当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当年度末現在において当社が判断したものです。
クボタグループは、「グローバル・メジャー・ブランド(GMB)」すなわち「最も多くのお客様から信頼されることによって、最も多くの社会貢献をなしうる企業(ブランド)」となることを将来のめざす姿としています。
この実現を加速するため、2030年を見据えた長期ビジョン「GMB2030」の中で、クボタグループのあるべき姿として「豊かな社会と自然の循環にコミットする“命を支えるプラットフォーマー”」を掲げています。
「事業を通じた社会課題の解決により、社会価値と経済価値を合わせた企業価値を創出する」と定義づけているK-ESG経営については、環境変化に応じてテーマの重点化を行い継続してまいります。気候変動対応、人的資本の強化、コーポレートガバナンスの強化、リスクマネジメントといった、事業の支えとなる重要かつ共通性の高いテーマに重点を置き、サステナブルな取組みを推進していきます。
(1) クボタグループの事業環境
① 外部環境に対する認識
国内市場は、米価高騰を背景とした農家の設備投資意欲の高まり、国民の農業への関心の高まりなどが見られます。また、上下水道を含む社会インフラ老朽化といった課題を背景に、政府では新たな第1次国土強靭化実施中期計画が策定されるなど、当社グループの機械事業、水・環境事業にとって追い風といえる環境にあります。
海外市場は、「食料・水・環境」の各分野のポテンシャルは大きく、短期的には米国の関税政策といった逆風はあるものの、中長期的には非常に底堅いと考えています。また、欧州の景気回復、インド市場の成長などにも大きな期待をしています。
また、新中期経営計画(2026年~2030年)の期間においてもAIやICTの最新技術の活用は引続き重要なトレンドです。「食料・水・環境」の各分野で、人手不足をはじめとしたあらゆるニーズに対応することが求められると考えています。
② クボタの現状
前中期経営計画(2021年~2025年)の期間中、売上高は大きく増えましたが、営業利益率が低下傾向にあります。背景には製品・事業の競争力の低下や、固定費の高止まりなどが挙げられます。資産効率の面でも、設備投資、IT投資、研究開発投資などの成長投資が高い水準で推移した結果、全体としてフリーキャッシュフローが低水準にとどまりました。また、社会の要請に応えるソリューションビジネスが十分に生み出せておらず、既存の事業分野においても、ヒット商品の創出が少なくなっていることも大きな課題です。
このような現状を打破して、従来の物量重視から転換して収益性や資本効率を重視した経営への質的改善を実行し、持続的な企業価値の向上を実現していくために、主に以下のような取組みを進めてまいります。
(2) 今後の取組み
新中期経営計画の目標達成のためには、グループ総力を挙げて臨む必要があります。新しい組織運営を通じて国内外の経営資源を総動員し、機械事業、水・環境事業を展開する「クボタらしいグローバルカンパニー」をめざします。
① 全社の経営体制改革
機械事業、水・環境事業それぞれの事業特性に合った事業運営が可能な体制構築を進めています。特に機械事業は、事業部門と本社部門の機能重複による事業運営の非効率化、意思決定プロセスの複雑化が課題でした。大幅な機構改革を実施して効率的な事業運営と迅速な意思決定が可能な体制に移行し、事業成長を加速させていきます。
水・環境事業については、2025年1月のカンパニー化により権限移譲を進め、自立運営ができる体制としました。その効果は着実に現れ、事業成長の基盤が整いつつあります。
一方、クボタグループとしてのガバナンスを利かせる必要もあります。2026年1月に導入したチーフオフィサー制は、全社経営の視点から各事業を横断的に支援するための施策を、責任を持って遂行するとともに、意思決定のスピードアップを図ることを目的としています。各チーフオフィサーが機械事業、水・環境事業それぞれに対してグローバルに責任を持ち、各々の施策を実行していきます。
② 両利きの経営
両利きの経営においては、「既存事業の深化」と「新規事業の探索」を両立させることが重要です。直近の売上高の成長は、機械事業における為替の影響や値上げ効果に支えられた部分が大きく、水・環境事業も、さらなる事業成長を促進する必要があります。会社全体の成長には既存事業のなかで成長事業を伸ばすことが不可欠ですが、新規事業の探索にも本格的に取り組む必要があります。新規事業探索の方法論を学ぶ研修の強化、新しいことに挑戦する風土の醸成、M&Aを利用した事業の獲得、新たに設置した農業ソリューション本部を通じた新規事業開拓といった取組みを通じ、付加価値の向上と稼ぐ力の回復をめざします。
③ キャッシュの効率的な活用
前中期経営計画の期間中、BCP(事業継続計画)や増産対応などで設備投資が集中し、それが固定費として財務上の圧迫要因となっています。これらは将来の事業成長の礎となる重要な投資でしたが、そのコントロールが不十分でした。今後は、新中期経営計画の財務目標を達成するため、全社としての最適配分を意識しながら、厳格に事業維持投資と成長投資のバランスをコントロールしていきます。
④ AI活用、DXによる業務の大幅見直し
AIの活用状況が今後の競争力を大きく左右すると考えています。すでに定型業務などで個別の改善活動は進んでいますが、会社全体としての本格的な業務刷新を追求すべく、定型業務以外での改善、提案能力の向上をめざします。
(3) 各事業がめざす姿
① 機械事業:「小さい機械で、大きな仕事を」
競合よりも小さな製品で、同等以上の大きな仕事ができるようになりたいという意思を込めています。より小さい機械で、より高いパフォーマンスの仕事ができ、より簡単に、誰でも使えるよう、ITやAIなどの技術をフル活用しながら、その実現をめざします。また、電動や水素など代替動力への取組みも継続しますが、当面はディーゼルエンジンに対する需要は旺盛に続くとみており、既存事業のうち建設機械事業、インド「発」事業、ライフサイクルサポート事業の3つを成長の柱と位置づけています。
② 水・環境事業:「製品・技術を核としたソリューションで社会インフラの強靭化に貢献する」
製品・技術を核としたソリューションの提供により、社会・産業インフラの強靭化・最適化を後押しし、事業を通じた社会課題の解決に貢献していきます。そのためにも、基盤となる既存事業における製品、エンジニアリング、サービスの強化と、成長分野への取組みを強化します。成長分野では、水循環ソリューション・資源循環ソリューションの拡大、カーボンニュートラル関連への技術展開、海外事業の拡大などをテーマに、取組みを強化します。
クボタグループには、長年にわたり地表数メートル上と下で社会インフラを支えてきた知見やノウハウ、データなどの重要な無形資産があります。既存事業をベースにそれらの資産を活用して常に進化し続け、社会や顧客への新しいトータルソリューション・プラットフォームの提供をめざしてまいります。そして、「On Your Side」の精神による企業風土の変革を積極的に推進し、多様な人財が力を発揮して挑戦できる風通しの良い風土と、それをベースにした「クボタらしいグローバルカンパニー」という企業文化の確立に向かって進んでまいります。
文中の将来に関する事項は、当年度末現在において当社が判断したものです。
(1) サステナビリティ全般
① 基本的な考え方、戦略
当社は企業理念「クボタグローバルアイデンティティ」(以下「KGI」)の中で、ブランドステートメントとして「For Earth, For Life」を掲げ、美しい地球環境を守りながら、人々の豊かな暮らしを支えていくことを約束しております。そして、KGIを実現するにあたって「グローバル・メジャー・ブランド クボタ」(以下「GMBクボタ」)をめざしており、GMBクボタ実現に向けた2030年のめざす姿として長期ビジョン「GMB2030」を掲げております。
GMB2030では豊かな社会と自然の循環にコミットする“命を支えるプラットフォーマー”となること、すなわち地球環境と人間社会のサステナビリティ、当社のサステナビリティの両立に取組んでおります。具体的には、食料・水・環境領域での新たなソリューションの展開と既存事業の拡充及び社会への適合です。また、それら事業展開を牽引・後押しする経営基盤の強化に向けて、ESG経営を推進しています。
② ガバナンス、リスク管理
1)体制
取締役会、経営会議とその諮問機関である人財戦略会議とリスクマネジメント会議などで重要ESGテーマの目標、施策及び進捗の検討と決定が行われています。
詳細は「
2)役員報酬の連動
ESGテーマと役員報酬を連動させる報酬体系をとっており、役員報酬における年次賞与の20%はK-ESG評価として、目標の達成度に応じて標準額の0%~200%の範囲で変動させております。
役員報酬制度の詳細は「
③ 重点ESGテーマ、指標と目標
中期経営計画2030では「未来の成長を支える強靭なグローバル基盤」としてESG経営を位置づけ、「気候変動」「人的資本」「コーポレート・ガバナンス」「リスクマネジメント」を重点ESGテーマとして取り組んでいます。重点ESGテーマの指標と目標はそれぞれ次のとおりです。
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重点ESGテーマ |
指標 |
目標 |
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気候変動 |
