本文中における将来に関する事項の記述については、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。
(1) 経営方針
当社は、日一日と常に進化し続ける姿勢を表現した「日新(ひにあらた)」を社是とし、経営理念「モノを動かし、心を動かす。」のもと、マテリアルハンドリングを核とした「モノを動かす技術」で、心豊かに生きられる社会の創造を目指し、事業活動を展開しています。グループの役員・従業員が実践すべき行動のあり方を示した「グループ行動規範」を含めた理念体系は以下のとおりです。
<理念体系>

<長期ビジョン「Driving Innovative Impact 2030」及び「2027年中期経営計画」の概要>
次なる成長と企業価値向上を目指すため、2030年のありたい姿として長期ビジョン「Driving Innovative Impact 2030」(以下、2030長期ビジョン)を、その中間点となる2027年12月期を最終年度とする「2027年中期経営計画」(以下、2027中計)を策定し、達成に向けた取り組みを進めています。
<「Driving Innovative Impact 2030」について>
『未来を見据えた新たな発想での取り組みを強化し、ステークホルダーへ革新的な影響を生み出すことにより、目指すべき経済・社会価値を実現する』との強い想いを込めています。
<策定のコンセプト>
1.短期志向から長期・バックキャスト志向へ
未来の社会像や課題を想起し、まず2030年のありたい姿を2030長期ビジョンとして設定した上で、その中間点として2027中計を策定しました。
2.経済価値と社会価値の両立へ
経済価値と社会価値双方の視点を踏まえた統合目標を設定し、その実現に向けた施策・ロードマップを策定しました。
<2030年のありたい姿・2027年経営目標>
※2025年12月期までの実績・進捗を踏まえて2026年2月12日に2030年のありたい姿及び2027年経営目標についてアップデートを実施しました。詳細は<2030長期ビジョン及び2027中計のアップデートについて>をご覧ください。
<注力する領域・枠組み・マテリアリティ>
経済価値及び社会価値向上の実現に向け、前中期経営計画「Value Transformation 2023」(2021年度~2023年度)の課題や事業環境・社会の持続可能性を考慮し、事業領域と事業・経営基盤領域それぞれで注力する枠組み、マテリアリティを設定し、各種施策を実践しています。

