第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

以下の文中における将来に関する事項については、有価証券報告書提出日(2026年3月23日)現在、入手しうる情報に基づいて判断したものです。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、社是「おもしろおかしく」のもと世界で事業展開する分析・計測機器メーカーとして「真のグローバルカンパニー」をめざし、様々な産業分野のグローバルな市場に対して、分析技術を中心とした事業活動を通じて、「地球環境の保全」「ヒトの健康」「社会の安全・利便性向上」「科学技術の発展」等をもたらすことにより社会貢献することを基本理念としています。

また、連結経営を重視し、世界47社にのぼる当社グループの「人財(※1)」「技術」リソースを活かした連携強化及び融合を積極的に推進しています。

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループは、2028年を目標年度とする中長期経営計画「MLMAP2028(Mid-Long Term Management Plan 2028)(※2)」を2024年2月に策定し、「MAXIMIZE VALUE(※3)」のスローガンのもと、連結売上高4,500億円、営業利益800億円、ROE(自己資本当期純利益率)12%以上をめざしています。

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略及び会社の対処すべき課題

当社グループは、社是「おもしろおかしく」のもと、5つのセグメント(自動車、環境・プロセス、医用、半導体、科学)と、4つの地域(日本、アジア、欧州、米州)によるマトリックス組織を通じてグループ一体となった経営を行い、事業成長を実現してきました。

昨今、持続可能な社会実現の機運が高まり、AI・IoTをはじめとした技術革新がますます進んでいます。一方で、パンデミックの発生や政情不安等、予測困難な事象も発生しています。そのような中、当社グループの使命は、外部環境の変化に柔軟に対応していくとともに、ビジョン「Joy and Fun for All おもしろおかしくをあらゆる生命へ」のもと、「ほんまもん(※4)」と多様性を礎にソリューションで社会課題の解決を実現することです。

ビジョン「Joy and Fun for All おもしろおかしくをあらゆる生命へ」の実現に向けた第一歩として、また、さらなる事業成長と企業価値向上を実現するため、当社グループは「MAXIMIZE VALUE」をスローガンに据えた中長期経営計画「MLMAP2028」を策定しスタートしました。後述する3つの戦略の実現を通じて、2028年に売上高4,500億円、営業利益800億円、ROE12%以上の達成をめざします。(※5)

また、「MLMAP2028」実行による事業成長に加え、創出した資金を将来の成長分野に積極的に再投資していくことにより、企業価値を長期的かつ継続的に向上させます。そのための施策として、2017年より導入しているHORIBA Premium Value(※6)を活用することにより、資本コストを意識した経営を引き続き推進します。

 

① 3つの注力分野(※7)(エネルギー・環境、バイオ・ヘルスケア、先端材料・半導体)における社会課題解決をめざす事業戦略

新しい社会に欠かせない次の3つの注力分野において、当社グループがグローバルに培ってきたコア技術、生産能力、顧客ネットワーク、サービス能力を有機的に組み合わせ、独自のソリューションを創出し、社会課題の解決に貢献します。

 

<エネルギー・環境>

・ビジョン

「持続可能な地球環境を実現するために、お客様の課題を解決し、信頼される真のパートナーとなる」

・2028年財務目標

売上高 1,580億円 営業利益 158億円 営業利益率 10%

 

 

当分野で解決をめざす社会課題は、おもにエネルギー分野での取り組みが重要となっている「カーボンニュートラル」の実現です。当社グループは、研究開発・法規認証等の各プロセスに対して、当社グループが培ってきた技術と経験を統合し、お客様のニーズに合わせた最適なソリューションを展開します。

 

<バイオ・ヘルスケア>

・ビジョン

「ユニークなソリューションで、あらゆる生命のヘルスケアジャーニーを変革し、社会価値を創造する」

・2028年財務目標

売上高 570億円 営業利益 57億円 営業利益率 10%

 

当分野で解決をめざす社会課題は、あらゆる生命が健康でいるために、ウェルビーイングや予防を含めたヘルスケアジャーニーの変革です。当社グループが持つ多様なコア技術とグローバルネットワークを活用し、ユニークなソリューションを提供。POCT(※8)を用いた臨床現場の課題解決やバイオ医薬品の開発・生産プロセスの最適化等に貢献します。

 

<先端材料・半導体>

・ビジョン

「持続可能な社会実現に向けて、先端材料・半導体分野への革新的なソリューションで市場を形成する」

・2028年財務目標

売上高 2,350億円 営業利益 585億円 営業利益率 25%

 

当分野で解決をめざす社会課題は、半導体製造プロセス、関連先端材料、そしてファシリティが互いに関係するバリューチェーンのマトリックス「ウーブンバリューチェーン(※9)」における技術革新です。当社グループは、先端材料分野等に最先端のソリューションを提供し、半導体分野において全方位でお客様のオペレーションをサポートします。

 

<グローバル経営基盤の強化(開発、サービス、生産、ディストリビューション)>

事業戦略を推進するにあたり、各ファンクションでのグローバル経営基盤の強化が不可欠です。それぞれ以下の施策を行い、グローバルレベルでの最適化を実現します。

 

開  発        技術と人財を有機的に結びつけ、ほんまもんの技術を磨く

サービス        高品質なサービスと分析ソリューションで独自のサービスモデルを確立する

生  産        持続可能なバリューチェーンにより安定的に高品質な製品を提供する

ディストリビューション 顧客価値に繋がるソリューションの拡充・流通チャネルの構築を実現する

 

② ホリバリアン(※10)の力を最大限引き出す人財戦略

・ビジョン

「ホリバリアン一人ひとりが『おもしろおかしく』の実践によりその力を発揮し、『ほんまもん』を追求する舞台をグループ全体で創りあげる」

・2028年非財務目標

「全ホリバリアンによるバリュー(※11)の実践」

「『ほんまもん』の価値の創出」

 

