第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 (1)経営方針

当社グループは「優れた製品を供給して社会に貢献する」ことを社是とし、「会社と社員の永遠の繁栄をはかる」ことを行動の基本方針としています。このような考え方を大切にし、主に産業用切削工具の分野で地道な努力を続けてまいりました。今日では、プリント配線板用超硬ドリル(PCBドリル)分野において世界のリーディングカンパニーとなっています。

今後とも「モノ造り」に専心し、高品質、高レベルな製品・サービスを柔軟に適時に提供することで、グローバルな市場の中、価値ある企業であり続けたいと願っております。

 

 (2)目標とする経営指標

当社グループは、売上高や営業利益などの絶対額と売上高営業利益率を重要な経営指標としており、各項目の着実な向上を目標としております。

 

 (3)経営環境

当社グループは前述のとおり、産業用切削工具、とりわけPCBドリルを主力製品としておりますが、これらは電子機器業界および自動車業界の影響を受けています。両分野とも今後の技術革新により更なる拡大が期待される業界であり、当社グループ製品に対する需要も増加するものと思っております。技術革新は、より高付加価値な産業用切削工具を求め、切削性・耐久性のレベルアップはもとより、それらのバランスも必要としています。当社グループは切削工具を製造する設備自体を自社で開発・製造しており、60年以上のノウハウをこの自社設備に集約させ、お客様の望む各種の品質要求を満たしてまいりました。この「技術に技術を上乗せ」していくノウハウの蓄積が、競合他社に対しての優位性を確固たるものとし、今後とも時代要請である技術向上の下支えに貢献していけるものと思っております。

金融政策の転換、中国の内需停滞、米国新政権による保護主義的な政策動向、急激な為替変動、地政学的リスクといった不透明な状況が懸念されますが、当社グループが関連する半導体市場では、高品質・高技術志向の高まりが感じられます。このような付加価値の高い需要を取り込むべく、企業体質の更なる強化を図ってまいりました。今後とも当社グループの成長を確固たるものにするとともに、企業を取り巻く社会からの要請事項に応えてまいります。

 

 (4)対処すべき課題

1.当社グループ製品の付加価値向上と生産能力の拡大

当社グループの主力製品である産業用切削工具への需要は、高品質や高精度を求めています。新たな技術革新が多方面で進むなか、当社への需要もめまぐるしく変わりながら新たな要求も増えていくものと思っています。これまでに蓄えた産業用切削工具の開発・製造ノウハウを生かし、一層の付加価値向上を果たしていく所存です。また、新しい生成AI関連分野は、今後その活用範囲を急速に拡げていき、大きな関連需要の創出が期待できます。当社グループは生産設備を内製していることから、この強みを生かし、生産能力の迅速な増強を果たしていきたいと思っています。

 

2.グループの連携強化とグローバルな視野にたった営業戦略の確立

生成AIが新たな価値を生み出すなか、新しい取組みが世界各地で起きています。このような動きは、当社グループが強みとする高品質製品への需要拡大につながりますが、要求数量の急激な変動や要求品質の変化が地域ごとに異なる状況となっています。当社グループは主な需要地に製造拠点を置き、各地区のニーズにきめ細かく対応する体制をとっておりますが、このような体制を効率よく運営することが必要になってきています。製品の作り分けや物流の強固な連携と全体適正を意識した営業戦略の構築を進めていく所存です。

 

3.高品質志向の次世代製品の投入強化

最先端志向の強い切削工具事業においては、積上げた各種ノウハウを活かし、変わりやすく多岐にわたる要求品質の充足に向けて新たな付加価値向上製品の投入を続けてまいります。その他、生産設備の内製化などで蓄えた技術を応用した新製品の開発・投入を進め、業績の安定と拡大を図っていく所存です。

 

4.社会的要請事項への対応と企業価値の向上

当社は「会社と社員の永遠の繁栄を図る」ことを社是としています。企業を取巻く課題は色々あり、この点から社会的要請事項も多岐にわたっていますが、寄せられる期待に応えながら企業体質の強化を図っていく所存です。とりわけ、企業体質強化の根幹である従業員の活躍・成長について十分取組んでまいります。

 