2030長期ビジョン及び2027中計の詳細は、『長期ビジョン「Driving Innovative Impact 2030」、および「2027年中期経営計画」策定のお知らせ』(2024年5月10日公表)をご覧ください。
https://www.daifuku.com/jp/ir/assets/20240510_3.pdf
マテリアリティへの取り組みの詳細は、<2027中計におけるマテリアリティ及びKPI>又は以下URLをご覧ください。
https://www.daifuku.com/jp/sustainability/management/materiality/
<2025年12月期 経営目標に対する進捗状況>
豊富な受注残を背景とした売上の進捗により、連結売上高は過去最高となりました。また、前中期経営計画期間より進めてきた生産効率化・コストダウンの浸透・定着や、プロジェクト管理の高度化、収益性を重視した受注の徹底等により、営業利益率は大幅に向上し、2027中計最終年度目標を大きく上回りました。これにより、営業利益は4期連続で過去最高益となりました。ROEについても、収益性の大幅な向上や、2027中計期間各年度連結配当性向35%以上の方針に基づき株主還元の充実を図ったこと等により、2027中計の最終年度目標を大きく超過する水準になりました。
<2030長期ビジョン及び2027中計のアップデートについて>
2025年12月期の営業利益率、ROEの実績が、2027中計の最終年度目標を大幅に超過する水準になったことを踏まえて、2026年2月12日に目標を上方修正するかたちで以下のとおりアップデートを実施しました。
ありたい姿及び経営目標(経済価値)のアップデート
2030長期ビジョン及び2027中計のアップデートの詳細は、『長期ビジョン「Driving Innovative Impact 2030」および「2027年中期経営計画」アップデートのお知らせ』(2026年2月12日公表)をご覧ください
https://www.daifuku.com/jp/ir/assets/20260212_04.pdf
<2025年12月期 成果と課題>
<2027中計におけるマテリアリティ及びKPI>
枠組み:既存事業の進化、新領域への挑戦、次世代事業の創出
先端技術を取り込んだ製品・ソリューションの開発や新たな市場・ニーズに向けた提案を強化しています。事業部門ごとに設定した目標に対し、順調に取り組みが進捗しています。
枠組み:成長を支える仕組みの構築
当社グループの更なる成長をけん引できる人材の育成や、将来を見据えた技術開発などの取り組みを進めています。また、日本・米国・インドにおける設備投資や、デジタル化や人的資本の拡充に向けた投資を継続しています。
枠組み:事業を支える財務戦略
詳細は「4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (4) 資本の財源及び資金の流動性 ①財務戦略の基本的な考え方」をご参照ください。
枠組み:業務全体の刷新
当社グループの「サステナブル調達ガイドライン」にもとづき、サプライヤーへの監査や海外子会社へのヒアリングなどを実施し、調達リスクの管理を強化しています。
枠組み:継続した安全活動
前年同期と比較し海外の休業災害件数は減少、国内では増加しました。類似災害の再発を防ぐため、過去の災害事例を周知するなど、国内外で安全教育を強化していきます。
枠組み:環境負荷ゼロに向けた活動
「ダイフク環境ビジョン2050」の達成に向け、サプライチェーン全体でのCO2削減や再生可能エネルギー由来の電力導入に取り組むほか、生物多様性保全に関する活動をグローバルへと拡げています。
枠組み:経営体制の強化、管理の高度化
取締役会の実効性向上を図るとともに、グローバルでの経営管理の高度化に向けて、経営理念やグループ方針、経営戦略等の浸透活動や重要リスクへの対応強化に取り組んでいます。また、あらゆるステークホルダーとの対話を継続し、得られた示唆を施策へ反映しています。
枠組み:組織の強化
更なる成長を実現するために必要な人的資本の拡充や、一人ひとりが「働きがい」「働きやすさ」を実感できる環境づくりに取り組んでいます。また、人権尊重のための取り組みも強化しており、人権デュー・ディリジェンスを継続的に実施しているほか、そのプロセスを支える苦情処理メカニズムの導入に向けて検討を進めました。
※1 設備投資、研究開発費、人的資本への投資等
※2 当社グループの製品・システムの不具合を原因とした稼働中における死亡事故及び重傷病(治療に要する期間が30日以上の負傷・疾病)事故
※3 工事における請負事業者を含めて算出
※4 自社の業務中における死亡災害や身体の一部に永久損傷を伴う災害
※5 スコープ3カテゴリ1及びカテゴリ11については、2030年12月期に2019年3月期比30%削減を目指し、定性目標に取り組む
※6 調達先におけるCO2排出量削減に向けた取り組み(目標の共有と削減対策支援など)に関する当社グループ独自の枠組み
※7 廃棄物排出量(t)/売上高(億円)
※8 水使用量(千m³)/売上高(億円)
※9 従業員数100人以上の拠点
※10 サステナビリティに関する啓発・教育のための当社グループ独自の社員参加型プログラム
(2) 経営環境
① 事業環境
日本においては人口減少と高齢化に伴う労働力不足が深刻化する一方、北米を中心とする海外においては人件費が上昇し、生産・物流現場における自動化・無人化ニーズがグローバルで拡大しています。
また、生成AIの普及に伴い半導体需要が飛躍的に増加すると同時に、経済安全保障の観点から各国政府が自国内での生産基盤の確保を促進しているため、各地域で半導体投資が活発化しています。
自動車産業では、米国通商政策がお客さまの投資の意思決定に影響を及ぼしたものの、モビリティの変革期に対応した柔軟な生産体制を構築するため、xEV(BEV、HEV、PHEV、FCEVなど電動車の総称)関連投資の継続が見込まれます。
これまで自動化投資が段階的に進められてきた空港においては、航空旅客数の増加や慢性的な労働力不足に伴う各種課題が顕在化しており、「スマート化」が求められています。
これらの事業環境を踏まえると、当社グループが提供するマテリアルハンドリングを核とする「モノを動かす」技術への期待がますます高まっていくことは確実であり、ビジネス機会を着実に捉え、更なる成長に繋げていきます。
② 競争環境
生成AIやロボティクスなど先端技術の革新が急速に進展し、特定の技術力・製品を持った新興企業が参入してきています。また、低価格を強みとする中国企業も台頭しています。
日本においては、国内競合企業が自社の製品と海外企業の先端製品を組み合わせることで提案力を強化するなど、競争は激化しています。
次世代技術に重点を置いた開発力を強化すると同時に、DX/AIリテラシーの向上に向けた人材育成に注力し、グローバルに最適・最良のシステムを提供するという当社グループの強みに磨きをかけ、厳しい競争に打ち勝っていきます。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
2027中計の折り返しとなる3年目を迎える2026年12月期においては、以下の事項を主な課題として取り組みます。
<先端技術・新規事業開発の加速>
より生産性の高いマテリアルハンドリングシステムを提供し続けるため、AIやロボティクスをはじめとする先端技術を活用した製品・サービスの開発を加速していきます。その実現に向け、新たに東京や京都に研究拠点を設けるなど、研究開発推進体制の拡充を図ります。特に優先度の高いAI、ロボティクスの技術開発を迅速に進めるため、経営資源を積極的に投入します。
また、2030長期ビジョンで掲げる「連結売上高1兆円」の達成には、既存事業の拡大にとどまらず、新たな事業領域の創出が不可欠です。オープンイノベーションによるパートナーとの共創、M&Aなどのインオーガニック戦略、社内公募制度の活用を通じて、成長機会を追求します。さらに、「食」「環境」分野における社会課題解決への挑戦を通じ、価値提供の拡大も目指します。
<グローバル成長戦略の加速>
重点市場である米国・インドにおいて、2025年12月期に生産能力増強に向けた投資(米国:約2倍、インド:約4倍)が完了しました。これらの投資を起点に、早期に受注・売上拡大を実現し、市場での存在感をさらに高めていきます。また、従来の「地産地消」から一歩進め、地域特性に対応した競争力ある製品・サービスをタイムリーに投入するため、現地開発力を強化します。さらに、M&Aの活用も視野に入れ、グローバル成長戦略を加速します。
<利益体質の強化>
モノづくりにおける生産革新によるコストダウン活動、高付加価値提案による受注案件の採算性向上、現場施工の効率化や3Dシミュレーションを活用した事前検証などのプロジェクト管理の強化、この3つのプロセスでの取り組みにより、収益性が大幅に向上しました。これらの継続・定着を図ることで、過去最高水準に高めた収益性の一層の向上を目指します。
さらに、間接部門においてもAIやDXを活用し、業務プロセスの刷新を進め、全社的な利益体質の強化を図ります。
<コンプライアンス、安全の徹底>
「コンプライアンス」及び「安全」は、当社グループにおけるすべての事業活動を支える根底にあるものとしてグループ全体で徹底を図っていきます。
(コンプライアンスの徹底)
当社では、コンプライアンスを「事業活動のあらゆる局面において、法令や会社規程など社内外のルールにとどまらず、社会規範を遵守し、誠実に行動すること」と定義付け、各種の教育・研修を通じてグループ全体で価値観の共有を図っています。一人ひとりが高い倫理観を持ち、責任ある行動を積み重ねていくことで、社会からの期待や信頼に応え続けていくことを目指していきます。
(「安全専一※」の徹底)
一人ひとりの社員が最大のパフォーマンスを発揮できる職場環境づくりに努めていく上で、社員やその家族、お客さま、お取引先の生命・健康・安全を確保することがなによりも優先されます。「安全は、『第一』『第二』と相対的な順位を付けるものではなく、絶対的なもの、『専一』なものである」という意識をグローバルに浸透させ、引き続き、グループ一体となって災害や不安全行為の撲滅に取り組んでいきます。
※「安全専一」は、古河機械金属株式会社の登録商標です。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりです。
なお、本文中における将来に関する事項の記述については、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。
(1) サステナビリティ全般に関する開示
サステナビリティ経営の実践に際しては、「人権」「労働」「環境」「腐敗防止」の4分野10原則からなる「国連グローバル・コンパクト」に賛同・署名するとともに、「SDGs(持続可能な開発目標)」の達成に向けて取り組んでいます。
2030年のありたい姿である長期ビジョン「Driving Innovative Impact 2030」(以下、2030長期ビジョン)と、その中間点となる「2027年中期経営計画」(以下、2027中計)において、経済価値と社会価値双方の視点を踏まえた統合目標を設定し、事業活動を通じて持続可能な社会の実現に貢献していきます。また、すべての役員・従業員の理解及び共感を促進するために「ダイフクグループサステナビリティ基本方針」を策定し、本方針に基づきグループ一体でサステナビリティ推進に取り組んでいます。サステナビリティに関する様々な活動の詳細は、以下URLをご参照ください。
サステナビリティ
当社グループは、「人権の尊重」が事業と組織の持続的な成長における最も重要な責任の一つであると認識し、ダイフクグループが事業活動を行う上で人権に関する考え方を明確にした「ダイフクグループ人権方針」を公表しています。
本方針のもと、事業活動及びサプライチェーン全体において人権への負の影響を特定・評価し、是正・緩和・予防のための人権デュー・ディリジェンスを継続的に実施しています。人権デュー・ディリジェンスの具体的な取り組みの詳細は、以下URLをご参照ください。
人権
① ガバナンス
1) サステナビリティ関連のリスク及び機会に対する監督・執行体制
取締役会は、サステナビリティ関連のリスクや機会に対応するための経営戦略をはじめ、中長期的な企業価値の向上に向けた取り組みを監督します。取締役会においては、代表取締役社長(CEO兼COO)がサステナビリティ関連のリスク及び機会の監督に対して責任を負っています。取締役会のメンバーは、研修や有識者との意見交換、お客さまとの対話等を通じて、サステナビリティ課題への見識を高めることで、当社グループの取り組みを監督するためのスキル及びコンピテンシーの向上を図っています。
当社は、統合思考経営の実現に向け「サステナビリティ経営委員会」を設置しています。サステナビリティ経営委員会は、サステナビリティ課題についての重要事項を取締役会へ報告、上程するほか、中長期的な企業価値の向上に重きを置いた経営戦略上の重要な議論、計画の進捗・成果の確認などを行います。その傘下にある「サステナビリティ推進委員会」及び「環境経営分科会」「人的資本経営分科会」は、サステナビリティ経営委員会と連携し、経営戦略に基づいた実務レベルのより具体的な施策を検討・実行する役割を担っています。
<サステナビリティに関する委員会の体制(2026年12月期)>