当社グループが社会価値を創出するためには、多様なホリバリアンがそれぞれの個性、強み、能力を発揮し、HORIBA(※12)のバリューを実践していくことが不可欠であると考えます。その実現に向け、人財が持つ力を最大限に発揮し、「ほんまもん」を追求する「舞台」をグローバルに創りあげます。

 

 

③ ソーシャル・インパクトを生み出すサステナビリティ戦略

・ビジョン

「HORIBA独自の手法で、持続可能な社会実現に貢献する」

・2028年非財務目標

「2050年カーボンニュートラル」

「2033年CO2排出量42%削減(2023年比、Scope 1, 2)(※13)」

 

当社グループの使命は、独自性の高い製品とソリューションの提供を通じ、持続可能な社会の実現に貢献することです。また、当社グループを含むサプライチェーン全体での対応強化と社会貢献活動の促進に、グローバルレベルで取り組みます。

 

(注)※1.人財:当社グループでは、従業員を大切な財産と考えて「人財」と表現しています。

※2.MLMAP(Mid-Long Term Management Plan):当社グループでは中長期経営計画を「MLMAP」として社内浸透させています。

※3.MAXIMIZE VALUE:「HORIBAグループのあらゆるVALUE(価値)を最大限に発揮する」ことを表現する「MLMAP2028」のスローガン。「VALUE(価値)」には「ホリバリアンの『価値』」、「社会『価値』」、「顧客提供『価値』」、「技術『価値』」の意味を込めています。

※4.ほんまもん:「ほんもの」から派生した、京都で使われている言葉。当社グループでは、「心をこめてより良いものを追い求めつづけた先に生まれる、唯一無二の価値」を表しています。「ほんまもん」を追い求めるひと、そのひとの行動や努力、その結果として生まれることやもののすべてが「ほんまもん」であり、それらは「ほんもの」を越えて人の心を揺さぶる存在になっていきます。

※5.中長期経営計画「MLMAP2028」は、現在見直しを実施しており、2026年8月に公表を予定しています。

※6.HORIBA Premium Value:前回の中長期経営計画「MLMAP2023」で導入された、資本効率の最大化を実現するための当社グループ独自の経営指標です。

※7.3つの注力分野の推進体制を整備すべく、社内体制を見直しました。これに伴い、当連結会計年度の期首より、報告セグメントを従来の「自動車」「環境・プロセス」「医用」「半導体」「科学」から「エネルギー・環境」「バイオ・ヘルスケア」「先端材料・半導体」の3事業部門(フィールド)に変更しています。

※8.POCT(Point of Care Testing):診察室等「患者に近い場所」で行われる検査の総称。

※9.ウーブンバリューチェーン:当社グループでは、半導体製造プロセスを横糸、その工程ごとに存在する関連材料市場を縦糸とし、複合化したバリューチェーン全体を織物(ウーブン)に例えて「ウーブンバリューチェーン」と表現しています。

※10.ホリバリアン:当社グループで働くすべての人を同じファミリーであると考え、ホリバリアンと呼んでいます。

※11.バリュー:我々ホリバリアンを突き動かし、独自性あふれるソリューションを生み出しつづけるための道しるべとして、「チャレンジ精神」、「誠実と信頼」、「卓越の追求」をかかげています。

※12.HORIBA:当社及び連結子会社を指します。

※13.2024年2月発表時には2032年を目標年度(基準年度は2022年)としていましたが、温室効果ガス排出量算定のために必要な情報の一部に不備があったため、2033年(基準年度は2023年)に修正しました。

 

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりです。

なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在(2026年3月23日)において当社グループが判断したものです。

 

(1) サステナビリティ全般

当社グループは、社是「おもしろおかしく」のもと「HORIBA Corporate Philosophy」を制定し、「事業」、「顧客対応」、「投資への責任」、「ホリバリアン」の4項目にて企業価値向上のための基本姿勢を示しています。

HORIBA Corporate Philosophyは当社グループのサステナビリティ方針の根幹です。分析・計測ソリューションプロバイダーとして様々な産業分野のグローバルな市場に対して、分析・計測技術を中心とした事業活動を通じて、「地球環境の保全」「ヒトの健康」「社会の安全・利便性向上」「科学技術の発展」等をもたらすことにより持続可能な社会を実現することを基本理念としています。

さらに、社是「おもしろおかしく」及び「HORIBA Corporate Philosophy」のもと「Code of Ethics (倫理綱領)」を制定し、当社の役員及び従業員すべてがオープンでフェアに様々な企業活動を行っていくうえで果たすべき使命と役割を認識し、グローバル企業として将来にわたり持続的な発展を遂げていくために、企業倫理に関する8項目(①コンプライアンス、②優れた製品・サービス、③政治・行政との健全な関係、④働き甲斐のある職場づくり、⑤人権尊重、⑥ステークホルダーとの対話、⑦環境保全、⑧危機管理)を定めています。

当社グループは、ビジョン「Joy and Fun for All おもしろおかしくをあらゆる生命へ」実現のため、多様な人財が活躍する舞台を提供し、あらゆる企業活動を通じて、社会、自然、次世代、世界中の全てのステークホルダーに対する価値を創造し続け、持続可能な社会の発展に貢献します。


 

① ガバナンス

当社グループでは、サステナビリティの推進を重要な経営課題と捉えており、執行役員を委員長とし、関係する部門長を委員とする「サステナビリティ委員会」を中心とするガバナンス体制を構築しています。同委員会で議論された内容は委員長から年に2回取締役会に報告されます。当社グループは、事業、オペレーション、社会貢献の3つの側面からサステナビリティに取り組み、気候変動への対応をはじめ、社会全体から期待される役割に対し具体的に応えるための検討を、同委員会を中心に実施します。

