文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、創業以来、「協力一致、積極活動、堅実経営」を社是とし、人間社会と自然環境との共生、国民が安全で安心できる社会に技術をもって広く貢献することを企業理念として参りました。
この理念のもと、「地球環境にやさしい優れた技術と判断力で、豊かな社会づくりに貢献する」を経営ミッションとし、現場を重視するアースドクターとして陸域から海域まで、自然環境との調和を図りながら地盤に関する多種多様な問題に取り組み、誠実・迅速・高品質なサービスを心がけ、時代が必要とする精緻な調査・解析技術を開発し、発注者の課題解決のご要望にお応えできるレベルの高いアドバイスが可能な総合建設コンサルタント技術者集団としての発展を図り、株主の皆様のご期待に応えていくことを経営基本方針としております。
目標とする中長期の経営指標といたしましては、安定した経営を持続していく上で、自己資本当期純利益率(ROE)を重要な経営指標の一つと考え、その向上に努めて参ります。
第6次中期経営計画(第75期~第77期)初年度である第75期の業績は下表のとおりで、第75期は計画を達成し、前期に対しても増収・増益となりました。また第6次中期経営計画の目標である売上100億円、営業利益4億円、営業利益率4%を上回りました。前期に引き続き受注環境は芳しくなかったものの、防衛省の大型業務や震災対応業務、再生可能エネルギー関連等業務の施工に伴い大きな利益を得たことが主な要因となりました。
(第73期~第75期の業績レビュー)
企業価値を向上させて将来に亘って安定した利益を確保し持続的に発展していけるよう、次表に示す中・長期ビジョンを定め、具体的な改善に取り組むことでサスティナビリティ経営の推進に努めてまいります。
(第6次中期経営計画の取り組み(第75期~第77期))
・得意分野に係る斜面や堤防の解析・設計等の業務量拡大・利益確保
第71期以降、対象業務の全体に占める割合は売上高で18~20%、粗利益で22~24%を維持しています。コンサル業務の原価率は業務全体に比べて平均的に5~7%低く、また市場環境がより安定しています。第75期は第74期に比べて、コンサル業務の受注額が全体受注額に占める割合を、23%程度から28%程度に増やすことができました。引き続き、コンサル業務の対応力強化に取り組みます。
・得意分野や成長分野における事業推進強化
再エネ事業や放射性廃棄物処分事業及び防衛施設関連の事業に係わる売上拡大に努めました。再エネ事業においては、第71期(2021年3月)に海洋調査部門を一つの組織に統合し、物理探査からボーリングまでワンストップでサービスを提供する体制を整備しました。また国内最大規模となる水深50m対応の海上鋼製櫓の増設、CPT調査船所有企業との営業提携等の取り組みの結果、同部門の売り上げは第70期10.3億円、第71期9.0億円、第72期13.0億円、第73期25.9億円、第74期8.3億円、第75期16.6億円となりました。変動はあるものの全般に売り上げを伸ばしてきており、第70期に掲げた「2025年度売上を2020年度比150%とする」の目標を達成することができました。今後はセントラル方式による事業推進が主流となり、また浮体式基礎形式が増えていくと思われますので、対応する技術開発を進めるとともに、受注機会を逃さないよう努めてまいります。
放放射性廃棄物処分事業においては、幌延深地層研究センター内の特殊条件下の調査業務実績を積むとともに、原子力発電環境整備機構(NUMO)から地層処分事業に係る文献調査を受注し対応しました。そして防衛施設関連事業では、第74期以降、大規模な海上土質調査業務に携わりました。そこでは培ってきた海洋調査技術を活用し、音波探査、SEP(自己昇降式台船)、鋼製櫓、大型船舶など、海象リスクに備えた取り組みを駆使して、工程短縮を図るとともに、大きな売り上げと利益を得ることができました。
・災害対応の積極的推進
地震や豪雨に伴う土砂災害(斜面崩壊、河川堤防損壊等)では、地質・土質に係る高度な知識と経験を駆使した発生原因の究明や対策検討が欠かせません。第74期~第75期は能登半島地震等に係り、管轄事業所である北陸支店で15億円超の災害対応業務を受注し、これを全国の事業所の支援体制のもとで完工し、大きな社会貢献を果たしました。このような取り組みを災害対応以外の業務に拡充し、全社の売上と利益をさらに伸ばす取り組みを進めていきます。
・持続的に発展する企業を目指した企業価値向上
