第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針・経営環境

当社グループは「価値の高い情報サービスの創造と提供を通して社会に貢献し、常に期待される企業を目指す。」という企業理念の下、「技術と情熱をもってお客様に楽しさと満足を提供するサービスを創造するとともに、社員一人ひとりの個性を尊重し社員の成長を支援する。」ことを企業指針とし、メッセージングプラットフォーム「Cuenote(キューノート)」を、クラウドサービス(SaaS)形式、ソフトウエア形式で提供しております。
2025年5月30日に公表された総務省の「令和6年通信利用動向調査の結果」によりますと、調査対象企業におけるクラウドコンピューティングサービスの導入割合は上昇傾向が続いており8割超えております。場所や機器を選ばない簡便さや、サーバ等の資産を持たず、保守体制のアウトソーシング化も可能であり、それらがメリットとして認識され、経営面で「非常に効果があった」又は「ある程度効果があった」とする評価は、導入企業全体の88.2%に上っていることが示されております。

また、当社グループの推進するメッセージングソリューション事業は、継続率の高いサービス利用料が収入の大半を占めるストック型ビジネス(サブスクリプションモデル)であり、収益・投資等の計画を立てやすく、スケールメリットを得やすいビジネスモデルのため、基本的には堅調な事業推進が可能となっております。

 

(2)経営戦略等

このような経営方針・経営環境の下、「SaaS事業成長」「顧客価値向上」を通じて、健全な事業拡大のため、次のような取り組みを行っております。

① 提供サービスの拡充

2025年6月にサイボウズ株式会社の業務アプリ構築クラウドサービス「kintone(キントーン)」と連携する「Cuenote Mail for kintone」の提供を開始しております。この連携によりkintoneからメール送信・添付ファイルの送り分けが可能となります。

2025年7月に連結子会社である株式会社ROCが、書籍「新・Instagramマーケティング解体新書〜なぜあの企業は成功したのか〜」を発売開始しております。また、9月に当社は、サイボウズの「kintone(キントーン)」と連携するソリューション「Cuenote SMS for kintone」及び「Cuenote Mail for kintone」の実績が認められサイボウズ社の「オフィシャルパートナー」に認定されております。

当社グループでは2003年にMTAを独自に開発して以降、メッセージング領域における技術力とノウハウを蓄積し、顧客ニーズに応じたサービスや機能を拡充し続けてまいりました。
生活様式が多様化する現在において、情報通信技術やデジタルデバイスの進展により企業と消費者の
コミュニケーション手段もまた多様化しております。
複数のコミュニケーション手段を統合的に管理でき、個々に対し最適な手法を用いメッセージングする
基盤の構築は、マーケティング効果や業務効率の向上、良質な顧客体験の提供を実現する上で効果的
かつ不可欠な手段になると捉え、統合基盤(プラットフォーム)化を進めてまいります。

 

② 開発力の強化

安定的かつ着実な事業拡大を図る上では、既存顧客の契約を継続することのみならず、案件数等が増加した場合においても、収益率を高水準に維持し、かつ顧客サービスのパフォーマンスを維持・向上することが重要であると考えております。

当連結会計年度においても新規サービスやCuenoteサービスの機能開発など、開発力向上のため技術者の採用に注力いたしました。なお、優秀な技術者を採用するため、東京、大阪及び北海道に拠点を有しており、継続的に開発力強化のための基盤整備を推進してまいります。

 

③ 基盤設備の増強

国内に新たなSaaS用のサービス基盤設備を2020年3月に開設いたしました。新基盤では新技術を採用し、システムの可用性、拡張性の向上にあわせ高いデータの堅牢性を実現しております。2018年12月期より提供するDR(ディザスタリカバリ)拠点間分散サービス(注1)とともに顧客からは事業継続の観点から高い評価を得られていると考えております。

なお、当連結会計年度における各サービスの稼働率(注2)は次のとおりとなりました。

Cuenote FC(注3)        : 99.9967%

Cuenote FC Premium(注4): 99.9995%

Cuenote SR-S              : 99.9969%

Cuenote Survey            :100.0000%

Cuenote SMS               : 99.9313%

Cuenote AUTH              : 99.9964%

Cuenote 安否確認          : 99.9670%

 

引き続き、適時適切な設備投資により基盤設備を強化し、データの堅牢性の維持確保、提供サービスの安定運用を図ってまいります。

 

④ サービスの認知・理解向上のためのプロモーション、セミナー活動

オンラインでのプロモーション活動の強化や展示会への出展、また、サービス活用セミナーの実施により、Cuenoteブランドの認知、営業機会の創出にあわせ、既存顧客に対してもサービスの効果的な活用方法を提示してまいりました。

今後も継続的に、ブランド力の維持・強化並びにメッセージングソリューションサービスの認知・理解の向上を推進してまいります。

 

⑤ 内部管理体制の強化

当社グループは、適時適切なリスク管理並びに業務運営の効率化を通じた企業価値向上のため、コーポレート・ガバナンスの強化が重要な課題であると考えております。

企業の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上のために、効率性の優れた透明性の高い経営を実現させ、適切な資源配分、意思決定の迅速化、コンプライアンスの徹底を推進することは、健全な企業統治体制の確立の視点からも極めて重要であると強く認識しており、コーポレート・ガバナンスの強化に努めております。

引き続き、企業価値の維持・向上を目指し、経営の公正性・透明性を確保するとともに、より強固な内部管理体制の構築に取り組んでまいります。

(注1)大規模災害などによるデータセンターの壊滅的被害を想定し、東京・北九州など遠隔拠点に設置する複数設備を用いサービスを提供するオプションサービスです。

(注2)稼働率とは、システムやサービスが稼働すべきであった時間の内、正常に稼働していた時間の割合を求めたもので、次の算式により求めます。
稼働率=(全時間-システム停止時間)/全時間

(注3)Cuenote FCは、プライベート型のSaaSとなります。

(注4)Cuenote FC Premiumは、パブリック型のSaaSとなります。

 

(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① 優秀な人材の確保

事業成長のため、優秀な人材の獲得は不可欠であると考えており、積極的な採用と共に研修等による人材の育成、職場環境の整備に取り組んでまいります。

 