スコープ1、2 排出量 |
38.9万t (2014年比50%減) |
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人的資本 |
女性管理職比率 |
7% |
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社員エンゲージメント |
60 |
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コーポレート・ガバナンス |
取締役会の実効性 |
取締役会と執行部門の両輪が機能し、ガバナンスが継続的に向上 |
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リスクマネジメント |
海外コンプライアンス体制の構築 |
各地域での必要な体制・機能の整備 |
(2) 人的資本
① 基本的な考え方
当社がGMB2030を実現していくためには、既存事業の拡充と新たなソリューション創出を両立し、持続的な成長と収益力向上を実現していくことが不可欠です。その原動力となるのは、強くしなやかな組織と、多様で自律した人財です。
当社は現場主義やOn Your Sideの精神を基盤としつつ、事業環境の高度化・グローバル化に対応するため、人財の質の高度化と挑戦を促す組織文化の醸成を進めています。そのために「組織の強化」「個の強化」「健康経営」を基本方針とし、人財の成長と組織の実行力向上を通じて、事業成長と企業価値向上を支えていきます。
② 人的資本戦略
当社の人的資本戦略は、経営戦略と一体となって策定しており、事業成長と収益力向上を支える人財基盤の強化を目的としています。具体的には、経営資源の選択と集中、バランスシートを意識した戦略的な財務運営、未来の成長を支える強靭なグローバル基盤という経営方針と連動し、人的資本の観点から組織力と人財力の高度化を進めています。
各基本方針(組織の強化/個の強化/健康経営の推進)に対応する戦略・施策ポリシーを定め、KPI及び具体施策を通じて実行しています。
1) 人的資本 基本方針
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基本方針 |
概要 |
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a |
組織の強化 |
多様な人財が集い、つながることで新たな価値を創出し、それがイノベーションやサステナビリティの源泉となります。当社では『対話』を重視した企業文化を構築し、個々の能力を引き出すことが組織の強化を実現するための鍵であると考えております。 |
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b |
個の強化 |
個々人が未知の領域の課題解決にチャレンジをしていく必要があり、そのためにはメンバーそれぞれが強い想いを持ち、個々の力を発揮していくことが求められます。 |
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c |
健康経営の推進 |
当社がこれからも社会に必要とされるソリューションを生み出すためには、活動の主体者である従業員の心身の健康が欠かせません。従業員の健康を大切にする風土を醸成し、一人ひとりの心身の健康を保つと共に、いきいきと働き続けることができる職場づくりを通して、当社の人的資本戦略を下支えします。 |
<GMB2030と人的資本の関係図>
2) 基本方針の戦略、施策ポリシー
a. 組織の強化、b. 個の強化、c. 健康経営の推進の3つの基本方針について、戦略と施策ポリシーを定めて取組みを進めております。
<基本方針の戦略、施策ポリシー>
[戦略]
a. 組織の強化 (=社内環境整備方針)
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・多様な人財を獲得し、その個性を尊重しながら、人財の価値を最大限引き出す『対話』を重視した企業文化の構築 |
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当社は人的資本戦略の柱として、「組織の強化」を推進しております。異なる価値観や考え方があることを認識し、多様な個性を最大限に活かすことはイノベーションにつながります。加えて、組織がグローバルで持続的に成長していくためにも、多様性を活かすことは重要な観点です。また、当社では『対話』をキーワードにDEIの戦略を展開しております。多様な個性を持った人財が積極的に『対話』し、多様な意見を交わすことで新しいアイデアが生まれ、現存の課題に対する新しいアプローチが見つかります。そして人財の価値を最大限に引き出す『対話』を重視した組織文化は、個々の能力・経験・考え方が認められ個々の力をより発揮できる環境を構築します。また、エンゲージメント向上やローテーション・公募の活性化を通じて適材適所を実現し、人財の能力発揮と生産性向上を図っています。これにより人的側面から資本効率と収益力の向上を支えています。 |
b. 個の強化 (=人財育成方針)
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・戦略的かつ計画的な育成投資によるチャレンジ意欲ある人財への成長機会の提供 ・従業員の想いを大切にした自律的なキャリア形成支援 |
|
当社は人的資本戦略の柱として、「想い」を重視しております。GMB2030実現に向けて、当社全体の個人の成長は欠かすことができず、個人の成長の土台となるのは、一人ひとりの想いであると捉えております。想いを自律的に実現できる環境をさらに整え、一人ひとりの想いが原動力となって、個人も組織も成長していくような組織をめざしております。 これからも従業員一人ひとりが自分と向き合い、自律的にキャリアを考えていけるような支援を積極的に行い、従業員の視野を拡げ、自己成長に向け意欲的にチャレンジする方への育成投資を重点的に行っていきます。そして一人ひとりのエンゲージメントを高めつつ、個々人の持つ強みを最大限に引き出し、その強みを伸ばしながらチームで価値創造できる人財育成を行います。加えて、サクセッションプランの高度化や挑戦機会の拡充を通じて、将来の経営を担う人財や新たな価値創出を担う人財の育成を進めています。これにより経営基盤の強化と未来の成長を支えるグローバルな人財基盤を構築しています。 |
c. 健康経営の推進 (=社内環境整備方針)
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・健康経営戦略マップに基づくデータ分析により、人的資本への効果的な健康施策への投資サイクルを構築する |
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当社は人的資本戦略の土台として、健康経営を推進しております。戦略の核となるのは、「健康経営戦略マップ」に基づくデータ分析です。健診データや労働時間データ、各種サーベイで取得した「KPI指標」を多変量解析し、心身の健康やパフォーマンスを促進/阻害する要因を深掘りしながら、効果的な健康施策への投資サイクルを構築しております。健康な従業員は、組織の「創造性」と「生産性」を向上させ、全体のパフォーマンスに寄与します。このアプローチは、K-ESG経営にも密接に連動し、企業の持続的成長にもつながります。 |
<健康経営戦略マップ>
[施策ポリシー]
a. 組織の強化
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・マネージャーがメンバー一人ひとりに向き合い、双方の想い・考え方を理解・共感しあう施策を実行する ・多様な人財の集まりと生産性の高いフレキシブルな働き方の中で共創・創発を促進する |
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『対話』を重視した文化を構築するためにはマネージャーの存在は必要不可欠です。1on1ミーティングや日々の対話を通じて、マネージャーがメンバー一人ひとりの想いに理解・共感し、その想いに対して最大限支援することが個々人のエンゲージメントを高め、多様な人財の価値を引き出すことができると考えております。また、性別、国籍、年齢、経験、価値観等、あらゆる属性や様々な個性をもつ従業員一人ひとりが、熱意をもって働けるよう、状況に合わせた働きやすい制度の整備等、多様な人財が活躍できる場を提供していきます。 |
b. 個の強化
|
・将来の経営人財候補を戦略的・計画的に発掘・育成する ・チャレンジ意欲ある人財へ積極的な投資を行う ・事業・職務で実現したい従業員の想いを受け止め、従業員の自律的キャリアを最大限支援する |
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当社がこれから既存事業の拡充や新たなソリューションへの取組みを行うには経営人財の計画的な育成とチャレンジ意欲ある人財への積極的な投資を行い、より変化に柔軟で多様性のある人財を育成していく必要があります。また一人ひとりの想いを確実に受け止め、事業や職務で実現したキャリアについて、上司部下間で十分な対話を行い、従業員の想いを最大化し、行動につなげることが今後のめざす姿を実現する近道であると考えております。 |
c. 健康経営の推進
