第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2026年3月23日)現在において当社グループが判断したものです。

 

当面の優先的に対処すべき課題の内容等

当社は、企業目的である「感動創造企業」のもと、2030年に向けた長期ビジョンとして「ART for Human Possibilities~人はもっと幸せになれる~」を掲げています。2025年からの中期経営計画は、この長期ビジョンの後半6年間のスタートになります。中期経営計画の基本方針は、「コア事業の競争力を高め、人の可能性を拡げる新技術を獲得し、人の悦びと環境が共生する社会をヤマハ発動機らしい挑戦で実現する」としています。

 

詳細は、当社ウェブサイト「中期経営計画」をご参照ください。

(https://global.yamaha-motor.com/jp/profile/mtp/)

 

○事業ポートフォリオ

当社は、前中期経営計画からポートフォリオ経営を実装しました。2025年からの中期経営計画では、ポートフォリオ戦略として、コア事業(MC事業、マリン事業)、戦略事業(ロボティクス事業、SPV事業、OLV事業)、新規事業の3つと定めました。また将来的には、当社が保持する全ての事業がROIC 12.5%を上回る経営を目指します。

 


 

■コア事業領域

中期経営計画では、コア事業の競争力を再強化していきます。MC事業とマリン事業へ重点的な投資を行い、魅力ある商品、サービスを提供することで、成長と収益性を両立させます。

 

[MC事業]

「移動に喜びを、週末に楽しさを、人々と共に創る」ことを目指し、魅力的な商品ラインアップ、デジタル技術を活用したユーザーサービス強化に取り組みます。

アセアン、新興国では、これまで注力してきたプレミアム戦略をさらに強化します。2025年は、主要モデルである「NMAX155」に、電子制御CVT「YECVT」を搭載したモデルを販売開始しました。MT車のような走行感覚を得ることができる当社独自のシステムによって、走る楽しさを広げるプレミアムモデルです。

電動化対応として、インドでは電動スポーツスクーター「AEROX E」と、「River Mobility Private Limited」との協業による電動スクーター「EC-06」の2モデルを発表しました。電動領域は、自社でのプラットフォーム開発と外部との連携の両輪で推進していきます。

 

[マリン事業]

「信頼性と豊かなマリンライフ 海の価値を更に高める」ことを目指し、大型船外機のラインアップ拡充、統合ボートビジネスの推進により、顧客価値の向上を追求していきます。

統合ボートビジネスでは、2025年2月のマイアミ国際ボートショーにて、「ヘルムマスターEX ワイヤレスステーション」を発表しました。運転席から離れた場所でも操船操作を可能とし、操船性の自由度と快適性を向上するシステムです。

主要市場である米国は関税などにより事業環境が大きく変化しています。その中でも、大型船外機の需要は引き続き堅調に成長する見通しです。中期経営計画期間中に大型船外機のラインアップを拡充すべく、開発を継続しています。

 

■戦略事業領域

市場ポテンシャルの高い、ロボティクス事業とSPV事業、OLV事業(Outdoor Land Vehicle: RV事業とゴルフカー事業を統合)の3つを戦略事業領域とします。

 

[ロボティクス事業]

加速するデジタル社会と、変革するモビリティを、ワンストップスマートソリューションで支えていくことで、成長と収益性を両立させます。2025年に当社の完全子会社であるヤマハロボティクスホールディングス株式会社、及びその完全子会社である株式会社新川、アピックヤマダ株式会社、株式会社PFAを統合し、ヤマハロボティクス株式会社を設立しました。本統合により、顧客の期待を超える価値創出を加速させ、半導体後工程及び電子部品実装分野における世界トップクラスのトータルソリューション企業を目指します。

 

[SPV事業]

地球環境に優しいモビリティである電動アシスト自転車を通じ、人々の挑戦を後押しすることで事業の成長を実現します。2025年にはドイツの自動車部品メーカー「Brose」社の自転車用ドライブユニット(e-Kit)事業子会社を買収し、ドイツに新会社「Yamaha Motor eBike Systems GmbH」を設立しました。最大市場である欧州に開発拠点を置き、さらにBrose社のネットワークを活用することで、欧州における市場プレゼンスの向上を目指します。

 

[OLV事業]

陸から海まで、お客様が生涯にわたりワンブランドで楽しめるアウトドア商材を持つ会社として、当社の強みが活きる北米市場でシナジーを創出していきます。

OLV事業の製品の市場規模は、付加価値化が進み、長期的に拡大すると見込んでいます。米国関税の影響や市場の需要変化といった要因を踏まえ、コスト管理と資源配分の適正化により収益基盤を再構築します。

 

 

■新規事業領域

事業拡大の可能性を見極めながら、モビリティサービス、低速自動走行、農業の3領域に注力していきます。

モビリティサービスでは、インドやアフリカでモビリティアセットマネジメント事業とラストマイルデリバリー事業に取り組み、利益と雇用機会の創出や生活の質向上といった社会貢献の実現を目指します。

農業では、米国に「Yamaha Agriculture, Inc.」を設立し、ロボットソリューションと高度なデータ解析を組み合わせ、持続可能かつ収益性の高い農業の実現に貢献することを目指し、北米とオセアニアで事業を開始しました。

 

■財務指標・株主還元方針

資本コスト以上のリターンを継続的に創出することを目標とし、ROE14%水準、ROIC8%水準、ROA9%水準(いずれも3年平均)を目指します。株主還元については、「業績の見通しや将来の成長に向けた投資を勘案しつつ、安定的かつ継続的な配当を行う」ことを基本方針とし、キャッシュ・フローの規模に応じて機動的な株主還元を実施します。総還元性向は中期経営計画期間累計で40%以上です。

なお、2025年は100億円の自己株式取得を行いました。

 


 

■環境計画

中期経営計画における環境計画は、「気候変動」「資源循環」「生物多様性」の3つの柱で構成されています。

気候変動では、企業活動における自社のGHG排出量は、2035年にカーボンニュートラルを目指します。2025年には、化石燃料を一切使用しないオール電化塗装ラインの導入を実現しました。また、製品使用時のGHG排出量は、マルチパスウェイの方針のもと削減を進めます。

資源循環では、2050年までにサステナブル原材料使用比率100%を目指し、中期経営計画では、現状の14%から18%に引き上げます。そのうち内製用アルミ合金は、既に90%をサステナブル材へ切り替えており、2030年までに100%とする計画です。

生物多様性では、生態系と人間の双方に利益をもたらす課題解決を探求します。また、TNFD提言に基づく開示を2026年より開始します。

 

■人的資本経営

「Challenge & Growth 多様な社員にチャレンジの機会を!ヤマハ発動機らしいチャレンジで個人と会社の成長を!」をミッションに、グループ全体で従業員の挑戦と成長を後押ししていきます。2025年のグローバルエンゲージメントスコアは82.4%と、目標である80%を維持しています。2025年には、エンゲージメント向上や株主との価値共有を進めることを目的に、ヤマハ発動機従業員持株会を通じて対象会員1人あたり70株を付与しました。

引き続き、DE&Iや、タレントマネジメントの高度化、モノづくり人財育成などを推進し、多様な社員がチャレンジの機会を得ることで、個人と会社が成長し未来を切り開いていける組織を目指します。

 

■リスク・コンプライアンス経営

リスク・コンプライアンス経営の強化を重要な方針として位置づけ、Global、Integrated、Agileの3つを柱に、当社の経営・事業に想定されるリスクを特定し、適切にコントロールしていきます。

CRCO(チーフ・リスク・コンプライアンス・オフィサー)を軸とした体制により、環境の変化を素早く捉え、責任と権限のグローバル化を図る当社の経営をさらに促進していきます。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1) ヤマハ発動機グループのサステナビリティ

ヤマハ発動機では創業以来、「社訓」に“企業活動を通じた国家社会への貢献”を謳い、この精神に基づいた従業員一人ひとりの行動を通して社会に貢献することを掲げています。そして、「感動創造企業:世界の人々に新たな感動と豊かな生活を提供する」ことを企業目的として、「モノ創り」を通じて多様な価値の創造に努めてきました。また、経営理念では「顧客の期待を超える価値の創造」、「仕事をする自分に誇りが持てる企業風土の実現」、「社会的責任のグローバルな遂行」というお客さま・従業員・社会に対する経営の基本姿勢を示しています。

こうした理念の下、ヤマハ発動機グループではステークホルダーへの主な社会的責任をサステナビリティ基本方針としてまとめ、企業理念に基づく事業活動を通じて社会の持続可能な発展に貢献することが私たちに期待されているサステナビリティと考え、取組を行っています。

 

ヤマハ発動機グループサステナビリティ基本方針

ヤマハ発動機グループは、「感動創造企業」を企業目的に、社会や地球環境との調和を図りながら、製品やサービスを通じて世界の人々に喜びや驚き、高揚感、そして豊かさや幸福感を提供し続けていくことを目指しています。これを実現するために私たちは、人と人とのつながりから生まれる共感を新しい価値を生む原動力とし、適正な企業統治の下、社会から信頼される企業として、革新的で多様な製品やサービスを通じ、ヤマハらしい形で社会の課題解決と持続的発展に貢献していきます。

取引先においても、この方針を支持し、それに基づいて行動することを要請します。

 

・私たちは、国際ルール・法令を遵守するとともに腐敗防止に取り組み、公正・誠実に業務を遂行します。

・私たちは、人権を尊重し、差別をせず、いかなる形であれ児童労働・強制労働は行いません。

・私たちは、ステークホルダーとの関係を大切にし、適時かつ適正な情報開示を行います。

 

お客さま

誰もが安全・安心に使用できる高品質の製品やサービスを提供し、正しい使い方の教育・普及と使用環境づくりに努めます。

従業員

従業員の健康・安全を企業成長の基盤と考え、労働環境の向上に努め、多様性を重視し、人材活躍推進に積極的に取り組みます。また、結社の自由、及び団体交渉の権利を尊重します。

取引先

国籍や規模にかかわらず広く門戸を開き、長期的視野で相互繁栄の実現に取り組みます。

地球環境

地球温暖化防止に向けた技術開発を進め、環境負荷の最小化に努めます。また、生物多様性の保全とその持続可能な利用に取り組みます。

地域社会

各国・地域の文化・慣習を尊重し、地域社会との調和に努めます。

株主・投資家

相互対話に基づき、長期安定的な成長を通じた企業価値向上を目指します。

 

 

 

① ガバナンス

社長執行役員が委員長を務め役付執行役員が委員となる「経営会議」の中で、サステナビリティを巡る課題及びリスク・コンプライアンスに係る課題への対応を協議・決定しています。

さらに経営会議での審議を前提に、専門的視点から審議・検討を行うため、その下部委員会として任命された執行役員が委員長を務め、委員長が指定する執行役員及び本部長が委員となる「サステナビリティ委員会」、及びCRCO(チーフリスク・コンプライアンスオフィサー)が委員長を務め、CRCOが指定する役付執行役員が委員となる「グローバルリスク・コンプライアンス経営委員会」を設置しています。また「サステナビリティ委員会」の下部に、環境領域の推進権限を付与された委員長を置き委員長が指定する事業・部門の推進責任者を委員とする「環境委員会」、「グローバルリスク・コンプライアンス経営委員会」の下部に、CRCOが委員長を務め、CRCOが指定する主要地域のRCO(リスク・コンプライアンスオフィサー)が委員となる「グローバルリスク・コンプライアンス推進委員会」を設置しています。

「サステナビリティ委員会」と「環境委員会」ではサステナビリティについての方針やビジョン、中・長期環境計画、投資やモニタリングを、「グローバルリスク・コンプライアンス経営委員会」と「グローバルリスク・コンプライアンス推進委員会」ではリスク・コンプライアンス経営についての方針や中・長期の計画、リスク評価・対策・モニタリングなどを専門的視点で審議・検討しています。

また、当社の取締役会・監査役会が備えるべきスキルとしてサステナビリティを設定し、E(環境)・S(社会)・G(ガバナンス)のそれぞれの選定理由と定義を公開しています。

 

ESGに関するスキルの選定理由及び定義

E

環境/カーボンニュートラル

2050年のカーボンニュートラルを目指しており、この取り組みを加速するためには、環境分野に関する知識・経験を持つ役員が必要である。

S

DE&I/人財開発

グローバルな事業環境と変化の早い市場ニーズに対応するためには、多様な人財の確保、ならびに各人のスキル強化が不可欠であり、DE&Iの推進や人財開発に関する知識・経験を持つ役員が必要である。