② サービスの付加価値の向上

当社グループ事業には競合する企業が存在しており、これまで性能面や機能面などにおいて競争力を高めてまいりましたが、今後も継続し機能開発や設備投資によりサービスの付加価値の向上に努めてまいります。

 

③ サービスの安定稼働

いつでも安心して利用できることは、SaaSにおいて不可欠であり、顧客が継続利用を判断する重要な要素であると考えております。今後も顧客増加や通信量の増加を見据え計画的な設備投資や増強、予防交換に取り組んでまいります。

 

          ④ 当社グループ及びサービスの認知度の向上

当社グループはこれまで販売促進を目的にインターネット広告を活用してまいりましたが、今後のサービス拡販や人材獲得のためさらなる認知度の向上が必要であると考えており、インターネット以外のメディア活用や出稿量の増加により露出を高め認知度の向上に努めてまいります。

 

⑤ 情報管理体制の強化

当社グループではプライバシーマークやISMSなど外部認証を取得し、規程に基づく運用及び定期監査、見直しの実施や役職員への定期的な啓発、訓練、物理的・技術的対策への投資により情報管理体制を強化してまいります。

 

以上が、当社グループが優先的に対処すべき主要な課題であると認識しております。

 

(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは持続的な成長と企業価値の向上を目標としており、主な経営指標として売上高、営業利益、営業利益率にあわせ期末月の定期契約額(月次経常収益)とメールサービスの解約率を重視しております。

なお、経営上の指標については、後述の「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 ④経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおりです。

 

以上のとおり、事業運営上必要な施策を適時適切に実行することにより定期契約額を増加させ、事業規模を拡大し経営の効率性を高めてまいります。

また、内部統制を有効的に機能させることによりコーポレート・ガバナンスを強化し、企業倫理を遵守しながら企業市民としての社会的責任を果たし、定量的にも定性的にも健全な経済活動を展開してまいります

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループは、経営理念として「価値の高い情報サービスの創造と提供を通して社会に貢献し、常に期待される企業を目指すこと」を第一にうたっております。また、それを目標とする会社の姿勢として「技術と情熱をもってお客様に楽しさと満足を提供するサービスを創造するとともに、社員一人ひとりの個性を尊重し、社員の成長を支援すること」を念頭に置いて経営に取り組んできました。こうした理念や姿勢は、当社グループの企業経営におけるサステナビリティの基盤となるものです。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

当社グループでは、サステナビリティ検討のプロセスとして、2025年12月期にはマテリアリティ(経営上の重要課題)の検討を行い、次の「4つのマテリアリティ」に集約しました。

 

A) 価値あるサービスの創造

B) 顧客ファーストのサービス開発

C) 環境意識の高まり

D) 社会との信頼を築くためのガバナンス

 

(1)サステナビリティ

<エンゲージメント強化による価値の創出>

当社グループは、省資源型で社会貢献が可能なメッセージング・ソリューション事業を行っています。つまり、当社グループにとってのサステナビリティは、当社グループの経営理念やあるべき企業の姿勢を踏まえたうえで、人や社会の「エンゲージメント」(つながり)を創出することにあり、事業展開の際に社会環境に配慮しながら行ってゆくことが重要になります。

多くの人々が様々な関係性を持って暮らす現代社会では、コミュニケーションは社会経済活動の基盤になるものですが、当社グループの提供するサービスは新聞・雑誌、ラジオ・テレビなど誰にでも情報を伝えるマスメディアとは異なり、エンゲージメントを強めることを目的として、メールやショートメッセージによって情報を企業や行政が伝えたい個人の手元に届けるツールとして提供しています。

 

<未来への負債の低減>

新聞・雑誌は大量の紙資源を使用し、郵便物は輸送に多くのエネルギーが使われてきました。

一方、当社グループは情報伝達手段であるメールやショートメッセージサービスを用いて2025年度に年間955億通の発信を行っており、発信通数が多くなっても、サーバ等の機材を適切な数量で構成して効率的に使用することで、環境負荷の少ない運用が可能となっています。加えて、制作や配布に多くの人手がかかる新聞・雑誌、郵便物などとは異なり、メールでは省略できる部分が多く、省人化や業務効率向上による働き方改革にも寄与しています。

 

<ユミルリンクのサステナビリティ>

このように、当社グループのサービスは社会経済活動におけるコミュニケーションツールとして有用性や可用性を最大限発揮するとともに、環境負荷の低減にも寄与しており、環境面でのサステナビリティの一助となっていると考えられます。そして、コミュニケーション及びエンゲージメント強化のツールとしての明確な社会的役割を認識し、その役割を継続・拡大することによって、企業としてのサステナビリティも維持し高めてゆく、そういった好ましい循環サイクルを実現できるのではないかと認識しております。

 

(2)ガバナンス

<社会との信頼を築くためのガバナンス>

当社グループは、公正で透明性の高い経営に取り組むことを基本的な姿勢としています。そして、事業活動を通じてステークホルダー(お客様、ビジネスパートナー、地域社会、株主・投資家、従業員)と良好な関係を築くとともに、その期待に応えて中長期的に企業価値を高め、持続可能で豊かな社会の実現に向けて貢献してゆくことが重要であると認識しています。

企業価値の向上や持続可能な社会の実現のためには、事業活動における立ち居振る舞いが常に社会的に適正なものでなければならず、企業としてコーポレート・ガバナンス体制が最も重要であると認識しています。当社では会社法に基づく機関である株主総会、取締役会及び監査役会を設け、事業運営に対する適切な管理・監督を実行しております。また、高い専門性と豊富な実務経験を有する独立した社外取締役及び社外監査役が取締役会において監督機能を発揮し、的確なアドバイスを提供しています。

 

<サステナビリティ委員会の設立>

当社グループは、持続可能な社会実現への貢献と中長期的な企業価値の向上が重要な経営課題であるとの認識に立ち、2025年1月にサステナビリティ委員会を発足させました。この委員会は、サステナビリティ経営への取組を推進することを目的に、代表取締役社長を委員長とし、常勤取締役、各本部ゼネラルマネージャーを常任委員としており、原則として四半期毎に開催され、当社グループのサステナビリティ経営推進のための基本方針立案、基本方針に沿った施策の推進体制の整備及びモニタリング、サステナビリティに関連する情報の開示等を実施し、取締役会との連携を図ってまいります。また、サステナビリティ委員会は、関係各部・グループ会社と連携して当社グループのサステナビリティ経営の推進を支援してまいります。

