当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、2019年に、より長期的な視点から10年後にありたい姿としての経営ビジョンNext10を策定しましたが、新型コロナウイルス感染症の影響、世界的な脱炭素社会への加速などによる外部環境の激変に対応するため、期間を2030年までとしたNext10(2030)に改訂いたしました。Next10(2030)では「事業ポートフォリオの深化」を掲げ社会課題の解決、お客様の価値向上を目指して当社のビジネスモデルを変革してまいります。
当社グループは、2025年度を初年度とする2027年度までの中期経営計画(2027)を策定しております。
中期経営計画(2027)は、「事業領域拡大」のステージと位置づけております。
財務戦略は、企業価値向上に向け、「資本効率性の向上として資本構成バランスの最適化、そして政策保有株式の縮減」、及び「株主還元の拡充として、安定的な配当及び配当性向の更なる向上、そして自己株式取得の検討」を主たる政策として取り組みます。
また、中長期的に企業価値を向上させるため、人的資本投資やESG・SDGsといった非財務資本的価値の企業価値への反映が必要不可欠であり、取締役会を中心としたコーポレート・ガバナンス改革と、サステナビリティ推進部が進めるESG各テーマへの取組みが、中期経営計画(2027)で更に重要度を増すと考えています。
当社グループの対処すべき課題は、経営ビジョンNext10(2030)及び中期経営計画(2027)の目標を達成することであります。
前中期経営計画は、経営ビジョンNext10(2030)での2030年のありたい姿「要素技術を通じて、新たな価値を創造し、お客様から選ばれるソリューションパートナー」を実現すべく、「お客様の価値向上と社会課題の解決に貢献し、事業を通じて、社会・環境価値を創出する」ことを目指し、「土台作り&基盤強化」に取り組みました。
2025年においては、売上高850億円、営業利益53億円、親会社株主に帰属する当期純利益44億円の目標に対して、売上高866億円、営業利益61億円、親会社株主に帰属する当期純利益38億円となりました。
外部環境は、原料価格が比較的安定しておりますが、中国、米国、中東の情勢不安や地政学的混乱の影響と国内外のエチレンメーカー再編の可能性があり、原料価格の動向には引き続き注視が必要であります。光学関連市場では、65インチ以上の大型化傾向が継続し、高精細、高輝度、広視野角といった液晶テレビの高機能化が進むため、広幅光学フィルムの需要が増加すると予測しております。住宅市場では、人口減少に伴い、新設住宅着工戸数は減少傾向にありますが、リフォーム適齢期の住宅が約8割以上を占めるため、リフォーム需要が高まると見込んでおります。このような外部環境の中、国内事業はR&D機能の強化、高機能・高付加価値事業に注力し、汎用化・労働集約型事業は、生産拠点の海外化や海外のパートナー企業との連携を模索していきます。
中期経営計画(2027)では「事業領域拡大」のステージと位置づけ、築き上げた成長への土台をベースに成長戦略を加速させるとともに、事業戦略・財務戦略・非財務戦略の各施策の実行により、業績目標の達成とさらなる企業価値の向上を目指してまいります。
当社グループは、投下資本の運用効率や収益性を測る指標として調整後ROE(特別損益を除く親会社株主に帰属する当期純利益を自己資本の期中平均で除した自己資本当期純利益率)を重視しております。当社の目標は調整後ROE7.5%を2027年度に達成することであります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは以下のとおりです。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
当社グループでは、サステナビリティ基本方針『「社会から信頼される企業」であり続けるために、事業を通じて、社会との共生を念頭に企業の成長を目指す』を掲げ、各種取組みを展開しています。当該取組みは、サステナビリティ推進部が企画・立案し、サステナビリティ委員会に付議されます。
サステナビリティ委員会は取締役会直下に設置された組織で、サステナビリティ推進担当取締役が委員長を務め、全取締役及び全執行役員で構成されます。執行役員は執行の立場から取組みの実行可能性や効果などを検討し、取締役(社外取締役を含む)は監督の立場から、サステナビリティ推進活動が社会動向に適合しているかなどを確認します。これらの議論を踏まえ、対応方針や実行計画の決定及び進捗状況の監督を行っています。
同委員会は年2回の定例開催に加え、必要に応じて臨時開催しています。
委員会で決議されたうち、環境に関する施策は環境管理部が環境保全委員会を通じて推進します。また、女性活躍、職場環境、健康経営に関する施策は、総務・人事部が女性分科会や健康分科会を通じて、従業員の意見を踏まえながら進めています。
これらの体制により、当社グループはサステナビリティに関する施策を組織横断的かつ継続的に推進しています。