|
・ヘルスリテラシー向上を起点として、適正な受療行動と予防活動を促進する |
|
健康になるためには、「行動」を変える必要があり、「行動」を変えるためには、まず「意識」を変える必要があります。「ヘルスリテラシー」は、健康意識・知識を推し量る指標の1つであり、この数値が高い従業員を増やしていくことが、健康な従業員を増やしていくことにつながります。健康を「自分ごと」として捉え、自律的な健康増進に取組む「ヘルスリテラシー」のある従業員を増やすべく、健康施策に継続的な投資をしております。 |
[具体的な取組み(一例)]
■従業員エンゲージメントの向上 <a. 組織の強化/b. 個の強化>
K-ESG経営を推進するには、従業員が企業理念を実践し、社内外のステークホルダーの共感と参画を得ることが重要です。そこで、K-ESG経営推進の主体者である従業員が誇りや喜びを持ち、働きがいと働きやすさを感じられる組織づくりを国内外で進めるべく、2021年11月よりエンゲージメントサーベイを実施しております。2025年度は国内・海外の子会社含め、約24,000名がサーベイに参加しました。着実にスコアは向上しておりますが、現状の肯定的回答率スコア47%(グループ全体)から2030年でスコア60%をめざし、エンゲージメントを高める取組みをさらに推進していく必要があります。
サーベイ結果は組織によって異なるため、各組織に適したアクションを展開することが必要です。そのためには、組織全体でしっかり対話を行い、組織内のメンバー全員にも自分事化してもらう働きかけを行っております。2023年から組織内の対話を促進すべく、組織づくりワークショップ(部長向け)を実施し、組織の活性化・エンゲージメント向上を図っております。メンバーとの対話を通じて、組織のありたい姿を描き、組織内に伝えていく一連の流れを体験することで、エンゲージメント向上に向けた具体的なアクションを展開しております。
■女性活躍促進 <a. 組織の強化>
女性の活躍は組織全体のイノベーション促進や持続的成長を実現させると考え、2020年より女性従業員の採用数を増やしております。今後は引続き事務系社員で50%近くを採用し、技術系社員も現状の12%~13%から20%程度まで引き上げるべく、取組みを進めております。それと同時に今まで以上に女性が働きやすく、活躍できる環境を整備していきます。
また、女性従業員間の交流と相互支援を目的とした、Kubota Women Employee Resource Groupを発足させました。組織を超えて女性リーダーが集い、自発的な活動を通じた新しい繋がりを築くことで、自身のキャリアに対する考えを深め、モチベーション向上を図ります。また自らのリーダーとしての経験を共有することで、次世代を担う若手従業員が多様なキャリアや価値観に触れる機会を創出し、次の女性リーダーの育成につなげていきます。
女性従業員のエンパワーメントを目的とした女性活躍推進フォーラムも開催しております。社長をはじめとする経営層が女性の活躍がクボタにとって不可欠であること、そして女性活躍推進に対する思いを直接女性従業員に向けて語りかけております。また、グローバルに活躍する社内ロールモデルの講話を通じて、女性従業員が前向きに自身のキャリアを考え、自分らしいリーダー像を見出す機会を創出しております。
管理職における女性従業員の比率は、年々増加傾向にあります。これまでも人事制度の変更等、性別によらない登用を確実に進め、女性の活躍を支える両立支援の拡充等、エクイティ(公平性)を重視した施策を実施してきました。これからもより一層ダイバーシティ・マネジメントを強化し、公平な育成・登用を実現していき、すべての従業員が自分らしく活躍できる職場環境を整備し、意欲を持って働き続ける風土醸成を進めます。
■健康意識の向上 <c. 健康経営の推進>
当社では、従業員一人ひとりの「ヘルスリテラシー」を向上させるために、2018年から2021年にかけて希望者全員(実績:12,309名)に対して「ウェアラブルデバイス」の無償貸与をしております。2022年からは「健康アプリ」を導入し、健診結果やバイタルデータを手元でいつでも確認できる環境を整えると共に、年間を通じた「健康イベント(クボタ健康チャレンジ)」と健康行動に対する「ポイントインセンティブ」を通じて、従業員の自律的な健康増進をサポートしております。
③ 指標と目標
人的資本関連KPIは、経営戦略に資するものとして、『エンゲージメントサーベイ(以下、ES)によるエンゲージメントスコア(肯定的回答率)』『女性管理職比率』を設定しております。これら指標と目標は状況に合わせて見直しを行います。これらに加え、エンゲージメントや多様性の向上が生産性や挑戦行動の促進につながる観点から、人的資本KPIの高度化を進めています。
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KPI項目 |
対象範囲 |
2025年実績 |
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連結 |
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単体 |
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④ ガバナンス
代表取締役社長をはじめ事業部門、財務、人事、研究開発、製造、環境等の担当役員がメンバーであるKESG経営戦略会議で人的資本に関する審議を行っております。そして、社長を含む事業本部及び機能別本部トップの役員がメンバーの人財会議で、将来の経営層候補人財について、最適な育成や人財配置等を検討しております。また、エンゲージメントスコアや多様性の状況は役員報酬制度に組み込まれております。
(3) 気候変動、自然資本への対応とTCFD・TNFD提言に基づく情報開示
当社は、2050年に向けた環境面から事業活動の方向性を示す「環境ビジョン」で、カーボンニュートラルでレジリエントな社会の実現への貢献を掲げております。2020年1月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言及び2024年2月にTNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)提言へ賛同し、情報開示に努めています。
最新のTCFD及びTNFD提言に基づく開示は以下リンク先をご覧ください。
TCFD: https://www.kubota.co.jp/sustainability/environment/tcfd/index.html
TNFD: https://www.kubota.co.jp/sustainability/environment/tnfd/index.html
TCFD
① ガバナンス
気候変動、自然資本を含む環境経営課題は「KESG経営戦略会議」等で、経営幹部を中心に審議・管理を行っております。会議の結果は取締役会や執行役員会に報告するとともに、「環境管理担当責任者会議」を通じてグループ内に展開しております。また、ESG経営の取組みをより一層加速させるための動機付けとして、役員報酬制度のうち年次賞与の評価指標に気候変動対応目標を組み込んでおります。
② 戦略
当社はグループ全体に関する気候変動と自然資本の影響を評価するため、全事業を対象にシナリオ分析を実施しています。気候変動については、2030年に想定される事業への影響評価を2050年に向けた人口増加や経済発展をベースに、1.5℃/2℃、4℃のシナリオを用いて行いました。
当社はこれらのシナリオ分析結果をもとに事業へのリスクや機会を整理し、事業分野毎に対策戦略を立案しております。
<機械事業における分析結果>
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シナリオ |
TCFDシナリオ分析結果概要 (市場・事業環境の変化) |
評価結果 (2030年) |
財務インパクト(2030年)(注) |
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1.5℃/2℃ |
リスク 「技術」 |
気候変動関連の規制強化等による製品設計・使用要件の変化 ・内燃機関の燃費改善の規制が今後強化される ・農業機械や建設機械等、内燃機関を使用する製品に対する新たな規制が適用される等、電動化、燃料電池化、低・脱炭素燃料化(水素エンジン、合成燃料エンジン)等、動力源のニーズが多様化 ・長時間の稼働やハイパワーが求められ電動化が難しい大型製品は内燃機関搭載製品が使用され、低・脱炭素燃料の利用が増加 |
燃費改善、多様な動力源に対応する研究開発を積極的に進め、将来の事業機会獲得につなげる必要がある |
中 |
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機会 「製品」 |
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2030年時点では一部の先進地域で規制が適用されるが、脱炭素化製品の売上高への影響は限定的 |
小-中 |
|||
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機会 「市場」 |