また、サステナビリティ委員会の下部組織として、国内外の実務者によるグローバルな組織横断的協議、情報交換の場であるHORIBA Group Sustainability System(以下、HGSS)を設置しています。サステナビリティ委員会によるトップダウンアプローチや、HGSSによるボトムアップアプローチとの双方向からのアプローチで、当社グループは全方位的にサステナビリティに対応しています。


 

② 戦略

当社グループでは5年後を目標年度とした中長期経営計画「Mid-Long term Management Plan (以下、MLMAP)」を策定しており、2024年2月には2028年を目標年度としたMLMAP2028を新たに策定し、発表しました。事業戦略としてMLMAP2028では、過去20年に渡って進めてきた5セグメント制から3フィールドグループ制に移行し、当社グループが保有する事業ノウハウと技術を、新しい社会に欠かせない3つの注力分野(フィールド)に対して提供、拡大を実現します。また同時に人財戦略とサステナビリティ戦略の遂行を事業目標と同じく3本柱の一つとして取り上げ、中期的な戦略立案と実行を推進します。

サステナビリティ戦略「Creating Social Impact by HORIBA」では、「HORIBA独自の手法で、持続可能な社会実現に貢献する」をビジョンに掲げ、HORIBAならではの発想で、持続可能な社会の実現に貢献する活動を進めます。

上記の3つの戦略の実現を通じて、売上高や営業利益等の財務目標を達成するとともに、さらなる事業成長と企業価値向上を実現します。

 

③ リスク管理

当社グループは、持続的な企業価値の向上のために、サステナビリティ項目を含めた全社横断的に対応が必要となるリスクへの対応を、当社取締役を委員長とする「サステナビリティ委員会」及び「グループリスク管理委員会」で、リスク管理の方向性の策定や取り組みの進捗管理等を行っています。リスク管理の詳細は、「第2事業の状況 3事業等のリスク」に記載のとおりです。

 

(2) 気候変動

当社グループは、気候変動への対応は経営上の重要課題の一つとして捉えており、国際的な枠組みである気候変動問題に関するパリ協定目標達成と2050年のカーボンニュートラル社会実現に貢献するため、気候変動に対応する自社の目標を定め、事業を通して積極的にGHG(Greenhouse Gas, 温室効果ガス)を削減するための取り組みを進めています。

自社の活動に伴う直接的、間接的なGHG排出量の削減と共に、当社グループが提供する全ての分析・計測装置やソリューションによって、お客様の拠点でのGHG排出削減に貢献します。また、その分析データをお客様が活用することによって、お客様が提供する製品の性能を飛躍的に高め、サプライチェーン全体でのGHG排出量の削減に貢献します。

 

① ガバナンス

当社グループは、経営戦略、事業計画に関連する気候変動への対応を最重要課題の一つとして取り組んでいます。気候関連のリスクと機会は、当社執行役員を委員長とする「サステナビリティ委員会」及び「グループリスク管理委員会」で、リスク管理の方向性の策定や取り組みの進捗管理等を行い、TCFDの提言を参照してリスクや機会について定期的に確認、審議し、また必要に応じて取締役会へ報告しています。

 

② 戦略

当社グループの事業活動に影響を与える可能性がある気候関連のリスクと機会を、シナリオ分析によって特定し影響度の評価を開始しています。気候リスクについては、当社グループからの直接排出に当たるScope 1の排出量削減のための取り組みを進めるとともに、エネルギーの間接排出にあたるScope 2の再生エネルギーへの転換を進めて います。2025年は再生可能エネルギーの使用量を増やしました。

2025年はグループ全体のScope 3排出量を初めて算定しています。算定年は2024年です。資材購入と販売した製品の使用時のGHG排出量が大部分であり、特に販売した製品の使用時のGHG排出量は全体の半分以上を占めていました。今後は製品使用時のGHG排出量の削減を重点対応項目として対策の立案と実行を進めます。

 

③ リスク管理

当社グループでは、経営に関わる全てのリスク管理を行い、取締役会の監督のもと、各種委員会が対策を協議、決定しています。気候変動に関してはサステナビリティ委員会がリードし、シナリオ分析による影響度評価で特定したリスクを中心に評価を実施します。

 

④ 指標及び目標

当社グループでは、2050年カーボンニュートラルの実現を目標にしています。中間目標として2033年度の当社グループの事業活動によるGHG排出量(Scope 1とScope 2)を2023年度比42%以上削減し、31,539 t-CO2eにすることを定めています。更に、特に排出量が大きく顧客の関心も高い、販売した製品の使用等によるGHG排出量(Scope 3 Category 11)の削減に向け、環境貢献製品シリーズを定義し、新製品での採用率を高める活動に取り組みます。

また、当社グループとして最も社会貢献度が大きいと考えるのは、当社グループが提供する製品・ソリューションを活用するお客様が、分析・計測ソリューションを通じてGHG削減に直接貢献することです。すなわち、当社グループのビジネスの最大化が、脱炭素社会を実現し、気候関連リスクの低減と機会の増大につながると考えます。

 

当社グループのGHGの削減目標と実績、及び削減に向けた取り組みの詳細は、ウェブサイトを参照ください。

「https://www.horiba.com/jpn/company/social-responsibility/environment/environmental-activities/」

 

 

(3) 人財戦略(人的資本に関する取り組み)

① 戦略
a.人財戦略

当社グループの事業を通じた社会価値創出の原動力は、多様な人財がそれぞれの個性、強み、能力を主体的に発揮していくことで生み出されます。2024年2月に発表した中長期経営計画「MLMAP2028」において、「ホリバリアン一人ひとりが『おもしろおかしく』の実践によりその力を発揮し、『ほんまもん』を追求する舞台をグループ全体で創りあげる」というビジョンを掲げ、人財育成及び社内環境の整備に取り組んでいます。