上記の図は、有価証券報告書提出日現在の体制を示しています。
<各組織の役割>
2) サステナビリティ関連目標のモニタリングとインセンティブ
サステナビリティ課題に対する計画・目標は、2027中計の枠組みの中で各種会議体が進捗管理を行い、取締役会が監督しています。
また、社内取締役を対象とした役員報酬制度の業績連動報酬の支給基準において、サステナビリティ関連の評価指標も考慮して評点を算出しています。賞与については安全及びCO2排出量削減目標の進捗状況、株式給付信託(BBT)は外部のESG評価機関(MSCI、FTSE、CDP)の評価とCO2排出量削減目標の達成度が評点の算出基準に含まれています。詳細は、「
<2025年12月期におけるサステナビリティ関連の取締役会等での議題>
② 戦略
サステナビリティに対する取り組みは、2030長期ビジョン及び2027中計における枠組みの下、統合的に推進しています。2030長期ビジョン及び2027中計の策定にあたっては、未来の社会像からバックキャスティングを行い、当社グループがお客さまに対して提供する製品・サービス(アウトプット)と、それらを通じて社会に提供される価値(アウトカム)を整理しました。その上で、2030長期ビジョン及び2027中計の達成に向けてグループで対応する重要課題をマテリアリティと定義し、それらを軸に戦略・施策・行動計画を具体化しました。2027中計の詳細は、「
③ リスク管理
当社グループは、国内外のグループ会社を対象としたリスクアセスメントを定期的に行っており、企業活動に大きく影響を与える重要なリスクを特定・評価しています。重要なリスクに対して、リスクマネジメント委員会が全社的なリスクマネジメントを行い、対応策の立案や方針・規程・体制等の整備及び充実を図っています。リスクアセスメントで認識されたリスク情報は、必要に応じて取締役会をはじめとする他の会議体へ報告・共有され、経営戦略に反映されます。詳細は、「
2027中計の策定では、マテリアリティの特定プロセスにおいて、2024年3月期に実施したリスクアセスメントの結果をインプット情報の一つとして活用しました。機会とリスクの検討結果、他社の動向、ESG評価機関からの要請事項などもインプット情報として合わせて考慮し、課題の候補を「ステークホルダーへの影響度」と「長期ビジョン達成への影響度」の2軸で評価し、マテリアリティを特定しました。
優先して対応すべきサステナビリティ関連のリスクと機会については、サステナビリティ経営委員会、サステナビリティ推進委員会、リスクマネジメント委員会、グループ人材委員会が連携した上で、適切な対応策を講じてモニタリングしています。
④ 指標と目標
2027中計では、重要課題ごとにKPIと目標を設定しています。2年目の2025年12月期の実績は、「
(2) 気候変動に関する開示(TCFD※提言に基づく気候関連財務情報開示)
※TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures(気候関連財務情報開示タスクフォース)
① ガバナンス
気候関連のリスク及び機会は、前述のサステナビリティ全般のガバナンスのプロセスにおいてモニタリング、管理、監督されています。
② 戦略
1) 気候関連のリスク及び機会の特定
<気候関連のリスク及び機会の洗い出し>
事業運営に影響を及ぼし得る気候変動要因は、脱炭素社会に向けた規制強化や低炭素化に向けた技術の進展、気候変動対応による市場の変化、気候変動による災害の頻発が挙げられます。当社グループの事業内容を踏まえ、各要因によって引き起こされる気候関連の移行リスク・物理的リスク及び機会を特定しました。分析範囲は、移行リスクは全事業、物理リスクは主要拠点及び生産拠点を対象としました。
<当社グループの事業に影響する主な要因>

<気候関連のリスク及び機会の評価>
洗い出した移行リスク、物理的リスク及び機会に対して、当社グループの事業への影響度を定性的・定量的に評価し、これらの結果を、「リスク発現・機会実現までの期間」「リスク発現・機会実現の可能性」「財務影響度」を軸に、以下のとおり整理しました。それぞれのリスク及び機会について、適切な対応策を実行していきます。
下記表の「期間」「可能性」「影響度」の定義は以下のとおりです。
「リスク・機会への主な対応」の詳細は、以下URLをご参照ください。
気候変動
<当社グループにおける重大リスク・機会>
インターナルカーボンプライシング(ICP)の導入
当社グループは、省エネや脱炭素に対する従業員の意識の醸成や向上を目的に、ICP制度を導入しています。当社グループのICP価格は、脱炭素社会の進展に伴う炭素価格上昇などのリスクを見据え、国際エネルギー機関(IEA:International Energy Agency)の「World Energy Outlook 2023」における2030年予想炭素価格を採用し、140米ドル(21,000円)/t-CO2としています。CO2排出量及び削減量にICP価格を適用し、社内報告資料で活用しています。さらに、2025年8月に運用を開始したグループ共通の投資管理規程においても、ICP価格を大規模投資の実行可否を判断する際の参考指標の一つとして採用しています。今後も、ICP制度を従業員の脱炭素に対する意識の向上や意思決定の変容につなげ、持続的な脱炭素の取り組みを推進していきます。
2) 重大リスクのシナリオ分析
特定した気候関連のリスク及び機会のうち、今後顕在化する可能性が高く、重大な事業影響を与えるリスクを対象にシナリオ分析を実施しました。シナリオは、IEAや気候変動に関する政府間パネル(IPCC:Intergovernmental Panel on Climate Change)によって示されているものを参照しました。
移行リスク
移行リスク・機会は、炭素税(カーボンプライシング)導入による操業コストの影響について、関連するエネルギーコストと併せて、以下のシナリオを設定して分析しました。
炭素税は、当社グループの2030年売上予測及び排出量削減目標を基に、将来想定されるGHG排出量(スコープ1・スコープ2)の排出量削減を進めた場合(脱炭素シナリオ)と、そうでない場合(成り行きシナリオ)のそれぞれで算出し、IEAにおいてシナリオ別に予測される炭素価格を掛け合わせて事業影響額を評価しました。
エネルギーコストは、当社グループが削減目標どおりに取り組みを進めた場合(脱炭素シナリオ)と、取り組みを進めずに事業規模のみが拡大した場合(成り行きシナリオ)のそれぞれでエネルギー使用量を設定し、IEA等で示されるエネルギー価格の推移を参考に、今後のエネルギーコストについて評価しました。
<当社グループで想定した気候変動シナリオ(移行リスク)>
<炭素税>
成り行きシナリオ(4℃シナリオ)に沿う場合は、2030年で約6億円のコスト増が見込まれます。一方、脱炭素の取り組みを積極的に推進した脱炭素シナリオ(1.5℃/1.7℃シナリオ)では、2030年時点で約3億円のコスト増が見込まれます。
<エネルギーコスト>
成り行きシナリオ(4℃シナリオ)に沿う場合、2023年3月期時点と比較して、2030年では約37%のコスト増が見込まれます。一方、脱炭素の取り組みを積極的に推進する脱炭素シナリオ(1.5℃/1.7℃シナリオ)では、2023年3月期時点と比べて、2030年では、約12~16%のコスト増が見込まれます。
炭素税の負担、エネルギーコストの双方において、脱炭素シナリオ(1.5℃/1.7℃シナリオ)に比べ、成り行きシナリオ(4℃シナリオ)の負担が大きく、当社グループが脱炭素化、省エネ化の取り組みを積極的に進める理由・メリットを再認識しました。
これらの取り組みを進めるためには、大規模な投資が必要となるものの、取り組みを進めない場合には取り組みを進める場合に比べ、数億円規模で炭素税及びエネルギーコストの追加負担が想定されます。事業に影響するリスクを軽減するため、2030年の削減目標の達成を目指して脱炭素化の取り組みを強化していきます。
物理的リスク
物理的リスクは、温暖化進行による気象災害の増加が重大なリスクです。そこで、当社グループ主要24拠点(国内1拠点、海外23拠点)について、気象災害がもたらす影響を定性的に評価しました。評価では、2℃シナリオ(SSP1‐2.6)、4℃シナリオ(SSP5‐8.5)下における洪水、高潮、干ばつ、熱波のハザードを調査し、その多寡に応じてA(高リスク)~E(低リスク)の5段階で評価しました。本評価でA~Bの高リスクとなった拠点数の推移を以下に示します。
評価の結果、洪水、高潮、干ばつは、2℃、4℃のいずれのシナリオでも高リスクの拠点数はほぼ増加せず、気候変動の影響は限定的でした。一方、熱波は、4℃シナリオの2050年から2090年にかけて高リスクの拠点数が増加することがわかりました。熱波による影響は、空調コストや機器メンテナンスの増加、ヒートストレスによる生産性低下等が想定されます。当社グループは、工事現場・工場での従業員の熱中症対策を進めるなど、リスクを軽減する取り組みを積極的に進めていきます。
<当社グループで想定した気候変動シナリオ(物理的リスク)>
<気候変動による高リスク拠点数>
③ リスク管理
気候関連のリスク及び機会の識別は、外部専門家のアドバイスのもと見直しを実施し、2024年12月期に開示しました。移行リスク・物理的リスク・機会の各項目に対し、発現時期、発生可能性、当社グループへの影響度を、定性・定量の両面から評価し、重大なリスク及び機会を特定しています。
加えて、移行リスクと物理的リスクについて、複数の気温上昇を想定したシナリオ分析も行いました。詳細は、「(2) 気候変動に関する開示 ②戦略」をご参照ください。
優先して対応すべき気候関連のリスク及び機会については、サステナビリティ経営委員会、サステナビリティ推進委員会のほか、リスクマネジメント委員会とも連携し、適切な対応策を講じてモニタリングしています。
④ 指標と目標
当社グループは、「ダイフク環境ビジョン2050」及び2027中計において「気候変動への対応」を重要課題と捉え、以下の目標を設定しています。2030年12月期目標は、2023年にSBT(Science Based Targets)イニシアティブの認定を受けており、スコープ1・スコープ2については、1.5℃水準の目標、スコープ3(カテゴリ1及び11)はWB(Well-below)2℃水準の目標です。2024年5月、2030年12月期のスコープ1・スコープ2の削減目標(2019年3月期比)を50.4%から60%へさらに上方修正するとともに、再生可能エネルギー由来の電力比率の目標を新設しました。
これらの目標はサステナビリティ推進委員会が進捗状況及び妥当性をレビューし、見直す場合は取締役会へ上申し、決議します。
現在、国内外での再生可能エネルギー由来の電力導入により、スコープ1・スコープ2の目標に対する進捗は順調です。スコープ3は、間接排出のため外部環境を踏まえ、現実的な取り組みから着実に取り組んでいます。
※1 スコープ3のカテゴリ1及びカテゴリ11合わせての目標
※2 データの信頼性向上のために第三者機関による検証を受ける前の速報値。検証後の確定数値は、2026年6月に当社ウェブサイトで開示予定

