当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
企業は社会的な存在であります。当社は社会に受け入れられる高品質の製品と最高のサービスを提供し、顧客の満足を得ることに全力を尽くしてまいります。同時に事業を通じて持続可能な社会の実現に貢献してまいります。また、地域社会の一員として教育文化等地域社会の発展に役立つ活動を積極的に支援してまいります。これらを実現するために、先進の研究開発と新分野の確立に挑戦する研究開発型企業を目指し、自主的な成長発展を図ってまいります。
また、適正な利益を確保し、会社の成長発展の原資とするとともに、株主、社員そして社会へ還元したいと考えております。
(2)目標とする経営指標
当連結会計年度には、資本コストの見直しを含む経営指標の再定義を行い、株主資本コストの推計値を従来の7%前後(6~8%)から10%前後へと引き上げました。この見直しに伴い、自己資本当期純利益率(ROE)の目標を従来の10%以上から15%以上へと改定し、資本収益性向上を重要な経営課題として認識しました。具体的な目標として、「売上高営業利益率20%」、「海外売上高比率70%以上」、及び「自己資本当期純利益率(ROE)を2030年までに15%以上とすること」を設定しました。
これらの目標を達成するため、新製品投入による新市場の開拓や海外市場の拡大を通じた売上高の増加、さらに経営効率の向上に注力しました。また、ROEの構成要素である売上高当期純利益率と総資産回転率の改善を目的に、各部門の事業計画と連動した取り組みを進め、全社的な努力を重ねてきました。
目標達成状況としては、「売上高営業利益率20%」に対する当連結会計年度の実績は16.8%であり、目標には届きませんでした。また、「ROE15%以上」の目標に対して、実績は13.0%と未達でした。同様に、「海外売上高比率70%以上」の目標に対しても、実績は63.6%に留まりました。しかしながら、海外売上高は257億94百万円に達し、前年度の247億83百万円を上回り、過去最高水準を維持するなど一定の成果を挙げることができました。
さらに、目標達成に向けての経営指針として、連結貸借対照表(B/S)に関する新たなガイドラインを設定しました。具体的には、連結貸借対照表上に占める「現金及び預金」の比率を20%以内に収めることを目指し、当面は年間平均で25%~30%以内に管理する方針を定めました。また、当社の最適資本構成を考慮し、加重平均資本コスト(WACC)最小化を目指しつつ、連結自己資本比率を60%前後とすることを目標に掲げ、当面は70%前後に管理する方針です。
(3)中長期的な会社の経営戦略
当社は創業以来、「HIOKIの理念」である「人間性の尊重」と「社会への貢献」をベースに産業のマザーツールと呼ばれる電気計測器の開発、生産、販売・サービスを事業としてまいりました。
現在、持続可能な社会の実現に向け「脱炭素化」が叫ばれ、世界規模で「化石燃料から再生可能エネルギーへのエネルギー源転換」という大きな変革が起きています。
このような社会の変化に対し、当社は2030年までの長期経営方針「ビジョン2030」を策定し、取り組みを進めてまいりました。このビジョンに基づき、これまで培ってきた電気計測のノウハウと海外販売会社を中心にグローバル展開している顧客密着型の課題解決スタイルによって、あらゆる産業の脱炭素化及び電動化シフトを後押ししてまいります。
電気を安全に供給し、エネルギーを有効に活用するために、「測る」という計測ソリューションから、新たな検査や試験の基準を創出し提供することで、顧客と共に持続可能な社会の実現に取り組んでまいります。
各分野における取り組みは以下のとおりです。
研究開発面におきましては、顧客に密着し顧客の要望をいち早くつかみ、他社にないオンリーワンの製品を提供することを目指してまいります。また、将来の需要を見越して研究開発を進め、新しい価値を顧客に提案することにより新分野の確立を目指してまいります。
販売面におきましては、グローバル化の方針のもと、中国、韓国、台湾、東南アジア、インドを中心にアジア地域を最重要ターゲット市場として開拓するとともに、米国市場及び欧州市場の開拓も積極的に進め輸出を強化してまいります。
生産面におきましては、品質の向上及びコストダウンを進め、国際市場において活躍できる製品づくりを目指してまいります。また、競合他社に対する優位性の一つとして、短納期化を進めてまいります。
また、当社はコーポレート・ガバナンスを経営戦略の重要な柱の一つと考えており、コーポレート・ガバナンスを企業価値向上のための経営体制の確立と認識しております。コンプライアンスを最重要視し、経営の効率化に取り組み、適正な利益を確保すると同時に、経営情報の積極的な開示により経営の透明性を高め、株主(投資家)、顧客、社員等全てのステークホルダーに対して、その社会的な責任を果たしてまいります。
(4)経営環境及び対処すべき課題
世界経済は、当連結会計年度においても地政学的リスクの高止まりや米国の政策不確実性の高まり、一部通貨のボラティリティの高まりなどの影響で、不透明な状況が続きました。一方で、主要国による利下げを含む広範な金融緩和が景気の底割れを防ぎ、地域によっては回復の兆しが見え始めております。脱炭素化の世界的な潮流は、企業の設備投資を牽引し、2025年のクリーンエネルギー関連投資は過去最高水準に達すると見込まれております。また、自動車の電動化がさらに進展し、EVの普及が進んでおります。この変化に伴い、電源技術には高効率化が求められ、小型・軽量化が進む一方、コスト削減や信頼性確保が次の焦点となっております。
当社グループは、この市場変化を大きなビジネスチャンスと捉え、新たな顧客価値を創造し、独自のセンシング技術をより高めるとともに、培ってまいりました計測技術を組み合わせ、高付加価値製品を提供してまいります。海外販売子会社を通じてHIOKIブランドを浸透させ、売上高を伸長させるとともに、世界中のお客様に安心して当社製品をお使いいただくためのグローバルアフターサービス体制の構築に引き続き取り組んでまいります。また、「海外売上高比率70%以上」を目標に、特定の地域に依存しない売上高構成を目指してまいります。従来から生産能力の強化に努めてまいりましたが、生産の増大に対処しつつ、棚卸資産を適正な水準に保ち、生産体制の最適化と生産性の向上を図ってまいります。さらに、サステナビリティ基本方針に基づき、グループ一体となってサステナビリティ活動を推進すると同時に、情報セキュリティの向上やデジタルトランスフォーメーションに向けた取り組みも進めてまいります。
現在、インフレーションの影響により売上原価が増加しており、また、DX推進に伴う計画的な投資などにより販売費及び一般管理費も増加しておりますが、次期も製品価格の見直しを機動的に行い、収益性の改善を図ってまいります。
当社は、自社の株主資本コストを7%前後(6~8%)と推計しておりました。その後、株主・投資家との間で資本コストや資本収益性について対話を重ね、その対話内容をもとに経営会議及び取締役会で議論してまいりました。それを踏まえ、2024年8月に当社は、自社の株主資本コストの推計値を10%前後といたしました。これを受け、当連結会計年度から目標とする経営指標を「自己資本当期純利益率(ROE)15%以上」にいたしました。引き続き、保有する資本を有効に経営に投下し、売上高当期純利益率と総資産回転率を一層高め、10%前後と推計する株主資本コストを上回るROEを実現してまいります。また、「売上高営業利益率20%」につきましても、引き続き目標の達成を実現してまいります。
こうした取り組みのもと、2030年までの長期経営方針「ビジョン2030」の施策を通じ社会に貢献すると同時に、継続的に成長発展できる体制を構築してまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりです。
なお、文中の将来に関する情報は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
また、当社は気候変動、人的資本及び多様性、自然資本や生物多様性を当社グループにおける重要なサステナビリティ項目と認識しております。
(1)サステナビリティ、気候変動、人的資本及び多様性に関するガバナンス
① 取締役会による監視体制
当社及び子会社は、サステナビリティ、気候変動、人的資本及び多様性、自然資本や生物多様性等(以下、「サステナビリティ等」と記載)様々なリスクに対するリスクアセスメントと未然防止手続、及び発生した場合の対処方法等を定めた「リスク管理規程」と「危機対応規程」を制定しております。当社の代表取締役社長は、リスク管理・危機対応責任者として当社及び子会社のリスク管理・危機対応を総括しております。当社の各部門及び子会社は、当該規程に従って業務を遂行し、企業集団全体のリスクの回避と損失の軽減に努めております。
