第2 【事業の状況】

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1) トップメッセージ

 

 

独自の強みで、

 

 

持続可能な成長と

 

 

価値を生み出す企業へ


 

 

<就任にあたって>

2026年1月に代表取締役社長に就任しました奥谷晴信です。創業127年の歴史を受け継ぎ、日本及び海外関係会社を含めたカゴメグループのトップとして当社を率いていく立場となり、大変身が引き締まる思いです。まずは私自身の信念や決意、経営にかける想いについて、お話しします。

1990年に入社して以来、国内外の実に様々な部門で経験を積んできました。最初の10年間は工場勤務や農産加工原材料の調達業務に携わり、その後は国際事業の開発とイタリア子会社への出向、国際事業本部での戦略立案や収益構造改革及びグループ会社のマネジメントを担当、直近の5年間は、2024年のIngomar Packing Company, LLCとのM&A推進をはじめとする事業拡大やカゴメグループ全体のコーポレート企画業務等を担ってきました。

社内でもユニークなキャリアを積んできた方ですが、いずれの経験からも他に代えがたい学びを得られました。中でも特に印象深いのは、ものづくりの現場である工場での勤務と国際事業に関する業務です。入社直後の工場での勤務は、カゴメが最も大事にしている「品質第一」「現場・現物・現実」といったものづくりへの考え方や、安心・安全へのこだわりについて触れる経験となり、その後の様々な判断や意思決定における拠り所となっています。国際事業に関しては、日本と異なる文化や利害関係の中で物事を前に進める力を養えたこと、また、社内外・国内外の様々な人と接することで、多様な考え方への理解が深まったことが大きな財産です。また、2度の出向を通して、カゴメの特徴や課題を客観的に見ることができたという経験も、今後の経営に活かしていきたいと思っています。

カゴメの歴史を振り返ってみると、当社の歴代の社長たちには「見えないものを見えるようにしてきた」という共通点があります。例えば「食を通じた社会課題の解決」、「農からの価値形成」など、カゴメが元来有している強みを言語化し、社会貢献と企業成長を両立させてきたのがカゴメのリーダーであり、このようにして生まれた強みが、現在のカゴメの「企業文化」になっています。また、当社が持つブランド、人材、知的財産、お客様・お取引先様との信頼関係などの「無形資産」はかけがえのない財産です。

当社の強みである「企業文化」をさらに醸成しグローバルに広げていくこと、そして「無形資産」を拡充し、新たな価値創造に取り組み、さらなる成長と社会課題の解決を実現していくこと、それこそが今後のカゴメの経営を担う私の使命だと認識しています。

また、グループ経営体制のマネジメントについても解決すべき重要な課題だと思っています。今や当社の事業利益における国際事業の比率は41%を占める構造となってきていますので、経営体制もそれに対応させていく必要があります。既存の国際・国内加工食品事業と新しいチャレンジ領域の事業において、各部門の責任者との役割分担を明確にし、社長としてやるべきこと、決めるべきことに注力していきたいと思っています。

 

<新理念体系で目指すカゴメグループの姿とは>

農から始まり、自然と向き合い続けてきたカゴメの原点

2026年2月に、カゴメグループ新理念体系を発表しました。これまでも長期ビジョンは定期的に改訂してきましたが、今回は既存の企業理念や行動規範、ブランドステートメントなどを含む全てを体系的に考え直し、新たに「ミッション・ビジョン・バリューズ(以下、MVV)」として再整理をしています。

2024年から約2年にわたり、経営陣や従業員、社外取締役、お得意先など、様々な方との議論や意見交換を繰り返して作り上げていきました。トップの一声で決めてしまうのでなく、ステークホルダーも含めたグループ全体で作っていくという姿勢は、非常にカゴメらしさが表れていたと感じます。カゴメ内部では「大切にする軸はこれまでと同じで良いのか」「もっと変わらなければいけないのではないか」という2つの考えの間で非常に悩む局面もありましたが、社外の方から「今持っている素晴らしい価値をもっと伸ばしていってほしい」など、非常にサポーティブなご意見をいただき、それらも取り入れながら考え方の軸を定めていったという印象です。

ミッションでは「循環」という言葉が、重要なキーワードになっています。これは、私たちカゴメの原点である農業と自然の関係性を改めて定義した言葉で、人が自然に働きかけることで、自然が豊かさをもたらし、さらに人々の健康や社会の持続性に貢献していくという「相互作用」を表現しています。

また、「人が自然を、自然が人を」という表現については、経営陣の間で興味深い議論がなされました。西洋と日本における自然との向き合い方の違いは何か、という視点に立つと、日本の自然との向き合い方は「共生」なのだろう。そして、自然との一方的な関係性ではなく共生していくこと、それはこれまでもこれからもカゴメの使命なのだという想いが、この表現に込められています。私たちは農業から始まった会社です。カゴメの価値の中心には、常に農や自然があり、その領域をどれだけグローバルに広げていけるのかがチャレンジであると考えています。

2035ビジョンは、2035年までの地球環境の変化や食糧問題、個人の価値観の多様化等、環境予測をもとに「よりよく進化した未来とはどういった状態か」というカゴメなりの定義を構築し、それをどう実現していくのかというバックキャスト型で考えています。定義した未来に対してカゴメができる価値提供は何か、その問いに対する答えを「農から食にわたる技術革新」という言葉に込めています。

バリューズについては、社内での共感値が非常に高かったことが印象的でした。全く新しいことをバリューズとして伝えたのではなく、カゴメに既に存在していた「企業文化」を言語化できた、まさに「見えないものを見えるように」したということです。語尾の表現は、社員一人ひとりの積極性に働きかけ、日々の業務の中での前向きな行動を促す言葉となるよう「~しよう」で統一しました。バリューズのもと、カゴメグループのメンバー一人ひとりが、新しいことへ果敢にチャレンジしてくれることを期待しています。

今後は、MVVを社内にどう浸透させていくかが課題です。経営陣・従業員、海外を含めたカゴメグループの皆がMVVを理解し合うこと、目指す先の共有と浸透、そして対話が肝になっていきます。1回掲げたら終わりではなく、繰り返し対話して伝えていくこと、特に海外グループ会社においては、まずは各グループ会社の経営陣と、現地で顔を合わせて共有を深めていくことから始めたいと思っています。

グループ経営の基本は、同じカルチャー・同じ思想に立つことというのが私の考えです。カゴメのグループ会社は、自然の恵みから価値を生み出すという点でベースとなるカルチャーはそもそも近いのですが、MVVによってそれがよりクリアになり、グループ経営の進化に向けたさらなる一歩を踏み出すことができると思っています。

 

 

2035ビジョン実現のカギ

2035ビジョンにおいて「ビジョン実現をドライブする2つの構想」として「農と食のウェルビーイング事業の展開」と「環境負荷の低いトマトビジネスの開拓」を掲げました。 2035ビジョン策定にあたって想定した「よりよく進化した未来」を、私たちは「個人個人の関心事に対して、社会課題を解決するイノベーションが浸透・普及し、社会や地球環境、個人の身体を含めた健全性が保たれ、よい影響をもたらしている未来」と定義しました。その実現に向けて、カゴメが既に持っている知見や持たなければならない経営資源を融合した結果、この2つの領域にたどり着いたという経緯です。

「農と食のウェルビーイング事業」では、農と食を起点としたコミュニティの場や、つながりを提供し、心身の健康だけでなく、社会的健康ニーズに応える新しい事業の構築を目指します。2026年度からの3年間でビジネスモデルの原型を作ることを目標としています。私たちが持つ無形資産(ブランド、商品、人材、知的財産、お客様・お取引先との関係など)と、新たな資源とを掛け合わせて価値を生み出していくべく、10年後の事業規模を見据えながら、まずは事業基盤づくりに注力していきます。

「環境負荷の低いトマトビジネス」は、当社の特徴的な価値創造の仕組みを最大限に活かした事業構想であると言えます。当社は農での実証や研究に基づくエビデンスを起点としたバリューチェーンを展開しており、これまで培ってきた研究開発技術を駆使しながら、環境負荷の低いトマトビジネスの開拓を目指していきます。特に海外では、トマトに特化した川上分野での取り組みがかなり進んでいるため、将来的に日本でのノウハウ活用につなげていける可能性も秘めていると考えています。

 

この2つの構想は、既存の国内加工食品事業・国際事業と別の事業ではなく、あくまで既存事業で培った「無形資産」を最大限活用するとともに、新たな資源を取り込んで価値創造に挑むものです。各事業ポートフォリオの戦略の明確化とグループ経営の推進、適切な資源投下などマネジメントの徹底に励み、将来の成長を担う事業の育成を実現していきます。

 

<Kagome Group Plan 2028の実現に向けて>

2035ビジョン実現に向けた10年方針は、3つの期間ごとの中期経営計画(以下、中計)にて展開・推進し、2026年~2028年は「Kagome Group Plan 2028」に基づいて、取り組みを進めていきます。

2035ビジョンの実現を通じて目指す2035年度の定量目標は、売上収益5,000億円、事業利益500億円、ROE12%以上、2028年の定量計画は売上収益3,250億円、事業利益270億円にインオーガニック成長を加え、ROE9%以上を見込んでいます。10年方針の定量目標は、社会に対してカゴメが提供できる価値の規模感として設定しており、前中後期の各中計で着実に成果を積み上げることで達成を目指していきます。国際事業においては、二次加工を中核とした成長を加速させ、国内加工食品事業は、人口減少という逆風の中でも、収益獲得力の強化を進めていきます。さらに、2028年までに500億円程度のM&Aを含む戦略的な投資を計画しています。


中計の達成に向けては、各事業の多方面からの施策とチャレンジが重要になると考えています。国際事業は、商品・サービスの競争優位性や独自性を磨いていくこと、国内加工食品事業は、人口減少を乗り越えつついかに需要創造を実現できるかが課題です。また、近年のインオーガニックの取り組みは、国際事業を拡大するためという考え方でしたが、今後は国内も対象として考えています。国内における新規事業や農と食のウェルビーイング事業、既存事業のさらなる拡大、収益率の向上など、事業の新旧や国内外の線引きをせずに、必要なM&Aは検討していく方針のもと、事業成長を図っていきます。

ROEについては、2028年度に9%、2035年度に12%達成を目標としています。これらの実現に向けては、収益性の高い事業への資源配分の最適化と、ROIC管理も含めた資本効率の向上が特に重要だと考えています。現在の国内加工食品事業の中で、成長性があり資本効率も良い領域はそう多くありません。この実態を冷静に判断・分析し、今ある領域の底上げを図るのか、全く新しいサービスを創造するのか等、適切な事業ポートフォリオマネジメントを推進していくことが重要です。

当社の事業の性質上、市況の変化によるボラティリティは避けられない側面がありますが、その影響のレベルを低く抑えることは可能だと考えています。国内外で培ったノウハウを活用した徹底的な原価マネジメントや生産性の向上に加えて、農業技術開発分野への資源投下による収穫の安定性向上と収量増加は、農から価値を形成する私たちだからこそできる取り組みです。また、変動影響を許容できる幅に収めることが可能な事業ポートフォリオを構築していくことを含めて、「我々自身の努力で実現できること」を着実に進めていきます。

 

 

 

<国際事業・国内加工食品事業の方向性>

国際事業の戦略のポイントは、フォーカスエリアの特定です。限られた経営資源の中で成長市場を見極めて、自社で担う範囲と他社と協力する範囲の区分をこれまで以上に考える必要があります。例えば、北米はフォーカスエリアの1つですが、品種開発から二次加工までカバーしている中で、それぞれの結びつきをどう強くしていくかが課題と捉えています。その他の国においても、事業チャンスがある地域へは貪欲に参入していきたいと考えています。

従来公言している北米を中心とした業務用フードサービス市場については、これまで以上にアグレッシブに挑戦していく意向です。このエリアはトマト加工産業がある程度完成されていますので、どこで競争優位性を確保するかが勝敗の分かれ目になってきます。需要創造が重要とは言え、フードサービスである以上、商品そのものに価値がなければ話になりません。一定のコスト競争力を有していることは大前提として、私たちが取り組むべきは、お客様のニーズに即座に対応できるソリューション提供力を強化し、それを真の優位性に高めていくことだろうと思います。例えばR&Dやイノベーティブな商品の開発、精緻なマーケティングによる店頭の課題解決などもソリューション対応力の1つです。日本では既に実践していますので、海外でもチャレンジしていく必要があります。ほかには、グループ間の情報やノウハウを管理・共有・活用していくためのプラットフォームを持つことも有用です。

また、トマト加工産業がまだ黎明期にあるインドにおいては、将来的なポテンシャルを注意深く見極めていきます。当社がインドで競争力と必要な品質を確保するためには、川上(品種開発・栽培)から川下(消費者)までをカバーして、バリューチェーンに深く関与するビジネスモデルを作らなければなりません。関与の度合いについては、市場環境や事業のステータスに応じて段階的になると考えています。この活動には当社がこれまで行ってきた農から始まるバリューチェーンの構築に関する知見が活きると考えています。

インドにはトマトを食材としてカレーを作るなど、トマトを調理して食べる食文化があり、レストランの厨房では生のトマトから調理している所もまだまだ多いです。一方でトマト加工品を使用する世界的なピザチェーンも急増しています。人手から加工品に変わるタイミングをタイムリーにキャッチし、レストランに商品を置いてもらう営業機会を探るなど、市場を見極めながら事業拡大のチャンスを的確につかんでいきます。

現在のカゴメの国際事業に足りないのは、海外においても「カゴメでなくてはダメ」と言われるほどの競争力です。世界各地でトマト事業を展開し、安定した品質と供給力、さらにはお客様にソリューションを提供する能力をさらに強化し発揮することで、選ばれる商品・サービスの創出を実現していきます。

国内加工食品事業においては、リスクの1つとして、農業の担い手の減少が挙げられます。当社の強みは安定した原材料調達力と契約農家との関係性ですが、気候変動の影響などにより、現在の状態を維持し続けられるのかは不透明であり、バリューチェーンのさらなる強化の必要性を感じています。今後は、一次加工より前の川上領域への参入とその方法について考えるとともに、国内の農業の持続性にどう関わっていくのかという、大きな視点で検討していかなければなりません。現在、北海道での国産加工用トマトの一次加工拠点の新設も予定しています。これにより、輸送効率の向上と環境負荷の低減を図るとともに、安定的な調達を確保し、ひいては国内のトマト加工産業の持続的な発展に貢献できると考えています。

国内は成熟市場ではありますが、カゴメのブランド力やお客様との深い信頼関係は、現在でも着実に成長していると認識しています。野菜飲料の需要喚起策にも引き続き取り組み、商品そのものが発信する価値や、商品のポテンシャルを引き出し、深掘りしていくことで、さらなる需要創造に取り組んでいきます。

 

<価値創造を支える事業基盤の展望>

新たなビジョンの制定に伴い、マテリアリティも見直しました。社会課題のロングリストを出発点に、自社とステークホルダー双方の視点で重要度を評価し、7つの重要課題を再特定しています。新たなマテリアリティはこれまで以上に社会とカゴメとの関係性を鮮明にする表現に見直しています。事業を通じて社会課題の解決に挑戦していくことはこれまでと変わりません。人的資本の強化においては、経営戦略と人材戦略の連動を図りながら、人材価値の最大化に取り組んでいきます。当社はこれまでも人的資本経営には特に力を入れて取り組んできました。根底にある「当社を好きで働いてくれる人たちの成長が、カゴメの成長につながっていく」という基本の考え方は変えていませんが、今後の経営を考えたときに重要なことは、多様な人材集団を形成することだと考えています。ここでいう「多様」とは、ジェンダーや国籍はもちろん、DXやグローバル、サステナビリティなどのスキル面での専門性の深化も意味しています。幸い、働き方改革や心理的安全性の確保など、以前から注力してきた取り組みが既に社内に浸透していますので、私はその土壌の上で人材価値の最大化に励んでいきたいと思います。「経営は舞台を準備して、そこで人を育てていくことが(会社の)役割である」という7代目社長である喜岡の言葉があるのですが、私も従業員が最大限に力を発揮できる「舞台」を整えて、皆さんの活躍を後押ししていきたいと思います。また、各人の役割を明確にし、誰かの指示を待つことなく自らオーナーシップを発揮して取り組んでいける仕組みづくりにも、グループ経営の観点から取り組んでいきます。

 


コーポレート・ガバナンスに関しては、取締役会の役割が長期視点の企業価値向上に資するものに変化している潮流を踏まえ、執行側と経営側の役割分担をよりクリアにしていくことの重要性を感じています。国際事業については2023年に社内カンパニー化し、戦略は経営側が策定し、意思決定の権限は両者合意の上でカンパニー側へ委譲する構造ができています。今後はこれを事業ポートフォリオや戦略単位に対応できるものに広げていく必要があると考えています。かねてより推進していることではありますが、適切な情報開示も含めてクリアな運営体制をどう維持していくのかが重要だと認識しています。多様な経験とカゴメ以外の企業文化に関する知見を持つ社外取締役の方々からの意見を引き続きいただきながら、取締役会の実効性向上に努めていきます。

また、投資家の方々とのコミュニケーションについては、適切かつタイムリーな情報開示と、情報を丁寧に伝えていく対話型の機会を積極的に持つことを重要視しています。2025年はセルサイドアナリストの方々を米国にお招きし、畑や工場の生産現場を見ていただく機会を作りました。こういったリアルな場での対話を引き続き大切にし、国内外の投資家の方々との接点を拡大していくことで、当社の独自の強みをご理解いただくとともに、対話から得られる貴重なご意見を経営に反映していきたいと考えています。そして、24万人を超える個人株主の方々との関係性についても重要視しながら取り組んでいきます。

 

<ステークホルダーの皆様へ>

127年の歴史を持つ当社の経営を引き継いだ今、守らなければならない価値と、変化・進化させるべきところをどう見極めて、未来へのさらなる成長につなげていくのか、それが私に課せられた大きなチャレンジであるとの想いを新たにしています。

新たに設定したMVVのもと、経済価値と社会価値の両面から成長を図り、企業価値を高めていくため、まずは足元のKagome Group Plan 2028で成果を出すことに最大限力を注いでいく所存です。

安心・安全やブランドへの信頼、従業員の働きがい、社会とのつながりや共助の取り組みといった定性的な価値を、私は「多面的なカゴメの魅力」と呼んでいます。これを、カゴメならではの企業価値として今まで以上に高めていくことを究極的な私自身の使命とし邁進していきますので、引き続きのご支援をお願いいたします。

