第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 会社の経営の基本方針

 当社経営の基本理念は「人と環境にやさしい空間創造」です。

 空間創造とは、人が生活し働く空間の健康的、快適かつ機能的、効率的な環境創りを推し進めることです。

 当社はグループ役職員がこの理念に基づき、顧客満足度業界No.1を、そして地球環境に配慮した製品と関連サービスの提供を通じて、社会に貢献してまいるとともに、コンプライアンスの重視を最重要課題の一つとして、ステークホルダーの皆様の信頼が得られる経営をおこなってまいります。

(2)中長期的な会社の経営戦略

2023年11月期から2025年11月期までの3ヵ年を対象とする中期経営計画『Revive2025』(以下『Revive2025』という。)を策定し、業績の黒字の定着化を確実なものとし、当社が考えるValue(企業価値)を極大化することで、本来あるべきValue(企業価値)の回復・向上することを目標としております。

当該目標を達成するために以下の4項目を基本方針として定め、全社及び各事業部門で目標達成のための具体的な施策を策定し、施策完遂のためのKPI及び活動項目を設定したうえで、PDCAによる進捗管理を定期的に行ってまいります。

Ⅰ.財務基盤の抜本的改善~経営資源の選択と集中

Ⅱ.製造基盤の抜本的強化~製造部門の収益センター化

Ⅲ.商品企画開発力の抜本的強化~商品企画開発部門の独立

Ⅳ.人材基盤の改善・強化の徹底~適正評価・適正処遇の徹底

 (3)経営環境及び対処すべき課題

当社グループは、当連結会計年度まで8期連続で営業損失を計上しておりますが、『Revive2025』の基本方針に基づき、事業の強化を図ることにより、個別決算においては前事業年度において7期ぶりに営業利益を計上するとともに復配を実施しました。当連結会計年度においては、特に規模の大きな案件において納入時期が大幅に遅延する状況が発生したこと等により営業損失を計上しましたが、翌連結会計年度の受注見込みは2024年11月期の受注見込みと比較して増加するなど、『Revive2025』を通じて事業力強化に向けた事業基盤整備は一定の進捗を図れたものと考えております。

新事業年度を迎えるにあたり、新3ヵ年中期経営計画『Power up 2028』(2026年11月期~2028年11月期)を策定しました。『Revive2025』において推進しました取組内容をベースとしつつ、収益基盤の更なる拡充による収益の安定的な拡大を目指し、下記の課題に取組むための人材の育成、外部事業者との協業・提携等の構築を柱としております。

・米国Steelcase社の製品・知見利用の最大化

・オフィスデザイン・提案事業の拡大

・内装工事への取組み強化

・PM事業への本格的な取組み

・サーキュラーエコノミーへの対応

家具関連事業の事務用家具部門においては、オフィスでの「新たなる働き方・ワークプレイスの役割」を模索する動きが経営層レベルで広がり、従業員のエンゲージメントの向上や社員間のコラボレーションの活性化をこれまで以上に進めるために、社員のオフィス回帰も含めた新たなワークプレイスの構築に対するオフィス投資需要は引き続き高い状況であり、働き方改革に対するソリューションセールスを一層強化することにより売上高の拡大を図ってまいります。

建築付帯設備機器事業の建築付帯設備機器他部門においては、選別受注の徹底により特に大口物件での受注案件が減少しておりますが、納入済み物件の改修、メンテナンス需要の掘り起こしを軸としたヘルスケアマーケットへの什器販売の強化等による売上高の増加を図るとともに、組織のスリム化を含めた収益改善を行ってまいります。

建築付帯設備機器事業のクリーン機器他設備機器部門の空調関連機器並びに強化重点収益事業としている特注什器の製造販売の強化については、『Revive2025』において大型の設備更新投資を行うとともに生産ラインを見直し、加えて、人材のマルチ化・流動化による生産工程における変種・変量体制への対応強化等により原価低減に取組んでおります。これらの取組みにより、変種・変量生産の強みを収益拡大に繋げるために特注製品の能動的且つ積極的な取り込みの拡大を図り、特に物流施設向け等の特注品について売上高が拡大しております。今後は更に、取り扱い品目の増強、拡大のために、人材育成による設計提案力の増強、これをベースにした設計・見積もり体制の強化に取組むことにより、取扱い品目の増強、拡大とともに収益管理を強化してまいります。