当社の各部門及び子会社は、年に一度リスクアセスメントを実施し、必要に応じて適切な措置を講じることとしております。リスクアセスメント結果は当社の経営会議で毎年度評価し、リスク管理者である総務本部長がその内容を取締役会に報告することにしております。重要な事案は、取締役会で改善策を審議し決定することとしております。
また、サステナビリティ等の問題が当社の事業及び業績に与える影響について、社長以下の経営陣幹部は少なくとも年に1回、また必要に応じて適宜取締役会に報告し、取締役会による監督を受けております。また外部環境が当社の経営に大きな影響を与えていることを考慮しながら、当社取締役会は経営戦略、中期経営計画、事業計画、リスク管理等の重要な意思決定を行っております。
当社は取締役会(議長:代表取締役社長)での議論を経て、サステナビリティ基本方針とHIOKIサステナビリティ宣言を定め、自社における脱炭素化に向けた取り組みを進めております。脱炭素化に向けた取り組みの進捗については、サステナビリティ推進担当の役員及び部署が適宜報告し、取締役会の監督を受けております。
② 経営者の役割
当社はサステナビリティ推進を重要な経営課題と考えております。2022年1月からはサステナビリティ推進の責任者を置き(現在の責任者は取締役専務執行役員総務本部長生産管掌)、当社グループのサステナビリティに関する取り組みを推進しております。また、総務本部経営企画部をサステナビリティ推進担当の部署とし、管理職級の社員を含め複数の専任者を配置しております。また、人的資本及び多様性に関しては執行役員総務本部グローバル人事部長DE&I推進担当を責任者とし、総務本部グローバル人事部を人的資本及び多様性担当の部署としております。当該責任者及び部署は、経営会議を通じて必要な施策を立案しております。また適宜取締役会に報告し、必要な監督を受けております。また、サステナビリティ等に関する課題を重要なリスクと認識しており、当該責任者及び当該部署を中心にリスク管理と危機対応を行っております。
(2)気候変動に関する戦略について
組織が識別した気候変動の機会
脱炭素化の取り組みは、米国では政策の一部見直しにより短期的な動きの鈍化がみられるものの、欧州、アジアでは関連法制が施行段階にあり、潮流そのものは継続すると考えられます。短期的に資源供給の制約や地域差が一部市場に影響を及ぼしておりますが、中長期的には政府方針と企業戦略が牽引し、設備投資の拡大が期待されております。自動車の電動化はさらに加速しており、電源技術では高効率化や高密度化、小型・軽量化が引き続き重要な課題です。これに伴い、バッテリー技術やパワー半導体の開発、充電インフラ整備が進展し、長期的に堅調な投資環境が維持される見込みです。世界的なEVシフトが継続し、急速充電技術やインフラ市場も拡大しております。さらに、航空機の電動化や省エネルギー技術の高度化も加速しており、こうした動きはカーボンニュートラル社会の実現に向けた重要な一歩となると考えられます。ウクライナ情勢は再生可能エネルギーへの関心を高める要因となり、2026年もその影響は続く見通しです。日本では、水素基本戦略の改定を背景に太陽光や水素エネルギーの導入が進み、これらを支える蓄電池市場も成長が期待されております。再生可能エネルギーの普及は、世界的なエネルギー転換において重要な役割を果たすことが期待されます。そして、データセンター建設ラッシュにより、電力品質監視や効率改善を目的とした電気計測の需要拡大が見込まれます。こうした世界各国の取り組みを受け、当社電気計測器の需要は中長期的に高い状態で推移することが予測されており、当社にとって重要な機会と認識しております。
当社が重要市場と位置づけるバッテリー市場に向けた取り組みとしては、電池サプライチェーン(電池の材料、部品及びその原料に関わる産業)の国際競争力強化を推進する団体「電池サプライチェーン協議会(以下、「BASC」)」に加入いたしました。BASCは2021年4月1日に一般社団法人として設立された、脱炭素社会実現に向けて電池サプライチェーンの国際標準化や電池エコシステム構築等の活動をする団体であります。
また、昨今CO2を排出しないクリーンなエネルギー源の一つとして水素エネルギーが注目されております。当社は水素エネルギー分野に向けた先行開発とソリューション提供強化のため、「水素エナジーソリューション」チームを発足させ活動してまいりましたが、水素ビジネス事業を強化するため、水素エナジーソリューション課を新設し、市場開拓を進めてまいりました。こうした取り組み強化の結果、当社は水電解装置や膜電極接合体のインピーダンス計測をするシステム「ALDAS-E」を、一般財団法人電力中央研究所から受注いたしました。
当社の長期経営方針「ビジョン2030」では「世界のお客様と共に持続可能な社会を実現する」ことをミッションとしております。当社は取締役会の監督を受け、研究開発資源を、代替・再生可能エネルギーへの転換、電気エネルギーの有効利用、及びデジタルトランスフォーメーションに集中し新たな電計計測ソリューションを展開しております。
気候関連のリスクにつきましては、サステナビリティ推進担当の責任者及び部署により、その内容と財務的影響の特定に取り組んでまいりました。現時点で当社が把握する、気候関連のリスク及び機会がもたらすビジネス・戦略・財務に及ぼす影響は次のとおりであります。
気候関連のリスク及び機会がもたらすビジネス・戦略・財務に及ぼす影響
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リスク/機会の分類 |
時間軸 |
説明 |
対応策 |
リスク/ 機会の 影響度 |
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移行 リスク |
政策・ 法規制 |
国内:中期 ~長期 ~中期 |
各国の脱炭素化に向けた動きが活発になる中、炭素税導入によるエネルギーコスト、部品コスト、製造コストの高騰が予想される。 |
当社は2022年より段階的に社用車のEV化やCO2フリー電力の採用を積極的に行い、GHGプロトコル スコープ1、2に備えてきたが、さらなるエネルギーコストの高騰に備えて、2023年から段階的に本社駐車場のソーラーカーポート化へ投資を行った。 本社南側社員駐車場約23,000㎡の敷地に設置される2MWのソーラーカーポートと2MWhのリチウムイオン蓄電設備により、現時点で本社で利用する電気の約40%を賄っている。 その後も中長期的に自社内で使用する電気は自社で賄えるように投資を続けていく。また、サプライチェーン全体でGHG削減に取り組んでいく。 本社建物の省エネルギーを推進するための投資を行う。 |
大 |
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技術 |
国内:長期 |
顧客の省エネへの要求が急増する中、当社製品における省エネへの要求もまた増えている。顧客の省エネニーズに対応できなくなることで、売上高減少のリスクが予想される。 |
当社は連結売上高の10%を目途に研究開発投資を行っている。昨今の課題を解決するため、製品の省エネ化とIoT化へ引き続き投資を続ける。 これによりGHGプロトコル スコープ3のカテゴリ11とカテゴリ12に貢献できるように進めている。 これに加えて長寿命部品の採用や低消費電力の部品の採用により、製品の生涯利用期間の延長やメンテナンスフリー化等も検討していく。 |
中 |
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市場 |
国内:短期 海外:短期 |
再生可能エネルギーの利用進展等により希少金属等の需要が高まり、原材料の調達コスト増加が危惧されている。 |
当社売上高の10%をソフトウエア製品へ転換することにより、鉱物資源を使わない製品ソリューションやサービスの展開を進めていく。 これに加えて、サーキュラーエコノミーの検討により、製品及び資源の再利用を図っていく。 |
大 |
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評判 |
国内:短期 海外:短期 |
脱炭素社会に対して、企業が責任ある行動を取っているかについて、ステークホルダーからは第三者による客観的な評価や認証が求められており、これらに対応できない場合、当社の評価が低下するリスクが予想される。 |
