第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

  当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

  なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

 当社は、バングラデシュの栄養失調問題を解決したいという想いのもと2005年8月に創業し、2005年12月に微細藻類ユーグレナの食用屋外大量培養を世界で初めて成功させたことを起点として、「人と地球を健康にする」というパーパスのもと、ヘルスケアやバイオ燃料などの様々な領域において事業を展開してきました。そして、創業15周年を迎えた2020年に、当社グループのありたい姿として「Sustainability First(サステナビリティ・ファースト)」を掲げ、サステナビリティを軸とした事業を展開し、持続的な成長を図っております。

 

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 当社は、植物と動物の両方の性質を備えたユニークな生物であるユーグレナを、「バイオマスの5F」の各用途に沿って事業化することを基本戦略としております。「バイオマスの5F」とは、重量単価(例:1kgあたりの値段)が高い順に、Food(食料)、Fine Chemical(高機能素材)、Feed(飼料)、Fertilizer(肥料)、Fuel(燃料)の各分野へ展開する考え方であり、当社は、研究開発や培養技術の蓄積に応じて、付加価値の高い用途から順に事業化を進めてきました。

 

図 バイオマスの5F

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ユーグレナは、その豊富な栄養素や希少成分であるパラミロンの機能性等を活かして、健康食品、化粧品、飼料、肥料として活用することが可能であるとともに、ユーグレナを低コストで大量に培養する技術の確立により、ユーグレナから抽出される藻油(脂質成分)をバイオ燃料原料として利用することも可能になるという観点から、「バイオマスの5F」戦略に最適な素材と位置付けております。

現在は、「バイオマスの5F」のうち、Food(食料)およびFine Chemical(高機能素材)を中心としたヘルスケア領域を主たる事業としつつ、培養技術の高度化や原料コストの低減を通じて、Feed(飼料)、Fertilizer(肥料)、Fuel(燃料)といった領域への展開も進めております。このように当社グループは、微細藻類ユーグレナの素材特性に基づく研究開発と事業化を通じて、食品、化粧品、飼料、肥料、バイオ燃料といった多様な分野における事業基盤を構築してきております。

 

(2)中長期的な会社の経営戦略及び目標とする経営指標

 当社グループは「Sustainability First(サステナビリティ・ファースト)」を企業理念とし、「人と地球を健康にする」というパーパスの下、サステナビリティを軸とした事業を展開し、売上・利益のサステナブルな成長を図っております。2024年度からの執行体制の刷新に伴い、以下の三点を重要課題と捉え、事業推進の指針としています。

 

①「原点回帰」:研究開発力とベンチャー精神を核とした競争力・独自性の再構築

 サステナビリティ・バイオ燃料・微細藻類の領域には参入企業が急増しており、中長期的な競争優位が揺らぐリスクが顕在化していました。この環境下で当社は、長年培ってきた研究開発力と、新機軸に挑むベンチャー精神を持続的成長の源泉と再定義しました。研究と事業の接続を一層強化し、新たな収益の柱の創出に挑戦し続けることで、当社ならではの強みと独自性の再構築を進めていきます。

 

②「バイオマスの5F(※1)」と「両利きの経営(※2)」:事業ポートフォリオ強化と新たな売上シーズの創出

 M&Aによって事業規模は拡大したものの、多角化と競争激化によりオーガニック成長の鈍化が進んでいました。当社は基本戦略「バイオマスの5F」を軸に、既存のヘルスケア・バイオ燃料領域の深化と、微細藻類のポテンシャルを活かした新規領域やアグリ領域(飼料・肥料)等の探索を両立させ、将来成長に必要な事業基盤を強化します。

 

③「黒字体質への転換」:収益構造の改善と選択的投資による黒字体質の確立

 先行投資・バックオフィス強化・M&A関連費用の増加により、2023年度までは調整後EBITDA(※3)は黒字である一方、営業損益の赤字が続いていました。グループ横断の施策により、当社は2024年度に7期ぶりの連結営業黒字を実現し、2025年度にはその黒字規模を大きく拡大しました。今後もさらなる効率化を図りつつ、成長が見込める領域への選択的投資を進め、持続的な利益成長を確かなものにしていきます。

 

 以上の三つの課題と2025年度までの進捗を踏まえ、2026年度は中期的なトップライン拡大に寄与する収益基盤の拡充に重点を置いていきます。黒字体質の定着への手応えを土台に、既存領域の「深化」と新規領域の「探索」を同時に強化し、事業全体の成長ポテンシャルを高めます。また、微細藻類ユーグレナを軸とした研究開発の深化、国内ヘルスケア事業の成長確度の向上、商業化が見えてきたバイオ燃料事業の着実な展開に取り組むとともに、海外市場、疾患領域やアグリ領域への挑戦を進めます。生産コスト低減・生産量増加・機能性拡張を通じて「バイオマスの5F」をさらに前進させ、独自の技術資産を最大限に活かした価値創出に取り組みます。

 

 上記の中期経営方針のもと、2026年12月期においては、売上高は52,000百万円を、調整後EBITDAは7,000百万円、営業利益は3,200百万円を見込むとともに、親会社株主に帰属する当期純利益の黒字転換を目指します。また、次連結会計年度の各施策を通じて収益基盤を強化することで、2028年度には売上高550-600億円・調整後EBITDA80-90億円前後、2030年度には商業プラントの本格稼働を前提として、売上高1,000億円規模・調整後EBITDA160億円相当の実現を目指してまいります。

 

(※1)重量単価の高い順に、Food(食料)、Fine Chemical(高機能素材)、Feed(飼料)、Fertilizer(肥料)、Fuel(燃料)へ展開し、技術蓄積に伴うコスト低減と機能拡張を通じて多段階で価値を創出する戦略。

(※2)既存事業の深化と新規事業の探索を両立し、ポートフォリオの健全性と成長性を確保する経営方針。

(※3)当社グループは、経営指標として2021年9月期より調整後EBITDAを開示しております。調整後EBITDAは、一般に公正妥当と認められた会計基準に基づく営業利益に、当社グループにとって経常的に発生する収益や非現金支出を反映させた、当社のキャッシュ・フロー創出力を示す指標です。

 

(3)対処すべき課題

 現在の市場環境及び事業進捗を踏まえて、各事業において認識している対処すべき課題については以下のように考えております。

 

(ヘルスケア事業)

 当社グループのヘルスケア事業は、微細藻類ユーグレナなどの独自素材、「からだにユーグレナ」「CONC」「one」「NEcCO」「akyrise」などの当社ブランド商品、さらにキューサイ、エポラ、MEJといったグループ会社が持つブランド群により構成されています。直販・流通・OEMなど複数のチャネルを用いて幅広い市場へ展開しており、今後も市場環境の変化に対応しながら持続的な成長を図る必要があります。健康食品・化粧品市場は、健康意識の高まりを背景に成長が期待される一方、機能性素材の多様化やトレンドの急速な変化によって競争は激化しています。さらに、日本市場はシニア層の拡大による短期的な成長が見込まれる反面、中長期的には人口減少による市場縮小リスクも抱えています。こうした環境を踏まえ、当社グループは以下の3つを主要課題と認識しています。

 

①一般顧客向け健康食品・化粧品メーカーとしての「深化」

 直販チャネルは当社グループの収益の中核であり、定期購入を中心とするサブスクリプション型のモデルによって安定したキャッシュフローを生み出しています。事業を持続的に成長させるためには、定期顧客数の維持・拡大と LTV(定期顧客から一定期間に生み出されるリターン)の最大化が不可欠です。ブランドごとの投資効率を横断的に分析し、効果の高いブランドや媒体に広告投資を重点配分する体制を整えた結果、「からだにユーグレナ」「コラリッチ」「ひざサポートコラーゲン」などの主力ブランドが安定的な成長軌道に乗り、さらに「CONC」などの新たな成長ブランドの育成にも成功し、2025年度には定期顧客数が増加に転じました。2026年度は、投資効率と投資配分の最適化に留意しつつ広告宣伝投資を拡大し、定期顧客数の継続的な成長を目指していきます。

 一方、顧客層がシニアに偏りがちな構造や、主力ブランドへの依存度の高さといった課題は依然として残ります。今後はオンライン広告やECモール展開の強化を進めつつ、機能性・素材・技術により明確に差別化された商品を企画し、ミドル世代を含む新たな顧客層へのアプローチを強化していきます。

 LTV向上の鍵は、限界利益率・継続率・顧客単価の三点です。価格改定、原価・物流・販促の効率化、広告運用の改善やコールセンターの内製化など、2024年度以降の徹底した収益構造改革により限界利益率は大幅に改善しました。継続率も、おまとめ定期制度の導入や、企業理念・素材特性の発信、コミュニティ運営を通じたロイヤリティ施策等により、主力ブランドはいずれも高い水準を維持しています。今後はブランド内ラインアップの拡充やブランド横断のクロスセルによって、顧客単価の底上げを図ります。

 流通チャネルは売上に占める割合こそ限定的ですが、ブランド認知や顧客接点を広げるうえで重要です。特にバラエティショップや美容室など、顧客との距離が近いチャネルは高機能・高単価商品の訴求に適しており、ECモールへの流入促進効果も期待できます。また、キューサイの「コラリッチ」や「ひざサポートコラーゲン」は、直販チャネルでのブランド力・認知度を活かして流通チャネルでの拡販が進んでいる他、当社「CONC」の流通チャネル向け姉妹ブランド「CONC LABO」も取り扱い店舗が拡大しており、直販チャネルとの相乗効果を活かした効率的な拡販を目指していきます。

 

②企業顧客向けOEM・原料メーカーとしての「深化」

 当社は自社商品の製造・販売に留まらず、ユーグレナ・クロレラなどの微細藻類素材をOEMや原料供給という形で企業顧客に提供する機能も有しており、安定した収益を生み出しています。市場では機能性素材の多様化が進んでおり、当社が提供する素材の価値を高めるためには、機能性や用途の拡張、生産コストの改善が不可欠です。

 ユーグレナの希少成分であるパラミロンは、独自のβ-1,3グルカン構造を持つ高分子多糖で、「睡眠の質」「疲労感」「ストレス」などの機能性を表示することが可能な素材として注目を集めています。当社は「パラミロン原末」や「精製パラミロン」の開発・規格化を完了し、2026年度からFine Chemical(高機能素材)領域の主要素材として企業顧客向けの販売活動を本格化していきます。加えて、研究成果の蓄積を活かし、表示可能な機能性のバリエーション拡大にも取り組むことで、パラミロンをマルチ機能素材として強化し、競争優位を築いていきます。また、サステナビリティ要求の高まりを背景に、環境負荷の低い素材としての訴求も強めていきます。

 クロレラに関しても、当社が生産するヤエヤマクロレラは鮮やかな色調やスペルミジンなどの特長成分が評価されており、差別化した価値提案が可能です。さらに、麺類や冷凍食品の品質向上用途としてクロレラ熱水抽出液(ジェファー液)も企業顧客に活用されており、今後は食品用途領域の拡大にも注力します。

 OEM体制の強化という点では、当社グループは健康食品製造工場を持ち、原料供給から企画・製造まで一貫対応が可能です。また、2024年にサティス製薬グループが加わったことで、化粧品OEMの製造能力が拡充され、研究開発や営業活動での連携によるシナジー創出を進めていきます。

 

③新たな需要創出と新市場進出に向けた「探索」

 当社ヘルスケア事業の中長期的成長には、既存市場に留まらず、新たな市場を切り開く探索が不可欠です。特に海外展開と疾患領域への応用は、当社素材のポテンシャルを大きく広げる可能性を持っています。

 海外ではクロレラやスピルリナが広く流通し、健康素材・サステナブル素材としての評価も高まっています。当社は石垣島の培養設備でハラール・コーシャ・ASC-MSC海藻認証、出雲工場でハラール認証を取得しており、アジア・イスラム市場への展開基盤が整っています。クロレラは約40か国に展開実績があり、ユーグレナも米国・アジアでの展開を推進中です。展示会やパートナーシップで認知向上と新規取引開拓を加速するとともに、マレーシア・バングラデシュなど既存拠点での市場開拓に取り組んでいきます。

 疾患領域では、過去の研究開発においてパラミロンが慢性腎臓病(CKD)の進行抑制に資する可能性が確認されています。日本に約2,000万人いる CKD 患者の課題解決に向けて、医療現場との連携のもとエビデンスの蓄積と認知の広がりを丁寧に進め、メディカルフードとしての実用化の可能性を探っていきます。

 

