文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループでは、創業100周年にあたる2029年を見据え、Missionとして「感受性のスイッチを全開にする」、Visionとして「ブランドひとつひとつの異なる個性を生かして、世界中の人々の人生を彩る企業グループ」、更にこれらを実現するための5つの行動指針を加えたグループ理念を掲げております。この企業理念のもと、個性・特徴を持ったブランドを複数保有し、それぞれの事業が成長することでグループ全体の企業価値向上を図っていく「マルチブランド戦略」を展開しております。グループ各社の自主自立した経営を志向し、持株会社である当社はグループ各社の経営に対するモニタリング機能を持つことで、グループ全体の経営の健全性確保と効率性向上に努めております。
(2) 目標とする経営指標
2026年時点で目標とする経営指標は以下の通りです。
・連結売上高 2,000億円(CAGR年平均5%:国内+4%・海外+12%、海外売上高比率20%)
・連結営業利益率 12~13%
・ROE 10%以上
・配当性向 60%以上
(3) 経営環境及び対処すべき課題
今後のわが国の経済は、雇用・所得環境の改善や各種政策の効果により、緩やかな景気回復が続くことが期待されます。一方で、景気の下振れリスクとしては、今後の物価動向、米国の通商政策をめぐる不確実性、さらには金融・資本市場の変動等に十分な注意が必要であるととらえています。
このような状況の中、2024年から始まった今中期経営計画は、長期経営計画・VISION 2029の実現に向けた2ndステージとして、「再挑戦と成長基盤確立の3年間」と位置づけ、ブランドをより先鋭化して国内利益創出力を強化し、海外や新規事業等の成長領域への投資に取り組んでおります。重点戦略として4つの事業成長戦略「国内事業の顧客基盤強化、持続的成長と収益性改善」「海外事業の更なる成長と新市場での基盤確立」「育成ブランドの成長を伴う黒字化による持続的収益貢献」「ブランドポートフォリオ拡充と事業領域拡張」と、それを支える持続的な経営基盤の強化として「新価値創出に向けた研究開発力強化」「社会課題対応と独自性を兼ね備えたサステナビリティ強化」と掲げ、事業成長を加速させるべく以下に取り組んでまいります。
① 国内事業の顧客基盤強化、持続的成長と収益性改善
●POLAブランド
成長軌道への回帰に向けたサロンチャネル(従来の委託販売チャネル)の事業基盤再構築を進めてまいります。サロンチャネルは、二次流通抑制の影響により減収を見込みますが、成長店舗群の伸長加速に加え、百貨店・EC・ホテルアメニティチャネルの伸長により、国内全体としての増収を目指します。
◇事業基盤の再構築(エステを軸にサロンチャネルの成長性強化)
<サロンにおける顧客体験価値向上による成長店舗群の伸長加速>
・新高付加価値サロンの展開
・ビューティーディレクターの採用・育成の強化
・店舗ごとの課題解決を支援する本部コンサルティングの強化
◇顧客基盤の強化(継続率及びLTVの向上)
<CRM強化による顧客コミュニケーション最適化と稼働率向上>
・顧客データ活用の推進
・本部からの情報発信とショップからの働きかけを連動したアプローチの質向上
<商品戦略(新B.Aの認知・販売拡大によるクロスセル)>
・最高峰シリーズ「B.A」のフルリニューアル
・高機能スキンケアを中心とした商材拡充
●ORBISブランド
顧客の生涯にわたって価値を提供し続ける「生涯ブランド」を目指し、タッチポイント多角化による顧客基盤拡大と、高付加価値スキンケアを軸とした収益構造強化を図ります。
◇ターゲット市場の拡張(新たな顧客層の形成と購買機会の創出)
<外部チャネル>
・10~20代や男性層等との新たな接点創出
・顧客接点の拡大と1店舗当たりの売上伸長による成長期待
<60代以上市場>
・美容意識の高い大人世代を主ターゲットに設定
・顧客リスト拡大の余地
・継続率・LTVの高い顧客獲得の可能性
・ターゲットに適したアプローチによる新規獲得
◇ブランド価値向上(中長期的な収益性の向上)
・スキンケアを軸とした「高機能・高品質・高い効果実感」の認知獲得
・オーガニックな新規顧客獲得の促進
・販促施策に依存しない稼働促進
・継続率・LTVの高い顧客を中心とした基盤構築
② 海外事業の更なる成長と新市場での基盤確立
●POLAブランド(中国事業)
将来の成長実現に向け、LTV最大化を軸とした顧客基盤の再構築を進め、ロイヤルティの高い顧客中心の基盤形成を図ります。2026年は店舗整理の影響により全体で減収見込みの一方、既存店舗は増収を目指します。
・新B.Aの好調を背景とした認知・販売拡大
・ブランド理解促進に向けた顧客接点の再整備
・オフライン・オンラインを横断したCRM基盤の構築
・ハイプレステージ層獲得に向けた独自ブランド体験を提供する店舗開発
●POLAブランド(ASEAN事業)
ASEAN市場においては積極的な展開を進め、事業成長の加速を図ります。
・ASEAN顧客戦略チームの新設による、顧客インサイトに基づく戦略策定
・出店拡大による顧客接点の増加及びブランド体験機会の拡充
●Jurliqueブランド(構造改革・黒字化)
売上に依存しない損失改善により2026年黒字化を実現すべく、構造改革を着実に推進します。
<事業構造の最適化>
・不採算市場からの撤退
・不採算店舗の閉鎖
・SKUの絞り込み
・マーケティング費用の最適化
<組織構造の最適化>
・人員最適化・組織ポジションの見直し
・業務プロセス・システム改善による効率化
③ 育成ブランドの成長を伴う黒字化による持続的収益貢献
●DECENCIAブランド
投資効率を重視した顧客基盤の強化により、持続的な成長に向けた基盤拡大を図ります。
・敏感肌研究の一層の強化を通じたブランドプレゼンスの向上及び顧客獲得コストの最適化
・よりパーソナライズされたコミュニケーションの推進による顧客継続率の向上
●THREEブランド
ホリスティックケアを軸とした顧客基盤形成を促進し、ブランド再生につなげます。
・ホリスティックケア商材の拡充によるブランド独自価値の訴求強化及びブランドポジションの確立
・オリジナル精油の効用を軸としたコミュニケーションによる共感度向上、継続率向上、クロスセルの促進
●FUJIMIブランド
顧客獲得と稼働促進に注力し、事業規模の拡大を目指します。
・自社EC以外のチャネル展開を推進し、接点拡大と新規顧客獲得
・ロイヤルティプログラム策定や商品選択の自由度向上による顧客の継続率・ライフタイムバリューの向上
