当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題は以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針、経営環境
当社は、1979年3月に設立以来、ITシステムの根幹となる技術に焦点を絞りビジネスを行って参りました。その分野は、半導体LSI(大規模集積回路)の設計と設計CADに始まり、企業内ネットワーク(LAN)の機器開発とネットワーク構築、そして近年は、ITセキュリティと映像の圧縮/送信などと、変化してきました。
当社は、受託開発の会社ではありません。輸入再販の会社でもありません。独自の標準製品を開発し、オリジナル製品の販売あるいはサービスの形でユーザーに提供しております。技術的には、ソフトとハードの両面をカバーしています。
当社が属するIT業界は、技術革新が著しく、かつてないスピードで変化し、他のあらゆる産業にも影響を与えつつあります。クラウドコンピューティングや人工知能(AI)の活用等で、あらゆる企業や社会の活動において大変革が迫ってきておりますが、この大変革においてもITセキュリティがKEYになると考えております。当社製品は、全てITシステムの根幹/インフラに属する製品です。したがって市場は世界規模で、当然、競合もグローバルとなります。世界に通ずる技術と実現のスピードが企業成長の決め手になると考えております。
(2)目標とする経営指標
前述の経営方針、経営環境の下、当社グループは、ITセキュリティをKEYに新たな技術や市場への積極的な展開により事業の拡大を図り、企業価値を持続的に向上させることを目指しており、1株当たり当期純利益をひとつの指標として経営を推進しております。
(3)対処すべき課題等
①海外展開を視野に、ユニークな製品、サービスを開発して時代の変化に対処すること。
②広報/IRを強化して、企業活動や製品/サービスをわかりやすく発信すること。
③基幹システムと情報系のシステムを連携させデータの利活用を図ること。また、業務プロセスの見直しと整理を進めるとともに、AIを積極的に活用することで、従来を一段上回る業務効率化と生産性向上を実現すること。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりです。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものです。
(1)ガバナンス
当社では、サステナビリティを含む各事業リスクと課題について、リスク管理部門が定期的に取組状況や目標の達成状況のモニタリングを行い、その結果と必要な対応を経営会議へ報告し、議論をしております。そのうち重要な事項は、リスク事案発生の都度、取締役会へ報告しております。
(2)戦略
リスク管理活動を通して識別された、当社における現在の重要なサステナビリティ項目は以下のとおりであり ます。
・情報セキュリティ
・低炭素型のリモートワーク用インフラを提供するメーカーとして
・気候変動対策
・社員の健康と働き甲斐
・人材の多様性の確保と人材育成
それぞれの項目に係る当社のサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次項のとおりであります。
(3)リスク管理
① 情報セキュリティ
当社は、CISO(Chief Information Security Officer)を最高責任者とする情報セキュリティマネジメント体制を整備し、情報セキュリティの管理を徹底しています。また「情報セキュリティ委員会」を設置し、中期セキュリティ強化ロードマップの審議、インシデント対応体制の整備、脆弱性の対応方針の整備等に取り組んでいます。
本件に関する事項は、「
② 低炭素型のリモートワーク用インフラを提供するメーカーとして
Soliton SecureWorkspace、Soliton OneGate、SmartOn ID、分離環境アクセスソリューションなどの製品・サービスの提供を通じ、顧客の情報基盤における端末の集約・データレス化・リモート化を推進しています。これにより、物理端末の保有台数や運用負荷、電力消費の削減を実現し、安全かつ環境負荷低減に役立つ業務環境づくりを支援しています。
一方で、クラウドサービスやネットワーク基盤への依存度が高まれば、自然災害、停電、通信障害等が発生した場合、サービス提供が止まり、ユーザー様の事業継続に影響が生じる可能性があります。当社ではこうしたリスクを低減するため、提供サーバーの分散配置、電源対策の強化、復旧体制の整備などの対策を講じております。
③ 気候変動対策
当社グループが関わるIT産業は、事業を通して気候変動の緩和策や適応策の提供が可能です。従って当社事業の持続的な拡大はIT技術の更なる活用を促し、ひいては気候変動問題解決の一助になると考えています。
一方で、当社自身でも省電力等で温室効果ガス排出量の削減に努めておりますが、当社グループの主たる事業はソフトウェアの開発であり、自社工場及び店舗を持っていないことから、その効果は限定的であります。夏場のオフィスのエアコン使用が電力消費量に一番大きく影響しますが、節電に努めております。
④ 社員の健康と働き甲斐
当社は、社員の健康維持と働きやすい環境の整備を重要な経営課題と位置づけ、さまざまな施策を推進しています。
まず、社員の健康維持に向けた取り組みとして、有給休暇の取得を積極的に促進し、前年度比での改善に努めています。また、健康診断においては、一部受診補助を実施し、定期的な健康チェックを通じた早期発見・予防に取り組んでいます。さらに、職場環境の改善として、本社ビルのレイアウト変更および改装を継続しており、部門間の円滑なコミュニケーションの促進や、多様な働き方に対応できる柔軟なオフィス環境の整備を進めています。加えて、社員一人ひとりのライフスタイルに応じた働き方を支援するため、在宅勤務、時短勤務、時差出勤、中抜け制度などのフレキシブルな勤務制度を導入し、ワークライフバランスを尊重しながら生産性の向上を図っています。
