第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

 THKグループは、機械の直線運動部分を“軽く”“正確に”動かすため、“すべり”を“ころがり”化する重要な機械要素部品を世界へ供給しています。「世にない新しいものを提案し、世に新しい風を吹き込み、豊かな社会作りに貢献する」という経営理念のもと、1971年の創業以来、創造開発型企業として「LMガイド(Linear Motion Guide:直線運動案内)」をはじめとする機械要素部品を供給し、工作機械、半導体製造装置など様々な機械装置の高精度化、高剛性化、高速化、省エネルギー化を実現し、必要不可欠な部品として産業の発展に貢献してまいりました。

 当社グループは、LMガイドを開発して以降、世界のトップメーカーとして、お客様の多様なニーズにお応えする中で蓄積してきたノウハウによる高品質な製品や幅広い提案力により、お客様から高い信頼を獲得しています。近年では産業分野のみならず、自動車、医療機器、航空機、サービスロボットなど消費財に近い分野に加え、免震・制震装置、再生可能エネルギー関連など自然災害や気候変動のリスクを低減する分野へと当社グループの製品の採用が広がっています。このように、世界中で多くのお客様より供給が求められる中、本業を通じた社会貢献を実現しながらも、気候変動など地球環境が変化する中で持続可能な社会の実現に向けた取り組みを進め、企業価値の向上を図ってまいります。

 

(2) 中長期的な会社の経営戦略

 当社グループは、地理的な領域拡大を目指した「グローバル展開」、用途的な領域拡大を目指した「新規分野への展開」、AI、IoT、ロボットをはじめとするテクノロジーを徹底活用する「ビジネススタイルの変革」を成長戦略の柱として掲げ、事業領域の拡大を図っております。

 グローバル展開では、日本・米州・欧州・アジアの4極において、現地で生産して販売するという「需要地における販製一体体制」を構築しています。近年は、とりわけ中長期的に需要の拡大が見込まれる中国やその他の新興国において、販売網の拡充ならびに生産体制の強化を図っています。加えて、先進国においてもユーザーの裾野が広がる中で着実に需要を取り込むべく販売網を拡充し、さらなる成長へと繋げています。

 新規分野への展開では、LMガイドを中心とする製品群の現在の主な顧客は資本財メーカーですが、医療機器、航空機、サービスロボットなど消費財に近い分野に加え、免震・制震装置、再生可能エネルギー関連など自然災害や気候変動のリスクを低減する分野へと当社グループの製品の採用を図っています。

 ビジネススタイルの変革では、デジタルテクノロジーが急速な進展を見せる中、AI、IoT、ロボットをはじめとする新たなテクノロジーを販売、生産、開発などのあらゆる面で徹底的に活用することにより、ビジネスの進め方や仕組みの変革を図っております。

 そして、これらの取り組みを推し進める中、「ものづくりサービス業」をビジョンにかかげ、製品提供に加え、AIやIoTなどのデジタル技術を活用した付加価値の高いサービスも提供することで、製造業の枠を超え、お客様に新たな価値を提供することを目指しています。

 そのような中、これまでは、機械を作るマシンビルダーの課題解決を中心に「機械要素部品ビジネス」を展開してきましたが、今後は、マシンビルダーの先にいる機械を実際に使うマシンユーザーの課題解決にも展開し、「FAソリューションビジネス」としてより一層強化します。特に機械要素部品の進化という観点からすると、マシンユーザーとの接点を増やすことによりマシンビルダー、マシンユーザー双方にとっての課題解決にもつながる良い製品を開発していきます。さらに、このようにして複層化された顧客から集めた、様々な情報を開発・生産などあらゆる面へと還元し、成長分野への開発強化や事業基盤の強化へと繋げてまいります。

 今後もこれらの取り組みを加速させるとともに、その前提となる、サステナビリティ、ESGの取り組みを強化し、企業価値の向上を図ってまいります。

 

(3) 経営環境

当社グループを取り巻く環境は地政学リスクの高まり、インフレの進行、米国の関税政策などにより先行きの不透明感が増しています。さらに、デジタルテクノロジーの進展、地球環境保護機運の高まり、そして先進国の生産年齢人口減少等の様々な課題に直面しています。しかしながら、半導体関連においては需要の牽引役が多様化する中で、生成AIなどの新たな成長ドライバーや自国生産拡大の動きなどを背景に今後も大きな拡大が見込まれます。さらに先進国を中心とする自動化・ロボット化の進展、自動車業界における環境対応車へのシフトや再生可能エネルギー関連の投資の拡大など、私たちのビジネスチャンスは大きな広がりを見せています。したがって、これらの需要を顕在化させるとともに着実に取り込むべく、成長戦略を推し進めてまいります。

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社においては、ビジネスチャンスが拡大する一方、事業環境が様変わりする中で、当社自身が適時適切な対応を取れず、当社のROE(親会社所有者帰属持分当期利益率)が低迷するなど株主の皆様のご期待に応えられていない状況が続いていました。そのような中、2024年1月に寺町崇史が代表取締役社長に就任し「強くすべきところは徹底的に強くし、変えるべきところは勇気をもって変えていく」との所信表明を行い、同年11月には従来の経営目標を全面的に見直し、新たな経営方針として「ROE 10%超の早期実現」を発表しました。

その実現のための施策として、収益性、資本政策、及びコーポレート・ガバナンスと全方位的にこれまでの当社の課題と向き合う中で、まずは資本政策を見直しました。収益性については「事業の選択と集中」を掲げ、投下資本利益率(ROIC)と資本コストを厳しく比較・精査の上、聖域なく事業の選択と集中を進め、当社製品の需要増加に伴う売上収益に頼るのみではなく、筋肉質になりながら中長期的にリターンを高める体制を構築してまいります。構造改革によって創出した利益は高い規律性をもって株主の皆様に還元するだけでなく成長投資も実行していきます。

そのような中、輸送機器事業については、当社に期待される資本コストと投下資本利益率(ROIC)を将来的にも厳しく精査する中で、事業を譲渡することが相応しいとの判断のもと、2026年2月2日付で、同事業を営む連結子会社の株式譲渡及び債権譲渡を決定しました。

また、目標達成の実効性を高めるべく取締役会の構成の見直しや第三者機関による実効性評価などコーポレート・ガバナンスの強化も進めています。Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Action(改善)のいわゆるPDCAサイクルを回すためのモニタリング体制の強化、役員報酬制度の強化、さらなる取締役会構成の見直し、そして、環境をはじめとするサステナビリティ関連の施策の強化など、様々な取り組みを強力に推し進めていきます。

これらによってROE 10%超を早期に実現し、その達成後も安定的な株主還元を継続できるよう、株主資本コストを上回るROEは勿論のこと、その水準をさらに高めていくことにより、企業価値向上を図っていきます。

 

(5) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

新たな経営方針「ROE 10%超の早期実現」における経営指標としては、ROEの分母である自己資本の当面の必要水準を3,000億円程度とし、分子としては当期純利益300億円に必要な営業利益として400億円を設定しました。基本的にはマーケット成長に伴う売上収益の増加には頼らずに、自助努力で目標を達成してまいります。そのために2026年度までの2年間を構造改革期間とし、各種改革を推し進め、筋肉質な高収益構造へと変革し2027年度~29年度の間の早期にROE 10%超を実現します。