 

b.人財育成方針

ホリバリアン一人ひとりの「おもしろおかしく」を活かし、当社グループのバリュー「チャレンジ精神」、「誠実と信頼」、「卓越の追求」の実践に向けた育成の取り組みを進めていくことで、人財という最も重要な資産の価値を最大化していくことをめざします。

 

1.一人ひとりの「おもしろおかしく」を活かす施策例

・期限付きの他部署経験等複数の公募型異動制度による自律的キャリア開発の支援と人財交流活性化

・海外公募研修をはじめとしたグローバルを舞台にしたチャレンジの後押し、成長機会の提供

・多様な人財のキャリア開発を促す、短期かつ柔軟な国際間異動の枠組みと人財交流機会の創出

・ブラックジャック活動(※1)の更なる推進

 

2.バリュー「チャレンジ精神」、「誠実と信頼」、「卓越の追求」の実践に向けた育成施策例

・創業時からのHORIBAのスピリットを受け継ぎ、人財の「ほんまもん」追求を促す取り組みの実施

・顕著な成果をあげた人財やグループを称える表彰制度を通したバリュー実践のロールモデル共有

・グローバルに事業をリードできる次世代グループ経営基幹人財の育成プログラム実施

・高度な専門性を有する人財を認定し活躍を促進する人事制度の定着と活用

・HORIBA流のナレッジ(知恵・経験)を学べる社内大学「HORIBA COLLEGE」を通じた自律的な学びの促進

 

c.社内環境整備方針

ホリバリアンがHORIBAで働くことに「誇り」や「喜び」を感じる気持ち(エンゲージメント)の向上に向けて、人事部門内に設けた専任チームを中心におこなうダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの取り組み、安全で健康的な職場環境の整備、「チャレンジ精神」の発揮を応援する施策等を推進するとともに、ホリバリアンのエンゲージメントの継続的な検証、改善に取り組みます。

 

1.エンゲージメント向上と「チャレンジ精神」の発揮を応援する施策例

・エンゲージメントの継続的な検証、改善への取り組みを進めるためのグローバル・サーベイの実施

・人財の多様な強みの発揮と「ほんまもん」へのチャレンジを支え、対話を生む資格・評価制度の定着と活用

・付加価値の向上と従業員報酬引き上げの持続的な好循環

 

2.ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの取り組みと安全で健康的な職場環境の整備の施策例

・新たに入社する人財の早期活躍に向け、入社後のスムーズな業務推進と活躍を支援する施策の実施

・国籍を問わず誰もが活躍できる組織風土醸成のための異文化コミュニケーション研修の実施

・育児休業取得者による体験共有及び復帰時のネットワーク形成のサポート等を通じた育児休業取得の推進

・ガイドブックの配布や社員の経験談共有等、介護と仕事を両立できる職場風土づくりの推進

・人権、労働マネジメント体制の整備

・「HORIBAグループ安全宣言」及び『「こころとからだの健康づくり」宣言』に基づく安全衛生マネジメント体制の推進

・障害者向けワークショップや受入職場教育の実施による継続就業支援と誰もが働きやすい環境整備の推進

・Good Place勤務制度(テレワーク制度)、時差出勤制度等の多様な働き方の効果的な活用

 

※1.ブラックジャック活動:1997年から継続している「従業員の意識と行動の変革」を目的として現場の挑戦を後押しする当社グループ独自のボトムアップ活動。活動のプロセスから得られる「気づき」「学び」「喜び」が「ほんまもん」の追求をめざす人財育成の起点となっています。

 

② 指標及び目標

多様な人財の活躍をめざす取り組みの一環として、積極的な採用活動や、育児休業制度の社内周知等を推進しており、中長期経営計画「MLMAP2028」の目標年度の2028年度に向けて、管理職に占める女性従業員の割合及び育児休業取得率向上を図っています。なお、従業員に占める男性、女性の割合及び育児休業取得率は以下のとおりです。

 

a.従業員に占める男性、女性の割合

 

 

2025年12月期実績

男性

女性

人数(名)

比率(%)

人数(名)

比率(%)

採用人数(新卒入社)

79

73.8

28

26.2

採用人数(キャリア入社)

83

74.8

28

25.2

従業員数

2,498

75.2

826

24.8

 

(注) 当社及び国内連結子会社在籍者

 

b.管理職に占める女性従業員の割合

(単位:%)

 

2025年12月期実績

2028年12月期目標

株式会社堀場製作所

11.0

15.0

株式会社堀場エステック

5.6

10.0

株式会社堀場アドバンスドテクノ

10.9

15.0

株式会社堀場テクノサービス

8.2

10.0

 

 

c.男性育児休業取得率

(単位:%)

 

実績

2021年12月期

2022年12月期

2023年12月期

2024年12月期

2025年12月期

株式会社堀場製作所

75.0

90.7

97.4

89.5

97.1

株式会社堀場エステック

71.4

71.4

104.3

83.3

100.0

株式会社堀場アドバンスドテクノ

33.3

63.6

75.0

66.7

110.0

株式会社堀場テクノサービス

66.7

78.9

61.9

83.3

117.6

 

 

3【事業等のリスク】

重要リスクを選定するにあたり、リスクに関するグループ規程に定めるリスク項目をベースに現業部門及び管理部門が当社グループにおける個別のリスク項目を抽出し、各リスクについて、発生の可能性と経営への影響度において3段階の点数付けを行っています。その後、点数化したリスク項目を整理して、当社グループにおけるリスクマップを作成し、リスクに関するグループの管理委員会にて協議・承認を行いました。