職場の安全性と健全な企業文化の醸成にも注力しており、ハラスメント防止に向けた研修を役職別に実施し、社員が安心して働ける環境づくりを推進しています。さらに、社員のモチベーション向上を目的とした施策として、リワード制度の導入や全社総会での表彰を実施し、社員一人ひとりの貢献を評価しています。加えて、エンゲージメントサーベイを実施し、スコア向上に向けた施策の検討と実施を行い、持続的な組織の成長を目指しています。今後も、社員が安心して働き、最大限のパフォーマンスを発揮できる環境の構築を推進し、持続可能な企業活動に貢献してまいります。
当社は、仕事と育児の両立を支援する制度も備えております。法令で規定される「柔軟な働き方を実現するための措置」(2025年10月施行)における選択肢の一つである「養育両立支援休暇(年10日以上)」について、対象範囲を拡大し、0~3歳の乳幼児を養育する社員にも適用する制度を導入しております。これにより、乳幼児期の突発的な通院・送迎・保育行事等を含む多様な育児ニーズに柔軟に対応し、就業継続を支援してまいります。
さらに当社では、不妊治療に伴う継続的な通院・治療、または障がいや慢性的疾患により定期的な通院が必要となる社員に対する特別休暇として、年間5日を上限とする有給の特別休暇である「両立支援休暇」を付与し、治療と就業を両立できる環境整備を進めています。
また、社員の心身の健康維持と働きやすい職場環境の整備を目的として、法定基準を上回る年次有給休暇制度を導入しております。勤続年数に応じた付与制度を採用し、採用後1年未満の社員についても、採用月に応じて最大15日の年次有給休暇を付与する仕組みとし、入社初期段階から柔軟な働き方を可能としています。これらの施策により、社員が健康管理や家庭との両立に必要な時間を確保しやすい環境を提供し、早期からの就業定着と生産性向上を支援してまいります。
⑤人材の多様性の確保と人材育成
当社は、新卒・中途を問わず、年齢や性別に関わらず多様な人材を採用し、OJTや目的別専門研修を通じて社員の成長を支援しています。それぞれの個性を尊重しながら、社員一人ひとりの潜在能力を最大限に引き出すことで、イノベーションの創出と企業価値の向上を目指しています。
また、幅広いビジネススキルを習得できる研修プログラムを提供し、社員のキャリア成長を後押ししています。さらに、ITセキュリティ分野においては資格取得支援制度を導入し、専門的な知識やスキルの向上を促進することで、社員の能力開発を支援しています。
当社では、学生に向けた実践的なインターンシップの機会を設け、現場での就業体験を通じて専門的な知識や技術に触れる場を提供しています。この取り組みは、学生の成長支援だけでなく、優秀な人材の確保にもつながっています。
また、社員が主体的にキャリアを築ける環境づくりの一環として、社内公募制度を導入しています。これにより、異なる部署や新たな役割への挑戦を促し、個々の成長と組織全体の活力向上を実現しています。加えて、派遣社員の直接雇用化を推進し、安定した雇用環境の提供とキャリア支援に取り組んでいます。社員が長期的に成長し、組織の発展を支えるパートナーとして活躍できる環境を整備しています。
男性社員の育児休業取得を促進するため、取得可能性のある社員への丁寧な説明を実施し、制度の理解を深めています。これにより、育児と仕事の両立を支援し、男性社員の育児休業取得率の向上につなげています。
(4)指標及び目標
当社では、前項⑤において記載した人材の多様性の確保と人材の育成に関する方針及び社内環境整備について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。
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指標 |
目標 |
実績(当事業年度) |
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有価証券報告書(以下、本書という)に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)情報セキュリティ対策について
当社グループは、開発プロジェクトの推進にあたり、ユーザーの多種多様な重要情報を取扱う機会があります。当社グループは、これらユーザーとの間において守秘義務契約を締結し、重要情報の取り扱いに際しては当社グループのコンプライアンス関連規程・マニュアル等に則り厳格に運用し、当社グループ内部からの情報漏洩を未然に防ぐ措置を講じております。しかしながら、万一、当社グループによる情報の紛失、破壊、漏洩等の発生、又は外部からの不正手段による当社グループシステムへの侵入等が生じた場合には、当社グループへの損害賠償請求又は信用低下等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)自社製品の開発リスクについて
当社グループは、市場のニーズを先取りした新製品や新技術の開発を行っております。近年は認証とアクセス制御、テレワークの為のセキュリティ対策、分離環境アクセスソリューション等の製品/クラウドサービス、サイバーセキュリティ対策のサービス、公衆モバイル回線で高品質な映像をリアルタイムに配信する製品/クラウドサービス、アナログエッジAI等の開発に注力しております。
しかしながら、今後の開発プロジェクトにおいて、開発期間中の市場環境の変化、あるいは類似・競合製品の出現によって、将来必ずしも開発コストを回収できない可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)他社商品の調達リスクについて
当社グループは、国内外の他社ベンダーの商品を販売代理店として取り扱っております。これらには、当社グループの戦略上重要な商品があります。当社グループでは提携する他社ベンダーの業績や事業戦略などの情報収集を常に心がけ、事業方針の変化をいち早く察知するように努めておりますが、将来において主要な他社ベンダーが事業戦略の見直し又は吸収、合併、解散等の理由により商品の供給を停止した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)システムの不具合について