G

法務/リスクマネジメント

グローバルに事業を営む当社にとって、ガバナンス強化は重要である。国内外の法制度・各種規制の知識・経験を持ち、リスクを適切に評価し、予防・対策をリードできる役員が必要である。

 

 

② 戦略

当社は社会の持続的な発展と地球環境との調和、中長期的な企業価値向上を目指して、2019年に重要な社会課題(マテリアリティ)を特定し、定期的な点検・見直しを行いながら取組を推進してきました。

2024年には、長期ビジョンの実現に向けあらためて当社の歴史や企業目的を振り返り、「モビリティの楽しさ」「豊かな人生」「地球との共生」の3つの新しい価値を創出して持続的な成長と企業価値向上の実現を目指すとした価値創造ストーリーに再定義し、2025年からの中期経営計画に組み込みました。この新しい価値を創出するための課題となる「イノベーション」「カーボンニュートラル」「安全・安心」をマテリアリティに特定し、活動を推進・進捗していきます。

 

 

③ リスク管理

チーフ・リスク・コンプライアンス・オフィサー(CRCO)を任命し、「リスクマネジメント規程」に基づき、CRCOが委員長となり指名する執行役員を委員とする「グローバルリスク・コンプライアンス経営委員会」において、グループ全体のリスク状況をモニタリングすると同時に、重点的に取り組む「グループ重要リスク」の選定、対策活動のチェックなどを行い、グループ全体のリスク低減を図っています。

また、その下部委員会として、CRCOが指名する主要各地域を統括するリスク・コンプライアンス・オフィサーを委員とする「グローバルリスク・コンプライアンス推進委員会」を設置するとともに、本社各リスク主管部門長等による「リスク・コンプライアンス推進会議」を設置し、リスクマネジメントについての方針や計画、モニタリングと対策などを専門視点で審議しています。そしてこれらの審議の結果は、CRCOから取締役会に適宜報告されており、実効性を担保した体制を整備しています。

なお各個別リスクの主管部門は、「グローバルリスク・コンプライアンス経営委員会」の審議の結果に基づき、主管リスクについて対応方針、規程等を定めるとともに、本社各部門及びグループ会社に対して対応方針等に基づく対策活動の推進、活動モニタリングなどを行い、その実効性を担保するため、統合監査部門はリスク主管部門に対して監査を実施しています。

 

④ 指標及び目標

イノベーション

お客さまを価値創造に巻き込む取り組み

目指す姿(2030)

中期目標(2025-2027)

デジタルの推進でヤマハ発動機の二輪車を購入し続けたいと考えるお客さまとの強固なつながりを醸成

① お客さまとのつながりの醸成を目指したプログラムの展開

 ロイヤルティプログラムの展開国数:2カ国(2025-26年)、1カ国(2027年)累計5カ国(2022-2027年)

② 販売店におけるお客さま情報基盤の整備

 ヤマハID数(2020年からの累計):850万人(2025年)、1,060万人(2026年)、1,280万人(2027年)

③ お客さまへプラスαの価値提供

 車両つながるアプリ「Y-Connect」ダウンロード回数(2020年からの累計):600万回(2025年)、700万回(2026年)、840万回(2027年)

 サーキット走行アプリ 「Y-TRAC Rev」ダウンロード回数(2025年からの累計):8,000回(2025年)、18,000回(2026年)、28,000回(2027年)

「統合ボートビジネスへの進化」*による顧客体験価値の拡大

* 従来の推進機や艇体、周辺機器ビジネスを発展させ、ボート全体を統合して制御することを目指す当社の取組

① ボートの周辺機器製品やサービスを拡大

② マリンエコシステム全体に事業サービス範囲を拡大

 パーツとサービス売上高の年平均成長率:12%

モビリティを購入できない人でも、生活水準の向上と安定した収入の獲得が可能なサービスを提供して、雇用機会を創出

① 新規のサービス提供地域を拡大

 現在の4カ国(インド・ナイジェリア・ウガンダ・タンザニア)から展開地域を拡大

② 既存のサービス提供地域での稼働台数を拡大

 サービス提供による雇用創出数を拡大:約4万人(2025年)

自動運転EVによる屋外自動搬送サービスの普及を促進し、製造・物流業の人手不足の改善や安全で快適な労働環境を実現

① 新規導入顧客の拡大と既存顧客による導入施設数・稼働台数を向上

② 海外展開に向けたPoC*の実施

* Proof of Concept(概念実証)

 

 

 

カーボンニュートラル

事業拠点から排出されるCO2の削減(Scope 1、2)

目指す姿(2030)

中期目標(2025-2027)

生産活動から排出されるCO2排出量を2010年比で80%削減

(2035年カーボンニュートラルを達成)

① 生産活動からの売上当たりCO2排出量を2010年比で74%削減

再生可能エネルギーの利用を拡大

(2035年電力に占める再生可能エネルギー割合を30%以上)

 電力に占める再生可能エネルギーの割合:15%以上

 

 

製品使用から排出されるCO2の削減(Scope 3 Cat.11)

目指す姿(2030)

中期目標(2025-2027)

環境負荷の低い基幹製品の開発・販売の推進

電動化

電動二輪車の開発と販売:
 コミューター領域、 FUN領域での
 ラインナップ強化

① 電動二輪車の開発と販売:新たなプラットフォームモデルを複数投入

マリン推進機の電動化:
 先進国の船外機全モデルの5%を
 置き換え

① Torqeedo社製電動船外機の販売を拡大
 先進国の船外機販売台数に占める割合:4%

省エネルギー化

二輪車の内燃機関燃費の改善
 新エンジンの開発:4モデル

① 内燃機関燃費改善の開発と新規導入
 新エンジンの開発:3モデル(2025-27年)

船外機の軽量化によるエネルギー効率の向上

① 従来モデルより軽量な次世代大型船外機のラインナップを市場導入

電動アシスト自転車の電費改善:
 2019年比8%

① 国内での軽量化車両の立ち上げ(2028年~順次)
 軽量化車両:2モデル(2028年末)
 電費改善:2019年比3%(2028年末)
② e-Kit*の48V化によるドライブユニット効率の向上(2026年~順次置換)
 置換率:75%(2028年末)
 電費改善:2019年比4%(2028年末)
 * 当社製電動アシストシステム

CO2排出が少ない燃料への対応

フレックス燃料(E85)に対応した二輪車を開発:2モデル

① フレックス燃料対応モデル開発の推進

カーボンニュートラル燃料(水素、FCV、バイオ燃料、合成燃料)に対応したマリン製品技術の蓄積

① 先行開発と実現可能性検証の継続

アルコール燃料(E27)に対応した無人ヘリコプターの販売:
 台数比率45%以上

 2026年にアルコール燃料対応機の立ち上げと販売

 

 

 

安全・安心

当社の製品による死亡事故ゼロに向けた活動推進

目指す姿(2030)

中期目標(2025-2027)

技術

先進運転支援システムを搭載した二輪車を市場投入

① エアバッグ搭載車開発準備推進

② 先進運転支援システム開発継続

更なる先進技術を織り込んだ電動アシスト自転車を市場投入

① コネクテッドによる市場情報収集の強化と開発への織り込み

② 新チャイルドシートを市場導入(2027年末)

③ e-Kitと連動したEPS*・ABSを市場導入(2027年末)
 * Electric Power Steering

無人ヘリコプターによる事故を低減
(事故率3%以内、重大事故発生ゼロを継続)

① 障害物検知機能の向上
 稼働機体に対する障害物探知使用率:50%

技量

二輪車運転者による事故低減のための適切な教育を展開

① Yamaha Riding Academy(YRA)とマイクロラーニングの展開
 受講者数:32カ国/6,600回/36万人
 ※前中期目標から8千人増(2025-27年)

電動アシスト自転車操縦者への安全運転に対する理解促進活動を実施
(2024年実績の2倍:2024年9回実施)

① 販売会社と連携した啓発活動の継続
 交通安全啓発イベントの実施:10回以上(2025年)、10回以上(2026年)、15回以上(2027年)

ボート操船中の事故ゼロに向けた製品やサービスの市場導入

① ボート搭乗員の落水検知システムの市場導入と普及

無人ヘリコプターの操作による事故を低減
(事故率3%以内達成、重大事故発生ゼロを継続)

① 安全操作に対するお客さまへの啓発実施と現場確認
 安全研修の実施:稼働オペレーターの80%以上
 現場巡視の実施:3回(2025年)、4回(2026年)、5回(2027年)

つながる

二輪車の点検や整備の適切なタイミングをお知らせする機能を展開

① 車両つながるアプリ「Y-Connect」ダウンロード回数(2020年からの累計):600万回(2025年)、700万回(2026年)、840万回(2027年)

② サービスリマインダー機能の展開

電動アシスト自転車の安全安心走行のための情報や車両の異常をお知らせする機能を展開

① e-Kitの標準品販売へのアプリケーション展開率:100%

安心を支えるコネクテッド機能を備えた船外機を普及

① コネクテッド機能を備えた船外機を大型から中小型までに拡大

② コネクテッド機能を備えた船外機の提供地域(国)を拡大

 

 

モビリティ技術の活用で高齢者や過疎地での交通弱者が利用できる交通インフラを提供

目指す姿(2030)

中期目標(2025-2027)

高齢者の生活の質の改善のためのグリーンスローモビリティのソリューションを確立し健康寿命を延ばすことに貢献

① グリーンスローモビリティの進化を通じて全ての人が活用できる安全でやさしい移動を提供することで生活の質の向上を実現
 実証実験自治体数:3件

② 社会的インパクトの計測手法の確立と明示

 

 

 

(2) ヤマハ発動機グループの気候変動への対応

当社は気候変動対策に関する国際的な枠組みであるパリ協定の趣旨に賛同し、サステナビリティ基本方針において、地球温暖化防止に向けた技術開発の推進、事業活動における環境負荷の最小化、ならびに生物多様性の保全及びその持続可能な利用への取り組みを掲げています。これらの方針に基づき「ヤマハ発動機グループ環境計画2050」を策定し、2035年にScope1及びScope2カーボンニュートラル、2050年にScope3を含むサプライチェーン全体でのカーボンニュートラル達成を目標としています。また、気候変動が事業活動に与える影響等の情報開示の充実を図るため、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に基づく情報開示を行っています。

 

① ガバナンス

環境分野を重要な経営課題の一つと位置づけ、「環境委員会」を設置しています。環境委員会は年4回開催し、環境関連課題に係る基本方針や重要事項の審議・検討、環境計画2050達成に向けた進捗レビューを実施し、サステナビリティ委員会に報告・上程します。

また、環境委員会直下に環境推進会議を設置しています。同会議は各部門の責任者が参加し部門横断的な視点から環境計画2050達成に向けた対応策等について協議を実施しています。

 


 

 

 

② 戦略

当社では、気候変動に関する将来のリスク及び機会を評価するにあたり、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)第6次評価報告書を参照しています。2050年カーボンニュートラルの実現に向け、不確実性に対応するため、産業革命前からの気温上昇を1.5℃に抑える目標に相当するSSP1-1.9及びSSP1-2.6シナリオに加え、国際協調が進まず気候変動への対応が限定的となるSSP3シナリオを選択しています。これらのシナリオに基づき、気候変動に関するリスク及び機会を特定し、対応する戦略を策定しています。

 

(主な事業リスクと機会)

シナリオ

SSP1(持続可能な発展の下で、1.5℃以下に抑える気候政策を導入するシナリオ)

SSP3(地域対立的な発展の下で気候政策を導入しない中~高位参照シナリオ)

戦略

移行
リスク

政策・法規制

各国・各地域の排ガス規制やCO2排出量規制対応の開発コスト増加

各国地域の一番厳しい規制に準拠したモデル開発とグローバル展開

政策・法規制

炭素税の導入による操業コスト増加

1.5℃シナリオに沿ったScope1、2のCO2排出削減量目標を設定

技術

電動化への取り組みが各メーカーで加速され始めると、レアアースの需要が高まり、原料の調達が困難になるリスク

同業他社との協業にてバッテリーの相互利用を見据えたバッテリー規格共通化やインフラ整備のコンソーシアムを発足し電動モデルの普及促進にむけた活動を推進

市場

化石燃料使用の乗り物の市内走行禁止によるICE系二輪車販売減少のリスク

化石燃料に代わる次世代動力源を用いたモビリティ製品(電動二輪車、電動アシスト自転車、低速電動ランドカーなど)の開発強化とCASEを見据えた社会インフラとの統合に向けたパートナーとの協業を推進

