第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

ミッション   :働く女性を 最高水準のエデュケアと介護サービスで支援します。

サービスポリシー:「寄り添うように」 お客さまのこころの声を感じ、そのご要望に丁寧に応えるサービス

「慈しむように」 愛情と敬意に満ち、優しく包み込むようなサービス

「信頼に足るように」 他に換えることのできない確かなサービス

「妥協しないように」 果てしなき質の向上に挑み続けるサービス

 

 当社グループは上記のミッションの下、創業以来、35年以上前から働く女性の支援を続けてまいりました。

昨今、国連が定める「持続可能な開発目標(SDGs)」に代表されるように、社会課題の解決が企業にも求められる時代となり、当社グループの経営方針及び提供するサービスが社会において重要な価値をもたらすものである事を改めて認識しております。

 そこで、当社グループでは、2020年11月に株式会社日本総合研究所からセカンドパーティ・オピニオンを取得し、当社グループの社会課題解決に向けた対応状況を第三者の目から客観的に評価いただくとともに、今後の(経済的価値のみならず社会的価値を含めた)企業価値向上の契機としております。

 

 また、SDGsは当社のミッションにも通ずる目標であると考えており、当社グループの提供するサービスにより、以下のそれぞれの目標達成に貢献してまいります。

目標

ターゲット

左記ターゲットに貢献する

当社グループのサービス・施策

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 5.5「政治、経済、公共分野でのあらゆるレベルの意思決定において、完全かつ効果的な女性の参画及び平等なリーダーシップの機会を確保する」

・働く女性を支援することにより、女性の社会参画を増大

・子育て経験をキャリアとして評価し、女性とシニアをナニー及びベビーシッターやケアスタッフとして活用。その他、年齢・性別・国籍・ハンディキャップにかかわらず多様な就業の場を提供

・当社グループにおいても、2025年12月末時点で管理職の76.6%、本書提出日現在で取締役(子会社取締役を含む。)の30.8%を女性が占めるなど、女性活躍を自ら実践

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 4.2「すべての女児及び男児が、質の高い乳幼児の発達支援、ケア及び就学前教育にアクセスすることにより、初等教育を受ける準備が整うようにする」

・「保育」から「エデュケア」へ保育理論、非認知能力の向上ノウハウを深化・体系化

・将来グローバル社会で生きる子どもたちのために「0歳からのエデュケア」を実践

・「最高水準」のサービス提供に向け、乳幼児教育において、米ハーバード大学、米スタンフォード大学、英ノーランドカレッジ、東京大学、お茶の水女子大学など国内外の教育機関やその研究者との共同研究や研修を実施し、世界最先端の教育科学を保育に取り入れる

・国や自治体からの委託を受け、保育士再就職支援事業(厚生労働省)や、サービス産業生産性向上調査事業(経済産業省)、子育て支援方策に関する調査研究(文部科学省)等の調査やコンサルティング、研修事業(年間93,000人以上参加(2025年度))を実施

 

 

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 8.1「各国の状況に応じて、一人当たり経済成長率を持続させる」

 

 8.5「2030年までに、若者や障害者を含むすべての男性及び女性の、完全かつ生産的な雇用及び働きがいのある人間らしい仕事、並びに同一労働同一賃金を達成する」

 

・保育/学童施設325ヵ所(2025年12月31日時点)の運営、ナニー及びベビーシッターサービス提供を通じ女性の社会参画を支援

・お茶の水女子大学大学院に「ポピンズ保育マネジメント講座」を開設(2021年4月開講)し、保育士の地位向上を図る

・地方採用も積極化し、地方から三大都市圏(東京都・大阪・名古屋)に転居して働く人に向けて借上げ社宅などのサポート施策を準備(2025年12月末現在369件)

・保育士の処遇改善(大卒保育士の初任給業界最高水準)や福利厚生(自社サービスの割引利用他)の充実

・人財育成を重要な経営課題と捉え様々な教育機会を提供(海外研修に自社社員派遣含めのべ600名以上参加(英ノーランドカレッジ海外研修(1994年~)、米スタンフォード海外研修(2006年~)、米ハーバード海外研修(2007年~)の累計参加者数)、オンライン開催となった2020年度~2022年度分を除く。)

 

(2)目標とする経営指標

 当社グループは、第2創業期の新経営体制のもと、事業規模の拡大にとどまらず、企業価値を創造する「利益成長」と「資本効率の規律」を両立させることを経営の重要課題と位置付けております。

 そのため、目標とする経営指標として、利益成長を示す「営業利益」に加え、資本効率を評価する「ROIC(投下資本利益率)」及び「ROE(自己資本利益率)」を重視して経営しております。さらに、株主還元の指標として、「配当性向(40%目途)」に加え、短期的な利益変動に左右されず配当の予見性を高めるため、「DOE(株主資本配当率)」を設定しております。

 

(3)経営環境

 日本では、少子高齢化に伴い労働者不足の加速化が予想されるとともに、産業構造の変化により多様な人財を活用していくことが必要不可欠となったことから、女性の活躍促進が一層求められております。

 安倍政権が「女性が輝く社会」政策を打ち出した2013年時点で2,411万人だった女性の雇用者数は、以降拡大を続け、2025年には2,879万人(前年比49万人増)まで、約1.2倍に増加しております。(注1)

(注1) 総務省「労働力調査(2026年1月30日)」

 

一方で、少子化が想定を上回る速度で進行しております。出生数は過去最低の更新が見込まれ、生産年齢人口の減少に伴う「人手不足」は全産業共通の深刻な課題となりました。こうした中、社会全体で限られた人的資源を最大限に活用するための「働き方改革」は、もはや努力義務ではなく、企業の存続に不可欠な経営戦略へと変貌しております。

政府が「2030年までが少子化反転のラストチャンス」と掲げる中、2025年4月より「改正育児・介護休業法」が段階的に施行されました。これにより、子どもが3歳になるまでのテレワーク導入の努力義務化など、柔軟な働き方が強く求められ、両立支援は新たなフェーズに突入しております。あわせて、児童手当の拡充など子育て世帯への直接支援も加速しています。

 当社グループは、このような劇的な社会変容を、最高水準のエデュケアサービスを世に問う好機と捉えております。2025年4月の改正育児・介護休業法の施行を経て、企業における従業員の「仕事と家庭の両立支援」は、今や経営における最優先事項の一つとなりました。「働く女性を 最高水準のエデュケアと介護サービスで支援します。」という不変のミッションを軸に、当社はこうした社会の変化に即応してまいりました。

具体的には、ナニー・ベビーシッターサービスの徹底した質的向上を図るとともに、需要が急増したベビーシッター領域を中心に供給体制を大幅に拡充いたしました。あわせて、企業の人事部門が抱える課題に深く寄り添うべく、育児・介護コンサルティングの取り組みを強化し、組織全体の両立支援体制を強力に後押ししております。また、折しも「団塊の世代」の全員が70代後半を迎えたことで、当社が長年強みとしてきた自費介護サービスへのニーズも、いよいよ本格的な高まりを見せています。保育・学童施設運営を強固な基盤として、乳幼児へのエデュケアから高齢者へのシニアケアまで、多様化する働く女性のライフスタイルに寄り添う「フルラインの支援体制」をさらに強固なものとしてまいります。

 

①ファミリーケア事業

 チャイルドケアサービス(ナニーサービス・ベビーシッターサービス)領域においては、保育園とともに「車の両輪」となり、女性の活躍・就労支援策を支える社会インフラとしてのナニーやベビーシッターの存在感が高まっております。高市政権によるベビーシッターや家事支援サービスの利用料の税額控除導入の検討や、東京都によるベビーシッター利用支援事業(一時預かり)の23区全域での事業採択及び病児保育の検証事業スタートなどの政策強化が重なる2026年は、まさに『ベビーシッター元年』となることが見込まれます。

さらに、シルバーケアサービス領域においては、年間240万人が生まれていた団塊の世代が全員75歳以上となりターゲット層が引き続き膨らむこと、さらに高市政権により示された、介護保険サービス基盤強化と並行しての「保険外サービスの普及促進」の方向性を踏まえ、シルバーケアサービスの需要拡大が、より一層加速することが見込まれます。

 ナニーサービスにつきましては、高付加価値サービスとして高い利益率を維持しつつ、高い品質と多様なニーズへの対応力を活かして、顧客単価向上と継続期間長期化を推進してまいります。

 ベビーシッターサービスにつきましては、顧客・働き手の自然流入増が継続する中、政策強化などを背景とした、引き続き旺盛な需要に対応するため、第3の採用拠点開設を核としてさらなるベビーシッター採用・研修強化を図ってまいります。併せて、ベビーシッター分野で売上高トップ(注2)の地位を揺るぎないものものとするため、品質管理及びリスク管理のさらなる体制強化にも取り組んでまいります。

 シルバーケアサービスにつきましては、営業管理体制の高度化やコーディネーター増強により運営体制を一段と強固にすると共に、ケアスタッフの待遇改善やDXによる採用・稼働促進を通じて、サービス供給力の強化を進めてまいります。

(注2)公表されているベビーシッター業界の統計数値がありませんので、当社独自の推計比較によるものです。

 

②エデュケア事業

 保育所における待機児童問題は概ね解消し、その主たる課題が量的不足への対応から質的向上や、「こども誰でも通園制度」や付加的サービスのような多様なニーズへの対応へと移行しております。一方で、学童保育の待機児童(いわゆる「待機学童」)は1万6,330人(前年比 1,356人減)と依然として高止まりしており、保育環境の整備、保育の質向上が引き続き大きな課題となっております。

 2026年12月期については、子育て世帯の流入を伴う住宅開発に伴う保育所開設2施設を含め、合計11施設の開設が決定しております(認可保育所2施設、認証保育所(運営再開)1施設、学童クラブ・児童館8施設)。また、閉園はポートフォリオ管理適正化の観点からの能動的なクローズを含む10施設(小規模認可1施設、事業所内保育所3施設、学童クラブ・児童館5施設、その他1施設)を予定しております。

 

③プロフェッショナル事業

 2025年12月期においてオンライン研修の浸透を背景とした広域展開が奏功し、主要な大型案件の再獲得を含め、自治体保育研修におけるシェアをさらに拡大いたしました。2026年12月期は、高い市場シェアを維持・防衛するための施策を徹底し、安定的な収益基盤を堅持いたします。自治体向けビジネスにおいては、例年継続的なコスト効率化が求められる傾向にありますが、当社は運営ノウハウの蓄積による付加価値の向上でこれに対応してまいります。

 加えて、保育研修で培った講師ネットワークと運営知見を活かし、ニーズが拡大している学童保育領域での研修受注を強化するほか、育児・介護コンサルティング等の民需向けサービスの拡大に注力し、収益源の多角化を推進いたします。なお、民需向けコンサルティング事業の強化に際しては、将来の持続的成長に向けた人財確保・育成などの体制整備を先行して進めてまいります。

 

