文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)サッポログループの経営理念
サッポログループは、「潤いを創造し 豊かさに貢献する」を経営理念に掲げ、「ステークホルダーの信頼を高める誠実な企業活動を実践し、持続的な企業価値の向上を目指す」ことを経営の基本方針として、企業活動を実践しております。
時代とともに変容する“豊かさ”の本質によりいっそう向き合い、明日につながる、自然、社会、心の“豊かさ”に貢献していきます。
(2)中期経営計画(2023~26)
1876年の創業以来、様々なイノベーションを推進し、お客様に潤いと豊かさをもたらす商品やサービスをお届けしてきた当社グループは、本年、創業150周年を迎えます。
150年を越えて独自の存在価値を発揮し続けるために、2023年~2026年までの4か年の経営計画を策定しました。本計画のポイントは、事業ポートフォリオの見直しと、各事業のポジショニングに沿ったグループマネジメントを実現し、資本効率を高め企業価値を向上させていくことです。こうした取組を着実に進めた結果、計画で掲げていた2026年の財務目標(ROE8%)を、2025年に一年前倒しで達成することができました。今後もステークホルダーの皆さまの期待に確実に応えるべく、さらなる企業価値向上に向け、以下の取組を進めてまいります。
(構造改革)
不確実性の高い環境に適応するべく、各事業を市場環境、独自の強み、サステナビリティ、収益性、シナジー、リソース配分の6つの視点から考察し、企業価値向上の実現に向け、事業ポートフォリオの最適化に取り組んでおります。
こうした方針のもと、中期経営計画(2023~26)で掲げた事業整理やコスト構造改革などの施策は順調に進捗しており、収益性の改善に寄与しております。また、2025年12月には不動産事業への外部資本導入にかかる一連の取引に関する契約を締結いたしました。不動産事業のオフバランス化によって得られる資金を、酒類事業を中心とした成長投資に振り向け、中長期的な企業価値向上を推進してまいります。
(強化・成長)
国内では、本年予定している酒税改正を踏まえ、「黒ラベル」及び「ヱビス」への集中投資によりビールカテゴリーのさらなる強化を図ります。RTD(※)カテゴリーにおいては、「濃いめ」ブランドを中心に基幹ブランドへの投資を強化し、収益性の向上を目指します。また、健康ニーズの高まりを踏まえたノンアルコールカテゴリーの開発強化に加え、レモンカテゴリーのさらなる成長にも取り組んでまいります。
海外では、「SAPPORO PREMIUM BEER」へのマーケティング投資を継続し、ブランド強化を推進します。さらに、アライアンスを含めた事業構造の見直しを進め、収益基盤の強化を図ってまいります。飲料分野では、シンガポール・マレーシアを中心に、成長市場である低・無糖茶カテゴリーへの取組を強化してまいります。
※RTD:Ready To Drinkの略。購入後そのまま飲める、缶チューハイなどのアルコール飲料
(財務目標)
・ROE:8%
・EBITDA年平均成長率(CAGR):10%程度
・海外売上高年平均成長率(CAGR):10%程度
(主な非財務目標)
・温室効果ガス排出削減(いずれも2022年比)
スコープ1,2 2030年 42%削減(2026年 21%削減)
スコープ3 2030年 25%削減(2026年 12.5%削減)
※SBT認定済
・女性役員比率、女性管理職比率:12%以上
(3)財務戦略
「持続的成長と資本効率重視」をテーマに、構造改革・事業成長による収益力強化と、資産や事業ポートフォリオの見直しにより資本効率を高め企業価値向上を確かなものにします。
財務の健全性は、現状格付けを維持することを基本とします。投資については、営業キャッシュフローとのバランスを取りながら、海外への投資を優先することで成長促進を図ると共に、サステナビリティ関連の投資も推進します。なお、M&A等の成長投資の機会には、現状格付を確保できる範囲で機動的に対応します。
株主の皆様への利益還元は、経営上の重要政策と位置付けており、業績や財務状況を勘案して安定した配当を行うことを基本方針としております。今後の配当水準につきましては、DOE※3%以上を目安に、2030年までにDOE4%以上を目指してまいります。
※DOE=配当額/親会社の所有者に帰属する持分合計(期首期末平均)
(4)対処すべき課題
①事業計画の推進とモニタリングについて
当社グループは事業計画の達成に向けて、内部運用ならびに外部開示の2つの観点からモニタリング体制を構築し、運用しております。内部運用の観点では、各事業セグメントにおける構造改革及び成長戦略に関する具体的なアクションプランの進捗について、取締役会等を通じて綿密なモニタリングを行い、計画達成の裏付けを強化しております。また、外部開示の観点では、当社グループの取組を、従来以上に具体的に分かりやすく、且つタイムリーにステークホルダーの皆様にお伝えすることで、計画達成の蓋然性に対する信頼性の向上に努めております。
②サステナビリティ経営の推進について
「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご覧ください。
③DXの推進について
大きな環境変化が続く中で、サッポログループでは新たな時代のニーズに即した価値を創出する手段として、2022年に策定した「サッポログループDX方針」に基づき、人財育成、推進体制及び環境整備を推進しております。
「サッポログループDX方針」
方針① お客様接点を拡大:お客さまとつながり、理解を深め、寄り添うこと
方針② 既存・新規ビジネスを拡大:お客さま起点で考えぬかれた新たな価値の創造と、稼ぐ力を増強すること
方針③ 働き方の変革:サッポログループにかかわるあらゆるステークホルダーと共に成長し続けるため自分たちの仕事をもっと楽に、もっと楽しく、働くことに誇りを持てるものにしていくこと
DX推進体制
グループのDX・ITに関する経営資源配分の支援・調整・確認を行い、方向性を決定するための機関として、DX・IT担当役員を委員長とする「グループDX・IT委員会」を2022年4月1日付で設置しております。
DX推進戦略
2022年よりDX・IT人財育成に取り組み、2023年までにDX・IT推進リーダー200名を含む、基幹人財900名を育成してまいりました。2025年は、これまでに育成したDX・IT基幹人財の中から選抜した13名を対象に、「既存の常識にとらわれない発想」及び「データ活用・セキュリティ」に関するスキル強化を図る人財育成プログラムを実施しました。
あわせて、2025年1月より社内外のデータ利活用を目的としたグループ共通のデータ基盤である「SAPPORO DATA FACTORY」の運用を開始し、さらに同年2月には全社員が利用可能なサッポログループ独自の生成AIツールを導入するなど、DX推進基盤の強化に取り組みました。
今後も育成した人財に対する継続的な教育及び活躍機会の提供ならびにDX基盤の構築を通じて、事業におけるDX起点での成果創出に取り組んでまいります。
④グループ中長期成長戦略
当社は2024年2月14日に「グループ価値向上のための中長期経営方針」を公表し、その方針に基づく具体的な戦略として「グループ中長期成長戦略」を2025年2月14日に公表いたしました。その概要は以下のとおりです。
1.中長期ビジョン及び戦略骨子
当社は、中長期ビジョンである「世界をフィールドに豊かなビール体験、顧客体験を創造する企業」を目指し、以下の5つの戦略を展開します。
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戦略骨子 |
施策・ターゲット |
|
① Bonds with Community (わくわくする体験や新しい楽しみ方の提供) |
基軸ブランドのマーケティング投資倍増、外食事業を中心に顧客接点を拡大する等により、国内ビールシェア25%、2030年国内酒類事業利益率10%以上を目指す |
|
② Healthier Choice (より健康的な選択肢の提供) |
国内ではノンアルコール・RTD開発体制強化、酒類と飲料の組織融合により健康機能価値を訴求。海外ではノンアルコール展開エリアを北米で拡大 |
|
③ Efficient Foundation (成長戦略実行に向けた組織改革) |
2026年7月に事業持株会社体制へ移行予定。国内・海外の2事業本部体制により経営効率向上、ガバナンス強化、人的資本投資を継続実施 |
|
④ Strategic Alliance (戦略的パートナーシップの構築) |
米国では構造改革に加え、サッポロブランドの成長基盤構築で他社と提携を検討 ベトナムでは製造販売両面で、カールスバーグ社と協業した市場拡大を検討 |
|
⑤ Inorganic Growth (インオーガニック成長) |
不動産事業への外部資本導入による資金を活用し、大型のM&A等も含めた成長投資を検討。顧客体験価値の提供やRTD事業の強化、海外事業強化といった重点領域を定めて投資を判断、実行していく |
2.財務戦略
長期目標としてROE10%以上を設定し、ROICを指標とした財務管理により、資本効率の向上を目指します。また、持続的な成長を実現するための財務安全性(格付A格)を確保しながら、適切なキャッシュアロケーションを行います。
さらに、上記戦略により収益力を向上させ、2024年から2030年までの事業利益で年平均10%程度の成長を目指します。2026年以降、不動産事業のオフバランスにより資本増加が見込まれ、ROEは一時的に低下する見込みですが、酒類事業への成長投資に資本投下することで利益成長を加速させ、長期視点でのさらなる資本効率性の向上を目指します。
なお、今後の中期的な期間は、当社が取り得る戦略により財務構造が大きく変わる変革期であるため、2030年の財務目標は次期中期経営計画策定の中で検討していきます。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
<サッポログループのサステナビリティに関する考え方>
サッポログループは「中期経営計画(2023~26)」における、3つの戦略の柱の一つに「サステナビリティ」を掲げております。サステナビリティ経営の推進にあたっては「サッポログループ サステナビリティ方針」のもと、「環境との調和」「社会との共栄」「人財の活躍」を柱とする重点課題を特定し、それぞれ目標を設定しその達成に向けて、進捗をモニタリングしております。今後は、「グループ中長期成長戦略」の実現に向けてより一層サステナビリティ経営の取組を推進していきます。
サステナビリティ重点課題の特定は、GRIスタンダード、SASBスタンダード、ESG格付けの外部評価等の国際的なフレームワークを参照のうえサステナビリティ課題を網羅的にリストアップし、特にサッポログループの業種・業態と関連性ある項目を、「事業による社会・環境への影響度」と「社会・環境による自社財務への影響度」を「リスク・機会」の側面からスコアリングし優先順位付けしました。社外有識者からいただいた客観的なアドバイスを参考にして、最終的に特定した重点課題を経営会議及び取締役会で承認しております。
① ガバナンス
サッポログループは、サッポロホールディングス㈱代表取締役社長を委員長とする「グループサステナビリティ委員会」「グループリスクマネジメント委員会」を「経営会議」の諮問委員会として設置しております。
「グループサステナビリティ委員会」では、グループ全体でサステナビリティ経営を推進するための全体方針を策定し、グループ内の調整を行い、担当取締役が半期ごとに気候変動や人財に関する課題を含めたサステナビリティ重点課題への対応の進捗状況について取締役会へ報告しております。また、サッポロホールディングス㈱人事担当役員を委員長とした「グループ人財戦略会議」において、人財に関する計画、アクションの策定・実行ならびにモニタリングを行うほか、その内容は年2回の取締役会にて報告しております。
「グループリスクマネジメント委員会」では、委員会事務局が半期ごとにグループにおけるサステナビリティ関連リスクの発生状況や対応、再発防止について取締役会へ報告しております。詳しくは、「
取締役会は、これら報告を受けた課題への取組や設定した目標をモニタリングし、監督しております。
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組織体 |
グループサステナビリティ委員会 |
|
役割 |
・サステナビリティ経営推進のための全体方針策定及び統括 ・事業継続に向けた中長期的な外部環境リスクと機会及びそのガバナンスに対するモニタリング |
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構成 |
委員長 :サッポロホールディングス㈱代表取締役社長 委員長代行:サッポロホールディングス㈱経営企画部 担当役員 構成員 :サッポロホールディングス㈱経営企画部長、経理部長、人事部長、総務部長 サッポロビール㈱、ポッカサッポロフード&ビバレッジ㈱、 サッポロ不動産開発㈱、㈱サッポロライオン、各社経営戦略担当役員 監査等委員 |
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開催頻度 |
年2回 |
2025年の開催実績
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開催月 |
主な議題 |
|
4月 |
・サステナビリティ重点課題に対するモニタリング ・中長期的な環境投資、責任ある飲酒の推進、人的資本投資に関する報告と意見交換 |
|
9月 |
・サステナビリティ重点課題に対するモニタリング ・経営戦略に合わせたサステナビリティ重点課題及び方針の更新に関する報告と意見交換 ・サステナビリティ重点課題(指標・目標の一部)更新に関する審議 |
取締役会におけるサステナビリティに関連した報告
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開催月 |
主な議題 |
|
5月 |
・グループサステナビリティ委員会内容の報告 |
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5月 |
・外部有識者からの「サステナビリティ・メガトレンド」インプットと討議 |
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10月 |
・グループサステナビリティ委員会内容の報告 |
