第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営の基本方針

世界が急速に変化する今日において、柔軟であること、革新的であることは単なる選択肢ではなく、当社が持続的かつ長期的に成功するために欠かすことのできない要素であります。

当社では、成功の実現に向けて、社員全員が同じ目線と価値観をもって進んでいくために、当社が目指し、成し遂げようとするもの、そしてそれらを達成する方法を示す、パーパス(存在意義)、ビジョン(目指す姿)、ミッション(使命)、バリュー(価値観)を掲げております。

積み重ねてきた90年に渡る歴史を通し、「精密加工」分野における独自の専門知識、経験を身につけ、グローバルに事業を展開してきた強固な基盤の上に築かれた未来志向の考え方と、常に新たな課題に挑戦し続ける姿勢が、今後の100年、そしてさらにその先へと繋がるものと確信し、当社のパーパス(存在意義)は、「精密加工の力で世界を動かす」こととしております。また、当社製品はあらゆる動くもの/回転するものに使用され、日々の生活、社会に大きく貢献していることから、「回転/転がり」における最高の品質、効率、イノベーションを追求し、お客様にとって最も信頼される存在であり続けることをビジョン(目指す姿)としております。

何をすべきかという指針となるミッション(使命)は、下の3つであります。

1.グローバルでの協働:グループ全体の力を活かし、共に働きます。

2.お客様を支える:お客様のニーズにお応えし、その可能性を広げることを常に最優先します。

3.業績達成:企業として、株主の皆さまの期待に応え、財務目標を達成する事は明確な使命の一つです。私たちは、すべての行動を通じて企業価値を創造します。

そして、全社員が目指す働き方/考え方として5つのバリュー(価値観)を共有しております。

・「安全に」:何よりも安全であることを大切にします。私たちは互いを守り、支え合い、信頼し合います。

・「誠実に」:誠実であることを大切にします。私たちは誠実に正しい事をします。

・「成果主義」:成果をあげることを大切にします。私たちは、課題解決と目標達成に対し、覚悟と責任感を持って取り組みます。

・「ダイナミックに」:ダイナミックであることを大切にします。私たちは、情熱とエネルギーを持って行動し、常により良い方法を追求します。

・「成長」:成長し続けることを大切にします。私たちは会社、チーム、そして一人ひとりの成長に力を尽くします。

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループは、“利益ある成長”を実現するため、成長性、収益性及び現金収支の重要性を鑑み、売上収益、EBITDA(Earnings Before Interest Taxes Depreciation and Amortization)、フリー・キャッシュ・フロー(FCF)を重視する経営管理を行っております。

 

(3) 中長期的な経営戦略、経営環境及び対処すべき課題等

当社グループは、2025年12月期から2029年12月期までの5か年を対象期間とした中期経営計画を策定しております。初年度となる当連結会計年度は、欧州における自動車産業の低迷に加え、セラミック事業における中国ボールメーカー等との価格競争激化により、厳しい事業環境となりました。

このような状況下において、当社グループは中期経営計画初年度である当連結会計年度を企業価値向上のための基盤づくりの年と位置付け、事業・コスト構造の抜本的な見直しとキャッシュを創出する体質の構築に取り組んでまいりました。2026年以降はグローバルフットプリントの最適化及び一層のコスト削減を推進し、成長セグメントに集中した経営資源投下により収益性の改善を図り、2029年12月期の目標指標である売上収益870億円、営業利益100億円の達成に向かって取り組んでまいります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

 当社グループは、「精密の力で世界を動かす」ことをパーパス(存在意義)として掲げております。当社製品は、医療や自動車業界、航空宇宙・防衛分野、さらには世界中の生活基盤を支えることで、人々の暮らしそのものを豊かにするお手伝いをし、持続可能な世界と未来の創造に尽力しております。日々の生活を支え、世界が動き続けるために重要な役割を果たすグローバル企業として、当社は持続可能な未来を創る責任を真剣に受け止め、向き合っております。
 当社グループは、サステナビリティの推進、従業員や地域社会への支援、倫理に則したガバナンスを維持するため、意欲的な目標を掲げて取り組んでおります。また、サステナビリティ経営を推進するため、サステナビリティ委員会を設置し、当社グループが中長期に成長し社会に価値を提供し続けるために取り組むべき課題を明確化しております。
  なお、当社グループでは、気候変動対策においては、環境報告の最良基準であるCDP(カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)の「気候変動」領域でBを取得し、また当社の温室効果ガス削減目標について、SBTi(Science Based Targets initiative)の認証を取得しております。

 

(1) ガバナンス

当社グループは、チーフ・オペレーション・オフィサーがサステナビリティに職責を負っております。また、当社グループは、サステナビリティ委員会を設置しており、同委員会は、マネジメントを補佐し、ESGに関する評価分析や意思決定プロセスの準備や協議、諮問機関としての役割を遂行します。当社グループは、ISO基準に準拠したグローバルなサステナビリティ体制を構築し、サステナビリティに関わるあらゆる活動をモニタリングし、統制しております。

