当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営理念等
当社グループでは、経営理念を示す「理念」及び「使命」を以下のように定めております。
理念: 「進化を感動に」
使命: 「システムとしての企業体へ」
(2) 経営方針等
当社グループは、人間の創造性と企業に求められる公益性を軸に創造性を発揮し、ものづくりで培ったコア技術を基に多様な価値を掛け合わせ、次世代のものづくりを通じて、企業課題・社会課題を解決していく企業体として発展することを目指し、2020年よりグループ全社を対象にした変革(Corporate Transformation、以下、「CX」という)を推進しております。
全社CXとして長期的な計画を策定し、次の2段階で実行中となります。
・CX第1フェーズ:
目的:企業体としての組織・プロセス・戦略等を再構築することで、次の成長に向けた基盤構築
期間:2020年~2024年
・CX第2フェーズ:
目的:当社グループ使命を実現する企業体への変容
期間:2025年~2033年
(3) 経営戦略等
当社グループは、創業以来3D技術等のデジタルテクノロジーを活用し「デジタルものづくり」を革新する、グローバルな製品開発のエンジニアリングパートナー企業として、製造業の顧客を中心に各種サービスによる価値を提供して参りました。グローバルでより大きな価値を顧客へ提供すべく、海外現地法人の設立、海外でのサービス提供等の海外展開も進めております。
2020年~2024年までのCX第1フェーズにおいては、長期的な全社変革とそれを実行するためのより迅速な経営判断及び効率的な運営体制構築を目的として、2021年1月1日付で当社を吸収合併存続会社、完全子会社であったSOLIZE Engineering株式会社及びSOLIZE Products株式会社を吸収合併消滅会社とする吸収合併を行いました。本合併に伴い、国内における事業部門を再編し各法人間で分かれていた事業・技術・サービスを掛け合わせ、社員の融合及び文化醸成等を行うことで、サービスの提供価値の向上や新規の事業・技術の開発を推進しました。また、国内管理部門も統合し、管理業務・管理プロセスの統合・標準化、社内業務システムの刷新、人事制度の統合等が完了しました。加えて、2024年6月には、積極的な投資をタイムリーに進めることを目的とし、グループ投資戦略部を新設し、当社グループの企業価値向上に資するプロジェクト等の実行及びM&Aや資本提携等の戦略立案・実行を加速させる体制を構築しました。
2025年以降のCX第2フェーズを実行するにあたり、当社の中長期の成長目標を設定いたしました。まず、人間の創造性と企業に求められる公益性を軸にデジタルテクノロジーを通じてさまざまな制約を超え、次世代の「ものづくり」「企業運営」そして「社会」を変革する担い手を目指し、当社グループ使命を実現する企業体への変容を推進しています。また、「デジタルものづくり」というコア領域で培った実践と変革を応用することで、提供価値の拡大を推進し、2027年に売上高400億円、2033年に売上高1,000億円規模の企業体を目指して参ります。
上述の成長目標達成のため、当社グループ使命を実現する企業体への変容の推進及び、今後のさらなる事業拡大、企業価値の向上を追求するための成長手段として、従来領域と新規領域の掛け合わせによる成長に加え、M&Aを活用することにより成長速度を加速して参ります。
加えて、より一層の経営のスピード化を図り、機動的かつ柔軟な経営判断を可能にするグループ運営体制を構築することが望ましいと判断し、2025年7月1日付で会社分割による持株会社体制に移行しました。
当会社分割により、SOLIZE Holding株式会社を持株会社とし、エンジニアリング・マニュファクチャリング事業をSOLIZE PARTNERS株式会社 に、コンサルティング・エンジニアリング事業をSOLIZE Ureka Technology株式会社に、ビジネスインキュベーション事業を+81株式会社にそれぞれ各社へ承継しました。これに伴い、適切な管理・評価を行う観点から、これらの各事業会社を中心とする報告セグメントに変更を行いました。
持株会社は経営戦略の策定、資源の再配分、グループガバナンスの強化、M&A等の戦略投資及び企業経営のスタッフ的機能を中心としたグループ経営に特化し、各中核事業会社はそれぞれの事業領域で、あらゆる経営環境の変化に迅速に対応することで、グループ全体として、柔軟かつ強靭な経営体制へと進化することを目指しております。
当社グループは、中長期の企業価値の向上に主眼を置き、新たな取組みにチャレンジし、競争力のさらなる強化と成長に向け新たな技術獲得や事業開発を加速させて参ります。
・顧客への貢献価値の向上
当社グループは、個別のサービス提供にとどまらず、エンジニアリングサービス及びマニュファクチャリングサービスにおける実践力を基盤とした総合的なサービス提供を通じて、顧客の開発パートナーとしての役割を担うことを目指しております。
また、顧客の将来的な競争力強化に資する変革力を提供することで、変革パートナーとしての価値創出にも取組み、顧客に対する貢献価値の一層の向上を図って参ります。
当社グループ独自の実践力と変革力を融合させることにより、開発パートナー及び変革パートナーの双方の立場から、より高い付加価値を提供することが可能となります。
例えば、新たなデジタル技術の導入を進める顧客に対しては、エンジニアが技術導入に関する支援を行うと同時に、コンサルタントが新技術導入後の最適な業務プロセスへの変革を支援するなど、技術と業務の両面から包括的なサービスを提供しております。
また、エンジニアが新技術導入後の開発実務をオンサイトで支援しながら、コンサルタントが新プロセスにおけるノウハウの構築やさらなる業務効率化を推進する取組みも行っております。
さらに、従来は顧客内で実施されてきた業務について、外部委託が可能な状態とするため、コンサルタントが業務プロセス、ノウハウ、要求事項等の整理・整備を行い、その上で当社グループが受託先となることで、顧客の開発力向上及び業務効率化に寄与して参ります。
・ケイパビリティの拡張
当社グループは、保有する従来のケイパビリティを相互に組み合わせることにより、開発工程における対象プロセス及び事業領域の拡張を図るとともに、新たなケイパビリティの獲得を推進して参ります。
その実現に向けて、研究開発部門及び事業開発に特化した専門部門を設置し、体制の強化を進めております。
また、従来事業から得られる収益を、次の成長に向けた事業開発及び技術開発への投資に充当することで、持続的な成長基盤の構築を図って参ります。
・産業・市場の拡張
当社グループは、主要顧客である自動車業界において培ってきたケイパビリティを基盤として、重工業、エネルギー、AI、航空宇宙などの他産業・他市場への展開を推進して参ります。これにより、事業領域の拡大と収益機会の多様化を図るとともに、持続的な成長の実現を目指します。
・地域の拡張
当社グループは、既存の米国、中国、インド、タイに加え、北米市場における事業基盤の拡充を目的として、2025年1月にSOLIZE Canada Corporationを設立いたしました。
また、成長率の高いアジア市場への進出及び事業拡張を図るため、2025年2月にSOLIZE Corporation
(Thailand) Ltd.を設立いたしました。
これらの取組みを通じて、グループ全体が有する製品開発支援における強みを活用した海外事業戦略の実行を
進めるとともに、海外市場における当社ブランドの構築及び認知度向上を促進して参ります。
・M&A・スタートアップ投資
当社グループは、健全な財務状況を背景として、M&A及びスタートアップ投資を積極的に活用することにより、インオーガニック成長の実現を図って参ります。あわせて、既存ビジネスの成長に寄与する新たな事業領域や先端技術の獲得を推進し、オーガニック成長との両立を図ることで、事業成長の加速を目指して参ります。
・人的資本経営の実践
当社グループは、経営戦略と連動した人財戦略を策定し、採用投資、人事制度への投資、人財育成・組織開発への投資、ならびに社員満足度及びエンゲージメント向上に向けた投資を行うことで、当社の成長の原動力であるエンジニア及びコンサルタントの確保と活躍を推進して参ります。
特に、付加価値の高いサービス提供を支えるハイエンド人財の確保を重要課題と位置付け、2022年以降、採用力の強化に継続的に取組んでおります。これらの取組みにより、2027年までに年間500名規模の採用を可能とする体制の構築を目指して参ります。
(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
当社グループは、経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標として以下の項目を定めております。なお、国内エンジニア数 (含 コンサルタント)については、国内のエンジニア数及びコンサルタント数の合計であり、当社グループの売上高及び営業利益の大半を占めるエンジニアリングサービスの業績に大きく影響するため、重視しております。
a. 売上高対前年増加率
b. 営業利益
c. 国内エンジニア数 (含 コンサルタント)
(5) 経営環境
当社グループは、顧客のグローバル展開を積極的に支援する、エンジニアリング企業であり、主要顧客は自動車業界を中心とした製造業となります。
自動車業界においては、CASE(Connected、Autonomous/Automated、Shared、Electric)に代表される技術革新や、カーボンニュートラルへの取組みが急速に進んでおります。これに伴い、コネクテッドカー、自動運転などの技術の実運用を目指し、自動車メーカー各社の開発需要の増加が期待されております。電気自動車、自動運転技術の開発などから、自動車開発における電子制御の複雑化やサイバーセキュリティ対応の重要性が増しており、MBD、SDV、ソフトウエア、デジタルリスク領域への需要も拡大しております。一方、国内完成車メーカーにおいては、上述の先端領域へのリソースシフトが進んでおり、それ以外の領域において外部委託化が加速しております。
国内の新車販売台数は2020年から2030年にかけて概ね横ばいから微減で推移すると予測されており、量的成長による市場拡大は今後期待が難しい状況ですが、SDV市場規模は同期間に1.8倍へと拡大すると見込まれており、今後新車販売台数に対するSDVの割合が増加することも予測されることから、SDV対応力やソフトウエア価値の創出が当社グループの競争力及び収益性を左右する重要な要素となっていくと認識しております。
国内SDV市場の推移
当社グループは、自動車メーカー及び自動車部品メーカー等による開発投資の拡大継続を見込み、先端領域における開発支援と、外部委託化が進む内外装領域の一括受託設計支援の両立を図って参ります。これにより、当社グループが有する多様なエンジニアリング技術を融合したサービス提供により、収益拡大を目指して参ります。
自動車完成車メーカーの研究開発費の推移

これらのエンジニアリングサービスへの需要の増加に加え、将来の競争力確保に向けて、事業を横断した開発プロセスの変革やDXに関する取組みが拡大しており、当社グループのコンサルティングサービスの需要も高まっております。当社グループは、顧客企業における変革活動実施のために必要なリソース確保を支援するため、先行してエンジニアリングサービスを提供することで開発キャパシティの維持・確保に寄与するとともに、当サービスを通じて蓄積した製品、開発プロセス及び、技術に関する知見を活用したコンサルティングサービスを提供することにより、収益拡大を図って参ります。
(6) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
(当社グループ全体の事業上の課題)
① 人的資本経営の実現
当社グループは事業拡大と継続的成長のために、顧客企業と共に高い価値を生み出す優秀な人材が重要と捉え、人的資本投資を推進して参りました。新卒者採用、経験者採用ともに積極化し、採用者数を増加させています。2025年12月期の退職率は9.9%となり、退職者も一定数発生しておりますが、入社者数が上回っており成長を維持しています。
また、当社グループは「お客様の高い期待に応える、プロフェッショナル集団」として、製品開発をリードする人材や新しい手法・道具、進化する企業文化の創造を目指しています。「人財体系図」に基づく新任役職者研修及び経験者合同研修の実施に加え、学習サイトの拡充を進め、人財育成システムの維持・強化を図って参ります。
国内採用者数(人)
|
|
2021年12月期 |
2022年12月期 |
2023年12月期 |