近年ユーザーニーズは多様化しておりますが、LANからWAN、クラウドコンピューティングやモバイルの活用まで、情報網がシームレス化する中にあって、当社グループは時代の流れをリードする高度なネットワークに特化したシステム構築及びネットワーク機器等の開発に取り組んでいます。しかし、大規模システムの構築には常に初期不良などが想定され、また使用するネットワーク機器等の新製品には不具合が発見されたりします。そうしたトラブル対応には、解決のために多くの時間と労力及び費用が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)プロジェクト管理について
当社グループは、ネットワークシステムの構築及びネットワーク機器の開発にあたり、全社的なプロジェクト管理体制を構築し、不採算プロジェクトの抑制に努めております。しかしながら、ユーザーニーズに基づく納期の短縮化、又は案件の高度化・複雑化によるプロジェクトの難易度の高まり等により、開発工数が想定を超える不採算プロジェクトが発生した場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)競合について
当社グループは、企業が情報システムに関して抱える様々な悩みに対し、効果的なソリューションを提供できるネットワーク・セキュリティ製品のメーカーとして、あるいはキャリアクラスの大規模で且つ先端ネットワークシステム構築を行える総合力を持ったネットワーク・インテグレーターとして、競合他社には無い強みを持っております。しかしながら、今後参入してくる機器ベンダーやネットワーク・インテグレーターとの価格競争により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(7)大口主要顧客との間での取引について
当社グループでは、他企業との取引額を増やすことによって特定販売先への依存度を下げるように努めておりますが、特定販売先の設備投資動向等によっては当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(8)人材の確保について
当社グループは、事業を拡大して行くためには専門性の高い優秀な人材を継続的に採用・育成し、確保することが重要であると考えております。しかしながら、当社グループがこのような人材を採用又は養成できず、優秀な人材の流出を防止できない場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(9)知的財産権等について
当社グループは、保有する知的財産権、並びに業務スキル・ノウハウ等の企業秘密の社内管理体制を強化しております。また、第三者の知的財産権を侵害しないよう、社内規定の整備を図り事前の調査を徹底する体制を採っております。しかしながら、技術革新に伴い、当社グループが保有する知的財産権が陳腐化するリスクがあるほか、何らかの要因により当社グループの企業秘密が不正に開示又は流用されるリスクがあります。また、当社グループが認識していない知的財産権の成立等により、当社グループの製品、サービス又は技術に対して、第三者から知的財産権の侵害訴訟等を提起されるリスクがあるほか、従業員の職務発明の補償評価に対して訴訟等を提起されるリスクがあり、これらのリスクが顕在化した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(10)為替変動リスクについて
当社グループは、いくつかの商品を海外から外貨建てで購入しているため、為替相場の変動により円換算による仕入価格に変動が生じ、利益率の低下を招く可能性があり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(11)自然災害等について
地震や台風等の自然災害、未知のコンピューターウイルス、テロ攻撃、システムトラブル又は伝染病といった事象が発生し、当社グループがそれらの影響を受けた場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは複数の開発拠点を設置し、システムの一部をクラウドで管理するなど、リスクの分散を図っておりますが、当社グループの拠点・地域において、これら自然災害等が発生した場合には多大な損害を被る可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(12)投資有価証券について
当社グループの連結会計年度末における投資有価証券残高の推移及び評価損益の実績は下記のとおりです。
イ.投資有価証券残高の推移 (百万円)
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2021年12月期末 |
2022年12月期末 |
2023年12月期末 |
2024年12月期末 |
2025年12月期末 |
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104 |
94 |
97 |
56 |
12 |
ロ.投資有価証券評価損益の推移(△は投資有価証券評価損) (百万円)
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2021年12月期 |
2022年12月期 |
2023年12月期 |
2024年12月期末 |
2025年12月期末 |
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△50 |
△13 |
△2 |
△8 |
△16 |