※サステナビリティに関する施策

・サステナビリティ研修

 

<その他の委員会について>

サステナビリティ委員会のほか、当社はリスク管理委員会、コンプライアンス委員会及び情報セキュリティ委員会を設けております。これらの委員会は、代表取締役社長を委員長とし、常勤取締役及びゼネラルマネージャーで構成され、原則として、四半期毎に開催するほか、必要に応じて臨時に開催しています。

リスク管理委員会は、経営上、大きな影響を及ぼす事象及び想定される自然災害や労働災害等について、発生頻度と影響度を項目別に予測・評価し、その予防策や発生した場合の影響低減策、発生時の対策をあらかじめ策定し、経営上の負のインパクトを抑制できるようリスクアセスメントを行って備えています。

また、コンプライアンス委員会では、法令・規則及び社内規程・就業規則等に基づき、高い企業倫理観を保持しながら企業活動を推進するため、コンプライアンス関連の施策等について協議し、毎年、テーマを決めて全役職員対象に研修を実施するなど、全社を挙げてコンプライアンスに反する事象の発生を防止する体制をとっています。

情報セキュリティ委員会では、配信ソフトウエアやネットワーク・インフラなど、当社グループのメッセージング・ソリューションの基盤に深く関係している電子情報セキュリティに関して、電子情報セキュリティマネジメントシステム認証やクラウドセキュリティ認証を取得したうえで確実に運用し、その状態をモニタリングするほか、情報セキュリティマネジメントにおける重要な事項について審議・連絡・報告等を行っております。

 

以上のような形で企業としてガバナンスを確保しておりますが、今後も必要に応じて体制の整備・強化を図り、継続的な見直しを行うことにより、その時々の社会の要請に合致した体制を構築し、実施してまいります。

 

(3)戦略

A)価値あるサービスの創造

私たちは、企業と消費者のエンゲージメント向上を目的としたメッセージングプラットフォームを提供していますが、生成AIの急速な発展や労働人口の減少など、社会は大きな変革期を迎えています。豊かさと成長を維持し未来へつなげるためには、変化に柔軟に対応していくための多様性や自己成長が不可欠であり、人材こそが当社グループの最大の資産だと考えています。

そのために従業員一人ひとりのエンゲージメントを高め、個人も組織も成長し、価値あるサービスを創造していきます。また、従業員だけではなく、顧客や投資家とのエンゲージメントを強化することで、組織の成長につなげていきます。

 

<技術力は人材力>

当社グループのビジネスは、高度な配信ソフトウエアやネットワーク基盤の安全・確実な運用などの技術力に支えられており、高い技術力を保有する優秀な人材を将来にわたって確保する必要があります。また、組織を活性化するため多様な人材を得て、新しい事業やサービスを開発する契機にすることも重要であると考えております。

<育成と教育>

人材の育成では、様々な教育・研修の機会を設けて各人の能力開発を進め、中長期的に会社の業績に貢献してもらうことを目指しています。今後、教育・研修の機会の充実、効果的な仕組みの検討・実施を進めます。

※2025年度の育成関連施策

・資格取得支援制度の改定(支援対象資格を約100件に拡大)

 

<女性活躍社会に向けて>

「女性従業員比率の向上」では、2025年度において当社(単体)の女性従業員比率は35.5%で2025年度目標の32%は上回り、女性管理職比率は22.2%で昨年度より2.2%増加しております。株式会社ROCでは、女性従業員の割合は、81.8%となっております。

今後も女性の活躍を念頭に置いて育成や採用を行ってまいりますが、男性の多いIT技術者が中心の企業であるため、2026年度も引き続き昨年度と同レベルの水準を目標とする所存です。また、「育児休職取得率」は、2025年度では女性は100%であり、復職率も100%となっています。(男性は該当者なし。)

働き方に関しては、在宅勤務制度、育児・介護休業制度、時短勤務制度など、状況に応じて柔軟な働き方が選択できるよう制度整備を行ってきました。

※働き方に関する施策

・みなし残業給制度廃止(2023年度末実施済)

 

B)顧客ファーストのサービス開発

私たちのサービスは、多くの企業においてマーケティングやメッセージ送信のインフラとして利用され、その技術力と実績を評価いただいています。同時に顧客の重要なデータを取り扱う責任を強く認識し、セキュリティとサービス品質の向上に努めています。また、選ばれ続けるサービスであるためには、セキュリティと利便性の両立が重要であり、顧客の業務効率や効果を高めるため、顧客視点で価値あるサービスを提供していきます。

そのためには、生成AIなどの技術革新に対応し続けることが不可欠であり、従業員一人ひとりの個性とスキルを尊重し、成長を支援します。そして、持続可能な成長を目指し、技術力と創意工夫によってSaaSの価値を向上させ、顧客にとって最良のパートナーであり続けます。

 

<顧客重視のマインド>

顧客とのコミュニケーションやサービス開発において、顧客ニーズをくみ取り、顧客のビジネスが進展することを最大のテーマとして業務を進められるよう、従業員の顧客志向のマインドの浸透と強化を図ってまいります。

 

C)環境意識の高まり

当社グループが提供するサービスは、単に業務効率化ツールに留まらず、社会経済的にはペーパーやエネルギー使用の削減につながっています。世界各地の高温や豪雨などの自然災害が増加する中、環境問題は私たちにとって身近で重要な課題となってきましたが、私たちは、こうした環境問題に真摯に向き合い、未来への負債を低減することを目指しています。当社グループはメッセージングプラットフォームを提供することで、ペーパーやエネルギーの使用を削減しながら、企業や自治体と個人とのエンゲージメントを促進・強化していきます。

 

<未来への負債の低減>

当社グループの情報伝達サービスであるメールやショートメッセージの発信は、2025年度に年間955億通となりました。当社グループの取り扱うメール等の発信量は、今後も伸長してゆく見込みです。

