文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、「ビジュアル・コミュニケーション・テクノロジーの創造」をビジネステーマに、「人々の暮らしを快適にする情報文化の創造」を存在意義と定めており、技術力、情報力を駆使し、競争力と独自性を有したグローバルインキメーカーとして20を超える国と地域に展開しています。また、新規市場の開拓や既存の事業分野を越えた新規事業の創出など“新たな挑戦”と社内改革の実現を積極的に推進してまいります。さらに、当社グループは世界全体の共通アジェンダとなった“SDGs”にうたわれている、地球環境をはじめとした様々な社会課題にも取り組み、サステナブルな社会の実現に貢献していきながら、ESG経営を実践してまいります。
(2)事業環境認識
近年の当社グループを取り巻く事業環境の主な変化について、次の通り認識しております。当期については2024年に引き続き、原油をはじめとした資源価格の低下によってインフレ圧力が緩和される一方で、ウクライナとロシアの問題や中東情勢の不安定化などの地政学リスクや長引く中国経済の停滞、そしてアメリカのトランプ大統領による通商関税政策などが世界経済に影響を与えました。さらに欧州を中心とした気候変動対策としての環境規制が強化されたことなどもあり、世界経済がますます不安定になる要素が多い年となりました。日本においては、円安による原材料高やインフレによる人件費、物流費の上昇が続くなか、人口減少による労働力不足や国内市場の縮小、さらに経済成長の停滞による消費活動の減退が懸念されており、国内構造の転換とグローバルリスク対応の両面で、新たな戦略と変化に対応した柔軟性が求められる局面が続いています。
このようななか、印刷インキ関連事業については、デジタル化の加速により、紙媒体の情報メディア向け製商品の需要が先進国を中心に、さらに減少していくことが見込まれるものの、主力のパッケージ関連の印刷インキは、食品、飲料及び衛生用品などの生活必需品の供給を支える事業であることから、世界の経済成長や人口の増加とともに、需要は中長期的に増加していくものと予想されます。機能性材料事業については、競合他社との競争が年々厳しくなりつつあるものの、インクジェットを中心としたデジタル印刷の用途拡大や、デジタルデバイスの高度化に伴う画像表示材料の高品質化などにより、市場は今後も拡大すると見込んでいます。
*国内の少子高齢化の進行による人口動態の変化
・労働力人口の減少
・国内市場の縮小
・経済成長の停滞
*国内・海外での市場・競争環境変化
・情報メディアのデジタル化によるインキ需要の低迷
・新興国市場における競争の激化
・脱プラスチックやリサイクルなど環境対応ニーズの変化と高まり
*デジタル化によるバリューチェーンの変化
・デジタル媒体の大幅な増加
・印刷の多様化・カスタマイズ化・小ロット化
*環境問題・社会課題への対応
・長期的なサステナビリティへの配慮、SDGsに向けた取り組みの重要性の高まり
・資源制約・原料価格高騰リスクの高まり
・ESG投資の影響力増大
(3)中長期的な会社の経営戦略と優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、2030年の達成を目標とする長期ビジョンを2021年に策定し、それに基づいて事業活動を推進しています。
1896年の創業から130年目を迎え、これまで着実に成長してまいりました。一方で、近年はデジタルメディアの急激な普及や気候変動をはじめとした環境対策の必要性がより一層高まるなど、当社グループを取り巻く事業環境は大きく変化しており、今後さらに非連続的な変化が起こりうる状況にあります。
このような事業環境の変化の中で、当社グループが社会から求められる企業として持続的に成長していくためには、柔軟性を持ち、長期的な視点に立って、将来のあるべき姿と、そこに至る道筋や施策を策定し、常にグループ全体でそれらを共有・推進していくことが重要です。サステナブルな社会の実現に貢献するため、様々な社会課題の解決に向けた社会の一翼を担いつつ、当社グループのさらなる発展を果たしてまいります。
長期ビジョン『SAKATA INX VISION 2030』の概要
1.企業理念
ビジネステーマ 『ビジュアル・コミュニケーション・テクノロジーの創造』
存在意義 『人々の暮らしを快適にする情報文化の創造』
2.ビジョン
“Create and Innovate, Care for the Earth, Color for Life”
~あなたと、つくる、価値ある、あした~
新たな領域への挑戦によって“イノベーション”を生み出し、“地球”にやさしい技術で、“人生”を快適かつ豊かに彩り、世界中に笑顔があふれる未来を創る企業
3.戦略の方向性
*地球環境と地域社会を重視したESG・サステナビリティの取り組み強化
・地球環境と人々の豊かで健康的な生活の向上に貢献し、世界が目指すサステナブルな社会の一翼を担う
・当社マテリアリティに対する各取組方針の実施を通じて、持続可能な社会の実現に貢献
*印刷インキ事業・機能性材料事業の拡大
・主力のパッケージ印刷分野を中心に、より一層の環境経営を推進(印刷インキ)
・社会トレンドを捉えた高付加価値製品をグローバルに展開(機能性材料)
*新しい事業領域への挑戦
・ターゲット領域
『事業発展領域』、『エレクトロニクス&エネルギー』
『バイオベース・脱石化材料』、『ヘルスケア』
4.変革プロジェクト
*グローバル連結経営のさらなる強化
*ステークホルダーとの関係強化
*人財育成の強化・組織風土の改革
5.ESG・サステナビリティへの取り組み
重要課題(マテリアリティ)と目指す社会
|
* |
持続可能な地球環境を 維持するための活動 |
>>> |
地球環境を保護し、人々に安全と健康を |
|
* |
安心・安全な製品の供給 |
>>> |
快適さ、利便性とともに、循環型社会の実現を |
|
* |
研究開発・技術力の強化 |
>>> |
豊かな生活、新しいライフスタイルの創造を |
|
* |
コーポレートガバナンス、 コンプライアンスの強化 |
>>> |
ステークホルダーとの良好な信頼関係を |
|
* |
人権の尊重、 DEIBの推進 |
>>> |
人権、人格、多様性を尊重し、働きやすい労働環境を |
『中期経営計画2026(CCC-Ⅱ※)』の概要
1.基本方針
基盤構築の期間として取り組んだ前中期経営計画(CCC-Ⅰ)に続き、当社グループの長期ビジョン『SAKATA INX VISION 2030』をバックキャスティングし、事業拡大・収益力強化に取り組む3年間として『中期経営計画2026(CCC-Ⅱ)』(以下、中計)を2024年2月に策定しました。
長期ビジョンにおける戦略の方向性として、「印刷インキ・機能性材料事業の拡大」「新しい事業領域への挑戦」「地球環境と地域社会を重視したESG・サステナビリティの取り組み強化」としており、それに基づいた事業活動を進めてまいります。
「印刷インキ・機能性材料事業の拡大」においては、パッケージ分野を中心にボタニカルインキシリーズなど環境配慮型製品を軸としたサステナブルな製品の積極展開をグループ全体で推進するとともに、デジタル化にともなう事業環境の変化に対応した事業構造改革を進めてまいります。また、インクジェットインキにおいては衣食住をターゲットとした新市場への拡大や、画像表示材料における拡販と新分野への展開などを行ってまいります。
「新しい事業領域への挑戦」では、基盤構築の期間で実施したさまざまなアプローチの成果に基づいて、事業化の可能性が高い製品・サービスを具現化し、収益につなげていく期間としています。その具現化の手段として、研究開発をさらに進めるとともに、当社の技術やサービスとの親和性が高い有望な技術を持つ企業や団体とのオープンイノベーションを進め、新しい製品やビジネスモデルの提案を加速させていきます。
また、「地球環境と地域社会を重視したESG・サステナビリティの取り組み強化」については、環境に配慮したサステナビリティ製品の展開や気候変動に対応した事業活動でのさまざまな取り組み、持続的な発展を実現するための基盤となる人的資本政策、適正かつ透明性の高いガバナンス体制の構築を推進してまいります。
そしてこれらの取り組みは、資本コストや株価を意識した経営を基本とし、収益力強化や成長戦略への投資と株主還元に対する資本の最適配分に加え、資本コストの低減を進めるとともに、IR活動を通じて当社グループの成長ストーリーの実効性の実現性をステークホルダーの皆様に理解していただくことで、中長期的な企業価値の向上を目指してまいります。
これらのさまざまな取り組み施策を当社グループ全体で着実に実行することにより、持続可能な社会の実現に貢献するとともに、事業拡大と収益力の強化を実現し、ステークホルダーの皆様からより一層の信頼を得られるように、長期ビジョン実現と中期経営計画の目標達成に向け、邁進してまいります。
|
(※)CCC-Ⅱ : |
今中計を長期ビジョン『SAKATA INX VISION 2030』の「第二期・フェーズ2」とし、長期ビジョンのキャッチフレーズ「Create and Innovate, Care for the Earth, Color for Life」の頭文字からCCC-Ⅱと表記いたしました。 |
2.連結目標数値
|
|
2023年 実績 |
|
2026年 計画 |
伸長率 |
|
売上高 |
2,283億円 |
2,700億円 |
18.3% |
|
|
営業利益 |
113億円 |
180億円 |
59.3% |
|
|
経常利益 |
136億円 |
190億円 |
39.7% |
|
|
親会社株主に帰属する当期純利益 |
74億円 |
127億円 |
71.6% |
(注)表中の数値は、2024年3月4日に公表した内容を記載しております。