投資有価証券の取得方針に関しましては、当社グループの事業活動に密接に関係のある取引先を中心に出資することにより事業の関係の推進を目指すもの、またリスクを評価した上で手持資金を効率的に運用することでありますが、出資先の経営状態が悪化した場合や、市場において悪影響を与える事象が発生した場合には、将来的に減損処理をする可能性があります。
1.経営成績等の状況の概要
(1)財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済について、米国は物価高が続く中でも所得や生産性の改善、生成AI関連投資で堅調に推移しました。欧州はインフレ鈍化が進む一方、ウクライナ情勢によるエネルギー高で伸びは緩やかでした。中国は不動産と個人消費の低迷が続きました。日本は円安による物価上昇で個人消費に懸念があるものの、企業業績の改善による設備投資やインバウンド需要で緩やかに拡大しました。
IT投資環境は、競争力強化および生産性向上を目的としたDX(デジタルトランスフォーメーション)の取り組みが引き続き高水準で推移しました。DXの中でも、クラウドの導入、生成AIの活用、サイバーセキュリティ対策の強化は最重要分野として位置付けられ、幅広い業種において関連投資が拡大しました。
一方、デジタル利活用の進展に伴い、情報漏洩、マルウェア感染、サービス停止等のサイバーリスクは増大しており、個人・企業の重要情報や基幹システム、さらには社会インフラを保護するためのサイバーセキュリティ対策の重要性が一段と高まっています。こうした背景から、サイバーセキュリティは国家の安全保障および企業の信用に直結する重要領域となりつつあります。2026年2月の衆議院選挙で体制が安定し、政府はサイバー安全保障の強化に向けた施策を継続・加速する見通しとなり、企業もサイバーセキュリティを事業継続と信頼性を支える戦略的投資とする動きが広がっています。具体的には、(1)官公庁・自治体・重要インフラ向け対策の強化、(2)能動的サイバー防御等AIを活用したプロアクティブな先端技術投資の拡大、(3)サプライチェーン規制強化による民間の投資増、が見込まれています。
このような環境下、当社グループの業績について、ITセキュリティ事業の自社製品/サービスの売上が伸長し、売上高19,762百万円(前年同期比6.2%増)となり、粗利率は46.7%(前年同期:44.6%)に改善しました。その結果、営業利益は、2,844百万円(前年同期比39.2%増)、営業利益率は14.4%(前年同期:11.0%)となりました。資金運用による受取利息や円安による為替差益で営業外収益が152百万円(前年同期:152百万円)発生し、経常利益は2,977百万円(前年同期比38.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は、2,298百万円(前年同期比33.2%増)となりました。
セグメント別の経営成績は、次のとおりです。
なお、当連結会計年度より、組織変更を行い、従来「Eco新規事業開発」に含めていた映像伝送の基盤技術開発チーム(大阪のオペレーション)を「映像コミュニケーション事業」に含めることに変更しています。当該変更後のセグメント区分に基づき前連結会計年度のセグメントの業績値を変更し、前年同期比較を記載しています。
[ITセキュリティ事業]
売上高は18,516百万円(前年同期比5.9%増)、セグメント利益は3,717百万円(前年同期比17.3%増)となりました。
年商約5億円のソリトン上海が連結範囲外となったものの、自社製品/サービスの販売が堅調に推移しました。特に、防衛や防災分野での大型案件獲得が売上の押し上げに寄与したほか、校務DX(教育機関の業務DX)に関係する文教分野の需要も拡大し、増収増益となりました。製品別では、国内シェアNo.1の認証アプライアンス「NetAttest EPS」、分離ネットワーク(インターネットに接続する環境と機密情報を扱う業務環境を分離してサイバー攻撃に備えるセキュリティ対策)で安全なファイル授受を実現する「FileZen S」、多要素認証のクラウドサービス「Soliton OneGate」などの主力製品の販売が順調に推移しました。その結果、「商品・製品」の売上が7,321百万円(前年同期比8.3%増収)、「クラウドサービス」の売上が2,652百万円(前年同期比14.0%増収)と主要領域で前年同期を上回る成長を確保しました。
[映像コミュニケーション事業]
売上高は1,053百万円(前年同期比5.3%増)、セグメント利益は52百万円(前年同期比93.1%増)となりました。
「Smart-telecasterシリーズ」について、国内外のパブリックセーフティ分野(防衛、公的治安、災害対処)への販売を中心に、売上高は増収、セグメント利益も増益となりました。なお、当社は、ウクライナの復興支援に向けて国土交通省の「日ウクライナ・国土交通インフラ復興に関する官民協議会」に参画しました。2025年10月に、同国政府・自治体、キーウ工科大学(KPI)の協力のもと、KPI構内のコントロールセンターから約25km離れた建設機械を「Zaoシリーズ」で遠隔操縦する実証に成功し、同国内での遠隔施工が現実的に機能することを確認しました。ウクライナでは復興に向け膨大な建設需要がある一方で、人手不足や危険環境下での作業が課題となっています。当社の遠隔操縦技術により、女性や戦傷者を含む幅広い人々が安全な場所から復興作業に従事できる可能性が示されました。当社は、ウクライナの「安全で包摂的な復興」に貢献してまいります。
[Eco 新規事業開発]
売上高は191百万円(前年同期比55.5%増)、セグメント損失は184百万円(前年同期はセグメント損失181百万円)となりました。
官公庁向け小型伝送装置の追加販売ならびに既存の人感センサー製品の堅調な販売により、売上高は増収となりました。先進プロジェクトであるアナログエッジAIは、極めて意欲的かつ高度な技術を要する取り組みです。設計および検証フェーズを進め、技術的課題に対し解決を逐次図り、試作品の製造へ向け着実に進捗しました。
当連結会計年度末の総資産につきましては、前連結会計年度末に比べて2,942百万円増加し、26,228百万円となりました。