評判

投資家などステークホルダーから情報開示が不十分と評価されるリスク

個人投資家向け会社説明会や、機関投資家との積極的対話

物理的
リスク

急性

極端な気象現象が、操業に影響を及ぼすリスク

自社及びサプライヤーのリスク調査と対応体制の構築

慢性

長期的な極端気候が、操業及び販売に影響を及ぼすリスク

気温上昇や洪水を想定した商材の耐熱・防水対策

 

 

 

シナリオ

SSP1(持続可能な発展の下で、1.5℃以下に抑える気候政策を導入するシナリオ)

SSP3(地域対立的な発展の下で気候政策を導入しない中~高位参照シナリオ)

戦略

機会

資源効率性

生産工程におけるエネルギー効率の改善

理論値生産活動をグローバルに展開

エネルギー源

製造拠点における再生可能エネルギーの活用

太陽光発電のグローバル導入拡大
CO2フリー電源の導入拡大

製品/サービス

低炭素商品の開発拡大
BEV商材の拡充と拡販

電動アシスト自転車、電動二輪車、ゴルフカー、電動車椅子、産業用無人ヘリコプターなど、さまざまな製品群の電動モデルの販売拡大

市場

各国・地域のグリーン戦略や政府補助金などによる当社製品群の需要拡大

世界的な電動化製品の需要増加に備え、電動化製品の開発、ラインナップの拡充

評判

環境分野に特化した新規市場・地域へのアクセス

環境・資源分野に特化した自社ファンド設立

レジリエンス

各国・地域のエネルギー政策や多様なエネルギー源に対応した製品・サービスによる収益増加

CN燃料(水素・バイオ・合成液体燃料など)など、多様なエネルギー源への対応技術開発

 

 

③ リスク管理

ヤマハ発動機では、「事業戦略」と「事業継続」の2つの側面から気候変動リスクの特定と評価を行っています。

 

a.リスクの特定

各事業・機能部門は、短期・中期・長期の気候関連リスクを「低炭素経済への移行に関するリスク」と「気候変動による物理的変化に関するリスク」に分けてそれぞれの側面が事業に与える財務影響を考慮し、また気候変動緩和策・適応策を経営改革の機会として事業に与える財務影響を考慮し、事業中期計画の中でリスクと機会を特定します。

 

b.リスクの評価

環境活動を管掌する執行役員を委員長とする「環境委員会」は、各事業・機能部門が特定したリスクと機会に対する事業戦略としての具体的取組を評価します。

 

c.気候変動リスクの「管理」プロセス

「環境委員会」は、各事業・機能部門が特定したリスクと機会に対する具体的取組の進捗を管理し、「サステナビリティ委員会」及び「取締役会」で結果を報告します。また、事業に重要な影響を及ぼす案件については審議し、取締役会で報告または上程を行います。

 

④ 指標及び目標

2050年目標

サプライチェーン全体でカーボンニュートラル

2035年目標

Scope 1、2:カーボンニュートラル達成

Scope 3 Cat.11のCO2排出原単位:27%削減(2024年度比)

2030年目標

Scope 1、2:80%削減(2010年度比)

Scope 3 Cat.11のCO2排出原単位:13%削減(2024年度比)

 

 

2024年度の温室効果ガス(GHG)排出実績

Scope 1、2(t)

374,555

Scope 1

Scope 2

133,689

240,866

Scope 3(t)

Cat 1~15

Cat 11

56,451,485

53,456,678

 

 

Scope 1、 2排出実績推移

 

2010年

2020年

2021年

2022年

2023年

2024年

(基準年)

排出量(t)

662,261

442,533

500,903

465,326

402,658

374,555

排出原単位(t/売上収益:億円)

51.2

30.1

27.6

20.7

16.7

14.5

削減率(2010年度比)

▲41.2%

▲46.1%

▲59.6%

▲67.4%

▲71.6%

 

 

対象範囲

 :ヤマハ発動機及び連結子会社138社を含む全146社の主要施設

 :敷地外移動体に利用される燃料は除く

 :構内サプライヤーのエネルギー使用量は除く

 :アセチレンは除く

 

Scope 3排出実績推移 Cat 11-製品の使用段階(2024年以降) ※1

 

2024年

(基準年)

排出量(t)

53,456,678

排出原単位(t/販売台数)

9.00

削減率(2024年度比)

 

 

算定対象:ヤマハ発動機グループで販売する主要製品
(二輪車、船外機、電動アシスト自転車、ゴルフカー、サーフェスマウンターなど)

算定の概要:対象期間におけるアジア、欧州、北米、日本、その他の各地域の販売台数に、製品ごとに想定される
生涯活動量(※2)及び排出原単位(※3)を乗じて算出したガソリン及び電力消費量に伴うCO2排出量

 

※1 Scope 3 Cat.11で多くのCO2排出量を占める二輪車、船外機の計算方法の見直しを実施

※2 製品の生涯活動量(年間走行距離や生涯使用年数などの条件)をIEAなどの国際団体が開示する条件に見直し

※3 製品の燃費などのデータを基に、環境省やIEA World Energy Outlook 2024 Free Datasetに基づく燃焼排出係数から算出

 

なお、ヤマハ発動機グループの環境への取組についてこちらのサイトもご参照ください。

https://global.yamaha-motor.com/jp/sustainability/environment/

 

 

(3) ヤマハ発動機グループの人的資本

グローバルな事業展開の中、進化・変化していく市場ニーズに機敏に対応できる組織体制づくりに加え、個人と会社が高い志を共有し、事業の発展及び個人の成長の実現に向けて協力し合うことで、感動を創造し続けることができると私たちは考えます

多様な人財がワクワク、自ら感動しつつ、失敗を恐れず高い目標へチャレンジできる会社を目指し、2025年から始まった中期経営計画における人事のミッションステートメントを ”Challenge & Growth ~多様な社員にチャレンジの機会を!ヤマハ発動機らしいチャレンジで個人と会社の成長を!” と設定しました。社員の主体的な活動に焦点を当てて次の感動創造につなげる取組である ”NEXT KANDO ACTIONS” と連携しながら、社員の挑戦と成長を後押ししていきます。

また、従業員の就業環境の改善や心理的安全性の確保、ハラスメント防止に関しても全社を挙げて取り組んでおり、具体的な目標数値を定めてエンゲージメントの向上を目指しています。

 

① ガバナンス

人的資本経営のさらなるガバナンス強化と戦略の最適化を実行するために、2024年に人的資本経営委員会を設置しました。役付執行役員、海外拠点長を参加者とし、グローバル規模での人的資本に関する主要課題である人財投資戦略、エンゲージメントの向上、ダイバーシティの促進等の議論を積極的に行っています。また、ヤマハ発動機グループの経営幹部候補の人財育成計画、配置及び育成状況についての審議を行うことを目的に、タレントマネジメント委員会を設立しました。これらを通じ、従業員のキャリアに対する自主性並びに将来のキャリアパスの透明性を向上させていきます。

 

② 戦略

多様性を認めた一人ひとりが働きやすい環境づくり

当社は、社員エンゲージメントを重要な指標と位置づけ、2025年からの中期経営計画においてエンゲージメントポジティブスコア80%以上をグローバル共通の目標として設定しました。引き続き、エンゲージメントの向上を目指し、全社を挙げて取り組んでいきます。2022年からYamaha Motor Global Awardを導入し、2023年には、社員も投票に参加することができる「社員投票最優秀賞」を設置、そして2024年には、縁の下の力持ちとして事業継続やサステナビリティに欠くことのできない貢献をしている「影の貢献者賞」を新設しました。2025年度は国内・海外事業部門とグループ会社から挙がった35エントリーからヤマハ発動機らしさを体現する6つの優れたプロジェクトを表彰しています。このような、成功を祝う活動を通じて社員エンゲージメントの向上を図り、Yamaha Day(当社の創立記念日にあたる7月1日とヤマハ株式会社の設立記念日にあたる10月12日をYamaha Dayと定め、本社及び国内外グループ各社にて自律的なイベントを開催)をはじめとする社内イベントとも連動しながら授賞式を行っていきます。

また、エンゲージメントを高める取組として、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンと人財育成に力を入れていきます。

ヤマハ発動機グループの企業理念である「感動創造企業」を実現するためには、さまざまなバックグラウンドで活躍する人々がお互いを認め合い、成長していくことでその価値を最大限発揮することが重要です。また、持続的な成長を実現しお客さまの期待を超える新しい価値を生み出し続けるためにも、多様な視点や価値観を持った人財の育成、活躍が不可欠であると考えています。

 

多様な人財が集まり、互いの異なる視点や価値観を尊重しながら、新たな気づきや発見を価値創造につなげていける組織風土を醸成するために、2023年9月に「ヤマハ発動機グループ ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I)方針」を制定し、職場内及び子会社への周知を行っています。当方針の中で「ダイバーシティを通じて感動を創造する」ことをステートメントの中心に置き、「RESPECT.」(リスペクト ピリオド)を行動原則としています。「RESPECT.」とは、ヤマハ発動機グループの全員が、同僚、お客さま、サプライヤー、その他のステークホルダーに対して、他者の意見や権利を価値あるものとして認識し、接する責任を持つことを意味します。その上で「重点領域とヤマハ発動機グループの姿勢」を定め、全ての役職員が年齢、性別、性的指向、性自認、障がい、国籍、人種、宗教・信条、価値観、経験などに関わらず自分の個性(強み・経験・考え方)を最大限に発揮できる職場を目指しています。

「性別」に関わる取組として、女性活躍推進の観点から、女性の管理職比率について目標を設定し取り組んでおり、ヤマハ発動機グループ全体では、女性管理職比率を2023年の11.1%から2027年に13%とする目標を設定しました。この目標の達成に向けて継続して取組を進めていきます。

さらに、重点領域の一つである「LGBTQ+」については、同性パートナー等の取扱いに関する規定を新設しました。就業規則や福利厚生制度において、パートナーシップ宣誓等を行った同性パートナーは、法律上の婚姻関係にある配偶者とみなすとともに、同性パートナーの子も、従業員との養子縁組の有無に関わらず子とみなすとしました。今後も、性自認や性的指向に関わらず、社員一人ひとりが安心して受け入れられ、自分らしく働くことができるような職場環境の整備を進めていきます。

 

人財育成方針

ヤマハ発動機グループでは求める人財像を以下のように定めています。

 

1. 自己価値向上に努力する自立・自律型の人財

2. チームワークを大切にした行動ができる人財

3. ヤマハブランドの価値を高められる人財

 

事業の発展と感動創造企業の実現のため、事業戦略と連動して上記のような人財を効果的に採用・育成・評価・処遇・配置するための人事戦略を実施していきます

 

グローバル人財の活用

人財のグローバル化については、性別・年齢・国籍及び原籍等を問わず優秀な人財の早期発掘、キャリアプランの検討、育成、登用を進めています。具体的には、以前から進めてきたグローバルコアポジションの後継者管理に加え、グローバルでの次世代経営人財の発掘と育成強化、人財の可視化を目的としたグローバル人財データベースの拡充に着手しました。

また、2020年からグローバル人事異動を促すGAP(Global Assignment Policy 旧:Yamaha Assignment Policy)を導入し、優秀な人財の国際間異動を推進しています。これまでに27件の実績があり、今後もさらなる拡大を図っていきます。

 

 

人財育成

階層に応じた研修をはじめ、ハイポテンシャル人財に対する選抜研修、機能面での専門スキルを磨く研修、世界で活躍できる人財を目指す海外トレーニー制度、チーム力を高めて組織としてのパフォーマンスを高めるコーチング研修やダイバーシティ研修などを整備しています。また、自ら学ぶ風土の定着に向けて、自己啓発への支援を拡充し、学びの選択肢を増やすとともにオンデマンド型教育を整備しています。

人財育成に関しては、成長を望めば誰しもが機会を与えられる仕組みの構築を目指し、Yamaha Motor Learning System(YLS)オンライン・オンデマンド型の学習プラットフォームの導入と、自己啓発講座の推進を進めてきました。YLSの利用者数は約2万人に達し、自己啓発講座は社員の多様な学びのニーズに対して豊富な選択肢を提供できるようカフェテリアプラン(※)の適用範囲を外部の自己啓発講座・セミナー・オンライン語学講座・オンライン学習サービス・自己啓発用テキスト・書籍購入にまで拡大しました。また、グローバルな経営人財を育成するための選抜研修プログラムを2015年から実施し、これまで延べ179人が参加しています。

 