3.連結経営指標
ROE 10%以上
4.セグメント別計画
(単位:億円)
|
|
売上高 |
営業利益 |
||||
|
2023年 実績 |
2026年 計画 |
伸長率 |
2023年 実績 |
2026年 計画 |
伸長率 |
|
|
印刷インキ・機材(日本) |
521 |
530 |
1.7% |
5 |
29 |
5.8倍 |
|
印刷インキ(アジア) |
524 |
667 |
27.3% |
43 |
43 |
0.0% |
|
印刷インキ(米州) |
785 |
928 |
18.2% |
43 |
49 |
14.0% |
|
印刷インキ(欧州) |
195 |
212 |
8.7% |
△7 |
5 |
- |
|
機能性材料 |
168 |
244 |
45.2% |
18 |
44 |
2.4倍 |
|
その他 |
153 |
200 |
30.7% |
4 |
18 |
4.5倍 |
|
調整額 |
△64 |
△81 |
- |
6 |
△8 |
- |
|
合計 |
2,283 |
2,700 |
18.3% |
113 |
180 |
59.3% |
(注)表中の数値は、2024年3月4日に公表した内容を記載しております。
5.財務・資本政策
総投資額 400億円
うち、将来成長に向けた戦略的投資150億円
株主還元 積極的かつ安定的な配当と機動的な自己株式の取得
目標:総還元性向50%以上
当社グループが信頼され、期待される企業として持続的な発展をしていくために、気候変動をはじめとした環境問題の解決、人権保護や安全で働き甲斐のある労働環境の整備、コンプライアンス遵守と統制のとれたガバナンスなど、サステナブルな取り組みを事業活動の中心に据え実践することが、最重要課題の一つです。さまざまなステークホルダーからの要請を敏感に察知し、また、社会の変化に適切に対応することで、当社グループの社会的価値を高めてまいります。
ここでは、(1)当社グループのサステナビリティの考え方及び取組、(2)気候変動対応、(3)人的資本経営について記載します。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)当社グループのサステナビリティの考え方及び取組
①ガバナンス
サステナビリティ、ESGに関するガバナンスは、代表取締役社長執行役員を委員長とし、全取締役をメンバーとするサステナビリティ委員会が統括しています。また、サステナビリティ委員会の下位組織にあたる各種委員会において、当社グループにおける、気候変動への対応を含むサステナビリティの各種リスクの把握、対応策の審議等を行っています。サステナビリティ委員会は、半期ごと(年2回)に開催され、サステナビリティに関わる重要な方針や目標を承認、進捗を管理するとともに社会課題や環境問題の解決に向けた事業活動を通じての貢献、持続可能な社会構築への寄与、新たな価値の創造を推進しています。そのほか、長期ビジョンを達成するために取り組んでいる社内の変革プロジェクトなどにも関与しながら、全社一丸となってサステナブルな社会実現に向けてESG活動に取り組んでいます。また、当社グループのESG活動を強化するために、ESG推進部を設置しています。
②戦略
当社グループは、長期ビジョン『SAKATA INX VISION 2030』における戦略の方向性として、「地球環境と地域社会を重視したESG・サステナビリティの取り組み強化」を掲げております。2030年のSDGsの目標達成に向け、取り組むべき重要課題(マテリアリティ)を定めており、マテリアリティに対する機会、リスクを分析し、これらを対処するための取組を進めております。
<重要課題(マテリアリティ)、機会・リスク、取組>
|
|
重要課題 (マテリアリティ) |
機会 |
リスク |
対処するための取組 |
|
* |
持続可能な地球環境を 維持するための活動 |
・サーキュラーエコノミーなどの環境関連市場の拡大 ・ブランドイメージの向上 ・長期的なコスト削減 ・環境課題起点のオープンイノベーション |
・市場シェア喪失 ・ブランドイメージの低下 |
・気候変動・自然環境保全 に関わる活動(TCFD・TNFDへの対応) ・廃棄物削減を目指した事業活動 ・水使用量削減を目指した事業活動 ・責任あるサプライチェーンの構築 |
|
*
|
安心・安全な製品の供給 |
お客様からの信頼の獲得 |
環境汚染や品質事故、健康に伴う事業継続リスク |
・グローバルな化学物質管理体制の構築 ・品質保証体制、製品管理体制の強化 ・労働安全衛生の向上と健康経営の推進 |
|
*
|
研究開発・技術力の強化
|
・競争力の強化 ・ブランドイメージの向上 ・社会課題起点のオープンイノベーションの実現 |
市場シェアの喪失 |
・CSV(共通価値の創造)製品の開発 ・新規事業の創出 |
|
* |
コーポレートガバナンス、コンプライアンスの強化 |
・ステークホルダーダイアログの充実 ・リスクマネジメントの強化 |
・企業イメージの低下 ・各種法令違反 |
・グローバル経営体制の強化 ・リスクマネジメント、ガバナンスの強化 ・ステークホルダーダイアログの充実 |
|
*
|
人権の尊重、 DEIBの推進 |
・事業の安定化 ・多様な人財の登用による成果向上への期待 ・組織風土の改革 ・企業価値の向上 |
・ステークホルダーからの信頼と信用の低下 ・人財不足による競争力の低下 |
・人権重視とDEIBの推進 ・働き甲斐のある職場、組織風土の実現 ・グローバル人財などの育成のためのキャリアパス、人事政策 |
また、当社グループは、人財育成・社内環境整備方針に基づく人的資本経営に取り組んでおります。人財育成・社内環境整備方針については、「
③リスク管理
重大な財務上または戦略的な影響を及ぼす可能性があるサステナビリティ関連のリスク・機会を特定、評価、対応するプロセスは、代表取締役社長執行役員を委員長とし、全取締役をメンバーとするサステナビリティ委員会が統括しています。サステナビリティ委員会の下位組織にあたる各種委員会においても、それぞれが当社グループにおける各種リスクの把握や対応策の審議等を行っており、全社的なリスクとして統合して管理を行っています。また、リスクについては「リスク管理規程」に基づき、リスク・コンプライアンス委員会にて把握し、リスクへの対応策の検討、モニタリング、定期的な評価、状況に応じた見直し等についてサステナビリティ委員会で審議する体制としています。
④指標と目標
サステナビリティに関する指標及び目標は、気候変動・自然環境保全に関わる取組、人的資本に関する取組について定めております。
気候変動への対応については、2034年度の当社グループにおける温室効果ガス排出量(Scope1,2)を2022年度比で58.8%の削減の目標を設定しました。Scope3の削減については、2029年度までに、購入商品およびサービスを対象とする支出額ベースでサプライヤーの89%が科学的根拠に基づく目標を設定することを目標にしております。当社グループの温室効果ガス排出量削減目標は、国際的な気候変動イニシアチブ「Science Based Targets initiative」によって科学的根拠に基づいた「SBT(Science Based Targets)」に認定されております。自然環境保全への対応については、工場製造部門において2029年度の水使用量を2023年比で6%の削減の目標を設定しました。
人的資本に関する取組については、2030年度に女性管理職15%以上、女性の国内採用比率30%以上、育児休業取得率(女性・男性社員)100%、サステナビリティ関連研修受講率100%と定めております。
(2)気候変動への対応
①ガバナンス
「
②戦略
近年、気候変動など地球環境問題が深刻さを増し、脱炭素を巡る議論が世界的に加速しており、自然災害等への危機管理、サステナビリティを巡る課題への対応の重要性が増しております。当社グループでも、気候変動を経営上の最重要課題と捉え、気候変動に伴うリスクや機会は、事業戦略に大きな影響を及ぼすものと認識し、国際的な研究機関である国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC:Intergovernmental Panel on Climate Change)の第6次評価報告書、及び国際エネルギー機関(IEA:International Energy Agency)のWorld Energy Outlookなどの情報を参照し、当社の1.5℃シナリオにおける移行リスク・機会、4℃シナリオにおける物理リスク・機会を分析しました。
産業革命以前に比べて世界の平均気温の上昇を1.5℃に抑えるシナリオにおいては、低炭素、脱炭素社会への移行に伴い、各種法規制の強化や市場の変化によるコスト増、売上減少が事業に影響を及ぼす可能性があります。このようなリスクに対して、当社グループは2034年度の温室効果ガス排出量(Scope1,2)を2022年度比で58.8%の削減目標を掲げ、生産効率化の推進、エネルギーの見える化、省エネルギー活動の推進、再生可能エネルギーの導入など継続して実施しております。Scope3の削減についても、2029年度までに、購入商品およびサービスを対象とする支出額ベースでサプライヤーの89%が科学的根拠に基づく目標を設定することを目的に、まずはサプライヤーのGHG排出量の調査を開始しております。さらに、インターナルカーボンプライシング制度を導入し、投資判断基準の一つとして活用することで低炭素投資を推進しております。また、低炭素、循環型社会に貢献するボタニカルインキや、パッケージ用ガスバリア剤などの機能性コーティング剤の製品の需要拡大は当社グループにとって事業拡大の機会であると捉えております。