当社は、取締役に対して特に「期待する」スキルを明確にしたスキルマトリクスを設定しており、「サステナビリティ」に関して、取締役として必要なスキルとして位置付けております。詳しくは、「
また、取締役の報酬に関して、業績連動型株式報酬の項目に、「ESG指標」「従業員エンゲージメント」を組み入れ、サステナビリティに関する取組を役員報酬に反映させております。
取締役の業績連動型株式報酬(サステナビリティ関連項目)
|
指標 |
|
|
ESG指標 |
1.FTSE Russel ESG Rating(注1) 2.MSCI ESG Rating(注1) 3.温室効果ガス排出削減量(スコープ1,2) 各指標におけるスコア及び格付け等の毎年の評価基準を設定 |
|
従業員エンゲージメント |
「ワークエンゲージメント」(注2) 外部評価機関調査による評価結果で毎年の評価基準を設定 |
(注)1 企業のESG関連情報収集、分析、評価等を行っている国際的な外部評価機関によるスコア及び格付け
2 従業員が仕事に対してポジティブな感情を持ち、充実している状態
② 戦略
サッポログループは「環境との調和」「社会との共栄」「人財の活躍」を柱とした、サステナビリティ重点課題(マテリアリティ)を9項目設定しております。中でも、グループの事業関連性及びリスクと機会の影響度の大きさから、「脱炭素社会の実現」「自然共生社会の実現」「地域との共栄」「責任ある飲酒の推進」「多様な人財の活躍」を、経営上特に重視する最注力課題と位置付けて、「リスクの低減」とともに「企業成長につながる機会成長」の観点から取組を進めております。
Ⅰ.サステナビリティ重点課題
|
経営理念 |
潤いを創造し 豊かさに貢献する |
||
|
提供価値 |
全ての事業が提供する時間と空間で、人々と地域社会のWell-beingに貢献 |
||
|
サステナビリティ方針 |
「大地と、ともに、原点から、笑顔づくりを。」 |
||
|
サステナビリティ 重点課題 (マテリアリティ) |
環境との調和 ① 脱炭素社会の実現 ② 循環型社会の実現 ③ 自然共生社会の実現 |
社会との共栄 ④ 地域との共栄 ⑤ 健康価値の提供 ⑥ 責任ある飲酒の推進 |
人財の活躍 ⑦ 多様な人財の活躍
|
|
⑧ 持続可能なサプライチェーン構築 |
|||
|
⑨ 安全な製品・施設の提供 |
|||
Ⅱ.リスクと機会、事業との関連性
サッポログループのサステナビリティ重点課題を特定する際に、各重点課題における「事業が社会・環境に与える影響」「社会・環境による自社財務への影響」に関してリスクと機会及び事業との関連性評価を実施しております。評価結果は以下のとおりです。
|
重点課題 |
事業が社会・環境へ与える影響 |
社会・環境による自社財務への影響 |
事業との関連性 |
||||
|
リスク |
機会 |
リスク |
機会 |
酒類 |
外食 |
食品飲料 |
|
|
脱炭素社会の実現 |
大 |
大 |
大 |
中 |
◎ |
◎ |
◎ |
|
循環型社会の実現 |
大 |
中 |
大 |
中 |
◎ |
◎ |
◎ |
|
自然共生社会の実現 |
大 |
中 |
大 |
中 |
◎ |
○ |
◎ |
|
地域との共栄 |
中 |
大 |
中 |
大 |
◎ |
◎ |
◎ |
|
健康価値の提供 |
小 |
大 |
小 |
大 |
○ |
○ |
◎ |
|
責任ある飲酒の推進 |
大 |
大 |
大 |
大 |
◎ |
◎ |
△ |
|
多様な人財の活躍 |
小 |
中 |
大 |
大 |
◎ |
◎ |
◎ |
|
持続可能なサプライチェーン構築 |
大 |
小 |
大 |
小 |
◎ |
◎ |
◎ |
|
安全な製品・施設の提供 |
大 |
中 |
大 |
中 |
◎ |
○ |
◎ |
Ⅲ.具体的な取組と経済価値の繋がり
サステナビリティ重点課題に対しての具体的な取組と経済価値(将来的な財務影響)との繋がりは以下のとおりです。
|
重点課題 |
具体的な取組 |
経済価値への繋がり |
|
脱炭素社会の実現 |
・自社拠点・サプライチェーンにおける温室効果ガス排出削減 |
・省エネ等によるエネルギー使用量減 ・将来的な炭素税導入時のコスト増の抑制 |
|
循環型社会の実現 |
・循環型社会に対応した容器包装の実現 ・プラスチック資源のリデュース・リサイクル ・廃棄物・食品ロス削減 ・水資源の有効な利用、水リスクへの対応 |
・資材の安定調達 ・資源循環を起点にした新たなビジネスモデルの創出 ・無駄のないサービス提供による利益創出 ・廃棄コストの削減 ・良質な水資源確保等のリスク低減 |
|
自然共生社会の実現 |
・気候変動に対応した原料育種 ・自然と共生する拠点・まちづくり |
・気候変動への適応策実行による、長期的な原料の安定調達 ・原料生産者との協働による付加価値創出 |
|
地域との共栄 |
・地域の価値向上 ・自社リソースを活用した地域課題解決 |
・地域創生を基軸にした新たな売上機会の創出 ・付加価値の高い国産原料の安定調達 |
|
健康価値の提供 |
・事業を通じた健康価値の提供 |
・健康価値提供による利益創出 |
|
責任ある飲酒の推進 |
・適正飲酒の啓発 |
・不適切な飲酒の防止による事業機会の維持 ・ノンアルコール・微アルコールの市場拡大 |
|
多様な人財の活躍 |
・ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)の推進 ・成長と生産性向上に向けた人的資本投資 |
・ワークエンゲージメントを高めることによる、生産性向上 ・個のスキルアップ及び多様な価値観の融合による新たな価値創出 |
|
持続可能な サプライチェーン構築 |
・サプライチェーンにおける人権尊重 ・サプライチェーンにおける環境負荷低減 ・安定調達 |
・サプライチェーン不安定化によるリスクの低減 |
|
安全な製品・施設の提供 |
・食品安全 |
・安定的な事業継続を支える基盤の構築 |
Ⅳ.気候変動・自然資本への取組
サッポログループにとって気候変動への対応が地球規模で取り組むべき最重要課題の一つであると認識し、「緩和」と「適応」の両面から課題解決に向け、将来発生する可能性のある事業環境をシナリオ分析により複数想定した上で、リスクと機会を洗い出し、その結果を戦略や取組に反映しております。また、農作物や水資源等を利用する当社にとって、気候変動と同様に自然資本への対応も重要な課題であると認識しております。自然資本の対応策を進める際には、自然資本と気候変動は密接に関わっていることから、気候変動の対応策と相互に連携させることが重要と考えて取組を進めていきます。
当社は、TCFD、TNFDの提言に賛同し、積極的な情報開示を進めております。本提言に関連した分析の詳細は当社WEBサイトをご確認ください。
<事業に関連したサプライチェーンと自然への依存・影響>
「酒類」「食品飲料」のサプライチェーン全体の主な産業プロセスを整理し、TNFD推奨ツール・ENCOREや社内情報等を参考にして、自然への依存と影響をヒートマップで整理しました。
「酒類」「食品飲料」では、サプライチェーンの上流及び直接操業ともに、原材料となる農作物の生産時の依存・影響が大きいと考えられました。具体的には、依存としては自然がもたらす安定した気候など、影響としては水利用や土地利用、温室効果ガス排出などが挙げられました。評価結果を踏まえ、サプライヤーと連携して、農業生産時の環境負荷の低減などに取り組んでおります。なかでも温室効果ガス排出については、2024年3月にFLAG関連排出の目標を立て、SBT認定を取得し削減に向けた取組を進めております。
容器包装に用いる紙の生産についても、自然への影響・依存が大きいと考えられます。紙使用量を削減した包装方法などに現在取り組んでおり、引き続き進めていきます。また、自社の直接操業であるアルコール発酵・蒸留や加工食品飲料の製造は、水に強く依存しております。水に関しては、水の高リスク地域に該当する当社工場での水使用量削減に関して2030年目標を掲げており、目標達成に向けた取組を進めていきます。
<自然関連リスクと機会の評価>
自然への依存と影響の評価結果を踏まえて、大麦・ホップの生産に伴う自然関連のリスク・機会を特定して、その大きさや発生可能性を検討しました。影響時期は短期(~2030年)、中期(~2040年)、長期(~2050年)と設定しております。
物理リスク
|
項目 |
リスクの概要 |
影響時期 |
財務影響 |
発生可能性 |
|
急性 |
病害虫の発生による収量・品質の低下 |
中 |
小 |
高 |
|
暴風雨や洪水などの気候災害による収量・品質の低下 |
短 |
小 |
高 |
|
|
気温上昇や干ばつ等による収量・品質の低下 |
中 |
小 |
高 |
|
|
慢性 |
水質汚染による収量・品質の低下や水質浄化コストの増加 |
中 |
小 |
中 |
|
土壌の健全性の低下による収量・品質の低下 |
中 |
小 |
高 |
移行リスク
|
項目 |
リスクの概要 |
影響時期 |
財務影響 |
発生可能性 |
|
政策 |
温室効果ガス排出削減目標への対応による、FLAG関連排出の削減に必要なコストの増加 |
短 |
中 |
中 |
|
30by30に向けた保護区の拡大や、IPLCsの管理地域の保護による調達先の減少・変更 |
中 |
小 |
低 |
|
|
化学肥料・化学農薬などの汚染に関連する規制の強化による対応コストの増加 |
中 |
小 |
中 |
|
|
干ばつ時の取水制限などの規制による収量低下・品質低下 |
短 |
小 |
中 |
|
|
技術 |
精密農業、再生農業などの環境負荷を低減する農業技術や、環境負荷低減やレジリエンス向上につながる品種開発への投資の増加、それらの技術の導入による短期的な収量低下やコスト増加 |
短 |
小 |
中 |
|
市場 |
環境負荷の小さい商品への消費者の選好性の変化による収益減少、市場シェアの減少 |
中 |
小 |
中 |
|
評判 |
保全重要度の高い自然などに大きな影響を与えることによるレピュテーション低下や操業許可の喪失 |
長 |
中 |
低 |
|
賠償 責任 |
保全重要度の高い自然などに大きな影響を与えることによる法的罰則・訴訟のコスト |
長 |
中 |
低 |
機会
|
項目 |
機会の概要 |
影響時期 |
財務影響 |
発生可能性 |
|
資源 効率 |
肥料や農薬などの投入量の最適化、エネルギー効率の高い機械の導入による、コスト及び環境負荷の低減 |
中 |
小 |
中 |
|
水利用効率の向上や水源地の確保・保全による、水関連リスク及びコストの削減 |
短 |
小 |
中 |
|
|
製品 サービス |
環境負荷を低減した農法の導入によるリスク低減、環境に配慮した食品の市場シェア獲得 |
長 |
小 |
中 |
|
市場 |
環境負荷の低減をテーマとした農業技術の開発や育種によるコスト削減やレジリエンス向上 |
長 |
小 |
高 |
|
環境負荷を低減した農法・農業技術の導入・開発、生物多様性保全活動によるブランドイメージ向上 |
長 |
小 |
中 |
|
|
資金 |
サステナブルファイナンスによる資金調達 |
短 |
中 |
中 |
|
持続可能な資源利用 |
気候変動に対してレジリエントな品種や、水や肥料などの使用量低減を可能にする品種の開発 |
長 |
大 |
高 |
|
保護・ 復元・ 再生 |
生物多様性の保全活動の実施 |
長 |
小 |
高 |
<シナリオ分析結果(財務影響)>
酒類事業で気候変動による影響が想定されるビール原料農産物の調達地域を対象とした、シナリオ分析を実施しました。国際連合食糧農業機関(FAO)のシナリオ分析データ等を基に、異常気象等の要因を考慮して補正しており、気候変動要因、経済社会要因、生産量に関する要因がそれぞれ異なる、サステナビリティ進展、標準、停滞シナリオについて、2050年までの収量の変化を想定しております。
|
|
気温上昇 |
異常気象 |
農業関連動向 |
社会動向 |
|
進展 シナリオ |
1.5℃ |
ある程度増加(-) |
化学肥料等の使用に関する規制強化(-) |
人口増加、生活水準向上、食料需要増加、食料価格の一定程度上昇 |
|
標準 シナリオ |
BAU |
頻発化や被害拡大(-) |
品種改良や設備投資の増加(+) |
人口増加、生活水準向上、食料需要増加、食料価格の上昇 |
|
停滞 シナリオ |
4℃ |
激甚化(-) |
作物の病害が多発し農業被害が拡大(-) |
食料価格高騰、貧困層の食へのアクセス困難化 |
+:収量にプラス影響 -:収量にマイナス影響
サステナビリティ進展シナリオでは、化学肥料使用に規制がかかる影響等によって、収量に対してマイナスの影響が出る事を想定しております。収量推計が増加基調の国では上表のマイナス要因を受けても増加や横ばいを保つ場合があります。
〇原料農作物調達への財務影響
上記のシナリオ分析の結果をもとに、原材料の調達コストに影響が大きいと予想される以下の項目について財務影響を分析しました。本分析は、2022年度における全調達をもとに、気候変動関連の影響による価格増加分のみを試算しております。
・環境規制の強化による有機栽培の拡大
・エネルギー価格高騰による調達価格の上昇
・原材料(大麦、ホップ、トウモロコシ)の収量減少による原材料価格の上昇
|
|
|
(単位:億円) |
|
|
2030年 |
2050年 |
|
サステナビリティ進展シナリオ |
2.0 |
5.5 |
|
サステナビリティ標準シナリオ |
1.3 |
5.0 |
|
サステナビリティ停滞シナリオ |
2.5 |
7.7 |
各シナリオで最も財務影響の大きかったものは、停滞シナリオでした。停滞シナリオでは、「エネルギー価格高騰による調達価格の上昇」による影響が最も大きく、「原材料の収量減少による原材料価格の上昇」による影響で、2030年時点で2.5億円、2050年時点で7.7億円という結果になりました。次に影響の大きかった進展シナリオでは、「環境規制の強化による有機栽培の拡大」による影響で、2030年時点で2.0億円、2050年時点で5.5億円という結果になりました。標準シナリオでは、「原材料の収量減少による原材料価格の上昇」、「環境規制の強化による有機栽培の拡大」による影響で、2030年時点で1.3億円、2050年時点で5.0億円という結果になりました。
品目別にみると調達額の一番大きい大麦(麦芽含む)が、各シナリオで最も価格上昇のある品目となりました。
〇炭素税導入によるスコープ1,2への財務影響
炭素税導入による財務影響は、国際エネルギー機関(IEA)のNZEシナリオ(Net Zero Emissions by 2050 Scenario)に基づき、当社拠点のエネルギー使用量から試算をしました。2030年、2050年時点において、当社も温室効果ガス削減目標が達成できた場合とできなかった場合の財務影響を分析しました。