定年延長、人事制度改訂、育児に伴う短時間勤務制度改訂、リモートワーク促進、リフレッシュ休暇制度改訂等の職場環境の整備を進めています。働きがいのある職場環境を整備し、社員が安心して業務に精励するとともに新たな領域等に果敢にチャレンジできる企業を目指します。この結果、年次有給休暇取得日数や育児休暇取得者数が増えるとともに、社員各位の成長度と貢献度をそれぞれ適切に評価して給与及び賞与に反映させる人事制度を運用し、社員の働きがい向上を促進してきました。同時に生産性を低下させぬよう、専任技術者を配置したDX推進強化に注力しています。引き続き、業務変革と働き方改革を両立させ、企業価値向上と持続的発展、並びに社員満足度向上に努めます。
現在の日本社会は、介護問題が深刻化し、女性やシニアを含め多様な働き方へのニーズが高まっています。当社においてもこれらを将来に亘る課題と位置付け、業界を取り巻く市場環境の変化や、その中での当社の独自性への期待を踏まえ、業績維持・拡大とともに働きがいのある企業、社会にとって必要な企業を目指します。
第75期からスタートした第6次中期経営計画は、長期的な将来展望を見据え、技術開発やDX推進による業務対応の効率化・高度化と働き方改革推進、M&Aを含む協業・連携による販路拡大、社員自身の健康維持、株主並びに女性やシニアを含むあらゆる世代の社員の満足度向上などを今後の重要な対処すべき課題とします。創立83周年を迎える第76期は、第75期に引き続き、上記の改善取り組みを着実に積み重ね、上場企業として将来に亘って安定した経営基盤構築を目指してまいります。
参考:中期経営計画 https://www.kge.co.jp/medium-term-plan.html
現在、売上を着実に伸ばしている海洋調査部門は、一案件当たりの受注金額が総じて大きく、一方で荒天待機費用等の経費に関わる不確定要因が大きいことから、借入(有利子負債)やキャッシュ・フローに与える影響も大きくなる傾向にあります。
2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。
当社はウェブサイト企業情報欄にてESG/SDGsへの取り組みを開示しております。
当社においては、取締役会がサステナビリティ全般に関する権限と責任を有しており、対応方針や実行計画等について審議しております。
なお、当社全般のガバナンス状況の詳細は、「
当社は「人間社会と自然環境の共生、安全と安心を技術をもって社会に広く貢献すること」という企業理念のもと、持続可能な社会の表現を目指して参ります。
また、急速に変化する社会の多様な価値観にも即応すべく多様な働き方と人材育成を充実して参ります。具体的には就業規則等の見直しと研修プログラムの充実を図って参ります。
地球環境問題、自然災害などへの危機管理、従業員の労働環境等のサステナビリティに関わる重要課題に対し社長が統括し年1回取締役会に報告する体制としております。
当社は、多様な価値観をもった人材がその能力を発揮することが企業価値向上に繋がると考えており、中でも管理職における女性の活躍について取り組みを進めていく方針です。
2021年時点で全社員数354名、男女比が85:15程度で、2022~2025年の新卒社員は44名(年平均11.0名)、女性割合は平均22.7%程度でしたが、中途採用・離職も合わせると、2025年時点の全社員数383名、男女比83:17程度となりました。一方35歳以下の若手社員においては、女性割合は2021年時点24.8%、2025年時点25.8%と現状を維持しています。今後、少子高齢化の影響が益々大きくなり採用活動は厳しい展開が予想されることから、この水準の維持を目標とし、「キャリア研修」「産休・育休・時短勤務制度の活用促進」等の環境整備に努めてまいります。
また、当社は現状国内での事業展開を主としていることや、採用形態に関わらず優秀な人材を登用していく方針であることから、外国人・中途採用者の管理職への登用につきましては、具体的な目標の設定を行っておりません。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社は、官公庁・公共企業体をはじめとした公共部門との取引比率が高いことから、公共投資の動向により経営成績は影響を受ける可能性があります。
公共事業については、その納期が年度末に多いことから、当社決算月は11月ですが、売上高は第2四半期と第4四半期に集中するという季節変動の傾向があります。
国債利回り等の変動により割引率や期待運用収益率の変更が余儀ない場合、経営成績は影響を受ける可能性があります。