なお、当社グループのガバナンスシステムは、人、地球、繁栄の調和において、持続可能な成長と責任を果たすように設計されており、以下に配慮しております。

・安全で健康的な労働環境の確保、リスクの積極的な予防、ウェルビーイング(心身の健康及び福祉)の促進。

・環境への配慮、天然資源の責任ある利用、そして汚染の防止。

・レジリエンスとイノベーションを強化するために、リスク管理、知識共有、そしてベストプラクティスを定着させること。

・信頼と長期的な価値を構築するために、利害関係者との対話・関係構築と透明性のあるコミュニケーションを確保すること。

また当社グループは、ビジョンゼロ(事故ゼロ、職業病ゼロ、廃棄物ゼロ、不平等ゼロ、知識不足ゼロ)という目標を掲げております。この継続的な改善を通じて、より安全で公平、且つより持続可能な世界を創造して参ります。グローバルチームで変化を推進し、精度を実現し、確かな品質で信頼、イノベーション、そして成長の基盤となる持続可能な未来に貢献します。

 

(2) リスク管理

当社グループにおけるサステナビリティに関するリスク及び機会の管理は、全社的なリスク管理に関する仕組みに統合されております。当社グループの統合管理システムは、国際規格ISO31000の原則とガイドラインに準拠しております。リスクの評価に関しては、当社グループのグローバル・マネジメント・システムに基づき、リスクの深刻度と発生確率に応じたエスカレーションを行うプロセス(ボトムアップ方式)が採用されるとともに、主要リスクについては、GLT(Global Leadership Team)における議論(トップダウン方式)も併用されております。

なお、GLTを含む当社グループのコーポレート・ガバナンス体制の詳細については、第4 提出会社の状況、4コーポレート・ガバナンスの状況等を参照願います。

 

(3) 戦略

① 重要課題

当社グループは、ステークホルダーの皆さまに向けて、業務、財務、環境、社会的パフォーマンスに関する適切な情報を提供したいと考えております。ESGの観点では、2024年に、従業員、お客さま、サプライヤーによって特定されたマテリアルな項目に関する背景状況分析とベンチマーク分析を踏まえて、当社が環境、社会、経済に及ぼすインパクトを特定し、その評価を行いました。この分析により特定した当社に関するマテリアルなESG項目は以下のとおりであります。

 


 

これらの要因が当社グループの見通しに与える影響については、引き続き検討してまいりますが、現時点で当社の経営戦略において特に重要であり、ステークホルダーからの開示の要請が多い気候変動と人的資本に関する事項については、基本的な方針を定めて、具体的な取組を進めているところであります。

 

② 気候変動関連

当社グループは、製品及び事業活動における持続可能性の向上を重要課題と認識し、科学的根拠に基づく目標を設定のうえ、気候変動への対応に取り組んでおります。また、GRI及びTCFDの枠組みに沿った情報開示を行うとともに、CDPへの回答を通じて外部評価への対応を進めております。

2024年には、当社グループの温室効果ガス(GHG)排出削減目標が、Science Based Targets initiative(SBTi)より承認されました。主な内容は以下のとおりであります。

・2022年を基準年として、2030年までにスコープ1及びスコープ2のGHG排出量を42%削減する目標

・2023年を基準年として、2030年までにスコープ3のGHG排出量を25%削減する目標

当社グループは、脱炭素社会への貢献をグループ方針に明確に位置付けております。高品質な製品の提供に加え、製造及び物流における資源使用の見直しを通じて、バリューチェーン全体の環境負荷低減に取り組んでおります。また、製品ライフサイクル全体を考慮した環境性能の向上を図ることで、お客様の環境負荷低減に資する製品の提供を推進しております。

当社グループは、1.5℃シナリオを前提として中長期目標達成に向けたロードマップを策定しております。主な取組は以下のとおりであります。

・エネルギー効率の向上:効率化プロジェクトの推進による工場エネルギー消費の削減

・電化及び脱炭素化:化石燃料使用の削減、再生可能エネルギー証書(REC)の活用及び再生可能エネルギー設備の導入

・イノベーション:技術開発及び設備高度化による効率性及び柔軟性の向上

 

また、気候変動が当社グループに及ぼすリスク及び機会を把握するため、シナリオ分析を実施しております。対象期間はSBTi短期目標の達成時期である2030年とし、パリ協定と整合する1.5℃シナリオ及び物理的リスクが高まる4℃シナリオを想定しております。これらの分析結果を踏まえ、戦略及びリスク管理への反映を図っております。

 

 

シナリオ

要素

変化

Risk

/Opportunities

対応

1.5 °C

電気自動車の普及

ベアリング用鋼球の需要減少

Risk

セラミック事業のサステナブルな成長と売上拡大の実現と、環境を配慮した鋼球製造戦略の進化

ベアリング用セラミック球の需要増加

Opportunity

当社グループ中期経営戦略の一つであるセラミック事業の成長と発展、そして電気自動車市場への貢献

原材料価格変動

固定費(電気料金等)上昇に伴う原材料価格の上昇

Risk

原材料サプライヤーとの頑強なサステナビリティ戦略の検討

顧客のサステナビリティに関する要請

脱炭素対応の遅れによるビジネス機会の喪失

Risk

具体的なサステナビリティ戦略の構築とSBTiへの参加によるパリ協定でのサステナビリティ目標及び1.5℃シナリオに沿った当社グループ戦略を採用

炭素税や炭素コストを含んだ価格設定

炭素税導入によるコスト増加

Risk

工場の脱炭素化の推進と、環境に配慮した高度効率的なベアリング球の開発

電力削減と低排出ガスベアリングの需要増加

Opportunity

環境負荷の最小化を目標に、サプライチェーンと連携し、価値連鎖全体における環境影響の分析

再生エネルギー

再生エネルギー使用による光熱費負担増加

Risk

光熱費使用料を管理し毎年改善を計画、更に電力使用効率の改善や太陽光発電の設置をサステナビリティ戦略として対応

再生エネルギーシステムの設置

Opportunity

再生エネルギ―システムや太陽光発電システム設置はサステナビリティ戦略として推進中、炭素排出ゼロのみならず経済ベネフィットや日常価格の変動に左右されない工場への変革を目指す