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、全てのステークホルダーや、地球・社会環境と誠実に向き合い、持続可能な社会を創る企業として成長し続けるために、グループの強みと連動した「先端技術・サービスによるQOLの向上」、「地域活性」、「文化・芸術・デザイン」、「人材活躍」、「環境」を重点テーマとしております。これらの重点テーマは、各テーマごとにKPIを設定し、長期的な視点に基づく戦略として推進しております。
当社グループでは気候変動及び自然関連のリスクと機会を事業戦略上の重要な経営テーマと位置づけ、TCFD及びTNFDの両提言の整合に考慮した統合的な情報開示を行っております。
① ガバナンス
当社グループでは、当社取締役会の監督のもと、グループCSR委員会が気候変動及び自然に関連する目標達成の執行機関として機能しております。このCSR委員会においては、全社的リスク管理の枠組みのもと、グループ横断のリスク、各社のリスクと機会の特定を行っております。中長期経営計画等、主要な戦略や年次予算を策定・モニタリングする際も取締役会での監督のもと、サステナビリティ・気候変動・自然関連の要素も考慮して議論を行っております。予実に乖離がでる場合には取締役会からの指示に基づきグループCSR委員会又はグループ執行会議にて対策が検討され、実行に移されます。更に、取締役会の実効性と取締役のコミットメントレベルを高めるべく、環境領域においてはCO2排出量・水使用量・持続可能なパーム油への切り替えを非財務KPIとして設定し、その達成度を役員報酬に連動させております。
② 戦略
脱炭素やネイチャー・ポジティブといった世界の潮流において、当社グループ戦略におけるリスクと機会を見出すためにシナリオ分析を行い、2029年度の当社グループの営業利益に与える事業インパクトについて評価を行いました。影響を受ける期間として短期:2024年~2026年、中期:2029年、長期:2050年を設定し、以下の主なリスクと機会にまとめております。「サステナブルを意識した社会」「環境変化への適応を求められる社会」の両シナリオにおいて、リスクによる営業利益へのマイナスの影響が想定されるものの、リスクを低減し機会を獲得するための取り組みによって対策可能であると判断しております。
詳細については以下をご参照ください。
<シナリオ分析結果による主な気候変動・自然関連リスクと機会>
シナリオ分析の結果に基づき、自社のみならず外部(政府、お客さま、サプライヤー、新規参入・代替品、投資家・社会)の視点も含めた考察により、当社グループの強みとリンクした戦略・アクションを設定しております。
全社の統合的なリスクマネジメントプロセスを用いて気候関連並びに自然関連リスクを含むリスクの洗い出しを行っております。そのうえで、リスクの回避・低減・移転・保有、またリスクの影響度・発生頻度・対応状況の視点から総合的に判断し、グループ全体のコーポレートリスクとして特定、評価を行っております。
また、気候変動並びに自然関連する機会も事業戦略上の重要な経営テーマとして認識しており、グループ横断のプロジェクトやタスクフォースにより、事業化に向けた取り組み等を推進しております。なお、グループ各社においても同様のプロセスを用いてリスクと機会を評価しております。
当社グループでは非財務マテリアリティの一つとして「環境」を掲げ、以下の非財務KPIの達成に向けた活動を行っております。特に気候変動においては、2050年に向けた低炭素移行計画のもと、SBT1.5℃認定を取得し削減を推進しております。
<中期目標>
※ CO2排出量(Scope1、2、3)は毎年グループ全体で第三者保証を取得しております。
※ 自然関連及びその他のKPIについては
https://www.po-holdings.co.jp/csr/data/esg/
(2)人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略
①人材育成方針
当社グループは人材マネジメントポリシーとして「A Person-Centered Management」を掲げ、個性を尊重し、性別、国籍、年齢等に関わらず、一人ひとりが自身の持つ能力を最大限に発揮できる環境づくりを推進しております。
そして、「人」を最も重要な資産に位置づけ、グループの多彩なブランドの成長を牽引できる個性豊かなリーダー人材の創出へ向け取り組んでおります。
グループ全体を大局的視点で捉えられる人材を育成するため、組織の壁を越えて学び合うグループ横断次世代リーダー育成プログラム研修の実施、一定条件を充たした人材がグループ内の希望会社・部署への異動にチャレンジできるFA制度や新規事業を従業員から公募するベンチャー制度等を展開しております。
また、2019年よりグループの経営人材候補者づくりを効果的に進める仕組みを始動させ、重要なキーポジションを定め、各ポジションの要件に合致する候補者を選定し、一人ひとりの課題に応じた育成計画策定から進捗のモニタリングを実施しております。
② 社内環境整備方針
ポーラ・オルビスグループでは労働基準法等の法令に基づき、ワークライフバランスに配慮した労働環境整備を行うとともに、一人ひとりが個性を発揮し、組織として新たな価値を創造することを目指し、リモートワークをはじめとした多様な働き方を推進しております。更に、働きやすさだけなく、より働きがいのある環境を整備するため、定期的にエンゲージメントサーベイを通じた職場改善の取り組みを強化しております。
また、「ポーラ・オルビスグループ健康経営宣言」のもと、グループ理念で重要視している“多様な個性・感受性を育み発揮する”ためには従業員の健康が源泉であると認識し、グループ横断で健康経営に取り組んでおります。
(3)人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績、
指標及び目標
<人材活躍に関する指標及び目標>
(※)働きがい・エンゲージメントスコアはGreat Place To Work® Institute Japanの「働きがいのある会社調査」にて測定・算出しております。
なお、当社グループの人材活躍に関する具体的な取り組み内容は、
・人材活躍について:https://www.po-holdings.co.jp/csr/employee/
① 人材育成方針に関する指標の内容等
キーポジション候補者の充足率をKPIとして設定し、2029年には200%の実現に向け、継続的に候補者づくりを進めてまいります。また、創業当初より化粧品事業を通じて時代の変化に対応した“女性の社会進出”を応援している当社グループでは、年齢、性別に関わらず意欲・能力の高い社員に活躍の場を提供し、個人が培ってきた経験を生かし続けることができる職場づくりをしております。