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

 当社は、サステナビリティ基本方針を定め、その具体化に向けた動きをサステナビリティ委員会で推進しています。この委員会は、委員長を代表取締役社長が務め、委員をサステナビリティ推進のために主要な役割を果たす各部門の状況を理解し、十分に把握している取締役、執行役員を中心に構成しており、取締役会での諮問機関の位置付けをとっております。また、委員会のもと主要3テーマごとに部会を設置して、専門的で効率的な推進が図れるようにしております。取締役会は、サステナビリティ全般に関するリスク及び機会の監督に対する責任と権限を有しており、サステナビリティ委員会で協議・決議された内容の報告を受け、サステナビリティに関するリスク及び機会への対応方針や実行計画等について審議・監督を行っております。

 

(2)戦略

①気候変動

 当社は、気候変動が当社の事業経営に及ぼす影響(リスクと機会)を明らかにするため、TCFD提言に基づくシナリオ分析を実施しております。「国際エネルギー機関(IEA)」や「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」等の外部機関が公表している気候関連シナリオを参考に、2050年頃までに想定されるリスクと機会を抽出し、これらにおける対応策をまとめております。

詳細は当社ホームページにてご確認ください。

 https://www.uniontool.co.jp/sustainability/tcfd.html

 

②人的資本

開示制度の充実が進むなかで、以下の人的資本に係わる方針のもと、定量情報の整理・算定・公開を行っております。

<人材育成方針>

  私たちユニオンツールは、企業倫理の安定的、継続的な実現のために専門性と創造性に富み、
誠実さと挑戦心を兼ね備えた人財の育成と登用を図ります。

<社内環境整備方針>

  私たちユニオンツールは、健康で明朗、活気に満ちた職場づくりのために組織風土を醸成し、
個々の人格と個性を尊重した人事制度や労働環境の維持向上を推進します。

 

(3)リスク管理

 各部門所管業務に付随するリスク管理は担当部門が行いますが、組織横断的なリスク管理またはリスク管理のための重要な基礎的事項については、取締役会が決定・実施しております。取締役会は、この決定・実施の実効性を高めるため「リスク管理規程」を制定し、諮問機関として、各部門長から成る「リスク管理委員会」を設置しております。

  気候変動に関するリスクについては、毎年、環境部会が「リスクと機会」の分析・評価および見直しを行っております。分析・評価の内容はサステナビリティ委員会に報告するとともに、関連部門と連携し環境課題への取り組みに活かしております。

 

(4)指標及び目標

①気候変動

 当社では、環境への影響を評価・管理するための指標として、生産活動で排出する二酸化炭素量や製品の寿命を用いています。

 また、事業活動に伴って発生する環境負荷をインプットからアウトプットにわたって把握・監視しており、省エネルギー化、リサイクル化、省資源化などを推進して、効果的な環境負荷低減活動が行えるよう努めています。

 二酸化炭素排出量削減については、重点課題である省エネルギー化の取り組みとして、エネルギー使用の効率化を全社で推進しました。

詳細は当社ホームページにてご確認ください。

https://www.uniontool.co.jp/sustainability/tcfd.html

 

 

②人的資本

 

人的資本に関する目標および当該目標に係る指標については、連結グループ各社において諸規程や男女比等が異なっており、一律の基準で管理・運用しているものではないため、連結ベースでの算出は困難であります。このため、以下の指標に関する目標および実績については、提出会社のものを記載しております。

当社においては、上記「(2)戦略」に記載した人材育成方針および社内環境整備方針について、4つの視点から指標を設定し、当該指標の実績を確認することで現状把握に努めております。以下は、当該指標および実績の一例であります。

 

区分

指標

2023年度

2024年度

2025年度

目標

ダイバーシティ
(多様性)

障がい者雇用率

2.0%

2.8%

2.4%

2.7%

人材育成・成長環境

社員一人あたりの
教育訓練費

35,840円

54,672円

55,079円

働きやすさ

平均残業時間(月)

14時間42分

21時間6分

26時間3分

20時間

健康・安全

休業を伴う
労災発生件数

1件

0件

1件

 