(サステナビリティ委員会)
委員長:サステナビリティ推進担当取締役
構成:取締役(社外取締役を含む)及び執行役員 計 18名
2025年度の開催回数:全2回
出席率:第1回100%(委員全員出席)、第2回100%(委員全員出席)
2025年度の主な議題・報告
・サステナビリティ推進活動の議論・報告
・マテリアリティと事業継続のための基盤に関する議論・報告
・ICP(インターナルカーボンプライシング)の価格変更に関する決議
・健康分科会の設立に関する決議 ほか

当社グループは、2020年に企業活動が事業及び社会課題に与える影響を評価し、優先順位を付けることで、当社グループが真に取り組むべきマテリアリティ(重要課題)を特定しました。併せて、事業継続に不可欠な4つの基盤項目も設定しています。
特定したマテリアリティは以下の6項目です。
・脱炭素経営(気候変動対策)の推進
・資源循環対策の更なる推進
・環境貢献製品の創出と拡大
・サステナブル調達の推進
・DX推進による競争優位性の確保
・イノベーション創出に向けた研究開発
また、事業継続の基盤となるテーマとして、以下の4項目を設定しています。
・企業の信頼性・透明性の向上
・汚染防止の徹底
・地域社会との共生
・働きがいのある職場環境の整備
中期経営計画(2027)の策定にあたり、これらのマテリアリティ及び事業継続のための基盤に基づく施策及びKPIを見直しました。当社グループではサステナビリティを経営戦略の中心に据えた積極的な活動を推進していきます。

当社グループでは、気候変動をはじめとする地球規模の環境問題、人権の尊重、従業員を含むすべてのステークホルダーへの公正かつ適正な事業活動など、社会や企業のサステナビリティに関するリスク管理をサステナビリティ委員会において実施しています。
加えて、コンプライアンスに関するリスク管理を強化するため、「コンプライアンス委員会」を設置しています。同委員会は代表取締役社長執行役員を委員長とし、全取締役で構成され、原則年2回開催しています。委員会では、コンプライアンス強化に向けた施策方針の決定、現場へのコンプライアンス意識の浸透を図るための具体的な施策の審議、及び内部通報への対応状況の確認などを行っています。
また、その配下に各事業部の担当者で構成される「コンプライアンス実行委員会」を設置し、コンプライアンス施策の現場への浸透や周知啓発活動、及び内部通報への対応などを実施しています。
これらの体制のもと、当社グループはサステナビリティに関するリスクと機会を適切に管理し、ステークホルダーに向けた積極的な情報開示と継続的な改善を進めています。
(コンプライアンス委員会)
委員長:代表取締役社長執行役員
構成:取締役(社外取締役を含む)計 11名
2025年度の開催回数:全2回
出席率:第1回100%(委員全員出席)、第2回100%(委員全員出席)
2025年度の主な議題・報告
・品質保証体制に関する議論・報告
・コンプライアンス推進月間に関する議論・報告
・内部通報の傾向に関する報告 ほか
当社グループは、2020年に特定した「マテリアリティ」及び「事業継続のための基盤」それぞれについて、取組み指標(KPI)を設定しています。 中期経営計画(2027)の策定にあたり、これらのKPIを見直し、より実効性の高い指標へと更新しました。見直し後のKPIは以下のとおりです。
[マテリアリティ]

[事業継続のための基盤]

① 人的資本
(1)ガバナンス
当社グループでは、人的資本に関する課題を把握し、施策に反映するため、「社会関連ワーキンググループ」及びその下部組織である「女性分科会」「健康分科会」を設置しています。女性分科会や健康分科会で取りまとめられた制度や施策に関する提案は、社会関連ワーキンググループで検討されたのち、サステナビリティ委員会に付議され、全社的な人的資本施策に反映されます。
(社会関連ワーキンググループ)
事務局:サステナビリティ推進部
構成:サステナビリティ推進部、総務・人事部、各部門から選出された従業員
主な議題:人的資本に関する新たな施策や制度の検討
(女性分科会)
事務局:総務・人事部
構成:各部門から選出された女性従業員
主な議題:女性従業員が抱える課題の把握と、それらに対応するための制度や施策の検討
(健康分科会(2025年設立))
事務局:総務・人事部
構成:各事業所の衛生管理者
主な議題:当社グループが抱える健康関連の課題の共有と、それらに対応するための制度や施策の検討
(2)戦略
当社グループは、経営ビジョン Next10(2030)の実現に向け、経営戦略や成長戦略を支える人財を採用・育成するために、人的資本への投資を強化しています。当社グループには「誠実かつ粘り強い人材」が多数在籍していますが、事業環境の変化に対応し、新たな価値を創出するためには、「イノベイティブかつチャレンジブルなリーダーシップ」が不可欠です。その実現に向け、以下の重点施策を推進しています。これらの取組みは、従業員エンゲージメントの向上にもつながるものと考えます。
・教育・育成プログラムの再構築
・人事・評価制度の深化
・女性活躍・多様な人材の採用促進
・健康経営の推進