流動資産は、前連結会計年度末に比べて3,057百万円増加し、23,954百万円となりました。これは主に有価証券が6,000百万円、商品及び製品が448百万円、電子記録債権が280百万円、売掛金が218百万円増加した一方、現金及び預金が3,834百万円減少したこと等によるものであります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べて114百万円減少し、2,274百万円となりました。これは主に繰延税金資産が132百万円、工具器具備品が79百万円増加した一方、ソフトウエアが103百万円、建物及び構築物が51百万円、ソフトウエア仮勘定が46百万円、投資有価証券が43百万円、土地が37百万円減少したこと等によるものであります。
流動負債は、前連結会計年度末に比べて2,050百万円増加し、12,896百万円となりました。これは主に未払法人税等が654百万円、支払手形及び買掛金が506百万円、契約負債が394百万円、賞与引当金が258百万円、未払金が151百万円増加した一方、短期借入金が63百万円減少したこと等によるものであります。
固定負債については、前連結会計年度末に比べて81百万円減少し、75百万円となりました。これは主にその他固定負債が49百万円、リース債務(固定)が32百万円減少したこと等によるものであります。
純資産の部については、前連結会計年度末に比べて972百万円増加し、13,256百万円となりました。これは主に利益剰余金が1,093百万円増加した一方、為替換算調整勘定が123百万円減少したこと等によるものであります。
なお、当連結会計年度末において、自己資本比率は50.5%、1株当たり純資産額は714円48銭となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ7,834百万円減少し、当連結会計年度末には6,858百万円(前年同期比53.3%減)になりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動から獲得した資金は3,603百万円(前年同期比77.0%増)となりました。
収入の主な内訳は、税金等調整前当期純利益2,938百万円、仕入債務の増加516百万円、契約負債の増加374百万円、減価償却費319百万円、賞与引当金の増加258百万円等であります。支出の主な内訳は、棚卸資産の増加501百万円、売上債権及び契約資産の増加496百万円等であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動に使用した資金は10,171百万円(前年同期は237百万円)となりました。
収入の主な内訳は、有価証券の償還による収入10,000百万円、定期預金の払戻による収入3,000百万円等であります。
支出の主な内訳は、有価証券の取得による支出16,000百万円、定期預金の預入による支出7,000百万円、有形固定資産の取得による支出175百万円等であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動に使用した資金は1,268百万円(前年同期比150.1%増)となりました。
支出の主な内訳は、配当金の支払額1,205百万円等であります。
(3)生産、受注及び販売の実績
当社グループの生産する製品は主にソフトウエアであり、また当社グループの取り扱う製品は、受注生産形態をとらない製品であるため、生産規模、受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2025年1月1日 至 2025年12月31日) |
前年同期比(%) |
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ITセキュリティ(百万円) |
18,516 |
5.9 |
|
映像コミュニケーション(百万円) |
1,053 |
5.3 |
|
Eco 新規事業開発(百万円) |
191 |
55.5 |
|
合計(百万円) |
19,762 |
6.2 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおり
であります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2024年1月1日 至 2024年12月31日) |
当連結会計年度 (自 2025年1月1日 至 2025年12月31日) |
||
|
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
|
ダイワボウ情報システム 株式会社 |
2,279 |
12.3 |
2,878 |
14.6 |
2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、本文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般的に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり、見積りや仮定を用いることが必要となりますが、これらは期末日における資産・負債の金額及び会計期間の収益・費用の金額に影響を与えます。しかし、これらの見積りや仮定は、実際の結果とは異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に以下の重要な会計方針が、連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に影響を与える可能性があります。
①貸倒引当金
当社グループは、債権等の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等については個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を計上しております。見積りには期日経過債権の回収期間、現在の経営環境等の様々な要因を考慮しております。
