第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2026年3月24日)現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

当社グループは、経営理念「生命と暮らしに寄り添い、地球との共生を実現する。」を掲げ、人々の健康と快適な生活の実現に真摯に向き合い、高品質な商品を提供し続けることで、社会と共に着実な成長を遂げております。また、経営理念の実現に向け、以下の行動様式(アースポリシー)及び価値観(アースバリュー)を定めております。

(アースポリシー)

 ・ お客様目線による市場創造

 ・ 熱意・創意・誠意

 ・ すぐやる・必ずやる・最後までやる

(アースバリュー)

 ・ 全員参画

 ・ コミュニケーション

 ・ 人がすべて

 

(2) 経営環境

当社グループを取り巻く経営環境を以下のように認識しております。

 

[家庭用品事業]

国内においては、物価高に伴う実質賃金の伸び悩みなどにより個人消費は停滞感が強い状況が続きました。また、国外においては、ロシア、ウクライナ情勢の長期化に加え、米国トランプ政権に対する警戒感の高まりが継続するなど、国内外の経済状況は不透明な状況が続いています。また、中国においても長引く不動産市況の低迷により個人消費・内需の停滞が懸念されています。

ASEANではタイの経済成長は減速基調が見込まれる反面、ベトナム、マレーシア、フィリピンにおいては底堅い内需を下支えに経済成長が継続するものと考えており、当社グループの取り組みがマッチし、高い成長が期待されると推察しています。

 

[総合環境衛生事業]

主要な顧客層である食品・医薬品業界等では、異物混入対策をはじめとする衛生管理ニーズが根強く、事業環境は堅調に推移しています。市場シェアも着実な拡大傾向にありますが、一方で労働力不足や諸コストの上昇といった外部要因により、コスト負担は増大しています。社会全体がコスト高に直面する中、お客様側でも衛生管理投資に対する費用対効果への評価が厳格化しており、サービスに対して従来以上の生産性向上や省人化に寄与する手法への転換を求める動きが顕著となっています。

 

(3) 優先的に対処すべき課題

当社グループは経営理念「生命と暮らしに寄り添い、地球との共生を実現する。」のもと、2026年を最終年度とした中期経営計画「Act For SMILE COMPASS 2026」を進めています。本中期経営計画においては、前回の中期経営計画の課題を踏まえ、グループ再編をはじめとした構造改革に焦点を当て、収益性の改善に取り組んでいます。最終年度の定量目標として掲げた連結売上高1,700億円、営業利益70億円、親会社株主に帰属する当期純利益43億円については、既に1年前倒しで達成しましたが、2027年からのスタートを予定している次期中期経営計画に向けて、変革に向けた取り組みを引き続き実行してまいります。

 

 

 

① 家庭用品事業の課題
[構造改革]

当社は、コロナ禍を背景にした消費者の急激な行動変容に対応すべく、日用品カテゴリを中心に積極的なカテゴリ拡大を進めてまいりました。一方で、原材料価格高騰の影響による原価上昇、金融政策の見直しによる不安定な為替、物価上昇による消費マインドの冷え込みなどにより、外部環境は大きく変化し、また、展開カテゴリ拡大の余波を受け、ブランド投資が分散したことにより、入浴剤や洗口液カテゴリにおける市場シェアの低下を招くことにつながりました。こうした状況の変化に対して、「ブランド・品目の“選択と集中”」「ブランド価値の向上」に向けて、2024年には中期経営計画の目標として掲げた品目数30%の削減を実施しました。今後に向けては、製品上市の際の基準の厳格化を進めてまいります。

また、低下傾向にある洗口液、入浴剤の市場シェアに歯止めをかけるべく、2025年には口腔衛生用品『モンダミン』シリーズの大幅なリニューアルを実施しました。入浴剤においては2026年1月に実施した株式会社バスクリンの吸収合併を契機として、マーケティング投資の配分の見直し、製品開発段階でのシナジー創出などにより、市場シェアの奪還とブランド強化を目指してまいります。

これまでも課題となっていた虫ケア用品の返品について、廃棄ロスの低減施策を営業部門・サプライチェーン部門を中心に積極的に推進しています。生産管理から販売管理まで一元的に管理し、需給調整機能を進化させたことで在庫の圧縮・効率化が進み、キャッシュ・フローの改善につながっています。さらに、今後も気候変動に起因して、虫ケア用品の販売期間の長期化が予想され、シーズン晩期の需要が増えるものと見込まれます。こうした状況を受け、虫ケア用品の年間定番商品化に向け、業界全体と協力し取り組んでまいります。このような取組により環境負荷低減はもちろん、廃棄費用の削減による利益率の改善を見込んでいます。以上の取組を踏まえ、カテゴリポートフォリオ管理の実施を進め、収益構造の改善を目指してまいります。

 

[海外の売上拡大]

成長ポテンシャルの高い海外展開を、当社の成長ドライバーとして位置付けております。本中期経営計画で、「現地法人を軸にした成長戦略の遂行」「各エリアの中長期計画と連動したサプライチェーンの整備」「成長を支える人財の拡充」といった強化策を掲げ、取組を進めています。ASEANにおいては、タイ、ベトナムは海外展開における収益の中核を担うべく、市場シェアの向上と売上拡大の両立を推進し、また、マレーシア、フィリピンでは販路拡大と事業基盤の構築を推進しています。とりわけタイでは、確固たるブランド地位を築いており、特に虫ケア用品は、近い将来のタイ国内の市場シェアNo.1の獲得を見据え、積極的な拡大を進めています。中国では、急速な市場環境の変化を受け、オンラインチャネルを重視する戦略からリアル店舗を展開する小売業への製品導入を重点的に行う戦略への転換を進めています。輸出では、現在の主要展開国・エリアである中東や台湾、北米などをはじめとした、世界約50カ国・地域に製品を輸出しています。既存展開国での取組を進めるとともに、各エリアにおける成功事例の横展開を行い、売上の拡大を加速させています。こうした海外事業の拡大に伴い、生産供給能力の拡大が必要となっています。円滑な商品供給体制の確立と利益拡大に向けて、グループ間・エリア間でのリソースを活用しながら、各エリアの中長期計画と連動した全体最適の視点でのサプライチェーンの整備を行います。また、このような積極的な事業拡大のためにはグローバルシフトに向けた人財の強化が欠かせません。グローバル人財の育成と現地採用を含めた人財確保を積極的に推進していきます。

 

[グループ経営力強化]

当社は事業成長を図る手段の一環として、M&Aを積極的に推進し、事業領域及び展開エリアを拡張してきました。一方で、グループ・国内外を跨ぐコスト改革やシナジー創出の実現に向けては道半ばの状態であり、この課題を受けて、「組織再編によるコストシナジーの創出」、「戦略的M&A」、「投資採算性の向上」を掲げて取組を進めてきました。

2026年1月、当社は株式会社バスクリンの吸収合併を契機として、これまで実現に至らなかった両社使用システムの一元化やオフィス統合を図りました。今後、マーケティング投資の配分見直しをはじめ、経営資源の再配分を進め、販売面及びコスト面でのシナジー創出を推進していきます。

M&Aについては、引き続きアースグループにおける課題解決手段の一つに位置付け、案件候補リストを整備するとともに、過去の案件をもとにして、成就後に実施すべき事項に関するノウハウを積み上げるなど、推進体制を構築いたします。

こうした取組と合わせて、資本コストを意識した経営の実現に向けて、在庫の効率化や厳選した投資機会に対する借入金の有効活用を通じ、資本効率の改善を図っていきます。

 