(4)経営戦略の基本方針

 当社グループでは、ミッションの貫徹、及び今後の成長を目指して以下の3点を経営戦略の基本方針として事業を進めております。

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①働く女性のサポート(ライフステージに応じた切れ目のないサービスラインナップ)

 当社グループは、ナニーサービスにより事業を開始して以降、ミッションである『働く女性の支援』を具体的なサービスに落とし込み、ワンオペ育児・お受験・小1の壁、親の介護など、働く女性のライフイベントにおいて直面する離職の危機に対して、子育て・介護・家事支援・不妊予防(妊活)・ペットケアまで、一貫して女性の生涯をサポートするソリューションを提供しております。

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②クオリティ(最高水準のエデュケアと介護サービスの品質維持向上)

 当社グループは、ミッションとして「働く女性を 最高水準のエデュケアと介護サービスで支援します。」を掲げており、常に最高水準のサービスをお客様に提供することを意識し、これまで様々な施策を実行してまいりました。その結果として、あらゆる場面で評価を頂いてまいりました。

 当社グループの具体的な品質維持向上施策は以下のとおりであります。

・1999年に育児・介護サービス業界では全国初となる国際品質規格ISO9001(品質マネジメントシステム)の認証を取得いたしました。その過程で品質目標設定・実行・評価・改善というPDCAサイクルによる品質マネジメント体制が整備され、顧客満足度の視点からサービス品質の向上を実現する事に繋がりました。その結果、2024年度に実施した当社グループの保育施設のご利用者による満足度アンケートでは、全施設平均で98.2%の方から満足との評価をいただき、また6割の方から大変満足との評価をいただきました。

 

・当社グループでは、お客様の緊急性・利便性・安心感にお応えするナニーサービスを提供するため以下4点の実現を心掛けております。

A) ICT(PC/スマホ)を活用した24時間365日対応の実現

B) 当日オーダー100%に応える最適なナニーとのマッチング

C) コーディネーターによる入会訪問

D) お子様が病気の時でも対応

・運営施設数が増加する状況でも、優秀な人財の採用や育成の強化、及び、諸施策を通じた長期雇用の促進により、保育士、ナニー及びベビーシッター、介護スタッフ、家事支援スタッフの質の維持・向上を図っております。具体的な施策としては、ジョブディスクリプションによる各職位における職務内容や人事評価制度の精緻化、処遇改善等を行っております。

 

 上記諸施策の結果、2016年6月には、約30年、働く女性の支援のために高品質のナニーサービスを提供し続けてきた功績が認められ、第一回日本サービス大賞(注3)厚生労働大臣賞を受賞いたしました。

 また、スマートシッター株式会社(現 株式会社ポピンズシッター)は、2017年12月、日経DUAL「マッチング型ベビーシッターサービス」ランキングにおいて「質・信頼性」や「料金」等が評価され、1位に選ばれました。2018年にはキッズデザイン賞(子ども達を産み育てやすいデザイン部門)を受賞しました。

 子どもたちにとっての創造的な空間づくり(環境設定の質)等が評価され、2020年にはポピンズナーサリースクール恵比寿南、2021年にはポピンズナーサリースクール代々木上原がキッズデザイン賞(子どもたちの創造性と未来を拓くデザイン部門)を受賞、2022年にはポピンズナーサリースクール阿佐ヶ谷が、キッズデザイン賞(同部門)及びグッドデザイン賞をダブル受賞いたしました。さらに、2023年にはポピンズナーサリースクール上大崎及びポピンズナーサリースクール軽井沢風越の2園がグッドデザイン賞を同時受賞しております。

 2021年4月からは、お茶の水女子大学の大学院に国内初の産学連携による保育マネジメント講座を開設し、主に現場で働く保育士が経営学を含む専門的な理論や知識なども学べるようにして、女性の社会進出に伴い、需要が高まるとともに保護者からの求めが多様化している保育サービスの質を底上げしてまいります。

 

 国も資格や一定の研修受講などの基準をつくり、受講状況などを確認できるシステムを開発するとしておりましたが、当社グループとしても30年間の経験を活かし、ナニー及びベビーシッターに必要な知識や技能の見える化を実現するため「ポピンズナニースクール(教育ベビーシッター養成講座)」と、その修了者を認定する「ポピンズナニー検定」を2019年4月よりスタートしております。

 また、2021年8月には、東京都より、当社グループのナニー/ベビーシッター向け自社研修が、民間企業として初めて国認定研修(注4)として認定を受けました。さらに、2022年9月には、東京都ベビーシッター利用支援事業の指定研修としても追加認定されたことにより、当社グループの自社研修がナニー・ベビーシッター関連の二大助成金事業の指定研修として国及び東京都に認められました。

 これにより、当社グループの自社研修を受講すれば、いち早く「認定ナニー/ベビーシッター」として活躍いただけるようになりました。さらに、当該自社研修の、当社グループ外のベビーシッターへの外販も進めることで、ベビーシッター業界全体のクオリティの向上にも貢献してまいります。

 これからも、当社グループの最高水準のサービス品質をさらに向上させてまいります。

 

(注)3 日本サービス大賞とは、日本生産性本部が主催し、総務省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省が後援する「革新的な優れたサービス」を表彰する日本初の制度です。最優秀賞である内閣総理大臣賞をはじめ、サービスを管轄する各省の大臣賞、地方創生大臣賞などの各賞により、日本国内の”きらり”と光る優れたサービスを幅広く表彰します。ナニーサービスの授賞理由としては、「30年近く、働く女性の支援のため高品質のシッターサービスを提供し続けており、女性の活躍に大きく貢献するサービス。ナニー(教育ベビーシッター)の採用、教育、動機づけ、顧客との関係づくりなど、高品質サービスをつくりとどける工夫に加え、ICTを利活用した24時間365日の受付、最適なシッターとのマッチングなど利用者の利便性向上を追求している。顧客の状況に応じてサービスを提案するなど、個別ニーズにも応える高信頼のサービスである。」とされています。

   4 こども家庭庁ベビーシッター割引券などの国の助成に対応するベビーシッターは、保育士または看護師の資格を保有しているか、またはこども家庭庁が指定する研修を修了することが必須とされています。

 

③利益成長

ⅰ)事業シナジーを活かしたポートフォリオ経営

 当社グループは、子育て支援と介護支援という働く女性にとり必要不可欠なサービスを提供してきたことにより、創業から継続して売上高成長を実現し、直近5年間においてCAGR(年平均成長率)8.6%成長を果たしてまいりました。

 

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 当社グループの事業は、下図に示すような事業ポートフォリオで構成されており、安定的な成長が見込めるエデュケア事業を「事業基盤」として、社会的ニーズが高く、また収益性も高いファミリーケア事業を「成長ドライバー」、グループ内の知見を集め、実践的な教育研修を行うプロフェッショナル事業を「育成事業」とし、さらに新規事業を展開することで、事業シナジーを生かしたポートフォリオ経営を実践し、当社グループ全体で高い利益成長を目指してまいります。

 

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(5)中期経営計画2030について

 当社グループは、2025年8月29日に、2030年12月期を最終年度とする『中期経営計画2030』(2030年度数値目標:営業利益30億円以上、ROIC12%、ROE15%、配当性向40%前後、DOE(自己資本配当率)6%)を公表し、その達成に向けて取り組んでおります。

 少子化や働き方といった、当社グループを取り巻く社会的な外部環境が激変しております。事業面でも、旺盛なベビーシッター需要の想定以上の高まり、学童待機児童の増加、公定価格改定への対応等が急務であり、評価・報酬制度や待遇等の抜本的な見直しも、事業共通で喫緊の経営課題となっております。

こうした状況を踏まえ、魅力的な社員を採用・育成(人的資本管理)し、そのナレッジを集積しながら、テクノロジーを活かして高い品質で生産的な働き方を実現(知的資本管理)することを目指し、高い成長性と資本効率の規律を両立するためにROIC等の指標も新たに導入した『中期経営計画2030』として策定しております。

 

2030年度 数値目標(連結)

指標

2024年度

2030年度(目標)

営業利益

15.7億円

30億円以上

営業利益 年平均成長率(2024年度比)

-

11.5%以上

 

ファミリーケア事業

-

12%

 

エデュケア事業

-

5%以上

 

プロフェッショナル事業

-

10%以上

ROIC

8.0%

12%

 

ファミリーケア事業

55.6%

   50%(注)

 

エデュケア事業

7.1%

9%

 

プロフェッショナル事業

7.4%

12%

ROE

9.3%

15%

(注)各サービスのセールスミックスの変化等を想定し、設定しております。

 

『中期経営計画2030』における株主還元方針

 DOE(自己資本配当率)をKPIとして導入し、従来の「配当性向40%目途」との両立により、配当の予見可能性を高め、安定的かつ高い株主還元水準を実現します。また、ROEの向上に向けたキャピタルアロケーションとして、株主還元とM&Aを重要視いたします。

DOE目標: 当面は4.5%以上。2030年迄に6.0%を目指す。

 

(6)気候変動への取り組みとTCFDへの対応

 当社グループは、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース:Task force on Climate-related Financial Disclosures)の提言に賛同するとともに、気候変動関連リスク及び機会が当社グループの事業に及ぼす影響の把握、及び分析を行い、気候関連の適切な情報開示を行ってまいります。

 当社グループは未来を創り、グローバルに羽ばたくお子様や、日本の礎を築き走り抜けた方々、そして、働く女性の皆様が健やかに生活できる世界を維持するために、気候変動に対しても何が出来るのかを考え、その抑制に寄与してまいります。

 

(TCFDの提言に基づく4項目についての情報開示)

①ガバナンス

 当社グループでは、気候変動を含むサステナビリティ課題について、全社横断的な対応を推進するため、CHROを委員長とする「サステナビリティ委員会」を設置しております。サステナビリティ委員会は原則年に2回開催され、サステナビリティ課題に対する基本方針や重要事項について審議・検討を行います。

 また、審議された内容は、原則年に1回取締役会へ報告し、事業活動や財務に重大な影響を与えると判断された事項については、取締役会にて、その対応方針や施策を審議・決議いたします。

 なお、サステナビリティ委員会では、様々な属性の社員の力が発揮できるよう、社内制度における課題の把握や対策、風土醸成のための取り組みについての全社横断的な対応も併せて推進しております。『働く女性の支援』という社会課題の解決をリードする企業を目指し、誰もが自分らしく活躍できる組織の実現に取り組んでおり、気候変動に対する取り組みと連携しながら、社会の変化に対応した持続的な企業価値の向上を実現してまいります。

 

②戦略

 TCFD提言では、気候変動に起因する事業への影響を考察するため、複数の気候関連シナリオに基づき検討を行う「シナリオ分析」を行うことが推奨されており、当社グループでも不確実な将来に対応した戦略立案・検討を行うために分析を実施いたしました。

 また、自社への影響のみならず、ターゲットとする「働く女性」にどのような影響が起こるのかまで包括的に考察を行うことで、気候変動によって起こる「働く女性」への影響に対して、当社グループがどのように対応・寄与していくべきかを考え、下記のようにシナリオ分析を実施しております。