(3)リスク管理
当社グループでは、従業員の意見や要望などを適切に把握するために「職場委員会」を設置しています。職場委員会では、各職場を代表する職場委員が、賃金・福利厚生などの人事課題やその他の要望を提示し、会社を代表する者と話し合いを行います。
施策や制度などに関する重要な課題や要望については、総務・人事部で検討し、取締役会に報告を行います。取締役会で検討・決定された結果は職場委員会を通じて従業員に報告され、施策や制度の浸透や啓発を行います。
職場委員会における誠実な話し合いを通じて、相互の理解と信頼を深め、社業の発展と従業員の生活の向上を図り、人的資本に関するリスク低減を目指します。
(職場委員会)
事務局:総務・人事部
構成:各事業所で選出された職場委員
主な議題:賃金・福利厚生などの人事課題、その他の要望
(4)指標と目標
当社グループでは、人的資本経営に関連するKPIとして「女性管理職者比率」を設定しています。また、「新卒女性比率」「女性役職者比率」の向上にも取り組んでいます。2025年12月31日時点(当社単体)では、女性役職者は71名(全役職者に占める割合:14.7%)、女性管理職者は6名(全管理職者に占める割合:4.7%)となっています。2027年12月末には、女性管理職者比率を8.0%以上とすることを目指します。
健康経営に関するKPIとして「プレゼンティーズム」及び「ワークエンゲージメント」を設定しています。2025年の実績は、プレゼンティーズム(健康問題による出勤時の生産性低下)が27.9%、ワークエンゲージメント(仕事にやりがいを感じ、熱心に取り組み、仕事から活力を得ている状態)が2.5ptでした。健全で健康な職場環境を追求し、従業員一人ひとりの生産性を高めていきます。
「インターンシップ参加者数」「障がい者雇用率」「年次有給休暇取得率」「育児・介護休業制度等の利用状況」については具体的な目標値を設定していませんが、これらの推移を確認しながら、人材の確保・育成に向けた取組みを進めています。従業員が自らの能力を最大限発揮できる働きやすい職場環境づくりや、ライフステージに応じた柔軟な働き方が選択できる環境整備を推進していきます。
なお、人的資本に関する指標のうち、連結グループ全体でデータ管理が行われていない項目については、主要事業を営む提出会社の実績を記載しています。
新卒女性比率の推移
インターンシップ参加者の推移
障がい者雇用者数、雇用率の推移
年次有給休暇取得日数、取得率の推移
当事業年度における育児・介護休業制度等の利用状況
② 気候変動
(1)ガバナンス
気候変動に関する取組みは、サステナビリティに関する施策の一つとして、サステナビリティ委員会において議論・意思決定が行われています。決定された施策は各部門・事業所・工場で実行され、その進捗はサステナビリティ推進部が取りまとめ、サステナビリティ委員会に報告します。
また、重要なテーマについては環境管理部が主体となり、環境マネジメントシステムを通じて取組み状況を継続的に管理し、マネジメントレビューを実施しています。これらの状況については、ステークホルダーに向けて積極的に情報開示を行っています。
(2)戦略
当社グループは、気候変動に伴うリスクと機会を明確にするため、4℃シナリオ及び1.5℃シナリオの2つを設定し、シナリオ分析を実施しました。分析にあたっては、主要事業部である合成樹脂事業部、新規材料事業部、建材事業部のバリューチェーンごとに、主要なリスクと機会を抽出し、財務インパクトの算定及び対応策の検討を行いました。
今後も、これらのシナリオ分析の精緻化を進めていきます。
・4℃シナリオ
「気候変動対策が進まず成行きのまま気温が上昇し、それによる物理的リスク・機会が発生するシナリオ」を4℃シナリオとして、「急性」「慢性」について分析を行いました。

・1.5℃シナリオ
「温暖化防止に向けて様々な活動が実施され、脱炭酸社会への移行に伴うリスク・機会が発生するシナリオ」を1.5℃シナリオとして「政策・規制」「技術」「市場」「評判」について分析を行いました。

シナリオ分析の結果、識別した主要なリスク及び機会の対応策は下記のとおりです。

詳細については、下記にて開示しております。
(3)リスク管理
当社グループが気候変動リスク及び機会を選別・評価するプロセスは事業部ごとに以下のステップで実施しています。これらのリスク及び機会の管理は「ガバナンス」の項目で示した体制で実施していきます。

(4)指標と目標
[脱炭素経営の推進]
当社グループでは、脱炭素経営の推進をマテリアリティとして定め、気候変動の要因となるCO2排出量の削減に取り組んでいます。
当社グループ※1のCO2排出量(Scope1・2)の削減目標は、以下のとおりです。
2027年:2021年比25%以上(2013年比40%以上に相当)削減
2030年:2021年比37%以上(2013年比50%以上に相当)削減
2025年のCO2排出量は99,692 t-CO2※2であり、2021年比で約18.4%の削減となりました。引き続き、高効率設備の導入や再生可能エネルギーの活用を進め、目標達成に向けて着実に取り組んでいきます。