代表取締役社長

 


 

 

(2) 会社の経営の基本方針

1.カゴメグループ理念体系

カゴメグループは、「感謝」「自然」「開かれた企業」を企業理念としております。これは、創業100周年にあたる1999年を機に、カゴメグループの更なる発展を目指して、創業者や歴代経営者の信条を受け継ぎ、カゴメの商品と提供価値の源泉、人や社会に対し公正でオープンな企業を目指す決意を込めて、2000年1月に制定したものです。

また、カゴメグループは今後も「自然を、おいしく、楽しく。KAGOME」をお客様と約束するブランドメッセージとして商品をお届けしてまいります。

 

当社の企業理念、ブランドメッセージや長期ビジョンを含めたカゴメグループ理念体系は以下のとおりです。

 


 

2.Mission・Vision・Values制定の背景

カゴメグループは社会の変化が急速に進み、技術の進化がさらに加速する環境において、長期的な視点を持って経営を行うため、企業理念や行動規範、これまでのブランドステートメントなど、全てを含めて体系的に考え直し、新たにミッション・ビジョン・バリューズを設計しました。カゴメグループが一貫して進む方向性を明確にすることで、持続的成長と企業価値向上を実現します。

 

 Mission 私達の使命

カゴメグループは、人が自然を、自然が人を豊かにする循環を生み出し続けます 

農家を原点とする当社は、創業以来、自然の恵みである野菜や果物のおいしさと栄養を、お客様にとって価値ある飲料や食品という形に変え、食卓へ届けてきました。

その背景には、食を通じて人々の健康と豊かな生活に貢献したいという想いがあります。自然との共生を大切にしながら、品種改良や栽培技術の研究、加工技術の開発、野菜の機能価値情報発信など、自然を豊かにする活動にも取り組んできました。これらの創意工夫や挑戦の積み重ねが、人が自然を、自然が人を豊かにする循環となり、カゴメの長い歴史を築いてきました。

しかし、気候変動などの環境変化が自然の恵みを育む農の営みに深刻な影響をもたらしています。この課題に対応するため、「人から自然」への豊かさを育む働きかけを広げながら、「自然から人」への恵みを一層大切にして、双方をつなぐ循環の輪をより太く、大きくしていきます。

 


 

 2035 Vision 2035年にカゴメグループが目指す姿

~Cultivating Nature's Potential~ 

農から食にわたる技術革新をリードし、自然の可能性を共に拓く会社へ

気候変動などの環境変化により、持続可能な農の営みを守り、食の基盤を維持することがますます困難になっています。

一方で、生活者のニーズに目を向けると、心身の健康に加え、人や地域とのつながりも重視され、ウェルビーイングの重要性が一層高まっています。

こうした変化の中で、農家を原点に自然の恵みの価値を届けてきた当社は、社会においてどのような存在となり、どのような価値を創造し、未来を築くのか。それを示すのが「2035ビジョン」です。

自然との共生を大切にしながら、農から食にわたる革新的な技術で、畑などの農地を中心とした自然の豊かさを育んでいきます。そこから生まれる恵みの価値を最大限に引き出し、人々に届け、持続可能な未来を創り続けます。

 


 

 

 2035 Values 2035ビジョンを実現するための価値観

Explore

探究しよう

Advance

先進しよう

Cooperate

協創しよう

 

「2035バリューズ」は、「2035ビジョン」を実現するために従業員一人ひとりが大切にする価値観です。これらは企業文化を育み挑戦を支えてきた歴代トップの言葉、そして「企業理念」「ブランドメッセージ」「行動規範」に根差しています。

このバリューズは従業員だけでなく、社外のステークホルダーへの呼びかけでもあります。ビジョンの達成には、カゴメが積み重ねてきた知見や技術に加え、新しい発想や技術を持つパートナー、そして志を共にするステークホルダーとの連携が欠かせません。私たちは共に、新しい価値を生み出し、未来をより豊かにしていきたいと考えています。

 


 

 

 

(3) カゴメの価値創造プロセス

当社は、「企業理念」をゆるぎない価値観、「ブランドメッセージ」を社会やお客様への約束として経営の根底に据え、組織全体が一貫した行動をとっています。また環境変化の予測と、リスク認識を行い、カゴメグループの重要な経営課題であるマテリアリティを継続的にアップデートしています。

その上で、企業価値向上を支える経営資源を活かし、「農から価値を形成するグローバル・バリューチェーン」を多様なステークホルダーとの協業により進化させてきました。このバリューチェーンを通じて、自然やその恵みを活かし人々の食と健康に貢献するとともに、品種改良や土壌改善、環境保全など、自然の持続可能性を高める取り組みを続けています。農から価値を創出し、人々の健康を支える。そして、農を持続可能にする研究や技術開発を継続することで、自然をさらに豊かにする商品・サービスを提供します。この活動を通じて、人と自然の循環を生み出し続け、社会価値と経済価値の創出により、企業価値を向上させていきます。

 


 

(4) 農から価値を形成するグローバル・バリューチェーン

当社は、原材料となるトマトや野菜の品種や栽培技術の開発など、農の領域から携わり、栽培、生産、開発、販売までのバリューチェーンをグローバルで展開しています。創業時から「畑は第一の工場」という思想を持ち、農業視点開発から各プロセスの知見を培ってきました。川上から川下まで各プロセスの強みを強化するとともに、農を起点とした一連のつながりや相乗効果を最大限に発揮することで、新たな価値提案や社会課題解決の取り組みを実行していきます。

 


 

 

事例01 


カゴメ×トマトが環境のためにできること

GARBiC 戦略開発室 石岡 大輔

 

カゴメの売上や収益において、トマト・トマト製品は大きな割合を占めますが、環境負荷に関してもその割合が非常に高いです。地球環境への貢献や、ビジネスの永続性のためにも、トマトでの環境負荷低減への取り組みは避けられません。

カゴメにはもともと農場での生産から加工に至るまでの工程での世界規模のネットワーク、そしてそれを支える遺伝資源や栽培技術を有しています。それらを最大限に活用し、カゴメグループを横断したプロジェクト体制で、独自のトマトによる環境貢献にチャレンジしています。既に、各地の農場においてGHG排出や水使用量を減らす取り組みをいくつかスタートさせていますので、今後の成果にご期待ください。

 

事例02 


インドにおけるバリューチェーン構築への挑戦

KFICグローバルトマト事業部 柳川 慎弥

 

トマト生産量世界第2位のインドは、当社の国際事業が飛躍的な成長を遂げる上で重要な戦略拠点です。巨大で伸長著しいフードサービス市場の潜在力を踏まえ、長期視点で基盤強化のための成長投資を進めています。2016年にはピザソースなどの二次加工品を製造・販売するKagome Foods India Pvt.Ltd.を設立し、レストランやケータリング会社での加工品需要の高まりに応えることで事業を拡大してきました。

一方、主要原材料となるトマト及び一次加工品であるトマトペーストの価格・品質・調達量の不安定さは、競争が激しいインド市場において成長の足枷となる重要課題です。まずはトマト栽培から携わる体制を整備し、原材料の安定調達と品質向上を実現するバリューチェーン構築を進めています。

今後、インド市場における競争力の強化を図るとともに、中東・東南アジア等の周辺国への供給も視野に入れた広域な供給網構築を目指します。これまで当社グループがトマトの垂直統合型ビジネス(種子から食卓まで)で蓄積してきた知見を最大限に活用し、現地ステークホルダーとの協働を通じて持続的な成長を実現していきます。


インドの契約農家を訪問

 

 

事例03 


農の想いを受け止め、生活者へつなぐ。恵みがめぐる国産バリューチェーン

マーケティング本部 ウェルビーイング事業部 中津隈 哲郎

 

カゴメは農家の集まりから生まれた会社であり、その原点は今も私たちの価値観の中心にあります。野菜や果実は植えてすぐに実るものではなく、収穫には長い時間と多くの手間が必要です。加えて、気候変動や後継者不足など、国産原材料の調達環境は一段と厳しくなっています。だからこそ私たちは短期的な成果にとらわれず、産地が直面する現実に真摯に向き合い、持続的に農を育み続けられる体制づくりを大切にしています。こうした姿勢は、農の未来を支える企業として果たすべき責任だと考えています。

一方、家庭用・業務用・ギフト・通販向けなど多様な商品ラインアップを持つことは、カゴメの価値創造を支える重要な要素です。幅広い出口があることで、豊作・不作といった収量の変動を柔軟に受け止め、生産者の努力を確かな価値へとつなげることができます。

これからも商品の背景や物語を丁寧に届け、おいしさや安心に加えて「そのひと口が日本の農の未来につながる」という視点を広く共有することを通じて、生活者と農をつなぐ新たな循環を育んでいきます。


トマトを育てる契約農家を訪問

 

 

(5) 第3次中期経営計画の振り返り

カゴメグループは、2016年に「2025年のありたい姿」「ビジョン」を掲げました。その実現に向けて10年間を3つの中期経営計画に分け、「健康寿命の延伸」「農業振興・地方創生」「持続可能な地球環境」の3つの社会課題解決に取り組んできました。この10年間の成果と課題を踏まえ、次なる成長ステージである2035ビジョンへの歩みを進めます。ここではまず、前中期経営計画(2022年~2025年)(以下、前中計)を振り返ります。

 


 

 

1.前中計 基本戦略

10年間の最終フェーズにあたる前中計では、「4つのアクションの有機的連携による持続的成長の実現」を基本戦略に掲げ、オーガニック・インオーガニック両面での成長を目指して、グループ一体での取り組みを推進してきました。

4つのアクションそれぞれの主な取り組みは以下の通りです。これらを有機的に連携させ、持続的な成長を追求しました。


 

 

4つのアクション

 活動内容

結果

1

野菜摂取に対する行動変容の促進

ベジチェック®の展開

測定回数(累計、延べ人数):2,400万回以上

 ※2025年12月時点

企業・自治体などでの導入実績(累計):8,400台

野菜摂取推進プロジェクト

情報発信対象人数:1.8億人

 ※中計期間4年間、累計、延べ人数

2

ファンベースドマーケティングへの変革

生活者接点の多様化

植物性ミルク・スープなど新領域への挑戦

3

オーガニック・インオーガニックでの成長

オーガニック売上収益成長

年平均成長率4.9%

 ※中計期間(4年)、為替影響除く

インオーガニック成長

M&A投資額:約360億円

ROE(2025年)

7.9%

4

グループ経営基盤の強化と、挑戦する風土の醸成

農業研究基盤の構築

農業研究に特化した研究開発組織GARBiC(※1)及びCVCの設立

調達基盤の強化

調達拠点分散、Ingomarの連結子会社化

環境取り組み

CDP気候変動Aリスト(2024年)/CDP水Aリスト(2025年)

エンゲージメントサーベイスコア

73 ※2021年度:70

 

※1 GARBiC:Global Agricultural Research & Business Center

 

 

2.連結売上収益・事業利益推移

4つのアクションの有機的な連携により、国内加工食品事業の着実な成長に加え、国際事業におけるフードサービス企業向けの販売を拡大しました。その結果、為替影響を除いたオーガニック年平均成長率は4.9%となりました。インオーガニック成長においては、2024年1月のIngomar連結子会社により、国際事業の規模が拡大するとともに、付加価値創出に向けた強固な基盤が整理されました。

 売上収益・事業利益推移

 


 

 

3.投資実績

前中計期間中における新商品導入、品質の維持・向上、生産性向上を主な目的とした投資額は、4年間で約400億円となりました。このうち約6割が国際事業への投資です。主な事業投資は、2024年のIngomar買収に伴う約360億円となります。

 

 

4.国内加工食品事業

コスト上昇が継続する環境下において、機動的な価格改定に加え、原価低減活動、野菜の健康価値の訴求、ファンベースドマーケティング、需要創造活動といった当社の強みを掛け合わせることで、売上収益の成長と事業利益水準の回復に取り組みました。今後に向けては、コスト高が継続する事業環境下において、持続的に利益を創出できる事業構造への変革と、新たな成長の柱の育成が引き続き重要な課題です。

 

売上収益推移

 


 

事業利益推移

 


 

 

 

5.国際事業

米国を中心に、バリューチェーンの強化とフードサービス向け販売の拡大に取り組みました。米国ではIngomar連結子会社化により、一次加工の調達基盤を強化するとともに、農業研究基盤の拡充を進めました。二次加工はトマトペースト市況の影響により販売単価は低下したものの、フードサービス企業向け商品を中心に販売数量は増加しました。トマトペースト市場変動を前提とした業績変動幅の抑制と、グローバル・バリューチェーンを活かした競争優位性の確立が今後の課題です。

 

売上収益推移

 


 

事業利益推移

 


 

 

 

6.主な経営指標

国内加工食品事業の収益の回復、国際事業の拡大により、EPS(1株当たり当期利益)は2021年度109.3円から、2025年度161.4円へと52.1円増加しました。一方で、ROEは2021年度対比で低下しており、目標の9%に届かず課題を残しています。特に、当期利益率(親会社の所有者に帰属する当期利益)及び総資産回転率が低下しています。獲得した資産を確実に利益に結び付ける力の強化が今後の課題です。

 

EPS・ROE・ROICの2021年度・2025年度の比較

 


 

※ ROIC:事業利益×(1-税率)/(株主資本+有利子負債)

 

 


 

(6) 中期経営計画 「Kagome Group Plan 2028」について

1.概要

カゴメの価値の中心には、創業以来一貫して「農」と「自然」があります。当社は農を起点に、品種・栽培技術開発、調達、加工、そしてお客様のもとに価値を届けるまでのバリューチェーンを構築してきました。 このバリューチェーンを構成するそれぞれの強みを掛け合わせることで、カゴメグループ全体としての強さを磨き、持続的な成長を加速します。

農からの価値形成力、バリューチェーン全体で培った技術や知見、国内外の自社拠点に加え、サプライヤーや顧客と築いてきたグローバルネットワーク。これらは、長年の事業活動を通じて積み重ねてきたカゴメ独自の強みです。

事業構造や市場環境が大きく変化する現在においては、個々の強みを単独で発揮するだけでなく、グループ各社が持つ強みを有機的に掛け合わせ、その相乗効果を最大化することが重要になります。カゴメグループは農から価値を形成するバリューチェーンの強みを掛け合わせることで、競争優位となる価値の創出に挑み続けます。

 


 

 

2.位置付けと定量目標

2035ビジョンの実現を目指して、2026年から2028年までのKagome Group Plan 2028では「『農から価値を形成するバリューチェーン』を進化させ、国内外における競争優位性を築く~独自の強み『農・技術・グローバルネットワーク』の相乗効果の最大化~」をテーマに掲げました。2029年以降に、国際事業及び新規価値領域が成長を大きく牽引していくためには、本中計期間における成長基盤の構築と競争力の強化が極めて重要となります。

Kagome Group Plan 2028では、経営指標としてROE9%以上を目標に設定しています。また、期初の事業ポートフォリオを前提とした成長目標として、売上収益3,250億円、事業利益は270億円を掲げました。これに加え、約500億円規模の戦略投資予算枠を確保し、インオーガニック成長を含む将来に向けた成長機会の創出を推進していきます。

 


 

 

3.基本戦略

Kagome Group Plan 2028の基本戦略は、「収益獲得力の向上と、成長・新規価値領域への資源投下による競争力強化」です。この実現のため、4つの戦略を実行します。

 


 

 

① 独自の強みの最大化による、収益獲得力の向上と、国際事業の二次加工を中核とした成長の加速

イ 収益基盤 | 国内加工食品事業

野菜と健康の価値提供を起点としたバリューチェーン最適化による、収益獲得力の強化

日本市場は、人口の減少、高齢化率の上昇などの環境変化に加え、様々なコストの上昇が継続しています。一方で、健康への関心の高まりや、食に対する価値観の変化といった新たな需要も確実に生まれています。このような需要を捉え、野菜と健康の価値提供を強化するとともに、バリューチェーンの最適化を通じて、成長と利益獲得を両立する国内加工食品事業へと進化を図ります。日本国内においては、生産者との強い信頼関係や、機能性研究など、川上からの価値開発が進んでいます。ここから創出した価値を多様な商品へと展開し、需要創造を図るとともに、生産拠点・在庫・チャネルの最適化を推進していきます。

 

 


 

 

 

ロ 収益基盤 | 国際事業:トマト他一次加工

バリューチェーンの相互連携の強化による、トマト他一次加工の安定的な収益の創出

トマト他一次加工は、加工用トマトやトマトペーストの市況の影響を受けやすく、業績の変動幅が拡大しやすい特性を有しています。このため、市況変動を前提としながらも、適切な利益を安定的に創出できる事業構造への変革が課題です。これに対し、当社の強みを掛け合わせた一連の施策を通じて対応していきます。具体的には、GARBiCや契約農家との連携による加工用トマトの付加価値化に加え、製造工程における品質向上や原価低減活動の展開、さらにトマト他二次加工の顧客ニーズに対応した商品開発を進めます。これらは、一連のバリューチェーンを有する当社ならではの一貫した取り組みであり、収益基盤の強化と安定化につながるものと考えています。

 


 

 

 

ハ 成長領域 | 国際事業:トマト他二次加工

ソリューション提案力強化による、フードサービス向け事業の成長と、インドの基盤構築

主に、フードサービス企業向けのピザソースやオイルソースなどを販売しています。フードサービス市場規模が大きい米国、ヨーロッパ、及び成長率の高いインドを重点エリアとしています。フードサービス業態はトレンドの変化が速く、顧客の要望に即時に対応できる提案力とQCD(品質・コスト・供給力)が勝敗を分けます。日本、米国で培った知見を相互に活用し、ソリューション提案力の高度化、QCDの仕組みづくり、グローバルネットワークの連動を一体で進め、トマト他二次加工をこれからの成長エンジンにしていきます。

 


 

 

 

② 未来の柱をつくる、新規価値領域の創造

2035ビジョンの実現に向けて、今後確実に拡大すると予想されるウェルビーイングとサステナビリティの2つの市場に対し、カゴメらしく価値創造に取り組むことで、未来の成長の柱を創造します。取り組みの1つ目は「農と食のウェルビーイング事業」、2つ目は「環境負荷の低いトマトビジネス」です。これらを未来の成長の柱に位置付け、2028年までを価値開発フェーズとして、2029年以降の事業化へとつなげていきます。

 


 

 

③ 成長投資と株主還元の最適化による資本効率の向上

「4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)CFO/CROメッセージ」をご参照ください。

 

 