(注)CO2排出量はGHGプロトコルに則り、年度ごとに算定。スコープ1・スコープ2の算定対象範囲は、経営支配力基準とし、すべての連結子会社の排出量を算入
(3) 自然関連課題に関する開示(TNFD※提言に基づく自然関連財務情報開示)
※TNFD:Task Force on Nature-related Financial Disclosures(自然関連財務情報開示タスクフォース)
① ガバナンス
自然関連のリスク及び機会は、前述のサステナビリティ全般のガバナンスのプロセスにおいてモニタリング、管理、監督されています。
② 戦略
当社グループはこれまで、事業活動と生態系との関係性を明確にするため、製品プロセスや土地利用などと生態系との関係を一覧できる「ダイフクと生物多様性の関係性マップ」を作成し、生物多様性に配慮した活動を行ってきました。TNFD提言に基づく開示にあたっては、同マップを前提に、TNFDが提示するLEAPアプローチ※に沿って、自然関連のリスク及び機会の特定・評価を行いました。
※LEAPアプローチ:LEAP(Locate, Evaluate, Assess, Prepareの頭文字)と呼ばれる自然関連のリスクと機会の管理のための統合評価プロセス
<ダイフクと生物多様性の関係性マップ>

1) スコープの設定(Scoping)
当社事業のバリューチェーンを整理した上で、対象範囲を当社及び国内グループ会社としました。バリューチェーン上流については、当社にとっての重要度と自然への依存・影響の観点で主要なサプライヤーと原材料を選定し、対象範囲としました。主要な原材料は、高リスク天然一次産品※、鉱物に関する規制、責任ある鉱物調達の対象鉱物を考慮し鉄、アルミニウム、銅を選定しました。
※高リスク天然一次産品:SBTs for Natureによって生産が自然に重大なマイナスのインパクトを及ぼすとされている商品又は製品
<バリューチェーン図>

2) 優先地域の特定(Locate)
優先地域の特定方法
優先地域は、事業上の重要性(事業と自然の関連性)と、自然面での重要性(生態学的に要注意と考えられる地域)の双方から特定しました。
事業における重要性の観点では、Scopingにて設定した国内グループ会社及び主要サプライヤーについて分析を行い、当社グループの主要事業活動(製造)で、自然への依存・影響が比較的大きい生産拠点を対象としました。
また、原材料(鉄、アルミニウム、銅)の採掘・加工地は、世界の埋蔵量や日本の貿易状況等から主要な採掘国及び鉱山、加工国を推定し、対象としました。
これらの生産拠点・原材料採掘・加工地における自然面での重要性を把握するため、WWF Risk Filter※1、 Global Forest Watch map※2及び事例収集により評価を行いました。評価は、TNFDが提唱する「生態系の完全性の低下」「生物多様性の重要性の高さ」「生態系の完全性の高さ」「水リスクの高さ」「生態系サービス提供の重要性」を要件としました。
※1 WWF Risk Filter:企業の生物多様性リスク及び水リスクを評価するツール
※2 Global Forest Watch map:森林破壊、土地利用などのマップを提供するツール
優先地域の特定結果
評価の結果、下表のとおり、当社グループの国内生産拠点のうち、「ダイフク滋賀事業所」と「ダイフク・マニュファクチャリング・テクノロジー本社」は、水リスク(洪水、水質)が高いことから優先地域として特定しました。両拠点の位置は下図のとおりです。
そのほか、サプライヤーの生産拠点及び原材料(鉄、アルミニウム、銅)の採掘・加工地についても、いずれかの要件で重要度が高いため、優先地域として特定しました。原材料の採掘・加工地は、チリ、ペルー、 ブラジル、メキシコ、南アフリカ、コンゴ民主共和国、ギニア、アラブ首長国連邦、ナイジェリア、カタール、中国、韓国、台湾、タイ、インド、インドネシア、マレーシア、オーストラリア、ニュージーランド、 アメリカ、カナダ、スウェーデン、オーストリア、ドイツと推定しています。

※Very High、High、Medium、Low、Very Lowの5段階で評価

出典:Made with Natural Earth.
3) 依存及び影響の評価(Evaluate)
当社事業のバリューチェーン各工程における自然への依存及び影響についてENCORE※を用いて評価し、ヒートマップに整理しました。
その結果、バリューチェーン各工程で自然への依存及び影響があり、特に、原材料(鉄、アルミニウム、銅)の採掘における依存及び影響が大きいことが分かりました。具体的には、以下のとおりです。
※ENCORE:事業活動が自然にどのように依存し、自然に影響を与えるかを把握するツールです。詳細は、以下URLをご参照ください。
ENCORE
<依存>
·水関連の機能(水の供給、水質の浄化、流量の調整)
·自然災害への防災(植物による風水害の緩和(例えば、防風林など))
·気候調整の機能(植物による降雨調節、地球規模の気候調節機能)
<影響>
·淡水域/海域における開発
·非生物資源(鉱物)の採取
·温室効果ガスの排出
·大気・土壌・水質の汚染
·廃棄物(鉱さい)の発生
·騒音等の攪乱
当社グループの製造、移設工事・点検・修理においては、自然への依存度は高くない一方で、製造工程で発生する有害物質による土壌・水質汚染の影響は大きくなっています。
<自然への依存のヒートマップ>