脱炭素化製品・サービスを望む市場ニーズの変化 ・建設機械や芝刈機、ユーティリティビークルにおいて、騒音低減化、給油手間の忌避や室内利用等、内燃機関搭載製品にない新たな価値を求める市場ニーズが拡大 ・地域の燃料供給インフラに応じ、低・脱炭素燃料を利用した水素エンジン、ガスエンジンやハイブリッドエンジンを搭載した製品の需要が拡大 |
一部の先行市場や既存市場で電動ユーティリティビークル、乗用モーア、建設機械等を求める顧客はあるが、2030年時点での売上高への影響は限定的 |
小-中 |
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機会 「市場」 |
農業における脱炭素推進による農業形態の変化 ・気候変動への適応策として、農業技術発展や農地の有効利用が促進され、農作物の生産量は増加 ・先進国で農業の脱炭素化が進み持続可能な農法の普及が拡大 ・新興国で農業の脱炭素化と近代化が同時に進みスマート農業や営農ソリューション、エネルギー効率の高い農業機械の需要が拡大 ・土壌の炭素貯留を増加させる等、脱炭素型農業の需要が拡大 |
農業の低・脱炭素化に貢献する農業機械、スマート農業ソリューション等の売上高増加が期待できる |
中-大 |
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|
4℃ |
機会 「レジリエンス」 |
耕作適地の変化(農機・農法の需要変化) ・気候変動は耕作適地の移動や農作物生産に影響を与える ・スマート農機や精密農業等、新たな農機・農法への移行支援や農業ソリューションの需要が拡大 ・特に北米、アジア、欧州の一部地域等、より湿潤な地域における農業ソリューションの需要に変化 |
気象変化に対応可能な農業機械、農業ソリューションの売上高増加が期待できる |
中-大 |
(注) 損益への影響を 「小」≦25億円、25億円<「中」≦250億円、250億円<「大」 で示す。
上記分析結果に基づく機械事業における対応戦略
イノベーションを通じて製品使用段階でのCO2排出抑制に貢献
・今後も規制強化が予想されるエンジンの燃費改善、ハイブリッド化等の研究開発を継続強化
・市場のニーズに応じ、カーボンニュートラルに貢献する製品ラインアップの拡充
・地域のエネルギー供給状況に応じ、電動化、燃料電池化、低・脱炭素燃料化(水素エンジン、合成燃料エンジン)等、多様な動力源の実用化に向けた研究開発の加速
農業からの温室効果ガス削減や持続可能な食料生産活動を支援
・バイオマス地域資源循環や炭素貯留等、低・脱炭素農業や気象変化に対応可能な製品・サービスの研究開発を推進、営農ソリューションを具現化
・農業の効率化・省力化に貢献するスマート農業(農機自動化、精密農業等)を可能とする農業機械やサービスの拡充と普及拡大
・フードバリューチェーンの課題解決に貢献する植物工場等次世代作物生産を通じた持続可能な農業の構築に貢献
・さらなる農業の効率化や農業を通じた脱炭素化に貢献する最先端技術とICTを融合させたクボタ営農支援システム「KSAS(クボタスマートアグリシステム)」やクボタIoTソリューションシステム「KSIS(クボタスマートインフラストラクチャシステム)」、ほ場水管理システム「WATARAS」の利用用途の拡大
<水環境事業における分析結果>
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シナリオ |
TCFDシナリオ分析結果概要 (市場・事業環境の変化) |
評価結果 (2030年) |
財務インパクト (2030年)(注) |
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1.5℃/2℃ |
機会 「市場」 |
水と資源の確保・保全に向けた社会動向の変化 ・人口増加や経済発展が進むことでさらに水需要が増加 ・気候変動の影響による水資源の逼迫や水質悪化等への予防措置として、先進国やアジア諸国で生活・産業用水の取水・排水規制が強化される ・水不足・水質悪化を解消するためのソリューションの需要が拡大 |
上下水道のインフラ整備に関連する製品・ソリューションの売上高増加が期待できる |
中-大 |
|
機会 「資源効率」 |
水と資源の確保・保全に向けた社会動向の変化 ・ごみや農業残さの利活用、従来活用されていなかった小水力からのエネルギー回収等、エネルギーや資源の有効利用につながるソリューションの需要が増加 ・脱炭素とサーキュラー・エコノミーの両立が加速し、新規資源の採掘を回避し、資源の循環利用が増加 ・都市化工事の増加や作業者の減少等により水インフラ工事の効率化につながるソリューションの需要が拡大 |
資源・エネルギーの再生・回収や利用効率化に関するソリューションの売上高増加が期待できる |
中-大 |
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|
4℃ |
機会 「レジリエンス」 |
気象災害に対する意識の変化 ・気候変動が進むことで、台風・豪雨等自然災害増加や、渇水、水質悪化等、生活環境に悪影響 ・自然災害激甚化への対策として、既存上下水道インフラのレジリエンス強化や老朽更新、水質改善等の需要が増加 ・気候変動に伴い激甚化する自然災害に対して、日本では国土強靭化に向けた水関連製品の需要が拡大 |
水インフラ強靭化、災害対策、水質改善に関連する製品・ソリューションの需要は継続し、売上高増加が期待できる |
小-中 |
(注) 損益への影響を 「小」≦25億円、25億円<「中」≦250億円、250億円<「大」 で示す。
上記分析結果に基づく水環境事業における対応戦略
様々な資源(水・エネルギー・鉱物等)の有効活用、サーキュラー・エコノミーの実現に貢献
・水需要の増加に応える上下水道インフラ整備や水リサイクルへの貢献
・水質改善に貢献する浄水・下水処理関連製品・ソリューションの提供拡大
・地域の資源循環の仕組み作りに貢献する農業系残さや生活ごみ、下水汚泥等からのバイオ燃料の製造及び利用促進
・廃家電等の都市鉱山から有用な金属を回収することで廃棄物の埋め立て処分を削減し、廃プラスチックをエネルギー源として利用する「ディープ・リサイクル技術」の開発推進
・下水汚泥から重金属やリンを回収する下水汚泥溶融システムの提供による資源の有効利用促進
・水道管路工事・施工管理における省エネルギー化に貢献する「スマート水道工事システム」の利用拡大を推進
気象災害に強い水インフラづくりに貢献
・災害に強いダクタイル鉄管や災害からの復旧に貢献する排水ポンプ車、災害予防に貢献する排水機場の河川水位シミュレーション・運転管理システム等、防災・災害対応製品の提供拡大
・水環境プラント・機器の遠隔監視・診断・制御を支援するKSISの利用用途の拡大
<事業共通の分析結果>
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シナリオ |
TCFDシナリオ分析結果概要 (市場・事業環境の変化) |
評価結果 (2030年) |
財務インパクト(2030年)(注1) |
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1.5℃/2℃ |
リスク 「規制」 |
社会が企業に求める脱炭素化対応の変化 ・炭素価格制度・炭素国境調整措置が導入される等、各国で製品ライフサイクルを通じた脱炭素要求が拡大 ・脱炭素化に向けた規制や取組みが加速し、エネルギー価格が上昇 ・化石燃料の使用、CO2排出に対する課税が強化 ・各国で省エネルギー規制強化によりエネルギーコストや省エネ対策費が増加 |
脱炭素化や省エネに対応する設備投資の増加、エネルギー価格、原材料価格上昇により製造コストが増加する |
中 |
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省エネ・CO2排出抑制対応等による排出削減目標達成時に想定される炭素税の負担が発生する |
小 (約25億円) (注2) |
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4℃ |
リスク 「物理的」 |
異常気象増加による自社・サプライヤーへの影響 ・豪雨や洪水等の気象災害が激甚化・高頻度化 ・自社拠点やサプライヤーでの事業活動に悪影響 ・原材料調達遅延により、生産・販売活動に影響 |
気象災害による災害損失が発生する可能性がある |
中 (約30-60億円) (注3) |
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気象災害による悪影響を回避するBCP対策費が増加する可能性がある |
中 |
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(注) 1 損益への影響を 「小」≦25億円、25億円<「中」≦250億円、250億円<「大」 で示す。
2 2030年時点の予想される炭素税を乗じて試算
3 過去発生した気象災害にともなう損失を参考に試算
上記分析結果に基づく対応戦略
事業活動から発生するCO2排出等の環境負荷を低減
・拠点における省エネ、高効率設備導入、電炉化・燃料転換、LED照明の導入、再エネの利用拡大に向けた取組みの推進
自拠点・サプライヤーにおける気候変動リスク対策を強化
・ハザードマップを活用した豪雨・浸水・暴風によるリスクが高い拠点の特定と建設物の補強や電気設備への浸水対策の計画的な推進
・調達ルートの多様化を図る等、部材調達の分散化
・事業継続計画(BCP)に基づく気象災害に強いモノづくり体制の構築