 

D)社会との信頼を築くためのガバナンス

私たちは「公開企業に求められる健全なガバナンス」を事業の成長エンジン、ひいては企業価値向上のための重要な推進力と捉えています。そして、未来への投資として、ステークホルダーとの揺るぎない信頼関係構築を目指します。私たちは、ステークホルダーとのつながりを大切にし、統合報告書の制作や決算説明会の開催などを通じて透明性の高い情報開示を行っていくことに加え、対話を通じて、信頼関係を築き上げることにも努めていきます。

 

<ステークホルダーとの充実した対話>

ステークホルダーとのコミュニケーションは、充実した資料に基づく決算情報の開示をはじめ、英文版を含むわかりやすい決算説明資料の作成・開示、投資家とのコミュニケーションを図るIRイベントへの参加など、情報発信に努めてきました。今後も、情報発信をより一層活発に行うとともに、投資家との直接的な会話が可能な機会があれば着実に取り組む所存です。

※例年実施しているステークホルダーとのIRに関するコミュニケーション施策

・四半期ごとの決算記者会見

・中間期・通期の機関投資家向け決算説明会及び個人投資家向け決算説明会

・年間10回程度の機関投資家とのIRミーティング

・年間2~3回の個人投資家向けIRイベント登壇など

 

(4)リスク管理

<経営リスク対応>

当社グループは、経営上のリスクや事業上のリスクについて、従来から代表取締役社長が委員長を務める「リスク管理委員会」を原則として、四半期毎に開催するほか、必要に応じて臨時に開催し、潜在的なリスクをできるだけ早く認識できるように運営しています。

年間に1回は部門別に想定されるリスクを洗い出す「リスクアセスメント」を行い、リスク管理委員会においてリスクのレベルや対応策等を審議するなど、リスクの回避・防止・低減に向けた活動を行っています。

また、首都圏での地震等の大規模な自然災害に対応するための企業としての対応策(BCP)を立案しており、年間1回は防災対策研修を実施して、従業員の防災意識や初動対応などの知見を蓄積するよう、努めております。

※リスク管理に関する施策

・BCP研修

・防災通信(不定期の全社向け防災関連啓発記事の発信)

 

<コンプライアンス及び情報セキュリティ>

法令・規則等の違反やハラスメント等に関するリスクに関しては「コンプライアンス委員会」がその任を担っており、情報セキュリティ関連のリスクに関しては「情報セキュリティ委員会」が中心となってリスクアセスメントを行うなど、種々の対策を検討し実施しています。いずれの委員会も委員長は代表取締役社長が務めており、部門横断的な活動を行っています。

※2025年度のコンプライアンス遵守に関する施策

・コンプライアンス通信(月間1回の全社向けコンプライアンス啓発記事の発信)

・コンプライアンス研修

・インサイダー取引防止研修

・ハラスメント防止研修

・管理職向けハラスメント防止研修

※2025年度の情報セキュリティに関する施策

・情報セキュリティ通信(月1回の情報セキュリティに関する全社向け啓発記事の発信)

・ISMS認定・PMS取得

・個人情報保護研修

・情報セキュリティ研修

・メール誤送信防止研修

・標的型攻撃メール対応訓練

 

(5)指標及び目標

当社では、「(2) 戦略」において記載したマテリアリティごとに対応する指標及び目標を設定しております。当該指標に関する実績は、以下のとおりであります。

 

マテリアリティ

2025年度実績

2026年度目標

価値あるサービスの創造

・管理職向け研修:1回

・情報セキュリティ研修:5回、

その他目的に応じた研修:5回

・各研修後の正解率:94.5%

・管理職向け研修を年1回以上実施

・情報セキュリティ研修を年5回以上、

その他目的に応じた研修を年5回以上実施する。

・各研修後の正解率を前年より上回る。

顧客ファーストのサービス開発

-

教育を年1回以上実施

-

生成AI活用に向けて取り組みを進めています。

環境意識の高まり

・ペーパーレス化の実績:前年比7.7%削減

・女性従業員比率(2025年12月末時点):35.5%

・ペーパーレス化の推進

前年から5.0%の印刷物を削減。

・女性従業員比率の向上

女性従業員比率:33%以上

社会との信頼を築くための

ガバナンス

・投資家向け説明会の開催回数:3回

投資家向けの決算説明会を年3回以上実施する。

・各委員会の開催回数:年4回

※サステナビリティ委員会、リスク管理委員会、コンプライアンス委員会、情報セキュリティ委員会

※サステナビリティ委員会の設立

各委員会を年4回実施する。

 

 

3【事業等のリスク】

当社グループでは、事業等のリスクについて、リスク管理委員会を原則として、四半期毎に開催するほか、必要に応じて臨時に開催しており、事業活動におけるリスクを抽出し、発生可能性と影響度から重点対策テーマを定め、その対応策の策定並びに対策状況の評価・検証を行っております。

以下、当社グループ事業においてリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。
また、必ずしも重要なリスクに該当しない事項についても、投資家の投資判断上、重要と判断した場合には、投資家に対する情報開示の観点から積極的に開示しております。当社グループはこれらのリスクの可能性を考慮した上で、リスクの発生の回避や分散、又は問題が発生した場合の対応について最大限努めてまいりますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。なお、文中の将来に関する事項は、特段の記載のない限り、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。

 

(1)事業に係るリスク

① 経営環境の変化について

当社グループはインターネット業界において、メッセージングソリューション事業を中心に、顧客企業に対し、ASP、SaaSを主要な基盤としたサービスを提供しております。現在は顧客企業のIT関連投資マインドの持続的な上昇を背景として当社グループ事業は順調に拡大しておりますが、今後国内外の政治・経済情勢を背景とした、顧客企業におけるIT関連投資を減退するような環境が発生した場合においては、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 競合他社による影響について

当社グループのASP、SaaS事業では先行者メリットを活かしつつ、顧客のニーズに合ったサービスの開発を行うことで優位性を高めております。しかしながらASP、SaaSサービスの新規参入の法的規制や技術的な障壁は必ずしも高いものとは言えず、資金力、ブランド力を有する大手企業をはじめとする競合他社により類似したサービスが開発され価格競争が激化した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、顧客のニーズに合わせ、新機能の開発及び改善を進めていくことで、競合他社との差別化を図り、本リスクの低減に努めております。