|
年 |
温室効果ガス削減 目標が達成できた 場合の排出量(千t) |
温室効果ガス削減 目標が達成できなかった場合の排出量(千t) |
温室効果ガス削減 目標が達成できた場合の炭素税に関する コスト(千円) |
温室効果ガス削減 目標が達成できなかった場合の炭素税 に関するコスト(千円) |
|
2030 |
110 |
189 |
1,813,440 |
3,130,869 |
|
2050 |
0 |
189 |
0 |
6,055,178 |
※1USD=133.36円 (2023年の分析時点におけるレート)
IEA:NZEシナリオ
炭素税2030年:先進国130USD、新興国90USD、発展途上国15USD
炭素税2050年:先進国250USD、新興国200USD、発展途上国55USD
計画通りに排出量を削減できた場合、2030年:110千t、2050年:0tをそれぞれ見込んでおります。一方で、削減目標を達成できなかった場合、2022年の排出量が継続することを想定し2030年、2050年それぞれの排出量を189千tと見込みました。削減目標を達成できなかった場合、できた場合をそれぞれ比較すると、2030年は約13.2億円、2050年は約60.6億円のインパクトがあるという結果となりました。
<リスクと機会、財務影響と対応・施策の方向性>
シナリオ分析の結果、各シナリオで原料農産物の収量が減少する地域があることが判明しました。これらの影響を含めて、3つのシナリオが現実化した場合を想定し、サッポログループが直面するリスクと機会について、短期・中期(2030年頃)、長期(2050年)の視点で検討を行いました。
■移行リスク
|
項目 |
関連 |
影響時期 |
財務影響 |
対応・施策の方向性 |
|||
|
気候 |
自然 |
短期 |
中期 |
長期 |
|||
|
カーボンプライシング導入による事業拠点エネルギーコスト増加 |
〇 |
|
|
〇 |
〇 |
炭素税の課税 NZEシナリオ(進展シナリオ):2030年31.3億円,2050年60.6億円 |
・脱炭素化取組の推進(2030年・2050年目標達成) |
|
温室効果ガス排出削減目標への対応による、FLAG関連排出の削減に必要なコストの増加 |
〇 |
〇 |
〇 |
|
|
窒素肥料の投入量等の情報把握、その削減に必要なコスト |
・FLAG関連排出算定方法を精緻化、活動量データの取得可否や課題を調査 |
|
30by30に向けた保護区の拡大や、IPLCsの管理地域の保護による調達先の減少・変更 |
|
〇 |
|
〇 |
|
原料農作物の調達額の増加等を想定 |
・多角的な調達先の確保 ・サプライヤーを通じた最新情報の把握 |
|
農薬(化学肥料含む)に関する環境規制強化による農産物収量減 |
○ |
○ |
|
○ |
○ |
原料農産物の調達額増加 (進展)2030年2.0億円,2050年5.5億円 (標準)2030年1.3億円,2050年5.0億円 (停滞)2030年2.5億円,2050年7.7億円 ※ビール原料農産物を 対象とした2022年実績基準の試算 |
・農薬規制情報と農薬使用状況の把握 ・化学農薬に代わる生物的防除や物理的除去法等の総合的病害虫管理の情報収集と生産者動向の把握 |
|
カーボンプライシング等による農産物生産エネルギーコスト増加 |
○ |
|
|
○ |
○ |
||
■物理リスク
|
項目 |
関連 |
影響時期 |
財務影響 |
対応・施策の方向性 |
|||
|
気候 |
自然 |
短期 |
中期 |
長期 |
|||
|
温暖化・異常気象による原料農産物の品質低下や収量減 |
〇 |
〇 |
|
〇 |
〇 |
原料農産物の調達額増加 (進展)2030年2.0億円,2050年5.5億円 (標準)2030年1.3億円,2050年5.0億円 (停滞)2030年2.5億円,2050年7.7億円 ※ビール原料農産物を 対象とした2022年実績基準の試算 |
・多角的な調達先の確保 ・異常気象による品質低下リスクの低い大麦・ホップ多収性品種の開発・普及 ・病害抵抗性に優れた大麦・ホップ新品種の開発・普及 ・サプライヤーとの連携による総合的病害虫管理の導入に向けた病害虫防除体系の確立 |
|
異常気象(熱波、干ばつ、台風や集中豪雨による風水害等)による事業拠点の渇水・洪水 |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
生産停止による損失と復旧費用を想定 |
・既存拠点の水供給の安全性と渇水及び異常気象に対するリスク評価 |
|
新規感染症流行による原材料の調達停滞 |
〇 |
〇 |
|
〇 |
〇 |
生産停止による損失を想定 |
・グローバルの食品輸出入動向・規制に関する情報収集・把握 ・国内生産安定化のための基盤強化 |
|
気温上昇による設備の空調コスト増加 |
〇 |
|
|
〇 |
|
電力コスト増加を想定 |
・運転管理における省エネルギーの徹底 |
|
水質汚染や土壌の健全性の劣化による収量・品質の低下 |
|
〇 |
|
〇 |
|
原料農産物の調達額増加、水質浄化コストの増加を想定 |
・多角的な調達先の確保 ・生産者とのコミュニケーションによる状況把握 |
■機会
|
項目 |
関連 |
影響時期 |
財務影響 |
対応・施策の方向性 |
|||
|
気候 |
自然 |
短期 |
中期 |
長期 |
|||
|
温室効果ガス削減による事業拠点エネルギーコスト(炭素税額)の削減 |
〇 |
|
|
〇 |
〇 |
NZEシナリオ(進展シナリオ)2030年13.2億円,2050年60.6億円 |
・脱炭素化取組の推進(2030年・2050年目標達成) |
|
気候変動に対応可能な品種開発による安定調達 |
〇 |
〇 |
|
〇 |
〇 |
業界での幅広い普及により調達額影響の低減 |
・干ばつや多雨等の気候変動の影響を回避・軽減する大麦・ホップ適応品種の開発・実用化(2035年実用化に向けて現在開発中の大麦新品種には、麦芽加工時の省エネ効果の特性を合わせ持つものがある) |
|
原料農産物開発と商品開発による競争力の強化 |
〇 |
〇 |
|
〇 |
〇 |
大麦やホップ開発品種を用いた商品(2035年以降 上市規模 ~547億円) |
|
|
項目 |
関連 |
影響時期 |
財務影響 |
対応・施策の方向性 |
|||
|
気候 |
自然 |
短期 |
中期 |
長期 |
|||
|
ICT・ロボット等を活用した農業の効率化品種改良(育種)による品質の安定化 |
〇 |
〇 |
|
〇 |
〇 |
原料農産物価格への影響を想定 |
・国内外のパートナーとの協働による農業の新技術の活用 |
|
肥料や農薬等の投入量の最適化、エネルギー効率の高い機械の導入による、コスト及び環境負荷の削減 |
〇 |
〇 |
|
〇 |
|
投入物コストの削減効果、原料農産物価格への影響を想定 |
・国内外のパートナーとのコミュニケーション、FLAG等当社脱炭素目標の共有 |
|
水利用効率の向上や水源地の確保・保全による、水関連リスク及びコストの削減 |
|
〇 |
〇 |
|
|
水関連対応コストの削減を想定 |
・生産拠点における水の効率的使用、定期的な水リスク調査によるクライシス発生の回避 |
|
サステナブルファイナンスによる資金調達 |
|
〇 |
〇 |
|
|
資金調達しやすくなることを想定 |
・ESGに関する外部評価の向上 |
■適応策
酒類事業では、サッポロビール原料開発研究所を拠点に国内外の大学や研究機関、サプライヤーと連携しながら新品種の開発に取り組んでおります。気候変動により影響が大きくなると想定されるビール主原料について、病害抵抗性に優れ、異常気象でも収量や品質が安定している品種の実用化を目指し、開発を進めております。
③ リスク管理
サッポログループは「リスク」を組織運営に影響を与える不確実性と定義し、グループを取巻く様々な経営リスクの発生を未然に防止するとともに、企業活動に重大な影響を及ぼすリスクが顕在化した場合には、発生時のリスク対策を適宜実施することで損失を最小限に抑える等、事業の継続的な維持・発展、及び社会からの信頼の確保に努めております。
なお、「経営会議」、「グループサステナビリティ委員会」及び「グループリスクマネジメント委員会」は、相互の役割を認識し、それぞれの機能に対応しております。主要リスク、顕在化した場合の影響、主な対策は、「
また、サステナビリティに関連したリスクに関しては、テーマ毎にリスクを評価し管理、対応を実施しております。気候変動や自然資本はTCFDやTNFDのフレームワークに沿って事業影響の分析や対応策の検討、水資源に対しては総合水リスクの評価と対応、人権の尊重に対してはサプライチェーン上の人権尊重に向けた人権デュー・ディリジェンスの対応に取り組んでおります。
④ 指標及び目標
Ⅰ.気候変動関連
<温室効果ガス排出の測定方法に関する開示>
サッポログループは、温室効果ガス排出を測定するにあたり、事業活動における実質的な管理と支配を正確に反映するため、測定アプローチとして経営支配力基準を用いております。また、GHGプロトコルに基づき温室効果ガス排出を測定するにあたり、スコープ2(購入した電力、蒸気、熱からの間接排出)の電力における算定はマーケット基準を用いております。当該基準は企業が電力購入契約を通じて選択した特定の電力供給源に基づく排出係数を用いて排出量を計算する方法です。排出量を正確に把握し、持続可能な経営戦略の策定に資することを目的としております。
<温室効果ガス排出量削減目標>
|
目標設定会社 |
目標(2030年) |
|
サッポログループ |
・スコープ1,2 温室効果ガス排出量を2022年比で42%削減 |
|
SB, SBL, PS |
・スコープ3 温室効果ガス排出量を2022年比で25%削減 |
|
・FLAGスコープ1,3 温室効果ガス排出量を2022年比で31%削減 |
*SB:サッポロビール㈱、SBL:SLEEMAN BREWERIES LTD.、PS:ポッカサッポロフード&ビバレッジ㈱
*温室効果ガス排出削減目標はSBT認定を取得しております。
<温室効果ガス排出量>
サッポログループの温室効果ガス排出量に関する当連結会計年度(2025年度)実績は、2026年8月に当社WEBサイト上にて開示を予定しております。また、当社では、将来的に有価証券報告書内で会計年度実績を適時に開示できるよう、データ集計及び管理体制の強化・整備を現在進めております。なお、温室効果ガス排出量の算定結果については国際基準ISAE3410に準拠した第三者検証を一般財団法人日本品質保証機構から受けております。
※当社WEBサイト(ESGデータ集)
(千t-CO2e)
|
|
2024年実績 |
削減比率 |
2025年実績 |
|
スコープ1,2温室効果ガス排出量 |
|
11.4% |
集計中 |
|
スコープ3温室効果ガス排出量 |
|
14.0% |
集計中 |
|
FLAGスコープ1,3温室効果ガス排出量 |
53 |
25.9% |
集計中 |
※削減比率は2022年を基準年とした比率
スコープ3温室効果ガス排出量に関する内訳 (千t-CO2e)
|
|
概要 |
2024年実績 |
2025年実績 |
|
カテゴリー1 |
購入した製品・サービス |
672 |
集計中 |
|
カテゴリー2 |
資本財 |
21 |
|
|
カテゴリー3 |
スコープ1,2に含まれない燃料及びエネルギー関連活動 |
27 |
|
|
カテゴリー4 |
輸送・配送(上流) |
98 |
|
|
カテゴリー5 |
事業から出る廃棄物 |
3 |
|
|
カテゴリー6 |
従業員の出張 |
0 |
|
|
カテゴリー7 |
従業員の通勤 |
1 |
|
|
カテゴリー8 |
リース(上流) |
21 |
|
|
カテゴリー9 |
輸送、配送(下流) |
87 |
|
|
カテゴリー10 |
販売した製品の加工 |
算定対象外 |
|
|
カテゴリー11 |
販売した製品の使用 |
10 |
|
|
カテゴリー12 |
販売した製品の廃棄 |
15 |
|
|
カテゴリー13 |
リース資産(下流) |
4 |
|
|
カテゴリー14 |
フランチャイズ |
算定対象外 |
|
|
カテゴリー15 |
投資 |
20 |
|
|
スコープ3合計 |
979 |
||
FLAGスコープ1,3温室効果ガス排出量に関する内訳 (千t-CO2e)
|
カテゴリー |
2024年実績 |
2025年実績 |
|
土地利用変化排出 |
12 |
集計中 |
|
土地管理排出 |
41 |
|
|
FLAG関連排出 合計 |
53 |
<サッポログループ環境投資>
サッポログループでは温室効果ガス削減計画の達成に向けて、生産拠点では設備の高効率化や工程の合理化等の省エネ活動、又は電力を中心に再生エネルギーへの転換を進めます。なお、2022年から2030年の8年で約21億円の環境投資を行います。
<内部炭素価格>
脱炭素を目的とした投資判断の枠組みでは、ICP(Internal Carbon Pricing)を主要事業会社で導入しており、投資額の試算では6千円/t-CO2を採用しております。
Ⅱ.サステナビリティ重点課題関連
サステナビリティ重点課題に対し、それぞれ目標を設定し、その達成に向けて、進捗をモニタリングしながら取組を推進しております。温室効果ガス排出以外の指標及び目標の一覧、最新の実績は当社WEBサイトを参照願います。
*当社WEBサイト
*2026年8月に実績及びサステナビリティ情報の更新を予定しております。
<サッポログループの人財戦略(多様な人財の活躍)>
中期経営計画(2023~26)では、事業構造を転換し「海外事業の成長」「コア事業の収益力強化」を大きな柱として、持続的成長に向けた基盤の構築を目指しております。この事業変化に迅速に対応し、経営戦略を実現していくため、それを担う重要な経営基盤である人財と組織の強化を目的に、グループ人財戦略(2023-2026)を策定しました。
人財戦略では、北海道の「開拓使」をルーツとする創業以来の強みをベースとしながら、海外事業をはじめとする新たな事業や新たな商品・サービスの創出に果敢に越境し、変化に挑む組織づくりのための「多様性と流動化の加速」、注力する事業分野や経営戦略の実効性を上げるための「優先度の高い人財への集中投資」、当社で働くグループメンバーがエンゲージメント高く成果貢献できる「100%の力を発揮できるしくみ・環境の整備」の3つの戦略を掲げ、取組を推進しています。
なお、サステナビリティ重点課題において「多様な人財の活躍」を最注力課題に設定しています。