TNFD
自然資本については、TNFDが提唱するLEAPアプローチやリスク分析ツール「ENCORE」を用いて、自然資本との関わりが深い事業について評価しました。
LEAPアプローチの「Locate」において、機械事業では稲作用の農業機械が使われるアジア地域及び畑作・果樹栽培用機械が使われるアジア、欧州、米州を特定しました。また、水環境事業では水ストレス地域としてアジアを、天然資源依存地域として日本を特定しました。
「Evaluate」では客先における農業の実施により、土地や水資源などに影響を及ぼし、同時に農業もこれらに依存していることがわかりました。また、水関連事業では水資源や水質に依存しているものの、環境事業では自然資本への依存は高くないことがわかりました。
「Assess」では影響度や依存度が高い項目についてシナリオ分析を実施し、「Prepare」ではリスクの低減や機会の拡大につながる対応戦略を立案しました。
<シナリオ分析結果(抜粋)>
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事業 |
要因もしくは 生態系サービス |
TNFDシナリオ分析結果概要 |
想定される事業リスク、機会 |
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機械 |
影響 |
水使用 |
・人口増加にともない水需要が増加する一方で、かんがい用水に利用可能な水確保が課題となる ・農業技術の進歩が水効率向上に寄与する ・生態系の健全性を維持するため、農業や産業による水源への影響を最小限に抑える規制などが強化される |
リスク: ・農業用に利用可能な水の減少、風水災、水質・土壌汚染などにより農作物の収量が減少。これにより農機販売に影響を及ぼす可能性がある 機会: ・農作物の収量拡大に資する農業機械やソリューションの需要が拡大する ・低・脱炭素に貢献する農業機械、建設機械、ソリューションの売上が拡大する |
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依存 |
水の循環、地表水、 地下水 |
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影響 |
生態系(淡水、陸上) 水質・土壌汚染 |
・人口増加にともなう食料需要を満たすため、農作物の収量拡大が求められる ・農地確保のため、森林や貯水池の土地転用が発生すれば、土地保水力の低下や農地への風水害の増加を招き、森林伐採は生態系の損失や気候変動の加速につながる ・収量拡大のための過剰な肥料や農薬の利用は、花粉の移動の減少や水・土の劣化につながる |
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依存 |
暴風緩衝、地盤安定化 受粉 |
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水環境 |
影響 |
- |
・都市部の拡大や人口増加により、水資源や都市緑地の需要が増加する。水源や水域の保全、自然保全を考慮した水管理が強化される ・気候変動の影響による水資源の逼迫や水質悪化などへの措置として、生活・産業用水の取水・排水規制が課せられる ・水不足・水質悪化を解消するためのソリューションの需要が拡大する |
機会: ・水の効率的な管理や再生利用を可能とするソリューションの需要が拡大する ・資源の有効利用や循環利用を促進するソリューションの需要が拡大する |
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依存 |
水の循環、地表水、地下水 |
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影響 |
廃棄物 |
・ごみや農業残さの利活用、資源の有効利用につながるソリューションの需要が高まる |
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依存 |
- |
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主な対応戦略
・農業の水利用効率向上や森林伐採の抑制、生息域保護につながる農業ソリューションの提供を拡大する。
・スプレイヤー、ドローン等農作物の収量拡大や施肥量最適化に貢献する製品の提供を通じて、温室効果ガスの排出抑制や生態系や生息域への悪影響を抑制する。
・上下水道の配管材の提供及び水処理プラントのエンジニアリング等により、水インフラの整備や水リサイクルに貢献する。
・廃棄物から金属やプラスチック等の資源を回収するための破砕・選別設備、下水汚泥から化学肥料を取り出す溶融炉等のリサイクルプラントの提供を通じて、サーキュラー・エコノミーを実現する。
<低炭素経済への移行計画>
当社は、2030年以降のカーボンニュートラルの時代の動力源は多くの選択肢があり、全方位で対策をしなければならないと考えております。以下は当社の気候変動対応を示した移行計画です。
③ リスク管理
当社はバリューチェーン全体(直接操業、上流・下流含む)における気候変動の緩和と適応を含む環境保全活動に関わるマテリアリティの特定を行っております。発現するリスク・機会の対象期間は短期・中期・長期的な視点で行い、特定したリスク・機会は毎年見直しを行っております。また、情報収集・分析、課題抽出、重要度の検討、リスク・機会の特定と重点施策の策定を通じ環境保全活動に関わるマテリアリティを特定しております。
評価プロセスとして、環境保全中長期目標を設定し、その進捗管理を行っております。中期(3-5年の期間)・長期(5-15年の期間)の目標はKESG経営戦略会議等で審議しております。各生産拠点は計画を作成し、環境管理部は毎年進捗状況の管理を行っております。実績と目標との差異を分析した上で、重点施策や中長期的な取組みの方向性を検討しております。また、環境管理担当責任者会議を通じ各地域の状況に応じた気候変動への対応を推進しております。
④ 指標と目標
当社では、気候変動や自然資本に関連するリスクの低減と機会の拡大をめざした環境保全中長期目標を設定し、目標達成に向けた取組みを推進しております。また、グローバル拠点(スコープ1、2)及び上流・下流(スコープ3)のCO2排出量を算定し、実績値を開示しております。主な開示データは第三者機関による保証を取得し、その精度向上に努めております。
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取組項目 |
指標 |
基準年度 |
2025年度実績 (注3、4) |
2025年度目標 (注4) |
2030年度目標 (注4) |
2040年度目標 (注4) |
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CO2排出削減 (スコープ1、2) |
CO2排出量(注1) |
2014 |
▲34.4% |
- |
▲50% |
▲75% |
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CO2排出原単位(注2) |
2014 |
▲49.6% |
▲45% |
▲60% |
- |
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再生可能エネルギー利用率(注1) |
- |
22.9% |
20%以上 |
60%以上 |
- |
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水資源節約 |
水使用原単位(注2) |
2014 |
▲40.4% |
▲35% |
▲45% |
- |
(注) 1 グローバル拠点を対象としております。
2 グローバル生産拠点を対象として、原単位は生産高当たりの環境負荷量としております。
3 実績は2026年3月3日時点の速報値です。
4 ▲は「マイナス」を表します。
CO2排出量(スコープ1、2)の推移
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(注) 2025年度速報値は2026年3月3日時点のものです。
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」)の状況に重要な影響を及ぼす可能性のある主要なリスクには次のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当年度末現在において当社が判断したものです。
(1) 経済状況
当社製品には生産財・資本財が多いため、民間設備投資、建設投資、国内公共投資等の低迷により、当社製品の需要が減退し、売上が減少する可能性があります。また、農業政策が農業関連製品の売上に影響を与える可能性があります。海外、特に欧米においては、小型トラクタ等の売上が個人消費や住宅建設投資等の一般景気の低迷により減少する可能性があります。これらの結果、当社の経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(2) 原材料の価格高騰・調達難