 

③ 特定の製品への依存について

当社グループの売上高のうち、主要製品であるメール配信システム「Cuenote FC」の売上高は、売上高全体の59.4%(当連結会計年度)と過半を占めております。当社グループはメッセージングソリューションに関するサービスを提供する企業でありますが、競合製品との競争激化及び市場環境等の変化により「Cuenote FC」の売上が大幅に減少した場合には、当社グループの業績に大きく影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、引き続き、「Cuenote FC」の売上拡大を図る方針に変わりはありませんが、SMS配信サービス「Cuenote SMS」の売上拡大に取り組むことで、本リスクの低減に努めております。

④ 技術革新への対応について

当社グループが各種サービスを提供するインターネット事業領域においては新技術の開発及びそれに基づく新サービスの導入が頻繁に行われており、非常に変化の激しい業界となっております。そのため、当社グループのこれまでの経験が生かせないような技術革新があり、適時に対応ができない場合、当社グループが提供するサービスの競争力が低下する可能性があります。また、新技術への対応のため予定していないシステムへの投資が必要となった場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、新機能開発やサービスの提供に関する新しい技術情報の収集及び習得を行い、積極的に導入することで、技術的優位性を維持することに努めております。

 

⑤ 取引先との取引が継続されないリスクについて

現在、売上高依存度が総売上実績の10%を超えるような顧客は無く、当社グループの顧客層は分散されております。しかしながら、比較的取引額の大きな取引先との解約等が発生し、解約率が上昇した場合及び販売代理店との関係悪化が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、新機能の開発及び改善を進めサービスの市場価値を高めることにより、取引額の大きな取引先の解約を防ぐとともに、販売代理店との良好な関係を強化して顧客数の増加を図ることで、本リスクの低減に努めております。

 

⑥ システムトラブルによるサービス障害について

当社グループのASP・SaaS事業はインターネットを通じサービスを提供しております。利用者に質の高いサービスを提供するためサービスの監視やバックアップ、定期的なメンテナンス等を実施し、高い稼働率を維持するよう努めておりますが、次のような障害やトラブルが生じた場合に一時的にサービスが停止し、収益の低下、ユーザーからの信用低下、ブランドイメージの毀損及び開発業務の停滞等により、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

a.インターネット回線の通信障害

当社グループではサービスを提供する上でのインターネット回線は回線事業者より供給を受けております。インターネット接続回線の多重化や複数回線事業者を採用することで、一部のネットワークの通信切断による全サービスの停止リスクに備えております。また各回線事業者の保守など作業実施に際しては事前に実施日や内容を確認の上、当社グループのシステムやネットワークの設定変更によりサービス停止などの影響を回避するよう努めておりますが、自然災害や事故等により広い範囲で通信が切断された場合には、サービスの提供に支障が生じる可能性があります。

b.ショートメッセージ送受信用回線・設備の障害

SMS(ショートメッセージ)配信サービスにおいては、携帯電話事業者の提供する通信経路を活用しております。当社システムと携帯電話事業者間の通信については、複数経路で通信できるよう対策を講じております。また各回線事業者の保守など作業実施に際しては事前に実施日や内容を確認の上、当社のシステムやネットワークの設定変更によりサービス停止などの影響を回避するよう努めておりますが、携帯電話事業者の通信設備や通信網に障害が生じた場合には、ショートメッセージの送信が不能となりサービスの提供に支障が生じる可能性があります。

c.サービス機材の故障、停止

サービスを提供するためのサーバやネットワーク機器については、事前にその性能や安全性、安定性を評価の上採用し、システム構成時には機材を多重化することで単一機材故障時によるシステム障害に備えております。併せて定期的なバックアップや点検、増強、更新によりシステム稼働率の向上に努めておりますが、複数機材の故障や電源供給停止など予測不能な要因によりシステムが停止した場合にサービスの提供に支障が生じる可能性があります。

d.プログラム不具合

当社グループでは新サービスや機能の開発にあたり、機能の企画設計から開発、テストまで十分に管理するとともに、プログラムのバージョンアップに際しては、複数システムに対して順次に適用することにより複数システムの同時トラブルの発生に対処しておりますが、しかしながら、想定しえない理由により予期せぬプログラムの不具合が生じた際にはサービスの提供に支障が生じる可能性があります。

e.外部からの不正アクセスやコンピューターウィルスの感染

サービスを提供するためのシステムやプログラムに対しては外部からの不正アクセスやコンピューターウィルスへの感染に対する物理的・技術的対策を講じるとともに定期的な脆弱性検査による点検を実施しております。しかしながら、オペレーションシステムにおける未知の脆弱性や未知のコンピューターウィルスへの感染等によりシステムが正常に機能しなくなる可能性があり、サービスの提供に支障が生じる可能性があります。

 

⑦ 法的規制について

当社グループは電子メールを取り扱うASP、SaaS事業を営んでいることから、「電気通信事業法」に基づき電気通信事業者の届出を行っており、通信の秘密等の保護の義務を課せられております。
また、インターネットの普及に伴い「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」「特定商取引に関する法律」「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」等を始め、インターネット事業領域に関する法令整備が進んでおり、今後新たに関連事業者を対象とした法的規制等が制定された場合、業務が一部制約を受け、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。また、万が一適用される法令等に違反した場合、当社グループの業績、事業運営及び社会的信用に重大な影響を及ぼす可能性があります。

当社システムでは多数のメールアドレスや電話番号に対してプログラム処理を行うことから、2013年にISMS、2023年にISMSクラウドセキュリティの認証を取得し、全社的な情報管理・業務フローの適正化の監視監督を担う情報セキュリティ委員会の活動を通じて個人情報保護に関するフローの見直し、従業員教育、システムのセキュリティ強化、個人情報取扱状況の内部監査等を実施し、個人情報管理の強化に努めております。
また、当社グループでは、関係諸法令を遵守する体制の整備及び役職員の研修を実施するとともに、事前の情報収集を実施することで、本リスクの低減に努めております。