4 °C

気候変動災害

気候変動災害によるサプライヤーや当社グループ工場閉鎖のリスク

Risk

サステナビリティ戦略の着実な実行及びサプライヤーを含めた取り組みを推進。自然災害を想定したリスク分析及び事業継続計画(BCP)を整備

 

 

 

③ 人的資本多様性

当社グループは、人的資本を中長期的な企業価値向上の重要な基盤と位置付け、戦略の着実な実行に取り組んでおります。2025年においては、当社の、パーパス(存在意義)、ビジョン(目指す姿)、ミッション(使命)、バリュー(価値観)の再構築及び刷新を完了し、これらをグローバル組織全体で共有いたしました。これにより、組織としての一体感の醸成、戦略との整合性の向上及び従業員の主体的関与の強化を図っております。

本戦略の推進にあたり、2025年には表彰制度、業績管理制度、新入社員意識調査並びに定期的な従業員意識調査等を含む標準化した人事制度・運用手続の導入及び高度化を実施いたしました。これらの取組は、海外拠点を含む組織全体の強みを活かしつつ、業務手続の簡素化及び統一を図るとともに、地域を横断した従業員の職務経験及び業績に関する情報を可視化し、経営判断に活用することを目的としております。

また、人材層の強化及び定着率の向上にも注力しております。

多様性・公平性・包摂性については、引き続き重要な経営課題として位置付け、2025年を通じて男女比率に関する主要指標の進捗管理を実施し、所定の目標を達成いたしました。多様な背景を有する人材が能力を十分に発揮できる環境整備を推進することで、組織の競争力向上及び持続可能な成長の実現に努めております。

 

(4) 指標及び目標

① 気候変動関連

当社グループは、気候変動への対応状況を適切に把握・管理するため、以下の主要な業績評価指標を設定し、毎月その状況を確認しております。

(a)CO2排出量(スコープ1+スコープ2)

当社グループは、温室効果ガス算定・報告基準(GHGプロトコル)及び国際規格ISO14064に基づき、スコープ1(直接排出)及びスコープ2(購入電力等に伴う間接排出)の二酸化炭素総排出量を算定し、毎月確認しております。2025年度においては、スコープ2排出量についてマーケットベース方式により算定しております。

また、2030年のCO2排出量削減目標については、Science Based Targets initiative(SBTi)の認証を取得しております。

 


 

以下のグラフは、2024年のスコープ3におけるCO2排出量を示しています。

2025年の排出量については、各サプライヤー及び顧客からの具体的なデータを収集する必要があるため、2026年第2四半期(Q2 2026)に算出・公表する予定です。なお、以下のグラフには当社グループに直接関係のないスコープ3の排出カテゴリー(上流リース資産、下流リース資産、フランチャイズ、投資、販売済み製品の使用)は含まれておりません。

 


 

(b)カーボンフットプリント(CO2 トン/トン)

当社グループは、スコープ1及びスコープ2の排出量を生産量(トン)で除して算出したカーボンフットプリントを管理指標としております。本指標は、各工場における生産活動当たりの温室効果ガス排出効率を示すものであり、持続可能性への取組の改善状況を把握するための基礎資料として活用しております。

 


② 人的資本多様性

・ マネジメント

当社グループは、性別、年齢その他の個人的属性に基づく差別のない組織運営を推進しております。2025年においては、「SHIFT」施策及び2026年開始予定の現場管理職向け育成制度の枠組みのもと、オンライン学習による管理職研修及び階層別育成制度を実施し、管理職層の能力向上に取り組みました。また、全従業員を対象とした全社会議を四半期ごとに開催するとともに、社内情報共有システム「Gemba SNAP」等を活用し、情報共有の促進及び組織内の対話活性化に努めております。

 

・ ダイバーシティ推進

当社グループは、多様性・公平性・包摂性を重要な経営課題として位置付け、主要管理職層における女性比率の状況を継続的に把握しております。2025年における女性比率は、経営幹部層で37.5%、部長級・上級専門職層で19.2%、一般管理職層で19.8%となりました。現在、各層及びその他従業員区分における目標値の見直しを進めており、将来の経営人材の育成強化及び組織全体における多様性の向上に取り組んでおります。

 

・ 研修

当社グループは、人材育成のための教育・研修制度の充実を図っております。2025年には、約500名の選抜人材を対象に、年間を通じて実施する短時間学習コースから構成される体系的な学習制度を開始いたしました。本制度は任意参加とし、修了率は50%~75%となりました。また、各研修の満足度は5点満点中平均4.0点以上となり、参加者から一定の評価を得ております。

 

・ 評価

当社グループは、目標達成度、行動及び能力に基づく評価制度を整備し、公正かつ一貫性のある運用に努めております。2025年には、管理職向けに公正な評価方法に関する研修を実施するとともに、従業員向けに自己評価の実施方法に関する研修を行いました。また、評価結果を組織横断的に確認する調整手続を強化し、部門・地域間での評価基準の整合を図っております。2026年においては、目標設定の精度向上及び年間を通じた業績対話の質の向上に取り組む予定であります。

 