*SH:サッポロホールディングス㈱
*4事業会社:
サッポロビール㈱・ポッカサッポロフード&ビバレッジ㈱・サッポロ不動産開発㈱・㈱サッポロライオン
中期経営計画、事業戦略、財務目標に関しては「
① 戦略
サッポログループ人財戦略においては、3つの戦略に基づき、5つの優先課題とKPIを定め、人財育成と社内環境整備に取り組んでおります。
■戦略①多様性×流動化=変化への挑戦
新たな領域の開拓や、コア領域の更なる成長に向け、これまでの当社内における常識や既存の価値観から脱却し、多様性と流動化を加速することを重要課題と位置付けております。
<多様性の促進>
優先課題として位置付ける女性活躍については、女性取締役、管理職比率の2026年KPI12%以上(サッポロホールディングス㈱+4事業会社)に対し、各社にて年度目標を設定し、進捗をローリングしながら取組を推進しております。経営トップ層からマネジメント層に対しては、自らの言葉で方針を発信し意識改革を促すとともに、管理職候補の女性社員に対しては、社長と直接キャリアを考える場を設ける等、計画的な育成へ注力してまいりました。また、女性経営職の社外からの積極採用の取組も加わった結果、2025年女性取締役比率は17.2%、管理職比率は9.5%の目標値に対し、10.8%となりました。2030年のサッポロホールディングス㈱取締役比率30%、2026年管理職比率12%を目標に着実に前進してまいります。
2026年人財戦略の最終年度の確実な目標達成に向け、社内人財の育成スピードの加速、社外人財の積極的な登用を通じ、多様性のさらなる加速を図ってまいります。

国内主要会社で実施している従業員意識調査では、多様なメンバーが働きやすい環境であると72%が回答し年々数値は改善しています。一方で、「多様な考えを活かそうとしている」に関しては63%と一定の改善は見られるものの、KPIの「DE&I・チーム力3.2(4点満点)」に対しては、3.0の実績にとどまっており、更なる推進が必要であると考えております。
職場におけるインクルージョンの一層の加速に向け、DE&I推進や女性管理職育成に関する事業場長の役割・責任を社長や人事担当役員自らの言葉で直接説明する等、組織として多様な人財が力を発揮できる環境づくりを進めております。
<社内外人財の流動的な活用>
中期経営計画で掲げた収益力の向上や事業ポートフォリオに即した人財アロケーション、DX・ITの活用による業務効率化推進により、労働生産性は年々向上しております。
2026年7月には事業持株会社体制への移行を予定しており、「One SAPPORO 経営」の下、より機動的かつコンパクトな組織・人員体制構築に取り組んでおります。
また、多様な人財が流動的に動きシナジーを創出することを目的に「誰もが越境し挑戦するのが当たり前」となる文化醸成を進めてきました。人財公募については、2025年度に過去最多の49件を募集、94名が応募しました。社内外副業についても、2026年KPIである社内副業経験者300名に対し、378名となり前倒しで目標を達成しました。
今後も、社内外の新たな職場・業務へ自らの意思でチャレンジする経験を通じキャリア自律を更に加速していきます。
更に、グループ社員の約37%を占める50代以上のシニア層の活躍も重要な課題と位置付けております。希望者を対象としたキャリア面談は、2025年末時点で50歳以上社員の約18%に実施し、新たなキャリア構築を支援する環境を整備しております。
高度キャリア人財の採用についても、2024年より取組を進め、2025年は、国際事業をはじめとする事業戦略上重要なポジションへ事業場長クラス4名を含むマネジメント層の登用を行いました。併せて、人事総務部門担当者向けに新たな人財が組織に早期に組織になじめるためのオンボーディング研修の実施等、安心して能力を発揮できる環境づくりを推進しております。
■戦略②人的資本投資=個と組織の強化
サッポログループでは、優先し集中投資する人財として経営層、グローバル、DX・ITの3つを掲げ、人財確保・育成を推進しております。
<経営人財育成>
中長期成長戦略の実効性を高める上で、経営人財の高度化は必須であり、計画的な育成、登用を目的に2024年に経営人財育成のプロセスを明確化いたしました。
指名委員会と連携し、経営人財候補者の育成を推進する「経営人財戦略会議」を2024年に新設し、中長期成長戦略を踏まえた経営人財要件を再定義しました。2025年度は、社内候補者のアセスメント結果等を踏まえたスキル・経験を可視化し、今後の配置や研修派遣等の育成計画を策定、実行し、不足ポジションへの外部登用の検討等、人財プールの強化へ取組を進めております。
また、社長を含めた全役員対象の360度評価研修も継続実施し、自身の行動を振り返り、強み・弱みを把握し、「経営層自らが本気で変わる」を実践し、トップ層自ら組織風土改革をリードするとともに、経営人財の更なる高度化へ取り組んでおります。
<スピードある成長への積極投資>
重要な経営基盤である人財への積極的な投資を進めてきました。グローバル人財、DX・IT人財の育成、支援型マネジメントの進化やリスキリングに関わる取組を実施した結果、サッポロホールディングス㈱+4事業会社の2025年人財育成投資額は328百万円、一人当たり投資額は、約10.5万円となりました。
一人当たり投資額(正社員)
約10.5万円 *2024年実績 約8.3万円
・グローバル人財育成
グローバル中核人財100名の確保を目標に、対象者を2段階(入学、配置レベル)に分け、きめ細やかに人事管理し、人財の高度化を進めております。専門人財育成については、語学、国際ビジネス力の強化研修に加え、海外子会社へのトレーニー派遣、海外子会社からの人財受入等、積極的なコラボレーション機会を創出しております。グローバル経営人財候補者を対象とした海外ビジネススクールへの2名の短期派遣等、将来のグローバルビジネスを支える人財育成を加速しております。更に、将来の海外事業の拡大を見据え、人財の裾野を広げていくため、選抜者対象の若手グローバル人財研修、グローバルリーダー人財研修、全社向け語学力強化等、育成への投資を進めております。
・DX・IT人財育成
DX基幹人財戦略に関しては「
・支援型マネジメントの進化
人の成長によって組織を成長させることを目的とした当社の人事制度(育成評価制度)において、マネジメント力の一層の進化は不可欠であると考えております。マネジメント層自らが学び続ける姿勢を持ち、その責任と覚悟を問う目的で、これまでの一律のマネージャー研修を手挙げ制の形式に変更し、支援型マネージャー修練プログラムを展開しております。2025年は6プログラムを実施し延べ363名が受講しております。(前年比121%増)
このような取組の結果、従業員意識調査において「職場では、各自の強みを活かしてチームとして高い成果をあげようとしている」と75%が回答、マネジメント力の強化につながっていると考えております。一方、課題としていた「職場には、ワクワクする目指したい姿を定めてみんなで失敗することを恐れずに挑戦しようとする雰囲気がある」については、前年より2ポイント改善したものの、KPIである「未来価値創造への挑戦」3.0以上(4.0満点)に対しては、前年同様に2.7という結果となりました。これを受け、各社では組織力の強化に向け、職場でのガチ対話の展開、各組織方針へ落とし込んだ目標設定等により、数値向上への取組を進めております。
サッポロビール社では将来の新規事業創出に向けた取組の一つとして、2024年ビジネスコンテストを開催し、1組が事業化検討権を獲得。2025年度も1組が事業化検討権、2組が検討継続権を獲得しました。新しいことにチャレンジしたくなる気運の醸成、その実現を担える人財を生み出す取組をさらに進めてまいります。
■戦略③働き続けたい環境整備=100%の力発揮
<エンゲージメント向上と健康促進>
多様な人財が100%の力を発揮し、いきいきと活躍できる環境の整備に向け以下の取組を通じ魅力ある会社への一層の変革を目指しております。
・育児、介護、病気等と仕事が両立できるしくみ・環境づくりの推進
仕事と育児の両立の不安払拭や休職職場応援ポイント制度の導入等の取組の結果、サッポロビール社では2023年に男性育児休業取得率100%を達成し、2年連続でNextなでしこ共働き・共育て支援企業に選定されました。
介護離職防止に向けては、介護セミナー、全管理職向けにe-ラーニングを展開。がん罹患者による介護体験談をカフェ形式で開催する等、治療と介護、仕事との両立を考える機会とし、両立支援を強化しております。
また、多様な発想・考え方を有する人財の最大限の力の発揮を目的に、社内外で LGBTQ+への取組を続けてきた成果も認められ、評価指標である「PRIDE指標2025」のゴールドを初受賞しました。
従業員意識調査では、昨年に引き続き約75%が「育児や介護、がん等の治療をしながらも働き続けられる環境が整っていると感じる」と回答。今後も、個々のメンバーが抱える課題と仕事の両立支援を進めてまいります。


・健康経営推進
サッポログループでは、心身の健康は、従業員・その家族・会社の幸せを創造することにつながるものと考え、2017年8月に「健幸創造宣言」、2023年からは健康経営中期計画に沿って健康投資施策を展開しております。自己の健康管理に資するヘルスリテラシーの向上、運動習慣の定着化、職場での健康風土の醸成等への取組により、従業員意識調査でのワークエンゲージメントは前年より0.4ポイントアップ、プレゼンティーイズムは2026KPIに対し順調に進捗し、POS(会社からの健康支援)を感じる割合は80%超と高水準を維持しております。このような取組の結果、グループ8社が健康経営優良法人に認定。更にサッポロホールディングス㈱は2025年健康経営銘柄に初選定されました。
サッポログループ健康経営中期計画(2023-2026)戦略マップ

ワークエンゲージメントは偏差値、国内14社
プレゼンティーイズム損失率はサッポロホールディングス㈱+4事業会社
② 指標及び目標
サッポログループの人財戦略に関する、指標、目標及び実績は以下のとおりです。なお、2026年KPI達成を目指し、未達項目の達成、既に達成している項目に関しては更なる向上へ取組を進めてまいります。
(定量項目のみ記載)
|
指標 |
*対象会社 |
KPI |
2023年 実績 |
2024年 実績 |
2025年 実績 |
|
|
① |
|
7.9% |
15.2% |
|
|
|
① |
|
6.7% |
7.2% |
|
|
DE&I・チーム力 |
③ |
3.2以上(4点満点) |
3.0 |
3.0 |
3.0 |
|
|
② |
|
175名 |
261名 |
|
|
人財公募 |
② |
35件/70名以上 |
35件/応募68名 |
22件/応募37名 |
49件/応募94名 |
|
|
① |
|
100名 |
100名 |
|
|
|
③ |
|
200名 |
200名 |
|
|
未来価値創造への 挑戦 |
③ |
3.0以上(4点満点) |
2.7 |
2.7 |
2.7 |
|
ワークエンゲージメント |
③ |
54以上(偏差値) |
54.0 |
54.0 |
54.3 |
|
|
① |
|
33.8% |
33.9% |
|
*対象会社
①サッポロホールディングス㈱+4事業会社
②サッポロビール㈱
③国内グループ主要会社
サステナビリティ重点課題「多様な人財の活躍」における指標及び目標、最新実績は当社WEBサイトを参照願います。
*2026年8月に実績及びサステナビリティ情報の更新を予定しております。
(1)リスクマネジメントに関する基本的な考え方
当社グループは、「リスク」を組織運営に影響を与える不確実性と定義し、グループを取り巻く様々な経営リスクの発生を未然に防止するとともに、企業活動に重大な影響を及ぼすリスクが顕在化した場合には、速やかに適切な対応策を実行し、損失の最小化を図るとともに、事業の継続的な維持・発展及び社会からの信頼の確保に努めています。
なお、企業活動に重大な影響を及ぼす脅威と機会の双方を考慮しながら、リスクを適切に管理し、対処しています。
(2)グループリスクマネジメント体制
当社グループは、リスクマネジメントの実効性を高めるため、エンタープライズリスクマネジメント(ERM)を導入しています。「グループ中長期成長戦略」の実現に向けて、グループ全体の経営リスクを把握し、戦略の遂行と経営目標の達成を阻害する可能性のある重要リスクを特定、影響度と発生可能性により評価し、対応計画を策定、対策の実行・モニタリングを実施することでリスクの低減に取り組むなど、適切なリスク管理体制を構築し、運用しています。
当社は、代表取締役社長を委員長とし、当社のリスク担当役員をはじめ、酒類や食品飲料、不動産等事業会社のリスク担当役員等から構成される「グループリスクマネジメント委員会」を経営会議の諮問機関として設置し、グループの事業活動に重大な影響を与える重要リスクを一元的に管理しています。同委員会は、グループリスクマネジメント方針の立案やリスク情報の収集、リスク低減に向けた取組のほか、グループ会社への必要な指示や支援等リスクマネジメント活動の全般を統括しています。また、同委員会の下部組織であるサブコミッティーでは、各事業会社のリスク担当部署と連携しながら、グループ及び各社の重要リスクへの取組の推進と進捗状況のモニタリングを実施しています。これらの取組やグループにおける重要リスクについては、当社の経営会議において確認の上、取締役会へ報告し、取締役会はこれらの報告を通じて、リスクマネジメントの有効性を監督しています。
なお、グループリスクマネジメント委員会は、サステナビリティに関連するリスクについて、「グループサステナビリティ委員会」と連携しながらリスクを管理しています。
◆グループリスクマネジメント体制図
(3)サッポログループにおける主要なリスク
有価証券報告書に記載した事業の状況、経営の状況等に関する事項のうち、経営者が投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。各リスクについては、外部環境等も踏まえ、社内で定めた指標に基づき、グループとして影響度が大きなリスクを定量・定性の両面から総合的に評価し、影響度と発生可能性を「大」「中」「小」の3段階で評価しており、いずれも双方が「中」以上のリスク項目を重要リスクとしています。また、主要なリスクを「経営戦略リスク」と「オペレーショナルリスク」に分類して管理しています。ただし、以下はすべてのリスクを網羅したものではなく、記載された項目以外のリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