2023年から段階的にGHGプロトコル スコープ1、2、3における第三者認証を実施していく。以下の検証範囲で第三者検証意見書を取得済。 ≪検証範囲≫ 検証対象:スコープ1、スコープ2、スコープ3カテゴリ1(購入した製品・サービス)、2(資本財)、3(スコープ1、2に含まれない燃料及びエネルギー活動)、5(事業から出る廃棄物)、6(出張)、7(雇用者の通勤)、11(販売した製品の使用) 対象期間:2024年1月1日~2024年12月31日 対象範囲:スコープ1及びスコープ2(日本国内含めたグローバル拠点の一部を対象) スコープ3カテゴリ1(グローバル拠点全体の評価に拡大) カテゴリ11(製品の消費電力) これに加えて、2021年より実施しているEcoVadis社による評価を開示。 2023年はCDPに対する回答を実施。FTSEの評価結果も参考にして、更なる対応と情報の開示をしてきた。 |
中 |
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物理 リスク |
急性 |
国内:長期 海外:長期 |
台風・竜巻・洪水等による、本社・支店・販売子会社の被害発生リスクは現在小さいが、中長期的には大きくなることが予想される。仮に台風や洪水等の水害が発生した場合、営業停止による機会損失や被害復旧に伴う費用増大が予測される。 |
ハザードマップにより、本社・支店・販売子会社の安全確保等に努めていく。これに加えて支店・販売子会社の移転、新設等に関してはハザードマップを参照し、リスクの少ない地域を候補としていく。 今後はサプライチェーンにまで対象を広げ、リスクの確認を行う。 株式会社ウェザーニューズによる財務への影響度の算出と検証を進め、検証対象として抽出した海外販売子会社の拠点における財務リスクは他社の平均リスクに比べて低いことが判明。 |
小 |
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慢性 |
国内:長期 海外:長期 |
海面上昇における本社・支店・販売子会社の被害発生リスクは現在小さいが、中長期的には大きくなることが予想される。 |
海面が上昇すると、水没する可能性のある支店・販売子会社が存在する。長期的には海面上昇が少ない地域への移転やビルの高層階への移転も検討する。 株式会社ウェザーニューズによる財務への影響度の算出と検証を進め、検証対象として抽出した海外販売子会社の拠点における財務リスクは他社の平均リスクに比べて低いことが判明。 |
小 |
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機会 |
エネルギー源 |
国内:短期 海外:短期 |
エネルギーコスト高騰における省エネ/再エネの要求が加速していく。それに伴い、当社の電気計測器に対する需要が高まることが予想される。 |
当社は、電力測定やIoTソリューションにより、省エネ/再エネの測定及びメンテナンス機器の需要が増えている。 今後も、顧客に寄り添った開発を続けていく。 |
大 |
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製品及びサービス |
国内:長期 海外:中期 |
自動車のEV化が進み、それに伴い、高効率モーターやバッテリーへの要求が加速していく。 当社は、バッテリーサーキュラーエコノミーの考え方により、そのプロセスに応じた計測ソリューションが可能となっている。 |
当社は、高効率モーターの測定、バッテリーにおける計測ソリューションの全てを有している。今後も新しい技術をキャッチアップし、製品開発に活かしていく。 社会において再エネ化、省エネ化、IT化が進展することで、当社のコスト削減に繋げることができる。 |
大 |
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市場 |
国内:中期 海外:中期 |
脱炭素社会の進展に伴い、新市場及び新技術が生み出される機会が増える。こうした変化に対応することで当社のビジネスチャンスが生まれる。 |
市場情報のキャッチアップと新市場開拓のため、2022年社内に水素エナジーソリューションチームを発足(2024年5月1日付で同チームを課として組織化)。これに加えて水素バリューチェーン推進協議会へ参加し、新たな市場構築のため開発を続けていく。 |
中 |
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レジリエンス |
国内:短期 海外:短期 |
脱炭素社会に対して資源の代替の多様化が急務となっている。資源代替の多様化への対応を進める中で、当社のレジリエンスが強化される。 |
当社はGHG排出量削減に向け、2023年から段階的に本社駐車場のソーラーカーポート化へ投資を実施中。これにより、自立電源の確保に向けた取り組みが進み、当社におけるBCP強化に繋がる。 脱プラスチックに向け、再生プラスチック、バイオプラスチックの採用を段階的に増やしている。 |
中 |
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(3)人的資本及び多様性に関する戦略について
多様性確保に向けた人材育成方針として当社は「人事ポリシー」及び「社員教育指針」を設けております。
「人事ポリシー」では、社員を長期的・継続的に育成することにより将来的に新たな価値の創造を期待される存在と位置づけ、社員の育成に投資をする旨定めております。
当社では、「人事ポリシー」に従って、多様性確保に向けた社内環境を整備していく方針であり、次のような取り組みを行っております。
① 働きがいを感じ能力を発揮しながら定年まで長く働ける環境を提供する旨を方針としております。
② 個人や業務の状況に応じて働く時間を選択できるフレックスタイム制度や働く場所を選択できる在宅勤務制度を設けております。
③ 法定要件を上回る水準の育児介護休業制度を設けております。
④ 結婚や育児介護、配偶者転勤などに伴う帯同などを理由に当社を退職した正社員を再び正社員で雇用するジョブリターン(再雇用)制度などを設けております。
さらに当社グループ全体を横断してDE&Iを積極的に推し進めていくことを目的に2023年1月1日付でDE&I推進担当に執行役員人事部長(現:執行役員総務本部グローバル人事部長)を任命いたしました。また、2023年6月1日付でDE&Iガイドラインを策定いたしました。
※DE&I:Diversity,Equity&Inclusion
「社員教育指針」では、社員一人ひとりが自らの職業ビジョンを持ち、潜在能力を常に開発しながら自律した職業人として職業人生を営むことを通じ、当社の永続的な成長発展と社員の働きがいの向上を追求する旨定めております。この実現のため、当社管理職は部下の自主性を尊重しつつ能力開発の機会を積極的に与え部下の育成を図る役割を担っており、当社はその役割実現に向けた環境整備及び社員の監督、支援を行っております。また、社員のキャリア形成を支援するため、社内外の資格保有者も含むキャリアコンサルタントによるキャリア相談制度を設けると同時に、30代~60代にかけて各世代別に希望者を対象としたキャリア研修を実施しております。さらに、社員の自主性を尊重したキャリア形成を促進するため、社内ベンチャーや異動、プロジェクトに関する公募制度を導入しているほか、自己啓発費用を支援する制度を設けております。
(4)サステナビリティ、気候変動、人的資本及び多様性に関するリスク管理
サステナビリティ、気候変動、人的資本及び多様性に関するリスクの識別・評価・管理
当社及び子会社は、サステナビリティ等の様々なリスクに対するリスクアセスメントと未然防止手続、及び発生した場合の対処方法等を定めた「リスク管理規程」と「危機対応規程」を制定しております。当社の代表取締役社長は、リスク管理・危機対応責任者として当社及び子会社のリスク管理・危機対応を総括しております。当社の各部門及び子会社は、当該規程に従って業務を遂行し、企業集団全体のリスクの回避と損失の軽減に努めております。
当社の各部門及び子会社は、年に一度リスクアセスメントを実施し、必要に応じて適切な措置を講じております。リスクアセスメントでは当社の各部門責任者と子会社社長に対してリスクとして認識している項目及び損失への影響(人的被害、金額、頻度等)を挙げさせ、その結果を点数化し重要度合を判断しております。この結果を踏まえ、リスク管理を主管する当社総務本部は部門責任者と子会社社長へのヒアリングを必要に応じて実施し、気候変動リスクを含む各リスクの抽出に不足がないか確認することとしております。また、同時に各リスクに対する対応方法を確認することとしております。