<自然への影響のヒートマップ>

4) リスク及び機会の評価(Assess)
上記3) Evaluateで依存・影響が大きいと評価した内容を「自然要因ドライバー」として整理し、そこから当社グループで将来的に想定される自然関連リスク及び機会を洗い出しました。
リスク及び機会は、上記2) Locateの結果を踏まえつつ、当社グループの事業への影響度を定性・定量の両面から評価し、「リスク発現・機会実現までの期間」「リスク発現・機会実現の可能性」「財務影響度」の軸で整理しました。各リスク及び機会については、適切に対策していきます。
「期間」「可能性」「影響度」の定義は以下のとおりです。
<当社及び国内グループ会社におけるリスク・機会>
なお、自然関連のリスク・機会を洗い出し、評価するにあたっては、気候関連のリスク・機会と同様、移行リスク及び機会は1.5~2℃シナリオ、物理リスクは3~4℃シナリオにおける世界を想定しています。
「自然関連のリスク・機会への主な対応(Prepare)」の詳細は、以下URLをご参照ください。
生物多様性保全
(4) 人的資本に関する戦略並びに指標及び目標
① 戦略
当社グループにとって、人材は価値創造の源泉です。従業員一人ひとりのポテンシャルを最大限に引き出し、成長と挑戦を後押しする環境づくりに取り組んでいます。同時に、培ってきた知見やノウハウを継承し、持続可能な組織力を育むべく、人的資本への戦略的投資を加速しています。
2025年4月には、グループ各社の人事施策の方向性を合わせ、多様な人材が活躍しエンゲージメント向上と人的資本の最大化を目的として「ダイフクグループ人材マネジメント方針」を策定しました。加えて、1)グループにおける人的資本経営への取り組みに対する意義とその施策の共有、2)2030長期ビジョンの達成に向け、グループ全体で推進する人事施策に関する理解の深化、3)海外グループ会社の人事担当マネージャー間のコミュニケーション及びネットワーク構築を目的に、「Global HR Meeting」を2026年1月に開催しています。
2030長期ビジョンでのありたい姿を実現するために、「人材の確保・育成」、「ダイバーシティ&インクルージョン」、「エンゲージメントの向上」の3つを軸とした諸施策を通じて、人的資本の拡充・強化を図っていきます。
② 指標と目標
1) 人材の確保・育成
当社グループでは、経営に大きなインパクトをもたらす重要ポジションを「キーポジション」として定義し、中長期を見据えた後継者育成に取り組んでいます。将来の事業成長と変革を支えるリーダー人材を計画的に確保・育成していくため、2年以内及び3年後以降の視点から後継候補充足状況を継続的に評価しています。
この取り組みを加速するため「グループ人材委員会」を立ち上げ、後継候補者の育成状況を定期的にモニタリングし、戦略的な人材配置と育成プランの設計に取り組んでいます。
また、役職が上がるにつれて、日々の業務遂行だけでなく、経営視点での意思決定や部門横断的な視野が求められています。2025年12月期からは新任部長研修においてMBAプログラムをベースとした、戦略・財務・組織論を取り入れるなど、幹部・経営層に対する研修の体系化を進めています。
採用競争力を高める取り組みとして、研究開発拠点「京都Lab」を2025年11月に、「東京Lab」を2026年3月にそれぞれ開設しました。従業員のニーズと事業の成長を両立させるこれらの取り組みを通じて、イノベーションを生み出す人材の確保と活躍を着実に支えていきます。
2) ダイバーシティ&インクルージョン
当社グループでは、女性の活躍に向けた人材戦略を強化する上で、女性管理職の育成と女性従業員の採用数がまだ十分ではないことを課題として認識しています。これらの課題に対応するため、採用段階から多様な人材が参画できる機会を広げるとともに、将来の管理職候補となる人材の育成とキャリア支援を継続的に強化しています。
こうした中、女性のリーダー層が抱える特有の課題を共有・相談できる場として、事業部を超えたネットワーク形成を促進する社内コミュニティプログラム「WING」(Women Internal Network Growing)を立ち上げました。
加えて、女性が能力を発揮し、長く活躍し続けられる職域の拡大や、働きやすい雇用環境の整備にも注力しており、育児休業や短時間勤務制度の改定と運用改善を進めてきました。こうした取り組みの結果、女性の活躍推進に向けた実績が評価され、2024年10月、厚生労働省が認定する「えるぼし認定(2段階目)」を取得しました。
海外売上高比率が年々高まり、グループ全体の約70%に達した現在、国や地域を越えて事業を推進する上では、スピード感を持ってグループ間コミュニケーションを行うだけでなく、異なる文化や商習慣への理解を深めることで、従業員一人ひとりの視野を広げ、潜在能力の発揮につなげていくことが不可欠です。こうした考えのもと、日本国内においても、外国籍人材の採用を積極的に推進し、多様性を尊重する企業文化の浸透に力を入れています。インド・タイ・マレーシア・インドネシア・ベトナムなどの工学系有力大学からの新卒採用も継続しており、グローバル市場で価値を共創する人材基盤の構築を進めています。
3) 従業員エンゲージメントの向上
当社グループでは、全グループを対象としたエンゲージメントサーベイを隔年で実施しています。従業員の会社に対するロイヤルティや貢献意欲、自発的努力をしようという気持ちの度合いを「働きがい」とし、仕事における自分のスキルや能力を活かす機会があり、働きやすい環境が整備されているかを「働きやすさ」として、組織の現状を定量的に見える化しています。
2023年12月期に実施した海外グループ会社へのサーベイでは、「必要なスキルや知識を身につけるための研修が不十分である」「個人がスキルアップできる機会が限られている」といった課題が明らかになりました。グループ全体で育成力を高める新たな仕組みとして「ダイフクアカデミー」の開講を2026年4月に予定しています。このアカデミーでは、職種や地域を問わず共通の価値観と方向性のもとで個人が自由に学べる機会を提供します。2024年12月期には、国内グループ会社でサーベイを実施し、「働きがい」「働きやすさ」のスコアはいずれも目標を下回る結果となりました。この結果を真摯に受け止め、組織間連携・業務リソース・戦略浸透・福利厚生・調査後のフィードバック体制という課題を抽出し、改善に取り組んでいます。また、サーベイ結果をもとに「本部別ワークショップ」を計29回実施し、本部単位でアクションプランを策定しました。対話と改善の循環をつくることで、エンゲージメントを単なる“指標”で終わらせず、組織文化の進化へと繋げる取り組みを進めています。
<指標及び目標>
本文中における将来に関する事項の記述については、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。
(1) リスクの管理体制
当社グループは、代表取締役社長を最高責任者として、3線モデルを基本とするリスクマネジメント体制を構築しています(下図)。リスク対応の実行主体である事業部門(第1線)が行うリスク管理を、コーポレート部門をはじめとするリスク所管部署(第2線)が支援、指導、監督します。また、第1線及び第2線のリスク管理の取り組みを、監査部門(第3線)が監査します。
リスクマネジメント体制(2026年12月期)

当社グループは、これらの取り組みを全社的な観点でモニタリングし、方針指示及び進捗管理を行うために、代表取締役社長を委員長、コーポレート部門長、事業部門長、グループチーフオフィサー等を委員とするリスクマネジメント委員会を設置しています。同委員会は以下の事項を所管しており、2025年12月期は3回開催しました。委員会の取り組み状況等については、必要に応じ取締役会へ報告します。
① リスクマネジメント委員会の所管事項
1) リスク管理体制の企画及び立案並びに関連規程の整備
2) リスクアセスメント結果を踏まえたシビアリスク(経営層が中心となって組織横断的に優先管理すべきリスク)の選定
3) シビアリスクの対応方針の決定、指示、進捗管理及びモニタリング
4) 年次レビューの実施及び結果のフィードバック
5) リスク意識の向上のための各種情報共有、その他リスクマネジメントの重要性、考え方及び手法等に関する教育・訓練・研修等の実施方針の決定、指示
6) 危機対応に関する教育訓練及び演習等の対応方針決定、指示
② 平常時及び非常時の体制
当社グループのリスクマネジメント体制は、平常時はリスクマネジメント委員会が上記①の活動を行い、リスクが顕在化する前に、その可能性や被害の最小化に努めています。
リスクが顕在化し、危機対応を行うべき事態が発生した際は速やかにBCP推進体制へ移行します。

(2) シビアリスクの選定及び対応のフロー

(3) 主要なリスク(シビアリスク)の評価と対応
当社グループにおいて「シビアリスク」と呼称しており、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に重要な影響を与える可能性があると経営者が認識している主要なリスクは次のとおりです。ただし、これらは当社グループのすべてのリスクを網羅したものではなく、記載した事項以外にも予見しがたいリスクが存在します。
① 主要なリスク(シビアリスク)の一覧(2025年12月期)