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) サステナビリティ共通

当社グループは、「世にない新しいものを提案し、世に新しい風を吹き込み、豊かな社会作りに貢献する」との当社グループ共通の経営理念等に基づき、本業を通じた企業価値の向上と持続可能で豊かな社会作りへの貢献の両立を目指すことをサステナビリティに関する基本的な考え方としています。

 

① ガバナンス

サステナビリティ推進体制の確立、浸透及び定着を図り、企業価値の向上と持続可能で豊かな社会作りの両立を実現するため、取締役会の諮問機関として社外取締役を含む全ての取締役により構成されるサステナビリティ委員会を設置しています。サステナビリティ委員会では、サステナビリティに関する方針や重要課題(マテリアリティ)について検討、審議しています。

また、サステナビリティ委員会の下部機関として、各業務部門等から選出されたメンバーにより構成されるサステナビリティ推進部会を設けています。サステナビリティ推進部会では、マテリアリティに関する取組みの具体化を図るとともに、進捗を確認しています。

取締役会は、サステナビリティ委員会で検討、審議された事項について、適宜報告、提案を受けるとともに、各業務部門等におけるサステナビリティの取組み全般を監督しています。

 

② 戦略

サステナビリティ経営の強化にあたり、最新の社会情勢や内部環境の変化等を踏まえて「豊かな社会作りとイノベーションを通じた社会課題の解決」、「脱炭素・資源循環社会の実現」、「多様で働きがいのある労働環境の実現」、「サステナブルな価値創造基盤の強化」の4テーマとそれに付随する13項目をマテリアリティとして特定しています。

 

マテリアリティは、以下の4つのフェーズを経て特定しました。

フェーズ1 マテリアリティ候補項目リスト作成

ESG評価機関の指標、投資家の指標、その他社会的な指標を参考に、当社グループの既存の方針等も加味しながら、各種指標で重複する項目や類似する項目等を整理することにより、評価、検討対象となるマテリアリティ候補項目リストを作成

フェーズ2 社会軸、事業軸評価

外部専門家が「社会の要請・期待」を縦軸に、また、当社は「事業への影響度」を横軸にし、5段階の評価を実施後、マトリックス図を作成

フェーズ3 マテリアリティ再特定案作成

フェーズ2の評価結果をもとに、サステナビリティ推進部会メンバーによる検討会を実施。長期にわたる価値創造に関連する事業機会とリスクを精査の上、マテリアリティ再特定案を作成

フェーズ4 サステナビリティ委員会(※)承認

サステナビリティ委員会でフェーズ3のマテリアリティ再特定案の承認

※2022年6月の承認時は、サステナビリティ委員会が未設置のため、取締役会にて承認

 

③ リスク管理

全社的なリスク管理については、取締役会の諮問機関であるリスク管理委員会において包括的、網羅的に把握するとともに、リスク管理規程に則りリスクアセスメントを実施し、重要性評価及び対策の優先度を決定しています。

上記に加えて、各種サステナビリティに関する個別のリスクについては、サステナビリティ委員会と下部機関であるサステナビリティ推進部会において必要に応じて識別、評価のうえ対応策等を決定しています。

取締役会は、リスク管理委員会及びサステナビリティ委員会で識別されたリスク及び対応策等を踏まえ、各種サステナビリティに関するリスクが経営に及ぼす影響について取りまとめています。

 

④ 指標と目標

マテリアリティの13項目それぞれに対して、「指標と目標」を設定しています。「気候変動」の項目を除き、2026年度を目標達成年度としています。「気候変動」の項目は2030年度を目標達成年度としています。

 

 

項目(注)1

指標と目標

2025年度実績

対象範囲

①イノベーションを通じた社会課題の解決

宇宙、自動車、物流、医療分野を始めとする消費財向けの新製品・新サービス(DXを含むソリューション)の開発・提供

・OMNI edgeのGX(グリーントランスフォーメーション)ソリューション開発、提供開始

・物流センターへの搬送ロボットの拡販活動

・「半導体縦型炉用新型免震台」の開発

・農業用「収穫用ハンド」の実証実験

THK日本、

日本グループ、

海外グループ

①製品の品質・安全性

ISO9001やIATF16949などの品質マネジメントシステムの適切な運営、対象拠点における認証の維持管理の推進

・ISO9001(トップマネジメントレビュー実施、内部品質監査(5工場)実施、日本品質保証機構(JQA)による登録更新)

・IATF16949(IATF定期監査(輸送機器統括本部)実施)

THK日本

②気候変動

CO2排出量(Scope1、2)2018年比50%削減(2018年実績値:106,514t-CO2、2030年目標値:53,257t-CO2)

[目標達成年度2030年]

・CO2排出量(Scope1、2)66,078t-CO2 削減率38%

THK日本、

日本グループ

②持続可能な調達

仕入先に対するサステナビリティ調達ガイドライン配付、質問表による調査とインタビューの実施

・仕入先に対するCSR調達ガイドライン(現行)の配付継続

・CSR調達ガイドライン(現行)に基づく仕入先に対するインタビューの実施(4件)

・サステナビリティ調達ガイドラインへの改定対応中

THK日本

②資源循環

ゼロエミッションの維持

ゼロエミッション=エミッション率(処分量/廃棄物総排出量)0.50%未満

・ゼロエミッション維持(エミッション率0.28%)

THK日本、

日本グループ

(生産部門)

②有害物質管理

グリーン調達ガイドラインの配布と不含有保証書の入手

・グリーン調達ガイドラインの不含有保証書入手:258社

THK日本、

日本グループ、海外グループ

③人権の尊重・配慮

人権教育のe-learningの受講率100%達成

・受講率98.30%

THK日本

③ダイバーシティの推進

営業・管理・技術系部門配属の新卒採用における女性比率20%以上達成

・女性比率13.9%

THK日本

③労働安全衛生

強度率0.01以下達成・維持、度数率0.50以下達成・維持(注)2

・強度率=0.00

・度数率=0.38

THK日本

(生産部門)

③人財育成

データ活用研修(基礎)受講率95%以上維持

・受講率97.82%

THK日本

④コーポレートガバナンス

年1回の取締役会の実効性評価の継続実施

・年1回実施(第三者機関を活用)

THK日本

 

 

項目(注)1

指標と目標

2025年度実績

対象範囲

④コンプライアンス

内部通報窓口・調査担当者の多様性の強化

・改正公益通報者保護法と現行制度の照合、制度変更要否の確認

THK日本

④リスクマネジメント

年1回のリスク評価の継続実施

・年1回実施(対象:THK日本29部門、日本グループ、海外グループ29社)

THK日本、

日本グループ、海外グループ

(注)1.項目の欄に記載されている①から④は、マテリアリティの各テーマとなります。①「豊かな社会作りとイノベーションを通じた社会課題の解決」、②「脱炭素・資源循環社会の実現」、③「多様で働きがいのある労働環境の実現」、④「サステナブルな価値創造基盤の強化」

2.強度率:1,000延べ実労働時間当たりの労働損失日数、度数率:100万延べ実労働時間当たりの労働災害による死傷者数

 

(2) 気候変動

当社グループは、「気候変動」をマテリアリティの1項目として掲げるとともに、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に対して賛同を表明しています。

 

① 戦略

気候変動に関わるリスク及び機会を踏まえた戦略とそのレジリエンスについて検討するため、IEA(国際エネルギー機関)やIPCC(気候変動に関する政府間パネル)による気候変動シナリオ(1.5℃シナリオ及び4℃シナリオ)を参照し、2050年までの長期的な影響を踏まえ、TCFD提言に沿ってシナリオ分析を実施しています。

