第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

当社グループを取り巻く環境は、人口減少や少子高齢化、カーボンニュートラルの推進、デジタル化の進展などが大きな潮流となる中、電力・ガス市場の自由化による競争激化、災害の激甚化、地政学的リスクの高まりなど、日々大きく変化しております。
 このような変化の激しい事業環境において、当社グループは、「グループ2030年ビジョン」に掲げた地域共創の実現を目指し、基盤事業である「都市ガス・LPG事業」に加え、成長事業である「電力・再エネ事業」、「くらしサービス・エンジニアリングサービス事業」、「海外事業」を軸に、以下の取組みを進めてまいります。

 

①基盤事業の継続的成長

 基盤事業である都市ガス・LPG事業では、引き続き「安全・安心」を最優先に掲げ、保安の確保と安定供給に努めるとともに、天然ガスの普及拡大や顧客基盤の拡大、さらにはデジタル技術を活用した事業の効率化を進めていきます。また、製造・供給設備への継続的な投資によりレジリエンスを強化するとともに、天然ガスシフトやコージェネレーションシステムの普及拡大、省エネの推進、カーボン・オフセット都市ガスの販売などを通じて、お客さまとともにカーボンニュートラル化を推進していきます。LNG調達については、調達ポートフォリオの最適化により、都市ガスの需要変動リスクや地政学的リスク、LNG価格高騰リスクなどの不確実性に柔軟に対応してまいります。

 

②成長事業の拡大

 成長事業については、積極的な投資や他社とのアライアンスにより、事業領域のさらなる拡大を図っていきます。電力・再エネ事業では、デマンドレスポンスや省エネ診断などお客さまのニーズに確実にお応えしながら、顧客基盤を拡大していきます。また、太陽光発電やバイオマスを中心とした再生可能エネルギー電源の開発に取組むとともに、富士発電所の増設や系統用蓄電池の導入などにより、電力の供給力・調整力の増強を推進してまいります。

 くらしサービス事業では、成長の柱であるハウジング分野を中心に、M&Aなどを活用して事業領域を拡大していきます。また、エンジニアリングサービス事業では、引き続き、コージェネレーションやIoTを活用したエネルギーサービスを拡大することで、省エネ、省CO2を推進するとともに、太陽光発電設備のメンテナンスなどにも積極的に取り組み、事業基盤の一層の強化を図ってまいります。

 さらに2026年からは、当社グループのシナジーを最大限発揮させるべく、くらしサービス事業、エンジニアリングサービス事業を中心としたグループの再編により、成長事業をさらに加速させるとともにガバナンスの強化も実現してまいります。

 海外事業では、これまで事業を展開してきた東南アジア・インドに加えて、当期は米国にてシェールガス開発事業の権益を取得し、天然ガスの上流事業に参入しました。今後は、120万トンの国内LNG需要を活かし、グローバルでの天然ガスバリューチェーンの最適化を目指すとともに、これまで培った技術力や知見を活用し、エネルギーサービスや再生可能エネルギーなど地域特性に応じた事業展開を進めていきます。また、カーボン・クレジットの創出にも取り組み、海外においてもカーボンニュートラルの実現に貢献してまいります。

 

③経営基盤の強化

 各事業の持続的な成長に向け、より高度なガバナンス体制やリスク管理体制を確立するとともに、DX(デジタルトランスフォーメーション)による業務の高度化・効率化、さらには人材育成や多様化の推進など、経営基盤の強化を進めていきます。グループの成長を支える「人」については、人材育成プログラムの高度化やリスキリング教育の強化などにより、社員の自律的な成長を後押ししていきます。また、キャリア採用やジョブローテーションにより多様性を持つボトムアップ型組織を構築し、基盤事業を担う人材や、成長事業を牽引しグループ価値の向上を担う人材の育成と採用に注力してまいります。