各部門と子会社に対するリスクアセスメント結果は当社の経営会議で毎年度評価し、他のリスクと比較したサステナビリティ等のリスクの相対的重要性を決定することとしております。リスク管理者である総務本部長はその内容を取締役会に報告し、必要な監督を受けることにしております。重要な事案は、取締役会で改善策を審議し決定することにしております。
(5)気候変動に関する指標及び目標について
評価・管理に使用する指標と目標
当社はHIOKIサステナビリティ宣言を定め、自社における脱炭素化に向け、以下の目標に基づき取り組みを継続しております。
・2025年(創業90周年) スコープ1、スコープ2のカーボンニュートラルを達成
・2035年(創業100周年) スコープ3のカーボンニュートラルを達成
2024年度のCO2排出量算定を2025年に行い、投資対応型のカーボンニュートラルを達成いたしました。また、2025年度のCO2排出量算定においても、2024年度と同じ算定ロジックで算出したところ、カーボンニュートラル達成が見込まれております。詳細は2025年12月15日に当社ウェブサイトに開示したお知らせ
スコープ3は、2035年までの目標に向け、できる限り排出権取引に頼らずカーボンオフセットを実現する方針です。
この一環として本社敷地内に発電容量2MWのソーラーカーポート(カーポート型太陽光発電設備)と2MWhのリチウムイオン蓄電設備を導入することを決定いたしました。2023年9月に着工し、2025年に完成いたしました。これにより、本社で利用する電気の約40%を自社で賄っております。
当社は今後並行して、たゆまぬ省エネルギー活動(運用改善、設備更新)と本社建物の省エネルギー、ZEB化を推進していく方針です。
当社は2025年7月に発行した
(6)人的資本及び多様性に関する指標及び目標について
当社は、女性・外国人・中途採用者の中核人材の登用について目標を定めており、当社グループにおいて取り組みを強化しております。
外国販売を担当する連結子会社においては、現地採用者の中核人材への登用を積極的に進めております。当社グローバル人事部の支援のもと、現地の価値観や労働慣行をベースに社員が働きがいを感じながら自主的に成長できる人事、教育制度を導入すると同時に、働きやすい職場環境、福利厚生制度を提供しております。この結果、現地採用者の定着率も向上し、子会社における管理職に登用される人材も増えてきております。また、営業部門、管理部門を問わず、女性の管理職数も増えております。
こうした取り組みを進めるなかで、米国、中国、韓国及びインドネシアの連結子会社では現地採用者を社長(中国では総経理)に登用いたしました。今後は連結子会社間の人的交流を促進し、同時に当社と連結子会社との間の人的交流も促進してまいります。この方針のもと、過去にはシンガポールでの現地採用者を米国子会社社長に登用(その後、当該社員を2023年10月1日付で当社の執行役員に登用)、2022年1月1日付で中国子会社の総経理(現地採用者)を当社の執行役員に登用いたしました。
なお、女性・外国人・中途採用者の中核人材の登用について目標と実績は次のとおりであります。
女性・外国人・中途採用者の中核人材の登用についての考え方とその目標及びその状況
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多様性確保についての考え方 |
目標値 (管理職登用数) |
実績値 (管理職登用数) |
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女性 |
「人間性の尊重」の企業理念に従い、人種・性別・国籍・信条・身体的条件などを理由に差別行為を行わないことを定めた「社員行動規範」に基づき、採用活動を行っております。 また、人事ポリシー及びDE&Iガイドラインを定め、人材の考え方の一つとして、年齢、性別、国籍など属性的条件、価値観やライフスタイルなどの思考的条件によらず、多様性を尊重します。 社員教育指針に基づき、社員の自助努力で能力の伸長を促すと同時に、社員の自主性を尊重しつつ能力開発の機会を積極的に与え部下の育成を図ることを通じて、積極的に管理職に登用してまいります。 |
過去3か年の平均実績同等、又はそれを上回る登用を目指しております。 |
2022年:0人 2023年:1人 2024年:2人 2025年:4人 |
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外国人 |
同上 |
同上 |
2022年:2人 2023年:1人 2024年:2人 2025年:4人 |
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中途採用者 |
人事ポリシーにおいて採用の方向性として、新卒を安定的、継続的に採用すること、また、経営戦略達成のため、能力、専門性の高い人材のキャリア採用も行う旨定めております。 社員教育指針に基づき、社員の自助努力で能力の伸長を促すと同時に、社員の自主性を尊重しつつ能力開発の機会を積極的に与え部下の育成を図ることを通じて、積極的に管理職に登用してまいります。 |
同上 |
2022年:3人 2023年:1人 2024年:1人 2025年:6人 |
(7)自然資本や生物多様性に関するガバナンス、戦略、リスク管理、指標及び目標について
① 自然関連リスク・機会に関する考え方(TNFD対応)
当社は、自然資本及び生物多様性が事業の持続可能性及び中長期的な企業価値に重要な影響を及ぼすとの認識のもと、TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)提言に基づく情報開示のため、LEAPアプローチを基軸にENCOREによる分析を行いました。電気計測器の開発・製造・販売・サービスを主たる事業とする当社は、事業活動による自然への直接的な負荷は限定的である一方、地域自然との関係性を通じた依存及び影響が存在すると認識しています。
② ガバナンス
自然関連課題については、取締役会の監督のもと、経営企画部を中心に全社的な管理体制を構築しています。自然資本・生物多様性に関する重要事項は、サステナビリティ推進の一環として経営会議及び取締役会へ報告され、方針決定及び進捗管理が行われています。
③ 戦略(依存・影響・リスク・機会)
当社はTNFDが提唱するLEAPアプローチ(Locate,Evaluate,Assess,Prepare)を参照し、以下の観点から分析を実施しています。
a. Locate
主な自然資本との接点として、自然環境の保全に積極的に取り組んでいます。
・長野県上田市「HIOKIフォレストヒルズ(約13.28ha)」の内約3.68haが地域生物多様性増進法における自然共生サイトに認定
・一般財団法人HIOKI奨学緑化基金における森林(もり)の里親促進事業における苗木の寄付及び植樹活動、及び「にぎやかな森プロジェクト」への参画による上田地域周辺のSGEC認証森林への植樹活動
・NPO法人信州草原再生への参画と近隣のため池及び希少植物保護活動
b. Evaluate/Assess
生態系サービス(CO2吸収、生物多様性保全、水質浄化等)への依存及び影響を評価した結果、重大な負の影響は確認されていない一方、外来種や気候変動による生態系劣化といった自然関連リスクを認識しています。
c. Prepare
これらのリスクに対し、継続的な保全・モニタリング活動を通じて対応するとともに、本社所在地であるHIOKIフォレストヒルズの「保護地域以外で生物多様性保全に資する地域(以下、「OECM」(OECM:Other Effective area-based Conservation Measures))」・30by30登録を活用した自然共生の取り組みを企業価値向上の機会と位置付けています。
④ リスク管理
自然関連リスクは、既存の全社的リスク管理プロセスに統合され、定性的・定量的評価を年1回実施しています。評価結果は、気候関連リスク(TCFD)と合わせて経営判断に活用されています。
⑤ 指標と目標
当社は現時点において、自然関連リスクが財務に与える影響は限定的であると評価していますが、以下の指標を用いてモニタリングを行っています。
・自然共生サイト(OECM)登録面積:約3.68ha
・生物多様性保全活動の継続状況
・水使用量及び水質の法令適合状況
今後はTNFDの国際動向や制度整備の進展を踏まえ、定量指標及び目標設定の高度化を検討していきます。
詳細な分析結果は2026年7月に発行する統合報告書2026にて開示します。