  (注)1 当該指標に関する実績は、提出会社である当社のみを対象としたものであります。

    2 平均残業時間(月)の目標は、2026年度の目標値となります。

    3 女性管理職比率、男性育児休業等取得率、男女間賃金格差については、「従業員の状況」に記載
  しております。

 

2025年度は、PCBドリルの受注増に伴い、平均残業時間が増加しました。2026年度は平均残業時間(月平均、時間/人)20時間を目標として掲げ、生産の効率化を通じて残業時間の低減を図っていく方針です。あわせて、新卒採用に加え中途採用も積極的に行い、当社に必要な知識・技能を有する人材の確保に努めてまいります。

当社は、社員一人ひとりに必要な教育を必要なタイミングで実施できるよう、教育制度を構築しております。オンライン学習サービスを導入し、技術者の育成を行うとともに、階層別教育、新任役職者教育、若手社員教育等も実施しております。時代に即した実効性の高い教育を継続するため、教育カリキュラムの見直しを適宜行ってまいります。

さらに、障害者がチームとして働く「ソーシャルオフィス」を2024年に導入しております。法定雇用率の充足を図るとともに、引き続き障害者が活躍できる業務の拡大および積極的な採用を進めていく方針です。

目標値を設定していない指標については、今後、具体的な目標値の設定を検討してまいります。また、現時点では、グループ全体としてのサステナビリティ関連の具体的な指標および目標は定めておりませんが、その設定および開示については、今後の課題として検討してまいります。あわせて、多様な人材が活躍し、意欲を持って長期的に就業できる職場環境の整備に努めてまいります。

 

   上記以外の指標も含め、人的資本に関する指標の実績は、当社ホームページで情報を開示しております。

   https://www.uniontool.co.jp/sustainability/employee.html

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避および発生した場合の対応を迅速かつ効果的に実施する所存であります。なお、本文中における将来に関する事項は有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

①製造業の生産動向

当社グループの主な製品は、プリント配線板用超硬ドリル(PCBドリル)や超硬エンドミルなどの産業用切削工具とその他製品である転造ダイス・測定機器などであります。このため、経営成績等は、製造業全般の生産動向や工場稼働率の動向により影響を受けています。

生産動向の強弱を決める要因は、消費者の嗜好変化、政治経済動向、燃料価格の上昇や部材不足などの生産側の問題、大規模自然災害等多岐にわたります。当社グループは、どんな緊急時でも完全にストップする可能性が少ない消耗工具での事業展開に注力することで一定の業績を確保してまいりました。また、需要の急激な変化が常態であるとの認識を共有し、製販一体となった需要動向の精査と予測精度の向上を果たしつつ、見込生産を実施しております。その他、流通分を含めた在庫把握体制の強化やリードタイムの短縮に注力しております。

 

②PCBドリルへの依存体質

当社グループの売上高の約7割がPCBドリルになっており、今後しばらくはこうした状況が続くものと予測されます。このため、同製品の主要市場であるプリント配線板市場の生産動向に、当社グループの経営成績等は影響を受けています。近年、プリント配線板は高品質・高密度傾向が強く、その用途も拡大している分野で、お客様の要求もめまぐるしく変化し、多岐にわたっています。

当社グループは、PCBドリル分野で唯一世界展開を果たしている企業グループであり、生産設備の内製化(製造業の自由度を圧倒的に高めることができると考えております。)という強みを持っています。世界からの情報と内製技術の蓄積により高付加価値製品の一早い開発・製造が可能になっており、このような体制を強化することで競合他社に対する競争優位性を保てるものと思っております。

また、プリント配線板には、近年、技術革新が起こっています。このため予測し難いことではありますが、プリント配線板の技術開発動向も経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

技術革新要求は一定の地域で起きており、また、その要求を満たすための新技術・新製品はこれまでの技術の積重ねによって生み出されるものであることから、現在トップメーカーの地位にある当社が突然厳しい立場になることはないと考えておりますが、業績の更なる安定・拡大のために対象市場が異なる超硬エンドミルや転造ダイス製品の拡大にも注力しています。

 

③日本を含むアジア向け売上高が高いこと

連結売上高の約9割が、日本を含むアジア向けとなっています。世界的にこの地区への製造業シフトが見られ、このような傾向は止むをえないものと考えております。このような状況から、この地区での政治的・経済的・社会的変化や法規制等の変更および天変地異の発生などにより、当社グループの経営成績等に影響が及ぶ可能性があります。