2020年より当社は、日本社会のジェンダーギャップ解消に貢献すべく(※)30%クラブに参加いたしました。また、人的資本に関する戦略・指標をグループ横断で推進するA Person-Centered Management(AP-CM)委員会を設置する等、グループ一体となった活動がスタートしております。
具体的な数値目標値として、女性役員比率を2029年までに30~50%とするKPIを設定し、今後も一人ひとりが自律的に自身のキャリアを構築し、自分らしく働き続けていくための制度・環境整備に取り組んでまいります。
※30%クラブ・・・・経営陣における女性比率の向上が、企業のリーダーシップやガバナンス強化、また業績の向上にもつながると考える企業のトップで構成される世界的な取り組みであり、「TOPIX100」の取締役会に占める女性比率を2020年末までに10%、2030年末までに30%に引き上げることを目標としております。
(https://30percentclub.org/ja/)
② 社内環境整備方針に関する指標の内容等
グループ健康経営の長期目標(2029年)として、生産性指標(プレゼンティーイズム・アブセンティーイズム)、健康診断の有所見率等を設定し、当社人事部門管掌の健康経営推進チームを中心に、健康管理センター・健康保険組合・グループ各社人事部門と連携のうえ、生活習慣病予防・がん対策・メンタルヘルス・性別特有の健康課題対策等の各種施策を推進しております。
当社グループの事業その他に関して、投資者の投資判断上重要であると考えられるリスクは、以下の通りです。なお、本項においては、将来に関する事項は、別段の表示がない限り、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 事業に係るリスク
①ブランド価値の毀損
当社グループは、「POLA」「ORBIS」等のマルチブランド戦略による展開を図っており、各ブランドは、誠実な企業経営とお客さまの信頼に応えた製品・サービスの提供により、ブランドイメージの形成とその維持向上に十分努めております。しかしながら、当社グループにおける事業活動への否定的な評判や評価が世間に流布することによって信用が低下し、ブランドイメージが毀損された場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
②グループ内の競合
当社グループは、マルチブランド・マルチチャネル戦略を掲げ、保有ブランドをターゲット(購買層)別・価格帯別・販売チャネル別にカテゴライズして展開しており、競合の程度は軽微であると認識しております。しかし、グループ戦略として既存ブランドの価値最大化及びマルチブランド化への展開を加速させていく過程において、当社グループ内での競合が発生する可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。このことから、取締役会では、各ブランドの事業が意図した成果を得られていることが確認できるよう、ブランド別・事業別の重要指標を複数設定し、各ブランドにおける独自性の維持・管理の状況をモニタリングすることで、リスク低減に取り組んでおります。
③販売パートナー(個人事業主・法人)の確保
当社グループのビューティケア事業の主軸となる株式会社ポーラでは、委託販売契約に基づく事業展開を行っております。委託販売契約先となる販売パートナーの人材確保は、事業拡大に向けた重要な事業活動の一つであり、恒常的に取り組んでおります。しかし、特定商取引に関する法律の規制強化や労働環境の変化があった際に、人材確保のための施策が困難になる場合や、販売パートナー希望者の減少等から、十分な人材の手当が行えない可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
④戦略的投資活動
当社グループは、アジア太平洋地域を中心とした海外展開、M&A及び新規事業に対し戦略的投資を行っております。戦略的投資活動の意思決定に際しては、必要な情報収集及び検討を実施しておりますが、予期し得ない環境変化等により、当初意図した成果が得られない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、事業用資産やM&Aに伴い計上されるのれん等の資産については、今後の業績動向によって、期待されるキャッシュ・フローを生み出さない場合には、減損損失を計上する可能性があります。このことから、M&A対象会社に関する各種のデュー・デリジェンス及び企業価値並びに株式価値算出に際しては、外部の専門家を活用し、精度向上に努め、適切な買収プロセス及び適正な企業価値評価に努めてまいります。
⑤化粧品市場環境
国内化粧品市場は成熟期を迎えており、M&Aによる企業グループの再編、異業種からの新規参入、流通業及び小売業の提携・統合に伴う影響力の増大等、競争環境は厳しさを増しております。従って、当社グループが予期せぬ競争環境の変化に的確に対処できない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。このことから、海外市場の開拓を積極的に進める他、新たな事業領域の開拓にも注力すること等に努めてまいります。
⑥研究開発
研究開発は当社グループの競争力の源泉の一つであり、継続的に研究開発投資を行っております。年度研究開発計画に基づき、効果的・効率的な研究開発活動を行っておりますが、新製品の開発が長期にわたる場合、成果が翌期以降に及ぶことがあります。また、予定通りの成果が得られない場合や、期間の延長や投資額の増加を強いられる場合、結果として製品化できない場合もあります。このように当初意図した成果が得られない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。このことから、製品化に向けた開発期間の短縮及び確度向上を企図して、2024年より研究開発拠点TDC(Technical Development Center)を稼働しております。
⑦製造及び品質保証