 また、資本コストと株価を意識した経営を推進し、事業の成長と資本の効率運用を両立させることでROIC(投下資本利益率)の水準を高め、グループ全体の収益力強化を図っていくとともに、非財務情報の開示や市場との対話の充実、適切な株主還元の実施など、資本市場における当社グループの企業価値を高める取組みを進めていきます。さらに、人的資本を含めて成長に向けた積極的な投資を実行することで、利益計画を確実に達成し、早期にROE(株主資本利益率)を8%以上に引き上げることを目指してまいります。

 

 当社グループは、企業理念「エネルギーを中心としたグループ総合力で、豊かで持続可能な未来を追い求めます」のもと、社員全員が新たな事業領域、成長分野に前向きに挑戦する意思と情熱を示す新ブランドスローガン「湧く想い、沸かせる未来。」を策定いたしました。

 激変する時代の中、新ブランドスローガンに込めた想いのもと、グループ一丸となって地域課題の解決に取組むとともに、地域貢献活動への積極的な参加を通じて、地域社会の持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

当社グループは、持続的な成長のためにサステナビリティを巡る課題に積極的かつ能動的に対応すべく、下記のとおり「サステナビリティ基本方針」を策定し、これを遵守、実践しております。

 

「サステナビリティ基本方針」

私たち静岡ガスグループは、1910年の創業以来、様々な事業活動によって、地球環境の保全や地域社会の発展に貢献してきました。私たちはこれからも、企業理念である「エネルギーを中心としたグループ総合力で、豊かで持続可能な未来を追い求めます」を実践し、持続可能な社会の実現に貢献するとともに、持続的な企業価値の向上を目指します。

・お客さまや地域に寄り添った事業活動を通じて、社会課題を解決します。

・公正かつ透明な経営により、社会やステークホルダーの信頼に足る企業であり続けます。

・ステークホルダーとの対話を通じて、ともに持続可能な社会の実現に取組みます。

 

また、当社グループは、事業活動を通じて持続可能な社会の実現に貢献するため、基本方針をもとに、当社グループに関わるマテリアリティ(重要な課題)を下記のとおり特定しています。

 

「当社グループのマテリアリティ(重要な課題)」

1.地球環境への貢献

気候変動

2.地域・社会への貢献

ステークホルダーの安心安全

エネルギーの安定供給

地域価値の向上

サプライチェーン・マネジメント

ダイバーシティ&インクルージョン

従業員の健康

従業員のエンゲージメント

3.健全な企業経営

ガバナンス、コンプライアンス

 

 

(1)  サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理

①   ガバナンス体制

執行役員で構成されグループ全体の経営について審議・意思決定を行う会議体や取締役会の議論を通して、継続的にサステナビリティの取組を推進しております。ステークホルダーとの対話を通じていただいたご意見等も取り入れ、各部門は目標達成に向けてPDCAサイクルを回し、取組んでおります。また、取締役会においては、取組状況やその進捗の報告を受け、実効性向上を議論することで取組の推進を図っております。

②   リスク管理

会社経営に影響を及ぼす可能性のある業務上のリスクに関してはコーポレートサービス本部長を委員長とするリスク管理委員会、会社経営に影響を及ぼす可能性のある投資及びデリバティブ取引にかかるリスクに関しては経営戦略本部長を委員長とする投資委員会をそれぞれ設置し、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性のある業務上のリスクについて把握し、また当該リスクを極小化しうる手法を迅速かつ的確に検討の上、対処することにより被害及び損害等を最小限に抑えるべく取組んでおります。併せて、当社グループにおいて自然災害や気候変動を事業リスクとして特定しており、担当部署にてリスク低減に向けた対応策の検討やモニタリングを実施し、経営会議に報告のうえ、重要なリスクについては取締役会へ付議しております。

 