国際情勢の不透明感、中国景気の低迷、製造業の好不調二極化など事業環境の厳しさはあるものの、生成AI関連需要の盛上りにより、当面、アジア地区から堅調な需要が期待できるものと思っています。また、当社グループでは、グループの事業戦略と整合する拠点戦略を策定し、各国や地域の特性に応じた営業戦略を立てていることで、当該地域からの当社グループ製品への需要を維持すべくリスク管理に努めています。

 

④製品価格の下落傾向があること

プリント配線板は電子部品の電気的導通のベースとなるものであり、電子機器製品に必ず搭載されています。電子機器製品の本体価格は恒常的に低下する傾向にあり、搭載の各種部品・半導体等も同様の傾向にあります。このような状況下、主力のPCBドリルに対しても厳しい値下げ圧力がかかっています。当社グループは、品質・技術・サポート体制・供給力の強化を図り、少しでも価格競争による影響を回避すべく努力しておりますが、製品価格の下落が当社経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

今後とも価格下落圧力に対応できる新製品の開発・投入を進めてまいりたいと思っています。

 

⑤原材料価格動向

当社グループ製品の主要な原材料はタングステン鉱石から組成される超硬合金「タングステンカーバイド」です。この2次組成品の調達先は、古くから技術的に深く結びついている企業であり、その供給体制の現状などをきめ細かくモニタリングできる関係性を築いています。その他、一括購入の強化やリサイクル材の活用などを行っており、当社グループの原材料価格の急激な変動への耐性を高めているところです。このようなことから、昨今のタングステン鉱石の価格急騰を和らげることができているものの、今後の動向次第では徐々に経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

⑥製造ノウハウ等が一つの拠点に集中していること

自社製機械設備製造の大部分および技術開発の大部分が、新潟県長岡市の長岡工場に集中しています。製造・技術一体となった効率高い生産設備の開発、最先端技術製品の市場に先んじての投入など、集中させているメリットは十分にあると考えていますが、同地区の地理的環境や物流網への変化・支障が生じた場合、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

近年、異常気象の発生や記録的大雪などが各所で問題になっていますが、新潟県長岡市は、同市独自の「消雪パイプ」道路網の整備が完了しているなど自然災害への備えが進んでいる地区であります。当社長岡工場でも大雨による水害対策の整備に乗り出しており、備えを厚くしています。

 

⑦為替レートの変動について

外貨建売上高と海外子会社の現地通貨建決算書類の連結において、為替レートによる円換算を行います。急激な為替レート変動などがあった場合、当社グループの経営成績等に影響が及ぶ可能性があります。

当社グループは、経営計画や予算編成時に前提となる為替レートを設定し、その設定値と実績レートとの差異を四半期ごとに検証分析しており、このような為替変動リスクのモニタリング体制を強化することで、当該リスクの軽減を図っております。

 

⑧他社との競争環境

当社グループの主要製品である産業用切削工具は、新たなAI関連向け需要の拡大などがあり、国内外の競合企業による技術革新や価格競争が激しくなる可能性があります。とりわけ、製品性能向上、納期短縮、コスト低減などの面で優位性を持つ企業が登場した場合、当社グループの販売数量の減少、利益率の悪化、ひいては業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、長年にわたり培ったこの分野でのノウハウを活かし、技術力の強化や内製設備の高度化、生産効率の改善、顧客要求への対応強化などを進めていますが、競争環境の変化を完全に予測し対応することは困難です。

 

⑨品質問題が発生するリスク

当社グループは、製品品質の維持・向上を最重要課題の一つとして取り組んでおりますが、製造プロセスの変動、設備の不具合、原材料品質のばらつき、人為的ミス、技術伝承の遅れ等により、不良品率が上昇する可能性があります。不良品率の上昇により品質問題が発生した場合、製品回収、修理対応、代替品提供等に伴うコストが発生するほか、顧客からのクレーム増加や信頼低下につながり、当社グループの業績・財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、品質管理体制の強化、設備保全の高度化、工程の自動化、人材育成の強化等の対策を進めていますが、すべての品質リスクを完全に排除することは困難です。