② 総合環境衛生事業の課題

衛生管理サービスへのニーズは依然として高くありますが、当事業を取り巻く環境は、労働力不足や諸コストの高騰など依然として予断を許さない状況にあります。こうした中、デジタル活用と組織強化を通じた高付加価値化を最優先とし、「人、専門性、技術力、教育、労働安全、事業基盤、事業創出」の7つの重点テーマに取り組みます。

具体的には、採用戦略の最適化とウェルビーイング施策により「人」の活性化を図り 、育成プランの刷新を通じて「教育」を揺るぎない強みへと昇華させます。専門業務においては、ライフサイエンス事業等の計画遂行を通じて、個の「専門性」を組織的な実行力へと転換してまいります 。また、研究開発フローの見直しによる「技術力」の強化と、環境ビジネスなど新領域への「事業創出」を加速させるほか、パートナー企業とのサプライチェーン強化による「事業基盤」の整備、及び「労働安全」を徹底いたします 。これら7つのテーマを軸に「環境ドクター」としてのサービスを錬磨し続け、お客様から信頼され続ける企業を目指してまいる所存です 。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社のサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1) サステナビリティの考え方

当社は、2021年にサステナビリティ基本方針を策定しました。

策定にあたっては、事業を推進する各部署の代表メンバーが集まり、サステナビリティを浸透させるために必要な要素や、言葉、当社グループらしさを尊重しながら議論を重ねました。この方針をもとに、持続可能な事業の実現に向けた取り組みを推進していくことを社内外に示していきます。

アース製薬サステナビリティ基本方針(2021年策定)

アース製薬は、「生命(いのち)と暮らしに寄り添い、地球との共生を実現する。」という経営理念のもとで、ステークホルダーの皆様と協働して、サステナビリティを巡る課題に取り組み、持続的な企業価値の向上とサステナブルな社会の構築に貢献します。

 

 

① ガバナンス

当社は、サステナビリティ基本方針のもと、ESGの3分野を俯瞰し、サステナビリティ活動を効果的かつ円滑に推進していくため、経営統括本部内に「CSRサステナビリティ推進部」を設置しています。社長を委員長とし、各部門長が委員となりサステナビリティ経営の執行責任を持つ「CSRサステナビリティ推進委員会」、及び、経営統括本部本部長を委員長とし、各部門の業務担当者で構成しサステナビリティ活動を推進する「CSRサステナビリティ推進部会」を定期的に開催しています。これらの会議体で審議された内容は、取締役会に報告しています。

また、サステナビリティに関する活動計画や、目標・KPIの全社的共有、目標達成に向けた取り組みの推進、進捗状況のモニタリング、活動内容は各種開示報告書にて適切に情報発信を行っています。

 

 

② 戦略、指標及び目標

社グループが長期にわたり発展し続けるためには、様々な社会課題の企業活動への影響を認識、評価し、経営上の重要課題を明確にする必要があると考え、マテリアリティ(重要課題)とそれらに対する目標・KPIを定めました。各課題に対して重点テーマを定め、当社グループの事業特性や経営資源を活かした取り組みを進めてまいります

 

アース製薬のマテリアリティ(重要課題)

 

カテゴリ

マテリアリティ

(重要課題)

重点テーマと

主な施策

目標・KPI

2025年進捗

(実績)

環境

気候変動への

対応

・CO2排出量を削減します。

CO2排出量削減:

2020年比で(Scope1,2)

・中長期目標 28%削減(2026年)

・長期目標 46%削減(2030年)

31.7%削減※

※速報値での実績になります。

・電力の再生可能エネルギー化を進めます。

再生可能エネルギー化:

・中期目標 研究所の再エネ化

 [再エネ率90%](2026年)

・長期目標 オフィス*の再エネ化

 [再エネ率95%](2030年)

 *テナントオフィス除く

再エネ率67.6%

※速報値での実績になります。

 

地球環境問題への配慮

・モノづくり(研究開発から生産)にかかわる水の使用効率を向上させます。

水の使用効率の向上:

2020年比で

・中期目標 6%向上(2026年)

・長期目標 10%向上(2030年)

1.7%向上

・循環型社会を目指し、資源を有効に活用します。

工場・研究所からの産業廃棄物等の

ゼロエミッション:

・中期目標 工場と研究所の

 ゼロエミッション(2026年)

・長期目標 工場と研究所の

 ゼロエミッションの維持(2030年)

最終処分率:

0.7%

・アースECO基準を定め、環境に配慮した製品の拡大を推進します。

中期、長期目標

・アースECO基準対応製品の拡大と情報開示の推進(2026年、2030年)

環境配慮製品を管理できるシステムを作成中。2026年以降詳細な情報開示が可能。

持続可能な調達の推進

・環境などに配慮

した製品包装材料の調達を推進します。

森林認証紙の使用率(重量):

・中期目標 使用率を30%以上(2026年)

・長期目標 使用率を70%以上(2030年)

38.25%

 

 

 

カテゴリ

マテリアリティ

(重要課題)

重点テーマと

主な施策

目標・KPI

2025年進捗

(実績)

 

社会性

安心で快適な暮らしに貢献する製品・サービスの提供

・お客様の満足と信頼を損ねる品質重大事故をゼロにするため、自社工場、製造委託先工場の定期品質監査実施率を向上させます。

定期品質監査実施率:

短期・中期・長期目標

・100%を維持(2026年、2030年)

100%

(36箇所/36箇所)

関連法令を遵守し、違反につながる重大事故をゼロにするため、教育訓練年間計画の実施率を向上させます

教育訓練の実施率:

 短期・中期・長期目標

・100%を維持(2026年、2030年)

100%

(27箇所/27箇所)

 

多様な人材の活躍を支える職場の実現

・年次有給休暇の取得を促進します。

有給休暇取得率:

 短期・中期・長期目標

・70%を維持(2026年、2030年)

82.2%

・女性活躍推進のため、管理職相当に占める女性の割合を上昇させます。

女性管理職比率:

・中期目標 18%以上(2026年)

・長期目標 30%以上(2030年)

12.6%

ガバナンス

経営基盤の強化

-

-

-

 

③ リスク管理

サステナビリティ経営において、ESGの視点で事業を取り巻く様々なリスクを認識しています。リスクに対する未然防止やクライシス発生に対する適切な対応、リスクから見いだされる事業機会の創出の観点からリスクマネジメントの必要性を認識し、さらなる経営基盤の強化を図ります。

 

(2) 重要なサステナビリティ項目

上記のガバナンス及びリスク管理を通して識別された当社における重要なサステナビリティ項目は以下のとおりであります。

・気候変動

・人的資本

それぞれの項目に係る当社のサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。

 

 

(3) 気候変動

気候変動は、当社にとってリスクであると同時に新たな収益機会につながる重要な経営課題であると認識するとともに、気候変動関連の財務情報開示の重要性を認識し、TCFD提言への賛同を表明しています。気候変動の取り組みを積極的にまた能動的に行うことは、中長期的な当社の企業価値向上に繋がるものであると考え、ステークホルダーと適切に協働し、当社のみならず、社会全体に利益をもたらすことを目指します。また、こうした取り組みを通して、当社は SDGs やパリ協定で掲げられた目標達成への貢献を目指します。

 

① ガバナンス

取締役会は、当社の戦略・事業計画やリスクマネジメント方針等の見直し・指示にあたり、コーポレートガバナンス推進委員会への諮問を経て、気候変動関連事項を考慮しています。また、気候変動関連事項に対処するための指標と目標に対する進捗状況については、代表取締役社長CEOが、取締役会へ報告することで、取締役会による適切な監督が行えるよう体制を整えています。