※ それぞれのライフスタイルに合わせて、会社が設定した福利厚生メニューの中から好きなメニューを選び、補助を受けることができる「選択型福利厚生制度」

 

当社のモノづくり現場では、「人が主役のモノづくり」を軸に、人財の獲得・育成・配置・定着の仕組みを強化しています。

事業を継続・発展させるためには、製造業を魅力的な仕事として認知してもらい、これからの世代からも選ばれる現場づくりが欠かせません。そのため、女性活躍推進、社内DX留学による製造DX人財育成、監督職・匠・保全人財の育成を総合的に進め、「生産職中心の工場経営を実現するキャリアパス」を構築しています。社員がキャリアを明確に描き、志向に応じて成長できる支援制度の整備にも取り組んでいます。特に監督職、DX人財については、育成講座やDX推進部門への社内留学制度を通じ、選抜・段階的育成・評価を組み合わせた育成プログラムを、社内リソースを投入して実運用しています。

さらに、当社のモノづくりの基本理念「ヤマハ発動機モノづくりWay」教育動画をグループ会社やお取引先に展開することで、理念共有と人財育成を進め、製品価値向上につなげています。

 

健康かつ安心して働ける安全な環境づくり

当社グループでは、従業員の健康・安全を企業成長の基盤と考え、労働環境の向上に努めています。ヤマハ発動機グループ労働安全衛生基本方針、「安全・健康 最優先」の考えの下、従業員全員参加で安全と健康の確保に取り組むとともに、快適な職場環境の形成を促進しながら、業務遂行の円滑化を図り生産性の向上にもつなげています。

ヤマハ発動機においては、従来から推進してきた労働安全衛生マネジメントシステム(OSHMS)を再構築し、2023年に国際規格であるISO45001を導入、認証を取得しています。マネジメントシステム運用の中軸である、職場におけるリスクアセスメント(危険性や有害性を特定・評価)の実施、その結果に基づく計画的な労働安全衛生リスクの除去・低減に取り組み、労働災害の未然防止を図っています。また、全従業員の安全意識向上のため、法規制上の教育・講習はもちろん、リスクアセスメントや実践的な危険予知トレーニング等、各種教育・研修の充実にも取り組んでいます。

なお、2023年5月、当社浜北工場(浜松市浜名区)にてエンジン部品加工作業に従事していた社員1名が死亡する労働災害事故が発生しました。このような重大な労働災害を二度と発生させないため、労働安全衛生マネジメントシステムの運営強化に加え、設備機械の安全対策、「安全の日」設定による安全意識の高揚など、再発防止に取り組み続けます。

ヤマハ発動機グループ全体の労働安全衛生水準の向上に向けては、労働災害発生リスクが相対的に高いと考えられる製造拠点を中心に、ISO45001を基軸とした労働安全衛生マネジメントシステムの整備を進めるとともに、継続的な改善に取り組んでいます。2025年にはヤマハ発動機とグループ会社の認証を一つの枠組みで運用するISO45001統一認証(グローバル認証)をスタートさせました。今後も製造拠点における労働安全衛生マネジメントシステムの整備を進めるとともに、統一認証の枠組みを拡大することで、グループ全体の労働安全衛生水準のさらなる向上及びガバナンス強化を図っていきます。

 

一方、健康に関しても、会社の発展に欠かせない重要な経営課題ととらえ、会社・社員が一体となって健康の保持・増進に取り組んでいます。

具体的には、ヤマハ発動機では健康診断受診率100%の達成、メタボリックシンドローム(該当者+予備群)・喫煙率・メンタル不調による休職者の低減を重点課題とし、各種施策を推進しています。メタボリックシンドローム低減に向けては、若年層を含むリスクを抱えた社員に対する看護職・管理栄養士による継続的な保健指導の実施、専門医の治療に早期につなぐための受診勧奨となる「イエローペーパー制度」の運用等を行っています。また、喫煙率低減に関しては従来の禁煙支援に加え、2024年1月よりヤマハ発動機敷地内・就業時間中の全面禁煙化を開始し、国内グループ会社にも順次展開しています。

社員のメンタル不調を未然に防止するため、ストレスチェック実施後には高ストレス者の希望者全員に産業医や看護職等によるフォロー面談を実施するとともに、集団分析結果を職場へフィードバックし職場環境改善につなげる他、セルフケア・ラインケア等のさまざまな教育・研修も実施しています。

フィジカル・メンタル双方の休職者に対しては、復職前に社内リワークプログラムを実施し、復職後も所属長・人事部門・産業医が連携して約1年ほどフォローすることで再発防止に努めています。

また、人事部門と健康推進部門が連携し、適正な労働時間管理の徹底を図りながら、過重労働対策とワークライフバランスの確保に取り組んでいます。女性特有の健康課題に対応するための専用相談窓口やセミナー等の整備など、さまざまな取組をきめ細かく展開しています。

これらの活動を通じ、ヤマハ発動機は健康経営を戦略的に取り組む法人を認定する「健康経営優良法人認定制度」において健康経営優良法人2026(大規模法人部門)・ホワイト500に認定されています。

 

コンプライアンスの遵守

ヤマハ発動機グループでは、グループ全体のコンプライアンス遵守の体制を構築する目的で、チーフ・リスク・コンプライアンス・オフィサー(CRCO)を2025年1月に任命し、CRCOが委員長となり指名する執行役員を委員とする「グローバルリスク・コンプライアンス経営委員会」において、コンプライアンス遵守のための計画を審議し、その実行状況やコンプライアンス遵守の風土についてモニタリングを行います。また、その下部委員会として、CRCOが指名する主要各地域を統括するリスク・コンプライアンス・オフィサーを委員とする「グローバルリスク・コンプライアンス推進委員会」を設置するとともに、本社各リスク主管部門長等による「リスク・コンプライアンス推進会議」を設置し、コンプライアンスについての方針や計画、モニタリングと対策などを専門的視点で審議することとしています。そしてこの結果は、グローバルリスク・コンプライアンス経営委員会での審議事項としてCRCOよりESGリスクとともに取締役会に適宜報告するものとされており、実効性を担保した体制を整備しています。具体的な活動は「コンプライアンス管理規程」に従って展開し、CRCOとコンプライアンス統括部門がグループ全体の活動を管理します。

また、コンプライアンス風土を測定する手段の一つとして、グループ会社共通のコンプライアンス意識調査を毎年実施し、「倫理行動規範」の理解度や規範の実践度合い、レポーティングラインやホットラインの利用度、教育の有効性などコンプライアンス施策の有効性を確認しています。また、調査の結果や社会の潮流も踏まえ、「倫理行動規範ガイドブック」の毎年の更新と「倫理行動規範」の定期的な見直しを行っています。

この倫理行動規範では、日々の活動の中で遵守すべき行動基準をコンプライアンスの視点から表していますが、中でも人権は重要なものと位置付けており、職場で人権を侵害し得る、職場でのセクシュアルハラスメントや、職場における地位や人間関係などの優位性を背景にした相手の人格・尊厳の侵害など、あらゆる種類のハラスメントを一切禁止しています。そのために主にマネジメント層に対して「人権・ハラスメント」研修を毎年開催しています。もしハラスメントの報告を受けた際には当事者から詳細なヒアリングを行い事実確認した上で、懲戒を含めた適正な対応を行うとともに、再発防止に向けた取組を進めています。

関連法令、社内規則または倫理行動規範等に違反する行為に気付いた場合の通報先として「コンプライアンス・ホットライン」及び「グローバルホットライン」を設置し、国内外のグループ会社からの内部通報を受け付けるとともに、必要な調査・是正を実施しています。加えて、仕入先からの通報を対象にした「フェアビジネスホットライン」、社外ステークホルダー向けの「人権ホットライン」を設置し、課題の是正・救済に取り組んでいます。

 

 

ヤマハ発動機が受け付けたホットラインの件数

2023年

2024年

2025年

203件

247件

264件

 

 

③ リスク管理

ヤマハ発動機グループでは、必要なリスクを網羅したリスク管理台帳を作成しており、リスク管理台帳を適切に管理・運用することにより、リスク低減を図っています。この中に「ダイバーシティへの対応不足」という項目を織り込み、「多様性のある人財を確保できず、斬新なアイデアの喚起、社会の多様なニーズへの対応が遅れる」ことをリスクととらえ、対応できなかった場合には「性別や人種、年齢、学歴などの多様性を欠き、企業活力が低下する」「企業価値の訴求不足によって有能な人財の確保が困難になる」ことをダメージとして想定しています。

 

④ 指標及び目標

エンゲージメントスコア

集計対象

2023年

2024年

2025年

ヤマハ発動機 単体

61%

63%

65%

ヤマハ発動機 単体
 +子会社

(注)

79%

82%

 

82%

 

 

(注)各社エンゲージメントスコアの合計を会社数で除して算出。2024年までは本社単体+海外主要子会社12社のみが集計対象だったが、2025年は対象会社を従業員500名以上の会社へ拡大(34社)

 

目的: 調査を通じて会社全体や各組織のエンゲージメントを可視化し、エンゲージメントに特に影響度が高い要素と各組織の強み・課題点を特定することで社員が働きがいのある職場環境を社員全員で作り上げることを目指す

内容: 社員のエンゲージメント並びにそれらに影響を与える「心理的安全性」「キャリア」「将来性」「成長と能力開発」「会社戦略」「リーダーシップ」「協働」「コミュニケーション」「インクルージョン」等に関する設問

指標: 5段階評価における肯定的回答の割合

目標: 今中期経営計画(2025年-2027年)においてグローバルで80%以上

 

産休・育休取得状況

集計対象

データ区分

2023年

2024年

2025年

ヤマハ発動機 単体

女性取得率

94%

113%

113%

女性復職率

93%

100%

94%

男性取得率

65%

69%

80%

男性取得者数

193人

230人

272人

国内グループ

女性取得率

125%

141%

88%

女性復職率

100%

88%

100%

男性取得率

49%

59%

75%

男性取得者数

42人

48人

58人

 

(注)取得率については、過年度に出産した従業員または配偶者が出産した従業員が翌年度に育児休業を取得することがあるため、取得率が100%を超えることがあります。

 

 

女性従業員比率

集計対象

2023年

2024年

2025年

ヤマハ発動機 単体

12.7%

13.0%

14.0%

国内グループ会社

22.2%

22.4%

22.6%

北米

30.5%

30.8%

30.2%

欧州

22.4%

21.0%

22.7%

アジア

24.1%

23.7%

24.1%

その他

24.9%

26.4%

29.9%

全体

22.4%

22.0%

22.5%

 

 

女性管理職比率

集計対象

2023年

2024年

2025年

ヤマハ発動機 単体

3.7%

3.8%

3.7%

国内グループ会社

5.5%

6.5%

8.0%

北米

19.5%

20.3%

22.8%

欧州

16.4%

20.5%

16.4%

アジア

14.3%

16.0%

17.1%

その他

17.7%

19.0%

22.9%

全体

11.1%

12.1%

12.9%

 

 

コアポジション現地化率 (注)

2023年

2024年

2025年

55.6%

57.5%

56.4%

 

(注)海外子会社のコアポジション(本社部長級)に占める現地人財の比率

 

選抜研修の参加者数

選抜研修

2023年

2024年

2025年

Global Executive Program (注)

-

18人

-

Yamaha Business School Global (注)

24人

-

24人

Regional Development Program

71人

-

47人

Yamaha Business School Junior

25人

25人

25人

 

(注)Global Executive Program、Yamaha Business School Globalは隔年で実施

 

自己啓発講座受講数(延べ人数)

集計対象

2023年

2024年

2025年

ヤマハ発動機 単体

4,219人

3,250人

8,762人

国内グループ会社

820人

773人

1,567人

 

 

従業員一人当たり研修時間 (注1)

集計対象

2023年

2024年

2025年

ヤマハ発動機 単体

14.8時間

18.0時間

23.5時間

国内グループ会社(注3)

9.7時間

10.4時間

14.1時間

 

 

 

従業員一人当たり研修費用 (注2)

集計対象

2023年

2024年

2025年

ヤマハ発動機 単体

39,000円

52,000円

198,000円

国内グループ会社(注3)

23,000円

24,000円

81,000円

 

(注)1 コンプライアンス教育・安全衛生等法令に関する研修や新入社員研修を除く。また、2024年から自己啓発講座の機会提供の拡大(会社が対象講座を指定する方法から、個人が自由に選択する方法へ変更)を実施したことに伴い、自己啓発講座受講時間数の把握が困難となったため、自己啓発分を除いた時間数を遡及して計算