産業革命以前に比べて世界の平均気温の上昇が4℃となるシナリオにおいては、異常気象による台風や豪雨、洪水などによる自然災害により工場の停止や損傷、サプライチェーンの分断など物理リスクによるコスト増が事業に影響を及ぼす可能性があります。このようなリスクに対して、当社はグローバルなBCPの強化を進めております。また、熱中症の拡大による飲料水需要の増加に伴うパッケージ用インキの需要拡大や食品ロスの低減に貢献する機能性コーティング剤の需要拡大は、当社グループにとって事業拡大の機会であると捉えております。
このように、当社グループは、気候変動をリスクだけでなく機会と捉え、事業活動を通じて社会課題を解決することを目指しております。今後も財務影響の定量的な分析・開示を充実していくために、継続的にシナリオ分析を実施するとともに、経営戦略への統合を進めてまいります。
③リスク管理
「
④指標と目標
「
(3)人的資本経営について
当社は長期ビジョン「SAKATA INX VISION 2030」の目標を達成するため、サステナビリティと資本コスト(利益確保)を意識した経営の実践が求められています。
背景として、少子高齢化、デジタルメディアへの移行、環境問題、価値観の変化、グローバルな競争激化など、当社を取り巻く環境が目まぐるしく変化しています。このような状況のなかで持続的な成長を続けるため、当社は変化をポジティブに捉え、変革を継続し、サステナビリティと資本コスト経営の実践に取り組みます。また、その実践に当たっては、グローバルな視点を持ち、周囲と共に挑戦を楽しめる人財が必要であると考え、人への投資を強化します。
当社は社員を重要な資本、つまり「人財」と捉え、社員が身体的・精神的のみならず、社会的にも健全な状態を維持できるよう、社内制度および組織風土を整備します。一人ひとりが能力を最大限に発揮できる環境づくりを会社として実践し、人的資本経営を推進していきます。
※当社は「人材」を「人財」として、表記を変更しています。
長期ビジョンの目標達成のために当社が求める人財像として、以下のように定義しています。
「グローバルな視点を持った上で、自ら変革を起こし、周囲とともに挑戦を楽しめる人財」
当社は、求める人財像へと社員を育成し、成長を促すために以下[人財育成・社内環境整備方針]を制定し、
社員の人格・個性・多様性を尊重し、それぞれが自律して、やりがいと誇りを持って伸び伸びと挑戦できる社内環境整備を行い、人的資本経営に取り組んでいます。
|
人財育成および社内環境整備に取り組むために、6つの指針を定めます。
1.多様な個性と能力を尊重し、チャレンジ精神ある人財が活躍できる組織風土の実現 社員一人ひとりがもつ多様なスキル・経験・価値観・ライフステージ・属性など、「個性」と「能力」を互いに理解・尊重します。そして、性別・年齢・人種や国籍・様々な価値観などの特性を生かしチャレンジできる組織風土を実現します。
2.多様な働き方の実現 ワークとライフ双方を充実するために、社員の多様な生き方を尊重し、場所や時間にとらわれない多様な働き方を実現します。
3.教育研修の提供 社員の成長がサカタインクスグループの持続的な成長を支える礎として、自らのキャリアを描き、自律的に自身の能力や技術を磨いて、成長へとつなげられるよう能力を向上するための公平かつ平等な教育研修の機会を提供します。
4.キャリア形成と能力開発の支援 社員が新しいスキルを身に付け、新たな価値を創出し、成長へと結び付け、さらには社員自身の市場価値の向上のために、キャリア形成と能力開発を支援します。
5.自主性・チャレンジ精神の重視と実行者への評価 社員の自主性とチャレンジ精神を大切にし、組織とともに成長していくことを目指します。チャレンジ精神のある社員を評価するため、処遇面における公正性、透明性を確保し、成果を出した社員がさらに挑戦できるように適切かつ公平な仕組みを提供していきます。
6.社員の安全と心身の健康 社員の安全と心身の健康を重視します。職場における良好なコミュニケーションを確保し、社員一人ひとりの心と身体の健康保持・増進に取り組みます。 |
<リスク管理>
長期ビジョン「SAKATA INX VISION 2030」達成に向けて人的資本経営を実践するなかで、社員がより生き生きと働き、成長の機会を持てるよう取り組みます。一方で機会損失につながり得るリスクを以下に挙げ、回避するための取り組みを実施します。
|
リスク管理 |
2030年目標に向けた取り組み |
|
社員のコンプライアンス違反防止 |
・各種コンプライアンス研修受講率100% ・重大なコンプライアンス違反件数 ゼロ |
|
人権侵害防止のための施策 |
・人権研修受講率100% ・重大な人権侵害 ゼロ |
|
多様性に関する理解 |
・DEIB研修 受講率100% |
|
長時間労働による生産性減少 |
・ノー残業デー、年休プラスワン ・月間平均所定時間外労働時間16時間未満 |
|
社員の心身の傷病による生産力の下落 |
・健康経営の推進 ・メンタルヘルス講習会の実施 受講率100% |
|
人財不足による競争力低下 |
・キャリア採用の拡充 ・グローバル人財比率の向上 |
<戦略>
当社は長期ビジョン達成に向け、取組期間を大きく3段階に区分しています。現在は中間期である「中期経営計画2026(CCC-Ⅱ)」のもと、事業拡大・収益力強化を目指しています。
CCC-Ⅱにおける当社の人的資本政策では、相互尊重の風土を醸成し、個の能力を最大限に発揮できる環境整備、挑戦した者へ報いる制度運用を通じて、社員の自主性を促しチャレンジングな人財を生み出すため、以下4つの戦略を展開、実践します。
1.多様性の受容 ~あらゆる人が活躍できる組織への改革推進~
長期ビジョン達成のため、社員一人ひとりの活躍と成長が最重要の基盤となります。
社員が能力を発揮し、個人と会社がともに成長できるよう、環境整備と意識変革を進めています。
当社は、あらゆる人が活躍できる組織への改革推進として、人権の尊重とDEIB推進を「重要課題(マテリアリティ)」の一つとして掲げ、2022年にDEIB基本方針を策定しました。施策として社員の相互理解を深める「対話」の機会を創出し、部署横断の対話会や、社長と社員が直接対話する「タウンホールミーティング」を開催しています。さらに、社長と若手社員少人数で意見交換する「GENBA Walk」を実施し、2025年からは各役員も参加して、経営層と現場の双方向コミュニケーションを活性化しています。
また、多様性に関する理解促進として、2025年は管理職向けにハラスメント、ESG、DEIB研修を行いました。加えて、国際フレンドシップ・デー(7月末)に合わせて「DEIB WEEK 2025」を開催し、情報提供や(株)Cradle代表のスプツニ子!氏と当社役員によるディスカッションを開催し、DEIB推進の重要性を社員に発信しました。
今後も、自由に意見でき、あらゆる人が前向きにチャレンジできる組織風土を目指して活動を継続します。
採用・人財登用面では、グローバル人財獲得のため、海外からインターン受入やインド工科大学卒の採用(2025年)など、多様なバックグラウンドの人財が活躍できる取り組みを進めています。経営戦略に沿った(新卒・キャリア)採用と、タレントマネジメントシステムを活用した、適切な配置・定着・キャリア支援も併せて実施します。
2.挑戦を促す環境 ~より挑戦した者を評価する制度改定や社員の自主性を重んじる環境整備~
当社は、社員一人ひとりの積極的な挑戦が組織の成長を牽引すると考えています。チャレンジする人財がより一層活躍できるよう、制度設計や環境整備を進め、個人のキャリア形成を支援します。
長期ビジョン達成には、人財育成の強化が不可欠であり、求める人財像「グローバルな視点を持った上で、自ら変革を起こし、周囲とともに挑戦を楽しめる人財」への成長を後押しするため、一般社員の人事制度を2025年1月に改定しました。年功的要素を廃し、仕事の内容と成果に応じた評価を一層強化し、資格制度・評価制度・賃金制度を見直すことで、キャリア形成・能力開発・人財育成の支援を充実させ、モチベーション向上と公正な評価を図ります。
また、社員が将来のキャリアプランを描けるよう、環境整備も進めています。「キャリア公募制度」(公募部署へ自ら応募して異動できる制度)、「社内インターン制度」(在籍部署に籍を置いたまま他部署の業務に携われる制度)、「キャリアチャレンジ制度」(希望部門への異動申告制度)を制定・運用し、2025年1月の人事制度改定に伴い、定期的なキャリア申告と上司面談の仕組みも開始しました。今後も、挑戦による成長を後押しし、キャリア自律とキャリアオーナーシップが実現できるよう、制度・仕組みをアップデートし、個人およびチームのパフォーマンス最大化に取り組みます。
3.教育・育成制度の拡充 ~自律的なキャリア形成支援のための成長・教育機会の提供~
教育研修体系図
従来の教育・研修に加え、キャリア自律を促進する学習支援を2023年から運用しています。自己啓発として外部講座を選択・受講できる自己選択型コンテンツや、リスキリングにつながるeラーニングを提供しています。役員トレーニングや管理職研修などの選抜研修も継続的に実施します。さらに、グローバルな視野・感覚を持つ人財の育成を目的に、海外ネットワーク構築のための海外研修、海外現地法人からの研修生受入、異文化理解研修を実施しています。また、ビッグデータ/オープンデータ分析に関するノウハウ蓄積と人財育成を促進し、ビジネス領域での新たな価値創造およびデータサイエンス分野の向上を目的として、社員を大学へ派遣しています。
現在、当社はBPR活動の全社展開の一環として、業務改善とデジタル活用により生産性向上と働きやすい環境づくりを推進しています。現場で改善を進める力、プロジェクトを推進する力、デジタル活用スキルなどを体系的に把握し、個人・部門・全社の傾向を分析することで、最適な教育・育成プランの設計を進めていきます。