④ 価値創造の原動力となる経営基盤(人材・研究開発・DX・サステナビリティ)の進化

カゴメグループが独自の強みを築き、持続的な価値創造を実現する原動力は、人材・研究開発・DX・サステナビリティの4つの経営基盤です。

 


 

 

4.Kagome Group Plan 2028 主な経営指標

Kagome Group Plan 2028では、事業の成長を示す指標として売上収益と事業利益を、経営成果を測る指標としてROEと株主還元を設定しています。主要指標を以下に示します。

 

事業の成長目標(中計期初の事業ポートフォリオを前提)

(億円)

 

2025年度

実績

2028年度

目標

増分

売上収益

2,942

3,250

+307

事業利益

226

270

+43

 

 

 

経営の成果目標(インオーガニック含む)

()

 

2025年度

実績

2028年度

目標

増分

ROE

7.9%

9%以上

+1.1pt

株主還元

(中計期間累計)

総還元性向 41.3%

総還元性向 50%

+8.7pt

 

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取り組み】

(1) サステナビリティガバナンス

1.カゴメのサステナビリティに対する考え方


 

サステナビリティ基本方針

 

カゴメグループは創業以来、

「畑は第一の工場」というものづくりの思想のもと、

自然の恵みを活かした新しい食やサービスを提案してまいりました。

この営みを未来につなぐために、

企業理念である『感謝・自然・開かれた企業』の実践と、

ステークホルダーの皆さまとの協働により社会課題の解決に取り組み、

持続的なグループの成長と持続可能な社会の実現を図ります。 

 

 

2.サステナビリティ推進体制

当社では、関連部門で進めてきたサステナビリティへの取り組みを全社での活動として強力に推進するため、「長期視点の議論ができる場」として、2022年10月に経営会議の下にサステナビリティ委員会を設置しました。傘下の分科会からの提言に基づいて、マテリアリティ推進に向けた重点テーマに対する全社の取り組み方針やKPIについて審議し、進捗のモニタリングも担っています。サステナビリティ委員会での審議事項は経営会議や取締役会へ報告・付議され、経営戦略への反映が図られています。

2025年には、新たに策定された2035ビジョンと、連動して刷新されたマテリアリティに対応すべく、2026年以降に委員会で取り扱う重点テーマ及び委員の見直しを行いました。引き続き、同委員会を中心にカゴメのサステナビリティ経営を前進させていきます。

 

サステナビリティ委員会の目的

目的1 長期的視点での「持続可能な社会の実現(社会課題の解決)」及び「企業の持続的な成長」に

     向けた“カゴメの在り様”について検討を行い、経営戦略に反映させる。

目的2 マテリアリティの達成に向けて特定された重点テーマについて、モニタリングと主管部門への

指示・アドバイスを行い推進する。

 

 

 


 

3.重点テーマ別分科会

サステナビリティ委員会ではマテリアリティ、特に2035ビジョンや環境マネジメント計画(2026年度~2028年度)を強力に推進すべく、2026年から重点的に取り扱うテーマを見直しました。設定した重点テーマについては、全社横断的に取り組み、少なくとも年1回以上は委員会で審議や進捗報告を行うことで、推進力を高めていきます。重点テーマの設定にあたっては、他の会議体・セッションで審議されないマテリアリティを優先的に取り扱い、該当するマテリアリティから特に2035ビジョンや環境マネジメント計画の推進に寄与する重点テーマを設定しました。

 

重点テーマ

選定理由・今後の議論のポイント

① 気候変動

マテリアリティ「トマトに関連するグローバル・バリューチェーンの環境負荷極小化と気候変動の克服」から、重点テーマとして設定しています。本マテリアリティは2035ビジョン実現をドライブする構想「環境負荷の低いトマトビジネスの開拓」に該当すること、また環境マネジメント計画でも気候変動への取り組みは強化対象であることが設定理由です。

「環境負荷の低いトマトビジネスの開拓」プロジェクトから挙げられる、推進にあたっての相談・審議事項や、主にScope3やFLAG(※)などのGHG排出量削減、再生可能エネルギーの導入拡大等について議論する予定です。

② 資源循環

マテリアリティ「持続可能なサプライチェーンの構築」から、重点テーマとして設定しています。本重点テーマは「環境負荷の低いトマトビジネスの開拓」にGHG排出量以外の側面から貢献できる可能性があること、また環境マネジメント計画でも資源循環への取り組みは強化対象であることが設定理由です。

廃棄プラスチックの削減(再生プラスチックの利用促進)や、アルミ付飲料紙容器などの基幹商品容器の資源循環推進、食品ロスの削減などについて議論する予定です。

③ 持続可能な調達

マテリアリティ「持続可能なサプライチェーンの構築」から、重点テーマとして設定しています。本重点テーマは、サプライヤーへの環境デューデリジェンス、及びエンゲージメントや協働によるサプライヤーの環境配慮レベルの向上により、トマトに関連するバリューチェーンの環境負荷低減に貢献できる可能性があることが設定理由です。

Sedexなどを用いたサプライヤーの環境配慮レベルの可視化や、改善に向けた協働策などについて議論する予定です。

④ 非財務情報開示

マテリアリティ「コーポレート・ガバナンスの強化」から、重点テーマとして設定しています。本重点テーマは、2035ビジョン、特に「環境負荷の低いトマトビジネスの開拓」によりグローバルでのサステナビリティへの取り組みが今後進展する中、海外の顧客(取引先)や、株主・機関投資家に訴求できる開示や認証、格付についての議論が必要との考えから設定しました。

グローバルにおける開示規制への対応や、カゴメグループとして戦略的に取得すべき認証や格付などについて、議論する予定です。

 

FLAG: 農業や林業、その他土地利用に関連するセクター(Forest, Land and Agriculture)における温室効果ガス排出を表す。

 

(2) カゴメのマテリアリティ

1.マテリアリティに対する考え方

カゴメグループでは、マテリアリティを「カゴメグループの持続的な成長と、すこやかで持続可能な地球環境と社会を実現するための重要な経営課題」と位置付けています。マテリアリティは2035ビジョン実現に向けた取り組みや持続的な経営・事業を支える基盤の取り組みを包括し、長い時間軸で取り組んでいく課題です。

これらのマテリアリティに取り組むことで、持続可能な社会の実現と、持続的に成長できる強い企業の両立を目指していきます。

 

 

2.マテリアリティの特定プロセス

 


 

 

マテリアリティ・マトリックス


 

3.カゴメグループのマテリアリティ

位置

付け

新マテリアリティ

取り組み方針・目指す姿

貢献できるSDGs

2

0

3

5

 

農と食を通じたウェルビーイングへの貢献

人々の野菜摂取を促進し、科学的知見に基づいたアプローチで健康増進等の身体的なウェルビーイングの実現に貢献する。


ステークホルダーと共に自然の可能性を拓き、農や食の価値を共有するコミュニティの形成により、人々の社会的・精神的なウェルビーイングの実現に貢献する。

農業の振興・持続可能性向上

品種改良や栽培技術の開発、生産者支援等により農作物の安定生産を実現し、トマトをはじめとする野菜に関わる農業の持続可能性向上に貢献する。


商品・サービスを通じ人々の農や食に対する関心を高め、農業の関係人口増加と振興に貢献する。

トマトに関連するグローバル・バリューチェーンの環境負荷極小化と気候変動の克服

トマトの品種開発や栽培技術の高度化を通じて、世界で最も環境負荷が小さく、気候変動に適応したトマト・トマト加工品の提供者を目指す。


開発した品種や技術を、原材料生産者やパートナー企業との連携により社会に展開することで、トマト産業全体の環境負荷を極小化し、気候変動を克服する。

 

多様な人材の活躍機会

創出と戦略的な人的資本の強化

多様な背景や能力・特性を持った従業員一人ひとりが活躍機会を見出し、事業を通じてお客様や社会に貢献することで、精神的・社会的に満たされた状態で就業できる環境を整え、選ばれる企業となる。


従業員一人ひとりが当社のビジョンに共感しており、個人の成長とカゴメグループ全体の事業成長の好循環を実現している。

安心・安全・高品質を追求した商品・サービス・情報の提供

「品質第一」の考え方のもと、お客様に対し安心・安全・高品質な商品・サービス・情報を提供する。

 

責任あるマーケティング及び迅速で誠実な対応と情報公開を通じ、お客様に信頼して商品・サービスをご利用いただける環境を整える。

持続可能なサプライ

チェーンの構築

「人権方針」や「品質・環境方針」を基に、サプライチェーンを通じた環境・社会への影響に配慮した調達先の選定や、資源循環による原材料調達の持続性向上に取り組む。


農業研究・種子生産の高度化や調達先の分散による安定した供給を実現する。

DXにより、社内外のサプライチェーンマネジメントを強化し、グローバルで多様なサプライチェーンを効率化・高度化する。

コーポレート・

ガバナンスの強化

 「自律」の強化と「他律」による補完に加え、グループ全体のガバナンス・連携強化による、経営基盤強化と価値向上を通じた持続的な成長を目指す。


適切な情報開示やステークホルダーとの対話を通じ、経営の透明性を高める。

 

 

(3) トマトに関連するグローバル・バリューチェーンの環境負荷極小化と気候変動の克服

トマトの品種開発や栽培技術の高度化を通じて、世界で最も環境負荷が小さく、気候変動に適応したトマト・トマト加工品の提供者を目指します。

 

1.品質・環境方針

自然の恵みを活かして人々の健康に貢献してきたカゴメのものづくりは、「畑は第一の工場」という考えのもと、野菜の種子や土づくりから取り組み、安全で高品質な原材料づくりを基本としてきました。その自然の恵みを享受し続けるためには、豊かな自然環境のもとでの持続的な農業の営みが欠かせません。地球環境の保全と自然を活かしたものづくりを両立させていくことは、カゴメグループの事業活動が将来にわたり成長し続けるために不可欠なことです。

このような品質(ものづくり)と環境に関する理念の共通性や活動上の関連性から、従来それぞれに「品質方針」「環境方針」として掲げられてきたものを統合し、「品質・環境方針」を2017年10月に制定しました。カゴメが情熱を込めて取り組んできたものづくりと同じ想いで環境保全活動にも注力することで、持続可能な社会の実現を目指す、という経営の意思が込められています。

 

 

 野菜によるおいしさと健康価値で、大切な人の健康長寿に貢献します。

 国内外のパートナーと種子・畑から一貫した安全な農産原料づくりに取り組みます。

 野菜を育む水・土・大気を守り、豊かな自然をつくる農業を未来につなげ、得られた恵みを有効に活用します。

 法令や自主基準を順守し、しくみや行動をレベルアップし続けることで、安全で環境に配慮した商品をお客様にお届けします。

 お客様へ商品やサービスの確かさをお伝えしつつ、お客様の声を企業活動へ反映します。

 

 

 

 

2.ガバナンス

カゴメグループは事業の最大のリスクを原材料調達の途絶と考えています。気候変動、自然関連課題による原材料調達の影響などに備え、グループとしてレジリエンスを強化し、右図のガバナンス体制のもとで企業価値の向上を目指します。

取締役会は、経営会議及びサステナビリティ委員会を監督しています。経営会議は、サステナビリティ委員会からの報告を受けて、当社グループの経営方針や戦略を審議・執行しています。また、サステナビリティ委員会とISO14001に則った環境マネジメントシステムとの連携によって、当社グループのガバナンス体制を構築しています。


 

サステナビリティ委員会

委員長

 

サステナビリティ管掌役員(取締役執行役員)

委員

 

社会課題の解決およびESG課題の対応に関わる本部役員・

関連部門長 サステナビリティ情報発信部門

目的

 

➤長期的視点での「持続可能な社会の実現(社会課題の解決)」及び「企業の持続的な成長」に向けた“カゴメのあり方”の検討、経営戦略への反映

➤マテリアリティの達成に向けて特定された

“サステナビリティ課題”のモニタリング、推進主管への指示・アドバイスの実施

 

 

3.気候変動・自然資本への対応と情報開示への取り組み(TCFD、TNFD)

カゴメグループは、自然の恵みを原材料とする企業として、自然環境の保全を事業継続と持続的成長に不可欠な最重要課題と位置付けています。気候変動や自然資本の損失は、農業や社会の持続可能性、さらには事業成長に重大な影響を及ぼす可能性があります。こうしたリスクに対応するため、当社は国際的な枠組みに基づく取り組みを推進しています。

 

TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)への対応

気候変動が事業に与えるリスクと機会を明確化するため、2019年に一部部門でシナリオ分析を実施しました。2022年にはTCFD提言への賛同を表明し、2023年には全社横断的なプロジェクトを立ち上げました。バリューチェーン全体における気候変動の影響を再分析し、事業の持続的成長に向けた対応を強化しています。

 

TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)への対応

自然資本の重要性を踏まえ、2023年9月に公表されたTNFD提言に沿って対応を開始しました。事業活動で最も重要な原材料である「トマト」に焦点を当て、自然資本へのインパクトや生態系サービスへの依存をLEAPアプローチで評価しています。

 

2024年度にTCFD及びTNFD対応として実施した検討結果を踏まえ、2025年度、カゴメ環境マネジメント計画(2026年度~2028年度)を策定しました。本計画はTCFD・TNFDと連携した包括的な戦略であり、計画策定にあたっての検討プロセスで新たに設定したKPIを、本報告書に示すTCFD・TNFD対応内容にも反映しています。これにより、気候変動や自然資本リスクに対する事業のレジリエンスを強化しています。

カゴメグループは、気候変動と自然資本が相互に影響し合う複雑な関係にあると認識し、TCFDとTNFDの情報を統合的に開示する取り組みを進めています。今後も、これらの枠組みに基づく情報開示を拡充し、気候変動や自然資本に関する課題への対応を通じて、持続可能な社会と農業の実現、そして事業の持続的成長を果たしていきます。

 

TCFD・TNFDの一般要件

1

マテリアリティの適用

カゴメグループは気候変動において、シングルマテリアリティを採用し、気候変動リスク・機会による当社グループへの財務影響算定を行っています。

また、自然資本ではダブルマテリアリティを採用し、環境・社会へのインパクトも重視して評価を行っています。

2

開示スコープ

当社グループによる直接操業、及びバリューチェーン上流、下流を対象としています。直接操業では、国内外全ての生産工場を含みます。バリューチェーン上流では当社グループの中核事業であるトマト事業に着目し、グローバルで農地まで追跡し、依存とインパクトについて分析しています。バリューチェーン下流では消費者を含め、パッケージの廃棄・リサイクルについても分析対象としています。

3

自然関連課題の

ロケーション

トマトに関連する当社グループの全事業を対象とし、生鮮事業14拠点(国内菜園(直轄、契約))、及び加工事業256拠点(国内工場(食品製造、農場)、海外工場(食品製造、農場)、国内委託先、海外サプライヤー(二次含む))の計270拠点を確認したところ、自然資本関連の課題の所在として日本の菜園・農場、ポルトガル・米国・オーストラリアの3ヶ国の農場・工場を優先地域に特定しています。

4

他のサステナビリティ

課題との結合

当社グループの事業活動において、気候変動課題、自然資本関連課題は相互に関連していると認識しています。特に自然資本関連の対応策のうち、原材料や容器包装の調達や重要なトマト栽培システムの開発・確立と運用については、気候変動リスク・機会への影響が大きいと考え、今後の当社グループの戦略、指標と目標についても一体的に捉えた活動を進める予定です。

5

時間軸

分析の時間軸として、短期は中期経営計画の最大4年間、中期は次期長期ビジョン終了年2035年、長期は2050年としています。

6

ステークホルダーとの

エンゲージメント

地域コミュニティや先住民を含めたステークホルダー・エンゲージメントの重要性を認識しています。現在、品質・環境方針、カゴメグループ人権方針の考えに沿った、カゴメCSR調達方針及びカゴメサプライヤーCSR行動規範に基づき、国内/海外原材料の調達先に対し、デューデリジェンスの取り組みを開始しています。今後もステークホルダーとのエンゲージメントを通じて得た知見を企業経営に活かし、課題解決に関する取り組みを進めていきます。

 

 

 

 

4.戦略

〈 気候変動に関するシナリオ分析(TCFD)〉

①リスク・機会の特定

カゴメグループでは、2050年までに当社グループの温室効果ガス排出量を実質ゼロにすることを目指して、2030年に向けた温室効果ガス排出量の削減目標を策定し、SBTイニシアチブから「1.5ºC目標(※)」の認定を取得しています。この目標に整合するため、TCFDのシナリオ分析をこれまでの「2ºC」及び「4ºC」シナリオから、「1.5ºC」及び「4ºC」シナリオに変更し、気候変動が事業に与えるリスクと機会を特定しました。

※ 産業革命前からの気温上昇を1.5ºCに抑えるための科学的根拠に基づいた温室効果ガスの排出削減目標

 

気候変動に関するリスク・機会の一覧

大分類

気候変動 リスク・機会

影響度

発現時期

移行リスク

炭素税導入による炭素税の支払いの増加

短~中期

炭素税の導入による購入した製品サービスや輸送に関わる調達コストの増加

短~中期

GHG排出量削減のための最新技術・設備投資の増加

短~中期

容器包装規制の対応費用の増加

短~中期

電力・エネルギー価格の高騰によるコストの増加

短~長期

物理的

リスク

急性

極端な気象現象の増加
(工場浸水時の想定損害額や大雨・洪水などの工場不稼働に伴う利益の逸失)

短~中期

降水パターンの変化(渇水による水価格の高騰)

短~中期

慢性

降水パターンの変化(地下水位低下による生産コストの増加)

短~中期

気温上昇によるトマト収量減による調達コストの増加

短~長期

10

高温による農業従事者の生産性の低下に伴う調達コストの増加

短~長期

機会

輸送効率化によるコストの削減

短~中期

容器包装の資源効率化によるコストの削減

短~中期

肥料・水使用量の削減によるコスト削減、開発利用・外販による売上の増加

短~中期

サステナブル製品・低炭素製品の開発・販売による売上の増加

短~長期

事業活動の多様化による売上機会の増加

短~長期

 

※分析の時間軸として、短期は中期経営計画の最大4年間、中期は次の長期ビジョン終了年2035年、長期は2050年としています。

※TCFDにおける物理的リスクでは平均気温上昇幅に応じたIPCCの各SSPシナリオ、移行リスクでは主にIEAのNZEシナリオを
参照しています。

※影響度は「小」を20億円未満程度、「中」を20~50億円程度、「大」を50億円以上を目安としています。

 

 

 