 

 

シナリオ

要因

変化

リスク

/機会

評価

当社への影響

当社の対策

1.5℃

炭素税の導入

調達コスト増加

リスク

炭素税導入により、原材料への価格転嫁が進み、調達コストが増加

・原材料投入量の削減

・炭素税の低い原材料への切替

操業コスト増加

リスク

炭素税導入により、国内のScope1、2の排出量に応じて炭素税の支払コストが増加

・省エネルギー生産技術の開発

・低炭素、非化石エネルギーへの転換

再生可能エネルギーへの切替

エネルギー調達コスト増加

リスク

再生可能エネルギーへの切替により、エネルギー調達コストが増加

・太陽光発電設備の設置による、再生可能エネルギーの内部調達

省エネルギーニーズの高まり

環境対応技術ソリューションの需要増加

機会

エネルギー効率の向上を目的とした自動化及び効率化のための設備設計、製作、改造、製品需要が増加

・省エネルギー化に寄与する当社製品(LMガイド、電動アクチュエータ、ユニット品等)の供給強化

半導体ビジネス機会拡大

機会

省エネルギー化のコアとなるパワー半導体を中心に、半導体製造装置部品の製造を始めとした、ビジネス機会が拡大

・柔軟かつ迅速に対応する開発、生産、営業の体制整備

故障診断・予兆検知サービスの需要増加

機会

生産性向上に貢献し、エネルギーロスの削減を実現する、IoT技術を駆使した故障診断・予兆検知サービスの需要が増加

・生産性向上に貢献するIoTサービスの拡充並びに営業及びソリューションの強化

環境貢献ビジネスの拡大

ESG投資増加

機会

環境に貢献するビジネスを拡大することで、投資家の関心、評価が高まり、ESG投資が増加

・柔軟かつ迅速に対応する開発、生産、営業の体制整備

・積極的な情報開示、ステークホルダーとのコミュニケーション強化

4℃

気象災害の激甚化

サプライチェーン寸断

リスク

原材料調達先の被災による、原材料供給の停止

・原材料調達先の分散化

・代替調達先の確保

気温上昇対応コスト増加

リスク

気温上昇による、工場、物流拠点、オフィス等の空調コスト増加

・建屋の断熱性能向上

 

② 指標と目標

当社グループは、地球温暖化の抑制に向けて、CO2排出量(Scope1、2)削減の「中期目標」及び「長期目標」を策定しています。

 

「中期目標」 2030年度CO2排出量 基準年2018年度 50%削減

対象範囲:THK日本、日本グループ

「長期目標」 2050年度CO2排出量 実質ゼロにする

対象範囲:THKグループ全体

 

CO2排出量(Scope1、2)の実績と目標は以下のとおりです。

(単位:t-CO2)

 

2018年度実績

(基準年)

2023年度実績

2024年度実績

2025年度実績

2030年度目標

CO2排出量

(Scope1、2)

106,514

85,065

77,282

66,078

53,257

削減率(2018年度比)

20%

27%

38%

50%

(注)1.対象範囲はTHK日本、日本グループとなります。

2.2025年度実績は有価証券報告書提出日時点における暫定値です。

 

(3) 人的資本

① 戦略

当社は、独自の技術を活用して独創的な製品開発を行う創造開発型企業として成長してきました。この成長を担ってきたのは、経営理念の体現を目指す従業員一人ひとりであると考えており、「人材」を「人財」と表しているように、当社が持続的に成長し価値を創造する上でかけがえのない財産として捉えています。

上記の考え方に基づき、人財が互いの強みや個性を尊重し、安全かついきいきと働くことができる環境作りを目指し、「多様で働きがいのある労働環境の実現」をマテリアリティのテーマの一つに掲げ、「人権の尊重・配慮」、「ダイバーシティの推進」、「労働安全衛生」、「人財育成」の取組みを進めてきました。なかでも「人財育成」、「ダイバーシティの推進」については、時代の変化に応じて人財ポートフォリオの構築及び育成をより強化していく必要があると考えています。

今後も、当社成長戦略の「グローバル展開」、「新規分野への展開」、「ビジネススタイルの変革」の達成と、その先の経営理念の実現を目指し、マテリアリティ項目に加えて『サクセッションプラン』、『採用』、『精神的健康』、『身体的健康』、『育児休業』※の観点から取組みを推進し、人的資本経営に取り組んでいきます。

※内閣官房の「人的資本可視化指針」に記載されている19項目から重要性を勘案し選定

 

(イ)人材(人財)育成方針

1.グローバル人財の育成

当社の売上構成は海外比率が50%を超えており、グローバルに活躍できる人財の育成を推進します。

具体的には、社内人財の語学水準向上を目的として、スピーキングテストやe-learningの導入など、英会話学習の支援を行っています。また、グローバル人財の早期育成のため、若手従業員を海外グループの各拠点へ約1年間派遣する「海外トレーニー制度」を導入しています。2025年度は計2名をインド、ドイツへ派遣しました。

 

2.デジタル人財の育成

当社はものづくりサービス業への転換をビジョンとして掲げています。最新のテクノロジーを利活用することでビジネスの進め方や仕組みを変革させ、顧客満足度向上や社内業務の効率化、その先にある循環型社会の実現や人財不足解消等の社会課題の解決に向けてイノベーションによる価値を提供できるよう、DX活動に力を入れており、デジタル人財の育成を推進します。

これまで、各現場が自律的にデータを利活用できる姿を目指し、工場勤務者も含め全従業員を対象としたデータ活用研修を実施し、基礎研修については2025年度までに9割以上が、初級研修については同じく2025年度までに20代のほぼ全員が受講を完了しています。

また、高度なデータの利活用の実践を目指し、各部署から公募した人財に対して、デジタルツールを用いた課題解決スキルを習得する選抜型の研修を実施し、各現場における効率化を推進します。

 

3.従業員全体の育成施策の拡充

従業員全体のスキルアップやキャリア形成を継続的に支援するため、育成施策についても現行施策の必要な見直し、拡充を図ります。

具体的には、技術研修やe-learningコンテンツ等の研修の充実に加えて、スキル研鑽やノウハウ共有を目的としたフォーラムの実施等、従業員全体のレベルアップを図っています。また、創造開発型企業としての当社の強みを生み出す人財の成長やキャリア形成を促進するため、保有する専門性をもとに処遇する制度を導入しました。今後は、対象となる専門性の更なる拡大等を検討する予定です。

 

4.経営人財の育成

当社が中長期的に発展していくために、重要職位を担えるプール人財の育成を推進します。

具体的には、役員に求められるあるべき人財像(能力・資質)を定義、計画的なサクセッションが必要とされる職位を特定し、その候補となるプール人財を選抜のうえ、育成状況を議論するレビュー会議の開催や経営者育成プログラム、リーダーシップアセスメント、経営リテラシーアセスメント等を実施することで、経営人財の円滑なサクセッションを図っています。また、プール人財の中長期的な育成を目的として、より若年層への展開を検討していきます。2024年度15名、2025年度15名に対し、360度アセスメントを実施したほか、経営者育成プログラムを実施しました。今後は研修のほか部門横断の配置転換等も取り入れ、必要なスキルや経験を中長期的に高めていきます。

 

5.ダイバーシティの推進

中長期的な企業価値の創造に向けては、多様な価値観を受容し活かすことのできる環境が重要であり、ダイバーシティの推進が重要と考えています。その第一歩として、女性の活躍推進を目指します。