当社は外部の供給業者から多くの原材料、部品を調達しております。また、事業のグローバル化に伴って海外生産拠点での調達も増加しており、世界規模での調達網の構築による最適地調達を推進しております。しかし、原材料、部品の価格が需給の逼迫や市況の変動等によって急激に高騰し、それが長期化した場合は利益を減少させる可能性があります。また、原材料、部品の調達に支障をきたした場合、製品の製造や販売が困難となり、売上が減少する可能性があります。これらの結果、当社の経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(3) 国際的事業展開に伴うリスク
当社が大規模な海外展開を行っている事業は、海外事業に付随したリスクを抱えております。これらのリスクが顕在化した場合、安定的な製品の製造及び販売が困難になり、売上の減少や調達・輸送コストの増加等により当社の経営成績等に重要な影響を及ぼし、成長を阻害する可能性があります。重要なリスクとしては次のようなものがあります。
① 重要な市場における政府による許認可政策や補助金政策の変化に伴うリスク
② 国際貿易政策による予期せぬ関税や輸出入割当量の変化に伴うリスク
③ 各国法規制の予期せぬ変化に伴うリスク
④ 地政学リスク
⑤ 開発途上国における不安定な労使関係
⑥ 人的資源確保の困難性
⑦ サプライチェーンやロジスティクスの混乱に伴うリスク
⑧ 各国税制の予期せぬ変化に伴うリスク
⑨ 移転価格や事前確認申請の交渉における予期せぬ結果に伴うリスク
(4) 為替レートの変動
当社は海外に経営成績等に大きく貢献する複数の製造・販売・金融子会社を有しております。各海外子会社の現地通貨建ての財務諸表は、円換算後に連結財務諸表に反映されております。また、親会社が海外の子会社や外部顧客に輸出する場合、その取引の多くは現地通貨建てで行われ、獲得した外貨は円貨へと換算されます。従って、現地通貨と円貨との為替レートの変動が経営成績等に影響を与えます。通常は他の通貨に対して円高になれば当社の経営成績等にマイナスの影響を及ぼします。為替レートの変動によるマイナスの影響を軽減するため、最適地生産の考え方に基づき生産拠点の現地への移行を進めております。また、先物為替契約等のデリバティブを利用しております。しかし、これらの活動にもかかわらず、著しい為替レートの変動は当社の経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(5) 金利変動リスク
当社は有利子負債を有しており、これらは固定金利または変動金利が課されております。金利が上昇した場合、支払利息が増加するほか、金融事業に関連して特に米国において、インセンティブコストが上昇します。金利の上昇による影響を軽減するため、金利スワップ契約等のデリバティブにより金利の変動に対応しております。しかし、こうしたリスクヘッジにもかかわらず、著しい金利水準の変動は当社の経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(6) 株式相場の変動リスク
当社は有価証券を保有しており、その大半が株式であるため株式相場の動向次第で公正価値が大きく変動する可能性があります。また、株式相場の下落により退職給付制度に関する制度資産が減少する可能性があります。なお、制度資産については許容できるリスクのもとで可能な限りの運用成果を上げることを運用方針としており、リスクを分散するため、金利変動リスク、経済成長率、通貨の種類等の投資収益に影響する要因を考慮の上、投資先の産業、会社の種類、地域等を慎重に検討してポートフォリオのバランスをとっております。しかし、有価証券の公正価値変動、制度資産の減少が当社の経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(7) 第三者との戦略的提携、合併・買収等の成否
当社は今後も第三者との提携、合併・買収等に取組み、新たな成長を模索する可能性がありますが、このような活動の成否は事業を取巻く環境、取引相手の能力、あるいは当社と相手が共通の目標を共有しているか否か等に影響されると考えられます。このような活動が成功しない場合や投資に対するリターンが予想を下回る場合は、収益性の悪化により当社の経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(8) 他社との競争
当社は各事業において競合他社との厳しい競争にさらされているため、取引条件、研究開発、品質等で競争優位性を維持できない場合には、売上の減少等により経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(9) 製品やサービス
当社は品質教育の実施、品質問題の未然防止への取組み及び品質に関する社内監査等を実施し、品質の維持・向上に努めております。しかし、当社が提供する製品やサービスに重大な契約不適合や欠陥があった場合、賠償責任を負うことで多額の費用が発生する可能性があります。また、そのような事態が発生した場合には、当社に対する社会的評価及びブランド価値の低下を招き、当社製品に対する需要が減退し、売上が減少する可能性があります。これらの結果、当社の経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(10) 環境汚染、公害等
当社は環境法令を確実に遵守して環境事故を未然に防止するため、環境マネジメントシステムを構築し、ルールに基づいた業務運営と環境保全活動の継続的な改善に努めております。しかし、これらの努力にもかかわらず、当社が有害物質の排出・漏洩、大気汚染、水質汚濁、土壌汚染等を引き起こした場合、その是正措置をとるために多額の費用や支出が発生したり、訴訟に発展したりする可能性があります。この結果、当社の経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(11) アスベスト関連
当社は過去、1954年から2001年にわたりアスベストを含む製品の製造に携わっておりました。アスベスト健康被害に関連して、健康被害にあった方々への支払や訴訟に関する費用が発生し、それらの費用が多額になるような場合には、当社の経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(12) コンプライアンスリスク
当社は法令遵守と倫理に基づいた企業活動を行う旨を宣言し、当社の取締役、執行役員及び従業員が事業遂行にあたって、各種法令や倫理基準並びに社内行動規範等から逸脱した行為を行うことがないよう、グループ全体への徹底を図っております。しかし、万一、それらの行為が発生し、当社がコンプライアンス上の問題に直面した場合には、監督官庁等からの処分、訴訟の提起や社会的信用の失墜等を招き、売上の減少や費用の増加等により当社の経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(13) ITシステム及びネットワーク
当社はデータ及びITシステムの機密性、可用性及び完全性といった情報セキュリティを毀損するような一定のリスクを抱えております。これらのリスクを低減すべく、適切な情報管理を目的としたセキュリティシステム、方針・方策、過程、手法、専門チームや技術を構築しております。しかし、これらの努力にもかかわらず、当社のITシステム及びネットワーク上の問題が発生した場合、業務運営の中断によって事業機会を喪失するほか、社内情報流出に伴う損害賠償責任を負ったり、知的財産権を侵害されたりする可能性があり、多額の費用や支出が発生する可能性があります。また、そのような事態が発生した場合、当社に対する社会的評価及びブランド価値の低下を招き、当社製品に対する需要が減退し、売上が減少する可能性があります。これらの結果、当社の経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(14) 環境規制への対応
当社は製造販売する製品や事業活動に関する様々な環境規制に対応する必要があります。今後さらなる規制の強化、例えば温室効果ガス排出規制や排ガス規制、主要材料の使用制限等が行われた場合、その対応のために相当のコスト負担をする可能性があり、それが当社の経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(15) 自然災害等予測困難な事象による被害
当社は日本、北米、欧州及びアジア等で事業活動を営んでおります。それらの国・地域において予測困難な事象が発生した場合、原材料の調達を含む製品の製造や物流、販売活動に被害を受けることにより、当社の経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。予測困難な事象には、地震や津波、洪水、台風、干ばつといった自然災害や感染症の流行、戦争やテロ、火災等の事故及び情報システムや通信ネットワークの停止、電力供給の停止または不足等が含まれます。昨今、地球温暖化や気候変動により、世界中で災害リスクが高まっております。また、日本は世界でも有数の地震多発国であり、強度の地震もしくは津波の被害を受ける可能性があります。
(16)人権に関するリスク
近時、人権をめぐる社会的関心が高まると共に、欧州を中心として人権保護に係る法制化が進んでいることから、当社及び当社の調達先、業務委託先等の取引先等を含むバリューチェーンにおいて人権侵害となる行為が発生した場合には、当社が社会的指弾を受けたり、当社製品が不買運動の対象となったり、あるいは法令に基づく罰則を課されること等により、当社の経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