②リスク・機会による財務影響とその対応策

イ. 気候変動(GHG・炭素税) ~ 気候変動に関するリスク・機会への対応戦略(緩和)~

当社は、炭素税導入やエネルギーコスト上昇を気候変動に関する移行リスクとして認識しています。国際エネルギー機関(IEA)の「世界エネルギー見通し(WEO)」で提示されている気候変動シナリオを参照し、炭素税支払金額、エネルギー需要・価格をもとに影響を予測しました。炭素税導入による支払いコスト増としては、ネットゼロ排出(NZE:1.5ºCシナリオ)では約18億円、公表政策シナリオ(STEPS:4ºCシナリオ)では約16億円のコスト増が見込まれます。

当社は、SBTイニシアチブの認定を取得し、工場のエネルギー効率向上や再生可能エネルギーの活用等の温室効果ガス排出量削減に継続的に取り組みます。また、サプライヤーとの連携を強化し、輸送効率の改善、容器包装をはじめとした原材料調達における温室効果ガスの排出量削減を目指します。

 

SBT認定

気候変動対策を強化するため、温室効果ガス(GHG)排出量削減の新目標を策定し、2025年に新たなSBTイニシアチブ(※1)の認定を取得しました。今回の更新では、農業など土地利用に関するFLAG削減目標を設定し、Scope3削減目標も上方修正しています。

 

 

※1 企業の温室効果ガス排出削減目標が、パリ協定が定める水準と整合していることを認定する国際的イニシアチブ


 

 

リスク・機会認識

炭素税導入やエネルギー価格変動

(移行リスクNo.1,2,3,4,5、機会No.1)

 

財務影響

炭素税導入による支払いコストの増加

炭素税導入による調達コストの増加

1.5ºC

4ºC

1.5ºC

4ºC

2030年

2030年

2030年

2030年

18億円

16億円

222億円

190億円

 

 

 

 

対応策

 


 

※2 電力購入契約(Power Purchase Agreement)

 

ロ. 持続可能な農業   気候変動に関するリスク・機会への対応戦略(適応)

気温上昇をはじめとした気候変動がトマトの収量に大きく影響する可能性が懸念されています。2017年6月、米国カリフォルニア州で高温が続き、トマトの収量が平年と比べて16.1%(米国農務省)減少する実害も出ています。

当社グループの原材料トマトの主要産地である同州のトマト収量データをもとに「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第6次評価報告書」の各シナリオでの収量変化予測を分析しました。同州における6月の最低気温を分析し、2050年においてSSP1-1.9(1.5ºCシナリオ)では71億円、SSP5-8.5(4ºCシナリオ)では147億円の日本カゴメの調達コスト増が見込まれました。トマトの収量が低下した場合は、実際は生トマト単価やトマト加工品(原材料)の売値が上がり、海外子会社は利益増となるため、グループ全体の利益減となるわけではありません。当社は川上のバリューチェーンを持つことで収益の安定性を保っています。安定的な原材料トマトの確保に向け、気候変動への対応戦略として、高温耐性品種への改良(栽培技術・品種開発)、乾燥耐性品種の開発、節水・減肥栽培技術の導入、新たな産地の開発調査を実施していきます。

 

リスク・機会認識

気温上昇による農産物への影響

(物理的リスクNo.8,9、機会No.3,4,5)

 

財務影響

気温上昇に伴うトマトの収量変化によるコスト増加

1.5ºC

4ºC

2035年

2050年

2035年

2050年

61億円

71億円

71億円

147億円

 

算定式: 調達金額の上昇額=「調達額」×「2017年のカリフォルニア州トマト収量USDAデータをもとにした高温による収量減少率」×「IPCCの気温上昇予測」

 

 

対応策

 


 

 

 

 

ハ. 水  気候変動に関するリスク・機会への対応戦略(適応) ~

台風や集中豪雨、水害が発生すると、トマトをはじめとする原材料の調達が困難になります。オーストラリア工場では2017年4月、記録的な大雨によってトマトの裂果や病気などで収量が低下し、工場も稼働が停止しました。他方で、カゴメグループは商品の原材料となる作物の栽培に水を使い、加工段階でも多くの水を使用しています。渇水が発生すると水使用コストが増加し、原材料収量が低下する可能性があります。実際に過去に干ばつが発生した際には水価格が400%上昇するなど、渇水によるリスクにさらされています。

カゴメグループの工場では、活動する地域の水資源を守るため、国内6工場、海外7工場で水管理計画を策定し、取水量・排水量、水リサイクル量、排水の水質などを管理して、それぞれの地域に合ったサステナブルな対応を進めています。また、国内6工場と海外7工場を対象に水リスク評価を行い、水リスクが高い海外の優先拠点においては、カゴメグループの各海外工場と現地関係者などでエンゲージメントを行い、各工場や地域に応じた様々な対策を講じています。

さらに、工場に対する水害や渇水の影響に対しては既に小坂井工場に防水壁を設置するなど、国内工場においてはリスク軽減措置を講じています。こうした取り組みをグループ全体に波及させていきます。

 

 

リスク・機会認識

水害、渇水による影響

(物理的リスクNo.6,7、機会No.3)

 

 

 

対応策

 


 

  ※2022年:国内全工場ハザード対策完了

 

 

二. サステナブル製品・事業活動の多様化  ~ 気候変動に関する機会への対応戦略 ~

気候変動によるリスクに適切に対応していくことで、カゴメグループにとっての事業機会が生まれます。例えば、異常気象や自然災害の増加により、長期保存可能な災害用保存野菜商品の需要が高まり、また、気候変動への関心が高まれば、「できるだけ環境にやさしい商品を選びたい」というサステナブルな選択肢の需要を増加させます。

その一例として、気候変動により災害が増加した場合の長期保存可能(賞味期間5.5年)な災害用保存野菜商品の売上の影響を試算しました。当社災害用保存野菜商品の平均年間売上金額と国土交通省の「気候変動を踏まえた治水計画のあり方」のシナリオ別洪水発生頻度をもとに算定したところ、1.5ºC(2ºC)シナリオでは7億円、4ºCシナリオでは10億円の財務影響(売上収益増)が見込まれました。

また、事業活動の多様化において、カゴメは世界各国の革新的な農業技術を有する優れたスタートアップ企業への出資及び協業を行うCVCファンドを設立しました。このファンドの取り組みにより、気候変動に適応する新品種や栽培技術の開発及び実装を目指すとともに、出資先とのオープンイノベーションによる新事業の開発を目指します。

 

 

リスク・機会認識

サステナブル製品の開発・販売、事業活動の多様化

(移行リスクNo.4、物理的リスクNo.10、機会№2,3,4,5) 

 

財務影響

災害用などの長期保存可能な野菜商品の売上収益増加

1.5ºC(2ºC)

4ºC

2035年

2035年

7億円

10億円

 

算定式: ローリングストック商品平均売上高(2020年-2023年)×洪水発生頻度の上昇率

 

 

対応策

 


 

 

 

 

 

〈 自然関連に関するLEAPアプローチ(TNFD)〉

カゴメグループ売上の多くを占める「トマトに関連する事業」を対象範囲として、自然への依存とインパクト、及び自然関連のリスクと機会をTNFDフレームワークのLEAPアプローチによって評価しました。

 

① Locate:自然との接点の発見

カゴメグループのトマトに関係する事業の自然との接点を、グローバルなデータに基づく評価ツールであるBRFを中心に、一部ENCOREを用いて評価しました。その結果、自然の状況の観点から43拠点を「優先地域の候補」として挙げました。

 

 

分析対象(270拠点)

生鮮事業(14拠点):国内菜園(直轄、契約)

加工事業(256拠点):国内工場(食品製造、農場)、海外工場(食品製造、農場)、国内委託加工、

海外サプライヤー(二次含む)

 

分析ツールで抽出した優先地域の候補

 

国内菜園

国内工場
(食品製造)

国内農場

海外工場
(食品製造)

海外農場

委託加工

海外
サプライヤー

区分

生鮮事業

加工事業

加工事業

加工事業

加工事業

加工事業

加工事業

優先地域の
候補数

12拠点

なし

5拠点

8拠点

5ヶ国

なし

13拠点

 

 

拠点評価における優先地域の候補と、該当拠点でのトマト購入金額やトマト関連製品生産金額などからの拠点重要度を踏まえ、以下の通り、優先地域を特定しました。

 日本の菜園、農場

 ポルトガル、米国、オーストラリアの3ヶ国の農場、工場

 

優先地域

区分

拠点詳細

日本

菜園、農場

国内菜園12拠点、国内農場5拠点

ポルトガル

農場

6都市・町:Beja、Evora、Leiria、Lisboa、Santarem、Setubal

工場

2工場:FIT、KFP

米国

農場

1州:California

工場

2工場:Ingomar、KIU

オーストラリア

農場

2州:New South Wales、Victoria

工場

1工場(KAU)

 

 

② Evaluate:依存とインパクトの分析

優先地域、かつBRF分析でリスクが「Very high」となった指標の依存とインパクトについて詳細分析を実施しました。

分析の結果、TCFDで調査した水の供給や物理的リスクへの依存のほかに、土壌や水質(富栄養化)、農地拡大・河川の利用による自然の変化や森林破壊、保護区・保全地域へのインパクトなどを特定しました。またトマトは花粉媒介への依存は低いですが、トマト栽培での農薬による周辺の生態系への影響などのほかへのインパクトについても特定しました。

 

詳細分析使用ツール

FAO GLoSIS、International Herbicide-Resistant Weed Database、Global Land Analysis and Discovery、Protected Planet、BirdLife International Data Zone、IBAT、Aqueduct、BRF、ENCORE

 

優先地域における依存・インパクトの特定

 


 

 

 

 

③ Assess:リスクと機会の特定

Locate・Evaluateの結果を中心に、食品・農業セクターガイダンスやTCFDの結果も参考にしながら、リスクと機会を整理しました。なお、「生態系サービスの劣化」と「市場原理と非市場原理の一貫性」の2軸で作られたシナリオを活用した分析も実施しました。

 

自然関連リスク・機会の一覧          

大分類

中分類

No.

自然関連 リスク・機会

移行

リスク

政策と法

農薬規制によるトマト収量の減少、調達コストの増加

森林からトマト畑への土地利用変化により発生したGHG排出量削減コストの増加

先住民族や地域コミュニティとのエンゲージメント失敗による事業機会の喪失

バージン食品包装からリサイクル食品包装への代替など、容器包装規制への
対応に伴う調達コストの増加

技術

生物多様性の危機への対応のための最新技術・設備投資の増加

市場

農業就業人口の減少に伴う耕作地の荒廃、生物多様性への認知度や対応の低下

評判

トマトの栽培に伴う生物多様性への影響によるブランドイメージの低下

物理的

リスク

急性

病害虫発生などによる生産量の減少

慢性

過剰な施肥に伴う土地の健全性低下、及びトマト収量の減少

10

河川などにおける富栄養化による生物多様性の低下

機会

製品とサービス

植物残渣(トマトの茎など)のアップサイクル・製品化による売上の増加

市場

農薬リスクを減じたサステナブルな農業で生産したトマトによるブランド価値の向上

評判

在来種、外来種対応によるブランドイメージの向上
「外来の土壌害虫まん延防止のためのカゴメトマト品種の活用」

「花粉媒介者を増やす在来植物の植栽支援」

 

 

 

④ Prepare:対応策の検討、開示

Assessで特定した「リスクと機会」に紐付けながら、現時点で対応を進めている活動などを中心に具体的な内容とともに対応策を整理しました。

なお、Locate・Evaluateの結果は、これまでトマトに関する長年の取り組みによって得た知見と大きな齟齬がありませんでした。この結果を受け、これまでの活動の重要性を改めて認識し、引き続き活動を推進していきます。また、今後、地域別のリスク・機会の特定と対応策などについて、検討をさらに進めていく予定です。

 

対応戦略:「日本の生物多様性を脅かす4つの危機(生物多様性低下の要因)」を踏まえ、日本のみでな

く当社グループが関係する各国の周辺地域に対して自然を保全し、回復させる活動を拡大する

アクション:トマトの栽培を通じて関わる菜園・農場及びその周辺地域と、トマトを加工し製品化する工

場及びその周辺地域において自然を保全し、回復する

 

No.

 リスク・機会紐付け

自然関連 対応策

活動例(現時点及び今後の対応例)

リスクNo.4

機会No.1

原材料・容器包装の調達、プラスチック包材や食品廃棄物の削減におけるサプライチェーン全体での持続可能な運用の実現に向けた取り組みの推進

FSC®認証紙パック飲料の展開 

•プラントベースフードへの取り組み

•食品ロスの削減

•プラスチックストローの貼付廃止や石油から新たに作られるプラスチックの使用量ゼロへの取り組み 

•プラスチック使用量の削減やリサイクル素材または植物由来素材への切替拡大

リスク

No.1,2,5,7,8,9,10

機会No.2,3

最適なトマト栽培システムの開発・確立と運営(水、肥料、農薬使用量の削減、トマト品種の改良、循環型農業の展開)

•環境負荷の低い栽培技術の開発

•グローバルでの品種開発、栽培技術の開発強化

リスク

No.3,6,7
機会No.3

自治体や地域コミュニティ、生物多様性の主流化、農業従事者などの支援、在来植物の植栽、保全活動への支援

農業振興・農業支援活動
生物多様性の教育、主流化活動

基本全てのリスク・

機会に紐付く

・生物多様性行動計画の計画的な推進

・第三者認証の取得拡大

認証取得やイニシアチブ・団体への参画

 

 

 

「カゴメ野菜生活ファーム富士見」が自然共生サイトに認定

「自然共生サイト」とは、環境省が「民間の取り組み等によって生物多様性の保全が図られている区域」を認定する制度です。

「カゴメ野菜生活ファーム富士見」では、生物多様性の保全に向けて、農地生態系における動植物の保全・復元活動及び環境教育の機会提供を行っていることが評価され、2025年に認定を受けました。

 


 

 

 

5.リスク管理

カゴメグループでは、当社のリスクマネジメントにおいて、リスクとは「当社の事業に対して不利な影響を与える不確実性」と定義しています。

リスク管理の統括機関として、社長を委員長とし、CROを委員会事務局長とする「リスクマネジメント統括委員会」を設置し、リスクの対応方針や課題について、優先度を選別・評価し迅速な意思決定を図っています。また、顕在化したリスクの予防・対応のためのリスクマネジメント活動に対し、経営戦略を踏まえた統合的視点から統括しています。

気候変動リスク、自然関連リスクについても重要課題と認識し全社的なリスクマネジメント体制に統合して管理し、サステナビリティ委員会、経営会議にてリスク管理の進捗確認や、次のステップへの移行判断を行います。

 

 

6.指標と目標(目標年度:2030年度)

指標と目標は、下記の環境マネジメント計画(2026年度~2028年度)に基づき設定しています。2025年度のTCFD・TNFD対応の検討結果を反映し策定した本計画は、TCFD・TNFDと連携した一体的な戦略であり、両枠組みの指標・目標は環境マネジメント計画のKPIとして統合されています。進捗は、年2回のサステナビリティ委員会及び年1回の経営会議でレビューし、このプロセスにTCFD・TNFD対応の評価も含めています。カゴメグループは、TCFD・TNFDを活用し、レジリエンスを強化するとともに、気候変動と自然資本への対応を通じ、持続可能な社会と農業の実現に向けた価値創造を推進します。

 

環境実績の詳細については、ESGデータブックをご覧ください。
https://www.kagome.co.jp/library/pdf/company/sustainability/data/esg_data_book_jp_251031.pdf 

 

環境マネジメント計画(2026年度~2028年度)

区分

課題

KPI

1.気候変動への

対応

1)カゴメグループ温室効果

ガス削減計画の遂行

〈緩和〉

Scope1・2排出量の削減

43.1%以上削減

(2020年度比2030年度)

Scope3排出量の削減

25%以上削減

(2020年度比2030年度)

FLAG排出量の削減

 30.3%以上削減

(2020年度比2030年度)

2)再生可能エネルギーの

導入拡大

〈緩和〉

使用電力の再生可能エネルギー

比率

60%以上(2030年度)

100%(2050年度)

太陽光発電の追加導入

1工場に追加導入(2028年度)

バイオマスエネルギーの活用

1工場に追加導入(2030年度)

3)気候変動へ対応した

トマト栽培の推進

〈適応〉

気候変動の緩和・適応に資するトマト品種、栽培技術の開発

高温耐性品種への改良 1件以上(2030年度)

乾燥耐性品種の開発、節水・減肥栽培技術の導入1件以上(2030年度)

2.水の保全

1)取水量の削減

〈適応〉

国内工場の取水量削減

原単位9%以上削減(2021年度比2030年度)

海外工場の取水量削減

原単位5%以上削減(2025年度比2030年度)

2)水の浄化と循環利用の

推進

〈適応〉

水質汚染の防止

国、地域の排水基準順守(2028年度)

3.資源循環の推進

1)プラスチックの削減

及び再生プラスチック

の利用促進

〈緩和〉

プラスチック容器のリサイクル素材や植物由来素材への置き換え推進

飲料ペットボトルのリサイクル素材または植物由来素材への置き換え 50%以上(2030年度)

石油由来素材のストローの使用ゼロ化(2030年度)

2)原材料調達から製品流通に

おける食品ロスの削減

〈緩和〉

原材料調達から製品流通における食品ロスの削減

〈国内〉原単位60%以上削減

〈海外〉原単位50%以上削減

(2018年度比2030年度)

3)廃棄物のリサイクルに

よる資源循環の推進

〈緩和〉

国内工場の廃棄物削減

ゼロエミッションの維持(2028年度)

※ リサイクル率99%以上

食品廃棄物の削減とリサイクル率の維持

食品リサイクル率95%以上維持(2028年度)

4.持続可能な調達

1)持続可能な原材料調達

の推進

〈緩和・適応〉

飲料紙容器における環境配慮紙の使用

対象容器でのFSC認証紙使用 100%継続(2028年)

5.生物多様性保全

1)農薬使用量の削減

〈緩和・適応〉

国内加工用トマトにおけるIPM栽培の確立

※ 総合的病害虫・雑草管理

国内産地におけるIPM栽培試験の水平展開(2028年度)

※ 長野県に続き、2事例目

2)地域生物多様性の保全

〈適応〉

自然共生サイトの認定維持

カゴメ野菜生活ファーム富士見の生物多様性保全及び教育活動の推進(2028年度)

 

 