損益面では、原材料等の価格の高騰、円安基調による輸入製品価格の上昇に伴う製品原価の販売価格への転嫁については進捗しつつあり、粗利率は改善傾向にあります。建築付帯設備機器他部門においては、選別受注の徹底により同様に改善傾向にあります。営業力強化を企図した人員の増強や処遇改善に伴う人件費や事務効率化のためのIT関連費用については、引き続き増加する見込みです。

上記収益基盤の拡大に加え、人材基盤、ブランド基盤、グループ経営基盤の拡充、強化について、全社および各事業部門において目標達成のための活動項目の設定を行い、定期的にPDCAによる進捗管理を実施の上、活動を進めることにより、業容の拡大および安定的な業績黒字維持を図ってまいります。

株主の皆様におかれましては、今後とも一層のご支援、ご鞭撻を賜りますようお願い申しあげます。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

くろがねグループのCSRポリシー

2024年4月1日に「くろがねCSRポリシー」を下記のとおり公表しました。

「ステークホルダーからの信頼を得て、経済価値を創造しつつ社会ニーズに積極的に応えることで、持続可能な社会の実現に貢献する企業であり続ける」

当社は1927年3月の創業以来、時代毎に市場ニーズを的確に捉えた製品の開発、販売および関連するサービスの提供に努め、「人と環境にやさしい空間創造」を当社の経営理念として、企業価値の向上に努めています。当社の事業に関係する様々な関連当事者の活動・行動の原点として、「人が生活し働くあらゆる空間を快適で機能的かつ効率的な環境に創造することによる顧客満足度の向上」、「地球環境維持へ更なる取り組み」、「エンゲージメント向上に繋がる労働環境の実現」を継続的に推進し、企業価値の更なる向上と社会に信頼される企業を目指してまいります。

これらを実現するため、「顧客」「取引先」「従業員」「株主」「社会」など様々なステークホルダーと確固たる信頼関係を築き、持続的な企業価値の向上を図りつつ、『企業の公器としての社会的責任』を強く自覚し、社会貢献や地球環境との共存への取り組みについて、具体的に活動方針や施策を策定することを基本方針としております。

また、当社グループにおける人材の多様性の確保を含む人材の育成は、当社の企業価値を向上させる力の源泉は当社グループ人材であるとの認識の下、安定的かつ多様な人材の確保、当社が強みとする技能習熟のための各現場での人材の育成、高いスキル・ノウハウを習熟した人材の定着化を、当社グループ人材基盤強化のための三つの柱として取り組んでまいります。

(1) ガバナンス

サステナビリティ関連課題への具体的な取り組みについて、具体的な取り組みを検討する組織として、経営企画室を事務局とする「サステナビリティ推進会議」及び「多様な人材の活躍に関するワーキンググループ」を設置しております。検討結果については、業務執行に関連する事項についての検討及び決議を行う執行役員会議に報告し、執行役員会議においてその報告事項について検討した上で、業務執行に関わる意思決定を行うこととしております。

「サステナビリティ推進会議」は、くろがねグループのCSRポリシーを実現するため、持続可能な社会の実現(SDGs実現に向けたESGやカーボンニュートラルへの対応等)に対し優先的に対処すべき取り組み課題に対して、幅広い世代からの自由闊達な議論から検討課題を提起し、その課題を解決するための提案を行うことをそのミッションとしております。

「多様な人材の活躍に関するワーキンググループ」は、中期経営計画『Revive2025』において人材基盤の強化における課題として掲げている「人材確保の強化」、「人材育成の底上げ、強化」、「女性活躍推進の実施」に対する基本政策について経営企画室が主導して政策ごとにKPIを設定し、具体的な活動内容を策定することをそのミッションとしております。さらに新中期経営計画『Power up 2028』においては、「個人別人材育成の強化」、「業務核人材の確保・育成」についてよりきめ細やかな課題設定及び活動計画の策定に取り組んでおり、課題解決に資すると考えられる取り組みについては、企業グループの枠を超えたコラボレーションについても積極的に取り組んでおります。