 今回のシナリオ分析では、脱炭素に向けてより野心的な気候変動対策の実施が想定される「1.5℃シナリオ(一部2℃シナリオも併用)」と、現状を上回る気候変動対策が行われず、異常気象の激甚化が想定される「4℃シナリオ」を参考に、定性・定量の両面から考察を行いました。なお、当社のカーボンニュートラルの目標達成年度である2050年に加え、SDGsの目標である2030年時点における影響を分析しております。

 

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(シナリオ分析)

 シナリオ分析の結果、1.5℃シナリオと4℃シナリオの両シナリオにおいて、異常気象の激甚化による自社事業活動拠点への被害が大きなリスクであると想定されました。ただし、当社グループでは、従来よりハザードマップを参考にし、物理的な被害が抑えられるような事業所作りを進めていたため、想定される被害についても最小限に留められており、自社の経営に大きな影響を与えるものではないと判断いたしました。今後もBCPを意識した事業所設営を進めるとともに、環境に配慮した設備や部材を用いた環境にやさしい事業所作りを行ってまいります。

 また、脱炭素社会への移行に伴い、「働く女性」の働き方や就業形態に変化が起こることが想定されました。

 当社グループは「働く女性」の活躍を支援するためのサービスを手厚く展開しており、社会貢献性の向上とともに収益機会の増加が見込めました。

 今後も当社グループは事業活動を通じて気候変動抑制に寄与するとともに、『働く女性の支援』という社会課題の解決をリードする企業を目指してまいります。

 

(特定した主なリスク・機会とその対応)

区分

項目

発生時期

考察

自社への影響度

当社対応方針

1.5℃

4℃

自社
グループ

への影響

カーボンプライシングの導入

中期~長期

炭素税や排出権取引などのカーボンプライシング導入により、操業コストが増加する。

↓↓

■再生可能エネルギーの使用

例:再エネ使用施設への事業所展開など

 

■換気設備に換気によって失われる空調エネルギーの全熱を交換回収する省エネルギー装置(全熱交換器)の採用

エネルギー
コストの変化

中期~長期

エネルギー費用の上昇が取引先の事業運営費用(原材料費・物流など)の上昇を招き、当社の操業コストを上昇させる。

■オフィス含む事業所の省エネ化

■環境に配慮した事業所作り(内外装・設備)

人口の変化

中期~長期

少子高齢化や人口の減少により、育児・保育サービスの需要が低下する。一方、シルバーケア事業や家事支援サービスについては需要が増加する。

↓↑

↓↓

■サービスを通した「働く女性への支援」

異常気象の
激甚化

短期~長期

台風や高潮などの異常気象の発生頻度や強度が強まることで、オフィスや物理的損害による操業不能や従業員に対する人的被害が発生し、業績悪化のリスクが発生する。

※一方で、気候変動リスクへの備え(開設立地、施設堅牢性、備蓄)、BCPによる被災園・事業の早期復旧により、社会的信頼・評価が向上し、入園者が増加する。

↓↓

↓↓↓

■「子どものためのSDGs」教育の推進

■災害発生時を想定した従業員向けの訓練・研修の実施

■物理的リスクに対して脆弱な資産(事業所など)の把握と災害対策対応

■ネット上で需給をマッチングし、お客様の自宅でサービスを提供するナニー・シッター事業、シルバーケア事業を伸ばし、物理的な事業拠点やエネルギー消費量を増やさずに事業規模を拡大

社会
(働く女性)

への影響

低炭素技術
の進展

中期~長期

環境技術分野における女性参画が増加。

働き方・就労形態が変化するに伴い、育児・保育サービスへの期待・需要がこれまでとは異なる方向へ変化。

↑↑

■サービスを通した働く女性への活躍支援

■在宅や近隣シェアオフィスで働く労働者が増える就労形態の変化に適応した、サービスの展開やサービス提供方法を開発

人口の変化

中期~長期

異常気象の激甚化や気象パターンの変化により、健やかな生活が危ぶまれ、少子高齢化の進行とともに人口が減少する。

↓↓

↓↓↓

■サービスを通した「働く女性への支援」

 

評価基準 - 想定される発生時期 -

 

評価基準 - 財務影響評価 –

 

 

 

:機会 :リスク ↑↓:リスク機会の両面

記載項目

項目の定義

 

記載項目

項目の定義

長期

11年~30年後に発生が想定されるもの

 

↑↑↑

1億円超の影響が想定されるもの

中期

4年~10年後に発生が想定されるもの

 

↑↑

1,000万円以上~1億円未満の影響が想定されるもの

短期

0年~3年後に発生が想定されるもの

 

1,000万円未満の影響が想定されるもの

 

(主なリスクにより想定される当社への財務的インパクト(2050年時点))

 

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③リスク管理

(リスクに対する管理と対応)

 当社グループでは、気候変動関連リスクについて「サステナビリティ委員会」にて管理を行います。

 サステナビリティ委員会では、各グループ会社から気候変動関連リスクを抽出し、発生可能性や財務的影響の大小から定性・定量の両面で評価を行います。また、当社では新たな取り組みに伴い発生するリスクや重大な外部環境の変化などのリスクを、「重要リスク」として設定しています。「重要リスク」であると判別されたものについては、取締役会にてその対応方針や施策を審議・決定することといたします。

 また、その他リスクもしくは、短期的かつ緊急対応を要する事項(気候変動関連リスクを含む。)もしくはその他リスクに関しては、「リスク管理委員会」にてその対応を審議し、関連会社・部署への指示を行います。

 気候変動関連リスクに関して緊急対応を要するため、リスク管理委員会で指示された対応については、その対応の進捗や、当社方針に沿った指示が適切に行われたのか等、サステナビリティ委員会で定期的なモニタリングを行います。

 サステナビリティ委員会及びリスク管理委員会にて、識別・評価されたリスクについては、原則年に1回、取締役会に報告を行うことで全社的なリスクマネジメントとしております。

 

④指標と目標

 当社グループは、気候変動対応への進捗を管理するための指標として、GHG(温室効果ガス)排出量の削減目標を採用しております。

 持続可能な社会の実現のために、パリ協定で掲げられた1.5℃目標に沿って、2050年カーボンニュートラルを目指し、中長期的な戦略及び施策の検討を行ってまいります。

 

<当社事業活動におけるGHG排出量削減目標>

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 なお、当社事業活動におけるGHG排出量実績の経年推移データ(対象:Scope1、Scope2)につきましては、当社ホームページ(https://www.poppins.co.jp/hldgs/sdgs/environment/)に開示しております。

 

(7)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループとして、上記のほか、保育・学童施設運営やナニーサービス・ベビーシッターサービス等の子育て支援事業や介護事業に対する国や社会の関心が高まる中で、さらなる事業拡大に向けた重要課題として以下の点に取り組んでまいります。

 

①人財の確保

i)子育て支援事業(ファミリーケア事業(チャイルドケアサービス)・エデュケア事業)

 日本社会全体にわたる賃上げの流れ及び働き手不足の深刻化を踏まえ、子育て支援業界でも、人財獲得競争の激化が続いております。しかしながら、子育て支援業界のパイオニアを自負する当社グループとしては、高品質なサービスを維持し、子育て支援事業を引き続き拡大させるために優秀な人財の確保が必要であります。

 チャイルドケアサービス(ナニーサービス・ベビーシッターサービス)においては、子育て経験をキャリアとして評価し、女性とシニアの活用に積極的に取り組んでおり、当社グループが株式会社として唯一、こども家庭庁ベビーシッター割引券及び東京都ベビーシッター利用支援事業という二大助成金の適用を受けるための指定研修として認定を受けたベビーシッター自社研修を通して、新たなナニー・ベビーシッターを養成しております。また、ベビーシッターサービスにおいては、2025年4月に、価格改定と共にベビーシッターの報酬改定を実施しております。

 エデュケア事業においては運営する保育施設数の増加に伴い、保育士やスタッフの確保が急務となるため、新卒採用及び中途採用の強化に取り組んでおります。

 2025年度は年間を通して500人以上の保育スタッフ(350人以上の保育士を含む。)を採用いたしました。保育士確保は依然厳しい状況が続いておりますが、助成金拡大も追い風とした新人事制度の運用開始や、新制度に基づいた採用促進と退職抑制などの施策継続や、地方から首都圏に上京して働く人に向けて借上げ社宅などのサポート施策をさらに強化する等、様々な方法を駆使し、保育施設運営上の必要数の充足に努めております。

 

ⅱ)ファミリーケア事業(シルバーケアサービス)

 団塊の世代が全員75歳以上の後期高齢者となる2025年問題を迎え、自費介護サービスへの需要は急速に拡大しています。当社グループのVIPケアサービスはオーダーメイドの在宅ケアサービスであるため、介護だけではなく家事支援、調理、茶道・華道等、幅広いサービスを提供していくため、そのサービスを提供するにふさわしい、素養のある人財の確保に力を入れております。

 子育て支援業界と同様に、日本社会全体にわたる賃上げの流れ及び働き手不足の深刻化を踏まえた人財獲得競争の激化が続いておりますが、当社グループの提供サービスは介護保険適用外のサービスが中心であり、介護保険適用の訪問介護事業で働く介護士の報酬に比べて自由度が高いこと、働き方も一軒のお宅でじっくりお世話を行うため移動の時間が少ないこと、また、研修も充実していることなどの特色を踏まえて、人財獲得を強化しております。また、2025年6月に、価格改定と共にケアスタッフの報酬改定を実施しております。

さらに、中長期的な成長戦略の実現を支えることができる評価・報酬制度や待遇等の抜本的な見直しにも、引き続き取り組んでまいります。

 

②人財の育成

 人財サービス業である当社グループは、人財こそが宝であり、お客様に最高水準のサービスを約束するオンリーワン企業となる事を目指して、人財育成が重要な経営課題であると捉えております。そのため、下記のような様々な人財育成システムを通じて教育の機会を提供しております。

 従業員には、社内講師や専門家による階層別研修、専門研修、任意研修、eラーニング研修のほか、ポピンズ蓼科研修センターでの合宿研修や海外研修を通じ、常に質の高いサービスを提供するために、人財への継続的な教育投資を実施しております。

 さらに、すべての子どもが心身ともに健康に成長する権利を最優先とし、時代と共に変化する保育観に対応し、かつての慣行が現代の「不適切保育」とならないよう、教育研修を通じた予防を徹底しています。また、ケアスタッフ向けに高齢者の健康に配慮しつつも満足していただける食事のレシピについての講習会を開催するなど、サービスレベルの強化と、安全・安心の担保を、両面から支える人財の養成に引き続き注力してまいります。

 

③コーポレート・ガバナンスの強化

 当社は、経営の効率化及び透明性の向上、ならびに企業価値の向上のためには、コーポレート・ガバナンスの確立が不可欠であると認識しております。

 そのため、東京証券取引所が公表しているコーポレートガバナンス・コードへの対応を含め、社外取締役を中心とした任意の指名・報酬諮問委員会の設置や、関連当事者取引に対する社内取締役の意識強化を含めた内部統制システムの十分性及びリスク管理体制の評価など、社外取締役による監督・牽制機能の強化、「ポピンズグループ人権方針」に基づく人権尊重の企業体質確立などの取り組みを推進しております。