(4) 安心・安全・高品質を追求した商品・サービス・情報の提供 

「品質第一」の考え方のもと、お客様に対し安心・安全・高品質な商品・サービス・情報を提供します。

 

1.カゴメ品質マネジメントシステム(KQMS)

当社には、「品質第一・利益第二」という考え方があります。これは、お客様に安心・安全な品質を提供することと、利益の創出をどちらも大事にするという考え方です。国際規格ISO9001に準拠した独自の品質マネジメントシステム(Kagome Quality Management System:KQMS)を構築し、設計開発から調達・生産・物流・販売にわたる品質活動に取り組んでいます。新たな中期経営計画の戦略目標実現へ向けて、事業領域や地域の拡大に対応した品質保証体制を確立していきます。

 


 

 

 

2.畑から製品までの安全管理

① 生産現場のルールと行動指針

製品の製造にあたっては、自社工場において食品安全に関する国際的な認証スキームであるFSSC22000を取得し、HACCPの手法に基づき品質管理活動を実施しています。

委託先の工場に対しては、カゴメの「工場監査チェックシート」を使用して品質監査を実施し、未然防止視点で課題を洗い出し、それらの改善に共に取り組んでいます。

また、2005年に生産現場での「行動指針」を定め、「品質第一」の徹底を図っています。

 

② 海外の農産加工原材料の調達に対する取り組み

海外の農産加工メーカーからより良い品質の製品・原材料を調達するために、収穫した農作物を加工する製造工程だけでなく栽培方法も含めて、畑から工場までのプロセス全体の課題についてサプライヤーと共に検討します。また、シーズン終了後にはレビューを実施し、お互いに継続して成長できるような目標の設定を行います。

 

③ 残留農薬に対する取り組み

使用する原材料は残留農薬を分析し、安全性をモニタリングしています。試験・分析機関としての実力を判定する国際規格ISO17025の認定を取得し、分析精度のさらなる向上に取り組んでいます。

 

④ 食品安全文化醸成への取り組み/「カゴメ 品質の日」

KQMSで定められたルールに対して、一人ひとりが正しい行動を取れるように、食品安全文化の醸成に取り組んでいます。製造工場では、アセスメントを実施、レビューを行うことで課題形成を進めています。

また、過去の失敗に学び、「品質第一」に対する決意を新たにする日として、9月1日を「カゴメ 品質の日」に制定しています。お客様にカゴメブランドへの信頼を継続してお持ちいただくために、カゴメグループ全従業員で品質に対する想い・重要性を再認識する取り組みを進めています。

 

 

3.海外グループ会社の品質管理・品質保証体制

2016年に国際事業本部内に設定されたグローバル品質保証部門(東京)は、海外グループ会社で守るべきグループ共通の品質管理基準(KBMP)を定め、海外グループ会社に展開する活動を継続的に行ってきました。また、品質保証のみならず、各社で取り組んでいる環境課題や原価低減などの技術課題の成果を把握し、横断的に共有・活用することで、グループ全体の品質保証レベルや生産性の向上を推進するとともに、海外事業における温室効果ガス排出量の削減や水資源の保全などへも積極的に取り組んでいます。2025年には「グローバル品質保証部」を、「グローバルKAIZEN部」とし、収益安定化を可能にする生産性向上に向け、海外個社含むグループの総力を結集した連携体制の構築を進めています。

 

 

4.海外グループ会社共通の品質管理基準(KBMP)の展開と監査による検証・改善

KBMPの展開では、日本の考え方をただ現地に押し付けるのではなく、グローバル品質保証会議などを通して、海外グループ会社の改善事例などを共有し合い、お互いに品質を高める意識を醸成していくことに主眼を置いています。KBMPの導入初期では、異物混入に関する考え方や技術を海外グループ会社に展開し、品質管理レベルの向上に取り組みました。続いて、商品設計由来の品質事故の未然防止活動や、品質事故が起きた場合を想定した対応マニュアルの共通ルール化を行いました。KBMPの定着によって、設計から販売に至るまでの各プロセスにおけるカゴメグループ全体の品質向上につながっています。

KBMPは既存の製造設備のみならず、新工場や新しく導入する製造設備にも設計段階から反映させています。

 

 海外グループ会社共通の品質管理基準(KBMP)のカバーする範囲


 

 

5.グローバル品質保証活動の定着

当社では各グループ会社の成功事例、失敗経験の横展開により、品質保証基盤のさらなる強化を進めています。グループ全体での品質保証会議を2年に一度開催し、各グループ会社の経営陣や品質保証・製造の責任者が集まり、品質、生産、5S、安全、サステナビリティなどの取り組みについて、事例の共有や意見交換を行っています。このワークショップでは、各グループ会社の品質マインドを向上させるだけではなく、製造効率の向上や省エネ・環境保全活動など共通性の高い取り組みについて、会社横断型の課題として進め方を決めています。直近では、2024年11月にHITのあるポルトガルで開催しました。カゴメグループに加わったIngomarも含め、7ヶ国からの参加となりました。品質保証、製造設備、環境保全、商品開発などに関する活発な意見交換を通じ、各社の今後のアクションプランを設定することができました。

 


 

グローバル品質保証会議の様子(2024年11月5日~7日、ポルトガル)

 

(5) 多様な人材の活躍機会創出と戦略的な人的資本の強化 

多様な背景や能力・特性を持った従業員一人ひとりが活躍機会を見出し、事業を通じてお客様や社会に貢献することで、精神的・社会的に満たされた状態で就業できる環境を整え、選ばれる企業となります。

 

1.カゴメの人材戦略と2035年のありたい姿

カゴメは従前から、「人の成長がカゴメの成長につながる」という、人が持つスキルや能力こそが資本、すなわち、人的資本経営を志向し、人を中心とした経営を大切にしてきました。その想いと姿勢は現在もこれからも変わりません。

しかしながら、私たちを取り巻く環境は急激に変化しています。そのような中で、2035ビジョンの達成に向け、私たちも変化を遂げ、人材の活躍を通じた成長を果たしていかねばなりません。カゴメグループとしての「人材戦略」を「経営戦略」と連動させることで、カゴメのバリューズに代表される人材の価値を最大化させるとともに、一人ひとりが互いを尊重し、高め合う風土のもと、自らのキャリアを築き、会社・個人がともに進化し、成長している姿を2035年に向けて実現していきます。


 

 

2.戦略

2035年に向けた人材戦略として、私たちは以下の4点に焦点を当てていきます。

① 経営戦略と人材戦略の連動

事業構造の大きな変化に伴い、従来のフォアキャストから長期的な目標を見据えたバックキャストでの人材計画の策定と、経営戦略と連動した人材の採用・配置・育成を実行していきます。

 

② ワークキャリア開発・ライフキャリア支援

多様なワーク・ライフに対する価値観がある中、成長やキャリアのイメージが描けず不安感を持つ従業員に向けて、各自のキャリア設計・実現のための情報や制度を整備し、自身の強みを活かしながら、キャリアを自律的に築いていく支援を提供します。

 

イ. 人材開発

人材育成を通じて目指す姿は「一人ひとりが互いを尊重し、高め合う風土のもと、自らのキャリアを築き、ビジョン実現に向けて会社・個人がともに進化し、成長している姿」です。

会社の成長のためには個人の成長が不可欠であり、一人ひとりが自らのキャリアを実現しながら、進化・成長していくことで、カゴメのありたい姿の実現につながっていくと考えています。各人の価値観に対応しながら、自律的なキャリア形成を後押しするべく、3つの観点(「キャリア開発」「能力開発」「組織風土開発」)から人材育成のための施策を用意しています。最近では特に、個人で選択できる研修の仕組みを拡張しており、今後も一人ひとりの意欲・能力・就労観が活かされるキャリア実現の支援を行っていきます。

 

ロ. DE&Iの取り組み 

カゴメグループは、国籍・民族・人種・信条・思想・宗教・性別・性自認・性的指向・障がい・年齢・社会的身分などによって差別されることなく、従業員同士が多様な価値観を認め合い、個々の従業員が持てる能力を最大限発揮できることが大切であると考えています。

その上で、持続的に成長できる強い企業になるための経営戦略の1つとして、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンの推進に取り組んでいます。組織における心理的安全性の確保を重視し、従業員一人ひとりの多様な考えや経験を活かすことで、人材が創出できる価値の最大化を図ります。女性活躍の推進においては、2040年頃までに、「社員から役員まで各職位の女性比率を50%」にすることを長期ビジョンに掲げて取り組んでいます。

採用においては、多岐にわたる採用手法と配置部門の組み合わせにより、多様な人材を確保します。キャリア採用においても広く門戸を開き、人材基盤の強化を図ります。総採用数の2~3割をキャリア採用者とし、中核人材へと育成していきます。

また、多様な経験や知識に応じて、能力を発揮できる機会を創出しています。シニアの活躍の場の創出として、2023年4月に、再雇用制度における契約形態を改定し、最長で70歳まで契約延長を可能としました。65歳以上のシニアの方々も様々な職場で活躍しています。

 

ハ.働きやすい仕組みの整備 

多様化する働き方の価値観(育児・介護・共働きなど)に応じて働く場所や時間の制約を緩和し、さらに多様な働き方を実現する仕組みを整備します。

 

働き方の進化に関連する環境整備

導入年

制度

2019

フレックスタイム制度

テレワーク勤務制度

副業制度

2020

フレックスタイム制度のコアタイム撤廃

2021

看護休暇・介護休暇の時間単位取得

在宅勤務手当

2023、2024

転居転勤・単身赴任支援の拡充

2026

出産育児応援手当の導入

 

 

 

二.働き方の選択肢の拡大

多様な経験機会を得ることで価値創出につなげていくために、副業制度や越境学習(※)など、所属組織の枠を超えた働く場の提供を進めています。また、自律学習プログラム制度を導入し、能力・キャリア開発を今まで以上に自律的に行っていく体制としました。

引き続き現業にとらわれないキャリア開発接点を拡充していきます。

※ 越境学習:普段勤務している会社や職場を離れ、異なる環境で学び、新たな視点を得ること

 

③ エンゲージメント取り組みの再構築

エンゲージメント、すなわち、働きがいの向上は、カゴメにとっての重要な指標の1つです。やりがいやキャリア機会の提供など、全社重点取り組み領域を定め、効果的な施策・制度を実行していきます。

 

イ. 働きがいのモニタリング

2021年から「働きがい」をモニタリングする指標としてエンゲージメントサーベイ(「Wevox」:従業員エンゲージメント測定・支援ツール)を全従業員対象に実施しています。

毎年の調査結果は項目別・部門別に分析し、「働きがい」向上に向けた課題抽出と対応策を進めており、サーベイの開始以降、総合スコアは漸増傾向にあります。今後のさらなるスコア向上・「働きがい」向上に向けて、全社視点での施策にとどまらず、各部門との連携による戦略的な取り組みに発展させていきます。現状では、部門間の総合スコアにばらつきがありますが(最大差異:11ポイント/2025年調査時点)、低スコア部門だけでなく高スコア部門でも、部門特性や実態に沿って、毎年のスコア向上・課題改善のための対応策を展開しています。

 

ロ. 心理的安全性の浸透

当社ではダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンによるイノベーション創出とリスクマネジメントへの取り組みの観点から、心理的安全性の浸透に注力しています。その活動の一環として、2025年には、心理的安全性を浸透させる施策として、各職場からの有志が集まったボトムアップ型組織であるダイバーシティ委員会により、エクイティをテーマとした外部ゲストを招いての講演とトークセッションが行われました。また、日頃のちょっとした感謝の気持ちを伝えるための「サンクスバッジキャンペーン」、対話を通じたチームビルディングをサポートする「よりよいチームづくりのための対話実践プログラム」、また社長が参加者と率直に意見交換を行う「サークルタイム」などを実施しました。さらに、管理職向けの教育・評価施策を拡充し、各組織における心理的安全性の向上に向けた取り組みを加速させています。

 

心理的安全性向上策

対象

2025年活動

内容

組織向け

よりよいチームづくりのための対話実践プログラム

「対話」を通じ職場やチーム内に心理的安全性浸透を図る組織開発プログラム

管理職向け

全管理職を対象とした

マネジメント研修

選択型のテーマ別研修の中で心理的安全性に関連したコンテンツを実施

360°フィードバック

全管理職を対象にマネジメント行動に関するフィードバックを上長・同僚・部下が毎年実施

組織づくり・人づくり

プロセス評価制度

管理職が担う組織風土づくりに対する取り組みについて、その評価基準を示す制度を導入

全従業員向け

ダイバーシティDAY2025

心理的安全性浸透のきっかけづくりとなるよう、外部ゲストを招き講演とエクイティをテーマにしたダイバーシティ関連のトークセッションを開催

ダイバーシティ関連
テーマ別サークル活動
(障がい者活躍/SOGI)

理解浸透・風土醸成の促進を図るための社内ブログ情報を発信(計22回/2025年)

サークルタイム

経営トップと従業員とのフラットな対話の場として、社長がホスト役を務める

サンクスバッジキャンペーン

社内SNSを通じて組織内外感謝のメッセージを伝え合う全従業員参加型キャンペーン

 

 

④ 人事領域のグローバル体制の構築・実働化

これまで、人材に関わる戦略・施策について、各社が個別に立案・遂行しており、グループとしての一体感・統一感に欠ける部分がありました。カゴメグループが一体となって成長を遂げていけるよう、グローバル規模の人的課題の把握を行い、あるべき体制を構築し、グローバル人事機能を通じて、人材戦略と実行のグローバル展開を行っていきます。

 

※ ①と④は今後新中期経営計画実現に向け、取り組んでいきます。②と③は従前からの重点課題として取り組んでおり、上記にその内容を紹介しております。

 

3.ガバナンス

人的資本に関わる経営陣による審議及び意思決定を伴う専門の会議体として、社内経営陣による人材開発委員会、社外取締役も委員とする報酬・指名諮問委員会を設け、多様な人材が活躍できる人材育成や社内環境、経営人材への適正な処遇を実現できるよう精査・検証しています。

人材開発委員会は、代表取締役社長を委員長とする人事・組織に関わる社内経営陣による審議・意思決定機関で、担当職から役員までの幅広い異動・配置、昇格、キャリア採用、組織改編などに関わる審議を月1回以上という頻度で実施しています。

 


報酬・指名諮問委員会は、取締役及び執行役員の報酬、及び取締役の指名に関わる取締役会の機能の独立性・客観性と説明責任を強化するための取締役会の諮問機関であり、役員人材・処遇に関わる審議を定期的に実施しています。また、当社の持続的な経営と成長をリードする次世代経営幹部の育成と輩出にも、経営主導の重要課題として計画的に取り組んでいます。

人材開発委員会による人材戦略や人事・組織の幅広い領域に関わる審議を起点として、人材開発委員会が意思決定を行うもの、経営会議でさらに審議・意思決定を行うもの、報酬・指名諮問委員会での審議を経て取締役会で意思決定を行うものと、内容の重要性や社内外への影響度合いによって、段階的に審議を重ね、適正なガバナンスを図っています。

人事総務本部長は、人材開発委員会、報酬・指名諮問委員会の委員であり、主管として提言しています。

 

 

4.指標及び目標

指標

2022年実績

2023年実績

2024年実績

2025年実績

目標

エンゲージメントサーベイ総合スコア

70

72

72

73

2028年まで74.5 

「心理的安全性」浸透度スコア※1

71

72

73

74

-

総合職新卒採用における女性割合

71.0%

54.5%

61.5%

46.7

60%以上

女性管理職比率

8.4%

9.6%

11.1%

12.0

2026年まで12

入社10年以内女性の継続就業状況
(男性比)

1.0

1.0

1.0

1.0

(見込み)

男性比1.0以上

総合職キャリア採用構成比

27.9%

29.8%

29.1%

38.8

-

男性育休取得率
総合職/技能職

総合職

75.6%

65.6%

94.3%

79.3

42%以上

(2019~2021年の平均)

技能職

84.6%

81.8%

100.0%

100.0

-

男女間賃金差※2

(男性の賃金に対する女性の賃金割合)

全労働者

65.4%

68.3%

69.6%

67.6

-

正社員

67.3%

70.5%

71.5%

70.5

-

パート・
有期社員

87.6%

86.6%

89.3%

81.6

-

有給休暇取得率※3

86.4%

83.4%

83.0%

80.6

(見込み)

-

総労働時間(時間/年)

1,896

1,895

1,894

1,907

-

 

※1 心理的安全性に関する社内調査スコア

※2 付記事項及び差異に関する補足説明については、Webサイトをご覧ください。

https://www.kagome.co.jp/company/sustainability/data/

※3 年次有給休暇の取得率は4月~翌年3月の期間で集計。2025年は12月時点の着地見込み

 

5.労働安全

当社では、職場における従業員の安全と健康を確保し、適切な職場環境の形成を促進することを目的として、2022年に全社レベルで「労働安全衛生委員会」を設置しました。

従来は、安全衛生に関する取り組みに事業所ごとのばらつきがあり、全社的なチェック機能も十分ではありませんでしたが、同委員会の設立により、全社横断で事業所ごとの安全衛生状況を確認し、ばらつきの解消と水準の向上を図っています。

さらに、労働安全衛生マネジメントに関する制度設計を進めるとともに、各事業所の安全衛生委員会の活動に対して専門的なサポートを提供し、全社共通の報告様式の導入やリスクアセスメントに基づく横断的なモニタリングも実施しています。

今後は、これまで取り組んできた「見える化」をさらに進展させ、統一化した指標によるモニタリングと、それに基づく改善を推進していきます。

 

① 労働安全衛生方針

当社では、職場や従業員の業務などに潜むリスクを抽出・評価し、労働災害や健康障害などが発生する要因をできる限り取り除き、従業員が安全に働ける環境を整えるため、以下の通り労働安全衛生方針を定めています。

 

ⅰ  安全衛生方針に基づいた目標を定め、その達成状況の把握と見直しを行い、安全衛生活動の継続的な改善・向上に取り組み、労働災害を防止する(方針・目標と継続的改善)

ⅱ  安全と健康確保のため職場の労働安全衛生上のリスクを特定・評価し、その結果に基づき適切に対応することで、快適な職場づくりを推進する(リスク管理)

ⅲ  安全衛生関係諸法令や社内規定および、各事業所において労使が協議の上、決定した事項を遵守する(法令遵守)

ⅳ  労使が協力して、全員参加型の安全衛生活動を推進するとともに、ステークホルダーとも良好なコミュニケーションを図る(労使協力・コミュニケーション)