(バイオ燃料事業)

 気候変動問題への対応が世界的に加速するなか、SAF(バイオジェット燃料)やHVO(次世代バイオディーゼル燃料)への期待は急速に高まっています。国際的な規制強化や政策インセンティブも追い風となり、今後大幅な市場拡大が見込まれる領域です。当社グループは、商業化を見据えたSAF・HVOの製造・供給体制の構築と、藻油をバイオ燃料原料として活用するための大規模かつ低コストな生産技術の確立に取り組んでおり、その実現に向けて解決すべき課題を以下の三つに整理しています。

 

①SAF・HVOの商業生産体制の構築

 合弁パートナーと進めるマレーシア商業プラントは、原料処理能力は約65万トン/年、製造能力は年産約72.5万KL相当の計画で、2028年下期迄の稼働開始を目標に、建設が順調に推移しています。当社は2025年時点でESILを通じて15%の出資比率を確保しており、稼働後は年間約10万KL規模のSAF・HVOを継続的に調達し、国内外で販売する計画です。出資比率に応じた資金コミットメントに係る資金調達は完了しており、商業化後を見据えて原料・トレーディング・サプライチェーン・販売先の体制整備を進めるとともに、建設・運営段階では人員派遣を含むパートナー連携で確実な遂行を図ります。

 

②原料調達及び国内SAF・HVO供給体制の構築

 商業プラント稼働後、当社はマレーシアJVへの原料供給と、同JVから調達するSAF・HVOの日本国内への輸入・販売を目指しています。これに向け、2024年よりトレーディングおよびロジスティクスの専任チームを立ち上げ、知見の蓄積やネットワーク構築を進めています。また、廃食油などのバイオ燃料原料は世界的に需給が逼迫しているため、アジアを中心とした大口調達先の開拓や、長期的なパートナーシップ構築も重要な取り組みとなっています。

 一方、国内市場ではSAF・HVOの普及を後押しする制度整備が依然として不十分であり、企業の自主的な取り組みに委ねられている側面があります。当社は、東京都の「新エネルギー推進に係る技術開発支援事業」などのパートナーシップも活用しながら、サプライチェーンの確立と供給先の拡大に注力し、国内普及を後押しするための活動を進めていきます。

 

③藻油をバイオ燃料原料とする大規模・低コスト生産技術の開発

 「バイオマスの5F」戦略の最終段階として、当社は微細藻類ユーグレナから抽出した藻油をバイオ燃料原料として活用することを目指しています。その実現の鍵となるのが、屋内タンクによる従属栄養培養です。この手法は高密度培養が可能で、土地面積や水使用量を抑えながら生産規模を拡張できるため、屋外プール型の独立栄養培養に比べて大規模・低コスト化の実現可能性が高いと期待されています。当社は国内およびマレーシアの研究拠点で培養・抽出技術の高度化と、大規模生産候補地の調査を進めています。

 また、従属栄養培養では大量の低炭素糖源を安定的かつサステナブルに確保することが大きな課題となります。当社は2025年に採択された経済産業省プロジェクトを活用し、マレーシアのパーム農業残渣バイオマスが糖源として利用可能であるという有望な結果を得ています。2026年度以降は現地パートナーとの連携を深め、糖源転換の研究開発をさらに加速します。

 

(その他事業)

 当社グループは「Sustainability First」を基軸に据え、ヘルスケア事業・バイオ燃料事業以外にも、新たな売上シーズの「探索」に取り組んでいます。その中でも、飼料・肥料分野のアグリ事業と、微細藻類を中心とした基礎・先端研究は、将来の飛躍に向けた重要な領域として注力を強めていきます。

 

①アグリ事業(飼料・肥料)

 飼料・肥料等のアグリ領域は「バイオマスの5F」を支える中核であると同時に、環境負荷の低い素材や生産効率向上に対する需要拡大を背景に、中長期的成長が見込まれる分野です。当社はM&Aやパートナーシップを活用しながら製造能力と販路の拡大を進め、中期的に新たな収益の柱へ育てることを目指しています。

 また、微細藻類ユーグレナを肥料・飼料原料として活用する可能性の探索を進めており、2026年以降は機能性飼料・肥料としての用途開発や、藻油抽出後の脱脂藻体を代替原料として活用する研究開発を進めていきます。さらに、「いきものたちにユーグレナ」ブランドの拡販や「ユーグレナ育ち」認定制度の普及を通じ、ユーザー拡大と認知向上にも取り組んでいきます。

 

②微細藻類ユーグレナの新たな需要創出に向けた基礎・先端研究

 当社は、微細藻類ユーグレナの可能性を広げるため、パラミロンの新機能発見や作用機序解明につながる基礎研究の強化を進めています。さらに、ゲノム編集技術を活用した有用株の作出や、ゲノム編集株の生産体制構築を推進し、商業利用に向けた基盤を整備しています。これらの研究開発は、ヘルスケア事業やアグリ事業、さらにはバイオ燃料事業における新たな価値創出につながる重要な取り組みです。

 

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 1.サステナビリティ全般

 当社グループは、フィロソフィーとして「Sustainability First(サステナビリティ・ファースト)」を掲げており、サステナビリティの推進が経営の根幹であると考えています。サステナビリティを巡る課題について、当社グループはリスクの減少のみならず、収益機会にもつながる重要な経営課題と認識し、中長期的な企業価値の向上とサステナビリティ課題の解決の両立を目指しています。

 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

当社グループは、サステナビリティ活動及びESG経営を推進するための各種方針、目標、戦略、リスク管理や対応策を議論する場として、2023年2月に「サステナビリティ委員会」を設置しました。

 サステナビリティ委員会は、取締役会の諮問機関として、取締役会の直下に設置され、年1回以上開催し、グループ全体のサステナビリティに関する目標や取り組みの方向性について審議を行います。グループ全体のサステナビリティ方針、戦略、目標などに関する重要課題については、取締役会に上程され、取締役会で決議されます。

また、気候変動対策などを含むサステナビリティ活動全体を当社グループ全体で推進していく観点から、サステナビリティ委員会の傘下に、当社やグループ各社の実務担当者などから構成されるテーマ別ワーキンググループを設置し、課題の特定や対応策の検討を進めています。

 2025年12月期は、サステナビリティ委員会を取締役会とBack-to-Backで1回開催し、委員長を当社代表取締役社長の出雲が務め、取締役、社外取締役、執行役員が委員となり審議を行いました。バングラデシュにおける「ユーグレナGENKIプログラム」のインパクト評価結果の共有やバイオ燃料事業における国内HVO需要創出に向けた取組の方向性について協議を行いました。

 今後も引き続き、グループ全体のサステナビリティ活動及びESG経営の推進について協議をしてまいります。

 

 

(2)戦略

 当社グループでは、サステナビリティへの取り組みを攻めと守りに分解し、マテリアリティとの整合性も確認した上で取り組んでいます。

 

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 マテリアリティについては、SDGs、SASBなどの国際的なフレームワークや、同業他社の設定した重要課題を参照し、環境・社会・ガバナンスの視点で広範囲に課題を洗い出しています。具体的な課題の抽出にあたっては、当社グループが関連する事業領域及びサプライチェーンを範囲とし、産業への要請事項などを考慮して重要度を評価しました。

 

(3)リスク管理

 当社グループは、全社重要リスクを特定した上で、既存のリスクマネジメント体制の体系化・高度化を継続しております。グループ内におけるリスク情報等は担当部署を通じて取締役会へ報告し、フィードバックを受けています。気候変動をはじめとするサステナビリティ関連リスクも全社重要リスクの1つと位置付け、必要に応じてサステナビリティ委員会に上程し、対応策の協議を行います。

 

(4)指標及び目標

 当社グループは、気候変動や人的資本等に関連する目標を検討・策定しております。個別テーマの指標及び目標については、下記2、3を参照ください。今後は、事業を通した社会インパクトの定量化に関しても検討を進めてまいります。

 

2.気候変動への対応(TCFDに基づく開示)

当社グループは、「Sustainability First(サステナビリティ・ファースト)」というユーグレナ・フィロソフィーを掲げており、環境に配慮した事業活動を通して、自然豊かな地球を次世代に残していく責務を負っていると考えています。2005年の創業以来、継続して地球規模の環境問題など様々な社会的課題へのソリューションを提供する革新技術・事業の創出に取り組み、持続可能な社会の発展に貢献してきました。気候変動は、当社グループにとって事業機会であると同時にリスクでもある重要課題との認識のもと、2050年温室効果ガス排出実質ゼロの世界に向け、ユーグレナグループの事業を通じた環境負荷の削減をさらに推進すると共に、バイオ燃料の普及により社会全体のCO2排出量削減に貢献してまいります。

 当社グループは、2019年5月より、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD: Task Force on Climate-related Financial Disclosures)による気候関連財務情報開示を求める提言に賛同し、提言の推進を行うことを目的に設立されたTCFDコンソーシアムに入会しています。TCFDによる提言に基づき、気候関連のリスクと事業機会、ガバナンス体制について情報開示を行っております。

 

(1)ガバナンス

前述1(1)のガバナンス体制にて、気候変動への対応についても取り組んでいます。

 

(2)戦略

シナリオ分析においては、「世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保つとともに1.5℃に抑える努力を追求する」というパリ協定目標の達成と脱炭素社会の実現を見据え、1.5℃未満シナリオとともに、世界的に気候変動対策が十分に進展しない場合も想定して、4℃シナリオを検討しました。また、当社の事業の蓋然性が見通せる範囲として、2030年を分析対象としました。

分析の対象事業としては、株式会社ユーグレナにおけるヘルスケア事業とバイオ燃料事業を設定し、気候変動による当社グループへの影響を整理しました。シナリオ分析にあたり、1.5℃未満においては、IEA SDS、IPCC RCP2.6・SR1.5、WRI Aqueduct Optimisticなど、4℃においては、IEA STEPS、IPCC RCP8.5、WRI Aqueduct BaU などを参照しました。

各シナリオで想定した世界像に基づき、第一段階として、準備段階の際に選定した対象事業について、リスク・機会項目を網羅的に列挙しました。第二段階として、リスク・機会が発生する可能性の大きさと、リスク・機会が現実のものとなった場合の事業インパクトの大きさを軸に、リスク重要度を定性的に仮評価しました(図1)。最終段階にて、執行役員や部門担当者とのディスカッションを踏まえ、リスク・機会の事業への影響度と発生度を定性的・定量的に評価し、小・中・大の3段階に分類しました。

 

図1 リスク・機会項目(ヘルスケア事業)の重要度評価

 

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その結果、主にヘルスケア事業・バイオ燃料事業で想定される気候リスクと機会を次の図表のように整理し、重要なリスク・機会を特定しました。

(ヘルスケア事業)

 

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リスクについては、4℃シナリオ下での異常気象の激甚化による、生産拠点や物流機能への損害、1.5℃未満シナリオ下でのカーボンプライシング導入による設備投資や原材料調達コスト等を、特に考慮すべきリスク要因として特定し、事業へのインパクトについて定量的評価を実施いたしました。今後、より詳細なリスク分析を実施し、より包括的なリスク管理に努めてまいります。

他方、機会については、気候変動への対応が進展する1.5℃未満シナリオ下では、環境や社会への配慮を重視する消費者の意識が一層高まることが想定されます。これに伴い、製品の品質や機能に加えて、原料の持続可能性や製造・供給過程における環境負荷の低さといった要素が、購買判断においてより重要な評価軸となると考えています。当社のヘルスケア事業においては、サステナブルな原料や資材の選定や、環境負荷低減を意識した事業活動を通じて、環境面・社会面に配慮した製品・サービスの提供を進めてきました。こうした取り組みは、気候変動対応が進む社会環境において、当社商品の価値や信頼性に対する評価の向上につながるものと認識しています。今後も、消費者の価値観や市場環境の変化を踏まえながら、サステナビリティに配慮した商品・サービスの開発や提供を通じて、ヘルスケア事業における中長期的な事業機会の獲得と持続的な成長につなげていく方針です。