(2)  気候変動への対応に関する戦略及び指標と目標

①   戦略

     当社グループでは、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の枠組みに基づいて、気候変動が中長期的な事業に及ぼすリスク・機会や戦略のレジリエンス性についてシナリオ分析を実施しました。シナリオ分析で検討した内容は、今後の当社の事業戦略やレジリエンス向上に活用していきます。

エネルギーの気候変動対応ニーズを事業機会と捉え、ガスのカーボンニュートラル化や再生可能エネルギー電源の開発、スマートエネルギーネットワークの構築、国内外における森林保全によるCO2吸収に取組み、事業の成長を維持していきます。また、気候変動の影響を受けにくい事業分野の拡大を推進し、リアル接点とデジタル接点の活用による個々のお客さまのライフステージやビジネスに合った課題解決に取組みます。また、カーボンニュートラルメタン等の革新的技術が実用化されるまでの移行期(~2030年)においても徹底したCO2削減が重要であり、天然ガスシフトによる低炭素化やエネルギーの高度利用、省エネ推進などを通じて、お客さまのCO2削減に貢献していきます。

 

②   指標と目標

当社グループの事業は、化石燃料の供給を主とすることから、CO2排出量の削減が重要課題となっています。当社は、e-methaneや水素、アンモニア等の利用、再生可能エネルギー電源の開発等に取組み、2050年にカーボンニュートラルを実現すると共に、カーボンニュートラルメタン等の革新的技術が実用化されるまでの移行期においては、天然ガスシフトや省エネ等の促進により、2030年までにCO2削減貢献量200万tを目指します。

また、都市ガス事業以外の成長事業を拡大することで、さらなる成長を目指します。

項目

目標

カーボンニュートラル目標

2050年カーボンニュートラルを実現

CO2削減目標

2030年までにCO2削減貢献量200万t

※2021年以降の当社グループの事業活動を通じたCO2削減貢献量

(取組み)

 ①天然ガスシフト、エネルギーの高度利用や省エネの推進、エネルギーの地産地消モデルの構築

 ②再生可能エネルギー電源の開発、カーボン・オフセット都市ガス/LPガスの調達

 ③お客さま先でのCO2回収・利用や森林保全等によるCO2吸収

静岡ガスグループ2050年カーボンニュートラルビジョン(https://www.shizuokagas.co.jp/about/2050cnvision/index.html)

再生可能エネルギー電源の開発目標

2030年までに20万kW

※FIT電源、調達を含む

事業ポートフォリオ

都市ガス事業の継続的成長を図りつつ、成長事業を拡大し、2030年に連結経常利益130億円と、連結経常利益に占める都市ガス事業と都市ガス以外の事業の利益比1:1を目指す。

静岡ガスグループ2030年ビジョン

(https://www.shizuokagas.co.jp/about/2030vision/index.html)

 

 

(3)  人的資本に関する戦略並びに指標及び目標

①    戦略

(a)  人材育成方針

・事業環境や事業領域の変化に対応し、企業理念を実現するため、個々の従業員のスキル・知識の高度化とともに、従業員自らが主体的なキャリア形成に取り組むことを通じて、自ら考え、判断し、行動する人材を育成する。

・女性の活躍、職域の拡大を推進する。

(b)  社内環境整備方針

・従業員のモチベーションの向上を図るとともに、すべての従業員が自身の経験とスキルを活かし、能力発揮できる職場環境を整備する。

・仕事と生活を両立し、充実した生活が送れるよう職場環境の整備を進める。

・上記に資する教育・研修並びに制度の導入を推進する。

 

②    目標及び指標

上記①で記載した「人材育成方針」及び「社内環境整備方針」について、一般事業主行動計画に掲げている目標として、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。

なお、各指標のデータ管理及び具体的な取組は、主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。

指標

現行目標

実績(当事業年度)

次期目標

女性管理職比率

2026年3月末日まで

12以上

15.9

2031年3月末日までに20以上

男性労働者の育児休業取得率

2026年3月末日まで

50以上

86.7

2031年3月末日までに100以上

 