・ 従業員満足度調査

2025年には、常勤従業員を対象に全社従業員意識調査「HeartBeat」を実施し、従業員推奨度は7.03となりました。これは市場指標(約7.0)と概ね同水準であります。調査結果及び各拠点の課題を踏まえ、本社及び各地域において改善施策を策定・実行しております。2026年には、簡易調査及び定期調査を通じて進捗を確認する予定であります。また、当社のパーパス(存在意義)、ビジョン(目指す姿)、ミッション(使命)、バリュー(価値観)に関する取組については、過年度と比較して従業員の理解度向上が確認されております。これらの施策を通じ、協働の促進及び職場環境の向上に努めております。

 

 

3 【事業等のリスク】

本書に記載した事業・財務等に関する事項のうち、投資判断に重要な影響を及ぼす可能性がある主なリスクは以下のとおりであります。なお、将来に関する記載は、当連結会計年度末時点で当社グループが判断したものであります。

 

(1) 法的規制の新設・改廃、違反等によるリスク

当社グループは、国内外で事業を行うにあたり、大気・水質、製造物責任、独占禁止、知的財産、外為法等の各種法規制の適用を受けております。これらに違反した場合、罰金や業務停止などの制裁により、社会的信用や業績に悪影響が生じる可能性があります。また、規制の新設・改正や運用強化により、対応コストの増加や事業運営上の制約が生じ、業績等に影響を与える可能性があります。

 

(2) 有利子負債に関するリスク

当社グループは、有利子負債の元利金返済のため、追加借入や資産売却等により資金調達が必要となる場合があります。こうした資金調達の可否は、金融市場の状況や資産売却先の有無など複数の要因に左右されます。加えて、金利上昇局面では利払い負担が増加し、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 財務制限条項に抵触するリスク

当社グループは複数のローン契約を締結しており、契約には一定の財務制限条項(コベナンツ)が設定されております。これらに抵触した場合、期限前返済等を求められる可能性があり、資金繰りや財務状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 原材料の価格の上昇、調達等に伴うリスク

事業運営には、原材料・部品等を適時に安定調達できることが前提となります。一部の材料・部品は特殊性により調達先が限られ、代替が難しいものがあります。供給遅延、取引終了、供給側の生産能力不足等が発生した場合、材料不足や調達コスト増を通じて業績に影響する可能性があります。また、原材料価格が上昇した場合、販売価格への反映やコストダウンで吸収を図りますが、上昇幅が想定を超えると利益率が悪化し、業績等に影響を与える可能性があります。

 

(5) 知的財産権リスク

当社グループは、ノウハウ・製造技術、特許・商標等の知的財産の取得・保護に努めるとともに、第三者の知財を侵害しないよう注意しております。しかし、技術情報の漏洩、第三者による当社知財の侵害、または当社による意図しない侵害が生じた場合、訴訟・賠償・差止めや競争力低下を通じて、業績等に影響を与える可能性があります。

 

(6) 海外事業の展開に伴うリスク

当社グループは海外に製造拠点を有し、将来的に新たな国・地域へ展開する可能性もあります。海外事業では、投下資本の回収が計画どおり進まないことや、拠点統廃合・撤退が必要となることがあります。さらに各国で、法規制・税制の変更、政治・治安・景気の変動、物流遅延や電力等インフラ障害、保護貿易措置、商習慣の違いに伴う信用リスク、雇用制度・労働環境の差異、人材確保・教育の難しさ、知財保護の困難性、感染症、為替変動等が発生し、操業・コスト・需要・収益に影響を与える可能性があります。

 

(7) 製品の欠陥に伴うリスク

製品に欠陥が生じ第三者に損害が発生した場合、リコール対応費用の負担や、製造物責任法に基づく損害賠償責任を負う可能性があります。品質管理には万全を期しておりますが、想定外の不具合が発生した場合、社会的信用の低下や追加コストの発生を通じて、業績等に影響を与える可能性があります。

 

 

(8) 経済環境に関するリスク

当社製品の需要は、自動車、電子機器、消費財、工作機械等の最終需要に連動し、工業生産の落ち込みや最終市場の悪化の影響を受けます。特に自動車産業の市況悪化は、当社需要への影響が相対的に大きい傾向があります。世界経済の悪化により各産業で生産が減少した場合、需要減を通じて業績等に影響を与える可能性があります。

 

(9) 顧客集中に関するリスク

当社グループの製品は、比較的少数の大規模製造業者に販売する比率が高く、精密ボール・精密ローラーではベアリングメーカーの占める割合が大きい構造です。主要顧客との関係悪化、調達方針変更、統合・再編等により取引が縮小または喪失した場合、売上や稼働率の低下を通じて業績等に影響が生じる可能性があります。

 

(10) セラミック球の製造及び販売に関するリスク

セラミック球は当社の重要な成長戦略の一つですが、品質確保、原材料調達、素球の供給能力確保、顧客の採用判断・認証プロセスが想定どおり進まない場合があります。また、競合製品の拡大や、当社が関連知財を十分に保護できない場合、拡販や採算性に影響し、将来的な業績等に影響が生じる可能性があります。

 

(11) 他社競合リスク

当社グループは顧客ニーズに沿った品質・供給を重視しておりますが、事業は競合環境下にあります。技術、品質、価格、供給力(在庫量・納期対応)、マーケティング等の面で競争力を十分に維持できない場合、受注や単価が低下し、売上減を通じて業績等に影響を与える可能性があります。

 