具体的には、取締役及び執行役員を対象に実施したアンコンシャス・バイアス研修に加えて、全従業員を対象に、「仕事と育児・介護・病気治療との両立に関するアンケート」を実施しました。また、当面の目標として、営業・管理・技術系部門配属の新卒採用における女性比率20%以上を掲げています。

 

(ロ)社内環境整備方針

1.労働安全衛生の向上

労働安全衛生は企業経営の基盤をなすものと考えており、「安全で働きやすい快適な職場」を生産本部の最重要課題の一つとして掲げ、負傷及び疾病につながる有害な作業環境を排除しています。具体的な取組み事項は以下のとおりです。

労働に関係する負傷及び疾病の防止

 

・リスクアセスメントの実施

・職場での安全衛生教育の実施

・KYT(Kiken Yochi Training)やヒヤリハット活動を実施

労働安全衛生のパフォーマンスの継続的な改善

・最新の関連法令の管理と周知(化学物質のリスクアセスメント実施)

・安全衛生委員会の活動推進

・内部監査やマネジメントレビュー実施

・交通安全活動の実施

・職場内安全パトロールの実施

 

2.健康経営の推進

人財育成の基盤となる、健康的にいきいきと働くことができる職場を提供することを目標に、メンタル・フィジカルの両面から取組みを行っています。また、ワークライフバランス(仕事と生活との調和)向上の一環として、仕事と育児・介護の両立支援のための施策を推進しています。

メンタルヘルス対策

・全従業員を対象にストレスチェックを実施

産業医の指導及び疾病予防活動の実施

・産業医による職場巡視と安全衛生委員会での指導

定期・特殊健康診断の実施

・定期健康診断及び各生産拠点で該当者を対象とした特殊健康診断を実施

長時間労働(残業過多)の管理

・各拠点で管理するとともに本社部門で監視

育児・介護の両立支援

・育児・介護のための両立支援ハンドブックの策定

 

② 指標と目標

人財育成方針及び社内環境整備方針に対して、以下のとおり「指標と目標」を設定しています。

指標

実績(2025年度)

目標(2026年度

営業・管理・技術系部門配属の新卒採用における女性比率

13.9

20.0%以上

男性の育児休業取得率

68.5

50%以上

育児休業取得後の復職率

100

100

強度率

0.00

0.01以下

度数率

0.38

0.50以下

(注)1.人事に関する運用の違いから一律の記載が困難であるため、対象範囲はTHK日本となります。

 

 

3【事業等のリスク】

当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性のあるリスクや不確定な要因は以下のものがありますが、これらのリスクは必ずしも全てのリスクを網羅したものではなく、現時点では予見できないリスクや重要度が低いと考えられるリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。

なお、本項に含まれる将来に関する事項につきましては、当連結会計年度末において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 当社のリスク管理体制

当社は、当社グループの事業活動に関わるあらゆるリスクを的確に把握し、経営陣による適切なリスクテイクを支えるため、社長を委員長とするリスク管理委員会を設置し、リスク管理規程に基づく全社的なリスク管理体制を構築しております。リスク管理委員会では、当社グループの事業活動に関して抽出されたリスクとその対応策を策定するとともに、リスク管理体制が有効に機能しているかどうかの検証を行っております。

また、当社は、リスクを組織の収益や損失に影響を与える「不確実性」と捉え、マイナスの側面とプラスの側面の両面があると考えており、マイナス面のリスクに対して適切にリスクヘッジしつつ、プラス面のリスクに対して積極的なリスクテイクを行うことができれば、今後の持続的成長につながると考えております。

 

(2) リスクの特定方法

当社は、リスク管理規程に則り、当社グループ全体を対象にリスクアセスメントを毎年実施しております。日本国内外のグループ会社及び当社の各部門から報告を受けたリスクアセスメントの結果を基に「発生可能性」、「影響度」の2つの評価軸でマッピングを行うことで、リスクの重要度を評価し、リスク対策の優先度を決定しております。リスクの発生頻度、影響度はそれぞれ5段階で評価し、数字が高いほど、またリスクとして抽出した会社・部門が多いほど、リスクが高くなります。

 

(3) 事業等のリスク

<特に重要なリスク>

① 災害・地政学的問題・テロ・戦争・感染症等について

当社グループは、日本国内はもとより、米州、欧州、アジア等、世界各地に製造・販売拠点を有しておりますが、これらの事業拠点及び取引先の事業拠点において、地震・台風・火災等の自然災害やテロ攻撃・戦争による政情不安または感染症蔓延等による被害を受けた場合には、生産活動をはじめとする企業活動全般に重大な影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、事業継続計画(BCP)を策定し、危機発生時における被害を最小化し、事業の継続や早期復旧を図るための事前対策を講じるとともに、危機管理サービスを導入し、地震・台風・大雨等の自然災害発生時に、被害地域にある自社の事業所及び取引先の把握と被害による部品供給状況を速やかに把握できる体制を整えております。しかしながら、リスクを完全に回避することは困難であり、想定を超える被害が発生した場合には、結果として当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受けるおそれがあります。

なお、ロシア・ウクライナ問題は一定の落ち着きを見せつつあるものの、引き続き国際的な地政学リスクが存在しており、中東やその他の地域における不安定な国際情勢も予断を許さない状況です。特に、米国とベネズエラ間の軍事的緊張の高まりや、米国によるデンマーク自治領グリーンランドの領有に向けた動き等、世界的に新たな地政学リスクが顕在化しており、これらの地政学リスクに起因する国際関係の変化が、世界的な物価の高騰、部品・原材料の供給不足等を引き起こす可能性があります。紛争当事国における当社グループの事業活動の規模は比較的小さく、当社グループの事業への直接的な影響は僅少でありますが、先行き不透明な状況にあり、今後の国際情勢の変化により地政学リスクが高まった場合には、エネルギーや原材料価格の高騰、原材料の調達遅延、事業活動の中断等、グローバルに事業展開する当社グループの事業活動への影響が懸念されます。

 

② 海外事業展開について

当社グループは、米州、欧州、アジア等、世界各地に製造・販売拠点を有しておりますが、中国やその他新興国の製品の台頭により、特に価格面における競争環境はグローバル規模で厳しさを増しています。

当社グループでは、顧客の心で考え、行動し、検証する「顧客志向」の立場で日々営業活動を行うとともに、ITを活用して顧客や市場のニーズを的確に捉える仕組みを導入し、高性能で付加価値の高い製品の開発、提供を継続して進めておりますが、顧客や市場のニーズを十分に予測できず、魅力ある新製品を開発できない場合や新製品の市場への投入が遅れた場合、あるいは他社が画期的な新製品を開発した場合には、当社製品が機械要素部品及び輸送用機器要素部品に占める地位を失い、将来の成長と収益性が低下するおそれがあります。

また、米中の対立やロシア・ウクライナ問題をはじめとする国際紛争に起因して、各国政府による安全保障貿易管理における様々な政策、規制の変更等、海外事業展開の不安定要素が増している状況です。当社グループでは、グローバルで政治・経済情勢や法規制、関税や安全保障貿易管理に基づく輸出規制等に関する最新の状況をモニタリングし、取引形態やサプライチェーンの見直し等の対策を講じるとともに、グローバルに懸念のある取引を事前審査するプロセスを強化することで、複雑化する各国の輸出規制や制裁による事業への影響の低減を図っておりますが、当社グループの製品を製造・販売している国や地域の政治情勢や経済状況の変動、あるいは予期せぬ法規制の変更等により、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受けるおそれがあります。