代表取締役社長CEOは、気候変動関連事項における当社の経営責任を負っています。この責任には、気候変動関連事項の評価やマネジメントが含まれています。

 

② リスク管理

CSRサステナビリティ推進部が、気候変動関連に関する事項のとりまとめを所管し、社内関係部署と協働しながらリスクと機会の状況を把握します。重要リスク・機会は、取締役会に報告され、特定した気候変動関連リスク・機会への対応方法及び優先順位の策定は、CSRサステナビリティ推進部を中心に各種委員会、関係部署と協働しながら、対応を検討します。

 

③ 戦略

当社は、脱炭素社会への移行に伴い、不確実性の高い将来を見据えどのような気候変動関連リスクと機会が顕在化しうるかについて、TCFD提言に基づき、脱炭素への取り組みが進んだ1.5℃のシナリオと現状のまま社会が進んだ場合の現行(4℃)のシナリオをそれぞれ分析し、2030年における事業インパクト評価を行いました。

 

 

(当社事業に与える影響度が「大」となる主な要因と対応)

分類

シナリオ

内容

指標

影響を受ける

期間

対応

機会

4℃

気温上昇:当社の主要ビジネスである虫ケア用品への需要増及び販売期間の長期化に伴う市場規模の拡大

売上高増加

短期
中期
長期

■虫ケア用品

〈活動〉

・販売機会ロスの低減と資本効率の向上を両立する適正な在庫管理体制の構築

・原材料、梱包材の安定調達のため、国内外問わず新規調達先の開拓を進め、複数購買体制を確立

MA-T SystemⓇ適用製品

・日本における社会実装を推進し、除菌市場でのブランド・商品認知を図る

気温上昇:公衆衛生環境が整っていない地域において菌・バクテリアの増加による感染症が深刻化した場合、感染症リスクを解消する方法として当社技術のMA-T SystemⓇを用いた製品が有効

売上高増加

長期

1.5℃

消費者の脱炭素意識:当社製品が環境に配慮したサステナブルなブランドとして認知拡大されていくことで、当社のブランド価値が向上し販売額が拡大

売上高増加

中期
長期

■以下の活動を行うことで、環境に配慮したサステナブルな企業として当社のブランド価値を向上

〈活動〉

・サーキュラーエコノミーへの賛同

・植物由来などサステナブル原材料調達の加速

CO2 排出量削減のためのリユース又はリサイクル可能な容器への移行

・ウォーターフットプリント低減への取り組み

■プラスチック

・容器や包装資材など一製品当たりに使用されるプラスチック量を削減

・サプライチェーンの取り組みとして商品のボトルなどプラスチックのリサイクルを検討

リスク

パーム油需給バランス:パーム油由来の原材料高騰による売上原価の上昇や、原材料不足による当社製品の供給不足

売上高減少

コスト増加

短期
中期
長期

・パーム油由来の原材料の安定調達に向けて、需給のひっ迫が想定される原材料の予定購買を実施するとともに、複数購買体制をとりながら国内外問わず調達先の開拓を推進

・パーム油由来の原材料の使用量低減、品質基準に見合った代替原材料の発掘に向けた研究開発・処方変更を検討

 

 

〈シナリオ分析の前提条件〉

分析対象:アース製薬単体

分析範囲:原料調達を含めたサプライチェーン全体

時間軸:短期=1年(単年度計画と同期間)中期=3年(中期経営計画と同一期間)

    長期=2030年(日本のNDCにおける中期目標と同期間)

 

 

④ 指標と目標

・当社(アース製薬単体)のGHG排出量は以下のとおりです。

                                     (単位:t-Co2)

対象スコープ

2022年

2023年

2024年

2025年

スコープ1

1,950

1,856

2,019

2,111

スコープ2

(マーケット基準)

2,133

1,972

1,590

1,612

スコープ3

974,036

1,075,869

1,240,260

1,249,019

978,119

1,079,697

1,243,869

1,252,742

 

 

・当社は、以上の排出量実績をもとに指標と目標を次のとおりに設定いたしました。

 なお、2025年12月時点で概ね達成し、2030年に向けて計画どおりに進捗しています。

(目標と目標に対する指標)

 

指標

目標

目標年

 

2025年(速報値)

目標1

スコープ1・2排出量

(エネルギー起源)

2020年比 46%削減

2030年

 

31.7%削減

目標2

再生可能エネルギー比率

電力全体の95%

2030年

 

67.6%

 

(注)1.2026年2月下旬現在。電力の排出係数は2025年の環境省の算定用数値を用いて算出しています。

2.2025年の数値は算出完了次第、当社ホームページで開示いたします。

https://corp.earth.jp/jp/sustainability/esg-databook/index.html

 

(4) 人的資本

当社グループは、従業員を会社発展の原動力となる価値あるかけがえのない人財と考え、経営理念や経営目標を実現するための人財に対する施策を明文化するために、人権方針・労働慣行方針のもと、「アース人財理念」及び「アース人財マネジメント方針」を定めています。人的資本経営の実現に向けて、長期取り組みの方向性として、『アースポリシー・バリューに共感する多様な人財の活躍を支える職場環境の整備』を目指すと共に、短中期取り組みの方向性として、『中期経営計画に基づく人財課題の解決』に資する取り組みを行います。これらの方向性に基づき、人財マネジメント戦略を策定し、戦略実行のため、人事制度(採用・教育研修、人事異動、給与・評価制度、働き方改革、ダイバーシティ、健康管理等)の各種人事施策の整備、多様な人財が力を発揮できるよう、社員それぞれの能力の強化に取り組んでいきます。グループ全体での取り組みを推進するため、定期的にグループ人事責任者会議を開催し、人財開発の方針や活動状況について共有、議論しています。

 

・職場環境整備方針

当社では、従業員一人ひとりがもつ独自の強みを十分に発揮し、活躍するためには、心身ともに健康であることが重要であると認識し、エンゲージメント高くwell-beingを実感しながら活躍できる職場環境の整備に積極的に取り組みます。

・人財育成方針

当社では、持続的な事業成長を実現するためには個々の継続した成長が不可欠と捉え、国籍や年齢などに関わらず、すべての従業員が、当社グループのアースポリシー・バリューに共感しながら自律的にキャリア形成する事を支援し、変化する事業環境下での挑戦を可能とする育成機会の提供に努めます。

 

 

① 戦略

[人財マネジメント戦略]

 ~人がすべて~

 ・働く環境とともに“働きがい”を感じられる会社へ。

 ・目標に向かってチャレンジを促進する仕組みづくり。

 

長期・短中期の2つの視点から、人財マテリアリティは以下の4つと捉えています。

 

[人財マテリアリティと取り組みテーマ]

a.グループ経営強化によるコストシナジーの創出

<取り組みテーマ>

アースらしさの深化、グループシナジー発揮

<取り組みの方向性と進捗状況>

グループ全体の最適化を目指し、組織の再編や機能の統廃合を推進しています。これによりコストシナジーを生み出すために、全員参画とコミュニケーションを大切にし、お客様目線を持った市場創造を継続する組織を目指しています。特に、当社と株式会社バスクリンの統合にあたっては、企業文化の相互理解を深める説明会の実施や、各種機能における重複機能の洗い出しを、2025年に完了させました。これら統合準備の完遂により、2026年度以降のシナジー創出を加速させる体制を整えています。「人がすべて」という考えを中心に、個々の成長と挑戦を支援し続け、グループシナジーの創出に向けたパーパス・バリューの浸透と体現を支援していきます。

