計年度331億18百万円)となり、11億81百万円減少しました。これは主に機械製品の売上が減少したことに加え、コンクリート補強繊維「バルチップ」の売上が伸び悩んだこと等によります。

・売上総利益

 当連結会計年度における売上総利益は、83億78百万円(同88億60百万円)となり、4億81百万円減少しました。これは主に売上高の減少等によります。

・販売費及び一般管理費

 当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、69億10百万円(同67億62百万円)となり、1億48百万円増加しました。これは主に手数料の増加等によります。

・営業外損益

 当連結会計年度における営業外損益は、3億48百万円の利益(同92百万円の利益)となり、2億56百万円増加しました。これは主に前連結会計年度の為替差損58百万円が、2億6百万円の為替差益に転じたこと等によります。

・特別損益

 当連結会計年度における特別損益は、8億円の利益(同0百万円の損失)となり、8億円増加しました。これは主に補助金収入8億円を計上したこと等によります。

・税金等調整前当期純利益

 当連結会計年度における税金等調整前当期純利益は、26億16百万円(同21億89百万円)となり、4億26百万円増加しました。

・法人税等

 当連結会計年度における税金費用は、8億20百万円(同6億69百万円)となり、1億50百万円増加しました。

・親会社株主に帰属する当期純利益

 当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、17億94百万円(同15億18百万円)となり、2億76百万円増加しました。この結果、1株当たり当期純利益は128円49銭(同110円63銭)となり、17円86銭増加しました。

 

④ キャッシュ・フローの分析

 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの概況については、「経営成績等の状況の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

 営業活動によるキャッシュ・フローを主に、事業支出の2か月分を目安とする所要運転資金を確保するとともに、「第4 提出会社の状況 3.配当政策」記載の方針による利益還元及び設備投資に充当した上で、借入金の返済による財務体質の強化を進め、将来の成長投資への備えとしております。

 

5【重要な契約等】

 該当事項はありません。

6【研究開発活動】

当社グループにおきましては、研究開発活動は主として当社が行っております。

当社の研究開発活動は、新製品開発、既存製品の改良・改善及び新技術の開発であります。合成樹脂加工製品事業におきましては製品開発部が新製品の開発、既存製品の改良・改善を、生産技術部が新技術、生産プロセス開発及び要素技術確立を担当しております。機械製品事業におきましては営業部開発課と製造部機械設計課・電気設計課が担当しておりますが、技術高度化等の開発に関してはタスクチームを編成し効率的かつフレキシブルに対応しております。

研究開発スタッフは71名、当連結会計年度は研究開発費として587百万円を投入しました。当連結会計年度における産業財産権出願件数は3件、当連結会計年度末における産業財産権の総数は184件となっております。

 

 主な研究開発

 (1)合成樹脂加工製品事業

主力製品の一つであるラミネートクロスは、これまで紙管に巻いた状態で納入されていました。使用後の紙管の処分が課題でしたが、紙管を使用せず巻き取ることができる装置を開発しました(特許出願中)。2026年10月期には紙管を使用しない「コアレスラミ原反」の販売を開始し、廃棄物削減と作業効率の改善につなげます。

また、工事現場等で使用される防炎シートは一般的にリサイクルが難しいとされてきましたが、ブルーシート水平リサイクルプロジェクト「Re VALUE+」で培ったノウハウを活用することで、水平リサイクルが可能になりました。さらに、ブルーシートには適応するJIS規格がありませんでしたが、「屋根用応急シート-ポリエチレンクロス・ラミネートシート」のJIS規格が制定される見込みです。公示後、弊社製品についてもJIS認証取得を進める予定です。

当事業に係る研究開発費は528百万円でありました。

 

 (2)機械製品事業

スリッター関連製品においては、2023年3月に金属箔スリッターの技術譲渡を受け、初号機を2025年10月期に完成引渡しを終えました。同機は車載二次電池や半導体関連が用途先になっており、引き続き受注をいただいております。また、製造現場の人手不足と加工品質の安定化を目的とする自動化のニーズが旺盛であり、スリッターにおいても全自動化する専用機で多くの引合いをいただいております。

プラスチック関連製品においては、カーボンニュートラルの潮流からプラスチックのリサイクル需要が大きく伸長する見込みです。当社で確立したブルーシートの水平リサイクル技術を機械製品事業にも応用するために、試験設備を常設してお客様の試作に利用しております。洗浄や異物分離などの新技術の開発では、引き続き大学・研究機関との共同研究や、他社との共同開発を積極的に進めてまいります。

当事業に係る研究開発費は59百万円でありました。