② 主要なリスク(シビアリスク)の内容と対応策(2025年12月期)
〔決算期変更に伴う連結対象期間と前年比較〕
前連結会計年度(2024年12月期)より当社の決算期(事業年度の末日)は、3月31日から12月31日に変更となりました。この結果、前連結会計年度は、株式会社ダイフク並びに国内を中心とした従来の3月末決算会社は2024年4月1日から12月31日の9カ月間、海外を中心とした12月末決算の子会社は2024年1月1日から12月31日の12カ月間を対象とした変則決算となっています。なお、前年比較の参考値として、従来の3月末決算会社の2024年1月1日から3月31日の3カ月間を加算し、期間を揃えた前年同期(以下、前年同期参考値)による比較情報を記載しています。
〔2025年12月期の連結業績〕
当連結会計年度(2025年1月1日~12月31日)における世界経済は、米国の通商政策の影響や中国経済の低迷により不透明感が増したものの、概ね堅調に推移しました。
事業環境としては、日米の一般製造業・流通業では、労働力不足や人件費の上昇を背景に、製造・物流現場の自動化投資が回復基調にあります。半導体産業では、生成AI向け半導体需要の増加に伴い、後工程の自動化も含めた先端半導体投資の強い需要が続いています。また、中国においては国産化の強化・推進に伴う投資が継続しています。自動車産業では、米国通商政策による関税の影響を見極めるため、お客さまの投資判断が一時的に遅れたものの、米国を中心に引き続き高水準の投資が計画されています。空港においては、航空旅客数の増加に対応するための自動化投資の需要が米国を中心に世界各国で継続しています。
このような経済・事業環境の下、当連結会計年度の受注は、自動車生産ライン向けシステムこそ前年同期参考実績には及ばなかったものの、一般製造業・流通業、半導体生産ライン、空港向けシステムは順調に推移しました。
売上は、豊富な前期末受注残高をベースに一般製造業・流通業、半導体生産ライン向けシステムが順調に推移し、増収となりました。
この結果、受注高は6,726億18百万円(前年同期参考値比3.0%増)、売上高は6,607億24百万円(同2.6%増)となり、売上高は2024年3月期に記録した過去最高を更新しました。
なお、前連結会計年度までは為替変動に伴う直近期末受注残高の洗い替え増減額を当該期の受注高に含めて開示していましたが、当連結会計年度から受注高に含めず開示する方法に変更しました。前年同期参考値の受注高には、2024年3月期末の受注残高に対する為替変動の影響による増加額242億円が含まれており、本影響額を除いた実質ベースの前年同期参考値比の増減率は7.0%増となります。
利益面では、生産効率化・プロジェクト管理の強化によるコスト削減、収益性を重視した受注の徹底等により利益率が向上し、増益となりました。
この結果、営業利益は1,008億16百万円(同24.4%増)、経常利益は1,046億49百万円(同24.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は780億96百万円(同21.3%増)となりました。
なお、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益は、4期連続で過去最高を更新しました。
当連結会計年度の当社グループの平均為替レートは、米ドルで149.87円(前連結会計年度152.27円)、中国元で20.88円(同21.13円)、韓国ウォンで0.1055円(同0.1113円)、台湾ドルで4.81円(同4.74円)となりました。為替変動の影響により、前連結会計年度比で受注高は約68億円、売上高は約55億円、営業利益は約6億円、それぞれ減少しました。
〔米国通商政策等の影響及び対応〕
米国は、当連結会計年度において売上高1,697億円、構成比26%(前連結会計年度は1,677億円、構成比30%)を占める重点市場の一つです。
米国が導入した相互関税により、米国外から調達する一部の製品・部材が課税対象になるものの、一般製造業・流通業、自動車生産ライン、空港向けシステムは、大部分を米国で生産しています。また、半導体生産ライン向けシステムは、日本・台湾・韓国で生産し米国に輸出していますが、契約形態としては、お客さまが輸入者となるケースが大多数であり、当社グループが負担する関税は極めて限定的です。ただし、米国の通商政策が、自動車・半導体産業を中心としたお客さまの今後の投資計画(国・金額・時期)に影響を及ぼす可能性があります。そのため、お客さまとのコミュニケーションをさらに強化し、投資計画の見直しに対しても、当社グループのグローバルネットワークを活かした最適な提案活動を行って、受注に結び付けていきます。
なお、当社グループは米国を成長市場と位置付けており、同国内での一般製造業・流通業向けシステムの生産能力増大が急務となっていましたが、2025年10月に新工場が竣工し、稼働を開始しました。これにより生産能力は従来比約2倍となりました。「地産地消」の強みを活かして、米国市場での売上高増加とシェア拡大を図るとともに、現地のニーズに合致した製品・サービスをよりタイムリーに提供するため、グローバル開発機能の拡充も進めていきます。
〔2026年12月期の連結業績予想〕
一般製造業・流通業では、労働力不足や人件費上昇を背景に、生産・物流現場における自動化投資が高水準で継続する見込みです。半導体産業では、生成AIの急速な普及を受けて先端半導体の需要が一段と拡大しており、前工程に加えて後工程でも積極的な投資が続いています。さらに、各国が経済安全保障の観点から自国内での生産基盤確保を進めていることも、寄与する見込みです。自動車産業では、モビリティの変革に対応するための柔軟な生産体制への移行に向けた投資が継続し、2025年12月期に一部延期となった案件も2026年12月期の需要として見込まれます。空港では、航空旅客数の増加や慢性的な人手不足を背景とした運用効率化の需要が続く見込みです。
こうした市場環境を踏まえ、前期を大きく上回る受注高を見込んでいます。なお、大型案件の受注時期の変動等を考慮し、2026年12月期の業績予想から受注高見通しについてはレンジでの開示に変更しました。
売上高は、2025年12月期末の豊富な受注残高をベースに順調に推移する見込みです。
利益面では、生産効率化・プロジェクト管理の強化によるコスト削減、収益性を重視した受注の徹底等により、高い利益水準を維持・強化し、売上拡大との両立を通じて、持続的な利益成長を目指します。
2026年12月期の想定為替レートは対米ドル150円としています。
上記の業績予想は、現時点で入手可能な情報に基づき判断したものであり、国内外の経済・競合状況、各種リスク要因などの様々な不確定要素により、実際の業績は記載の見通しとは異なる可能性があります。
〔セグメントごとの業績〕
セグメントごとの業績は次のとおりです。受注・売上は外部顧客への受注高・売上高を、セグメント利益は親会社株主に帰属する当期純利益を記載しています。
また、株式会社ダイフク並びに国内を中心とした従来の3月決算子会社を含むセグメントの対前年比較については、参考値として、前年同期参考値による比較情報を記載しています。
受注は、一般製造業・流通業、半導体生産ライン向けシステムが順調に推移した一方、自動車生産ライン向けシステムは前期(前年同期参考値)に及びませんでした。
売上は、前期末受注残高をベースに全体としては概ね順調に推移したものの、前期(前年同期参考値)には及びませんでした。
セグメント利益は、生産効率化・プロジェクト管理の強化によるコスト削減、収益性を重視した受注の徹底等により利益率が向上し、前期(前年同期参考値)比で増益となりました。
この結果、受注高は2,266億42百万円(前年同期参考値比1.8%減)、売上高は2,465億60百万円(同5.9%減)、セグメント利益は556億11百万円(同28.2%増)となりました。
受注・売上は、国内の医療や社会インフラ分野向け、北米の医療分野向けが順調に推移し、増加しました。
セグメント利益は、国内での収益性の改善により、増益となりました。
この結果、受注高は189億26百万円(前年同期参考値比1.1%増)、売上高は202億35百万円(同4.7%増)、セグメント利益は11億18百万円(同62.1%増)となりました。
受注は、自動車生産ライン、半導体生産ライン向けシステムが前期に及ばなかった一方で、一般製造業・流通業、空港向けシステムは順調に推移しました。
売上は、前期末受注残高をベースに全体として概ね順調に推移したものの、一部業務の見直しに伴う影響等により減収となりました。
セグメント利益は、生産効率化・プロジェクト管理の強化によるコスト削減、収益性を重視した受注の徹底等による効果はあったものの、税負担の増加等の影響により減益となりました。
この結果、受注高は1,961億91百万円(前年同期比7.0%増)、売上高は1,658億94百万円(同3.8%減)、セグメント利益は152億17百万円(同6.6%減)となりました。
④ Clean Factomation, Inc.(CFI)
受注は、生成AI向け先端半導体投資の強い需要が継続し、好調に推移しました。
売上・セグメント利益は、前期末の受注残高をベースに好調に推移し、増収増益となりました。
この結果、受注高は494億34百万円(前年同期比55.6%増)、売上高は375億87百万円(同45.2%増)、セグメント利益は33億20百万円(同134.8%増)となりました。
⑤ 大福自動搬送設備(蘇州)有限公司(DSA)
受注は、中国国内における半導体国産化の強化・推進に伴う投資が継続したことにより、好調に推移しました。
売上・セグメント利益は、前期末受注残高の減少が影響し、減収減益となりました。
この結果、受注高は470億39百万円(前年同期比47.5%増)、売上高は409億52百万円(同23.3%減)、セグメント利益は108億21百万円(同11.6%減)となりました。
「その他」は、当社グループを構成する連結子会社61社のうち、上記②③④⑤以外の国内外の子会社です。これらの各社は、マテリアルハンドリングシステム・洗車機等の製造・販売・工事・サービスを行っています。主な子会社の状況は、次のとおりです。
国内子会社:
株式会社ダイフクプラスモアは、各種洗車機の販売等を行っています。