製品生産に不可欠な原材料等は、購買を担当する部署の統括管理のもと、調達先の分散をはかりつつ、調達先と良好な関係を維持し、常に適正な価格で必要量を調達できるよう努めております。しかしながら、原油等素材価格の変動や外的要因による不測の事態が発生した場合には、必要な原材料の調達に支障が生じる、主要原材料の仕入価格上昇により、製品の製造原価が上昇する等、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの化粧品製造はポーラ化成工業株式会社の袋井工場(静岡県袋井市)及びTDC(神奈川県横浜市)、Jurlique International Pty. Ltd.のマウントバーカー工場(オーストラリアサウスオーストラリア州)の3ヶ所で行われており、品質管理基準に基づいた製品品質の維持及び向上に努めておりますが、万一製品の品質について何らかの問題が発生した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。これらの問題を未然に防止するため、グループ各社の品質保証担当者で構成したグループQCD委員会を組織し、グループ品質保証体制の強化に取り組んでおります。
⑧海外での事業活動
当社グループの主たる販売拠点は国内ですが、マーケットの拡大が期待されるアジア太平洋地域にも展開しており、今後一層の拡大を目指しております。これらの海外での事業活動におきましては、予期し得ない経済的・政治的な不安、労働問題、テロ・戦争の勃発、感染症の流行による社会的混乱等のリスクが潜在するため、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。これらのことから、子会社である海外現地法人や当社の海外事業担当部門による情報収集に加え、当社グループの経営及び事業を展開する上で重要な情報収集を行うMultiple Intelligence Research Center(MIRC)にて世界中の情報をいち早く収集することで、早期のリスク認識によるリスク回避は勿論、機会認識することにより、既存事業の拡大や新事業領域の開拓、更には他企業や異業種、大学や研究機関とのアライアンスの強化を進めており、中長期的な企業価値向上に資する活動に取り組んでおります。
⑨為替
当社グループでは、海外事業活動の展開により生じた輸出入取引等の外貨建決済や、海外子会社への貸付金について、為替レートの変動リスクを負っております。また、在外連結子会社の現地通貨建ての報告数値についても、連結財務諸表作成時に円換算することから、為替レートの変動が当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。このことから、為替の動向を踏まえつつ、必要に応じて為替予約等のリスクヘッジを行っております。
⑩知的財産権保護の限界
当社グループでは、知的財産権を確保する措置を講じておりますが、第三者による予測を超えた手段等により知的財産が侵害され、結果として技術の不正流用や模倣品の開発等により当社グループの事業活動に悪影響を及ぼす可能性や、当社グループにおける認識の範囲外で第三者の知的財産権を侵害する可能性があります。このことから、当社にグループの知的財産の管理及び戦略を専門とする知財・薬事センターを設置し、国内外の活動拠点において、当社グループにおける特許権や商標権の確保といった知財戦略の策定と実行、及び当社が保有する権利への不当な侵害の有無についてのモニタリングを実施しております。また、当社グループによる意図しない第三者への権利侵害を防止するため、侵害予防調査等を実施しております。
⑪情報セキュリティ
当社グループでは、個人情報や機密情報を脅威から守るために、情報セキュリティ委員会を中心として情報セキュリティシステムの整備、社内規程の制定・教育や、非常時を想定した定期的な訓練等の情報セキュリティ対策を実施しております。しかしながら、サイバー攻撃等による情報漏洩やシステム停止が発生した場合には、業務の停滞や当社グループに対する損害賠償請求の提起、信用失墜等が生じることにより、事業に悪影響が及ぶ可能性があります。そのため、国際的に多くの組織で活用が進む、米国国立技術研究所(NIST)のサイバーセキュリティフレームワークを参考に、日々高度化する脅威に対して、最新の防御態勢を整えて対応しております。
⑫法的規制等
当社グループでは、化粧品製造販売や委託販売・通信販売等に係る各種法令及び規制の適用を受けております。これらの遵守状況が十分でない場合には、行政指導、課徴金・罰金の支払い、事業活動の制限、社会的評価の低下等が生じる可能性があります。そのため、法改正等の動向を定期的に確認するとともに、社内教育を通じて法令遵守に努めております。また、当社グループは海外市場においても事業を展開しており、対象国における輸入規制の変更その他の法令・規制の動向により、海外事業が影響を受ける可能性があります。これらのリスクに対応するため、当社グループ及び関係先において関連法令の遵守に努めるとともに、必要に応じて社内体制の整備や情報収集を行っております。
⑬重要な訴訟
当連結会計年度において、当社グループに重大な影響を及ぼす訴訟等は提起されておりませんが、将来、重要な訴訟等が発生し、その結果、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑭災害等
当社グループの主たる生産拠点は、化粧品については、ポーラ化成工業株式会社の袋井工場であります。そのため、東海地方における大規模な震災、水害等が生じた場合、長期にわたって製品供給が不可能になる可能性があります。更に、東海地方以外においても想定外の大規模災害や事故等が発生した場合においては、原材料の調達、商品供給及び販売の中断等により当社グループの経営状態に影響を及ぼす可能性があります。このことから、災害発生に伴う一定期間の袋井工場操業停止や製品・原料調達困難を想定して、事業継続上重要な品目(グループ優先品目)を選定し、製品や代替困難な原料のBCP在庫を確保しております。また、当社グループの主軸である株式会社ポーラ及びオルビス株式会社を中心に、一部の品目を外部の製造委託先による生産に切り替える他、研究開発拠点TDCにもグループ優先品目の生産機能を持たせることで、リスク回避と分散化に取り組んでおります。
⑮感染症の流行
社会的影響の大きい感染症の拡大が発生した場合、日々の活動でお客さまや取引先と直接対面する事業の特性から、接客活動や営業活動の自粛、又は販売店の営業停止等により、国内外において当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。感染症の拡大により外出の自粛や時短営業等の措置がとられた際は、対面型サービスを利用した消費行動は著しく制約を受けるため、EC等通信販売へ購買がシフトすることが想定されます。通信販売を主要な販売チャネルとして展開するオルビス株式会社や株式会社DECENCIAではデジタルマーケティングを一層強化し、対面販売を主要な販売チャネルとする株式会社ポーラ及び株式会社ACRO等においても、オフラインとオンラインの融合等を図るチャネル強化を実行し、更なる事業成長に向けて取り組んでまいります。