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりであります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) ガバナンス・コンプライアンス体制

当社グループでは、法令遵守および適切な業務執行を確保するため、ガバナンスおよびコンプライアンス体制の整備・運用を進めております。しかしながら、法令等への対応不備、不適切な行為、企業倫理や社会的規範に反する行為等が生じた場合には、対応に要する費用の発生や当社グループのブランド価値の毀損等により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

こうしたリスクへの対応として、リスク管理委員会およびコンプライアンス委員会による監督体制の強化、内部統制システムの適切な運用、コンプライアンス教育の徹底、内部通報制度を含むレポートラインの強化等を通じ、ガバナンスおよびコンプライアンス体制の実効性向上に努めております。

 

(2) 海外事業の展開

当社グループでは、成長戦略の一環として海外事業の展開を進めておりますが、進出先の国における政策変更、法規制の強化、経済・社会情勢の悪化、テロ・内戦等の政治・治安リスク等により、事業の遅延・中断や採算性の低下が生じる可能性があります。

こうしたリスクへの対応として、特定の国や案件への過度な依存を避けるため、複数地域・案件への分散的な事業推進を図るとともに、各国の制度・規制の変化を的確に把握するために、現地法人の設立等による情報収集体制の強化や、現地法人のガバナンス強化などの取り組みを行っております。

 

(3) 投資未回収、企業買収

当社グループでは、成長戦略の一環として国内外での投資や企業買収(M&A)を推進しておりますが、国内外の経済情勢の変動、市場環境の変化、事業計画との乖離、PMI(統合プロセス)の遅延等により、投資回収が計画通り進まない、または当初想定した投資効果が得られず、減損損失が発生する可能性があります

こうしたリスクへの対応として、投資委員会による投資案件の精査を通じた妥当性の確認を行うとともに、取締役会等における審議を経て、投資判断の適正性を確保しております。さらに、投資実行後についても、モニタリングおよび事後検証の強化により、リスクの早期把握と迅速な対応を図っています。

 

(4) 自然災害

当社グループでは、大規模地震・台風・津波等の自然災害により、ガス製造・供給設備や発電設備、さらにはお客さま設備が広範囲で被災し、ガス製造・供給や発電が停止する可能性があります。これにより、当社グループの事業に重大な影響を及ぼすほか、多額の復旧費用が発生するリスクがあります。

こうしたリスクへの対応として、ガス製造・供給設備および発電設備の耐震化・強靭化の推進、事業継続計画(BCP)の整備および訓練、非常事態体制の整備等により、災害発生時の事業継続性の確保と早期復旧に向けた取り組みを進めております。

 

(5) 原料調達における不測の事態

当社グループでは、LNG を全量海外から調達していることから、輸入先国の政治・経済情勢の変動、出荷基地の故障、輸送中の天候悪化や事故等により、原料調達が滞り、ガス供給やガス販売に影響が生じる可能性があります。

こうしたリスクへの対応として、調達先の多様化、柔軟な配船計画やトレーディングの活用、契約条件の適正化、需給や市況の継続的なモニタリング等により、安定的な原料調達の確保に努めております。

 

(6) ガス・電気の製造、供給支障

当社グループでは、都市ガスの製造および供給、発電を行っていますが、都市ガスの製造・供給に伴う大規模な漏洩・爆発事故や供給支障が発生した場合、発電に支障が発生した場合には、対応に伴う費用等の発生により当社グループの経営成績に影響を及ぼすほか、社会的責任の発生等の損害が生じる可能性があります。

こうしたリスクへの対応として、重要設備の冗長化やバックアップ体制の整備、設備の維持管理および事故防止の徹底、非常災害対策の強化と訓練の実施等に取り組んでおります。

 