<グループ重要リスクのヒートマップ>
<経営戦略リスク>
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項番 |
項目 |
想定するリスク |
顕在化した場合の影響 |
主な対策 |
前年から の変化 |
影 響 度
|
発生 可能性 |
|
① |
事業の成長戦略 |
・市場環境や事業環境の変化や買収・提携・協業等による経営及び資産の悪化等 ・買収・提携・協業対象の事業に関する事前調査不足による契約締結後のリスクの顕在化 ・買収・提携・協業した相手先のガバナンスの欠如によるアナジー効果 |
・当該事業の目的未達による業績、財務状態への悪影響 ・経営環境の著しい悪化や収益性低下による減損損失の発生 |
〚全社〛 ・リスクシナリオを含む戦略シナリオの策定と成長投資に関するポートフォリオマネジメントの実行 |
↗ |
大 |
大 |
|
〚国内〛 <酒類> 市場縮小と健康志向の進展により、従来のビール需要が想定以上に減少するリスク <食品飲料> ・レモン市場での競合激化とコスト競争力不足により収益性が悪化するリスク <外食> ・飲酒離れと健康志向の高まりにより外食市場が縮小し店舗収益が低下するリスク |
〚国内〛 <酒類> ・目標未達、事業利益も大幅に減少し収益基盤が悪化、柱となる事業について戦略の見直しが必要となる <食品飲料> ・レモンの売上成長、利益目標が未達となり事業の構造改革が必要となる <外食> ・店舗売上減少により事業の収益性悪化、店舗閉鎖等で顧客接点も減少 |
〚国内〛 ・黒ラベル・ヱビスなどコアブランドへの重点投資やRTD強化、レモン事業の拡大、飲料・スープの収益改善 ・コスト構造改革とBS改革の継続、国産原料安定確保、ブランド発信拠点化による顧客接点強化など、収益力と事業継続性を高める取組の実施 |
|||||
|
〚海外〛 <酒類> ・市場環境の悪化、北米の事業構造改革や輸出・ライセンス事業の収益性改革が計画通りに進まないリスク <飲料> ・シンガポール・マレーシアでの価格競争激化や輸出先における地政学リスク顕在化により収益性が大幅に悪化するリスク |
〚海外〛 <酒類> ・事業利益目標が未達となり海外酒類全体で大幅な収益性悪化 <飲料> ・Teaカテゴリー戦略や市場ポートフォリオの見直しが必要となり、事業利益目標未達となる |
〚海外〛 <酒類> ・KRI(Key Risk Indicators)を継続的にモニタリングし、閾値超過時には前提条件を見直して迅速に戦略を修正することで対応 <飲料> ・シンガポールにおけるブランド強化・付加価値向上 ・マレーシアにおけるブランド浸透とディストリビューションカバー率向上 ・地政学リスクを鑑みたマーケットポートフォリオの見直し |
|
項番 |
項目 |
想定するリスク |
顕在化した場合の影響 |
主な対策 |
前年から の変化 |
影 響 度
|
発生 可能性 |
|
② |
原材料等の調達 |
・市況の悪化や為替の変動等による主要な原料・資材の価格変動 ・気候変動や自然災害、地政学リスク、サプライヤー減少等により必要数を確保できない、または納期遅延リスク |
・原料・資材の高騰など調達コストの増加によるグループ業績への悪影響 ・原料・資材の調達が十分できない、または納品遅延による製造計画への影響や需給調整等の発生、または生産停止に追い込まれる可能性 ・上記が長期化した場合のグループ業績への悪影響 |
・市況の最新情報収集強化 ・各種調査機関等を活用した市場動向の把握 ・調達先の分散・多様化、長期契約の活用 ・適正在庫の水準の再検討、為替予約等 ・サプライチェーン全体での効率的な生産活動の促進 ・サプライヤー経営安定化を目的とした適正な価格転嫁 |
→ |
大 |
中 |
|
③ |
人的資本経営 |
・成果創出につながる組織・人員体制の構築が進まず、労働生産性が低下 ・経営戦略上必要な人財(女性、経営、グローバル、DX・IT等)への投資不足により、確保、育成が進まず、企業競争力が低下 |
・労働生産性悪化による収益力の低下 ・採用難、人財不足による経営戦略実行・実現への悪影響 |
重要な経営基盤である人財と組織の強化を目的に、人財戦略において以下3つの戦略を推進 ・多様性と流動化の加速 ・優先度の高い人財への集中投資 ・100%の力を発揮できるしくみ・環境の整備
※具体的な対策につきましては、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載しています。 |
↗ |
大 |
中 |
|
④ |
R&D |
・技術革新の進展や競争環境の変化により、製品・製造工程における強みとしてきた技術が陳腐化し、競争優位性が低下 ・お客様の嗜好や生活様式の変化、技術動向、法規制の改正、気候変動等により事業環境が予測以上に変化した場合、研究開発の方向性や成果が市場ニーズと乖離し、市場における競争力が低下 ・Healthier Choice、Sustainability、Bonds with Communityといった重点領域への不十分なリソース配分や研究テーマ選定により、研究開発成果が事業価値創出に結びつかず、イノベーションが停滞 |
・新商品開発の停滞や上市遅延による売上機会の逸失 ・ブランド価値の低下及び競争優位性の喪失 ・価値創造及び新市場創出の遅延 ・中長期的な収益構造の悪化及び経営資源配分の非効率化 ・研究開発人財の流出や将来的な人財確保の難化 |
・「おいしさ」と「健康」を基軸として、お客様の価値観やニーズ、生活様式の変化を継続的に把握し、それらに対応した研究開発及び商品提案の推進 ・市場動向や技術トレンド、競争環境に関する定期的な分析を行うとともに、酒類事業及び食品飲料事業におけるR&D戦略の立案・推進状況の継続的なモニタリングの実施 ・研究開発テーマの選定やリソース配分において、Healthier Choice、Sustainability、Bonds with Communityといった重点領域との整合性を確保し、事業価値創出につながる研究開発の推進 ・社内外の知見を活用したオープンイノベーションを推進し、技術革新や市場変化への対応力を高める取組の実施 ・気候変動への対応として、環境変化に適応可能な大麦やホップの育種を進めるとともに、持続可能な原料調達に向けた研究開発の推進 ・研究開発人財の育成やキャリア形成を支援し、専門性の向上と多様な挑戦機会の創出を通じて、研究開発力の維持・強化 |
↗ |
大 |
中 |
|
項番 |
項目 |
想定するリスク |
顕在化した場合の影響 |
主な対策 |
前年から の変化 |
影 響 度
|
発生 可能性 |
|
⑤ |
責任ある飲酒の推進 |
・世界的なアルコール規制の強化や健康志向の高まりによる消費者需要の縮小 |
・売上減少による収益性の低下 ・市場環境の変化による利益目標の未達 ・中長期の成長期待が損なわれることによる企業価値の低下 |
法定年齢での飲酒の遵守や「妊産婦飲酒」「多量飲酒」「飲酒運転」等の不適切な飲酒撲滅に向けた「責任ある飲酒の推進」の啓発活動実施 ・アルコール関連問題に関係する自主ガイドラインに沿った事前審査の実施など、不適切な広告表現等の防止 ・外食事業におけるアルコール飲料と清涼飲料水の誤飲防止策の実施 ・ノンアルコール商品、微アルコール商品の開発及び取組強化 |
↗ |
大 |
中 |
|
⑥ |
環境 |
・気候変動のさらなる進行により、エネルギー使用量削減や温室効果ガス排出量削減など、当社グループの環境施策に対する要求水準が高まるリスク ・気候変動が進行し、主要原材料(農産物等)や水資源の安定的な確保が困難となるリスク ・当社グループが原因となる環境汚染や生態系破壊が発生し、環境対応や事故対策などの計画外コストの発生 ・環境対応が不十分と認識され、社会からの期待に応えられない場合、企業価値が低下 |
・法規制や新規政策の導入などによる法令遵守に係る追加コストの増加や、事業活動に対する制約の発生 ・操業停止や生産制約による機会損失の発生 ・事故対応・補償などの計画外費用発生等によるグループ業績への悪影響 ・社会的評価の低下や企業価値の低下による事業継続性への悪影響 |
・「サッポログループ環境ビジョン2050」を策定し、「環境との調和」の実現に向けて、①脱炭素社会②循環型社会③自然共生社会を目指すべく取組の推進 ・2019年5月の「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言を踏まえた情報開示の実施 ・温室効果ガス排出量の削減 ・森林破壊防止に対する取組の推進 ・「自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)」開示提言の採用者「TNFD Adopter」へ登録し情報開示を実施 ・気候変動に適応した新品種(大麦・ホップ)開発、大麦の窒素肥料の施肥最適化に向けた取組の推進 ・水リスクへの対応、モニタリングの実施 ・化石燃料由来のプラスチック使用量の削減
※具体的な対策につきましては、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載しています。 |
→ |
大 |
中 |
|
⑦ |
人権尊重 |
・社会的価値観の変化による人権対応への要求水準が高度化し、企業として人権尊重責任を十分に果たせないリスク |
・人権侵害に関する事案が発生した場合、社会的信用の毀損やブランド価値の低下 ・信用失墜による調達・生産・販売等の事業活動への影響 ・これらによる事業縮小や撤退を余儀なくされる可能性 |
・「サッポログループ人権方針」を策定し、当該方針に沿った持続可能なサプライチェーンの構築・推進 ・国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づき、人権デュー・ディリジェンスの仕組みを構築・実施 ・サステナビリティ重点課題の進捗をモニタリングし、適切な情報開示の実施 ・「サステナビリティ調達アンケート」やSedexを活用し、取引企業の遵守状況の評価を実施 |
→ |
大 |
中 |
|
項番 |
項目 |
想定するリスク |
顕在化した場合の影響 |
主な対策 |
前年から の変化 |
影 響 度
|
発生 可能性 |
|
⑧ |
情報技術 |
・製品の販促にデジタルを十分活用できないことによるシェア拡大機会の損失 ・業務プロセスにデジタルを適切に活用できないことによる競争優位性の低下 ・グループ内において価値のあるデータを企業活動に有効活用できないことによる機会損失や非効率の発生 ・データやAIに関するガバナンスの未策定による誤った意思決定やコンプライアンス違反の発生 ・DX専門人財の確保や育成が計画通り進まない可能性 |
・業務効率性を改善できず、競争力の低下やコスト増による収益力の低下 ・組織能力が向上できず、効率化による成果の遅延、経営戦略推進への悪影響 ・データ活用による価値創造が実現できず、機会損失が発生 |
・DX・IT戦略の推進体制の構築・運用 ・データ分析環境・ツールの整備及び活用促進 ・顧客データ活用によるマーケティング施策及び顧客ロイヤリティ向上施策の企画・実施 ・人財データの活用施策計画の策定・実行 ・生成AIの活用推進 ・データガバナンス体制の構築・運用 ・データ利活用に向けたデータ基盤の拡充 ・全社員向けeラーニング、アセスメントの実施 ・DX人財育成プログラムの実施 |
→ |
中 |
大 |
|
⑨ |
財務・税務 |
・財務報告の虚偽記載や誤謬による罰金の支払いや、酒税を含む不適正な税務処理による罰金、レピュテーションの毀損 ・移転価格税制における取引価格の見解相違や、世界各国の租税法令等の発効、施行、導入及び改廃等による税負担増の発生 ・円安による原材料価格上昇、収益力の悪化、値上げによる需要の減少 ・金融資産及び金融負債の価値増減による損失の発生 ・経営環境の著しい悪化等による収益性の低下や市場価格の下落等による減損損失の発生 ・与信管理不足による貸倒損失の増加に伴うキャッシュフローの減少 |
・財務諸表の修正申告、修正コストの発生、追加税の負担 ・会計基準違反や罰則、制裁の可能性 ・投資家・取引先の信頼低下、損害賠償の発生 ・ブランド価値の毀損 ・円安影響による採算悪化 ・為替変動に伴う円換算損益の悪化による損失の発生 ・金利の変動による受取利息や支払利息の増減 ・市場金利の上昇、格付機関による当社の格付引下げにより、金利の負担や、資金調達の条件の悪化 ・貸倒損失増加、キャッシュフロー減少 |
・経理研修実施により全社のファイナンスリテラシー及び人材力を強化 ・リスク回避または軽減を目的とした為替予約やスワップなどのデリバティブ取引や円建て取引の検討・実施 ・金利環境等の変化を踏まえた資金の調達手段の検討と分散 ・金融市場動向の継続的なモニタリングの実施 ・グループの「投資基準」「事業撤退基準」に基づく投資判断の実施 ・新規取引先の信用調査の実施、既存取引先のモニタリングの実施 |
→ |
中 |
大 |
<オペレーショナルリスク>
|
項番 |
項目 |
想定するリスク |
顕在化した場合の影響 |
主な対策 |
前年から の変化 |
影 響 度 |
発生 可能性 |
|
⑩ |
製品・品質 |
・製品及び原料に係る品質欠陥及び表示不備、法令違反の発生による製品回収、出荷不良品発生、製造物責任等の追及 ・外食事業における店舗等での食中毒や食物アレルギーの発生による健康被害並びに一定期間の営業停止命令等 ・新たに参入する事業領域において、適切な品質目標を設定できず、製品不備や規格に合致しないことによるリコールの発生 |
・ブランド・企業イメージの毀損と中長期的な売上減少、シェア低下 ・製品回収・リコール対応による直接コスト増大 ・法令違反による行政処分・罰金(営業停止命令、課徴金など) ・外食事業での食中毒発生による健康被害補償(医療費、慰謝料)や営業停止に伴う売上減少などの経済的損失 ・ISO等国際規格遵守のための再構築の整備及びコストの発生 |
・「サッポログループの品質保証体系」及び「サッポログループ品質行動指針」を策定 ・サッポロビール社の品質保証部内にグループ品質保証グループを設置し、各社の品質保証活動のモニタリングを実施 ・調達取引先や製造委託会社等への指導及び監査の実施 ・事業内容や商品・サービスの特性に応じたグローバルな食品安全システム「GFSI(※1)ベンチマーク規格」、「HACCP(※2)」等に基づく管理体制を構築し、重大なトラブルを未然に防止する品質保証体制を継続的に強化