気候変動により業務進捗に大きな障害が発生した場合、売上高の減少、採算の悪化等、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当連結会計年度におけるわが国の経済は、米国の通商政策等による影響が一部にみられるものの、雇用・所得環境の改善や政府による各種政策による効果もあり、緩やかに回復しております。
しかしながら、米国の通商政策の影響による景気の下振れリスク、ウクライナ情勢の長期化や中東情勢の地政学的リスク、エネルギー価格・原材料価格の高止まり等、世界経済の先行きは依然として不透明な状況が続いております。
自然災害の激甚化・頻発化やインフラの老朽化への対応、二酸化炭素排出量の削減、防衛力増強等はわが国が直面する内外の重要課題です。建設産業界におきましては、2025年6月に「第1次国土強靱化実施中期計画」が閣議決定されました。これにより、2026年度から2030年度までの5年間におおむね20兆円強程度の事業が計画されており、国内公共事業を取り巻く環境は底堅く推移するものと予想されます。
こうした状況の中、建設コンサルタント及び地質調査業界として、しっかりと役割を果たしていく必要があります。当社グループは80年以上に亘って培ってきた技術を活かした調査、点検、診断、解析、対策工法検討・設計等の維持管理業務や予防保全業務に注力しています。さらに、地質リスクマネジメント技術を活かした提案力をもって、国土強靭化推進業務をはじめとする自然災害・防災関連等の業務、道路・下水道維持管理をはじめとするインフラメンテナンス業務、再生可能エネルギーや海洋資源開発等の関連業務に全社員協力一致のもと取り組みました。その結果、当連結会計年度の経営成績は、次のとおりとなりました。
受注高は131億87百万円(前期比11.9%増)、売上高は127億8百万円(前期比32.9%増)、営業利益は6億65百万円(前期比54.5%増)、経常利益は7億37百万円(前期比41.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は6億20百万円(前期比75.4%増)となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は10億66百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、14億59百万円の減少(前連結会計年度は7億66百万円増加)となりました。これは、売上債権の増加29億22百万円、税金等調整前当期純利益8億95百万円、未払費用の増加3億91百万円等があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、53百万円の増加(前連結会計年度は8百万円減少)となりました。これは、投資有価証券の売却による収入1億78百万円、有形固定資産の取得による支出1億17百万円、保険積立金の積立による支出19百万円等があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、6億60百万円の増加(前連結会計年度は6億91百万円減少)となりました。短期借入金の増加9億円、長期借入金の返済による支出1億2百万円等があったことによるものであります。
当社グループは、建設工事に関連する地質調査、土質調査を中心に環境・防災・海洋調査業務等を行い、これらに関連する測量、建設計画、設計等の業務および工事を営む単一セグメントであるため、対象物別で記載しております。
調査等の対象物別の生産実績を示せば次のとおりであります。
(注) 金額は、調査原価で表示しております。
調査等の対象物別の受注実績を示せば次のとおりであります。
(注) 金額は、販売価額で表示しております。
調査等の対象物別の販売実績を示せば次のとおりであります。
(注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
前連結会計年度(自2023年12月1日 至2024年11月30日)
国土交通省 1,552,045千円 16.2%
防衛省 1,325,122千円 13.9%
当連結会計年度(自2024年12月1日 至2025年11月30日)
国土交通省 1,677,630千円 13.2%
防衛省 3,922,857千円 30.9%
つがるオフショアエナジー 1,662,798千円 13.1%
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度末における総資産の残高は119億56百万円、純資産の残高は52億48百万円、現金及び預金の残高は10億97百万円となりました。自己資本比率は43.9%となりました。