具体的な取組事例として、2020年に既存の飲料用ペットボトル商品の全廃を決定し、主原料が紙のリサイクル可能な包装容器の採用を進めるなど、継続して石油由来プラスチック削減に努めております。また、SGホールディングスグループの佐川急便株式会社(以下「佐川急便」)とともにお客さま(個人)・荷主(当社)・運送事業者(佐川急便)の三者が協力し、当社通販における配送の一部に次世代バイオディーゼル燃料「サステオ」を給油したトラックを活用する「サステナブル配送プロジェクト」を実施しました。本プロジェクトにご賛同頂いたお客さまから「サステオ」導入費用へのご支援を2023年6月26日から同年末まで募り、集まったご支援額と同額を当社と佐川急便の両社からもそれぞれ拠出することで、佐川急便浜松営業所の車両約100台に約8,000リットルの「サステオ」を導入し、4.11トン相当のCO2排出量を削減しました。また、当社グループにおける直販において、主力商品の定期便を2ヵ月分の隔月配送等への移行を進めることで、配送回数の削減を行うとともにCO2排出量の削減にも取り組みました。今後も、商品開発や商品配送等の様々な観点から、環境負荷低減のための取り組みを当社グループ横断で推進してまいります。

 

(バイオ燃料事業)

 バイオ燃料事業も同様に、リスク・機会の事業への影響度と発生度を定性的・定量的に評価しました。一方で、当事業は本格的な商業化前のフェーズにあり適正な評価は難しいため、2021年度時点でのリスクと機会の定性分析の結果を開示しています。

 

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バイオ燃料事業は、脱炭素社会の実現に向けた移行リスクへの対応と同時に、大きな成長機会を有する事業と位置付けています。1.5℃未満シナリオにおいては、各国におけるカーボンニュートラル政策の進展や、割当制度・炭素価格付けの導入により、化石燃料に対する価格競争力が相対的に向上し、バイオ燃料需要の拡大が見込まれます。特に、航空分野におけるSAFの導入拡大は重要な事業機会であり、日本政府および関係省庁による導入目標や支援策の下、国内市場においても中長期的な需要の拡大が見込まれています。また、GX実現に向けた政策の進展により、SAFを含む次世代燃料への投資環境は整いつつあります。

一方で、原料調達価格の変動や、気候変動に伴う異常気象による製造・物流への影響などがリスクとして想定されます。当社では、複数の原料・供給スキームの検討や、海外パートナーとの連携による分散型の事業構築を進めることで、これらのリスク低減に取り組んでいます。

 当社のバイオ燃料事業は、社会全体の温室効果ガス排出量削減に直接的に貢献する事業として位置付けています。「サステオ」は、これまで多くの企業・団体に導入されており、実証・利用実績を積み重ねてきました。今後は、商業プラントの稼働を見据え、安定供給体制の確立と導入拡大を進めていきます。次世代バイオディーゼル燃料およびSAFの本格供給を通じて、自動車、船舶、航空機といった幅広い移動体分野における脱炭素化を支え、1.5℃未満シナリオの実現および2050年カーボンニュートラル達成に貢献していく方針です。

 

(3)リスク管理

前述1(3)のリスク管理にて、気候変動への対応についても取り組んでいます。

 

(4)指標及び目標

 気候リスクと機会のシナリオ分析結果を踏まえ、2022年度より国内のユーグレナグループにおけるScope 1、2のCO2排出量の算定を完了し、開示を行っております。

 2024年4月には、2030年末までにScope 1, 2排出量におけるカーボンニュートラルを目指す目標を策定しました(注)。具体的には、オフィスにおける節電、照明器具等の省エネルギー技術の採用、再生可能エネルギー由来電力への切り替え、工場における生産効率の向上によるエネルギー消費量の削減や省エネルギー設備への切り替え等に取り組みます。また、ユーグレナ・フィロソフィーとして「Sustainability First(サステナビリティ・ファースト)」を掲げる企業として、各グループ会社、拠点の仲間のCO2削減に対する意識向上やチームビルディングも図りながら、着実に目標の達成に向けた自助努力を進めてまいります。また、社会におけるCO2削減に貢献できるバイオ燃料事業やアグリ事業で創出した利益を用いたカーボンクレジットの購入やクレジット自体を創出する取り組みを検討していきます。

 なお、当社グループのCO2削減の取り組みを含む気候変動への対応については、サステナビリティ委員会の委員長である代表取締役社長の管掌のもと、必要に応じてサステナビリティ委員会で協議を行うとともに、目標達成に向けて仲間の意欲も高めていきます。

(注)2024年1月時点で100%出資会社

 

2025年12月期(2025年1月~12月)CO2排出量実績(注)1.:                                 単位:トン

Scope

項目

2023年12月期

2024年12月期

2025年12月期

Scope 1

(注)2.

ガス

1,572

1,362

1,499

Scope 2

(注)2.

電気

マーケットベース(注)3.

3,318

3,122

2,933

ロケーションベース(注)4.

2,975

2,912

2,960

総計(Scope 1とScope 2マーケットベース値合計)

4,890

4,484

4,432

(注)1.対象範囲:ユーグレナ本社、鶴見実証プラント(2024年12月期まで対象)、R&D研究所、キューサイグループ、八重山殖産、LIGUNA(2023年12月期まで対象)、エポラ、大協肥糧、サティス製薬グループ(2024年12月期より対象)。サティス製薬グループについては、連結化前の期間も含む1年度分の数字を集計。

2.Scope1、2のCO2排出量は、SGSジャパン株式会社による第三者検証を取得(2023年12月期~2024年12月期)。

3.マーケットベース(電力会社ごとの温室効果ガス排出係数を算定に使用)で算定

4.ロケーションベース(地域毎の電力網の平均の温室効果ガス排出係数を算定に使用)で算定

 

3.人的資本への取り組み

(1)ガバナンス

 人的資本に関するガバナンスは、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 1.サステナビリティ全般(1)ガバナンス」をご参照ください。

 

(2)戦略及び指標・目標

 2024年12月期からの新執行体制のもと、中期経営方針の実現に必要なユーグレナグループらしい組織ケイパビリティを担保するため、戦略的に人的資本投資を行っています。2024年12月期は人・組織における根本課題を抽出するとともに、人事制度改定やマネジメント育成等の様々な施策を実行し、2025年12月期は事業構造改革の一環で黒字体質の定着に向けた組織作りを進めてまいりました。2026年12月期には成長軌道をさらに加速させ、サステナブルな成長を実現できる組織づくりに向けて、人材開発・組織開発・組織文化開発への積極的な投資を行うことで、組織ケイパビリティの更なる向上に取り組んでまいります。

 

ユーグレナ社の人的資本データは下記をご確認ください。

人的資本データ(2025年12月末時点)

大項目

中項目

小項目

対象範囲

(注)1.

人数

割合

連結従業員数
(正社員)

(注)2.

全体

連結(単体)

793 (171)

 男性

連結(単体)

379 (84)

47.8% (49.1%)

 女性

連結(単体)

414 (87)

52.2% (50.9%)

日本以外の国籍を有する従業員

連結(単体)

40 (4)

5.0% (2.3%)

非正社員数

契約社員・パートアルバイト

全体

連結(単体)

249 (9)

派遣社員

全体

連結(単体)

 

経営陣(取締役)における男女比率

(注)3.

全体

単体

8

 男性

単体

5

62.5%

 女性

単体

3

37.5%

経営陣(執行役員)における男女比率

(注)3.

全体

単体

8

 男性

単体

6

75.0%

 女性

単体

2

25.0%

管理職数

(注)4.

全体

連結(単体)

156 (34)

 男性

連結(単体)

120 (28)

76.9% (82.4%)

 女性

連結(単体)

36 (6)

23.1% (17.6%)

新規採用者数

新卒採用者数

全体

連結(単体)

13 (0)

 男性

連結(単体)

5 (0)

38.5% (0)

 女性

連結(単体)

8 (0)

61.5% (0)

日本以外の国籍を有する採用者

連結(単体)

0 (0)

0% (0)

中途採用者数

全体

連結(単体)

87 (16)

 男性

連結(単体)

55 (11)

63.2% (68.7%)

 女性

連結(単体)

32 (5)

36.8% (31.3%)

日本以外の国籍を有する採用者

連結(単体)

6 (0)

6.9% (0)

(注)1.「連結従業員数(正社員)」「非正社員数」は海外拠点を含むグループ連結数値。「管理職数」~「退職者数」の項目は、海外拠点を除く国内グループ連結数値。

2.正社員数には委任契約社員は含まない。

3.有価証券報告書提出日時点の数値を記載

4.管理職の定義は取締役を除く、課長以上

 

大項目

中項目

対象範囲

データ

従業員の年齢の状況
(正社員)

30歳未満

連結(単体)

19.0% (5.8%)

30~39歳

連結(単体)

24.2% (28.1%)

40~49歳

連結(単体)

31.2% (38.0%)

50~59歳

連結(単体)

23.0% (25.2%)

60歳以上

連結(単体)

2.6% (2.9%)

退職率(正社員)

(注)5.

総退職率(注)6.

連結(単体)

17.4% (45.6%)

自己都合退職率

連結(単体)

10.3% (12.9%)

平均勤続年数(正社員)

全体

連結(単体)

8年6ヶ月 (5年8ヶ月)

 男性

連結(単体)

8年5ヶ月 (5年9ヶ月)

 女性

連結(単体)

8年8ヶ月 (5年6ヶ月)

平均年齢(正社員)

全体

連結(単体)

40歳1ヶ月 (44歳2ヶ月)

 男性

連結(単体)

40歳8ヶ月 (44歳2ヶ月)

 女性

連結(単体)

39歳6ヶ月 (44歳2ヶ月)

平均有給取得日数

連結(単体)

10.2日 (11.1日)

育児休業取得率

(注)7.

全体

連結(単体)

88.0% (80.0%)

 男性

連結(単体)

72.7% (0)

 女性

連結(単体)

100.0% (100.0%)

育児休業取得後復職率

(注)8.

全体

単体

87.5%

 男性

単体

100.0%

 女性

単体

85.7%

障がい者雇用率

単体

1.12%

労働者1人あたりの1ヶ月の平均残業時間

連結(単体)

16.6時間 (18.6時間)

総研修時間

単体

3,111時間

人材1人あたりの平均研修時間/日数

単体

14.2時間/1.8日

(注)5.分子は2025年12月30日までの退職者数、分母は2025年12月31日の在籍者数

6.当期の事業構造改革の一環で実施した希望退職制度による一過性の影響によるものであり、恒常的な人材流出を示すものではない。

7.男性の育児休業取得率は、1週間以上の取得者を対象

8.2025年1月~2025年12月の間に育休取得し育休を終了した人のうち復職した人の数/2025年1月~2025年12月の間に育休取得し育休を終了した人の数

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のものがあります。

 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1)ヘルスケア事業

① 特定の外部委託先への依存について

 当社グループは、ユーグレナ粉末、クロレラ粉末等を加工した最終製品(食品)の製造については、自社グループ会社工場で製造するとともに、一部を加工委託先に業務委託しております。また、化粧品等の加工については、主にTOA株式会社に加工委託しております。このようなビジネスモデルを採用することにより、設備や生産のための人員といった固定費やラインの管理・立ち上げ等の費用の負担が少なく、営業活動と研究開発に経営資源を集中でき、外部環境の変化、技術革新等への機敏な対応をとれる等のメリットがあります。しかしながら、何らかの理由により、加工委託先における取引方針の変更、収益構造の悪化、供給能力の低下、品質問題の発生、事業活動の停止等が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 製品の品質や安全性について

 ヘルスケア事業(食品)におきましては、各製品段階において、以下のとおり検査を実施し、品質と安全性の維持に取り組んでおります。

 ユーグレナ粉末等については、当社子会社である八重山殖産株式会社において国際的な食品安全マネジメントシステムであるFSSC22000を取得し、原材料の受け入れから製造、保管、出荷に至るまでリスク管理を徹底しております。また、基礎栄養成分、菌類等に関し当社による検査(第三者分析機関への委託を含む)を実施しております。また、最終製品のサプリメントについては、健康食品GMPを取得した自社グループ会社又は加工委託先で製造しており、製品別に検査項目が異なりますが、カプセル重量・長さ・錠剤硬度、菌類等に関して、検査を実施しております。

 ヘルスケア事業(化粧品)におきましては、グループ会社において化粧品の製造販売及び受託製造を行っており、当該グループ会社は薬機法上の製造販売元として製造販売責任を負っているため、製品の規格適合を確認し記録を残すこと等により、品質と安全性の維持に取り組んでおります。

 しかしながら、万一、製品の品質や安全性に問題が発生した場合や、特に食品について、昨今進められている機能性表示食品制度等の見直しにより、新たな安全対策が必要となった場合等には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 法的規制について

 当社グループは、以下に掲げるもののほか、適用法令の遵守を徹底しておりますが、予期しない法律又は規制の変更及び現行の法的規制における法令の解釈・適用によって新たな対策が必要になった場合には、当社グループの事業運営に支障をきたすことにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