(※1)GFSI(Global Food Safety Initiative)とは、世界の食品サプライチェーン全体における食品安全リスク低減を主な目的とした組織です。 (※2)HACCP(Hazard Analysis&Critical Control Point/危害要因分析・重要管理点)は、国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)の合同機関である食品規格(コーデックス)委員会から発表されています。 |
→ |
中 |
中 |
|
⑪ |
情報セキュリティ |
・企業機密・個人情報の漏洩や改ざん、破壊 ・サイバー攻撃(標的型攻撃・認証情報搾取・マルウェア侵入 等)による重要情報の改ざんや個人情報流出 ・データ連携先(協業先・外部委託先)の故意・過失に起因する情報漏洩 ・退職者管理の不備による情報流出 |
・情報システム停止による企業活動の停止・遅延 ・ブランド・信頼の毀損(営業機会損失・取引縮小) ・法的制裁・罰金、データ回復やシステム修復の追加コスト、顧客対応コストの増加 ・多額の賠償金に伴う業績・財務への悪影響 |
・外部からの攻撃に対する多層的な防御・検知、対応・復旧体制の整備 ・情報システムの適切な管理 ・脆弱性診断など外部評価の実施 ・情報保護に関する従業員教育・啓発、法対応等、組織的な対応策の実施 |
↗ |
大 |
中 |
|
⑫ |
大規模災害 |
・大規模な自然災害及び二次災害の影響による(震災や風水害及び土砂災害等の発生)当社グループ所有の建物、設備等の損害 ・一時的な事業停止や物流網の混乱に伴う供給不可による機会損失、製品廃棄による損失等 ・インフラ(電気、ガス、水道等)の供給制限・停止による製品の生産、売上、費用への影響 ・地政学リスク発生による事業活動の停止・停滞 ・感染症(パンデミック)に伴う人的被害及びそれによる生産拠点での生産停止、また、その急速拡大による製品の生産、売上、費用への影響や、外食事業における店舗や商業施設の閉鎖・売上低迷等 |
・従業員の安全確保の困難 ・工場・オフィスなどの事業停止や物流網の混乱に伴い商品供給に支障を来し、機会損失、製品廃棄による費用の発生 ・サプライチェーンの寸断 ・製品の 生産、売上の未達、費用の増大 ・機会損失による、また上記が長期化した場合のグループ業績、財務状態への悪影響 |
・事業継続マネジメント(BCM)構築及び事業継続計画(BCP)の更新 ・備蓄・非常用電源・通信等の整備強化 ・システム障害対応、データバックアップ体制構築 ・各種訓練・演習実施による災害対応意識向上のための啓発活動の実施 |
→ |
大 |
中 |
|
項番 |
項目 |
想定するリスク |
顕在化した場合の影響 |
主な対策 |
前年から の変化 |
影 響 度 |
発生 可能性 |
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⑬ |
ガバナンス・コンプライアンス |
・コーポレートガバナンスやグループ内における内部統制の機能不全によるコンプライアンスリスクの発現 ・不正行為や犯罪行為、贈収賄など、法令や社会要請に反した行為、またはハラスメントなど人権が尊重されていない行為、その他広告やSNSの炎上等のリスク ・法令等に対する違反の有無にかかわらず、製造物責任法、知的財産法、税務等の問題で訴訟を提起される、又は罰金等を科される可能性。 ・将来において新たな法的規制等が設けられる可能性、またそれによる事業活動の制限や、新たな費用の発生等(例えば、酒税や消費税の増税等による需要の減少、酒類広告に対する規制など) |
・不正や誤謬、法令違反、コンプライアンス違反の発生 ・炎上、レピュテーションリスクの発生 ・罰則、訴訟など経済的な制裁措置 ・株主や顧客からの信頼失墜、経営危機 ・優秀な人財の流出、採用難 ・信用失墜、ブランド・企業価値低下によるグループ業績、財政状態への悪影響 |
・ガバナンスの実効性を確保するため、「コーポレートガバナンス・コード」を踏まえたモニタリング機能強化 ・全役員、従業員を対象としたeラーニング等コンプライアンス研修の実施 ・リスク感度醸成の取組実施 ・コンプライアンスリスク低減を図るため、予防に重点を置いた取組の推進・強化 ・内部通報制度の周知徹底と運用強化 ・最新の法規制情報をグループ全体に発信する体制を整備し、グループ各社が正確かつ迅速に法改正等に対応できる仕組みの構築 ・法令違反の未然防止を図るため、グループ全体での統一的な法令遵守体制の構築、及び定期的な法令勉強会や管理職研修等の実施 |
→ |
中 |
大 |
(注)経営戦略リスクについては、それぞれ単独のリスクではなく、相互に連関したリスクであると認識しております。
(1)業績等の概要
①業績
当社グループは、2025年12月24日において、当社の完全子会社であるサッポロ不動産開発株式会社(以下、 「SRE」)に対して PAGインベストメント・マネジメント株式会社及びKohlberg Kravis Roberts & Co. L.P.またはそれぞれの関係者が助言若しくは運営するファンドが共同で出資するSPARK合同会社が出資することなどを含む一連の取引を決議し、かかる一連の取引に関する契約を締結いたしました。これに伴い、不動産事業の一部(※)を非継続事業に分類しており、当連結会計年度及び前連結会計年度についても同様の形で表示しております。売上収益、事業利益及び営業利益については、非継続事業を除いた継続事業の金額を、親会社の所有者に帰属する当期利益については、継続事業及び非継続事業を合算した数値を表示しております。
※ SREが保有する恵比寿ガーデンプレイスの信託受益権の30%、GINZA PLACE及びサッポロガーデンパークの一部を、同じく完全子会社であるサッポロビール株式会社に移管しております。
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(単位:百万円) |
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売上収益 |
事業利益(※1) |
営業利益 |
親会社の所有者に 帰属する当期利益 |
|
2025年12月期 |
506,861 |
25,009 |
24,437 |
19,498 |
|
2024年12月期 |
512,434 |
16,827 |
5,645 |
7,714 |
|
増減率(%) |
△1.1 |
48.6 |
332.9 |
152.8 |
※1 事業利益は、売上収益から売上原価並びに販売費及び一般管理費を控除した、恒常的な事業の業績を測る当社グループ独自の利益指標です。
※2 売上収益、事業利益、営業利益は非継続事業を除いた継続事業の金額を表示し、親会社の所有者に帰属する当期利益は、継続事業及び非継続事業の合算を表示しています。
<売上収益>
売上収益は、国内市場におけるビールの好調な販売と4月の価格改定による増収の影響があったものの、食品飲料事業の構造改革に伴う減収の影響により、全体では前期比1.1%減、56億円減収の5,069億円となりました。
<事業利益>
事業利益は、酒類事業の増収効果に加え、食品飲料事業のコスト構造改革や前期のIT投資の反動減等により、前期比48.6%増、82億円増益の250億円となりました。
<営業利益>
営業利益は、前期に計上した「STONE BREWING CO., LLC(以下、Stone社)」の株式を取得した際に生じたのれんの減損損失の反動等により、前期比332.9%増、188億円増益の244億円となりました。
<親会社の所有者に帰属する当期利益>
親会社の所有者に帰属する当期利益は、為替相場の変動に伴い前期から為替差益が減少した一方、連結営業利益の増益等により、前期比152.8%増、前期比118億円増益の195億円となりました。また、基本的1株当たり利益は50.02円(前期19.80円)となり、親会社所有者帰属持分比率は33.5%(前期29.5%)となりました。
以下、事業セグメント別の概況は記載のとおりです。
〔酒類事業〕
売上収益は、海外ブランドビールの売上数量が減少したものの、国内市場におけるビールの好調な販売と4月の価格改定の影響により、前期から増収となりました。
事業利益は、主に国内酒類の増収効果により前期から増益となりました。
営業利益は、事業利益増加に加え、前期に計上したStone社の株式を取得した際に生じたのれんの減損損失を計上した反動等により前期から増益となりました。
■売上収益 4,002億円(前期比59億円、1.5%増)
■事業利益 285億円(前期比71億円、33.1%増)
■営業利益 303億円(前期比230億円、315.4%増)
酒類事業に属する国内酒類、海外酒類、外食の詳細は次のとおりです。
(国内酒類)
景況感の悪化や4月の価格改定の影響等もあり、日本国内の業務用市場・家庭用市場共に軟調に推移し、ビール類(ビール・発泡酒(含む発泡酒②))の総需要は前期比96%と推定されます。また、ビールの総需要は前期比99%と推定されます。当期は、2026年10月の酒税改定を見据えてビールへの取り組みをさらに強化すると共にRTDを中心に事業の成長に注力しております。そのような中、「サッポロ生ビール黒ラベル」の缶製品の売上数量は前期比107%、「ヱビスビール」の缶製品の売上数量は前期比102%と好調に推移したことにより、当社グループの国内におけるビール類合計の売上数量は、総需要を上回る前期比99%になりました。また、RTD缶の売上数量は前期比108%となりました。
※RTD:Ready To Drinkの略。購入後そのまま飲める、缶チューハイなどのアルコール飲料。
(海外酒類)
北米ビール市場は、消費者需要の弱含みとカテゴリー構成の変化により、前期比で軟調に推移しました。なかでも米国のクラフトビールは市況の弱さが続き、当社の海外ブランドの売上数量は前期を下回りました。一方、SAPPOROブランドは、重点エリアにおけるディストリビューション拡大に加え、ブランド世界観を一貫して訴求するコミュニケーションを強化したことにより、北米での売上数量は前期比105%と堅調に推移しました。
(外食)
外食需要は、社会経済活動の正常化による人流、対面サービス消費の回復が緩やかに続き、堅調に推移しました。そのような中、インバウンド需要の取り込みやシニア層の顧客獲得、メニューや価格の改定により、外食事業の既存店売上高は前期比で104%となりました。
〔食品飲料事業〕
売上収益は、国内市場における昨年までの事業譲渡などの構造改革の影響や、海外飲料のマレーシア工場での一時的な稼働停止及び稼働率低下に伴う売上減少の影響等により、前期から減収となりました。
事業利益は、原材料高騰の影響を受けたものの、コスト構造改革による効果が寄与したことにより、前期から増益となりました。
営業利益は、主に神州一味噌株式会社の株式及び同社に対する債権の譲渡契約締結に伴う減損損失の計上や、前期の固定資産の減損損失戻入益や土地の売却益の計上の反動減等により、前期から減益となりました。
■売上収益 1,066億円(前期比113億円、9.6%減)
■事業利益 42億円(前期比8億円、23.3%増)
■営業利益 19億円(前期比33億円、63.8%減)
食品飲料事業に属する国内食品飲料、海外飲料の詳細は次のとおりです。
(国内食品飲料)
国内の飲料総需要は、前期比97%と推定されます。そのような中、当社グループの国内飲料の売上金額は、飲料の主力ブランドである「キレートレモン」が前期比109%と堅調に推移しました。「北海道コーン茶」シリーズや「北海道富良野ホップ」といった独自価値をもつ商品が、それぞれ前期比2桁増と好調であったものの、飲料全体では商品改廃等により、前期比94%となりました。
また、主力ブランドである「ポッカレモン100」は前期に引き続き前期比117%と好調に推移しております。
(海外飲料)
2025年3月初旬よりマレーシア工場において発生しておりました製品パッケージの不具合につきましては、現在は正常化しております。
そのような中、シンガポールにおいては、嗜好の多様化に伴い既存市場の需要が低下傾向にある市場環境も影響し、売上金額は前期比93%(現地通貨ベース)となりました。
また、注力エリアであるマレーシアにおいても、新規販売代理店の販売網による売上拡大を図る一方で、製造状況の影響を受け売上金額は前期比85%(現地通貨ベース)に留まりました。
上記を除く輸出事業においては、2024年8月より中東への輸出を再開しており、昨今中東情勢が悪化の影響がありつつも、売上金額は前期比108%(現地通貨ベース)となりました。
〔不動産事業〕(非継続事業)
首都圏のオフィス賃貸市場では、稼働率及び平均賃料水準が共に堅調に推移しており、特に都心5区の中でも渋谷区のオフィス空室率は他区と比較して低く、それに伴い賃料も上昇傾向にあります。
そのような中、「恵比寿ガーデンプレイス」における高いオフィス稼働率の維持、シネマ・催事による「サッポロファクトリー」の好調な集客、さらに、昨年取得した物件による賃貸収入の増加により、前期から増収となりました。
②財政状態の状況
当連結会計年度末における資産、負債、資本の状況とそれらの増減の要因は次のとおりです。
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(単位:百万円) |
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区分 |
2024年12月期 |
2025年12月期 |
増減額 |
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流動資産 |
193,918 |
340,461 |
146,543 |
|
非流動資産 |
471,045 |
313,229 |
△157,816 |
|
資産合計 |
664,963 |
653,690 |
△11,273 |
|
流動負債 |
207,007 |
217,757 |
10,750 |
|
非流動負債 |
260,799 |
215,815 |
△44,983 |
|
負債合計 |
467,805 |
433,572 |
△34,233 |
|
資本合計 |
197,157 |
220,117 |
22,960 |
|
負債及び資本合計 |
664,963 |
653,690 |
△11,273 |
(資産)
資産合計は、投資有価証券の売却によるその他の金融資産の減少等により、前連結会計年度末と比較して113億円減少し、6,537億円となりました。
(負債)
負債合計は、社債及び借入金の減少等によって、前連結会計年度末と比較して342億円減少し、4,336億円となりました。
(資本)
資本合計は、親会社の所有者に帰属する当期利益の計上による利益剰余金の増加等によって、前連結会計年度末と比較して230億円増加し、2,201億円となりました。