また、「くろがねCSRポリシー」において掲げているくろがねグループで共に働く全従業員への責任を果たし、全従業員が心身共に健康で安心して働くことが出来る企業を目指して2024年4月1日に「くろがね工作所健康経営宣言」を公表し取り組みを推進しております。

 

(2) 戦略

① 「サステナビリティ推進会議」においては、外部コンサルタントからのアドバイス、経営層との議論・協議を経て、下記「くろがね工作所サステナビリティ方針」、「重要テーマおよび方針」を設定し、それぞれのテーマにおける課題、重要成功要因、KPIおよび今期行動計画の設定について検討を行っております。さらに議論を進め、当社ホームページ等で公表してまいります。

(くろがね工作所サステナビリティ方針)

くろがね工作所は「人と環境にやさしい空間創造」を原点とし人が生活し働くあらゆる空間づくりに貢献します。持続可能な未来を目指し、環境に配慮した製品とエンゲージメントを高めるオフィス空間を提供します。

(重要テーマおよび方針)

・製品・サービスの提供

責任ある調達を行い、環境に配慮した製品の提供を強化し、持続可能な未来を目指します。長く使える製品・サービスを通じて顧客満足度を高め、信頼されるブランドを築きます。生産プロセスの透明性を確保し、時代の変化に柔軟に対応することで、常に最適な製品・サービスを提供します。

・従業員の働きがいの向上

風通しが良く、部署の垣根を超えた自由闊達に意見交換が出来る環境を整えます。個人を対等な人間として尊重し合い、ウェルビーイングを向上させることで自己実現が達成出来る組織を目指します。

・地球環境改善への取り組み

地球環境負荷の低減を推進するために、エネルギー効率の向上と二酸化炭素排出量の削減等に努め、SDGsに沿った持続可能な社会づくりに貢献する全社的な取り組みを強化し、環境に優しい企業を目指します。

・企業としての社会への責任

法令遵守を徹底し、透明性を高めるために情報開示を充実させます。多様性を尊重し、誰もが活躍できる環境を整えます。地域コミュニティ、社会への貢献により信頼される企業を目指し、持続可能な未来の実現に貢献します。

② 「多様な人材の活躍に関するワーキンググループ」においては、人材基盤の強化における課題に対して具体的な活動内容を策定・実施しております。

・人材確保の強化(資格・職責の分離運用による抜擢登用人事の実現、中途入社のルート多様化・定着化、リターン入社の制度的運用方法の検討、ワーカーシェアリングの検討)

・人材育成の底上げ・強化(層別研修実施、経営核人材・各部門コア人材の中長期育成計画の策定・実施、DX人材・施工人材の確保・育成、シニア向け職務、高齢者向け職務の開発及び同職務向け個人別育成計画の策定)

・個人別人材育成の強化(本社・営業所地区における「チャレンジと学び」ミーティングの推進による個人別に自律的な能力開発を推進・検証、工場地区における「くろがねアイディア・エンジン」の推進によるモノづくりに関する技能の開発、承継、及び生産効率化に向けた工夫・改善の推進)

・女性活躍推進の実施(女性管理職の登用実現に向けたキャリアパスの検討・策定及び、生産現場女性人材増強のための現場作業の洗い出し及びネックオフ解消の検討・実施、外部人材開発研修の受講)

 

③ 健康経営取り組みの推進により、当社は2025年3月に健康経営優良法人(中小規模法人部門)の認定を取得いたしました。「全従業員が心身共に健康で安心して働くことが出来る企業の実現」を健康経営課題とし、以下の健康経営戦略マップに基づく指標及び目標を設定し、従業員の健康増進と企業価値の向上に向けた取り組みを推進しております。

 


 