2024年12月期 |
2025年12月期 |
|
国内新卒者 |
98人 |
86人 |
84人 |
93人 |
153人 |
|
海外新卒者(注) |
25 |
11 |
3 |
4 |
6 |
|
経験者 |
51 |
110 |
149 |
202 |
201 |
|
合計 |
174 |
207 |
236 |
299 |
360 |
(注)海外新卒者の採用活動については新型コロナウィルスの感染拡大により2020年12月期以降、活動を縮小しておりましたが、2024年12月期よりアジア地区を中心に活動を再開しております
当社グループの主要事業であるエンジニア派遣サービスにおいて、人材は事業価値を構成する重要な資本と位置付けており、その活用効率や収益性に関する指標を経営管理上の重要指標としております。特に、国内派遣契約におけるエンジニアの平均時間単価及び稼働率は、事業収益を左右する主要指標であり、その推移は以下のとおりです。
国内における派遣契約の平均時間単価(円)
|
|
2021年12月期 |
2022年12月期 |
2023年12月期 |
2024年12月期 |
2025年12月期 |
|
平均時間単価(注) |
4,339円 |
4,385円 |
4,556円 |
4,809円 |
4,942円 |
(注)経験者・新卒含む全派遣契約の平均時間単価(残業代は除く)の平均値であります
国内における派遣ビジネスの稼働率(%)
|
|
2021年12月期 |
2022年12月期 |
2023年12月期 |
2024年12月期 |
2025年12月期 |
|
稼働率(注) |
87.5% |
94.4% |
94.9% |
95.0% |
93.0% |
(注)派遣技術者数(研修中の従業員を含む)に対する稼働人数の割合を期中平均にて算出しております
② グローバルサポート体制の強化
当社グループは、顧客のグローバル展開を積極的に支援するため、サービスの海外展開、海外事業の開発に取組んでおり、新たにカナダ及びタイ王国において子会社を設立いたしました。グループ全体の製品開発支援における強みを活用した海外事業戦略の実行や、海外市場におけるブランド構築を促進して参ります。
③ 投資案件評価・管理体制の強化
当社グループは事業の成長と人材・経営基盤の強化を目的に、研究開発投資や設備投資、コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)投資、M&A投資を行っています。これらの投資は事業環境の変化や投資先企業の進捗状況により、事業や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
このため、当社グループでは、投資案件の内容・規模により、取締役会、SOLIZE執行役員会、戦略投資会議等において、事業計画に基づく十分な検討を行ったうえで投資に対する意思決定をしております。また、投資実行後も定めたプロセスに則り進捗確認を実施して参ります。
(エンジニアリング・マニュファクチャリング事業の課題)
2025年7月より、旧デザイン事業セグメントにおけるデジタルエンジニアリング開発支援、マニュファクチャリング事業セグメントをエンジニアリング・マニュファクチャリング事業として承継し、会社分割を実施しました。
① 製品設計開発に係る総合的なデジタルエンジニアリングサービスの拡大
当社グループの主要顧客の属する自動車産業を中心に設計開発及び解析に係る受託、エンジニア派遣サービスの提供を拡大し、海外においても、大手自動車メーカー向けを中心に設計開発に係るエンジニア派遣、請負受託、ソフトウエア販売等の受注を拡大して参りました。また、人財採用及び育成の強化に引き続き取組んで参ります。
② マニュファクチャリングサービスの拡大
当サービスにおいては、最先端のAM(※)技術を活用し市場をリードするため、最新型3Dプリンター設備の増強や大和工場の増床、金属3Dプリンター工場の集約を進め、生産体制の合理化と能力拡大を図って参りました。一方で、安定した利益創出のために、生産体制の合理化として金属3Dプリンター工場の集約や組織運営の効率化を進めました。また、少量量産領域への事業拡大として、3Dプリンターによる最終製品部品の製造・納品を進めるとともに、複数の海外装置メーカーと販売代理店契約を締結し、自動車、レース(二輪・四輪)、航空宇宙、エネルギー業界など、新たな販路拡大を促進して参ります。
※ AM:Additive Manufacturing(積層造形で物体を作り上げる製造プロセス)
(コンサルティング・エンジニアリング事業の課題)
2025年7月より、旧デザイン事業セグメントにおける変革コンサルティング、AI、SDV、デジタルリスク領域をコンサルティング・エンジニアリング事業として承継しました。
エンジニアリングサービスとコンサルティングサービスを融合した提供価値の向上
当事業においては、自動車産業をはじめとする主要顧客に対し、変革力を活かした競争優位の確保を支援する変革コンサルティングサービスに加え、AI技術を活用した業務プロセス構築やAI関連製品、SDV・デジタルリスク領域における実践的なエンジニアリングサービスを組み合わせた、高付加価値のサービス提供体制を強化して参ります。
営業面では、重点顧客の再定義を行い、経営層によるトップ訪問を含む戦略的な営業活動を推進し、顧客との関係を深めることで、個別案件のみならず複数テーマを包含する大型案件の受注が拡大を推進いたします。また、人財の採用及び育成にも注力して参ります。
(ビジネスインキュベーション事業の課題)
2025年7月より、旧デザイン事業セグメントにおけるソフトウエア開発、新規事業領域をビジネスインキュベーション事業として承継し、会社分割を実施しました。
① ソフトウエア開発支援サービスの拡大
当事業は、株式会社STELAQに加え、ソフトウエア開発支援サービスへの更なる需要への対応を企図し、株式会社フューレックスを2025年5月付にて子会社化いたしました。経験者の積極採用、グループ間のシナジーを伴う営業及び管理体制を強化し、事業成長を推進して参ります。
② 新規事業開発の立ち上げ
当事業は、当社独自の「事業オーナーモデル」と「事業共創力」を活用し、社会・産業課題解決に資する新規事業を創出する成長モデルを掲げています。新事業創出人財の確保と育成を強化し、中長期的な企業価値向上を実現して参ります。
(財務上の課題)
当社グループは、グローバルに存在する顧客のあらゆるニーズに応えることを目的として、新規事業や新規技術の開発とそれに必要となる優秀な人財の確保、増強のために採用活動の強化及び入社後の等級・役職に応じた教育機会の提供、スキルアップ支援等を行っています。一時的な景況の悪化により当社グループの提供するサービスや製品への需要が減少する時期においても、当社グループの成長の源泉である人財を維持するための支出が発生し、財務上の安全性が低下する可能性があります。このような状況に備え、当社グループでは一定程度の現預金の確保、及び、複数行との当座貸越契約による運転資金の確保を行い財務上安定的な経営に努めて参ります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理
① ガバナンス
サステナビリティに関するガバナンスはコーポレート・ガバナンスの一部として、主に取締役会、SOLIZE執行役員会及びリスク管理委員会等により決定しております。原則として、取締役会は毎月1回開催、SOLIZE執行役員会は毎週1回、リスク管理委員会は隔月に1回開催しております。リスク管理委員会において、当社グループの事業活動に影響を与える重大リスクについて検討し共有することで、サステナビリティを含めたリスクの低減に努めております。リスク管理委員会の活動や検討・協議された方針・課題は必要に応じてSOLIZE執行役員会及び取締役会に付議又は報告されております。取締役会はこれらのプロセスを定期的に監督し、必要に応じて対応の指示を行っております。「進化を感動に」「システムとしての企業体へ」という使命のもと、各ステークホルダー(株主、取引先、従業員、地域社会等)からの信頼に応えるために、コーポレート・ガバナンス体制の充実を図ることを経営上の重要課題と位置付けています。
詳細は、「
② リスク管理
サステナビリティに関するリスクについては、主にリスク管理委員会において審議され、当委員会がリスクを評価・管理しています。
当社グループは、組織の収益や損失等に影響を及ぼすリスクを適切にマネジメントするために、グループリスク管理規程を定めるとともに、全社的な管理体制を整えております。リスク管理委員会は、グループ内に生ずるリスク管理(リスクの抽出・評価、リスク発生の回避・低減・移転・受容)におけるグループポリシーの企画・作成、対処方針の立案と実行を行い、必要に応じSOLIZE執行役員会、取締役会への報告を行うこととしています。事業計画からの進捗の乖離等の業績関連リスクについては、月次事業報告等を通じてSOLIZE執行役員会が主管の会議体となります。また人的資本関連のリスクについては人事部が主管部門、その他リスク全般についてはリスク管理委員会が主管会議体となり、事業リスクとして統合・管理しています。
詳細は、
サステナビリティ上の機会とリスクについては、前述の通りリスク管理委員会を中心とした体制で取組みますが、投資判断など経営に関連する重要な意思決定を伴うものについては、必要に応じSOLIZE執行役員会や取締役会において議論・承認されます。
詳細は
(2)戦略
当社グループの強みは、「デジタルものづくり」の技術と経験を活かした独自性のあるユニークな事業ポートフォリオにあります。高度なデジタルエンジニアリング技術と高水準の3Dプリンティング技術を掛け合わせたサービスを提供できることに加え、暗黙知(意思決定ロジック)まで踏み込んだ、徹底した可視化・数値化技術をベースとした、当社独自の方法論に基づく変革力と融合させることにより、顧客の開発力向上に寄与して参ります。また、当社グループは、既存事業の安定成長と新規事業の高成長を両立させるとともに、企業や学術機関など外部との連携を通じて事業成長及び共感・エンゲージメントの拡大を図ります。2030年に向けては、公益性の向上を目指し、社会やものづくりの在り方に変化をもたらすべく、革新を継続して参ります。
① カーボンニュートラル実現に向けた取組みと実績
当社グループは、脱炭素社会の実現に貢献すべく、当社グループの事業活動による温室効果ガス排出量(Scope1及びScope2)を、2030年度までにカーボンニュートラルとする目標を定めました。
当社からのサービスとしては、「
また、エンジニアリング・マニュファクチャリング事業においては、3Dプリンターを用いた少量生産やリペアパーツの製作等を積極的に進めております。これにより、金型を用いた製作と比較して製造工程全体における環境負荷の低減に資する場合があるほか、製品の修理対応を通じて製品の長寿命化に寄与する取組みを進めております。
具体的な取組み内容としては以下のとおりです。
・社用車にZEV(電気自動車や燃料電池車などのゼロエミッション車)を導入
2023年10月に、豊田工場の社用車としてトヨタ自動車の燃料電池自動車(FCEV)「MIRAI」を導入しました。「MIRAI」は、水素と空気中の酸素の化学反応により発生する電気を利用してモーターを駆動させる燃料電池を搭載しており、走行時のCO2排出はゼロとなります。また、Global Engineering Center-Yamatoに電気自動車の「日産リーフ」を1台導入しています。
・事業所の電力を再生可能エネルギーや実質再エネに転換
当社グループの大和工場が入居している複合オフィスビル「三機大和ビル」(神奈川県大和市)は、2022年4月から東京電力エナジーパートナー株式会社が提供する「グリーンベーシックプラン(※1)」による実質再生可能エネルギー(再エネ)の電力が導入されています。同ビルでは、入居テナントの専用部においても再エネ化が図れる電力利用スキームを提供しており、当社は当該のスキームを利用することで、2023年1月から同拠点で使用する電力について、実質再エネ化を実施しました。
また、2026年1月に稼働開始した鉃鋼ビルディングは再生可能エネルギー由来電力100%導入済となっております。他の拠点の電力もカーボンニュートラル化を目指して電力調達の切り替えやクレジットの調達等を検討して参ります。
※1 グリーンベーシックプラン:全電源平均電力にFIT非化石証書(トラッキング付き)及び再エネ指定
の非FIT非化石証書(電源属性情報あり)を組み合わせたRE100(※2)対
応の実質的な再エネメニュープラン
※2 RE100:「Renewable Energy 100%」の略称で、企業が事業活動で消費するエネルギーを100%再エネで調