 

⑩情報セキュリティに係るリスク

当社グループは、事業運営にあたり、顧客情報、取引先情報、技術情報、知的財産、並びに生産設備等を管理する各種システムを保有しています。これらの情報資産に対し、サイバー攻撃、高度化したマルウェア、ランサムウェア感染、不正アクセス、内部不正、情報機器の紛失・盗難等の事象が発生する可能性があります。

当社グループは、これらのリスク低減に向け、多段階防御体制の構築、外部専門家による脆弱性診断受診、従業員教育強化、インシデント発生時の体制整備などを進めています。しかしながら攻撃手法は日々高度化しており、すべてのリスクを完全に回避できるものではありません。

 

⑪多額の設備投資による影響

当社グループは、ここ数年従来にない大型の設備投資を実施しています。これは主に旺盛なAI関連向け需要への対応によるものですが、市場環境の急激な変化、顧客の投資抑制、競合状況の変化等により、当初想定した稼働率や収益性を確保できない場合があります。その結果、投資回収期間の長期化、減価償却負担の増加、投資効率の低下、さらには投資資産に対する減損損失計上を必要とする可能性もあり、当社グループの業績等に悪影響を及ぼすおそれがあります。

当社グループでは、投資判断プロセスの強化や稼働率向上策・生産改善施策などを講じておりますが、すべての投資リスクを完全に排除することは困難です。

 

⑫代替技術の技術革新について

当社グループの主力製品であるPCBドリルはプリント配線板に穴をあける専用工具です。代替技術としてはレーザー照射による穴あけ加工があります。レーザー穴あけ加工は、ドリル加工に比べて微細で素早い加工ができることもあり、主に一定の素材の単層加工用途で実績をあげています。レーザー加工技術や加工機械の進化、またはレーザー穴あけに適したプリント配線板の需要拡大があった場合、PCBドリル需要の減少など当社グループの業績等に悪影響が及ぶおそれがあります。近年、プリント配線板は耐熱性向上のため複合材料が分厚く積層される多層構造が志向されており、ドリル加工への期待が高まっていることから、当社グループは寿命伸長、高アスペクト品開発など対応を強化していますが、代替技術の進化による影響を完全に回避することは困難です。

 

⑬主要な取引先の取引継続性

当社グループの主力製品であるPCBドリルへの需要がAI関連の急激な拡大に伴って増加しています。とりわけ当社グループが強みとするハイエンド品については品不足状態にあります。当社グループ製品の供給不足が続いた場合、単発的に他社製品への切替えが起きることも考えられ、さらにこのようなことが高じた場合、取引先離れによる当社グループ業績等の悪化も懸念されます。

当社グループは、従来にない高水準の生産能力増強と当社グループ独自の高品質製品の投入により、取引先との信頼関係を強固にしていますが、取引先も迅速な需要充足により大きな成長が期待できる事業環境にあることから、このようなリスクが完全に抑えられるものではありません。今後とも取引先と密な交流を続け全体最適を実現していきたいと思っております。

 

⑭高品質素材の調達条件変更

当社グループが強みとするハイエンド品向けの素材は、高い要求品質に応える優良素材となっています。このような素材の供給先は、金属精錬・加工に高度な技術と安定品質をもつ少数の会社であり、これらの既存供給先から取引条件の変更などが提示された場合、当社グループの業績等に悪影響がおよぶ可能性があります。

当社グループは、新たな素材の開発や安定供給について密な関係を素材供給先と構築し、協力体制を強固なものにしていますが、優良代替材料の確保も困難なことから、常に状況を注視している状況です。

 

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社および連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

(経営成績)

当連結会計年度における事業環境は、雇用・所得環境の改善や各種政策の効果等を背景に、緩やかな回復基調で推移しました。一方で、米国の通商政策の影響や国内における物価上昇の継続が個人消費に及ぼす影響など、景気を下押しするリスクも存在しており、先行きについては依然として不透明な状況が続いています。