※1:当社+国内連結子会社+大倉産業株式会社+オー・エル・エス有限会社+大友化成株式会社+大倉工業健保組合
※2:2025年のCO2排出量の数値は第三者検証受審中です。受審後に数値が変更になる場合があります。
※3:2021年~2024年の数値は第三者検証受審済。

[環境貢献製品の創出と拡大]
当社グループは、環境貢献製品の創出と拡大をマテリアリティとして定めています。環境に貢献する製品を「Caerula®(カエルラ)」として認定し、3つのランクに分類しています。Caerula®認定制度は2019年に構築し、SDGsへの貢献、省資源・資源循環、環境汚染防止、リサイクルしやすい設計など、独自基準に基づいて製品を認定しています。
生活サポート群製品(生活に密着した住や食に関わり、人々の安心で快適な生活を支える製品)におけるCaerula®認定製品の売上高比率については、2027年に75%以上、2030年に100%とすることを目標としています。2025年の実績は61%でした。
今後も、既存製品への環境価値の付加や新製品の開発を通じて、サーキュラーエコノミーの推進に努めていきます。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
これらのリスクが顕在化した場合、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性がありますが、当社といたしましては、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応として、代替する事業計画を機動的に策定し、その遂行に努める方針であります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは主に合成樹脂事業、新規材料事業、建材事業を通じて広範な産業に製品を供給しており、需要動向の変化や技術革新による市場環境の変化により、当社グループの製品に対する需要減退や製品価格の下落等が発生した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(2) 合成樹脂事業の経営成績が、原料価格の変動等により影響を受ける可能性があることについて
当社グループの合成樹脂事業で製造するフィルムの主原料は石油化学製品であるため、原油価格や為替の変動が原料価格動向に大きく影響し、価格変動分を製品価格に転嫁できなかった場合、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(3) 新規材料事業の経営成績が、特定の地域情勢の影響を受ける可能性があることについて
当社の新規材料事業における光学機能性フィルム関連製品の売上高は、中国向けが多くを占めております。当社の顧客となる光学部品メーカー及び最終製品メーカーの多くが製造拠点を中国に集中していることに伴い、当社製品の納入先も顧客の製造拠点である中国となるケースが多くあります。中国は重要な事業展開地域であり、今後、中国の経済、政治、法律、社会情勢等に何らかの変化があった場合、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(4) 建材事業の経営成績が、新設住宅着工戸数の増減により影響を受ける可能性があることについて
当社グループの建材事業の製品は、主に住宅の建築資材となっているため新設住宅着工戸数の減少による需要の減少及び価格競争の激化が起こった場合、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(5) 固定資産の減損について
産業用途向けなどの一部の製品分野においては、技術革新のスピードが速く、市場環境が急激に変化し続けているため、これまでに投資した設備について、資金回収が終わらないうちに稼働率が著しく低下した場合、減損損失などの特別損失が発生し、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループは品質管理に留意して製品の生産を行っておりますが、当社グループの製品に欠陥があった場合、賠償責任を負い当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループでは当該リスクに対する取り組みとして、コーポレートセンターにおいて品質に関するリスク等の様々なリスクに対する予防活動及びクライシス発現時の緊急対応準備に努めております。また、製造物責任賠償については生産物賠償責任保険(PL保険)に加入しています。
当社グループの合成樹脂事業の生産設備は香川県、埼玉県、静岡県、滋賀県、岡山県、熊本県に分散させておりますが、新規材料事業、建材事業の生産設備は香川県に集中しております。地震、台風、津波等の自然災害、感染症、事故、火災、停電、戦争、テロ等により、当社グループの事業拠点における生産設備の損壊や、国内外の経済活動の著しい停滞等が生じ、当社グループの事業活動に甚大な影響を及ぼした場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。当社グループでは当該リスクに対する取り組みとして、香川県内の臨海部にある生産設備を津波の心配がなく地盤が安定している内陸部の山側へ分散させることにより、事業停滞の影響を最小限にするように努めております。