 

(3) リスク管理

コンプライアンス遵守経営の徹底と事業リスク管理高度化の観点から、代表取締役社長がチーフコンプライアンスオフィサー(CCO)として直轄の監査室を設置し、各部門の業務遂行状況、コンプライアンス遵守の状況等について、年間計画に基づき計画的な内部監査を実施しております。また、原則月1回開催する執行役員会議において、業務推進上の重要方針・重要案件の検討及び進渉状況の確認をするとともに、部門横断的な課題認識の共有を行うことで、事業に関わる顕在的・潜在的リスクに迅速かつ適切に対応する体制を整え、将来の事業リスクの発生防止にも努めております。加えて、定期的にその状況を取締役会及び監査等委員会に報告するなど、コンプライアンス遵守体制の維持、向上について、ガバナンスチェックの強化に努めております。

(4) 指標及び目標

戦略を推進するにあたって指標を数値化している目標は下記のとおりです。

 人材活躍と多様性に関する取り組みに関する方針、戦略の指標及び目標

主な戦略

指標

目標値

2026年度

実績

(当連結会計年度)

女性活躍推進

女性管理職数

3以上

1

健康経営の推進

有給休暇取得率

60以上

55

   〃

男性労働者の育児休業取得率

100

33

   〃

プレゼンティーズムによる生産性損失割合

20以下

25

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある事項には、以下のようなものがありますが、これらに限定されるものではありません。
 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
 

(1) 経済状況

当社グループの製品の販売については、オフィスビル、店舗、工場、病院、医療関連施設等の着工・完工件数の変化、あるいは顧客企業の業績状況の変化等、また個人消費における耐久消費財需要の変化等により当社グループの経営成績並びに財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 原材料価格の変動

当社グループで生産している製品の主要原材料である鋼板価格は内外需要の動向により相当の影響を受けております。当社グループとしてコストを吸収すべく努めておりますが、今後も価格・量の両面で影響を受ける可能性があり、その場合は当社グループの経営成績並びに財政状態にも影響を及ぼす可能性があります。

(3) 商品仕入価格の上昇

当社グループは、販売する商品の一部をグループ外から調達しておりますが、原材料の価格上昇等が長期化し、調達先より仕入価格の上昇圧力が強まった場合、当社グループの経営成績並びに財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 製造物責任

当社グループは、社内で確立した厳しい品質基準をもとに製品を製造しておりますが、全ての製品において予期せぬ事情によりリコール等が発生する可能性があります。当社グループは製造物責任賠償保険に加入しておりますが、損失額を全て賄える保証はなく、結果として当社グループの経営成績並びに財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、このことにより、当社グループの製品に対する信頼性に影響を及ぼす可能性があります。

(5) 自然災害等による影響について

当社グループの生産拠点を津工場(当社)(三重県津市)に統合・集中化し、高効率の生産体制を確立した結果、集中メリットは十分あると考えております。しかしながらこの地域に地震等の大規模な自然災害が発生した場合には、生産活動の停止や物流網への支障等が生じ、当社グループの経営成績並びに財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(6) 有価証券の時価の変動

当社グループは、主要取引先、取引金融機関その他の有価証券を保有しております。これら有価証券のうち、時価を有するものについては、全て時価評価されており、市場における時価の変動が当社グループの経営成績並びに財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(7) 為替レートの変動

当社グループは、海外市場からの製品・原材料等の調達を行っております。その決済について、一部先物予約等でその為替相場変動リスクを軽減させていますが、影響を全て排除できるものではありません。急激な為替レート変動等があった場合、当社グループの経営成績並びに財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(8) 重要事象等について

 当社グループは、当連結会計年度まで8期連続で営業損失を計上していることから、継続企業の前提に重要な

疑義を生じさせるような状況が存在しております。

 このため、当社グループでは、当該状況を解消するため、「1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(3)経営環境及び対処すべき課題」に記載のとおり、業績の黒字の定着化を基礎とした中期経営計画『Revive2025』に基づき、当該状況の解消または改善に努めてまいりました。対応策の具体的な内容は以下のとおりであります。