リスクマップに挙げた項目のうち、下図の網掛け部分に該当するリスク項目を当社グループにおける重要リスクと位置付けて、有価証券報告書に記載しています。

なお、文中における将来に関する事項については、有価証券報告書提出日(2026年3月23日)現在、入手しうる情報に基づいて当社グループが判断したものです。

 

<当社グループのリスクマップ>


 

(1)3事業部門(フィールド)に関するリスクについて

当社グループは、グローバルに培ってきたコア技術、生産能力、顧客ネットワーク、サービス能力を有機的に組み合わせ、独自のソリューションを創出し、社会課題の解決に貢献するため、エネルギー・環境、バイオ・ヘルスケア、先端材料・半導体という3フィールドの事業ポートフォリオを構成しています。個々のフィールドには以下のような業績変動要因があります。

 

① エネルギー・環境

エネルギー・環境では、エンジン排ガス測定装置や大気・水質汚染分析装置等が主力製品となっています。そのため、排ガス・燃費規制の動向による需要の変動や、官公庁による環境関連の法的規制動向及び一般企業の研究開発・投資動向により需要が増減することから、今後の規制・市場の動向によっては、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

また、自動車の電動化やAI関連技術の進展等、自動車産業の構造変化がもたらす自動車関連メーカーの研究開発・設備投資動向は当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。更に、自動車開発に関するエンジニアリング・試験事業では事業の性格上、多額の固定資産を所有しています。自動車メーカーの研究開発動向等により、固定資産の稼働率が低下した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクが顕在化する可能性はあり、リスクが顕在化した際の影響は大きいと認識しています。世界的に環境問題への規制強化が進む中、特に地政学的なリスクは短期間に変化・顕在化する可能性があります。その対応策として、行政機関から発信される最新情報の収集を継続的に行うとともに、規制適合や排ガス低減技術開発に必要なエンジン排ガス測定装置、電動車開発に向けたアプリケーションの開発と供給に努めています。また、各国補助金を受けた事業者が主たるユーザーとなる水素等の新エネルギーや、カーボンニュートラルといった領域におけるビジネスについては、各国の政策動向による補助金の打ち切り等によって、一部、リスク事象が発生していますが、製品構成の変化、原価低減の施策に取り組んでいます。加えてコネクテッド・自動運転車(CAV)の設計から実車検証、衝突安全や予防安全等の車両開発支援まで包括的なサポートを行う開発エンジニアリング機能を増強し、自動車開発に関わる幅広い需要に応えるため事業基盤の強化に取り組んでいます。

環境関連においても、グループ間の情報連携を強化し、諸外国の環境関連規制動向を把握するとともに、環境規制関連以外で使用される製品等、製品群を拡大することで、リスク低減を図っています。

 

② バイオ・ヘルスケア

バイオ・ヘルスケアでは、血球計数装置や理化学用分析装置が主力製品となっています。今後、医療機関の経営状況悪化や価格競争、官公庁の研究開発予算及び民間企業の研究開発や生産向けの設備投資の動向で需要が増減し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクが顕在化する可能性はあり、リスクが顕在化した際の影響は大きいと認識しています。対応策として、グループ間の情報連携を強化し、市場要求・競合他社の動向に合わせて新しい製品・事業の拡大を推進するとともに、現地生産を含むローカライズの推進、医薬品開発や製造プロセスといった成長が見込める産業へ、バイオ・ヘルスケアが有する様々な分析・計測技術の投入を強化することでリスクの低減に努めています。

 

③ 先端材料・半導体

先端材料・半導体では、半導体製造装置用の流量制御機器、半導体メーカーにおける品質管理や研究開発サポート機器が主力製品となっています。当社グループでは、半導体市況の変動による影響を低減するため、受注から納品までのリードタイムの短縮や顧客ニーズに迅速に対応する体制作りに取り組んでいますが、半導体及び半導体製造に関わる技術変化や半導体の急激な需要変動による半導体製造装置及び半導体メーカー等の設備投資動向は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクが顕在化する可能性はあり、リスクが顕在化した際の影響は大きいと認識しています。対応策として、顧客と地理的に近い場所に拠点を置き、顧客の設備投資情報をはじめとする最新情報を収集し、市場ニーズを迅速に取り込んだ開発を強化する体制を構築しています。生産体制においても需要の増減に合わせ、調達を含めた柔軟な対応ができる体制をとることでリスクの低減に努めています。

 

(2) 全社に関するリスク

① 気候変動に関するリスク

気候変動は世界共通の解決すべき社会課題と考えられており、多くの国や地域で脱炭素やカーボンニュートラルをめざす政策や規制の導入が進むとともに、社会からの要求が増大しています。当社グループはこのような変化を事業機会と捉え、環境変化に対する取り組みを進めていますが、対応が極めて困難な事象が発生する場合や、各国補助金を受けた事業者が主たるユーザーとなる水素等の新エネルギー及びカーボンニュートラルといった領域におけるビジネスについては、補助金の打ち切り等、政策動向によっては事業活動の大幅な見直しや費用の増加等、当社グループの財政状況及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクが顕在化する可能性はあり、リスクが顕在化した際の影響は大きいと認識しています。対応策として、当社グループが展開する国や地域の情勢や規制動向等を適切に見極め、経営への影響が最小限になるように取り組んでいます。

当社グループが提供する分析・計測ソリューションは、それを活用するお客様が提供するサービスにおいてCO2削減を実現しています。環境汚染の低減や関連規制への対応に貢献する分析・計測技術の発展に取り組み続けており、気候変動に対しても、エネルギー社会の変革という視点を中心に当社独自の技術を展開し、課題解決に向けて積極的に取り組んでまいります。

 