当社及び子会社は、様々なリスクに対するリスクアセスメントと未然防止手続及び発生した場合の対処方法等を定めた「リスク管理規程」及び「危機対応規程」を制定しております。当社の代表取締役社長は、リスク管理・危機対応責任者として当社及び子会社のリスク管理・危機対応を総括しております。当社の各部門及び子会社は、当該規程に従って業務を遂行し、企業集団全体のリスクの回避と損失の軽減に努めております。
当社の各部門及び子会社は、年に一度リスクアセスメントを実施し、適切な措置を講じております。この結果を踏まえ、リスク管理を主管する当社の総務推進部は必要に応じて部門責任者と子会社社長へのヒアリングを実施し、各リスクの抽出に不足がないか確認することとしております。また、同時に各リスクに対する対応方法を確認することとしております。
当社の各部門及び子会社に対するリスクアセスメント結果は当社の経営会議で毎年度評価しております。リスク管理者である当社の総務本部長はその内容を取締役会に報告し、必要な監督を受けることとしております。重要な事案は、取締役会で改善策を審議し決定することとしております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性があると認識している主要なリスクは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等に与える定量的な影響については、合理的に予測することが困難であると考えており、記載しておりません。
(1)人材に係るリスク
当社グループの成長の源泉は、企業理念に共感し自己成長する国内外の社員であります。当社グループは「業界のフロントランナーとして『測る』を進化させ続け、世界のお客様と共に持続可能な社会をつくるソリューションクリエイターになる」ことをビジョンに掲げており、人事制度を不断に見直し、社員が自律的に働ける環境を整備しております。現在、グループ各社で人材を採用するとともに教育と訓練による育成をしておりますが、計画どおり進められないリスクがあり、その場合当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
(2)人権に係るリスク
当社グループは、社員行動規範及び資材調達基本方針に基づき事業活動における人権尊重の取り組みを推進しております。また、グループ各社の社員を対象にコンプライアンス、人権に関する啓発活動を継続的に実施するとともに、グループ各社の社員を利用対象とする内部通報制度を運営しており、人権侵害が疑われる行為があった際に適切に対処ができる仕組みを導入しております。また、今後サプライチェーンを含めた人権尊重の取り組みを強化していく方針であります。しかしながら、当社グループにおいて人権侵害等の事象が発生した場合、社会的信用の喪失、顧客との取引停止、損害賠償責任の発生等により当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
(3)設備投資動向に係るリスク
当社グループは、電気測定器の開発、生産、販売・サービスを行っております。製品のユーザーは主として製造業であり、業種としては電機関係を中心に自動車、電子部品、環境・新エネルギー等多岐にわたっております。そのため、当社グループの売上高は、基本的には製造業の設備投資動向に影響を受けやすい傾向にあります。
当社は研究開発型企業であり、新分野に製品を投入し売上高の拡大を図っております。また、グループ各社とともに各地域及び各業種の市況や設備投資動向を常時注視し、必要な施策を迅速に講じております。しかしながら、金融市場の不安定化を含む各種の要因で、当社の予測を超える製造業の設備投資動向の変動が生じた場合、当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
(4)海外売上高に係るリスク
輸出強化の方針のもと、米国、中国、シンガポール、韓国、インド、ドイツ、台湾、インドネシア、タイ、アラブ首長国連邦、ベトナムに子会社を設立し、海外市場の開拓に注力してまいりました。その結果、海外売上高比率は、2025年12月期は63.6%(2024年12月期は63.1%)になりました。
欧米地域の売上高伸長に向けた施策を継続して実施しておりますが、現在は特に中国を中心とするアジア地域の構成比率が高く、今後当該地域の地政学的リスク、経済動向や各国における様々な法規制が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、海外売上高の増加に伴い、大幅な為替変動が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)品質に係るリスク
当社グループは、国内外の幅広い業種の顧客に対して電気測定器を提供しております。当社グループは、製品の生産に当たり、設計管理・工程管理・各種評価試験・仕入先など協力者への監査や指導等を通じ、開発段階から出荷に至る全ての段階で品質の作り込みを行う品質保証体制の整備に努めております。
しかし、当社の想定を超える事故が発生する可能性は否定できず、品質に関わる重大な問題が起こった場合には、多額の損害賠償金等の費用の発生や売上高の減少等により、当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
(6)サプライチェーンに係るリスク
当社グループは、原材料の購入から生産、販売までの一連の流れにおいて最適なサプライチェーンの構築に取り組んでおります。
当社グループは、バッテリー、デバイス、インフラ等の重点市場及び幅広い市場の顧客ニーズに適時にお応えするため、多品種少量・変種変量生産を可能とする生産体制を構築するとともに、アフターサービス体制の充実を図っております。そのため、当社グループにおいては、原材料の安定的な調達が不可欠であります。主要原材料は電気・電子部品及びレアメタルを含む金属、プラスチック等の材料部品であり、電子回路部品については半導体市場の動向によって需給が大きく変化し、そのスピードが速いことが特徴となっております。半導体部品を中心とした部品価格の高騰は落ち着きを見せ、様々な在庫低減に向けた取り組みを進めた結果、棚卸資産の残高は減少いたしましたが、依然として適正な水準には至っていない状況です。また、金属材料部品、プラスチック材料部品については原材料価格、原油価格及び為替変動の影響を受けております。
当社グループは、調達先と緊密なコミュニケーションを取り、材料部品の供給不足による生産停止を招かないよう安定的な調達活動を進めております。さらに、コストダウン努力及び製品の高付加価値化により原材料価格、原油価格及び為替変動が業績に与える影響を解消していく方針でありますが、今後これらの原材料の需給状況及び価格が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
さらに米国の関税政策の長期化が世界貿易の停滞とサプライチェーンの混乱を招く可能性があり、今後これらの原材料の需給状況及び価格が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは、海外の顧客に対して空輸を中心として電気測定器を出荷、輸送しております。輸送に関する費用は、市場の需給及び原油価格等の影響を受けております。
当社グループは、効率的な物流体制の構築及び物流コストの低減に努めていく方針でありますが、今後輸送に関する需給状況及び価格が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(7)設備投資計画に係るリスク
従来当社グループの設備投資は研究開発及び生産の合理化等に関連した更新投資が中心でありました。しかしながら、より一層の研究・開発効率の向上と技術革新の推進を目指し、研究棟(2015年3月竣工)を建設し、それ以降、高額な実験研究設備への投資を積極的に進めております。また、増大する受注に対応するため本社工場の増床・増築工事と動線改善のための投資をするとともに、本社工場から約2kmに立地する土地建物を取得し、2024年7月に上田第二工場として稼働いたしました。
当該設備投資は当社グループの事業拡大に寄与するものと認識しておりますが、従来の設備投資と比較すると多額なものであることから、場合によっては当該設備投資に係る減価償却費負担の増加等により当社グループの業績圧迫要因となる可能性があります。
(8)競合に係るリスク
現在、脱炭素化に向けた世界的な流れから世界各国で企業の設備投資の拡大が継続しており、重点市場における電気測定器市場の成長が期待されております。当社グループは、世界的な新製品の開発により事業拡大を図ることを目指しておりますが、競合企業の新規参入や競争の激化、当社グループの技術開発力の劣後等の要因により、競合企業と価格競争になるケースが想定され、これが当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(9)知的財産に係るリスク