海外子会社:
中国、台湾、韓国、タイ、インドなどにマテリアルハンドリングシステム・洗車機の生産拠点があり、最適地生産・調達体制の一翼を担いつつ、販売・工事・サービスも行っています。
また、北中米、アジア、欧州、オセアニアには販売・工事・サービスを行う子会社を幅広く配置しています。
受注は、半導体生産ライン向けシステムが好調に推移したものの、前期(前年同期参考値)には及びませんでした。売上・セグメント利益は、前期末受注残高をベースに半導体生産ライン向けシステムを中心として好調に推移し、増収増益となりました。
この結果、受注高は1,343億83百万円(前年同期参考値比14.2%減)、売上高は1,499億94百万円(同41.1%増)、セグメント利益は173億79百万円(同303.3%増)となりました。
業種別や仕向地別の詳細については、「[表]業種別受注高・売上高及び[表]仕向地別受注高・売上高」をご参照ください。
[表]業種別受注高・売上高
[表]仕向地別受注高・売上高
資産は、前連結会計年度末に比べ655億4百万円増加し、7,542億11百万円となりました。これは主に現金及び預金が397億31百万円、建物及び構築物(純額)が236億28百万円それぞれ増加したことによるものです。
負債は、前連結会計年度末に比べ123億68百万円増加し、3,026億50百万円となりました。これは主に契約負債が108億31百万円減少したものの、支払手形・工事未払金等が55億46百万円、未払法人税等が98億78百万円、未払金等の流動負債その他が108億11百万円それぞれ増加したことによるものです。
純資産は、前連結会計年度末に比べ531億35百万円増加し、4,515億60百万円となりました。これは主に利益剰余金が537億99百万円増加したことによるものです。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ248億60百万円増加し、2,452億56百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金の増加は、761億37百万円となりました(前連結会計年度は1,161億29百万円の増加)。これは主に、売上債権及び契約資産の増加額が118億80百万円、法人税等の支払額が178億91百万円あったものの、税金等調整前当期純利益が1,095億78百万円あったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金の減少は、242億99百万円となりました(前連結会計年度は23億93百万円の減少)。これは主に、固定資産の取得による支出が222億7百万円あったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の減少は、273億50百万円となりました(前連結会計年度は368億20百万円の減少)。これは主に、短期借入金の減少額が17億94百万円、配当金の支払額が234億20百万円あったことによるものです。
連結キャッシュ・フローの指標は次のとおりです。
自己資本比率 :(純資産-非支配株主持分-新株予約権)/総資産
時価ベースの自己資本比率 :株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率 :有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ :営業キャッシュ・フロー/利払い
(注)1 いずれも連結ベースの財務数値により計算しています。
2 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しています。
3 キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しています。
4 有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち短期借入金、長期借入金、転換社債型新株予約権付社債を対象としています。
5 利払いについては連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しています。
(4) 資本の財源及び資金の流動性
① 財務戦略の基本的な考え方
当社グループは、強固な財務体質と高い資本効率を両立しつつ、企業価値向上のために資金を適切に調達・配分することを財務戦略の基本方針としています。
強固な財務体質の維持に関しては、自己資本比率の水準を50%以上に保ち、「A+(シングルAプラス)」以上の発行体格付(株式会社格付投資情報センター(R&I)による格付)の維持向上を目指し、リスク耐性の強化を図ります。
同時に、営業キャッシュ・フローによる十分な債務償還能力を前提に、厳格な財務規律のもとで金融機関からの借入や社債の発行などの活用も進めることにより、資本コストの低減及び資本効率の向上にも努めます。2027年中期経営計画(以下、2027中計)では、資本効率のさらなる向上を目指し、ROICを活用した事業評価・分析を進めています。とりわけ、受注・売上の拡大に伴って運転資金が大きく増加する傾向にある事業特性に鑑み、キャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)を指標と定め、2024年3月期実績の100日から、最終年度の2027年12月期には75日に短縮する目標を設定し、各種施策を進めています。2025年12月期におけるCCCの実績は、74日となりました。
② 経営資源の配分に関する考え方
当社グループは、適正な手元現預金の水準について、売上高の約2.0~2.5カ月分を安定的な経営に必要な手元現預金水準とし、それを超える分については、追加的に配分可能な経営資源と認識し、企業価値向上に資する経営資源の配分に努めます。また、株主の皆さまに対する利益還元を最重要事項の一つと位置づけ、剰余金の配当については、株主の皆さまへのさらなる利益還元を視野に入れて、連結当期純利益をベースとする業績連動による配当政策を取り入れるとともに、残余の剰余金については内部留保金として確保し、企業価値の向上に資する今後の成長に向けた設備投資・研究開発・M&Aなどの投資資金に充当する方針です。2027中計での成長投資は総額で1,600億円を予定しています。
③ 資金需要の主な内容
当社グループの資金需要のうち主なものは、製品を製造するための、原材料・部品の仕入、加工、組立等の変動費、並びに製造間接費・販売費及び一般管理費等の固定費です。
固定費の主なものは人件費、構内外注費、設計外注費、研究開発費、賃借料等です。
④ 資金調達
当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金及び外部資金を有効に活用しています。グループ内では資金効率を高めるため、余資は当社に集中し、不足するグループ会社に配分する制度を国内グループ会社で運用しています。また、安定的な外部資金調達能力の維持向上のため信用格付を取得しており、有価証券報告書提出日現在において、株式会社格付投資情報センターによる発行体格付は「シングルA+(安定的)」となっています。一方、主要な取引先金融機関とは良好な取引関係を維持しており、加えて強固な財務体質を有していることから、当社グループの事業の維持拡大、運営に必要な運転資金、投資資金は問題なく調達可能であると認識しています。加えて、国内金融機関において300億円のコミットメントラインを設定しており、緊急時の資金調達手段を確保しています。
(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表の作成にあたり、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いていますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」「第5 経理の状況 2財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しています。
(6) 生産、受注及び販売の実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 1 金額は販売価格によっています。
2 「その他」は報告セグメントに含まれない国内外の子会社です。
3 決算期変更により、前連結会計年度(2024年12月期)は9カ月間の変則決算となるため、前期比については記載していません。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しています。
2 「その他」は報告セグメントに含まれない国内外の子会社及び連結上の調整額です。
3 決算期変更により、前連結会計年度(2024年12月期)は9カ月間の変則決算となるため、前期比については記載していません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しています。
2 「その他」は報告セグメントに含まれない国内外の子会社及び連結上の調整額です。
3 決算期変更により、前連結会計年度(2024年12月期)は9カ月間の変則決算となるため、前期比については記載していません。
4 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
(注) 1 前連結会計年度のTaiwan Semiconductor Manufacturing Company, Limited.に対する販売実績は、当該販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満であるため記載を省略しています。
2 販売実績には、当該顧客と同一の企業集団に属する顧客に対する販売実績を含めています。
当連結会計年度の受注高は期初予想7,000億円に対し、6,726億円となりました。一般製造業・流通業、半導体生産ライン、空港向けシステムが堅調に推移した一方、自動車生産ライン向けではお客さまの投資判断が一時的に遅れたことにより、受注時期のずれが一部で見られました。当社グループは、採算性を重視した受注判断を継続していることに加え、受注時期がずれた案件については、2026年12月期以降の受注機会として見込まれることから、全体としては底堅い受注を確保できたと評価しています。