 

・主要な事業活動の前提となる事項(電気通信事業者)の内容

 電気通信事業者(旧一般第二種電気通信事業者)、2002年9月取得、届出番号:A-13-04991

・許認可等の有効期間

 届出についての有効期限の定めはありません。

・許認可等の取消解約事由

 届出についての取消解約の定めはありません。

・継続に支障を来たす要因が発生していない旨及び重大な影響を及ぼす旨

 届出の継続に支障を来たす要因の発生及び重大な影響を及ぼす事象はありません。

 なお、届出事項に変更があった場合に変更の届出を行わないと罰則(3年以下の懲役若しくは200万円 以下の罰金または両方)が科されます。(電気通信事業法 第9条、第177条)

 

⑧ 特定の人物への依存について

代表取締役社長である清水亘は、会社経営の最高責任者として経営方針や事業戦略の決定をはじめ、当社グループの事業推進において重要な役割を果たしております。当社グループは、同氏に過度に依存しない経営体制を整備するため、取締役会における役員間の相互の情報共有や社外取締役、社外監査役の積極参加による経営組織の強化を図っております。しかしながら、何らかの理由により同氏が業務を継続することが困難になった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑨ 人材の採用・育成について

当社グループは、持続的で長期的な事業発展のため、多様な専門技術に精通した人材の確保が重要であると認識しており、人材採用を積極的に実施しております。しかしながら、国内における少子高齢化に伴う労働人口の減少や産業構造の変化を背景に、必要な人材を継続的に確保するための環境は日々厳しさを増しております。同時に人材確保のための採用費及び人件費も高騰しております。今後の競争激化により、必要な人材の確保が計画通りに進まなかった場合や人件費が高騰し続けた場合、また在職している技術者の社外流出が大きく生じた場合、当社グループの事業展開、業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、様々な媒体、手法による人材の採用及び育成を積極的に行うことで、本リスクの低減に努めております。

 

⑩ 情報管理体制について

当社グループが提供するサービスは、顧客の有する個人情報や機密情報が登録されることがあります。重要な情報資産が外部に漏洩した場合には、企業イメージの悪化、社会的信用の失墜、損害賠償請求の発生等により、当社グループの事業展開、業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

このため当社グループではこれらの情報資産を保護するために個人情報保護方針、情報取扱規程を定め、この方針、規程に従って情報資産を適切に管理、保護を図っております。また、ISMS及びISMSクラウドセキュリティ認証取得によるマネジメントプロセスを導入するとともに、ファイアウォールや対策機器等のシステム的な対策を施し、多層的な情報セキュリティ対策強化を推進しております。

 

⑪ 知的財産権の侵害について

当社グループは、自社の事業活動が他社の知的財産権等を侵害していないかの確認を実施しております。また、第三者の有する知的財産権の侵害を防ぐ体制として、自社及び外部専門家への委託等による事前調査を行っております。
既存のサービスについても調査可能な範囲で第三者の知的財産権侵害の可能性の調査を行っており、当社グループが事業活動を行うプロセスにおいて使用しているシステムは第三者の知的財産権等を侵害するものではないと認識しております。しかしながら不測の事態、例えば外部に委託した調査の不備により第三者の知的財産権等の侵害が生じた場合、その紛争の解決のための費用又は損失が発生する可能性は否定できないものと認識しております。この場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、第三者の知的財産権等の侵害可能性については、専門家と連携を取り調査可能な範囲で対応を行うことで、本リスクの低減に努めております。

 

⑫ 訴訟リスクについて

当社グループが事業の継続・拡大を行っていく上で、製品販売先若しくは各種取引先との間で紛争等が生じ、これにより訴訟等が提起され、当社が想定外の損害賠償金を支払うような事態が生じる可能性は常に存在します。上記「⑪知的財産権の侵害について」に記載のとおり、当社グループは第三者の知的財産権の侵害についての確認を実施しており、また、製品の開発等においても法的規制・製品の安全性の確認を実施することで、第三者の権利を侵害しないよう努めておりますが、第三者からの訴訟の提起を受ける可能性はゼロではなく、訴訟の提起を受けた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。

 

⑬ 自然災害等について

地震、台風、津波等の自然災害、火災、各種感染症の拡大等が発生した場合、当社グループの事業運営に深刻な影響を及ぼす可能性があります。特に大規模な自然災害が多発したような場合には、当社グループの営業活動が制限されたり、取引先において正常な事業運営が行えなくなるなど悪影響が生じ、正常な事業運営が行えない場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、サービスを提供するための重要な事業基盤である情報資産が格納されているサーバを複数の拠点で分散配置、運用を行うことで、本リスクの低減に努めております。

 

⑭ 事業投資に係るリスクについて

前連結会計年度に子会社化した株式会社ROCは、今後、当社グループの業績に大きく貢献するものと見込んでおりますが、市況及び事業環境の急変等により、予期せぬ状況変化や当初想定していた事業計画からの大幅な乖離が生じた場合、損失等が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(2)親会社との関係について

本書提出日現在、当社の支配株主(親会社)であるアイテック阪急阪神株式会社は、当社株式の51.8%を所有しておりますが、アイテック阪急阪神株式会社は阪神電気鉄道株式会社が55.7%及び阪急阪神ホールディングス株式会社が14.2%を保有する阪神電気鉄道株式会社の子会社であり、阪神電気鉄道株式会社は阪急阪神ホールディングス株式会社の完全子会社(連結対象)であることから、上記3社はいずれも当社の親会社に該当します。
なお、これら親会社とは法令等(東京証券取引所の定める有価証券上場規程を含む)に基づく開示に必要な情報のみを事前報告事項とする旨の契約を結び、独立性・自立性を確保しております。

 

① 親会社における当社グループの位置付けについて

アイテック阪急阪神株式会社は、阪急阪神ホールディングス株式会社の連結子会社であり、情報通信業としてインターネット、医療システム、社会システム等の事業を展開しています。当社グループは、メッセージングプラットフォーム「Cuenote」を開発し、メール配信システムやSMS配信システム等をクラウドサービスとして展開しています。