4.ウェルビーイング ~社員が心身共に充足して働くことにより生産性の向上~
当社は、企業活動の全てにおいて働く人の安全と心身の健康を守ることを重要な経営課題の一つと位置付け、社員が生き生きと働ける健康づくりへの取り組みを積極的に実施し、持続可能な社会の構築と企業価値の向上を目指して、健康経営活動を継続的に推進しています。その一環として、会社と健康保険組合が連携し、健康保持増進・疾病予防、健康意識向上、快適な職場環境づくりに取り組みます。
その結果、当社の「健康経営」への取り組みが評価され、経済産業省と日本健康会議が共同で実施する「健康経営優良法人2026(大規模法人部門)」に認定されました(2021年以降、6年連続の認定)。
健康経営推進体制
多様な働き方の実現に向けた職場環境整備として、2025年4月に大阪本社を移転しました。働き方改革、組織風土改革、業務効率、Well-beingの観点から、ABW(アクティビティ・ベースド・ワーキング)を取り入れるため執務エリアを1フロアに統合し、部署間の物理的な壁を取り払いました。これにより、部門横断の交流促進と相互理解が進み、健康経営との相乗効果によって社員のWell-being向上を目指しています。
<指標及び目標>
当社が今後、2030年までの目標値と直近の指標は以下の通りです。
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取り組み |
2025年実績値 |
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採用における女性の割合 (新卒・中途含む) |
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男性: |
男性: |
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女性: |
女性: |
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※1 配偶者の出産時における育児目的を理由とした保存有給休暇(最大50日)を合わせた取得者含む
※2 DEIB研修や人権研修を総称してサステナビリティ関連研修と記載。上記2025年は管理職対象のハラスメント、ESG、DEIBに関する研修受講率を記載
(参考データ)
サカタインクスグループ 女性管理職比率(海外拠点等連結子会社を含む)
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2025年 |
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グループ連結における女性管理職比率 |
12.2% |
●国内女性管理職比率及び採用における女性の割合について
当社は「女性活躍推進」をジェンダーイクオリティの推進と位置付けています。社会変化の局面に対応するための変革が求められるなか、当社のDEIB基本方針のもと、異なる価値観や経験を持つ人がともに働き、その相乗効果によって新たなアイデアが創出されると考えています。新たな価値創造のため、女性管理職の登用に加え、採用における女性比率の目標を掲げています。
<女性管理職比率向上に向けて>
・「Woman'sネットワーク」による情報交換の場の設置(働きがい・働きやすさ向上に向けた意見交換)
・女性向けキャリア研修、管理職向けコーチング研修の実施
・異業種交流型研修「エンパワーメントカレッジ」への参加
<今後の方針>
・採用HPのリニューアルによる女性管理職ロールモデルの提示
・タレントマネジメントシステムを活用し、上司による支援強化を通じた女性管理職候補のキャリア形成支援
・性別にかかわらず自律的なキャリア形成が可能となる、働きがい・働きやすさのある職場環境の推進
<女性の採用に関して>
・男女ともに働きやすい環境整備と制度拡充
└ 休暇制度の一部を改定し、健康管理・子育て・介護などの事由を拡充。時間単位の取得も可能化。
<将来に向けたジェンダーイクオリティ推進として>
・2025年「Girls Meet STEM」へ参画し、中高生女子を対象に体験型企業見学ツアーを実施
・女性が理系としてのキャリアをイメージしやすくする取り組みを継続
これらの取り組みが評価され、当社は2017年から継続して「大阪市女性活躍リーディングカンパニー」の認証を取得しています。今後も、女性のさらなる活躍促進に向け、積極的な登用とキャリア形成を支援し、働き続けられる職場環境の整備を進めます。
●両立支援、育児休業取得率について
仕事と子育ての両立支援として、当社は2030年までに男女の育児休業取得率100%を目標に掲げています。男性育休研修推進サービスを導入し、年4回のオンライン父親学級の開催、管理職への啓発等、育児をサポートする活動を展開しています。2023年には、社員向け「仕事と育児の両立支援ガイドブック」を発行し、両立支援に対する意識醸成を図りました。その結果、育児休業の取得機運が高まり、男性の育児休業取得率(保存有給休暇制度による取得を含む)は2025年実績で80%に達しました。
制度面では、2025年の育児・介護休業法の改正に対応し、看護休暇・介護に関する制度の拡充や、育児・介護を行う社員の多様な働き方を整備しています。育児における短時間勤務においては、従前より法令を上回る「小学校3年生の年度末まで」利用可能としています。さらに、2025年1月の休暇制度の一部改定により、ワークとライフの双方の充実を目的に、傷病・育児・介護等の使用事由を拡充し、時間単位での取得を可能としました。子育てとキャリアについては、2025年の人事制度改定に伴い、評価面談時にキャリア申告シートを活用し、上司と話し合える仕組みを整備しています。
これらの取り組みが評価され、当社は子育てサポート企業として2025年に「くるみん認定」を取得しました。今後も両立支援を継続的に推進し、2030年には男女ともに育児休業取得率100%の達成を目指します。
当社グループは、社会に広く使用される製品・商品を安定的かつ安全に供給することを企業の社会的使命と捉え、責任ある行動を常に心がけています。当社グループを取り巻く事業環境には、さまざまな潜在的リスクが存在しており、これらのリスクの発生および顕在化の可能性を常に認識しています。平常時からリスクの抑制や回避に取り組むとともに、万が一リスクが顕在化した場合には、社会・地域・株主・顧客・仕入先・社員など、あらゆるステークホルダーへの損害と、業績や財務状況に与える影響を最小限にとどめるべく、阻害要因の除去および軽減に、迅速かつ的確な対応を行います。こうしたリスク管理の実践を通じて、当社グループは事業の継続性と安定的な成長を確保し、社会的責任を果たす企業としての信頼性向上に努めています。
また、財務や経営戦略に重大な影響を及ぼす可能性のあるリスクを特定・評価し、適切に対応するための体制を整えています。このプロセスは、代表取締役社長執行役員を委員長、全取締役をメンバーとする「サステナビリティ委員会」が統括しています。その下部組織である各種専門委員会では、グループ全体のリスクを把握し、対応策を審議・統合することで、全社的なリスク管理を実現しています。具体的には「リスク管理規程」に基づき、サステナビリティ委員会の下部組織の一つである「リスク・コンプライアンス委員会」がリスクの把握、対応策の検討、モニタリング、定期的な評価を行い、その結果をサステナビリティ委員会で審議する体制を構築しています。緊急事態が発生した際には、「緊急事態対応規定」に則り、安全確保を最優先とし、役員・社員が一丸となって損失の最小化、損害の復旧、再発防止に取り組みます。
(1)気候変動について
当社グループは、気候変動に伴うリスクや機会を経営上の最重要課題であると捉え、事業に大きな影響を及ぼすものと認識しております。当社グループはTCFD提言に賛同するとともに、TCFD提言のフレームワークに基づき、気候変動が事業に及ぼす影響の分析、対応策の検討を進めております。
気候変動についての事業等のリスクは、参照書類としての有価証券報告書の「第一部 企業情報 第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)気候変動への対応 ②戦略」に記載しております。
(2)自然災害・事故等について
大規模な地震やその他の自然災害、事故、感染症の蔓延等により、当社グループの各事業所、製造拠点が被害にあった場合、事業活動の中断や著しい縮小を余儀なくされた場合、または一部の製商品の需要が著しく減少した場合には、業績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。さらには、上記に起因して電力や原材料の供給不足などが発生し、サプライチェーンに大きな障害が生じた場合には生産活動の制限により、業績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、安全・防災に関する専任部署を設置し、これらリスクを低減すべくグローバルBCP体制の構築に取り組んでおります。事業環境に与える影響への対応につきましては、「(4)事業環境の変化について」及び参照書類としての有価証券報告書の「第一部 企業情報 第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。また、原材料の供給不足に伴う影響及び製造拠点の被害に伴う影響への対応につきましては、「(3)原材料市況等の影響と調達活動について」及び「(5)海外への事業展開について」をご参照ください。
(3)原材料市況等の影響と調達活動について