A.特定商取引に関する法律

 事業者と消費者との間に生じるトラブルを事前に防止することを目的としております。

 訪問販売、通信販売、電話勧誘販売、連鎖販売取引等、消費者トラブルを生じやすい取引類型を対象に、消費者保護の観点から、それぞれ契約に伴う書面の交付、禁止行為、解約事項等を規定しております。例えば、通信販売について、a.広告に記載すべき事項、b.誇大広告の禁止、c.顧客の意に反して契約の申込みをさせようとする行為の禁止等を定めます。また訪問販売について、a.事業者の氏名等の明示義務、b.所定の事項を記載した書面の交付義務、c.勧誘の際、又は契約締結後、申込みの撤回(契約の解除)を妨げるために、事実と違うことを告げる行為の禁止等を定めております。

B.不当景品類及び不当表示防止法(景表法)

 過大な景品や不当な表示をすることによる顧客の誘因を防止することにより、事業者の公正な競争を確保し、消費者の利益を保護することを目的としております。

 a.優良誤認行為(商品・サービスの品質などについて、実際よりも著しく優良又は有利であると見せかけて宣伝する行為等)、b.有利誤認行為(商品・サービスの取引条件について、実際よりも有利であると偽って宣伝したり、競争業者が販売する商品・サービスよりも特に安いわけでもないのに、あたかも著しく安いかのように偽って宣伝する行為等)、c.その他誤認されるおそれのある表示が不当表示として禁止されております。

 

C.医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)

 医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療機器の品質、有効性、安全性の確保のために必要な規制を行い、保健衛生の向上を図ることを目的としております。

 医薬品には、その品質、有効性、安全性の確保のために承認・許可制度をはじめとした様々な規制があり、許可等がないままに「医薬品」に該当するものを販売等することは禁止されております。医薬品とは、「人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されること、並びに身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが目的とされているものであって器械器具でないもの」とされており、医薬品と紛らわしい効能などの表示・広告を行うと薬機法に違反します。

D.健康増進法

 国民の健康の増進の総合的な推進に関して基本的な事項を定めるとともに、国民の栄養の改善その他の国民の健康の増進を図るための措置を講じ、もって国民健康の向上を図ることを目的としております。健康状態の改善又は維持の効果に関し、著しく事実に相違する又は著しく人を誤認させるような表示をしてはならない等を定めております。

E.食品衛生法

 飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止し、もって国民の健康の保護を図ることを目的としております。公衆衛生に危害を及ぼすおそれのある虚偽又は誇大な表示又は広告の禁止等を定めております。

F.食品表示法

 販売の用に供する食品に関する表示について定め、もって一般消費者が食品を摂取する際の安全性を確保するとともに、その自主的かつ合理的な食品の選択の機会を確保することを目的としております。機能性表示食品制度は、同法に基づく制度です。機能性表示食品制度は、いわゆる紅麹関連製品に係る事案を受け、制度の信頼性を高める方向での改正が行われており、新しい制度下では、事業者は、健康被害(その疑いを含む)に関する情報収集と、行政への情報提供義務が課せられるなど、より厳格な義務を負うこととなっております。

G.農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律(JAS法)

 JAS規格(日本農林規格)と食品表示(品質表示基準)を定め、一般消費者の商品選択に役立てるため、JASマークや品質表示基準に定める表示を付しております。

H.消費者契約法

 事業者の一定の行為により消費者が誤認し、又は困惑した場合について契約の申込み又はその承諾の意思表示を取り消すことができることとするとともに、事業者の損害賠償の責任を免除する条項その他の消費者の利益を不当に害することとなる条項の全部又は一部を無効とすることにより、消費者の利益の擁護を図ることを目的としております。事業者が重要事項について事実と異なることを告げ(不実告知)、消費者が誤認した場合の取り消し、消費者が支払う損害賠償額の予定条項等の無効等を定めております。

 

④ 個人情報保護について

 当社グループではインターネット販売を行う上で顧客情報を取得しているため、顧客情報が蓄積されております。また、当社グループでは一般消費者向け遺伝子検査サービス事業を展開していることから、さらに顧客情報を取得、蓄積することとなります。当社グループでは、プライバシーマークを取得し、公益社団法人日本通信販売協会が定める「個人情報保護ガイドライン」及び個人情報保護規程に基づき個人情報取扱いに関し社内教育を徹底しておりますが、万一、個人情報が外部に漏洩した場合には、顧客からの信用失墜による売上高の減少や顧客に対する損害賠償による損失が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 競合について

 当社グループは、ヘルスケア事業(食品)において、ユーグレナという新しい食品を手がけており他の食品等と差別化を図っていく予定ですが、今後他社のユーグレナ食品や新規の競合品が現れ、これらの競合品との充分な差別化が図れない場合には、競争激化による販売価格の低下、販売数の減少等により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 健康食品に対する顧客の嗜好の変化について

 健康食品は消費者の嗜好に影響を受けやすく、そのライフサイクルは比較的短い傾向にあります。当社グループでは今後も既存製品の販売、新製品の開発、製品応用分野の拡大を目指した事業展開を進める方針でありますが、既存製品が計画どおりに販売できなかった場合、新製品の開発が進まない場合や計画どおりに販売できなかった場合、又は製品応用分野の拡大ができなかった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 広告宣伝費、販売促進費の先行投資について

 当社グループは、自社製品の個人顧客への直接販売の拡大のため、広告宣伝費、販売促進費を積極的に投下しております。投下費用に対し、売上高が適切に増加しなかった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2)バイオ燃料事業及びその他事業

① 研究開発について

 当社グループは、ユーグレナを中心とした微細藻類の培養技術を軸に、バイオ燃料、飼料、肥料など、様々な分野での事業展開へ向けた研究開発及び実証を行っております。

 これらの研究開発におきましては未だ商業生産段階には至っておりませんが、バイオ燃料開発を中心として、今後研究開発費が増加する可能性があります。

 多額の研究開発投資を行ったにもかかわらず、想定どおりに研究開発の結果が得られない場合や、バイオ燃料よりも有利なエネルギーが普及した場合には、当社グループの事業戦略及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② バイオ燃料製造・供給の商業化に向けた投資について

 当社グループは、バイオ燃料製造・供給の商業化に向けて、グローバル大手統合エネルギー企業であるPetroliam Nasional Berhad及びEnilive S.p.A.と共同で合弁会社を設立し、マレーシアにおいて商業規模のバイオ燃料製造プラントを建設及び運営するプロジェクト(以下「本プロジェクト」)を推進しております。当社グループは、2025年7月に当該合弁会社に対する出資比率を15%に引き上げており、当該出資比率に応じた資金コミットメント(出資、ローン及び保証等の提供)に係る資金調達は完了しております。しかしながら、本プロジェクトにおいて、建設の遅延や計画の見直しが発生した場合、建設費その他の資本的支出や運転資金が想定を上回った場合や、当該合弁会社における資金調達ストラクチャーが変化した場合には、当社グループに想定以上の追加的な資金負担が生じる可能性があります。また、商業プラントの稼働開始後に設備上又は操業上のトラブルが発生した場合、原料・製品の市況、需給、販売環境等が想定と異なった場合や、為替又は金利の急激な変動により本プロジェクトに係る資本的支出、資金調達コスト又は収益性が想定と異なった場合には、売上高や収益が当初想定どおりに得られない可能性があります。これらの場合には、当社グループの事業戦略、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 法的規制について

 当社グループは、バイオ燃料事業及びその他事業の推進にあたり、バイオ燃料の製造・販売に関する法令のほか、適用法令の遵守を徹底しておりますが、予期しない法律又は規制の変更及び現行の法的規制における法令の解釈・適用によって新たな対策が必要になった場合には、当社グループの事業運営に支障をきたすことにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 原料や製品の市場動向について

 バイオ燃料、飼料、肥料はいわゆるコモディティ商材であり、自社製造又は外部から調達した原料から製造した最終製品を顧客向けに販売する過程、並びに外部から調達した原料や最終製品を顧客向けに販売する過程において、原料及び最終製品の価格や売買数量が市場動向の影響を大きく受ける傾向にあります。当社グループは、原料及び最終製品の調達先や販売先を多様化するとともに、市場における価格や需給の動向を見極めながら原料及び最終製品の調達を行い、また、為替ヘッジや運転資金借入を実施することで、価格や需給の変動リスクや資金繰りリスクの抑制を図る方針でありますが、原料及び最終製品の価格、需給やそれらに影響を及ぼす法規制、地政学的動向、為替、天候等の様々な要因が急激に変動した場合、並びに当社グループがこれらの変動リスクを適切にコントロールできなかった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)共通

① 特定の技術への依存について

 当社グループは、微細藻類ユーグレナの独立栄養培養、従属栄養培養、そして光従属栄養培養の全ての培養技術をコア技術として事業を展開しておりますが、競合他社が同様の技術や他の安価な技術を開発し当社グループの技術が陳腐化した場合あるいは当社グループの技術改良の対応が遅れた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 知的財産権について

 当社グループは、当社グループが運営する事業に関する知的財産権の獲得に努めるとともに、第三者の知的財産権を侵害しないように取り組んでおります。しかしながら、今後当該事業分野において第三者の権利が成立した場合や認識していない権利がすでに成立している場合、第三者より損害賠償及び使用差止め等の訴えを起こされる可能性及び権利に関する使用料等の対価の支払が発生する可能性があります。また、当社グループが所有する商標権が、第三者より侵害された場合には当社グループのブランドイメージが低下する可能性があります。それらの場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 海外展開について

 当社グループはアジアを中心とした海外市場において、積極的な事業展開を推進していく方針です。海外事業展開には、事業投資に伴う為替リスク、カントリーリスク、出資額又は出資額を超える損失が発生するリスク等を伴う可能性があり、計画どおりに事業展開ができない場合には、当社グループの事業戦略及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ レピュテーションリスクについて

 当社グループは、製品の品質・安全性の確保、法令遵守、知的財産権管理、個人情報管理等に努めております。しかしながら、当社グループ及び当社グループを取り巻く環境や競合他社及び競合他社を取り巻く環境において何らかの問題が発生した場合、消費者の評価に悪影響を与え、それにより当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 自然災害、事故、テロ、地政学リスク(地域紛争、戦争等)について

 当社グループが事業を行っている地域では、地震、台風等の自然災害の影響を受ける可能性があります。同様に火災等の事故災害、テロ、地域紛争、戦争等が発生した場合、当社グループ又は投資先の拠点の設備等に大きな被害を受け、その全部又は一部の操業が中断し、生産及び出荷が遅延する可能性があります。また、損害を被った設備等の修復のために多額の費用が発生し、結果として、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、近年は世界各地で地政学リスクが顕在化する事例が増えており、今後も地域紛争や戦争等が発生、激化又は長期化する可能性や、各国による輸出入規制、関税引き上げ、経済制裁等の通商政策上の措置が講じられる可能性があります。これら国際情勢の変化により、エネルギー価格や為替相場、貿易環境、世界経済の動向に変化が生じた場合、又は燃料や原材料の調達、物流に支障が生じた場合には、当社グループの事業環境や収益性に直接的又は間接的な影響が生じる可能性があります。当社グループは、関連する国際情勢及び市場動向を引き続き注視し、必要に応じてリスク低減策の検討・実施を進めてまいります。

 

⑥ 株式関連報酬による株式価値希薄化について

 当社は、当社グループの役職員等に対するインセンティブ制度として、譲渡制限付株式報酬、事後交付型株式報酬、従業員株式報酬、ストック・オプション(新株予約権)といった株式関連報酬制度を導入しており、今後も継続的な活用を検討していく方針です。当社の既発行のストック・オプション(新株予約権)が権利行使された場合、業績条件成就に伴い事後交付型株式報酬制度に基づく新株が発行された場合、従業員株式報酬制度に基づく新株が発行された場合、並びに、株式報酬やストック・オプション(新株予約権)が今後新規に付与され、それらに伴い新株が発行された場合又はストック・オプション(新株予約権)が権利行使された場合には、既存株主の株式価値が希薄化する可能性があります。

 

⑦ 情報システム・情報管理について

 当社グループは、各種情報システムを利用して業務を遂行しており、特に自社製品の販売においてパソコンやコンピュータシステムを結ぶ通信ネットワークに強く依存しております。そのため、システムの停止や機能障害により、効率的な業務の遂行を妨げる可能性があり、また、個人情報を含め多くの情報を保有しているため、社内管理体制を整備し、情報管理の充実を図っておりますが、万一情報漏洩が発生するような場合には、信用失墜により、業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ 企業買収・マイノリティ出資について