文中の将来に関する事項は、当年度末現在において当社が判断したものです。
(1) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
当年度における、経営者の視点による当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」)の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、当社は、2025年1月1日付の機構改革に基づき事業セグメントの構成を当期より変更しており、従来「調整」に含めていた一部の費用を各事業セグメントに含めております。この変更に伴い、前年度比は組み替え後の数値に基づいて算定しております。
① 経営成績
当年度の売上高は前年度比26億円(0.1%)増加して3兆189億円となりました。
国内売上高は機械部門、水・環境部門の増収により、前年度比527億円(8.3%)増の6,852億円となりました。
海外売上高は機械部門の減収により、前年度比501億円(2.1%)減の2兆3,337億円となりました。当年度の海外売上高比率は、前年度比1.7ポイント低下して77.3%となりました。
営業利益は、主に米国関税の影響に伴うコスト増加、機械部門での減販損や販売構成の悪化により、前年度比502億円(15.9%)減の2,655億円となりましたが、インセンティブの削減や価格改定、固定費の削減などにより順調にコストの吸収が進んでいます。税引前利益は前年度比532億円(15.9%)減少して2,821億円となりました。法人所得税は681億円の負担、持分法による投資損益は27億円の利益となり、当期利益は前年度比429億円(16.5%)減の2,168億円となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は前年度を438億円(19.0%)下回る1,867億円となりました。
事業別セグメントの外部顧客への売上高及びセグメント利益の状況は次のとおりです。
(機械)
当事業セグメントでは主として農業機械及び農業関連商品、エンジン、建設機械の製造・販売等を行っております。
当事業セグメントの売上高は前年度比0.3%減少して2兆6,286億円となり、売上高全体の87.1%を占めました。
国内売上高は前年度比13.8%増の3,548億円となりました。主に農業機械及び農業関連商品の増加により増収となりました。
海外売上高は前年度比2.2%減の2兆2,738億円となりました。北米では、トラクタ市場は全体としては落ち込んだものの馬力帯により差がみられます。販売は在庫削減の実施もあり減少しました。建設機械は住宅市場、公共工事の安定により市場は堅調に推移しましたが、販売は前期の在庫充足需要に対し、当期は需要並みの水準となったため減少しました。欧州では、トラクタは市場の低迷により販売が減少しましたが、建設機械は市場の回復により販売が増加しました。アジアは、タイでは作物価格の低迷及び洪水の影響により、稲作市場、畑作市場共に縮小し、販売が減少しました。インドは、新製品の導入に加え、税制優遇(GST引き下げ)により農業市場は好調に推移し、販売が増加しました。
当事業のセグメント利益は、米国関税の影響に伴うコスト増加や減販損及び販売構成の悪化により、前年度比21.6%減少して2,536億円となりましたが、インセンティブの削減や価格改定、固定費の削減などにより順調にコストの吸収が進んでいます。
(水・環境)
当事業セグメントでは主としてパイプシステム(ダクタイル鉄管、合成管等)、産業機材(反応管、スパイラル鋼管、空調機器等)、環境(各種環境プラント、ポンプ等)に係る製品の製造・販売等を行っております。
当事業セグメントの売上高は前年度比3.2%増加して3,744億円となり、売上高全体の12.4%を占めました。
国内売上高は前年度比3.5%増の3,144億円となりました。各事業で売上が増加し、増収となりました。
海外売上高は前年度比1.9%増の599億円となりました。環境事業で売上が増加し、増収となりました。
当事業セグメントのセグメント利益は価格改定効果や増販益などにより、前年度比35.9%増加して330億円となりました。
(その他)
当事業セグメントでは主として各種サービスの提供等を行っております。
当事業セグメントの売上高は前年度比5.1%減少して159億円となり、売上高全体の0.5%を占めました。
当事業セグメントのセグメント利益は前年度比14.7%減少して8億円となりました。
② 財政状態
当年度末の資産合計は前年度末比1,862億円増加して6兆2,049億円となりました。
資産の部は、生産体制強化や災害対策のための投資などにより主に有形固定資産で増加しました。
負債の部は、主に営業債務などにより増加しました。資本は、利益の積み上がりや為替の変動などに伴うその他の資本の構成要素の改善により増加しました。
親会社所有者帰属持分比率は前年度末比1.1ポイント増加して42.3%となりました。
③ キャッシュ・フロー
当年度の営業活動によるキャッシュ・フローは3,279億円の収入となりました。当期利益は減少しましたが、主にインセンティブ削減による金融債権の増加抑制や運転資本の減少により、前年度比458億円の収入増となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは1,637億円の支出となりました。有形固定資産の取得の減少などにより、前年度比では452億円の支出減となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは1,845億円の支出となりました。主に長期借入金の返済の増加や資金調達の減少により、前年度比1,582億円の支出増となりました。
これらのキャッシュ・フローに為替変動の影響を加えた結果、当年度末の現金及び現金同等物残高は期首残高から182億円減少して2,770億円となりました。
(2) 資金の源泉及び流動性
当社の財務の基本方針は、操業に必要となる資金源を十分に確保すること及びバランスシートの健全性を強化することです。
当社は運転資金の効率的な管理を通じて、事業活動における資本効率の最適化を図るとともに、グループ内の資金を親会社や海外の金融子会社に集中させることにより、グループ内の資金管理の効率改善に努めております。
当社は営業活動によるキャッシュ・フロー並びに現金及び現金同等物を内部的な資金の源泉と考えており、資金需要に応じて金融機関からの借入、社債の発行、債権の証券化による資金調達、コマーシャル・ペーパーの発行等を行っております。運転資金及び設備投資のための資金については、主として内部資金により充当することとしており、必要に応じて金融機関からの借入金等を充当しております。当年度の社債及び借入金の使途は、主として販売金融、設備投資及び運転資金への充当となっております。なお、資金調達に係る債務の残高については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 ※16 社債及び借入金」をご参照ください。
現在のところ、当社は健全な財務基盤及び安定したキャッシュ・フロー創出力により、事業運営や投資活動のための資金調達に困難が生じることはないと考えております。
(3) 生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
当年度における事業別セグメントの生産実績は次のとおりです。
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事業別セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前年度比(%) |
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機械 |
2,459,774 |
△3.0 |
|
水・環境 |
375,900 |
1.2 |
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その他 |
15,823 |
△5.6 |
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合計 |
2,851,497 |
△2.5 |
(注) 1 セグメント間取引については相殺消去しております。
2 金額は販売額をもって計上しております。
② 受注実績
当年度における事業別セグメントの受注実績は次のとおりです。
なお、機械では一部を除き受注生産を行っておらず、水・環境及びその他においても一部受注生産を行っていない事業があります。
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事業別セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前年度比(%) |
受注残高(百万円) |
前年度末比(%) |
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機械 |
7,206 |
29.4 |
3,835 |
22.0 |
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水・環境 |
319,301 |
23.9 |