当社グループに関連深い電子機器業界においては、スマートフォンやパソコンなど民生機器の最終需要は回復基調ながら力強さを欠き、ロジック半導体向けおよびメモリー向け需要も限定的な推移となりました。これに対し、生成AIの急速な普及が半導体市場の主要な成長ドライバーとなり、AIサーバーやデータセンター向けに使用されるパッケージ基板や高多層基板を中心に、AI関連領域の需要が市場全体を明確に牽引しました。車載分野では先進運転支援システムやコネクテッド機能の普及が一定の需要を下支えしたものの、米国の関税措置や欧米における電気自動車政策見直しの影響から、需要拡大には至りませんでした。

生成AIを中心とした半導体需要が突出した市場環境のもと、当社グループでは高付加価値工具および高多層基板用工具に対する需要増加が継続しました。これに対応するため、自社設備の強みを活かした早期の設備立上げと拠点間の連携強化により、生産能力の増強と供給能力の確保を進め、急変する需要環境に対応しました。大規模な設備投資および増産体制の構築に伴う費用負担はあったものの、高収益品である高付加価値工具および高多層基板用工具の増販が進んだことにより、収益性が向上し、前年同期比で大幅な増収増益となりました。

このようなことから、当連結会計年度の売上高は40,165百万円(前期比23.2%増)と過去最高額を更新しました。営業利益は8,728百万円(同26.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は6,114百万円(同15.7%増)となり、ともに過去最高益を計上しました。経常利益は8,136百万円(同14.1%増)となりました。

次にセグメント別の状況ですが、日本では、生成AI関連市場の需要を取り込み、堅調な需要動向が継続しました。高付加価値工具の生産拠点である長岡工場では、大規模な設備投資に加え、工場内インフラの整備、改修など増産体制の構築に注力しました。売上高(セグメント間取引消去額を含む。以下同じ。)は25,906百万円(前期比15.5%増)となり、セグメント利益(営業利益)は4,214百万円(前期比15.5%減)となっております。

日本を除くアジア地区では、中国、台湾を中心にAIサーバーやデータセンター向けに使用されるパッケージ基板および高多層基板の需要が拡大し、現地生産拠点の稼働率向上により収益性が大幅に改善されました。売上高は24,259百万円(同33.0%増)となり、セグメント利益は3,150百万円(同107.7%増)となっております。

その他、北米地区の売上高は2,037百万円(同0.9%増)、セグメント利益は89百万円(同48.3%減)となり、欧州地区の売上高は2,527百万円(同12.8%増)、セグメント利益は114百万円(同40.7%減)となっております。

 

(財政状態)

 a. 資産の部

当連結会計年度末の資産合計は、88,202百万円(前連結会計年度末比9,338百万円増)となりました。流動資産合計は45,673百万円(同4,468百万円増)となりました。主な変動要因は、現金及び預金(同1,542百万円減)、受取手形及び売掛金(同3,049百万円増)であります。

固定資産合計は42,528百万円(同4,870百万円増)となっております。このうち、有形固定資産合計は30,773百万円(同4,514百万円増)となり、投資有価証券(同206百万円減)を含む投資その他の資産合計は11,645百万円(同321百万円増)となっております。

b. 負債の部

当連結会計年度末の負債合計は8,203百万円(前連結会計年度末比2,476百万円増)となりました。
 流動負債合計は6,681百万円(同1,649百万円増)となり、固定負債合計は1,521百万円(同826百万円増)となっております。

 c. 純資産の部

当連結会計年度末の純資産合計は79,998百万円(前連結会計年度末比6,862百万円増)となりました。株主資本合計が69,870百万円(同5,036百万円増)、その他の包括利益累計額合計が10,127百万円(同1,826百万円増)となっております。主な変動項目は利益剰余金(同4,041百万円増)とその他有価証券評価差額金(同1,115百万円増)であります。

 

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ1,543百万円減少し、当連結会計年度末現在16,423百万円となっております。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、事業活動の安定と利益向上を主因として、7,507百万円の収入(前年同期比224百万円の収入の増加)となっております。主なキャッシュ・イン項目は、税金等調整前当期純利益8,317百万円、減価償却費3,316百万円であり、主なキャッシュ・アウト項目は、売上債権の増加額2,778百万円であります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、6,803百万円の支出(同465百万円の支出の減少)となりました。有形固定資産の取得による支出7,431百万円および投資有価証券の売却及び償還による収入1,023百万円が主な変動要因となっております。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、2,258百万円の支出(同580百万円の支出の増加)となりました。配当金の支払額2,072百万円が主な変動要因となっております。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

  a. 生産実績

セグメントの名称

生産高(百万円)