達することを目標とする国際的イニシアチブ
・エネルギー利用効率化の取組みを推進
当社グループにおける電気使用量及び社用車のガソリン使用量について継続的に計測を行なっており、工場の環境マネジメント(ISO14001)の一環で行われる省エネ活動に加えて、エネルギー利用の効率化に向けた全社横断的な活動につなげます。
・廃棄プラスチックのリサイクルの再利用
当社グループは環境マネジメント活動の一環で、産業廃棄物の削減に取組んでいます。3Dプリンターの材料については品質確認をしながら可能な限り再利用するプロセスを構築してきましたが、それでも一定量の粉末状のプラスチックについては廃棄せざるを得ない状況でした。
そこで廃棄物削減に向けて、資源循環の情報プラットフォーム「MateRe(マテリ)」を開発するdigglue社に協力いただき粉末プラスチックのペレット化に取組み、2023年から大和工場にて運用を開始しました。2024年からは適用範囲を豊田工場にも拡大し、現在では従来の廃棄量の約70%を削減できています。再生されたペレットは、自動車部品の原材料としても使用されています。当社では、残りの廃棄プラスチックについても3Dプリンターを活用し、再利用する取組みを進めています。
・当社グループエンジニアの環境配慮設計スキル習得の推進
カーボンニュートラルの達成及び資源循環型社会の実現に向けて、製品設計の手法自体にも変化が必要です。CO2排出量に関する規制や国境炭素調整などのカーボンプライシングの導入が進むと、環境配慮の優先度は、機能・性能・コストと同等レベルになることが予想されます。当社グループでは、環境配慮設計の在り方を進化させることを目指し、エンジニアに必要なスキル獲得を積極的に推進しており、LCE(※3)や DfE(※4) の教育実施や、「LCEプロジェクト」を立ち上げ、エンジニアがLCEを知る、理解する、発信するという仕組み作りを行っています。
※3 LCE:Life Cycle Engineering、製品の一生(ライフサイクル)を企画、設計、運用保守、管理するための技術体系であり、環境的、社会的、経済的に持続可能なライフサイクルシステムの実現を目指す工学分野
※4 DfE:Design for Environment、製品の製造やサービスの提供に際してその設計、企画段階において環境負荷を可能な限り低減させることを目指すこと、環境適合設計または環境配慮設計などとも表現される
② 人的資本・多様性への取り組み
当社グループは、中長期的かつ持続的な企業価値の向上を図るうえで、人財の多様性が重要であると認識しております。また、今後の社会のあり方が大きく変化することも踏まえ、多様な人財の確保や育成を重要な経営アクションの一つとして、以下の理念・方針等に則り取組みを行っております。
<人事理念>
・新しい事業と技術を創造する情熱(アントレプレナーシップ)をもった人財を積極的に輩出する組織であり続ける
・“SOLIZEならより高いレベルに成長できる、面白いことができる”と感じられる企業風土・組織であり続ける
・いかなる時でも誠実さを最優先に考える組織であり続ける
<人事方針>
経営理念である「進化を感動に」と使命の実現に向けて、人事理念を踏まえて「人事方針」を定める
(1)人を大切にし最大の財産(人財)と捉え、いかなる時でも誠実さを最優先に考え、公正、公平、透明性を旨とする
(2)会社と社員は互いに理解・協力し合い、より良い制度の構築や運用に向けて取り組む
(3)この人事方針の適用対象はグループ全社で雇用する社員とする
ア.雇用・採用
(a)公正な雇用慣行の元に社員との雇用契約を結び、企業としての責任を果たすよう最大の努力を払う
(b)事業の成長及び生産性の革新・向上に向けて、事業競争力・事業性等を考慮の上で適時適切に人財を確保する
(c)人財の性別、国籍等を問わず、経営理念と使命に共感する多様な人財をその能力に基づき採用する公正な雇用慣行の元に社員との雇用契約を結び、企業としての責任を果たすよう最大の努力を払う
イ.処遇・評価
(a)経営理念の実現に向けて、行動規範・行動指針を実践し、チャレンジする社員を評価、処遇する
(b)事業競争力・事業特性を踏まえた処遇水準を目指し、職責に応じた成果・能力を適正に評価する制度を設ける
(c)社員の育成・能力開発において評価制度が重要な手段であることを認識し、透明性・公正性・公平性・納得性を追求して運営する
ウ.配置・異動
(a)情熱と能力のある人財を見出し、社員一人ひとりに自己実現と成長する機会を公正・公平に提供する
(b)事業成長と新事業創出の実現のために、計画的・全社的な配置・異動を行う
エ.能力開発・組織開発
(a)社員が能力を最大限に発揮できる環境づくりと生産性の向上のために、能力開発・組織開発を進める
(b)多様な価値観・発想・成長意欲のある人財を尊重・支援し、新しい事業と技術を創造する情熱(アントレプレナーシップ)をもった人財を輩出する
(c)創造性・専門性・個性を発揮・追求できると感じられる企業風土の醸成を積極的に行う
<行動規範>
・誠実に向き合い期待を超えろ
お客さま、そして仲間に対して、偽らずに真心を持って向き合うこと。
相手の期待をしっかりと感じ取り、その期待を超えることを常に目指せ。
どんな些細な期待であってもいい。
その期待を超えること、超え続けることが信頼に繋がる。
・覚悟を持って自らを革新せよ
一人ひとりが、会社のミッションとともに個人のミッションを持ち、それを成し遂げんとする覚悟を持て。
腹をくくり、自分の軸を持て。
そして、より高いレベルを目指し、勇気を持って自らの思考、行動を変えよう。
それこそが全ての革新への源になる。
・考え続けろ、行動を起こせ
考える事に妥協しない。
深く考えても行動を起こさなければ何も起こらない。
すばやく行動を起こし、行動しながらも考え続けよ。
行き詰った時、周囲に相談することも行動のひとつ。
最高の結果を最速で追い求めろ。
・摩擦を恐れず真剣に話せ
互いに信頼し、互いの成長を望め。
自分がどう思われるか、相手がどう思うかを不安に思わず、意見の衝突やすれ違いを覚悟し、
自分の思いを真剣に伝えろ。
一体となって困難を乗り越えるチームはこうして生まれる。
・自分初、世界初を創り続けろ
既存の価値や概念にとらわれず、感動や驚きを伴う新しい価値を創造せよ。
世界を変える方法はどこか余所にではなく、一人ひとりの手元にある。
個々人の「自分初」の積み重ねが、組織の「世界初」を創り出す。
・未来を描き、チャレンジを楽しもう
未来は与えられるものではなく、自ら描き、創るものだ。
在りたい未来から、今何をすべきかを考えよう。
未来を実現する高い目標にチャレンジし、困難でもその過程を楽しもう。
そして、つかめ、その手に、「輝かしい未来」を。
<行動指針>
・社会の公器たる企業としての義務と責任を自覚して、公正、公平、透明で健全な事業活動を行います。
・法令、契約や社内規程などの遵守はもちろんのこと、高い倫理観と道徳観に基づいた誠実で真摯な行動を実践します。
・お客さまや取引先、株主、社員、地域社会などステークホルダーの皆さまの信頼を得て企業価値の向上に努めます。
・グローバル企業として文化や慣習を尊重し、公正な雇用慣行と多様性のある人財の活力で社会の健全な発展に貢献します。
・知恵の創造に関わる企業として、よりよい環境と魅力ある経験の場を提供して、社員一人ひとりの成長と幸福を推進します。
<実践状況>
ア.人財採用
当社グループは、将来の競争力を支える人財の計画的な確保を目的に、新卒・経験者の両輪で採用活動を進めています。今年度は、昨年までの取り組みをさらに深め、「選考プロセスの質向上」「応募者理解の促進」「採用体制の強化」を軸に、採用活動の精度を高めました。その結果、26卒新卒入社予定者は200名規模(前年比125%)の採用見込みとなり当初計画目標を超過達成(目標比125%)、母集団規模を25卒と同程度を維持しながら、選考通過率・内定承諾率の改善が進みました。また、経験者採用では従来強化していた未経験層の採用を下期以降に抑制し、事業ニーズに合わせて早期に活躍を見込める即戦力層の採用に重点を移しました。採用人数は前年(202名)と同程度の196名で推移しており、必要なタイミングで適切なスキルを持つ人財を確保できる体制を維持しています。
■母集団形成
今年度は母集団をコントロールし、必要なターゲット層に対して適切にアプローチしながら採用活動を進めました。
26卒のエントリー数は前年と同程度を維持し、母集団形成に要する費用は抑制を行い、ターゲットは国内理系学生を中心とし事業との親和性を重視しました。また、2025年7月の分社に伴い、各社の特色を反映した採用サイトを新たに整備しました。これにより、応募者が事業内容や募集職種を理解しやすくなり、応募時点での職務理解・動機形成が以前より進むようになりました。加えて、工学系・工業系の学校と連携した技術講義・課外授業・インターンシップを拡大し、3Dプリンターを活用した試作体験や、現場設計者による評価など、より実践的な内容を提供しています。この取り組みは採用活動への効果だけでなく、学生のものづくり体験の機会を増やし、将来の技術者としての活躍につながる基盤形成にも寄与することを意図しています。
■選考
選考プロセスについては採用体制を強化した効果が現れ、候補者とのコミュニケーション頻度の向上を行い、現場社員との面談機会を増加することで内定承諾率の改善を行えました。面談での情報提供を強化することで応募者が自身のキャリアのイメージを持ちやすくし、応募前後のギャップを減らす説明体制の整備が進み、選考離脱率の低減・内定承諾率の向上が前年より改善し、限られた母集団の中でも入社予定者数の増加につながりました。
また、待遇改善についても継続して積極的に取り組んでいます。コンサルタント職では基本給の増額を行い、競争力を高めています。退職金制度(DC)はこれまで社員が自身の選択のもとで拠出・運営していましたが、2025年1月から会社も掛金を拠出する制度に改定しました。また、2025年4月からは住宅手当の対象等級を拡大しました。2025年7月からは就労環境の異なる他企業への派遣社員を対象にオンサイト勤務手当の支給を開始し、激化している採用市場における競争力の強化を行っております。
■採用ブランディング
分社に伴い、各社ごとの事業内容・職種に合わせた採用サイトの刷新を行いました。従来は複数事業を1つのサイトで発信していたため、応募者が情報を把握しにくい状況がありましたが、今年度は “どの会社で、どのような仕事に挑戦できるのか” が分かりやすい構成へと見直しました。これにより、応募者が自身の志向やスキルと照らし合わせやすくなり、結果的に応募の質や選考の歩留まり向上に寄与しています。SNSなどの採用広報の発信も強化しており、特に「魔改造」「MotoGP」関連の投稿を中心に採用ブランディングの強化を推進しています。また、学校との連携を通じて実施している産学連携(試作体験・設計評価など)は、当社の特徴的な取り組みとして採用広報にも活かしています。
■AI・データ活用
本年度より、AI・データ活用の取り組み開始を検討しています。面接時の内容をデータ化し面接官の面接力強化・候補者の適正の見極めに活用することで、選考移行率の改善や早期活躍人財の発掘に活かしていきます。また、蓄積された社内のデータを活用しピープルアナリティクスの推進を行い、定着率改善の対策実施を行っていきます。
イ.人財育成
当社グループでは、グループ共通理念である”進化を感動に”のもと、人事理念に基づき創造する情熱(アントレプレナーシップ)を持つ人財の能力を最大限に引き出すことを目指しています。そのため、職位に応じた役割遂行に必要な学びの機会と実践の機会を下記のとおり提供し、社員一人ひとりの成長を支援しています。
■教育機会
等級・役職ごとの役割遂行・能力発揮を支援するために、SOLIZE人財開発体系図に基づき、各種研修を実施しています。
|
分類 |
研修名 |
|
階層別教育の実施 |
新入社員教育、管理職教育など |
|
自律学習支援の実施 |
テーマ別教育(アントレプレナーシップ教育、公募型研修)、支援制度など |
|
自律学習を支援する環境の整備 |
社員一人ひとりが自分らしい成長を探求するための、データドリブン育成支援学習プラットフォーム“Sage”の開発 |
<主な取り組み>
i) 階層別教育の実施
・新入社員研修:
SOLIZEグループの人財としての基盤を形成することを目的として、体系的な育成プログラムを実施しています。グループ合同で行う「SOLIZEグループ導入研修」及び「SOLIZEグループ価値観シェア研修」に加え、中核事業会社別に実施する基礎研修や専門スキル研修を提供しています。