⑯気候変動・人権課題
気候変動の深刻化が進むことで、自然災害の頻発化や生態系の変化等の悪影響が想定され、当社グループにおいても、企業活動を行う上でのリスクとして、温暖化による化粧品商品選択の変化(サマー品、紫外線対策品へのシフト、清涼感促進商品の増加)による影響が生じる可能性があります。また洪水による河川や海浜沿岸の事業所・工場の操業停止、温暖化要因による山火事の頻発による近隣の事業所・工場の操業停止(主にオーストラリア)、調達が困難になる原料の増加により、製品の成分や処方変更を強いられる可能性があります。化粧品の製造・販売を主たる事業として展開する当社グループにおいても、温室効果ガス(CO2)の排出削減に取り組み、当社グループの役員を対象に支給する株式報酬(LTI)と連動させることで、気候変動課題の解決に向けた実効性の向上を図っております。
また、近年では、企業のサプライチェーンにおける、強制労働や児童労働等の人権に関する問題が提起されており、化粧品事業を展開する当社グループとしては、インドネシアやマレーシアを調達先の中心としているパーム油を生産する農園での強制労働や児童労働を重大な人権課題として注目しております。当社グループでは、これまでに、認証パーム油の調達に加え、パーム油農園への支援の一環として「持続可能なパーム油のための円卓会議:Roundtable on Sustainable Palm Oil(RSPO)」を通じたクレジットの購入やサプライチェーン認証を伴った認証品の調達を進めてまいりました。現在もこれらの取り組みを継続するとともに、人権デュー・デリジェンスを毎年実施することで、企業としての責任ある行動に努めております。
⑰国内人口の減少
化粧品市場に限らず国内の多くの業種において、今後は人口減少によりインバウンド需要等の影響を除いた国内需要の大幅な拡大が想定しづらく、事業の停滞等の悪影響を及ぼすおそれがあります。このことから、当社グループでは、海外事業展開の飛躍を重点テーマに掲げ、海外ブランドのM&A、既存ブランドの海外展開を加速させてまいりました。今中期経営計画においても、引き続き、海外事業の更なる成長と新市場での基盤確立をテーマに、グローバル展開を強化してまいります。
また、人口減少による影響は業績のみに留まらず、事業運営に携わる人材獲得という点においても、悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、在宅勤務制度の拡大や副業制度の導入等の働き方改革、雇用延長の無制限化の一部導入等、生活様式の変化への対応を行ってまいりました。今後も多種多様な働き方をグループ全社で促進し、労働力確保に注力してまいります。
(2) 持株会社としてのリスク
当社は持株会社であり、収入の大部分は当社が直接保有している子会社からの経営管理料、業務委託料及び受取配当となっております。このうち受取配当については、一定の状況下で、会社法等の規制等により、子会社が当社に支払うことのできる金額が制限される場合があります。また、子会社が十分な利益を計上することができず、当社に対して配当を支払えない状況が生じた場合等には、当社は株主に対して配当を支払えなくなる可能性があります。
(3) 公益財団法人ポーラ美術振興財団との関係について
公益財団法人ポーラ美術振興財団は、1996年5月、当社グループの元会長であった故鈴木常司が、「わが国の芸術文化の向上に寄与する」ことを目的に設立した財団法人であります。当社グループは、創業時より「美と健康に関わる事業を通じて社会に貢献すること」を企業理念としていることから、同財団に対して、設立当初よりその活動に賛同し、様々な支援(寄付の実施、美術館建設資金の借入に対する債務保証、学芸員等の人員を出向させる等の人的支援(注)、美術品の寄託(無償)等)を行ってまいりました。なお、寄付の実施及び債務保証は既に解消されており、今後もこれらの実施予定はありませんが、人的支援及び美術品の寄託(無償)等については今後とも継続する予定であります。
また、同財団は、期末日現在、当社株式78,616千株を保有しており、これは、発行済株式数の35.48%(自己株式を除く)にあたります。当社代表取締役会長鈴木郷史は同財団の理事長を兼務しておりますが、当社代表取締役会長を含む当社グループ関係者の理事は、同財団の保有する当社株式に係る議決権行使については関与しない方針です。
(注)出向者の人件費相当額については、同財団が負担しております。
当連結会計年度(2025年1月1日~2025年12月31日)における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、経営成績等)の状況の概要は次の通りであります。
当連結会計年度(2025年1月1日~2025年12月31日)におけるわが国の経済は、米国の通商政策等の影響が自動車産業を中心にみられるものの、景気は引き続き緩やかに回復しております。また、実質総雇用者所得の緩やかな回復や消費者マインドの持ち直しの動きを背景に、個人消費も持ち直しの動きがみられております。
国内化粧品市場においては、コロナ禍後の回復が一巡し、足元では前年並みの水準で推移しております。インバウンド需要については、前年の高成長の反動が一時的にみられたのち、持ち直しの動きがみられましたが、足元では減少に転じております。中国化粧品市場においては、政策による下支えもあり、消費動向に持ち直しの兆しがみられております。
このような市場環境のもと、2024年からスタートした中期経営計画(2024年から2026年)に基づき、4つの事業成長戦略「国内事業の顧客基盤強化、持続的成長と収益性改善」「海外事業の更なる成長と新市場での基盤確立」「育成ブランドの成長を伴う黒字化による持続的収益貢献」「ブランドポートフォリオ拡充と事業領域拡張」と、それを支える持続的な経営基盤の強化として「新価値創出に向けた研究開発力強化」「社会課題対応と独自性を兼ね備えたサステナビリティ強化」をテーマに掲げ、取り組んでまいりました。
以上の結果、当連結会計年度における業績は次の通りとなりました。