 

③ 人財について

当社グループは、人的資本を強化し、競争力を維持するため、新卒採用だけでなくキャリア採用を積極的に進め、日本国内外で優秀な人財を継続的に採用し、“個力の強化”を目標に、従業員の成長支援に取り組んでおります。また、多様で働きがいのある労働環境の実現に向け、ダイバーシティの推進が重要と考えております。子育てや介護を行う従業員が安心して仕事と生活を両立できるよう、出産・育児・介護をサポートする両立支援の取組みを進めるほか、女性活躍の推進の観点から、新卒採用における女性比率の向上を目指しております。さらに、高齢者や障がい者の活躍支援、自己申告制度による従業員の希望の確認等、体制面や従業員エンゲージメントの向上に努めております。

さらに、少子高齢化に伴う労働力不足への対応として、省人化・無人化に向けたデジタル技術やAI(人工知能)の活用を推進しております。これにより、業務効率化や生産性向上を図るとともに、従業員がより付加価値の高い業務に従事できる環境を整備しています。

しかしながら、少子高齢化を背景とした労働人口の減少等により、各分野における人財の確保競争が激しさを増すなか、特定分野のスキルを持った人財に対する世界的な需要の高まりが競争に拍車をかけており、当社グループが計画どおりに適切な人財を採用できなかった場合やその育成に齟齬が生じた場合、技術・技能の承継にも支障をきたし、当社グループの事業の遂行に制約が生じる可能性があります。

また、当社グループでは安定した労使関係の構築に努めておりますが、海外においては労使慣行の相違が存在し、法制度や経済環境、社会環境の変化等予期せぬ事象を起因とする労使関係の悪化や労働争議の発生、また新興国を中心として従業員の賃金が急上昇した場合には、当社グループの経営成績及び財務状況が影響を受けるおそれがあります。

 

④ 特定産業界における需要動向の変化による影響について

当社グループは、産業機器事業と輸送機器事業を展開しております。産業機器事業はLMガイドやボールねじ等の機械要素部品、輸送機器事業はリンクボールやサスペンションボールジョイント等の輸送用機器要素部品を製造・販売しており、産業機器事業は工作機械や一般機械、半導体製造装置をはじめとする産業用機械メーカー、輸送機器事業は自動車関連企業等の輸送用機器メーカーが主要顧客です。当社グループでは、「グローバル展開」「新規分野への展開」「ビジネススタイルの変革」の三つの戦略軸によるビジネス領域の拡大を進め、従来の機械要素部品ビジネスにFAソリューションビジネスを加えることで、マシンビルダーからマシンユーザーまで幅広い顧客の生産活動に貢献できる体制を目指すなど、特定の顧客や製品に依存しないよう、リスクの分散に努めておりますが、現状においては、当社グループの業績は、主要顧客である工作機械、一般機械、半導体製造装置、輸送用機器等の産業界における需要動向に影響を受けており、特に輸送機器事業は自動車業界の動向の影響を強く受ける傾向があります。

従って、将来において特定の産業界における急激な需要動向の変化等により、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受けるおそれがあります。

なお、2026年2月2日付けで、株式会社アドバンテッジパートナーズがサービスを提供するファンドが間接的に出資する特別目的会社である株式会社AP87と、輸送機器事業の譲渡及び債権譲渡に関する基本契約書を締結しております。

 

⑤ 原材料や部品の調達について

当社グループは、製品の製造に使用する原材料及び部品を、日本国内に限らず広く世界中の複数の供給元から調達しております。当社グループでは、これらの供給元を“共に成長するための重要なパートナー”と位置付け、新技術・新工法・新素材等の情報を共有する場を設けるなど協調体制を組み、安定かつ継続的な供給の維持を図るとともに、徹底したコスト管理にも努めております。さらに、紛争鉱物への対応や環境への配慮等、サプライチェーンを通じて、社会からESG観点での高度な対応が求められていることから、供給元の事業者に「CSR調達ガイドライン」を配布し、CSR調達の徹底を図っております。

一方で、ロシア・ウクライナ問題をはじめとする国際紛争は、世界的な物価の高騰を引き起こしており、他の地域における国際紛争の発生、または供給元の生産能力不足や品質不良、倒産、コンプライアンス違反、あるいは火災や地震等の自然災害に加え、感染症の発生等を契機としたロックダウン(都市封鎖)等が供給元の所在する国や地域で行われた場合、サプライチェーン寸断による原材料及び部品の不足が生じる可能性があります。また、原油価格の高騰、原材料供給国の社会情勢、新興国における需要の高まり等を背景として、原材料価格が予期せぬ高騰を示した場合、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受けるおそれがあります。

 

⑥ 情報セキュリティについて

当社グループは、事業活動を通して個人情報を入手することがあり、また、営業上・技術上の秘密情報を保有しております。

当社グループでは、社長を委員長とする「情報セキュリティ委員会」を設置・運用しており、当委員会には外部の専門家もオブザーバーとして参加し、情報セキュリティに関する管理体制やルールの整備・強化を図っております。また、日本国内外における個人情報保護をはじめとする法規制強化に適宜対応するとともに、情報リテラシーを高めるための社員教育等を実施し、情報の厳格な管理に努めております。さらに、当社グループでは、製造現場で発生するロスを削減して設備総合効率(OEE)の最大化に貢献するプラットフォームを提供する事業において、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の国際規格であるISO27001の認証を取得しており、セキュリティ管理体制の継続的な改善を図っています。

また、当社グループは、事業全般において様々な情報システム及びITネットワークを活用しており、これらシステムには十分な安全対策を施しております。

しかし、近年、サイバー攻撃の手口はAI(人工知能)の活用により高度化・巧妙化しており、従来の対策では防ぎ切れない新たな脅威が増加しています。さらに、クラウドサービスの利用の増加に伴い、情報セキュリティに関するリスクが一層高まっており、またプライバシー保護の観点からも保有する情報の取扱いに関する規制強化の動きが各国で進むなか、適宜セキュリティの強化に努めておりますが、サイバー攻撃、コンピューターウィルスの感染、不正アクセス、インフラ障害、情報システムの不具合等により情報が流出した場合や重要データの破壊、改ざん、システム停止等の不測の事態が生じた場合には、当社グループに対する社会的信用の低下や事業活動の中断、対策費用の発生、多額の課徴金の支払い、取引の停止等により、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受けるおそれがあります。

 

<重要なリスク>

① 製品の品質問題について

当社グループの製品は、工作機械、産業用ロボット、半導体製造装置等の産業用機械から、自動車、免震・制震装置、医療機器、アミューズメント機器、航空機等の民生品分野まで幅広く採用されています。

当社グループは、日本国内外の各生産拠点において品質マネジメントシステムであるISO9001認証を取得し、それに従った各種製品・サービスの開発や製造を行うことで、産業機器事業の品質保証体制の整備を図るとともに、自動車産業をはじめとする輸送機器事業、また航空宇宙産業等の新たな分野に適応する各種品質セクター規格を認証取得し、あらゆる市場に適合する高い品質保証体制の構築に努めております。

しかしながら、製品に欠陥が生じるリスクをゼロに低減することは不可能であり、万が一大規模なリコールや製造物賠償責任につながるような予期せぬ製品の不具合が発生した場合、多大な費用の発生や社会的信用の低下、取引停止等により、経営成績及び財政状態が影響を受けるおそれがあります。