②棚卸資産
当社グループは、棚卸資産の評価方法として原価法(貸借対照表価額は収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定)を採用しており、期末における正味売却価額が取得原価よりも下落している場合には、当該正味売却価額をもって貸借対照表価額としております。また、滞留及び過剰在庫の内、陳腐化した棚卸資産については、適正な価値で評価されるように評価減の金額を見積もっております。
③繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産における回収可能性が低いと考えられる金額については、評価性引当額を設定しております。評価性引当額の必要性を検討するにあたっては、将来の課税所得の見積りに基づいております。
④投資有価証券
当社グループは、長期的な取引維持のために、特定の取引先の株式等を保有しております。これらの株式等には、価格変動性が高い上場株式と、株価の決定が困難な非上場株式等が含まれます。これらの株式等について、時価が取得価額を下回っている場合、将来における価値の回復可能性及び発行会社の経営状態を検討しております。
⑤市場販売目的のソフトウエア
当社グループは、市場販売目的のソフトウエアの減価償却方法について、見込販売収益に基づく償却額と残存有効期間(3年以内)に基づく均等配分額とを比較し、いずれか大きい額を減価償却費として計上しております。また、減価償却を実施した後の未償却残高が翌期以降の見込販売収益の額を上回った場合、当該超過額は一時の費用として処理しております。当社グループの販売見込収益の算定における主要な仮定は、販売計画に基づく受注予測であります。
(2)当連結会計年度の経営成績等の状況に関する分析・検討内容
①売上高・売上総利益
当連結会計年度の売上高19,762百万円(前年同期比6.2%増)、売上総利益9,237百万円(前年同期比11.4%増)、売上総利益率46.7%(前年同期44.6%)となりました。
売上高のセグメント別変動要因に関する詳細については、「1.経営成績等の状況の概要(1)財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。売上総利益率は前年同期比2.2%増加となりました。
②営業利益
経費面では、会社のオフィス環境の整備や将来的な人材への投資等により、販売費及び一般管理費は6,392百万円(前年同期比2.3%増)となりましたが、前述のように売上高の増収と売上総利益率の改善により、当連結会計年度の営業利益は2,844百万円(前年同期比39.2%増)、売上高営業利益率は14.4%(前年同期11.0%)となりました。
③経常利益
主に営業外収益として為替差益が71百万円、受取利息が45百万円、受取配当金が23百万円発生したことにより、当連結会計年度の経常利益は、2,977百万円(前年同期比38.1%増)となりました。
④親会社株主に帰属する当期純利益
特別利益で投資有価証券売却益39百万円、固定資産売却益44百万円、特別損失で関係会社出資金売却損105百万円等を計上しました。これにより、親会社株主に帰属する当期純利益は2,298百万円(前年同期比33.2%増)となりました。
以上の結果、当連結会計年度の1株当たり当期純利益金額は123.97円(前年同期比30.86円増)となりました。なお、当連結会計年度における財政状態の概況については、「1.経営成績等の状況の概要(1)財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。
(3)資本の財源及び資金の流動性の分析
当社グループは、営業活動によって獲得した現金と金融機関からの借入金によって、必要となる運転資金の確保と事業拡大の為の設備投資を行っています。
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの概況については、「1.経営成績等の状況の概要(2)キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
当社グループのキャッシュ・フローの状況と指標の推移は次のとおりであります。
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キャッシュ・フローの状況 |
2021年12月期 |
2022年12月期 |
2023年12月期 |
2024年12月期 |
2025年12月期 |
|
|
|
営業活動によるキャッシュ・フロー(百万円) |
2,080 |
2,298 |
3,643 |
2,035 |
3,603 |
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投資活動によるキャッシュ・フロー(百万円) |
△464 |
△305 |
△57 |
△237 |
△10,171 |
|
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財務活動によるキャッシュ・フロー(百万円) |
△481 |
△252 |
△397 |
△507 |
△1,268 |
|
|
フリー・キャッシュ・フロー (百万円) |
1,616 |
1,993 |
3,585 |
1,798 |
△6,568 |
|
キャッシュ・フロー関連指標の推移 |
2021年12月期 |
2022年12月期 |
2023年12月期 |
2024年12月期 |
2025年12月期 |
|
|
|
自己資本比率(%) |
48.9 |
49.8 |
49.1 |
52.7 |
50.5 |
|
|
時価ベースの自己資本比率(%) |
159.1 |
108.6 |
121.4 |
97.3 |
154.7 |
|
|
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年) |