 当社グループは、各事業の事業基盤拡大、シナジー創出及び新規領域への進出等を目的として、企業買収やマイノリティ投資を行っております。企業買収やマイノリティ投資にあたっては、対象企業の財務内容、事業内容、法務・税務上の論点等について事前審査を行い、リスクを把握したうえで意思決定しておりますが、事業環境の変化、買収後の事業統合の遅れやマイノリティ投資先への限定的な経営関与、想定したシナジーの未達その他の要因により、当初想定した効果が得られない可能性があります。このような場合には、のれんやM&A関連無形資産(顧客関連資産等)の減損損失の計上、統合関連費用の発生、又は追加的な資金負担等により、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。また、企業買収やマイノリティ投資の対価として株式交換又は株式交付等により当社株式を交付する場合には、既存株主の株式価値が希薄化する可能性があります。

 

⑨ 関係会社・マイノリティ投資先株式の売却について

 当社グループは、事業ポートフォリオの見直し、資本効率の向上、投資資金の回収又は成長投資資金の確保等を目的として、関係会社株式又はマイノリティ投資先株式の全部又は一部を売却することがあります。これらの株式売却にあたっては、対象会社の業績、事業環境、資本市場の動向、買い手候補との交渉状況、法規制その他の要因により、当初想定した条件又は時期で売却が実現しない可能性があります。また、売却の結果、対象会社が当社の連結範囲から外れる場合には、当社グループの連結売上高、連結利益、キャッシュ・フローの状況及びセグメント情報の表示に影響を及ぼす可能性があります。加えて、当該売却に際しては、一時的な損益又は費用が発生する可能性があります。

 

⑩ キューサイグループに係る共同投資先のイグジット・メカニズム及び財務上の特約が付された借入金について

 当社は、「第2 事業の状況 5 重要な契約等」に記載のとおり、キューサイグループの持株会社である株式会社Q-Partnersに関して、共同投資先との間で株主間契約を締結しております。当該株主間契約においては、共同投資先のイグジット・メカニズムとして、当社による共同投資先保有株式の取得に係る権利(コール・オプション)、共同投資先による第三者への売却に伴う当社保有株式の売却請求(ドラッグ・アロング)、及び共同投資先による当社に対する売渡請求(プット・オプション)等が定められております。これらの権利が行使された場合、当社において追加的な資金調達又は手元資金の充当が必要となる可能性があります。また、第三者への売却その他の事由により株式会社Q-Partnersが当社の連結子会社に該当しなくなった場合には、キューサイグループの収益及び費用の当社連結業績への反映の態様が変化し、当社グループの連結売上高、連結利益、キャッシュ・フローの状況及びセグメント情報の表示に影響を及ぼす可能性があります。加えて、当該取引の実行に際しては、一時的な損益又は費用が発生する可能性があります。

 また、「第2 事業の状況 5 重要な契約等」に記載のとおり、キューサイグループに係る借入金には財務上の特約が付されており、これらに抵触した場合には、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
 

(1) 経営成績等の状況の概要

①経営成績の状況

 当連結会計年度は、ヘルスケア事業においては、2024年3月31日をみなし取得日として連結子会社化した株式会社サティス製薬及び日本ビューテック株式会社(以下、両社合わせて「サティス製薬グループ」)の業績通期寄与及び受注拡大、キューサイ株式会社(以下、同社の子会社並びに同社の運営や同社株式の管理を担う株式会社Q-Partnersと合わせて「キューサイグループ」)並びに当社のヘルスケア事業における直販事業の好調等により、前期比で売上高が伸長し、連結売上高は過去最高となる50,370百万円(前連結会計年度比5.8%増)となりました。

 また、当社は、キャッシュ・フロー重視の経営の観点から、当社のキャッシュ・フロー創出力を示す指標として調整後EBITDAを開示しております。調整後EBITDAは、EBITDA(営業利益+のれん償却費及び減価償却費)+助成金収入+株式関連報酬として算出しております。ヘルスケア事業における売上高の伸長に加えて、主力製品の価格改定や工場における生産性改善施策に伴う売上総利益率の改善、広告宣伝投資効率の向上、グループ横断での費用構造の徹底的な見直しに伴う物流費・販売促進費・販売手数料比率の低減、当社において実施した希望退職者募集に伴う人件費の減少、バイオジェット・ディーゼル燃料実証プラント(以下、「実証プラント」)の稼働を2024年1月末に終了したことに伴う研究開発費の縮小等により、当連結会計年度の調整後EBITDAは6,938百万円(前連結会計年度比60.3%増)となりました。

 以上の結果、キューサイグループやサティス製薬グループの連結子会社化等の過去のM&A案件に伴う無形固定資産及びのれん等の償却費を計上したものの、営業利益は前期比10倍超となる3,123百万円(前連結会計年度比938.1%増)と飛躍的な黒字拡大を達成し、2024年12月期より注力してきた中期経営方針「黒字体質への転換」が結実する結果となりました。また、資金調達に伴う支払利息や支払手数料を計上したものの、経常利益も前期比5倍超となる2,365百万円(前連結会計年度比448.0%増)へ大幅に拡大しました。一方、当社における希望退職者募集に伴う特別損失や減損損失を計上するとともに、キューサイグループに係る法人税及び非支配株主損益を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純損失は805百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失650百万円)となりました。

 

 なお、当連結会計年度の各四半期の業績推移は以下のとおりです。

 

当第1四半期

連結会計期間

当第2四半期

連結会計期間

当第3四半期

連結会計期間

当第4四半期

連結会計期間

売上高   (百万円)

11,935

12,618

12,532

13,283

調整後EBITDA(百万円)

1,545

1,961

1,950

1,480

営業損益 (百万円)

618

1,018

982

504

経常損益 (百万円)

436

736

971

221

 

 セグメント別の状況については、以下のとおりです。

(ヘルスケア事業)

 ヘルスケア事業においては、「収益構造の筋肉質化」「成長ブランドとファン顧客の育成」「メーカー機能の強化」の3つの方針を軸に、サステナブルな収益成長基盤の構築に取り組んでまいりました。当連結会計年度は、クリエイティブ改善による広告宣伝投資効率の最適化、ECモール販路の強化、主力製品のリニューアルや価格改定、継続率改善に向けた施策によるLTV向上、等の効果が顕在化した結果、当社の主力ブランドである「からだにユーグレナ」及び「CONC」が大きく伸長するとともに、キューサイグループの「コラリッチ」等も堅調に推移し、直販売上高が順調に拡大しました。また、健康食品素材としての微細藻類の認知を強化すべくOEM・原料取引の拡大に注力した他、キューサイグループにおける流通展開が伸長し、前期に連結子会社化したサティス製薬グループの受注も増加した結果、流通売上高及びOEM・原料・海外売上高も大幅に伸長しました。この結果、前期に実施した連結子会社株式の売却の影響でその他売上高は前期比で減少したものの、セグメント売上高は47,020百万円(前連結会計年度比6.0%増)となりました。

 セグメント損益においては、売上高の伸長に加えて、広告宣伝投資の機動的コントロールや最適化、売上総利益率の改善、物流費・販売促進費・販売手数料比率の低減や固定費の削減等の収益構造の筋肉質化に向けた施策をグループ横断で推進した結果、キューサイグループやサティス製薬グループの連結子会社化等の過去のM&A案件に伴う無形固定資産及びのれん等の償却費2,633百万円を計上したものの、セグメント利益は5,487百万円(前連結会計年度比85.8%増)となりました。

 

(バイオ燃料事業)

 バイオ燃料事業においては、グローバル大手統合エネルギー企業であるPetroliam Nasional Berhad及びEnilive S.p.A.(以下、当社を含め「本合弁パートナー」)と共同で、原料処理能力が年間約65万トン、バイオ燃料の製造能力が最大で日産1万2,500バレル(年産約72.5万KL相当)となる商業規模のバイオ燃料製造プラント(以下「商業プラント」)を、マレーシアで建設・運営するプロジェクトを推進しております。商業プラントの稼働開始は2028年下期迄を予定しており、2024年9月に、本合弁パートナー間で合弁会社(以下「マレーシアJV」)の設立・運営等に関する株主間契約(以下「本株主間契約」)を締結しました。当社は、2024年12月に、当社の海外特別目的会社であるEuglena Sustainable Investment Limited(以下「ESIL」)を通じて、マレーシアJVに対する5%の出資比率(ESILを通じた間接的な出資比率、以下同じ。)の獲得を完了し、2025年5月に、三菱UFJ信託銀行株式会社との間で、ESILが発行する優先株式を対象として、三菱UFJ信託銀行が最大30百万米ドルを出資する優先株出資契約を締結しました。そして、本株主間契約に基づくコール・オプションを行使し、マレーシアJVに対して総額約67.5百万ドルの資金コミットメント(出資及びローンの提供、並びに今後の段階的な出資等の履行を担保するための銀行保証の提供)を拠出することで、2025年7月にマレーシアJVに対する出資比率を15%に引き上げました。

 また、2024年1月末に実証プラントの稼働を終了する一方で、商業化後に必要となる製品の大規模・継続販売や原料調達網の構築に向けて、国内外パートナーと連携しながらバイオ燃料製品・原料の取引先開拓やトレーディングを推進しております。製品販売については、国内におけるHVOの需要創出に向けて、2025年3月に、東京都の「新エネルギー推進に係る技術開発支援事業」に代表企業として採択され、他のパートナー8社とともにサプライチェーンの増強及びその実証を進めています。原料調達については、2025年2月及び4月に、経済産業省の「グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金」に採択され、バングラデシュにおけるSAF向け原料サプライチェーン構築に向けた調査事業と、マレーシアにおける微細藻類培養の糖源としてのパーム農業残渣バイオマスの活用可能性調査事業を実施しました。加えて、微細藻類を中心とするバイオ燃料原料用途のバイオマス生産・利用の最大化・最適化に向けた研究開発を国内及びマレーシアにおいて推進しております。

 以上の結果、当連結会計年度は、セグメント売上高1,092百万円(前連結会計年度比16.9%増)、セグメント損失は325百万円(前連結会計年度はセグメント損失410百万円)となりました。

 

(その他事業)

 アグリ領域においては、市況の好転により大協肥糧株式会社やユーグレナ竹富エビ養殖株式会社の収益が拡大するとともに、新ブランド「いきものたちにユーグレナ」を立ち上げて微細藻類を活用した肥料・飼料の本格展開に着手しました。バイオインフォマティクス領域、ソーシャルビジネス領域、先端研究領域においても、事業成長や事業開発に向けた投資を継続しております。以上の結果、当連結会計年度は、セグメント売上高2,298百万円(前連結会計年度比2.1%減)、セグメント損失は533百万円(前連結会計年度はセグメント損失586百万円)となりました。

 

②財政状態の状況

 当連結会計年度末の総資産は72,332百万円となり、前連結会計年度末と比較して923百万円の減少となりました。これは主に、受取手形及び売掛金が780百万円、その他流動資産が827百万円、投資有価証券が775百万円それぞれ増加する一方で、のれんが1,124百万円、顧客関連資産が1,665百万円、長期貸付金が1,054百万円それぞれ減少したこと等によるものです。

 負債は43,805百万円となり、前連結会計年度末と比較して2,662百万円増加となりました。これは主に、長期借入金が1,952百万円、未払法人税等が788百万円、支払手形及び買掛金が414百万円それぞれ増加する一方で、繰延税金負債が463百万円減少したこと等によるものです。

 純資産は、非支配株主持分が2,841百万円減少したこと等により、前連結会計年度末から3,586百万円減少し、28,526百万円となりました。この結果、自己資本比率は42.7%となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末から2,172百万円増加し、15,903百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益1,889百万円の計上に加え、減価償却費2,421百万円及びのれん償却額926百万円、減損損失215百万円を計上したこと等により、5,188百万円の収入となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の増加額1,503百万円、短期貸付金の純減額1,748百万円等により585百万円の支出となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入17,560百万円があった一方で、長期借入金の返済による支出15,959百万円、非支配株主への配当金の支払額4,171百万円等により2,428百万円の支出となりました。

 

④生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2025年1月1日

至 2025年12月31日)

前年同期比(%)

ヘルスケア事業    (百万円)

10,857

126.8

バイオ燃料事業    (百万円)

その他事業      (百万円)