現在、アイテック阪急阪神株式会社及び阪神電気鉄道株式会社を含む阪急阪神ホールディングス株式会社のグループ(以下、「親会社グループ」という。)において当社グループと同じ業務を行う企業はなく、当社グループと親会社グループ各社との間には事業の棲み分けがなされ、競合関係もありません。

 

② 取引関係について

当社は現在アイテック阪急阪神株式会社との取引として、主にデータセンターの転借取引やCuenoteの代理店販売の委託を行っています。これらの取引については、親会社グループ各社からの独立性確保の観点も踏まえ、第三者である他社と同等の条件により取引を行っています。

当社は、Cuenoteの代理店販売を除き、親会社グループとの取引削減を進める方針ですが、今後も継続する取引及び新たに取引を行う場合は、その取引の合理性及び条件の妥当性について事業上の必要性及び他社との取引条件等を比較し検証を行った上で、当社グループにとって不利益となる場合は条件の見直し、解約を親会社と交渉を行い、取締役会で承認を行うこととしています。

現在においての当社グループと同社との間の主要な取引については、後記「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表等 注記事項(関連当事者情報)」に記載のとおりです。

また、当社グループは、非常勤取締役として事業運営に知見を有する斎田 誠氏を、非常勤監査役として宇仁菅 亮介氏を同社から招聘しておりますが、出向者の受入れ等その他の人的関係はありません。当社グループは同社の承認を必要とする取引や業務は存在せず、事業における制約もなく、当社グループの経営方針及び事業戦略等の重要事項の意思決定において、当社グループは同社からの独立性・自立性は保たれているものと考えております。

同社は、今後も中長期的に当社株式を保有する方針ですが、将来的に、同社をその傘下に置く阪急阪神ホールディングス株式会社におけるコア事業体制の見直し等による、事業戦略変更・基盤事業再編を受け、市場で当該株式の売却が行われた場合や売却の可能性が生じた場合には、当社株式の市場価格に影響を及ぼす可能性があります。さらに、市場での売却ではなく特定の相手先へ譲渡を行った場合には、当該譲渡先の保有株数や当社グループに対する方針によっては、当社グループの経営戦略等に影響を与える可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー (以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。また、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

そのほか、当社グループはメッセージングソリューション事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。

 

① 財政状態の状況

(資産)

当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末と比べて140,810千円増加し、3,576,032千円となりました。これは主に、のれんが108,163千円減少した一方で、現金及び預金が40,626千円、売掛金60,145千円、工具、器具及び備品77,230千円、長期前払費用49,190千円増加したことによるものであります。

 

(負債)

当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べて12,776千円減少し、575,603千円となりました。これは主に、買掛金が41,295千円、未払法人税等63,037千円増加した一方で、未払金が39,168千円、未払費用21,689千円、長期借入金50,040千円減少したことによるものであります。

 

(純資産)

当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べて153,586千円増加し、3,000,429千円となりました。これは主に、利益剰余金が151,893千円増加したことによるものであります。

 

② 経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国の経済は、緩やかな回復基調で推移したものの国際情勢の不確実性による影響などにより、依然として先行き不透明な状況が続いております。

一方、2025年12月11日に内閣府・財務省が発表した法人企業景気予測調査(2025年10〜12月期調査)によれば、今年度における国内の設備投資のスタンスを見ると、全産業における大企業の「省力化合理化」が重要度第2位の45.0%であり、うち非製造業では「情報化への対応」が重要度第2位の47.8%と強く意識されており、当社グループが属する情報通信業界では収益機会が続くことを物語っております。

当社グループにおいては、2025年12月に月間では89億通を配信、年間を通じては955億通の配信を記録しメッセージ配信サービスの過去最高配信数を更新しております。

このような状況の中、当社グループは引き続き「SaaS事業成長」「顧客価値向上」に向け、積極的に取組みを行いました。

当連結会計年度におきましては、次のような提供サービスの拡充を行っております。

2025年6月にサイボウズ株式会社の業務アプリ構築クラウドサービス「kintone(キントーン)」と連携する「Cuenote Mail for kintone」の提供を開始しております。この連携によりkintoneからメール送信・添付ファイルの送り分けが可能となります。

2025年7月に連結子会社である株式会社ROCが、書籍「新・Instagramマーケティング解体新書〜なぜあの企業は成功したのか〜」を発売開始しております。また、9月に当社は、サイボウズの「kintone(キントーン)」と連携するソリューション「Cuenote SMS for kintone」及び「Cuenote Mail for kintone」の実績が認められサイボウズ社の「オフィシャルパートナー」に認定されております。

 

サービス提供種別の売上高の概況は以下のとおりであります。

・Cuenote SaaSのサブスクリプション(サービス利用)売上並びにソフトウエア保守売上:ストック型収益

当連結会計年度は顧客個別の要望に応じるエンタープライズ企業への導入が進んだことに加え、配信数を増加できたことから2,868,986千円(前連結会計年度比10.7%増)、当連結会計年度末定期契約額は252,376千円(同11.7%増)となりました。

・Cuenote SaaSの初期売上(初期利用登録、カスタマイズ、セキュリティ証明書などの取得代行)並びにソフトウエアライセンス売上(オンプレミス):スポット型収益

当連結会計年度の売上高はSaaSの新規受注は底堅く推移したものの、前期のメール業界における特需の反動から、40,519千円(前連結会計年度比47.3%減)となりました。

・SNS運用代行売上、SNSアカウント初期設計費、SNSスポット広告、内製化支援研修、講演:ストック型及びスポット型収益

当連結会計年度の売上高は、145,063千円となりました。

以上の結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高は3,054,570千円(前連結会計年度比14.4%増)、営業利益は671,214千円(同5.3%増)、経常利益は672,905千円(同5.6%増)となりました。

当連結会計年度における特別損失は前連結会計年度に比べ81,363千円増加し、81,363千円(前連結会計年度比100.0%増)となりました。これはのれんの減損損失によるものであります。

この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は362,640千円(同22.8%減)となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の期末残高は、前連結会計年度末より40,626千円増加し、2,581,086千円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果獲得した資金は502,169千円(前連結会計年度は601,378千円の収入)となりました。