ⅴ  カゴメにおいて従業員が健康であることは、個人の健康のみならず会社の企業価値向上にも繋がるという意味で重要であり、積極的に健康増進に取り組む(健康増進)

 

② 労働災害発生状況

労働災害の発生状況の推移は、以下の表の通りです。

 

2023年度

2024年度

2025年度

国内

29件

36件

31件

海外

14件

33件

29件

合計

43件

69件

60件

 

※ 労働災害件数については、国内は通院(医療機関の受診)を基準とし、海外は休業が認められた事案を基準にカウントしています。

 

2024年度は、国内外ともに件数が増加しました。これはリスク管理体制の強化により、従来よりも迅速かつ正確な報告が可能となったことが背景にあります。特に海外拠点では、事業拡大や人員増加に伴う増加要因に加え、リスク認識と報告体制の整備が進み、グループ全体での「見える化」が前進しました。当社では、労働災害件数を単なる数字として捉えるのではなく、定期モニタリングを通じて傾向を分析し、予防的な安全管理の高度化に活用しています。こうした取り組みにより、労働災害の低減に向けた改善サイクルを継続的に強化しています。今後も、従業員の安全と健康を守ることを企業価値向上の基盤と位置付け、労働安全衛生マネジメントを推進していきます。

 

③ 労働災害の低減に向けた取り組み

イ. 国内工場における安全道場

当社では、国内各工場での労働災害の低減に向けた施策の1つとして、「安全道場」と称する従業員向けの安全教育を行っています。安全道場は、過去に実際に当社工場で起こった労働災害事例を振り返り、職場に潜む危険を自ら考えるとともに、労働災害を模擬体験できる体感装置を用いて、安全行動の重要性について、身をもって理解する場としています。工場で勤務する従業員は年1回この安全道場を受講しています。また、安全ルールを記した冊子や教育動画を全工場に配布して、全員参加で労働災害の防止に努めています。

 


 

安全道場の様子

(2人作業の声掛けミスによる挟まれ体感装置)

 


 

安全道場の様子

(高所作業教育)

 

 

 

ロ.海外子会社とグループ横断での活動

海外グループ子会社では、日本カゴメに比べて休業災害の発生件数が多く、グループ全体での労働安全衛生活動の強化が求められています。全社レベルの労働安全衛生委員会の設置後、各社の労災発生状況をモニタリングしてきましたが、各社の安全衛生レベルや取り組み状況をより正確に把握するために、2025年より海外グループ子会社へのアンケートや現地調査を開始し、各社の安全衛生活動の実態を確認しています。

今後は、この調査結果を踏まえ、グループ横断での安全衛生活動をさらに推進していきます。

 

 

6.カゴメの健康経営 ~私たちの健康がカゴメの事業の説得力につながる~

健康経営とは、従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実行し、競争優位を生むことです。

当社はお客様の健康の増進に貢献する商品・サービスを事業展開する中で、従業員一人ひとりが心身ともに健康であることが、個人のみならず、事業内容にも説得力を持たせることで会社のパフォーマンスの向上につながると考えています。

加えて、野菜飲料をはじめとした商品、健康サービス事業、研究成果、野菜をとろうキャンペーン等のリソースを活用できることや、かねてより経営の関心事であった「人を大切にする」社風に親和性があることも、他社にはない「カゴメ独自の健康経営の価値」です。

 


 

 

① 従業員に対する健康維持・増進のための重点施策

当社では、健康経営推進のための基本方針に基づいて身体的健康(ハイリスクアプローチとポピュレーションアプローチ)や精神的健康(メンタルヘルス)などの施策を実施し、従業員の健康維持・増進に取り組んでいます。

 


 

 

② 健康経営優良法人2025(大規模法人部門 ホワイト500)に認定 

2017年に「カゴメ健康7ヶ条」を制定し、「カゴメ健康経営宣言」を行いました。従業員の健康を企業価値向上の基盤と位置付け健康経営を積極的に推進しています。

この取り組みが評価され、2025年3月には、経済産業省及び日本健康会議主催の「健康経営優良法人2025(大規模法人部門 ホワイト500)」に3年連続で認定されました。

 


「ホワイト500」とは健康経営優良法人認定制度において、大規模法人部門の上位500法人に与えられる称号であり、経済産業省が定める一定の水準を満たした企業のみが選定されます。これからも「健康経営優良法人認定制度」の趣旨に則り、健康経営施策を推進することで、従業員の健康と働きがいのさらなる向上を実現し、お客様の健康に貢献します。

 



 

 

 

(6) 持続可能なサプライチェーンの構築  

「人権方針」や「品質・環境方針」を基に、サプライチェーンを通じた環境・社会への影響に配慮した調達先の選定や、資源循環による原材料調達の持続性向上に取り組みます。

 

1.サプライチェーンを途切れさせない、カゴメ特有の物流環境

自然の恵みを原材料とした商品をお届けするカゴメにとって、世界中の畑からの原材料輸送に始まり、お客様の食卓に至るまで、モノの流れを止めないことは、事業継続に必要不可欠です。カゴメのサプライチェーンの特徴をご説明します。

 


 

 

①調達拠点:世界中から農作物を集める

カゴメグループは世界中に調達拠点を持っています。海外の調達拠点から輸出された原材料は、長い道のりを経て日本に到着し、国内工場へ運ばれます。そして、工場で生産された商品は、工場から出荷された後、物流倉庫、卸店、小売店と、たくさんの人の手を経て、お客様に届けられます。このサプライチェーンの長さが大きな特徴となっており、サプライチェーンにおけるコントロールの複雑さが構造的な課題です。

 

②工場:生産地に近く、消費地から遠い

国内の工場は、加工用トマトの産地の近くに建設されてきました。この立地は「畑は第一の工場」というものづくりの思想を持つ、カゴメの考え方が背景にあります。物流においては高速道路のICや主要幹線道路まで距離があることで、工場から消費地までの輸送距離が、他の食品メーカーに比べて長くなっています。

 

③物流センター:1,000を超える商品・複数の温度帯

カゴメには1,000を超える商品があり、温度帯は調味料やPETボトル飲料などの常温、ホームパック飲料や乳酸菌飲料などの冷蔵、業務用商品などの冷凍と、3種にわたります。温度帯ごとに保管場所や輸送方法、そこに携わる人員が必要になり、マネジメントも複雑です。幅広い商品を展開することは、カゴメの強みであると同時に、物流においては管理を広範囲にする要因となっています。

 

④得意先:多様な販売チャネル

多様化した販売チャネルも、大きな特徴の1つです。DtoCと呼ばれる通販においては、卸店や小売店を経由せずに流通させています。お届け先に合わせた最適な物流ルートをSCM本部が企画し、常にアップデートしてF-LINE株式会社(※)を通じて配送しています。

※F-LINE株式会社:2019年4月に食品メーカー5社共同による効率的で安定的な物流体制の実現を目的に設立した共同物流会社です。

食品物流の諸課題の解決に向けて、食品メーカー協働での取り組みを進めています。

 

2.サプライチェーンの一気通貫コントロール

世界中の原産地から国内の工場、物流センターを通して得意先へ運ぶ当社のビジネスモデルは、サプライチェーンの距離の長さやリードタイムの長さが特徴です。距離や時間軸が長くなると、その間にお客様の需要が変化したり、地政学リスクに起因する海上輸送・国際貿易の障害が発生したりするリスクがあります。そのため、当社はサプライチェーン上の情報を一気通貫でコントロールし、予測できないイベントへの変化対応力を強めていく必要があります。

 

 カゴメサプライチェーンのイメージ

 


 

 

3.直近におけるカゴメのサプライチェーンへの取り組み

① 海外サプライチェーンへの取り組み ~調達SCM改革プロジェクトの推進~

当社の国内加工食品事業において、使用原材料の多くは海外原産地から輸入しています。世界各国の産地から様々な種類の原材料を準備することで、消費者の皆様の多様なニーズへ応えてきたという歴史的な背景があります。

しかし、昨今の情勢変化に伴い、エネルギーコストや人件費といったあらゆるコストが上昇基調にあり、当社の強みだった「世界中からの原材料調達ネットワーク」、「多様な原材料配合」の維持は困難な環境になってきています。

この環境変化に対し、2024年春から「調達SCM改革プロジェクト」を開始し、現在に至るまで段階的なオペレーションや情報システムの見直しを行ってきました。

また現在、この改革ノウハウをもとに、海外関連会社のグローバルサプライチェーンの見直しを進めています。


 

 

② 国内サプライチェーンへの取り組み ~物流環境の悪化へ立ち向かうための施策推進~

国内の物流環境悪化は多くの企業の悩みどころになっており、その影響の深刻さが多くのメディアに取り上げられる事態になっています。当社も物流に関わるパートナー企業と連携した施策なしには、商品の安定供給を完遂できません。

物流パートナー企業との連携事例として、2025年夏から中継物流センターを利用した輸送方式を段階的に拡大しています。これにより、担い手が減少している中・長距離ドライバーへの依存から脱却し、適切な輸送体制へ計画的に移行しています。

また中期的な施策としては、2025年春からトラック自動運転の実証実験へ参加し、「ヒトにも環境にもやさしいカゴメサプライチェーン」を目指しています。

 

 中継物流センター活用輸送のイメージ

 


 

   自動運転トラックの積載・運転風景

 

 

(7) 人権の尊重  

カゴメグループは、人権に関する国際規範に基づいた、「カゴメグループ人権方針」を策定し、その考え方や活動の社内浸透に努めるとともに、事業における人権リスクへの対応を進めています。

 

1.戦略

当社は、企業理念において「感謝:私たちは、自然の恵みと多くの人々との出会いに感謝し、自然生態系と人間性を尊重します」を掲げており、カゴメグループの成長と持続可能な社会の実現に向けて、「人権の尊重」を重要な課題と位置付けています。

 

人権への負の影響を防止・軽減するための取り組み

分類

当社の取り組み

方針による

コミットメント

人権方針の策定

・人権方針の策定とステークホルダーへの周知

人権デュー

デリジェンスの実施

人権への負の影響の特定・評価

・自社が取り組むべき優先テーマ(重要人権リスク)の特定

・人権インパクトアセスメントの実施(SAQ、現地訪問、

直接対話)

負の影響の

防止・軽減

教育・研修の実施

・サステナビリティ委員会での経営層に向けた有識者

講義(ビジネスと人権)

・従業員向け人権研修

社内環境の整備

・各種社内制度(働き方など)の見直しや労働環境の

改善

サプライチェーン

の管理

・サプライヤーガイドラインの策定と周知

・サプライヤーや契約農家などへの是正依頼、改善へ

の協働

モニタリングの実施

・サプライヤーや契約農家へのSAQ、現地訪問、直接対話など

・社内及び取引先向け通報窓口への通報件数/内容の

定期確認と分析

情報開示

 

・サステナビリティサイト、統合報告書などでの情報開示

救済措置

苦情処理メカニズムの整備

・社内及び取引先向け通報窓口の設置

 

 

① 方針によるコミットメント(グループ人権方針の策定)

事業活動に関わる人々や、事業を展開する国や地域の人々の基本的人権を尊重することは、企業理念を実践するカゴメグループの責務と考えます。当社では、人権尊重の責任を果たしていくための指針として「カゴメグループ人権方針」を策定し、人権の尊重をサステナビリティへの取り組みにおける重点課題として位置付けました。

本方針は、カゴメグループ全ての役員及び従業員に適用され、カゴメグループの製品・サービスに関係する全てのビジネスパートナーに対しても本方針を理解・支持していただくとともに、人権を尊重するように働きかけ、協働して人権尊重を推進しています。

 

「カゴメグループ人権方針」の詳細については、Webサイトをご覧ください。
 https://www.kagome.co.jp/company/sustainability/humancapital/06/ 

 

② 人権デューデリジェンスの実施(重要人権リスクの特定)

当社グループのバリューチェーンにおける潜在的な人権への負の影響を把握するため、2024年4月に部門横断型のワークショップ形式で人権リスクアセスメントを実施し、リスクを絞り込みました。その結果、下記記載の2つの重要人権リスク(優先テーマ)を特定し、重点的に対応を進めています。

人権リスクアセスメントのプロセスは「2.リスク管理」の項に記載しています。

 

対応の進捗・実績

重要人権リスク

(優先テーマ)

人権インパクトアセスメント

負の影響の防止・軽減

日本国内の外国人労働者問題

自社の取引のうち、加工用トマトの調達量が多い茨城県の原材料トマト生産農家を選定の上、そこで就労する外国人技能実習生2名を対象に、第三者機関による直接対話、及び人権への影響評価を実施(2024年11月)

 

➡長時間労働、危険労働、技能習得といった作業に関する項目についての懸念事項はなし

➡監理団体及び農家と技能実習生のコミュニケーションに関して改善すべき事項あり

再度農家へ訪問し、技能実習生とのコミュニケーション改善、監理団体への巡回強化を依頼(2025年3月)

 

➡2026年春に改善状況のモニタリングを予定

海外の調達先、事業拠点の労働者問題

主要な原材料調達先(冷凍野菜)であり、かつデスクトップ評価で中程度以上のカントリーリスクが認識されたイタリアに位置するグループ会社について、調達量が多い原材料ピーマン生産農家2軒を選定の上、そこで就労する移住労働者計8名を対象に、第三者機関による直接対話、及び人権への影響評価を実施(2025年8月)

 

➡人権侵害の実態は確認されず、労働力確保における違法な“カポラートシステム”の利用についても懸念なし

➡労働安全衛生及び労働組合へのアクセスに関するグッドプラクティスの水平展開について推奨事項あり

イタリアのグループ会社の原材料調達先である農協において、所属農家へのグッドプラクティスの周知、共有を予定(2026年3月予定)

 

 

 

③ 救済措置(苦情処理メカニズムの整備)

当社では、当社グループ及び当社グループ従業員の法令または諸規則の違反、不正行為、反倫理的な行為やそのおそれのある行為を発見した場合にそれらを速やかに是正または未然防止するために、連絡・通報することができる内部通報窓口を設置しています。本窓口は当社グループ及び取引先の従業員、役員、派遣社員、並びにそれらのご家族が利用可能です。本窓口の運用により、人権に対する負の影響の早期発見及び未然防止に努めています。本仕組みは実効性のある救済措置として、情報の機密性や匿名性を担保した上で、通報者が不利益な取り扱いを受けないことを約束しています。自らの事業活動が人権に対する負の影響を直接的に引き起こした、あるいはそれを助長したことが明らかとなった場合は、適切な手続きを通じてその救済・是正に取り組みます。

 

2.リスク管理

① 人権リスクを識別・評価・管理するプロセス

当社グループのバリューチェーンにおける顕在化している、または潜在的な人権への負の影響を把握するため、人権リスクアセスメントを実施しています。外部環境の変化に対応し、国際人権団体の報告等や、社内各部門とのディスカッションを通じて収集した情報をもとに、新たなリスクの特定や優先順位の決定を行っています。直近では2024年4月にアセスメントを実施し、サステナビリティ委員会での議論を経て、同年6月に重要人権リスク(優先テーマ)を特定しました。特定した重要人権リスク(優先テーマ)は経営会議や取締役会にも報告されています。今後、人権リスクアセスメントは中期経営計画の策定タイミング(3年に一度)を目安に実施する計画です。

 

リスクアセスメントの手法

以下のプロセスを経て自社が取り組むべき重要人権リスク(優先テーマ)を決定しました。

 

イ デスクトップ調査:グローバル人権リスクデータベースや国際人権団体の報告などを参照し、当社グ

                    ループの事業展開国や主要な原材料原産国、特に農業セクターにおける国別の人

                    権リスクを分析

 

ロ 部門参加型ワークショップ:社外有識者によるビジネスと人権のグローバル動向に関する講義の後、

                            各部門担当者(計21名)にて事業活動に関わる人権リスクの議論を行

                            い、バリューチェーン上の潜在的な人権リスクを抽出

 

ハ 重要人権リスク(優先テーマ)の決定:抽出した潜在的な人権リスクに基づき、デスクトップ調査

                                      結果とワークショップ結果、並びに関連部門への事後ヒアリ

                                      ングを総合的に検討し、社外有識者、及びサステナビリティ

                                      委員会での議論を通じて決定

 

 

2024年の人権リスクアセスメントで特定した重要人権リスク

1.日本国内の外国人労働者問題

2.海外の調達先、事業拠点の労働者問題

 

 

 

② 総合的リスク管理への統合状況

2021年に再構築したリスクマネジメント体制のもと、特定された重要人権リスクもリスクマネジメント統括委員会に共有され、全社グループ視点で経営戦略への反映や優先度に応じた対応策の実行が図られています。

 

 

3 【事業等のリスク】

(1) カゴメグループリスクマネジメント方針

私たちは「農から食にわたる技術革新をリードし、自然の可能性を共に拓く会社へ」の2035ビジョンのもと、「人が自然を、自然が人を豊かにする循環を生み出し続ける」ことで社会的使命を果たしていきたいと考えています。そのために、常に変化する外的環境及び事業上発生しうる様々なリスクを的確に把握・評価し、適切な対応をとっていきます。

また、重大事案が発生した場合に備え、被害の拡大防止と損害・損失の極小化を可能とする体制を確立するなどリスクに対する対応力を高めていきます。

 

 

(2) リスクマネジメント活動

当社におけるリスクマネジメント活動は、リスクの顕在化の予防及び顕在化したリスクへの対応のための活動を主な内容とします。

リスクの顕在化の予防と、顕在化したリスクへの対応のための取り組みいずれについても、具体的な活動は、経営計画や事業目標を踏まえたリスクマネジメント活動のPDCAサイクルに基づき実施されます。

 


 

 

1.リスクの顕在化の予防

① 基本枠組み

当社は、リスクの性質・内容を踏まえた適切な管理を実現するため、企業活動に関するリスクを次の3つに分類しています。

 

●戦略リスク

中長期的な経営戦略を踏まえ、重大な影響が認められるものとして当社が指定するリスク

●社会・環境リスク

社会・経済環境や自然災害などの外部要因によるリスクのうち、特に顕在化した場合には不可抗力であると一般的に認識されるもの

●オペレーショナルリスク

戦略リスク、社会・環境リスクを除く全てのリスク

 

 以上3つのリスクの分類を基礎として、リスクの企業経営への影響度に鑑み、個別に認識されたリスクを次の2つのリスクに区別します。

 

 