(各種財務指標)
流動比率は、流動資産が1,465億円増加し、流動負債が107億円増加したことにより、前連結会計年度の93.7%から156.3%に62.6ポイント増加しております。これは、非継続事業に分類した不動産事業が保有する資産及び負債を、売却目的で保有する資産及び売却目的で保有する資産に直接関連する負債に分類したことにより流動資産が増加したこと等によるものです。
親会社所有者帰属持分比率は、前連結会計年度の29.5%から33.5%に増加しております。これは、親会社の所有者に帰属する当期利益の計上により親会社の所有者に帰属する持分合計が増加したこと等によるものです。
親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE)は、前連結会計年度の4.1%から9.4%に増加しております。これは、親会社の所有者に帰属する当期利益が増加したこと等によるものです。
ネットD/Eレシオは、前連結会計年度の0.9倍から0.7倍に減少しております。これは、社債及び借入金(固定)の減少等によりネット有利子負債が減少し、親会社の所有者に帰属する持分合計が増加したことによるものです。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ18億円、7%減少し、当連結会計年度末には224億円となりました。
当期における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
|
|
|
|
(単位:百万円) |
|
区分 |
2024年12月期 |
2025年12月期 |
増減額 |
|
営業活動によるキャッシュ・フロー |
36,109 |
44,592 |
8,483 |
|
投資活動によるキャッシュ・フロー |
△5,836 |
△2,972 |
2,864 |
|
フリー・キャッシュ・フロー |
30,273 |
41,620 |
11,347 |
|
財務活動によるキャッシュ・フロー |
△25,372 |
△42,274 |
△16,902 |
|
現金及び現金同等物に係る換算差額 |
2,035 |
△313 |
△2,348 |
|
現金及び現金同等物の増減額(△減少) |
6,936 |
△968 |
△7,904 |
|
現金及び現金同等物の期首残高 |
17,204 |
24,140 |
6,936 |
|
売却目的保有に分類される処分グループに係る資産に含まれる現金及び現金同等物 |
- |
△813 |
△813 |
|
現金及び現金同等物の期末残高 |
24,140 |
22,360 |
△1,780 |
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、446億円(前期は361億円の収入)となりました。これは主に、法人所得税等の支払額129億円の減少要因があった一方、減価償却費及び償却費228億円、税引前利益227億円、非継続事業からの税引前利益63億円、営業債権及びその他の債権の減少額46億円の増加要因があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、30億円(前期は58億円の支出)となりました。これは主に、投資有価証券の売却による収入90億円、投資有価証券の償還による収入82億円の増加要因があった一方、有形固定資産の取得による支出119億円、投資有価証券の取得による支出55億円、投資不動産の取得による支出37億円の減少要因があったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、423億円(前期は254億円の支出)となりました。これは主に、短期借入による収入11億円の増加要因があった一方、社債の償還による支出200億円、長期借入金の返済による支出155億円、配当金の支払額41億円の減少要因があったことによるものです。
なお、当連結会計年度末のセグメント別の設備投資額等の内訳は、以下のとおりです。
|
|
|
|
|
|
(単位:百万円) |
|
|
|
|
酒類 |
食品飲料 |
その他 |
全社又は消去 |
連結合計 |
|
EBITDA(注) |
2025年12月期 |
41,781 |
6,839 |
- |
△6,664 |
41,955 |
|
2024年12月期 |
34,434 |
6,344 |
19 |
△6,738 |
34,059 |
|
|
増減 |
7,347 |
495 |
△19 |
74 |
7,897 |
|
|
設備投資 (支払ベース) |
2025年12月期 |
10,108 |
2,197 |
- |
872 |
13,176 |
|
2024年12月期 |
14,050 |
2,266 |
- |
1,440 |
17,756 |
|
|
増減 |
△3,943 |
△69 |
- |
△568 |
△4,580 |
|
|
減価償却費及び 償却費 |
2025年12月期 |
13,235 |
2,611 |
- |
1,101 |
16,947 |
|
2024年12月期 |
12,994 |
2,914 |
- |
1,323 |
17,231 |
|
|
増減 |
240 |
△303 |
- |
△222 |
△285 |
|
(注)1 EBITDA(事業利益+減価償却費)算出の際の減価償却費につきまして、飲食店舗の家賃にかかる使用権資産の減価償却費を除いております。
2 2025年12月期において、「不動産事業」を非継続事業に分類し、報告セグメントから除外しております。これに伴い、2024年12月期についても組み替えて表示しております。
(2)財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの分析は、以下のとおりです。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、将来に関する事項には不確実性を内在しており、あるいはリスクを含んでいるため、将来生じる実際の結果と大きく異なる可能性があります。
①重要性がある会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、IFRS会計基準に準拠して作成されております。
連結財務諸表の作成においては、連結会計年度末日における資産・負債の金額及び偶発債務の開示、並びに連結会計年度における収益・費用の適正な計上を行うため、見積りや前提が必要となります。当社グループは、過去の実績又は各状況下で最も合理的と判断される前提に基づき見積りを実施しています。
重要性がある会計方針及び見積りの詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載のとおりです。
②当連結会計年度の経営成績の分析
「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)業績等の概要 ① 業績」に記載のとおりです。
③経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を及ぼすと思われる事項については、概ね「3 事業等のリスク」に記載のとおりです。
中でも、当社グループでは海外での事業展開を進めており、日本国内の景気動向のみではなく、事業活動を行っている国・地域の経済動向及びその他の要因により影響を受ける可能性があり、リスク管理体制を一層強化する取り組みを進めます。
経営環境が依然として不透明な状況が続く中、環境変化への対応力を一層高める取り組みを進めます。
④事業戦略と見通し
〔2026年見通し〕
当社グループは、2026年度第1四半期決算より、従来の報告セグメント「酒類事業」及び「食品飲料事業」から「国内事業」及び「海外事業」の2区分に変更いたします。
2025年度は、これまで推進してきた事業ポートフォリオの見直し及び構造改革の成果を踏まえつつ、「中期経営計画(2023~2026)」において掲げていた2026年度の財務目標であるROE8%を一年前倒しで達成いたしました。
2026年度は、2027年度以降の成長に向けた移行期間と位置づけ、構造改革及び成長投資等を通じて、将来の持続的成長に向けた事業基盤の強化に取り組んでまいります。
国内事業においては、市場環境の変化やコスト上昇への対応を進めつつ、ビールを中心とした酒類事業の成長を軸に、外食事業及び食品飲料事業を含めた収益力強化を図ります。
海外事業は、主に北米酒類の売上拡大を図るとともに、コスト構造改革を断行してまいります。
以上を踏まえ、当社グループ全体の売上収益、事業利益及び営業利益は、非継続事業への区分や構造改革に伴う一時的な影響等を織り込み、減収減益となる見込みです。一方、親会社の所有者に帰属する当期利益については、不動産事業(非継続事業)における子会社の支配喪失に伴う利益として、約3,300億円を2026年に計上する見込みであることから、増益となる見通しです。
〔国内事業〕
(国内酒類)
2026年10月酒税改定に向けて、ビールへの取り組みをさらに強化すると共にRTDを中心に事業の成長を目指してまいります。特にビール事業においては「サッポロ生ビール黒ラベル」、「ヱビスビール」を中心に、ブランド投資を強化し、成長に向けた取り組みを継続するとともに、改めてビールの魅力の追求と向上を図ってまいります。2025年に引き続き、原材料や物流費等の市場でのインフレ圧力は、国内酒類の業績に強く影響を与えるものの、前年4月に実施した価格改定効果や品種ミックス改善、さらにはコストコントロールに努めることにより、その影響を吸収する見通しです。
(外食)
需要回復に転じた2023年の基調を維持し、更に強固な経営基盤を構築すべく、既存店の成長を柱に、酒類事業における顧客接点、ブランド発信拠点としての機能強化に取り組みます。引き続き原材料や諸コストの上昇が見込まれますが、適時・適切な価格改定、顧客体験価値向上の取組みを通じ、収益性とブランド訴求力を高めていきます。
(国内食品飲料)
2025年に引き続き、お客様の嗜好の多様化や競合メーカー各社との競争激化に加え、原材料やエネルギー、物流費の高騰が見込まれます。このような環境下でも、主力のレモン関連商品の成長に努めるとともに、レモンの機能研究や技術開発、調達・生産体制の強化を進めていきます。また、引き続きコスト削減策を実行することで収益基盤の強化を図ります。
〔海外事業〕
(海外酒類)
米国においては、収益性の改善を喫緊の課題として認識しており、生産拠点におけるオペレーションコストの抜本的な見直しを中心とした構造改革を継続して進めてまいります。また、軟調な北米ビール市場においても成長を続けるサッポロブランドについては、さらなる成長と価値創造に向けてマーケティング投資を強化し、ブランドの魅力を一層高めてまいります。カナダにおいては、プレミアムブランドのビールに加え、「SAPPORO 0.0」をはじめとするノンアルコールビールやRTDカテゴリーの強化を引き続き推進するとともに、コスト構造改革を進めることで、事業効率の向上及び収益性改善に努めます。
(海外飲料)
海外飲料は、各市場における重点課題への対応を継続してまいります。シンガポールでは収益性の改善に向け、低・無糖茶カテゴリーの強化や不採算事業・SKUの見直しを図ります。マレーシアにおいては、ディストリビューターとの連携をより一層強化することにより、売上基盤の改善に取り組みます。輸出では、中東依存から脱却し、成長性や利益率の高い市場の選定・開拓を進め、事業ポートフォリオの安定化を目指します。
⑤当連結会計年度末の連結財政状態の分析
「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)業績等の概要 ② 財政状態の状況」に記載のとおりです。
⑥資本の財源及び資金の流動性についての分析
ⅰ)キャッシュ・フローの分析
「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)業績等の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
また、キャッシュ・フロー関連指標の推移は、以下のとおりです。
|
|
2024年12月期 |
2025年12月期 |
|
親会社所有者帰属持分比率(%) |
29.5 |
33.5 |
|
時価ベースの親会社所有者帰属持分比率(%) |
97.5 |
100.5 |
|
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年) |
7.5 |
5.1 |
|
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) |
11.3 |
13.0 |
親会社所有者帰属持分比率:親会社の所有者に帰属する持分÷資産合計
時価ベースの親会社所有者帰属持分比率:株式時価総額÷資産合計
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債÷キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー÷利払い
(注)1 株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
2 キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
3 有利子負債は連結財政状態計算書に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象
としております。
ⅱ)資金の流動性及び資金の調達について
当社グループの運転資金の需要のうち主なものは、生産・販売活動に係る製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。また、設備資金の需要のうち主なものは、国内事業及び海外事業における工場整備への投資、並びに成長分野における事業拡大投資やM&A投資等によるものであります。
当社グループは、事業活動に必要な資金を、主に営業活動によって得られるキャッシュ・フローと金融機関等からの借入れにより調達しています。また、主要な連結子会社にキャッシュ・マネジメント・システム(CMS)を導入し、日本国内のグループ内資金を当社が一元管理しています。各グループ会社において創出したキャッシュ・フローを当社に集中させることで資金の流動性を確保するとともに、グループ内で機動的かつ効率的に配分することにより、金融負債の極小化を図っています。これらにより、現在そして将来の営業活動並びに債務の返済等に備え、十分な資金及び流動性を確保しています。