①収益基盤の整備及び拡大

定期訪問・インサイトセールスによる営業活動の質・量の更なる拡大を柱とし、当社顧客基盤の拡大・拡充への取り組みに加え、個々の営業活動の質的向上を図るために、営業管理の高度化・効率化を推進するとともに、顧客への訴求力の基盤となる商品企画開発力の抜本的な強化を図ってまいりました。新しい収益の柱として注力しております特注什器の受注・販売の拡大に向けた営業基盤の拡大にも取り組み、受注が拡大しております。また、原材料等の価格の高騰、急激な円安による輸入製品価格の上昇に伴う製品原価の販売価格への転嫁について、家具関連及び建築付帯設備機器のクリーン機器他設備機器部門についてはコストアップ分の販売価格への転嫁は、カタログ価格の改訂及びOEM製品の販売価格改訂等により進捗しつつあります。

②製造部門の収益センター化による収益力強化

当社の板金メーカーとしての強みを極大化するために、製造部門を収益センターとして位置付け、当社が強みとする変種・変量生産の特注製品の能動的且つ積極的な取り込みの拡大を図るため、当連結会計年度において変種・変量生産のコスト競争力の強化ならびに老朽化した生産設備の戦略的設備更新の投資等を実施しました。今後も追加的な設備投資、営業人員増による体制強化等を含めた製造部門の更なる収益力強化を図ってまいります。

当連結会計年度においては、特に規模の大きな案件において納入時期が大幅に遅延する状況が発生したこと等により営業損失を計上しましたが、翌連結会計年度の受注見込みは2024年11月期の受注見込みと比較して増加するなど、『Revive2025』を通じて事業力強化に向けた収益基盤整備は一定の進捗を図れたものと考えております。
 翌連結会計年度を迎えるにあたり、新3か年中期経営計画『Power Up 2028』を策定しました。
『Revive2025』において推進しました取組内容をベースとしつつ、収益基盤の更なる拡充による収益の安定的な拡大を目指し、下記の課題に取り組むための人材の育成、外部事業者との協業・提携等の構築を柱としております。
 ・米国Steelcase社の製品・知見利用の最大化
 ・オフィスデザイン・提案事業の拡大
 ・内装工事への取り組み強化
 ・PM事業への本格的な取り組み
 ・サーキュラーエコノミーへの対応
 上記の取り組み等による収益基盤の拡大に加え、人材基盤、ブランド基盤、グループ経営基盤の拡充、強化について、全社及び各事業部門において目標達成のための活動項目の設定を行い、定期的にPDCAによる進捗管理を実施の上、活動を進めることにより、業容の拡大及び安定的な業績黒字維持を図ってまいります。

③運転資金の確保

運転資金の確保につきましては、三菱UFJ銀行との当座貸越契約(4億円)を含めて充分な量を確保しております。加えて、手元流動性を厚くしておくために、当連結会計年度において新たに長期資金の借入2億円を実行するとともに、9月5日に株式会社商工組合中央金庫と「ポジティブ・インパクト・ファイナンス」に関する融資契約を締結し、2億円の借入を実施するなど借入金の長期安定化を進めており、株式市場の動向を踏まえて、担保提供している投資有価証券等の機動的売却による手元資金の更なる潤沢化も進めることも含めて、当社の運転資金の確保については懸念がないものと考えております。

よって、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断し、継続企業の前提に関する注記は記載しておりません。

(9) 情報システム

当社グループは、サイバーセキュリティの対応方針を策定し、全サーバー・パソコンの挙動監視、AI検知、ウィルス対策などサイバーセキュリティ体制を構築しております。しかしながら、当社を標的としたサイバー攻撃に対して完全な防御を保証することは困難であります。また、自然災害等の不測の事態によりネットワーク機能が停止した場合、受発注業務が不能となるリスクがあります。これらの事象が発生した場合には、当社グループの経営成績並びに財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 経営成績