(12) 環境問題リスク

当社グループは環境保全に取り組んでおりますが、万一、環境事故や汚染等を引き起こした場合、損害賠償、生産停止、社会的信用の低下等が生じる可能性があります。また、環境規制の新設・強化により追加の設備投資や運用コストが必要となり、業績等に影響を与える可能性があります。

 

(13) 財務報告に係る内部統制

当社グループは財務報告の信頼性確保のため、内部統制の構築・運用を重要課題として継続的に点検・改善しております。ただし、内部統制には固有の限界があり、将来にわたり常に有効であることを保証するものではありません。内部統制が十分に機能しない、または重要な不備が発生した場合、財務報告の信頼性や外部からの信用に影響が及ぶ可能性があります。

 

(14) 固定資産の価格下落

当社グループが保有する固定資産について、時価下落や収益性低下等により資産価値が低下し、減損等の処理が必要となる場合、業績に影響が生じる可能性があります。

 

(15) のれんの減損

のれんの減損テストは資金生成単位ごとに実施しており、プレシジョン・コンポーネントビジネスは主に世界の自動車需要・産業機械需要の動向、ブロア・リアルエステイトビジネスは主に設備投資需要の動向の影響を受けます。プレシジョン・コンポーネントビジネスは需要先が比較的幅広い一方、ブロア・リアルエステイトビジネスは設備投資需要への依存度が高い傾向があります。これらの需要動向等により収益性が低下し、のれんの資産価値が減少した場合、減損計上等を通じて業績に影響が生じる可能性があります。

 

(16) 災害の発生

生産拠点で地震・風水害・火災等の災害や事故が発生した場合、対応組織を稼働させ被害の最小化に努めますが、被害が大きい場合やインフラ損壊等により、操業停止、出荷停止・遅延、設備修理・代替のための損失や費用が発生する可能性があります。また、世界的な感染症の流行や国内外の電力供給問題等により生産能力が低下する場合もあり、これらは業績等に影響を与える可能性があります。

 

(17) 人事労務及び経営陣に関するリスク

当社グループの事業遂行には、国内外で専門性の高い熟練人材の確保が必要です。必要な人材を確保・育成できない場合、生産性や品質、事業運営に影響が生じる可能性があります。また、経営陣や幹部人材が大量に流出した場合、意思決定や組織運営の継続性が損なわれ、事業・業績等に影響が生じる可能性があります。

 

(18) 中期経営計画に関するリスク

当社グループは、新経営陣のもと2025年12月期~2029年12月期の5か年を対象とする中期経営計画を策定しております。同期間は、中国・インド系プレイヤーの台頭等により価格競争が厳しくなることが見込まれます。中計は当社のコントロールが及ばない外部環境を含む前提に基づくため、戦略の実行が想定どおり進まない、または成長目標を達成できない場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(19) M&A等に関するリスク

当社グループは、買収、出資、ジョイントベンチャー等の取引を継続的に検討し、条件が整えば実行します。しかし、買収・投資の効果が想定どおりに発現しない場合、追加の資金・人員投入が必要となる可能性があります。期待効果の実現可否は多くの前提に左右されるため、拡大戦略が想定した成果を生む保証はなく、財政状態や業績に悪影響が生じない保証もありません。

 

(20) 継続企業の前提に関する重要事象等

当社グループは、当連結会計年度において営業損失を計上した結果、当連結会計年度末において、金融機関と締結しているシンジケートローン契約等に付されている財務制限条項に抵触しております。該当金融機関に対し、当該抵触を理由とする期限の利益喪失請求を行わないことを要請する手続きを行い、すべてのローン契約において承諾を得ております。また、来期に返済期限の到来する一部の借入契約についてはリファイナンスに向けた協議を開始しており、当社の資金繰り計画に大きな支障が生じる見込みはありません。以上により、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しております。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(業績等の概要)

(1) 業績

当連結会計年度における世界経済は、米国通商政策による悪影響の顕在化や中東地域の地政学リスクの高まりによる下振れが懸念される中、インフレの鎮静化、堅調な米国の個人消費、インドをはじめとする新興国の成長等に支えられ、底堅く推移しました。国内経済は米国の通商政策等による影響が一部にみられるものの、雇用・所得環境の改善、インバウンド需要の増加等により緩やかな回復基調を維持しましたが、物価上昇に伴う個人消費の低迷及び中国との関係悪化等により景気が下振れするリスクが懸念されています。

こうした中、当社グループは2025年2月に公表した中期経営計画で策定した戦略に基づきバリュークリエーション6つの柱の施策に取り組んでまいりましたが、欧州での自動車産業低迷による事業環境の悪化や、セラミック事業における中国ボールメーカー等との価格競争激化により収益は前年を大きく下回る結果となりました。

 

当社は、2024年2月9日開催の取締役会において、ボールねじ及びボールウェイの製造及び販売事業をミネベアミツミ株式会社に譲渡することを決議し、同日付で株式譲渡契約を締結しました。これに伴い、前連結会計年度より、ボールねじ及びボールウェイの製造及び販売事業を非継続事業に分類しておりましたが、2025年10月3日をもって譲渡が完了しました。

当社グループの当期の業績は、非継続事業を除いた継続事業の数値を中心に報告いたします。

 

当連結会計年度の売上収益は、長引く自動車産業の低迷及び価格競争等を起因とするマーケットシェアの下落により欧州地域での販売やグローバルでセラミックボール、ローラーの販売が前年を大きく下回り、前期比8.0%減69,837百万円となりました。