⑦経営者の問題認識と今後の方針について
経営者の問題認識と今後の方針につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりです。
(3)生産、受注及び販売の実績
①生産実績
当連結会計年度における生産実績を示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
生産高(kl) |
|
|
前期比(%) |
||
|
酒類事業(ビール・発泡酒・新ジャンル等) |
814,862 |
0.9 |
|
酒類事業(ワイン・焼酎・RTD等) |
132,208 |
4.2 |
|
食品飲料事業(飲料水等) |
255,963 |
△15.0 |
②受注実績
当社グループでは、ほとんど受注生産を行っておりません。
③販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
販売高(百万円) |
|
|
前期比(%) |
||
|
酒類事業 |
400,244 |
1.5 |
|
食品飲料事業 |
106,609 |
△9.6 |
|
報告セグメント計 |
506,853 |
△1.1 |
|
その他 |
- |
△100.0 |
|
合計 |
506,853 |
△1.1 |
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
3 当連結会計年度において、「不動産事業」を非継続事業に分類し、報告セグメントから除外しております。
|
相手先 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
||
|
販売高(百万円) |
割合(%) |
販売高(百万円) |
割合(%) |
|
|
国分グループ本社㈱ |
77,812 |
15.2 |
72,674 |
14.3 |
(業務提携)
バカルディ ジャパン株式会社との業務提携
当社の子会社であるサッポロビール㈱は、2011年5月19日付で、ラムブランド「バカルディ」等多くの有力ブランドを所有するバカルディ ジャパン㈱と同社が日本国内で販売権を有するスピリッツをはじめとする各ブランドの、日本国内における独占販売に関する業務提携契約を締結しました。
(外部資本導入に係る一連の取引に関する契約)
当社は、2025年12月24日開催の取締役会において、当社の完全子会社であるサッポロ不動産開発株式会社(以下、「SRE」といいます。)について、PAGインベストメント・マネジメント株式会社およびKohlberg Kravis Roberts & Co. L.P.またはそれぞれの関係者が助言若しくは運営するファンドが共同で出資するSPARK合同会社(以下、「SPARK」といいます。)が出資することなどを含む一連の取引(以下、「本件取引」といいます。)を決議し、同日付で本件取引に関する契約を締結いたしました。
本件取引は、SRE株式を3年間にわたり段階的に取得するものであり、第一回のクロージング(2026年6月1日予定)においてSPARKが議決権の51.0%を取得し、第二回(2028年6月1日予定)において29.0%を追加取得、第三回(2029年6月1日予定)において当社保有分の全議決権をSPARKに異動させる予定であります。
なお、本件取引に先立ち、SREが保有する恵比寿ガーデンプレイス(以下、「YGP」といいます。)の信託受益権の30%、GINZA PLACEおよびサッポロガーデンパークの一部を、当社の完全子会社であるサッポロビール株式会社に移管しました。
(金銭消費貸借契約に付される財務上の特約)
2024年4月1日前に締結された金銭消費貸借契約については、「企業内容等の開示に関する内閣府令及び特定有価証券の内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」附則第3条第4項により記載を省略しております。
当社グループの研究開発は、さまざまな分野で培ってきたコア技術と強みとする素材とをかけ合わせ、さらにはオープンイノベーションも推進しながら、基盤研究から応用研究、商品技術開発までを行い、お客様が求める価値を継続的に提供するとともに、新たなカテゴリーや市場を開拓することを目指しております。
当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は
セグメント別の状況は次のとおりです。
[酒類事業]
1.研究開発について
サッポロビール㈱は「価値創造フロンティア研究所」「原料開発研究所」「技術開発部」「商品・技術イノベーション部」及び「R&D戦略部」の体制で研究開発を進めております。これら5部門で総勢約94名(うち22名が女性)が研究開発に取り組んでおります(研究補助者は含みません)。
2025年8月に開催されたBrewing Summit(※1)2025年度大会では、ビールの品質を損なう微生物の判定技術、酵母発酵による物質変換、ビールのろ過性を予測する小型ろ過システムの開発、小麦ビールのろ過性改善、パパっとパピエコBOX(※2)や、サステナビリティに貢献できる製麦工程に関して合計7件の発表を行いました。その発表の件数、テーマの広範さで、ビール研究分野では、引き続き世界をリードし国際的にも高評価を得ております。
2025年4月に限定発売された「サッポロ クラシック 春の薫り」には昨年に続き、サッポロビール㈱が独自開発した熟成ホップの技術(※3)が活用されました。これは、ホップを熟成(常温、長期間の保存)させた時に苦味成分が酸化で分解されて増える「分岐鎖脂肪酸」と言われる成分を隠し味として使うことで、香り付けに用いている自社育成ホップ「フラノマジカル」の香りを強めることができるという技術です。また、米国を中心にクラフトビール業界でも人気を博したサッポロビール㈱の開発品種「ソラチエース」の香り成分や、ホップのもたらす冷涼感に関する研究成果でも、農業食品化学分野で権威ある学会誌に査読付き論文を発表しました(※4)。
また、サッポロビール㈱が開発したLOXレス大麦品種(※5)「CDC Goldstar」「きたのほし(商標名)」はカナダ及び北海道で協働契約栽培により生産されており、「旨さ長持ち麦芽」として「サッポロ生ビール黒ラベル」等の同社商品で採用しております。
サステナビリティ視点の研究では、「麦芽製造における焙燥工程での自然乾燥技術」について2025年3月に開催された日本農芸化学会の2025年度大会(※6)で、「製麦工程における二酸化炭素排出量削減」について上記のBrewing Summitにて2025年8月に発表しました。気候変動への対応策として、2025年9月にはビール大麦の北海道での越冬性に関して日本育種学会で発表しております(※7)。これらの研究成果を活用し、「旨さ長持ち」特性(Stable-care)と気候変動対応特性(Sustainable-care)を併せ持つ「Dual-S大麦」の育成を目指します。「Dual-S大麦」をはじめとし、「気候変動に適応するための大麦・ホップの新品種を開発し、2035年までに国内で実用化する」ことで、持続可能な原料調達に貢献することを目指しております。
これらの研究成果を商品技術開発に応用し、これからもビールテイスト飲料のさらなる魅力を引き出すことで、多様なビールの楽しみ方を提案していきます。また、品質保証研究では、これまで以上にお客様の安全・安心志向や健康意識に応えるため、原料・製品の安全性分析及びそれを支える分析新技術の研究に継続して取り組んでいきます。
「R&D戦略部」では、経営・マーケティング・研究開発が三位一体の関係を形成できるような仕組みづくり、IPランドスケープを活用した知財戦略活動の推進、及び研究員のキャリアステージに合わせた研修の実施などの人財育成活動等を行っております。また、サッポロビール㈱のR&D活動の全体像が一目でわかるコア技術マップをホームページに公開しております(※8)。これは研究方針策定や、ステークホルダーへの情報発信、採用活動等に寄与できるものと考えております。
※1 Brewing Summitは、ASBC(The American Society of Brewing Chemists)とMBAA(Master Brewers Association of the Americas)が共催する合同大会で世界的な権威のある国際学会のひとつとされております。2025年の大会(会場:カリフォルニア州パームデザート)は8月13日~15日に開催されました。https://www.brewingsummit.org/Pages/default.aspx
※2 パパっとパピエコBOXは、2023年1月から開始している次世代容器包装開発の「ecoフレンドリー」プロジェクトの第4弾です。
https://www.sapporobeer.jp/news_release/0000016561/
※3 サッポロビール㈱が独自開発した熟成ホップの技術を「サッポロ クラシック 夏の爽快」に活用。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002302.000012361.html
※4 掲載誌のJournal of Agricultural and Food Chemistryはアメリカ化学会(American Chemical Society)の発行する農業食品化学分野の学会誌です。
(ソラチエース研究の掲載論文:https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acs.jafc.4c09167
ホップがもたらす冷涼感の掲載論文:https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acs.jafc.5c10218)
※5 ビールの風味を劣化させる成分(LOX-1<ロックスワン>:脂質酸化酵素)を持たない大麦。
※6 (公社)日本農芸化学会は、1924年に設立されたバイオサイエンス・バイオテクノロジーを中心とする多彩な領域の研究者、技術者、学生、団体等によって構成される学術団体であり、国内の大学・研究所・企業などに所属する多くの研究者によって構成・運営されております。日本農芸化学会2025年度大会の会期は3月4日~8日(会場:札幌市・札幌コンベンションセンター)。日本農芸化学会2025年度大会ホームページ:https://www.jsbba.or.jp/2025/
※7 (一社)日本育種学会第148回講演会(会場:北海道大学。会期:2025年9月10-11日。
https://jsbreeding.jp/activity/symposium/)
※8 サッポロビール㈱のコア技術マップ。https://www.sapporoholdings.jp/research/topics/sb_core_technology/
2.商品開発について
酒類の商品開発については、2020年に策定されたサッポロビール㈱の経営ビジョンのもと「お酒と人との未来を創る」商品をお届けすべく活動を行ってきました。
生ビールのおいしさを追求する「サッポロ生ビール黒ラベル」は、ブランドの世界観を拡張させるべく「サッポロ生ビール エクストラムーブ」「サッポロ生ビール エクストラシンク」を限定発売しました。
ヱビスブランドでは、YEBISU BREWERY TOKYOでの経験から開発され、これまでの概念にとらわれない新たなビールのおいしさや楽しさに挑戦していくためYEBISU CREATIVE BREWから「ヱビス クリエイティブブリュー 薫満つ」「ヱビス クリエイティブブリュー マリアージュブラン」「ヱビス クリエイティブブリュー 和奏」「ヱビス クリエイティブブリュー JAZZY」といった限定商品を展開しました。歴史を持つヱビスだからこそできる、独創的で個性ある新しい味わいのビールを提案しました。
また、サッポロビール㈱直営の新しい"お酒"を体験できるオンラインストア、「シュパーク」は、2025年6月に開始して以来、世代を超えて、お酒の楽しさ・未来を分かち合う“場”をつくるため、クラフトブルワリーや他企業と共創した個性豊かなビールやノンアルコール飲料を皆さまにお届けしてきました。
RTD(※1)では、主力ブランドである「濃いめのレモンサワー」のお客様支持が拡大し、また、「濃い搾り ノンアルコールブランド」が好調に推移し、RTD事業としては、5年連続最高売上の1,170万ケース(※2)を販売しました。
酒類事業の研究開発費の金額は
※1 RTD:Ready To Drink の略。栓を開けてそのまま飲める低アルコール飲料
※2 350ml×24本換算
[食品飲料事業]
1.研究開発について
広島県大崎上島町において約5年間実施した国産レモン摂取に関する健康調査研究で得られた知見を基盤とし、当社の研究開発・生産拠点が所在する愛知県北名古屋市との連携による市民向け健康調査を2024年より開始しました。初年度は同市職員100名を対象に試験を実施し、血圧低減効果に加え、新たに睡眠の質向上に関するデータを確認しました。
2025年度は北名古屋市民249名を対象としてレモン果汁摂取試験を行い、期待される健康効果に関して良好な結果が得られており、これらの成果は日本栄養・食糧学会第80回大会にて発表を予定しております。今後も健康調査を継続し、レモンの効果・効能に関する科学的根拠の蓄積を進めるとともに、市民の皆さまの健康増進への貢献を図ってまいります。
2.商品開発について
ポッカサッポロフード&ビバレッジ㈱の経営ビジョンにある「おいしい以上の価値」を基軸として、各ブランドの価値向上と需要拡大を目的とした開発活動を行いました。
「ポッカレモン」ブランドでは、こだわりの果汁配合により品質価値を高めた「ポッカレモン100プレミアム有機レモン」を発売しました。「キレートレモン」ブランドでは、疲労感軽減の機能性表示食品「キレートレモンクエン酸」について、525ml PET、900ml PET、155g 缶へと容器ラインアップを拡大するとともに、レモン素材と研究知見を活かした新商品「キレートレモン PuLemon」を発売しました。
スープカテゴリーでは、ビストロのような本格的な味わいを手軽に楽しめる「じっくりコトコト BISTRO仕立て デミグラススープ」や、家庭・オフィスでの常備に適した「じっくりコトコト こんがりパン袋」シリーズを発売しました。
飲料カテゴリーでは、ロングセラーである「加賀棒ほうじ茶」のブランド価値向上を目的としたリニューアルを実施し、「ポッカコーヒー」ブランドでは新たに「ポッカコーヒー 黒糖ミルクコーヒー」を発売しました。
食品飲料事業の研究開発費の金額は