グループ合同研修では、当社グループ社員として共有すべき価値観や目指す方向性を講義により理解するとともに、ワークショップを通じて体感的に学ぶ内容としています。中核事業会社別研修では、講義と実務に近い実践を組み合わせたカリキュラムにより、業務遂行に必要な基礎知識及び専門スキルの習得を図っております。
なお、研修講師については毎年各社・各部門から選出しており、現場の知見や感覚を反映した指導を新入社員に提供しております。
・オンボーディング研修:
入社者が既存社員と共通の価値観を共有することを目的として導入研修を実施しています。本研修は、①SOLIZEグループマインド、②サービス・ドメイン紹介、③人事制度説明の3部構成としています。
①SOLIZEグループマインドに関しては、当社の歴史・理念・使命を築いてきた役員が自ら説明を行い、当社の根幹となる価値観の理解を深める内容としています。②サービス・ドメイン紹介では、当社が展開する幅広いサービス・ドメインについて、その責任者が説明を行うことで、事業内容とともに各トップの役割や考え方を理解できるようにしています。③人事制度説明では、制度への理解と早期の業務適応を促すことで、入社者が当社の一員として円滑に活躍できるよう支援しています。
これらの内容を集約した、充実した導入研修プログラムとなっています。
・管理職研修:
当社グループでは、新たに管理監督者となった社員を対象に、管理職として求められる役割及びマネジメントの基本知識を習得する研修を実施しています。本研修では、管理職が担う「仕事のマネジメント」と「人(メンバー)のマネジメント」を統合的に理解し、理論と実践を通じて学ぶ内容としています。
また、マネジメントにおける日々の課題や悩みを率直に共有し、自身のマネジメントスタイルを見直す機会が必要であると認識しています。こうした背景のもと、新たな取り組みとして、CEOも参画するSOLIZEグループの管理職共通のテーマについて対話を行う手挙げ式のワークショップに十数名が参加し、マネジメント力の一層の向上を図っています。
ii) 自律学習支援の実施
・アントレプレナーシップ教育:
創造する情熱(アントレプレナーシップ)を有する人財の能力を最大限に引き出すことを目的として、アントレプレナーシップの発揮に意欲的な社員を対象とした各種施策を開始しています。具体的には、役員も参画する“志醸成ワークショップ”や“くるま座”を通じて、アントレプレナーシップマインドの醸成を図る取り組みを開始したほか、TDF ※1を通じて社内外のアントレプレナーから学ぶ場を提供する取り組みも推進しています。
また、アントレプレナーシップの発揮の場として、新たな価値創造や中核事業会社間を超えた技術・知見の交流を目的としたSOPCCや社内公募制度などを継続して実施しています。
SOPCC ※2では、自社オリジナルプロダクトの企画・製作を目的としたコンテストを開催しております。2025年度も継続的な取り組みとして実施し、企画件数は十数件、参加人数は三十数名となりました。これらの取り組みを通じて、「SOLIZEグループだからできるものづくり」の実現に向けた事業化の機会を提供するとともに、社員の成長を後押ししています。
・社内講師養成講座:
当社グループは、人と技術を基盤とする企業体であり、人財の成長こそが競争力の源泉であるとの認識のもと、人財育成の高度化に取り組んでいます。
従前より技術教育においては体系化された教育方法を整備してきましたが、コンピテンシー教育における指導方法は属人的な側面が残存しておりました。この課題に対し、インストラクショナルデザインや研修転移の理論に基づき、講師に求められる要諦を体系的に習得する取り組みを開始し、10名程度が参加しました。これにより、各部門で実施される教育の質と効果の向上を図っています。
■支援制度
スキルアップ支援制度として、希望する社員に対して下記の補助を行っています。
|
支援施策 |
内容 |
|
資格取得支援 |
共通対象資格及び各部門対象資格の受験費用を補助 |
|
eラーニング支援 |
指定する外部eラーニングの利用料を補助 |
|
書籍購入支援 |
書籍購入費用を補助 |
■他者との交流
「写真と木工家具の町」として企業との連携を進める北海道東川町と2025年からオフィシャルパートナーシップ協定を締結し、同町のものづくり・ひとづくりへの貢献・価値提供を目的として、2名の社員を社内公募制度により選出し、2025年6月から東川町において活動を開始しました。地域との連携強化や事業開発の検討を進め、かつ社内へのその知見の還元を進めています。
|
他者との交流 |
内容 |
|
志醸成 ワークショップ |
・アントレプレナーシップ醸成を目的とした、リーダー層向け手挙げ式プログラム ・自分らしい職業的アイデンティティを定義した上で、未来に何を成し遂げたいかを役員に提言 |
|
くるま座 |
・2025年7月の持株会社体制への移行を機に、グループの価値観を共有し一体感を高めるため社員と経営層が今後のSOLIZEグループについて一緒に語り合う場「くるま座」を開催 ・2025年は2拠点で二十数名が参加し、今後も膝を突き合わせた対話を継続 |
|
TDF ※1 |
・社内外のアントレプレナー達のインタビューからアントレプレナーシップ発揮方法を学ぶ |
|
SOPCC ※2 |
自社オリジナルプロダクトの企画・製作をコンテスト形式で実施 |
|
社内公募 |
東川町での活動への社内公募 |
※1 Tech Design Fes の略称
※2 SOLIZE Original Product Creation Challenge の略称
ウ.人事制度投資
■役割遂行
下記の2つのキャリアパスを設け、等級・役職ごとの役割遂行と能力発揮を通じて活躍しています。また、キャリアに基づいて活躍の場を設定し、エンジニア/コンサルタント/ビジネスリーダーとして期待される役割に応じた成長を促進しています。
|
キャリアパス |
特徴 |
|
スペシャリスト |
高度な専門性と技術力をもちいて、役割遂行と能力発揮 |
|
マネジメント |
組織運営やプロジェクト推進において、役割遂行と能力発揮 |
■評価・フィードバック
各役割に求められる業績貢献(パフォーマンス評価)と成長(アビリティ評価)に基づいて人事評価が行われ、その評価結果を給与、賞与、及び昇給・昇格に反映しています。評価を行うにあたり、年初に上司と本人が話し合いを行い、成長課題を決定します。その結果、メンバーの半期ごとまたは年度末におけるあるべき姿が明確化され、半期ごとまたは年度末に上司が本人に対して評価とその理由をフィードバックし、今後の期待を伝えることで成長を促進しています。
また、人事評価の信頼性と納得感を高めるために、改めて評価者としての心構えとスキルを学ぶため、2025年下期に数十名を対象に新規の評価者研修を実施しました。
エ.人事DX投資
■人事基幹システム
更なる事業成長を支える人事統合基盤の構築に向けたデータ整備、人事業務の生産性向上及び高度化に向けて、人事基幹システムを2025年に更改しています。
また、2024年から人事評価のシステム化を進めていましたが、2025年で全ての人事評価・昇格をシステムで実施できるようになり、過去の面談・評価履歴を踏まえた適切な指導・育成ができるようになりました。
オ.社員満足度投資・エンゲージメント投資
■360度評価
会社・組織としてのハイパフォーマンスとコンプライアンスの両立、健全な職場環境の構築を目的として一定層以上の社員を対象として360度評価を2025年11月から実施しました。結果のフィードバックや継続的な指導・育成を通じて、リーダーシップの更なる発揮を目指します。
■EAP強化
ストレスチェックの実施に加え、外部機関と提携した相談窓口や人事部門の相談窓口を設置しています。また、休職に関する手続き等をまとめた休職ガイドブックを2025年に策定しています。
■ダイバーシティ&インクルージョン
・女性管理職候補育成
女性社員のキャリアの構築やマネジメント能力の更なる開発のため、2025年から女性管理職候補向けのメンタリング施策を開始しました。他企業の複数のメンターとの複数回の対話を通じて自身だけでは得られない「代理経験」を獲得するもので、参加者のメンタリングの活用度・満足度は高かったため継続して取り組んでいきます
・育児・介護支援制度
当社グループは、社員が出産、育児、介護等により就業を断念することなく、仕事、育児、介護を両立できるよう、各種人事制度を整備しています。
|
育児休業 |
子を養育し希望する社員は、性別問わず、最長で子が満2歳に達する日まで育児休業を取得することができる。 |
|
育児短時間勤務 |
性別問わず希望する社員は、最長で子が小学校6年生の年度末に達する日まで育児短時間勤務制度を利用することができる。 |
|
介護休業 |
要介護状態にある家族を介護する社員は、対象家族1人につき、延べ93日間までの範囲内で、かつ分割して介護休業を取得することができる。 |
|
介護短時間勤務 |
要介護状態にある家族を介護する社員は、介護短時間勤務制度を利用することができる。 |
|
出産祝い金 |
社員又はその配偶者が出産した場合、特別休暇及び出産祝金の制度を利用することができる。 |
・子育て支援
当社グループは2019年に、くるみん認定を取得しています。
※「くるみん」とは、「子育てサポート企業」として、厚生労働大臣の認定を受けた企業の証です。
次世代育成支援対策推進法に基づき策定した一般事業主行動計画の目標を達成し、一定の基準を満たした企業は、申請を行うことによって厚生労働大臣の認定(「くるみん」認定)を受けることができます。
・障がい者雇用
当社は、さまざまな障がいを持つ方々を事務職やエンジニア職として雇用し、共に事業に取り組んでいます。文書管理、物品管理等の一般事務処理業務や、データベースの運用管理、3Dプリンター関連業務、各種研修サポートなど、障がいの特性に応じて担当業務を検討し、能力の発揮と職業的成長に取り組んでいます。
また、2020年から新たな障がい者雇用として、当社事業所のGlobal Engineering Center-Yamato(神奈川県大和市)における清掃業務を開始しています。現在は清掃業務にとどまらず、消耗品の在庫チェック等へと業務領域を広げています。
・高齢者雇用
当社は多様な人財の活躍を推進するため、シニア世代の豊富な経験やスキルを引き続き事業発展の推進力とし、定年後も活き活きと活躍する場を提供すべく、定年退職を迎え希望する社員に対して、再雇用制度による雇用延長を実施しています。本人の希望に応じて、最長65歳まで雇用機会を確保します。
・外国籍社員の採用
当社は、多様な国籍・文化的背景を持つ人財を積極的に採用しています。その割合は年々増加し、現在もさまざまなバックグラウンドを持つ社員が活躍しています。
エ.人権の尊重
当社が人権を尊重する企業であるために、私たちは共に働く人びとの人権を尊重します。国際的な人権基準を支持・尊重し、人権侵害に一切加担しません。個人の尊厳を傷つける言動・行動はしません。労働に対する同意の欠如や処罰の脅威による強制労働の撤廃を支持し、加担しません。児童労働の実効的な廃止を支持し、加担しません。
(3)指標及び目標
① 脱炭素社会への取組み
・自社起因の温室効果ガス排出量(Scope1及びScope2)について、2030年までにカーボンニュートラル化を実現
② 人材育成方針や社内環境整備方針に関する指標の内容、当該指標による目標・実績
|
施策と目標 |
実績 |
|
2025年度 |
|
|
目標 |
|
|
|
|
当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を以下に記載しております。あわせて、必ずしもそのようなリスクに該当しない事項についても、投資者の判断にとって重要であると当社グループが考える事項については、積極的な情報開示の観点から記載しております。なお、本項の記載内容は当社株式の投資に関する全てのリスクを網羅しているものではありません。
当社グループは、これらのリスクの発生可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の迅速な対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載内容もあわせて慎重に検討したうえで行われる必要があると考えております。
当社グループはリスクを適切にマネジメントするために、グループ横断でのリスク管理委員会を設置しております。本委員会の説明、コーポレート・ガバナンスの体制図等については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要」に記載しております。
本項記載の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