売上高は、主に基幹ブランドであるPOLAブランドの売上の減少が影響し、前年同期比0.0%減の170,285百万円となりました。営業利益は、適切な費用コントロールを実施したことにより、前年同期比13.6%増の15,693百万円、経常利益は、前年に計上した為替差益の影響により、前年同期比5.8%増の17,022百万円となりました。以上の結果に加え、子会社の事業構造改革に係る費用を計上した影響等により、親会社株主に帰属する当期純利益は前年同期比2.0%増の9,472百万円となりました。
[業績の概要]
セグメントごとの経営成績は、次の通りであります。
[セグメント別の業績]
売上高(外部顧客への売上高)
セグメント利益(営業利益)
(注) セグメント利益の調整額とは、グループの内部取引に伴う利益及びセグメントに含まれない経費等を連結時に消去・加算した金額であります。なお、セグメント利益の調整額の詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(セグメント情報等) 3 報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産その他の項目の金額に関する情報(注2)」をご覧ください。
(ビューティケア事業)
ビューティケア事業は、基幹ブランドとして「POLA」「ORBIS」を、海外ブランドとして「Jurlique」を、育成ブランドとして「DECENCIA」「THREE」「FUJIMI」を展開しております。
POLAブランドでは、成長軌道への回帰に向けた事業基盤の構築を進めております。国内事業では、委託販売チャネルにおける成長店舗群の売上拡大の加速や、その他のチャネルの更なる成長に取り組んでおります。成長店舗群の売上は引き続き伸長し、その他のチャネルも堅調に推移したものの、ブランディング強化を目的とした二次流通向け出荷の抑制精度向上等の取り組みの影響もあり、国内事業全体では前年を下回る実績となりました。海外事業では、引き続き重点市場である中国において、ハイプレステージ顧客層との接点拡充やCRM強化を通じ、ブランドプレゼンスの確立を進めております。一方で、中国を中心とした一部のアジア地域の景気減速の影響が継続し、海外事業全体でも前年を下回る実績となりました。以上の結果、POLAブランドは前年を下回る売上高・営業利益となりました。
ORBISブランドでは、更なる高収益体質の確立を目指し、顧客の定着とLTV向上に向けた取り組みを進めております。国内事業では、5月に発売した「オルビス ザ クレンジング オイル」をはじめとする高付加価値スキンケア製品が好調に推移しております。直販チャネルでは顧客稼働促進の取り組みにより購入単価が伸長し、外部チャネルでは顧客接点の拡大に伴い高い売上成長率を維持した結果、国内事業全体で前年を上回る実績となりました。海外事業では、中国を中心とする一部アジア地域において景気減速による影響が継続したことに加え、中国法人を清算した影響もあり、海外事業全体で前年を下回る実績となりました。以上の結果、ORBISブランドは前年を上回る売上高・営業利益となりました。
Jurliqueブランドでは、引き続き、豪州及び中国を中心としたアジア市場での事業成長に向けた取り組みを進めております。本国である豪州においては、直営店及びECチャネルが前年を上回った一方、百貨店チャネルが苦戦し、前年を下回る結果となりました。中国においては、越境ECチャネルが前年を超過したものの、百貨店及びECチャネルの販売が減少し、前年を下回る結果となりました。以上の結果、Jurliqueブランドは前年を下回る売上高となりました。一方で、組織構造改革を進める中で適切な販管費コントロールを実施したことにより、営業損失は改善しております。
育成ブランドでは、DECENCIAブランドにおいて、更なる成長に向けて安定した顧客構造の構築を進めております。高付加価値商材を中心とした提案により高LTV顧客の増加に注力した結果、収益性が向上しております。THREEブランドでは、ブランド再生に向けた取り組みを進めております。「精油」を軸としたホリスティックなアプローチの強化により、下期のホリスティックケア売上は前年を上回りましたが、新規顧客獲得が計画に届かず、全体では前年を下回る水準で推移しております。FUJIMIブランドでは、WEB広告市場における顧客獲得に苦戦し、オフライン施策による顧客獲得拡大に取り組んだものの、前年を下回る結果となりました。一方、新規事業である「カオカラ」及び「Dive」が成長し、収益に貢献しております。以上の結果に加え、OEM事業の業績影響等もあり、育成ブランド全体では前年を下回る売上高となりましたが、営業損失は改善しております。
以上の結果、売上高(外部顧客に対する売上高)は164,148百万円(前年同期比0.6%減)、営業利益は15,856百万円(前年同期比6.2%増)となりました。
(不動産事業)
不動産事業では、都市部のオフィスビル賃貸を中心に、魅力的なオフィス環境の整備による賃料の維持・向上と空室率の低減に取り組むとともに、子育て支援に特化した賃貸マンション事業も展開しております。当連結会計年度は、前年に竣工した「ポーラ青山ビルディング」の稼働が寄与し、前年を上回る売上高・営業利益となりました。
以上の結果、売上高(外部顧客に対する売上高)は3,023百万円(前年同期比36.6%増)、営業利益は421百万円(前年同期比447.4%増)となりました。
(その他)その他に含まれている事業は、ビルメンテナンス事業であります。
ビルメンテナンス事業は、ビルの運営管理やリニューアル工事等を行っております。当連結会計年度は、ビルメンテナンス事業が堅調に推移したことから、前年を上回る売上高となりました。一方で、高単価が見込まれる工事の減少により営業利益は前年を下回る結果となりました。
以上の結果、売上高(外部顧客に対する売上高)は3,112百万円(前年同期比0.9%増)、営業利益は218百万円(前年同期比5.8%減)となりました。
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ2,413百万円減少し、197,906百万円(前連結会計年度末比1.2%減)となりました。主な増減項目は、現金及び預金の増加14,535百万円、退職給付に係る資産の増加1,382百万円により増加し、一方で有価証券の減少13,961百万円、流動資産「その他」の減少1,641百万円、有形固定資産の減少812百万円、投資有価証券の減少766百万円、無形固定資産の減少563百万円、繰延税金資産の減少557百万円により減少しております。
負債につきましては、前連結会計年度末に比べ592百万円減少し、34,812百万円(前連結会計年度末比1.7%減)となりました。主な増減項目は、未払金の増加1,081百万円、退職給付に係る負債の増加898百万円により増加し、一方で未払法人税等の減少2,647百万円により減少しております。