利益面につきましては、2025年2月17日に公表した中期経営計画の施策の1つである調達・生産コストの削減に取り組んでまいりましたが、売上収益の減少、競合他社との価格競争の激化及び人件費等の上昇が利益を圧迫しました。また、構造改革の一環として在庫の精査・管理体制の見直しを進める中で、欧州地域及びセラミックボールを取り巻く事業環境の変化も相まって、主に米国とセラミック事業が保有する廃棄予定の在庫に対し棚卸資産評価損6,516百万円を計上しました。加えて、事業環境の変化に伴いプレシジョン・コンポーネントビジネスの将来キャッシュ・フローを見直し、有形固定資産及びのれんの減損損失16,696百万円を計上したことにより、前期から23,150百万円減少し、22,336百万円の営業損失となりました。

親会社の所有者に帰属する当期利益は前期から28,126百万円減少し、27,214百万円の損失となりました。

 

当連結会計年度における当社グループを取り巻く事業環境は非常に厳しい状況で推移いたしましたが、欧州事業は引き続き当社グループにとって重要な事業拠点と位置づけており、事業環境の変化に合わせた積極的な構造改革・戦略転換を図ってまいります。また、セラミック事業は、電気自動車(EV)市場において想定したスピードでの市場拡張が起こらず、競争環境も厳しい状況ですが、同事業は引き続き当社における成長分野と位置づけており、新製品の投入や新規市場開拓を通じて業績の改善を図ってまいります。

 

セグメント別の業績を示すと、次のとおりであります。

プレシジョン・コンポーネントビジネス

プレシジョン・コンポーネントビジネスの売上収益は、長引く自動車産業の低迷及び価格競争等を起因とするマーケットシェアの下落により欧州地域での販売やグローバルでセラミックボール、ローラーの販売が前年を大きく下回り、前期比8.2%減68,925百万円となりました。セグメント利益は、売上収益の減少、競合他社との価格競争の激化及び人件費等の上昇に加え、棚卸資産評価損6,516百万円、有形固定資産及びのれんの減損損失16,696百万円を計上したことにより、前期から23,133百万円減少し、22,501百万円の損失となりました。

 

ブロア・リアルエステイトビジネス

ブロア・リアルエステイトビジネスの売上収益は前期比11.3%増912百万円となりました。セグメント利益は、人件費等の上昇により、前期比8.6%減165百万円となりました。

 

 

(2) 財政状態

当連結会計年度末の総資産は、前期末に比べ23,063百万円減少151,658百万円となりました。これは、現金及び現金同等物が11,573百万円増加したものの、欧州の事業環境の厳しさに加えて、セラミック事業の競合環境の変化に伴い、過去に計上したのれんの将来回収可能性を見直したことによる減損損失の計上により無形資産及びのれんが15,084百万円減少し、米国とセラミック事業での棚卸資産評価損の計上等により棚卸資産が10,352百万円減少、ボールねじ及びボールウェイの製造及び販売事業の売却により売却目的で保有する資産が3,450百万円減少、米国での事業計画見直しによる繰延税金資産の取り崩しにより繰延税金資産が2,451百万円減少、営業債権及びその他の債権が2,098百万円減少したことによります。

負債につきましては、前期末に比べ1,410百万円増加114,623百万円となりました。これは、子会社の配当政策の見直しにより繰延税金負債が1,042百万円増加、その他の非流動負債が1,125百万円増加したことによります。

資本につきましては、前期末に比べ24,473百万円減少37,035百万円となりました。これは主に、為替換算調整勘定等のその他の資本の構成要素が3,912百万円増加したものの、利益剰余金が27,522百万円減少したことによります。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度の各活動におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

営業活動によるキャッシュ・フローは、10,519百万円の資金の増加となりました。主な要因としては、税引前当期損失23,992百万円などの資金減少要因があったものの、減損損失16,696百万円、棚卸資産の減少12,685百万円、減価償却費及び償却費3,798百万円、営業債権及びその他の債権の減少2,675百万円などの資金増加要因がありました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出1,872百万円がありましたが、事業売却による収入2,048百万円、有形固定資産の売却による収入777百万円を主な要因とし、1,123百万円の資金の増加となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得による支出603百万円、配当金の支払額378百万円を主な要因とし、1,300百万円の資金の減少となりました。

これらに当連結会計年度中のUSドル高及びユーロ高を主な要因とする、957百万円の換算差額等を加算した結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は34,633百万円と前連結会計年度末と比べ11,299百万円の資金の増加となりました。

 

 (参考) キャッシュ・フロー関連指標の推移

 

2024年12月

2025年12月

親会社所有者帰属持分比率(%)

35.2

24.4

時価ベースの親会社所有者帰属持分比率(%)

10.8

8.9

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(%)

1,921.8

902.9

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

3.3

6.6

 

親会社所有者帰属持分比率:親会社所有者帰属持分/総資産

時価ベースの親会社所有者帰属持分比率:株式時価総額/資産合計

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/支払利息

(注) 1 IFRS会計基準に基づく連結ベースの財務数値により計算しております。

2 株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。

3 キャッシュ・フローは営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。

4 有利子負債は連結財政状態計算書に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。

 

 

(生産、受注及び販売の状況)

(1) 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

プレシジョン・コンポーネントビジネス

38,527

82.2

ブロア・リアルエステイトビジネス

933

128.7

合計

39,460

82.9

 