当社グループの主要販売製品である印刷インキなどの原材料は、石油化学製品への依存度が高いため、原油価格及び為替相場に異常な変動が生じた場合などには、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、原材料を製造している国において、自然災害・事故あるいは法律又は規制の予期しない変更などが生じ、安定調達が困難になるリスクや、需給関係の悪化に伴う相場の異常な変動が生じた場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
ロシアのウクライナ侵攻に起因する原燃料の価格高騰、中国における環境規制の強化などに伴い、原材料価格が上昇するリスクを事業環境に照らして認識しております。国内では物流の2024年問題対応、海外では紅海危機によるスエズ運河からアフリカ喜望峰経由迂回による輸送コストの値上がりは調達コストに影響します。当社グループでは原材料の価格動向に注意を払うとともに調達先の拡大や長期契約の締結等により、原材料の価格変動リスクの影響を緩和する工夫を行い、安定して原材料が調達できるように努めております。また、現地法人相互での互換化を進めており、複数購買やグローバル調達等も進めることで当社グループ全体における原材料費の低減や安定調達を図っております。
さらには、当社グループの「調達基本方針」を定め、公正・公平で誠実な調達活動を通じ、サプライチェーン全体に関わる地球環境の保護・保全、資源保護や、労働安全性、人権など社会へ配慮し、企業としての社会的責任を果たします。全ての調達取引先は、より良い製品・商品・サービスを提供するための大切なパートナーと認識し、相互信頼を築きつつ共存共栄と持続可能な社会の実現を目指してまいります。
(4)事業環境の変化について
近年の当社グループを取り巻く事業環境の主な変化について、「国内における少子高齢化の進行など人口動態の変化」、「国内・海外での市場・競争環境変化」、「デジタル化によるバリューチェーンの変化」、「環境問題・社会課題への対応」を認識しております。その変化による影響に対して、「地球環境と地域社会を重視したESG・サステナビリティの取り組み強化」、「印刷インキ、機能性材料事業の拡大」、「新しい事業領域への挑戦」を戦略の方向性とし、対応してまいります。詳細は、参照書類としての有価証券報告書の「第一部 企業情報 第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
(5)海外への事業展開について
当社グループは、米州をはじめアジア、欧州などの世界各国にグローバル展開しており、連結売上高における海外売上比率は70%を超えております。とくに、今後の成長地域として人口の増加と経済成長が見込める、アジアや中南米、中東、アフリカ地域と、消費が旺盛で市場が大きい北米地域での販売拡大に注力しています。当社の海外ビジネスは、パッケージ用インキの販売が売上のほとんどを占めています。パッケージは加工食品を中心に、衛生用品や生活雑貨などの、生活に密着したエッセンシャルビジネスであり、耐久消費財に比べると景気の影響を受けにくい産業です。また、当社のビジネスは基本的に現地で原材料を調達、生産、販売する地産地消型ビジネスであるため、輸出入における為替影響は比較的軽微であり、決算期における海外現地法人の業績を日本円に換算する際の影響がほとんどです。
当社ビジネスにおける海外での不測のリスクについては、政情不安(戦争・内乱・紛争・暴動・テロを含む)、経済情勢の悪化、自然災害の発生、感染症の拡大、商習慣、労使関係や文化の相違、その他さまざまな政府規制等の可能性があり、事業環境が大きく変化する場合は、当社グループの事業活動、業績、財政状態や将来の成長に悪影響が生じる可能性があります。
通常起こりうるリスクとしては、インフレなどに伴う原材料費・人件費・物流費の高騰、価格競争の激化などがあります。
対策としては、政情が不安定な国・地域に対しては拠点進出ではなく、輸出での対応とすることにより、現地従業員及び駐在員の安全並びに生産設備など現地資産の保全が危うくなるリスクを回避しております。
また、当社はBCP体制を整えており、アジア、米州、欧州を中心に世界20を超える国と地域に拠点を展開し、何らかの要因で特定の国・地域において生産に支障をきたした場合は、拠点間での生産・販売協力をすることにより収益の機会を逃すことなく、またグローバルに展開する顧客に対しても安定して供給できることで競合社に対する優位性を保持しています。
そのほか、印刷インキは化学品であるため各国の化学品や環境に対する規制を受けることで、従来の材料が使えなくなることもありますが、当社は環境・品質に関わる専門部署を設け、とくに環境規制で先行する欧州地域の動向を注視するとともに、将来予測される規制に先回りした環境配慮型製品の開発を強みとすることで、化学製品に対する環境規制をチャンスととらえ、ビジネスと環境対策の両立の実現に取り組んでいます。
(6)サイバーセキュリティについて
当社グループでは、情報資産の保護と安全なIT環境の維持を重要な経営課題と位置づけ、サイバーセキュリティ対策の強化を継続的に進めております。近年は、生成AIを含む先進技術の活用が広がる一方で、新たな情報セキュリティリスクも顕在化しており、従来型のサイバー攻撃に加えて、AIの誤用や情報漏洩など多面的なリスクへの対応が必要となっています。
当社グループが保有・管理する技術情報、営業秘密、個人情報等について、不正アクセス、マルウェア感染、ランサムウェア等の攻撃が発生した場合、業績や財政状態への影響に加え、社会的信用の毀損や事業継続への支障など、重大な影響が生じる可能性があります。これらのリスクに対し、マルウェア対策、ゼロトラスト・セキュリティの導入、アクセス制御の強化などの技術的・組織的な対策を講じております。また、標的型攻撃メール訓練や情報セキュリティ教育を全社員に継続的に実施し、人的リスクの低減に努めています。
生成AIの活用に伴うリスクとしては、機密情報の誤入力による情報漏洩、生成物の不正確性による業務判断への影響、第三者の知的財産権侵害の可能性、不適切な内容生成による企業イメージの毀損などが挙げられます。当社グループでは、社内ガイドラインの整備、利用範囲の明確化、教育・啓発活動等を通じて、適切な管理とリスク抑制に努めております。
また、近年はサプライチェーン全体を対象としたサイバー攻撃が増加し、サプライヤーや委託先の情報管理体制が当社グループの事業運営に影響を及ぼす可能性が高まっています。サプライヤーが保有する当社関連情報の漏洩、委託先システムの脆弱性悪用、クラウドサービス提供者のインシデント等が発生した場合、情報資産の毀損や業務停止、社会的信用の低下などが生じるおそれがあります。これらに対し、契約における情報セキュリティ要件の明確化、取引開始時および継続的なセキュリティ評価、外部サービス利用時のリスクアセスメントを実施しています。重要情報を取り扱うサプライヤーに対しては、必要に応じて対策状況の確認や改善要請を行い、サプライチェーン全体のセキュリティ水準向上に取り組んでおります。
さらに、情報資産管理の継続的な改善を目的として ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)の構築を進め、ISO/IEC 27001 認証の取得に向けて取り組みを推進しております。これらの施策を通じ、サイバーセキュリティに関するリスクの低減と、万一インシデントが発生した際の迅速な対応体制の整備に努めております。
(7)知的財産について
当社グループでは、第三者の知的財産権を尊重し、侵害回避のための調査・対策を講じておりますが、権利の解釈や見解の相違等により、他社から使用差止請求や損害賠償請求を受ける可能性があります。その場合、製品開発や販売、技術供与の中断、損害賠償の発生等により、当社グループの業績に重大な影響を及ぼすおそれがあります。また、不測の事態により技術情報やノウハウが漏洩した場合、競合他社による模倣品・類似品の流通を招き、当社グループの競争力や収益性に悪影響を及ぼす可能性があります。
これらのリスクに対応するため、当社グループでは、事業活動において創出される技術やノウハウの保護を目的に、知的財産権の取得・活用に努めております。また、グローバルビジネスの拡大に伴い、主要国における特許・商標の出願及び権利化を推進し、これにより海外市場における戦略製品の拡販に大きく寄与しています。さらに、研究管理部が知的財産戦略の一環として社員教育・訓練を担い、知的財産リテラシーの向上を図ることで、リスクの低減に取り組んでおります。
(8)品質・製造物責任について
当社グループの製品における品質不適合や製造過程における欠陥、不正、偽装は、顧客満足度の低下のみならず、製品回収・賠償請求・行政処分等の法的責任を招来し、事業の適正な運営、業績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは専門部署を設置し、製品の品質保証を総合的に推進しています。需要先からの信頼及び販売数量の維持向上を目的として、サステナビリティ委員会のもとに品質委員会を設置し、設計、開発、製造、貯蔵、輸送、販売等の事業活動において体系的な品質保証の活動を行っています。また、社内外での品質監査、分析、フィードバックによる情報共有の実施や合否自動判定の導入による品質保証度の向上等製品の品質維持向上に取り組んでおります。グローバル品質体制の拡充にも努めており、品質や環境に対する海外の規制に対して現地法人をサポートし、海外拠点も含めた製品の品質向上や不良品発生率の低減、コストの抑制を推進し、顧客満足度や信頼性の向上に努めています。
(9)法規制について