当社グループは、知的財産権を重要な経営資源の一つであると考えております。そのため、知的財産権保護とそれに関連して発生する紛争の回避は重要な経営課題と考えており、知財部門にて必要な業務を進めております。
当社グループの知的財産権が侵害されたり、特定の国・地域で十分な保護を受けられない場合、当社グループの事業活動と業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループが意図しない形で第三者の特許を侵害するに至った場合や、その他知的財産権に関する紛争が発生した場合には、当社グループの事業活動と業績に影響を及ぼす可能性があります。
(10)為替変動に係るリスク
当社グループは、グローバルに事業を展開しており、取引通貨の多くは人民元・米ドル・韓国ウォン・ユーロ等、日本円以外の通貨であります。これらの通貨に対する急激な為替相場の変動は売上高や利益の増減等、損益に影響を与えます。また、海外における資産や負債価値は、財務諸表上で日本円に換算されるため、為替レートの変動の結果、換算差による影響が生じます。当社では、総務本部財務経理部にて為替相場を継続的にモニタリングしており、適宜必要な対応を取っておりますが、急激又は大幅な為替レートの変動等は、当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
(11)税制に係るリスク
当社グループは、グローバルに事業を展開しております。国内はもとより、米国、中国、韓国等の国・地域に販売子会社を設立し事業運営をしており、各国・地域の税制に基づき納税をしております。当社は、国内外のグループ各社とともに各国・地域の税制等の概要、改正動向を適宜把握するとともに、国境を越える当社グループ会社間の取引価格の設定で適用される移転価格税制の遵守に努めております。しかしながら、想定しない税制改正が行われたり、税務当局から取引価格が不適切であるとの指摘を受け、追徴課税や二重課税が生じたりすることで当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
(12)情報セキュリティに係るリスク
当社グループは、事業上の重要情報及び事業を展開する上で入手した顧客、他企業の機密情報、取引先関係者や従業員の個人情報等を保有しております。これらの情報は、外部流出や破壊、改竄等が起こらないように、グループ全体で管理体制を構築し、ITセキュリティ、施設セキュリティの強化、ITリテラシー向上のための社員教育等の施策を実行しております。しかしながら、想定した防御水準を上回る技術によるサーバーへの攻撃や社内における過失や盗難等により、これらの情報が流出、破壊もしくは改竄される可能性を完全に回避することは困難であり、また情報システムの停止等が発生する可能性があります。
このような事態が生じた場合には、適切な対応を行うための費用負担が生じるとともに、信用低下、被害を受けた方への損害賠償金等の費用の発生、又は業務の停止等により、当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
また、近年では各国でのデータ規制やAI利用制限等のデジタル規制が強化されており、これらの規制対応が求められる場面が増加しております。こうした規制の強化により、当社グループの新製品開発やサービス提供、海外事業展開に制約が生じることがあり、これが当社グループの事業活動や競争力、業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
(13)自然災害等に係るリスク
当社グループは、自然災害、火災、戦争及びテロ行為、感染症の流行等が発生した際には、「リスク管理規程」に基づき全社でリスク低減を図る体制を構築しております。しかしながら、国内外における想定を超えた大規模自然災害(地震、津波、台風、水害等)やそれに起因する大規模停電及び電力不足、戦争及びテロ行為による社会的混乱、未知の感染症の流行によって大きな被害を受ける可能性があります。これらの予期せぬ事象が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
(14)棚卸資産の評価に係るリスク
当社グループの棚卸資産の評価は、収益性の低下に基づく簿価切下げの方法によっております。製品のライフサイクル期間や修理保証期間を踏まえて決定した一定の回転期間を超える品目がある場合には、その回転期間に応じて規則的に帳簿価額を切り下げる方法を採用しております。また、正味売却価額が帳簿価額を下回っている商品及び製品に対する評価につきましては、正味売却価額まで帳簿価額を切り下げる方法を採用しております。
市場の設備投資動向や競合製品による需要の低迷を受け、各品目の回転期間に変動が生じる場合があります。このような場合、棚卸資産評価損の追加計上が必要となる可能性があり、当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
(15)気候変動に係るリスク
現在、気候変動に対する取り組みが国内外で進められており、当社グループは、これを重要な事業機会と捉え、電気測定器事業を通じて持続可能な社会の実現に向けた取り組みを進めております。しかしながら、気候変動に伴う市場環境の変化に対応できない場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、気候変動に伴い国内外で自然災害の激甚化が進んでおります。当社グループの各拠点で様々な自然災害への備えをしておりますが、予測し得ない被害が生じる可能性があり、このような場合には、当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
なお、国際的に確立された開示の枠組みであるTCFDに基づく当社の取り組みを最新のコーポレート・ガバナンスに関する報告書に掲載しております。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は、次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
世界経済は、当連結会計年度においても地政学的リスクの高止まりや米国の政策不確実性の高まり、一部通貨の値動きが不安定になるなどの影響で、不透明な状況が続きました。一方で、主要国による利下げを含む広範な金融緩和が景気の底割れを防ぎ、地域によっては回復の兆しが見え始めております。脱炭素化の世界的な潮流は、企業の設備投資を牽引し、2025年のクリーンエネルギー関連投資は過去最高水準に達すると見込まれております。また、自動車の電動化がさらに進展し、EVの普及が進んでおります。この変化に伴い、電源技術には高効率化が求められ、小型・軽量化が進む一方、コスト削減や信頼性確保が次の焦点となっております。
当連結会計年度におきましては、売上高が前連結会計年度を上回り、着実な成長を遂げることができました。一方で、一部市場においては需要が当初の予測を下回り、2025年7月8日に公表した下方修正後の連結業績予想に対して若干の未達となりました。
市場別では、バッテリー市場は、EVやESS(蓄電システム)向けの堅調な需要の推移を受けて、売上高が前連結会計年度に対し増加いたしました。また、モビリティ市場及びコンポーネント市場は、EVタイプの多様化や農業用・建設用車両の電動化の進展、半導体セクターの需要増により、売上高は前連結会計年度を上回りました。一方で、エネルギー市場は、売上高が電力会社向け需要の好調を背景に中国、東南アジアで増加したものの、韓国の落ち込みが影響し、全体では前連結会計年度並みの水準にとどまりました。
顧客の所在地別では、中国の売上高が前連結会計年度比で大幅に増加し、インド、国内も増加いたしました。一方、韓国は年央の政情不安の影響を受けて大きく低迷し、9月以降に売上高が回復したものの、年間では前連結会計年度を下回りました。アメリカ、ヨーロッパも前連結会計年度の水準を下回る結果となりました。
利益面では、創業90周年記念事業に関連した一過性の費用やDX推進(ERP、CRM導入)に伴う計画的な投資の影響により販売費及び一般管理費が増加したため、営業利益、経常利益ともに前連結会計年度を下回りました。
以上により、当連結会計年度における業績は、売上高405億31百万円(前連結会計年度比3.2%増)、営業利益67億91百万円(同9.8%減)、経常利益71億6百万円(同11.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益54億57百万円(同11.8%減)となりました。