 その一環として、人権尊重に対する当社取締役の意識強化及びハラスメント研修の強化に引き続き取り組み、加えて、当社グループの業務に従事するすべての者(役員、正社員、契約社員、アルバイト、ナニー・ケアスタッフ・ベビーシッター等の業務受託者、派遣社員等を含む)にとって利用しやすい内部通報制度として、「ポピンズほっとライン」の周知徹底を継続し、クリーンな組織風土の醸成に努めてまいります。

 

④コンプライアンス及び安全管理の徹底

 各種関連法令の遵守はもとより、保育・介護現場における事故防止などの安全管理(リスクマネジメント)を経営の根幹と位置付けています。個人情報の取扱いや内部監査の徹底に加え、「コンプライアンス意識調査」の定期実施や、日常的に現場の声を吸い上げる仕組みの強化により、自浄作用の働く健全な組織風土を維持するための不断の努力を続けてまいります。

 

⑤財務基盤の強化と戦略的投資

 「中期経営計画2030」の実現に向け、既存事業の安定成長に加え、DX投資や新規事業、シナジーの見込めるM&Aに対する戦略的な資金配分を行います。当社グループでは、複数の金融機関との良好な関係を維持し、資本効率を意識した経営を推進してまいります。

 

⑥グローバル対応力の強化と知見の国内還元

 現在、ハワイで託児施設を運営しておりますが、アジアに進出する日本企業のニーズへの対応を含め、海外の事業者との戦略的提携によるグローバル展開や、海外での保育施設運営を引き続き目指してまいります。

 また、海外において先行している「ケアギバーのマルチタレント化(一人のスタッフが保育・介護・教育等の多角的なスキルを持つこと)」に関する先進的な知見・ノウハウを積極的に吸収し、国内サービスのさらなる質的向上へと還元してまいります。

 

⑦多様な人財の活用とD&Iの推進

 人財不足の解消のためにも、女性、アクティブシニア、外国人財がそれぞれの強みを活かせる就業環境を整備しています。ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)を推進し、多様な視点をサービス開発に活かすことで、複雑化する顧客ニーズに応えてまいります。

 

⑧新規事業及びM&A等への取り組み

 当社グループでは、2022年9月に、ペットケアサービスをスタートしております。当社グループが展開するファミリーケア領域(ナニー・ベビーシッター、家事代行、介護)において、安心のポピンズブランドで「家族の一員」であるペットの健康と幸せをサポートするペットシッターを派遣し、ペットもご家族の一員としたワンストップのサービス提供を目指します。ペットケアサービスの立ち上げにより、さらに切れ目のないサポートで働く女性やご家族を支援してまいります。

 また、「中期経営計画2030」の実現に向け、既存の「ファミリーケア」「エデュケア」「プロフェッショナル」の各事業との高いシナジーが見込まれる領域への拡大に積極的に取り組んでまいります。具体的には、自社による新規事業の開発のみならず、M&Aや戦略的提携(アライアンス)を機動的に活用することで、働く女性とそのご家族の多様なライフスタイルを支えるプラットフォームとしての機能をさらに強化し、持続的な成長を目指してまいります。

 

⑨サステナビリティ経営の深化(SDGsへの貢献)

 2020年12月21日に東京証券取引所市場第一部に上場した際に、調達資金の使途に関し、当社グループのこれまでの取り組みによるSDGsへの貢献についてセカンドパーティ・オピニオンによる第三者評価を取得いたしました。当社グループがおかれている経営環境や当社グループの経営戦略を踏まえ、社会課題対応に向けた取り組み状況の開示や、当社グループの経営目標への組入れ等により、引き続きSDGsを当社グループの経営の中核に位置付けてまいります。

 また、「中期経営計画2030」において、「6つのマテリアリティ(重要課題)」を特定いたしました。「サービスの安全・安心の向上」「人権の尊重」「多様なプロフェッショナル人財の継続確保」「家庭生活支援の市場創造」「健全な企業統治」「環境教育の推進」を軸に、事業活動そのものが社会課題の解決に直結する当社固有のビジネスモデルの仕組みを、引き続き強化します。加えて、非財務情報の開示(人的資本・知的資本の集積・活用等)を拡充することで、ステークホルダーからの信頼に応えてまいります。

 

⑩DX戦略及びコーポレート機能強化の推進

 当社グループでは、お客様(顧客)と働くスタッフ(人財)の情報を統合的に管理するCRM基盤の構築を再加速させております。この取組みにより、グループ内のあらゆる顧客接点及び人財接点の最大化を図り、より深く、より広く繋げることを可能とします。

 さらに、マーケティングをはじめとするコーポレート機能の強化を通じて、お客様一人ひとりの多様なニーズ、スタッフ一人ひとりのスキルや経験を、グループ横断的に把握できる体制を構築していきます。これにより、事業の枠を越えた最適なサービス提案や、多様なキャリアパスの提示が実現できます。

 この新たなプラットフォームを、「働く女性を支援したい」という想いと、「支援を必要とする方々」の声とを繋ぐ架け橋とし、人と人、人と未来をつなぎながら、希望あふれる社会の実現に向けて、挑戦を続けてまいります。引き続き、「人のぬくもり」とAI活用を含めた「最先端テクノロジー」の融合を目指し、DX戦略を加速させます。

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループは、「働く女性を 最高水準のエデュケアと 介護サービスで支援します」というミッションを掲げております。このミッションの実現に向け、社会課題の解決を事業成長のエンジンと捉え、人的資本と知的資本を競争力の源泉として、社会的価値と経済的価値を両立する経営を推進しております。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

 当社グループは、持続的な成長を支える健全で透明性の高い経営基盤を構築するため、以下のガバナンス体制を整備しております。

 

①取締役会の多様性と監督機能の強化

取締役会は、年齢、性別、経験、スキルの面で多様な人財で構成されており、多角的な視点によるチェック機能を高めております。特にジェンダーバランスの向上を重視し、女性取締役比率30%以上の維持・向上に努めております 。また、社外取締役の体制拡充や CxO体制の導入により、監督と執行の分離を明確化し、機動的な意思決定と迅速な計画実行を推進しております。

 

②スキルマトリックスの活用

取締役会に求めている専門性として、「企業経営」「業界知識」「営業・マーケティング」「財務・会計」「法務・リスクマネジメント」「人事」「労務」「DX」を特定し 、各取締役が有する高度な専門性と経験を経営に反映させております。

 

③重層的な委員会体制

ガバナンスの「守り(予防的)」として取締役会直下に指名・報酬諮問委員会、リスク管理委員会、コンプライアンス委員会を配置しております。一方、「戦略の攻め(積極的)」として代表取締役社長直下に投資・ポートフォリオ管理委員会、サステナビリティ委員会、品質管理会議を設置し、重要課題を専門的に深掘りする体制を整えております。

 

④サステナビリティ推進体制

 CHRO(最高人事責任者)を委員長とするサステナビリティ委員会を原則年2回開催し、気候変動対応や人権尊重、多様な社員の活躍支援など、サステナビリティ課題全般を全社横断的に審議・検討しております。

 

(2)戦略

 当社グループは、中長期的な社会動向に基づき、6つのマテリアリティ(重要課題)を特定し、持続的な価値創造に取り組んでおります。

①人的資本戦略

 人財を「宝」と位置づけ 、「働きがい」「成長」「待遇」が好循環するサイクルを最重要戦略としています。女性管理職比率約77%を誇る多様な人財が 、多角的な教育プログラム(eラーニング、実地研修、オフサイト研修)を通じてプロフェッショナルとして習熟し、提供サービスの質を向上させる体制を構築しております。

 

②知的資本戦略

 労働集約的なモデルに革新をもたらすため、個人のプロフェッショナリズムを「組織知」へと進化させております。具体的には、CRMプラットフォームの再構築により、顧客と人財情報の見える化と最適マッチングを推進しております。また、AI技術を活用したタスクシフト(事務・記録業務の自動化)を進めることで 、社員が「人にしかできない」価値創造に集中できる環境を整備しております。

 

③ソーシャル(品質・人権・政策提言)への取組

ⅰ) 品質経営

 ISO9001に基づき 、安全・安心を最優先とする「予防重視」のリスク管理と、顧客満足度(2025年度実績98.2%)を最大化する「積極的(攻め)」な品質追求を両輪で運用しております。

ⅱ) 人権の尊重

 人権デュー・ディリジェンスを実施し、「ハラスメント(自社・顧客)」「子どもの権利」「サービスの安全・品質」を顕著な課題として特定しております。独立した外部窓口「ポピンズほっとライン」により、救済へのアクセスを担保しております。

 

ⅲ) 政策提言

 子育て支援を「福祉(コスト)」から未来への「投資」へ転換すべく、行政や業界団体を通じた機動的な提言活動を行っております。2024年の「認可保育所における付加的サービスの解禁」は、当社の長年の働きかけが実った成果です。

 

(3)リスク管理

 「3ラインモデル」に基づき、取締役会の監督の下で多層的なリスク管理を行っております。

 リスク特定: リスク管理委員会がグループ横断的な「トップリスク」を特定・評価し、アクションプランの進捗を監視しております。

 コンプライアンス: 2024年度より外部機関による「コンプライアンス意識調査」を導入し、良好な組織風土の維持と自浄作用の強化に努めております。

 また、特に気候変動への対応についてのリスク管理の詳細は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (6) 気候変動への取り組みとTCFDへの対応」に記載しております。

 

(4)指標及び目標

 当社グループは「(2)戦略」における人財育成等に関する方針について、本報告書提出日現在において、当該方針についての具体的な指標及び目標を設定しておりません。今後、関連する指標のデータ収集及び分析を進め、開示項目を検討してまいります。具体的には、社員一人ひとりのやりがいや成長を通じた幸福度の向上が、最高水準のサービスや高い生産性を実現する原動力になると捉え、エンゲージメントをはじめとした各種指標及び目標を設定します。これらをモニタリングすることで、グループ全体ならびに各事業の取組みの進捗確認及び改善に活用していくことを検討してまいります。

 また、当社グループは、気候変動対応への進捗を管理するための指標として、GHG(温室効果ガス)排出量の削減目標を採用しております。

 指標及び目標の詳細は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (6) 気候変動への取り組みとTCFDへの対応」に記載しております。

 

3【事業等のリスク】

 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。なお、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績及び財政状態等に与える影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため記載しておりません。

 