1. 事業環境に由来する事項について
(1) 景気動向、自動車関連市場等による影響
[発生可能性:低、影響度:大、発生する可能性のある時期:特定時期なし]
当社グループは、主要取引先が自動車関連メーカーであるため特に国内の自動車関連業界の開発動向に影響を受けやすい状況です。国内自動車関連業界は景気、金利、為替及び消費動向等の経済状況に影響を受ける傾向があり、それらの状況によっては、当社グループの取引先企業の業績が左右され、結果として当社グループの受注状況が影響を受けることにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループとしましては、自動車業界以外の顧客に対する事業拡大、M&Aを含めた海外への進出等により、特定の業界や地域等の影響を受けにくい体質を構築する方針ですが、国内自動車業界の状況が想定以上に悪化した場合は、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
これに加えて、世界の自動車関連業界においては、CASEに代表される変革を背景に次世代技術の研究開発が活発化しております。これに伴い、当社グループを取り巻く事業環境も大きく変化するものと予想されます。例えば、自動車の多機能化や自動車部品の電動化等に伴い、自動車関連業界ではまったく新たな分野での研究開発も必要になり、製品開発におけるニーズは多様化してきていると認識しております。
当社グループでは、このような多様化する顧客ニーズに適応するために、ものづくりのデジタル技術の領域を拡大しながら製品開発を支援して参りました。具体的には、従来の3D技術による設計・解析領域に加えて、MBD、ソフトウエア、XR、デジタルリスク対応等の技術を活用した事業領域の拡大に取組んでおります。このほかにも、顧客層の拡大や多様な人財の確保を通じて収益機会の拡大だけでなくノウハウの蓄積も目指して参ります。一方で、これらの施策をもってしても顧客ニーズに適応しきれない場合は、想定どおりの売上高が得られない等の理由により、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 競争環境による影響
[発生可能性:中、影響度:大、発生する可能性のある時期:特定時期なし]
当社グループの事業はいずれも類似事業を営む企業による事業推進の強化や新規参入等による競合が発生し得る分野であり、競争の激化による受注の減少や受注単価の低下が発生する可能性があります。当社グループとしては、幅広い業務領域への対応能力により顧客ニーズへ素早く対応できる体制や、当社自身が設計から製造まで幅広く実践している中で蓄積してきた独自の技術による付加価値の提供等により、他社の動向に左右されにくい体制の整備を進めておりますが、競合が急速に進行した場合や競合の影響が甚大な場合は当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 技術革新
[発生可能性:中、影響度:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし]
当社グループが事業展開する分野は、グローバル規模で絶えず技術革新が進められており、当社グループに要求される技術水準や生産能力も年々高まっている状況です。当社グループとしても、社員教育を通じた技術水準の向上や生産設備の新設及び更新を通じた生産能力の向上により、技術革新に対応した事業展開ができるよう努めているところです。
しかしながら、技術革新の水準が想定以上に進んだ場合又は当社グループの対応が技術革新のスピードより遅れた場合、当社グループの役務提供又は製品供給が顧客の要求水準どおりに実施できず、市場における競争力の低下が発生する可能性があり、その場合は想定どおりの売上高が得られない等の理由により当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 原材料の調達
[発生可能性:中、影響度:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし]
当社グループで使用している一部の原材料については、その特性から調達先を特定の仕入先に依存せざるを得ないものがあります。当社グループでは、当該原材料について一定量を保有し、調達の多様化を進めることで、主要な仕入先への依存のリスクを低減しておりますが、主要な仕入先の業績の悪化又は政策の変更等によりこれらの調達が困難になる可能性も考えられ、その場合は当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 為替相場の変動による影響
[発生可能性:高、影響度:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし]
当社グループは、北米、中国、インド、欧州等の企業と取引を行っており、米ドルやユーロ等の外貨建てで取引されているサービスの価格は為替相場の影響を受けるため、為替相場の変動状況によっては、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
また、海外関係会社の現地通貨建ての財務諸表は、連結財務諸表作成の際に円換算されるため、円換算する際の為替レートによっては、為替換算調整勘定を通じて連結財務諸表の純資産の部が変動する可能性があります。
(6) 海外情勢の変化による影響
[発生可能性:低、影響度:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし]
当社グループは海外に子会社を有しており、販売先や仕入先等の取引先も海外に幅広く存在しております。また、今後についても海外での事業展開を積極的に図っていく方針です。このような状況のもと、当社グループが事業を展開する国及びその周辺地域においては、法令、政治、経済及び文化等の違いに起因する、いわゆるカントリーリスクが存在しております。当社グループではこれらのリスクに対し、現地の動向を随時把握し、適時適切に対応していく方針であります。
なお、2026年に発生した中東地域の地政学的リスクについては、今後の国際情勢の変化により、エネルギー価格や為替相場、世界経済の動向に変化が生じた場合には、当社グループの事業環境に間接的な影響を及ぼす可能性があることから、引き続き関連動向を注視して参ります。
(7) 減損損失
[発生可能性:中、影響度:大、発生する可能性のある時期:特定時期なし]
当社グループは、有形固定資産やのれん等の固定資産を保有しております。これらの資産については減損に係わる会計基準に従い、定期的に固定資産の減損の兆候を判定し、兆候がある場合は保有資産の将来キャッシュ・フロー等を算定し、減損損失の認識・測定を行っており、減損処理が必要な資産については適切に処理を行っております。しかし、将来の環境変化により将来キャッシュ・フロー見込額が減少した場合には、追加の減損処理により、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 投資有価証券評価損
[発生可能性:中、影響度:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし]
当社グループは、事業シナジーによる戦略的リターンを重視したコーポレートベンチャーキャピタル(以下、CVC)投資を行っております。CVC投資はシードからアーリーステージのベンチャー企業も対象としているため、計画どおりに投資先企業の事業が進捗しない場合など、投資有価証券評価損により、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
2. 事業内容に由来する事項について
(1) 事業運営における重要な契約について
① 3Dプリンターに関する代理店契約
[発生可能性:低、影響度:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし]
マニュファクチャリング事業は、米国3D Systems社及び株式会社スリーディー・システムズ・ジャパン社と3D Systems社製3Dプリンターの日本国内における装置販売及び保守に関する代理店契約を締結、また株式会社日本HPと米HP社製3Dプリンターの日本国内における装置販売に関する代理店契約を締結しております。これらの契約は、当社又は相手先から契約解除の申し出がない限り自動的に契約更新がなされることとなっており、今後につきましても現状の良好な取引関係を継続していく方針です。一方で、今後も新しい技術を搭載した3Dプリンターの取扱いの拡大についても継続して取組んで参ります。これらの契約内容の変更又は解消等が発生した場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
② 重要な事業拠点の賃借契約
[発生可能性:低、影響度:大、発生する可能性のある時期:2026年、2032年]
当社グループでは、重要な事業拠点として以下の賃借契約を締結しております。
|
事業所名 |
セグメント名称 |
所在地 |
契約開始時期 |
契約終了時期 |
|
Global Engineering Center-Yamato (大和工場) |
全社(共通) |
神奈川県 大和市 |
2021年8月 |
2026年7月 |
|
鉃鋼ビルオフィス |
コンサルティング・ エンジニアリング事業 |
東京都 千代田区 |
2025年10月 |
2032年9月 |
現時点においては、賃貸人と当社グループとの関係は良好であり、賃貸人から契約期間中の解約の申し出がなされる可能性は低いものと考えておりますが、賃貸人側の事情等により予期せぬ解約の申し出がなされる可能性があります。その場合、代替となる事業拠点が適時適切に確保できず操業が停止したり事業拠点の移転に伴う費用が発生したりすることにより、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(2) エンジニアの確保及び育成
[発生可能性:中、影響度:大、発生する可能性のある時期:特定時期なし]
当社グループは、デジタル技術を核とする製品開発ノウハウに基づき、グローバルに製品開発サポートを行う企業集団でありますが、エンジニアは重要な経営資源であり、かつ今後の事業拡大の重要な要素であると捉えているため、当社グループの事業の継続及び拡大にあたっては顧客企業の要求水準に応える優秀な人財を確保し、さらには常に最先端の技術に対応できるエンジニアの育成が不可欠であると考えております。
エンジニアの確保については、国内・海外で積極的に実施しており、国内においては、全国の理工系大学の訪問やホームページ及び求人サイト等のインターネット媒体の活用等だけでなく、国内拠点の近隣に限らず全国主要都市での会社説明会の開催等、新たな採用戦略を進めております。海外においては、グループの海外拠点を活用した採用活動に加えて、優秀なエンジニアを多く輩出している東南アジア諸国からの採用等を展開しております。
育成についても、継続的に成長を促すための人財育成システム及びスキルアップ支援体制等の施策により、人的資本経営に取組んでおります。
しかしながら、当社グループの求める人財の確保が計画どおりに進まない場合や現在在職している人財の予想を上回る流出が発生した場合、売上高の減少や売上原価率の上昇につながる恐れがあり、結果として当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(3) M&Aについて
[発生可能性:低、影響度:大、発生する可能性のある時期:特定時期なし]
当社グループは、デジタル技術を駆使するグローバルエンジニアリング企業として顧客並びに技術獲得の早期化と事業成長のために、M&Aをその有効な手段の1つとして位置付けており、必要に応じてM&Aを実施する可能性があります。
M&Aに際しては、対象企業のビジネス、財務内容及び法務等について詳細なデューデリジェンスを行い、各種リスクの低減を図る方針でありますが、これらの調査の段階で確認又は想定されなかった事象がM&Aの実行後に発生又は判明した場合や、M&A実施後の事業展開が計画どおりに進まない可能性があり、その場合は当社グループが当初期待した業績への寄与の効果が得られない可能性があることに加えて、対象企業の投資価値の減損処理が必要になることも考えられ、当社グループの財政状態及び業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 特定取引先への依存
[発生可能性:低、影響度:大、発生する可能性のある時期:特定時期なし]