会社の重点リスク課題

 戦略リスク、社会・環境リスク、オペレーショナルリスクのうち、企業経営への影響が大きいと評価されるものです。経営会議やリスクマネジメント統括委員会が戦略リスクの指定、重点リスク課題の決定並びに改善事項の指摘などを行い、リスクマネジメント活動のPDCAサイクルを管理します。重点リスクには、法令違反リスク(行動規範逸脱や贈収賄、不正経理を含む幅広い腐敗・汚職を含みます)や環境、安全リスク等のESG要素も含まれています。重点リスク課題については、取締役会や監査等委員会に報告され、取締役会等による監督がなされています。

 

各組織のリスク課題

「会社の重点リスク課題」以外のリスクです。各組織がリスクオーナーとなり、リスクマネジメント活動のPDCAサイクルを実施します。

 


 

 

② 2026年度の「会社の重点リスク課題」

当社は、次のリスクを「会社の重点リスク課題」と認識し、重点的な管理活動の対象としています。リスクの性質・内容を踏まえた適切な管理を実現するため、戦略リスク(①~③)、社会・環境リスク(④~⑦)、オペレーショナルリスク(⑧~⑫)の3つに分類し開示しています。

リスク

分類

重点リスク課題

主管組織、報告会議体 等

主管組織

報告会議体(頻度)

備考(報告内容等)

①経営戦略

・予実乖離の発生による利益の悪化

・新規事業、M&Aの失敗や遅れによる業績悪化や収益機会の喪失

・保有資産の価値下落による収益性の悪化や財政状態への影響

■予実:経営企画室

    財務経理部

■新規事業:投資委員会

■保有資産:財務経理部

取締役会(毎月)

経営会議(年1回)

取締役会、経営会議

(年1回、適宜)

・事業戦略の成長に当たっての進捗管理等

・投資委員会での定期的モニタリング内容等

・政策保有株式の状況、減損検討対象となる固定資産の報告等

②人材戦略

・成長分野、新規事業、海外事業領域拡大に対する人材不足

・特定の専門領域(DX、財務経理等)の人材不足

・人材育成策の不足

・ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンに関する目標未達

■人材開発委員会

■人事部

人材開発委員会(適宜)

経営会議(適宜)

・中期経営計画実現に向けて必要な人材の質(スキル)と量(人数)

・人材不足の業務領域を改善するための採用、育成、キャリア形成などの人事施策

・経営人材育成計画・戦略的アサイメント等のプロセス設計・実施

・定年年齢延長に関する制度改正案

・ダイバーシティに関する現状と今後の課題

③適正なガバナンス体制の構築

・取締役会および監査等委員会の実効性の不備

・経営者による内部統制の無効化

■取締役会

■監査等委員会

取締役会(年1回)

監査等委員会(適宜)

・第3者によるアセスメント等

・海外子会社売上比率増加に伴う子会社ガバンス体制の強化

 

④消費者・広報

・不適切な広告や顧客対応の失敗による訴訟や不買運動、ブランドイメージの棄損

情報開示、メディア対応不備によるSNSでの拡散・炎上、ブランドイメージの毀損

■客相、経営企画室(広報G)

リスクマネジメント統括委員会(隔月)

メディア対応訓練(広報G)

・不満、苦情件数、ネガティブ報道のモニタリング内容等

・リスクコミュニケーション体制の整備/見直しと強化(定期的訓練の実施)

⑤社会情勢・顧客ニーズ

・日本国内における景気の後退や需要の減少または消費者ニーズへの対応の遅れによる売上の減少

・原材料/資材価格高騰に伴う商品供給・収益減少

■マーケティング本部、営業本部

■KFIC、GARBiC

 

商品企画会議(適宜)

経営会議(適宜)

・競合環境や消費者動向の分析。支店別、カテゴリー別の売上動向等

・原材料調達の中長期的安定化策の実施

⑥金融市場 

・為替変動や金利変動による資金調達コストの増加や資金繰りの悪化 

■財務経理部

取締役会(四半期毎)

・リスクヘッジ取引とモニタリング内容等

⑦天災・不可抗力

・地震・水不足・集中豪雨等の自然災害、感染症や紛争等による工場操業やその他事業活動の停止(BCP)

・異常気象による原材料調達の滞り

■BCP:リスクマネジメント統括委員会事務局

■異常気象:調達部

経営会議(年1回)

執行役員会(適宜)

・BCP活動の進捗等

・主要原材料のシーズン毎の調達進捗

・その他原材料の調達戦略課題等

 

 

リスク

分類

重点リスク課題

主管組織、報告会議体 等

主管組織

報告会議体(頻度)

備考(報告内容等)

⑧情報管理・サイバーセキュリティ

・サイバー攻撃による操業停止や情報改竄、機密情報・個人情報の漏洩

・不適切な情報管理による操業停止や情報改竄、機密情報・個人情報の漏洩、社会的信用の失墜

■情報セキュリティ委員会

リスクマネジメント統括委員会(隔月)

・PCウイルス感染、IT機器紛失、外部攻撃件数のモニタリング内容等

・IT機器紛失件数のモニタリング内容、定期的な従業員向け情報漏洩対策教育の実施等

⑨安全・衛生

・職場における労働災害、長時間労働、感染症等の発生による従業員の健康被害

■労働安全衛生委員会

リスクマネジメント統括委員会(隔月)

・労災、感染症等発生状況のモニタリング内容等

⑩製品・サービスの安全性

・異物混入、表示の誤り、品質検査の不備、種子の異品種コンタミ、非食品に関する品質検査の不備等による品質不良品の出荷や健康被害及び賠償責任に係る費用の発生の可能性

■品質保証部、生産調達本部

 

品質保証委員会、リスクマネジメント統括委員会(毎月、隔月)

・不適合/重大品質事故の発生件数、内容等

⑪サプライチェーン(調達、生産、物流)

・突発的な需要増や、種子・原材料不足等による原材料の不足

・自動倉庫、物流システムの障害等による生産や出荷の滞り

・物流業界の労務管理の厳格化等に起因する輸送能力低下による製品供給の不安定化

・天災、紛争等による原材料の急騰・供給不足、通信・物流インフラの停止・制限

・業務委託先(物流・通販・新規ビジネス等)での長期障害発生に伴う事業影響

■生産調達本部、SCM本部

執行役員会(隔月)

経営会議(適宜)

・課題進捗等

・突発的な事象の発生時の適切な対応方法の整備(含.早期事業影響引き当て)

⑫法令・規則違反、規制

・重大な法令、規則違反(会社法、税法、金商法、東証ルール等)

・食品安全関連規制違反、個人の不正行為や関係会社の不祥事

・環境問題(GHG排出量削減、水資源問題、プラスチック問題等)への対応の遅れによる、株主や投資家からの否定的な評価

・当社及び取引先における人権問題(強制労働、ハラスメント等)の発生による、社会的信頼の低下

・事業展開国における重大な法令、規則、慣習(宗教・文化慣習を含む)違反

■会社法、金商法等:財務経理部

■食品安全法関連:品質保証部

■不正行為:コンプライアンス委員会

■環境:経営企画室(サステナビリティG)

■人権:経営企画室(サステナビリティG)、法務部

■海外子会社:KFIC、GARBiC

取締役会(四半期毎)

品質保証委員会、リスクマネジメント統括委員会(毎月、隔月)

コンプライアンス委員会、リスクマネジメント統括委員会(隔月)

経営会議(年2回)

サステナビリティ委員会(適宜)

コンプライアンス委員会、リスクマネジメント統括委員会(隔月)

・法令・規則違反のモニタリング内容等

・法改正情報、対応等

・不正行為のモニタリング内容等

・環境マネジメントレビュー等

・人権方針の策定、人権デューディリジェンスの進捗等

・ホットライン通報内容等

 

 

2.顕在化したリスクへの対応

① 基本骨子

当社では、リスク顕在化事象に対して実効的かつ効率的に対応するため、その影響度の評価に基づきリスク顕在化事象を分類し、事業継続計画やその他のリスク顕在化に応じた対応計画の整備を進めています。

 

② 事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)

当社では、今後想定されるいくつかの個別的な緊急事態におけるシナリオを想定し、事業継続計画を作成しています。

事業継続計画は、事業を単位として作成されることが一般的です。しかし、当社においては、複数の事業間でバリューチェーンが重複または近似していることから、重要な商品及び機能を単位として事業継続計画を作成しています。

重要な商品とともにカゴメの事業継続計画において単位となっている重要な機能は、調達、サプライチェーンマネジメント(SCM:Supply Chain Management)、財務経理及び広報の4機能です。調達及びサプライチェーンマネジメントは、食品メーカーとして生産活動を行うための不可欠な機能です。また、財務経理は、自社の企業としての存続、サプライチェーンの維持、従業員の生活の確保、その他の企業における事業としての生産活動を行うための基盤となる機能です。そして、広報は、当社の企業理念の1つである「開かれた企業」に照らして重要と考えている機能です。社内外のステークホルダーに対する説明責任を果たすことは、とりわけ緊急時において強く求められるところであり、広報はそのための不可欠な機能と考えられるためです。

こうした事業継続計画により、緊急時においてもカゴメの事業活動を継続し、または停止からの速やかな復旧を行い、企業価値の保全を図ります。

 

③ その他のリスク顕在化への対応のための取り組み

現在、当社では、事業継続計画を含む個別的なリスクの顕在化への対応計画を整備し、首都直下地震などの大規模災害を想定したシナリオを作成した上で、内閣府「事業継続ガイドライン」に沿って、個別的な計画を体系的に整理し、統合的な対応計画を策定しています。こうした取り組みでは、カゴメグループ内部の関係者の主体的関与を確保し、外部専門家の支援も活用しています。また、重要機能ごとに机上訓練やシミュレーション(予行演習)を行い、対応計画の有効性を評価・改善し、PDCAサイクルを確立することで、リスク顕在化時の対応力を継続的に向上させています。

 

〈事例〉リスク顕在化への対応のための取り組み

当社では、リスク事象が顕在化した場合に備え、事業継続計画の整備を進めています。その際重要なことは、絵に描いた餅とならないよう立案した計画を効率的で実効性のあるものとすることです。そのためには、事業継続計画の整備→訓練の実施→実施結果に基づく検証→事業継続計画への反映のPDCAサイクルを確立することが大切だと考えています。

この考えのもと、2023年には重要商品及び4機能(調達、サプライチェーンマネジメント、財務経理及び広報)の事業継続計画の有効性確認を目的とした机上訓練を、2025年には生産部門、営業部門、システム部門等で首都直下地震、南海トラフ地震等震度6強程度を想定したシナリオに基づく机上訓練を行いました。併せて、効果的な訓練のあり方についても検証しました。

具体的には、訓練は災害発生時の初動対応のみとはせず、地震発生直後、地震発生3日後(初動対応が一定完了する時期)、地震発生7日後(社会インフラが復旧し始め、詳細な被害情報が集まり始める時期)の3局面における状況変化を想定し、各局面で事業継続計画が機能するかについての検証を行いました。

訓練を通して得られた結果は、今後各事業計画に反映し高度化を図るとともに今後の訓練計画自体にも活かし、リスク顕在化時の対応力向上を目指します。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(重要な会計方針及び見積り)

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づいて作成されております。連結財務諸表の作成に際し、決算日における資産・負債の報告数値、報告期間における収入・費用の報告数値に影響を与える見積りは、過去実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性があるために実際の結果は異なる場合があります。

採用している重要な会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況」における「3.重要性がある会計方針」及び「4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しております。

 

 (1) CFO/CROメッセージ

財務基盤の安定を維持し、

資本効率を重視した

成長の実現へ

 

取締役常務執行役員

CFO 兼 CRO 兼 財務経理部長

佐伯 健


 

 

① 日本株式市場全体が上昇傾向にある一方で、当社の株価は低迷しています。

前中期経営計画の取り組みが十分な評価につながらなかった要因分析と、Kagome Group Plan 2028へ向けた改善ポイントを教えてください。

日本株式市場全体が堅調な中で、当社株価が低迷している現状を極めて重く受け止めています。これは、資本コストを上回る価値を十分に創出できていないという市場からの評価であり、早急に改善すべき最重要課題と認識しています。

成長ドライバーと位置付けた国際事業(トマト他二次加工)において、想定していた成長に届かなかったこと、またトマトペースト市況の低迷に伴い、Ingomarの利益が伸び悩んだこと。この2つが前中期経営計画(以下、前中計)で掲げたROE(※1)9%を達成できなかった要因です。

Kagome Group Plan 2028(以下、Plan 2028)では、ROIC(※2)経営とポートフォリオマネジメントをより進化させ、従来の延長線上にとどまらない経営改革に取り組みます。

※1 ROE: 自己資本利益率のこと。

資金(自己資本または純資産)を有効活用し、それによってどれだけ収益を上げているかを表す指標

※2 ROIC: カゴメROICのこと。EBITDA÷投下資本で算出

株価推移(※3) 当社株価とTOPIX(東証株価指数)

ROEの推移 



※3 2021年12月末を100とした月末の相対株価

※4 Ingomarの連結子会社化に伴う、一時的な利益93億円を含む

※5 当社認識の株主資本コスト。CAPM及び投資家との対話を踏ま

  えて推定

 

 

② 前中計で未達となったROE9%以上の目標を、Plan 2028でも据え置いています。

この水準は、当社が認識する資本コストに対して十分なスプレッドを確保できるものなのでしょうか。また、ROIC経営の深化に向けて、事業ポートフォリオマネジメントをどのように加速させるか、ROE目標達成に向けた具体的な道筋と決意をお聞かせください。

当社の現在の株主資本コスト(※5)は約5~6%と認識しています。したがって、Plan 2028で掲げるROE9%は、最低限達成すべき水準であり通過点にすぎません。将来的にはさらなる改善を目指します。

ROE向上のためにはROIC経営をより前進させることが必要です。前中計期間中はROICの可視化に取り組みました。本中計では、売上収益利益率の向上と総資産回転率の向上の両面から改善を推進します。

もう1つは、ポートフォリオマネジメント(※6)です。取締役会の監督・意思決定体制をより明確にし、最適な仕組みを構築していきます。

※6 ポートフォリオマネジメント:複数の事業やプロジェクト、資産等を適切に管理し、リスクとリターンの最適化や企業価値の

向上を図るマネジメント手法

 

 

③ Plan 2028における財務方針は「『資本コストを意識した経営の実践』と、『成長投資と株主還元の両立』」を

掲げています。

持続的成長に向けたキャッシュ・アロケーションの優先順位と、M&A等のインオーガニック戦略を含む投資の方向性を教えてください。

持続的な企業価値向上のためには、安定的な営業キャッシュ・フローの創出が前提となります。営業キャッシュ・フローは、株主還元と既存事業の成長・維持投資の源泉とします。

株主還元については、Plan 2028期間で総還元性向(※7) 50%以上を目標とします。また、配当水準も引き上げ、株主の皆様との信頼関係をより強固なものにします。

成長・維持投資の対象は、国際事業における北米・ヨーロッパ拠点の生産性の向上やインドにおける垂直統合型トマト事業の確立、国内加工食品事業における国産トマト拠点の整備や飲料容器バリエーション拡充など収益基盤の強化と、農と食のウェルビーイング事業など新規価値領域への挑戦です。

その他、戦略投資枠として500億円を計画しています。これはインオーガニック成長のためのM&Aなどへの投資であり、主に借り入れによる資金調達を予定しています。

Plan 2028 キャッシュ・アロケーション


 

※7 総還元性向: 企業が得た当期利益に対し、配当金と自社株買いの合計額が占める割合を示す指標。

(配当金+自社株買い)/当期利益で求めることができる

 

 

④ 企業価値最大化には、財務健全性を維持しつつ、資本効率を高めるバランスが重要です。

最適資本構成の観点から、現状の財務レバレッジや自己資本比率(※8)をどのように評価していますか。

当社の財務基盤は健全だと評価していますが、成長を促進するためには、資本効率を高める必要があると認識しています。

Plan 2028では、信用格付の維持を前提とし、D/Eレシオ0.6程度を視野に入れ、成長投資に必要な負債を積極的に活用していきます。

バランスシートのスリム化にも取り組みます。具体的には、適正在庫水準の徹底した見極め、稼働率の低い資産や遊休資産の売却、政策保有株式の縮減などを継続して進めていきます。

資産合計/自己資本比率

 


 

 

 

※8 自己資本比率:親会社所有者帰属持分比率

 

 

⑤ 株主還元方針について、Plan 2028では大きく変化しています。どのようにお考えですか。

前中計期間の総還元性向は41.3%と、目標の40%を上回る水準を実現しました。また、2025年度は1株当たり配当金を48円としました。

Plan 2028では、資本市場とより誠実に向き合う姿勢を明確にするため、総還元性向目標を10ポイント引き上げ50%とします。さらに、2026年度の配当金額は58円とし、累進配当とします。

 1株当たり配当金額の推移

 


 

 

 

 

 

⑥ 当社の成長戦略や独自の強みが資本市場に十分に浸透しておらず、情報の非対称性が存在することが、株価低迷

の一因とも考えられます。

「開かれた企業」を企業理念の1つとするカゴメとして、このギャップを埋めるために、IR・SR活動や非財務情報を含む情報開示をどのように強化・改善していく方針でしょうか。

当社の成長戦略や強みを資本市場に十分浸透させられていない点は真摯に受け止めています。情報の非対称性を解消することはCFOとしての重要な責務です。

特に、急速に成長した国際事業については、開示情報の充実や現地視察の受け入れなどを通じて理解促進に努めます。

投資家との対話は、当社の現在地を映す鏡です。対話を通じて事業の方向性を磨き上げ、確実に実行していくことが私たちの使命だと考えています。このことは「開かれた企業」という理念をこれまで以上に体現していくことにほかなりません。

 

 

 

 

〈財務戦略〉

Kagome Group Plan 2028(以下、Plan 2028)の事業戦略実行に向けて、健全な財務基盤を基に、成長投資と株主還元を両立します。

 


 

ROIC向上へのアクション

① 前中期経営計画(2022年~2025年)の取り組み

カゴメROICによる管理基盤の確立、及びセグメントのカゴメROIC(※)の可視化に取り組みました。またこれに基づくROICツリーの展開によりブレイクダウンしたB/S指標を、各部門のKPIに落とし込み、各社・各部門にて指標の改善を図りました。

2025年度のカゴメROICはEBITDAマージンが1.0ポイント悪化、投下資本の増加により0.8ポイント悪化し、10.6%となりました。2026年度はEBITDAマージンの0.3ポイント悪化、投下資本回転日数の改善0.1ポイントにより、10.4%を見込んでいます。

 

※ カゴメROIC:EBITDA÷投下資本

 