当社グループは、米州をはじめアジア、欧州などの20を超える国と地域に事業拠点を展開し、世界60以上の国と地域に製品を販売しており、世界各国の多様な法規制の適用を受けております。国ごとに異なる法令体系や行政規制は、コンプライアンス確保における大きな課題になり得ると認識しております。法規制に対する適切な対応が遅延した場合、罰金や制裁措置、業務停止命令など業績、財政状態への影響のみならず将来における事業の円滑な運営にも影響を及ぼす可能性があります。
また、役職員による法令違反行為は、当社グループの社会的信用及びブランドイメージの著しい毀損に繋がりかねないものと認識しております。
当社グループでは、リスク・コンプライアンス委員会を設置し、競争法にとどまらず、腐敗防止の観点から方針を明らかにするなど、各種法令の遵守の推進に関する取り組みを進めるとともに、有事も想定し、グループグローバルベースでの内部通報制度も導入を開始しました。さらに、スピークアップポリシーを制定し、早期段階でのコンプライアンス事案の報告・相談を奨励しております。また、アジア統括会社の設置や東南アジア現地法人等における外部専門家が提供する法規制情報の活用開始等、海外現地法人との密接な連携を深めることで各種法規制への対応を図っております。今後とも内外環境変化に適切に対応し、法規制への対応も含むコンプライアンス対応を深化させることとしております。
(10)人財確保について
先進国を中心とした少子化による採用市場の競争激化や労働環境の多様化に伴い、必要な人財を確保し続けることが困難となる可能性があります。また、多様化する労働環境への対応の遅れや従業員満足度の低下により優秀人財の流出が頻発した場合、組織のノウハウ蓄積や生産性の低下を招き、経営基盤の弱体化を引き起こす可能性があります。
当社グループでは、持続的な成長と中長期的な企業価値を創出する源泉を「人財」と位置付け、社員一人ひとりの人格・個性・多様性を尊重し、やりがいと誇りを持って挑戦できる組織風土の醸成と社内環境の整備を推進しております。
具体的には、社員が自らの意思で他部署の業務に挑戦できる機会を提供する「キャリア公募制度」、「キャリアチャレンジ制度」、「インターン公募制度」、「インターンチャレンジ制度」の4つの制度を導入しており、社員が自身のキャリアを主体的に考え、選択肢を広げられる環境づくりを進めています。
また、部門を越えた社員同士の交流の促進や、ワークとライフ双方を充実し社員の多様な生き方・働き方を実現するため、たとえば2025年には大阪本社を移転して1フロアに統合し、ABWを採用する等、様々な施策を実施しております。
優秀な人財の獲得に向けては、キャリア採用を強化するとともに、国内での強化のみならず、グローバル人財獲得のため海外からインターン実習に来た学生の採用を行う等、あらゆるバックボーンを持つ人財が活躍できるように取り組んでおります。
(11)人権について
当社グループの事業活動に伴い、当社グループが意図しない形で人権課題に対して負の影響を生じさせる可能性があります。具体的には、当社グループのサプライチェーン上における労働環境や管理体制の不備により、労働者の尊厳侵害や社会的信用の低下、訴訟提起を招来し、事業の適正な運営、業績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、「世界人権宣言」や「国連グローバル・コンパクトの10原則」など、人権にかかわる国際規範を支持、尊重し、国連人権理事会で承認された「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づき「サカタインクスグループ人権方針」を定め、人権尊重の取り組みを推進しています。また、人権デュー・デリジェンスのプロセスを通じて潜在的な人権リスクを特定・評価するとともに、当社の事業活動によって影響を受けるさまざまなステークホルダーの人権を尊重するため、それらのリスク低減に向けた取り組みを行っております。さらには、「(3)原材料市況等の影響と調達活動について」に記載の通り、当社グループは「調達基本方針」を定め、公正・公平で誠実な調達活動を通じ、サプライチェーン全体における人権にも配慮し、企業としての社会的責任を果たします。
(12)買収戦略について
当社グループは、新たな成長機会の創出およびポートフォリオマネジメントの強化を図ることを目的として、国内外を問わずM&Aやスタートアップとの共創に向けた投資等を積極的に推進しております。これらの施策は、当社グループの競争力および持続的成長に資するものと考えております。しかし、事業環境の変化や投資判断時に想定した前提との乖離により、一部または全部の投資額を回収できない、または撤退に伴う追加の評価損・費用が発生する場合があり、当社グループの業績及び財務状況に重大な影響を及ぼす可能性があります。
これらリスクを低減すべく、M&A・投資の実行は、経営ルールに定める責任権限に基づき経営審議会・取締役会等の経営会議体にて適切な議論・決定を経て実行しています。具体的には、長期ビジョン目標に基づいたM&A・投資候補の探索・評価、対象企業の財務内容や契約内容の確認等の事前審査・デュー・デリジェンスを行い、リスクを事前に洗い出し、対策を講じています。投資実施後は、買収会社については他のグループ企業と同様に経営成績を定期的に測定し、当初計画に対する進捗状況をモニターのうえ、必要に応じて適切な対策を講じています。
上記は、当社グループの事業に関し、予想される主なリスクを具体的に例示したものであり、ここに記載されたものが当社グループのすべてのリスクではありません。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)経営成績
当連結会計年度の世界経済は、中東情勢の緊迫化などによる地政学リスクの高止まりに加え、米国の通商政策とその不確実性が世界へ波及し、先行きの景気減速懸念が続いた一年となりました。一方で、各国でインフレ圧力の低下が進んだことや個人消費の持ち直しが下支えとなり、全体としては底堅い成長を維持しました。
米国では、通商政策の影響による企業活動の抑制や先行き不透明感から、個人消費や設備投資は慎重な動きが続きました。また、関税の影響が企業収益や物価に徐々に表れるなど、景気回復のペースは鈍化しました。欧州では、所得環境の改善やインフレ圧力の低下を背景に個人消費が回復し、製造業の一部に弱さは残るものの、緩やかな持ち直しが続きました。アジアでは、中国では不動産市場の停滞により景気は伸び悩んでいるものの、全体としては堅調に推移しました。ただし域内においてもインド、ベトナムなどは好調な一方、タイでは内需の低迷が続くなど国によって景気の強弱が分かれる結果となりました。日本では、所得環境の改善が続くなか、食料品価格を中心とした物価の高止まりが消費の重荷となったものの、物価上昇率の鈍化もあり、景気は緩やかな回復基調を維持しました。
このような状況の中で、本年度は2030年を見据えた長期ビジョン『SAKATA INX VISION 2030』を実現させるための事業拡大・収益力強化フェーズである『中期経営計画2026 (CCC-Ⅱ)』の2年目であり、グループの事業拡大・収益力強化に向けて、ボタニカルインキシリーズなど環境配慮型製品を軸にサステナブルな製品の積極展開を推進しました。特にパッケージ分野では、人口増加と経済発展により中間層が拡大する成長地域での拡販を続けるとともに、グローバルアカウント向け戦略製品の拡充・拡販や地域連携による購買・生産・物流の効率化などグローバル連結経営を推進しました。機能性材料事業では、従来製品の拡販に加え、インクジェットインキにおいては衣食住をターゲットとした新市場への拡大や、画像表示材料においてもより高品質製品の拡販などに取り組みました。
売上高は、米州で販売が好調であったことや機能性材料の販売が比較的好調であったことに加え、前第4四半期に買収した米国子会社が業績に寄与したことなどもあり、2,576億6千8百万円(前期比4.9%増加)となりました。
利益面では、人件費や諸経費が増加したものの、販売数量の増加による増収効果に加え、海外では原材料価格が安定的に推移し収益性の改善が続いたことなどから営業利益は152億2千6百万円(前期比15.7%増加)となりました。経常利益は153億6千4百万円(前期比19.2%増加)、親会社株主に帰属する当期純利益は政策保有株式の縮減により投資有価証券売却益を計上したことなどから116億9百万円(前期比28.9%増加)となりました。
(参考)USドルの期中平均為替レート
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第1四半期 連結会計期間 |
第2四半期 連結会計期間 |
第3四半期 連結会計期間 |
第4四半期 連結会計期間 |
連結会計年度 |
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2025年12月期 |
152.60円 |
144.59円 |
147.48円 |
154.15円 |
149.71円 |
|
2024年12月期 |
148.61円 |
155.88円 |
149.38円 |
152.44円 |
151.58円 |
(注)連結会計年度の期中平均為替レートは、1月~12月の単純平均レートを記載しております。
セグメントの業績を示すと、次の通りであります。
なお、当連結会計年度より、報告セグメントごとの業績をより適切に反映させるため、全社費用の配分基準の見直しを行っております。これに伴い、前連結会計年度のセグメント情報については、変更後の費用配分方法に基づき作成したものを記載しております。
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(単位:百万円) |