また、当社グループはグローバルな製造物責任保険に加入しておりますが、損害賠償等の損失についてその全てを担保するという保証はありません。

 

② 為替レートの変動について

当社グループは、輸出入等を中心とした外貨建取引について、為替予約等により為替リスクをヘッジしておりますが、為替レートに大幅な変動が生じた場合、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受けるおそれがあります。

また、連結財務諸表の作成にあたって在外子会社の財務諸表を円換算しておりますが、現地における通貨金額が変わらない場合においても、換算時の為替レートにより円換算後の連結財務諸表上の金額が影響を受けるおそれがあります。

 

③ 金利の変動について

当社グループは、金融機関からの借入、社債及びコマーシャルペーパーの発行等の方法によって資金調達を行っており、資金需要に対してその内容や財政状態及び金融環境を考慮し、調達の金額・期間・方法等を判断しております。金利が上昇した場合にはこれらの調達コストが増加します。この影響を軽減するため、当社グループでは金利スワップ契約等のデリバティブ取引を利用しております。

当社グループでは投資した資産について、現在価値の算出に市場金利を基準とする割引率を用いており、金利が大きく上昇した場合、使用価値の計算に用いる割引率が大きく上昇することにより回収可能価額が減少し、対象資産の評価額に影響を及ぼす可能性があります。

金利動向によっては、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受けるおそれがあります。

 

④ 環境問題について

当社グループは、地球環境を健全な状態で次世代に引き継いでいくことは企業の社会的責務であるとの認識に立ち、THKグループ環境基本方針を制定し、省エネルギー製品の開発、環境負荷の継続的な低減と自然環境の維持・改善等に努めております。また、当社グループは、各生産拠点において環境マネジメントシステムの国際規格であるISO14001の認証を取得するとともに、日本国内外の環境関連法令の遵守はもちろんのこと、EUの有害物質規制法RoHS指令及びREACH規則や中国の電子情報製品生産汚染防止管理弁法に代表される様々な規制に対しても、日本国内・海外の生産拠点に対して「グリーン調達ガイドライン」を適用し対応しており、これまで重大な環境問題が発生したことはありません。

しかしながら、不測の事態により将来において環境問題が発生した場合には、損害賠償や対策費用の発生、罰金等の行政処分、社会的信用の低下、生産活動の停止等により、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受けるおそれがあります。

また、環境に関する規制がさらに厳格化し、追加の義務や費用負担が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受けるおそれがあります。

なお、気候変動(気温上昇)による影響について、TCFD提言に沿ったシナリオ分析の結果は、「2.サステナビリティに関する考え方及び取組」(2)気候変動に記載のとおりであります。

 

⑤ コンプライアンスについて

当社グループは、グローバルな事業展開を行っており、様々な国の法令・規則の適用を受けています。また、当社グループの職場においてハラスメントや人権問題等が生じた場合、社員の健康やメンタルヘルスの悪化、社会的信用・企業イメージの低下等により、人財の確保・育成に関するリスクが顕在化し、当社グループの発展等に大きな影響が生じる可能性があります。

当社グループでは、コンプライアンス意識の徹底と不正を許さない職場環境の醸成のため、社長を委員長とする「コンプライアンス委員会」を設置・運用しており、当委員会には外部の専門家もオブザーバーとして参加し、法令・社内規範・倫理規範の遵守を目的とした体制の整備、公正な企業活動に努めております。また、当社グループの役職員が共有・遵守すべき「THKグループ行動憲章」を制定し、全役職員に周知するとともに、必要な社内教育を実施するなど、コンプライアンス意識の向上を図っております。

また、内部通報制度を整備し、担当部署、監査等委員会、顧問弁護士と社内外に3つの通報窓口を設け、法令や社内規範等に違反する行為、またはそのおそれのある行為について通報を受け付け、コンプライアンスリスクの未然防止に努めております。さらには、当社グループの組織または役職員により行われた、取引先等に対する法令違反行為等について、社外からの相談を受ける窓口も設置しております。

しかしながら、グローバルに事業を展開するなか、コンプライアンスリスクを完全に回避することは困難であり、法令違反等が生じた場合には、当社グループが刑事上、民事上、行政上の責任を負い、また社会的信用の低下等により、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受けるおそれがあります。

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及び

キャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 経営成績の状況

当連結会計年度においては、ウクライナや中東情勢をはじめとする地政学リスクの高まり、インフレの継続、および米国の関税政策などの懸念材料がある中で、世界経済は先行きが不透明な状況が続きました。

当社は新たな経営方針として「ROE 10%超の早期実現」を掲げ、2025年2月の決算発表において経営指標とその実現に向けた施策を公表しました。新たな経営方針においては産業機器事業における「構造改革」と輸送機器事業における「選択と集中」に加えて、ROEの分母である自己資本のコントロールもより重視しています。

そのような中、輸送機器事業については、当社に期待される資本コストと投下資本利益率(ROIC)を将来的にも厳しく精査する中で、事業を譲渡することが相応しいとの判断のもと、2026年2月2日付で、株式会社アドバンテッジパートナーズがサービスを提供するファンドが間接的に出資する特別目的会社である株式会社AP87に事業を譲渡することを決定し、同事業を営む連結子会社の株式譲渡及び債権譲渡に関する基本契約書を締結しました。当期より、IFRS第5号「売却目的で保有する非流動資産及び非継続事業」に従った売却目的保有への資産の分類要件を満たすことから、輸送機器事業を非継続事業に分類するとともに、当期の表示形式に合わせ、関連する前期の連結財務諸表および注記を一部組替えて表示しております。

当期の業績につきましては、継続事業である産業機器事業において、主に中国や米国において需要が回復に向かったことなどにより、連結売上収益は前期に比べて、177億7百万円(7.9%)増加し、2,404億4千4百万円となりました。

コスト面では、新経営方針のもとに進めている構造改革に伴う費用や米国関税の影響を受けました。そのような中、売上原価率は前期に比べて1.3ポイント上昇し、70.7%となりました。

販売費及び一般管理費は、前期に比べて7億2百万円(1.3%)増加し、543億4千1百万円となりました。売上収益に対する比率は、前期に比べて1.5ポイント低下し、22.6%となりました。さらに、持分法適用関連会社である三益THK株式会社において、市況の悪化に加えて、実施した投資案件にかかる損失見込み額の計上に伴い、持分法投資損失が15億8千7百万円となりました。

これらの結果、営業利益は前期に比べて14億8千7百万円(△9.3%)減少し、144億3千6百万円となり、売上収益営業利益率は1.1ポイント低下し、6.0%となりました。

金融収益は30億4千8百万円、金融費用は17億3千8百万円となり、税引前利益は前期に比べて21億2千3百万円(△11.9%)減少し、157億4千6百万円となりました。

これらに加え、輸送機器事業を営む連結子会社の株式譲渡及び債権譲渡に伴い、事業整理損失として、816億3千9百万円を計上した結果、継続事業及び非継続事業合算の親会社の所有者に帰属する当期利益は前期に比べて803億3千1百万円減少し、698億9千1百万円の損失(前期は104億3千9百万円の親会社の所有者に帰属する当期利益)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

 

(日本)