(1)事業に関するリスク

①少子化や待機児童減少について

 チャイルドケアサービス(ナニーサービス、ベビーシッターサービス)においては、少子化の進行により、将来、児童数がさらに減少した場合には、ナニー・ベビーシッターのニーズも減少する可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。一方で、2025年12月31日時点においては、高市政権によるベビーシッターや家事支援サービスの利用料の税額控除導入の検討や、東京都によるベビーシッター利用支援事業(一時預かり)の23区全域での事業採択及び病児保育の検証事業スタートなどの政策強化が重なることが見込まれており、2026年は、まさに『ベビーシッター元年』といえるほど、さらなるサービス需要が喚起される好機が到来するものと、当社として捉えております。

 

 エデュケア事業においては、待機児童対策のための保育所の新規開設はピークアウトしており、保育所定員が2023年時点の305万人から、2024年時点で304万人と前年比0.6万人の減少に転じた流れを引き継ぎ、2025年時点で303万人、前年比1.6万人の減少となりました。少子化・出生数減少の影響を受け、保育所利用者数は前年2024年時点の271万人から前年比2.7万人減の268万人へと、3年連続で減少しております。今後については、女性の就労率の上昇や、非正規雇用者の正規雇用化、共働き世帯割合の増加が、引き続き進むことが想定されるため、保育所の整備が進んでも潜在的な待機児童数の高止まりは継続すると、当社グループとして見込んでおります。一方で、少子化の進行はコロナ禍以降、さらに加速しており、将来的には想定した園児数の獲得が困難となる可能性があります。エデュケア事業の収益は主に園児や児童の人数に応じて増減するため、想定した園児数等の獲得ができない場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

②国や自治体による方針の改訂について

 当社グループは、2025年12月現在8つの自治体から居宅訪問型保育事業(※)の認可を受け、ナニーサービスを提供しております。また、こども家庭庁ベビーシッター割引券や、東京都ベビーシッター利用支援事業を中心とした、ベビーシッター事業に関連する国や自治体の利用支援施策等の方針が、当社グループの事業成長に大きな影響を及ぼします。今後、これらの制度や事業が縮小された場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。一方で、前述のとおり、現状においては国を挙げた利用支援策の拡充や、自治体による助成事業の対象拡大など、政策的な後押しが重なる環境にあり、当面はこれらの制度がさらなるサービス需要を強力に喚起する好機として機能するものと捉えております。

※ 子ども・子育て支援法における地域型保育事業の一つとして位置づけられており、主に医療的ケアが必要な幼児の居宅において、保育者による1対1の保育を行うものであり、待機児童の多い都市部の保育では、この仕組みを利用した、待機児童対策が行われております。

 

 当社グループのシルバーケアサービス(高齢者在宅ケア)事業のうち介護保険の対象となる訪問介護については、「介護保険法」の規制の対象となります。将来、介護保険法が改正され、介護保険適用対象になるサービス受給者ないし受給額が減少した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。一方で、年間240万人が生まれていた団塊の世代が全員75歳以上となり、ターゲット層が引き続き膨らむこと、さらに高市政権により示された、介護保険サービス基盤強化と並行しての「保険外サービスの普及促進」の方向性を踏まえ、シルバーケアサービスの需要拡大が、より一層加速することを、当社として見込んでおります。

 

 当社グループのエデュケア事業のうち認可保育所及び認証保育所については、国あるいは地方自治体の許認可が必要であり、待機児童の動向等を考慮して、自治体ごとに年度の新設保育所の数が決定されます。また、既存の認可保育所及び認証保育所についても、将来、補助金の減額が行われることも考えられます。したがって、かかる政策変更が行われた場合には、当社グループにおける子育て支援事業の成長が止まり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

 研修事業において現在、保育士の待遇向上と専門性の強化に向けてこども家庭庁が定めた保育士等キャリアアップ研修や子育て支援員研修の国や自治体の研修委託を多数受けておりますが、今後待機児童問題が解消し、保育士不足の問題が一巡して国や自治体の方針が転換された場合、研修受託が減少し、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。

 

 当社グループの対応策としては、各事業に関連する政策動向を緊密にモニタリングすることで、かかる事業の顕在化リスクの早期把握に努めており、国や自治体の方針改訂に対応した「働く女性の支援」に資する事業の在り方を継続して検討してまいります。

 

③既存保育施設の賃貸借契約について

 保育施設に適した物件の確保は、立地条件、環境、物件の質、広さ等の条件を満たすものでなければならず、物件の選定が他の業種と比較して困難であることから、絶対的な物件数が少ない状況にあります。

 当社グループにおいては、保育施設の環境とともに採算性を重視しており、保証金、賃借料等の開設条件に見合う物件を確保してきておりますが、賃貸物件の契約が更新できない場合、又は契約更新時に賃借料が上昇した場合、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。

 当社グループの対応策としては、情報網の整備、デベロッパーとの緊密な事業提携や、施設運営のさらなる効率化や付加的サービス提供に向けた取り組み強化により、採算性の維持・向上に努めてまいります。

 

④食の安全について

 当社グループのエデュケア事業では、食育を重視しており、本社の栄養士チーム監修による献立に基づき、各施設にて素材にこだわった給食やおやつを手作りで提供しております。そのため、新鮮さ、栄養価、安全性など食材の品質に留意しております。また、「食品衛生法」に沿った厳正な食材管理及び衛生管理と食品アレルギー対策の徹底により、食中毒やアレルギー等の事故の防止に努めております。また、ナニー、ケアスタッフ、家事支援スタッフがご家庭で調理を行う場合も同様の衛生管理の徹底を行っております。

 しかしながら、何らかの原因により食の安全性に重大な問題が生じた場合、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、マニュアルを作成し、研修を実施するなど食の安全を確保するための取り組みを行うとともに、重大な問題が生じた場合、品質管理会議(月1回)において報告と改善状況を監視するとともに、本支社役職員及び各施設の施設長が参加する全体会議において、通達事項の共有及びISO9001QMSのトラブルを共有し、原因究明と再発防止に努めております。

 

(2)組織体制に関するリスク

①人財の確保、育成について

 2026年1月の保育士の有効求人倍率は3.88倍と、前年同月(2025年1月:3.78倍)をさらに上回る水準となり、他業界を含めた人財の獲得競争が激化しております。当社グループでは、処遇改善のほか、働き方改革による残業削減や、働き甲斐のある職場づくりに努めてまいりますが、万一、予定した人財の確保に遅れ等が生じた場合、既存施設の運営計画や新規施設の開園計画に遅延等を及ぼす可能性があるため、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。

 当社グループでの対応策としては、助成金拡大も追い風とした新人事制度の運用開始や、新制度に基づいた採用促進と退職抑制などの施策継続のほか、地方採用も積極的に行っており、地方から首都圏に上京して働く人に向けて借上げ社宅などのサポート施策をさらに強化準備する等、様々な方法を駆使し、保育施設運営上の必要数の充足に努めております。

 また、当社グループでは、ナニー及びベビーシッターやケアスタッフ、家事支援スタッフ等各事業サービスを運営する人財を確保することが重要な経営課題であります。人手不足が深刻化する中で、各種人財の採用も年々難しくなる中、共働き世帯の増加による働く女性の拡大に伴い、当社グループが提供する各種サービスの利用ニーズは増える一方となっております。万一、新規人財の確保や既存人財の稼働促進が計画どおり進まず、ナニー及びベビーシッターやケアスタッフなどの稼働状況が想定を下回った場合には、サービス提供に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループの対応策としては、急激な需要の拡大にも対処できるよう、採用活動や稼働促進のためのDX活用の強化や教育・研修などの人財育成プログラムの充実を図るとともに、集合・対面研修だけでなく、動画配信や双方向型のオンライン研修を組み合わせたハイブリッド型の教育研修の仕組みを拡充することで、質の高い人財の確保、育成に努めてまいります。

 上記に加え、日本社会全体にわたる賃上げの流れ及び働き手不足の深刻化を踏まえ、中長期的な成長戦略の実現を支えることができる評価・報酬制度や待遇等の抜本的な見直しが、事業共通の喫緊の経営課題であると認識し、各種制度や報酬水準の見直しに取り組んでまいります。

 

②内部管理体制について

 当社グループでは、業務上の人為的ミスや社員による不正行為等が発生することのないよう、教育研修強化及び内部牽制機能の強化に努めております。しかしながら、将来的に内部管理上の問題が発生した場合、ステークホルダーからの信頼性が低下し、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループの対応策として、各種規定の整備や、マニュアルの作成、研修の実施、内部通報制度の運用など、予防対策の徹底、当社グループ内の遵守に努めると共に、リスク管理部が中心となり、リスク管理委員会への報告及びリスク管理委員会の運営を通した、取締役会によるリスク管理体制の評価・改善指導の取り組みを、継続的に強化してまいります。

 

③個人情報の流出について

 当社グループでは、園児や児童から高齢者まで様々な年代のお客様及びその保護者・家族の氏名や住所に加えて人材派遣・紹介サービス登録者など多くの個人情報を保持しているため、個人情報を厳重に管理のうえ、慎重に取り扱う体制を整えております。万が一漏洩するようなことがあった場合には、利用者を含め広く社会的な信用を失うこととなります。その結果、ナニーサービス及びベビーシッターサービスやシルバーケアサービス利用者の退会、園児の退園、保育施設等の新規開設等に影響が出ることにより、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、2017年に情報セキュリティマネジメントに関する国際品質規格ISO27001の認証を取得いたしました。事業の全ての領域において、積極的に情報セキュリティに取り組み、お客様の情報資産を安全に管理することが経営課題であると自覚し、情報セキュリティを確保することで安全・信頼・最高水準のサービスという創業以来、当社グループが積み重ねてきたブランドイメージをさらに高め、顧客満足度を向上させてまいります。

 また、具体的な対応策として、本支社担当役職員、ISO内部監査員が参加する品質管理会議(月1回)において、ISO27001による情報インシデントについて報告と改善状況を監視しており、原因究明と再発防止に努めております。また、情報インシデントの発生状況や、その予防・対応のための体制整備の課題のうち、重要な内容については、リスク管理委員会への報告事項として位置付けております。

 

④多様な人財の活用とD&Iの推進

 当社グループでは、女性とシニア、そして外国人財の活用に取り組んでおります。しかしながら、これらの多様な人財が十分確保できなかった場合は、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(3)外部環境に関するリスク

①法的規制等について

 エデュケア事業では、各保育所の多くが認可保育所、東京都認証保育所、事業所内保育所など運営上、様々な法的規制のもとで運営されております。また、高齢者在宅ケア事業では介護保険対象外のVIPケアを主力としているものの、介護保険法等諸制度に基づいたサービスの提供も行っております。したがって、今後、法的規制が何らかの形で強化あるいは変更された場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループの対応策としては、このような制度変更リスクから受ける影響をできる限り緩和するべく、保育所の運営形態を多様化するとともに、公定価格等に縛られず自社で柔軟な価格設定が可能なチャイルドケアサービス事業の強化育成など、事業ポートフォリオのバランスをとるべく努力しております。

 なお、当社グループの事業に関連する主な法的規制等は以下のとおりであります。当社グループにとって主要な関連法令である児童福祉法においては、万一、関係法令の規定水準に達しない場合や、給付費の請求に関し不正があったとき、また、改善命令や事業の停止命令に従わず違反したときには、許認可が取り消される場合があり、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