   2 2025年から人件費を研修費用に追加。また研修費用の集計対象を拡大

   3 国内グループ会社で提出のあった拠点のみが対象

 

労働災害 発生件数(休業災害以上)

集計対象

2023年

2024年

2025年

ヤマハ発動機 単体

11件

12件

12件

国内外グループ会社(注)

172件

126件

151件

 

 

労働災害 休業度数率(100万延べ実労働時間当たりの労働災害による死傷者数)

集計対象

2023年

2024年

2025年

ヤマハ発動機 単体

0.39人

0.42人

0.39人

国内外グループ会社(注)

1.58人

1.00人

1.22人

 

(注)2023年の対象範囲は連結子会社130社中127社。2024年の対象範囲は連結子会社138社中136社。2025年の対象範囲は連結子会社139社

 

なお、ヤマハ発動機グループの人的資本経営についてこちらのサイトもご参照ください。

https://global.yamaha-motor.com/jp/sustainability/social/human_capital/

 

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を以下に記載しています。なお、これらは全てのリスクを網羅したものではなく、これら以外にも投資者の判断に影響を及ぼす事項が発生する可能性があります。また、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2026年3月23日)現在において当社グループが判断したものです。

 

<1>    リスクマネジメントの取り組み

リスクマネジメント対応のために適切な体制や規程を整備・運用し、リスク低減活動に取り組んでいます。平常時の予防活動として、当社グループが対処すべきリスクについて担当部門を明確にして対策を推進し、グループ全体で活動を行っています。重大な危機が発生した場合には、社内規程等に基づき、社長執行役員を本部長とする緊急対策本部を設け、損害・影響を最小限にとどめています。

 

<2>    リスクマネジメント体制

「リスクマネジメント規程」に基づき、チーフ・リスク・コンプライアンス・オフィサー(CRCO)が委員長を務め、CRCOが指名する執行役員を委員とする「グローバルリスク・コンプライアンス経営委員会」、及び下部組織としてCRCOが指名する各地域のリスク・コンプライアンスオフィサー(RCO)を委員とする「グローバルリスク・コンプライアンス推進委員会」とリスクマネジメント統括部門とリスクの主管部門で構成される「リスク・コンプライアンス推進会議」を設置し、グループ全体のリスク状況をモニタリングしています。同時に、重点的に取り組む「グループ重要リスク」の選定、対策活動のチェックなどを行い、グループ全体のリスク低減を図っています。またリスクの主管部門は、主管リスクについて対応方針、規程等を定めるとともに、本社各部門及びグループ会社に対して対応方針等に基づく対策活動の推進、活動モニタリングなどを行います。その実効性を担保するため、統合監査部はリスク主管部門に対して監査を実施しています。

 


 

<3>    リスクマネジメント活動サイクル

リスクマネジメント活動は、下記のPDCAサイクルを回すことで推進しています。当社グループでは、必要なリスクを網羅したリスク管理台帳を作成しており、リスク管理台帳を適切に管理・運用することにより、リスク低減を図っています。


 

<4>    グループ重要リスク

毎年、リスクの中でも特に重点的に予防・対策に取り組むべきものをグループ重要リスクに定めています。グループ重要リスクは、グループ全体のリスク評価結果に加え、グループ事業戦略、グループ内外の法令変更、環境変化及び発生事案情報などを踏まえ、総合的に判断・選定されます。

 

<5>    事業等のリスク

 

(1)経済環境変化リスク - ①市場における競争環境変化

<リスク>

当社グループは、事業を展開する多くの市場において激しい競争環境の変化にさらされており、このような競争状態のために当社グループにとって有利な価格決定をすることが困難な状況に置かれる場合があります。このような競争状態は、当社グループの利益の確保に対する圧力となり、その圧力は特に市場が低迷した場合に顕著となります。また、当社グループは、激しい競争の中で優位性を維持又は獲得するために、競争力のある新製品を市場に投入し続けていますが、資源を投入して開発した製品が計画通り販売出来ない場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

<対応策>

モーターサイクル事業においては、今後10年で急速に拡大することが予想されるアセアン・インドの上位中間層をターゲットに、プレミアム戦略を加速し、収益性の向上を目指しています。具体的には、アジア主要国でのプレミアムオートマチックスクーターやプレミアムスポーツモデルに注力することを戦略的に取り組んでいます。また、ボディやエンジンのプラットフォーム化を導入したことで開発のスピードが上がり、お客様の求める商品を適切なタイミングで上市しています。

マリン事業においては、当社グループとしてグローバルに拠点を構える販売子会社との連携により、市場の変化にフレキシブルに対応する事業運営を行っています。特に先進国では、エンジンの卸先であるボートビルダーと長期契約に基づく関係を築くことで販売の安定化を図っています。エンジンとボートの操船に関わる周辺機器をセットで提供することで、当社ブランド製品に対するロイヤリティを高めています。

 

 

 

(1)経済環境変化リスク - ②為替の変動

<リスク>

当社グループは、日本を含む世界の国々で生産活動を行い、その製品を世界各国に輸出しており、製造のための原材料や部品の調達及び製品の販売において、各国で外貨建の取引があります。従って、為替変動は、当社グループの売上はもとより、収益及び費用等に影響し、その結果、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、当社グループは在外子会社の現地通貨ベースの業績を円換算して作成した連結財務諸表をもって業績及び財政状態を表示していますので、各通貨の円に対する為替レートの変動が当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

<対応策>

当社グループでは、為替ヘッジ取引や為替変動分の価格転嫁等により、為替レートの変動による影響を最小限に止める努力をしています。

 

 

(1)経済環境変化リスク - ③金利変動、資金調達環境の変化

<リスク>

当社グループは、事業活動の資金を内部資金及び金融機関からの借入や社債の発行等により調達しています。しかしながら、経済環境が変動した際、金融機関の融資姿勢や金融市場の不安定化により、また格付機関による当社信用格付けの引下げの事態が生じた場合などに資金調達を想定通り行うことが難しくなり、資金調達コストが増加するリスクがあります。

<対応策>

当社グループでは、適時に資金繰り計画を作成・更新するとともに、手元流動性を適度に維持しています。加えて、銀行借入や社債の発行など資金調達の多様化を進めることにより流動性リスクを低減しています。また、借入金に係る支払利息の金利上昇リスクを抑制するために、固定金利で長期資金調達又は金利スワップ取引等を利用することがあります。

 

 

(2)海外事業展開リスク

<リスク>

当社グループの売上収益に占める海外比率は約90%となっています。地政学リスクをはじめ、外的要因による経済安全保障リスクは高まりを見せており、当社グループが事業を展開している国又は地域における予期しない輸出入規制の運用・改廃、不利な影響を及ぼす税制・関税等の変更、外貨規制、移転価格税制を含む税務調査・追徴課税などが発生した場合には当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

<対応策>

当社グループでは、リスク低減のため、国際情勢の動向や各国の法規制の改正等に関する情報を定常的に把握し、対応を実行しています。2023年7月より貿易管理・経済安保推進委員会を設置し、貿易関連の法令遵守だけでなく、経済安全保障に関するリスクの選定、対応策の審議・遂行をタイムリーに行う対応を進めています。幅広い機能・部門の責任者である執行役員以上のメンバーで構成された委員会の運営により、事業活動リスク(サプライチェーン維持、データ・情報管理、人事管理等)の把握を行い、リスク回避・低減の仕組み作りだけでなく、リスク顕在時の初動対応が図れる対応を進めています。昨今の安全保障環境の変化に伴い、これまで以上に強固な管理体制の整備が必要と考え、その構築を加速しています。米国関税、中国輸出管理令、外為法の改正等の経済安全保障に関連する各国の輸出入規制の改正に対しても、外部機関との連携を密に迅速な情報収集に努め、総合的なリスク制御・迅速な対応に努めています。

また、税務基本方針や移転価格設定方針を定め、早期に税務リスクを把握するために本社と各子会社の間で情報交換を行い、リスク低減のため方策を講じています。税務処理に不確実性がある場合は、税務当局への事前照会や外部専門家への相談を行い不確実性の排除に努めています。

 

 

 

(3)合弁事業リスク

<リスク>

当社グループは、一部の国又は地域において合弁で事業を展開しています。これらの合弁事業は、合弁パートナーの経営方針等により影響を受けることがあります。

<対応策>

合弁パートナーとは配当金による利益分配や損益を応分に負担する等で良好な関係を保つとともに、製品に係る知財を当社が保持することでパートナーの方針変更があっても事業を継続しやすい対応を取っています。

 

 

 

(4)特定の顧客・マーケットへの依存リスク

<リスク>

当社グループは、二輪車、船外機等の消費者向け製品を市場に供給しているだけでなく、顧客企業に対して自動車用エンジン等を供給しており、その売上は顧客企業の経営方針、調達方針等の当社グループが管理出来ない要因により影響を受けることがあります。

<対応策>

当社グループは、常に最新のマーケット動向へ目を向け、自動車エンジン等に加えてEV用電動モーター等の新商材開発を積極的に行い、取扱商材の多様化に向けた努力をすると同時に、顧客企業数を増やす活動を推進し、特定の顧客に過度に依存しない供給体制の構築を目指しています。

 

 

(5)調達リスク

<リスク>

当社グループは、製品の製造に使用する原材料及び部品等を当社グループ外の多数の供給業者から調達しており、これらの一部については特定の供給業者に依存しています。市況、災害等、当社グループでは制御出来ない要因により、当社グループがこれらの原材料及び部品等を効率的に、且つ安定したコストで調達し続けることが出来なくなった場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。原材料価格の今後の高騰や部品不足などが発生、長期化する場合には、当社グループの業績及び財政状態に重大な影響を与える可能性があります。

<対応策>

当社グループは、互換性のある部品や原材料への切替や、長期的な内示数量提示による供給数の確保などの対策を進めています。

 

 

 

(6)製品品質・リコール関連リスク

<リスク>

当社グループは、グループ品質保証体制の下に、世界各国の工場で製品を製造しています。しかし、法律や政府の規制に従い、或いは、お客様の安心感の観点から、リコール等の市場処置を実施する可能性もあります。また、当社グループは、製造物責任等の訴訟、その他の商取引、独占禁止、消費者保護などの法的手続の当事者となる可能性があります。大規模なリコール等の市場処置を講じた場合や当社グループが当事者となる法的手続で不利な判断がなされ、多額の費用・損害賠償責任が生じた場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

<対応策>

・品質マネジメントシステム

当社では、社長により表明された当社グループ全体の独自の品質方針ならびにISO9001規格に基づいた品質マネジメントシステムを構築し運用しています。これらの取り組みはグローバルに展開されており、本社において策定された3年間の中期計画に沿った活動が各拠点の中期目標として作成し実施されています。各事業で作成された中期計画の内容と進捗状況は年に1度の事業マネジメントレビューで見直しするとともに課題解決策の討議を行うということで品質マネジメントシステムにおけるPDCAサイクルを回しています。なお、各市場での商品の不具合情報や保証修理の情報などから市場における品質情報処理が適切になされているかを確認する委員会が設けられており、タイムリーな調査とマネジメントへの報告を行っています。

・市場情報収集と対応

市場で発生した品質問題は、国内外の販売会社のサービスを通じてその製品の製造工場に情報が集約される体制を作っています。その情報は設計、製造、サプライヤーなどの開発・生産部門に届けられ、連携して原因の究明や対策を実施するとともに、該当するお客さまへの適切な対応や再発防止策を策定していきます。製品事故が発生した場合や法規に抵触する可能性のある不具合が発生した場合は迅速にマネジメントへも情報が届くフローと討議できるシステムを設定しており、判断や決定に遅れがないようにしています。市場措置が必要であると決定した場合は、発生国の法規に従って迅速に当局に届け出を行い、販売会社からその製品のお客様に無償修理のご案内をダイレクトメールや電話、ホームページなどを使ってお届けしています。

・品質意識の醸成

お客さまに感動を提供するために、従業員一人ひとりが「ヤマハブランドを輝かせるのは他の誰でもない。私自身である」という高い当事者意識を持ち、気づく力(発見力)を磨き製品品質のみならず仕事の質そのものを高める活動をしています。

 

 

(7)人権侵害リスク

<リスク>

各国において、国際連合や国際労働機関が提唱する人権に関する国際規範や法令に基づく人権の取組みを求める法規の制定が進んでおり、サプライチェーン全体での人権リスクへの対応・順応の必要性が急速に高まってきています。これらの法規に対して適時適切な対応が出来なかった場合や、取り組みが奏功しない、もしくは不十分である場合、ブランドイメージの毀損や社会的信用の低下に加え、当社グループの生産活動の停滞や遅延、開発や購買や営業などの各事業、ビジネス活動にかかる追加の対応コストなどが生じる可能性があり、その場合には、当社グループの事業業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