(7) 人材の確保

企業を取り巻く事業環境の変化、少子高齢化の進行、労働市場の流動化、価値観・働き方の多様化などにより、当社グループが事業運営および成長戦略の実行に必要な人材を十分に確保・育成・定着できない可能性があります。必要な人材の獲得が難航した場合、事業推進力の低下や生産性の低下等を通じて、当社グループの企業価値に影響を及ぼすおそれがあります

こうしたリスクへの対応として、採用活動の強化、研修・教育制度の充実、従業員の働きやすい職場環境整備、エンゲージメント向上施策、ハラスメント防止体制の強化等に取り組んでおります。

 

(8) 情報システムの障害

当社グループでは、ガスの製造・供給や発電、お客さま受付、料金業務等に関わる基幹的な IT システムを運用しておりますが、システムの停止・誤作動、サイバー攻撃等のトラブルが発生した場合には、当社グループの事業運営や業績に影響を及ぼす可能性があります。

こうしたリスクへの対応として、重要データの保護および復旧力の強化、システムの強靭化などを通じて、障害発生時においても業務を継続できる体制の整備を進めるとともに、各種セキュリティ対策やインシデント対応訓練等によるサイバーセキュリティ対策の強化に取り組んでおります。

 

(9) 原料価格の変動

当社グループでは、LNG 調達に関して、契約更改時の条件変更や価格体系の改定により原料調達コストが変動する可能性があります。また、原料費調整制度におけるスライドタイムラグにより、当社グループの期間損益に影響を及ぼす可能性があります。

こうしたリスクへの対応として、交渉力の強化調達ポートフォリオの最適化を進めるとともに、必要に応じ価格リスク・為替リスクに対するヘッジ等に取り組んでおります。

 

(10) 異常気象

当社グループの基盤事業である都市ガスの需要は、気温動向に大きく影響を受けやすい特性があります。そのため、猛暑や暖冬などの異常気象が発生した場合には、ガス需要が大きく変動し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

こうしたリスクへの対応として、比較的気温変動の影響を受けにくい大口顧客の開拓による需要の安定化や、非ガス事業の拡大による収益基盤の多様化を進めております。

 

(11) 気候変動、カーボンニュートラル対応

当社グループでは、カーボンニュートラル移行の進展に伴い、新たな環境規制や制度の導入、または既存制度の強化が行われた場合、追加的な対応コストが発生し、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります

こうしたリスクへの対応として、制度変更に関する継続的な情報収集と政策動向の早期把握に加え、カーボンオフセット都市ガスや J-クレジットの供給、再生可能エネルギー電源の開発、非化石価値取引の活用等を通じ、カーボンニュートラル需要への対応を強化しております

 

(12) 金利情勢の変動

当社グループでは、有利子負債の調達金利が変動した場合、金利上昇によって財務負担が増加する可能性があります。また、年金資産の運用状況が想定どおりに推移しない場合には、追加の積立負担が発生し、当社グループの財務状況に影響を及ぼすリスクがあります。

こうしたリスクへの対応として、固定金利での資金調達を活用することによる金利上昇時の財務負担の抑制、退職金制度の一部確定拠出化や年金運営委員会による適切な資産運用の実施などを通じ、金利変動の影響を軽減する取り組みを行っております。

 

(13) 競合激化

当社グループを取り巻く事業環境においては、同業他社の動きに加え、異業種からの新規参入や市場縮小などにより競争が激化しており、その結果としてお客さま件数が減少する可能性があります。また、料金競争やサービス多様化の進展により、従来以上に顧客維持が困難となり、収益に影響を及ぼすリスクがあります。

こうしたリスクへの対応として、安心・安全・安定供給を基盤とし、環境性やレジリエンス性向上への取組み、QOL(Quality of Life)向上に資する新たな料金メニューやくらしサービスの提供、リアル接点とデジタル接点の双方を活用したお客さま・地域社会と信頼関係強化等を進めています。

 

(14) 法令・制度やエネルギー政策の変更

当社グループの事業は、ガス事業法、電気事業法をはじめとする各種法令・制度や、国のエネルギー政策の影響を強く受けます。そのため、これらの法令や制度、政策が改正・変更された場合には、事業運営や収益に影響を及ぼす可能性があります。