ⅰ)チャイルドケアサービス事業

 児童福祉法

ⅱ)シルバーケアサービス事業

 介護保険法、食品衛生法

ⅲ)エデュケア事業

 児童福祉法、児童福祉施設最低基準、食品衛生法

 

(4)その他のリスク

①感染症について

 当社グループでは、施設や居宅において子育てや介護支援のサービスを提供しており、顧客や従業員が新型コロナウイルスをはじめとする感染症に罹患する可能性があります。当社グループでは、安全・安心なサービス環境を確保するため、感染症対策を徹底しております。

 しかしながら、新型インフルエンザやコロナウイルス等、人類が免疫を持たない未知の感染症が流行した場合、従事する保育士や指導員、ベビーシッター、ケアスタッフ等が多数欠勤することで施設の運営が困難となりうる他、感染症蔓延地域におけるベビーシッターのキャンセルなど、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、新型コロナウイルス感染症等に対するリスク管理に万全を期すため、リスク管理委員会を開催し、感染症の流行に対する予防対策の徹底、予兆の発見と対処、感染者発生時の対処と原因究明、再発防止策の指示を行っており、引き続き対応を図ってまいります。

 

②事故・安全管理について

 当社グループのチャイルドケアサービス事業やエデュケア事業では0歳から学童までを対象としております。そのため、サービス提供の際に不測の事故等が発生する可能性を完全に排除することは困難であると考えております。また、昨今、小学校等において外部侵入者に対する危機管理の徹底が行われつつあります。保育施設でも同様な管理体制が不可欠ですが、保育事業は学童よりさらに低年齢の園児が対象であり、さらに徹底した対策が必要になります。万一これらの事故が発生して当社グループの責任が問われるような事態が発生した場合には、当社グループへの信頼の低下、ブランド価値の毀損及び訴訟等の費用により、当社グループの今後の事業展開及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、定期的に行う全体会議や施設長ミーティング等で、起こりうる事故や起きてしまった事故の情報共有や対策検討を徹底しており、ISO9001による従業員への定期的教育及び業務マニュアルの遵守、また保険への加入等対応には万全を期しております。さらに、保育施設では、施錠の徹底や外部セキュリティ管理機関との契約等により、施設入出管理には徹底した配慮を行っており、当社グループは、施設の運営において園児や児童の安全に配慮し、万全の体制で臨んでおり、これまでに経営成績に大きな影響を与えるような事故等は発生しておりません。

 シルバーケアサービス(高齢者在宅ケア)事業では、介護保険適用サービス対象の顧客は主に要介護認定を受けた高齢者を対象としていることから、サービス提供時には身体に負担を与えることも考えられ、その結果、顧客の体調悪化等が生じる可能性があるほか、介護サービス提供時における事故の可能性も否定できないと考えております。万一これらの事故が発生して当社グループの責任が問われるような事態が発生した場合には、当社グループへの信頼の低下、ブランド価値の毀損及び訴訟等の費用により、当社グループの今後の事業展開及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、定期的に行う全体会議等で、起こりうる事故や起きてしまった事故の情報共有や対策検討を徹底しており、ISO9001による従業員への定期的教育及び業務マニュアルの遵守、また保険への加入等対応には万全を期しております。

 

 さらに、当社グループでは、本支社担当役職員、ISO内部監査員が参加する品質管理会議(月1回)において、ISO9001QMSの品質管理目標の進捗とケガ・事故・クレームなどのトラブルについて報告と改善状況を監視するとともに、前述のとおり、本支社役職員及び各施設の施設長が参加する全体会議において、通達事項の共有及びISO9001QMSのトラブルを共有し、原因究明と再発防止に努めております。

 

③自然災害について

 当社グループでは、全国において保育施設、学童施設等運営のサービスを展開しております。地震や津波等の大規模な自然災害が発生した場合、当該エリアにおいて、スタッフ等の安全への懸念及び当社グループの事業所が稼動できない状況になると考えられます。当社グループでは、事業所機能の早期復旧や支援スタッフの派遣等、サービス提供体制の維持に努めてまいりますが、サービス提供ができなくなる場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 本社・各支社・事業所において、緊急時における事業継続に係るリスク対策を総点検し、顧客の安全を最優先とした危機管理体制の強化を図ってまいります。

 当社グループでは、リスク管理委員会において、災害発生時に備えた備蓄や訓練、想定される被害を最小限に抑制するための対策の徹底、災害発生時の対処と事後復旧策の指示を行っており、引き続き対応を強化してまいります。

 

④競合他社の参入について

 保育所への入所を希望する児童数(待機児童)は、首都圏においても減少傾向にあります。このような状況下、エデュケア事業における保育所の受託競争は激化しており、一部の地域では価格競争になるケースもあります。また、既存の保育所においても、待機児童解消のため近隣に新たな認可保育所が開設された結果、園児の獲得競争になるケースも発生しております。当社グループでは、価格競争の受託案件には参加せず、自治体や委託法人から「高品質の保育」の維持に対する理解を得ることにより、高付加価値サービスの提供に努めておりますが、今後多様な業種からの参入が相次ぎ、競合他社との競争がさらに激化した場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 チャイルドケアサービス事業のナニーサービスにおいては、当社グループの自社開発システムであるポピンズシステムを活用した顧客情報の管理とスタッフによる適切な登録ナニーのマッチング体制を整えております。当社グループは、ベビーシッター事業者最大手として長年蓄積してきた実績とブランド力に加えて、顧客に最高水準のサービスを提供できるナニーを育成する充実した教育体制を備えており、これは一朝一夕でできるものではないため、高付加価値を求める顧客層向けのナニーサービスにおける参入障壁は高いと考えております。また、ベビーシッターサービスについても、お客様がオンライン上で自らベビーシッターを選ぶことができるサービスの利便性・自由度に加えて、ナニーサービスで培ったノウハウや、それらを基盤とした基礎研修や事故・お怪我・クレーム対応の共通化を掛け合わせることや、ポピンズブランドへの厚い信頼等により、他社が提供するオンラインマッチング型のサービスとは、高いレベルで差別化がなされていると考えております。一方で、他業界から大手企業が新規参入した場合もしくは価格競争が激化した場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 シルバーケアサービス(高齢者在宅ケア)事業においては、当社グループは介護保険適用外のVIPケアサービスを事業の主力としており、現状では同様のニーズを満たしたサービスを提供する事業者には限りがありますが、今後同様のサービスを提供する競合他社が参入し、競合他社との競争がさらに激化した場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 当社グループの対応策としては、競合他社の動向や新規参入などを緊密にモニタリングすることで、かかる事業の顕在化リスクの早期把握に努めており、競争環境の変化に対応した「働く女性の支援」に資する事業の在り方を継続して検討してまいります。

 

⑤減損会計が適用されるリスクについて

 当社グループの保育施設は、土地及び建物を賃借しておりますが、一部の保育施設については内装設備等を資産計上しております。今後、固定資産を保有する保育施設の収益性が低下する等、固定資産の減損に係る会計基準及び固定資産の減損に係る会計基準の適用指針により減損損失を認識する事態が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 当社グループの対応策としては、各業態単位で施設の収益管理PDCA(人員配置、定員管理、コスト管理)を徹底し、必要に応じて施設ごとの改善対策を明確化することで、損失処理の発生を未然に予防するとともに、発生した場合の最小化に努めてまいります。

 

⑥季節変動について

 当社グループにおける保育施設等は4月に新規開設されるものが多くなります。また自治体より受託している保育士研修事業等は6月以降に開始され翌年2月頃まで実施されることが多い傾向があります。そのため、第2四半期連結会計期間(4月~6月)において、備品等の新規開設費用が計上されることや一部事業で売上が減少することにより利益が一時的に低下する傾向にあります。

 

⑦グローバル展開について

 今後は海外の事業者との戦略的提携によるグローバル展開や、海外での保育施設運営を目指してまいりたいと考えておりますが、海外特有の法的規制やカントリーリスク、為替リスクなど様々なリスクがあり、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

 

⑧新規事業への取組みについて

 当社グループでは、新規事業として、不妊予防事業、ペットケアサービス等を展開しております。しかしながら、新規事業の取組みには不確実な要素が多く、市場環境の大きな変化や競合他社の動向など様々な要因により、計画通り新規事業を拡大することが困難な可能性があります。

 当社グループの対応策としては、新規事業の成長性と収益性について、経営会議においてフォローアップと検証を行ってまいります。

 

⑨案件を厳選したM&Aの推進について

 当社グループでは案件を厳選したM&Aにより事業の拡大を図る場合がありますが、それに見合った収益が得られない場合や、資金の回収が滞る可能性があります。

 

⑩デジタルトランスフォーメーション(ICT、AIの活用による生産性向上とビジネスの拡大)について

 当社グループでは、デジタルトランスフォーメーション部(DX部)を設置し、情報のデジタル化とデータの有効活用に取り組んでおりますが、ICTやAIを活用したビジネス拡大や生産性向上が計画通り進展しない場合、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

 当社グループの対応策としては、DX部が中心となり、検討と推進を行ってまいります。

 

⑪資金調達について

 当社グループにおきましては、保育施設の新規開設に関する設備資金、新規事業もしくはM&Aに関する投資資金は、金融機関からの借入等により調達しております。総資産に対する有利子負債合計の割合は、2023年12月期18.2%、2024年12月期23.8%、2025年12月期14.8%と推移しておりますが、今後、新規開設やM&A等に伴い借入が増加する可能性があり、金利の急激な変動や金融情勢の変化によって計画どおり資金調達ができなかった場合には、設備投資や新規事業が制約されるなど当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

⑫レピュテーションリスクについて

 従業員による不正・不祥事や、個人情報等の業務上の機密情報の不適切な取り扱い・流出により、当社グループの信頼性・企業イメージが低下し、経営成績に悪影響を与える可能性があります。

 当社グループの対応策として、リスク管理委員会の監督の下で、予防対策の検討、当社グループ内の実施徹底を図るとともに、本支社担当役職員、ISO内部監査員が参加する品質管理会議(月1回)において、ISO27001ISMSによる情報インシデントについて報告と改善状況を監視しており、原因究明と再発防止に努めております。

 

⑬大株主について

 当社の代表取締役社長である轟麻衣子は、轟氏、その親族、及び株式会社スピネカ(轟氏及びその親族の資産管理会社)の所有株式数を含めると、本書提出日現在で発行済株式総数(自己株式を除く。)の60.9%を所有しております。

 轟氏は、安定株主として引続き一定の議決権を保有し、その議決権行使にあたっては、株主共同の利益を追求するとともに、少数株主の利益にも配慮する方針を有しております。当社といたしましても、轟氏は安定株主であると認識しておりますが、何らかの事情により、大株主である轟氏の持分比率が低下した場合には、当社株式の市場価格及び議決権行使の状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①経営成績の状況