<対応策>

当社グループでは、「ヤマハ発動機グループ人権方針」のグループ会社・取引先展開に加え、実業務に織り込むべく契約書への人権条項織り込みなどを実施してきました。また本方針に基づき人権デューデリジェンスにてリスクの特定に向けた活動、社内外に向けたホットラインの設定、教育・啓発活動を進め、グループ従業員及びサプライチェーンへの人権意識を高める取り組みを行っています。

 

 

 

(8)ハラスメントリスク

<リスク>

サプライチェーン全体での人権リスクへの対応・順応の必要性が急速に高まっている中、当社グループは従業員に対して、人種・国籍・生活信条・身体・性格・親族等についての誹謗中傷、人格を否定するような言動の禁止、セクシャルハラスメントをはじめとしたすべてのハラスメント行為の禁止を倫理行動規範でうたっています。しかしながら、ハラスメントは誰しも意図せず行為者になりうるものであり、ひとたび重大なハラスメントが発生すると、被害者だけでなく、会社、組織、事業活動そのものにも影響を与える可能性があります。

<対応策>

当社グループで展開しているダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I)の浸透、社員のエンゲージメント向上等の取組みを通じ、ハラスメントが起きにくい組織風土を醸成し、事案発生時には、再発防止も含め、迅速・適切に対応すると共に、ハラスメントを未然防止するための啓発、教育活動にも継続的に取り組んでいます。また、日本国内ではコンプライアンス案件通報窓口に加え、ハラスメント・労務問題専用の相談窓口を設置し、ハラスメントを受けた、見聞きした、という場合には速やかに相談できるレポートラインを整備しています。

 

 

(9)法規制の強化・法的手続リスク

<リスク>

当社グループが事業を展開する多くの国又は地域において、当社グループは、製品の安全性、燃費、排ガス規制、並びに工場からの汚染物質排出レベル等の広範囲な環境規制及びその他の法規制を受けています。これらの規制は変更されることがあり、多くの場合規制が厳しくなる傾向にあります。当社グループが事業を展開する国又は地域におけるこれらに関連する規制又は法令の変更があった場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

<対応策>

当社グループは、環境負荷の低減を目的としたグリーン調達を推進するためのガイドラインを制定し、さらに専任者を含むチームを置いて活動するなどの環境活動を推進しています。

 

 

(10)知的財産リスク

<リスク>

当社事業に関わる特許、商標、その他の知的財産が十分に確保されないことにより当社事業の差別化や優位性を喪失する場合及び第三者が当社グループの知的財産を不正に用いて類似した事業を行うことを効果的に防止できない場合や当社が第三者の知的財産を侵害して当社事業に影響を及ぼす場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

<対応策>

当社グループでは、知財戦略を担う部門を設置し、製品及びサービスを差別化して優位性を確保するために必要な特許権、商標権、その他の知的財産に関わる権利を各市場国で保有しています。そして、これらの知的財産を侵害する行為には、各国の当局等とも連携して法的手続きを含む各種対応を講じるとともに、知財部門による第三者の知的財産に関する調査及び分析を踏まえて事業活動を推進しています。

 

 

 

(11)情報セキュリティ・サイバーリスク

<リスク>

当社グループは、顧客の個人情報や技術的機密情報を適切に保護し、情報システムの安定稼働を維持することを重要課題と位置づけています。これらの情報が漏洩・紛失・不正利用された場合や、情報システムに障害が発生した場合には、社会的信用の低下や損害賠償責任の発生につながるおそれがあります。近年はランサムウェア攻撃の高度化や取引先を経由したサプライチェーン攻撃が増加しており、脅威は多様化しています。重要な情報システム(製造拠点の制御システムを含む)に障害が生じた場合には、製品供給や業務継続に大きな支障をきたし、当社グループの業績や財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

<対応策>

当社グループは、サイバーセキュリティリスクをCRCOが委員長を務めるグローバルリスク・コンプライアンス経営委員会で定めた経営上の重要課題の一つと位置づけ、全社横断的なリスク管理体制を構築しています。リスク管理の一環として社内規程類の整備を進めるとともに、専門組織であるCSIRTを中心に、24時間体制での監視やインシデント対応訓練を継続的に実施し、異常発生時における初動対応力の強化に取り組んでいます。また、年々高度化・巧妙化するサイバー攻撃に対応するため、当社グループは各種技術的対策の導入・改善を進めています。加えて、役職員を対象に定期的なセキュリティ教育及び標的型メール訓練を行い、情報セキュリティに対する意識向上と対応能力の強化を図っています。さらに、重大なサイバーインシデントの発生を想定した事業継続計画(BCP)を策定し、年次のシナリオ訓練を通じて、被害の最小化と早期復旧に向けた体制整備を進めています。併せて、主要サプライヤーを含むサプライチェーン全体のセキュリティ水準向上を目的に、対策検討、リスク評価、情報共有を推進しています。これらの取り組みにより当社グループは、「平時の予防」から「有事の対応」まで一貫したサイバーセキュリティ体制を継続的に強化し、事業継続性の確保とステークホルダーの信頼維持に努めています。

 

 

(12)自然災害による事業中断リスク

<リスク>

当社グループの日本における主要製造拠点は、南海トラフ巨大地震の予想震源域近傍に集中しています。そのため、巨大地震が発生した場合には当社グループの製造拠点等が直接に被害を受け、操業が遅延又は中断し、業績及び財政状態にも影響を与える可能性があります。

<対応策>

巨大地震発生に対しては被害を最小化するため主要建築物・設備の耐震補強工事・情報システムのクラウド化等を行うと共に、平時から防災体制の整備・強化、災害用資機材・備蓄品の準備、全役職員を対象とした避難訓練や防災組織を対象とした初動対応訓練の実施等の対応を行っています。また、被災後の早期復旧を可能にするための事業継続要領・事業継続計画(BCP)を策定している他、当社グループが保有する建築物、在庫等の損害に対する地震保険にも加入しています。

 

 

 

(13)パンデミックによる事業中断リスク

<リスク>

新型インフルエンザ等の感染症が国内外でまん延しパンデミック状態となった場合には、多くの従業員が罹患し、出社不能となる可能性があります。これにより、当社グループの操業が遅延または中断し、業績及び財政状態にも影響を与える可能性があります。

<対応策>

当社グループは新型インフルエンザ等によるパンデミックに対する事業継続要領・事業継続計画(BCP)を策定し、新型インフルエンザ等の発生段階に応じた対応体制、業務継続方針、感染対応等を定めています。2019年に新型コロナウイルスの感染が拡大した際には、事業継続計画に準じて本社で職域接種を実施した他、感染防止策の一つとして在宅勤務制度の導入やそれを可能とする各種システムツールの整備も実施しました。その他、当該対応で得られた知見及び各国政府等の方針・指針等を勘案し、適宜、事業継続要領の見直しを行っています。

 

 

(14)人為災害等による事業中断リスク

<リスク>

戦争、テロ、ストライキ、デモ等が発生した場合、当社グループの操業が遅延又は中断する可能性があり、さらに、当社グループの製造拠点等が直接に損害を受けた場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

<対応策>

戦争、テロ等の有事の際には、危機管理体制に基づき、迅速な情報収集及び意思決定を行い、従業員の安全を最優先として確保するとともに、事業への影響を最小限に抑えるよう努めています。また従業員によるストライキやデモ等を防ぐため、当社グループの各社では労使関係を円満に保つための労使間の対話を行っています。

 

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

以下の分析については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 6.事業セグメント (4)報告セグメントの変更等に関する事項」に記載のとおり、遡及・組替後の前連結会計年度のセグメント情報の数値を用いて説明しています。

 

(1) 経営成績の概要及び分析

当連結会計年度の当社グループを取り巻く環境は、米国の関税政策を含む各国の経済政策や為替変動など、先行き不透明な状況が続きました。一方で、米国・欧州の政策金利の引き下げなど、政府の景気刺激策が経済を下支えしました。

コア事業であるMC事業の需要は底堅く推移した一方で、マリン事業と戦略事業(ロボティクス事業、SPV事業、アウトドアランドビークル(OLV)事業)では、一部需要が想定を下回る市場もあり、厳しい事業環境となりました。

引き続き2025年からの中期経営計画に基づき、コア事業の競争力の再強化や、ポートフォリオ戦略を推進していきます。

 

当連結会計年度の売上収益は、MC事業のインドネシアやフィリピン、タイで販売台数が増加したものの、ベトナムで発生した生産・出荷停止の影響や、マリン事業のウォータービークル、OLV事業の販売台数が減少したことなどにより、2兆5,342億円と前連結会計年度に比べ420億円(1.6%)の減収となりました。

営業利益は、米国関税の影響や、調達コストの上昇、研究開発費や人件費などの販売費及び一般管理費の増加、OLV事業の有形固定資産の減損損失などを計上した結果、1,264億円と前連結会計年度に比べ551億円(30.4%)の減益となりました。

親会社の所有者に帰属する当期利益は、営業利益の減少や繰延税金資産の取り崩しにより、161億円と前連結会計年度に比べ920億円(85.1%)の減益となりました。

なお、当連結会計年度の為替換算レートは、米ドル150円(前期比2円の円高)、ユーロ169円(同5円の円安)でした。

 

財務体質については、ROEは1.4%(前期比8.3ポイント減少)、ROICは0.8%(同4.6ポイント減少)、ROAは4.4%(同2.3ポイント減少)となりました。親会社の所有者に帰属する持分は1兆1,322億円(前期末比293億円減少)、親会社所有者帰属持分比率は39.0%(同2.7ポイント減少)となりました。また、フリー・キャッシュ・フロー(販売金融含む)は525億円のプラス(前期比44億円増加)となりました。

 

セグメント別の概況

〔ランドモビリティ〕

売上収益1兆6,151億円(前期比56億円0.3%増加)、営業利益1,087億円(同49億円4.7%増加)となりました。

部門別の経営成績の概要は、次のとおりです。

MC事業では、売上収益1兆5,781億円(前期比70億円・0.4%増加)、営業利益1,235億円(同30億円・2.3%減少)となりました。先進国は日本の販売が伸長しましたが、欧米の需要減少に伴い全体の販売台数はわずかに減少しました。その結果、売上収益3,864億円(前期比129億円・3.2%減少)となりました。新興国では、生産・出荷停止が発生したベトナムの販売台数は減少したものの、インドネシアやフィリピン、タイで販売台数が増加した結果、売上収益1兆1,916億円(前期比199億円・1.7%増加)となりました。MC事業全体の営業利益は、調達コストの上昇や、研究開発費や人件費などの販売費及び一般管理費の増加、米国関税の影響などにより減益となりました。

なお、MC事業全体の販売台数は、500万台(前期比0.8%増加)となりました。

SPV事業(電動アシスト自転車、e-Kit、電動車椅子)では、売上収益371億円(前期比14億円・3.7%減少)、営業損失148億円(前期:営業損失227億円)となりました。海外完成車事業の見直しに伴い販売台数が減少した結果、売上収益も前年を下回りました。一方、販売費及び一般管理費の減少に加え、前期に計上した固定資産減損等の反動により営業損失は縮小しました。

なお、当連結会計年度の業績には、ドイツで設立したYamaha Motor eBike Systems GmbHの2025年8月~12月の業績を含んでいます。

 

[マリン]

売上収益5,276億円(前期比101億円1.9%減少)、営業利益536億円(同342億円39.0%減少)となりました。

船外機の需要は、主要市場である米国では軟調に推移しましたが、全体では前年並みとなりました。当社の販売は、欧米で堅調に推移しましたが、アジアを中心に減少した結果、全体では前年並みとなりました。ウォータービークルでは、主要市場である米国の需要が減少し、当社の販売台数も前年を下回りました。この結果、マリン事業全体では減収となりました。営業利益は、ウォータービークルの販売台数の減少や、研究開発費や人件費などの販売費及び一般管理費の増加、米国関税の影響などにより減益となりました。

 

[アウトドアランドビークル]

売上収益1,485億円(前期比310億円17.2%減少)、営業損失398億円(前期:営業損失174億円)となりました。

RV事業(四輪バギー、レクリエーショナル・オフハイウェイ・ビークル(ROV))では、需要は前年並みとなりました。当社の販売は、四輪バギーは堅調に推移したものの、ROVの減少に加え、米国関税の影響や有形固定資産の減損損失を計上した結果、事業全体で減収・減益となりました。