(注) 1 上記の金額は、平均販売価格で表示しております。

2 セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

(2) 商品仕入実績

当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

商品仕入高(百万円)

前年同期比(%)

プレシジョン・コンポーネントビジネス

1,797

53.5

ブロア・リアルエステイトビジネス

合計

1,797

53.5

 

(注) 上記の金額は、平均仕入価格で表示しております。

 

(3) 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

プレシジョン・コンポーネントビジネス

ブロア・リアルエステイトビジネス

1,036

124.1

1,471

98.6

合計

1,036

124.1

1,471

98.6

 

(注) 1 プレシジョン・コンポーネントビジネスの生産方式は、見込生産のため該当事項はありません。

2 セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

(4) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

プレシジョン・コンポーネントビジネス

68,925

91.8

ブロア・リアルエステイトビジネス

912

111.3

合計

69,837

92.0

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

 

相手先

前連結会計年度

(自 2024年1月1日

 至 2024年12月31日)

当連結会計年度

(自 2025年1月1日

 至 2025年12月31日)

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

AB SKF

17,352

22.9

14,217

20.4

SCHAEFFLER

8,126

10.7

7,210

10.3

 

(注) 上記の金額には当該顧客と同一の企業集団に属する顧客に対する販売高を含めております。

 

 

(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)

当社グループの財政状態及び経営成績の分析は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 重要性のある会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、国際会計基準審議会によって公表されたIFRS会計基準に基づき作成しております。重要性のある会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要性のある会計方針」に記載しております。

連結財務諸表の作成においては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告数値に影響を与える見積りが必要であります。経営者はこれらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

なお、将来に関する仮定及び報告期間末における見積りの不確実性の要因となる事項は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 連結財務諸表注記」の「2.作成の基礎 (5) 見積り及び判断の利用」及び「3.重要性のある会計方針」に記載しております。

 

(2) 経営成績の分析

① 売上収益

当連結会計年度における世界経済は、米国通商政策による悪影響の顕在化や中東地域の地政学リスクの高まりによる下振れが懸念される中、インフレの鎮静化、堅調な米国の個人消費、インドをはじめとする新興国の成長等に支えられ、底堅く推移しました。国内経済は米国の通商政策等による影響が一部にみられるものの、雇用・所得環境の改善、インバウンド需要の増加等により緩やかな回復基調を維持しましたが、物価上昇に伴う個人消費の低迷及び中国との関係悪化等により景気が下振れするリスクが懸念されています。

このような状況の下、当期の継続事業における売上収益は、前連結会計年度に比べ8.0%減69,837百万円となりました。事業別に見ますと、プレシジョン・コンポーネントビジネスの売上収益は、長引く自動車産業の低迷及び価格競争等を起因とするマーケットシェアの下落により欧州地域での販売やグローバルでセラミックボール、ローラーの販売が前年を大きく下回り、前連結会計年度に比べ8.2%減68,925百万円となりました。ブロア・リアルエステイトビジネスの売上収益は、前連結会計年度に比べ11.3%増912百万円となりました。

② 売上原価、売上総利益

売上原価は、前連結会計年度に比べ、1.8%増66,590百万円、売上総利益は前連結会計年度に比べ69.1%減3,247百万円となりました。売上原価率は、前連結会計年度に比べ9.2ポイント増加し、95.4%となりました。売上原価増加の主な要因は、コスト改善活動を継続し効果はみられるものの、在庫管理見直しに伴う棚卸資産評価損の計上、原材料価格転嫁のタイムラグ等によるものであります。

③ 販売費及び一般管理費

販売費及び一般管理費は、輸送費・人件費・採用費用等の増加により、前連結会計年度に比べ18.6%増11,090百万円となりました。

④ 営業損益

営業損益は、2025年2月17日に公表した中期経営計画の施策の1つである調達・生産コストの削減に取り組んでまいりましたが、売上収益の減少、競合他社との価格競争の激化及び人件費等の上昇が利益を圧迫しました。また、構造改革の一環として在庫の精査・管理体制の見直しを進める中で、欧州地域及びセラミックボールを取り巻く事業環境の変化も相まって、主に米国とセラミック事業が保有する廃棄予定の在庫に対し棚卸資産評価損6,516百万円を計上しました。加えて、事業環境の変化に伴いプレシジョン・コンポーネントビジネスの将来キャッシュ・フローを見直し、有形固定資産及びのれんの減損損失16,696百万円を計上したことにより、前期から23,150百万円減少し、22,336百万円の営業損失となりました。事業別に見ますと、プレシジョン・コンポーネントビジネスでは、前連結会計年度から23,133百万円減少し、22,501百万円の損失となり、ブロア・リアルエステイトビジネスで前連結会計年度に比べ8.6%減165百万円となりました。

 

⑤ 法人所得税費用

法人所得税費用は、前連結会計年度に比べ366.1%増3,016百万円となりました。主な増加要因は、事業環境の変化を契機とした事業計画の見直しに伴い、米国子会社で計上していた繰延税金資産を取崩したことと事業環境及びグループ内資金需要の変化を契機とした子会社からの配当政策の見直しにより繰延税金負債を計上した等によるものであります。

⑥ 親会社の所有者に帰属する当期損益

これらの結果、親会社の所有者に帰属する当期損失は、27,214百万円となりました。

⑦ EBITDA

EBITDA(営業利益+減価償却費及び償却費+減損損失)は、主に棚卸資産評価損6,516百万円の計上などにより、1,854百万円の赤字(前連結会計年度は4,058百万円の黒字)となりました。