206

111.2

合計(百万円)

11,063

126.4

 

b. 受注実績

 当社グループは、健康食品、化粧品のOEM製品及びユーグレナ粉末等の原料粉末について受注生産を行っておりますが、原料粉末については需給動向を勘案し一部見込生産を行っており、受注生産と見込生産を明確に区別することが困難であることから、記載を省略しております。

 

c. 販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2025年1月1日

至 2025年12月31日)

前年同期比(%)

ヘルスケア事業    (百万円)

47,018

106.0

バイオ燃料事業    (百万円)

1,092

116.9

その他事業      (百万円)

2,259

96.6

合計(百万円)

50,370

105.8

(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づいて作成されております。

その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a. 経営成績の分析

経営成績の分析について、各事業の売上高及び調整後EBITDAの推移は以下のとおりです。

 

 前連結会計年度(自 2024年1月1日 至 2024年12月31日)

 

第1四半期

第2四半期

第3四半期

第4四半期

通期合計

売上高 (百万円)

11,154

12,494

11,624

12,345

47,618

  ヘルスケア事業

10,303

11,726

10,894

11,421

44,345

    直販

8,286

8,208

8,131

8,449

33,076

    流通

853

914

949

1,149

3,868

    OEM・原料・海外

326

1,929

1,793

1,802

5,852

    その他

836

672

19

20

1,549

  バイオ燃料事業(注1)

118

188

305

321

934

  その他事業(注1)

732

580

424

601

2,338

調整後EBITDA (百万円)

1,071

1,050

1,124

1,082

4,329

  ヘルスケア事業

1,642

1,609

1,732

1,584

6,568

  バイオ燃料事業

△124

△121

△89

△89

△424

  その他事業

△64

△99

△166

△84

△415

  調整額(注2)

△381

△337

△352

△327

△1,398

 

 当連結会計年度(自 2025年1月1日 至 2025年12月31日)

 

第1四半期

第2四半期

第3四半期

第4四半期

通期合計

売上高 (百万円)

11,935

12,618

12,532

13,283

50,370

  ヘルスケア事業

10,924

11,746

11,888

12,459

47,018

    直販

8,277

8,426

8,458

8,887

34,049

    流通

976

963

1,077

1,161

4,177

    OEM・原料・海外

1,646

2,347

2,270

2,367

8,631

    その他

24

9

81

43

159

  バイオ燃料事業(注1)

252

204

258

375

1,092

  その他事業(注1)

758

666

384

449

2,259

調整後EBITDA (百万円)

1,545

1,961

1,950

1,480

6,938

  ヘルスケア事業

2,033

2,379

2,404

2,047

8,864

  バイオ燃料事業

△51

△59

△56

△149

△317

  その他事業

△79

△85

△98

△138

△402

  調整額(注2)

△355

△272

△299

△279

△1,207

(注)1. 販売チャネルは「その他」となります。

   2.主に各報告セグメントに配分していない一般管理費等の全社費用であります。

(注)調整額は、主に各報告セグメントに配分していない一般管理費等の全社費用であります。

 

また当社グループの売上原価並びに販売費及び一般管理費に関する分析は次のとおりです。

売上原価については、2024年12月期は14,350百万円(売上原価率30.1%)のところ、2025年12月期は15,336百万円(売上原価率30.4%)となりました。

販売費については、2024年12月期は20,266百万円(対売上高比率42.5%)のところ、2025年12月期は19,911百万円(対売上高比率39.5%)となりました。グループ横断での費用構造の徹底的な見直しを行った結果、広告宣伝費は増加したものの荷造運賃、販売促進費及び販売手数料が減少しました。

人件費については、2024年12月期は5,645百万円のところ、2025年12月期は5,563百万円となりました。当社における希望退職者募集に伴い減少となりました。

管理費については、2024年12月期は6,211百万円のところ、2025年12月期は5,759百万円となりました。減価償却費の減少や費用構造の見直しによる効率化が進み減少トレンドとなりました。

研究開発費については、2024年12月期は843百万円のところ、2025年12月期は675百万円となりました。実証プラント稼働終了に伴い減少となりました。

 

営業損益、経常損益、親会社株主に帰属する当期純損失に関する状況の分析については「4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載しております。

 

b. キャッシュ・フローの分析

 当社グループでは、ヘルスケア事業からの営業キャッシュ・フローによる収入を原資として、中長期的な事業化を目指すバイオ燃料事業や新規事業に対する投資に資金を投下し、必要に応じて追加の資金を財務活動によって調達することをキャッシュ・フローの基本方針としております。

 2025年12月期の詳細なキャッシュ・フローの内訳については「4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載しており、企業運営に必要となる十分な水準の資金を確保していると評価しております。

 

c. 資金需要

 当社グループの資金需要の主なものは、設備投資、M&A、バイオ燃料商業プラントの建設関連資金等の長期資金需要と運転資金需要です。

 このうち、設備投資の概要及び重要な設備の新設の計画については「第3 設備の状況」に記載しております。M&Aについては中長期的成長を目的とした、ヘルスケア事業(特に健康食品・化粧品等の直販及び卸売)における事業基盤の拡充やシナジー創出に資する企業、及び事業ポートフォリオの拡大もしくは新規領域進出に向けた事業基盤獲得に資する企業等を対象としたM&Aを円滑に推進するため、手元現預金の確保が必要となります。また、バイオ燃料事業の商業化に向けたプロジェクトの実現には、相応の規模の建設関連資金等が必要となります。

 運転資金需要については、ヘルスケア事業における直販等の事業基盤の拡充に必要となる広告宣伝費や機能性研究・新規素材開発に必要となる研究開発費のための運転資金に加え、バイオ燃料事業における商業化実現後を見据えたサプライチェーン構築やバイオ燃料原料の研究開発に関する運転資金が必要となります。

 

d. 財政政策

 当社グループでは資金需要の見通しや金融市場の動向などを総合的に勘案した上で、最適なタイミング、規模、手段を判断して資金調達を実施し、事業運営上必要な流動性と資金を長期安定的に確保することを基本方針としております。現在、当社グループは事業基盤の拡充や新規領域進出等に向けた将来的なM&A、研究開発投資、バイオ燃料事業の商業化等に必要な資金を内部留保しております。資金需要が発生した場合、自己資金で賄うことを基本としつつ、必要に応じて金融機関からの借入金や資本市場からの調達等を含めた最適な手段を検討した上で資金調達を実施いたします。

 当連結会計年度においては、マレーシアJVに対する資金コミットメントを履行するための資金確保を目的として、2025年5月に、三菱UFJ信託銀行株式会社との間で、ESILからの要請に応じて三菱UFJ信託銀行が最大30百万米ドルまで段階的に出資する資金調達ファシリティ(対象証券は、ESILが発行する議決権のない負債性優先株式)を設定する優先株出資契約を締結しました。

 また、当連結会計年度におけるキューサイグループの業績が好調に推移したことに鑑み、キューサイグループの資本効率の改善並びに当社及び共同投資家による投資資金の一部回収を目的として、2025年12月25日付で、キューサイグループの株式取得時に組成したLBOローンの残高(11,560百万円)全額を期限前弁済し、同一の借入条件で新たに17,560百万円の資金を増額借入するリファイナンスを実施いたしました。

 

5【重要な契約等】

(1)製造委託

契約先

契約名称

契約内容

契約期間

日本コルマー株式会社

(現・TOA株式会社)

取引基本契約書

加水分解ユーグレナエキス配合化粧品等の研究・製造に関する取引基本契約

2008年10月1日から

2009年9月30日まで

(以後1年毎の自動更新)

 

(2)共同研究

契約先

契約名称

契約内容

契約期間

PETRONAS Research Sdn. Bhd.

包括的共同研究契約書

バイオ燃料原料用微細藻類の大規模生産技術に関する共同研究

2024年8月22日から

2026年12月31日まで

 

(3)業務提携・出資

契約先

契約名称

契約内容

契約期間

株式会社丸井グループ

資本業務提携契約書

当社普通株式の割当て及び業務提携の推進

2023年1月19日から

2024年1月18日まで

(以後1年毎の自動更新)

ロート製薬株式会社

資本業務提携契約書

当社普通株式の割当て及び業務提携の推進

2023年1月19日から

2024年1月18日まで

(以後1年毎の自動更新)

三菱UFJ信託銀行株式会社(注1)

Preferred Shares Investment Agreement

Euglena Sustainable Investment Limitedが発行する優先株式に対する出資コミットメント

2025年5月12日から

2029年12月31日まで

(注1)当社グループ側の契約主体は、当社の連結子会社であるEuglena Sustainable Investment Limited

 

(4)株主間契約、担保設定に関する協定及び親会社保証

契約先

契約名称

契約内容

契約期間

投資事業有限責任組合アドバンテッジパートナーズⅥ号

APCP VI, L.P.

CJIP (AP) VI, L.P.

投資事業有限責任組合AP VI-QG

AP Reiwa F6-A, L.P.

投資事業有限責任組合AP令和F6-B1

東京センチュリー株式会社

株主間契約書

株式会社Q-Partners及びその子会社の運営、株式会社Q-Partnersの株式の取扱い等に関する合意(注2)

2021年1月26日から、株式会社Q-Partnersの株式を保有する契約当事者が1者以下になったとき等まで

キューサイ株式会社

株式会社みずほ銀行

担保権設定に関する協定書(ユーグレナ保有株式等)

キューサイ株式会社が2025年12月22日付で株式会社みずほ銀行との間で締結した金銭消費貸借契約に伴うキューサイ株式会社債務に係る、当社保有の株式会社Q-Partners株式への担保権の設定

2025年12月22日から被担保債務の完済時まで

PETRONAS Mobility Lestari Sdn Bhd

Enilive S.p.A.

Shareholders’Agreement

マレーシアにおけるバイオ燃料製造プラントの建設運営にかかる合弁契約

合弁会社の解散又は契約に基づく解除の時まで

OCBC BANK (MALAYSLA) BERHAD(注3)

Parent Guarantee

当社が、マレーシアにおけるバイオ燃料製造プラントの建設・運営を担う合弁会社であるPengerang Biorefinery Sdn. Bhd.(借入人)のファイナンス契約に基づく支払義務のうち、出資比率に応じて保証を提供する契約(注4)

以下のいずれかが発生するまで

①借入人の支払義務が全て履行された場合

②保証人が最大保証責任額を支払った場合

③保証人が借入人に対する出資持分をすべて譲渡し、一定の条件を満たした場合

(注2)本株主間契約書においては、共同投資先(株式会社アドバンテッジパートナーズがサービスを提供するファンド(以下「APファンド」)及び東京センチュリー)が保有する株式会社Q-Partners株式(共同投資先の保有割合は合計で51%、以下「Q-Partners株式」)に関して、下記のイグジット・メカニズムが規定されております。

① 当社によるコール・オプション:当社が、APファンド及び東京センチュリーが有する全てのQ-Partners株式を取得する権利(譲渡価格の総額は固定で約256億円)

② 第三者に対する売却:株主の一部又は全部が、Q-Partners株式を連携して第三者に売却可能(APファンド及び東京センチュリーは当社に対してドラッグ・アロング権を行使可能

③ APファンド及び東京センチュリーによるプット・オプション:APファンド及び東京センチュリーが当社に対して、保有する全てのQ-Partners株式を売却する権利(譲渡価格の総額はキューサイグループの各四半期毎の直近12か月の連結ベースでのEBITDAに応じて約101~197億円の間で変動し、当連結会計年度の末日現在では約197億円))

(注3)複数金融機関が参加するファイナンス契約における貸出人側のエージェント行

(注4)当連結会計年度の末日現在における最大保証責任額は約44.76百万ドル、契約における最大保証責任額は173.25百万ドル

 

(5)当社の連結孫会社であるキューサイ株式会社は、財務上の特約が付された金銭消費貸借契約を締結しております。

金銭消費貸借契約の締結日

2025年12月22日

相手方の属性

都市銀行、地方銀行他(シンジケーション団)

債務の元本(注5)

17,560,000,000円

タームローンA:2,200,000,000円

タームローンB:15,360,000,000円

弁済期限

タームローンA:2026年12月31日(半期末毎の約定弁済)

タームローンB:2027年1月29日(満期一括弁済)