② ビジネスと人権に関するリスク

事業活動を推進する上で、人権への配慮がこれまで以上に求められており、社会からの要求も増大しています。当社グループはもとより人権擁護に努めていますが、予期せぬ事態により人権問題が発生した場合、当社グループの財政状況及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクが顕在化する可能性はあり、リスクが顕在化した際の影響は大きいと認識しています。対応策として、当社グループは、グローバルでの規範となる「Code of Ethics」を制定しており、その制定にあたり「人権」を重要事項と捉えて、差別の排除・労働の自主性・労働基本権の尊重・救済と再発防止の措置を明示し、社内浸透を図っています。また、国連グローバル・コンパクトへの支持も表明しており、ここで謳われている人権方針と国際的な人権規範も尊重しています。サプライチェーンにおける人権の取り組みについても、人権尊重の指針を示し、人権侵害の未然防止を図っています。

 

③ 情報セキュリティに関するリスク

当社グループでは、顧客・取引先に関する情報、受発注・契約等に係る情報、技術情報及びその他の機密情報を取り扱っています。これらに関し、従業員等による人為的ミス又は内部不正、サイバー攻撃(不正アクセス、マルウェア感染、ランサムウェア等)、委託先を含むサプライチェーン上のセキュリティ事故その他の要因により、情報の漏えい、改ざん、破壊又は利用不能等が発生するリスクが考えられ、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクが顕在化する可能性はあり、リスクが顕在化した際の影響は大きいと認識しています。対応策として、情報セキュリティ関連規程を制定し、従業員に対する教育・訓練を継続的に実施しています。加えて、情報資産の把握及び情報セキュリティアセスメントを通じて、リスクに応じた組織的・技術的安全管理措置(アクセス権限管理、設計・開発系ネットワークの分離、監視・検知、委託先管理等)を講じています。また、インシデント発生に備えたグローバル対応体制(CSIRT)を整備し、サプライヤーを含む関係先との連携を図ることにより、当該リスクの低減及び被害の最小化に努めています。

 

④ 為替変動に関するリスク

当社グループは世界各国で事業活動を行っていますが、為替相場の変動は連結決算における円貨換算額に影響を与えるため、当社グループの予想の範囲を超えて為替相場が大きく変動した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクが顕在化する可能性はあり、リスクが顕在化した際の影響は大きいと認識しています。対応策として、進出国の政治経済情勢や金融市場動向等の情報収集に努めています。また、適地調達・適地生産の推進、社内規程に基づく輸出入取引金額の範囲内の為替予約取引等を行っています。

 

 

⑤ 国際情勢に関するリスク

当社グループは世界各国で事業活動を行っていますが、ロシア・ウクライナ、中東の情勢、米中関係の複雑化等、当社グループの事業を取り巻く国際情勢は大きく変化しています。特に海外市場においては、対象市場の経済状況及び製品需給の急激な変動、法律・規制・税制の変更、テロ・戦争等の社会的混乱等のリスクが伴い、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクが顕在化する可能性はあり、リスクが顕在化した際の影響は大きいと認識しています。対応策として、進出国の政治経済情勢、市場動向、税制、法規制動向等の情報収集に努めています。

 

⑥ 自然災害による設備の破損とそれに伴う納期遅延等のリスク

地震等の自然災害により、製造拠点の設備修復等に多額の費用の発生、営業・生産等の事業活動の停止を余儀なくされることで、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクが顕在化する可能性はあり、リスクが顕在化した際の影響は大きいと認識しています。当社グループではISO22301の認証を自主返上しましたが、対応策として、自然災害等による事業の中断・阻害に対して、購買先の複数化、在庫の適正化、また生産拠点間での生産の多重化に取り組み、事業継続計画(BCP)の運用が経営と確実に密接に結びついた形で実施され、効果的・効率的・継続的に運用するための体制を整備しています。

 

⑦ 買収や提携に伴う業績や財政状態の変化のリスク

当社グループは、自社の成長や事業の拡大を目的に、企業買収や業務提携を積極的に行っています。しかし、それらの買収・提携による事業展開が当初の計画通りに進まなかった場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクが顕在化する可能性はあり、リスクが顕在化した際の影響は大きいと認識しています。対応策として、買収・提携前のデューデリジェンスを通じてリスクの洗い出しを行っています。また、買収後・提携後には定期的に事業計画と実績との比較・解析を行い事業環境の変化に対応できる仕組み作りを行うと同時に、既存事業との統合等、業務効率の向上に努めています。

 

⑧ 固定資産の減損損失リスク

当社グループが保有する土地・建物等について、時価が著しく下落した場合及び事業の損失が継続するような場合並びに事業の収益性が低下し帳簿価額の全部又は一部を回収できないと判断した場合には固定資産の減損損失の計上により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクが顕在化する可能性はあり、リスクが顕在化した際の影響は大きいと認識しています。対応策として、投資判断を行う際、その収益性・投資回収予定時期を社内で厳格に精査することに加え、設備投資後は、業績進捗について毎期モニタリングを実施するとともに、業績評価を行っています。また、採算性の悪化が見込まれ、キャッシュ・フローの獲得が期待できない場合には、戦略を立案し、実行することで減損損失の計上リスクの低減を図っています。

 

⑨ パンデミックに関するリスク

感染症拡大によるパンデミックは、営業・生産等の事業活動の停止を余儀なくされることで、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクが顕在化する可能性はあり、リスクが顕在化した際の影響は大きいと認識しています。対応策として、社内においてワクチン接種の実施、感染防止策の励行等、WHOや厚生労働省が発出するパンデミック基準の各フェーズにおける社内や従業員の家庭における対応内容をまとめ、社内に周知しています。また、リモートワークであるGood Place勤務制度も導入しています。

 