 

b.Well-beingを実感できる職場環境の整備・社内文化醸成

<取り組みテーマ>

社内文化醸成、職場環境の整備

<取り組みの方向性と進捗状況>

エンゲージメント高くwell-beingを実感しながら活躍することができる職場環境の整備を実践するために、「従業員が健康でなければ企業に未来はない」という考え方のもと、従業員の健康管理を重要な経営課題と捉えています。2019年にトップメッセージとして「アース健康宣言」を制定、責任者に上席執行役員を置く部門横断チーム「従業員と家族の健康を推進する委員会」を組織しました。また、専任の産業保健師を採用し、2022年には人財マネジメント部内に「ウェルビーイング推進課」の設置など、体制強化を図ってきました。ワーク・エンゲージメントやプレゼンティーイズムによる生産性損失割合について、健康経営全体のKGI・KPIとして設定し、2030年目標に向けてPDCAサイクルを実働させています。具体的な活動として、健康保険組合等と連携したフォロー体制を運用し、ヘルスリテラシー向上施策を継続的に実施しています。これらの成果として、2021年からの「ホワイト500」連続認定に加え、2025年度には「健康経営銘柄」に初選定されるなど、着実な進歩を遂げています。さらに、優先的に取り組むべき課題の明確化と組織改善を目的として、期待度と満足度の2つの観点から測定する「エンゲージメントサーベイ」を継続実施しています。サーベイ結果に基づく分析を組織改善に直結させ、女性活躍推進や柔軟な働き方の導入、福利厚生の拡充など、より実効性の高い施策を順次実行しています。

 

c.経営・事業戦略に必要な人財の確保・育成

<取り組みテーマ>

計画的な採用と育成、リスキリング(自発的機会提供)、要員計画の精緻化、リーダー育成

<取り組みの方向性と進捗状況>

自律した人財育成を目的として、従業員のモチベーションやキャリアアップ、知識と能力の向上を目指して、計画的に階層別研修や目的別研修を実施します。2025年は、2024年に実施した階層別研修の見直しや、オンライン学習の機会提供を継続しており、人財育成の基盤整備を加速させています。また、中期経営計画の重点方針である「海外の売上拡大」に向け、要員計画の精緻化を引き続き進めており、海外事業を牽引する人財のプール化を着実に実行しています。さらに、今後はグローバル人財の受け入れや育成も積極的に行い、事業貢献だけではなく、働く個々の継続成長への寄与、働く場として、選ばれる企業を目指していきます。

 

 

d.多様な人財の自律したキャリア形成支援と仕組みの整備

<取り組みテーマ>

目標設定制度改定(OKR導入)、人事制度改定(等級・報酬・評価)、キャリア支援の仕組みの確立と活用、スキル管理(スキルの可視化)

<取り組みの方向性と進捗状況>

多様性こそ当社グループの成長の力であると認識し、すべての従業員が、当社グループのアースポリシー・バリューに共感しながら自律的にキャリア形成する事を支援します。評価は雇用管理区分に応じて実施し、人財マネジメントにおける役割や給与等の処遇の決定と、チャレンジできる自律した人財育成に活かしています。

従業員の役割に応じて、目標管理に基づく業績評価、成果創出の過程となる行動、担当職務を遂行する上での職務遂行能力、チームの一員としての情意など、さまざまな視点で評価を行っています。さらに、チームの目標達成や人財育成の観点から、上司とメンバーのコミュニケーションを重視し、定期的な面談と評価結果のフィードバックを必須とし、上司とメンバー間の対話を定着させています。これにより評価の透明性を確保し、従業員の成長を実効的にサポートする体制を整えています。2025年も、社内公募制度やOKRの実施、スキル管理データベースの拡大といった施策を順次実行に移し、キャリア形成支援のインフラ整備を推進しています。

 

※人財マネジメント戦略の取り組み詳細についてはウェブサイトをご覧ください。

https://corp.earth.jp/jp/sustainability/materiality-human-capital/index.html

 

② リスク管理

人財に関するリスクと対応策については「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。

 

③ 指標と目標

当社の人的資本に関する主な指標と目標は以下のとおりです。

人財マテリアリティ

目標

指標・KPI

2030年目標)

実績

(当事業年度)

Well-beingを

実感できる職場環境の

整備・社内文化醸成

多様な人財の活躍を支える

職場を実現します

管理職に占める女性社員の比率

30以上

11.8

年次有給休暇取得率

70以上を維持

76.6

従業員と家族の健康増進や

組織の活性化を通じて、事業の成長を目指します

定期健康診断有所見率

⇒当社基準にて30以下を維持

32.1

プレゼンティーイズムによる
生産性損失割合

18以下を維持

19.5

 

(注) 男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異についての実績は、「第1 企業の概況 5 従業員の状況 (4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異」に記載しております。

 

 

 

3 【事業等のリスク】

当社グループの経営成績、株価及び財政状態等に影響を及ぼす可能性のある主なリスクについては以下のとおりであります。

なお、以下の記載における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2026年3月24日)現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 業績の季節性

家庭用品事業の主力である虫ケア用品の需要期は主として毎年4月~8月の約5ヵ月であり、例年、年間の市場販売額のおよそ8割がこの期間に集中するため、家庭用品事業の売上高もこの期間に占める割合が高くなります。虫ケア用品は、需要期を控えた3月から製品の出荷が始まり7月頃にはそのピークを迎え、その後12月にかけて取引先からの返品が生じます。このため、当社グループの業績については、第3四半期(1月~9月)までに収益が集中する一方、第4四半期(10月~12月)の収益は低下します。また、虫ケア用品は季節性が高く、当該期の天候等の影響で市場規模が収縮した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(連結)                                                                        (単位:百万円)

 

2025年12月

第1四半期
連結会計期間

第2四半期
連結会計期間

第3四半期
連結会計期間

第4四半期
連結会計期間

当連結会計年度

売上高

44,782

57,886

40,283

36,229

179,182

売上総利益

19,826

25,320

15,913

13,672

74,733

営業損益

6,269

7,284

△281

△5,185

8,087

経常損益

6,159

7,498

△50

△4,714

8,893

 

 

(2) 海外展開におけるリスク

当社グループは、海外展開の強化を最優先課題に掲げ、タイ・ベトナム・マレーシア・フィリピン・中国の現地法人を中心にアジア地域での積極的な展開を進めておりますが、外国政府による規制や海外情勢、経済環境の変化など、想定しなかった事態が起きた場合、計画に対しての進捗が遅れる可能性があります。また、在外子会社の売上高、費用、資産及び負債を含む現地通貨建ての項目は、連結財務諸表作成のために円換算しますが、換算時の為替レートにより円換算後の数値が大幅に変動し、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) M&A等の実施による影響

当社グループは、将来に向けて持続的な成長を図るため、M&A等を通じた事業領域及び展開エリアの拡大を推進しております。これらについて、事後に発生した想定外の事象や環境変化によって、想定した成果が得られない場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

これらリスクへの対応として、当社グループはグループ各社の経営状況の的確な把握に加えて、重要案件の進捗や課題の共有等を行っています。

 

(4) 原材料価格の変動

当社グループは、複数の国・地域から原材料を購入しております。気候変動、為替変動、国際的な需要拡大等による需給動向の変化、また地政学的リスクなどに伴い、原材料の購入価格が高騰した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。特に、当社グループの取り扱う製品の原材料は石油化学製品の占める比率が高く、原油価格の動向には注視が必要です。

このようなリスクを認識した上で、当社グループでは処方の変更、複数社購買、グローバル調達などによる継続的なコストダウンに取り組むなど、リスク回避に努めています。

 

 

(5) 原材料の代替性

虫ケア用品は殺虫原体という化学品を主成分とし、多くの虫ケア用品もこれを基幹原料として生産されております。殺虫原体は主要なユーザーが限定されており、毎年の需要と供給並びに市場価格は安定して推移しております。