純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ1,821百万円減少し、163,094百万円(前連結会計年度末比1.1%減)となりました。主な増減項目は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上9,472百万円により増加し、一方で剰余金の配当11,523百万円、為替換算調整勘定の減少208百万円により減少しております。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ14,642百万円増加し、61,948百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とその要因は次の通りであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、18,536百万円の収入(前年同期比29.2%減)となりました。
主な要因は、税金等調整前当期純利益13,296百万円、減価償却費8,170百万円並びに減損損失935百万円、未払消費税等の増加2,222百万円により資金は増加し、一方で、法人税等の支払6,037百万円、為替差損益1,776百万円により資金は減少しております。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、7,878百万円の収入(前年同期は12,104百万円の支出)となりました。主な要因は、有価証券の売却及び償還による収入19,000百万円により資金は増加し、一方で、有形固定資産の取得による支出3,175百万円、無形固定資産の取得による支出3,506百万円、投資有価証券の取得による支出4,705百万円により資金は減少しております。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、12,361百万円の支出(前年同期比7.6%減)となりました。主な要因は、リース債務の返済による支出819百万円、配当金の支払額11,523百万円によるものであります。
(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注)1 いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
2 株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
3 キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
4 有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
(注) 1 金額は製造会社販売価額によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2 不動産及びその他事業については、生産活動を行っておりません。
重要な受注生産を行っておりませんので記載を省略しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
(注) セグメント間取引については相殺消去しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。なお、その作成には経営者の判断に基づく会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りが必要となります。この判断及び見積りに関しては過去の実績等を勘案し合理的に判断しております。しかしながら、実際の結果は、見積り特有の不確実性が伴うことから、これら見積りと異なる可能性があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
(経営成績)
イ 売上高
当連結会計年度の売上高は170,285百万円(前年同期比0.0%減)となりました。セグメントごと(セグメント間取引を除く)では、ビューティケア事業で164,148百万円(前年同期比0.6%減)、不動産事業で3,023百万円(前年同期比36.6%増)、その他の事業で3,112百万円(前年同期比0.9%増)となりました。ビューティケア事業は、主に基幹ブランドであるPOLAブランドの減収がありましたが、オルビスブランドの増収等により前年並みの水準となりました。
ロ 売上総利益
当連結会計年度の売上総利益は、売上高の減少及び原価率の上昇に伴い、前連結会計年度より249百万円減少し、138,264百万円(前年同期比0.2%減)となりました。
ハ 販売費及び一般管理費
販売費及び一般管理費は、前連結会計年度より2,132百万円減少し、122,570百万円(前年同期比1.7%減)となりました。売上高の減少に伴い変動費である販売手数料が減少した他、適切な費用コントロールを実施したことにより、売上高に対する比率は前年を下回っております。
ニ 営業利益
営業利益は、前連結会計年度より1,882百万円増加し、15,693百万円(前年同期比13.6%増)となりました。前述の売上高の減少による売上総利益の減少がありましたが、適切な費用コントロールを実施したことで販売費及び一般管理費が減少したことによるものであります。
ホ 経常利益
経常利益は、前連結会計年度より938百万円増加し、17,022百万円(前年同期比5.8%増)となりました。前述の営業利益の増加がありましたが、為替差益が前年より減少したことが主な要因です。
ヘ 税金等調整前当期純利益
税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度より1,352百万円減少し、13,296百万円(前年同期比9.2%減)となりました。特別損失として子会社の事業構造改革に係る費用等を計上した影響によるものであります。
ト 法人税等
法人税等は、前連結会計年度より1,517百万円減少し、3,823百万円(前年同期比28.4%減)となりました。これは主に、子会社清算に伴い法人税等が減少した影響であります。
チ 親会社株主に帰属する当期純利益
以上の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度より186百万円増加し、9,472百万円(前年同期比2.0%増)となりました。
(財政状態)