日本では、継続事業である産業機器事業において需要は概ね横ばいで推移しましたが、売上収益は前期に比べて20億4千6百万円(△1.8%)減少し、1,108億5千9百万円となりました。セグメント損益(営業損益)は、非継続事業である輸送機器事業を営む連結子会社の株式譲渡及び債権譲渡に伴う97億3千8百万円の事業整理損失に加え、持分法適用関連会社である三益THK株式会社の持分法投資損失を15億8千7百万円計上したことなどにより、前期に比べて114億6千4百万円悪化し、36億1千8百万円の損失となりました。

 

(米州)

米州では、非継続事業である輸送機器事業において需要が低位に推移したことなどにより、売上収益は前期に比べて15億8百万円(△1.6%)減少し、902億4千8百万円となりました。セグメント損益(営業損益)は、主に非継続事業である輸送機器事業を営む連結子会社の株式譲渡及び債権譲渡に伴う388億9千9百万円の事業整理損失を計上したことにより、前期に比べて386億8千7百万円悪化し、362億7千9百万円の損失となりました。

 

(欧州)

欧州では、継続事業である産業機器事業、非継続事業である輸送機器事業ともに需要が低位に推移したことなどにより、売上収益は前期に比べて8千3百万円(△0.1%)減少し、675億1千6百万円となりました。セグメント損益(営業損益)は、主に非継続事業である輸送機器事業を営む連結子会社の株式譲渡及び債権譲渡に伴う245億4百万円の事業整理損失を計上したことにより、前期に比べて258億1千1百万円悪化し、262億1千9百万円の損失となりました。

 

(中国)

中国では、継続事業である産業機器事業において需要が回復する中、売上収益は前期に比べて135億8百万円(21.6%)増加し、760億3千4百万円となりました。セグメント利益(営業利益)は、主に非継続事業である輸送機器事業を営む連結子会社の株式譲渡及び債権譲渡に伴う72億3千3百万円の事業整理損失を計上したことにより、前期に比べて53億2千8百万円(△74.0%)減少し、18億7千4百万円となりました。

 

(その他)

その他では、継続事業である産業機器事業におけるインド・ASEANをはじめとして当社グループ製品への需要の裾野が着実に広がる中、販売網の拡充に加え、新規顧客を開拓すべく積極的な営業活動を展開しました。そのような中、売上収益は前期に比べて36億3千1百万円(20.2%)増加し、216億3百万円となりました。セグメント利益(営業利益)は、主に非継続事業である輸送機器事業を営む連結子会社の株式譲渡及び債権譲渡に伴う12億6千3百万円の事業整理損失を計上したことにより、前期に比べて6億3千4百万円(△85.0%)減少し、1億1千1百万円となりました。

 

② 財政状態の概況

資産は、現金及び現金同等物が282億8千5百万円、営業債権及びその他の債権が179億4千5百万円、棚卸資産が264億8千3百万円、有形固定資産が408億8千1百万円、のれん及び無形資産が60億1千万円、退職給付に係る資産が41億1千4百万円減少したことなどにより、前連結会計年度末に比べ944億2千6百万円減少の4,729億9千2百万円となりました。

また、輸送機器事業の譲渡に関する基本契約書が締結されたことに伴い、譲渡が見込まれる輸送機器事業の資産として361億2千6百万円を売却目的で保有する資産へ振り替えています。

負債は、営業債務及びその他の債務が154億5千4百万円、退職給付に係る負債が44億5千万円減少しましたが、社債及び借入金が266億9千1百万円増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ296億1千9百万円増加の2,072億4千2百万円となりました。

また、輸送機器事業の譲渡に関する基本契約書が締結されたことに伴い、譲渡が見込まれる輸送機器事業の負債として283億7千7百万円を売却目的で保有する資産に直接関連する負債へ振り替えています。

資本は、利益剰余金が1,319億4百万円、その他の資本の構成要素が26億6千9百万円、非支配持分が17億3千3百万円減少、自己株式が13億4千1百万円増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ1,240億4千5百万円減少の2,657億4千9百万円となりました。

 

③ キャッシュ・フローの概況

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

 

営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前利益157億4千6百万円、売却目的で保有する処分グループを売却コスト控除後の公正価値で測定したことにより認識した損失816億3千9百万円、減価償却費及び償却費243億1百万円、棚卸資産の増減額54億8千1百万円などのキャッシュ・インに対し、非継続事業からの税引前損失798億7千1百万円、営業債権及びその他の債権の増減額13億9千4百万円、営業債務及びその他の債務の増減額8千1百万円、法人所得税の支払額62億9千8百万円などのキャッシュ・アウトが発生したことにより、427億4千8百万円のキャッシュ・イン(前連結会計年度は284億1千2百万円のキャッシュ・イン)となりました。

 

投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出188億9千5百万円などのキャッシュ・アウトにより、197億9千8百万円のキャッシュ・アウト(前連結会計年度は342億2千3百万円のキャッシュ・アウト)となりました。

 

財務活動によるキャッシュ・フローは、社債の発行による収入300億円、短期借入れによる収入200億円などのキャッシュ・インに対し、長期借入金の返済による支出21億8千5百万円、社債の償還による支出200億円、自己株式の取得による支出365億1千9百万円、配当金の支払額293億5千9百万円などのキャッシュ・アウトが発生したことにより、420億5千5百万円のキャッシュ・アウト(前連結会計年度は226億5千2百万円のキャッシュ・アウト)となりました。

 

これらの結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べて、177億5千8百万円減少し、1,205億3千4百万円となりました。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も多く、連結ベースにおいてはセグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。

このため、生産、受注及び販売の状況については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」に関連付けて記載しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 経営成績の分析

連結売上収益は2,404億4千4百万円、営業利益は144億3千6百万円、税引前利益は157億4千6百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は698億9千1百万円の損失となり、売上収益は主に中国や米国において需要が回復に向かったことなどにより、前期に比べて増加しましたが、各利益項目はそれぞれ前期に比べて減少し、EPS(基本的1株当たり当期損失)は△618.66円、ROE(親会社所有者帰属持分当期利益率)は△21.7%となりました。

売上収益については地域別の状況を見ると、日本では、産業機器事業における需要が低調に推移し減収となりました。米州では、産業機器事業における需要が回復に向かったことにより増収となりました。欧州では、主に為替が前期に比べて円安で推移したことなどにより増収となりました。中国では、産業機器事業における需要が回復に向かったことにより増収となりました。アジア他地域においても、産業機器事業における需要が回復に向かったことにより増収となりました。

コスト面では、新経営方針のもとに進めている構造改革に伴う費用や米国関税の影響を受けました。さらに、持分法適用関連会社である三益THK株式会社において、市況の悪化に加えて、実施した投資案件にかかる損失見込み額の計上に伴い、持分法投資損失を計上しました。これらに加え、輸送機器事業を営む連結子会社の株式譲渡及び債権譲渡に伴い、事業整理損失として、816億3千9百万円を計上しました。これらの結果、営業利益、税引前利益、親会社の所有者に帰属する当期利益は前期に比べて減少しました。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.財務戦略の基本的な考え方

当社グループは、企業価値向上に向けた資金を適切に調達、配分しております。加えて、パンデミック、自然災害、不測の事態の発生時においても事業を継続し、当社製品の供給責任を果たすべく、強固な財務基盤を堅持することを財務戦略の基本としております。財務基盤の堅持に関しては、安定的な資金調達を可能とするため、格付機関である格付投資情報センターおよび日本格付研究所からともに取得している「A+(シングルAプラス)」の維持向上を目指しております。主要な金融機関とは良好な取引関係を維持しており、加えて安定した財務基盤の構築につとめてきたことから、当社グループの事業の維持拡大、運営に必要な運転資金、投資資金は調達可能であると認識しております。