329,918 |
10.4 |
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その他 |
28 |
△91.6 |
28 |
△92.3 |
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合計 |
326,535 |
23.8 |
333,781 |
10.4 |
(注) セグメント間取引については相殺消去しております。
③ 販売実績
当年度における事業別セグメントの販売実績は次のとおりです。
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事業別セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前年度比(%) |
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機械 |
2,628,618 |
△0.3 |
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水・環境 |
374,352 |
3.2 |
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その他 |
15,921 |
△5.1 |
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合計 |
3,018,891 |
0.1 |
(注) 1 セグメント間取引については相殺消去しております。
2 販売額が総販売額の10%以上に及ぶ販売先は前年度、当年度ともにありません。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社はIFRS会計基準に準拠して連結財務諸表を作成しており、会計方針の適用並びに資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を使用しております。実際の業績はこれらの見積り及び仮定とは異なる場合があります。見積り及び仮定は継続して見直され、当該見直しによる影響は会計上の見積りの変更として、見積りを変更した報告期間及び将来の報告期間において認識されます。
重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 ※2 作成の基礎 (3) 重要な会計上の判断、見積り及び仮定」及び「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 ※3 重要性がある会計方針」に記載しております。
該当事項はありません。
当社は創業時から、イノベーションによって様々な社会課題を解決し、世の中に新しい価値を提供してきました。世界が大きな変革期を迎えている中、クボタがより一層社会に貢献するためには、従来以上に未来を見据えたソリューションが不可欠であると考えています。現在だけでなく、近い将来に起こり得る社会課題を予見し、絶え間ない技術の研鑽と試行錯誤によって得た知見に最先端技術を融合し、かつてない感動と新しい価値を生み出すべく、従業員が一丸となって、事業に直結した製品・技術の開発と、会社の持続的な発展を支える中長期的研究開発の両立に努めております。
当年度に発生した研究開発支出は
(1) 機械
農業機械及び農業関連商品、エンジン、建設機械に係る製品開発とそれに関連する先行基礎研究開発を行っております。主な成果は次のとおりです。
① 営農支援システム「KSAS」 新機能の開発
生成AIを活用した「KSAS AIチャット機能」及び、「衛星リモートセンシング機能」を開発し、追加しました。さらに、農業生産者の環境負荷低減の取組みを見える化するための「みえるらべる」の取得を支援する新機能を開発しました。主な特長は以下のとおりです。
「KSAS AIチャット機能」
[特長1] KSASの使用方法や新規就農に役立つ情報だけでなく、営農に関する簡単な質問に回答できるよう機能を強化しました。
[特長2] 過去の質問履歴を確認し、過去の対話の続きから再開できる「対話履歴機能」を追加しました。
[特長3] 回答に関連するマニュアルの該当ページをPDFで表示する機能も追加しました。
「衛星リモートセンシング機能」
[特長4] 人工衛星で撮影した画像をもとに農作物の生育状態をマップ上に表示することができます。
[特長5] 人工衛星を用いて広範囲に、より多くのほ場の生育状態を確認することができます。
「みえるらべる」
[特長6] 従来、農業生産者が別途行わなければならなかった農作物の生産過程における温室効果ガス排出量と削減への貢献率の算定及び農林水産省への報告を、KSASに記録された栽培データを用いることによってKSAS上で一括して行うことができます。
② GS機能搭載製品のラインアップを拡充
トラクタ、コンバイン、田植機、乗用全自動野菜移植機において、GNSS(衛星測位システム)から得られる位置情報を利用して自動でまっすぐに走行・作業ができる「GS(Go Straight、直進自動操舵)機能」を搭載する農業機械のラインアップを拡充しました。主な特長は以下の通りです。
[特長1] 設定した始点Aと終点Bを結んだ「基準線」に対して平行になるように自動で方向修正をします。トラクタ「レクシアMR800H~1050H GS仕様」と乗用全自動野菜移植機はRTK-GNSSアンテナを標準装備(トラクタ「スラッガーGS仕様」、コンバイン、田植機ではオプション装備)しているので、基準線に対して誤差±3cm程度の精度の高い直進作業が可能です。
[特長2] トラクタ、田植機、コンバインでは、始点A・終点Bで基準線を設定する以外に、方位角(数値)を入力して基準線を作成するモードや、一定距離を走行するとその進行方向の延長線上に自動で基準線を作成するモードもあります。
[特長3] KSAS(クボタスマートアグリシステム)と連携した「GSリンク」を搭載した機種は、KSASで登録した基準方位や作業機の設定等を機体に呼び出すことができます。基準線の登録や設定作業を省略することができ、作業効率の向上を図ることができます。また、KSASに登録された基準方位は、「GSリンク」機能搭載の異なる機種間で共有することができ、トラクタ、田植機、コンバインで同じ基準線を活用する等、相乗効果が期待できます。
③ 農作業、土木・建築作業の完全無人化とグリーン化に向けた研究開発
農業だけでなく土木・建設作業も人手不足は喫緊の課題であり、省人化・無人化に向けて、自動運転技術、遠隔操縦技術、複数機械の群制御技術等に取組んでいます。2025年は、大阪・関西万博において、2種類の汎用プラットフォームロボットのコンセプトモデルを出展しました。なお、これらの機械が環境負荷を高めないように、グリーン化に向けた研究開発も進めています。同万博に無人運転水素燃料電池トラクタ(コンセプトモデル)を出展し、多くの来場者の方々にご見学いただいたことから、当該技術への高い関心を再認識しました。各地域の未来に、より一層貢献できる製品やサービスの実現をめざし、引続き研究開発に取組みます。
当セグメントに係る研究開発支出は
(2) 水・環境
パイプシステム(ダクタイル鉄管、合成管等)、産業機材(反応管、スパイラル鋼管、空調機器等)、環境(各種環境プラント、ポンプ等)に係る製品開発とそれに関連する先行基礎研究開発を行っております。主な成果は次のとおりです。
① 呼び径 500~1000 GX 形ダクタイル鉄管の開発
多くのお客様よりご好評をいただいているGX形ダクタイル鉄管に、これまでの呼び径75~450に加え、呼び径500~1000の新シリーズを開発し、ラインアップに追加いたしました。主な特長は以下の通りです。
[特長1] メタルタッチ構造を採用することで、簡単かつ確実な施工管理を実現しました。トルク管理が不要で、従来のNS形と比較してボルトの本数を半減したことで 接合時間が約1/2に短縮され、現場の施工効率向上に寄与します。
[特長2] 管下ボルトレス押輪の採用により、管下でのボルト締め付け作業及びその施工管理が不要となりました。これにより、施工性が飛躍的に向上し、より安全でスムーズな現場作業が可能となります。
[特長3] 直管製品はすべて当社阪神工場の電気炉にて生産しています。CO2排出量を抑えた製造プロセスを採用することで、環境負荷の低減に貢献します。
② 四足歩行ロボットを活用した自動点検技術の開発
施設運営を受託するごみ焼却施設での実証試験を経て、「四足歩行ロボットによる自動巡視点検技術」を開発しました。主な特長は以下の通りです。
[特長1] 四足歩行ロボットが、設定ルートを自動巡回して点検対象のメーターなどを撮影し、画像読み取りAIで数値化した点検データを各種システムに転送します。
[特長2] ダイオキシン管理区域における点検箇所の64%を自動巡視点検でカバーし、巡視点検業務の作業時間を約3時間短縮しました。作業員は異常の兆候確認や迅速対応などより重要度の高い業務に時間を振り向けることが可能となります。
[特長3] 施設内全点検箇所の約45%を占める焼却炉周辺のダイオキシン管理区域について、防護マスクなどの保護具着用を伴う作業者の立ち入り機会を低減し、安全性向上につなげました。
[特長4] 数値化した点検データをクラウド上で一元管理し、運転状況や設備情報を見える化することで、傾向把握による施設運転の安定化が可能となります。
当セグメントに係る研究開発支出は