当連結会計年度末における総資産は、原材料及び貯蔵品が減少いたしましたが、建物及び構築物、退職給付に係る資産が増加したため、前連結会計年度末と比較して33億33百万円増加し、514億92百万円になりました。
負債は、未払法人税等、賞与引当金及び退職給付に係る負債が減少したため、前連結会計年度末と比較して8億2百万円減少し、75億36百万円になりました。
純資産は、利益剰余金及び退職給付に係る調整累計額が増加したため、前連結会計年度末と比較して41億35百万円増加し、439億56百万円になりました。
なお、当社グループは、電気測定器事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末と比較して2億15百万円増加し、167億23百万円になりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、75億21百万円の収入(前連結会計年度比15.2%減)になりました。主な増加要因は、税金等調整前当期純利益71億38百万円、減価償却費18億97百万円及び棚卸資産の減少額8億30百万円であります。主な減少要因は、法人税等の支払額21億6百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出等により、47億26百万円の支出(同26.2%増)になりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払額等により、27億6百万円の支出(同24.9%減)になりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループは、電気測定器事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を行っておりません。
よって、生産実績及び受注実績につきましては製品の分類別情報を、販売実績につきましては製品の分類別情報及び顧客の所在地別情報を記載しております。
a. 生産実績
|
|
当連結会計年度 (自 2025年1月1日 至 2025年12月31日) |
前年同期比(%) |
|
|
自動試験装置 |
(千円) |
3,589,519 |
99.3 |
|
記録装置 |
(千円) |
6,251,942 |
104.5 |
|
電子測定器 |
(千円) |
20,901,140 |
106.3 |
|
現場測定器 |
(千円) |
8,306,510 |
98.4 |
|
周辺装置他 |
(千円) |
2,290,512 |
107.7 |
|
合計 |
(千円) |
41,339,625 |
103.8 |
(注)金額は売価換算価額で表示しております。
b. 受注実績
|
|
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
|
自動試験装置 |
3,195,670 |
106.8 |
1,073,120 |
76.9 |
|
記録装置 |
6,217,131 |
107.0 |
613,104 |
108.3 |
|
電子測定器 |
20,543,253 |
107.3 |
2,233,247 |
118.9 |
|
現場測定器 |
8,726,458 |
102.9 |
966,480 |
155.7 |
|
周辺装置他 |
2,344,119 |
109.2 |
214,990 |
148.2 |
|
合計 |
41,026,633 |
106.4 |
5,100,943 |
110.7 |
c. 販売実績
(a) 製品の分類別実績
|
|
当連結会計年度 (自 2025年1月1日 至 2025年12月31日) |
前年同期比(%) |
|
|
自動試験装置 |
(千円) |
3,518,762 |
100.4 |
|
記録装置 |
(千円) |
6,170,398 |
105.5 |
|
電子測定器 |
(千円) |
20,187,852 |
103.9 |
|
現場測定器 |
(千円) |
8,380,620 |
100.2 |
|
周辺装置他 |
(千円) |
2,274,183 |
106.8 |
|
合計 |
(千円) |
40,531,817 |
103.2 |
(b) 顧客の所在地別実績
|
|
当連結会計年度 (自 2025年1月1日 至 2025年12月31日) |
前年同期比(%) |
|||
|
国内 |
(千円) |
14,737,407 |
101.7 |
||
|
海外 |
アジア |
中国 |
(千円) |
11,348,463 |
119.0 |
|
韓国 |
(千円) |
3,060,508 |
79.0 |
||
|
台湾 |
(千円) |
1,302,740 |
102.3 |
||
|
インド |
(千円) |
1,193,865 |
106.2 |
||
|
東南アジア |
(千円) |
2,201,888 |
107.4 |
||
|
その他アジア |
(千円) |
25,602 |
97.9 |
||
|
計 |
(千円) |
19,133,069 |
107.0 |
||
|
アメリカ |
(千円) |
3,529,860 |
94.5 |
||
|
ヨーロッパ |
(千円) |
2,471,241 |
99.8 |
||
|
その他の地域 |
(千円) |
660,239 |
95.8 |
||
|
計 |
(千円) |
25,794,409 |
104.1 |
||
|
合計 |
(千円) |
40,531,817 |
103.2 |
||
(注)主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、当該割合が100分の10に満たないため、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。
この連結財務諸表の作成に当たり、連結会計年度末における資産、負債の金額、及び連結会計年度における収益、費用の金額に影響を与える重要な会計方針及び各種引当金等の見積り方法(計上基準)につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
また、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものにつきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
なお、見積り、判断につきましては、過去の実績やその時点で入手可能な情報に基づいた合理的と考えられる様々な要因を考慮した上で行っておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営成績等の状況
世界経済は、当連結会計年度においても地政学的リスクの高止まりや米国の政策不確実性の高まり、一部通貨の値動きが不安定になるなどの影響で、不透明な状況が続きました。一方で、主要国による利下げを含む広範な金融緩和が景気の底割れを防ぎ、地域によっては回復の兆しが見え始めております。脱炭素化の世界的な潮流は、企業の設備投資を牽引し、2025年のクリーンエネルギー関連投資は過去最高水準に達すると見込まれております。また、自動車の電動化がさらに進展し、EVの普及が進んでおります。この変化に伴い、電源技術には高効率化が求められ、小型・軽量化が進む一方、コスト削減や信頼性確保が次の焦点となっております。
当連結会計年度におきましては、売上高が前連結会計年度を上回り、着実な成長を遂げることができました。一方で、一部市場においては需要が当初の予測を下回り、2025年7月8日に公表した下方修正後の連結業績予想に対して若干の未達となりました。
市場別では、バッテリー市場は、EVやESS(蓄電システム)向けの堅調な需要の推移を受けて、売上高が前連結会計年度に対し増加いたしました。また、モビリティ市場及びコンポーネント市場は、EVタイプの多様化や農業用・建設用車両の電動化の進展、半導体セクターの需要増により、売上高は前連結会計年度を上回りました。一方で、エネルギー市場は、売上高が電力会社向け需要の好調を背景に中国、東南アジアで増加したものの、韓国の落ち込みが影響し、全体では前連結会計年度並みの水準にとどまりました。
顧客の所在地別では、中国の売上高が前連結会計年度比で大幅に増加し、インド、国内も増加いたしました。一方、韓国は年央の政情不安の影響を受けて大きく低迷し、9月以降に売上高が回復したものの、年間では前連結会計年度を下回りました。アメリカ、ヨーロッパも前連結会計年度の水準を下回る結果となりました。