担保の内容

キューサイグループ各社の株式、並びにキューサイグループ各社が保有する預金、キューサイグループ会社宛貸付債権、不動産、売掛債権、棚卸資産、等

財務上の特約の内容

本ローン契約には、当初ローン契約と同様の以下の財務制限条項が付されており、同条項に定める事由のいずれかに抵触した場合、期限の利益を喪失する可能性があります。

a.事業年度末及び第2四半期末(以下「コベナンツ計算基準日」)において、キューサイグループの連結ベースでのグロス・レバレッジ・レシオ(=有利子負債/EBITDA(※))が、一定の数値を上回らないこと

b.コベナンツ計算基準日において、キューサイグループの連結ベースでのデット・サービス・カバレッジ・レシオ(※)が、1.05を下回らないこと

c.各事業年度におけるキューサイグループの連結ベースでの当期利益が赤字となる状態を生じさせないこと

d.2025年12月期末におけるキューサイグループの連結貸借対照表上の純資産の部の合計金額を、11,524百万円以上に維持すること

e.キューサイグループの各事業年度毎の広告宣伝費を、一定の金額以上に維持すること

(※)コベナンツ計算基準日から過去12ヶ月間のプロフォルマ数値を使用

(注5)当連結会計年度の末日現在におけるタームローンAの残高は1,466,666,667円、タームローンBの残高は15,360,000,000円。また、上記に加えて 1,800,000,000円のコミットメントライン(未使用)を設定

 

6【研究開発活動】

(1) 研究開発戦略及び研究課題

 当社グループの研究開発活動は、ユーグレナをはじめとする微細藻類及びその他バイオマスを多段階で活用する「バイオマスの5F」戦略の実現・推進に資することを基本的な方向性としております。この戦略は、Food(食品)、Fine Chemical(高機能原料)、Feed(飼料)、Fertilizer(肥料)、Fuel(燃料)の順に、付加価値の高い用途から低い用途、小さい市場から大きい市場へと段階的かつ多面的に展開する事業ポートフォリオを構築するものです。研究開発活動においても、「バイオマスの5F」戦略と連動して、①高付加価値の機能性素材としての拡販に向けた機能性研究や科学的エビデンスの強化、②新たな需要の創出に資する新規素材や用途の開発、ならびに③Feed・Fertilizer・Fuelといったコモディティ領域での事業展開を見据えた低コスト化及びスケールアップに向けた技術開発、等を主要な研究課題として位置付け、事業戦略と一体となった研究テーマに重点的に取り組んでおります。

 具体的には、(1)ヘルスケア事業との関連では、既存の収益基盤であるFood領域における健康食品やサプリメント向け素材としての微細藻類粉末に関して、また、Fine Chemical領域における機能性食品・化粧品向け高機能素材としての微細藻類の含有物(パラミロン等)や抽出物(ユーグレナエキス等)に関して、機能性研究、素材開発及び生産技術開発を強化しております。(2)アグリ事業との関連では、短期的にはFeed領域・Fertilizer領域における機能性飼料・肥料原料としての研究開発を、中長期的には微細藻類を含む未利用資源の活用や藻油抽出後の脱脂藻体の活用など資源循環型農業の実現に資する技術開発を推進しております。(3)バイオ燃料事業との関連では、Fuel領域におけるバイオ燃料原料としての藻油の低コストかつ大規模な生産を目指して、屋内タンクによる従属栄養培養のスケールアップと生産性向上の技術開発と、低GHG負荷の糖源開発等に取り組んでおります。

 これらを通じて、「人と地球を健康にする」のパーパスのもと、技術基盤の強化と事業化の加速を両立し、中長期的な事業成長と持続可能な社会への貢献を目指してまいります。

 

(2) 研究開発体制

当社グループは、外部との共同研究も活用しながら、ユーグレナ等の藻類及び微生物全般に関する機能性解明や生産技術の向上に向けた研究開発活動、並びに新規素材や新技術の開発等を推進する体制を構築しております。

 

① グループ内における研究体制

当社グループの研究開発体制は、以下の3つの研究所から構成されております。研究と事業との連携を強化するため、2024年より各研究所はCo-CEO直下で所管してきましたが、2026年3月より研究開発専任の執行役員を任命し、研究開発の体制強化と加速を図っております。また、株式会社サティス製薬などのグループ会社においても、各事業領域に関連する研究開発を推進しております。

 

・中央研究所(神奈川県横浜市鶴見区)

微細藻類ユーグレナをはじめとする各種微生物素材の基礎及び応用研究、ヘルスケア・食品・化粧品向け素材開発と機能性研究、バイオマスの高付加価値利用技術、未利用資源活用に向けた技術開発等を行っております。

 

・生産技術研究所(沖縄県石垣市)

石垣島ユーグレナをはじめとした当社の独自原料の安定生産及び培養コスト削減、特定成分の高含有化、品質管理技術の高度化のほか、バイオ燃料を含む各用途に適した培養プロセスの開発を進めております。

 

・熱帯バイオマス技術研究所(マレーシア国クアラルンプール市)

現地大学・企業との連携のもと、当社初の海外研究所としてR&Dの海外戦略を立案・遂行するとともに、藻類等の大規模生産技術の確立や、安価な糖源確保に向けた糖源開発など、将来の事業展開を見据えた研究開発を推進しております。

 

 当社グループは、研究開発テーマについて、各研究所での計画立案を起点に、研究所長及び主管部門での合意、経営会議等でのレビューを経て承認するプロセスを整備し、進捗についても定期的に報告・管理する体制としております。研究開発内容に重大な変更がある場合や中止・凍結等についても所定の承認プロセスを設け、研究と事業の接続及び投資の規律を担保しております。

② 外部との共同研究体制

当社グループ内で実施している研究開発・技術開発に加えて、大学をはじめとする公的研究機関や、企業との連携を進めることで、オープンイノベーションを通じた研究成果の社会実装の加速を目指しております。

a.公的研究機関との共同研究体制

大学をはじめとする公的研究機関が得意とする研究領域において、公的研究機関との間で研究委託又は共同研究を実施し、独自の知見を活かした連携を推進することで、単独では実現できない研究開発・技術開発を実現しております。

b.企業との共同研究体制

研究開発・技術開発成果の事業化を加速化するために、バイオマスの生産や生産された素材・原料の活用方法を独自で研究開発するだけではなく、実際に商品やサービスを供給するマーケットに近い企業との間で共同研究を実施しております。

 

(3) 研究主要課題及び研究成果

研究主要課題及び研究成果は次のとおりです。なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は675百万円となっております。

 

① ヘルスケア領域における技術開発

当社グループは、食品や化粧品等のヘルスケア用途を中心に、ユーグレナをはじめとする藻類及び微生物全般を活用した新規素材の開発と、既存・新規素材の機能性解明を進めることで、顧客に対する新たな価値提供を目指しております。当連結会計年度は、(i)食品用原料「精製パラミロン」の開発・規格化及び「パラミロン1000」の上市、(ii)腸内環境・免疫及びスキンケア領域における機能性研究の進展を主な成果としております。

 

(i)食品用原料「精製パラミロン」の開発・規格化及び「パラミロン1000」の上市

当社は2017年に、ユーグレナ由来の多糖であるパラミロンを55%以上含有する「ユーグレナグラシリスEX55」を原料規格化し、ユーグレナ由来の多様な栄養素をバランスよく含む素材として健康食品市場で展開してまいりました。そして、当連結会計年度は、これまでに培った研究・製造技術や知見を活かして、パラミロンを80%以上の高濃度で抽出・精製した食品用原料「精製パラミロン」を開発し、国産最高濃度での規格化に成功しました。さらに、当連結会計年度において、パラミロンを従来品比で約1.7倍にあたる1,000mg配合した新商品「パラミロン1000」を開発し、発売しました。「パラミロン1000」は、「精製パラミロン」の開発により実現した独自の処方設計により、高濃度パラミロンを配合しながらも価格を従来品と同一水準に据え置くことを可能としたものであり、当社原料の研究開発成果を最終製品において具現化した事例です。

パラミロンはユーグレナが生成する特徴的な多糖であり、当社はこれまでに睡眠の質の改善、作業時の一時的なストレス緩和、起床時の疲労感軽減を訴求する機能性表示食品を上市しております。さらに、これまでの当社の研究では、パラミロンが免疫バランスの維持やインフルエンザなどの感染症状の緩和、風邪の発症抑制に関与する可能性があることも報告しています。パラミロンは高い安定性を持ち、ユーグレナ粉末と比較して味や香りへの影響が少ないことから、今回開発した「精製パラミロン」により機能性訴求や処方設計の自由度が大きく向上し、様々な機能性を訴求できる機能性表示食品をはじめとしたヘルスケア用途での応用拡大が期待されます。

また、素材ラインナップの拡充により、多様な栄養素を包括的に摂取したいというニーズには従来のユーグレナ粉末(石垣島ユーグレナ)や「ユーグレナグラシリスEX55」を、特定の機能性を高濃度で訴求したいというニーズには「精製パラミロン」を提供することで、お客様の目的に応じた原料の選択肢が大きく広がりました。各素材はいずれもパラミロンを含有しつつ、それぞれ異なる特長と用途を持っており、ヘルスケア市場における顧客企業の多様なニーズへの対応力向上と新たな需要創出に寄与しています。

 

(ii) 腸内環境・免疫及びスキンケア領域における機能性研究の進展

当社は、慶應義塾大学及び北里大学との共同研究において、絶食時にユーグレナ由来パラミロンを摂取することで、腸内環境及び免疫機能を短期間で改善し得る可能性を確認しました。

本研究では、絶食により腸内細菌叢のバランスが変化し、さらに絶食中のパラミロン摂取により、腸管免疫の成熟と安定化に重要な役割を果たしていることが知られるBacteroidesや、コレステロール低下に寄与することが知られている[Eubacterium]coprostanoligenesの相対占有率が有意に増加するとともに、糞便中の免疫グロブリンA(IgA)産生が向上することが、マウスを用いた実験で示されました。

この研究成果は学術雑誌BMC Microbiologyにも掲載されており、ユーグレナ及びパラミロンの新たな健康機能性の解明と、今後のヘルスケア分野での応用可能性をさらに広げるものと期待されます。

 

また、当社は、「バイオマスの5F」戦略において高付加価値なFine Chemical(高機能原料)と位置付けるパラミロンについて、スキンケア分野での機能解明も進めています。当社が独自に開発した医薬部外品・化粧品原料「パラミロン原末(ユーグレナ多糖体)」に関しては、新たに、花粉やPM2.5といった微粒子の肌への付着を抑制し、洗浄時の除去を助ける可能性を示した研究結果を発表しました。本研究では、パラミロン原末またはパラミロン原末を配合したゲルを塗布した皮膚に、花粉及びPM2.5を模した微粒子モデルを散布し、その付着量及び洗浄後の残存量を評価した結果、特にパラミロンを一定濃度以上配合した区分で、肌表面への微粒子付着量の低減及び洗浄後の残存量の低減傾向が確認されました。これは、パラミロン特有の結晶性粒子構造及び水・油に対する不溶性により、肌表面で物理的なバリアとして機能し、外部微粒子から肌を保護し得る可能性を示すものです。

これらの成果により、パラミロンは、腸内環境及び免疫機能への作用を通じたインナーケアに加え、微粒子付着抑制などアウターケアにおいても有用性が示されており、当社のFine Chemical領域の中核素材として、食品・サプリメントから化粧品まで、ヘルスケア分野における応用可能性が一層広がるものと考えています。

さらに、2026年2月に、グループ会社の株式会社サティス製薬と共同で、ユーグレナ、オーランチオキトリウム、クロレラの3種の微細藻類から、ヒト型を含む3種の超長鎖セラミドを世界で初めて発見し、特許を出願しました。これまで化粧品分野では、比較的短鎖な合成セラミド(C36)が主流でしたが、これはヒトの皮膚が本来もつ超長鎖セラミドとは構造的に異なるという課題がありました。また、植物や真菌由来の天然セラミドも活用されてきましたが、含まれる種類が限定的であり、ヒト皮膚セラミドの多様性を、天然素材のみで補うことは、これまで困難とされてきました。今回発見された微細藻類由来セラミドは、C44を主体とする超長鎖構造を有しており、ヒト皮膚セラミドと高い構造的親和性を示しています。ヒト皮膚セラミドの多様性を天然由来成分で補うアプローチにより、角層ラメラ構造の再構築、脂質秩序性向上、水分蒸散量低下、表皮細胞の分化促進、炎症抑制など、多層的な皮膚バリア改善効果が期待されます。

今後も、これまでに解明された知見を活かすとともに、新規の機能性を解明することで、高付加価値の新製品開発や現在は製品化されていない領域における利用技術の開発を推進してまいります。