こうしたリスクへの対応として、制度改正動向の継続的な把握と情報収集を行うとともに、業界団体等を通じて、制度設計や政策議論への意見反映に取り組んでおります。

 

(15) 商品・サービス等の品質に関するトラブル

当社グループが取り扱う商品・サービス等に関する品質にトラブルが発生した場合、対応に要する費用の支出や社会的信用の低下等により、業績に影響を及ぼす可能性があります。

こうしたリスクへの対応として、定期保安巡回の確実な実施によりガス機器の安全利用や事故防止に努め、お客さまサービス拠点「エネリア」を中心とした訪問活動を通じて、お客さまの課題や不具合兆候の早期把握に取り組んでいます。また、製品・材料採用時の品質確認の徹底など、品質管理の強化にも努めております。

 

(16) 個人情報漏洩

当社グループでは、事業上、多くのお客さま情報を取り扱っております。お客さま情報が外部に漏えいした場合には、漏えい調査や補償等の対応費用の発生に加え、社会的信用やブランドイメージの毀損につながり、事業運営や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

こうしたリスクへの対応として、個人情報保護に関する規程および情報管理に関する規程の整備、従業員への情報管理教育の徹底、サイバー攻撃対策の強化、インシデント対応訓練等の継続的な実施等を通じ、情報漏えい防止に努めております。

 

(17) 感染症の流行

当社グループでは、感染症が流行した場合、従業員の感染に伴う出勤停止等により、都市ガスを含む当社グループ事業の継続が困難となる可能性があります。

うしたリスクへの対応として、新型インフルエンザ等対策業務計画およびBCP(事業継続計画)に基づく対応体制を整備し、事業の継続確保に取り組んでおります。また、感染予防対策の徹底やリモートワークの活用等により、感染拡大の防止にも努めております。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度(以下、当期という。)における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

なお、将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 経営成績

当期におけるわが国の経済は、非製造業を中心とした企業収益の改善や賃金上昇による個人消費の底堅さなどを背景に、実質GDP成長率が潜在成長率を上回る水準となるなど、緩やかに景気回復が進む一方、米国の通商政策による外需の停滞に加え、物価上昇圧力の継続や慢性的な人手不足など景気回復を下押しする要素は依然として残り、先行き不透明な状況が続きました。

エネルギー業界におきましても、カーボンニュートラル実現に向けた取組みが加速する中、業種や地域の垣根を越えた競争が過熱するとともに、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化や中東情勢の激化など地政学的リスクの影響により、安定供給の重要性が一層高まるなど、当社グループを取り巻く環境は引き続き不安定に推移しました。

このような状況のもと、当社グループは、地域の皆さまとともに様々な課題を解決することで、持続可能なくらしやすい地域をつくる「地域共創」の実現を目指し、基盤事業であるガス事業に加えて、電力・再生可能エネルギー、くらし・エンジニアリングサービス、海外などの成長分野に積極的に取り組んでまいりました。

当期における当社グループの連結売上高は、当期に設立したSHIZUOKA GAS AMERICA CO.の事業開始に加え、グッドリビング株式会社の連結子会社化、ガス販売量の増加などにより増収となった一方で、原料費調整制度によるガス販売単価の下方調整や電力需給調整市場での収益減などにより、前連結会計年度(以下「前期」という)に比べ0.5%減201,207百万円となりました。

連結営業利益は、長期契約でのLNG調達に努めたことで、価格が高止まりしていたスポット市場でのLNG調達を抑制できたことや原料価格の変動がガス販売単価に反映されるタイムラグの影響などにより前期に比べ36.6%増14,072百万円となりました。