当社グループの有力販売先の1つに本田技研工業株式会社があります。2025年12月期において、同社に対する売上高は、当社グループの売上高の27.1%を占めており、販売先の中でも比率が高い状況にあります。
当社グループは、同社に限らず各取引先との良好な取引関係を維持していくよう努めていくと同時に、新規事業の伸長や海外を含めた新規取引先の開拓により、特定の取引先の動向に左右されにくい環境を構築していく方針です。しかしながら、上記環境の構築が進まなかった場合、同社の方針の変更やその他の何らかの事情により、当社グループとの取引の減少や取引条件の変更等により、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 経営成績の季節等による変動
[発生可能性:高、影響度:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし]
当社グループは、顧客企業に対し製品開発ノウハウやデジタル技術等を顧客企業オンサイトでのサービス提供も実施しております。オンサイトでのサービス提供の場合、主な契約形態として請負契約・準委任契約・派遣契約があり、特に準委任契約・派遣契約の場合、売上高がエンジニアの稼働時間に応じて変動するため、各月の稼働日や時間外業務時間数の多寡が売上高及び利益に影響を及ぼすこととなります。特に、夏季休暇や年末年始等の顧客企業の大型連休の時期はエンジニアの稼働日数が減少することが多いため、これらの時期の売上高及び利益の水準は、ほかの時期と比較して落ち込む傾向にあります。また、当社グループの新入社員は、研修期間を経て一般的に毎年7月以降にエンジニアリング等の業務に就きます。よって新入社員の稼働に伴い7月以降の売上高及び利益の水準を6月以前と比較して押し上げる要因となりますが、新入社員の稼働が計画どおりに進まなかった場合に、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 3Dプリンター装置の販売について
[発生可能性:高、影響度:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし]
当社グループは、3Dプリンター装置の販売を行っております。3Dプリンター装置の販売については検収基準で売上高が認識されますが、特に受注の時期は顧客企業の都合により左右されることがあるため、当社グループが予定した時期に売上高を認識できないことがあります。当社グループとしては、顧客企業に対し3Dプリンターの特長等を訴求することにより、円滑な受注及び検収が実現するよう努めておりますが、売上高の認識の時期が当初の予定と相違した場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 新規事業の展開によるリスク
[発生可能性:中、影響度:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし]
当社グループは、事業規模の拡大と高収益化を目的として、既存事業に留まらず、新規事業の開発に積極的に取組んでいく方針であります。既存事業よりリスクが高いことを認識しておりますが、企業価値のさらなる拡大を目指すには、市場成長性の高い分野への進出や新規市場の創造が不可欠であると考えております。
新規事業への取組みは、綿密な市場調査・分析や、入念な事業計画を策定するなどを行っておりますが、予測と異なる状況が発生し計画どおりに進まない場合には、当社グループの事業及び経営計画に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 法的規制
[発生可能性:低、影響度:大、発生する可能性のある時期:特定時期なし]
① エンジニアリングサービスに関する法的規制
当社グループは、エンジニアリングサービスの実施にあたり、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(以下、「労働者派遣法」という。)」に基づく労働者派遣事業の許可を受けております。当社グループでは、規程の整備及び役職員への教育等を通じて関係諸法令を遵守するよう努めており、本書提出日現在において、当社グループが労働者派遣事業の許可取消し等の事由に該当する事実はないと認識しておりますが、仮に労働者派遣法に定める派遣元事業主としての取消し等の事由等に該当した場合には事業の継続に支障を来す恐れがあり、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
また、労働者派遣法を始めとする関係諸法令は、「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」など社会情勢及び経済環境の変化等に伴い改正されることがあります。今後改正が行われる場合に、改正内容が当社グループの事業にとって不利なものである場合は、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(許可の状況について)
|
会社名 |
許可の名称 (許可番号) |
監督官庁 |
有効期限 |
|
SOLIZE Holdings 株式会社 |
労働者派遣事業 (派13-315070) |
厚生労働省 |
2025年6月30日廃止 |
|
SOLIZE PARTNERS 株式会社 |
労働者派遣事業 (派13-317959) |
厚生労働省 |
2028年4月30日 |
|
SOLIZE Ureka Technology株式会社 |
労働者派遣事業 (派13-317960) |
厚生労働省 |
2028年4月30日 |
|
株式会社STELAQ |
労働者派遣事業 (派13-317617) |
厚生労働省 |
2027年10月31日 |
|
株式会社フューレックス |
労働者派遣事業 (派23-301738) |
厚生労働省 |
2029年12月31日 |
(許可の取り消し等の事由)
労働者派遣法において、労働者派遣事業を行おうとする者(法人である場合には、その役員を含む)が、法令違反等の許可の欠格事由(第6条)又は許可の取消事由(第14条)に該当した場合には、事業の全部又は一部の停止を命じることや許可の取消し等ができる旨が規定されております。
このほか、当社グループが実施している請負についても、「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」(昭和61年労働省告示第37号)に準拠する必要があります。これについても労働者派遣法と同様の方法でその遵守に努めており、本書提出日現在において、当該基準に抵触する事実はないと認識しておりますが、仮に当社グループが請負で受託した取引が実質的に労働者派遣とみなされ労働者派遣法に違反するような場合は、業務停止等の行政処分により、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
② その他の法的規制
その他にも、当社グループがエンジニアリング・マニュファクチャリング事業で使用している各工場において消防法及び関連法令の適用を受けているほか、日本国内のみならず、事業活動を行う世界各国において様々な法的規制を受ける場合があります。当社グループでは、「グループコンプライアンス規程」を制定しグループ内へ周知徹底するとともに、グループ内での定期的なコンプライアンス研修の実施、法務担当部門における法的規制の改正の確認及び顧問弁護士との連携等の各種施策を講じることにより、法的規制に抵触するリスクを低減するよう努めております。しかしながら、当社グループが何らかの理由で法的規制を遵守できなかった場合や法的規制に重要な変更が発生した場合等には、当社グループの事業の推進に障害が発生したり、対応のためのコストが発生したりすることが考えられ、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 個人情報等の管理
[発生可能性:低、影響度:大、発生する可能性のある時期:特定時期なし]
当社グループは、「個人情報の保護に関する法律」で規定する個人情報取扱事業者として同法の適用を受けており、事業を通じて顧客及び従業員等の個人情報を保有しております。当社グループでは個人情報の管理について、「個人情報保護規程」等による厳格なルールを設けて対応しておりますが、万一個人情報の漏洩等が発生した場合にはその対応のための費用が発生し、さらには当社グループの信用にも影響が出ることが想定されるため、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(10) 情報セキュリティ
[発生可能性:中、影響度:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし]
当社グループでは、顧客企業の機密情報を大量に取り扱っております。そのため、機密情報の取り扱い等の情報セキュリティに関する規程を整備・運用し、毎年役職員への情報セキュリティの研修も実施しております。さらに、増加・巧妙化するコンピュータウィルス感染や不正アクセスなどのサイバー攻撃への対応のため、ネットワーク、サーバー、パソコン等を対象としたセキュリティ対策の強化を推進しております。また、ネットワークセキュリティ等のハード面でのセキュリティ強化や、事務所や施設へのアクセス制限等の管理も行っており、機密情報の漏えいに対する対策を講じております。
このような対策にも関わらず、機密情報の外部への漏えい等が起こった場合には、顧客企業から当社グループへの損害賠償請求等が発生することが想定され、その場合は当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(11) 生成AIの利活用に関するリスク
[発生可能性:中、影響度:大、発生する可能性のある時期:特定時期なし]
当社グループでは、生成AIやAI(機械学習・人工知能)を用いた情報分析等を行っております。WEB検索結果の要約や文書作成、予測・分類から対話や生成といった人的業務の代行まで、社会実装の範囲が拡大しています。生成AIを利用するうえでのリスクを考慮した生成AI利用ガイドラインを制定し、AIシステムの開発・運用・利活用を中心としたAIガバナンスの取組みを拡大・継続しております。
しかし、誤った利活用や秘密情報の漏洩防止、著作権侵害のリスク回避、安全性・正確性の確保、倫理的配慮が求められ、適切に対応しないと社会的信用やブランドイメージが低下する可能性があります。
3. その他について
(1)訴訟
[発生可能性:低、影響度:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし]
本書提出日現在、当社グループの業績に重要な影響を及ぼすような訴訟を提起されている事実はありません。一方で、事業を推進するうえでは訴訟が発生する可能性が日常的に存在します。さらに、当社グループの場合は海外でも事業を展開しているため、海外においても予期しない訴訟が発生する可能性もあります。
当社グループでは、「グループコンプライアンス規程」及び「グループリスク管理規程」の制定、コンプライアンス委員会及びリスク管理委員会の設置並びに社内教育による法令遵守の周知徹底等、多様な手段を講じ可能な限り訴訟を受ける可能性を排除するための内部管理体制を整備しております。しかしながら、何らかの訴訟を受けた場合、その内容及び結果によっては、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 災害等が発生した場合の影響
[発生可能性:低、影響度:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし]
当社グループは、国内外で事業を展開しており、大地震、台風等の自然災害や事故、火災等により、生産の停止、設備の損壊や電力供給不足等の不測の事態が発生した場合には、当社グループの事業活動に支障が発生する可能性があります。また、当社グループの責に帰すべき事故等が発生した場合には、損害賠償請求等を受ける可能性があります。このような場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 社会保険料率の上昇
[発生可能性:低、影響度:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし]
当社グループのデザイン事業においては、エンジニアが経営資源の中心となるため、売上原価の大半が労務費で構成されております。このため、社会保険料の料率が上昇した場合は売上原価率の増加につながる恐れがあります。