当連結会計年度(2024年12月1日~2025年11月30日)におけるわが国経済は、トランプ大統領によるアメリカファースト政策が高関税政策に留まらない様相を見せ始めたこと、その結果地政学リスクが世界各地で高まりつつある中、国内の諸物価、人件費の上昇が続いていることを踏まえて、日銀は量的緩和の修正に加えて金利水準の修正に入ったが、尚為替円安の圧力が強く、円安による為替インフレの状況次第では更に金利水準を修正する懸念が残っており、長く超低金利に慣れた国民経済は金利耐性が低下していると思われることから、その先行きの不透明さ、不確実性は引き続き高いまま払拭されない状況で推移しました。

このような事業環境下、当社グループは、『Revive2025』に基づき、業績の回復ならびに安定的かつ継続的な配当を実施するため、経営資源の選択と集中、資産の収益性の強化の観点より、稼働効率の低い資産の売却等を含めた経営資源の有効活用等、抜本的な企業経営構造の改革を視野に取り組んでまいりました。

当連結会計年度においては、これら『Revive2025』の取り組みに基づき、事業部門別営業利益を確保するため、営業生産性の高度化、顧客基盤の維持・拡大、物流施設向け等の特注品について製造から搬入・設置に至る体制の構築、前連結会計年度において行った生産設備の戦略的設備更新による生産性の拡大及び新規受注拡大の取り組みを継続してまいりました。

売上面におきましては、特に規模の大きな案件において納入時期が大幅に遅延する状況が発生したことにより、売上の拡大を図ることが出来ませんでしたが、事務用家具関連部門においては、働き方改革に対するソリューションセールスの拡大により特に首都圏における受注は拡大傾向にあり、翌連結会計年度の受注見込みは2024年11月期の受注見込みと比較して増加しております。また、強化重点収益事業としている物流施設向け等の板金メーカーとしての強みを活かした特注製品についても、営業体制を強化したことから付帯工事も含めて受注は堅調に推移しております。

建築付帯設備機器においては、選択受注を進めることにより利益率の高い中小口案件・改修案件に受注を絞ったことから、受注量は前期と比較して大幅に減少しております。粗利面では原材料価格や円安による輸入製品価格のコストアップ分の販売価格への転嫁を引き続き進めるとともに、諸掛り等の付随費用の請求並びにコスト低減に取り組んだことや、建築付帯設備機器における選別受注による案件単位の利益率の改善もあり、粗利率が改善しました。また、販売費及び一般管理費につきましては、営業力強化を企図した人員の増強や処遇改善に伴う人件費の増加や事務効率化のためのIT関連費用の増加等より、前連結会計年度と比較して増加しました。

その結果、当連結会計年度の売上高は63億42百万円(前連結会計年度比12.0%減)となりました。損益面につきましては、営業損失は1億22百万円(前連結会計年度は営業損失27百万円)、経常損失は7百万円(前連結会計年度は経常利益19百万円)となりました。また、保有有価証券の売却により投資有価証券売却益5億63百万円を計上しました。その結果、親会社株主に帰属する当期純利益は4億3百万円(前連結会計年度比92.5%増)となりました。

 

事業部門別の状況は、次のとおりであります。

 

[家具関連事業]
(事務用家具部門)

事務用家具部門においては、オフィスにおける「働き方」が変化する中で、働く人の価値観も急速に変化しつつあり、オフィスワーカーの満足度・ウェルビーイングの向上という昨今の経営課題を解決する手段の一つとして、オフィスの「コミュニティ」に注目しております。「コミュニティ」には、「住む・働く場所」と「人間関係の構築」という2つの要素があると考えており、この両方の側面を念頭に設計されたコミュニティベースに、お客様毎の個別ニーズに合わせたオフィスデザインの提供を目指しております。また、米国Steelcase社との販売提携強化によるソリューションセールスを拡大することにより、顧客への提案活動に注力しております。首都圏における引き合い並びに受注は拡大しておりますが、大型案件の納入遅延等もあり売上高の増加には至りませんでした。物流施設向け等の特注品については、売上高が引き続き拡大しております。