⑧ フリー・キャッシュ・フロー(FCF)

FCF(営業活動によるキャッシュ・フロー+投資活動によるキャッシュ・フロー)は、棚卸資産の減少と事業売却による収入があったことなどにより、前連結会計年度から10,569百万円改善し11,642百万円となりました。

 

(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては「第2 事業の状況 3事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

(4) 経営戦略の現状と見直し及び経営者の問題認識と今後の方針

経営戦略の現状と見直し及び経営者の問題認識と今後の方針につきましては、「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

(5) キャッシュ・フローの状況に関する分析

当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は、「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (3) キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

(6) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループは、継続的に企業価値を向上させることを経営の指針とし、①設備投資、②株主還元、③借入金の返済のバランスをとりながら、資金の使途を決定しています。当社グループの資金の源泉は、内部資金及びツバキ・ナカシマ本体の社債及び銀行借入金により調達したものであり、グローバル・キャッシュ・マネジメントシステムを活用し、グループ内資金のタイムリーな把握に努めると共に、グループ会社間親子ローンやグループ会社間配当を実施する等し、資金効率の向上に努めております。

なお、現金及び現金同等物の残高は34,633百万円となっております。

 

(7) 資金需要及び財務政策

当社グループの資金需要は主に設備投資及び運転資金であります。

現在、設備投資資金につきましては、内部資金または社債及び銀行借入金により資金調達をすることとしております。また、今後につきましては、健全な財政状態の維持を図っていくとともに資本効率を高めてまいります。

 

 

5 【重要な契約等】

(1) 事業提携

契約締結日

会社名

契約の名称

契約内容

契約期間

2023年10月18日(注1)

アドバンテッジアドバイザーズ株式会社

事業提携契約書

当社の企業価値向上の実現を目的とした諸施策の検討とノウハウの提供等による事業提携の実施

自 2023年11月9日

至 2026年11月8日

又は資本提携終了日のいずれか早く到来する日まで(注2)

 

(注) 1 同日の当社取締役会において、第17回新株予約権及び第1回無担保転換社債型新株予約権付社債の募集について決議いたしました。詳細は、「第4 提出会社の状況 1株式等の状況 (2) 新株予約権等の状況 ③その他の新株予約権等の状況」に記載のとおりであります。

2 「資本提携終了日」とは、第17回新株予約権及び第1回無担保転換社債型新株予約権付社債又はこれらを転換若しくは行使して取得する当社株式のいずれも保有しないこととなる日を言います。

 

(2) 企業・株主間の企業統治に関する合意

該当事項はありません。

 

(3) 企業・株主間の株主保有株式の処分・買増し等に関する合意

該当事項はありません。

 

(4) ローン契約と社債に付される財務上の特約

① タームローン契約(エージェント:株式会社三菱UFJ銀行)

締結日

2017年12月1日

借入先

株式会社三菱UFJ銀行他

期末残高

41,522百万円

弁済期限

2026年11月30日

担保の内容

なし

特約の内容

「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 16.社債及び借入金」に記載しております。

 

 

② 金銭消費貸借契約

締結日

2021年3月31日

借入先

株式会社りそな銀行

期末残高

5,000百万円

弁済期限

2028年3月31日

担保の内容

なし

特約の内容

「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 16.社債及び借入金」に記載しております。

 

 

③ タームローン契約(エージェント:株式会社りそな銀行)

締結日

2022年9月30日

借入先

株式会社りそな銀行他

期末残高

9,746百万円

弁済期限

2029年9月28日

担保の内容

なし

特約の内容

「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 16.社債及び借入金」に記載しております。

 

 

 

④ コミットメントライン契約(エージェント:株式会社りそな銀行)

締結日

2020年6月30日

借入先

株式会社りそな銀行

期末残高

弁済期限

担保の内容

なし

特約の内容

「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 16.社債及び借入金」に記載しております。

 

 

⑤ タームローン契約(エージェント:株式会社りそな銀行)

締結日

2024年3月29日

借入先

株式会社りそな銀行他

期末残高

3,970百万円

弁済期限

2031年3月31日

担保の内容

なし

特約の内容

「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 16.社債及び借入金」に記載しております。

 

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループは、精密ボール、精密ローラー、送風機の専門メーカーとして、ユーザーの多様化するニーズに適応した製品を供給するため、各事業部において研究開発に取り組んでおり、それぞれの事業の中心となる製品についての研究開発を進めております。

現在の研究開発は当社グループの各技術部門において、プレシジョン・コンポーネントビジネス及びブロア・リアルエステイトビジネスを中心に推進しております。当連結会計年度の研究開発費は261百万円となっております。

セグメントごとの研究の目的、主要な課題、研究成果及び研究開発費は次のとおりであります。

 

(1) プレシジョン・コンポーネントビジネス

サステナブルな社会に貢献するため、高効率軸受けのベースとなる精密ボール、精密ローラー及びEV対応のセラミックボールを超高精度で安価に生産する加工技術の確立に向けて、自動化を含む研究開発を行っております。当連結会計年度の研究開発費は261百万円となっており、一部のサイズについては加工技術、自動機を確立し需要に応えることができました。

 

(2) ブロア・リアルエステイトビジネス

更なる高効率送風機開発に向けて有限要素法による解析を行って構造改善に取り組んでおります。当連結会計年度の研究開発費は0百万円となりました。