連結営業外損益は、匿名組合投資利益の減少や為替差損の計上などにより、前期に比べ2,084百万円の減益要因となりました。

この結果、連結経常利益は前期に比べ12.9%増14,769百万円となりました。

連結特別損益は、投資有価証券売却益を計上した一方で、投資有価証券評価損等の計上により、前期に比べ821百万円の減益要因となりました。

以上により、税金等調整前当期純利益は14,261百万円となり、これから法人税等や非支配株主に帰属する当期純利益を差し引き、親会社株主に帰属する当期純利益は前期に比べ14.5%増10,048百万円となりました。

 

 

セグメントの経営成績は、次のとおりであります。

 

① ガス

お客さま数(取付メーター数)は、新築市場及び既存市場において新規のお客さまの獲得に努めたことなどから当期中に277戸増加し、期末現在で361,987戸となりました。

ガス販売量は、前期に比べ0.8%増1,595百万㎥となりました。用途別では、家庭用は、気温が低めに推移し給湯需要が増加したことなどにより、前期に比べ1.5%増85百万㎥となりました。業務用(商業用・公用及び医療用)は、空調需要増加の影響などにより、前期に比べ0.4%増77百万㎥となりました。工業用は、お客さま設備の稼働が堅調に推移したことなどから、前期に比べ4.9%増858百万㎥となりました。卸供給は、前期に比べ4.8%減575百万㎥となりました。

 

 

当期

前期

増減

増減率(%)

お客さま数

361,987

361,710

277

0.1

家庭用

百万㎥

85

84

1

1.5

業務用

77

77

0

0.4

工業用

858

818

40

4.9

卸供給

575

604

△29

△4.8

合計

1,595

1,582

12

0.8

 

(注) 「お客さま数」は、期末取付メーター数を記載しております。

 

 

売上高は、原料費調整制度によるガス販売単価の下方調整などにより、前期に比べ2.0%減157,689百万円となりました。セグメント利益(営業利益)は前期に比べ52.6%増14,880百万円となりました。

 

② LPG・その他エネルギー

LPG事業においては、不二高圧株式会社の連結子会社化による増収、電力事業においては、販売量は増加した一方で、需給調整市場での収益が減少したことなどにより、売上高は前期に比べ2.1%減31,187百万円となり、セグメント利益(営業利益)は同32.3%減2,459百万円となりました。

 

③ その他

設備工事、受注工事及びガス機器販売などのその他の事業は、グッドリビング株式会社の連結子会社化による増収や設備工事の売上が増加したことなどにより、売上高は前期に比べ25.7%増23,248百万円となり、セグメント利益(営業利益)は同2.1%増855百万円となりました。

 

(注) 1 上記セグメント別の業績数値には、セグメント間の内部取引を含んでおります。

2 本報告書でのガス量は、すべて1㎥当たり45MJ(メガジュール)換算で表示しております。

 

 

(2) 生産、受注及び販売の実績

当社グループにおいては、当社及び連結子会社が営むガスセグメントが、生産、受注及び販売活動の中心となっております。

このため、以下はガスセグメントについて記載しております。

 

① 生産実績

ガスの生産実績は次のとおりであります。

 

区分

当連結会計年度
(2025年1~12月)

生産量(百万㎥)

前期比(%)

ガス

1,602

100.8

 

(注) ガス量は1㎥当たり45MJ換算し、表示単位未満を四捨五入しております。

 

② 受注実績

ガスについては、その性質上、受注生産は行っておりません。

 

③ 販売実績

ガスは、導管を通じて直接お客さまに販売しております。また、他のガス事業者に卸供給をしております。

 

区分

当連結会計年度
(2025年1~12月)

数量(百万㎥)

前期比(%)

金額(百万円)

前期比(%)

ガス販売実績

家庭用

85

101.5

19,675

100.0

業務用その他

1,509

100.7

131,185

96.9

1,595

100.8

150,861

97.3

お客さま数

361,987戸

100.1

 