しかしながら前連結会計年度においては、複数の大型案件の売上を計上していたこともあり、売上高は前連結会計年度を下回りました。

(家庭用家具部門)

就学児童数の減少やライフスタイルの変化等による学習家具市場の総需要が減少する中、円安による輸入調達価格上昇分の販売価格への転嫁が購買層の買い控えに繋がり、従来以上に厳しい市況が続いております。当社がこれまで積み上げてきたオフィス家具事業での実績と学習机で培ってきたノウハウを融合させた在宅ワークデスク「リニアミオ」を発売するほか、オンライン学習、ハイブリッドワークの進展による在宅勤務の拡大やリスキリング環境への対応等への取り組みに加え、置き配が進みつつある宅配についてスマートで安心な暮らしの実現に向けて、スチール家具製造で培ったノウハウを集約した「宅配ボックス」を新発売する等販売の拡大を進めておりますが、売上高は前連結会計年度を下回りました。

 

 その結果、家具関連事業部門の売上高は47億21百万円(前連結会計年度比10.7%減)、セグメント利益(営業利益)は2億95百万円(前連結会計年度比12.2%減)となりました。

[建築付帯設備機器事業]
(建築付帯設備他部門)

医療福祉施設市場向けの主力商品である懸垂式引戸「アキュドアユニット」、病院向けの医療ガスアウトレット/情報端末内蔵式設備「メディウォードユニット」については、建築資材が軒並み高騰する厳しい事業環境の中で、原材料価格や部品価格の高止まりの状況に加え、人件費も高騰する状況が尚続いております。物件ごとの収益管理を厳格化する中で、比較的収益性の高い中小口案件の取り込みに注力するとともに、メンテ・改修案件を切り口とした医療・福祉関連施設市場に対する什器関連の提案等による売上維持、利益拡大を図っておりますが、売上高は前連結会計年度を下回りました。

(クリーン機器他設備機器部門)

医療施設向けクリーン機器は、主力の手術室向けクリーン機器空調機が堅調に推移したことに加え、無菌室向けユニット、大型商業施設や工場向け空調機器の生産が増加したこと等により、売上高は前連結会計年度を上回りました。

 

 その結果、建築付帯設備機器事業の売上高は16億21百万円(前連結会計年度比15.4%減)、セグメント損失(営業損失)は1億50百万円(前連結会計年度はセグメント損失(営業損失)1億23百万円)となりました。

(2) 財政状態の分析

当連結会計年度末における総資産の残高は、85億46百万円(前連結会計年度末80億58百万円)となり、前連結会計年度末と比較して4億88百万円の増加となりました。

流動資産の残高は、当連結会計年度末47億55百万円(前連結会計年度末41億38百万円)となりました。受取手形、売掛金及び契約資産1億69百万円の減少等がありましたが、現金及び預金6億18百万円、電子記録債権2億11百万円の増加等により、前連結会計年度末に比べ6億16百万円増加となりました。

固定資産の残高は、当連結会計年度末37億91百万円(前連結会計年度末39億20百万円)となりました。建物及び構築物(純額)39百万円、機械装置及び運搬具(純額)67百万円、投資有価証券47百万円の減少等により、前連結会計年度末に比べ1億28百万円の減少となりました。

負債の残高は、当連結会計年度末36億95百万円(前連結会計年度末34億78百万円)となりました。支払手形及び買掛金2億25百万円、電子記録債務1億6百万円の減少等がありましたが、未払法人税等1億33百万円、流動負債その他2億71百万円、長短借入金71百万円、退職給付に係る負債72百万円の増加等により、前連結会計年度末に比べ2億17百万円の増加となりました。

純資産は、当連結会計年度末48億51百万円(前連結会計年度末45億80百万円)となりました。自己株式31百万円の増加(純資産の減少)、その他有価証券評価差額金63百万円の減少等がありましたが、利益剰余金3億69百万円の増加等により、前連結会計年度末に比べ2億71百万円の増加となりました。

 