 

⑩ 基幹情報システムの停止・誤作動リスク

基幹情報システムの停止・誤作動により、受発注・在庫管理・出荷業務・会計処理等の事業活動に支障を来し、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクが顕在化する可能性はあり、リスクが顕在化した際の影響は大きいと認識しています。対応策として、基幹情報システムのバックアップ体制の整備、災害・障害発生時の代替手順を含む事業継続計画(BCP)の策定・見直し、外部データセンターやクラウドサービスの活用、システム監視及び障害発生時の迅速な復旧手順の整備等を進めています。

また、サイバー攻撃や不正アクセス等外部要因によるシステムトラブルを想定し、情報セキュリティ対策の強化や従業員への教育・訓練を継続的に実施することで、当該リスクの発生防止及び影響の軽減に努めています。

 

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

2024年2月14日に公表した中長期経営計画「MLMAP2028」において設定した3つの注力フィールドの推進体制を整備すべく、社内体制を見直しました。これに伴い、当連結会計年度の期首より、報告セグメントを従来の「自動車」「環境・プロセス」「医用」「半導体」「科学」から「エネルギー・環境」「バイオ・ヘルスケア」「先端材料・半導体」の3事業部門(フィールド)に変更しています。このため、前期数値につきましては、変更後のセグメント区分に組み替えて比較分析を行っています。

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」)の状況の概要は次のとおりです。

 

① 経営成績

当社グループの当連結会計年度における経営成績は、主にエネルギー・環境と先端材料・半導体において販売が増加したこと等から、売上高は333,081百万円と前期比5.0%の増収営業利益は53,040百万円経常利益は54,226百万円、それぞれ前期比9.7%8.1%の増益となりました。また、構造改革等に伴う特別損失が発生したものの、税負担が軽減されたことから、親会社株主に帰属する当期純利益は37,090百万円となり、前期比10.4%の増益となりました。

この間、為替相場を見ますと、当連結会計年度の平均為替レートは、1USドル149.61円、1ユーロ169.19円と、前年と比べUSドルは1.4%の円高、ユーロは3.1%の円安となりました。

 

セグメント別の業績は次のとおりです。

 

(エネルギー・環境フィールド)

主に欧州と米州において、EVシフトが緩やかになったことにより、ハイブリッド車開発向けに燃焼計測等の需要が増加したことから、自動車関連事業の売上高が増加しました。この結果、売上高は134,407百万円と前期比5.5%の増収営業利益は9,417百万円と同120.9%の増益となりました。

 

(バイオ・ヘルスケアフィールド)

主に欧州において、販売が増加したこと等から、売上高は42,173百万円と前期比5.0%の増収となりました。利益面では、増収の一方、競争環境の激化やライフサイエンス領域での投資継続等により、894百万円の営業損失となりました(前期は890百万円の営業損失)。

 

(先端材料・半導体フィールド)

生成AI等の先端半導体関連需要が牽引し、主にアジアにおいて半導体製造装置メーカー向けの販売が増加したこと等から、売上高は156,500百万円と前期比4.5%の増収となりました。利益面では、新製品の開発や技術開発投資を加速したこと等から、営業利益は44,517百万円と同1.0%の減益となりました。

 

 

② 財政状態

当連結会計年度末における財政状態につきましては、総資産は前連結会計年度末に比べ36,663百万円増加し、518,279百万円となりました。建物及び構築物や建設仮勘定を含む固定資産が増加したこと等によります。

負債総額は前連結会計年度末に比べ2,727百万円増加し、169,639百万円となりました。短期借入金が増加したこと等によります。

純資産は前連結会計年度末に比べ33,935百万円増加し、348,640百万円となりました。利益剰余金が増加したことや、円安により為替換算調整勘定が増加したこと等によります。

 

③ キャッシュ・フロー

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ18,508百万円増加し、162,471百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とその主な要因は、次のとおりです。

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の計上等により、54,383百万円のプラス(前連結会計年度は40,335百万円のプラス)となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、日本等における有形固定資産の取得による支出等により、24,923百万円のマイナス(前連結会計年度は17,562百万円のマイナス)となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払等により、11,993百万円のマイナス(前連結会計年度は15,933百万円のマイナス)となりました。

 

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

 

セグメントの名称

生産高(百万円)

前期比(%)

エネルギー・環境

134,174

△0.6

バイオ・ヘルスケア

42,248

6.2

先端材料・半導体

148,925

6.2

合計

325,348

3.3

 

(注)1.金額は販売価格により算出しています。

2.当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しています。このため、前連結会計年度との比較につい

ては、変更後のセグメント区分の数値に組み替えて行っています。

 

b.受注実績

当連結会計年度の受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

 

セグメントの名称

受注高

(百万円)

前期比(%)

受注残高

(百万円)

前期比(%)

エネルギー・環境

125,046

△10.1

91,463

△9.3

バイオ・ヘルスケア

42,300

1.0

11,107

1.2

先端材料・半導体

151,151

10.4

50,830

△9.5

合計

318,498

0.2

153,401

△8.7

 

(注) 当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しています。このため、前連結会計年度との比較について

は、変更後のセグメント区分の数値に組み替えて行っています。

 

c.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

 

セグメントの名称

販売高(百万円)

前期比(%)

エネルギー・環境

134,407

5.5

バイオ・ヘルスケア

42,173

5.0

先端材料・半導体

156,500

4.5

合計

333,081

5.0

 

(注) 当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しています。このため、前連結会計年度との比較については、変更後のセグメント区分の数値に組み替えて行っています。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析、検討内容

経営者の視点による当社グループ経営成績等の状況に関する認識及び分析、検討内容は次のとおりです。なお、文中における将来に関する事項については、有価証券報告書提出日(2026年3月23日)現在、入手しうる情報に基づいて当社が判断したものです。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表の作成において採用している重要な会計方針は、「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」に記載しています。