(経営成績等の状況の概要)
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下
「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、物価上昇に伴う個人消費の落ち込みによる影響を受けたものの、所得環境の改善やインバウンド需要が堅調に推移していることなどにより、緩やかな回復基調で推移しました。また、先行きにつきましては、政府による物価高対策を含む総合経済対策の実施などへの期待感があるものの、財政拡大に伴う長期金利の上昇や日銀の政策金利引き上げ、人手不足、日中関係の不安定化などが懸念されることから、今後を見通すことが依然として困難であり、不透明な状況が続いております。
このような状況のもと、当社グループでは、新規材料事業において大型液晶テレビ用ハイエンドディスプレイ向け光学フィルムが好調に推移したことなどにより、当連結会計年度の売上高は866億5千8百万円(前年同期比6.7%増)となりました。
利益面では、売上高の増加に加えて、新規材料事業において昨年稼働を開始した新工場の操業が安定してきたことや生産性の向上によるコスト削減が寄与したことなどにより、営業利益は61億8千5百万円(前年同期比35.5%増)、経常利益は64億2千8百万円(前年同期比25.8%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、合成樹脂事業において減損損失を計上したことなどにより、38億1千5百万円(前年同期比12.5%減)となりました。
セグメント別の経営成績は次のとおりであります。
〔合成樹脂事業〕
物価上昇に伴う需要逓減により食品や日用品を中心とした包装用フィルムの販売数量は減少しました。一方で、環境保全意識の高まりを背景に詰替用パウチやシュリンクフィルム及び農業用フィルムの薄膜品などの環境貢献製品は販売が堅調であり、光学用途の工業用プロセスフィルムの販売も好調に推移しました。この結果、売上高は526億7千1百万円(前年同期比1.6%増)となりました。また、営業利益は販売価格改定や生産性の向上などによるコスト削減が寄与したことで、55億2千4百万円(前年同期比24.0%増)となりました。
〔新規材料事業〕
大型液晶テレビ用ハイエンドディスプレイ向け光学フィルムが好調に推移したことにより、売上高は189億2千8百万円(前年同期比29.6%増)となりました。営業利益は売上高の増加に加えて、昨年稼働を開始した新工場の操業が安定してきたことなどにより、24億8千1百万円(前年同期比98.9%増)となりました。
〔建材事業〕
基盤事業のパーティクルボード事業は新設住宅着工戸数の減少が続く中、ラミネート用基材の拡販に取り組みましたが、販売数量は前年を下回りました。木材加工事業では、販路拡大や省施工パネルの取組みが進んだことで前年を上回り、売上高は131億8千5百万円(前年同期比2.5%増)となりました。一方、営業利益は売上高が増加したものの、一部在庫の評価損が発生した影響などにより、5億6千4百万円(前年同期比40.4%減)となりました。
〔その他〕
情報処理システム開発事業において調剤薬局向けシステムの販売台数が減少しましたが、ホテル事業でインバウンドによる宿泊が増加したことなどにより、その他全体の売上高は18億7千2百万円(前年同期比0.6%増)となりました。営業利益は情報処理システム開発事業の調剤薬局向けシステムの更新に伴う開発費用の増加などにより、4億7千4百万円(前年同期比4.1%減)となりました。
(2) 財政状態の状況
当連結会計年度末の総資産は、売上債権が13億2千9百万円、現金及び預金が9億6千4百万円減少したものの、有形固定資産が16億4千5百万円、無形固定資産が5億4千万円、退職給付に係る資産3億8千5百万円増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ2千8百万円増加し、1,030億4千3百万円となりました。
一方、負債につきましては、未払金が6億1千9百万円、借入金が6億1千3百万円増加したものの、仕入債務が19億9千万円、未払法人税等が6億3千万円減少したことなどにより、前連結会計年度末に比べ10億2千9百万円減少し、399億9百万円となりました。
また、純資産は、自己株式が取得により12億2千1百万円減少したものの、利益剰余金が15億2千万円、退職給付に係る調整累計額が6億7千万円増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ10億5千8百万円増加し、631億3千4百万円となりました。