0.1 |
0.1 |
0.0 |
0.0 |
- |
|
|
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) |
1,536.1 |
1,965.2 |
1,766.5 |
1,711.9 |
4,157.0 |
・フリー・キャッシュ・フロー:営業活動によるキャッシュ・フロー + 投資活動によるキャッシュ・フロー
・自己資本比率:自己資本÷総資産
・時価ベースの自己資本比率:株式時価総額÷総資産
・キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債÷営業活動によるキャッシュ・フロー
・インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業活動によるキャッシュ・フロー÷利息の支払額
(4)経営成績に重要な影響を与える要因について
「3 事業等のリスク」をご参照ください。
該当事項はありません。
当社グループの研究開発活動には、基礎的な要素技術の開発と、現在の製品の改善のための開発があります。
なお、当連結会計年度の研究開発費は
(1)ITセキュリティ事業
ITセキュリティ事業の研究開発費は
[製品]
①NetAttest EPSの新バージョンの開発・リリース
NetAttest EPSの新バージョンの開発・リリースを行いました。NetAttest EPSは、電子証明書による強固なセキュリティを実現し、導入と運用面を考慮した製品として、2002年の物理版アプライアンス製品としてリリース以降、時代とIT環境の変化に応じて仮想アプライアンスを開発し、最適な形態で提供することで業種や導入規模を問わず多くのお客様から高い評価を受けています。今回の新バージョンでは、GIGAスクール構想第2期に向けたNetAttest リモート管理サービスに対応しました。これにより、クラウドサービスを経由し多数の学校に分散して設置されている機器を一括管理できるようになります。さらに、クラウド型ID管理サービス「Soliton OneGate」との連携を強化し、ユーザーIDおよびデジタル証明書の管理を「Soliton OneGate」側で実施できるようになりました。この連携により、従来はオンプレミス環境に限定されていたユーザー管理や証明書配布の仕組みをクラウド環境へ拡張することが可能になります。
②SmartOn ID 製品の新バージョンの開発・リリース
SmartOn ID シリーズは、顔認証や指静脈認証など多様な認証デバイスに対応したWindows端末向け多要素認証製品で、官公庁・金融・医療など幅広い業種で採用され、21年連続でシェア第1位を維持しています。テレワークの普及に伴う新たなセキュリティ課題(画面の「覗き込み」や画像・映像による「なりすまし」)と、共有端末環境での利用者特定および適切なアクセス制御の必要性に対応するため、新バージョンで以下の機能追加を実施しました。
1)覗き込み検知機能
PC内蔵または外付けのWebカメラを利用し、PC利用者背後からの覗き込み(ショルダーハック)を定期的に検知します。複数人の顔を検出した場合、警告表示または自動ロックにより情報漏洩を抑止します。
2)なりすまし検知機能
第三者評価機関(FIME)の認証を取得した顔認証技術により、写真・動画によるなりすまし攻撃をブロックし、より堅牢な本人確認を実現します。
3)アプリケーション認証機能
共有端末でPCログオンを維持したまま、特定アプリ利用時に顔認証等の追加認証を要求し、アプリ単位での利用者特定と操作制御を可能にします。併せて、利用履歴の監査ログを記録します。
[クラウドサービス]
①Soliton OneGate(クラウドサービス)の新バージョンの開発・リリース
当社が提供するクラウド型認証基盤サービス(IDaaS)「Soliton OneGate」において、ゼロトラスト・アーキテクチャの要となる「透明性とレジリエンス」を強化しました。また、経済産業省等の政府方針案「政府情報システムにおけるSaaS導入・運用のためのセキュリティ・ベストプラクティス」を念頭に置いた対応を実施しました。
1)認証基盤の拡張と相互運用性の向上
従来のSAML 2.0に加え、OpenID Connect (OIDC) 1.0の認証プロバイダ機能を新たに実装しました。これにより、モダンなWebサービスやモバイルアプリとの柔軟な連携を可能にするとともに、IDトークン(JWT)の発行を通じた高度なユーザー属性連携を実現しています。
2)SASE/クラウドセキュリティ連携の深化
Palo Alto Networks, Inc.のCloud Identity EngineとのSCIMプロビジョニングおよびSSO連携に対応しました。SASE製品Prisma Accessとの動的なユーザー同期を実現し、組織のオンボーディング・オフボーディングにおける運用負荷とセキュリティリスクの低減に寄与します。
3)高度な暗号技術への対応
クライアント証明書およびサーバー証明書において、従来のRSA 2048bitから、より高い安全性を持つRSA 4096bitへの対応を完了しました。これは将来的な計算能力の向上を見据えた、長期的な信頼性の確保を目的としています。
4)ログ解析基盤の拡充と透明性の確保
インシデント発生時の追跡性を高めるため、Windowsサインイン機能のログ拡張を実施しました。
5)ユーザビリティの向上
顔認証時におけるガイド枠表示の実装など、生体認証の精度向上とユーザー体験(UX)の改善を継続的に実施しています。
②SmartOn ID 製品の新バージョンのクラウドサービス提供開始
SmartOn IDのクラウド版となる新サービス「SmartOn ID クラウド」を2025年11月より提供開始しました。従来オンプレミスで必要だった認証サーバーの構築・運用負担を軽減しつつ、多要素認証やSSOなどSmartOn IDの機能をクラウドサービスとして安全に提供します。これにより、導入の迅速化と運用工数の削減を図り、中堅・中小企業や自治体、医療機関を含む幅広い組織のセキュリティ強化とゼロトラスト移行を可能にします。