殺虫原体の多くは国内外のメーカーから購入しておりますが、一部についてメーカーが限定されており、当該メーカーとの取引が継続困難となった場合や、仕入価格に大きな変動が起こった場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 人財確保

当社グループが中長期的に成長していくためには、多様な価値観や専門性を持ち、自立した人財が必要不可欠です。しかしながら、少子高齢化による労働人口の減少や雇用情勢の変化等により、事業活動に必要な専門性を持った人財を計画どおりに確保できなかった場合、もしくは育成・定着が進まなかった場合には、中長期的な成長を達成できなくなる可能性があります。また、価値観の多様性を尊重し、組織での関係性が向上する風土が醸成できない場合には、事業における機会損失だけでなく、人財の流出が起こり、事業活動が停滞する可能性があります。

そこで当社は4つの人財マテリアリティを掲げ、「事業が求める人財育成・活躍できる仕組み作り」実現のための組織・機能の構造改革を進めてまいります。

 

(7) 事業に関する法的規制

家庭用品事業では、医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療機器に該当する製品を取り扱っており「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(薬機法)の規制を受けております。また、農薬に該当する製品については農薬取締法の規制、肥料に該当する製品については肥料取締法の規制をそれぞれ受けております。事業を行うにあたっては、薬事品目に係わる製造販売業許可、各工場での製造業許可、各支店での医薬品卸売販売業許可の取得の他、各支店での農薬販売届を行っております。また、製品毎に製造販売承認や農薬登録を受けております。

総合環境衛生事業では、防虫・防鼠施工業務や建築物清掃業務などについては建築物における衛生的環境の確保に関する法律の適用を、また医薬品や劇物等の取り扱いについては薬機法や毒物及び劇物取締法などの適用を受けます。こうした法規制により建築物ねずみ昆虫等防除業、建築物清掃業及び毒物劇物一般販売業などの許可を取得して事業を行っております。

これらの法的規制については、現在のところ問題なく対応しておりますが、今後改正や規制強化が行われた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、家庭用品事業において許可の取り消しや業務停止等の処分を受けた場合は、当社グループの事業展開に支障をきたすとともに業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 品質に関するリスク

当社の製品には、医薬品、医薬部外品等があり、品質管理の高い水準を確保することが求められます。しかし、製造工程に起因する製品不良や想定外の製品事故等によりお客様に被害を与えるようなことが発生した場合には、被害の状況によっては当社グループのブランドイメージや社会的信用の低下につながり、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

当社のモノづくりにとって、お客様目線に立った高品質で安心・安全な製品・サービスを提供し続けることが最も重要な社会的責任です。研究開発、品質保証、お客様とのコミュニケーションにおいて基本方針を定め、安心で快適な暮らしに貢献する製品・サービスを提供するために、「お客様の満足と信頼を損ねる品質重大事故をゼロにするため、自社工場、製造委託先工場の定期品質監査実施率を向上」、「関連法令を遵守し、違反につながる重大事故をゼロにするため、教育訓練年間計画の実施率を向上」させてまいります。

 

 

(9) 自然災害・感染症による影響

当社グループは、地震等の自然災害に対してBCP(事業継続計画)のもと、BCM体制を構築しております。しかしながら、万が一大きな災害が発生した場合、生産設備の損壊、原材料調達や物流の停滞などにより、業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、感染症につきまして、当社グループでは時差勤務やテレワークの推奨、ウェブ会議等を利用した社内外のコミュニケーションの実施、事務所での消毒液の設置など対策を実施し、社員の健康管理を徹底した上で事業を継続しております。しかしながら、収束までの期間が長期化した場合、社員・取引先への感染やサプライチェーンの混乱などにより、当社グループの事業活動及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10) 気候変動によるリスク

世界的に最も深刻な環境問題である気候変動及びこれらの緩和とその適応は、中長期的に当社の事業の継続や拡大に影響を及ぼす可能性があります。また、気候変動による平均気温の上昇、降水パターンの変化をはじめとした異常気象の激甚化などが、当社事業のバリューチェーン全般に影響を与える可能性もあります。こうした気候変動への対応は、中長期的な企業価値に関わる経営課題であると認識しています。全ての事業において課題解決に向け、脱炭素社会への移行に貢献するために、「CO2排出量の削減」、「電力の再生可能エネルギー化の推進」に取り組んでまいります。また、当社は気候変動関連の財務情報開示の重要性を認識し、TCFD提言への賛同を表明しており、提言に即した情報開示を行ってまいります。

 

(11)情報セキュリティに関するリスク

当社グループは、業務効率化や顧客サービスの向上のため、ITインフラ及び情報システムを活用しております。また、マーケティング活動等を通じて、多くのお客様の個人情報を保有しております。これらのシステムについては、外部からのサイバー攻撃、コンピューターウイルスの侵入、システム障害、あるいは不適切な取り扱いによる情報漏洩等を防ぐため、常に最適なセキュリティ対策の導入や社内規程の整備、従業員教育の徹底等の防御策を講じております。

しかしながら、巧妙化するサイバー攻撃、コンピューターウイルスの侵入、あるいは予期せぬシステム障害や人的過失等により、万が一、情報の漏洩、改ざん、システムの停止等の事態が発生した場合、当社グループの操業停滞や社会的信用の失墜等により、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12) コンプライアンスに関するリスク

当社グループは、企業倫理の徹底を経営の重要課題の一つと認識し、コンプライアンス委員会の設置、「アース製薬行動指針」を制定し、内部通報制度(アース製薬スピークアップライン)の導入などを行っております。国内外の事業活動においては、各国の諸法令・社会的規範を遵守し、公正かつ誠実な取引を行う体制を整備しております。

しかしながら、万が一、当社グループの役職員や委託先等による法令違反や不正行為、反社会的勢力との関わり等のコンプライアンスに抵触する事態が発生した場合、社会的信用の失墜等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13) レピュテーションによるリスク

スマートフォンの普及が進んだことやソーシャル・ネットワーキング・サービス(以下、SNS)を活用する人の増加により、時間と場所を選ばず、誰でもが情報を受発信できる環境になっています。SNSは、生活者同士又は生活者と企業との相互コミュニケーションを可能としています。SNS等を通じた情報発信の中には企業に対する批判的な評価や評判も含まれており、それらが拡散することにより、ブランド価値や企業の信用の低下につながる可能性があります。当社においても、SNSを活用した様々な情報発信やブランドのマーケティング活動が年々増加しています。それらの活動で使用された不適切、又は不用意な表現に対する批判的な評価等がSNSを通じて拡散された場合、当社グループのブランド価値や企業の信用を著しく低下させる可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度の当社グループに関する財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下のとおりであります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 経営成績の状況

① 事業全体及びセグメント情報に記載された区分ごとの状況

a. 事業全体の状況

当連結会計年度におけるわが国の経済について、国内における物価高に伴う実質賃金の伸び悩みなどにより個人消費は停滞感が強い状況が続きました。また、国外においては、ロシア、ウクライナ情勢の長期化に加え、米国トランプ政権に対する警戒感の高まりが継続するなど、国内外の経済状況は不透明な状況が続いています。

こうした状況の中、当社グループは「グループの総力、アースの明日へ」をスローガンに掲げ、2026年度までの中期経営計画「Act For SMILE COMPASS 2026」に沿って経営を進めています。本計画では、利益、キャッシュの創出(収益力の向上)を最優先課題として国内の構造改革及び日用品のブランド力向上により収益力の強化を図るとともに、現地法人を通じたアジア市場での展開及び中東などへの輸出事業を成長ドライバーと捉え、海外売上高の拡大を目指してまいります。