前期比(%)

日本

25,137

+18.4

アジア

13,029

+38.9

北米

 欧州

合計

38,166

+24.6

 

(注)1 当連結会計年度において、生産実績に著しい変動がありました。その内容等については、「第2「事業の状況」4「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 ①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容」をご参照願います。

 

  b. 受注実績

当社グループは一部の受注に見込み分を上乗せした見込み生産が主体であります。従いまして、当該事項の記載は省略しております。

 

  c. 販売実績

セグメントの名称

販売高(百万円)

前期比(%)

日本

12,646

+14.7

アジア

23,030

+33.0

北米

2,037

+0.9

欧州

2,450

+9.5

合計

40,165

+23.2

 

(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 当連結会計年度において、販売実績に著しい変動がありました。その内容等については、「第2「事業の状況」4「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 ①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容」をご参照願います。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

Wus Printed Circuit(Kunshan)Co.,Ltd.

5,705

14.2

 

(注)販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満のものについては記載を省略しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。

 

 

① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度は、売上高が前期比23.2%増となる40,165百万円となり、営業利益が前期比26.9%増8,728百万円という実績になっております。

日本国内での雇用・所得環境の改善を背景に緩やかな回復が見られたものの、米国の通商政策や国内における物価上昇の影響により、経済の先行きについては依然として不透明な状況で推移しました。このような環境のもと、当社グループを取り巻く事業環境は、スマートフォンやパソコンを中心としたデジタルモバイル機器の最終需要が回復基調にある一方、ロジック半導体向けおよびメモリー向け需要は限定的な推移となりました。これに対し、生成AIの普及を背景に、AIサーバーやデータセンター向けを中心とした半導体需要が拡大し、関連市場が成長を牽引しました。

当社グループでは、こうした需要環境を踏まえ、自社設備の強みを活かした早期の設備立上げおよび拠点間の連携強化により、生産能力の増強と供給体制の確保を進めました。その結果、戦略製品である高付加価値工具および高多層基板用工具の販売が伸長し、大幅な増収増益に寄与しました。あわせて、年度末の為替レートが想定より円安となったことも影響し、確定した実績は第3四半期末時点での開示予想値を、売上高で7.1%、営業利益で10.5%上回る結果となりました。

今後につきましては、生成AI関連分野を中心とした需要動向を注視しつつ、半導体パッケージなど高度な電子部品向けの高品質製品の需要増加に対応するため、供給体制の強化を進めるとともに、生産設備の増設や最新鋭設備の導入による生産性向上を図り、持続的な業績拡大を目指してまいります。


② 資本の財源及び資金の流動性

当社グループの運転資金需要の主なものは超硬合金などの原材料の購入費用であり、その他は製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資のための資金需要の多くは、内製している生産設備向けとなっております。当社グループは、非常に激しい需要変動にさらされており、資金に対しては十分な流動性と自由で迅速な意思決定を可能にする柔軟性の確保を重視しており、主に自己資金による財源確保を進めております。また経費節減やスリム化の努力も重ね、当連結会計年度末現在の現金及び現金同等物の残高は前期末比1,543百万円減となる16,423百万円となっております。

 

③ 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成にあたっては、経営者により、一定の会計基準の範囲内で見積が行われている部分があり、資産・負債や収益・費用に数値は反映されております。これらの見積もりについては、継続的に評価し、必要に応じて見直しを行っていますが、見積もりには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらと異なることがあります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

イ 固定資産の減損

固定資産の減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュフローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。過年度の損益実績や事業計画に基づき検討しておりますが、市場環境の変化等により、事業計画の前提条件に変更が生じた場合には、減損損失の計上が必要となる可能性があります。

ロ 繰延税金資産の回収可能性

今年度の課税所得の実績や事業計画に基づく課税所得の見積りに基づき、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提条件に変更が生じた場合には、繰延税金資産を取り崩し税金費用の計上が必要となる可能性があります。