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ2,413百万円減少し、197,906百万円となりました。
当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末に比べ592百万円減少し、34,812百万円となりました。
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べ1,821百万円減少し、163,094百万円となりました。
主な増減内容については、『(1)経営成績等の状況の概要』に記載の通りであります。
以上の結果、財務指標としては、流動比率が前連結会計年度末の388.0%から399.7%に上昇し、自己資本比率が前連結会計年度末の82.2%から82.3%に上昇しております。
(経営戦略の現状と見通し)
経営戦略の現状と見通しについては、『経営方針、経営環境及び対処すべき課題等』にて報告しております。
当社グループは、事業継続に必要と考える資金は確保していると認識しております。今後の資金使途につきましては、新価値創出に向けた研究開発投資、店舗の出店・リニューアルや生産性向上のための設備投資、M&Aを含む新規ブランドの創出・育成に取り組むことで、将来のキャッシュ・フローの創出を目指します。なお、キャッシュ・マネジメント・システムを導入し、子会社における資金業務を当社に集中させることにより、当社グループ全体の資金効率化を図っております。
事業資金と余剰資金については、それぞれ資金運用管理規程及び資金運用管理基準をもとに運用しております。当連結会計年度末の現金及び預金残高は59,711百万円と前連結会計年度末に比べ14,535百万円増加しております。
2024年からスタートした今中期経営計画は、長期経営計画・VISION 2029の実現に向けた2ndステージとして「再挑戦と成長基盤確立の3年間」と位置づけ、ブランドをより先鋭化して国内利益創出力を強化し、海外や新事業等の成長領域への投資に取り組んでおります。
2026年時点の経営指標は以下の通りです。
・連結売上高 2,000億円(CAGR年平均5%:国内+4%・海外+12%、海外売上高比率20%)
・連結営業利益率 12~13%
・ROE 10%以上
・配当性向 60%以上
来期(2026年12月期)につきましては、売上高173,000百万円(前期比1.6%増)、営業利益17,300百万円(前期比10.2%増)、経常利益17,300百万円(前期比1.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益9,000百万円(前期比5.0%減)を見込んでおります。
(1)委託販売契約
当社グループのビューティケア事業の主要子会社である株式会社ポーラでは、委託販売を主力として展開しており、全国の販売パートナーと委託販売契約を締結しております。
当社グループでは、グループの長期的発展の成長エンジンとなる新価値創出を加速するべく、主として当社(全社費用)及びビューティケア事業のセグメントにおいて、研究開発活動を行っております。
商品やサービスという形で、最新の美容理論及び効果の高い独自素材をお客さまに提供できるよう、技術面で牽引することを研究開発方針としております。研究開発活動の成果は、IFSCC(国際化粧品技術者会連盟)等の国内外の各種学会や学術誌、各ブランドが開催する新製品発表会等において独自性の高い研究内容が注目され、高い評価を得ております。
その結果、当連結会計年度における研究開発費の総額は
セグメントごとの研究開発活動は、以下の通りであります。
(1)当社(全社費用)
当社の「MIRC(Multiple Intelligence Research Center)」は、多様な美の価値観を調査し、中長期視点でグループが向かうべき美の方向性を示すことを担ってまいりました。情報探索を担う通称「ぶらぶら研究員」を起点に、イギリスに拠点を置くSTYLUS社等、企業や大学と連携しながら世界の次世代ニーズや美に関する情報を収集するとともに、2025年から研究戦略機能を担っているポーラ化成工業株式会社R&D戦略チームと連携し、オープンイノベーションの促進や投資案件を探索しております。ポーラ化成工業株式会社では研究戦略と研究実行のシームレス化を図ることで価値創出の迅速化を進めました。2024年からスタートしている、横浜研究所・TDC(Technical Development Center)、NSG BioLabs(所在地:シンガポール)と湘南ヘルスイノベーションパーク(略称:湘南アイパーク、所在地:神奈川県藤沢市)の3拠点研究体制は順調に稼働しており、ミラースキン研究等の最先端領域においてスピーディな成果創出につながっています。また、共同研究や協業は、ポーラ化成工業株式会社の「FRC(Frontier Research Center)」において、ユニバーサルマテリアルズインキュベーター株式会社(UMI)やペプチドリーム株式会社、国立長寿医療研究センターをはじめとするパートナーとの間で、約25件が進行しております。
当連結会計年度における研究開発費の金額は
(2)ビューティケア事業
主たる研究開発は、ポーラ化成工業株式会社にて実施しております。「FRC」では、中長期的な研究戦略に基づき、Science、Life、Communicationの3つの重点研究カテゴリーにおいて、化粧品の基礎研究はもちろん、化粧品の枠を超える新価値創造に向け、最先端科学の深耕・新領域の開拓を行っております。また、製品開発を担う製品設計開発部では、新原料成分や剤型の検討、製品設計・開発、製品の安全性・安定性・有効性評価及び品質確保を担当し、お客さまのニーズに迅速に応え、精度の高い製品づくりを進めております。更に、研究・開発・生産を連動させた新たな技術開発拠点として「新剤型研究機能の強化」と「高付加価値商品の生産機能」を担うべく2024年に新設した「TDC」からは、従来の界面活性剤に代わりファイバーを活用した新乳化技術等、次世代のコア技術となりうる重要な成果が創出されています。
Jurliqueブランドの製品に関しては、Jurlique International Pty. Ltd. のサウスオーストラリア州マウントバーカーにて研究開発を行っております。「農園から生まれる化粧品」に重点を置き、自社農園にてバイオダイナミック無農薬有機農法で育てた植物から独自の方法で成分を抽出することで、ピュアでパワフルな化粧品の開発を行っております。
当連結会計年度における研究開発費の金額は、