当社グループとしては、稼働率の適時な見直し、業務の効率化及び単価の改定等により影響を最小限に抑制する方針ではあるものの、料率変更が想定以上に大きくなった場合は、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 大株主について
[発生可能性:低、影響度:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし]
当社の株主である古河未由紀氏及びその子女は、当社の元取締役である古河建規氏の親族であり、古河建規氏の逝去に伴いその所有していた当社株式を相続により取得しており、本書提出日現在の議決権比率は合計で29.2%となっております。これらの株主と当社との間には特記すべき利害関係は無く、その議決権行使に当たっては、株主共同の利益を追求する方針であると伺っております。しかしながら、将来的に何らかの事情によりこれらの株主の所有株式数が増減した場合には、当社株式の市場価格及び議決権行使の状況等に影響が及ぶ可能性があります。
(5) 資本政策について
[発生可能性:低、影響度:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし]
当社は、本書提出日現在、自己株式を641,327株(発行済株式総数に対して10.7%)保有しております。自己株式については、主に現在発行済みの新株予約権(本書提出日現在の目的となる株式の数は合計411,360株であり、本書提出日現在の発行済株式総数の6.9%に相当)の行使がなされた場合に、新株の発行に代えて交付することを予定しております。また、当社は、取締役に対する譲渡制限付株式報酬制度(年間30,000株以内、年額100百万円以内)を導入しておりますが、本制度に基づき、これまでに譲渡制限付株式報酬として20,033株の自己株式処分(本書提出日現在の発行済株式総数の0.3%に相当)を行っており、今後も同様の自己株式処分を予定しております。ただし、今後何らかの事情により資本政策を変更する可能性があります。
(6)持株会社としてのリスク
[発生可能性:低、影響度:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし]
当社グループは2025年7月に持株会社体制へ移行しておりますが、経営資源配分、グループ戦略の見直し、グループ会社の監視・監督等の統治機能が十分に機能しない場合、加えて事業拡大に伴う内部統制の整備・運用が適時適切に行われない場合には、当社グループの業績、財政状態及び評判に不利な影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
①財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末の資産合計は前連結会計年度末に比べて251百万円増加し、15,699百万円となりました。現金及び預金等の流動資産が1,558百万円減少した一方、のれん等の無形固定資産が1,410百万円増加したほか、投資有価証券等の投資その他の資産が258百万円増加したこと等が主な要因となっております。
(負債)
当連結会計年度末の負債合計は前連結会計年度末に比べて401百万円増加し、4,371百万円となりました。その他流動負債が90百万円減少、また買掛金が70百万円減少した一方、未払消費税等が529百万円増加したこと等が主な要因となっております。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産合計は前連結会計年度末に比べて149百万円減少し、11,328百万円となりました。資本剰余金が69百万円増加、また自己株式の減少により68百万円増加した一方、利益剰余金が283百万円減少したこと等が主な要因となっております。
②経営成績の状況
当社グループを取巻く経済環境は、前連結会計年度より厳しいものとなりました。当社グループの主要顧客の属する自動車産業では、米国関税政策の動向、及び、その経済的影響について不透明な状態が継続し、景況感は悪化しました。自動車メーカー等の間では激しい開発競争が継続しているものの、主要顧客企業において開発費用の外部流出を抑制する動きに繋がりました。このような環境においても、当社グループは、グローバルに展開する顧客ニーズへの対応やグローバルでのリソースの確保に向けてカナダ及びタイ王国に拠点を設立しエンジニアリングサービスの提供を開始、技術分野においても新規の3Dプリンターメーカー 米Formlabs社やドライビングシミュレーションプロバイダー 独VI-grade社との提携等を推進して領域の拡大やサービスレベルの向上を進めて参りました。またソフトウエア開発領域での事業拡大を目的として独立系システム会社である株式会社フューレックスの全株式を取得、子会社化を行い、収益を拡大して参りました。
これらの結果、当社グループの連結売上高は25,779百万円(前年同期比13.5%増)、営業利益は85百万円(前年同期比81.2%減)、経常利益は82百万円(前年同期比80.3%減)、親会社株主に帰属する当期純損失は36百万円(前年同期の親会社株主に帰属する当期純利益は254百万円)となりました。
なお、第3四半期連結会計期間より、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前期比較については、前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較分析しております。詳細は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等[注記事項](セグメント情報等)」をご参照ください。
(エンジニアリング・マニュファクチャリング事業)
エンジニアリング・マニュファクチャリング事業の市場環境は、自動車産業を中心とした主要顧客の当社グループに対する需要の拡大鈍化が期初の想定を超えて大きなものとなりました。このような環境の中、当社グループのエンジニアリング・マニュファクチャリング事業は、設計開発に係る受託、及び、エンジニア派遣サービスにおいて収益を拡大、試作品製造販売の分野においても高強度材料の造形が可能な新型3Dプリンターの生産能力を増強する施策等を推進し収益を拡大、インド現地法人 SOLIZE PARTNERS India Private Limitedにおいても3D CADのソフトウエア販売の受注を拡大して参りました。また、将来の収益拡大を目的としたエンジニアを増強したほか、営業及び管理の体制強化も進めたこと等により費用が増加いたしました。
これらの結果、エンジニアリング・マニュファクチャリング事業の売上高は18,828百万円(前年同期比6.9%増)、セグメント利益は435百万円(前年同期比35.9%減)となりました。
(コンサルティング・エンジニアリング事業)
コンサルティング・エンジニアリング事業の市場環境は、主要既存顧客の属する自動車産業において、期間中一時的に当社グループに対する需要が弱含む傾向となりましたが、通期では自動車産業を含め、重工業、プラント・建設業等概ね堅調な需要となりました。このような環境の中、当社グループのコンサルティング・エンジニアリング事業は、自動車産業等の主要顧客に対する変革コンサルティングサービスや、モデルベースシミュレーション等による解析サービス、サイバーセキュリティサービスの受注拡大、自然言語処理AIを用いた建設業向けの安全・品質管理を支援するクラウドサービスの展開を推進、これに関連するAI製品の開発、リリース等を進める一方、営業及び管理の体制強化も進めたこと等により費用が増加いたしました。
これらの結果、コンサルティング・エンジニアリング事業の売上高は4,617百万円(前年同期比20.1%増)、セグメント利益は305百万円(前年同期比57.5%減)となりました。
(ビジネスインキュベーション事業)
ビジネスインキュベーション事業の市場環境は、一部自動車産業に関連する顧客において当社グループに対する需要の鈍化が見られたものの、情報・通信産業や電機産業、防衛関連産業等に属する顧客からの受注は堅調に推移することとなりました。このような環境の中、既存顧客からの収益の増加に加えて、株式会社フューレックスを連結したことにより増収となった一方、営業及び管理の体制強化を図ったほか、のれん償却の開始等により費用が増加いたしました。
これらの結果、ビジネスインキュベーションの売上高は2,333百万円(前年同期比86.5%増)、セグメント損失は834百万円(前年同期のセグメント損失は942百万円)となりました。
(グループ全体)
営業外収益は、為替差益の増加等により前連結会計年度と比較して23百万円増加し42百万円となりました。また、営業外費用は、上場関連費用の減少等により11百万円減少し46百万円となりました。さらに、特別損失は、投資有価証券評価損の減少等により46百万円減少し38百万円となりました。
これらの結果、前連結会計年度と比較して税金等調整前当期純利益が287百万円減少し43百万円となり、法人税、住民税及び事業税が166百万円減少し59百万円となった一方、一部子会社において、税効果会計における会社分類を保守的に判定したこと等により法人税等調整額が169百万円増加し、親会社株主に帰属する当期純損失は36百万円となりました。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は4,592百万円となり、前連結会計年度末と比較し2,597百万円の減少となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と増減の要因は次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、208百万円の支出となりました。主な増加要因は減価償却費280百万円、主な減少要因は売上債権及び契約資産の増加額327百万円、未払費用や預り金の増減によるその他の主たる営業活動181百万円等となっております。前連結会計年度との比較では、営業活動によるキャッシュ・フローは506百万円減少しました。主な増加要因は未払消費税等の増減額149百万円、棚卸資産の増減額137百万円、主な減少要因は税金等調整前当期純利益287百万円、仕入債務の増減額274百万円、賞与引当金の増減額200百万円となっております。
投資活動によるキャッシュ・フローは、2,205百万円の支出となりました。主な支出の内訳は、株式会社フューレックス社の買収による連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得1,076百万円、ソフトウエア等無形固定資産の取得436百万円、オフィスの拡張や3Dプリンター等有形固定資産の取得281百万円、コーポレートベンチャーキャピタル等への出資による投資有価証券の取得179百万円、RACAR Canada社からの事業譲受による支出179百万円となっております。前連結会計年度との比較では、投資活動によるキャッシュ・フローは1,487百万円の支出増加となりました。連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が1,029百万円増加、ソフトウエア等無形固定資産の取得による支出が369百万円増加したこと等が主な要因となっております。
財務活動によるキャッシュ・フローは、181百万円の支出となりました。主な内訳は、配当金の支払額246百万円、自己株式の処分による収入116百万円等となっております。前連結会計年度との比較では、財務活動によるキャッシュ・フローは1,565百万円の収入減少となりました。自己株式の売却による収入が1,501百万円減少したことが主な要因となっております。
④生産、受注及び販売の実績
当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しているため、前期比については変更後のセグメント区分の数値と比較しております。報告セグメントの変更の詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2025年1月1日 至 2025年12月31日) |
|
|
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
|
エンジニアリング・マニュファクチャリング |
10,137 |
107.9 |
(注)1.金額は製造原価によっております。
2.セグメント間取引については、相殺消去しております。
3.コンサルティング・エンジニアリング事業、ビジネスインキュベーション事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載に馴染まないため、記載を省略しております。