 当連結会計年度のわが国経済は、賃上げ定着による所得環境の改善が個人消費を底上げした一方、国際情勢の緊迫化や円相場の変動に伴う物価上昇が家計や企業の生活・経営を圧迫しました。世界でも、主要国の金融政策転換や、緊迫化する中東情勢、継続するロシア・ウクライナ情勢など地政学リスクにより、エネルギー価格等の先行き不透明な状況が続いております。

 国内では、少子化が想定を上回る速度で進行しています。出生数は過去最低の更新が見込まれ、生産年齢人口の減少に伴う「人手不足」は全産業共通の深刻な課題となりました。こうした中、社会全体で限られた人的資源を最大限に活用するための「働き方改革」は、もはや努力義務ではなく、企業の存続に不可欠な経営戦略へと変貌しております。

 政府が「2030年までが少子化反転のラストチャンス」と掲げる中、2025年4月より「改正育児・介護休業法」が段階的に施行されました。これにより、子どもが3歳になるまでのテレワーク導入の努力義務化など、柔軟な働き方が強く求められ、両立支援は新たなフェーズに突入しております。あわせて、児童手当の拡充など子育て世帯への直接支援も加速しています。

 当社グループは、このような劇的な社会変容を、最高水準のエデュケアサービスを世に問う好機と捉えております。2025年4月の改正育児・介護休業法の施行を経て、企業における従業員の「仕事と家庭の両立支援」は、今や経営における最優先事項の一つとなりました。「働く女性を 最高水準のエデュケアと介護サービスで支援します。」という不変のミッションを軸に、当社はこうした社会の変化に即応してまいりました。

 具体的には、ナニー・ベビーシッターサービスの徹底した質的向上を図るとともに、需要が急増したベビーシッター領域を中心に供給体制を大幅に拡充いたしました。あわせて、企業の人事部門が抱える課題に深く寄り添うべく、育児・介護コンサルティングの取り組みを強化し、組織全体の両立支援体制を強力に後押ししております。また、折しも「団塊の世代」の全員が70代後半を迎えたことで、当社が長年強みとしてきた自費介護サービスへのニーズも、いよいよ本格的な高まりを見せています。保育・学童施設運営を強固な基盤として、乳幼児へのエデュケアから高齢者へのシニアケアまで、多様化する働く女性のライフスタイルに寄り添う「フルラインの支援体制」をさらに強固なものとしてまいりました。

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

前期比

実績

構成比(%)

実績

構成比(%)

増減

増減率(%)

売上高

31,690

100.0

34,409

100.0

2,719

+8.6

売上原価

25,106

79.2

26,921

78.2

1,814

+7.2

売上総利益

6,583

20.8

7,488

21.8

904

+13.7

販売費及び一般管理費

5,009

15.8

5,647

16.4

638

+12.7

営業利益

1,574

5.0

1,840

5.3

266

+16.9

経常利益

1,594

5.0

1,812

5.3

218

+13.7

親会社株主に帰属する当期純利益

776

2.5

1,142

3.3

365

+47.1

 

 当連結会計年度においては、前期比で増収増益となりました。

 

 売上高につきましては、34,409百万円(前期比8.6%増)となりました。その主な要因は、ファミリーケア事業において、引き続きベビーシッターサービス及びシルバーケアサービスの業績が拡大したこと、ならびにエデュケア事業において過去1年の間に、保育所・学童児童館等19施設を閉園したことに伴う減収があったものの、認可保育所3施設を含む6施設の開設等による増収に加え、令和6年度人事院勧告に伴う公定価格改定による助成金収入が増加したことによるものです。

 

 売上総利益につきましては、エデュケア事業において、以下の複合的な要因により減益(前期比71百万円減)となったものの、高利益率のファミリーケア事業の成長によりその売上構成比が上昇したこと、ならびにプロフェッショナル事業において前連結会計年度に受注を逃した大型2案件の再獲得を含め年間受注・研修実施ともに好調であったことにより、売上高増加率を上回る前期比13.7%増の7,488百万円となりました。

(マイナス要因)

・保育士等の人財の一時的な不足により、認可保育所における補助金獲得や、例年は下半期から本格化する認証/事業所内保育所等における園児増加に、前期下半期と比較して遅れが生じたこと

・保育・学童施設における人財採用費が増加したこと

・前連結会計年度と比較して19施設の閉園があったこと

(プラス要因)

・当連結会計年度に完成した認可保育所等直営施設の、開園準備費用が前期比で減少したこと

・前連結会計年度の4月開園の直営5施設が黒字化したこと

・学童児童館における配置強化等により委託料収入が増加したこと

(その他 特殊要因)

・令和7年度人事院勧告に伴う公定価格改定を踏まえて、当連結会計年度相当(2025年4月~12月)分の保育所等職員の人件費増額(処遇改善)を計上したこと

 

 販売費及び一般管理費につきましては、ナニー・シルバーケアのコンシェルジュ等や各事業及びグループ管理・企画体制強化に伴う人件費及び採用費の増加、ベビーシッターサービスの業績拡大に伴う準変動費(コールセンター費用、システム保守費用等)の増加等に伴い、前期比12.7%増となりました。

 

 以上の結果、営業利益は1,840百万円(前期比16.9%増)となりました。なお、経常利益は、前連結会計年度において営業外収益として助成金収入30百万円を計上したことが前年比較に影響していることにより、営業利益増加率を下回る、前期比13.7%増の1,812百万円となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は、当連結会計年度に保育所の設備について減損損失56百万円を計上したものの、前連結会計年度においても減損損失371百万円を計上したことが前年比較に影響していることにより、経常利益増加率を上回る、前期比47.1%増の1,142百万円となりました。

 

 セグメント別の経営成績は次のとおりです。なお、各セグメントの金額は、セグメント間取引を相殺消去する前の金額であります。

 当連結会計年度より、従来「ファミリーケア事業」に含めていた一部のコンサルティング事業について、「プロフェッショナル事業」へ報告セグメントの変更を行いました。以下の前期比較については、前連結会計年度の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で行っております。

 

(単位:百万円)

 

セグメントの名称

前連結会計年度

当連結会計年度

前期比

実績

構成比(%)

実績

構成比(%)

増減

増減率(%)

売上高

ファミリーケア事業

6,729

21.1

8,202

23.7

1,472

+21.9

エデュケア事業

24,004

75.4

25,303

73.1

1,299

+5.4

プロフェッショナル事業

628

2.0

717

2.1

88

+14.1

その他

474

1.5

392

1.1

△81

△17.2

調整額(注)

△146

△206

△60

 合計

31,690

34,409

2,719

+8.6

 

 

 

 

 

 

 

 

セグメント利益

ファミリーケア事業

1,360

44.7

1,744

50.7

384

+28.2

エデュケア事業

1,567

51.5

1,495

43.4

△71

△4.6

プロフェッショナル事業

112

3.7

195

5.7

83

+74.6

その他

2

0.1

6

0.2

4

+197.2

調整額(注)

△1,468

△1,602

△133

 合計

1,574

1,840

266

+16.9

(注)調整額は、各報告セグメント間の内部売上高又は振替高、報告セグメントに配分していない全社費用です。全社費用は、主に経営管理に係る一般管理費及び事業セグメントに帰属しない販売費及び一般管理費です。

 

(ファミリーケア事業 : ナニーサービス、ベビーシッターサービス、シルバーケアサービス)

 ナニーサービスにつきましては、底堅い需要が継続し、売上高は前期比で4.7%増加しております。

 ベビーシッターサービスにつきましては、東京都ベビーシッター利用支援事業を中心とした自治体や国による利用助成制度を追い風とする旺盛な需要を取り込むべく、3つの施策を推進しております。

・既存ベビーシッターの稼働促進

・採用広告への継続投資(応募数の増加)

・採用拠点の増設(面接数の増加及び対面面接による質の担保)

また、価格改定及びシッター報酬改定を2025年4月から適用しております。その結果、売上拡大傾向は継続しており、前期比で34.8%増加と、引き続き力強く成長しております。

 シルバーケアサービス(高齢者在宅ケアサービス)につきましても、価格改定及びケアスタッフ報酬改定を2025年6月から適用しております。新規顧客の獲得、家事支援や高付加価値サービスのナースケアの貢献等の影響と併せて、売上高は前期比で19.3%増加と、好調に推移しております。

 以上の結果、売上高は8,202百万円(前期比21.9%増)、セグメント利益は1,744百万円(同28.2%増)となりました。

 

(エデュケア事業 : 保育施設、学童児童館等の運営)

 当事業については、過去1年の間に、認証保育所等の直営型施設1箇所、学童児童館等の委託型等施設18箇所(計19箇所)を閉園する一方、直営型施設3箇所、委託型等施設3箇所(計6箇所)を開設しました。この結果、総施設数が13箇所の純減となりましたが、閉園した施設に比べ1施設当たりの売上規模が大きい施設を開設したことにより、増収要因となりました。加えて、人財の一時的な不足により、補助金獲得や園児増加が前年比較で遅れたことによる減収影響も生じました。一方で、前連結会計年度に開園した施設の2年目増収効果や、学童児童館における委託料収入増加による増収影響がありました。さらに、令和6年度人事院勧告に伴う公定価格改定による助成金収入増加の影響もあり、エデュケア事業の売上高は25,303百万円(前期比5.4%増)となりました。

 また、セグメント利益については、前期開園施設の利益貢献、学童児童館における委託料収入の増加、直営施設の開園準備費用及び設備投資に伴う租税公課(控除対象外消費税等)の前期比での減少などのプラス影響があったものの、以下のマイナス要因が上回りました。

・令和7年度人事院勧告に伴う公定価格改定を踏まえた、保育所等職員の処遇改善費用を計上したこと

・人財の一時的な不足による、補助金獲得や園児増加の前年比較での遅れ

・保育・学童施設における人財採用費の増加

・事業管理や企画体制強化に伴う人件費及び採用費の増加

・閉園の影響

 以上の結果、セグメント利益は、1,495百万円(前期比4.6%減)となりました。

 

(プロフェッショナル事業 : 国内・海外研修)

 当事業については、国内の自治体が実施する保育士キャリアアップ研修や子育て支援研修等の保育研修の受託事業が売上の大きな割合を占めております。自治体が実施するこれらの保育研修は、主に第1四半期の後半から第3四半期の前半にかけて受注後、第3四半期から翌第1四半期の前半にかけて研修を実施し、実際の研修実施の進捗に応じて売上を計上しております。したがって、当事業の売上高及び利益の大部分は、下半期に計上されます。

 当連結会計年度は、前期において受注に至らなかった大型研修2案件の再獲得分を含め、順調に研修実施が進捗しました。

 以上の結果、売上高は717百万円(前期比14.1%増)となり、セグメント利益は195百万円(前期比74.6%増)となりました。

 

(その他 : 人材派遣・紹介、新規事業等)

 売上高につきましては、保育士派遣先における需要は安定して推移したものの、労働市場全体のひっ迫を背景に就業希望者が伸び悩んだことによる影響等により、392百万円(前期比17.2%減)となりました。