「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 営業成績等の概要 (1) 営業成績」を参照願います。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 営業成績等の概要 (2) キャッシュ・フロー」に記載のとおりであります。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、協力業者への外注費のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金および金融機関からの短期借入および社債を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。
なお、当連結会計年度末における借入金、社債およびリース債務を含む有利子負債の残高は36億11百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は10億66百万円となっております。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しているとおりです。
当社グループの連結財務諸表の作成において、損益または資産の状況に影響を与える見積りの判断は、過去の実績やその時点での入手可能な情報に基づいた合理的と考えられるさまざまな要因を考慮した上で行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
また、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
繰延税金資産の計上にあたっては、将来の課税所得見込み及びタックスプランニングに基づき、繰延税金資産の回収可能性を検討しており、将来減算一時差異等のうち、将来の税金負担額を軽減する効果を有していると判断した部分についてのみ、繰延税金資産を計上しております。今後、課税所得が見込み通り発生しない場合には、繰延税金資産の回収可能性について再度検討する必要があり、その結果、繰延税金資産の取崩が必要となる場合があります。
その他有価証券で市場価格のない株式等以外のものについては、期末日の時価が取得価額に比べて著しく下落したものを減損の対象としております。将来、株式市況や投資先の業績が悪化した場合には、追加的な減損処理が必要となる可能性があります。
当社グループは、固定資産の減損の兆候を判定するにあたっては、グルーピングされた資産について、主要な物件については社外の不動産鑑定士による不動産調査価額により、その他の物件については路線価等に基づく正味売却価額により算定した回収可能価額及び会計基準に基づくその他判定基準により実施しております。減損の兆候が発生した場合には、将来キャッシュ・フロー等を見積もり、回収見込み額を測定して減損損失を計上する可能性があります。
① 当連結会計年度の連結財務諸表に計上した金額の算出方法
履行義務を充足するにつれて、一定の期間にわたり認識する売上高については、決算日までに発生した工事原価が工事原価総額に占める割合をもって決算日における工事進捗度を見積り、工事収益総額に工事進捗度を乗じて算出しております。
② 翌連結会計年度の連結財務諸表に与える影響
工事原価総額の見積りは、仕様の変更、外注費の変動、自然災害やパンデミック(世界的流行病)発生等による調査の中断、実行予算策定時に顕在化していなかった事象の発生等の様々な要因により変動する可能性があり、その結果、翌連結会計年度の連結財務諸表において、履行義務を充足するにつれて、一定の期間にわたり認識する売上高の金額に重要な影響を与える可能性があります。
当社グループは、従業員等の退職給付に備え、当連結会計年度末における退職給付債務及び年金資産の見込み額に基づき退職給付に係る負債を計上しておりますが、国債利回り等変動により割引率や期待運用収益率の変更が余儀ない場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表に影響を与える可能性があります。
該当事項はありません。
当社グループの調査コンサルタントとしての業務は、その全てが高度な技術力によって支えられており、その向上と新分野、新技術の開発は不可欠なものであります。この為当社は、地盤に関連した広範囲な課題に対する最適なソリューションを提供することを目的として、国、独立行政法人、大学等の研究機関ならびに民間の研究機関との連携による共同研究開発を積極的に進めており、当連結会計年度の研究開発費の執行状況は