利益面では、創業90周年記念事業に関連した一過性の費用やDX推進(ERP、CRM導入)に伴う計画的な投資の影響により販売費及び一般管理費が増加したため、営業利益、経常利益ともに前連結会計年度を下回りました。
また、目標とする経営指標の一つであります売上高営業利益率につきましては、当連結会計年度においては20%を目標に掲げてまいりましたが16.8%となり、誠に遺憾ながら目標未達となりました。売上高営業利益率を改善させるため、開発面では、重点市場として捉えております、バッテリー、デバイス、エネルギーの各分野に向けて顧客密着で高付加価値製品の開発を進め、製品を販売してまいります。
販売面では、3月にベトナム子会社を設立し、アジア地域での販売網の強化に取り組んでまいりました。グローバル営業本部を中心に、顧客管理や販売・プロモーション管理の一元化を図り、効率的な営業活動を展開しております。
目標とする経営指標の一つであります自己資本当期純利益率(ROE)につきましては、当社は15%以上を目標に掲げております。当連結会計年度は、利益剰余金及び退職給付に係る調整累計額の増加に伴い純資産が拡大したことから、自己資本当期純利益率(ROE)は13.0%となり、前連結会計年度の16.1%から低下しました。これにより目標値には届かず、引き続き改善に向けた取り組みが必要な状況です。
また、もう一つの目標とする経営指標であります海外売上高比率につきましては、70%以上を目標に掲げて おります。当連結会計年度の実績は63.6%と未達となりました。今後は、海外販売子会社を中心にHIOKIブラン ドの浸透を図り売上高を伸長させるとともに、世界中のお客様に安心して当社製品をお使いいただくためのグ ローバルアフターサービス体制の構築に引き続き取り組んでまいります。
なお、当連結会計年度における製品区分別の状況は、次のとおりであります。
(自動試験装置)
トランプ関税による世界の自動車貿易の混乱を受け、自動車市場向けを主力とするジグ型の実装基板検査装置が大きく低迷した一方、AI向け半導体業界の活況が続いており、前連結会計年度に投入したベアボード検査装置は順調に受注高を伸ばしました。当連結会計年度は、この半導体基板市場に向け、最先端の高密度ICパッケージの検査を可能とする新型のベアボード検査装置を投入し、受注を開始いたしました。
この結果、売上高は35億18百万円(前連結会計年度比0.4%増)、受注高は31億95百万円(同6.8%増)となりました。
(記録装置)
データロガーは、バッテリー市場や自動車市場を中心に順調に売上高を伸ばしました。また、より高速な信号を記録するメモリハイコーダの分野は目立った変化はないものの、国内を中心にインフラ設備の保全などで安定した需要が継続いたしました。世界的な配電網整備の重要性を背景に、海外市場での需要拡大を目指し、主力機種において基本性能を大きく向上させるモデルチェンジを実施いたしました。
この結果、売上高は61億70百万円(同5.5%増)、受注高は62億17百万円(同7.0%増)となりました。
(電子測定器)
AIデータセンターを起因とするGPUなどの技術革新により、デバイスの信頼性を高めるための検査やエネルギーのバックアップなどの分野で新しい市場が生まれ、関連分野からの受注が活発になっております。また、バッテリーの発火事故による社会的問題を背景に、より信頼性の高い検査への需要が増加し、当社製品がそのニーズに応えることで市場から高い評価を獲得いたしました。電子部品向けの量産設備は減少傾向が続きましたが、前連結会計年度で落ち込んだEVのR&D市場には回復傾向がみられます。当連結会計年度は、その中でも成長が期待されるエネルギー分野、デバイス分野、バッテリー分野それぞれに、業界最高性能や業界初の機能を搭載した複数の新製品を投入いたしました。
この結果、売上高は201億87百万円(同3.9%増)、受注高は205億43百万円(同7.3%増)となりました。
(現場測定器)
データセンターを中心とした最新のIT設備への旺盛な投資を受け、価格競争の影響を受けにくく、高い信頼性が求められる現場測定器の市場は、堅調に成長を続けております。韓国における年央の政情不安により、大幅な受注高の減少がありましたが、それも9月以降には解消され、グループ全体で見ると受注高は増加しております。また、一部のアナログ製品をデジタルへ転換し、製品の生産性と信頼性を向上させる取り組みを進めております。
この結果、売上高は83億80百万円(同0.2%増)、受注高は87億26百万円(同2.9%増)となりました。
b. 資本の財源及び資金の流動性について
当社グループの資金需要の主なものは、材料費、人件費、新製品開発に必要な研究開発費、営業費用、管理費用及び設備投資資金であります。これらの資金需要につきましては、自己資金を充当しております。
当社グループの経営方針、経営戦略につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に、経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当連結会計年度において、該当事項はありません。
当社グループの研究開発活動は、当社グループの事業に係るセグメントである電気測定器事業において行っております。
当社グループは「業界のフロントランナーとして『測る』を進化させ続け、世界のお客様と共に持続可能な社会をつくるソリューションクリエイターになる」というビジョンを掲げ、新しい社会システムを構成する重要市場に開発資源を集中させております。そのためオープンイノベーションによる最先端技術の習得やIoT技術者の育成とともに、アジャイル開発の概念を開発システムに取り入れ、開発スピードを強化しております。
当連結会計年度における成果としましては、次のとおりであります。当社は水素社会の実現に向けた取り組みを強化するため、水電解装置の性能評価を可能にするインピーダンス計測システム「ALDAS-E」を開発し、一般財団法人電力中央研究所から受注いたしました。これにより、水素エネルギー分野における研究開発及び評価試験を通じた社会貢献をさらに推進してまいりました。
また、国立大学法人信州大学と包括的連携協定を締結し、当社のインピーダンス計測技術と信州大学の触媒技術等を掛け合わせ、水素エネルギー分野における新たな研究開発と事業創出に取り組んでまいりました。これにより、水素社会の実現を加速化し、地域の科学技術振興並びに産業発展への貢献を目指してまいりました。
さらに、ジャパン・エネルギー・サミット2025において、当社エンジニアが革新的な水素製造コスト削減技術を発表し、「エネルギーイノベーターズチャレンジ」にて最優秀賞を受賞いたしました。この技術は、HIOKI製電解セルアナライザ「ALDAS」の計測技術を活用し、新エネルギー分野における課題解決を進めてまいりました。
当社は環境配慮型製品設計の一環として、サーキュラーエコノミーの実現を目指し、製品に使用するプラスチック成型品に再生材を導入いたしました。具体的には、クランプメータ3280シリーズに再生材を最大20%混合することで、材料削減及びCO2排出削減を達成し、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを進めてまいりました。
また、品質向上を目的とした新たな施設として、本社内に「品質協創センター」を開設いたしました。この施設では、部品の信頼性評価や解析をお取引先様と共同で行い、新製品開発における品質向上と市場への安定供給を目指してまいりました。
さらに、国際会議IEEE SEFET 2025において、電気自動車のバッテリー充電状態(SOC)をリアルタイムかつ正確に推定する技術を提案し、Best Paper Awardを受賞いたしました。この技術は、動的な負荷環境下でも高精度の推定を可能にするものであり、電気自動車市場における技術革新に寄与する成果を挙げてまいりました。
こうした取り組みを通じて、当社は持続可能な社会の実現に向けた技術革新を進めるとともに、社会課題の解決に向けた取り組みを推進してまいります。
当社は研究開発型企業としてこれまで売上高研究開発費比率10%以上を目安に人と設備への投資を進めてまいりました。今後も連結売上高及び営業利益を伸長させつつ、売上高研究開発費比率10%以上の投資を継続し、持続的な成長発展を実現してまいります。
なお、前連結会計年度における研究開発費の総額は3,709百万円(売上高比9.4%)、また、研究開発関連の設備投資金額も含めますと3,946百万円(同10.1%)でありましたが、当連結会計年度における研究開発費の総額は