 一方で、新規事業立ち上げ費用等の影響が徐々に軽減していることから、セグメント利益は6百万円(前期比197.2%増)となりました。

 

②財政状態の状況

(資産)

 当連結会計年度末における総資産は16,500百万円(前連結会計年度末比214百万円減)となりました。

 流動資産につきましては、12,106百万円(前連結会計年度末比409百万円減)となりました。その主な要因は、売上高の増加に伴い受取手形、売掛金及び契約資産が増加したものの、配当金の支払い及び借入金の返済などにより現金及び預金が減少したためであります。

 固定資産につきましては、4,394百万円(前連結会計年度末比195百万円増)となりました。その主な要因は、繰延税金資産の増加により、投資その他の資産その他が増加したことによるものであります。

 

(負債)

 当連結会計年度末における負債は7,239百万円(前連結会計年度末比968百万円減)となりました。

 流動負債につきましては、5,125百万円(前連結会計年度末比341百万円減)となりました。その主な要因は、未払金及び未払法人税等が増加したものの、短期借入金、1年内返済予定の長期借入金及び前受金が減少したためであります。

 固定負債につきましては、2,113百万円(前連結会計年度末比626百万円減)となりました。その主な要因は、返済による長期借入金の減少によるものであります。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産は9,261百万円(前連結会計年度末比754百万円増)となりました。その主な要因は、剰余金の配当389百万円があったものの、親会社株主に帰属する当期純利益1,142百万円を計上したことにより利益剰余金が増加したためであります。

 この結果、当連結会計年度末の自己資本比率は、56.1%(前連結会計年度末比5.2ポイント増)となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、7,606百万円(前期比767百万円の減少)となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は、1,535百万円(前期比305百万円の減少)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益1,760百万円、減価償却費244百万円、減損損失56百万円、未払金の増加額486百万円、法人税等の還付額31百万円等の増加要因があったものの、売上債権の増加額317百万円、法人税等の支払額610百万円、前受金の減少額147百万円等の減少要因があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は、366百万円(前期は598百万円の獲得)となりました。これは主に、助成金の受取額403百万円等の増加要因があったものの、認可保育所等の新規開設に関する有形固定資産の取得による支出653百万円、無形固定資産の取得による支出67百万円並びに敷金及び保証金の差入による支出47百万円等の減少要因があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は、1,935百万円(前期は933百万円の獲得)となりました。これは主に、短期借入金の純減額600百万円、長期借入金の返済による支出945百万円及び配当金の支払額389百万円等の減少要因があったことによるものであります。

 

④生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社グループは、生産活動を行っていないため、該当事項はありません。

 

b.受注実績

 当社グループは、受注活動を行っていないため、該当事項はありません。

 

c.販売実績

  当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  2025年1月1日

至  2025年12月31日)

金額(百万円)

前年同期比(%)

ファミリーケア事業

8,058

121.6

エデュケア事業

25,283

105.3

プロフェッショナル事業

693

114.7

報告セグメント計

34,035

109.0

その他

373

82.3

合計

34,409

108.6

  (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、100分の10以上を占める相手先がないため記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等の分析

 経営成績等の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。

 

b.経営成績に重要な影響を与える要因について

 経営成績に重要な影響を与える要因は、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

c.資本の財源及び資金の流動性について

(キャッシュ・フローの状況の分析)

 当社グループのキャッシュ・フローの状況の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

(財政政策)

 当社グループは、運転資金、設備資金及びシステム開発資金につきましては、内部資金(新株発行による増資を含む。)又は借入により資金調達することとしております。このうち借入による資金調達に関しましては、短期運転資金については金融機関からの短期借入金によって、長期運転資金及び保育所の新規開設に伴う設備投資、システム開発資金については、長期借入金によって調達しております。

 

d.経営者の問題認識と今後の方針について

 当社グループは、2025年8月29日に、2030年12月期を最終年度とする『中期経営計画2030』(2030年度数値目標:営業利益30億円以上、ROIC12%、ROE15%、配当性向40%前後、DOE(自己資本配当率)6%)を公表し、その達成に向けて取り組んでおります。少子化や働き方といった、当社グループを取り巻く社会的な外部環境の激変が続いております。また、各事業においても、以下のような事業課題への対処が求められております。

 ファミリーケア事業のチャイルドケア領域においては、保育園とともに「車の両輪」となり、女性の活躍・就労支援策を支える社会インフラとしてのナニーやベビーシッターの存在感が高まっております。高市政権によるベビーシッターや家事支援サービスの利用料の税額控除導入の検討や、東京都によるベビーシッター利用支援事業(一時預かり)の23区全域での事業採択及び病児保育の検証事業スタートなどの政策強化が重なる2026年は、まさに『ベビーシッター元年』となることが見込まれます。さらに、シルバーケア領域においては、年間240万人が生まれていた団塊の世代が全員75歳以上となりターゲット層が引き続き膨らむこと、さらに高市政権により示された、介護保険サービス基盤強化と並行しての「保険外サービスの普及促進」の方向性を踏まえ、シルバーケアサービスの需要拡大が、より一層加速することが見込まれます。

 エデュケア事業につきましては、保育所における待機児童問題は概ね解消し、その主たる課題が量的不足への対応から質的向上や、「こども誰でも通園制度」や付加的サービスのような多様なニーズへの対応へと移行しております。一方で、学童保育の待機児童(いわゆる「待機学童」)は1万6,330人(前年比 1,356人減)と依然として高止まりしており、保育環境の整備、保育の質向上が引き続き大きな課題となっております。

 プロフェッショナル事業につきましては、2025年12月期においてオンライン研修の浸透を背景とした広域展開が奏功し、主要な大型案件の再獲得を含め、自治体保育研修におけるシェアをさらに拡大いたしました。この現状を踏まえ、高い市場シェアを維持・防衛するための施策の徹底が、重要な課題となります。

 また、全事業に共通する要因として、日本社会全体にわたる賃上げの流れ及び働き手不足の深刻化を踏まえ、中長期的な成長戦略の実現を支えることができる評価・報酬制度や待遇等の継続的な見直しと、その運用の改善と定着が、引き続き重要な経営課題であると認識しております。

 

e.経営戦略の現状と見通し

 当社グループは、上記のような問題認識を踏まえ、また、『中期経営計画2030』における当社グループ及び各事業の戦略方針、ならびに、少子化や働き方といった、当社グループを取り巻く社会的な外部環境の激変、旺盛なベビーシッター需要の想定以上の高まり、学童待機児童の増加、公定価格改定への対応などを総合的に勘案して、2026年12月期の連結業績につきましては、売上高36,700百万円(前期比6.7%増)、営業利益1,920百万円(同4.3%増)、経常利益1,880百万円(同3.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,200百万円(同5.0%増)を予想しております。なお、各事業における方針・施策及び業績の見通しは、以下のとおりです。

 

(ファミリーケア事業)

ナニーサービスにつきましては、高付加価値サービスとして高い利益率を維持しつつ、高い品質と多様なニーズへの対応力を活かして、顧客単価向上と継続期間長期化を推進してまいります。

ベビーシッターサービスにつきましては、顧客・働き手の自然流入増が継続する中、政策強化などを背景とした、引き続き旺盛な需要に対応するため、第3の採用拠点開設を核としてさらなるベビーシッター採用・研修強化を図ってまいります。併せて、ベビーシッター分野で売上高トップ(注1)の地位を揺るぎないものものとするため、品質管理及びリスク管理のさらなる体制強化にも取り組んでまいります。

シルバーケアサービスにつきましては、営業管理体制の高度化やコーディネーター増強により運営体制を一段と強固にすると共に、ケアスタッフの待遇改善やDXによる採用・稼働促進を通じて、サービス供給力の強化を進めてまいります。

以上の点を考慮して、ファミリーケア事業では、売上高につきましては前期比10%台半ば、営業利益につきましては10%台前半の成長を見込んでおります。

(注1)公表されているベビーシッター業界の統計数値がありませんので、当社独自の推計比較によるものです。

 

(エデュケア事業)

2026年12月期については、子育て世帯の流入を伴う住宅開発に伴う保育所開設2施設を含め、合計11施設の開設が決定しております(認可保育所2施設、認証保育所(運営再開)1施設、学童クラブ・児童館8施設)。また、閉園はポートフォリオ管理適正化の観点からの能動的なクローズを含む10施設(小規模認可1施設、事業所内保育所3施設、学童クラブ・児童館5施設、その他1施設)を予定しております。

売上高につきましては、保育施設等の開設によるものの他、2024年及び2025年に開設した保育所の園児の繰り上がりによる定員充足率の上昇、及び閉園の影響を考慮して、前期比で一桁%台半ばの成長を見込んでおります。

また、保育所及び学童クラブ等での採用強化に伴う採用費増加や閉園によるマイナス影響を見込むものの、2026年4月以降に見込まれる人財不足の解消に伴う2025年12月期比での園児増加や補助金獲得・人件費単価の適正化、学童クラブ・児童館の新規開設、開設2年目以降の保育所園児数充足による売上増加、低採算施設の閉園及び、ポピンズプラス(注2)の拡充等のプラス要因が上回ることにより、営業利益につきましては前期比で一桁%台後半の成長を見込んでおります。なお、令和7年度人事院勧告に伴う公定価格改定(+5.3%)の影響は、助成金収入増・人件費増ともに現時点で未考慮であります。

(注2)ポピンズプラスは、おむつ・タオル・写真サービスの他、自然体験ができるフォレストスクール、オンラインを活用したグローバル教育などを提供する有料のオプションサービスです。

 

(プロフェッショナル事業)

2026年12月期は、前述のとおり、高い市場シェアを維持・防衛するための施策を徹底し、安定的な収益基盤を堅持いたします。自治体向けビジネスにおいては、例年継続的なコスト効率化が求められる傾向にありますが、当社は運営ノウハウの蓄積による付加価値の向上でこれに対応してまいります。

加えて、保育研修で培った講師ネットワークと運営知見を活かし、ニーズが拡大している学童保育領域での研修受注を強化するほか、育児・介護コンサルティング等の民需向けサービスの拡大に注力し、収益源の多角化を推進いたします。なお、民需向けコンサルティング事業の強化に際しては、将来の持続的成長に向けた人財確保・育成などの体制整備を先行して進める計画です。

以上の点を考慮して、売上高につきましては、保育研修案件の着実な獲得・実施と周辺領域の伸長により、前期比で一桁%台前半の成長を見込んでおります。また、営業利益につきましては、新規領域での戦略的な体制整備を先行させることから、前期比で一桁%台前半の成長を見込んでおります。

 

②重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

5【重要な契約等】

(株式譲渡契約)

 当社は、2026年3月16日開催の取締役会への報告を経て、当社の連結子会社である株式会社ウィッシュの全株式を、株式会社ブレイブに譲渡することを2026年3月17日付で決定し、同日付で株式譲渡契約を締結いたしました。なお、株式譲渡実行日は、2026年5月1日(予定)であります。

 詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりであります。

 

6【研究開発活動】

 該当事項はありません。