以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末に比べて1.0ポイント上昇し、61.2%となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、79億8千4百万円(前連結会計年度比9億6千4百万円減)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と、それらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により増加した資金は99億4百万円(前連結会計年度比40億7千1百万円増)となりました。
これは、主として税金等調整前当期純利益52億1百万円及び減価償却費50億3千4百万円による資金の増加によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果減少した資金は79億7千万円(前連結会計年度比22億6千2百万円減)となりました。
これは、主として製造装置等の有形固定資産の取得による資金の減少によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果減少した資金は29億6百万円(前連結会計年度比38億5千5百万円減)となりました。
これは、主として借入金の増加6億1千1百万円による資金の増加と、配当金の支払額22億8千4百万円及び自己株式の取得による支出12億3千1百万円による資金の減少によるものです。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は、販売価格によっております。
当社グループは建材事業のうち、木材加工事業、宅地造成及び建物建築事業において一部受注生産を行っており、その受注状況は次のとおりであります。
その他の製品については見込生産を主として行っているので特記すべき受注生産はありません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10を超える販売先はありません。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、文
中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(2) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「(経営成績等の状況の概要) (1)経営成績の状況」に記載しております。
(3) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料、商品等の購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資によるものであります。
これらの資金需要につきましては、営業活動によるキャッシュ・フロー及び金融機関からの借入による資金調達で対応しております。
なお、キャッシュ・フロー指標のトレンドは以下のとおりであります。
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注) 1.いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
2.株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
3.キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
4.有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としております。
(4) 経営方針、経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、投下資本の運用効率や収益性を測る指標として調整後ROE(特別損益を除く親会社株主に帰属する当期純利益を自己資本の期中平均で除した自己資本当期純利益率)を重視しております。当社の目標は調整後ROE7.5%を2027年度に達成することであります。
当連結会計年度における調整後ROEは、8.1%(前年同期比2.4ポイント改善)となりました。翌連結会計年度においても、目標達成に向けて、経営ビジョンNext10(2030)及び中期経営計画(2027)で掲げた戦略に引き続き取り組んでまいります。
当社は、2025年12月12日開催の取締役会において、株式会社フジコーの全株式を取得して連結子会社化することを決議し、2026年1月16日付で株式譲渡契約を締結いたしました。また、2026年1月16日付で全株式を取得したことにより連結子会社化しました。
詳細は「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりです。
当社グループにおける研究開発の基本方針は、「要素技術を通じて新たな価値を創造し、お客様から選ばれるソリューションパートナー」を目指し、お客様の価値向上と社会課題の解決に貢献し、事業を通じて社会・環境価値を創出することでグループの持続的成長を果たすことであります。