ハ 退職給付関係

確定給付制度の退職給付債務及び退職給付費用について、数理計算上の仮定を用いて算定しております。数理計算上の仮定には割引率等の計算基礎があり、定期的かつ合理的な見直しを行っております。当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、退職給付債務及び退職給付費用が変動する可能性があります。

 

 

5 【重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

当連結会計年度の研究開発活動は、主力である切削工具については、多様化する市場ニーズに対して競争力ある製品を投入すべく、あらゆる面での強化を図りました。切削工具以外の製品については、品質・技術による差別化を基本戦略とし、引き続き新製品の開拓を目指して注力を続けております。

 

(1) 切削工具関係

プリント配線板用ドリルにおいては、AIサーバーやデータセンター向けのFC-BGAパッケージ基板、ならびに高多層マザーボード向けのULFコートドリルの開発に注力しました。FC-BGAパッケージ市場では、次世代のマルチレイヤーコア技術の方向性が明示され、それに対応すべく高アスペクト比加工を実現する技術の開発を進めました。また、内層コアへの部品内蔵用キャビティ加工のニーズが高まっていることから、専用の小径ルーターの開発にも取り組みました。高多層マザーボード市場においては、AIサーバーを中心とした技術開発の進展により、さらなる厚板化が進んでいます。また、クオーツガラスクロスの適用が具体化しつつあることを受け、それを念頭に置いた技術開発を行いました。今後も、高難易度の加工ニーズに確実に応えることができる工具の開発に努めてまいります。

超硬エンドミルは、長寿命と高品質を実現し、お客様のコストダウン要求に応えるため、研究開発を推進しております。2025年は、超硬合金・硬脆材の切削加工領域を牽引するダイヤモンドコートUDCシリーズに「UDCSB」と「UDCSLB」を加えました。「UDCSB」は高靭性超硬合金加工用の2枚刃ボールエンドミルで、「UDCSLB」はそのロングネック仕様です。切れ刃に斜刃形状を採用することで切削時の損傷を抑え、高密着性を持つUDCコートにより硬度87HRA以下の高靭性超硬素材の加工効率向上と工具寿命の延長を実現しています。

さらに、鋼材加工向けにはUTCOATを採用した「CLRS」を開発しました。「CLRS」は2枚刃ロングネックラジアスエンドミルで、生材から40HRCの低中硬度材まで対応可能です。底面仕上げで発生しやすい切削痕を軽減し、鏡面仕上げ性能を向上しています。また、外径公差、R精度、シャンク径公差を従来品より向上させ、高精度加工を可能にし、金型加工や精密部品加工ユーザーから高い評価を得ています。

これらの新製品は、ユニオンツールが掲げる「長寿命」「高品質」「コストダウン」の理念に基づき開発しました。今後も市場ニーズに応えるため、革新的な製品開発を進め、さらなる技術向上を目指してまいります。

 

(2)その他の製品関係

 転造ダイスは、市場ニーズに応えるべく、ダイスの耐久性と精度向上を目指して、引き続き継続的な改善を行っています。これにより、自動車のパワーウインドウやパワーシート、ワイパーに使用されるウォーム用ダイスの市場において、お客様より変わらぬ信頼と高評価をいただいております。

 さらに、衝突被害軽減ブレーキや電動パワーステアリングに使用されるボールねじ用ダイスについても、精密な形状精度の面でお客様から高く評価されています。その市場での需要は引き続き増加傾向にあり、自動車部品やロボット部品など、新しい用途の開発にも積極的に取り組んでいます。

 加えて、当社のスプライン・セレーション用ダイスは、中空ワークにおける転造加工での優位性を持ち、特許を取得済みです。従来の標準的なダイスに比べ、内径の変形や楕円形成が少なく、累積ピッチ誤差の改善にも寄与する優れた特性を実現しています。これからも、自動車シャフト部品のさらなる軽量化ニーズに応じた、最適なダイス製品をご提案し続けてまいります。

 

当連結会計年度における研究開発費は2,341百万円であります。当社グループは、研究開発活動のほとんどを日本で行なっておりますので、セグメント情報に関連付けての金額記載は省略いたします。