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売上高 |
営業利益 |
|||||||
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前期 |
当期 |
増減額 |
増減率 |
(※)実質 |
前期 |
当期 |
増減額 |
増減率 |
|
|
印刷インキ・ 機材(日本) |
52,806 |
50,248 |
△2,558 |
△4.8% |
△4.8% |
927 |
1,436 |
508 |
54.9% |
|
印刷インキ (アジア) |
58,281 |
56,173 |
△2,108 |
△3.6% |
△1.7% |
5,747 |
6,913 |
1,166 |
20.3% |
|
印刷インキ (米州) |
87,863 |
101,860 |
13,997 |
15.9% |
17.5% |
4,474 |
5,285 |
810 |
18.1% |
|
印刷インキ (欧州) |
21,447 |
21,578 |
131 |
0.6% |
△2.5% |
66 |
64 |
△2 |
△3.0% |
|
機能性材料 |
19,405 |
20,375 |
969 |
5.0% |
4.8% |
2,666 |
2,429 |
△236 |
△8.9% |
|
報告セグメント計 |
239,805 |
250,236 |
10,431 |
4.3% |
5.1% |
13,881 |
16,129 |
2,247 |
16.2% |
|
その他 |
12,731 |
14,031 |
1,299 |
10.2% |
10.2% |
180 |
270 |
90 |
50.0% |
|
調整額 |
△6,965 |
△6,599 |
366 |
- |
- |
△900 |
△1,172 |
△272 |
- |
|
合計 |
245,570 |
257,668 |
12,097 |
4.9% |
5.7% |
13,161 |
15,226 |
2,064 |
15.7% |
(※)実質増減率:海外連結子会社の為替換算の影響を除いた増減率
印刷インキ・機材(日本)
日用品、食品、飲料など多くのアイテムでの値上げが常態化し、家計の節約志向による消費マインドの低迷が続きました。パッケージ関連ではグラビアインキ、フレキソインキともにやや低調に推移したものの前期を上回りました。印刷情報関連では、デジタル化の影響による市場の構造的な縮小に加え、収益性改善のためオフセットインキでは不採算品目の削減を進めた影響などにより前期を下回りました。このような状況のなか、販売数量は減少したものの、販売価格の改定効果が寄与したことにより、印刷インキ全体では前期を上回りました。機材につきましては、印刷製版用材料では不採算品目の取り扱いを縮小している影響などにより前期を大きく下回りました。これらの結果、売上高は502億4千8百万円(前期比4.8%減少)となりました。
利益面では、人件費が増加した影響はあったものの、販売価格の改定効果などにより収益性が改善したことから、営業利益は14億3千6百万円(前期比54.9%増加)となりました。
印刷インキ(アジア)
米国の通商政策の影響が域内の経済成長を押し下げるなか、主力であるパッケージ関連のグラビアインキはベトナムで販売が比較的堅調に推移したものの、全体的にはやや伸び悩みました。印刷情報関連では、インドで販売が堅調に推移しました。売上高は、上半期の販売がやや低調であったことや前第2四半期に中国の子会社を持分譲渡により連結除外した影響に加え、為替換算の影響もあったことから、561億7千3百万円(前期比3.6%減少)となりました。
利益面では、連結除外の影響はあったものの、原材料価格が安定的に推移しているなかで経費の増加も抑制されたことなどから、営業利益は69億1千3百万円(前期比20.3%増加)となりました。
印刷インキ(米州)
米国での通商政策による影響は限定的であるなか、主力のパッケージ関連では、北米では需要の緩やかな回復が続いていることに加え、ブラジルなど南米でも拡販が進んだこともあり、フレキソインキ及びグラビアインキの販売は好調に推移しました。メタルインキは環境負荷の観点からアルミ缶に対する需要拡大が続いているという背景に加え、南米でも順調に拡販が進んでおり、販売は堅調に推移しました。印刷情報関連であるオフセットインキは、市場の構造的な縮小はあるもののUVインキなどの販売が堅調であったこともあり前期を上回りました。売上高は、為替換算の影響があったものの、販売数量が増加したことや前第4四半期に買収した米国子会社が業績に寄与したことに加え、関税コスト分の調整を含む販売価格の改定効果などから、1,018億6千万円(前期比15.9%増加)となりました。
利益面では、人件費や諸経費の増加の影響などがあったものの、販売数量が増加したことや販売価格の改定効果に加え、新規連結の影響があったことなどから、営業利益は52億8千5百万円(前期比18.1%増加)となりました。
印刷インキ(欧州)
パッケージ関連では第2四半期で販売がやや落ち込んだものの比較的堅調に推移し、メタルインキも主要顧客向けで販売が堅調に推移しました。売上高は、全体としては第2四半期で販売がやや落ち込んだ影響があったものの、アジア、米州セグメントとは異なり現地通貨高による為替換算の影響があったことなどから、215億7千8百万円(前期比0.6%増加)となりました。
利益面では、原材料価格は安定的に推移したものの、販売がやや伸び悩んだことや前第1四半期は一部製品で特需があったことの反動などから、営業利益は6千4百万円(前期比3.0%減少)となりました。
機能性材料
インクジェットインキは販売が堅調だったこともあり前期を上回りました。カラーフィルター用顔料分散液はパネルメーカーにおける稼働率の持ち直しの動きにより販売が回復したことなどから前期を上回りました。トナーは海外で順調に拡販が進んだことなどにより前期を上回りました。これらの結果、売上高は203億7千5百万円(前期比5.0%増加)となりました。
利益面では、販売は増加したものの、諸経費が増加したことなどから、営業利益は24億2千9百万円(前期比8.9%減少)となりました。
生産、受注及び販売の実績は、次の通りであります。
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前期比(%) |
|
印刷インキ・機材(日本) |
34,587 |
2.1 |
|
印刷インキ(アジア) |
54,113 |
△5.2 |
|
印刷インキ(米州) |
95,100 |
10.2 |
|
印刷インキ(欧州) |
23,014 |
3.9 |
|
機能性材料 |
16,606 |
0.5 |
|
その他 |
883 |
6.1 |
|
合計 |
224,306 |
3.5 |
(注)生産金額については期中平均販売価格により表示しており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
② 受注実績
印刷用インキの生産は主として見込生産によっております。
小口ロットのものについて受注生産を行っているものもありますが、特に受注高及び受注残高として示すほどのものはありません。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前期比(%) |
|
印刷インキ・機材(日本) |
49,318 |
△4.7 |
|
印刷インキ(アジア) |
56,008 |
△3.6 |
|
印刷インキ(米州) |
101,117 |
16.3 |
|
印刷インキ(欧州) |
20,861 |
2.3 |
|
機能性材料 |
20,331 |
5.0 |
|
その他 |
10,029 |
10.9 |
|
合計 |
257,668 |
4.9 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.総販売実績に対し10%以上に該当する販売先はありません。
(2)財政状態
当連結会計年度末の総資産は、売上債権が減少したことや政策保有株式縮減の方針に基づき投資有価証券の売却を進めたことなどに加え、前期末に比べて為替が円高となった影響を受けたものの、現金及び預金や有形固定資産などが増加したことにより、前連結会計年度末比43億9千4百万円(2.0%)増加の2,258億6千4百万円となりました。
負債は、借入金や仕入債務が減少したことに加え、為替換算の影響を受けたことなどから前連結会計年度末比29億4百万円(2.8%)減少の993億4千4百万円となりました。
純資産は、利益剰余金や為替換算調整勘定が増加したことなどから、前連結会計年度末比72億9千8百万円(6.1%)増加の1,265億1千9百万円となりました。
(3)キャッシュ・フロー
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は次の通りであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、運転資本の増加や法人税等の支払などがあったものの、税金等調整前当期純利益、減価償却費などにより、170億5百万円の資金の増加となりました。前連結会計年度に比べ81億1百万円の増加となりましたが、主な要因は、税金等調整前当期純利益や運転資本の増減額の影響によるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却による収入はあったものの、有形固定資産の取得による支出などがあったことにより、44億8千5百万円の資金の減少となりました。前連結会計年度は148億4千6百万円の資金の減少でしたが、資金の減少の金額が縮小した主な要因は、投資有価証券の売却による収入が増加したことに加え、前連結会計年度は事業譲受による支出が存在したことであります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の減少や配当金の支払に加え、自己株式の取得などがあったことにより、99億7千5百万円の資金の減少となりました。前連結会計年度は42億1千4百万円の資金の増加でしたが、資金の増加から資金の減少へ転じた主な要因は、借入金の残高が減少したことや配当金の支払額が増加したことであります。