連結財務諸表の作成にあたって、会計上の見積りを必要とする繰延税金資産、貸倒引当金、製品保証引当金、棚卸資産の評価、固定資産の減損、退職給付に係る会計処理等については、過去の実績や当該事象の状況を勘案して、合理的と考えられる方法に基づき見積り及び判断をしています。ただし、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、翌連結会計年度の連結財務諸表に重要な影響を及ぼすリスクがあるものについては、「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しています。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析、検討内容

a.経営成績等

当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析につきましては「第2事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載しています。

 

b.経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因につきましては「第2事業の状況 3事業等のリスク」に記載しています。

 

c.資本の財源及び資金の流動性の分析

当社グループの財務政策は、資産構成に合わせた最適な資金調達を行うことを基本方針としています。事業成長に向けた投資資金需要に対しては、その投資の内容に加え、資本コスト、資金調達環境及び条件、自己資本比率、手許流動性の水準等を総合的に勘案し、長期的な企業価値向上に最も資すると考える方法により対応しています。運転資金需要に対しては、内部留保や短期借入等により対応しています。借入については、主に社債の発行や金融機関からの調達です。なお、連結子会社が資金調達を実施する際には、グローバルな資金効率を向上させる観点から、グループ内で資金融通を行う一方、経営規律向上、ガバナンス強化を目的として、金融機関からの借入も実施させています。

 

d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、2028年度を目標年度とする中長期経営計画「MLMAP2028(Mid-Long Term Management Plan 2028)」を2024年2月に策定し、連結売上高4,500億円、営業利益800億円、ROE(自己資本当期純利益率)12%以上をめざしています。

当連結会計年度における経営成績は、主にエネルギー・環境と先端材料・半導体において販売が増加し、売上高は3,330億円営業利益は530億円、ROE(自己資本当期純利益率)は11.2%となりました。MLMAP2028達成に向けて、引き続き諸施策を推し進めます。達成に向けた施策及び当連結会計年度における取り組みにつきましては、「第2事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)中長期的な会社の経営戦略及び会社の対処すべき課題」に記載しています。

 

5【重要な契約等】

該当事項はありません。

 

 

6【研究開発活動】

当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は24,688百万円であり、報告セグメントごとの研究の目的、主要課題、研究成果及び研究開発費は次のとおりです。

 

(1) エネルギー・環境

当連結会計年度には、当社独自技術の赤外線分析技術IRLAMを搭載した可搬型排ガス分析計測システムを上市しました。欧州や中国等の次期排ガス法規に対応した実路での車載排ガス試験に加え、カーボンニュートラル燃料排ガスの高精度ラボ測定にも対応し、次世代モビリティ開発に貢献します。

水素関連のビジネスにおいては、燃料電池・水電解装置の触媒塗布モニターを上市しました。非破壊・非接触での高速連続モニタリングを実現し、生産プロセスにおける歩留まり改善と材料コスト削減に貢献します。

水質モニタリングの市場に向けては、下水や排水の水質管理から食品・飲料等ラボにおける品質管理までの多様な環境での測定に貢献する水質分析計シリーズの新製品であるポータブル濁度計を上市しました。また、工業用の水質計においては、高い耐久性と測定値の長期安定性を実現したアンモニア・硝酸態窒素計を上市しました。下水処理場やし尿処理場等、排水処理設備の電気消費低減やコスト削減に貢献します。

当セグメントに係る研究開発費は9,430百万円です。

 

(2) バイオ・ヘルスケア

当連結会計年度には、全血1滴で糖尿病や感染症の診断サポートに貢献するPOCT機器である遠心方式血液分析装置を国内市場向けに上市しました。また、当社グループ製品の稼働状況を把握するリモートモニタリングサービスの対象製品拡充も進めています。欧州では、自動血球計数測定装置の新製品を開発し 、2026年の上市を予定しています。高品質な製品と幅広いサービスの提供を通じて医療従事者の負担軽減に寄与し、迅速で信頼性の高い医療サービスに貢献します。

バイオ医薬品の開発・製造向けのソリューション提案にも注力しており、蛍光寿命イメージング用カメラ、三次元蛍光測定装置等の分析機器を国内に上市しました。遺伝子治療薬の製造プロセスにおいては、細胞に遺伝子を導入する装置を富士フイルム社と共同開発する等、新製品開発と市場開拓を行っています。当社グループが保有するコア技術を融合し、独自性のあるPOCT機器の製品開発を加速します。

当セグメントに係る研究開発費は4,235百万円です。

 

(3) 先端材料・半導体

当連結会計年度には、半導体製造装置に搭載されウエハ裏面の圧力制御を行う圧力制御器や、主に成膜プロセスに用いられる液体材料の気化器、高温プロセスに対応した真空計を開発し、上市しました。全自動ウエハ検査装置においては、買収したEtaMax社の製品及び技術との融合を推進し、装置の機能高度化と付加価値の向上を通じて競争力の強化を図っています。また、京都福知山テクノロジーセンターの拡張投資を行い、コア技術と次世代技術の両輪による研究開発能力の強化に取り組んでいます。

先端材料開発に向けては、半導体・二次電池・医薬品等の幅広い分野で活用できる粒子径・形状解析装置を開発し、上市しました。また、生産工程における状態監視モニタリングのアプリケーション開発に注力し、電子部品等の膜塗布工程における金属膜厚測定装置や、微小粒子径分布測定モニターの開発に注力しました。引き続き、当社グループが保有するコア技術を活かし、大学や研究機関等との共同研究を通じた要素技術の開発投資も加速します。

当セグメントに係る研究開発費は11,022百万円です。