(2)映像コミュニケーション事業
映像コミュニケーション事業の研究開発費は
①建機遠隔操縦システムの開発
建設会社、建機メーカー、建機レンタル事業者などから寄せられる「建機を遠隔操縦したい」というニーズに応えるため、当社は、建機に搭載するカメラ、映像・データ送信機、クラウドサービス、遠隔コックピット用ソフトウエアを統合した遠隔操縦システムを開発し、提供を開始しました。特に、建機側ネットワークと遠隔コックピット側ネットワークを安全かつ安定的につなぐLANトンネル技術を新たに開発したことで、シリアル信号以外の制御方式に対応できるようになりました。また、LANトンネリングではICT施工で不可欠なマシンコントロール/マシンガイダンスを同時に利用可能になったことで安全で効率的な遠隔施工が可能です。この成果により、国内最大級の建設・測量業界向け展示会であるCSPI-EXPOにおける遠隔操縦デモを成功させただけでなく、実際の土木工事現場でも本システムが採用されるなど、市場での実用性が確認されています。
②携帯電波圏外での録画・自動伝送機能の開発
官公庁で採用いただいている映像伝送サービス「Zao Cloud」の高機能化を目的に、携帯電波が届かない環境でも運用可能な新機能を開発しました。従来のRASCOWによる「電波状態が悪くても映像・音声を伝送できる」機能に加え、電波圏外で録画し、通信回復後にクラウドへ自動送信する機能を新たに実装しました。これにより、トンネル内、上下水道管内、山間部などの通信が不安定または完全に途切れる環境においても、映像・音声の記録・伝送を確実に行うことが可能となり、これらの環境での監視・点検ニーズに対応できるようになりました。
③ウェアラブル映像送信機の次世代モデル開発
ウェアラブル映像送信機「Zaoウェアラブル」について、次世代版を開発し、市場投入しました。新モデルでは、ユーザーからの要望が特に強かったバッテリー寿命の大幅な改善に加え、携帯電波圏外での録画・自動伝送機能にも対応。ハードウェアの性能向上とソフトウエアの高機能化を同時に実現し、より幅広い現場での活用を可能としています。
(3)Eco 新規事業開発
Eco 新規事業開発の研究開発費は
①アナログ方式エッジAIチップの開発
超低消費電力でありながら端末において高度な認識を可能にする、アナログ方式によるエッジAIデバイス用アクセラレータICの回路設計とレイアウト設計を進めました。また、AIチップ向けのツールチェーンや評価基板の設計開発等、評価環境の構築を進めました。JAXAとの共同研究プロジェクトにおいて、当該AIチップを用いたエッジ学習処理についての研究開発を進めました。
(4)その他
その他の研究開発費は152百万円であります。主要な開発項目は以下のとおりです。
①「N:M遠隔監視システム」の全国各地での公道実証の実施
自動運転レベル2~4向け遠隔システムの機能高度化を図り、それによる全国各地で公道での実証を行いました。多地域での多数の自動運転車(N台)を、一カ所又は数か所のセンター(監視・操作者数M)で集中監視・操作し、自動運転事業の効率化を行いました。大阪府河内長野市では、通年運行中の既存路線に加え新たな路線を追加し、各路線を走行する複数車両を2拠点から同時に遠隔監視しました。静岡県富士市では、2路線を走行する自動運転車を1拠点から遠隔監視しました。また、東急バス株式会社と協業し、市販バンをEV化した新型車両を用いて、世田谷区 用賀駅周辺の住宅街および幹線道路(環状八号線)を含むルートで走行検証を実施しました。さらに、日本有数の商業エリアである渋谷駅周辺(スクランブル交差点、明治通り、国道246号などを通る走行ルート)の、交通量や歩行者流動が常時変化する複雑な都市環境において、遠隔監視型自動運転システムの実証を行いました。大阪府四條畷市田原台地域では、通年運行中の自動運転に「遠隔アシスト方式」を追加導入し、運行高度化に向けた実証を実施しました。
②国内2例目の自動運転「遠隔アシスト方式」の実証の実施
名古屋大学、同大学発ベンチャーの株式会社エクセイド、および当社と協同で開発した自動運転「遠隔アシスト方式」が四條畷市に導入され、同市田原台地域において国内2例目の実証実験を実施しました。遠隔アシスト方式は、自動運転システム単独では走行の判断が困難な局面において、遠隔監視中のオペレータがその際の判断を簡単なボタン操作で車両に通知し、自動運転はこの助言を加味した自らの最終判断によって走行継続を実施するシステムです。「遠隔アシスト方式」は、将来的な完全自動運転技術の確立を待つことなく、現行レベルの自動運転技術を活用してドライバーの無人化を実現可能とする点に意義があり、さらに、遠隔アシストのオペレータは遠隔センターにおける監視業務との兼務が可能であることから、大規模な追加投資を伴わず導入でき、コスト効率にも優れています。このように、「遠隔アシスト方式」は、早期の事業性確立が求められる地方・地域交通に適した有力なソリューションとして、国内で関心が高まっています。
③「自動運転システムの遠隔サポート」に関する国際規格「ISO7856」が日本主導で刊行
低速自動車(最高速度32km/h以下)を対象とした自動運転において、遠隔センターから支援を行うシステム(remote monitoring、remote assistance、remote driving)に関する世界初の国際規格ISO7856 が、日本主導のもと刊行されました。本規格の日本提案は、公益社団法人自動車技術会(JSAE)のもとで策定され、当社も参画しました。自動運転に対する遠隔サポートは、自動運転の運行をスムーズかつ安全に維持するための実用的、効率的なシステムとして、日本国内のみならず国際的にも需要が拡大しています。当社が開発し、既に日本各地に展開している自動運転遠隔サポートシステム(遠隔監視、遠隔アシスト、遠隔運転)は、すべてISO7856の規格を満たしています。