当連結会計年度における当社グループの業績については、家庭用品事業では、虫ケア用品において出荷及び消化ともに順調だったことに加え、口腔衛生用品では『モンダミン』シリーズのリニューアルが奏功し、売上は好調な推移となりました。また、総合環境衛生事業において、衛生管理サービスへのニーズの高まりを背景とした契約件数や契約金額が引き続き伸長した結果、売上高は1,791億82百万円(前期比5.9%増)となりました。利益については、原材料価格高騰の影響の長期化や販売費及び一般管理費の増加などがありましたが、増収に伴う売上総利益の増加により、営業利益80億87百万円(前期比25.9%増)、経常利益88億93百万円(前期比20.8%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、52億38百万円(前期比50.7%増)となりました。

 

b. セグメント情報に記載された区分ごとの状況  ※セグメント利益は、連結損益計算書の営業利益ベース

(家庭用品事業)

家庭用品事業においては、中期経営計画に基づいた収益構造改革を行うべく、収益性と将来性を軸にしたブランド・品目の選択と集中の推進、ブランド強化と市場拡大を目指した施策を進めています。また、海外においては、ASEAN・中国での積極展開と輸出事業の拡大に取り組んでいます。

当連結会計年度における当事業の業績については、虫ケア用品は、シーズン中盤以降の気温の急上昇に伴い、出荷及び消化が順調に進みました。口腔衛生用品は『モンダミン』シリーズの抜本的なリニューアルを行うと同時に、積極的な広告宣伝を実施したことにより、売上は好調な推移となりました。また、タイやマレーシアを中心に、海外売上が拡大したことなどが寄与し売上高は1,566億52百万円(前期比5.2%増)となりました。利益面では、人件費や広告宣伝費の増加などがあったものの、増収効果や、価格改定施策・処方変更による収益改善に加え、売上構成変化による売上総利益率の改善などが寄与しセグメント利益(営業利益)は65億1百万円(前期比30.8%増)となりました。

 

(家庭用品事業の業績)

 

 

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減額

増減率

虫ケア用品部門

65,611

67,651

2,040

3.1%

日用品部門

67,653

69,610

1,957

2.9%

口腔衛生用品

8,512

9,230

717

8.4%

入浴剤

25,104

26,489

1,385

5.5%

その他日用品

34,035

33,890

△145

△0.4%

園芸用品部門

4,132

7,998

3,865

93.5%

ペット用品・その他部門

11,516

11,392

△124

△1.1%

売 上 高 合 計

148,913

156,652

7,738

5.2%

セグメント利益(営業利益)

4,968

6,501

1,532

30.8%

 

(注)1.売上高にはセグメント間及びセグメント内の内部売上高又は振替高が含まれており、金額は前連結会計年度では11,333百万円、当連結会計年度では11,388百万円です。

(注)2.販売区分の表示方法について、当連結会計年度より「虫ケア用品部門」に含めておりました「園芸用品部門」の売上を区分して表記しております。なお、「虫ケア用品部門」の前連結会計年度の売上高は「園芸用品部門」を区分した数値に遡及して表示しています。

 

セグメントの業績の概要は次のとおりであります。

 

 

部門別の主な売上高の状況は次のとおりであります。

 

虫ケア用品部門

国内においては、5月中旬以降気温の高い日が続き、市場全体は昨年を上回り、出荷・消化ともに順調に進みました。また、春発売の新製品『はだまも』をはじめとした虫よけ剤や、不快害虫用製品の出荷が順調に推移したことに加えて、価格改定効果が順調に成果として表れており、売上が伸長しました。

海外においては、マレーシアやタイにおける市場シェアの拡大による売上の伸長などが寄与しました。 
   以上の結果、当部門の売上高は676億51百万円(前期比3.1%増)となりました。

 

日用品部門

口腔衛生用品分野においては、厳しい競争環境が続く中、2025年8月末に主力の洗口液『モンダミン』シリーズの大幅リニューアルを実施し、合わせて若年層をターゲットとした積極的な広告宣伝の投入が奏功した結果、売上が好調に推移し、売上高は92億30百万円(前期比8.4%増)となりました。

入浴剤分野においては、市場が前年を上回る中、『バスクリン』や『バスロマン』などの粉剤は消化が前年を下回る推移となりました。一方で、『きき湯』や高付加価値商品群の中性重炭酸入浴剤『BARTH』などの売上が堅調に推移し、売上高は264億89百万円(前期比5.5%増)となりました。

その他日用品分野においては、猛暑対策を目的としたシャツミストやネッククーラーなどの冷却剤の売上が伸長しましたが、消臭芳香剤や除湿剤などの売上が前年を下回った結果、売上高は338億90百万円(前期比0.4%減)となりました。

以上の結果、当部門の売上高は696億10百万円(前期比2.9%増)となりました。

 

 園芸用品部門

  園芸用虫ケア用品や除草剤、ガーデニング用の培養土を中心に売上が好調に推移しました。また、株

 式会社プロトリーフの新規連結により売上が増加しました。

  以上の結果、当部門の売上高は79億98百万円(前年同期比93.5%増)となりました。

 

ペット用品・その他部門

ペット用品分野においては、飼い主のペットに対する健康意識の高まりやペットの住環境の充実などを受け、一頭あたりにかける費用は増加傾向にあり、ペット関連市場は好調を維持しています。こうした状況の中、ケア用品の売上が伸長しましたが、ペット用虫ケア用品や機能性フードの売上が前年を下回りました。

以上の結果、当部門の売上高は113億92百万円(前期比1.1%減)となりました。

 

 

(総合環境衛生事業)

総合環境衛生事業においては、製造業の設備投資回復に加え、国内の異物混入問題を背景に衛生管理の充実が強く求められる中、食品・医薬品工場等で当社グループの専門知識や技術による高品質な支援サービスへのニーズが高まりました。一方、人件費や資機材価格の高騰が継続しました。

こうした中、サービスの差別化を図るべく、専門人財の育成やAI・IoT活用の開発投資を加速させ、取引拡大に加え、効率化、高付加価値化による適正な利益の確保を図りました。特に、食品工場の製造ラインの清掃では、IoTによる遠隔技術指導体制を構築し、現場の生産性向上とサービス品質の均一化を図りました。また、医薬品や再生医療に関する衛生管理支援やJFS規格適合証明における監査件数は引き続き堅調を維持しました。研究開発分野では、分析センター東日本ラボでの医薬品関連の検査や試験の受託が増大しました。また、彩都総合研究所<T-CUBE>に、労災ゼロへの取組として開設した『安全体感ラボ』の体験設備を拡充しています。危険の疑似体験を通じてリスク回避能力を磨き、安全行動の徹底を期すとともに、お客様向けセミナーを開催し、社内外の労働災害防止に貢献しました。

連結会計年度における当事業の業績については、原価率の上昇や人財への積極投資に伴う人件費の増加などがあったものの、取引先の増加により売上高は341億48百万円(前期比7.1%増)、セグメント利益(営業利益)は15億30百万円(前期比2.0%増)となりました。

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減額

増減率

売 上 高

31,888

34,148

2,260

7.1%

セグメント利益(営業利益)

1,500

1,530

29

2.0%

 

(注)  売上高にはセグメント間及びセグメント内の内部売上高又は振替高が含まれており、金額は前連結会計年度では191百万円、当連結会計年度では230百万円です。

 

c. 目標とする経営指標の達成状況等

当社グループは、中期経営計画「Act For SMILE COMPASS 2026」を2024年2月に公表しております。最終年度の定量目標として掲げた連結売上高1,700億円、営業利益70億円、親会社株主に帰属する当期純利益43億円については、既に1年前倒しで達成しています。