(3) キャッシュ・フローの状況の分析

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ2億68百万円の増加となり、当連結会計年度末は10億26百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券売却損益5億63百万円、仕入債務の減少額3億29百万円等の資金減少要因がありましたが、税金等調整前当期純利益5億47百万円、減価償却費1億56百万円、売上債権の減少額2億30百万円等の資金増加要因があり、差引76百万円の資金増加(前連結会計年度2億48百万円の減少)となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の預入による支出6億0百万円等の資金減少要因がありましたが、定期預金の払戻による収入2億50百万円、投資有価証券の売却による収入6億68百万円等の資金増加要因があり、差引2億8百万円の資金増加(前連結会計年度81百万円の減少)となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の借入による収入9億50百万円等による資金増加要因がありましたが、借入金の返済による支出8億78百万円、自己株式の取得による支出31百万円、配当金の支払額33百万円等による資金減少要因があり、16百万円の資金減少(前連結会計年度61百万円の減少)となりました。

 

(4)資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの運転資金及び設備投資資金については、自己資金、金融機関からの借入金により資金調達を行っております。当期末において重要な資本的支出等の予定はありません。

なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は9億61百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は10億26百万円となっております。

 

(5)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行っており、そのうち重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

(6)経営者の問題意識と今後の方針

当社グループは、8期連続の営業損失を計上し、厳しい業績になっております。現状において資金面に支障はないと判断しておりますが、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の対応の完遂により、早期に各ステークホルダーの信頼の回復を図り、営業基盤、財務基盤を確固とすることで営業利益の安定的な確保を目指す所存であります。

 

 

(生産、受注及び販売の状況)

(1) 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

家具関連

2,330,529

+23.3

建築付帯設備機器

1,426,345

△13.2

合計

3,756,874

+6.4

 

(注) 金額は販売価格によっております。

 

(2) 受注状況

当連結会計年度における建築付帯設備機器の受注状況を示すと、次のとおりであります。

なお、家具関連にあってはほとんどが見込生産であり、受注生産は極めて僅少の為記載を省略しております。

 

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

建築付帯設備機器

1,666,302

△13.2

604,406

+8.1

 

 

(3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

家具関連

4,721,127

△10.7

建築付帯設備機器

1,621,142

△15.4

合計

6,342,269

△12.0

 

(注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が100分の10以上の相手先がいないため、記載を省略しております。

 

 

5 【重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

当社グループにおける研究開発活動としましては、「多様化するニーズ」、「市場のニーズ」、「生産効率の向上による生産コストの削減」等を総合的に考慮し、開発に取り組んでおります。

また昨今のコロナ禍、原材料価格高騰、エネルギーコスト上昇等、短期間で重ねて起こる「ニーズの変化」に対応すべく、製品改良への取り組み、従来の家具関連・建築付帯設備機器の枠組みにとらわれない「新たなニーズ」=OEM商品の開発に注力致しました。
 なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は、40百万円であります。

(1) 家具関連

オフィス家具向けでは、オフィスでの働き方が大きく変化し、オンラインコミュニケーションが主流となる中、オフィス環境、ワーカーの行動、組織の在り方が見直されています。

新しいオフィス空間では、ワーカーの目的意識や帰属意識を高め、生産性を向上させる空間を作る家具が求められています。

オフィス家具向けでは、Webミーティングテーブル「フラリア」、オープンコラボレーションスペース家具「コステア」、集中ワークブース「クルヴァ」を開発いたしました。

家庭用家具向けでは、社会問題化している個人宅配送に板金メーカーのノウハウを活用し、宅配ボックス「PB-01」を新しい取り組みとして開発いたしました。

また、家庭内における幅広いユーザーニーズの取り込みを図り、家庭用デスク「The Desk-CD」ハイタイプを開発し、シリーズの充実に取り組みました。

 研究開発費の総額は、34百万円であります。

(2) 建築付帯設備機器

医療施設向けクリーン機器においては、DC化による制御性向上、オフィス向けエアハンドリングユニットにおいては能力向上による省エネタイプの開発に取り組んでおります。

 研究開発費の総額は、5百万円であります。