b.受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2025年1月1日 至 2025年12月31日) |
|||
|
受注高 (百万円) |
前年同期比 (%) |
受注残高 (百万円) |
前年同期比 (%) |
|
|
エンジニアリング・マニュファクチャリング |
18,636 |
105.2 |
620 |
75.0 |
|
コンサルティング・エンジニアリング |
4,681 |
122.2 |
222 |
141.0 |
|
ビジネスインキュベーション |
2,364 |
189.1 |
30 |
- |
|
合計 |
25,682 |
112.7 |
873 |
88.7 |
(注)金額は販売価格によっており、セグメント間取引については、相殺消去しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2025年1月1日 至 2025年12月31日) |
|
|
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
|
エンジニアリング・マニュファクチャリング |
18,828 |
106.9 |
|
コンサルティング・エンジニアリング |
4,617 |
120.1 |
|
ビジネスインキュベーション |
2,333 |
186.5 |
|
合計 |
25,779 |
113.5 |
(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりです。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2024年1月1日 至 2024年12月31日) |
当連結会計年度 (自 2025年1月1日 至 2025年12月31日) |
||
|
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
|
本田技研工業株式会社 |
6,512 |
28.7 |
6,982 |
27.1 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績に関する認識及び分析・検討内容
(財政状態)
当連結会計年度末の流動比率は267.3%となり引続き高い流動性を維持し、固定比率は40.8%となり安全性を維持しております。短期及び長期の借入債務はありません。
(経営成績)
当社グループの主要顧客の属する自動車産業は、引き続き自動運転や新規技術による自動車の設計開発に関する技術について激しい競争環境におかれ、各社先行的に研究開発や新規技術の開発を促進している状況にあります。当連結会計年度の事業環境は、米国関税政策の動向、及び、その経済的影響について不透明な状態が継続し、景況感は悪化しました。自動車メーカー等の間では激しい開発競争が継続しているものの、主要顧客企業において開発費用の外部流出を抑制する動きに繋がりました。このような環境においても、当社グループは、グローバルに展開する顧客ニーズへの対応やグローバルでのリソースの確保に向けてカナダ及びタイ王国に拠点を設立しエンジニアリングサービスの提供を開始、技術分野においても新規の3Dプリンターメーカー 伊Roboze社や米Formlabs社、ドライビングシミュレーションプロバイダー 独VI-grade社との提携等を推進して領域の拡大やサービスレベルの向上を進めて参りました。またソフトウエア開発領域での事業拡大を目的として独立系システム会社である株式会社フューレックスの全 株式を取得、子会社化を行い、収益を拡大して参りました。
これらの結果、グループ全体として前連結会計年度に比べて増収、売上総利益増益、営業減益の結果となりました。
また、当社グループは工業製品の設計開発の分野において、常に顧客よりも技術及び関連する知見について先行し、顧客サービスの品質向上とより広い顧客ニーズに応えるためのサービス分野の拡大を重要な戦略の一つとしております。そのため、このような技術及び知見の発展と蓄積、及び、実際にこれらを推進することのできるエンジニアやコンサルタントの人財開発を重点的に行い、将来のリターン獲得を目的として研究開発費以外に投資的費用604百万円を費用計上しております。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループは、自動車産業を中心とする製造事業者に対して、当社グループエンジニアによる製品開発・設計の請負サービス、及びエンジニア派遣サービスを提供、また3Dプリンター等の造形設備を利用した試作モデル製造販売及び少量多品種製品の製造販売を行っております。そのため当社グループには、エンジニアやコンサルタント等人財への投資、製品の設計開発を行う専用ハードウエア及びソフトウエア等のツールへの投資、3D造形設備への投資、及びその原材料費の支払や人件費等運転資金に対して資金の需要があります。当連結会計年度においては運転資金に充当する目的で特別当座貸越契約を締結し機動的に調達できる体制を整えましたが、基本的には上記の資金需要に対して自己資金を充当する方針としております。流動性について、当連結会計年度末において4,592百万円の現金及び現金同等物を保有し、当社グループの事業運営上十分な流動性を確保していると考えております。当連結会計年度末における自己資本比率は72.2%となっており今後も安全性の高い資本構成を継続する考えであります。2016年に実施したCSM Software Private Limited(現SOLIZE PARTNERS India Private Limited)及びCSM Software USA,LLC(現SOLIZE USA Corporation)の買収時のように、一時的にまとまった資金需要が発生し、資金の流動性が低下するリスクがあるため、借入等機動的な資金調達ができる体制の構築を進めて参ります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者により、一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っていますが、見積りには不確実性を伴うため、実際の結果は、これらと異なることがあります。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表[注記事項](重要な会計上の見積り)」に記載しております。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは以下の
とおりであります。
(固定資産の減損)
当社グループは、継続的に収支の把握を行っている管理会計上の事業区分に基づき資産のグルーピングをし、減損の兆候の有無を判定しております。減損の兆候があった場合、将来キャッシュ・フローを見積り、減損の要否を判定しております。判定の結果、減損が必要と判断された資産については、帳簿価額を回収可能価額まで減額しております。
(繰延税金資産の回収可能性)
当社グループは、将来の課税所得を合理的に見積り、繰延税金資産の回収可能性の判断をしております。将来の
課税所得に関する予測は、中期経営計画等をもとに行っているため、経営環境等の変化により、課税所得の見積りの変更が必要となった場合には、繰延税金資産の計上額が変動し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
④経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等についての分析
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するため、当社グループでは売上高対前年増加率及び営業利益額を重視するとともに、売上高の大部分を占める構成要素である国内エンジニア数(含 コンサルタント)を客観的な指標としております。顧客ニーズに応えるため、提供するサービスのラインナップを拡充、グローバルにもサービス提供ができるキャパシティを確保することを目指し、売上高の成長率を重要な目標と考えております。また、当社グループサービスの本業による付加価値の拡大を目指し、営業利益の成長を重要な目標と考えております。
当連結会計年度においては、売上高対前年増加率13.5%、営業利益は85百万円となりました。また、国内エンジニア数(含 コンサルタント)は1,639名(対前年比250名増加)となりました。推移は以下のとおりです。
|
|
2021年12月期 |
2022年12月期 |
2023年12月期 |
2024年12月期 |
2025年12月期 |
|
国内エンジニア数(人) |
1,101 |
1,205 |
1,283 |
1,389 |
1,639 |
(代理店契約)
|
契約会社名 |
相手方の名称 |
国名 |
契約名称 |
契約期間 |
主な契約内容 |
|
SOLIZE PARTNERS 株式会社 |
3D Systems Corporation |
米国 |
代理店 契約 |
2016年1月1日 から自動更新(注) |
米国3D Systems社製3Dプリンターの日本国内における装置販売及び保守に関する代理店契約 |
|
株式会社スリーディー・システムズ・ジャパン |
日本 |
|
契約会社名 |
相手方の名称 |
国名 |
契約名称 |
契約期間 |
主な契約内容 |
|
SOLIZE PARTNERS 株式会社 |
株式会社日本HP |
日本 |
代理店 契約 |
2019年4月1日から自動更新(注) |
HP社製3Dプリンターの日本国内における装置販売に関する代理店契約 |
(注) 当社又は相手先から契約解除の申し出がない限り、自動的に契約更新がされるものであります。
(会社分割による持株会社体制への移行に伴う吸収分割契約)
当社は、2025年2月14日開催の取締役会決議に基づき、当社100%出資の子会社として新たに設立したSOLIZE分割準備会社1(2025年3月21日付でSOLIZE PARTNERS株式会社に商号変更)、SOLIZE分割準備会社2(2025年3月21日付でSOLIZE Ureka Technology株式会社に商号変更)、及びSOLIZE分割準備会社3(2025年3月21日付で+81株式会社に商号変更)(以下まとめて「本分割準備会社」という)との間で吸収分割契約を締結いたしました。また、2025年3月26日に開催の当社定時株主総会での承認を経て、2025年7月1日付で当社の事業を本分割準備会社に承継いたしました。これに伴い、当社は2025年7月1日付で「SOLIZE Holdings株式会社」に商号変更し、持株会社体制へ移行いたしました。
詳細につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等[注記事項](企業結合等関係)」に記載のとおりであります。
自動車産業の技術環境が大きく変化する中、当社グループを持続的な成長へと導くことのできる人材の育成と技術の開発に早急に取り組むことを目的として、2018年4月にSOLIZEテクノロジーラボを設立、当連結会計年度の持株会社化に伴い、SOLIZE Holdings株式会社に属するサステナブルクリエイティビティラボとして活動を継続して参りました。当連結会計年度においてサステナブルクリエイティビティラボでは本質的に美しいものづくりの実現に向けて、「地域循環のものづくり」、「サステナビリティ向上」、「自然と調和したものづくり」等に係る研究開発を推進して参りました。具体的には、北海道東川町との木工と3Dデジタル技術に関する研究や、TAKT PROJECT社との共同展覧会開催等、自然物とデジタルテクノロジーによる新たなデザインの可能性についての研究を行う等、試みを進めて参りました。これらの結果、サステナブルクリエイティビティラボにおける当連結会計年度の研究開発費は70百万円となりました。
エンジニアリング・マニュファクチャリング事業においては、3Dプリンターによる少量量産に関する研究や3Dプリンターを利用して製造した熱交換器による熱マネジメントに関する研究等を継続して参りました。このような研究は、具体的には国立研究開発法人JAXAと共同で進めている衛星や探査機に搭載される機器の熱管理を担う装置の開発等に生かしております。エンジニアリング・マニュファクチャリング事業における当連結会計年度の研究開発費は
コンサルティング・エンジニアリング事業においては、AIを利用したソフトウエア開発に関する研究開発を進めて参りました。当連結会計年度のコンサルティング・エンジニアリング事業の研究開発費は
以上の結果、当社グループ全体の研究開発費の金額は