これは主に、売上債権の増減額(△60,145千円)、未払金の増減額(△39,168千円)、長期前払費用の増減額(△49,190千円)、法人税等の支払額(△165,549千円)、税金等調整前当期純利益(591,541千円)、減価償却費(111,898千円)、減損損失(81,363千円)、のれんの償却額(26,799千円)、仕入債務の増減額(41,295千円)によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は191,714千円(前連結会計年度は150,067千円の支出)となりました。

これは主に、有形固定資産の取得による支出(△181,518千円)、無形固定資産の取得による支出(△10,296千円)等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、269,828千円の支出となりました。

これは、短期借入金の返済による支出(△9,040千円)、長期借入金の返済による支出(△50,040千円)、配当金の支払額(△210,746千円)によるものであります。

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当社グループの提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。

 

b.受注実績

当社グループの提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。

 

c.販売実績

当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。なお、当社グループはメッセージングソリューション事業の単一セグメントであるため提供サービス別に記載しております。

 

サービスの名称

当連結会計年度

(自 2025年1月1日

至 2025年12月31日)

(千円)

前連結会計年度比(%)

Cuenoteシリーズ

2,907,167

8.9

SNS関連

145,063

-

その他

2,338

234.5

合  計

3,054,570

14.4

(注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、

総販売実績に対する割合が10%以上の相手先がいないため記載を省略しております。

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

① 財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態の分析

「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態の状況」に記載のとおりであります。

b.経営成績の分析

(売上高)

当連結会計年度の売上高は前連結会計年度に比べ385,099千円増加し、3,054,570千円(前連結会計年度比14.4%増)となりました。これは主にCuenote FCシリーズの受注が引き続き順調に推移したことによるものであります。なお、経営指標として重視しております、Cuenoteシリーズの期末月の定期契約額は前連結会計年度に比べ26,337千円増加し、252,376千円(同11.7%増)となりました。

(売上原価、売上総利益)

当連結会計年度における売上原価は前連結会計年度に比べ193,393千円増加し、1,066,370千円(前連結会計年度比22.2%増)となりました。これは主に、技術者及びSNS製作者増員による労務費の44,191千円の増加、SMSの配信増等による通信費の49,002千円増加、SNS運用代行に伴う広告媒体費の36,550千円の増加等によるものです。

この結果、売上総利益は前連結会計年度に比べ191,705千円増加し、1,988,200千円(同10.7%増)となりました。

(販売費及び一般管理費、営業利益)

当連結会計年度における販売費及び一般管理費は前連結会計年度に比べ158,084千円増加し、1,316,985千円(前連結会計年度比13.6%増)となりました。これは主に人員増に伴う役員報酬の19,637千円の増加、給料手当の106,257千円の増加、法定福利費の15,376千円の増加、特許等の侵害調査及び顧問料等の増加による支払報酬料の7,698千円の増加、採用活動に伴う採用教育費の4,780千円の増加等によるものです。

この結果、営業利益は前連結会計年度に比べ33,621千円増加し、671,214千円(同5.3%増)となりました。

(営業外収益、営業外費用、経常利益)

当連結会計年度における営業外収益は前連結会計年度に比べ3,106千円増加し、3,571千円(前連結会計年度比666.7%増)となりました。これは銀行預金の受取利息の3,000千円の増加等によるものであります。また、当連結会計年度における営業外費用は前連結会計年度に比べ1,293千円増加し、1,880千円(同220.0%増)となりました。これは譲渡制限付株式の付与対象者の退職に伴う株式報酬費用消滅損の761千円の増加、信用保証料に伴う支払手数料の552千円等の増加によるものであります。

この結果、経常利益は前連結会計年度に比べ35,434千円増加し、672,905千円(同5.6%増)となりました。

(特別損失)

当連結会計年度における特別損失は前連結会計年度に比べ81,363千円増加し、81,363千円(前連結会計年度比100.0%増)となりました。これはのれんの減損損失によるものであります。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度において、税金等調整前当期純利益は前連結会計年度に比べ45,929千円減少し、591,541千円(前連結会計年度比7.2%減)となりました。また、法人税、住民税及び事業税、法人税等調整額を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ107,041千円減少し、362,640千円(同22.8%減)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に関する情報

a.キャッシュ・フローの状況の分析

キャッシュ・フローの状況の分析につきましては「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

b.資本の財源及び資金の流動性に関する情報

資本の財源及び資金の流動性については、当社グループの資金需要の主なものは、運転資金、法人税等の支払等であり、その資金の源泉といたしましては、営業活動によるキャッシュ・フロー等、自己資金により、必要とする資金を調達しております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては過去の実績や現状等を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる可能性があります。

なお、当社グループの連結財務諸表で採用されている重要な会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。

 

④ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおり、主な経営指標として売上高、営業利益、営業利益率にあわせ期末の定期契約額(月次経常収益)とメールサービスの解約率を重視しております。各指標の推移は以下のとおりであり、持続的な成長と企業価値の向上に向け順調に推移しているものと認識しております。今後も新規契約の獲得や解約抑制により期末定期契約額を積み上げることで売上や営業利益の拡大に努めてまいります。

 

 

前連結会計年度

当連結会計年度

売上高

2,669,470千円

3,054,570千円

営業利益

637,593千円

671,214千円

営業利益率

23.9%

22.0%

期末定期契約額(注)1

226,039千円

252,376千円

メールサービス解約率(注)2

0.41%

0.58%

(注)1.期末月の定期契約売上(期間利用を定めた契約に基づく収益:月次経常収益)となります。

2.メールサービス解約率は、メールサービスの金額基準の月次解約率の該当期間の平均値(小数点第3位を四捨五入)となります。

なお、「Cuenote SMS」「Cuenote Survey」「安否確認」は、含めておりません。

 

⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因

経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

⑥ 経営者の問題意識と今後の方針

当社グループは「価値の高い情報サービスの創造と提供を通して社会に貢献し、常に期待される企業を目指す」という企業理念のもと「SaaS事業の成長」「顧客価値向上」を通じ、事業を拡大してまいりました。
今後も持続的に成長するためには「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の課題に対し、事業環境の変化を捉えつつ最善の経営方針を立案することが必要であると認識しております。

 

5【重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

該当事項はありません。