 

ROIC:事業利益×(1-税率)/(株主資本+有利子負債)

WACC:3.5~5%程度


 

 

② Plan 2028におけるROIC向上へのアクション

2025年度のROEは7.9%となり、前中期経営計画で掲げた目標値(9%)には届きませんでした。これは、親会社の所有者に帰属する当期利益の伸び悩みと、総資産回転率の改善不足が主な要因と認識しています。

Plan 2028で掲げるROE9%以上の達成には、ROICの向上、すなわち「事業の稼ぐ力」と「資産の効率的な活用」の両面での改善が不可欠です。

この実現に向け、右記の2つの重点アクションを推進します。

 


 

 

 

 (2) 経営成績の分析

当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、次の通りであります。

①  売上収益

売上収益は、2,942億64百万円となり、前連結会計年度の3,068億69百万円に比べ、126億5百万円の減少(4.1%減)となりました。

国内加工食品事業は、植物性ミルクの新領域の挑戦に加え、各カテゴリーの需要拡大に注力し増収となりました。一方国際事業においては、トマトペーストの国際的な市況が下降に転じたことに伴い、同商品を主に扱うトマト他一次加工、トマト他二次加工の販売価格を引き下げたことにより減収となりました。

 

② 事業利益

事業利益は、226億94百万円となり、前連結会計年度の270億94百万円に比べ、44億円の減少(16.2%減)となりました。

国内加工食品事業は、売上収益は増収となったものの、原材料などの製造費用の継続的な上昇などにより前年同水準となりました。国際事業においては、販売価格の引き下げや製造工程の不具合などにより減益となりました。

 

③ 営業利益

営業利益は、226億38百万円となり、前連結会計年度の362億21百万円に比べ、135億83百万円の減少(37.5%減)となりました。

事業利益の減益に加え、前連結会計年度において、Ingomarの連結子会社化に伴い、従前から保有していた20%出資持分を50%の追加取得日における公正価値で再測定した結果、段階取得に係る差益93億23百万円をその他の収益として計上していた反動により、減益となりました。

 

④  親会社の所有者に帰属する当期利益

親会社の所有者に帰属する当期利益は、148億円となり、前連結会計年度の250億15百万円に比べ102億15百万円の減少40.8%減)となりました。

減益に伴う法人所得税費用の減少などにより、営業利益と比べて減益幅は縮小しました。

 

以上により、当連結会計年度の売上収益は、前期比4.1%減2,942億64百万円、事業利益は前期比16.2%減226億94百万円、営業利益は前期比37.5%減226億38百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は前期比40.8%減148億円となりました。

 

 

セグメント別の業績の概況は次の通りであります。

 (単位:百万円)

セグメントの名称

売上収益

事業利益(△は損失)

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

 

飲料

82,721

84,185

1,463

9,102

8,616

△486

通販

13,361

13,993

631

239

990

750

食品他

59,628

59,145

△482

6,233

5,900

△332

国内加工食品事業 計

155,711

157,324

1,612

15,575

15,507

△68

 

トマト他一次加工※1

82,267

69,639

△12,627

8,399

5,376

△3,022

トマト他二次加工※2

70,543

63,617

△6,925

7,000

4,419

△2,580

調整額

△3,507

△3,419

87

△1,467

△512

954

国際事業 計

149,303

129,837

△19,465

13,932

9,283

△4,649

その他

21,861

22,361

499

605

455

△150

調整額

△20,007

△15,259

4,747

△3,019

△2,552

467

合計

306,869

294,264

△12,605

27,094

22,694

△4,400

 

※1トマト他一次加工:農作物を加工した、ペーストなどの製造・販売

※2トマト他二次加工:主に、農作物の一次加工品に調味料などを加えて加工した、ピザソースなどの製造・販売

 

 

 

各セグメントの概要及び成果については以下の通りです。

 

 

<国内加工食品事業>

トマト、にんじん、その他の多様な野菜を使用した野菜飲料や食品などの商品を展開しています。お子様からご高齢の方まで、幅広い世代の方々に、日常生活の様々な場面においてご利用いただくことで、野菜の摂取量を増やし、健康寿命の延伸に貢献します。

当事業における売上収益は、前期比1.0%増1,573億24百万円、事業利益は、前期比0.4%減155億7百万円となりました。

 

① SWOT分析

SWOT分析

STRENGTH 強み

WEAKNESS 弱み

 原材料調達における、海外ネットワーク力と
品質保証力

 127年の歴史で培われたブランド力

 素材の力を活かした機能性研究、商品開発力

 多様な販路と、顧客に応じた商品提案力

 環境変化へ対応できるバリューチェーンの

柔軟性

 幅広いカテゴリー対応維持のための資源分散

 コモディティ市場における価格競争力

 若年層への浸透

OPPORTUNITY 機会

THREAT 脅威

 生活者の健康、自然素材、環境意識のさらなる高まり

 生活者の購買行動・ブランド選択基準の多様化

 生活者との新たな情報、購買接点の拡大

 体験を含めた新たなサービス領域の顕在化

 継続的な原材料価格上昇

 健康関連商品・サービス多様化による既存領域の相対的地位低下

 各分野でのイノベーションによる異業種からの競合参入

 日本国内における人口減少、高齢化による市場の縮小

 

 

② 第3次中期経営計画の振り返り

成果

課題

第3次中期経営計画では、利益の回復と挑戦の継続を基本方針として、既存商品群のバリューアップとともに、新規領域への挑戦に取り組み、ベジチェック®などを活用した野菜摂取を推進する需要創造活動や食育などによるファン化促進、トマトや野菜の機能性訴求を進めてきました。期中、想定外の原材料価格の急騰に見舞われ、数度の価格改訂を余儀なくされましたが、商品価値強化並びに需要創造プランを推し進め、計画を概ね達成することができました。

その結果、売上収益1,573億円、事業利益155億円と、2021年度対比でそれぞれ、+205億円(+15.1%)、+23億円(+18.1%)となりました。特に、トマトジュースは、機能性訴求を全面的に進め、2025年度売上収益が2021年度対比で、+118億円(2.0倍)と大きく成長しました。

国内の人口減少の影響が顕在化するとともに、製造コストが継続的に上昇している環境下においても持続的に利益を生み続ける構造へ変革することが大きなテーマです。

また、次の成長の柱づくりとして、野菜スープや、植物性食品・飲料など新領域への挑戦をさらに加速する必要があります。まだ売上規模としてはわずかですが、リピート率は増加しており、手ごたえをつかみつつあります。2025年度より本格展開を開始した「アーモンド・ブリーズ」についても市場定着に向けて引き続き活動していきます。



 

 

 

③ Kagome Group Plan 2028 事業戦略

国内人口は減少する一方で、高齢者率の上昇などにより健康への関心は高まっています。また、農家数の減少などにより、国産野菜や果実を安定的に確保することが年々難しくなってきています。国内加工食品事業はこの構造的な課題と向き合い、カゴメらしい野菜と健康の価値提供を起点としたバリューチェーン最適化による収益獲得力の強化を進めます。中長期的な取り組みの一例として、「めぐみめぐるAction!」を開始しました。この取り組みは、地域ならではの野菜や果実の恵みや生産者の想いを発信・訴求するとともに、消費者が産地を応援し、生産者支援につながる循環を創出するものです。

また、バリューチェーンの最適化として北海道に新たな国産トマト工場を新設します(2028年稼働開始予定)。

農産原材料費を含む製造コストの継続的な上昇に対しては、2026年2月に家庭用・業務用飲料を中心に価格改定を実施しました。併せて、需要喚起策の1つとして「野菜生活100オリジナル」をリニューアルし(2026年3月中旬より順次切り替え)、飲みやすいおいしさはそのままに、野菜配合率を70%から88%へ高め、バリューアップします。これらの取り組みに加え、野菜スープや植物性の新領域への挑戦を加速し、収益獲得力の強化と持続可能な価値創造を目指していきます。

 

 

 

 

<国際事業>

国際事業は、農業生産、加工、販売事業などを展開しています。加工はトマトペーストなどを製造する一次加工と、トマトペーストを原材料としてトマトソース、ピザソースなどを製造する二次加工に大別されます。国際事業の主な顧客は調味料メーカーや外食企業などで、米国、ヨーロッパ、オーストラリアなどでBtoBビジネスを展開しています。

当事業における売上収益は、前期比13.0%減1,298億37百万円、事業利益は、前期比33.4%減92億83百万円となりました。

 

① SWOT分析

SWOT分析

STRENGTH 強み

WEAKNESS 弱み

 フードサービス企業に向けた商品開発提案によるソリューション力

 グローバルに展開するグループ会社による
トマト原材料の安定した供給力

 グループ会社共通の品質管理基準の展開による品質力とESG課題の推進

トマトペースト市況の変動に伴う収益
ボラティリティ

 購入額の大きい特定顧客への依存度の高さ

 BtoCにおけるブランド認知の不足

OPPORTUNITY 機会

THREAT 脅威

 米国・ヨーロッパ・インドなどを中心としたフードサービス市場の成長ポテンシャル

 原材料となる加工用トマトの生産性向上技術に対するニーズの高まり

 原価・運営コスト高騰に伴うフードサービス企業からのソリューションニーズの高まり

 トマトペースト市況下落による収益の悪化

 異常気象などの天候リスクによる事業活動への影響

 サプライチェーンの分断による原材料・製品供給不足

 各国拠点の従業員の確保難、労務費の高騰

 

 

② 第3次中期経営計画の振り返り

成果

課題

国際事業は2023年にカゴメ・フード・インターナショナルカンパニーとしてカンパニー化し、一部の権限を委譲して事業運営の迅速化を図ってきました。トマト他一次加工においては、2021年~2023年にかけてトマトペーストの世界的な需給逼迫を背景に市況が高騰したほか、2024年に当時世界第4位のトマト一次加工会社、Ingomarを連結子会社化し業績が拡大しました。トマト他二次加工においても、トマトペースト価格に連動した価格改定を実施したほか、米国を中心に外食需要が堅調に推移したことを背景に業績が拡大しました。この結果、2025年度の国際事業は2021年度対比で売上収益は2.6倍、事業利益3.9倍となりました。

価格が高騰したトマトペースト市況は世界的な加工用トマトの増産などにより、需給緩和が進み、2024年以降、下落に転じました。

製造効率を高めていくとともに、トマト他一次加工においては、新規顧客の開拓を進めて長期契約比率を伸ばすことなどにより、トマト他二次加工においてはソリューション提案力を強化し、新規案件を獲得することにより、市況に左右されない安定的な利益獲得ができる体質を目指します。



 

 

 

③ Kagome Group Plan 2028 事業戦略

カゴメグループの成長をドライブする二次加工の成長を目指していきます。特にフードサービスの市場規模が大きい北米・ヨーロッパ並びに潜在的な成長率が高いと期待できるインドを重点エリアとします。北米においては、ソリューション開発力を強化し顧客に寄り添った営業を推進するとともに、ピザソースなどのトマトベースソースを中心に、より付加価値が高いオイルソースやアジアンメニューソースの開発にも注力し、新規案件の獲得を目指します。

インドはトマト生産量世界2位の生産国であり、大半が生鮮トマトから調理され、国内で消費されます。インドのトマト加工産業の成長力を見極め、競争力を確保するために川上から川下まで広く関与することを検討していきます。

トマト他一次加工においては、Ingomarとの連携をより深め、品質・製造・販売・管理・財務の5つの領域でさらなるシナジーの創出に注力するとともに、新規顧客の開拓を進めることにより国際事業全体の利益水準の底上げと収益安定化を図ります。

その他、DX推進やグローバル人材育成を加速し、品質・コスト・納期を徹底することで、顧客信頼の最大化と持続的な成長基盤の構築を図ります。

 

 

 

なお、今後の見通しにつきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の通りであります。

また、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載の通りであります。

 

 

(3)財政状態の分析

当連結会計年度末は、資産合計につきましては、前期末に比べ134億4百万円増加いたしました。

流動資産につきましては、前期末に比べ68億20百万円増加いたしました。

これは、主に借入の増加などにより「現金及び現金同等物」が55億70百万円、「営業債権及びその他の債権」が11億26百万円増加したことなどによります。

非流動資産につきましては、前期末に比べ65億83百万円増加いたしました。

これは、主に有価証券の時価評価差額により「その他の金融資産」が46億81百万円、設備投資の進捗に伴い「有形固定資産」が27億6百万円増加したことなどによります。

負債につきましては、前期末に比べ101億55百万円増加いたしました。

これは、主に資金需要の高まりにより、「借入金」が77億52百万円、「長期借入金」が20億26百万円、それぞれ増加したことなどによります。

資本につきましては、前期末に比べ32億49百万円増加いたしました。これは「自己株式」の取得により82億35百万円、剰余金の配当により53億44百万円、それぞれ減少した一方で、「親会社の所有者に帰属する当期利益」により148億円、主に有価証券の時価評価差額の影響により、「その他の資本の構成要素」が31億92百万円増加したことなどによるものです。

この結果、親会社所有者帰属持分比率は50.7%、1株当たり親会社所有者帰属持分は2,097円10銭となりました。

 

(4)連結キャッシュ・フローの状況の分析

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、268億44百万円となり、前期末に比べ55億70百万円増加いたしました。各キャッシュ・フローの状況は次の通りであります。

営業活動によるキャッシュ・フローは、269億30百万円の純収入(前期は316億92百万円の純収入)となりました。この主要因は、税引前利益が211億18百万円となったこと、減価償却費及び償却費が118億14百万円となったこと、棚卸資産が21億17百万円減少したこと(以上、キャッシュの純収入)、法人所得税等の支払いにより47億23百万円支出したこと、利息の支払いにより24億30百万円支出したこと(以上、キャッシュの純支出)などによります。

投資活動によるキャッシュ・フローは、114億85百万円の純支出(前期は463億25百万円の純支出)となりました。これは、主に有形固定資産及び無形資産の取得により113億93百万円支出したことなどによります。

財務活動によるキャッシュ・フローは、103億94百万円の純支出(前期は5億71百万円の純支出)となりました。これは、主に長期借入金の収入が103億82百万円あったものの、自己株式の取得等により81億84百万円、長期借入金の返済により57億53百万円、配当金の支払いにより53億35百万円支出したことなどによります。

 

 

(生産、受注及び販売の状況)

a. 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメント毎に示すと、次の通りであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

 

飲料

43,385

4.3

 

通販

662

△4.4

 

食品他

20,965

△4.3

 

国内加工食品事業 計

65,013

1.3

 

 

トマト他一次加工(注)3

57,494

△44.8

 

トマト他二次加工

50,948

△11.4

 

国際事業 計(注)3

108,442

△32.9

 

その他

5,296

7.8

 

合計(注)3

178,752

△22.6

 

 

(注) 1  金額は製造原価によっております。

2  金額は消費税等を含めておりません。

3  前期比の著しい変動につきましては、前期はIngomar社を連結子会社化したことから、同社の連結時保有在庫分も含めて生産実績額を算定している一方で、当期は単年の生産実績額が集計されていることによるものです。前期に当期と同様の集計方法を適用した場合、「トマト他一次加工」の前期比は△6.6%、「国際事業 計」の前期比は△8.9%、合計の前期比は△5.0%となります。

 

 

b. 受注状況

主要製品の受注生産は行っておりません。

 

 

 

c. 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメント毎に示すと、次の通りであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

構成比(%)

前期比(%)

 

 

飲料

外部顧客に対するもの

84,185

 

1.8

セグメント間取引

 

84,185

28.6

1.8

通販

外部顧客に対するもの

13,993

 

4.7

セグメント間取引

 

13,993

4.8

4.7

食品他

外部顧客に対するもの

59,145

 

△0.8

セグメント間取引

 

59,145

20.1

△0.8

国内加工食品事業 計

外部顧客に対するもの

157,324

 

1.0

セグメント間取引

 

157,324

53.5

1.0

 

トマト他一次加工

外部顧客に対するもの

61,071

 

△14.7

セグメント間取引

8,567

 

△20.0

69,639

23.7

△15.3

トマト他二次加工

外部顧客に対するもの

57,177

 

△7.0

セグメント間取引

6,440

 

△28.9

63,617

21.6

△9.8

調整額

外部顧客に対するもの

△3,419

 

△2.5

セグメント間取引

 

△3,419

△1.2

△2.5

国際事業 計

外部顧客に対するもの

114,829

 

△11.4

セグメント間取引

15,007

 

△24.1

129,837

44.1

△13.0

その他

外部顧客に対するもの

22,109

 

2.3

セグメント間取引

251

 

5.4

22,361

7.6

2.3

調整額

△15,259

△5.2

△23.7

連結売上収益

294,264

100.0

△4.1

 

(注) 1 各セグメント間のセグメント売上収益を消去しております。

   2  主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次の通りであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

株式会社日本アクセス

35,216

11.5

37,271

12.7

 

 

 

5 【重要な契約等】

当連結会計年度において、新たに締結した重要な契約は次のとおりであります。

 

(Silbury Marketing Ltdの株式取得)

当社は、2025年11月21日開催の取締役会において、Silbury Marketing Ltd(以下、Silbury社)の全株式を取得することを決議し、同日付で株式譲渡契約を締結いたしました。この契約に基づき、2026年1月5日付で当該株式の取得を完了しております。

詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 35.重要な後発事象」をご参照ください。

 

6 【研究開発活動】

当連結会計年度の研究開発費の総額は、5,382百万円であります。

持続可能な農業の実現に向けた開発能力を高めることを目的として、国内外に分散していた品種開発や栽培技術の開発部門を一つの組織に結集し、2023年10月に「グローバル・アグリ・リサーチ&ビジネスセンター(GARBiC)」を設立しました。この組織の傘下にはこれまで日本の研究所で行ってきた農資源開発や、ポルトガルのKagome Agri-business Research and Development Center, Unipessoal Lda、種子の開発・生産・販売を行うUnited Geneticsグループなどを配置しています。

また、農業分野における中長期でのイノベーションの源泉になる技術探索及び事業開発を加速するため、コーポレートベンチャーキャピタルを2024年に設立しました。運用総額は50百万米ドル、運用期間は10年となります。

2025年12月時点で、4社への出資を決定しています。2025年9月には、植物性原料由来の高吸水ポリマーを開発・販売する「EF Polymer株式会社」へ出資しました。2025年のトマトシーズンには、米国カリフォルニア州の加工トマト農業にて、約15ヘクタール規模の大規模実証試験を実施し、効果の再現性や農家のオペレーション適合性について検証を実施しています。