 

b.資金の調達と流動性

当社グループの資金の源泉は、主として営業活動からのキャッシュ・フローと社債等の発行及び金融機関からの借入などの財務活動による資金調達になります。当期の営業活動によるキャッシュ・フローは、427億4千8百万円であります。財務活動では、主要な金融機関との間でコミットメントライン500億円を設定しており、緊急時の資金調達手段を確保しております。

また、当社グループでは、日本国内、米州、欧州及び中国の各地域において、グループ各社が保有する資金をグループ内で効率的に活用するキャッシュ・マネジメントシステムを構築し運用しております。日本国内においては当社、米州及び欧州においては当社の金融子会社、中国においては持株統括会社が資金集中管理を行うことにより資金の偏在をならし、資金の効率化、流動性の確保を図っております。

 

c.資金需要

当社グループの主な資金需要は、製品製造のための原材料及び部品の購入費、製造経費、販売費および一般管理費等の運転資金に加え、生産効率及び品質向上、生産能力増強を目的とした設備投資や技術革新に対応した研究開発のための資金ならびに配当金支払などを見込んでおります。

当連結会計年度の設備投資額は、前連結会計年度の318億4千3百万円に比べ108億1百万円(33.9%)減少し、210億4千1百万円となりました。研究開発費は、前連結会計年度の70億5千7百万円に比べ4億6千4百万円(6.6%)減少し、65億9千2百万円となりました。配当金支払額は、293億5千9百万円となりました。

これらの設備投資、研究開発のための資金や、配当金の支払などの原資については、主に自己資金で賄っております。

 

d.経営資源の配分に関する考え方

当社は「ROE 10%超の早期実現」を経営方針として定めております。

この方針のもと、収益性と資本効率を重視した経営を推進するため、事業の選択と集中を行い、主に「ITを含めた生産性向上に資する設備投資」、「人財投資」、「研究開発投資」について、規律性の高い投資を実行します。

また、構造改革によって創出した利益は、事業の競争力強化につながる成長投資に割り当ててまいります。

利益配分につきましては、資本効率向上を目的に、必要となる自己資本の水準を設定するとともに、より積極的な株主還元を実施するため、「ROE 10%超の早期実現」を達成するまで自己資本配当率(DOE)8%を継続することを配当方針としております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(以下「連結財務諸表規則」という。)第312条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。

なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要性がある会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針、4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しております。

 

5【重要な契約等】

(財務上の特約が付された借入金契約)

当社は、運転資金の柔軟な調達を行うため、金融機関と財務上の特約が付された特定融資枠契約(コミットメントライン契約)を締結しております。当該契約に関する内容等は、以下のとおりであります。

 

(1) 契約形態

シンジケート方式によるコミットメントライン

(2) 組成金額

総額50,000百万円

(3) アレンジャー兼エージェント

株式会社みずほ銀行

(4) コ・アレンジャー

株式会社三菱UFJ銀行

(5) 貸付人

株式会社みずほ銀行、株式会社三菱UFJ銀行、株式会社三井住友銀行、三井住友信託銀行株式会社、株式会社山口銀行、株式会社山梨中央銀行、株式会社りそな銀行

(6) 資金使途

運転資金

(7) 契約締結日

2025年10月3日

(8) コミットメント期間

2025年10月3日~2026年10月2日

(9) 期末借入残高

20,000百万円

(10) 財務制限条項

本契約には、期末日現在の連結の財政状態計算書における資本の部の額、並びに単体の貸借対照表における純資産の額に関して、一定の財務制限条項が付されております。

①2025年12月期決算以降、各年度の決算期の末日及び第2四半期の末日における連結の財政状態計算書における資本の部の金額を2024年12月決算期の75%以上に維持すること。

②2025年12月期決算以降、各年度の決算期の末日及び第2四半期の末日における単体の貸借対照表における純資産の部の金額を2024年12月決算期の75%以上に維持すること。

 

2024年4月1日施行の「企業内容等の開示に関する内閣府令及び特定有価証券の内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」(2023年12月22日 2023年内閣府令第81号)第3条第4項の経過措置により、この府令に規定された記載すべき事項のうち、府令の施行前に締結された契約に係るものについては、記載を省略しております。

 

(輸送機器事業の譲渡について)

詳細は、「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記 40. 後発事象(輸送機器事業の譲渡)」をご参照ください。

 

6【研究開発活動】

当社グループは、本社およびテクノセンター(東京都)を研究開発拠点として、基幹の直動システムをはじめ、精密XYステージやリニアモータアクチュエータなどのメカトロ機器、さらに自動車、免震・制震装置、医療機器、航空機、再生可能エネルギー、ロボットなどの消費財に近い分野において、直動システムのコア技術とノウハウを活かした製品開発に努めています。

産業機器事業では、LMガイドを搭載した装置の動剛性を明らかにする「動剛性測定サービス DYNAS」を開発し、サービスを開始しました。装置開発の新たな発見および信頼性向上に貢献します。LMガイドについては、主に中国および東南アジアにおけるマテリアルハンドリング用途に向けて「HSR-MH級」を開発しました。HSR形で用途に適した精度等級をラインナップに加えています。ボールスプラインでは「LF80/100」を開発し、ラインナップの拡充を図りました。ボールねじについては「SDA-VZ軸端末完成品」に軸径15,20のラインナップを拡充しました。汎用性が高く使用し易い製品であり、幅広い市場への拡販を図ります。半導体市場を始めとした特殊環境用途への拡販を図るため、超低ウェービングボールリテーナ入りLMガイド「SPR/SPS」では新たに表面処理を標準対応としました。また、クロスローラーリングでは総ローラー仕様を開発しました。

また、物流や鉄道といった分野へ展開するユーティリティスライド Advanced Wheel Guideに最小形番となる「AWG18」をラインナップしました。装置のさらなるコンパクト化に貢献していきます。

IoT関係では、お客様の生産現場のロスを削減し、設備総合効率(OEE)の最大化に貢献するソリューション「OMNIedge」を展開しています。部品予兆検知AIソリューションを始め、工具監視AIソリューションやメンテナンス統合管理システム、スキル管理AIソリューションと幅広く展開し、生産現場の効率化に貢献しています。部品予兆検知AIソリューションでは製造現場で広く利用されているスピンドルへの対応を開始しました。新たに、電力・水・ガスを見える化し、エネルギーロスの削減に貢献する「GXソリューション」をリリースしました。工場のグリーントランスフォーメーションへの提案を推進していきます。

FA関係では、変種変量生産が求められる近年の生産現場に対応可能な、次世代リニア搬送システム「VTS」に高負荷タイプを追加リリースしました。大型ワーク搬送の実現により、重量物の製造工程へも自働化提案が可能となりました。また、北米や欧州等の海外規格へも適応し、グローバルな展開も促進していきます。フレキシブル次世代搬送ロボット「SIGNAS」は市場ニーズに合わせバージョンアップを行いました。耐環境性能が向上し、より多様な現場での運用が可能となりました。

引き続きお客様がまだ気づかれていない、5年先、10年先のニーズを見据えた真のマーケットインを目指した次世代製品の開発を推進するとともに、現在のお客様のニーズにお応えした製品ラインナップの拡充に努めてまいります。

当連結会計年度の非継続事業を除いた継続事業における研究開発費の総額は5,774百万円であります。