(注) 1 「お客さま数」は、期末取付メーター数を記載しております。

2 販売量は1㎥当たり45MJ換算し、表示単位未満を四捨五入しております。

3 上記数値は、セグメント間の内部取引を含んでおります。

4 主要な販売先として、㈱INPEX及びサーラエナジー㈱へ卸供給をしております。㈱INPEXへの前連結会計年度における販売実績は234百万㎥、総販売実績に対する割合は14.8%であり、当連結会計年度における販売実績は203百万㎥、総販売実績に対する割合は12.8%であります。サーラエナジー㈱への前連結会計年度における販売実績は202百万㎥、総販売実績に対する割合は12.8%であり、当連結会計年度における販売実績は201百万㎥、総販売実績に対する割合は12.7%であります。

 

なお、当社グループのガスセグメントにおいては、上記のほか、LNGの販売やシェールガス開発事業を行っております。

 

(3) 財政状態

当期末における総資産は、現金及び預金、原材料及び貯蔵品等が減少した一方で、米国シェールガス開発事業の権益取得に伴い鉱業権を計上したことや株式市況の影響などによる投資有価証券の増加等により、前期末に比べ25,670百万円増195,873百万円となりました。

負債は、原材料代決済のタイミングによる買掛金、未払金及び未払法人税等の増加により、前期末に比べ12,487百万円増57,170百万円となりました。

純資産は、当期の利益計上による利益剰余金の増加等により、前期末に比べ13,183百万円増138,703百万円となりました。

この結果、当期の自己資本比率は67.0%となりました。

 

 

(4) キャッシュ・フロー

営業活動によるキャッシュ・フローは、34,560百万円の収入(前期は10,977百万円の収入)となりました。これは、減価償却前利益が23,738百万円となり、買掛金の増加や棚卸資産が減少したことなどによるものであります。

投資活動によるキャッシュ・フローは、32,977百万円の支出(前期は8,675百万円の支出)となりました。これは、米国シェールガス開発事業の権益取得、再生可能エネルギーへの設備投資や都市ガスの安定供給のためのガス導管建設工事等によるものであります。

財務活動によるキャッシュ・フローは、5,464百万円の支出(前期は1,855百万円の支出)となりました。これは、配当金の支払いや借入金の返済などによるものであります。

以上の結果、当期末における現金及び現金同等物は、前期末と比べ3,167百万円減少し、当期末残高は32,655百万円となりました。

 

なお、当社グループのキャッシュ・フロー関連指標は以下のとおりであります。

 

 

 

前連結会計年度

当連結会計年度

自己資本比率

(%)

69.4

67.0

時価ベースの自己資本比率

(%)

47.3

46.2

キャッシュ・フロー対有利子負債比率

(年)

1.7

0.5

インタレスト・カバレッジ・レシオ

(倍)

74.2

217.3

 

(注) 1 各指標はいずれも連結ベースの財務数値を用いて、以下の計算式により算出しております。

自己資本比率

:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率

:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率

:有利子負債/キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ

:キャッシュ・フロー/利払い

 

2 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。

3 キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。

4 有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、長期借入金(1年以内に期限到来のものを含む)、社債、短期借入金を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

 

(5) 当社グループの資本の財源及び流動性について

当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、設備投資資金については、自己資金を充当し、不足分を社債の発行や金融機関からの長期借入による調達を基本としております。

また、短期運転資金は、主に自己資金、短期借入金、コマーシャル・ペーパー等で賄っていく方針であります。

なお、当社グループ内でキャッシュ・マネジメント・システムを採用しており、余剰資金の活用等により、当社グループ全体の有利子負債の削減を図っております。

その結果、当連結会計年度末の有利子負債残高は17,983百万円となりました。

 

(6) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたっては、過年度実績や経営計画、入手可能で合理的な情報に基づく仮定等から会計上の見積りを行っておりますが、見積りは不確実性を伴うため、実際の結果は異なる場合があります。

 

 

5 【重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。