この基本方針のもと、当社グループの強みである押出・延伸等のプラスチック加工技術を基礎に、より競争力のある製品を生み出すべく経営資源を集中し、グループ一体となって取り組んでおります。
当社グループの研究開発活動は、R&Dセンターを中心に各事業部門が密接に連携を取りながら、短期的成果の実現と中期的先行開発のバランスに配慮し、効率的に新たな技術や製品開発に取り組んでおります。
また、各種研究機関、大学、企業とのプロジェクト、共同研究もR&Dセンターを中心に推進しております。
当連結会計年度における主な活動内容は次のとおりであります。
[R&Dセンター]
「情報電子」「環境・エネルギー」「ライフサイエンス」「モビリティ」を注力する分野と捉え、新しい要素技術の獲得に取り組み、事業につながる新製品の開発を行っております。
「情報電子分野」では、液晶ポリマー(LCP)フィルムを開発し、材料特性を活かした高速伝送回路や高周波電子機器向けの回路基板材料としてユーザー評価を進めております。また、精密塗工試験装置を新設しディスプレイ分野などの新たな製品展開に向けた開発を進めてまいります。
「環境・エネルギー分野」では、再生可能エネルギーの活用に向け、要素技術である「製膜・塗工・印刷技術」を活かし、太陽電池やバッテリーに使用される機能性フィルムの開発を進めております。また、地球環境の保護と環境改善への貢献が求められるなか、外部とのリサイクルスキームの構築、再生プラスチックの活用による石油由来プラスチックの使用量を削減したフィルム製品の開発に取り組んでいます。
「ライフサイエンス分野」では、細胞培養関連部材の開発に取り組み、バイオ医薬品製造用、細胞培養装置用バッグの販路を広げております。2025年度は手術支援ロボット用ドレープの量産化を開始しております。加圧熱水抽出法を応用して未利用資源から機能性成分を抽出する技術開発では、当社独自技術の権利化を進め、その技術ブランド「ByoByou(びょうびょう)」の認知度向上に努めました。今後もオープンイノベーションを推進し特徴ある抽出エキスのラインナップを拡充すべく事業化を進めております。
「モビリティ分野」では、主にEV関連部材の開発に取り組み、モーターコア積層用接着剤の販路を広げるべく取り組んでおります。また、EVバッテリー用途での接着剤開発にも取り組み、ユーザー評価を進めております。今後も自動車メーカーにより近いポジショニングで開発を行い、顧客の将来ニーズをレスポンス良くキャッチし、様々な当社製品の展開を行っていきます。
[合成樹脂事業]
当事業では、「材料設計と加工技術」を駆使し、「プロセス機能材料」と「環境貢献製品」を中心としたポートフォリオへの変革を目指しております。
プロセス機能材料においては、光学用途向けプロテクトフィルムの自己粘着タイプの新たなラインナップの開発に加えて、今後は株式会社フジコーとの協業による粘着塗工タイプの開発を推進してまいります。
また、環境貢献製品においては、プラスチックリサイクルへの取組みとしてクローズドループによる資源循環を目標に掲げ、ブランドオーナーが使用するパッケージの廃プラスチックを再利用する水平リサイクルの取組みを進めております。
さらに、現状で複合材が使用されているパッケージの代替として、当社の持つ延伸技術を使用した多層薄膜モノマテリアルフィルムの開発を実施しております。
[新規材料事業]
当事業におけるIoT分野での取組みでは、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)を実現するウェアラブルデバイスや環境配慮型素材の開発を継続して取り組んでおり、それらについては一部実用化が始まっております。
また、ライフサイエンス分野においては、R&Dセンターと密接に連携を取りながら医療従事者のタクト低減を目的とした医療用部材や細胞培養装置用バッグの開発及び製品化に取り組んでおり一部実用化が始まっております。
モビリティ分野への取組みにおいては、ディスプレイの大型化・省エネルギー化に対応した部材、ドライバーの安全運転支援を目的とした各種アプリケーションに求められる部材の開発及び自動車外装加飾用フィルムの開発を継続して取り組んでおります。
今後も高精度製膜延伸技術・ファインコーティング技術・各種二次加工技術・評価技術を用い、ディスプレイ・デバイスの進化に対応した機能性部材や脱炭素化社会に貢献する製品開発を継続的に進めてまいります。
[建材事業]
当事業では、2026年上期に予定をしている四国地域木材を活用した集成材事業の開始に向け、引き続き木材樹種の特性分析や異樹種複合などによる集成材の設計・開発を進め、製品の実現化に向けて試作を重ねております。
当取組みの事業化により、木材資源の循環利用で事業価値を向上させ、炭素の長期固定化を通じてカーボンニュートラル社会の実現に貢献します。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費の総額は
なお、当連結会計年度末における特許権及び実用新案権の総数は184件であります。