LSM事業(ゴルフカー等)では、市場全体で需要は減少しました。主要市場である米国を中心に当社の販売も減少し、販売費及び一般管理費なども増加した結果、減収・減益となりました。

 

[ロボティクス]

売上収益1,115億円(前期比18億円1.6%減少)、営業損失6億円(前期:営業損失30億円)となりました。

半導体製造後工程装置は、生成AIや先端パッケージ向けの需要が伸長し、販売が増加しました。一方、サーフェスマウンター及び産業用ロボットの販売台数は前年を下回った結果、事業全体の売上収益は前年並みとなりました。営業損失は製造経費の減少や限界利益率の改善により縮小しました。

 

[金融サービス]

売上収益1,140億円(前期比19億円1.7%増加)、営業利益211億円(同16億円7.3%減少)となりました。

売上収益は、販売金融債権の増加に伴い増収となりました。営業利益は、前期に発生した金利スワップ評価益が当期は評価損に転じた結果、減益となりました。

 

[その他]

売上収益174億円(前期比66億円27.4%減少)、営業損失166億円(前期:営業損失124億円)となりました。

営業損失は、パワープロダクツ事業の事業譲渡に伴う費用が発生したことなどにより、減益となりました。

 

なお、各セグメントの主要な製品及びサービスは以下のとおりです。

 

セグメント

主要な製品及びサービス

ランドモビリティ

二輪車、中間部品、海外生産用部品、電動アシスト自転車、電動アシスト自転車ドライブユニット(e-Kit)、電動車椅子、自動車用エンジン、自動車用コンポーネント

マリン

船外機、ウォータービークル、ボート、漁船・和船

アウトドアランドビークル

四輪バギー、レクリエーショナル・オフハイウェイ・ビークル、ゴルフカー

ロボティクス

サーフェスマウンター、半導体製造後工程装置、産業用ロボット、産業用無人ヘリコプター

金融サービス

当社製品に関わる販売金融及びリース

その他

発電機、汎用エンジン、除雪機、モビリティサービス

 

 

 

(2) 生産、受注及び販売の実績

当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しているため、前期比については変更後のセグメント区分の数値と比較しています。報告セグメントの変更の詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 6.事業セグメント(4)報告セグメントの変更等に関する事項」に記載のとおりです。

① 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

製品

台数(台)

前期比(%)

ランドモビリティ

二輪車

4,966,442

99.9

電動アシスト自転車、電動アシスト自転車ドライブユニット(e-Kit)

338,319

116.0

マリン

船外機

271,174

120.0

ウォータービークル

42,078

78.0

ボート、漁船・和船

6,768

104.1

アウトドアランドビークル

四輪バギー、
レクリエーショナル・オフハイウェイ・ビークル

45,809

95.4

ゴルフカー

52,345

72.3

ロボティクス

サーフェスマウンター、産業用ロボット

29,166

87.5

 

(注) 主要製品について記載しています。

 

② 受注実績

当社グループは主に見込み生産をしています。

 

③ 販売実績
(a)当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

ランドモビリティ

1,615,138

100.3

マリン

527,630

98.1

アウトドアランドビークル

148,526

82.8

ロボティクス

111,478

98.4

金融サービス

114,033

101.7

報告セグメント計

2,516,807

98.6

その他

17,395

72.6

合計

2,534,203

98.4

 

(注) セグメント間取引については相殺消去しています。

 

(b)ランドモビリティの主要製品である二輪車の当連結会計年度における当社グループの販売実績は、次のとおりです。

地域

台数(台)

前期比(%)

日本

76,103

105.7

海外

4,923,029

100.7





北米

79,083

96.1

欧州

210,061

93.1

アジア

3,902,542

101.0

その他

731,343

101.9

合計

4,999,132

100.8

 

 

(3) 財政状態の概要及び分析

当連結会計年度末の総資産は、前期末比1,191億円増加し、2兆9,026億円となりました。流動資産は、販売金融債権の増加や現金及び現金同等物の増加などにより同819億円増加しました。非流動資産は、繰延税金資産取り崩しによる減少などがある一方、販売金融債権の増加やのれん及び無形資産の増加、有形固定資産の増加などにより同372億円の増加となりました。

負債合計は、社債及び借入金の増加やその他の流動負債の増加、営業債務及びその他の債務の増加などにより同1,473億円増加し、1兆7,043億円となりました。

資本合計は、当期利益349億円、その他の包括利益309億円などにより増加した一方、配当金の支払により576億円、自己株式の取得により100億円、支配継続子会社に対する持分変動により276億円減少したことにより同283億円減少し、1兆1,983億円となりました。

これらの結果、親会社所有者帰属持分比率は39.0%(前期末:41.7%)、D/Eレシオ(ネット)は0.58倍(同:0.50倍)となりました。

 

(4) キャッシュ・フローの状況

〔営業活動によるキャッシュ・フロー〕

税引前当期利益1,332億円(前期:1,832億円)や減価償却費及び償却費888億円(同:831億円)、営業債権及びその他の債権の減少79億円(同:138億円の減少)、棚卸資産の減少36億円(同:313億円の減少)などの収入に対して、販売金融債権の増加534億円(同:622億円の増加)や法人所得税の支払額527億円(同:966億円)などの支出により、全体では1,386億円の収入(同:1,768億円の収入)となりました。

 

〔投資活動によるキャッシュ・フロー〕

有形固定資産及び無形資産の売却による収入293億円や投資有価証券の売却による収入118億円などがありましたが、有形固定資産及び無形資産の取得による支出1,133億円(前期:1,159億円の支出)などにより、861億円の支出(同:1,287億円の支出)となりました。

 

〔財務活動によるキャッシュ・フロー〕

社債の発行や長期借入れによる収入がありましたが、配当金の支払、自己株式の増加などにより304億円の支出(前期:464億円の支出)となりました。

 

これらの結果、当連結会計年度のフリー・キャッシュ・フローは525億円のプラス(前期:481億円のプラス)、現金及び現金同等物の残高は3,989億円(前期末比:259億円の増加)となりました。当連結会計年度末の有利子負債(リース負債を除く)は1兆443億円(同:923億円の増加)となりました。

 

(5) 金融サービス事業を区分した経営成績情報

以下の表は金融サービス事業と金融サービス事業以外の事業を区分した要約連結財政状態計算書、要約連結損益計算書及び要約連結キャッシュ・フロー計算書です。金融サービス事業はそれ以外の事業とは性質が異なるため、これらの要約連結財務諸表が連結財務諸表の理解と分析に役立つものと考えています。なお、以下の「金融サービス事業以外の事業及び消去」は連結計から金融サービス事業の数値を差し引いたものとしています。

 

要約連結財政状態計算書

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

金融サービス事業

金融サービス事業以外
の事業及び消去

連結計

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2024年

12月期

2025年

12月期

2024年

12月期

2025年

12月期

2024年

12月期

2025年

12月期

資産

 

 

 

 

 

 

 

 

現金及び現金同等物

33,461

18,214

339,537

380,689

372,999

398,904

 

 

営業債権及びその他の債権

251

778

177,934

180,943

178,186

181,721

 

 

販売金融債権

372,582

403,581

-

-

372,582

403,581

 

 

棚卸資産

-

-

574,105

591,369

574,105

591,369

 

 

その他

16,120

15,687

94,373

98,967

110,493

114,655

 

 

流動資産合計

422,416

438,262

1,185,951

1,251,970

1,608,368

1,690,233

 

 

有形固定資産、のれん及び無形資産

27,969

29,952

536,343

576,712

564,313

606,664

 

 

販売金融債権

367,709

395,672

-

-

367,709

395,672

 

 

その他

28,898

28,309

214,212

181,704

243,110

210,014

 

 

非流動資産合計

424,577

453,934

750,555

758,417

1,175,133

1,212,351

 

資産合計

846,994

892,197

1,936,507

2,010,387

2,783,501

2,902,584

負債

 

 

 

 

 

 

 

 

営業債務及びその他の債務

2,365

1,781

147,557

158,601

149,922

160,382

 

 

社債及び借入金

380,913

340,967

299,417

274,839

680,330

615,807

 

 

その他

16,457

32,482

301,151

318,224

317,608

350,707

 

 

流動負債合計

399,735

375,232

748,126

751,665

1,147,861

1,126,898

 

 

社債及び借入金

211,758

263,690

59,884

164,826

271,643

428,516

 

 

その他

19,311

20,253

118,097

128,586

137,409

148,840

 

 

非流動負債合計

231,070

283,943

177,982

293,413

409,053

577,356

 

負債合計

630,806

659,175

926,108

1,045,079

1,556,915

1,704,255

資本

 

 

 

 

 

 

 

 

資本金

53,153

63,247

32,947

22,853

86,100

86,100

 

 

資本剰余金

12

-

63,363

46,010

63,375

46,010

 

 

利益剰余金

120,827

139,385

858,360

809,297

979,188

948,682

 

 

自己株式

-

-

△54,064

△53,633

△54,064

△53,633

 

 

その他の資本の構成要素

42,194

30,388

44,774

74,687

86,969

105,076

 

 

非支配持分

-

-

65,017

66,091

65,017

66,091

 

資本合計

216,187

233,021

1,010,398

965,308

1,226,586

1,198,329

 

負債及び資本合計

846,994

892,197

1,936,507

2,010,387

2,783,501

2,902,584

 

 

 

 

要約連結損益計算書

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

金融サービス事業

金融サービス事業以外
の事業及び消去

連結計

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2024年

12月期

2025年

12月期

2024年

12月期

2025年

12月期

2024年

12月期

2025年

12月期

売上収益

112,172

114,033

2,464,006

2,420,170

2,576,179

2,534,203

売上原価

△66,156

△67,053

△1,688,058

△1,682,605

△1,754,214

△1,749,658

売上総利益

46,016

46,980

775,948

737,564

821,964

784,544

販売費及び一般管理費

△24,077

△26,414

△618,447

△654,724

△642,525

△681,139

その他の収益費用(純額)

766

△202

△5,752

13,091

△4,985

12,888

持分法による投資損益

-

692

7,062

9,386

7,062

10,079

営業利益

22,705

21,056

158,810

105,316

181,515

126,373

金融収益

234

432

15,445

18,637

15,679

19,069

金融費用

△34

△18

△13,984

△12,227

△14,019

△12,245

税引前当期利益

22,904

21,470

160,271

111,726

183,175

133,196

法人所得税費用

△6,363

△5,188

△52,241

△93,069

△58,605

△98,258

当期利益

16,540

16,281

108,029

18,656

124,570

34,938

親会社の所有者

16,540

16,281

91,528

△172

108,069

16,109

非支配持分

-

-

16,500

18,829

16,500

18,829

 

 

要約連結キャッシュ・フロー計算書

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

金融サービス事業

金融サービス事業以外
の事業及び消去

連結計

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2024年

12月期

2025年

12月期

2024年

12月期

2025年

12月期

2024年

12月期

2025年

12月期

営業活動によるキャッシュ・フロー

 

 

 

 

 

 

 

税引前当期利益

22,904

21,470

160,271

111,726

183,175

133,196

 

減価償却費及び償却費

2,705

5,602

80,362

83,163

83,067

88,766

 

金融事業に係る利息収益及び利息費用

△44,812

△51,753

-

-

△44,812

△51,753

 

販売金融債権の増減額(△は増加)

△62,199

△53,441

-

-

△62,199

△53,441

 

その他

39,888

55,977

△22,271

△34,141

17,616

21,835

 

営業活動によるキャッシュ・フロー

△41,513

△22,142

218,361

160,748

176,847

138,605

投資活動によるキャッシュ・フロー

 

 

 

 

 

 

 

有形固定資産及び無形資産の取得による支出

△7,424

△1,144

△108,458

△112,121

△115,882

△113,266

 

その他

1,343

315

△14,209

26,825

△12,865

27,141

 

投資活動によるキャッシュ・フロー

△6,080

△828

△122,667

△85,295

△128,748

△86,124

財務活動によるキャッシュ・フロー

 

 

 

 

 

 

 

借入金の増減額(△は減少)

71,271

15,846

△28,649

43,488

42,622

59,335

 

社債の増減額(△は減少)

△11,600

△12,168

19,915

29,876

8,314

17,707

 

その他

960

-

△98,323

△107,471

△97,363

△107,471

 

財務活動によるキャッシュ・フロー

60,631

3,678

△107,058

△34,106

△46,426

△30,428

現金及び現金同等物に係る換算差額

△2,912

4,047

21,693

△193

18,781

3,853

現金及び現金同等物の増減額
(△は減少)