 

② アグリ領域における機能性研究・素材開発

当社グループは、ユーグレナ等の微細藻類を飼料・肥料の原料や付加価値を向上させる素材として活用する研究開発に取り組んでいます。

当連結会計年度は、ユーグレナがもつニワトリに対する飼料価値に着目し、宮崎大学及びあすかアニマルヘルス株式会社との共同研究において、パラミロン配合飼料の給与によりニワトリの獲得免疫能が向上する可能性、ならびにユーグレナ配合飼料の給与によりニワトリの成長が促進される可能性を確認しました。具体的には、ニワトリへのパラミロン配合飼料の給与によりワクチン接種後の抗体価が上昇する傾向が認められたほか、ユーグレナ配合飼料の給与により体重増加や飼料要求率の改善といった成果が得られており、家禽分野における生産性向上及び健康維持に資する素材としてユーグレナ及びパラミロンのポテンシャルが示されています。

これらの研究成果は、これまでヘルスケア領域で当社が培ってきたユーグレナ及びパラミロンの免疫・代謝に関する知見が動物用飼料分野においても活用可能であることを示すものであり、当社グループが推進する「バイオマスの5F」戦略におけるFeed(飼料)領域の事業化・ブランド化に直結しています。

また、Fertilizer(肥料)分野においても、当社はこれまでに、微細藻類ユーグレナを肥料として利用した際の収穫量増加や収穫後の鮮度低下抑制の可能性などを報告しており、ユーグレナの添加が土壌及び作物に有用な影響を与え得ることを確認してきました。さらに、ユーグレナ粉末を土壌に添加する試験において、土壌中の善玉菌である放線菌数及びA/F値(※)が増加する結果が得られたことから、土壌微生物叢の改善を通じた収量・品質向上効果が期待されています。これらの研究成果をもとに、ユーグレナを用いた有機液肥や培養土の事業化に取り組みました。

こうしたFeed(飼料)及びFertilizer(肥料)領域での研究成果を基盤として、当連結会計年度はアグリ領域初の自社ブランド『いきものたちにユーグレナ』から、ユーグレナを活用した100%有機肥料「ユーグレナ入りペレット肥料」3種及び「ユーグレナ入り有機培養土」1種の計4製品を発売しました。これらの製品は、厳選した有機素材にユーグレナを配合することで、土壌微生物の基質となる成分を供給し、放線菌をはじめとする土壌微生物叢を豊かにすることで、健全な土づくりと植物の健やかな成長を支援するよう設計されたものです。研究段階で得られたユーグレナの肥料・培養土としての有用性に関する知見が、製品設計及びブランド展開に直接結び付いており、当社の研究開発が、アグリ領域におけるソリューションとして結実した事例となっています。

今後も当社グループは、飼料・肥料分野における機能性解明及び高付加価値製品の開発と、環境負荷低減に貢献する循環型農業モデルの実現を目指してまいります。

※A/F値:放線菌と糸状菌の割合(放線菌/糸状菌)を数値化したもの。土壌分析の指標として広く使用される。

 一般的にA/F値が高いほど放線菌が優勢で病害が少なく、低いと糸状菌が優勢で連作障害のリスクが高い傾向を示す。

 

③ エネルギー領域における技術開発

当社グループは、脱炭素社会の実現に向け、微細藻類ユーグレナ等を活用した次世代バイオ燃料の研究開発を重点領域として推進しています。特に、持続可能なバイオジェット燃料(SAF)及びバイオディーゼル燃料(HVO)の製造に用いる原料としての藻油を、商業規模で生産するためのスケールアップと低コスト化に向けた培養技術の開発と高度化を国内外で推進しています。

当連結会計年度には、当社が開発を進める従属栄養培養プロセスにおいて、商業生産用タンクでユーグレナの高密度培養のスケールアップ実証試験を行い、「当社の独立栄養培養比で約2,000倍相当となる土地面積あたりの生産量」及び「当社のヘルスケア向けユーグレナの光従属栄養培養比で最大約10倍の培養密度」を達成したことを発表しました。これは、藻油の供給量拡大と生産コスト削減に寄与する技術として、SAF・HVO製造商業プラントへの将来的な藻油供給実現に向けた重要な成果です。

また、商業規模での従属栄養培養には、安価で低GHG負荷の非可食バイオマス糖源を大量に確保することが不可欠であり、既存の食品系糖類ではコスト・食料競合・GHG排出の観点から限界があります。そのため、新たな炭素源の研究開発が喫緊の課題となっています。この課題解決に向けて当社は、経済産業省「グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金」に採択されたプロジェクトとして、マレーシアに豊富に存在する未利用バイオマス資源であるパーム農業残渣(パーム古木及びパーム茎葉の搾汁液、及び木質繊維)を微細藻類培養の糖源として活用する可能性調査事業を開始しました。本事業では、パーム残渣の賦存量調査、搾汁液及び木質繊維の糖化プロセスの検討、糖組成が微細藻類の増殖・脂質生産に与える影響評価、ならびに糖化プロセス全体のLCA解析など、糖源開発に必要な基礎的かつ応用的研究を一貫して実施しています。これにより、商業規模での従属栄養培養に不可欠な低コスト・低環境負荷型の炭素源確立を目指しています。この取り組みは、Fuel領域を最終到達点とする「バイオマスの5F」戦略において、持続可能で大規模な燃料生産を可能にするための基盤を構築するものであり、未利用資源の有効利用と環境負荷低減を両立させる技術開発となります。

当社は今後も、微細藻類を活用したバイオ燃料生産の高度化とコスト低減に向けた研究開発を継続し、持続可能なエネルギーシステムの実現に貢献してまいります。

 

④ 全事業に共通する技術開発・基盤研究及び研究成果の展開

 当社グループは、全社事業に共通する基盤技術の強化を目的として、藻類及び微生物を対象とした生産効率向上に資する継続的な技術開発に加えて、ゲノム編集を含む育種技術の精緻化と、それらを活用した新素材創出に向けた研究を推進しています。これらの基盤研究により、従来は実現が困難であった特性を持つ素材の創出や、新たな製品カテゴリーの形成に向けた可能性を拡大し、当社の多様な事業領域に横断的に貢献する技術的土台の強化を図っています。さらに、技術的な深化に留まらず、研究成果が社会に与えるインパクトの検証や国際的な連携強化を通じて、技術基盤の多角的な活用と事業化を加速させております。

当連結会計年度は、 (i)ゲノム編集を含む育種技術の精緻化、(ii)「GENKIプログラム」のインパクト検証、(iii)研究成果の社会実装と国際連携の強化を重点として推進しました。

 

(i)ゲノム編集を含む育種技術の精緻化

技術開発面では、ユーグレナのゲノム編集技術の高度化に直結する重要な成果として、ユーグレナのゲノム構造解明に成功しました。真核生物は一般に、遺伝子中にタンパク質合成に直接関与しないイントロンと呼ばれる非翻訳領域を持ちますが、ユーグレナには他の真核生物とは異なる特徴を持つ“非典型的イントロン”が存在することが知られていました。この特殊性は、対象遺伝子の構造理解やゲノム編集ツールの設計において一定の障壁となっており、ユーグレナの品種改良を効率的に進めるために理解・克服すべき課題でした。当社と理化学研究所との共同研究では、ユーグレナ全ゲノムの解読を通じて、この非典型的イントロンがゲノム全体でどの程度存在するのかを初めて明らかにしました。さらに、人工的に設計したイントロンをユーグレナ細胞内で動作させることによって、非典型イントロンの機能原理に関する新たな知見の獲得にも至りました。これらの成果は学術的価値が高いだけでなく、ユーグレナの任意の遺伝子に対してゲノム編集技術を適用する際の基盤情報として極めて重要であり、科学雑誌『Proceedings of the National Academy of Sciences(PNAS)』に掲載されました。

また、ゲノム編集技術の選択肢を拡大し、ユーグレナの品種改良をより柔軟かつ産業利用しやすいものとするための取り組みも進展しました。当社は、過去の研究開発を通じて、主にCRISPR-Cas9及びCRISPR-Cas12aを利用したユーグレナのゲノム編集に成功してきました。これらは酵素試薬として広く販売されており、多様な研究に用いられています。しかし、これらのツールを用いて作製されたゲノム編集生物を産業利用する場合、海外企業によるライセンス管理の複雑さが課題となる可能性がありました。当社は国内企業であるC4U社との共同研究により、同社が単独でライセンス供与可能なCRISPR-Cas3をユーグレナに適用することに成功し、ユーグレナに利用可能なゲノム編集ツールの多様化を実現しました。これにより、目的に応じたライセンス選択が可能となり、品種改良の柔軟性向上とコスト低減が期待されます。

 

さらに研究過程では、パラミロン合成に関わる遺伝子や、難消化性のワックスエステル合成に関わる遺伝子を改変した株の作出にも成功しました。従来、ユーグレナのゲノム編集は主にバイオ燃料原料など化成品用途を目的として進めてきましたが、これらの株を活用することで、高タンパク食品素材の開発や、ワックスエステル生成を抑制した新たな製造プロセスの検討が可能となり、食品用途を含む幅広い事業展開に資する技術基盤が整いつつあります。ゲノム編集の過程で導入されるRNAが細胞内で速やかに分解され、外来の核酸が残存しないことも確認しており、遺伝子組換え体には該当せず、古典的育種による品種改良株と区別できない性質を持つ株として、食品素材開発においても革新的な技術として安全に活用できる可能性が広がっています。

 

(ii) 「GENKIプログラム」のインパクト検証

当連結会計年度においては、バングラデシュの子どもたちに豊富な栄養素を持つユーグレナクッキーを届ける「GENKIプログラム」において、研究成果の社会実装とそのインパクト検証の一環として、11年間の取り組みを総括したインパクト評価レポートを初めて公表しました。本レポートの作成にあたっては、現地の声や生活の変化を丁寧に聞き取る定性的な調査に加え、GENKIプログラムに参加する子ども200人と参加していない子ども200人を対象として、身長・体重・握力の測定、尿検査、症状アンケートなどによる定量的・定性的な測定を実施しました。尿検査には、当社と株式会社ユーリアとの共同研究により開発された栄養コンディションチェッカーを用いました。

本評価では、クッキー摂取群において学校の欠席率が非摂取群と比較して大幅に低下し、出席率向上への寄与が明確となりました。また、めまい・頭痛・動悸などの自覚症状発生率の低下、便秘傾向の改善、さらには尿検査における亜鉛充足度指標の優位性など、健康状態の改善が複数の項目で確認されています。加えて、集中力や生活活力の向上が報告され、教師・保護者からも行動面の変化が多く寄せられました。

これらの結果から、ユーグレナクッキーの摂取及び食育による食の多様性の向上が、栄養状態や身体機能、生活活力を含む総合的な健康指標の改善に寄与している可能性が示唆されました。加えて、学校での配布による家庭の食費負担軽減や、衛生教育を通じた地域の健康意識向上など、副次的効果も見られています。

今後は、本評価で得られた知見を基盤に、現地の学校給食制度への展開を進め、毎日100万食の提供体制構築を目指します。また、今回のインパクト評価でデータ収集や解析が不十分な点については追跡調査を実施し、定期的な評価を継続していくことで、本プログラムを発展させ、より多くの子どもたちへ笑顔と成長機会を届ける取り組みを進めてまいります。

 

(iii)国際連携の強化

当社グループは、2023年に設立したマレーシア研究拠点を中心に、熱帯圏の地理的特性を活かした微細藻類研究を推進しています。同拠点の設立以降、当社は「Global Algae Summit(国際藻類学会)」を発起・開催しており、当連結会計年度に開催した同学会には、東南アジアを中心に10か国から223名の研究者が参加しました。本学会では、藻類業界の主要関心領域であるバイオ燃料に加え、医薬品、化粧品、食品、飼料、肥料など多様な用途に関する研究発表が行われ、培養・回収方法など産業応用に直結する技術も幅広く議論されました。当社にとっても新たな研究シーズの発見や国際的な研究交流の深化につながる重要な機会となっており、今後も東南アジアの藻類研究を牽引し、地域特性を活かした微細藻類の事業活用に向けた研究開発を継続してまいります。

 

(4) 研究開発成果の特許化

当社グループは、研究開発活動における成果について、積極的に特許化に取り組んでおります。

主要なグループ会社において保有している特許は、当連結会計年度末現在、国内68件、海外11件であり、また現在出願中の特許は国内37件、海外8件(特許協力条約による出願は含まない)であります。