当連結会計年度は、グループ再編をはじめとした構造改革に取り組みながらも、虫ケア用品の価格改定の実施、口腔衛生用品の『モンダミン』シリーズの抜本的なリニューアル、総合環境衛生事業が好調だったことなどにより、売上高は1,791億82百万円となりました。加えて、営業利益も売上の増加による売上総利益の増加や価格改定施策・処方変更による収益改善などにより80億87百万円となり、当初計画を大きく上回る結果となりました。親会社株主に帰属する当期純利益及びROE、ROICは、52億38百万円及び7.3%、6.8%となりました。

2027年からの推進を予定している次期中期経営計画においても持続的な成長を図るべく、価格改定の実施やSKU削減、海外展開の拡大などにより培った「稼ぐ力」を活かし、さらなる成長を図ります。

 

② 生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

家庭用品事業

165,183

+4.5

合計

165,183

+4.5

 

(注) 1. 金額は、販売実績に基づいた価格によっております。

2. 総合環境衛生事業はサービス事業であるため、生産実績はありません。

 

 

b. 商品仕入実績

当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

仕入高(百万円)

前年同期比(%)

家庭用品事業

58,675

+5.4

総合環境衛生事業

2,093

△18.2

合計

60,768

+4.4

 

(注) 1. セグメント間取引については、相殺消去しております。

2. 金額は、仕入実績に基づいた価格によっております。

 

c. 受注状況

当社グループは、見込生産を行っているため、該当事項はありません。

 

d. 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

家庭用品事業

145,263

+5.6

総合環境衛生事業

33,918

+7.0

合計

179,182

+5.9

 

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

               2. 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

株式会社PALTAC

45,178

26.7

45,667

25.5

㈱あらた

40,191

23.7

40,307

22.5

㈱大木

17,639

10.4

19,626

11.0

 

 

 

(2) 財政状態の状況

(資産)

当連結会計年度末における資産の残高は、前連結会計年度末より137億46百万円増加し、1,493億82百万円となりました。

流動資産の残高は、前連結会計年度末より92億65百万円増加し、843億39百万円となりました。これは主に、現金及び預金が63億20百万円、棚卸資産が24億19百万円増加したことなどによるものです。

固定資産の残高は、前連結会計年度末より44億80百万円増加し、650億43百万円となりました。これは主に、建物及び構築物が11億12百万円、土地が10億34百万円減少した一方、投資有価証券が11億89百万円、退職給付に係る資産が46億5百万円増加したことなどによるものです。

(負債)

当連結会計年度末における負債の残高は、前連結会計年度末より71億8百万円増加し、680億92百万円となりました。

流動負債の残高は、前連結会計年度末より50億76百万円増加し、629億54百万円となりました。これは主に、未払法人税等が8億38百万円減少した一方、仕入債務が26億65百万円、短期借入金が24億20百万円、その他流動負債が8億74百万円増加したことなどによるものです。

固定負債の残高は、前連結会計年度末より20億31百万円増加し、51億37百万円となりました。これは主に、繰延税金負債が19億46百万円増加したことなどによるものです。

(純資産)

当連結会計年度末における純資産の残高は、前連結会計年度末より66億38百万円増加し、812億90百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上などにより利益剰余金が26億25百万円、その他有価証券評価差額金が6億47百万円、退職給付に係る調整累計額が20億66百万円増加したことなどによるものです。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

① 現金及び現金同等物

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べて61億54百万円増加し、229億30百万円となりました。

 

② 営業活動によるキャッシュ・フロー

営業活動の結果、増加した資金は107億95百万円(前期は139億64百万円の増加)となりました。この主な内容は、税金等調整前当期純利益80億75百万円(前期は59億46百万円)、減価償却費45億78百万円(前期は44億24百万円)、仕入債務の増加20億42百万円(前期は24億90百万円の増加)、減損損失6億59百万円(前期は13億8百万円)、棚卸資産の増加額18億40百万円(前期は12億72百万円の増加)、法人税等の支払額24億9百万円(前期は25億6百万円)であります。

 

③ 投資活動によるキャッシュ・フロー

投資活動の結果、減少した資金は37億59百万円(前期は52億80百万円の減少)となりました。この主な内容は、有形固定資産の取得による支出29億49百万円(前期は38億91百万円)、無形固定資産の取得による支出12億23百万円(前期は8億75百万円)であります。

 

④ 財務活動によるキャッシュ・フロー

財務活動の結果、減少した資金は10億16百万円(前期は99億1百万円の減少)となりました。この主な内容は、短期借入金の純増加額20億30百万円(前期は50億円の純減)、長期借入金の返済による支出1億19百万円(前期は該当なし)、非支配株主への配当金の支払額1億76百万円(前期は1億74百万円)、配当金の支払額26億13百万円(前期は26億10百万円)であります。

 

⑤ キャッシュ・フロー関連指標の推移

 

 

 

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

営業活動によるキャッシュ・フロー

13,964

10,795

△3,168

投資活動によるキャッシュ・フロー

△5,280

△3,759

1,521

財務活動によるキャッシュ・フロー

△9,901

△1,016

8,884

現金及び現金同等物に係る換算差額

487

135

△351

現金及び現金同等物の増減額

△729

6,154

6,884

現金及び現金同等物の期末残高

16,775

22,930

6,154

 

 

 

⑥ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループは、営業活動から得られる自己資金、金融機関からの借入などを資金の源泉としております。また、当社及び国内連結子会社間でキャッシュ・マネジメント・システム(CMS)を導入しており、各社の余剰資金を当社へ集中して一元管理を行うことで、資金の流動性の確保と資金効率の最適化に努めております。

設備投資やM&Aなどに伴う長期的な資金需要については、資金需要が見込まれる時点で、内部留保に加え、金融機関からの長期借入及びエクイティ・ファイナンスなどを活用して対応しております。また、運転資金など短期の資金需要については、自己資金及び短期借入を充当しております。

今後に向けては、構造改革を断行する資金を投じつつ、中長期に持続的な成長を図るための投資として、IT・DX投資を含む設備投資を積極的に推進するとともに、国内外を問わず事業規模・領域の拡大、適切な収益の確保及びキャッシュ・フローの創出に貢献するM&Aの実施を検討します。これら投資の際には、資本コストや投資採算性を十分に考慮するものといたします。

 

⑦ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

当社グループの連結財務諸表の作成にあたって重要となる会計方針及び会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等  (1)連結財務諸表 注記事項」に記載しております。

なお、会計上の見積り及び当該見積りに用いられた仮定が特に重要な影響を及ぼすと考えられる、固定資産の減損会計や繰延税金資産の回収可能性等の会計上の見積りは、連結財務諸表作成時において入手可能な情報に基づき合理的に判断し実施しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りとは異なる場合があります。

 

 

5 【重要な契約等】

当社は、2025年3月11日開催の取締役会において、当社の連結子会社である株式会社バスクリンを吸収合併することを決議し、同日付けで合併契約を締結し、2026年1月1日付で吸収合併いたしました。

詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」の(重要な後発事象)をご参照ください。

 

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループは「生命と暮らしに寄り添い、地球との共生を実現する。」を経営理念に、めまぐるしく変わる国内外の市場環境や消費者志向に対応すべく、常に「お客様目線」に立ってニーズを発掘する姿勢、提供のタイミングを逃さない開発スピードを念頭におき、クオリティの高い安全な高付加価値製品を創造しております。