10,124

△15,246

10,330

41,151

20,454

25,905

現金及び現金同等物の期首残高

22,134

33,461

324,882

339,537

347,016

372,999

新規連結に伴う現金及び
現金同等物の増加額

1,203

-

4,325

-

5,528

-

現金及び現金同等物の期末残高

33,461

18,214

339,537

380,689

372,999

398,904

 

 

(6) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループにおける主な資金需要は、製品製造のための材料・部品等の購入費、製造費用、製品・商品の仕入、販売費及び一般管理費、運転資金、設備投資資金、投融資及び当社製品に関わる販売金融です。

運転資金については返済期限が一年以内の短期借入金で、通常各々の会社が運転資金として使用する現地の通貨で調達しています。設備投資資金については主に資本金、内部留保といった自己資金でまかなうこととしています。

資金の流動性管理にあたっては、適時に資金繰り計画を作成・更新するとともに、手元流動性を適度に維持することで、必要な流動性を確保しています。

当連結会計年度においては、設備投資や子会社の支配獲得に係る投資活動による支出があったものの、営業活動による収入に加え、台湾子会社の土地売却やヤマハ株式会社等の株式売却による収入があったことにより、フリー・キャッシュ・フローを確保しました。また、株主還元と資本効率の向上を図るために自己株式の取得を行いました。

当社は株主の皆様の利益向上を重要な経営課題と位置付け、企業価値の向上に努めています。株主配当については、2026年2月2日に開示した「2025年12月期通期連結業績予想および配当予想の修正並びに個別業績見込みと前期実績との差異に関するお知らせ」のとおり、期末配当1株当たり10円の実施を2026年3月25日開催予定の第91期定時株主総会に上程する予定です。2026年については年間配当1株当たり50円を予定しています。加えて、自己株式の取得についても、中期経営計画の還元方針に則り、機動的な実施を目指します。

また、2026年の設備投資は1,400億円、研究開発支出は1,700億円を計画しています。

 

(7) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成しています。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。

当社の連結財務諸表で採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針」に記載していますが、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えています。なお、当連結会計年度における重要な会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しています。

 

① 棚卸資産

当社グループは、棚卸資産の、推定される将来需要及び市場状況に基づく時価の見積額と総平均法による原価法(貸借対照表価額は、収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定しています。)による評価額との差額に相当する陳腐化の見積額について、評価減を計上しています。実際の将来需要又は市場状況が、当社グループ経営者による見積りより悪化した場合、追加の評価減が必要となる可能性があります。

 

② 損失評価引当金

当社グループは、売掛金、販売金融債権及び貸付金その他これらに準ずる債権を適正に評価するため、営業債権及びその他の債権については常に損失評価引当金を全期間の予想信用損失に等しい金額で測定しています。金融サービス事業に係る債権については、報告日ごとに予想信用損失を見積り、予想信用損失に対して損失評価引当金を計上しています。なお、米国内のインフレの急激な進行等の外部環境の変化により債権の信用リスクが増加した場合には、必要に応じて見積りに対し補正を加えています。将来、債権の相手先の財務状況がさらに悪化して支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上又は追加の損失が発生する可能性があります。

 

③ 非金融資産の減損

当社グループは、減損の兆候のある資金生成単位または資金生成単位グループごとに将来キャッシュ・フローの見積りを行い、当該資産の減損要否の判定を行っています。資金生成単位または資金生成単位グループの減損が必要であると判断した場合、帳簿価額が回収可能価額を超える部分について減損損失を認識します。のれん、耐用年数を確定できない無形資産及び未だ使用可能ではない無形資産については、減損の兆候の有無にかかわらず回収可能価額を毎年同じ時期に見積っています。将来、回収可能価額が減少した場合、減損損失の計上が必要となる可能性があります。

 

④ 繰延税金資産

当社グループは、将来の一定期間における課税所得の見積りやタックスプランニングに基づき、繰延税金資産の回収可能性を検討しています。これらの将来に係る見積りは、市場の動向や経済環境、また、当社グループの事業計画等の変動の影響を受けるため、回収可能性が大きく変動した場合、税金費用が大きく変動する可能性があります。

 

⑤ 製品保証引当金

当社グループは、販売済製品の保証期間中のアフターサービス費用、その他販売済製品の品質問題に対処する費用の見積額を計上しています。当該見積りは、過去の実績若しくは個別の発生予想額に基づいていますが、実際の製品不良率又は修理コストが見積りと異なる場合、アフターサービス費用の見積額の修正が必要となる可能性があります。

 

⑥ 退職給付に係る負債

従業員の退職給付費用及び退職給付債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されています。これらの前提条件には、割引率、長期期待運用収益率、将来の給与水準、退職率、直近の統計数値に基づいて算出される死亡率などが含まれます。当社及び一部の国内連結子会社が加入する年金制度においては、割引率は優良社債を基礎とした複数の割引率を退職給付の支払見込期間ごとに設定しています。長期期待運用収益率は、年金資産が投資されている資産の種類毎の期待収益率の加重平均に基づいて計算されます。実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、その影響は累積され、将来にわたって規則的に計上されるため、一般的には将来期間において認識される収益・費用、計上される資産・負債及び純資産に影響を及ぼします。

確定給付制度の当期勤務費用及び確定給付負債(資産)の純額に係る利息の純額は純損益として認識しています。確定給付制度の再測定額は、発生した期に一括してその他の包括利益で認識し、直ちに利益剰余金に振り替えています。制度の改訂による従業員の過去の勤務に係る確定給付制度債務の増減は、純損益として認識しています。

 

5 【重要な契約等】

特記事項はありません。

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループは、「感動創造企業」を企業目的とし、世界の人々に新たな感動と豊かな生活を提供することを目指しています。その実現のために、「新しく独創性ある発想・発信」「お客様の悦び・信頼感を得る技術」「洗練された躍動感を表現する魅力あるデザイン」「お客様と生涯にわたり結びつく力」を目指す「ヤマハ発動機らしいモノ創り」に挑戦し続け、人間の論理と感性を織り合わせる技術により、個性的かつ高品質な製品・サービスを提供します。

当社は、こうした「ヤマハ発動機らしさ」が「ヤマハ」ブランドとして様々なステークホルダーの皆様に認識され、生涯にわたって当社の製品・サービスを選んでいただけるよう、努力を続けることが当社の持続的な成長を実現するとともに中長期的な企業価値を高めるものと考えます。

当社は、2030年を見据えた長期ビジョンならびに2025年からの3ヵ年における中期経営計画において、人の可能性を拡げる新技術の獲得と、人の悦びと環境が共生する社会の実現に向けた施策に取り組んでいます。新たに定義したコア技術である「ソフトウエアサービス」「知能化」「エネルギーマネジメント」を強化し、「人機官能」の開発思想のもとで培われてきた「人間研究」、そして「ヤマハ発動機らしいモノ創り」の下支えとなる「基盤技術」を組み合わせることで、「楽しさの追求と社会課題の解決で、みんなの未来を創る」という技術ビジョンの実現を目指します。

 

当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発支出は、1,591億円となりました。各セグメントの主要な製品及びサービス、セグメントごとの研究開発支出及び研究開発活動の成果は、次のとおりです。

 

ランドモビリティ

二輪車、中間部品、海外生産用部品、電動アシスト自転車、電動アシスト自転車ドライブユニット(e-Kit)、電動車椅子、自動車用エンジン、自動車用コンポーネント

当連結会計年度の研究開発支出:939億円

 

主な成果は以下のとおりです。

(二輪車)

・電子制御でCVTの変速比をライダーの操作に応じて変更でき、機械式CVTでは体感することが難しかったマニュアルミッション車のような走行感覚を得ることができる当社独自のシステム電子制御CVT「YECVT」を新採用した「NMAX155ABS」の開発。

・タウンユースやオンロードツーリングでの扱いやすさとファンライド性能を追求し、幅広い路面状況に適応するマルチポテンシャルを備えたオン・オフモデルの新製品「WR125R ABS」の開発。

・すでにインド市場で好評のガソリンエンジンモデル「AEROX 155」が持つスポーティな走行フィーリングとデザインを電動モデルで実現した、電動スポーツスクーター「AEROX E」の開発。

・River Mobility Private Limitedとの協業による初めての製品、電動スクーター「EC-06」の開発。

 

(電動アシスト自転車)

・スタイリッシュなデザインで軽量コンパクトな新型小径電動アシスト自転車「PAS CRAIG ALLEY(パス クレイグ アリー)の開発。

・専用フロントキャリヤとリヤキャリヤを備え、様々なカスタムや大容量積載が可能な新型小径電動アシスト自転車「PAS Carigo(パス キャリゴー)」の開発。

 

マリン

船外機、ウォータービークル、ボート、漁船・和船

当連結会計年度の研究開発支出:352億円

 

主な成果は以下のとおりです。

(船外機)

・従来の電動推進ユニットの「HARMO(ハルモ)」の特徴をそのままに、先進的な次世代操船制御システム「HELM MASTER EX」(ヘルムマスターEX)との統合を可能にした新型「HARMO(ハルモ)」の開発。

・「HELM MASTER EX」(ヘルムマスターEX)の直感的な操船性能をそのままに、船長が船内を自由に移動しながらも片手でのリモコン操作による完全な操作性の実現を可能にした「Wireless Control System」の開発。

 

(ウォータービークル)

・デッキ部にポリプロピレンを採用するなどして軽量化を図り、軽快で機敏な走行性能を実現するとともに、シートやステアリングハンドルなどエルゴノミクスに基づいたデザインで軽快な操縦も楽しめる新モデル「JetBlaster PRO」の開発。

 

(ボート)

・フィッシングボートのロングセラーモデル「F.A.S.T.26」の新たなバリエーションとして、キャビンドアを装備したクローズドキャビン仕様「F.A.S.T.26EX」の開発。

・新設計の船型により、航走姿勢を最適化することで燃費性能を向上し、また、航走時・静止時の安定性、凌波性、保針性、旋回性のすべてを高レベルで実現した、漁船の新モデル「DY-48I-0A」の開発。

 

アウトドアランドビークル

四輪バギー、レクリエーショナル・オフハイウェイ・ビークル、ゴルフカー

当連結会計年度の研究開発支出:132億円

 

主な成果は以下のとおりです。

(ゴルフカー)

・当社グループで開発から製造まで一貫して手掛けた、熱安定性に優れた新開発の内製バッテリーを搭載し、車両コンポーネントの刷新と分散協調型制御により性能を高めた5人乗り電動ゴルフカー「G30Es」「G31EPs」の開発。

 

ロボティクス

サーフェスマウンター、半導体製造後工程装置、産業用ロボット、産業用無人ヘリコプター

当連結会計年度の研究開発支出:123億円

 

主な成果は以下のとおりです。

(サーフェスマウンター)

・プレミアム印刷機「YRP10」の基本性能を踏襲し、扱いやすさに特化したエントリー向け新型クリームハンダ印刷機(注1)「YRP10e」の開発。

 

(半導体製造後工程装置)

・NEDO(注2)助成事業として「ポスト5G向けチップオンウエハダイレクト接合3D積層統合技術開発」を国立研究開発法人産業技術総合研究所及び学校法人東京理科大学と共同で実施。この開発成果がCEATEC AWARD2025のイノベーション部門賞を受賞。

 

(産業用ロボット)

・7軸構成で人間の腕に近い動作自由度を実現し、6軸ではアクセスできない狭小スペースへの潜り込みや障害物を避け回り込んでの目標物へのアプローチなど、繊細な動作が可能な協働ロボット「Yamaha Motor Cobot(ヤマハ モーター コボット)」の開発。

 

(注)1 微細なハンダ粒子と粘性流体フラックス&バインダを混合したクリーム状のハンダ材料を金属製ステンシルに沿ってスキージ(ヘラのような道具)でプリント基板の上に精密に塗布する装置。その後リフロー硬化炉で加熱することでハンダが溶けて表面実装方式の電子部品をプリント基板上に接合する。

2 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構

 

その他

発電機、汎用エンジン、除雪機、モビリティサービス

当連結会計年度の研究開発支出:44億円

 

主な成果は以下のとおりです。

(細胞ハンドリング装置)

・新薬開発を目的とした研究・実験の効率化・精緻化に貢献する細胞ピッキング&イメージングシステムを、米国のがん研究所「Fred Hutch Cancer Center(フレッド・ハッチ・キャンサー・センター)」へ納入。