売上高は、期初予想6,500億円を上回る6,607億円となり、過去最高を更新しました。豊富な前期末受注残高を背景に、一般製造業・流通業及び半導体生産ライン向けを中心に工事が順調に進行したことが寄与しました。
利益面では、期初予想の営業利益815億円、営業利益率12.5%を大きく上回る、営業利益は1,008億円、営業利益率は15.3%となりました。営業利益は、当社グループとして初めて1,000億円を超え、経常利益は1,046億円、親会社株主に帰属する当期純利益は780億円となり、いずれも4期連続で過去最高を更新しました。また、ROEは18.4%となり、収益性及び資本効率性の向上が大きく進展したと評価しています。
収益性向上の背景としては、前中期経営計画期間から継続してきた標準化の推進や部品点数の削減等を通じた生産効率化・コストダウンの取り組みが、グループ全体に浸透・定着してきたことが挙げられます。加えて、大型案件を含むプロジェクト管理の徹底による原価管理精度の向上、受注時の採算性見直し、提供価値に見合った価格での受注徹底に努めたことが、利益率の向上に寄与しました。
2026年12月期は、「先端技術・新規事業開発の加速」「グローバル成長戦略の加速」「利益体質の強化」を重点施策と位置付け、取り組みを進めていきます。
当社グループの経営成績の分析の詳細については、「(1) 経営成績等の状況の概要」をご参照ください。課題分析や今後の施策などの詳細は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
長期ビジョン「Driving Innovative Impact 2030」(以下、2030長期ビジョン)及び2027中計では、成長性、収益性、資本効率性の3つの観点から、2030年のありたい姿として、連結売上高1兆円、営業利益率12.5%、ROE13.0%を、2027中計の最終年度となる2027年12月期に向けた経営目標として、連結売上高8,000億円、営業利益率11.5%、ROE13.0%を設定していました。これに対し、2025年12月期の実績は、営業利益率15.3%、ROE18.4%となり、収益性及び資本効率性の目標を大きく上回る結果となりました。この状況を踏まえ、2026年2月12日に2030長期ビジョン及び2027中計の経営目標をアップデートし、2030年のありたい姿として営業利益率15.0%、ROE17.0%を、また2027年12月期の経営目標として営業利益率15.0%、ROE17.0%を新たに設定しました。
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための分析の詳細については、「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
社是・経営理念の下、更なる成長に向け、ありたい姿を描いた2030長期ビジョンとその中間点となる2027中計の達成に向け、各種施策を実践していきます。
今後の経営方針の詳細については、「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
該当事項はありません。
当社グループでは、「保管」「搬送」「仕分け・ピッキング」の機能を持つ機械設備とそれを支える電子機器の新システム・新製品の開発に取り組んでいます。また、企業に求められる社会的責任が、経済的価値の創出に加え、環境・社会への配慮を含む概念へと拡大していることから、環境負荷の低減や安全性に配慮したシステム・製品の開発にも努めています。
これらの活動によって創出した知的財産については、オープン戦略とクローズ戦略を適切に使い分けながら、権利網の構築を進めています。近年は、競争力の高い技術を中心に早期の権利化をグローバルで推進するとともに、権利化後の利活用にも注力しています。また、新規事業の創出に向けて、IPL(Intellectual Property Landscape)の活用、戦略的なフレームワークに基づく知財ミックス戦略の推進、情報の証拠力を高めるために電子公証の活用を進めています。引き続き、各事業部等と連携しながら、知的財産活動を通じて当社グループの競争優位性の強化を図っていきます。
当連結会計年度における当社グループが支出した研究開発費の総額は、
なお、前連結会計年度は決算期変更により2024年4月1日から2024年12月31日までの9カ月間となっています。
報告セグメントごとの内訳は次のとおりです。
(単位:百万円)
報告セグメントごとの研究開発活動は次のとおりです。
なお、大福自動搬送設備(蘇州)有限公司(DSA)の研究開発活動は小規模であり記載を省略しています。
(1) 株式会社ダイフク
① 一般製造業・流通業向け製品
アパレル業界等の個配・通販の配送センターにおいて使用されるピース仕分システム「パウチソータ」の販売を開始しました。本システムは、天井空間を有効活用し、仕分け機能に加えて、バッファ、荷合わせ機能を備えることで、多機能・コンパクト・高能力を実現しています。なお、2026年3月に初号機の納入を予定しています。また、自律走行搬送ロボットについては、SOTR-S、SOTR-M、SOTR-Lに続き、フォークリフトタイプの「ソーティングトランスファーロボット-F(SOTR-F)」の販売を開始しました。本製品は、パレット形状を選ばず、床への直置きのほか、コンベヤ上、荷受台へのアクセスも可能です。業界最小クラスの旋回半径により、狭いエリアにおいても高い走行性能を発揮します。LiDAR(センサー)による周囲状況の認識と、自律走行制御を行うSLAM(スラム)技術を採用しており、フレキシブルなレイアウトにも対応可能です。
② 半導体生産ライン向け製品
前工程に加え、後工程でも先端パッケージ分野における自動化ニーズが増加しています。搬送物が多種多様なため、これらに対応した新たな搬送・保管システムの開発を進めています。前工程の最先端分野については、2ナノ向け工場への納入実績が加わりました。現在は1.4ナノライン向けにAIを組み込んだ高い信頼性と省エネ技術を駆使した製品開発を進めています。
③ 自動車生産ライン向け製品
組立ラインにおける変更ニーズに柔軟に対応可能な台車けん引式AGVシステムの製品力を強化しました。工場内部品物流システム向け商品は、トラック自動移載装置の製品力強化を実施。さらに、ラインサイドへ自動で部品を供給するオーバーヘッド搬送システムの開発に取り組んでいます。
また、搬送システムと自動化設備をトータルで提供できる当社の強みをお客さまに訴求するために、滋賀事業所内のデモラインにサスペンションとバッテリーをボディへ自動搭載する装置を追加設置しました。
④ 空港向け製品
空港業界においては、コロナ禍以降、旅客数は増加傾向にある一方で、働き手が戻らず慢性的な人員不足に悩まされており、引き続き省人化を推進するシステムの開発を進めています。国内においては、国内初となるEBS(Early Baggage Storage:早期チェックイン手荷物保管システム)の納入が完了し運用が開始されました。SBD(Self Bag Drop:セルフ手荷物預け入れ機)と組み合わせることで、旅客が空港到着後速やかに手荷物を預け入れることが可能となり、チェックインカウンターにおける待ち行列の緩和に寄与しています。北米市場においては、従来外部調達していたベルトコンベヤ用カーブコンベヤ及び高速分岐装置の内製化を実現しました。北米トップクラスの空港インフラ向けコンサルティング・エンジニアリング会社からの認証を受け、販売を開始しました。これにより安定した価格、納期、品質を北米市場に提供することが可能となりました。
⑤ 洗車機
設置スペースはそのままで間口を従来機比200㎜拡大し2,600mmにすることで、大型乗用車の進入性を向上させたドライブスルー洗車機「トレウス ワイド」を開発しました。同機には、従来比10dB以上の騒音低減とソフトな洗浄を両立した静音ブラシ、最終すすぎ工程のみに適切な純度の水を使用する設計により、生成能力を最適化した純水生成装置、紫外線による劣化を抑制し無塗装樹脂やヘッドライトを保護するケミカルなど、業界初となる3つの新機能を搭載しています。
以上に記載の①~⑤を中心に、当社が支出した研究開発費の総額は
(2) コンテックグループ
産業用コンピュータ製品では、AI処理に優れた性能を発揮するプロセッサを搭載した超小型のビジネスコンピュータを開発し、2025年8月より販売を開始しました。本製品は、CPU にNPU(ニュートラル・プロセッシング・ユニット)を統合したAI処理機能を内蔵しており、生産現場や、店舗のPOS端末、病院の業務端末としての利用に加え、エッジAIデバイスとしての活用も可能です。また、当社の課題であった24時間365日オンサイト保守サービスを実現するFAコンピュータを開発し、2025年9月より販売を開始しました。パートナー企業の全国サービス拠点を活用することで、全国で均一水準の訪問修理サービスを提供します。
IoT機器製品では、CONPROSYS® nano シリーズのEther CAT プロトコルに対応した小型コントローラ向けカプラユニットを開発し、2025年9月より販売を開始しました。本製品は、デジタル信号やアナログ信号の入出力に対応するI/O モジュールを最大8台まで接続可能で、最小通信周期125マイクロ秒の低遅延な計測制御ネットワークを構築することができます。
当グループが支出した研究開発費の金額は
(3) Daifuku North America, Inc.(DNA)グループ
一般製造業・流通業向けシステムでは、ピッキングやソーティングシステムの開発に注力しています。
自動車生産ライン向けシステムでは、PRB(パワーローラーベッド)システムのテストを完了し、コスト製造工程等を意識した改良を継続しています。
当グループが支出した研究開発費の総額は
(4) Clean Factomation, Inc.(CFI)
韓国の半導体メーカーのお客さまに密着して、より効率の高い窒素パージ保管システムや、後工程のパッケージング分野向けの搬送・保管機器の開発などを実施しています。
また、過去に納めたシステムのリニューアル開発なども行っています。
当子会社が支出した研究開発費の総額は