以上に加え、連結の範囲の変更に伴う現金及び現金同等物の増減額として1億2千8百万円を計上した結果、当連結会計年度における現金及び現金同等物の残高は187億8千2百万円となり、前連結会計年度末に比べ41億9千8百万円の増加となりました。
キャッシュ・フロー関連指標の推移は、次の通りであります。
|
|
2021年 12月期 |
2022年 12月期 |
2023年 12月期 |
2024年 12月期 |
2025年 12月期 |
|
自己資本比率(%) |
51.8 |
48.6 |
50.9 |
50.7 |
52.8 |
|
時価ベースの 自己資本比率(%) |
34.8 |
29.6 |
35.0 |
39.1 |
51.5 |
|
キャッシュ・フロー対 有利子負債比率(年) |
2.4 |
5.6 |
1.7 |
4.1 |
2.0 |
|
インタレスト・カバレッジ・ レシオ(倍) |
32.4 |
9.0 |
20.3 |
10.9 |
16.0 |
(注)自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
1.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値より算出しております。
2.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
3.営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
資本の財源及び資金の流動性は、次の通りであります。
当社グループでは運転資金や事業投資、株主還元等のための資金の調達として、内部資金及び外部借入による資金調達を基本方針としております。外部借入のうち、短期借入は主に営業取引に係る資金調達であり、長期借入は主に事業投資に係る資金調達であります。
内部資金に関しては営業活動によるキャッシュ・フローにより継続的に資金を獲得しております。また外部借入に関しては短期・長期借入の他に、当社においては運転資金の効率的な調達を行うため、取引銀行2行と30億円の特定融資枠契約を締結しております。
重要な資本的支出の予定につきましては、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除去等の計画(1)重要な設備の新設等」をご参照ください。
(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成には、資産・負債及び収益・費用の額に影響を与える見積り及び仮定を必要とします。これらの見積り及び仮定は、過去の実績や当連結会計年度末時点で入手可能な情報を総合的に勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性が存在するため、実際の結果は異なることがあります。
当社グループが連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載の通りであります。
(5)経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。
(6)目標とする経営指標との比較
当連結会計年度と「中期経営計画2026 CCC-Ⅱ」の最終期との比較は、次の通りであります。
|
|
中期経営計画CCC-Ⅱ 2024年実績 |
当連結会計年度 |
中期経営計画CCC-Ⅱ 2026年計画 |
比較 |
|
売上高(億円) |
2,455 |
2,576 |
2,700 |
△123 |
|
営業利益(億円) |
131 |
152 |
180 |
△27 |
|
経常利益(億円) |
128 |
153 |
190 |
△36 |
|
親会社株主に帰属する 当期純利益(億円) |
90 |
116 |
127 |
△10 |
|
ROE |
8.5% |
10.0% |
10.0%以上 |
- |
「中期経営計画2026 CCC-Ⅱ(以下「計画」という。)」の2年目である当連結会計年度につきましては、売上高は米州で販売が好調であったことや機能性材料の販売が比較的好調であったことに加え、前第4四半期に買収した米国子会社が業績に寄与したことや計画算定時に比べ円安で推移したことによる為替換算の影響などもあり、計画の達成に向けて順調に推移いたしました。各段階利益につきましては、人件費や諸経費が増加したものの、販売数量の増加による増収効果に加え、海外では原材料価格が安定的に推移し収益性の改善が続いたことなどから計画の達成に向けて順調に推移いたしました。ROEにつきましては、政策保有株式の縮減により投資有価証券売却益を特別利益として計上したこともあり目標となる10.0%以上を達成いたしました。
当連結会計年度において、重要な契約等は行われておりません。
(業務提携に関する契約)
当社は、1999年11月15日付で東洋インキ製造株式会社(現 artience株式会社)と業務提携(契約期間:契約開始日(2000年4月1日)より5年間、以降1年毎の更新)を行う旨の契約を締結し、2017年2月20日付で、これまでの提携内容を見直し、物流分野における一層の効率化、生産分野における相互補完、BCP対策に基づく緊急時における国内外拠点での生産補完について、業務提携を推進していく旨の覚書を締結しております。
当社グループは、長期ビジョン『SAKATA INX VISION 2030』に掲げる戦略の実現に向け、事業拡大、収益力強化フェーズである『中期経営計画2026(CCC-Ⅱ)』の2年目として、パッケージ分野を中心にボタニカルインキシリーズなどの環境配慮型製品の積極的展開をグループ全体で推進するとともに、新規事業領域への進出並びに地球温暖化や海洋プラスチック汚染などの環境問題の解決を目指し、産学連携のオープンイノベーションによる研究開発を積極的に進めております。
当連結会計年度における研究開発費は、
セグメントごとの研究開発活動は、次の通りであります。
印刷インキ事業では、地球環境に配慮した生産・製品開発を方針として掲げ、品質や機能と、環境配慮を両立させた製品設計を基本とし、石油化学材料の削減、水性化、バイオマス化等、環境配慮型製品の拡充及び性能向上に取り組みました。特に、パッケージ分野においては、溶剤性グラビアインキにおいて、溶剤の回収・リサイクルを目的とし、単一溶剤で構成されるモノソルベントインキの開発、及びリサイクルスキームにそぐわないポリ塩化ビニルを排除したインキの開発、光重合開始剤を必要としない電子線(EB)硬化型インキ、有機溶剤を使用しない水性グラビア・フレキソインキの開発に積極的に取り組みました。
また、人体や環境への影響が懸念され、大きな問題となっているPFAS(有機フッ素化合物)を使用しない、改正食品衛生法ポジティブリスト(PL)などの食品接触に対応している原材料を使用した、PFASフリー耐油剤と紙用耐屈曲剤(Bending resistance Primer)を開発し、販売を開始しました。
海外においては、当社グループ会社のINX INTERNATIONAL INK CO.(米国)が欧米地域を対象とした研究開発拠点であり、環境配慮型製品の拡充・品質向上に取り組みました。特にパッケージ用途として植物由来成分を使用したグラビア・フレキソインキの開発、脱プラスチックで需要が高まるアルミ缶用メタルインキの開発に注力いたしました。
当事業における研究開発費は3,083百万円であり、主な報告セグメント別の金額は、「印刷インキ・機材(日本)」が
機能性材料事業では、当社の基盤技術である樹脂合成技術や分散・加工技術を駆使し、表示材料においてはディスプレイの高画質化、消費電力削減を実現するカラーフィルター用顔料分散液の開発及び高機能化に取り組みました。また、高付加価値化が進む次世代ディスプレイやセンサー用途向け関連材料への積極的な技術展開も図りました。インクジェットインキでは、当社独自技術を活かした水性・非水性のインクジェットインキの開発を継続し、とりわけ衣食住に関わるテキスタイル・各種パッケージ(軟包装、紙、メタル)・建材用途等の産業用インクジェットインキの開発に注力いたしました。その他にも、粉体カラートナーの開発を行いました。
当事業における研究開発費は、
全社共通事業では、新規事業の創出を目的として「環境・バイオケミカル」・「エレクトロニクスケミカル」・「オプトケミカル」・「エナジーケミカル」を注力すべき4分野と定め、大学や企業と連携したオープンイノベーションによる開発に取り組みました。特にエレクトロニクスケミカル分野においては、導電性配線材料、導電性接合材料、絶縁材料、低誘電材料などプリンテッドエレクトロニクス向け材料に加え、フレキシブル薄型多点温度センサーなどのデバイス開発を行いました。環境・バイオケミカル分野においては、非可食バイオマス材料を用いた新規素材の開発に注力し、カシューナッツの殻から取れるカシューナッツ殻液を原料とするエポキシ樹脂等の開発を行いました。オプトケミカル分野においては、ディスプレイや照明などの光取り出し効率の向上を目的とした、屈折率調整剤の開発に取り組みました。
当事業における研究開発費は、1,063百万円であります。