当連結会計年度における当社グループの研究開発費は3,597百万円でありました。

報告セグメント別の研究開発活動は以下のとおりであります。

 

(1) 家庭用品事業

① 基本方針

当事業では、お客様の生活空間の質向上を目的に、基礎的な研究を充実させ、お客様目線を第一に、独創的で高品質な製品を他社に先駆けて、提供することを目指しております。

この方針のもと、お客様や小売店様からの要望、国内外の市場動向、技術動向などに関する情報の入手・調査・分析を行い、スピーディに、新製品開発及び既存製品の改良に取り組んでおります。

 

② 虫ケア用品にかかる研究

ハエ・蚊・ゴキブリ・ダニ・ノミ・マダニ・シラミなど健康被害を及ぼす衛生害虫や、アリ・ハチ・ムカデなどの不快害虫の駆除あるいは忌避を目的とした虫ケア用品の研究開発を行っております。近年の傾向として、特定害虫専用の駆除剤、忌避・予防製品、殺虫成分を含まない製品、さらには使用時の不快感が少ない、香りを重視した製品の需要が高まっており、これら特定製品のニーズの高まりにも応えるべく取り組んでおります。

当連結会計年度の主な研究成果は以下のとおりであります。

人体用虫よけの分野においては、「肌によくなさそう」というイメージを払拭するため、スキンケア発想で設計した新ブランド『はだまも』を立ち上げました。長時間続く虫よけ効果はもちろんのこと、お肌にやさしい弱酸性かつ4種のうるおい成分を配合することで、これまで虫よけ剤を敬遠していたお客様にも安心してお使いいただける製品となっております。

また、ダニ対策製品において、『アースダニよけスプレーハーブの香り』のラインナップに、新たに『アースダニよけスプレーハーブの香りつめかえ用』を追加いたしました。本体容器の再利用を推進することで、廃棄物の削減に取り組んでいます。

 

③  日用品にかかる研究

お客様の健康や、居間・浴室・トイレ・キッチンなどの居住空間の質向上に役立つ製品の提供を目指し、口腔衛生用品、入浴剤、消臭芳香剤、防虫剤、住居関連用品、ネズミ用駆除剤、脱臭・消臭剤、育毛剤、ペット用品などの研究開発を行っております。

当連結会計年度の主な研究成果は以下のとおりであります。

マウスウォッシュ市場においては、1987年より発売してきた『モンダミン』を、38年ぶりにリニューアルいたしました。「お口年齢ケア」に着目し、美と健康の両面からお口のケアに貢献するブランドへと生まれ変わりました。洗浄力を強化するとともに、香味も改良し、より心地よい使用感を追求しています。これにより、オーラルケア習慣の定着とマウスウォッシュ市場のさらなる拡大を目指します。

入浴剤市場では、温浴効果だけでなく、美容や疲労回復といった付加価値への関心が高まっています。多様化するニーズに対応すべく、新ブランド「OFFROM」を立ち上げました。本ブランドは、カラダ・キモチ・お肌をトータルで整えることを目指しており、トレンドや美容に敏感な若年層のお風呂時間を活用した自分磨きや、身体のコンディション調整をサポートします。

白元アース㈱においては、日常生活における不快なニオイの代表格である「靴のニオイ」に着目いたしました。靴用消臭スプレーに関する消費者の購入重視点を分析した結果に基づいて、強力な消臭力に加え、除菌効果と速乾性を追求した『ノンスメル さわやかシューズ JET STRONG』を発売いたしました。市場ニーズに即した機能強化を図ることで、生活空間の質向上に貢献しております。

アース・ペット㈱は、大切な家族の一員であるペットのスキンケアを目的とした保湿クリーム『PetPit Cream』を発売いたしました。高い保水力を持つ天然成分を配合し、飼い主様とペットのより快適な暮らしをサポートします。

 

④ 園芸用品にかかる研究

虫ケア用品で培ってきた技術やノウハウを活かし、“安全”、“優れた効果”、“使いやすい”、“わかりやすい”を基本理念に、園芸愛好家の方から初心者の方まで幅広くご使用いただける園芸用品の研究開発を行っております。

当連結会計年度の主な研究成果は以下のとおりであります。

家庭園芸における屋外作業をより快適に行える環境をサポートするために、『アースガーデン ヤブ蚊プッシュ』を上市いたしました。作業前に周囲へ噴射するだけで、ヤブ蚊の駆除と約8時間のバリア効果を発揮します。屋外作業の大きな障壁であった虫刺されの不安を解消することで、より手軽で快適な園芸環境の実現に貢献しております。

また、成長著しい観葉植物市場においては、『BotaNice』シリーズのラインナップを拡充しております。2025年は、観葉植物栽培における潜在的な課題であった衛生面に着目し、土面のカビ発生を抑制して美観を維持する『BotaNice 土のカビ予防スプレー』を上市いたしました。従来の虫・病気対策に加え、住環境との調和を求める新たなニーズに応えることで、市場のさらなる活性化を図っております。

 

当連結会計年度における家庭用品事業の研究開発費は3,467百万円となりました。

 

(2) 総合環境衛生事業

① 検査・検定にかかる研究

当事業では、主に契約先からの各種検査・同定や異物検査依頼に対し、正確かつ迅速な体制を構築するため、「分析センター西日本ラボ(大阪府茨木市)」及び「分析センター東日本ラボ(千葉県千葉市)」の二拠点を設置しております。

両センターでは「迅速・正確・お客様第一」という基本方針のもと、食品や医薬品をはじめとした幅広い業種のお客様を対象に、高度な分析サービスを提供しております。国際規格であるISO/IEC 17025の試験所認定を取得するなど、グローバルな信頼性の確保に注力しています。具体的には、微生物検査においては、製品、原材料、製造環境や工程に存在する微生物の検査や菌種の同定を行っており、迅速測定法も積極的に導入しております。異物検査では、形態観察による確認、FT-IRや蛍光X線分析装置による化学的分析による、製品混入異物などの分類や同定を行っております。

また、DNA解析を活用した生物種の判定(遺伝子同定)や、受託試験、検査員の技術向上を図る研修事業も展開しております。特に、近年の施設・設備拡充を背景に、医薬品関連の検査や受託試験の依頼が堅調に推移しております。

 

② 調査・施工等にかかる研究

研究開発分野では、高品質な衛生環境の維持・管理を目的として、有害生物や微生物による汚染を防止する薬剤・機材の開発及び技術改良を継続しております。特に彩都総合研究所を核とし、AIやIoT等の先端技術を融合させた新たな衛生管理ソリューションの創出に取り組んでおります。

これらの活動においては、産官学連携による共同研究や実証実験を通じて科学的根拠(エビデンス)を蓄積し、公的なガイドライン作成への参画等を通じて業界全体の技術水準向上にも寄与しております。引き続き、高付加価値サービスの提供を目指してまいります。

 

③ 今後の方針

総合環境衛生事業におきましては、「技術力」及び「専門性」を重点課題に据え、検査業務と研究開発の更なる高度化を最優先課題として取り組んでまいります。検査・同定にかかる業務においては、「迅速・正確・お客様第一」という基本方針のもと、食品や医薬品をはじめとした幅広い業種のお客様を対象に、引き続き、高度な分析サービスを提供してまいります。

研究開発分野では、既存の研究開発フローを抜本的に見直し、お客様の課題解決に直結する次世代技術や実用的な新商材の創出を加速させます。特に、AI監視システム『ペスクル』シリーズをはじめとするデジタル技術の導入促進を図るとともに、科学的根拠に基づく衛生管理システムの確立に積極的に取り組みます。

 

当連結会計年度における総合環境衛生事業の研究開発費は129百万円となりました。